03/01/24 第11回これからの医業経営の在り方に関する検討会議事録         第11回 これからの医業経営の在り方に関する検討会 日時    平成15年1月24日(金)10時30分から12時30分 場所    経済産業省別館第1028号室 出席委員  石井孝宜、内田裕丈、遠藤美光、大石佳能子、川合弘毅、川原邦彦、       小山秀夫、田中 滋、谷川和生、豊田 堯、西澤寛俊、西島英利、       長谷川友紀、南  砂             (五十音順、敬称略) 議事内容 ○田中座長  ただいまから、第11回「これからの医業経営の在り方に関する検討会」を開催いたし ます。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中のところ当検討会にご出席いただき誠 にありがとうございます。委員の出欠状況ですが、本日は津久江委員が欠席、また大石 委員が少し遅れて到着されます。  本日は、最終取りまとめに向けての論点整理をお願いいたします。最初に、今後のス ケジュールなどについて、事務局から説明をお願いいたします。 ○渡延指導課長  昨年末の第10回会合までで、昨年3月の中間報告で課題とされた事項についての議論 が一巡したことを受け、いよいよ本年度末の取りまとめに向けてご議論をお願いするこ とになっております。  お手元に1枚紙で、「これからの医業経営の在り方に関する検討会最終報告に向けた 課題と論点」を配付させていただきましたが、この左側の「視点」の「検討を深めるべ き課題」と書いてありますところは、昨年3月25日の中間報告をまとめた際に、「今後 検討すべき」とされた事項です。  右側の「論点」の欄には、昨年の中間報告取りまとめ後、各回で委員の先生方から、 あるいは外部の有識者の先生方からプレゼンをいただいた項目に対応する形で整理した ものです。この表の中に収まっていることが、概ね年度末の最終報告の範囲となってこ ようかと考えております。最終報告の具体的な案文のたたきに先立って、昨年末の12月 11日の際にもお諮りしましたとおり、まず「論点整理」をお願いできればと考えており ます。  さらに、お手元に「最終報告に向けたスケジュール」という1枚紙を配付しておりま すが、本日を皮切りにし、既に委員の先生方お忙しい中、日程を取っていただきまし て、3月11日まで4回この会合の開催をお願いしているところです。本日及び次回2月 4日の第12回検討会の2回にわたり、論点整理をお願いいたしたく、さらに2月28日と 3月11日の2回にわたり、報告書案のご議論をいただき、3月11日に報告書の取りまと めまでいければ、ということが事務局としてのお願いです。  論点整理につきましては、先生方大変お忙しい中時間も限られておりますので、中間 報告で課題とされた事項のうち、昨年末の会合までの議論の状況等に照らしまして、さ らに議論を深め、整理する必要があると思われる項目を事務局で整理いたしまして、4 つの項目を挙げております。  1「株式会社参入論の是非」、2「資金調達手段の在り方」、3「社団形式の医療法 人における持分の取扱いや特別特定医療法人の普及策」、4「医療法人の付帯業務規制 の見直し」の4つです。この4つを2つずつに分け、本日と次回の検討会において論点 整理の議論をいただければと思っております。  本日は、論点整理の1回目として、「株式会社参入論の是非」及び「資金調達手段の 在り方」の2項目について、論点整理としてのご意見をいただけたらと考えております ので、よろしくお願いいたします。 ○田中座長  1カ月半の間に4回と大変ハードなスケジュールですが、ただいまのスケジュールに ついてご質問、ご意見はございますか。                 (特に発言なし) ○田中座長  特に発言はないようですので、よろしくお願いいたします。事務局で作成した、論点 整理に関する資料に基づいて議論してまいります。初めに、事務局から資料の確認をお 願いいたします。 ○中野補佐  「議事次第」「座席表」「委員名簿」に続いて「最終報告取りまとめに向けたスケ ジュール」、「最終報告に向けた課題と論点」、「最終報告取りまとめに向けた論点整 理(その1)」が本日の資料です。 ○田中座長  議論に入ります。最初の議題は、「株式会社参入論の是非」です。事務局から資料の 説明をお願いし、その上で討議をしてまいります。 ○中野補佐  「最終報告取りまとめに向けた論点整理(その1)」というのは、本日ご議論いただ きます株式会社参入論と、資金調達問題について取りまとめたものです。1番「医療分 野における株式会社参入の是非」についてを資料に沿って読み上げます。  1.現状。医療法第7条により、営利を目的とする医療機関の開設は禁止されてお り、株式会社による医療経営は認められていない。  2.議論の方向。医療の強い公共性と、株式会社の株主への利益配当という2つの要 請には相入れない面があること。医療機関が自己利益の追求に向けた行動を取る結果、 患者の利益が損なわれるおそれがあること。医療費の高騰を招きかねないこと等から、 営利を目的とした法人による病院等の開設は認めるべきではないと考えるがどうか。  これに対しては、株式会社を医療分野における運営形態の一つの選択肢として認める ことは次のようなメリットがあり、積極的に推進するべきとの見解があるがどうか。優 れた運営ガバナンス構造を持ち、効率的な経営手段であること。資金調達面からも、直 接金融のメリットを活かすことができること。閉鎖的な医療の世界に、新しい血を入れ ることができること。  しかしながら、こうした見解については次のような反論が可能であると考えるがどう か。市場原理が有効に機能しない医療分野に、営利企業参入を認めても、本来の市場経 済部門の機能発揮に役立たず、原理的におかしいこと。アメリカの実証研究でも、株式 会社病院が、効率性等の視点から優れたパフォーマンスを示したという明白な根拠はな く、逆に利益が上がる分野以外を切り捨てる等の弊害を指摘する者が多いこと。資金調 達面でも、株式発行を認めれば解決するものではないこと。株式会社病院による経営 が、どのような面で非営利病院より優れているのかが不明瞭であること。以上です。 ○田中座長  皆様方からのご発言をお願いいたします。 ○川合委員  私は、日本病院会から来ているわけですが、日本病院会は当初より株式会社参入につ いては、ネガティブな意見を展開しているわけです。ただ、私は2の3つ目の○印のと ころに書いている・1の「市場原理的におかしいこと」という言葉は少し訂正する必要 があるのかと思います。  特に、「原理的におかしい」ということは、少し言いすぎなのかなと思います。市場 主義は、情報開示ということが前提になっているわけです。その商品の情報と、財布の 中身でもってそのお客さんは判断し、その結果選択をし、それで製品の側では競争が生 じるということなのです。これは、皆さん方もご存じのことです。  ただ、日本ではそういうのが非常に遅れている、ということは紛れもない事実であり ます。外国の話をしますと、イギリスのナショナルヘルスサービスでは、いかにして市 場主義を導入するべきか、という議論をなされているわけです。ドイツにおいては、疾 病金庫は既に競争、選択ということが行われているわけです。ですから、「原理的にお かしい」ということは少し言いすぎではないのか。  付け加えますと、アメリカの市場原理ゴリゴリのことが果たしていいのかというと、 これは否定的に私たちは取りたいと思います。以上です。 ○田中座長  これは、最終プロセスですので、皆さんに1人一言言っていただいたほうがよろしい かと思います。 ○内田委員  私は歯科医師会ですが、長いことこの会議を欠席しておりますので、それこそ論点整 理できておりません。少なくともこの文章を読ませていただきまして、私は現状のまま でよろしいかと思います。その根拠と申しますのは、非常に幼稚な発想で一笑に付せら れるかもしれませんが、ここで説明するまでもなく、有識者の前でお話するのはお恥ず かしいことなのですが、医療そのもの、特に西島先生はよくおわかりだと思いますが、 我々医療従事者の病院経営、あるいは医業経営につきましては、その医業経営に入る収 入というのは、健康保険制度が主です。  それは、統制経済に等しいものです。旧ソ連型の統制経済という、その枠の中から収 入を得られて、それでは一体出るものはどうなのかというと、これは自由経済といいま すか、資本主義経済といいますか、いわゆるアメリカ型の経済の形で出るものは出てい く。1つの企業、あるいは経営の在り方には入るものと出るものが全く別な形の経済の 動き、流れで現在行っているわけです。  ところが、統制経済といいますか、保険制度そのものを否定しているわけではありま せんけれども、そういう中で市場原理の導入だとか、株式会社の云々などということ自 体が、現在の医療経済の流れの中では不適確なものだと思っております。そういうこと からすると、株式会社の参入の是非ということについては、現状のままで存続すべきで ある、というのが歯科医師会としての考え方です。 ○田中座長  歯科医師会としては、公的保険制度と、株式会社は親和性が低いというご主張です。 ○遠藤委員  どうも、ここの流れが株式会社の参入には否定的だ、という議論で進んでいるようで す。私も、途中から入ってきたものですから、従前の議論がどうだったかというのは完 全にはフォローしていませんので、途中から加わった者として受けている印象等を含め て、本日のペーパーに基づいて申し上げます。  ペーパーの1頁の(2)の「議論の方向」ということで○印が3つあります。○印の 1面では3つのことを挙げて、営利を目的とした法人を認めるべきではない、というこ とを言っているわけです。具体的に挙げている第1は、「医療の強い公共性と、株式会 社の株主への利益配当という2つの要請には相入れない面がある」ということを言って います。これは、以前にも私は申し上げましたが、解決策というのは十分あり得るわけ です。  一つの方向としては、それを利益配当に全部回すことは認めない。つまり、剰余金の 一定範囲は必ず留保せよ、ということを医療法で個別に対応すれば、特別法上の対応は 可能であって、商法上の株式会社規制とは相入れないということにはならない。特別法 による対応は可能だと考えますと、この第1点はクリアできることになります。  2点目の、「医療機関が自己利益の追求に向けた行動を取る結果、患者の利益が損わ れるおそれがあること」とありますけれども、逆に株式会社形態の病院参入によって、 患者の便益が向上する、ということについては全然目を向けていない、これは片手落ち です。便益の向上という点についても、適切に評価する必要がある、というふうに申し 上げることができようかと思います。  さらに、ここに「患者の利益が損われるおそれ」とありますけれども、おそれがある のであれば、そういうおそれに対して行為規制をどうかけるか、ということを工夫すれ ばよいということであって、その行為規制対応を十全に医療法で取れば、それは防げる ということです。事前に排除する必要は、そういう意味では全くない、と申し上げるこ とができます。これで、2点目も潰せるということです。  3点目の「医療費の高騰を招きかねない」とありますけれども、医療費についても、 自由競争原理が働いている分野というのはあるわけです。例えば、交通事故の分野だと 自由競争ということになっているわけですから、そういう分野での参入ということは当 然考えてもよいわけです。そういう意味では、競争原理による対応ということはでき る、ということが考えられます。  「医療費の高騰を招きかねない」といっても、自由競争が保険制度によって、ある意 味では大幅に制約を受けている。そういう分野については、元来自由競争の範囲は縮減 されているということですので、その部分をどう改善するか、という方向感での議論が なされる必要がある。したがって、すべて現状をベースにすると、株式会社は参入でき ないという議論で片付けてしまうというのは、あまりにも古典的なアプローチであっ て、もっと積極的に対応を図る必要があると思います。  (2)のほうはメリットがあるということですが、これらは従前も言われていることで すので、特にコメントはいたしません。(3)は、メリットに対してデメリットがある、 反論があるということで、1頁では2つ、2頁でも2つ、合計4つ掲げています。この 4つについても、それぞれその反論に対してさらに反論できる、ということになろうと 思いますので、そのことをちょっと申し上げたいと思います。  1ポツの「市場原理が有効に機能しない医療分野に営利企業参入を認めても、本来の 市場経済部門の機能発揮に役立たず、原理的におかしい」とありますけれども、これは 先ほど申しましたように、交通事故の分野だと自由競争というものがなされています。 少なくとも建前はそうなっているわけですし、独禁法上はそういう立場で独禁行政を展 開する、ということを現在も施行しているわけですから、そういう部分では「市場原理 が有効に機能しない」というふうに言い切るのは言いすぎであって、少なくとも修正は 必要である、というふうに見たほうがよいと思います。  2ポツ「アメリカの実証研究」ということで、前回学習院の先生からご報告を頂戴し たわけですけれども、その議論を拝聴しておりまして決定的な問題があります。それ は、データが古すぎるということです。前回示されたデータは、私の記憶では1980年代 のデータをベースに、アメリカではこうだというお話でした。既にもう13年経っている わけです。干支でいっても一回り過ぎていますし、10年ひと昔というふうに見れば、な んで直近の10年の動向はどうなっているか、ということを評価していないかというとこ ろがある意味では問題であります。そういった直近のデータをベースに議論するという ことでなければ、これからの在り方を考えるというには、議論としてはなお見直しが必 要になるだろうと思います。  2頁目の3ポツで「資金調達面でも株式の発行を認めれば解決するものではないこ と」とありますけれども、株式発行を認めることだけを狙って、株式会社制度の導入と いうことを言っているわけではありません。株式会社形態をとれば、逆に見ると資金調 達の手段は多様化するのだ。現状よりも、より多く有効な方法を活用できるようになり ますということですので、そのメリットを適正に評価する必要があるでしょう、と申し 上げることができるということです。  4ポツ「株式会社病院による経営がどのような面で、非営利病院より優れているのか 不明瞭である」ということですが、それはそうかもしれません。まだ株式会社病院は導 入していないわけです。逆に言うと、優れている面だってたくさんあるでしょう、それ はちゃんと見たのですか。それはやってないから見られない。それでは、なんで見られ ないのに、不明瞭である、優れているという点はないのだ、ということが本当に言える のか、それすらわからないということになるわけです。  こういうふうに、論点は全部潰すことができるということですので、この検討会にお いても、要するに株式会社の参入については否定するのだ、という議論が有識者の共通 の議論だ、というふうに落ち着けるというわけにはいかないというふうにご認識を願い たいと思います。  そこで具体的な提案として、これは私も詰めて考えているわけでもありませんし、法 制上それが果たして妥当なものなのかどうかということを詰めているわけではありませ んので、単純なアイディアということですが、2つのことはまず考え得るだろうと申し 上げてよいかと思います。  1つは、いま進めている特区の中で、部分的に実験してみましょう、というアプロー チは十分取れるだろうと思います。現に文科省は教育分野においても株式会社を導入す る、ということは特区で実験するというところに踏み込んでいるわけです。あと残って いるのは厚労省だけです。医療分野でなぜそれができないの、否定する理由もない、と いうふうにお話をしたわけですから、そういった点も汲み取っていただきたいと思いま す。  もう一点は、株式会社が直接病院を所有して、事業展開するということに対しては疑 義があるということであれば、持株会社形態で考えてはどうか、ということも提案でき ようかと思います。持株会社が個々の病院を所有する。個々の病院と持株会社経営とは 別だ。しかし、株式会社の効率性というものは、病院経営の中にも活用できる、という アプローチが可能なものかどうか、そういったことも勉強する必要があるだろう。もし 可能だということであれば、否定する必要もない、ということになろうと思います。こ ういった点で、なお議論を詰めていく必要があるように思います。 ○田中座長  一つひとつの論点は否定可能である、という説明をいただきました。 ○小山委員  確認ですが、最終報告に向けた課題のこの1枚の整理と、書いてある論点のほうなの ですが、「株式会社参入論について」という書き出しなのか、「医療分野における株式 会社参入の是非について」とおっしゃいますけれども、これは間違いではないでしょう か。私どもは、医療分野の株式会社参入論をここで話しましたか。病院の株式会社参入 を話しているので、まず「医療分野における」というと、診療所も入っているという議 論になると、これは大変です。  前の議論のときに、医療は商法の世界ではないという話がありましたから、いまは病 院の参入論だけの話でしょう。これを確認しておかないと大変なことになると思いま す。私が言っていることが違ったら、また言っていただけたらいいと思います。  医療分野における株式会社参入論ではなくて、病院への株式会社参入論だったのでは ないかと思っていたのです。私が違うのだったら教えてほしいと思います。もし医療分 野だとすれば、医者が何人か集まって、どこかの経営者に雇われて、大きい株式会社を 使って地域医療をやるという話になると、そんなことは議論しなかったでしょうと言っ ているのです。これは、「株式会社の参入の是非について」ということですけれども、 病院の株式会社参入が良いか悪いかということを、この検討会で議論しても不毛なので はないですか。  なぜならば、いまは駄目なのでしょう。いま駄目なものを、どうして是非を考えなけ ればいけないのかよくわからないので、正確に、「病院経営における株式会社参入論に ついて」というふうに言って、まずは株式会社に参入させなさい。ということを言って います。しかし、現行では参入はできません。それでは、参入させるとすればいろいろ な手はあります。何が議論になったか、整理してもらわないと困ります。  なぜそんなことを言うかというと、何度も言いますが、株式会社立という病院は、い ま66あるわけですから、その是非などというのは議論として成り立たないわけです。で すから、いろいろな議論は可能ですけれども、いま病院をやっていない所で、新規に病 院事業に参入してくる人に対してどうするかという話で、医療の本質だとか、商法の本 質だとか、株式会社の何とかということを言うと、ただの議論のための議論で何の役に も立たないのではないか。  特に医療団体の先生方は確認する必要があるのかもしれませんが、いま医療経営をし ている側から見て、誰かが自分たちの医療法人でも個人でもいいのですけれども、病院 経営をしている人が、株式会社にしたいと言っている事実があるのか。それは、あるの かないのかはっきりしていただかないと、新しい参入といった場合に、病院への株式会 社参入論というのは、医療に全く関係のない会社が、「なんか病院が儲かっているよう だから、俺たちにも入れろ」という議論なら、それはそれですごく簡単なのですが、そ この議論を整理していただきたい。病院経営者は、自ら望んでいないというのなら、望 んでいないと言ってもらえばいいのではないかと思います。  「アメリカの実証研究」とありますが、病院の営利、非営利という議論は、日本では 株式会社か株式会社ではないかみたいなものですけれども、同じ株式会社形態でも、 ノット・フォー・プロフィットはあります。それは日本でいちばん近いのは社会福祉法 人立の病院です。例えば、10%は生活保護の患者を取るとか、あまりお金を取っては駄 目だと。全米で、いまBHJの病院では20%ボランティア・ホスピタル・オブ・アメリ カというのがあります。そのほかに医学教育をやるとか、いろいろな地域活動をするな ど要件を付けて、その代わり所得税だけは免じているという形になっています。それ は、税制と行政制度の見合いになっています。アメリカの実証研究で、株式会社は効率 性等の視点からとかいろいろ言われても、それなりの先生にお話は聞きましたけれど も、本当に世界はいろいろだと思いました。  最近の動きで、私も余計なことを言いますが、イギリスには5%の株式会社病院があ ります。この5%の株式会社病院は、ナショナル・ヘルス・サービスの支払い対象に なっていないのです。先生方に怒られてしまうかもしれないけれども、株式会社が参入 したいというのなら参入してもいいけれども、保険医療機関になるかどうかは別ですよ という議論はあるわけです。これは、どう考えるのかです。  美容整形外科とか全額自費でやっている病院があって、その病院が株式会社で資本集 積したいといった場合にはどうするのか、ということを一つ議論したほうがいいのでは ないか。  私は、この文章では納得できないです。アウトソーシング、医療関連ビジネス、メ ディカル・サービス法人、本当はメディカル・サービス法人と言ってはいけないのです けれども、要するに土地と建物を病院に貸している所もあります。この委員会で議論し て、理事長要件も緩和し、ネガティブリストではなくて、ポジティブでいきましょうと いう話をして、公立病院については、プライベート・ファイナンス・イニシチブを活用 し、民間企業にPFIで、民間企業にもっと一緒にやっていこう、プライベート・パブ リック・パートナーシップという形でやっていこうと。  そのPFIは、経済財政諮問会議でも書かれてやっていこうと。ですから、自治体病 院もPFIをやろうという話です。国立病院等も、英語ではエージェンシーといいます が、独立行政法人化して、経営責任を追求していこうと。そのほか公的病院について も、勝手にほかで財源を取ってしまって、いま調整しているわけです。  完全にいままでどおりでなくて、大きな方向が動いている中で、国立、公立、公的、 特殊法人、財団法人の始末をいましている最中で、そちらの議論が固まらないときに、 株式会社参入問題をやると、現状認識として、どうして議論が起きているのかがよくわ からないです。  それから、資金調達面の議論は、公募債は無理だけれども、私募債ならできると言っ たではないですか。ならば私募債でいいではないですか。あとは、医療政策上、その病 院が私募債を出すときに、何かギャランティを付けてやる方法などを言えば、それは別 のことを言えば、病院の建て替えの資金調達になるのだから、私募債の後ろに何か付け てやればいいわけです。  病院に信用を付けるといってもなかなか難しいので、私がいま言っていることは、い ままで議論したことを言っているのです。いままで議論したことは、きちんと書いても らいたい。このままの「医療分野における株式会社参入の是非」だと、是だか非だかわ からないで、最後は「非」だと言っているらしいのです。ちょっと書き直せば済むと思 うので、そのような方向でご検討いただきたいと思います。 ○田中座長  これは、たたき台ですので。 ○渡延指導課長  小山委員からご提起のあった点のうち、この委員会の検討事項とか、手続にわたる面 について事務局から補足させていただきます。1回目の医業経営の在り方に関する検討 会で、検討項目をご提示いたしました。「今後の医業経営の基本的方向」ということで す。医業経営というと、非常に広いけれども一体どこまで広がるのだと言ったら、直ち に特定の開設主体に限定するものではないが、メインは医療法人を中心に議論いたしま す、という説明を事務局をしていると思います。  「医療法人制度の在り方について」、その他「近代化」「効率化方策」ということで 議題を設定いたしました。その時点では、株式会社論を明示的に取り上げてはいなかっ たわけですが、その後の各回の議論の中で、どうしてもこの問題について議論がそこに 及ぶし、その関連で考えないとなかなか整理が進まないということもあり、前回第10回 の検討会の中では、議題にこれを明示してご議論いただいたわけです。  12月11日の第10回の議題の設定の仕方としては、株式会社をはじめ、民間企業経営方 式を含めた医療機関経営の在り方についてという設定でした。ここでは、病院とも診療 所とも、ここでは必ずしも具体的に限定は付け加えていなかったように思いますし、実 際に鈴木社長と、遠藤先生にプレゼンをいただきましたが、その際には必ずしも病院の 規模、医療機関の規模を限定してのご議論ではなかったように記憶しております。  今後は、本日を皮切りに論点整理をお願いしているわけですが、このペーパー自体 は、私ども事務局が不十分なりに、これまで各回の議論の中で委員の方々、あるいは外 部有識者の方々からご提起いただいたもののポイントを整理したつもりです。即ち、こ れが報告書の原案というわけではありません。整理の仕方で不十分なところは、分析が 事務局ということでご容赦を賜りたいと思います。手続面にわたるものでは以上です。 ○田中座長  小山委員からは、医療分野における株式会社参入ではなくて、病院に対する株式会社 の新規参入論だと明確化すべき点。それから、既存の病院の株式会社化をどう見るか。 保険医療外ではどうか、という3つの論点が提示されました。さらに、国立・公立の病 院が変革を遂げている中で、株式会社参入論だけを取り上げると、かえって議論が混乱 してしまうので、もっと大きい目が必要であるとのご指摘もいただきました。 ○長谷川委員  折角たたき台をお作りいただいて申し訳ないのですが、これは若干進め方が違うので はないかという気がするのです。最初に、私は意見のところで申し上げたことがあるの ですが、ある組織形態が、別の組織形態より良いことがわかっているから導入しましょ うという議論というのは、実証研究できないところではあり得ないのです。日本ではあ り得ないのです。  でも、選択肢を広げれば、おそらく競争等を行って、より良い状態になるだろう。そ れが、最後に勝ち残るとか、あるいは進化した姿が何かわからないから、選択肢を広げ ましょうという議論をしないと無理ではないか、ということを申し上げたと思うので す。  いま現在、株式会社は66あります。新規は駄目だと、株式会社立の病院は66しかな い。それぞれ歴史的な経緯がありまして、その中でそれ以外は実質的に禁止されている ので、その中で実証研究はあり得ないのです。もし何かあるデータを作ろうというので あれば、特区でも何でもやるしかないのです。これは、論理的に当然なのです。  アメリカの例はよく引かれるのですが、株式会社立の病院を認めている国というのは アメリカだけではないです。シンガポールでも、オーストラリアでも、イギリスでもあ ります。だから、アメリカの例だけで実証研究だというのは、かなりリスクが高い話で す。これは、エコ・ロジカル・スタディに陥りやすい罠だと思います。  そんな中で、このロジックの進め方ですが、例えば1頁のいちばん下を見ますと、 「市場原理が有効に機能しない医療分野である」ということを謳ってしまうと、医療分 野は市場原理は要らないと。そのすべての努力は放棄する、ということをこの一文は書 いてしまっているのです。もし、これがこの検討会の先生方がお認めになるような話で あれば、医療に対して非常にケシビスティックな考え方をとっているのではないかとい う印象があります。  もうちょっと、いろいろな制限はある、フリーな自由市場はあり得ないとしても、何 らかの形で一定程度の競争原理を入れることは可能ではないかと考えたほうがよろしい と思いますので、これは誤解を与えるような表現ではないかと思います。  2番目に、「実証研究云々」というのは論理的に無理な話なので、それをもって根拠 とするのであれば、実証研究をやりましょうというのは帰結です。あとは、株式発行を 認めると何が解決するかよくわからないのです。これもロジックで、ある選択肢を増や すことによって、すべてに対してカイを与えるような方法があれば、当然いまやってい る話なのでそうではないと。ただ、医療産業というのは、これから非常に大きな産業で す。これは、人口の高齢化率もそうですし、ほかのサービスとか財が充足した中で、健 康についての関心が高まることもはっきりしている。  しかも、急性期の医療だけではなくて、慢性期の医療の比重が高くなります。しか も、慢性疾患というのは治る病気ではないので、いろいろなプレヤーというか、サービ ス提供主体がその間に絡まないといけないのです。だから、その間の連携の問題もある し、いま足りない慢性期の医療について、どうやって設備を整えるとか、システムを整 えるかということを議論しない限り、ヘルス・ケアの将来は暗いです。  いまのヘルス・ケアのシステムを前提に、これをずっと残すという議論であれば、忙 しいところをみんなで集まって議論する意味は小さいものになってしまいます。将来非 常に大きな、ひょっとしたら国の基幹産業になるかもしれないであろうヘルス・ケア を、どういうふうにしたらうまく成長の方向に持っていくことができるのか。その中に は、非常に大きな価値があります。公共性もあるし、何よりも生命にかかわる非常に大 きな価値があります。公共性というのは、そのエクイティの問題ともかかわるわけで す。  だから、株式会社がどうのこうのといって、一概に否定するというのはあまりいい考 え方ではないと思います。いろいろな選択肢で、どういう面を活かしていくのか。おそ らく選択肢は広いほうがいいと思います。ただ、公共性等を考えた場合に譲れない一点 はあるはずなのです。そこを明確にしながら、どうやって選択肢を広げるか、という議 論の方向を取っていただいたほうがいいのではないかと思います。 ○田中座長  公共性を明確にしながら、選択肢を増やす議論にしたほうがいい。この論点の立て方 では正しくないというご指摘でした。 ○西島委員  小山委員がおっしゃったように、医療分野となると、医療分野には既にたくさんの株 式会社が入ってきています。例えば、訪問看護ステーションまで株式会社ができるよう になっていますから、医療分野にはどんどん入ってきています。それから、周辺にも いっぱい株式会社が入ってきて、そこから事業をやっているわけです。  ここで話すのは、病院の株式会社の経営参入、というところをどうするのか。その流 れはどこから出てきたのかというと、例えば医療法人の資金調達、資金の話からこの中 に入ってきたのだろうと思うのです。そういう意味で考えた場合に、この前の鈴木さん の話でもそうなのですけれども、資金がいっぱいあればいろいろな機械が買えるではな いかとおっしゃっいました。  要は、病院経営を継続していく中で、資金というものを考えた場合は建て替えのとき なのです。建て替えのときの資金が調達できないからというので、盛んにいろいろお金 の話が出てきているのです。機械を買う云々というのは、いまはかなりリースになって います。しかも、日本の病院というのは世界で最高水準の機械を導入しています。そう いう意味では、資金調達というところからの株式会社云々というのは、それは必ず必要 であるという問題ではないだろうと思っています。  もう一つは、「市場原理」と「競争原理」をゴチャ混ぜに話をしているのだろうと思 うのですが、そこは全く違うわけです。医療は、競争の中で来ているのです。昔は量が なかったから、まさしく病院がいちばん威張っていたわけです。ところが、いまは病院 がかなり充実して、充足してきていますので、その中で競争が始まっています。例え ば、病院に連携室をつくったり、地域住民のための健康教室をやったり、いろいろな形 で地域住民に対しての利便性をどんどんつくってきています。ですから、既にそこには 競争の原理は十二分に入ってきているわけです。  その辺りが全く議論されないまま、株式会社が入ってくると、先ほど遠藤委員がおっ しゃったように、住民はもっと便利になるのだというお話をされていますけれども、既 に十二分に競争は始まっているのだ、ということだけは言えるだろうと思います。  市場原理の話でいくと、いま、まさしくインフルエンザがこれだけはやっていて、タ ミフルという薬がとても足りなくなっている。ところが、効率的な云々という考え方で いくと、必要なときに、必要な分だけあればいいということで、法律的には考えていく だろうと思います。そうすると、こういう予測できないような状況が起きたときには、 そういう形でいくと対応できないわけです。  だから、某製薬会社が、緊急にアメリカから入れるという話をしているわけです。医 療というのはそういうことがたくさん起きるわけです。だから、市場原理というのは問 題だ、ということを我々はずっと言ってきているのであって、需要と供給の問題という のは、医療にはなかなか難しい問題がありますということで、「市場原理」と「競争原 理」は分けて考えなければいけない、ということを日本医師会としてはずっと主張して いるわけです。  もう一つ言えることは、いま株式会社が入らなければいけない何かあるのだろうか。 つまり、それだけ住民が困っている部分があるのだろうか。私は、それはないと思うの です。そういう意味で、いま株式会社が必要だという部分が、非常にこの論点としては 薄いような気がするのです。しょっちゅうお金の話が出てきたり、質が上がるという話 でした。ところが、この前の八代さんの話では、医療の質が上がるとは一言も言ってな い、ということを言われます。全く支離滅裂な議論がいまなされているのではないかと いう気がいたします。  それから、アメリカ云々という話が出ていますけれども、いま、アメリカではどんど ん問題が大きくなってきています。先ほど、1988年のデータ云々と言われましたが、あ れよりもっと状況は悪くなってきています。最新のデータでいくと、もっと悪い結果が 出てくるのではないかと私は思っています。これは、先日アメリカから来られた方にも そういう話を聞きました。  そういう観点からももっときちんと整理をして、医療分野云々ではなくて、本当に病 院経営に株式会社が必要なのかどうかという、そこだけの話であって、それが出てきた のはなんでかというと、資金調達という観点からそういう話がここまで膨らんできたの だろうと思っていますので、そういうところの整理をきちんとする必要性があるのかな と思っています。  医療法人協会も出てきておられますけれども、資金調達の面でどこが困っているの か、という話があまりここで出てこないのです。その辺りをきちんと整理した上で議論 をしていかないといけないのではないかという気がいたします。 ○田中座長  医療界は、競争原理は賛成であるが、市場原理は反対であるとのまとめと、株式会社 は誰が何を望んでいるのか、地域住民の側から見てそこがはっきりしない。株式会社が プラスになるとすれば、資金調達かもしれないけれども、現実に病院は資金調達で困る ときは建て替えの際だけであって、そういう声は大きいかどうかわからないという整理 でした。 ○小山委員  指導課長のお言葉ですけれども、本当に医療法人を中心にやって、診療所も老人保健 施設もいろいろなことをやっているのです。訪問看護は株式会社でもいいのですが、そ れをなぜ病院だけかと言っているのか。医療分野の株式会社といったときに、株式会社 立の老人保健施設も、医療法人をやっているのだからOKなわけです。介護施設なので す、特別養護老人ホームは社会福祉法人でやっているけれども、なぜあれは株式会社が 参入しないのだという話なのです。  大変申し訳ないのですけれども、ここできちんと議論してもらわないと、ズルズルに なっていってしまうのです。それで、資金調達の面というのは、ここで議論しています けれども、補助金整理一括法案が一昨年にあったのに、社会福祉法人立の施設への補助 金はそのまま温存したのです。社会福祉の分野では、資金調達問題は発生していないの です。老人保健施設も補助金が若干ありまして、株式会社が来たら株式会社にはあげま せんよ、ということに憲法上の問題でなるわけです。どんな議論をされてもいいのです が、ここの検討会で出した結論がどう波及するかということについては、十分考えて検 討しないといけないと思うのです。  それから、資金調達の問題がいろいろあって、株式会社にすればうまくいくだろうと 言っても、資金調達に不成功だった病院は消えていくのです。毎年、年間に70近くの病 院が消えていっているわけではないですか。資金調達に成功しなかった病院は、株式会 社でやったら成功するなどというのはやめたほうがいいです。そんな理論だったら、こ れはエビデンスもなにもない。  そうでしょう、いまだって資金調達に成功しないものを、株式会社でやったら資金調 達できるか、成功するか。いまやっているような病院で、潰れそうな病院に、わざわざ 株主がお金を出しても全部なくなるだけではないですか。そんな所にお金を出す、賭け 事では張ると言うのですけれども、張る人はいないわけです。これは、論理矛盾です。 株式会社が参入する所は、資金調達ができない所ではなくて、おいしそうに儲かる所に 参入したいわけです。だから、資金調達問題と、株式会社の話というのは、竹林の七賢 人みたいな議論だけれども、現実論ではないです。  現実問題は、医療法人立病院というものがあって、それに対して医療法人をやらせて いるのだったら、病院を株式会社にやらせろ、ということに限定してもらわないと、も し、この医療分野における株式会社参入の問題です、と指導課長がおっしゃるのでした ら、すごく危ないのではないですか。  老健の問題をクリアしているのかとか、規制改革会議が社会福祉法人だって株式会社 にしろとか訳のわからないことを言っている。先ほども特区とか言っていたけれども、 「特区については遵法する」と書いてあるではないですか。医療法7条は営利を認めな いのだから、特区の中で株式会社はできないではないですか。私はもう黙りますが、こ れが「医療分野における株式会社参入の是非」なら判断停止です。 ○田中座長  この書き方はあくまでたたき台で、これで報告書を作るわけではありません。 ○渡延指導課長  「医療経営」という言葉と、「医療分野」というのは範囲が違うのだと思います。先 ほど、「医業経営における」と申し上げたつもりですし、あえてご説明すれば、「医業 経営」という切り口で見た場合には、広く診療所が排除されるわけではない、という意 味で申し上げたわけです。  決して、ここで事務局が議論の範囲を事後的に広げたり狭めたりする話ではないので すが、前回の12月のプレゼンをお願いした際には、「医業経営における株式会社をはじ め、民間企業経営方式」ということで議論のテーマ設定をしました。一応その範囲でご 議論いただければと思います。 ○田中座長  小山委員は、他分野への波及も考えて十分議論せよ、と繰り返し言っておられます。 それから、資金調達しにくい病院は、株式会社化で救われる話ではない。株式会社は別 なおいしい所に入ってくるはず話だから、その点は資金調達論も位置づけが曖昧であ る、というご指摘でした。  資金調達の話が出ましたので、ここで3頁と4頁を朗読した上でさらに議論を続けた いと思います。 ○中野補佐  3頁から読み上げます。医業経営における資金調達。  1.現状。医療法人における資金調達については、社員等による出資のほか、以下の ような制度等の活用が可能。民間資金、金融機関(銀行等からの借入れ)、公的資金、 補助金(医療施設近代化施設整備費補助金等)、政策融資、社会福祉医療事業団による 融資等。  (ロ)資金調達に関する問題点としては、経営課題として資金調達不足を挙げる病院 は16%程度であるが、長期資金は約6割が必要とし、そのうち約4割が不足としてい る。その資金需要の中身としては、病院の整備・建て替えが大宗を占める。銀行の融資 態度についての医療施設側の受け止めは、以前より借りやすくなったとするものが約2 割、変わらないとするものが約5割を占めるが、厳しくなったとするものが約2割存在 する。銀行側は、顧客としての重要性をかんがみ、病院の整備・建て替え資金の調達に 協力したいと考えるものの、現在の金融情勢、病院の経営状態及び将来性の不透明さに より、積極的に取り組めない状況が見られる。  2.議論の方向。基本的には現在大部分を占める間接金融型調達手段を充実させるこ とによる対応でよいか(融資に加え、プロジェクトファイナンス、証券化、小口化等)。 具体的には、企業会計原則に基づいた新たな病院会計準則の策定・普及。医療機関の経 営内容を適切に評価する指標・方策の研究等により、医療機関の経営情報の開示のため の基盤を整備することはどうか。  こうした間接金融を補完する手段として、近代化補助金や、社会福祉医療事業団融資 の在り方(政策として提供する医療との関連性をより進めること)の検討。病院につい ての信用保証や病院債の研究を進めることとしてはどうか。 以上です。 ○田中座長  2の資金調達の話と、1の株式会社参入は区別せずに議論していただいて結構です。 ○豊田委員  いま、株式会社の参入論が、資金調達から発したような発言がありましたが、それは 違います。そもそも株式会社の話は、何年も前から出ている話であります。今回も、株 式会社を参入させてほしいという、その参入賛成、あるいは参入を主張する側の立場を まとめてみます。  医療の世界に株式会社を参入させることによって経済の活性化、経済の再生を図ると いうことが言われています。それを正当化するために、競争原理が働くことによって、 医療の質が上がるということが言われるわけですが、いちばん大事なことは、この医療 の質がどうなるかということだと思うのです。  具体的に株式会社が参入して、医療の質が向上するか否かは、非常に漠然としており まして、具体的に医療の質の何がどう上がるのか、という問題に私どもは納得できる答 えを見い出すことができません。療養環境が良くなるということで、ニーズに応えられ るということが言われますけれども、確かにいろいろ素晴らしい医療環境をつくってと いうことになると、ホテルに医療関係者が勤めたような病院ができれば結構なのでしょ う。  先ほど遠藤委員は、これを全部変えていけばよろしいのではないかという話をされま したが、私どもがいま議論しているのは、あくまでも日本の国の国民皆保険制度で維持 されている医療を守っていこう、というのがまず前提にあって議論しているわけですの でちょっと違うのです。  そこで次に問題になるのは、混合診療を認めようとか、公的保険の守備範囲を制限す る、別の言い方をすれば、受益者負担という形をとっていく。現在の体制をある程度維 持しながら、医療保険を維持しながらやっていくとすれば、株式会社は当然この辺を主 張するのだろうと思います。  完全ではないかもしれませんけれども、現在の医療は国民がいつでも・どこでも一定 水準の医療を受けられることが保障されています。しかしながら、混合診療、自己負担 の増大ということになると、医療の世界に所得格差が入ってきます。果たしてそういう ことを国民が望むのかどうか。日本医師会の「医療に関する国民意識調査」によれば7 割の人は望まないと答えています。  以上により私が一つはっきりさせておきたいのは、株式会社参入論は、経済界の人た ちは、30兆の市場に参入したいということが目的で、あとは理由付けです。私は、その ように理解しております。  さらに大事なことを申し上げますと、いまの日本の医療の提供体制には、もっと大き な問題があります。先ほど小山委員も言われましたが公私の問題があります。現在は医 療法人、私的な医療提供をしている側と、国・公立といった仕組みがあって、これは資 金調達にも関連しますが、極めて不公平な状況で、医療提供体制が機能しているという 現実があります。  ここに、株式会社を参入させることが、国民に対する医療提供という形から見たとき に、直ちに医療機関にそれがいい形に動くのかということになると逆で、混乱をさらに 生ずるだろうと思います。まず、公私格差の問題をきちんと整理する中で議論しない と、混乱だけを生じさせます。国民医療のことを考えるとき、混乱を生ずるようなこと はうまくないと考えます。 ○田中座長  株式会社と医療問題との関係を整理していただきました。 ○川原委員  「先ほど来、お話を伺っておりまして、結論がいつになったら出るのか、また結論を 本当に出すことができるのか疑問に思っております。この議題については、論議がスタ ートした時点から神学論争に終始しており、何らかの結論が出ないままエンドになるこ とは目に見えております。そもそも株式会社の病院経営の参入問題は、とてもヘビーな 問題でありこの検討会で議論し結論を出すにはあまりにも無理があると思っておりま す。  指導課長から説明がありました「医療分野における」という語義についていろいろと ご意見が出されておりますが、私もちょっと幅を広げすぎたのかなと感じております。 したがって、「医業経営に対する新規参入云々」に置き換えれば納得されるのではない かと思います。  また、株式会社を運営形態の1つの選択肢として認めるためのメリット、デメリット についての記載内容に関しいろいろとご意見が出されております。しかし記載されてい る参入によるメリットですが本当にこのようなメリットがあげられるのかどうか疑問に 思います。株式会社の運営形態が優れた運営ガバナンス構造を持ち、効率的な経営手段 であると言い切れるのかどうか、私は否定的に考えています。というのは言われている 程の優れたガバナンス構造を持ち、効率的な経営を実行している株式会社はごく一部で あり、大半の株式会社はそのような構造を持ち合わせておりません。企業の不祥事であ るとか、倒産の多発生も見ればおわかりいただけると思います。すなわちメカニズムと してそのようなメリットを有しているということであり、大企業であれば話は異なりま す(一部例外があります)が、中小・零細規模の企業も実務的にそのメリットをすべて 有しているかのように断言するのはいかがかと思います。  次に、資金調達面からも直接金融のメリットを生かすことが出来るとありますが、株 式公開をしている企業であれば当てはまるでしょうが株式会社の大半を占める非株式公 開の企業は、貸しはがし、貸し渋りに合い、間接金融調達に難渋しており、さりとて、 直接金融調達はほとんど不可能であり、医療法人の資金調達状況と何ら変わらないのが 実情であります。特に他業種にない特性を持ち合わせている医療業では、ここに挙げら れているような手段での資金調達には限界がある、または不能であると考えられます。  これらのメリットは、医療業にあっては必ずしも言い切れないがゆえに、ここにメリ ットとして揚げるのはいかがかと思います。  いずれにしても、株式会社参入問題の議論はこのへんでとどめ、世界に誇る日本固有 の医療組 織文化である医療法人経営の健全な持続を図るためにも医療法人を主体とし た「これからの医業経営の在り方」をご論議を移していただき、そちらでじっくりと時 間をかけていただきたいと思います。 ○田中座長  議論をしないで結論を出すのと、議論をしてもやはり出なかったとは違うと思いま す。 ○大石委員  私の論点を述べさせていただきます。10時半からこの委員会が始まって結構迷走して いると思います。先般何人かの委員から、ロジック的にこれでどうなのかという話が出 て、私もそれに賛成するところがあっりました、議論が迷争した1つの理由は、いま一 体何を狙っているのかという話と、そのために、こういう議論もありますという議論に 対して完全に反論ができるのかということと、もしそれが反論されて株式会社は駄目だ ということであれば、それでは代わりにどうするのかという起承転結の流れがないよう な気がします。  今日は単にこういう議論がありましたということを討議する場だからなのかもしれま せんが、最終的に報告案になるときには、15人の委員が14回、2時間ずつ時間を使い、 合計400時間も使っているわけですから、これを狙っていました、非常に反論ができない ぐらいの議論まで尽くしました、もし駄目なら代わりにこうしますという物事を押し進 めるネクスティブのところまで結論を出したいと思います。  あとは個人的にどう思うかという話を付け加えさせていただきますと、私は個人的に は、いまの何を狙うかということに関しては株式会社の参入論は本当は資金調達の話 で、1つ大きいのですが、それ以外のことも狙っているのだと思います。捉える方に よって違うかもしれませんが、ある種の医療界における閉塞感みたいなものがあるので す。これは産業界の方だけではなく。医療人も感じておられるし、患者も感じているも のです。  その閉塞感というのは何かというと、資金調達の閉塞感もありますが、例えば、本当 はもっと情報が開示され、市場なのか、正当なる競争なのかよく分かりませんが、いい 病院、いい医療が選べるような状況を作ることを進めたいが、一部進んでいますが、な かなか思ったほどのスピードで進んていかない。  運営に関しては、非常に運営がいい病院もありますし、株式会社が参入することによ り、それがすぐ解決するわけではないのですが、貴重な医療資源、しかも国民皆保険と いう制度の中でも貴重な医療資源を使っている病院をもっと効率よく、かつ医療の質を 高めるような方策がないだろうかということも狙っているのだと思います。あとは産業 として市場を拡大し、日本の基幹産業にしていきたいというのも1つの狙いだろう。こ ういう大きないろいろな狙いがあって、それに対していまの議論は株式会社が唯一のカ イだとは言っていないと思います。要は1つのカイとしてあり得るかどうか実証研究を やってみてもいいのではないかという話をしているのだと思います。  長谷川委員から話があったとおり、いまのところは実証研究ができない状況の中で実 証研究を尽くしましたとか、保険制度も違いますし、国民のカルチャーも違う、アメリ カの例だけをとって、実証研究で見るとこうでしたと言っても、議論として成り立たな いと思うのです。ですから、実証研究として議論をするのなら、ドックであろうと何で あろうとどこかでやってみるか、それが危険なら、例えば、訪問看護や訪問介護の世 界、老人ホームの世界で、いま株式会社が参入しているわけですから、その中でそこに かかっている患者がいまよりも不幸になっているかとか、経営効率がどこにあるかと いった日本という土壌の中でいちばん近いものを研究してみることが必要なのではない か。そこまで議論をして、かつ、遠藤先生が言われるようないろいろな株式会社の問題 点を潰す方法があるわけです。それを1個1個検討してみて、やっぱり駄目でしたとい うのなら、やはり株式会社は駄目なのだと思います。しかし、そこまでの議論はいまは できていないと思いますし、時間の関係もあって、いまはできないのなら、いつするの か、どうするのかを決めるべきだと思います。  最後は代替案ですが、そこまでの議論を尽くす、もしくは議論は時期尚早だというの で、とりあえずいまのところは株式会社の参入は実験としてもやめましょうというのな ら、具体的にどういう代替案を持つのか。資金調達に関しては、今回ある程度代替案が 出ると思います。ガバナンスに関しては実証要件を変えたことにより、多少の変更はあ ると思います。しかし、これをもっと押し進める。いまいろいろな閉塞感のあるものを もっと押し進めるには、この委員会としてどういう具体的な代替案を出すのかというこ とまでやれると、この400時間を使った甲斐があるのではないかと私は感じます。 ○田中座長  ありがとうございます。大変良い整理で、議論の迷走ぶりと言われてしまいました が、医療の問題点のうち、株式会社が直せるもの、株式会社だけが直せるのは何かとい う視点があったほうがいいし、もしそうではなく、医療法人改革等で直せるものがある とすれば、そこは何か。情報開示やガバナンスに関する視点もないと、株式会社ノーと いうだけでは論議を尽くしたことにはならないと言っていただきました。 ○大石委員  やってみないと分からないので、やってみてもいいのではないかというのを、大石個 人は言っていたというのを残しておいてください。 ○田中座長  議事録は全部残ります。 ○南委員  今日は、1人最低一言とおっしゃるので、あまり整理できていないのですが、意見を 申し上げたいと思います。新聞社という立場ですので、国民の視点ということが要求さ れていると思います。医業経営へ株式会社参入論には、国民にとって非常に分かりにく い部分があると思います。国民には現在の医療に対する不満があるので、何か変われば 医療が満足なものになるのではないかという思いが、共通にあるのだと思います。  そこで果たして経営主体が変わることによって医療の質が良くなるのかどうか。国民 の満足する良い医療が実現するのかどうかが、国民にとっては焦点なのだと思います。 いま大石さんが言われたことともかなり共通するのですが、経営主体が変わらなければ 変わらない部分と、現状で変えられる部分など、その辺をきちんと整理しないと、医療 は本当に変わるのかどうかが、まず明確にならないと思います。  さらにそれ以前に、「良い医療」と簡単に言うのですが、「医療の質」とは何かが、 非常に分かりにくいと思います。質のいい医療と言ったときに、「標準化」ということ をよく言います。どんな病気になっても医療機関によってやってもらうことが違っては 困る、最低限この病気にはこの方法という標準的な医療を実現してほしいという、非常 に大きな希望が国民にはあるわけです。しかし、もう一方には、QOLを向上してもら うために、その人その人なりのその人らしいいい生き方ができる医療を実現してほし い、という真反対の要望もあるのです。それがいま医療に要求されている、非常に悩ま しい部分というのでしょうか、標準化をしつつ、なおかつ、個別に対応してもらう良い 医療。おそらく公的保険の中で、優先順位からいけば、最低限の最大公約数のニーズを カバーする医療からになるのだと思います。より良いもの、個々のニーズに合うものを というところは国民の医療という視点からいったら、第2の部分になるのだと思いま す。「良い医療」とは何か、どういう順位で、どういう医療を実現していくかという優 先順位がある程度明確にならないと、議論はわかりにくいと思います。 先ほど豊田先生が言われましたが、何かいまの医療に満足でないから、そこで経済的に 活性化するためにも競争を起こせば医療の質が上がるだろうという議論は、国民の幻想 のようなものが根底にあるような感じが私個人としてしています。医療の質を上げるこ とはどういうことなのかということから、そのためには経営主体を変えれば何がどう変 わるのか、という論点をきちんと整理しなければ、国民にとって非常に分かりにくい議 論のままになるではないかという気がします。 ○田中座長  ありがとうございました。国民の視点から述べていただきました。 ○谷川委員  いま第4回の資料を眺めているのですが、そのときに医療法人経営の規模別病院数と いう数字が出されました。全国では5,000強の医療法人を取っている形態の病院があり ます。ベッド数では200床未満の所が大体4分の3を占めるという報告がありました。 途中の経過の段階で、医業経営の在り方をやるときに、どちらかというと、皆さん議論 されているところですが、医療法人で、こういう形で、5,000強で挙げられている対象 の病院というのを頭に置きながら、医業経営の在り方を考えるというのが、今回の検討 会の趣旨だったかと私は理解しております。  私は株式会社に所属していますが、私どもも300床強の企業立の病院を持っておりま す。企業会計に則って計算をしてみますと、儲からないという実態をご報告したところ です。  実際の現場の現状を私はほとんど承知していないものですから、医業経営の在り方で 何が問題になっているのだろうと考えたときに、私どもの経験に対しますと、やはり医 業経営というのは、やはり非常に大変だと。我々も少し病院を持っていますので、それ にまつわる話はいろいろ伺うのですが、一法人として世の中に存在していますので、あ りとあらゆることをすべて病院の中でやっていかなければいけないと理解しています。 しかも、この中で採算をとっていくのが非常に難しいという実態があります。  ここから先はかなり独断が入るのですが、5,000の規模の病院が、国の医療水準とい うか、ここを非常にきちんと支えていただいているのだろう。そうすると、個々の病院 の経営実態が将来ともきちんとしていかなければいけないのではなかろうか、それに伴 い考えますのは、経済的に将来像がきちんと描けるように、どういう知恵があるのかで す。まず経済的にきちんと将来の絵が描ければ次のステップである医療水準の改善など にも繋がっていくのだろうと思っています。そのようなところから考えますと、そこに 対して、どんな知恵があるのかを、この医業経営の在り方の中でいろいろ議論してみる のが、この検討会の役割かと私なりに理解しております。  したがって、その中で、例えば、情報開示の問題を巡っても、いろいろな考え方があ ると思いますし、あるいは医事会計を進めるに当たっても今までのやり方ではなく、例 えば、将来の費用まで取り込んだ形の医事会計を進めないと、将来的には医業経営その ものが難しくなります。これは石井先生がご指摘になったところです。そういう議論を 進め、それをあるレベルできちんとした形でまとめられたら、かなりの前進になるので はなかろうかと理解しております。  それから、株式会社の問題ですが、いま医業経営をやっておられる方にとって、いま の医療法人の医療法に基づくガバナンスのやり方と、株式会社の形態をとったときに、 やりやすい問題があるのだろうかどうなのかという視点があると思います。そういう意 味では、いま存在している病院が、どういうガバナンスの形態をとるのか。ただ、これ は株式会社だけが本当にいいのかどうかということだろうと思っています。それよりも 医療法の中にもう少し自由闊達にやれる項目を入れるとか、そんな知恵が少しは出てく るのかと考えております。とりとめのない議論ですが、いまのところの私の理解はそん な感じです。 ○田中座長  ありがとうございます。株式会社云々という神学論ではなく、医療法人5,000いくつ の経営をどうしていくか、そこでガバナンスをどうするか、こちらのほうが大切であ る。そこにしたほうが地に足の着いた議論ができるとのご指摘だったと思います。 ○西澤委員  私も同じ意見ですが、1回目の時の、この検討会は、株式会社の参入の是非をする場 ではないというのが、いまだに頭に引っ掛かっています。国民に良質な医療を提供する ためにどうしたらいいか、そのためにはきちんとした医療提供体制がなければならな い。その為に現在の参入母体がどういうのがあって、そこの経営基盤がどのようになっ ているかまず把握しょうということだったと思います。その中でいちばんの問題は医療 法人の問題だ。  もう一つ、例えば、国公立、医療法人、個人立、社福などいろいろあるその整理もし て、違いをはっきりした上で、医療法人というのは何なのか。持分ありなしでも違うと か、非常に中途半端だ。これをしっかり整理することが大事だという議論だったのでは ないかと思っています。その中に資金調達の問題があり、その1つの手段が株式である から、株式会社のことも比較の上で聞くということで、結論的に株式会社の参入をここ でいいとか悪いとかを議論するのではないのだろうと捉えていました。  ですから、今回も視点はそちらのほうにきちんと戻して、株式会社については、いろ いろ意見を聞いて、この場でこういう意見があったということにとどめるべきで、結論 を出すべきではないと思っています。 ○田中座長  医療法人の在り方を、ほかの法人形態と併せて考える。株式会社の場合も同じなのだ から、そこを表に出すのはおかしいということですね。 ○遠藤委員  基本的にはそれで私も賛成ですが、株式会社の参入というのは、選択肢の1つとして そのことについても盛り込んでいくということが必要だろうと思います。もちろん、い ま西澤委員が言われたように、民間の種々の医療法人の中でもいろいろなタイプがあ り、それぞれのタイプについて問題もあります、それをどう解決するのですかという議 論もしなければいけません。これは当然する必要がありますし、今後検討すべき課題だ ということでとりまとめることは必要だろうと思いますが、その中の1つとして株式会 社形態も選択肢の1つ、手段の1つなのだということは議論に出ているわけですし、先 ほど来の皆さんのお話を伺っていても、選択肢の1つであるということを否定するとい う議論には、私はなっていないように受け取っており、否定するのだという話であれ ば、その論拠をお示しいただければ、逆に私のほうは、それはそう考えない議論だって できますということを、さらに示したいと思います。 ○川合委員  この議論は、1番ばかりやっていて、資金調達の議論がまだされていません。資金調 達、公募債は駄目なのです。ですから、医療法人と私募債はどうなのでしょうかとか、 医療法人とリートはどうなのでしょうかという話が、これから持ち上がってくるので しょうが、私が1つ付け加えたいのは、寄付という資金の調達の仕方です。医療法人の 中には特定医療法人と特別医療法人と私有財産というか、公益性の高いものとそうでな いものとがある。ところが、社会福祉法人等を見ていますと、寄付は税制面でかなり優 遇されているわけで、特定医療法人とか特別医療法人では、そういうのはありません。 私の所は普通の医療法人ですが、仲間からこの辺はどうなのかなという話も聞いており ます。ですから、公募債、私募債、あるいはリートの話も結構ですが、いわゆる財務省 が噛んでいるという税制面についても資金調達として議論願えればと思います。 ○田中座長  寄付も、この項目に加えろということですね。 ○石井委員  それでは、2番目の「医業経営における資金調達」の方に少し視点を変えさせていた だきます。私は何回か前にも、資金調達ではなく、資金の返済という見方をしていただ けないだろうかという話をしました。去年の4月からかなり医療経済が収縮をし始めて おり、現実的にそのこと自体はかなりいろいろな問題を提起していますが、この10年間 ほどで民間の医療機関、医療法人。病院開設型の医療法人は、かなり大きく設備投資を してきている事実があると思います。それがちょうどいま返済期に入ってきているの で、調達の問題だけではなく、返済の問題も入れていただけないだろうかと思います。  前にも申し上げましたように、事業団等からの借入れの場合は、非常に長期のきちん とした返済期間で返済が可能ですが、民間金融機関から調達している場合は、下手をす ると10年、長くて15年ですから、病院や老健などを建てて10年で返済の資金を組むこと にどうしても無理が生じます。実はもともとコーポレート・ガバナンスが不完全な部分 があるのかもしれませんが、現実の問題として、たぶんこれがこれから医療の経済が少 しデフレ化してきている中で、具体的な経営の個々の問題として出てくるのだろうと思 います。この問題は、できればお考えいただきたいというか、明記をしていただきたい のです。その矛盾を解消してあげないと、将来の調達議論に繋がる前にバタバタと現実 的な問題が出てくるのではないかと、本当に心配をしております。  ですから、「資金調達に関する問題点として」という記載に関して、設備資金がメイ ンだという議論もありますが、これから2、3年の間はどちらかというと、運転資金不 足が起きてくるのかと思います。設備投資の資金が実質的に返済ができない状況の中 で、長期資金が短期資金化していくのですが、短期資金の調達ができないみたいな、そ んなことが起きるのではないかということを、非常に心配しているということで、その 辺をご理解いただきたいと思います。  最初の話のほうですが、国民は不満を持っているというのが事実なのだろう。そうす ると、何か改善行為をしなければいけない。ここは経営の在り方を考えるということ、 特に民間を中心に在り方を考える。その中で長谷川先生も言われましたたように、譲れ ない公共性を明確にしながら、選択肢を増やすということで検討すべきだと考えます。 結果的には具体的な成果を出さなければ意味がない、400時間という話がありました。 そうすると、経営の在り方を議論していますので、1つは株式会社参入議論云々もあり ますが、これに関しては私だけ明快に反対をしているようで申し訳ありませんが、そう ではなく、コーポレート・ガバナンスとか、経営の経済性をきちんと確保していくため にはどうするのかということは、1つ方向性を明確にしていただきたいと考えておりま す。  質問ですが、実証研究というのが定義がよく分かりません。経済特区の中で、例え ば、外国人のドクターに診察をしていただいたり、特別な高い、保険適用のできない医 療機械 を使って医療を行ったりという形で経済特区でそれを行うことが実証研究になるのかど うかがよく分からないのです。私の感覚だと、その特区の中で、全く同じように保険診 療を行わせて株式会社がそれをやると言って、初めて実証研究が成立するのかと思って しまったのですが、現実に新聞等で拝見している経済特区議論は、特別なことをやりま すという感じですから、それをやって実証研究になるのかどうかがよく分からないので す。  小山先生から、既存の病院で株式会社になりたい所があるのではないかという話が あったかと思います。昨日の日経にもそんなことが書いてあったような気がします。そ れはどうなのか知りたいと思います。 ○長谷川委員  実証研究のほうにお答えしますが、自然科学と社会科学で若干アプローチ法は違いま すが、基本的には比較したいものだけを変えて、それ以外の条件は同じにして、一定の 指標についてデータを集めて比較する。もし企業形態というか組織形態が株式会社か、 例えば、医療法人か、あるいはそれ以外かというものを比較したいのなら、同じ環境 を、例えば、日本とアメリカでは医療の状況そのものが違う。日本の医療の場でその3 つをヨーイ、ドンでやり、それで比較するというのが実証研究という意味で考えていた だいていいと思います。 ○小山委員  今度は資金調達だけに限って、株式会社が医療法人に貸付けをしたい、出資をした い、寄付をしたいという場合を説明します。大きい会社がありました。いい病院があ り、その病院に株式会社が「あなたの所に10億円寄付をします」とします。そうする と、払った株式会社が税金を払わなければいけないわけです。もらったほうはどうする かというと、もらったものは一応税務署に飛んでいって、特別損益に計上させてくれな いかということを言わなければいけません。税務署長がオーケーと言えば、あとで経費 化できますが、多くの場合、否認されますから、10億円株式会社からその年にもらった ら、その10億円は収益に乗って、残った利益についてはまた課税されるわけです。10億 円もらって、そのまま10億円残ればきれいさっぱり5億円持っていかれてしまうという ことです。  次に、医療法人に株式会社からお金を出して10億円出資しましょうという場合、どう なるかというと、10億円出資するのは簡単なのですが、株式会社の財務諸表に何かと あって、医療法人に出資しましたというのを、財産ではないのですから、出資法上書け ないわけです。それが問題なのです。バブルのときに株式会社が医療法人に寄付してく れるという話も、出資するという話も何件もあったのです。出資するときに出資分の持 分の定めは個人になる。それが株式会社だったらどうなるのか。株式会社のほうのバラ ンスシートはどう書くのか。感情的に株式会社論に反対しているのではなく、医療法人 としてこういうことが起きていますということなのです。出資も駄目で、寄付しても全 然効力がないわけです。でもアメリカの民間病院などは入ってもらったら、この病棟は 何とかさんが寄付しましたとか、ここは何とか株式会社が造りましたとか、病院の中 で、ここは何とかさんが造ったロビーですなどというのがいっぱい書いてあります。  そのような意味では、医療法人はともかく、寄付した上に税金を払わなければ寄付で きなかったり、いろいろな効果があって、民法法人でも財団法人などの名前で寄付して も、公益増進法人でしか税制の特典はないわけです。公益増進法人になるには、すごく 手間がかかるわけです。そのような意味では医療法人の病院に特定などとかならいいの ですが、普通の持分の定めのある医療法人に寄付しても何もなってないわけです。そう いう体制になっていないわけです。もし議論するのなら、医療法人に寄付されたもの は、みんな特別なもので特別償却して、その上に使っていいなどといろいろなことを言 えばいいわけです。  私は反対しているから言いたくないのですが、株式会社が医療機関に積極的に参入す るのは、例えば、先ほどそんなことはあり得ないと言いましたが、経営がどうしてもう まくいかない、ほかの医療法人も頼れないときに、株式会社が30億円出資しますと。そ の出資について医療法人のままでいるのかもしれませんが、株式会社と医療法人との関 係を整理してあげるというのは、1つあると思います。ただ、それが厚生労働省の仕事 なのか財務省の仕事なのかよく分かりません。例えば、本当に地域のために頑張ってい る病院があって、潰れそうだといった場合に地元企業がドンと医療法人に出資した。出 資すると株式会社のほうのバランスシート上、書きようがない。だから、悪いが、それ を出させてほしいが、もちろん医療法人のままでいいと言った場合、会計上、何か考え てくださるのならいいのですが、それがないと言えば、非常につらいかなと思います。 嘘か本当か分かりませんが、こういう議論は駄目でしょうか。 ○遠藤委員  小山委員の言われていることはよく分からないのですが、ここで株式会社の参入とい う議論をしているのは、たぶんほかの委員は皆さん共通して一致しているのだと思いま す。医療法の7条を改正して株式会社が病院経営ができるような体制にする、それを株 式会社の参入と呼んで議論しているのだろうと思います。それはこれからの医業経営を どう見るかということを議論しているわけですから、株式会社が既存の病院に寄付する だの、出資するだのという議論をしようという話ではないだろうと思います。選択肢の 1つというのは、病院の経営主体そのものが株式会社である。その道を作るのは1つの 選択肢になり得るでしょうという議論をしているわけですよね。 ○小山委員  それは間違いです。説明として間違いです。この委員会は医業経営について考えま しょう。川合委員が言ったように、資金調達のうち、寄付がありますというから、その 寄付を話したのです。  もう一つの間違いは、7条改正しようというために、この委員会をやったのではない ということは最初に「法改正するのですか」と聞いたら、「それは考えていません」と いうことでしたから、先生が7条を法改正するというのは、委員全員の合意だというの は、そんなことはありません。 ○遠藤委員  仮にそれが前提だとしますと、株式会社の参入というのは、一体何を議論しているの だということになりませんか。 ○西島委員  ですから、医業経営の在り方をずっと検討していく中で、単なる資金調達のところで 出てきた話だけなのです。 ○川合委員  いまの小山先生のお話は資金調達の1つの手段として、出資の条件の見直しを入れた らどうだという意味で言っているのであって、私はそのように聞きましたが、どうなの ですか。 ○遠藤委員  それはそれで結構です。結構ですが、株式会社の参入ということを折角長時間議論し てきているわけですから、私は途中で入っていますので、最初のころはよく知りません が、医療法の7条についての改正ということを、直ちに議論するわけではない、そうい う合意があるというのなら、それはそれで結構ですが、私が入った以降でも、種々株式 会社の参入というのは議論してきているわけです。そこでそれについてのメリットとい うものも相当数あるということも了解されてきているわけです。そうだとすると、もう 一歩進める方途としては、それを特区の中である限定された範囲でやってみましょう。 その上で、その結果を見て、さらにその後どうするかについて議論するというのが、落 とし所としてはちょうどいいのではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。 ○田中座長  株式会社の是非論ではなく、株式会社論が、この全体の議論の中でどこに位置付けら れるかが、今日の課題の結論だと思います。是非論を表に立てる議論は変だ。それはも う一つ下の段階で出てくる話にすぎず、是非論だけでは永遠に終わりません。賛成の人 は賛成だし、反対の人は途中で相手に説得される人は、決していないと思うので、むし ろこれが医業経営の近代化にとって、どの位置付けにくる話かが整理できたというのが 私の理解ですが。ほかにいかがですか。 ○豊田委員  医療法人にとって非常に大きな問題は、資金調達の問題です。今日は時間がなくなり ましたが、折角石井委員もおられますし、本当はこれをより具体的に議論していただき たかったわけです。現在の医療法人はほとんどが銀行借入れと社会福祉・医療事業団か ら資金調達しています。しかし、20年、あるいは30年に1度くる病院の建て替えには非 常に大きな資金が必要ですが、こういうときになかなかそれがうまくいかない。昨今の 状況ですと、ますますそれが苦しい状況にあるということで、医療法人の永続性、安定 性を考えるとき、この問題は、今まで放置されていたのが疑問なぐらい、ほとんど議論 されませんでした。  今回、例えば官公立にはPFIなどまであるわけで、医療法人のほうにも病院債とか SPCとか、先ほど出た補助金の問題、助成金の問題などをどのようにするかを、より 具体的にしてもらいたかったわけですが、実は逆になっている。次回に医療法人の持分 の問題が出てきます。医療法人と一言で言いますが、特定医療法人、特別医療法人とい う社会福祉法人に匹敵するような非常に積極的な公益性の高い医療法人もあれば、問題 になっている持分のある社団、持分のない財団など、いろいろあるわけです。その辺の 整理が非常に大事な問題です。これは次回にやるのでしょうが、その上で、例えば補助 金の問題、寄付金の問題も医療法人をひと括りにして議論しても答えは出ません。です から、医療法人の中をきちんと整理して、こういう法人に対してこう、こういう法人に 対してはこうという形で資金調達の方法を議論していただきたいと思います。 ○南委員  2つあります。私は先ほど国民の視点で非常に分かりにくいと言ったのですが、いま の議論を聞いていて、聞けば聞くほどその感を強く抱きます。株式会社が医業経営に参 入できるようになれば、さぞかし良い医療が実現するであろうという、いわばその想い を国民は抱いているのではないでしょうか。ここでなされている議論と、現実の一般の 人の理解は非常に乖離していると思います。  先ほど小山先生が言われたような、例えば地域で非常に頑張っているが、経営の危機 に瀕している病院がある、として、それに例えば株式会社が手を差し延べようとして も、現状ではこんな壁がありますよというような分かりやすい情報を、出していかない と株式会社参入論が、国民の意識とは乖離したところで進みそうな危惧を感じます。  それから、実証研究ということについて長谷川先生に教えていただきたいのですが、 先ほどの先生のお話ですと、実証研究というのは、例えば、特区で経営主体が株式会社 になった場合、ほかは条件を全く変えないでやってみて、これまでの状況と比較すると いうことかと思いますが、そうなると、例えばそこで外国人の医師に診てもらうなどと いうのは、全然違う話になります。経営主体だけを変えての実験ということでなければ 実証研究とは言わないということですね。 ○長谷川委員  それは研究のデザインというか制度なのです。いちばん理想的な環境は、見たいもの だけを変える。外国人とかというのは、全然違った話になってしまうと思います。極端 にいえば、同じ医療圏、同じ立地条件、同じ組織規模というのは作れないわけです。 ○南委員  ということは、いま議論されている特区構想とは、少し違うということですか。 ○長谷川委員  特区そのものは別に外国人イコール特区ではないのです。 ○南委員  ないのですが、何でもありという意味合いで特区という言葉が使われていますよね。 ○長谷川委員  特区はいろいろなアイディアをまず持ち寄って考えていくということで、だから、特 区イコール外国人というわけではありません。基本的にはデータがないところで、どち らが優れているなどという議論は不可能なのです。 ○南委員  そうしますと、私は個人的には医療というものを特区でやるということにはあまり賛 同しないのですが、特区で仮にどういうことでもいろいろ実験的にやってみた場合、そ れは実証研究とは、なかなか馴染まないということですか。 ○長谷川委員  非常に重要な情報を与えますね。少なくともアメリカのデータを持ってくるよりは ずっといいですね。 ○大石委員  そこで集まったデータをどう分析するかという話だと思うのです。要するに、完全に AとBはほかの条件をショウヨウだってできないですよね。だとすると、3つぐらい条 件が違いました、違った結果、ある結論が出ました、それは完全にこれは1の原因、こ れは2の原因、3の原因とはヒボ付けできないけれども、できるだけ推測をして、ここ の部分は効果があった、ここはあまり効果がなかったという分析をどうデザインするか という話だと思います。ですから、特区でやってもそれなりの研究の効果は出得るとい う感じです。 ○田中座長  例えば、ある地域の中では寄付金を非課税にします、そうしたら住民がどのぐらい寄 付をしましたかが実験できたら、正しい実験だと言えるのです。あるいは地域住民1,000 人の中で、こちらの500人は塩分を減らして、こちらの500人は塩分を今までどおりにし たら科学的実験です。しかし、特区で1個だけ株式会社病院が入ってきたときは普遍性 のない実験なのです。おそらくいちばんいい株式会社は最高の医療をするに決まってい るので、ゆえに株式会社は善だという結論を出せません。半分ぐらいいい加減な株式会 社が実験してくれる事態はあり得ません。特区と言った瞬間にいちばん良い企業が入っ てきます。それは私に言わせれば意味のある実験ではないのです。 ○遠藤委員  どうして株式会社を1つに限定するのですか。その地域だったら、「どうぞご自由に いくつでもお作りください」とやればいいではありませんか。 ○内田委員  医療行為を実験的にやってみるという発想そのものが基本的に間違っているのです。 その辺を理解しないと。 ○遠藤委員  それは違うのです。医療行為をやるのではないのです。経営主体の話をしているわけ です。 ○内田委員  医療行為ですよ、医療行為そのものを実験的にやってみようと。例えば、混合診療は どうなのか。あるいはそれは医療経済の一部かもしれませんが、それを実験的にやって みようという、人間の体をともかくここでやってみて、それで良かったら、それを今度 は反映しようという考え方自体が、もうおかしいのです。だから、医療特区特区と簡単 に言いますが、そんなものではないのです。 ○遠藤委員  もう一度言わせてもらいますが、医療行為そのものは医療法のベースの中で当然行う 話であって、それを人体実験しようという話では全くありません。経営主体として新し い選択肢が入ってきますよと。それをやってみましょうかという話です。あとの条件は 全く同じです。外国人医師の参入を一体どうするのか、その辺のことはあるのです。 ○大石委員  特区の話を置いておいて、資金調達の話に戻りたいのですが、私は石井委員が言われ たことはすごく大事だと思うので、戻らせていただいて、かつ、分かりやすい事例で申 し上げますと、ある銀行で調べてもらって、今まで貸付けた先の病院が、どの程度返済 できたか。貸し倒れという所はさすがにすごく少ないのですが、「10年ですとの言った が返せません、20年にしてください」とか、約定変更は7、8割がかかっているので す。7、8割というのはすごい数で、これが以前だったら許されましたが、いまの金融 情勢の中でそんなことはできないわけです。ですから、「約定変更は駄目ですよ」と 言った途端にその病院は倒れるしかない。倒れるときに、誰が拾うのかというのがはっ きりしていないわけです。倒れないためにはどうすればいいのかがはっきりしていな い。  建替えは20年に1度なので、すべての病院が困るわけではないのですが、今後、建て 替える病院がどの程度困り得るかという別の調査をしました。全国のいちばん頑張って いる急性期、地域No.1病院に対して、ベンチマキム調査をしたのです。その中でいろ いろな経営情報を取らせていただいて、「資金調達は困っていますか」と伺ったら、建 て替えることを考えている病院は、各地域のベスト病院で、規模もかなり大きい所で、 ほとんどがかなりいま苦労しているというのを返してきました。この状況の中で、資金 調達を今後どうするのかというのは、今回極めて具体的な案を出すべきだと思います。 ○田中座長  これは金額の具体的な問題でした。それから返済資金の調達という意味でもありまし た。ほかによろしゅうございますか。  大変さまざまなご意見が出されましたが、株式会社論は特区論自体のコンテンツとし てよりも、これが社会的に、あるいはこの検討会の問題意識の中でどこに位置付けられ るかを整理しなければいけないという点が、事務局、私への宿題だと思います。今日の 議論を踏まえて、またとりまとめに向けた作業を進めていただきます。次回の日程等に ついて、事務局から説明をお願いします。 ○渡辺指導課長  次回は2月4日(火)の10時半から開催いたします。内容については、論点整理の2 回目で、「社団形式の医療法人における持分の取り扱い」、「特別・特定医療法の普及 策」、「医療法人の付帯業務規制の見直し」を考えております。 ○田中座長  ただいま事務局から説明のあったとおり、次回は残った2つの論点整理メモを基に議 論いただきたいと思います。要は、日本の医業経営の近代化、さらに言えば、南委員の 言う、国民のためにという視点で議論を進めてまいりたいと存じます。今日は、活発な 議論をありがとうございました。以上をもって本日の会合を終わります。                                    (以上) 照会先 厚生労働省医政局指導課 医療法人指導官 橋本 昌男(内線2560) 医療法人係長  手島 一嘉(内線2552) ダイヤルイン 3595-2194