03/01/22 第13回社会保障審議会年金部会議事録              第13回社会保障審議会年金部会                    議事録               平成15年1月22日(水) 第13回 社会保障審議会 年金部会 議事録 日時:平成15年1月22日(水) 10:00〜12:30 場所:霞が関ビル33階 東海大学校友会館「阿蘇の間」 出席者:宮島部会長、神代部会長代理、井手委員、今井委員、大澤委員、大山委員、     岡本委員、翁委員、近藤委員、杉山委員、小島委員、矢野委員、山口委員、     山崎委員、渡辺委員 ○ 高橋総務課長  それでは、ただいまより第13回社会保障審議会年金部会を開催いたします。  議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第 のほか、次のとおりでございます。  資料1−1「平成15年度厚生労働省予算案の概要」  資料1−2「平成15年度厚生労働省関係財政投融資資金計画案の概要」  資料1−3「平成15年度の年金額の物価スライドの特例措置について」  資料1−4「平成15年度年金関係予算案の概要」  資料2「第13回年金部会委員提出資料」  資料3「今後の議論の進め方(案)」  参考資料といたしまして、1月20日に経済財政諮問会議で了承されました「改革と展 望−2002年度改定」及びその審議の参考として内閣府が作成しております試算。また 「年金制度改革に係るこれまでの意見の整理」。これはこれまでも資料としてお出しし ておりまして、その修正箇所を示すアンダーラインを引いておりましたけれども、それ を外したりして体裁を整えたものをお配りいたしております。参考資料1−1及び1− 2については後ほど簡単にご紹介いたします。  委員の出欠状況でございますが、本日は堀委員がご欠席とのことでございます。大澤 委員と杉山委員がお見えになっておりませんが、ご出席ということでご連絡をいただい ております。ちょっと遅れているだけだと思います。今現在ご出席いただいております 委員の皆様方で3分の1の定数を超えておりますので、会議は成立いたしております。  それでは、以降の進行につきましては部会長にお願いいたします。 ○ 宮島部会長  本日は大変お忙しいところ、ありがとうございます。本年はいよいよ平成16年の年金 制度改正に向けて最終的な審議に入る年でございますので、委員の方々のご協力をなお 一層お願いする次第でございます。  本日の主な議題は前回に引き続く部分でございますけれども、今後、各論的な事項に ついて検討に入るのに先立ちまして、前回の部会で事務局から説明がありました「年金 改革の骨格に関する方向性と論点」について総論的な審議を継続いたします。先ほど総 務課長から資料の紹介がございましたように委員の方からこれに対する意見が文書の形 で提出されておりますので、本日は提出されました意見を中心に議論を進めたいと考え ております。  その前に、これは当部会の審議事項ではございませんが、ここでもこれまで数度ご報 告があったと思いますけれども、平成15年度予算案との絡みで物価スライドの取扱いに ついて種々議論があったことはご承知かと思います。その点と、厚生労働省の平成15年 度予算案につきまして事務局からの報告を求めて皆様からのご意見をいただきたいと考 えております。  それでは、資料について一括して事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○ 高橋総務課長  それでは、私の方から資料1−1、1−2、参考資料1−1及び1−2についてご説 明申し上げます。物価スライドの関係につきましては、後ほど年金課長から資料1−3 についてご説明申し上げたいと思います。  資料1−1は平成15年度厚生労働省予算案の概要でございます。これは厚生労働省全 体の予算についての概要でございますので特にご説明は加えませんが、年金関係は22 ページでございます。  22ページをお開きいただきますと、所得保障関係の分野でございます。「活力があ り、安心できる高齢社会の実現」を第6の分野として取り上げておりますが、「長期的 に安定した信頼される年金制度の構築」にありますとおり、今度の予算案に計上されて おります厚生労働省関係の年金給付金の国庫負担金は5兆6,284億円。そのほか、国際 年金通算協定の推進ということで3,500万円の予算が付いております。  資料1−2は厚生労働省関係の財政投融資資金計画案の概要でございます。いわゆる 財投でございますけれども、年金資金関係の新規の財投の貸出しはこの計画の中に入っ ておりません。  参考資料1−1及び1−2にまいります。参考資料1−1の方はおととい経済財政諮 問会議で決定されました「改革と展望−2002年度改定」でございます。参考資料1−2 は内閣府の参考資料、数字編ということになります。  この「改革と展望−2002年度改定」は今後の日本の姿と、それを実現するための中期 的な経済財政運営についての将来展望を示すということで、改定は毎年やっていくとい うことのようでございますが、昨年1月に閣議決定されました「構造改革と経済財政の 中期展望」をその後の経済の実勢に対応して改定したものでございます。  1ページをお開きいただきますと、下から2行目はこの「改革と展望」のタイムスパ ンをどれくらい見ているかということでございますけれども、今回の改定の最終年度は 2007年度までで、それまでの期間についての政策の中期目標を示していくということで ございます。  その次の2ページの上2行をごらんいただきますと、この「改革と展望」の最終年 度、つまり2007年度までに行うこととした政策については、これを延期しないで実行す るとなっております。  その後3ページ以下、「3.中期的な経済財政運営――構造改革の加速」と書いてご ざいますが、この中身は大きく分けますと一つは経済財政運営の基本方針でございま す。  5ページにまいりまして、その中身は基本方針に基づいて実際に何をどうやるのかと いうことで「構造改革の加速」と書いてございます。その中の主なテーマは5点ほどご ざいまして、まず第1が「不良債権処理の加速と産業再生」、6ページにまいりますけ れども、「包括的かつ抜本的な税制改革」、「歳出の主要分野における改革の加速」、 7ページにまいりますが、「規制改革、特区創設の加速」、「『経済活性化戦略』の推 進と生活産業の創出」ということでございます。  この中で年金関係につきましては、まず歳出の方の主要パートということで6ページ に戻ります。「歳出の主要分野における改革の加速」の2つ目の「・」でございます が、将来にわたって持続可能な社会保障制度を確立するため、年金制度改革等に取り組 むということでございます。  それと対応いたしまして、財源問題につきましてはそのすぐ上の「包括的かつ抜本的 な税制改革」のパートで触れております。2つ目の「・」でございますが、(2)租税負 担と社会保障負担の総合的な検討の下での国民年金法平成12年改正法附則(「当面平成 16年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の2分の1への引上げを図る ものとする」と規定)への対応。こういったことがあるので早急に検討するということ になっております。なお、閣議決定は1月24日、あさっての金曜日を予定いたしており ます。  資料1−2をごらんいただきますと、2007年度までのこういったものについて数字で はどういうふうに展望しているのかということでございます。  先ほど申し上げ忘れましたが、GDP(経済成長率)につきましては4ページの「経 済の展望」の次の「・」でございます。  厳しい内外経済環境が続いていることから、2004年度までの集中調整期間において は、少なくとも当面、実質成長率は1%以下程度、名目成長率はさらに低いものとなら ざるを得ないとみられるということです。数字は入れておりませんが、この記述からし て名目成長率が実質成長率の下になっているということは当然、物価は下がっている。 少なくともGDPデフレータ(物価上昇率)は下がるという前提での記述になっている ということでございます。  それを内閣府の責任において数字の見通しを作成したものが参考資料1−2でござい ます。これは昨年も本部会でご説明申し上げておりますが、マクロ経済全体の展望につ きまして年金の基礎年金国庫負担割合3分の1のケースと2分の1にケースに分けて推 計いたしております。3分の1のケースの場合は4ページから、2分の1のケースの場 合は9ページからになっております。面倒ですが、5ページと10ページの2つを見られ るようにお開き願いたいと思います。  前の方の5ページ以下が3分の1、10ページ以下が2分の1のケースでございます が、全体の実質経済成長率はそれぞれの表の一番上の欄の記載のとおりであります。こ れは実質でございますので、3分の1、2分の1の両方とも同じ推計になっています。 それに対して名目経済成長率の方は、前提では基礎年金の国庫負担が2004年度10月に仮 に2分の1になった場合、その財源の裏付けとして消費税を1%上げるという単なる試 算上の前提でございますが、その消費税の引上げに伴って物価が上昇するということで 2004年と2005年では2分の1と3分の1の場合で違っております。当然、GDPデフレ ータも消費税の導入を伴う2分の1のケースの方が大きくなっているということでござ います。そのほか、国の財政の基本になりますプライマリーバランスや公債等残高の数 字に若干の違いが見られます。  いずれにしても当面は不良債権の集中処理期間であるということで、2003年度、2004 年度は厳しめの経済成長を見込んでいるということでございます。GDPデフレータを ごらんいただきますと、平成15年度と平成16年度の物価上昇はマイナスを想定している という姿になっております。こちらの資料の説明は以上でございます。  それでは、資料1−3にまいります。 ○ 木倉年金課長  続きまして、資料1−3を見ていただきまして物価スライドのご報告を申し上げたい と思います。  9月のこの部会の場で概算要求時点での物価スライドの要求についてのご報告を申し 上げました。その時点で、平成15年4月からの年金額につきましては、平成14年1月か ら12月までの年間の物価下落分でのスライドを要求しているということでご説明しまし た。その時点での見通しは、まだ年の当初の経済見通しで消費者物価指数の下落はマイ ナス0.6という見通ししかございませんでしたので、それを置いての要求ということで ご説明申し上げました。その後、年末にかけまして政府の予算編成の中での取りまとめ が行われましたので、そのご報告を申し上げます。  一番上の四角の中に書いてありますように、今現在、平成14年1月からの消費者物価 指数の毎月の報告は11月の分までが出ている段階で、まだ12月分は出ておりません。12 月分が総務省統計局から発表になりますのは1月末の金曜日ということで、月末の日に なる予定でございます。これで1月から12か月分、年間分の下落幅が確定するというこ とでございますが、1月から11月まで発表された今のもので見てみますと、平成13年1 年間の同期に比べましてマイナス0.9%ないし1.0%、いずれにしてもマイナスの状況で あるという見込みでございます。  厚生年金法も国民年金法も、その法律の原則どおりでありますと物価スライドにつき ましては過去3年分、物価の下落に伴って年金額が減るけれども、特例法が国会で毎年 成立いたしまして据え置きになっております。0.3%、0.7%、0.7%というマイナスが 3年続いておりますが、それを合わせましたマイナス1.7%と、この0.9%ないし1.0% を合わせますと、基準になります年から見ますとマイナス2.6%ないし2.7%の改定にな るというのが法律の本来の原則でございます。  一方で直近の状況を見てみますと、年金額を据え置いてまいりました過去3年間とは 異なりまして、平成14年は現役世代の賃金の低下傾向が明らかになってきている。公務 員の人事院勧告等も本俸をマイナスにしたということでございます。そういう中、次の ページの資料に付けておりますけれども、失業の状況も平成14年度あたりから高止まり といいますか、5%台の高いところで推移しているという状況でございます。そういう ふうに保険料を負担していただいている現役世代の方々との均衡を図るという観点か ら、平成15年4月からの新しい年度の年金につきまして政府の予算案といたしましては 平成14年1年分の下落幅(マイナス0.9%ないし1.0%)の確定値を使いたいと思ってお り、これのみの改定を行うこととするということで取りまとめが行われたものでござい ます。  もう少し丁寧に申しますと、「○」の2番目に書いてございますように公的年金制度 は世代間扶養の仕組みの中で現役世代の方々の負担で高齢世代を支えていただいてい る。これが原則でございます。過去3年間は賃金の動向を見ますと、次のページにあり ますようにプラスマイナスがございましたし、平成11年から13年の前半ぐらいまでは余 り大きく低下しているという動向までは見られない状況でございました。しかしなが ら、平成14年はその後の状況の中で賃金の低下傾向は明らかになってきている。  そういう中で、基本的に保険料を負担いただいている現役世代の方々との均衡の観点 から、本来どおりの規定でございますと過去3年間の特例分を含めてのマイナスという ことになってしまうわけでございますけれども、一方で過去3年間据え置いている中で 一挙に大きな引下げが高齢者の方々の生活にどういう影響を与えるか、そういうことと の関係を配慮しながら、結果的には平成14年1年間分の物価の下落分での改定というこ とでの取りまとめが行われたということでございます。  これを踏まえまして次の「○」でございますけれども、今の通常国会に4月からの年 金額を平成14年1年分の物価指数の下落分によって改定を行うという特例措置の法案を 提出させていただくことになります。  なお、次にありますように過去の特例法でも同様の規定を置いておりましたけれど も、特例措置の実施に当たりまして、本来の水準と比べた場合に全部の改定を行ってい るわけではないということでございまして、財政影響が残っております。これにつきま しては次期再計算の中で後世代に負担を先送りしないための方策を別途検討していっ て、所要の措置を講じていくという規定も置かせていただくということでございます。 年金額の改定は3月中に法律成立を図っていただくことを前提に、平成15年4月からの 給付分につきまして改定を行わせていただきたいということでございます。  なお、こちらには年金の関係のみ書いてございますけれども、厚生年金・国民年金以 外の物価スライド規定を持つもの、共済年金ももちろんでございますけれども、児童扶 養手当等の福祉関係の手当等についても規定がございまして、同様の改定を行うという 特例法として提出させていただく予定になっております。  次のページの一番下の(参考4)を見ていただきますと、1.0%の可能性もまだ残っ ているわけでございますけれども、仮にマイナス0.9%でございますと、標準的な年金 23万8,000円が2,100円程度の低下で23万5,900円程度、基礎年金お二人分13万4,000円程 度が13万2,800円程度と1,200円程度の低下。このような影響額になろうかと見ておりま す。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。ただいま事務局から資料1−1、1−2、それに関わりま して参考資料1−1と1−2、そして資料1−3という形でご説明いただきました。  平成15年度予算におきます年金関係の詳しい特別会計などの予算の分析は後ほど事務 局から説明していただくことにいたしまして、まず平成15年度の厚生労働省関係予算の 中で特に年金関係でポイントになる点をご説明いただいたわけで、その中で特に平成15 年度における年金の物価スライドの特例措置について最後に詳しい説明がございまし た。  これらを中心に委員の方からご意見があれば伺っておきたいと思います。これはこの 部会の審議事項という形ではございませんが、年金に関わる重要な論点でもございます ので、できればこの機会にご意見を伺っておきたいと思います。 ○ 渡辺委員  特に物価スライドの今のご説明があった点について意見とご質問をしたいのですが、 私自身、過去3年分のスライドでマイナスを見送ったということは筋から言って甚だお かしなことであったと思います。これは国会の責任なのか、行政の責任なのか、両方の 責任だと思いますが、年金の筋から言っても極めておかしいし、年金制度に対する信頼 を失わせる結果になりかねない。  そういった意味で今回は1年分だけということで、結果として実態は今お話があった ようにやむを得ない点だったかもしれませんが、現実として3年分の見送りによって、 私の記憶では共済を含めると恐らく1兆円を超えると思うのですが、そのぐらいの債 務、負債を残すわけです。それが先ほど年金課長のご説明にあったように、それについ ては次期財政再計算において所要の措置を講じるとなっているわけです。  そうしますと、この方策としては保険料の引上げなのか。そうなってきますと、いず れにしても部会長からも今お話があったように直接この部会では関係ないかもしれない けれども、この1兆円余りを埋める方策はこの部会での審議事項になるのではないかと いう気がするのですが、これが質問です。それも含めてお答えいただきたいと思いま す。 ○ 木倉年金課長  過去3年間の引き下げを行わなかった、据え置きを行ったことによります影響という ことでございますと、0.3%、0.7%、0.7%とマイナスが続いておりまして、これにつ きまして厚生労働省関係、これは手当も入っておりますが、給付費ベースで約1兆円に なります。それから、共済も入れまして1兆2,000億円程度の影響が残っております。 国庫負担ベースで申しますと、厚生労働省関係で1,790億円程度、共済を入れまして 1,860億円程度の影響が残っているということでございます。  ご指摘のありました影響についての検討の関係でございますけれども、先ほど申しま したように法律の中の規定でもこれまでの特例法と同じように特例措置を講ずることに よる財政影響を考慮して、次期再計算において後世代に負担を先送りしないための方策 を検討し、その結果に基づき所要な措置を講ずるという規定を同じように置かせていた だく予定にしております。  その内容でございますけれども、従来の法案の中にも入れておりまが、その法案の中 にも具体的に書いてございますのは、物価スライド規定の部分につきましては、この法 律に基づき行わなかったことによる財政に生ずる影響を考慮した当該額の見直し、です から年金額の見直しその他の措置及び当該規定の見直しについて検討を行い、年金のス ライド規定そのものの見直しも含めて検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ず るものとするということでございまして、その再計算の中で法律が予定しておりました 本来の年金額と、将来に向けて本来の年金額としてどういう見通しを立てていくのか。 それから、そもそもの基本であります年金額をどう設定するのかという問題、年金の物 価スライド規定そのものをどのように考えていくのかという問題につきましてはご指摘 のようにこの部会においてご審議をいただく分野にも入ってこようかと思っておりま す。 ○ 宮島部会長  渡辺委員、今の年金課長のお答えは要するに対象になるということでございます。 ○ 矢野委員  物価スライドは法律に定められたルールであり、それがルールのとおり実施されない ことは結局、年金財政に悪影響を及ぼすだけではなく、国民、特に現役世代の制度に対 する信頼を失うという意味でも大変大きな問題であったと思います。その意味で、今回 のマイナススライド実施という措置はある意味では当然のことであり、感想を申し上げ れば、むしろ遅過ぎたのではないかと思っているぐらいです。さらに、今回引き下げら れなかった平成11年から13年までの3年分、1.7%につきましても次期財政再計算時に おきます給付水準の見直しの一環として調整を行う必要があるのではないかと考えてお りますので、意見を申し上げておきたいと思います。以上でございます。 ○ 小島委員  私は今の物価スライドの問題と、その前に一つ、先ほど高橋総務課長からご説明いた だきました参考資料1−2の内閣府が作成した試算についてです。  国庫負担の割合が3分の1と2分の1の場合の今後の成長率等の試算ですけれども、 先ほどご説明の中では2004年に国庫負担を2分の1に引き上げ、財源として消費税を 1%引き上げることを前提にした試算ということでありますので、前提としてはそこが 一番大きな違いとしてあるんだろうと思いますけれども、そのときに国民年金の保険料 あるいは厚生年金の保険料の引上げをどうしたいのかというのが一つあります。消費税 を1%上げて、その分、国庫負担を2分の1に引き上げたので国民年金の保険料率を下 げるという前提なのか、あるいは厚生年金の引上げを圧縮することで想定したのか。こ れは前回の保険料を凍結するときの要件として国庫負担を2分の1に上げるときに国民 年金の保険料を3,000円ぐらい引き下げる、あるいは厚生年金の保険料率の引上げを圧 縮するということで想定していたと思いますけれども、そういう前提になっているの か。あるいは、そこは従来の引上げ計画どおりといいますか、国民年金の引上げ、厚生 年金の保険料引上げをそのままやっているのか。その辺のことを少しお聞きしたいと思 います。  この結果を見ますと、消費税率を1%引き上げて国庫負担2分の1の財源とした方が 2004年度の名目成長率は高くなっているという結果になっているんですけれども、そこ ら辺がよく理解できないんです。そこは試算をしたのが内閣府の方ですので、そちらの 方でどう考えているのかということだと思いますけれども、前提として今言ったように 保険料はどうしたいのかということが一つ質問であります。  もう一つ、物価スライドの件で資料1−3であります。これは先ほどの2人の委員か らお話がありましたけれども、私は別の考え方を持っております。結論的に言います と、今回の1年分のマイナス改定はやむを得ないと考えております。その前に、私は物 価のスライドについては賃金スライド、可処分スライドに戻すべきだという主張を持っ ております。  そういう観点から言いますと、2000年の前回の改正のときに65歳以上の人が賃金スラ イドから物価スライドに変わったということでありますけれども、本来であれば賃金ス ライドを維持すべきだったということであります。そうしますと、前回の年金改正のと きに5年間の賃金上昇率は6.9%あったはずです。そのうち物価上昇分が3.1%だったと いうことで、本来であれば差し引き3.8%分ぐらい、年金の水準アップとして改定すべ きものが据え置かれてきているということになっています。その間、ここ3年ぐらい確 かに物価がマイナスに下落しているということでありますけれども、まだ1.7%、去年 を含めても2.7%ということでありますので、本来は年金改定すべきであった残りの3.8 %まで届いていないということであります。そういう原則から言いますと、マイナス改 定はすべきでないというのが私の原則的な考え方です。  そうはいっても、現役世代の賃金下落がここ3年ぐらい続いております。先ほど示さ れた資料の中でも決まって支給される給与が2年ほどマイナスになっているということ でありますけれども、これに加えて一時金、ボーナス等も含めれば、ここ3年ないし4 年は手取りが実質的にもっと減っているという現役世代の厳しい状況もあります。先ほ ど説明がありましたように人勧もマイナス改定されているということも踏まえますと、 年金受給者についても現役の厳しい状況を踏まえ、痛みをある程度分かち合うという形 で、せめて1年分ぐらいのマイナス改定は受け入れられることがいいのではないかとい うことで、結論として1年分のマイナス改定はやむを得ないという意見を言っておきた いと思います。 ○ 宮島部会長  最後の点は意見として伺って、最初の国庫負担の場合の保険料の扱い。これはつくっ た本人ではないから厳しいでしょうけれども、もしお答えがあればどうぞ。 ○ 高橋総務課長  それは内閣府作成の参考資料1−2をもう一回ごらんいただきたいと思います。  2ページから計算の前提を書いてございます。3ページに(2)社会保障費、<年金> と書いてございまして、そこに前提を書いてございます。保険料の引上げスケジュール は2004年10月から1999年財政再計算のスケジュールで引き上げることが前提になってお ります。つまり、これは前回の財政再計算の引上げスケジュールで保険料の収入見通し を内閣府として計算したということであります。  ちなみに前回は、国庫負担を2分の1に上げる場合には、厚生年金の場合ですと平成 16年度に総報酬ベースの13.58%を1%上げて14.58%にするという予定での保険料引上 げ計画を描いていた。それに従って内閣府は計算しているということでございます。  それから、実質経済成長率は同じですけれども、名目経済成長率の方は国庫負担2分 の1のケースの方が高いというお話がございました。これはモデルの中の話でございま すが、消費税を上げるわけでございますから、一般論でいけば物価水準を押し上げます ので、名目成長率は国庫負担2分の1のケースの方が高く出てくるのは自然な話だろう と考えております。以上でございます。 ○ 小島委員  今ご説明のあった3ページの1999年財政再計算のスケジュールどおりということは、 国民年金の保険料をいったん下げ、厚生年金の引上げを圧縮するということですね。 ○ 高橋総務課長  前回の場合、国民年金の方は国庫負担2分の1のケースの場合に平成16年に保険料を 3,000円引き下げるという前提になっておりますが、その前提で計算されたものという ふうに考えます。 ○ 小島委員  わかりました。 ○ 岡本委員  意見を1点と、ご質問を1点させていただきます。  今回の物価スライド1%マイナスという判断につきましては、そのときそのときの政 治的な判断として最善のものを決めているという前提で受け止めるべきだと思いますの で、私は素直に理解したいと思います。ただ、次のように考えたいと思います。  物価スライドの適用につきましてはペーパーにも書いておりますが、物価水準が下落 した際にルールどおりの適用がなされてこなかった結果、過剰な給付が行われたことに なったわけでありますし、年金財政の悪化と後の世代に対する負担増加を招いておりま すので、その認識はきちんとしておくべきであろうと思います。  もう一点、公的年金制度は国民のコンセンサスの上に成り立っておりますので、その ときそのときで政治的判断があることは理解できますが、やはり国民のコンセンサスの 上ででき上がっている公的年金の運用につきましては、できるだけ国民に安心と信頼感 を与えるためにも、ルールどおり厳正に運用する努力は必要であろうと思っておりま す。これが私の意見であります。  質問でございますが、理解を深めるために質問をします。先ほどの資料1−3の枠の 中に「保険料を負担する現役世代との均衡の観点から」と書いてあるんですが、もとも と物価スライドというのは、経済がインフレになるような状況を前提に年金の水準の購 買力を維持するというのが基本的な考え方であったのではなかろうかと思っているわけ であります。私はそういうふうに理解しておりますので、判断の中に「現役世代との均 衡の観点」が入ってるというのはどういう物の考え方で物価スライドのルールができ上 がっているのか、また今後運用するのか。そのあたりについて理解したいと思いますの で、ご説明願いたいと思います。 ○ 木倉年金課長  ご指摘のとおり、年金法に置かれております本来の物価スライド規定の考え方として は年金の購買力を維持していくということですから、上がるときには上げる、下がると きは下げるという規定ぶりで書いてございます。  この説明といたしまして「年金の本来の考え方は」ということでわざわざ書いており ませんけれども、本来は購買力を維持していくということが原則でございます。その一 方で、この3年間据え置きをしてきて実質的には現役の方々の負担を増すような結果、 給付が本来のものよりも大きくなっている結果があるということを前提にして、それを 引き続き行っていく場合には現役世代の方々の負担を更に重くしてしまうのではない か。しかし、そのときには現役の方々の賃金も明らかな低下傾向を示してきている。そ の低下傾向の中で、社会経済情勢が余りにも悪いからそれに配慮して据え置きをすると いうことで3年間お願いしてまいりましたけれども、それは続けられないのではないか という意味で前提を省略してこのような表現を使わせていただいておりましたので、ご 理解いただきにくい面があろうかと思います。 ○ 宮島部会長  これは年金部会へのメッセージというよりは、もう少し違うところへのメッセージだ と理解しております。 ○ 山崎委員  公的年金の物価スライドの趣旨は購買力の維持ということですけれども、恩給はどの ような考え方になっているのか。厚生労働省の所管ではございませんが、わかる範囲内 でお聞かせいただきたいと思います。 ○ 木倉年金課長  今回、基本的な恩給の額につきましては据え置きと聞いております。ただ、年金と並 びの部分がございまして、普通扶助料の寡婦加算額は年金と同額を設定されておりま す。これは物価変動でやってきているものですから、同じ率での引下げをするという改 正になると伺っております。恩給の方の考え方でございますけれども、ほとんどが旧軍 人の方々であるということで国家補償的性格を有していることを前提に判断されたと 伺っているところでございますが、詳細はまだ承知しておりません。 ○ 山崎委員  非常に理解しにくいご回答だと思います。 ○ 宮島部会長  他にいかがでしょうか。  今回の平成15年度予算案と絡みまして年金の特に物価スライドの扱いについてご意見 を伺ったわけでございます。もちろん、今後、物価スライドのあり方ということにも議 論が恐らくいきますでしょう。それから、特に今、何人かのご指摘がありました積み残 し分の扱いを今後の財政再計算なり年金制度改革でどのように扱うべきかについても恐 らく議論することになるのではないかということでございます。あるいは、こういう ルールをどういう形できちんと担保するのか。特に年金制度改革の一つはルールづくり でございますから、ルールを今後どういう形で実際に運用するかということのテスト ケースであったと理解しております。  そういう意見がそれぞれ出てまいりましたので、厚生労働省におかれましても今のよ うな議論を踏まえて今後の年金制度の議論に対処していただきたいということを強く希 望しておきたいと思います。  もう一つ、先ほどお話しいたしました年金のもう少し細かい財政、特に特別会計の財 務状況につきまして予算案との絡みで資料が1−4として出ておりますので、これにつ いてご説明いただきたいと思います。この点については特に実態をよく知っていただき たいという点がございますので、先ほどまでと分けて取り上げ、説明を受けてから質疑 ということにしたいと思います。 ○ 渡邉社会保険庁年金保険課長  社会保険庁の年金保険課長です。私の方から平成15年度年金関係予算の説明をさせて いただきます。  年金関係予算につきましては一般会計とは区分しておりまして、厚生保険特別会計に 年金勘定を、国民年金特別会計に国民年金勘定、基礎年金勘定、福祉年金勘定を置いて 管理してございます。2ページから各勘定別の収支状況を示していますけれども、1 ページの総括表に従って、その主な項目について説明したいと思います。  まず、保険料収入でございますが、厚生年金の保険料収入は被保険者数の減と標準報 酬の減によりまして、平成14年度に比べて7,312億円減の21兆787億円を見込んでおりま す。次に、国民年金の保険料収入は第1号被保険者が増加することによりまして、平成 14年度予算に比べて356億円増の2兆1,977億円を見込んでおります。  次に、年金給付でございます。平成15年度の年金給付費は平成14年度の消費者物価の 下落分、先ほどのスライドの関係でございますが、この改定を行うこととなりますの で、予算上はこの変動幅を見込みまして物価スライドをマイナス0.9%ということで計 上してございます。厚生年金の保険給付についてでございますが、受給者数の増により まして平成14年度に比べて3,032億円増の21兆1,085億円を見込んでおります。基礎年金 の年金給付費につきましては、受給者の増によりまして平成14年度に比べて8,519億円 増の11兆3,620億円を見込んでおります。国民年金は昭和61年4月前の旧法分の年金給 付でございますが、受給者の減によりまして平成14年度に比べて1,488億円減の2兆 3,069億円を見込んでございます。次に、福祉年金の年金給付については受給者数が 年々減っております。平成14年度に比べて43億円減の277億円を見込んでございます。  次に、国庫負担でございます。年金の国庫負担につきましては、基礎年金部分に係る 給付費の3分の1と、厚生年金の昭和36年4月より前の期間に係る給付費の20%と、福 祉年金給付費の全額ということになっております。各制度の受給者数の増減に応じた国 庫負担額を計上してございます。年金の国庫負担全体としましては、基礎年金部分に係 る給付費の増と福祉年金給付費の減を見込んで平成14年度に比べて1,365億円増の5兆 6,284億円を見込んでおります。国民年金の国庫負担につきましては、基礎年金給付費 の増により平成14年度に比べて397億円増の1兆4,963億円を見込んでございます。福祉 年金の国庫負担につきましては、受給者数の減によりまして平成14年度に比べ42億円減 の276億円を見込んでおります。なお、福祉年金については全額国庫負担となっていま すけれども、年金給付費との差額については前年度剰余金によるものでございます。  積立金でございますが、厚生年金につきましては平成15年度の剰余金見込み3,667億 円を加えて138兆7,328億円となっております。国民年金につきましては平成15年度の剰 余金見込み296億円を加えて10兆491億円、合わせて年金全体での積立金でございます が、148兆7,820億円を見込んでおります。  厚生年金と国民年金の収支状況につきましては、保険料が据え置かれているというこ とと経済情勢の低迷の影響によりまして保険料収入が減少する一方におきまして、受給 者数の増加に伴いまして剰余金が年々減少し、厳しさを増すという状況になっておりま す。  以上、平成15年度年金関係予算についての説明を終わらせていただきます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは、今ご説明がございました年金関係の予算案、それから厚生保険特別会計と 国民年金特別会計の資料について何かご質問はございますでしょうか。 ○ 岡本委員  この積立金の残高はどういうベースで計算したものか。というのは、いろいろと運用 している場合に時価がいろいろと変動する。それらを踏まえた時価なのか、あるいは簿 価みたいなものがあるのか。そのあたりの金額の算定ベースがどういう関係なのか、そ こだけお教え願いたいと思います。 ○ 十菱社会保険庁企画課長  運用ということになりますと、2つの側面が現在ございます。1つは、財務省に預託 している部分。その部分は運用利率が付されておりますので、利子がキャッシュフロー としまして特会にダイレクトに入ってくる。  それから、平成13年度から新たに年金資金運用基金に対しまして寄託するということ で制度改正が行われまして、この部分につきましては寄託額が積立額であるという整理 でございます。年金資金運用基金の方の運用の内容につきましては別途、年金資金運用 基金の方から毎年度の「資金運用業務概況書」という形で出ておりますが、特会との関 係で申し上げますと、一定のルールに基づきまして年金資金運用基金から運用収入を バックする納付金という制度がございますので、この納付金が実現したときに特会では 実現益として現れるという整理でございます。 ○ 宮島部会長  今のお話は資産が時価ベースなのか、簿価ベースなのかという話もあったんですが、 それはよろしいですか。 ○ 吉武年金局長  特別会計ですので、基本的には簿価でやっております。しかし実際上、自主運用の部 分は市場で運用しておりますので、これは基本的に時価で評価するということで従来か ら時価評価で運用しております。  それから、一つ複雑になっておりますのは、旧資金運用部への預託部分がございまし て、実はここからの利子が特別会計に実収入として入ってまいります。そこと、年金資 金運用基金で市場運用しているところがございます。平成13年度から新しい運用方法に 改革されましたので、平成13年度の運用結果につきましては従来の年金福祉事業団の運 用実績だけではなく、特別会計の運用収益部分とあわせて、トータルとして年金積立金 の運用実績を発表するようにいたしております。実際上の年金積立金全体を時価評価し た状態がどうなっているかがわかるように公表いたしております。  現実の足元の状態を申し上げますと、平成13年度は市場運用の状況が非常に悪うござ いました。年金資金運用基金の部分で申し上げますと、平成13年度単年度で1兆3,100 億円の時価による損失が出ております。一方、特別会計の方で約4兆900億円の預託収 入がございました。それをトータルいたしますと、2兆7,800億円ぐらいの収益が出て いるという姿を平成13年度からはお示ししております。 ○ 渡辺委員  今の資料の2ページ目の歳入の上から5番目の「解散厚生年金基金等徴収金」という のは多分、解散したから代行返上したのが3兆2,000億円ということだと思います。相 当な巨額ですが、これから秋に代行返上ルールが決まる。今は代行部分が30〜40兆円ぐ らいありますか。そうしますと、これが国に相当戻ってくるわけです。細かいことは今 言いませんけれども、例えば現物納付も認めるといったこともあります。そうなると、 まさに時価なのか簿価なのかという議論もありますが、今それは置いておいて、この代 行返上による収入が仮に10兆円単位で来ると考えるならば、それは積立金の収入と考え ていいんですか。 ○ 高橋総務課長  渡辺委員から今お話のあった2ページの「解散厚生年金基金等徴収金」は代行返上に 伴う特別会計へのお金の戻しでありますけれども、特別会計では歳入。歳入というのは 厳密に言えば収入ではございませんけれども、それから元本の入り戻りも歳入に計上し ております。確かに特別会計に入ってくるお金でございますが、年金財政全般を見ます と、厚生年金基金の代行部分は国の厚生年金を国の代わりにやっているだけでございま す。国に代わってやっている主体が国の年金を支給する義務を国の方に移転するわけで ございますから、支給する義務を国に移転するという意味ではそれに見合う必要な資金 を国に返してくるということでございます。年金財政として特別に収入があったという ことではなくて、必要な所要資金が厚生年金基金から国の方に移ったというぐらいの意 味合いでございます。特別会計という面で見れば確かに収入になりますけれども、年金 財政全般から見れば単に支給主体が変わっているだけの話ということでございます。 ○ 山崎委員  保険料収入と国庫負担と運用収入で年金給付費を賄うわけですけれども、単年度の収 支が平成14年度予算あるいは15年度予算でどうなっているのか。そして、できれば平成 12年、13年の実績がどうなっているのかということをお伺いしたいと思います。つま り、私はこの資料を積立金を取り崩しているというふうに見たんですけれども、いかが でしょうか。 ○ 渡邉社会保険庁年金保険課長  平成14年度、15年度について2ページ目の整理でいきますと、先般も新聞等で実態と しての話が出ておりますが、いわゆる保険料収入と一般会計からの受け入れと運用収入 をベースでいきますと、平成13年度から実質収支差はマイナスでございます。ただし、 平成14年度に農林共済との統合がございまして、この受入金があり、平成15年度は今お 話が出ております代行返上部分の納付金があるということで、このベースにおきまして は収支差はプラスという形で出ております。3つの収入と保険給付の実質収支で見ます と、平成13年度から言われている意味の収支差赤字という現象になっております。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは、まだいろいろご質問はあるかと思いますが、これから本来の議題に移るこ とになりますので、平成15年度予算関係の話はこれで終わりにさせていただきます。  それでは、5分ほど休憩をとります。11時5分から再開いたしますので、時間厳守で お願いいたします。                   (休憩)                   (再開) ○宮島部会長  それでは、議事を再開いたします。  これから12時20分をめどに各委員から提出いただいたペーパーにつきましてご説明い ただくことにいたします。井手委員から順次ご説明いただくことになりますが、お一人 5分という時間厳守していただきたいと考えております。  本日、意見は提出されましたが急遽ご欠席になりました堀委員につきましては、事務 局から論点だけご説明いただきまして、今日の議論の対象には含めるつもりでおりま す。なお、堀委員のペーパーにつきまして委員の方からご質問などがあった場合には、 次回までに文書の形でそれに対する回答をお寄せいただくような形をとりたいと思って おります。  それでは、前回お示しいたしました「年金改革の骨格に関する方向性と論点」につき まして井手委員、今井委員、大澤委員、岡本委員、翁委員、神代委員、杉山委員、矢野 委員、山崎委員の順に、このペーパーに基づきましてこれからご説明いただきたいと思 います。  それでは、井手委員からよろしくお願いいたします。 ○ 井手委員  私は、この「方向性と論点」の中の基本的視点の5点目に挙げられていました「少子 化、女性の社会進出、就業形態の多様化等の社会経済の変化に的確に対応できるものと すること」という基本的視点に関しての意見を述べさせていただいております。  この「方向性と論点」については冒頭にございましたように、これをたたき台として 広く国民的議論が行われることを期待しているものということでございましたので、こ れをもとに論点の中のどういう選択肢を選んでいくかというときに、もう少し具体的な 数値の裏付けや過去の実態調査、あるいは制度導入を想定した場合の意識調査のデータ の添付が論議や選択をする上で必要ではないかと考えております。  その中でも、公的年金制度における次世代育成支援の中で育児期間に対する配慮措置 の拡充についてです。基本的視点での少子化の取り上げ方は、次世代育成支援を年金制 度の中でやっていくことで少子化を抑制しようということを目的としていると思います けれども、過去、厚生年金保険料の本人負担分の免除や事業主負担分の免除、それから 改正雇用保険法により、休業中にも給付金というのでしょうか、休業前賃金の25%や 40%を給付するという2号の育児休職者に対しての配慮が行われてきたわけですけれど も、その制度導入が出生率に対してどういう影響を与えたのか。トータルとしては下が り続けているわけですから、このことがどれぐらいの効果を上げているかということに 関して、その評価が必要ではないかと思います。  私自身はこうした配慮措置がない時代に育児休職を取っておりましたので、こういう ふうに徐々に配慮がされていくことは大変恵まれていくのだなという感想を持っており ましたけれども、今、私の職場で育児休職を取っている社員は、昔はこういうものがな かったということは余り知りませんし、昔の人に比べれば恵まれているんだから、もう 1人産みましょうかということにもならない。昔は女性に選挙権がなかったからという ことで、ありがたいと思って投票に行くかということでもないように、過去なかったこ とが今あるということに関しては最初からあったものと理解されるものではないかとい うことで、せっかくこういう配慮をしても、それが本当に効果を発揮したかということ についての評価が必要であろうと思います。そのことは今働きながら子供を育てている 人、それから1号のそういう方、更には3号の育児をしている方にこうしたものを拡 大・拡充していくことについてどうかという問題提起があるわけですけれども、そうし た保険料の免除や加入期間の加算措置の配慮があれば、本当に子供をより多く持つこと を選択するのかという意識調査のようなものも必要ではないかと思います。  それから、女性が職業を持っていること自体が支え手である次世代を産むことに対し て何らかの抑制効果があるという前提のもとで考えられているような気がするわけです けれども、過去の部会の中でも大澤委員からご紹介があったように25歳から34歳までの 女性の労働力率と出生率の関係が日本においては双方低いということで、仕事をしてい るから必ずしも出生率が下がっているということではないのではないか。そういう意味 で、そういう理由を分析した上での次世代育成支援を考えるべきではないかと思いま す。これを進めていく上での今後のスケジュールを見ますと、支え手を増やす取組とい うことで次世代育成支援が入っておりましたけれども、これは次の世代の支え手を増や すことにはなっても、現役世代の支え手はむしろ減らすということにも読めるわけで、 この受け取り方は非常に重要ではないかと思っております。  それから、女性と年金という項目は、「女性と年金検討会」で検討されたテーマがほ ぼ重なると思うわけです。特に第3号被保険者制度について、この「方向性と論点」で は4案が提供されておりますが、過去の検討会の6案とこの4案に関して、どうしてこ のように4案に見直すかというコメントがあったわけです。これは意見というよりもお 願いになりますが、それぞれの案について課題が非常に個別に書かれておりまして、全 体を比較できるようにもう少し明確に、この課題についてはこの案は当てはまるけれど も、この案は当てはまらないといった全体が概括できるようなものをご用意いただくと 理解を大変助けるのではないかと思っております。あわせて、各案を現行制度と比較し た場合の片働き・共働き別の世帯単位や夫・妻単位の保険料給付、あるいは年金財政 トータルがどういうふうに変化するかについても比較一覧表があるとありがたい。  今回示されました4案は、どうなるかというものを非常に丁寧に示していただいてい るんですけれども、月額の世帯報酬が39万円ということで本人負担分や事業主負担分を 分けて示していただいて大変理解しやすかったのです。「女性と年金検討会」の6案は 何か理由があるのかどうかわからないんですけれども、世帯の報酬は50万円でシミュレ ーションされておりまして、事業主負担と本人負担も特に分かれていないということで 勉強する上で少し手間がかかったといいますか、もう少しわかりやすくしていただけれ ばありがたいということでございます。  また、「女性と年金検討会」では離婚時の年金分割、遺族年金制度もあわせて検討さ れておりましたので、3号に限らず、これらも含めて今後の検討課題としていくことが 必要と思いました。  全体としまして、女性が育児に専念することを評価して年金制度上の優遇措置を講じ る道を選ぶのか、あるいは保育サービスを充実して就業と育児の両立を図れるようにす るのかという大きな選択があるのではないかと思うわけですけれども、先ほどご説明の ありました厚生労働省の予算案の中で多様な保育サービスの充実には4,855億円かける ということと、5万人の待機児童を解消するために316億円かけるという数字がござい ました。やはり保育サービスを充実すればそうしたコストがかかるわけですが、そのこ とで例えば5万人が働くことによる保険料収入の増や税収増、あるいは保育サービスを 充実することによる雇用創出効果、更には過去の国民生活選好度調査の中で少子化の原 因の大きなものとして働きながら子育てをする十分な環境がないということを挙げてお られた方が五十数%おられたと思いますので、そういうことも踏まえてどちらを目指し ていくのかということをこの中で論議していくべきだと思っております。  特に第3号被保険者が以前は2号の配偶者という位置付けでしたけれども、次世代育 成支援の中で育児をしていることに対する貢献の見方が第3号にも新たな意味付けとし てされているような気がしております。個人の多様な選択に中立的な制度の構築という 「女性と年金検討会」の基本的視点があったと思うんですが、そうしたものをもう一度 踏まえて、先ほど申し上げましたような今働いていない部分が労働力化したときの社会 全体の形がどのようになるかというシミュレーションが必要と考えております。以上で ございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは今井委員、お願いいたします。 ○ 今井委員  予算案の説明も受けて、これから各論に入るわけですけれども、私の方は今まで皆さ んで検討された内容を踏まえて、この考え方でこれから自分なりに考えていきたいとい うことで、私が現時点で考えていることを簡単に書かせていただきました。  社会保障改革の目的は少子・高齢化が進んでも負担が増大しないようにするという財 政対策に絞られがちであるが、本来制度が果たすべき目的・方向を改めて考えてみまし た。  先回、大澤委員から意見書という形で出された中に基本的視点ということで「高齢者 ・女性・若者等がともに社会を支える制度の整備」、「男女共同参画社会を構築し、女 性が働くことが不利にならない制度設計にする」と記載されておりました。その中でも 特に男女の人権と、できる限りの中立な制度を強調されていましたけれども、あえて私 もそこへ相互の協力と自己決定ということを付け加えたいと思いました。  そのためには、国民一人一人が同一の所得比例年金を目指した方がいいのではない か。その場合、企業側は総賃金に対しての拠出をするという形になるかと思うんですけ れども、そういう年金のスタイルがいいのではないかと思います。それから、低所得者 を対象にミニマム年金を設定した方がいいのではないか。これはスウェーデン方式に似 たような形になるかと思います。それから、世代間の連帯を考え、経済成長スライド方 式にして、3号被保険者に対しては二分二乗法を取り入れる。現在、そんなことを考え ております。以上です。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは大澤委員、お願いいたします。 ○ 大澤委員  今、言及していただきました席上配付資料を前回出させていただいたんですけれど も、今回はそれを多少補充したものでございます。  この基本的視点に照らした現行制度の問題点ですけれども、これは所得税制の配偶者 に係る控除や健康保険制度の被扶養家族の扱いなども相まってということですが、第3 号被保険者制度等の年金制度の中の特徴も、いわゆる就業調整というのでしょうか、働 いて稼ぐことを通じて制度を支える能力も条件もある人が、あえて収入や就業時間を調 整して社会保険制度に依存する側に回ってしまう傾向を助長しているということでござ います。  世帯類型による所得代替率の問題でございますけれども、これは第7回部会での資料 1の4ページに試算をしていただいております。世帯類型によって年金給付の所得代替 率が大きく異なります。なぜそうなるかというのは、定額の基礎年金によって低賃金層 の給付が厚目になるという再分配的な面があるためです。夫片稼ぎ世帯では1人当たり の賃金が女性単身世帯よりも低賃金となるため、その給付の所得代替率が各世帯類型で 最高となるという関係になっています。  世帯所得を等しく揃えてみた場合には、共稼ぎと片稼ぎでは保険料負担も老齢年金給 付も等しいわけですけれども、遺族厚生年金においては片稼ぎの有利さは明らかで、そ の面で「女性が働くことが不利」になる面を持っている。骨太方針第二弾に照らしても 問題ではないかと思うわけです。  短時間労働者の一部が就業や収入を調整している。全員ではございません。しかし、 そのことが共働き、単身フルタイムの女性全員の賃金を引き下げるという影響も否定で きないと思います。つまり、男女の経済力の均等化といいますか、みんなが働いてとも に社会を支えるという観点から見て、第3号被保険者制度等の制度には問題があるとい う点でございます。  そこで、提起されている「方向性と論点」についてですけれども、第3号被保険者制 度について見直し案を4つまで整理した点は評価したいと思います。特に第1の年金権 分割は、遺族厚生年金を不要とすることにつながっていくならば共稼ぎ世帯と片稼ぎ世 帯間の不均衡を是正することにつながります。しかし、4案のいずれを行っても世帯類 型による所得代替率の格差は残ってまいります。そのことをそれほど重視すべきかどう かということですが、その意味では基礎年金制度の見直しも必要になってくる。  経済財政諮問会議に塩川財務相が提出した資料では、税財源は必要なところに重点的 に配分することが財政の役割であるとして、今の基礎年金のように一律3分の1、これ から2分の1になるんでしょうか、国庫負担が入ることについては否定的な見解を表明 されています。その上で、年金制度の国庫負担のあり方を検討する上でスウェーデンの 改革の参照を求めていらっしゃいました。現行の体系では雇用・就業が多様化する、流 動化する。私が理解する限り、経営者団体は90年代前半から雇用・就業の多様化・流動 化を推奨なさってきたと思うわけですけれども、そういうもとで2号被保険者は相対的 に減少する。今、絶対的な減少が起こっているわけです。それから、1号被保険者の増 大が見込まれる。このことに対して対応できないと考えます。  以上から、「引き続き十分に議論する」とされているスウェーデン方式の相対的望ま しさは高いことに留意すべきであり、先ほどの議論にもございましたように今回の改革 の機会を逃すと厚生年金収支の赤字と積立金の減少により改革余力を失うおそれがある と考えます。以上です。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは岡本委員、お願いいたします。 ○ 岡本委員  それでは、ペーパーを読ませていただきまして、あとは口頭で若干ご説明したいと思 います。  冒頭、部会長から今後各論の議論をする段階に来ているというご説明がございまし て、我々も各論の議論をしなければなりません。それがゆえに私はあえて今回、各論を 議論するときに基本的な考え方がどうなのかということを絶えず頭に置きながら議論す る必要があるだろうと思い、ペーパーをまとめた次第でございます。  財政再計算のたびに給付水準や将来の保険料を見直す現行方式を改め、「最終的な保 険料率を法定して、その範囲内で給付を行う」という保険料固定方式が今回新たに提示 されましたことは、我が国の経済や社会の構造変化を考えますと、公的年金制度を中長 期的に持続可能なものとしていくために時宜を得た現実的な対応として私は評価し、受 け止めております。  次に、基本的な考え方につきまして幾つか申し上げたいと思います。  2004年の改革では世代間格差の是正が重要な課題の一つであると認識しています。し かし、今回の案では長期間にわたって徐々に給付水準の調整を行うこととしているた め、制度を支えていく将来世代ほど負担増と給付削減のしわ寄せが大きくなることが懸 念され、世代間格差の是正という問題が十分解決されているとは言えないのではないか という懸念を持っております。既裁定者を含め、すべての世代が痛みを分かち合うよう な給付水準の見直しについて更に議論を行い、アンバランス是正に資する施策を着実に 実施すべきではないかと思います。  2つ目に物価スライドでございますが、これは私が先ほど冒頭の中で説明させていた だきました。重複しますが、もう一度申し上げます。  物価スライドの適用については、物価水準が下落した際にルールどおりの適用がなさ れてこなかったため、結果として過剰な給付が行われるとともに、年金財政の悪化と後 の世代に対する負担の増加を招いています。公的年金制度は国民のコンセンサスの上に 成り立っていることを考えますと、制度に対する国民の安心感や信頼感を確保するため には、物価スライドのルールを厳正に運用することが望ましいと考えているところでご ざいます。  3番目に、人口の高齢化が一層加速する中では医療・介護などの社会保障に要する負 担の増加は避けられません。これは「方向性と論点」の中にも書いてあったとおりでご ざいます。したがいまして、公的年金の最終保険料率の水準は20%より相当低くしてい くべきではなかろうかと考えております。これは数字の裏付けをもって説明できません ので、考えているということでございます。もし20%という水準の判断基準が欧州諸国 の現在の年金の水準との単純な比較から来ているのであれば、医療・介護に要する負担 と合わせたトータルな負担がどうあるべきかということが今後の日本における大きな課 題でございますので、そういうトータルの議論が必要であるという前提で今後の各論の 議論もしていくべきではなかろうかと思っております。  最後でございますが、経済社会の活力を生み出す現役世代や企業の保険料負担が過度 に重くならないようにするためには、給付水準の見直しと合わせて消費税を財源とした 基礎年金の国庫負担2分の1への引上げを早期に実現することが求められます。これは 冒頭ご説明があったとおりでございますが、私は基礎年金の財源全般のあり方として消 費税を活用することについて広範な議論を行っていく時期に来ていると思います。今後 この部会は各論でございますので、この議論がどれだけできるかということにつきまし ては部会長のご判断にお任せしたらいいと思っておりますが、なぜ時期に来ていると 思っているかということについて口頭で若干補足したいと思います。  まず、やはり公的年金が過去ずっと世代間の不公平を拡大してきているのではないか と思うわけでございます。したがって、今後の改正なり今後のあり方として社会的公正 ということが担保できているのかどうかという視点が欠如してはいけない。そういう意 味で、今回の改正でも結果的には現役世代の方々に対する不公平といいますか、格差が 大きくなっていきますので、そういう視点を今後とも各論の中で議論すべきであろうと 思います。  2つ目は、従来は現役の人の数が圧倒的に多くて既裁定者が少ないという構成であり ましたが、2050年までの人口動態を見ますと、支え手と受給層が大幅に逆転してくるわ けであります。そういう構成の中で本当に世代間扶養や損得は考えないということ、あ るいは保険料方式ということで今後30年、40年を考えたときにそれで持続可能なのかと いう素朴な疑問といいますか、問題意識を持っているわけであります。  3点目は、自助・自律ということが随所に出てきます。現役の方が自分たちも保険料 を払って将来の受給権をもらう、公的年金を受給するという意味において自助・自律と いうことは正しい原則だと思っているんですが、これからは受給者の方が多くなってい くということでありますと、自助・自律の原則は単にこれからもらう人の原則ではな く、この財政難をどう乗り切るかという国民全体の課題としてあてはまるものであると 考えるわけであります。そういたしますと、やはり国民全体で痛みをカバーする、財政 難を克服するという自助・自律の精神から言っても、例えば消費税のような形で皆が痛 みを分かち合う制度を大いに議論すべきではなかろうかと考えているわけであります。  そういう視点に立って、これまで私は、昨年の議論の中で公的年金控除についても見 直しが必要ではなかろうかと申し上げてきました。物価スライドについても厳正に運用 する方が望ましいのではないかと申し上げてきました。既裁定者についての見直しも議 論としてやるべきではなかろうかと申し上げてきたわけでございまして、それと同時に これからは今申し上げたような形で消費税あるいは目的間接税、そういう議論もしてい く。だから、今回どれだけできるかは別にしましても、そういう時期に来たと私は認識 しているということを補足しておきたいと思います。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは翁委員、お願いいたします。 ○ 翁委員  私からは大きく2点ほど申し上げたいと思います。一つが給付水準の見直しを進める ということと、もう一つは最終保険料20%の水準について再検討すべきという点です。  今回の「方向性と論点」に関しましては、特に保険料固定方式への転換という点は評 価すべきだと思いますが、次のような点について十分な議論が必要だと思っています。  1つ目は、現下の厳しい経済情勢を踏まえた前提でも試算を行って、リスクシナリオ も十分に念頭に置いて給付水準の見直しについて更に議論を行うべきではないかという 点です。  先日示された試算では、物価動向や賃金の見通しなどが足元かなり甘めになっている ことは否めないと思います。現在の大幅な需給ギャップが急速に縮小することはなかな か展望しがたいという点がありますので、今後、中期的に需給ギャップが残る蓋然性が 高いことも念頭に置きますと、物価、名目賃金、名目利回りは低下するというリスクシ ナリオの方も十分に検討する必要があるのではないかと思います。  例えば注1でお示ししていますが、先ほど中期見通しにもありましたように物価がマ イナス1%ぐらいでずっと推移しております。また、名目賃金上昇率は年金の計算の方 で2003年度から2007年度までが0.5%、2008年度以降が2%という想定ですが、現実に 一般労働者の平均賃金上昇率はマイナス傾向になっていまして、2001年がマイナス0.4 %、パートも含めた平均上昇率を参考までにお示ししていますけれども、マイナス幅が 非常に大きく拡大している状況であるわけです。  このように考えますと、中期的ないろいろな前提を考えましても、試算はハッピーシ ナリオに対応した経済運営上の目標が達成された場合にのみかろうじて辻褄が合うとい うものではなくて、少なくとも現状予想される厳しい見通し、そういったシナリオも視 野に入れた前提も示す必要があるのではないかと思います。少子化に関しても更に進む 可能性を十分に念頭に置いて、もう少し厳しいシナリオもお示しいただきたいというの が正直なところです。そうしませんと、現実に起こるであろう世代間の公平性について も判断できるものにならないと思っています。  注2にお示ししていますが、日本総研が12月11日に公表した試算をご紹介いたしま す。簡単な前提を置いて、現在の前提で世代間の不公平を試算したものです。1940年代 生まれの保険料額に対する受給額の比率は中位推計で2.46倍、1960年代生まれになりま すと中位推計で0.94倍、低位推計だと0.93倍になります。80年生まれの世代ですと、中 位推計で0.66倍、低位推計で0.57倍。少子化の影響がどんどん出てきますので、2000年 生まれになりますと、中位推計で0.6倍、低位推計で0.5倍ということで、簡単な前提で も世代間の大きな不公平が明らかです。これがもしほかのリスクシナリオで進んだ場合 ということを考えますと、非常に懸念されるところでございます。ですから、予想され る現実的な見通しもお示しいただいた上で全世代が痛みを分かち合うような給付水準の 見直しを検討する必要があるのではないかと思います。  次のページにまいりますが、その場合、いろいろな対応が考えられます。一つは、例 えば給付乗率の引下げや受給開始年齢の引上げなどの中高年齢層以上の世代も負担を分 かち合う仕組みはないか。先ほどありましたように当然、物価スライドにつきまして も、今まで実施されてこなかった情勢を考えると将来世代への先送りが懸念されるわけ で、これも給付水準の見直しに反映させるようにしていく必要がある。少なくとも今後 は物価スライドを適切に、もちろんルールどおりやっていく必要があると思います。そ れから、確定拠出型年金の拡充についても、将来世代をサポートするということで施策 を積極的に検討していくべきだと思います。今申し上げたように、やはり幾ら保険料を 固定しましても将来世代への影響が悪化する可能性がありますので、そこを十分に議論 する必要があると思います。  なお、給付スライドの技術的な問題としては少子化だけがマクロ経済スライドという 形で反映されるようになっているようですが、高齢化のリスクも給付額に調整される仕 組みを考えるべきではないかと思います。それから、運用利回りの変化リスクに関して は期間で調整するような形になっているようですけれども、これも吸収方法をもう少し 工夫する必要があるのではないかと思います。  2点目は最終保険料20%の水準ということですが、これは岡本委員と同じ意見を持っ ております。医療保険、介護保険の負担を考えると、今後の高齢化ということを考える と、社会保障全体としての負担は大きくなる方向だと思います。年金という形でこれほ ど大きな規模で世代間の所得再分配をする必要があるのかということについて、これは 広い視野から検討する必要があるのではないかと思います。国民負担という観点から考 えますと、保険料だけではなくて税の問題もあるわけでございますので、年金の最終保 険料率2割ということについては国民負担の全体の大きさを見極めた上で更に議論を進 めるべきではないかと思います。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは、今度は神代委員からお願いいたします。 ○ 神代部会長代理  私のものは文章化してありますので、要点だけかいつまんで申し上げます。  まず、全体的な印象であります。これはとらえ方が問題ではありますけれども、予想 外に悪い経済情勢と予想外に早い少子・高齢化が進む中で所得代替率を下げる以外に世 代間の不公平、若い世代の負担を軽減する方法はないと思います。ただ、そういう前提 で試算されたものを見て、実質賃金が1%ぐらい上がっていくという前提で試算された ものを拝見すると、これだけ少子・高齢化が進んでも、その程度の経済成長が続けばモ デル年金の実質額は徐々に上がっていくという数値が示されている点に、私はある意味 では非常に驚いたというか、非常に感銘を受けました。経済発展の持続の重要性を改め て認識いたしました。そういう意味で、全体として世代間の公平により踏み込んだ考え 方になっていると思います。  年金制度の体系については目的消費税の議論が多いわけでありますが、やはり消費税 でやる場合は政治的リスクが非常に多い財源だということをもう少し慎重に検討すべき ではないか。私自身は一般の政府財源として消費税を増やすことには賛成ですけれど も、年金に限ってやるということは、せっかく今ある一種の社会保険税みたいなものを どうして不安定な基盤に乗り換えなければいけないのか、ご主張がよく理解できないと 思っています。  スウェーデンの方式につきましては、5年ごとに国会で法律を改正しなくてはいけな いということを避ける意味でも、自動財政均衡メカニズムの考え方を取り入れたことは 非常に評価したいと思います。ただ、スウェーデンの18.5%という率そのものに関して は前提が違いますので、まだ問題が多いと思います。20%が高過ぎるというご意見もあ るわけですけれども、一応の試算として出されたことを評価したいと思います。年金課 税の問題は別としまして、既裁定年金の給付水準そのものに踏み込むかどうかが今後の 争点だと思います。  ポイント制、マクロ経済スライド等については画期的な考え方だと思います。特に労 働力人口が減り出した場合には、現役の実質賃金の伸びをそのままスライドさせたので は世代間の不公平を解消する手だてがなくなりますので、特にこの点は賛成したいと思 います。  支え手を増やすことについては、「雇用と年金の研究会」で既にある程度の考え方を 示してありますが、現行の第3号被保険者の130万円、通常労働者の労働時間4分の3 未満という基準を65万円未満、20時間未満に引き下げる必要があると思います。ただ、 それで第3号被保険者問題がすべて解決するわけではありませんが、第2号被保険者の 範囲を拡大することは非常に必要であろうと思います。  育児に対する支援をもう少し手厚くする必要があろうかと思います。  今後の議論としては、非常に建設的なたたき台が出されたと思いますので、これを ベースにして前向きな議論が進むことを期待しております。  ただ、寿命が非常に伸びた場合に、それに対する自動調整をどうするか、その点は検 討の必要があろうかと思います。景気の回復が何よりも必要な前提条件だと思いますの で、積極的な経済政策を期待しております。  第3号被保険者については先ほども触れましたが、遺族年金の問題等もありますの で、先ほど申し上げたパートに対する第2号被保険者範囲の拡大を前提とした上で論点 をもう少し詰める必要があろうかと思います。以上です。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは杉山委員、お願いいたします。 ○ 杉山委員  私はペーパーを読ませていただきたいと思います。私は主に6つ挙げさせていただき ました。  第1が第1号被保険者の問題です。今回の改正ではスウェーデンの例のような一本の 所得比例年金の創設は見送られましたが、今後、女性や高齢者が就労し、インターネッ ト等を使っての在宅やsmall office home officeなどでの働き方、それだけではないか と思いますけれども、こういった自営業的な働き方が既に増えているわけです。そう いったことを考えていけば、多様な働き方に応える年金制度についての検討を進めてい くことが必要だと思います。特に女性の場合、第1号被保険者は約1,008万人、第2号 被保険者は約1,279万人、第3号被保険者は1,194万人と、ほぼ同数になっています。こ れは平成10年度現在ですが、自営業の夫を持つ妻は本人も第1号被保険者でありますか ら、当然、保険料を支払っているわけですし、平均寿命で見ましてもご主人の方が先に 亡くなりますので、その後は基礎年金だけの暮らしということになります。  平均寿命が男性77歳、女性84歳で、今後更に長寿化が進む中では、自営業は死ぬまで 働くことができるから基礎年金だけで大丈夫ということが果たして言い切れるかどうか 心配です。所得把握の問題があるからということでそのままにしておくのではなくて、 どうすれば一本化していけるのかを考えていく必要があるのではないか。また、働き方 による公平性をどういうふうに見ていけば合意形成が得られるかということについて も、できるだけ自営業の方々の立場やお考えなども折に触れ聞く機会などを持ちながら 議論を続けていく必要があるのではないかと考えます。  第2番目、保険料固定については負担を先送りすることによる見えない不安から若い 世代が解放されるので、基本的に賛成です。最終的な保険料率への引き上げは次世代へ の負担をできるだけ軽くするためにも、2005年と言わずに到達時期を少し前倒しする方 向で検討を進めていく方がよいと思います。  3番目、わかりやすい年金制度にということで、ポイント制の導入をご検討されるの はよいと思います。こうしたことをやる一方で、社会保障制度そのものに対して若い人 がどれぐらい理解しているのかという部分に関しては、私も含めてですが、すごく不安 というか疑問なところがありまして、どうせ私たちはもらえないんでしょうと言うよう な人に対して、そうではないんだよ、社会保障制度はこういうふうに成り立っているん だよということを丁寧に説明していく必要があると思います。優香さんのポスターなど を見ても、何となく払わなきゃダメなんだよという部分ばかりが強調されている嫌いが あります。そうではなくて、これはこういうことなんだよという点をメッセージとして 伝えていくことも必要だろうと思います。  4番目は支え手を増やすことについて。これは本当にとにかく支え手を増やしていこ うということで話を進めていかなければならないと思っております。後から確認をとら せてもらったんですけれども、今回この「方向性と論点」で年金局が試算を出すに当 たっても、女性がほぼ7割方は働き続ける見通しということで計算されたと聞きまし た。できましたら、ここはまたどこかで補足していただければと思います。つまり、出 産・育児で仕事をいったんやめて、また復職というか再就職という形ではなくて、おお むね継続して働くようになっていくという見通しを立てておられるということでした。 それでもあのような厳しい試算になるということでしたら、この調子で出産や育児で いったんやめるというライフスタイルをとる女性の方が相変わらず多目であれば大変な ことになると思います。  年金とは直接関係ないかもしれませんが、女性が出産後も働き続けられるように企業 がファミリーフレンドリーになっていく、あるいは多様就業型のワークシェアリングに なっていく。その大前提は親が安心して子供を預けられる保育施設が数・質ともに充実 されることが急がれると思います。また、短時間労働者に対する厚生年金の適用も引き 続き検討していく必要があると思います。  第3号の問題については本当に難しくて、とりあえず分割案に関しては第2号の保険 料が第3号に移るわけですから総体的には何も変わらないことと、第3号を選ぶときに 有利な感じが出てしまうのではないかという部分が気になっておりまして、今後の若い 人たちが結婚して妊娠・出産していきながら働くことを考えた場合にこれはどうなのだ ろうか。男性も女性も年金制度の支え手になっていくことが大前提となる考え方を今後 はとっていかなければいけないのではないだろうかと思っております。  第6番目は次世代育成支援についてですが、年金へ課税し、その財源を次世代育成支 援に充ててはどうかと思っております。以上です。 ○ 宮島部会長  ありがとうございます。  それでは矢野委員、お願いいたします。 ○ 矢野委員  お手元の資料を読みながら、ところどころ補足してご説明させていただきたいと思い ます。一応、3点に絞って意見を提出させていただいております。  まず、基礎年金でございますが、次期改正における最大の課題は国民の年金制度に対 する信頼を取り戻し、制度を持続可能なものとすることである。国民の年金制度に対す る不信・不安が象徴的に現れているのが基礎年金の空洞化問題で、「方向性と論点」に その方策が盛り込まれているとは思えないと考えます。経済的理由ではなく、制度に対 する不信・不安を理由とする未加入・未納者が多いと推測される状況下で、この「方向 性と論点」に盛り込まれた保険料多段階免除の導入などが本質的な解決策になるとは考 えにくい。基礎年金に対する国民の信頼を回復し、真の国民皆年金とするために、現行 の保険料を中心とする方式から、次期改正において消費税を活用して国庫負担割合の2 分の1への引上げを確実に行い、その後に税による賦課方式へと移行し、消費を賦課対 象とする間接税方式とすべきであるという意見でございます。  長期的に持続可能な年金制度を考える上での視点は、一つは国民生活の長期的な安定 でありますし、もう一つは、そういう国民福祉の向上は経済の活性化なくしてあり得な いことでございます。その2つの観点を常に念頭に置いて議論すべきであると思いま す。  その場合の一つの指標が国民負担率でありまして、長期的にどうなるのかを念頭に置 いて議論すべきだと思います。国民負担率という場合には、その中に含まれるのは税で あり、社会保険であり、労働保険であると考えております。そうした幅広い総合的な観 点で考えていくことが大事ではないかと思います。  2番目は保険料水準でございますが、少子高齢化の進展や低成長経済など、今後の年 金制度を取り巻く環境を勘案すると、現行制度を維持したまま保険料の引上げと給付水 準の見直しを繰り返すことは国民の制度に対する信頼を低下させ、また現役世代と企業 の活力を損なうこととなります。その意味で、「方向性と論点」が保険料水準を固定し て少子化などの社会経済情勢の変動に応じて給付水準が自動的に調整される仕組み(保 険料固定方式)を選択肢の一つとして保険料負担の上限設定の考え方を示したことは評 価できると考えております。  しかしながら、今後少子高齢化の一層の進展により他の社会保障負担の増加も予想さ れることを勘案いたしますと、保険料固定方式の20%という最終保険料率の水準は高過 ぎると言わざるを得ず、20%よりも大幅に低い水準に抑制すべきであると思います。  給付水準でございますが、保険料固定方式におきましては段階保険料方式をとりつつ 最終保険料率を設定するとともに、給付水準の調整は基本的に名目年金額は維持しつ つ、年金改定率を調整するという手法をとっているため、相当長期間にかけて緩やかに 給付水準の引下げを行うこととなっております。これでは世代間の負担と給付のアンバ ランスの是正の面では不十分と思います。次期改正において相当程度の引下げを実施し ていく必要があると思います。  これについて補足いたしますと、給付のマクロ経済スライドという考えが出されてお ります。それを実施する際には、実績準拠法では、給付の調整が少子化の進展を後追い する形で行われるため、実際には2025年以降に集中することになるわけです。これでは 現在既に受給している人や近い将来受給者となる世代はほとんど影響を受けず、逆に今 後長く制度を支えていく現役世代が大きな影響を受けることを意味しているわけであり まして、現役世代の納得を得ることは困難だと思います。将来の少子化が見込まれてい る以上、将来見通し平均化法という形で労働力人口の見通しを織り込んで早目の給付水 準調整を行うべきではないか。この点は問題提起でありますが、申し上げておきたいと 思います。  戻って恐縮ですけれども、最初の基礎年金の問題で間接税方式にすることについてで あります。全国民がそれぞれ税を負担することによって年金制度を支えるものであり、 努力なしに老後の生活を丸抱えする制度ではなく、自助と自律の精神に反するものでは ないと私は思います。また、間接税方式によれば、公正な負担の実現が図られて未納・ 未加入問題あるいは3号被保険者問題などの解決にも資するわけでございますので、む しろ国民の合意を得られやすいのではないでしょうか。いずれにしましても保険料か税 かという問題は大問題でありますので、国民的なコンセンサスあるいは議会での論議も それに反映するわけでございますが、いろいろな意味でコンセンサス形成のためにしっ かりした議論をしていく必要があると思います。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは山崎委員、お願いいたします。 ○ 山崎委員  用意しましたペーパーをそのまま読み上げます。  第1点は給付と負担の見直しですが、「保険料固定方式」の採用に当たっては、世代 間の不均衡を是正するために給付面と負担面の双方での見直しを急ぐべきだと思いま す。  給付面に関しては、将来見通し平均化法などにより水準適正化を前倒しすることであ ります。また、年金課税の適正化も世代間の不均衡を早期に是正する上で効果的だと考 えます。  負担面に関しましては、保険料の引上げ計画を前倒しすることであります。少なくと も前回改正での保険料凍結の影響は早急に解消すべきです。なお、前倒しに当たっては 年齢別の保険料引上げ計画もあり得るのではないかと考えております。これは前回、神 代委員が非常に肩身の狭い世代だとお話しになったんですが、私もそういう世代であり ます。国民年金が始まったときに、年齢によって100円と150円という保険料がありまし た。民間保険に近い考え方ですけれども、こういう引上げもあり得るのではないかと考 えております。  2番目に育児期間に対する配慮措置ですが、次世代の育成を支援するという観点か ら、子を養育するすべての人を対象として、所得、職業、就業形態等に関わりなく支援 措置を講ずるべきであります。年金制度としては、育児期間について次のような配慮措 置を講ずることとしてはどうかと考えております。1階の基礎年金部分に関しては、第 1号被保険者も含めてすべての被保険者の基礎年金の保険料を全額免除あるいは軽減し てはどうかと考えます。この場合、第3号被保険者の扱いについては「夫婦間の年金権 の分割案」を採用し、妻も保険料負担を行っているものと擬制すれば、その保険料につ いて免除または軽減するという形をとれるように思います。  2階の厚生年金に関しては、育児休業を取得したか否かに関わりなく、育児期間の前 後を通算して一定の厚生年金の被保険者期間がある場合に、年金額算定において一定水 準の報酬を保障することとしてはどうかと考えます。  3番目に、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大です。この短時間労働者に対す る適用拡大は進めるべきではありますが、保険料負担と給付の関係については負担の下 限や報酬比例部分の給付設計について十分な検討が必要だと考えます。また、適用拡大 の実効性を確保する上では、労働保険との適用・保険料徴収の一元化等の業務体制の強 化や事業主負担の賦課標準を賃金支払い総額とするなどの見直しも必要だと思います。  なお、短時間労働者に対する被用者年金の適用拡大は専ら厚生年金が引き受けること になり、その結果、厚生年金と共済年金の報酬格差が一層拡大します。現在でも報酬格 差がありますし、平成15年度から総報酬制に移行することも含めて格差が大きく拡大す ることになります。この問題を解消する上でも、基礎年金に対する被用者年金制度の拠 出金負担は報酬総額比例とすべきであります。  4点目に、第3号被保険者問題への対応等であります。短時間労働者への適用拡大の 後もなお残る第3号被保険者問題への対応に関しては、所得分割方式の考え方に準ずる 実効可能性のある提案として「夫婦間の年金権の分割案」を共働き世帯も含めて採用す べきだと思います。この方法には健康保険との整合性も確保できるというメリットがあ ります。  このような形で年金制度の個人単位化が実現できれば、高齢期の遺族年金は将来的に 廃止されることになると思います。同様に、若齢期の遺族年金についても子なし妻の遺 族年金についてはこれを廃止し、一時金または有期の手当金に改めるか、または存続さ せる場合には年金課税を行うとか、在職者の年金額の一部または全部を支給停止すべき だと思います。  5番目にその他でありますが、給付水準の設定について、被用者世帯については「共 働き世帯モデル」により将来の年金額の水準を設定すべきであります。また、同様に自 営業者世帯についても一定の被用者年金の加入期間を有する「転職者世帯モデル」を考 えるべきではないかと思います。今、夫婦ともに生涯自営業ということは考えられない 社会になっていると思います。  年金資金を活用した次世代育成支援策については奨学金の貸付制度が一つの提案とし てありますが、そのほかに保育サービスの基盤整備のための還元融資制度も検討すべき ではないかと思います。以上であります。 ○ 宮島部会長  ありがとうございます。  それでは、資料2で少し戻っていただきまして、堀委員の提出文書でございます。こ れは総務課長の方からポイントだけご紹介いただければと思います。 ○ 高橋総務課長  18ページでございます。かなり長いものでございますので、全文の読み上げは時間の 関係でできませんので、ポイントだけお話し申し上げます。  第1、主要事項、1、制度体系・給付体系ということで、まず社会保険方式・2階建 て制度の維持ですけれども、その前提として十分な所得把握ができればスウェーデンの ような制度導入を検討すべきだというご意見でございます。  2番目の財政方式については、現行の賦課方式を基本にして高齢化に備えて積立金を 保有。  保険料の今後の引上げについては、保険料引上げの凍結の解除と段階的な引上げは必 要不可欠である。将来の段階保険料の固定につきましては、将来の段階保険料を国民に 明示し、かつそれを固定するという約束をするのはやむを得ない選択だということで、 方式IIに賛成であるということでございます。  給付水準につきましては、現在の給付水準はやや過大で、今後、高齢化が大幅に進 み、保険料が引き上げられる以上、給付水準の引下げは必要だということ。  自動調整につきましては、「将来の段階保険料固定・マクロ経済スライド方式」は人 口・経済の状況が財政再計算の前提と異なった場合に給付水準を自動調整するものであ り、給付水準変更に係る政治的リスクを回避することができる方式IIに賛成ということ であります。ただし、以下のような問題があるということで、(1)は、この自動調整を やっていくと代替率が下がっていくので、下がり過ぎた場合にどうするのか。保険料の 見直しも必要ではないかということ。(2)は、マクロ経済スライドを入れた場合に再評 価率の意味合いが不明確化しないかどうかという点のご指摘がなされております。  既裁定の給付水準につきましては、既裁定年金のスライド率を「物価変動率−スライ ド調整率」とすることによって給付水準を調整することは、就労世代及び新規裁定年金 とのバランス上必要。  それから、基礎年金の給付水準につきまして、今回の「方向性と論点」では基礎年金 の水準も調整することとしているが、第1号被保険者の定額保険料を負担可能な範囲に おさめるためにはやむを得ないのではないかということ。  水準の最低限については、ILO102号条約の最低基準への抵触について検討が必要 だというご指摘でございます。  マクロ経済スライドにつきましては、最初に国全体の経済力の伸びに見合ったスライ ドを行うということで、負担者の観点から理論的に正当化し得るということ。  寿命の変動につきましては、予想を超えた寿命の変動分は給付水準が調整されないと いう見方があるが、この点についてはどうか。これは質問でございます。この点につき ましては翁委員は9ページ、神代委員は16ページに同じ点の言及がございますので、後 ほど数理課長からお答え申し上げたいと思います。  スライド調整率につきましては、「将来見通し平均化法」よりも「実績準拠法」の方 が望ましい。  それから、単年度当たりのスライド率の下限については「物価下限型」よりも「名目 年金額下限型」の方が望ましいのではないかということでございます。  国庫負担率につきましては、2分の1への引き上げが必要だということでございま す。ただ、国庫負担の投入ということになると保険料負担を軽く見せかけて、その分、 給付を厚くする方向に働くので要注意だということであります。なお、税方式について は反対だということでございます。  その他の事項につきまして、女性と年金につきましては、第3号被保険者については 現在の日本の社会経済の現状ではまだ必要性がある。範囲は縮小するものの、制度の大 枠は維持ということで方式IVに賛成ということでございます。ただ、賃金分割方式=方 法Iを採用すれば廃止だろう。それから、離婚時の老齢厚生年金の夫婦間分割について は可能となるようにするべきだということです。  支え手の問題につきましては、パート労働者などに対する厚生年金の適用については 賛成である。それから、在職老齢年金の見直しにつきましては基本的に現行制度の枠組 みを維持。ただし、その途中で支給率の変更のある屈折点、これは現在22万円、「限界 税率」という言葉でお書きになっておりますが、これが50%になったのは見直しの余地 があるということでございます。  少子化対策につきましては、奨学金を貸し付けたらという「若者皆奨学生」案につい ては、基本的に賛成ということであります。ただ、利率によって一般財源による利子補 給をすることが考えられるということです。  スウェーデンに見られる概念上の拠出建て制については、保険料率を引き上げていく 途中での導入は不可能だろうということで、料率が定常状態に達したときに検討するべ きであろうという言及でございます。  そのほか、ポイント制につきましては導入に賛成、年金課税につきましては公的年金 等控除の見直しに賛成、確定拠出年金への拠出限度額の引上げについては今後の公的年 金の水準の動向を考えれば必要であろうというご意見でございます。  以上でございます。 ○ 宮島部会長  今の寿命の変動に関する自動調整のことで何かありますか。 ○ 坂本数理課長  今の資料の19ページでございます。マクロ経済スライドでは予測を超えた寿命の変動 分は給付水準が調整されないのではないかという見方がありますが、この点については 同様のことを大澤委員と神代委員も触れられていたところでございます。  まず、予測を超えた寿命の伸びによりまして、それだけ調整対象となる給付総額、給 付現価が増えるわけでございます。したがいまして、マクロ経済スライドのもとでは調 整期間が更に延びるという形になります。その分、所得代替率等は低下するのでござい ますが、マクロ経済スライドそのものにおきましては予測を超えた寿命の変動も調整し ていく機能は有しているということは言えようかと思います。  ただ、スウェーデンにおきましては、予測を超えた寿命の伸びは65歳の時点でその 世代において年金額を調整していくという考え方がとられておりますけれども、翁委員 がご指摘になっております点は、そういうことを意味しておられるのであれば、それを 仕組みとして取り入れるかどうかといことはまた別のテーマかと思います。しかしなが ら、スウェーデンにおきましても65歳を超えてからの寿命の変動は自動調整メカニズム の方に任されているというように理解しております。  以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  それでは、これで一通り今日意見を提出された方からご説明いただきました。それで は、余り時間がなくなってしまいましたが、今日意見を提出されなかった委員の方も含 めてご自由にご質問あるいはご意見があれば伺いたいと思います。 ○ 山口委員  ペーパーを提出しておりませんで申し訳ございません。各論に入るということで、私 は勤労者の立場で幾つか意見を申し上げておきたいと思います。  大澤委員もご指摘のとおり雇用環境の変化が大変大きくございまして、雇用の流動化 と多様化が一過性ではない。それと同時に、自主的な多様化・流動化というよりも、例 えば規制緩和という名のもとに多様化・流動化しやすい労働法の改正があったりという ことで、これは大変大きな環境変化としてとらえなくてはいけないのではないかと考え ております。  特にパートタイマーを中心とする短時間労働者に対してでございますが、これは部会 長代理を含めて厚生年金の適用を拡大すべきという意見がございまして、それには賛成 でございます。今現在、労働時間と年収のいずれかということで厚生年金の適用拡大に ついて言及されているわけですけれども、双方からふるいにかけて短時間労働者の厚生 年金の加入を拡大するべきだと考えております。  もう一方では、短時間労働者と同様に派遣労働者も拡大傾向にある中で、常に仕事に 就けない登録型という方たちも多くなってきているわけです。拡大傾向にあるというこ とでは、その方たちについても考えておかなくてはいけないのではないか。  多様化・流動化という中で更に1点、失業者でございます。これは多様化・流動化の 中で考えられるかというと、また別の視点だと思いますが、今現在ご存知のとおり失業 率が大変高まっている。率だけではなくて人員が多くなり、失業期間1年を超える失業 者が多くなっている中では、長年2号被保険者として保険料などを拠出していた立場の 方たちで非自発的な離職ということになった方が多くいるわけです。そこを考えると、 私たちがこれから各論を議論していく中では今現在失業していることによって生活不安 があると同時に、それに伴って将来厚生年金の2号から脱落してしまうという二重の不 安になることについてもきちんとカバーしていかなくてはいけないのではないかと考え ております。  以上、雇用の多様化・流動化に対する対応をこの審議会の中でより議論していきたい という意見でございます。 ○ 渡辺委員  翁委員、矢野委員、山崎委員のおっしゃったことに関して、できればご意見を伺いた いのです。翁委員はいわゆるリスクシナリオということで、もう少し厳しい見通しを出 して欲しいとおっしゃりました。意見として全く賛成する部分はあるんですが、やはり 今回の目的の一つとしては確かに現実を厳しく見ることも大事ですが、やはりもう一 つ、将来の年金に対する信頼・安心を与える必要がある。そういった意味で甘い見通し ということではないんですけれども、それをどうするかという問題を考える必要があ る。  矢野委員、山崎委員がおっしゃった将来見通し平均化法、つまり給付ダウンをもっと 前倒しして行うという意見。ある意味では厳しい見通しに立ってということで、これも 現実問題として非常に正しいと思うのですが、今回採用するかどうかは別として議論に なっている保険料固定方式、給付自動調整法は、このままではダメだから将来の少子化 問題あるいは高齢者雇用・女性雇用をもっと進めなければいけない。それはいわば政労 使みんなで頑張れば給付も改善されるという期待を込めた改革と私は受け止めているん です。そういったことも組み込んだ方式だという意味で検討していきたいという考えな ので、そういったことから考えますと、非常に厳しいからもっと厳しく見ろということ は確かに正しいのかもしれないけれども、これではまた暗いシナリオになってしまう。 新聞からもよくそういったことで叩かれますけれども、もう少し前向きなシナリオは書 けないのか。そういった観点からこういった選択肢があっていいと思うのですけれど も、もしできれば皆さんのご意見を伺いたいと思います。以上です。 ○ 翁委員  保険料を最終的に固定したとしても、やはり現実のシナリオが進むにつれて年金制度 の設計がだんだんずれていった場合に、今回のように大きく制度を改革して、それで ルールをつくってしまいますと、その変更が迫られることになった場合の落胆はもっと 大きいものがあると思っています。その意味で今回は制度を大きく改革し、しかも5年 ごとに見直すということを基本的にやっていかないとするからこそ厳しいシナリオも前 提に置いて試算を出しておく必要があるのではないかという気持ちでおります。  もちろん、そのためにこそ経済を活性化していかなければならないということになる と思います。その意味でもちろん前向きな議論は必要ですが、制度を維持するという前 提を考えますと、やはり足元の経済実体は少なくとも反映させるべきであり、その足元 の実体が反映されているシナリオだと見れば、現在のままですと少なくとも物価上昇率 はゼロですし、そして名目賃金上昇率はマイナスになっているという状況で、果たして これで多くの方が試算の前提を蓋然性が高いとお思いになるのかという点について、私 は少し疑問を持っているということです。 ○ 山崎委員  今回の最終保険料固定方式は世代間の不均衡を是正することになっていないわけでご ざいまして、将来的な保険料負担の上限は固定するけれども、その代わりに将来世代の 給付を下げるという形であります。やはりスウェーデン方式には魅力がありまして、ど の世代でも掛け金と給付が見合うということであります。私が給付の適正化、負担の引 上げをそれぞれ前倒しすべきだと言っているのは、可能な限りスウェーデン方式に近付 けたいということでございます。 ○ 宮島部会長  矢野委員は今の点は同じ意味でおっしゃったんでしょうか。 ○ 矢野委員  付け加えて申し上げたいと思います。  将来見通し平均化法はおっしゃるとおり厳しさということを前提に置いているんです が、将来世代にツケを回さないという考え方が一つあります。一方で何といっても少子 化対策を進めて、心配している最大原因がなるべくなくなるように努力もしなければい けないし、経済を活性化しますと、それだけの余裕も出てくるということがありますか ら、そういうプラス面の努力はどうしても必要だと思います。  先ほどお話があった雇用の多様化というのも、これからますます進んでいくと思うの です。そういう前提の中で考えますと、やはり人口が減って労働力人口も減っていく状 況の中で女性や高齢者の活用はますます進むわけですが、それ以外に外国人労働者の問 題、移民も含めまして、こういう問題も避けて通れない課題であって、そういうことを 全部合わせて国民的なコンセンサスをつくっていく。移民法となりますと、いろいろな 意味で議論としてはまだ未熟な段階かもしれませんが、将来の日本を考えて、そういう ことまで含めて考えていくことが今ご指摘のあったポジティブ志向にもつながるのでは ないだろうかと思います。 ○ 宮島部会長  これは今後また議論を深めていきたいと思います。 ○ 大澤委員  井手委員のご意見と山崎委員のご意見で、それぞれ一つずつコメントといいますか、 補足になる部分もあろうかと思います。  井手委員のペーパーで1ページの下から3分の1ぐらいのところですけれども、次世 代育成支援ということで本人負担分の免除措置等が出生率にどのような影響を与えたか 評価が必要ではないかというご意見がありました。出生率への直接の影響という面と、 休業しても将来の女性の年金額が余り下がらないようにするための措置という意味もあ るのだと思いますが、いずれにしてもこの考え方の背景は、育児期間中も働き続けて保 険料を払い続けることがないとしても年金額が余り下がらないようにしてあげようとい うことで、それが次世代育成支援になるという考え方だと思うんですけれども、ご承知 の方もいらっしゃるように働いている母親と職業のないお母さんで実際に産み育ててい る子供の数は働いている母親の方が多いわけです。1.98人と1.91人ということでわずか な差ではありますが、働いているお母さんの方が実際に産み育てている子供の数が多 い。  都道府県別に30代の女性の労働力率と出生率の関係をとりますと、明らかに右上が り、正の相関関係がございます。30代の女性の労働力率の高い県の方が出生率も高いと いう関係になっておりますので、このような次世代育成支援措置の背景にある考え方に ついて再考が必要ではないかというのが井手委員のご意見に関連してのコメントです。  山崎委員のご意見に関連してのコメントはモデル年金の設定でございます。先ほど言 いましたように今回出されているモデル年金についての試算は、20%で固定した場合は 所得代替率が従来の59%から52%に下がり、もし18%を上限とすれば45%まで下がると いう結末になって、それで半分を割り込んでいいのかという話がされているわけですけ れども、このモデル年金はご承知のように完全な専業主婦世帯についてのモデル年金で ございます。世帯類型別の所得代替率で言えば、所得代替率が最も高く出る世帯類型で もって、将来は52%でいいのか、45%でいいのかという話がされている。共稼ぎ世帯で あれば、所得代替率はどの試算をとってみても片稼ぎ世帯に比べて10%低いわけです。 したがいまして、もし片稼ぎ世帯が45%に下がるなら共稼ぎ世帯は35%に下がってしま うという話になるわけです。転職も踏まえた複数のモデルを発表して、その上で議論す ることが非常に重要ではないか。その意味で山崎委員のご意見に賛成したいと思いま す。 ○ 小島委員  何人かの委員の皆さんから、特に山崎委員から今回のマクロ経済スライドを入れて保 険料固定方式をとっても、その間、最終保険料に到達するまでは世代間の不公平が残る というお話ですけれども、全くそうだと思います。  そういう意味では、年金を損得論だけで議論していいのかどうかということが大きな ポイントだろうと思います。ということは、今までの年金制度はそういう損得論だけで 議論しないことを前提にした制度でありますので、もう一度やはり公的年金の役割を位 置付ける必要がある。やはり基本的に年金財政という中だけの負担と協力の関係で見る のではないだろうと思っています。その関係で言えば、今回の部会では老齢年金の水準 のあり方だけが議論になっていますけれども、もう一つ年金全体の給付の中では遺族年 金をどう扱うかということが大きなポイントになるだろうと思います。厚生年金の場 合、遺族年金受給者は将来的に受給者数で全体の4割ぐらいを占め、給付総額でも3割 近くになるということであります。この遺族年金をもしスウェーデンのように年金から 外してしまえば財政的には余裕が相当出る。最終保険料を20%まで持っていかなくても 現行の老齢年金の水準を維持しても十分可能であるという絵が描けるだろうと思います ので、そういう視点からの検討が必要ではないかと思います。  最後に、前回も言いましたように1階部分を税方式にした場合に2階の厚生年金の保 険料がどうなるかということで、連合の試算では2025年では年収に対して15%ぐらいの 保険料率で済むということであります。2050年、2060年を見越しても若干その上に保険 料が乗る程度で十分やっていけるということでありますので、そういう試算も是非はじ いていただければと思っております。以上です。 ○ 神代部会長代理  8ページの翁委員のご意見の中で脚注の2というのがあるんですが、私の意見の14ペ ージの下段の方に書いておりますように年金専門家はこういう計算を通常おやりになる んです。しかし、こういうやり方が非常に世論を惑わす一つの原因になっていると私は 考えておりまして、従来、厚生省時代に出した年金白書の中でこういう考え方とは違う 世代間の不公平の見方を出しています。  使用者負担の保険料を自分が払ったものに含めるということが果たして世代間の不公 平を論ずる際に適切な方法なのかどうかということをもう少し慎重にご判断されるべき ではないか。こういう数字をお出しになるなら、本人負担分だけで計算した場合にどう なるのか。数字としては年金白書に既に出ており、国民年金についても似たようなこと があり得るわけですけれども、こういう議論をなさる場合はもう少し慎重なご判断が必 要ではないかと考えます。  これも先ほど触れませんでしたが、矢野委員がおっしゃった外国人労働者問題は非常 に重要な問題だと思っておりますが、既に23万人おります在日南米人の方々が直面して おりますような問題に対応することとなります。これは別に年金とは直接関係ない部分 も多いんですが、そういう問題を抜きにして年金の支え手としてだけ外国人の問題を論 ずるのは非常に大きな問題をはらんでいる。是非そういう点も併せてご検討いただきた いと思います。 ○ 宮島部会長  これまでのご議論の中で幾つか出てまいりまして、恐らく委員の中には今すぐ反論し ておきたいという方もいらっしゃるかとは思いますが、総論に関する総括的なご意見は 今回で承ったということで、今後、各論に進みながら議論を進めていくということはご 了解いただきたいと思います。その際に恐らくこういう論点は繰り返し繰り返し出てく ると思いますし、我々の方も議題の設定としてはなるべく何ラウンドかをこなしながら ということでございますので、その際にまた適宜機会を選んでご意見をいただければと 思います。  今日はいろいろご質問、また最後に若干のご意見も出ております。今日は時間がござ いませんが、それに対して是非これは委員の方に知っていただきたいという方は、簡潔 なメモで結構でございますので、例えば幾つかご質問が出たケースでありますとか、そ れについて反論あるいは再意見がございましたら次回の部会までにお出しいただければ 幸いに存じます。本来の意味の議論はこれからということでございますので、今後とも よろしくお願いいたします。  前回、それから今回にわたりまして「年金改革の骨格に関する方向性と論点」という ことで総括的なご意見あるいはかなり個別の論点まで含めたご意見を伺ってまいりまし たが、これをたたき台として今後の検討の中で更に検討すべき事項を明確にし、詳細に 検討すべきことになると思います。  これからの議論の進め方、おおよそのスケジュールなどにつきまして事務局からの説 明をお願いしたいと思います。  それでは、資料3に基づきまして総務課長からお願いいたします。 ○ 高橋総務課長  資料3に今後の議論の進め方(案)と書いてございますが、今日は1月の「方向性と 論点」に関する議論、その他、予算のお話をさせていただきました。  前回も局長から秋の早い段階で厚生労働省としての年金改革案を出したいと申し上げ ましたけれども、2月以降につきましては、そういった点を考えましてスケジュールを 組み立てていきますと、2月から個別テーマに入っていくということでございますが、 おおむね月2回程度の開催を念頭に置いております。ただ、2月はいろいろな関係がご ざいまして1回になるかと思っておりますが、3月以降は2回ぐらいの開催になろうか と思います。  テーマといたしましては既に「方向性と論点」の中で、この辺が選択肢。あるいはこ の辺が検討事項ということを明示いたしておりますけれども、それをもう一回列記いた しますと、まず「給付と負担のあり方 −これまでの方式と保険料固定方式」あるいは 「−給付調整方法」など、それから「支え手を増やす取組」、「女性と年金」「遺族年 金」あるいは「障害年金」その他ございますが、それから「年金積立金・資金運用、経 済前提」の話、それから「国民年金(保険料徴収、免除)」、「企業年金」、「年金と 税制」といったテーマにつきまして、それぞれのテーマを集中的にやる。1回ぐらいで 終わりそうなテーマはありますけれども、例えば「給付と負担のあり方」あるいは「支 え手を増やす取組」あるいは「女性と年金」などは恐らく2回あるいは3回くらい必要 かと思います。その点につきましては一度に行うということではなくて、私どもは具体 的な制度設計案などの作成もございますので、1ラウンド、それからしばらくたってか ら同じテーマが2ラウンドと出るというものもあるかと思いますけれども、進め方とし ては大体こんな感じで進んでいきたいと考えております。それから、7月ぐらいから総 括的なご議論をいただきたいと考えております。  右側の備考に書いてございますが、昨年、税に対する対話集会ということで各地でか なり回数を重ねて開催してございます。私どもは国民的な年金のご議論をいただきたい ということで申し上げておりますが、各地で月1回ぐらいのペースでシンポジウムなり 対話集会のようなものを開催していきたいと考えております。その際にはできるだけ委 員のご参加をいただきたいということで、その点はご配慮のほどをよろしくお願い申し 上げたいと思います。以上でございます。 ○ 宮島部会長  まだおおよその日程ということですが、今後は、こういうスケジュールで進めていき たい。この年金部会としては秋がメドでございまして、お忙しい中ではございますけれ ども、そのために3月ぐらいから月2回のペースで各論に沿って議論を進めていきたい と思っております。先ほど申し上げましたように一つの議題を集中して1カ月だけで終 わらすというのではなくて、その議論を受けて間に議論を挟みながらまた次のラウンド を設けるという形でできるだけ審議していきたいと思います。  先ほど井手委員のレポートを読みながらいろいろと考えていたのですが、資料の要求 やアンケート調査の必要性、そういうものがたくさんございました。なるべく厚生労働 省なり年金局でできることについては資料を作成しましたり、シミュレーションをやっ てみたり、試算などもやってみたいと思っております。ただ、何分にも人的資源の点も ございますので、これはむしろ委員の方にお願いでございますが、年金に関して非常に 多くの議論がされておりまして、それぞれ所属されている研究機関あるいは団体なりで いろいろな形でシミュレーションや試算や研究を行っているケースもあると思います。 もちろんそれはそのものを議論するのではなくて参考資料として、そういうものがござ いましたらご提出いただければ大変ありがたいと思います。また、我々が全部のことを 十分よくわかっているわけではありませんので、そういう資料があるということがあれ ばご紹介いただければありがたいと思っております。もちろん我々としてもできるだけ の準備はしたいと思います。恐らくすべてお答えするのは難しいかもしれませんが、そ の点はできるだけ事務局に指示をして作成してもらうように依頼していくつもりでござ います。  大体こういうスケジュールで今後議論させていただくということでよろしゅうござい ますでしょうか。  それでは、時間になりましたけれども、今回はここで終わりますが、ほかに何か事務 局の方から説明はございますでしょうか。 ○ 高橋総務課長  次回の日程につきましては日程調整の上、また改めてご連絡申し上げたいと思いま す。どうもありがとうございました。 ○ 宮島部会長  どうもありがとうございました。  それでは、本日はこれにて終了いたします。 厚生労働省年金局総務課企画係  (代)03-5253-1111(内線3316)