03/01/20 第18回社会保障審議会介護給付費分科会議事録         社会保障審議会 第18回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所    平成15年1月20日(月) 14時から16時半    霞ヶ関東京會舘ゴールドスタールーム 2 出席委員    西尾、井形、青柳、新井、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、    田中(滋)、田中(雅)、中村、橋本、堀江、村上、矢野、山口、山崎、    山本の各委員    三宅、高見澤の各参考人    澄田、樋口の各委員は欠席 3 議題  (1)介護報酬見直し案について  (2)その他 ○ 予算編成経過について中村老健局長より報告 (中村老健局長)  予算編成に先立ち、12月18日、厚生労働大臣と財務大臣の間で、予算の重要事項 について協議が行われ、この中で、介護報酬についても協議事項として扱われた。  保険料の上昇幅を極力抑制する見地から、近年の賃金、物価の下落傾向や、各事業の 経営実態等を考慮し、全体としては引き下げの方向で決定する。他方、在宅重視、自立 支援といった観点に立ち、必要な介護サービスの確保と、サービスの質の向上を図るた め、所要の財源も確保する。以上の方針で両大臣の協議に臨み、全体で2.3%のマイ ナスの改定、在宅サービスについては、平均で0.1%の引き上げ、施設サービスにつ いては、平均で4.0%の引き下げということで決着した。  近年の賃金、物価の下落傾向を踏まえると、介護サービスそれぞれについて、人件比 率など異なるのでそれぞれのサービスによって値は違うが、概ね3%半ば程度のダウン となると考えたが、12月9日にとりまとめいただいた介護報酬見直しの考え方の中で 示された様々な改善事項、それを実現するために改善に必要な部分を考慮し、全体で2 .3%の引き下げとした。  在宅、施設の配分については、在宅重視の考え方に立ち、また、介護報酬見直しの考 え方で示された改善方策を考え、介護事業者のそれぞれの経営実態も考慮して、0.1 %の引き上げ、4%の引き下げという配分にしたところ。  以上の大臣折衝の結果を踏まえ、昨年来、15年度の予算案の編成作業を行ったが、 15年度予算の介護保険の費用は、総費用5兆3,995億円ということで、前年に比 べて2,819億円増加しているので、伸び率が、介護報酬の2.3%の引き下げをの みこんだ上で、トータルで5.5%増になっている。  国庫負担の総額も、介護保険関係で、1兆5,594億円ということで、対前年1, 010億円の増、6.9%の増となっている。  介護報酬の見直しについては、各党にも検討経過を折に触れ報告しているところ。自 民党厚生労働部会の議論も、当分科会に報告してほしいという要望を受けたので、報告 する。  訪問介護について、営利法人である事業者が、かなり高利益を上げているという報道 があるが、訪問介護事業者間で設置主体別に見ると収益率に格差が大きいと見受けられ る。この格差があることについて、まず、十分な分析評価を行うべきではないか、必要 があれば、今後の介護報酬のあり方についても検討すべきではないかという議論がなさ れた。  医療職以外の医療行為の実施状況について、主として在宅であるが、その実態と今後 のあり方についてどう考えるべきか関心を持っている。また、介護保険施設についても 3施設あるが、体系の見直しが必要ではないかといった議論がされている。 ○ 平成15年度予算案について貝谷介護保険課長より説明 (貝谷介護保険課長)  費用総額が5兆3,995億円、利用者負担を除き、給付費全体として4兆8,04 5億円。給付費のうち国庫負担となっているのが、いわゆる20%の介護給付費負担金。 15年度予算でいくと9,609億円。  調整交付金、これは費用総額の5%を全体として国が負担する仕組みで、15年度予 算では2,402億円。いずれも伸び率として、6.3%の対前年伸び率になっている。 これは、介護報酬のマイナス改定を織り込んだ上での伸び率。介護報酬を織り込まない 伸びでいくと、全体として、15年度概算要求時の総費用ベースで、7.7%の伸び。 給付費ベースでいくと8.5%の伸びからそれぞれ介護報酬のマイナス分を考慮した。  支出に関しては、在宅サービスにつき、15年度全体として2兆745億円。改定の 影響率プラス0.1%。ウェートは施設と比べ相対的に高まっている。一方、施設サー ビスは改定率マイナス4.0%。これを反映しウェートは相対的に低くなっている。  国庫負担総額は、既に述べた20%負担分、5%負担分の他に全体給付費の32%部 分を2号被保険者の介護給付費納付金で賄っており、一部国庫負担がある。これらの合 計で、また、2年後の精算分を含み、1兆5,541億円。国庫負担ベースでいくと、 対前年度8.2%の伸び。  また、第1号被保険者の保険料については、現在、各市町村において、第2期の事業 計画の策定に合わせ、最終調整段階を迎えている。昨年の8月に公表した中間的な全国 集計値によると、サービス量等の見込みにおいて、介護サービス全体では、第1期の3 年間と第2期の3年間の比較で見て18%増。うち居宅サービスの伸びが32%、施設 サービスの伸びが10%。保険料にすると11.3%増、月額あたり3,241円とな っている。今回の介護報酬のマイナス改定の影響が、8月公表時においては含まれてい ない。  第1期の事業計画において黒字が出た保険者については、基金があるのでそこからの 繰り入れもマイナスの要素になる。赤字保険者については、財政安定化基金からの借り 入れに対し、原則3年である償還期限を6年ないし9年に延長する措置を取っている。 これらのものの適用がどの程度されるかも要素になる。どの程度の給付増を見込むかが プラスの要素となり、プラスマイナス織り込んだ上で最終決定ということになる。  2号保険料については、毎年度それぞれ定めている。各年度ごとに当該年度の給付見 込額、2号被保険者の見込み数に基づき、概算で負担いただき、2年後に実績を踏まえ て精算する仕組み。  15年度の概算の納付金全体の額は、4兆8,045億円、2号被保険者全体では3 2%を負担することになるので、32%を掛け、1兆5,374億円になる。  2号被保険者の見込み数は4,210万人であり、2号被保険者一人あたりの負担額 は年額で3万6,515円となり、月額換算では3,043円となる。14年度概算月 額ベースは2,918円であり、15年度の概算負担額の伸びは4.3%であり、今回 のマイナス改定分2.3%を織り込んだ伸び率である。 ○ 介護報酬見直し諮問案について外口老人保健課長より説明 (外口老人保健課長)  介護保険法の規定に基づき、サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び運営 に関する基準を改正することについて社会保障審議会の意見を求めるものである。  今回の見直し案の作成にあたり、前回の分科会でまとめられた介護報酬の見直しの考 え方に基づき、個別のサービスの単位に設定を行った。  平成15年度の介護報酬見直しは、第2期介護保険事業計画期間の介護サービスの増 大及びこれに伴う保険財政への影響が大きいことや、近年の賃金・物価の下落傾向、介 護保険施行後の介護事業者の経営実態を踏まえ、保険料の上昇幅をできる限り抑制する 方向で適正なものとするよう検討され、昨年12月18日の事前大臣折衝の結果を受け、 全体としてマイナス2.3%。内訳は在宅平均でプラス0.1%、施設平均でマイナス 4.0%の改定を行う。  今回の見直しにおいては、限られた財源を有効に活用するために、例えば、ケアマネ ジメントなどの当初の設定が実態に即して合理的であったかどうかの検討を踏まえなが ら、効率化、適正化と平行して、制度創設の理念と今後の介護のあるべき姿の実現に向 けて必要なものに重点化した。  具体的には、介護保険法の総則にも示されている在宅重視と自立支援の観点から、要 介護状態になることや、要介護度の上昇を予防し、要介護度の軽減を図るとともに、要 介護状態になっても、できる限り自立した在宅生活を継続することができるよう、また、 一旦施設に入所した場合でも、在宅生活に近い形で生活し、将来的にはできる限り在宅 に復帰できるよう、リハビリテーション、あるいは退院、退所前からの連携の評価など を含めて、所要の見直しを行った。  また、個々の利用者のニーズに対応した、きめの細かく満足度の高いサービスが提供 されるよう、サービスの質の向上に重点を置いて、個室ユニットケアや、グループホー ムの夜間ケアなどの見直しを行った。  この居宅介護支援は、要介護度に応じた650単位、720単位、840単位の3段 階の評価を一本化し、1月当たり850単位とした。  介護事業経営実態調査では、居宅介護支援は、平均して20%の赤字であり、実態を 見ても96%の事業所が他の事業所と併設されている実態がある。そのため、公平性、 中立性を維持できるようにするため、大幅な引き上げを行った。  また、質の高い居宅介護支援の評価を行うため、支給限度額管理の対象となる居宅サ ービス4種類以上を定めたケアプランによりケアマネージメントを行う場合には、1月 100単位の加算を行う。  一方で、居宅サービス計画を利用者に交付しない場合や、居宅訪問を1か月間もしな い場合、ケアプランのアセスメントを3か月も記録しない場合、あるいは要介護認定や 更新の際に、関係するサービス担当者と連携が取れていない場合には3割の減算、この 場合、595単位と計算されるので、現行の要支援の650単位よりさらに少なくなる。  仮に減算を前提として業務をしていると思える事業者があった場合には、必要な指導 をすることになる。  訪問しないような場合には、減算でなくて、全く算定できないようにしてもいいので はないかという意見もあるが、ケアマネジメント業務については、発展途上という面も あり、また、給付管理に関わる業務など、事務管理に関わる業務もあることから、今回 は減算とした。その上で減算される場合の実態や、利用者数との関係などを把握してい きたい。  また、単位の単価には、地域差が導入される。  訪問介護では、複合型を廃止し、家事援助は生活援助と名称を改める。単位は、短時 間のサービスを重点的に評価する体系として、身体介護中心型の30分未満は、210 単位から231単位へ、家事援助中心型は30分以上1時間未満は153単位から20 8単位としており、家事援助が新しい名称となった生活援助については相当の引き上げ となった。  3級訪問介護員によるサービス提供の場合の減算は、生活援助についても行うことと し、減算割合も増やすこととし、算定単位が95%から90%へと変更。  いわゆる、介護タクシーについては、身体介護の単位で算定されている実態を適正化 するため、適切なアセスメントに基づくケアプラン上の位置づけを前提とし、要支援の 場合は、算定対象から除外し、さらに算定要件を通院等のために乗車・降車の介助を行 った場合に限定して移送行為は訪問介護の算定対象から除外する。単位は、従来の身体 介護で算定した場合の半分以下になるが、100単位とした。  通所サービスは全体としては引き下げとなるが、延長サービスを1時間あたり50単 位とし、2時間まで算定できるようにした。  訪問リハビリテーションについては、退院退所後、6か月以内の訪問リハビリテーシ ョンの利用者について、個別の計画に基づき日常生活動作の向上を目的としたリハビリ テーションを行った場合に、50単位の加算をする。この訪問リハビリテーションは、 老人保健施設からでも算定可能である。  通所リハビリテーションでは集団を対象としたリハビリテーションは基本単位に包括 し、個別リハビリテーションを行った場合、退院、退所後、1年以内は130単位、そ の後は100単位の算定とした。  居宅療養管理指導では、きめ細かく個別的な指導管理の充実を図り、利用者の在宅生 活における質の長期的な維持向上を目的として、単位の再編をした。  訪問看護の現行の制度では、緊急時訪問看護加算は、緊急時訪問がなかった場合でも 1,370単位の算定が可能ないわゆる体制についての加算であるが、緊急時訪問がな かった場合は、540単位とした。  グループホームでは、基本単位の部分について一定の引き下げをした上で、夜間ケア 加算71単位を設定した。現行の場合、夜は宿直体制を前提としていたが、実態として、 夜勤の体制が6割を占めることから、算定要件である適切なアセスメントに基づく介護 計画、夜勤職員の配置、評価結果の公表を行った場合に、夜間ケア加算が算定できるこ ととした。  介護老人福祉施設については、画一的な集団処遇ではなく、在宅での暮らしに近い日 常の生活を通じたケアを行う観点から、入所者の自立的生活を保障する個室と、少人数 の家庭的な雰囲気の中で生活できるスペースを備えた小規模生活単位型特別養護老人ホ ームで行われるユニットケアを評価することとした。このいわゆる個室ユニットケアの 場合の介護報酬は、要介護度に応じて784単位から974単位と設定されている。現 行の単位よりは少し下がるが、従来型の特別養護老人ホームよりは、引き下げ幅が小さ くなっている。  一方で、居住費については新たな自己負担が導入される。低所得者については負担軽 減のため、保険料区分第1段階の場合に66単位、第2段階の場合に33単位が加算さ れる。  従来型の特別養護老人ホームは、全体として引き下げとなっているが、要介護度別の 単位は現行よりも要介護度の高い方に厚い体系となっているため、要介護度が高くなる ほど引き下げ幅は小さくなっている。また、従来型の特別養護老人ホームであっても、 30床以下の小規模施設の場合には、効率化には限界があるため引き下げ幅は小さくし てある。  介護老人保健施設は、特別養護老人ホームと同様に引き下げとなる。老人保健施設の 役割として、リハビリテーションがあるが、理学療法士等を増員してリハビリテーショ ンに力を入れている施設は、入所期間が短いというデータもある。今回の改定では、理 学療法士等を増員して、個別リハビリテーション計画を作成し、その計画に基づきリハ ビリテーションを行う体制にある場合に、30単位加算する。  介護療養型医療施設全体では引き下げとなるが、引き下げ幅は、経営実態調査結果も 参考にして、特別養護老人ホームや老人保健施設よりも小さくなっている。  この介護療養型医療施設では、看護6対1、介護3対1以上の人員配置を前提とした 単位が経過措置が切れるため廃止となる。この場合、単に現行の6対1、4対1の単位 を一定の率で引き下げた単位で対応することにすると、要介護度の高い患者を主体にし て療養に必要なスタッフを確保していた施設では、運営に支障をきたす可能性もある。 また、介護療養型医療施設に期待される役割としては、特別養護老人ホームや、老人保 健施設では対応困難な患者を受け入れることがある。そこで、今回の改定では、介護療 養型医療施設では、長期にわたる療養の必要性が高く、要介護度の高い患者に高い単位 の体系とし、逆に要介護度が低い場合には、老人保健施設に近い単位まで引き下げてい る。今回新たに設定した重度療養管理は、医療保険と介護保険の機能分化が進む中で、 制度の狭間で、どちら側からも受け入れなくなるような場合をなくすのが目的である。 対象となるのは、常時頻回の喀痰吸引を実施している患者、透析をしている患者で重篤 な合併症を有する場合、あるいは障害等級が4級以上に該当するストーマを有する患者 などの場合であり、現在の要介護度が4又は5の入院患者の中では、約3%が対象にな ると推定している。この重度療養管理加算は、介護療養型医療施設の行う、ショートス テイの場合にも算定される。  リハビリテーションについては、医療保険の療養型医療施設と同様に、個別リハビリ テーションを評価する体系とし、一人一人の患者に合わせた計画により自立支援を目指 すこととしている。  3施設に共通で新設した加算として、退所退院前連携加算がある。これは、従来の退 所退院時指導加算を再編して充実したもの。退院退所の前から利用者の希望する居宅介 護支援事業者と連携して、退院、退所後の居宅サービスの利用に関する調整を行った場 合に500単位を算定するものであり、在宅復帰が円滑に進むことを目的としたもので ある。  今回の改定では、経済情勢や保険料の動向を考慮し、経営状況も参考にして、全体と しては、一定の引き下げをしているところであるが、引き下げる中でも、当初の設定で 実態から見て是正すべき部分を改善し、さらに、今後の介護のあるべき姿を念頭に、在 宅重視、自立支援の観点から改善すべき部分を改善することを目指している。 ○ 運営基準見直し諮問案について石井計画課長より説明 (石井計画課長)  今回、介護報酬の改定に併せて、運営基準の見直し、居宅介護支援、特別養護老人ホ ームなどのサービスの取扱いについて、以下のような改正を行うこととしたい。  別紙2の1は居宅介護支援(ケアマネジメント)に関する改正であるが、今回の報酬 改定においては、ケアマネジメントの質の向上を図る観点から、一定の要件を満たさな い場合には、報酬を3割減算する仕組みを導入する。この減算要件と同様の規定を運営 基準にも盛り込み、介護支援専門員、ケアマネジャーが居宅サービス計画、ケアプラン の実施状況の把握などを行う際に守るべき事項として明記することとした。具体的には、 少なくとも1月に1回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接すること。次に、少なく とも3か月に1回、ケアプランの実施状況を把握した結果を記録すること。さらに、利 用者が要介護更新認定や、要介護状態区分の変更の認定などを受けた場合には、サービ ス担当者会議を開催するなどにより、ケアプランの変更の必要性について専門的な見地 からの意見を求めること。  ユニットケアを行う小規模生活単位型特別養護老人ホームでは、在宅に近い居住環境 の下で、在宅での暮らしに近い、日常生活を通じたケアが行われることから、居室と在 宅での居間に相当する空間である共同生活室の提供に伴って必要となる費用について、 入所者から支払いを受けることができることとする。  低所得者対策については、保険料区分第1段階の入居者の場合には、66単位。これ は月額では2万円に相当。また、保険料区分第2段階の入居者の場合には、33単位。 これは月額で1万円に相当。こうした加算が施設への報酬に対して行われることから、 これらに該当する入居者の居住費は、その分、すなわち2万円又は1万円を減額した額 とする内容を定める。  なお、居住費についての低所得者対策として、このほかにも社会福祉法人による負担 軽減制度も併せて講じる。  特別養護老人ホームに配置されている介護支援専門員が守るべき事項を追加するもの であるが、3施設共通の規定として追加を行いたい。入所者への面接、あるいは施設サ ービス計画の実施状況の記録について定めることとする。  別紙2の2(4)と(5)はユニットケアを行う小規模生活単位型の特別養護老人ホ ームが守るべき事項を定めるもの。ユニットケアは、在宅の暮らしに近い日常の生活を 通じたケア、一人づつの生活を尊重したケア、こういう点に大きな特徴がある。まず( 4)の(1)で入居者がその有する能力に応じて、それぞれの生活様式や、生活習慣に沿 って自立的な日常生活を営むことがことができるようにするために、入居者の活動につ いて必要な援助を行うことにより、日常生活を支援するものとして、サービス全般を行 わなければならないことを定める。また、(2)で各ユニットにおいて、入居者がそれぞ れの役割を持って生活を営むことができるよう配慮しなければならないこと。(3)で、 プライバシーの確保に配慮しなければならないことを定めることとする。(5)も引き 続きユニットケアの関係であるが、(1)でユニットケアでは、各ユニットにおいて、入 居者が相互に社会的関係を築き、自立的な日常生活を営むことを支援する、こういう観 点からの適切な技術が求められる。この点について定める。(2)では、日常生活におけ る家事の中で、その心身の状況等に応じて役割を持てるよう適切に支援しなければなら ないことを定める。  特別養護老人ホームが入居者の外出の機会を確保するよう努めることを定める。以上 が特別養護老人ホームに関する改正。  ユニットケアを行う短期入所生活介護に関する改正。利用者から居室と共同生活の提 供に伴って必要となる費用の支払いを受けることができることとする。また、ユニット ケアの提供につき、小規模生活単位型の特別養護老人ホームの場合と同様の規定を設け るもの。 ○ 制度見直しの進め方について中村老健局長より報告 (中村老健局長)  この分科会において、介護報酬とともに制度面の見直しを行うべきという意見を多数 いただいており、できるだけ急ぐべきという意見をいただいている。  12月9日のとりまとめでも、これらの課題については、施行後5年を目途に見直し を行うこととされているが、「早急に検討を行い、見直しが可能なものについては、必 ずしも5年後を待たず逐次実施を図るべきである」という意見をいただいているところ。  この介護報酬改正作業をできるだけ早く終了し、速やかに、介護保険制度の見直し方 についての検討体制を立ち上げたいと考えている。  中心的に検討の議論の場となるのは、社会保障審議会だと考えているので、介護給付 費分科会とは別に部会を設置し、検討してまいりたいと考えており、早急に部会立ち上 げの作業、人選等も行い、部会発足に向けて作業をしてまいりたい。  事務局の都合を申し上げると、論点整理等の作業が必要なので、部会設置と平行して、 当然事務局としての勉強の作業のピッチも上げてまいりたい。当方の検討課題としては ゴールドプラン21、これは12年度から16年度までゴールドプラン21が今動いて いるところであり、17年度以降、ポストゴールドプラン21も策定しなければならな いと思っている。今後の介護サービスの中長期的な姿といったものも検討する必要があ ると思っており、部会設置と平行作業として、事務局としてはこういう勉強もしてまい りたい。  介護保険法の制度見直しの時期は、法律の附則では5年を目途にとなっている。12 年から数えると、平成17年がその時期に当たるが、この分科会でも必ずしも5年を待 たず、実施を図るべきと言われており、新しく作られる部会の審議状況にもよるし、ま た、どの程度制度改正に向けてコンセンサスが得られるかにもよるが、事務方としては、 まとまれば16年法案提出もありうべしというスケジュール感覚で取り組んでまいりた い。 (青柳委員)  厚生労働大臣と財務大臣との大臣折衝を経て、予算を編成する過程で全体の引き下げ 幅がマイナス2.3%であり、在宅でプラス0.1%、施設でマイナスの4.0%であ ることについては了解をせざるを得ない。ただ、その後、どう配分をしていくかという ことの議論があったと思う。  今日の説明の中で、いくつか下げ幅を縮小したという、ファジーな表現があったが、 例えば在宅サービスであれば、サービスメニューごとの改定幅という数値は出ているだ ろうと思う。そういう幅を決めたプロセス、さらに改定幅というものの説明をしていた だきたい。  今後、介護報酬というものは、今回だけで見直しを終えるというわけではないので、 次回の見直しに向けて、不透明な部分を透明化しておくことが、初回の介護報酬の見直 しという作業を終えるにあたってどうしても必要なんだろうと、それを事務局に説明を していただきたい。 (外口老人保健課長)  基本的にはどのサービスについても、3年間の賃金、物価の下落幅の影響というもの は、人件費、物件費の率が少しづつ違うが、そこはある程度同じようにかかっている。 そこをベースとして、経営実態調査結果、あるいはケアマネージメントなど初めて設定 された単位では、設定の合理性が実態にあっているかどうかということを考慮し、自立 支援、在宅重視、サービスの質の向上を念頭に、例えば、訪問介護はプラス2.3%、 訪問看護はマイナス3.2%、通所介護はマイナス3.0%、通所リハビリテーション はマイナス3.8%、ショートステイはマイナス3.3%、グループホームはプラス2 .7%、居宅介護支援が一番引き上げ幅が大きくプラス17.1%、特別養護老人ホー ムはマイナス4.2%、介護老人保健施設はマイナス4.2%、介護療養型医療施設は マイナス3.2%、これに各シェア率をかけるとマイナス2.3%になる。 (青柳委員)  賃金物価の下落傾向、あるいは介護保険施行後の介護事業者の経営実態を踏まえ、保 険料の上昇幅をできるだけ抑制する方向でというのが、改定幅が作られた根拠なんだろ うと、これについては同意する。  しかし、経営実態調査というものをもし踏まえたときに、果たして介護保険施設の引 き下げ幅が、特養が4.2%、老健が4.2%、介護療養型医療施設が3.2%という 数字がどう計算されて出てきたのか、データをどう反映させるか、ルールづくりをまず するべきだという議論をしていた。そのルールづくりをしないままに、ファジーな要因 を基に改定幅が決められたと言わざるを得ない数字ではないか。  予定されている3年後に、再度介護報酬の見直しという議論があるのだから、これを 十分踏まえた形でルールづくりをするべきだろうと思う。 (村上委員)  介護給付に対する国の負担はこの予算でいくと7.8%増える。そして、報酬の引き 下げが2.3%あるから、予算的には5.5%のプラスということだと思うが、14年 度予算というのは13年度から比べて7.3%の伸びであった。今度の予算は7.8% の伸びで組んでいるが、これが十分かどうか。  もう一点、1号被保険者の方は3年平均で、6月中間段階ではあるが、11.3%伸 びるという形で年末に説明があった。15年度で7.8%伸びて、16年度で11.3 %伸びて、17年度の3年目で14.8%伸びていくという数字に見えてくるが、そう いう見方でいいのか。  1号被保険者側でどれだけ使うかで2号被保険者側の保険料が決まってくるわけだか ら、この3年間の伸びをどのように計算されたのか。  2号被保険者側が支払った保険料が各保険者にどのように配布されたかということは、 実は一切データが無い。データも出していただきたい。  予算との関連からいくと、事務局に丸投げした形になって今回の予算を作られている。 今後、予算的にどうなるか、保険料的にどうなるか、予算編成の前にこの給付費分科会 でやるべき。次回以降そういう形でやっていただかなければ困る。  それから、介護報酬の設定の問題。在宅側の介護報酬が最初決まったのは、施設で時 間をストップウォッチで計って、それでおおよそ各報酬単価が決められたというような スタートであった。今回は在宅の実態を踏まえて見直すべきだという議論があって、で きればそうしたいという話があったが、どこからか抜けてしまい、結局、物価と賃金と 経営実態、プラスαという形で変わってきた。在宅の実態がどうなっているかというこ とで、実は今回やってほしかった。以上の二つは、次回以降どうするかという答えをい ただきたい。 (貝谷介護保険課長)  最近の給付費の伸びの状況は、まだ引き続き続いているが、14年度確保した予算に ついては、これまでのところ何とかぎりぎりいくのではないかと見ている。ただ、給付 増の動向については十分注視していく必要があると考えている。  一方、15年度予算については、給付費の伸びが6.3%。ただ、これは介護報酬の マイナス改定分を考慮したのちの伸び率である。前年度との対比をする意味では、マイ ナス分を戻すと実質8.5%の給付費増ということになり、何とか必要な予算は確保で きていると考えている。  ただ、認定者の伸びがまだ続いており、一方、一部のある程度伸びている県について、 14年度年央で少し減少を始めたということも情報として聞いている。いずれにしても、 限られた財源を有効に使うという観点での取り組みが大変重要。  保険給付が増えてきている状況から、介護保険の広域化、適正化を各保険者にお願い したいが、平成14年度の補正予算、平成15年度の予算でバックアップしていきたい。  また、保険料の関係で、1号被保険者の方々のサービス実績によって2号被保険者の 保険料の実績が決まってくるが、できるだけ2号被保険者の保険料負担も適切な範囲に 抑えていくことが必要だと考えている。  介護給付費納付金については、社会保険診療報酬支払基金にプールされ、実際に各保 険者に交付金として支払われており、どこかに間違って滞留することはない仕組みにな っている。  さらに、予算がセットされる前に保険料の動きというものをできるだけ知らせるべし との指摘に関しては、今後、この動きということも十分考慮して取り組んでいきたい。 (外口老人保健課長)  前回の最初の設定のときにも、タイムスタディは認定と関連したものはやっているが、 結果的には、例えば措置時代の単価とか、経営実態とか、そういったものが中心となっ て前回決められている。できるだけ細かいエビデンスに基づき説明できるような単位設 定というのが、誰が見ても理解できるということで一番良いと思っており、いろいろ方 策を探っていきたい。 (村上委員)  予算関連では、次回改正ぐらいからは総枠がどうなるか、この介護給付費分科会の中 で議論して、予算設計に入っていただきたい。  二つ目は、実態に基づいてやるべきだという点について、今回はできなかったけれど も、次回やりますぐらい言わなければ。今回は、時間切れで逃げられたと思って、非常 に不満。 (松田総務課長)  予算編成との関係では、12月9日に審議会としての基本的な考え方をお示しいただ き、また、そこの中では物価の状況、経営実態等のデータを出してその考え方をいただ いたわけであり、これに基づき財務省との折衝に望み、今回の改定率を両大臣の協議で 最終的に決着した。経緯としてはこれまで説明申し上げたようなことなので、ご理解を いただきたい。 (外口老人保健課長)  次回の改定にあたっては、ご指摘の点に沿い、エビデンス、データの収集を行う。 (村上委員)  次回、報酬改定に絡む予算編成の時は、総額くらいは介護給付費分科会の中できちっ と示して、それで予算編成に当たるように強く要望する。 (中村委員)  予算編成にあたっては、本当に危機感を持っていた。介護保険総量マイナス5%、マ イナス3%、マイナス2.7%との流れの中から最終的にマイナス2.3%になったと いうことは、この介護保険制度がいかに高齢社会の中で受け入れられる制度であったか。 そういう意味からすれば、国民に支持された介護保険制度が勝利したといえる。 (堀江委員)  今回エビデンスに基づいて正確なデータ等の提出があったのかどうか、依然として疑 念がある。  例えば、今回の改定のプロセスに当たり、今の段階で保険料の給付費総額の予測をど う行っているのか、マイナス2.3%の結果としての保険料への影響というのをどう考 えているのか。今から各保険者ごとにそういう作業をやって間に合うのかどうかという ことを実務的にお答えいただきたい。  それから、今後何年、今回の改定単価により継続できるのか、保険料を維持できるの か、考え方を示していただきたい。また、支給限度額の引き下げ等の考え方を今回の段 階から検討するべきではないか。  介護事業経営実態調査の継続によるデータの正確なフォローというのは、これからま すます必要。介護事業経営実態調査の有効回答数が10%前後ということであり、それ が本当にエビデンスに基づく報酬単価の見直しだといえるのかどうか。きちんと事業所 の経営実態の調査というのを、今後も引き続き把握する努力をしていただき、報酬単価 の合理的な算出に役立つような仕組みを作ってほしい。  また、例えば、低所得者対策、生活保護者との関連も含め、また新型特養の今後の運 営の状況等を踏まえ、正確な考え方の整理、実態の把握をして今後のあり方を制度上確 定してほしい。  調整費5%の問題については、制度上しっかりと改善をしてほしい。  グループホームの住所地特例が、依然としてそのまま積み残されてしまっている。早 急に明確にしていただきたい。  都道府県への許認可権と保険者である市町村との関係をより明確にすべきで、例えば 意見を聞くということだけではなくて、その意見について一定の拘束性を都道府県に義 務づけるという制度の踏み込んだ改正まで検討していただきたい。 (貝谷介護保険課長)  今回のマイナス改定が、保険料の上昇幅をできるだけ抑制するという見地からのもの であるということを十分踏まえ、昨年末に予算がセットされた段階あるいは今年に入っ てからも様々な公表できる範囲内での情報を各保険者に出し、限られた情報ながら、そ れをできるだけ保険料の設定作業の中で反映していただきたいと、いろいろな手段を使 いお願いをしてきている。引き続き最後の努力をしていきたい。  今後、この制度が持続していけるように運営していくことが必要。  5年目の制度見直しという中でも、この持続可能性の維持ということも大変重要なテ ーマだと考えており、引き続き課題として検討していきたい。  また、制度全般について、低所得者対策、あるいは調整交付金の制度上の対応、グル ープホームの住所地特例、あるいは県の指定権限の問題等々のご指摘があったが、いず れも制度的な検討の中で取り組んでまいりたい。  (山本委員)  ケアマネジャーが独立していないのはおかしい。今回、ケアマネジメントについて一 定の要件をつけたことには高い評価をしたい。問題は、これを誰がチェックするのか。  また、介護保険の利用者負担は、現在10%であるが、20%に引き上げたらどうか。 急に引き上げるのではなく、3年ぐらいかけて引き上げるのが良いのではないか。自己 負担が増えれば、給付が抑制されて、保険料の上昇を抑えることができる。 (香取振興課長)  ケアマネジメントの加算減算に関しては、基本的には自己申告であるが、審査支払段 階で一応チェックし、問題があれば、そこで査定をするということになる。月1回の訪 問については運営基準に書くので、これは国なり都道府県段階で行う指導監査の対象に なる。  さらに、70億の適正化の予算を取っており、様々な適正化の事業を工夫していきた い。  さらには、保険者権限の強化の問題など制度の中でも対応できるものは対応していき たい。 (下村委員)   マイナス2.3%というのはどういう根拠でそうなっているのかはっきり確認させ ていただきたい。また、トータルの影響がどのように計算されているかがよく分からな い。支払い側としてはもう少し余裕が必要ということを申し上げておく。  また、2号保険料を賦課される側は全く発言の機会なしに決まっていくということに なるわけで、そういう点は当然考慮されるべき問題ではないか。介護保険料そのものに ついての議論が、審議会等しかるべき場所で議論される機会なしに、行政的なプロセス の中だけで決まっていくというのは、どうも制度的におかしいのではないか。  税金等、コストの構造を考えても違うのに、特養と老健がどうして同じ4.2%の引 き下げになるのかよく分からない。ただ、それが別な数字でしかるべきだという根拠も 持ち合わせていない。  配分のルールなどを今後考えていく必要がある。今回で実績ができるわけだから、今 後のルールづくりを含めた議論をやっていく必要がある。  経営実態調査の有効回答率が10%とか5%というのはひどい。もうちょっと真面目 に取り組んでほしい。きちんとしたことをやろうと思えば、ちゃんとしたデータが要る んで、サービス提供側には、介護事業経営実態調査の回収率を上げるような努力をお願 いしたい。 (橋本委員)  報酬を一部を除いて総体的に引き下げていくことによって、おそらくはサービスの質 が下がる。報酬を下げていくと、人件費を抑制し、食費なども含め事業費を落としてい くだろう。この中で経営できることを考えていくから、サービスの質は下がっていくだ ろう。  また、このような報酬設定だと、在宅ケアは進まないだろうと思う。  結局、在宅サービスを推進できるというのは、量の問題と、使いやすさと、そしてサ ービスの質の高さである。  居宅介護支援というのは、介護保険を運用していくときのソフトの要であり、非常に 重要なことだということを確認し合ってきた。報酬の低さ、赤字の額が大きいというこ とを是正するため17.1%の引き上げは適切なことだと思うが、公正さとか中立性を 維持するということにはなりえないのではないか。ケアプランの適切さを前提にしない 減算、加算の検討というのは、疑問がある。中でも、4種類以上のサービスを利用すれ ば加算するというのは、理解できない。加算の根拠は何か、 (外口老人保健課長)  今回の設定において、ケアマネジメントの単価を一本化したが、一本化ということが 表に出た後で、1種類、例えば福祉用具のレンタルだけでも1種類になる、そういうケ アプランと同じ評価では納得がいかないという声もかなり寄せられた。  実際は、種類よりもケアプランが適切かどうかで評価すべき。ただ、残念ながら、そ こを客観的に評価するだけのエビデンスを我々は持っていない。当面この4種類で、実 態がどうなるか、これを十分フォローしたい。もし仮に、4種類だからといって、4種 類セットみたいなものが出てきてしまった場合には、早急に様々な対応を考えたい。 (田中(雅)委員)  このままだと経営という観点の中から、多くの事業者が、介護サービス労働の中身を 変えていくということが懸念される。実際に非常勤、あるいはパートという形の不安定 な雇用形態での介護労働市場が生まれるのではないか。  介護保険の理念である自立支援とか在宅重視ということを推進していく上で、サービ スの質の保障を具体的に制度面でも入れるような形にしていただきたい。  従来あった複合型の生活援助への安易な移行は行うべきではない。一般のヘルパーが マイカーで介護タクシーを行えるのかその辺を明確にしてほしい。  これまでの措置制度の時に、住まいを処分して施設へというような制度を図ってきた ことに対して、きちんと旧措置の利用者に対して保障するべきではないか。 (香取振興課長)  介護タクシーについて想定しているのは、道路運送法その他、他の法令で業として運 送行為を行うというものが、条項等について、こういう介助を行うということを想定し ている。いわば個人が輸送するというようないわゆる白タク行為ということになれば、 適法ではないので、その限りでは業として行うことにならない。そういう場合の算定は 想定していない。 (京極委員)  介護報酬については、事業者の立場、あるいは従事者の立場、それから何よりも利用 者の立場と、それぞれ若干とらえ方が違う。  やはりこういう経済情勢が非常に厳しい中で、利用者の立場から介護報酬が見直され てしかるべきであり、その観点でまとめたということで、それを具体的にまとめた今回 の介護報酬の検討は妥当ではないかと思う。 (笹森委員)  ある程度限られた財源であるということを考えれば、この示された案は、本当に今ま での分科会での委員の意見に基づいた非常にバランスの取れた、よく配慮されたもの。 介護保険が実施されて3年の実績を見直して、これからの方向、そのメッセージがきち んと織り込まれている。  介護報酬の単位の見直し案、示されたものに賛成。 (矢野委員)  介護事業経営実態調査の精度を向上するという点は、特に強く強調しておきたい。保 険制度で運営されているサービスや事業というものに対する実態調査に対して、答えが ないというのは、実に不可思議なこと。まだ、制度が発足したばかりであるから、次回 の改定においては、これを徹底して、定量的な議論を行い、その精度を高める努力が必 要である。  第2期の介護保険給付費は相当に伸びるということになっており、今後15年度以降 の1号被保険者、2号被保険者、それぞれの保険料は相当増えていくということになる。 そういう観点から、次回の報酬改定まで、毎年2号被保険者の保険料が自動的に上がっ ていくということではなく、保険料アップについての説明と議論の場というのが必要で あり、同時に、保険者や事業者などの関係者が、制度の効率的な運用に努めているとい う実態についての報告が必要。それを改定間際ではなく継続的に、関係者が集まってフ ォローしていくということが必要である。  もっと民間の活力を取り入れる仕組みづくりというものを考えるべきであり、訪問介 護だけでなく、施設についても営利法人を活用すべき。また、どうしても費用の面が非 常に急上昇していくという状況を考えると、介護保険の守備範囲の問題も議論するべき。 それから、介護保険の施設、その他のサービスについて第三者評価というものが必要で ある。そういったことも次の制度改革で論議していったら良い。 (山口委員)  介護保険施設がマイナス4.2%、あるいはマイナス3.2%という今回の改定幅の 根拠をはっきりしてほしい。  また、今回の改定によって、介護の質が低下しないように、強く要望しておきたい。 今回の改定が、次回の介護報酬改定につながるものであってほしい。 できるだけ早い時期に介護報酬改定の影響について国で何らかの調査を行ってほしい。  老健施設に関して、在宅とリハビリという二つのキーワードが評価されている。これ は評価したい。  以前個別リハビリテーションが必要な理由という資料が事務局から出されたが、本当 にこのとおりだと思う。リハビリテーションの強化というものを今後も施策として持続 していただきたい。さらに今回、老健施設からの訪問リハビリを認められた。これを評 価したい。将来的には、介護保険施設全体にそういう機能を持たせるような体制が整備 できないものかどうか、考えるべき。  できるだけ早い時期に制度改正の議論に入るべき。在宅にシフトするインセンティブ、 これがどうもいまいち。一部負担、自己負担が法律で一割と決められている。この点も これだけでいいのかどうか。また、グループホームの問題は住所地特例等々議論を急ぐ べき。  また、居宅と施設の二つに分かれている類型も、第三のカテゴリーというのを考える べき。現在のようにケア付き住宅がどんどん増えていく、さらに新型特養、こういうも のがだんだん増えてくるとなると、ケア付き住宅という第三のカテゴリーの分野をやは り考えなければいけない。それなりの基準報酬も考えていくべき。 (木村委員)  居宅介護支援の報酬について、介護支援専門員が、利用者に面接してアセスメントし、 課題分析し、ケアプランが作成されて、サービスの実施、さらにモニタリングしながら ケアプランを改めていくという一連の流れがある。面接して初めていろんな流れがはじ まる。最低、月に1回利用者に会わない場合は、減算というよりも、報酬を算定すべき でないという意見を持っている。つまり、100分の0ということです。  給付管理そのものが1か月ごとのものであり、一連のマネジメントは介護支援専門員 の仕事なので、給付管理をしているから100分の70だというような表現はおかしい。 面接して初めてその後に移っていくということで、運営基準のところも最低1回会って、 当然会うわけだから、実施の状況の把握の記載というのも月に最低1回していくという 形にしていかなければ、本来ねらっている自立支援のケアプランを進めていけないので はないかと考える。この基準の見直しも、もう一度考えていただきたい。 (山崎委員)  個別のサービスで見ると、本当に質の高いケアが提供できるというインセンティブに つながるような改定ということを次回はきちんとやっていただきたい。  居宅介護支援に関して、減算の100分の70というのは少し高すぎるのではないか。 減算を前提とするような業者は運営基準で縛るという説明であったが、少なくとも行為 をしたものは、記録するというのが常識。少なくとも月に1回は居宅を訪問し、訪問す れば面接をするわけであるから、その状況、結果を記録するべき。  在宅と施設の整合性、負担率、それから支給限度額の見直し等は早期にやっていただ きたい。要支援、要介護1といった軽症な方と、本当に介護ニーズが重く、家族負担の 重い要介護3,4,5の方と、本当にイーブンで良いのかどうか、制度の見直し、中身 に絡むことを早急に着手していただきたい。 (田中委員)  報酬は、サービスの原価を補填するという役割と、需要側へのインセンティブ、供給 側へのインセンティブ、それから保険料と4つの方向があると思う。そのうちの、第1 の原価の補填という意味では、コストをもう一度きちんと把握する。  介護事業経営実態調査については、あまりにも低い回答率だから、きちんと事業者側 の団体としては出していただくようにしなくてはならない。  保険料への影響という点では、2号被保険者の保険料とのリンクの関係が、今回の反 省点であった。  最後に供給側の質を上げていくインセンティブについては、今回のいろいろな加算、 減算の仕組みによって質がどう変わったか、早めに厚生労働省が調査するのは当然だが、 それぞれの事業者、保険者、あるいは学問的にも是非進めておく必要がある。 (西尾分科会長)  今回の報酬改定の体験を踏まえて、3年後の報酬改定のときには、こういうことに留 意すべきだ、それまでに様々なことを検討すべきだという意見がかなり多くあった。ま た、制度の見直しについて、早急に進めるべきだという意見があった。また、今後につ いて懸念される様々な指摘があった。  諮問のあった報酬単位と、運営基準の問題について、大筋においては、この厳しい経 済財政事情の基で、やむを得ない線ではないかと、かなり多くの方々に理解いただけた のではないかと思う。  本日出された諮問案に対する分科会の意見書のとりまとめは、次回の分科会で行いた い。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係     TEL 03(5253)1111(内3948 3949)