03/01/15 第14回医療安全対策検討会議議事録              第14回医療安全対策検討会議                    議事録                        日時 平成15年1月15日(水)                           10:30〜                        場所 厚生労働省省議室 ○森座長  ただいまから第14回医療安全対策検討会議を開催いたします。本日の欠席委員は、 糸氏委員、岩村委員、岡谷委員、堺委員、長谷川委員、矢崎委員の6名です。  本日の議題の中で、最も重要な点は、「医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検 討部会」からの報告を承り、それについて本日ここで委員の方々に論議していただき、 率直な意見を伺うことですが、部会長の堺委員がどうしてもやむを得ない用事で欠席で す。代わって、その部会の中の起草委員会の委員長を務めていただいております、東京 都立大学法学部の前田雅英教授にご出席を願っておりますのでご紹介いたします。  もう一つ「平成15年度医療安全対策関連予算」について事務局から説明をしていただ き、ご議論があれば頂戴いたします。本日は、この2つの議題を用意しております。最 初に、配付資料の説明をお願いいたします。 ○宮本専門官  資料1は、医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会に関連した資料です。 資料1−1は「開催要領等」です。資料1−2は「これまでの開催状況及び議事内容」 です。資料1−3は「委員・参考人の主な意見(概要)」です。資料1−4は「医療に 係る事故事例情報の取扱いの現状及びこれまで指摘されている主な事項」です。資料2 は、医療安全対策関連予算の資料です。資料2−1は「平成15年度医療安全対策関連予 算(案)」です。資料2−2は「患者の苦情や相談等に対応する体制整備について」で す。  次に参考資料ですが、本日は議事の都合上、参考資料についてご議論いただく時間が 取れないかと存じますので、事務局から簡単にご説明申し上げます。  参考資料1は、一昨年10月より開始した「医療安全対策ネットワーク整備事業」によ り収集したヒヤリ・ハット事例の約1年間の集計結果を取りまとめたものになります。 これまでのところ、約2万5,000件にも及ぶ多数の事例をご報告いただいております。 これらの事例については、ヒヤリ・ハット事例検討作業部会において、分析・改善方策 の検討を行っています。また、この分析・検討結果については、厚生労働省のホームペ ージを通じ、各医療機関で閲覧していただけるようになっています。なお、同作業部会 では、現在本検討部会で取りまとめていただきました医療安全推進総合対策を踏まえ、 収集対象機関の全国化に向けた検討を進めていただいているところです。  参考資料2は、「医療安全推進総合対策(英訳版)」です。参考資料2−1は、仮訳 の概要です。参考資料2−2は「【英訳】医療安全推進総合対策(仮訳)」です。この 英訳版については、今後先生方のご指摘により、適宜訂正し、さまざまな機会で利用さ せていただきたいと考えています。もし、お気づきの点などがございましたら、2月い っぱいを目処にファックス等でご意見をいただければ幸いです。  参考資料3は、昨年11月に開催した医薬品・医療用具等検討部会に関連する資料で す。以上です。 ○森座長  いろいろな資料が配付されておりますが、ご質問等はございますでしょうか。参考資 料1については、いままでに2万5,000例ぐらい集まっているというのは、実際にそう いう例がたくさんあるという証かもしれません。  「医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会」は、この検討会にとって重要 な部会である、というのは委員の皆様の一致したご意見であろうと思います。「事故事 例情報の取扱い」というと、いかにも情報そのものをどういうふうに整理するか、ある いはどう発表するかだけという程度のような印象を受けがちですけれども、実際には、 事故事例情報の取扱いと申しますのは、その後その病院の中をどう改善していくかと か、場合によってはそういう事故を起こした本人をどのように処遇するかとか、いろい ろな問題を周辺に含んでおります。したがって狭い意味の事故事例情報の取扱いだけで なく、医療安全、あるいは安全対策全般にかかわる対応であると私は理解しておりま す。  いずれにしても、非常に大切な事柄ですので、それを検討するに当たっては、例えば 法律の専門家など、やや特別の視点をお持ちの方にも加わっていただく必要があろうと いうことで、幅の広い人材を集めて部会が発足したことは皆様方ご承知のとおりであり ます。  前回のこの検討会でも、検討部会長でいらっしゃる堺委員から、一応のご説明を受け て、そこでのご議論を伺ったところであります。9月以降さらに4回も、部会の会合を 重ねられ、やがてその取りまとめに向かって、先ほど申し上げました起草委員会が発足 しているという段階であると承知しております。  したがって、本日は先ほどご紹介いたしました前田先生から、その辺りのご説明をい ただきます。その後、できれば1時間ぐらいの時間を取って、委員の方々から事故事例 情報の取扱いに関し、幅の広いご意見を頂戴したいと思います。部会では、ここでの皆 様方のご意見を参考にしながら、最終的な取りまとめに向かって進まれると思いますの で、よろしくお願いいたします。それでは、前田先生、お願いいたします。 ○前田起草委員長  資料1−2をご覧ください。9月以降4回、その前の7月29日に第1回を開催してお りますので、5回の部会が開かれております。その後、患者家族の立場から、医療の 側、学者・研究者の側から、かなり詳しいヒアリングを行ってまいりました。第5回も ヒアリングを行ったわけですが、ここで起草委員が指名され、その中で私が委員長を務 めさせていただくことになりました。なんとか、年度内には取りまとめるべく検討を鋭 意行っているところです。  本日は、資料1−3にあります、医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会 に関して、その検討部会で出された議論を事務局でまとめていただきました。かなり長 時間の会を5回やりましたので、その意見を集約するというのは大変だったと思うので すが、非常にうまく事務局でまとめていただけたと思います。これに従って骨子をご説 明申し上げます。  その前提として、資料1−1で、なぜこの検討部会が設けられたのか、ということを もう一度確認した上で内容のご説明に移らせていただきます。資料1−1「開催目的」 にあるように、本部会は医療安全対策のさらなる推進を図るために、事故情報をどのよ うに活用すべきかについて検討すべく設置されました。先ほど座長のお言葉にありまし たように、その周辺で病院や医療全体に関わる問題であるわけですがその中で切り口と いいますか、入口といいますか、まず事故情報をどのように扱っていくかという、いち ばん中心になるポイントを押さえた上で周辺の問題を見ていこう、という立場で整理が 進められていますので、あらかじめそれを踏まえた説明だということをお含みいただき たいと思います。  資料1−3に「目次」を付けていただいておりますが、「目的、収集方法、定義、具 体的方策、報告制度、第三者機関、国民への情報提供、その他」となっております。一 般的な議論から順に、どういうシステム設計といいますか、この議論を踏まえて具体的 に組織的なものをどう作っていくかというところの方向に並べていただいております。  まず、「事故情報の活用目的」ということですが、基本は当検討部会が設置された目 的に示されているわけですが、医療事故情報をどう活用するかということです。基本的 には医療安全の推進のためということは動かし難く、この中の議論としては、事故の再 発防止にいちばん力を入れていく、という意見が強いわけですが、それだけではなく て、情報を集めることによって患者側のニーズといいますか利益をどう図っていくかと いうこと。それから、事故を起こした医師に関してどのように対応していくか、という 情報もつながってくる。  ただ、あくまでも全体の議論として、主であるものは再発の防止のために医療事故情 報をどう活用していくのが合理的であるか、ということを柱に据えて見ていこうという ことは、ほぼそちらの方向で議論はまとまってきていると言ってよろしいかと思いま す。  もちろん、患者から詳しい話を伺った中で、再発防止さえすれば、患者の事情を一切 考えなくてもいい、というふうに取られるとミスリーディングです。後でも出てまいり ますが、医療安全対策を、この検討部会で作る具体的な組織なりですべて解決するとい うのは、おそらく議論の中でも出てきたのですが非常に困難である。その中で、どうい う問題を、どう切っていくか、それをやることがほかの要請を否定するということには 必ずしもならない、という面があろうかと思います。報告よりも、ちょっと出すぎたこ とを申し上げましたが、活用目的のところがいちばん重要ですので、全体としてそうい う方向での議論になっています。それに併せて、そこに示されているような種々の意見 が出されています。  活用するには、情報を集めなければいけないということで「収集方法」です。ここで も温度差といいますか、情報をなるべく集めやすいシステムをどんどん作っていくこと がいい。そうすると、情報を出された方に対して、すべて免責をするとか、法的にいろ いろな制度を作るというようなことをすると集めやすくなるわけですが、それをどこま でやるかというのは、免責をしてでもともかく情報を集めることが重要だという意見、 そうではなくて日本の風土や日本の法制度を考えると、アメリカのような免責を広く認 めるというのはちょっと問題があるという意見まで、少し温度差があります。  基本的には、先ほどの「目的」にありましたように、再発防止のために、情報を活用 していくために、その元となる情報をより多く求めるためにはどういう方策が合理的か という視点で考えていく。その中で、免責等がどこまで可能かということのバランスを 考えていくという方向で議論は進んでいるかと思います。  3番目の「情報収集の範囲」「事故の定義」の基本は、先ほどの「目的」によって規 定されてくると思います。やはり、活用の目的により、収集する範囲が異なってくると いうことで、この目的というのは幅があって、一点で決まっておりませんので、揺れ動 きながらの議論になるわけです。基本的には情報収集でできる限り広い範囲の情報が取 れることが望ましいということです。  今度は、それを活用するときに広すぎる情報にどう対応するかという問題が出てまい ろうかと思います。既にヒヤリ・ハット情報では、非常に多くの情報が集められており ます。これまでに集められた情報ということも踏まえながら、その情報収集の範囲につ いては考えていく。  ただ、事故情報を集めるという前提として、「事故とは何か」ということを厳密に考 えると微妙でして、これも活用の目的をどう考えるか。最終的に、ここでの判断が非常 に大きいとは思うのですが、どういう目的でこの事故情報を利用していくかということ により、どこまで広く事故を定義していくか。それとも、もっと限定的な、非常に問題 の大きなものに限るか、という議論はあろうかと思います。  これに関して検討部会では、先ほどご紹介いただきましたように、専門の先生方にも 多く入っていただいておりますので、アメリカその他各国、各州でどういう事故内容に して、どういう収集の仕方をしているかということもご披露いただいて議論を進めてい るところです。ただ、あくまでも我が国の制度をどう作っていくかということですの で、日本の医療現場を踏まえた、それに適合したものでなければならないということで あろうかと思います。  次に、「活用目的に応じた具体的方策」についてということです。これは目的のとこ ろとかなり絡んでまいりますが、事故を教訓として、発生の予防に活用することが最も 重要ではないか。これは、ほぼ異論がない。ただ、それ以外に事故情報をどう集めて、 どう利用していくか、それと矛盾しない範囲でどう派生的なものを入れていくかという ことに関してはいろいろな議論があります。一方では、航空、鉄道等の事故情報の収集 のように、再発防止ということに特化したといいますか、それを徹底した委員会の設置 も考えられる。  これは非常に合理性のあるものだと思うのですが、医療事故の場合には、この検討部 会でもそうですが、患者の方々の関心も強くて、事故が二度と起こらないようにだけす れば、事故そのものについてのいろいろな問題はあまり考慮していない、というふうに 取られてしまうと、ここは非常に問題なのだと思います。そことの両立をどう考えてい くか、ということでさまざまな意見が出されています。  いずれにせよ、第三者機関を1つつくるということで、それにすべての課題を負わせ るということではない、という方向がだんだん見えてきました。もちろん、すべてを複 数立ち上げられればいいわけですが、当面どういう優先順位を付けて、どう対応してい くか、という問題をそろそろ詰めなければならない、案をまとめる段階では考えなけれ ばならない段階に差しかかってくると思います。  発生状況は、全国的な把握が可能であれば必要なわけですが、これに関しては非常に 難しい問題もあります。逆に全国的な情報が集まれば、国民に広く情報提供ができて、 国民の利便性が高まる、というのもそのとおりだと思います。つくる組織、事故の定義 その他でどこまで集められるか、という問題が出てくるだろうと思います。  「個別事例の対応」というのは、先ほどの「事故再発防止」以外のファクターの、あ る意味で重要部分ということですが、事故を繰り返す医師等に対して何らかの対応がで きないのか。事故を知りたいという被害者の視点に立った検討も、もちろん落としては ならないという意見が強く出されております。  5番目は「報告制度」です。これは、収集するときの法的な枠組みということなので しょうが、その事故情報収集制度の目的を、事故防止対策以外に刑事処罰や行政処分、 迅速な民事賠償その他まですべて広げてしまうのは、ちょっと難しいのではないかとい う意見が強いのだと思います。  特に、刑事処罰のための情報収集を目的とした事故情報システムというのは、先ほど 来申し上げております再発予防のための情報との抵触といいますか、ぶつかりが非常に 強くなる。もちろん、そこで情報を出したから、一切刑事罰を負わなくなる、という意 見ではないと思いますし、私もそういうつもりで申し上げているわけではありません。 どの程度、集められた情報についての法的な免責みたいなものを考えていくか、という ことをそろそろすり合わせていかなければいけない段階に来ているのだと思います。  「各国の制度」ということで、特にアメリカを中心にこの点についてはいくつかの紹 介があります。テクニカルなレベルでは、ここに示されるものも含めての目的に合わせ て、具体的な制度を設計していく段階に来ているということだと思います。収集の障害 となる要因として強調されたのは、特に医師の側からだと思うのですが、処罰権を持っ ている所への報告というシステムというのは機能しないのではないか、という議論は強 くあります。それを考慮した上で、どう対応していくかということです。  法的問題というのは、強制的に処罰につながるような情報を集めることに対しては、 憲法に触れるのではないか、という議論がもともとあり、それについて議論がなされて います。それ以前に、そもそも情報を集めるという合理性からいっても、警察的な機能 も強く持った組織をつくってしまうと、情報がかなり限られるのではないかということ につながってくると思います。それを、法的な側面から議論した部分をまとめていただ いたのが3のところだと思います。  それと密接に絡むものとして、「情報提供者をどう保護するか」。これは、先ほどの 情報を出しやすくする、免責するということの裏返しといいますか、ある意味ではその ものということなのですが、これに関しては関心が強く、各国の研究をしている方が多 いので、いろいろな紹介があり、議論が出されております。  7頁で実質的に重要な、「第三者機関について」ということですが、これも繰り返し が多くて恐縮ですが、第三者機関をつくるべきだということに関しての異存は非常に少 なかったと思いますが、求められる役割をすべて1つ果たせる万能の第三者機関をつく ろうとすると無理があるのではないか。求められる機能に応じて複数、これは多数とい う意味ではないでしょうが、1つにするのは無理なのではないか。  そうすると、その求められる役割に応じた第三者機関の設計ということだと思いま す。第三者機関の目的は、単に1つのものに徹底して絞り込むのが合理的だというわけ では必ずしもなくて、どことどこも相互に取り込んだ第三者機関までは、合理性がある ものとして機能し得るかという問題もあろうかと思います。  7番の「国民の情報提供」は、ある意味で異論のないところだと思うのですが、でき る限り事故事例情報を公開し、国民に注意喚起するということです。ただ、情報を提供 することのデメリットも全くないわけではない。特に医療情報になってくると、国民に とってはむしろ不利益を生ぜしめるような事態も全く考えられないことはないというこ とで、情報提供の基本は非常に合理性があるといいますか、当然進めるべきですが、そ の際には非常に注意すべき点がある、という指摘がありました。  「その他」として、これはご講演いただいた医療の先生方のご発言にも強くあったの ですが、医療界に自浄作用が非常に重要である。自浄作用をどう活かしていくか、それ と第三者機関との関連性をどう結び付けていくか、というのは非常に難しいと思いま す。医師集団としての職業倫理を一切切り捨てた形で、公的な、あるいは第三者機関的 なものだけで、医療安全を考えていくというのは非常にまずいことであって、医療の信 頼を回復するためには、医療界の自律、倫理ということも非常に重要だというのは、当 然の指摘として非常に強くあったということを申し添えます。  そのほかに被害者への対応、訴訟上の問題と申し上げるべき点は多数ありますが、本 日は委員会の先生方のご意見を伺う場と聞いておりますので、非常に雑ぱくですがこの ぐらいの紹介にとどめさせていただいて、あとはご意見を拝聴したいと思います。 ○森座長  全体の時間を考慮して、簡潔な説明をしていただきました。これから、委員の方々か らご意見なりご質問を承り、必要があれば前田先生にお答えいただくことといたしま す。いまは、資料に沿い項目を追ってご説明くださいましたが、全体が相互に関係し合 っている問題ですから、特に項目別ということではなく、何なりとおっしゃっていただ きたいと思います。  全体として見れば、情報の収集の仕方、活用に関して、あるいは第三者機関までも視 野に入れての議論があったようですが、三宅さんいかがでしょうか。 ○三宅委員  私もこのメンバーで、非常に頭が痛くて悩んでいることがたくさんあります。前田先 生のお話の中にもありましたように、いちばんは、こういう事故情報の安全性が保障さ れるということです。報告する人に、後からいろいろな被害が及ばない、ということが まず保障されることが必要ではないかという気がします。そうでないと、情報が集まら ないのではないか。  それと、行政処分などと絡み合うと非常に問題が複雑になってしまうので、行政処分 などとは次元が違う話として、それなりの対応を考えるべきだろうと思うのです。その 辺のことが整理されないと、情報はなかなか集まらないのではないかという気がしま す。そんなことでは、第三者機関というものが整備されて、そこに情報を集めるほうが 集めやすいのではないかという気がします。 ○飯塚委員  私は、品質保証というか、普通の工業の分野で、ちゃんとした質の製品やサービスを 提供する場から考えたときに、こういうまずい経験をどう活かすかという関連から見て みました。本日ここで考えなければいけないことでちょっと複雑なのは、医療というも のが、通常の製品やサービスのように、ある程度プライベート・オーガニゼーションが 何か提供し、財を獲得して、その利益を再投資していくときに、その組織として自分た ちがうまく立ち回っていくために経験をどう活かすか、という立場で考えるものだけで はないわけです。  即ち何かというと、医療には、社会全体として持っていなければいけない相対的な技 術の体系のようなものがあるのです。そのときに、社会全体としてみんなが経験したこ とを、何かフィードバックしていく仕掛け、というふうに本日は論じられているので す。もう一つの見方というのは、それぞれの医療機関なりが、その内部において、それ ぞれが良いフィードバックを回すための仕掛けとしての制度というのを、中で動かすこ とも可能なわけです。  本日ここで議論しなければいけないのは、個々の組織が、中でその情報をどう活かし ていくかという仕掛けそのものに対して、こんなものを持ちなさいというガイドライン を示すことを含んでいるのか。それとも、日本なら日本という社会全体として、その手 の情報がちゃんと開示され、第三者機関でいいですけれども分析されて、しかるべく整 理されてフィードバックをかけるように仕掛けそのものを社会全体でつくらなければい けないという、どちらで考えればいいのかということを確認したいと思います。 ○前田起草委員長  もちろん、両者が重要だということはあります。当面システムとして新しいことを考 えていくときに、「全体としての」というところにやや力点があるような申し上げ方を したのですが、ヒアリングの中で、北大の病院の紹介がありました。いま、飯塚委員が おっしゃった、個々の病院の中での情報を活用しながら安全対策をしていく、その具対 策のモデルとしての動きが始まっています。それを整理して、ガイドライン的なものを 作っていくという作業も、もちろん重要なことだと思っています。  ただいまの段階で、それは病院内部のことで、国民に情報が出ていくというようなと ころとは切れています。どうしても、全体の進行が被害者の方といいますか、患者の方 からお話を伺う時間が長かったですから、そうすると組織をつくって、病院の情報をど う社会に返していくかという意識が強かったことは事実です。  私は、検討部会の一委員でしかないわけですから、断定的なことは申し上げられない のですが、個々の病院の中で情報を安全のために活かしていくという方策を軽視してい るというか、それを議論しないということで進んでいるわけではないのだと思います。 ただ、年度内3月にまとめていくところでは、ある程度絞り込んだ施策になっていくか もしれません。ただ、飯塚委員がおっしゃった2つのことの両方が視野に入っていない わけではないと思います。 ○飯塚委員  要は、何らかの情報を、ある範囲で開示することにより、そこから得られる教訓を共 有して良いほうへ回そうということですよね。1つの組織内であれば、それは個人と組 織だけの問題になるわけです。その組織の内部において、その個人が事故を起こした り、何か問題を起こした個人がどう扱われるか、ということが解消できれば、その組織 の中でその知見を活かす可能性はあるわけです。そのほうが簡単なのです。  ところが、組織を超えていこうとすると、もう一重のところでいろいろな枠、いろい ろな保護策や考慮しなければいけなくなってくるわけで、相当複雑になってきます。1 つの組織が、そうしたちゃんとした仕掛けを持っているということ自体を認めるという 制度を作ることによって、あそこはちゃんとやっているのだということで認められるこ とになれば、さまざまな経験が活かされるということはジワジワ広がっていく可能性は あります。それは、社会全体として、直接共有しなければいけないのだというだけでは ない、という方法もあり得るのだということを申し上げたかったのです。 ○医療安全推進室長  前田先生からご説明いただいたことに、事務局から資料で補足させていただきます。 前田先生からご説明いただいたとおりなのですが、前回までの資料を過去の資料という ことで配付させていただいておりますが、その中の資料2の3枚目から始まるものが、 昨年4月に本会議でまとめていただきました報告書に基づいて、すべての病院及び診療 所に、いま飯塚委員からご指摘いただいたことは大変重要、という意見でまとめていた だきました。それに基づき、院内で事故情報、もしくはヒヤリ・ハットも含めて、事故 等の情報を集め、それを改善に使っていくという仕組みだけは昨年10月から施行されて おります。  ただ、前田先生からお話がありましたように、それをどう回していくかという具体的 なところは、これからさらに研究・検討が必要かもしれませんが、仕組みはそんなこと で昨年10月1日に整ったという状況ですので補足させていただきます。 ○森座長  川村先生は、以前非常にたくさんの症例をお集めになり、こういう分析なり解析とい う点では、日本の中で他に先がけて仕事をなさったと理解しておりますが、何かコメン トをいただけますか。 ○川村委員  いま考えていましたのは、ヒヤリ・ハット事例で学べない部分が、実際に医療事故の 本当の事例ではあると思います。それは、事故が起きた後、被害を小さくしていくとき のチームとしての対応能力があると思います。例えば、危険な医薬品を間違いかけた、 という事例はヒヤリ・ハットでもたくさん上がってきます。もし、間違って入れた後 に、その被害を最小限に食い止めるために、チームとしてどのような行動がとられたの か。  事故というのは、ヒヤリ・ハット事例に非常に複雑なメカニズムが働いて発展をしま すし、防御できなかった背景にも、ヒヤリ・ハット事例とは全く違った要素が絡んでま いりますから、事故の事例を詳細に分析するということは大変役に立ちます。  ここ数年で重大事故が発生したときに、院内に外部委員を入れて調査がなされ、ホー ムページなどで報告されているのを見ると、数々上がってくるヒヤリ・ハット事例とは 比べものにならない臨場感というか、非常にクリティカルな中で、人はどういう行動を とるのかということも含めて学ぶべき点は大変多いです。  ですから、事故情報を挙げることは大変重要だと思っているのですが、それだけの詳 細な分析がなされて、現場にフィードバックされてこそ役立つ情報でもあります。ある 意味では、そういったシステムとしての機能不全みたいなものが絡んだ重要事例が報告 さえされれば、あとはヒヤリ・ハット事例でも補いきれる問題ではないかと思います。 医療安全の立場からすればそうなのです。私は、長く医療現場で働きましたので、個人 的には医療の委縮と、医療安全の推進という表裏の部分がいちばん気になるところで す。  5回の意見の中で、ほとんど言い尽くされている問題が、まさに私たちの葛藤の問題 でもありますので、最終的に患者、あるいは国民の知る権利ということも大変大事なの ですけれども、いま医療従事者に向かって、安全を向上するための有効な情報のフィー ドバックとして何が報告されるべきか、ということがいちばん重要ではないかと思いま す。  ただ、たくさんの事例が報告されて、定量的な分析がなされて、どこの病院で、どの 辺が多くて、という情報のフィードバックでは、いままでのヒヤリ・ハット事例と同じ レベルの問題しか有効な情報はいただけないのではないかという気がします。 ○森座長  黒田先生は、部会の委員でもいらっしゃいます。今までも、ほかの領域での安全、安 心とも関連しつつ、色々とご意見をいただいておりますが、いかがでしょうか。 ○黒田委員  今できること、というのは概ね終わったみたいな感じがします。色々なことをやって みて、問題点がどこにあるか、ということが大体わかってきています。これから何をし ようか、ということだと思うのです。その中で大変重大なことは、現在の状態で長く時 間が経ってくると、医療側も大変委縮してくる形になって、皆さん困っておられると思 うのです。  目的は、「こうしなければならない」というのは、皆さんみんなわかっているのです けれども、その手続がどうもはっきりしないものですから、そこで大変戸惑っている状 態がいまあるのだと思います。何が問題であるかというと、大きな目的がどこにあっ て、それをどういうふうにすべきかという、何か方向性がまだはっきりわからないのだ と思うのです。  医療というのは、必ずリスクを伴うわけです。小さなリスクを加えて、大きなリスク を除くという仕事をやっている限りにおいて、必ずリスクというのはあり得るわけで す。そうだとすると、安全というのは、医療の関係において絶対にゼロにはならない。 そうだとすると、どこに線を引くのが医療事故であり、これはやむを得ないことである からという、ハウ・セーフ・イズ・セーフ・イナフという、医療の中における安全のあ り方というのはどこなのだ、ということがまだわからない。それを判定する場所がない のです。  医療の事故なのか、それともそうではないのか、という判定ができる機関といいます か、そういう組織を早くつくるべきではないだろうかという気がします。ここにも、第 三者機関のいろいろな議論があるわけです。そういうことが、ほかの所でも同じような ことがあったのは、航空事故調査委員会などが一つの例です。その都度の事故調査委員 会というのは長続きしないし、信頼を得られないと思うのです。そうだとすると、信頼 性のある第三者機関をつくることが必要ではないか、という気がまずいたします。  それから方法論の中で、いろいろな報告のところで、自分は報告したくないことを報 告するわけですから、そのための一つのプロテクションといいますか、そういうのがど うしても必要だろうという気がするのです。その報告をしたら、確かにプラスの方向に 行くというシステムがないと、報告する側がだんだんと報告しなくなってくる、という のは人間として当たり前なことであります。  そういう報告が長く続きながら、役に立っているという形にするとすれば、そこにも 何か組織が要るのです。ただ集めて、分類をしただけの話というのは大体終わっている と思うのです。これからは、それをどうすべきかということのアイディアでディスカッ ションをしていくことが、特に今年辺りからはすごく大切ではなかろうかという気がい たします。 ○飯塚委員  やはり、事の性質から考えて、第三者機関しかないのかなという感じがいたします。 要は、個人にとってみると、ある意味では自分の恥というか、言いたくないことを出さ なければいけないわけです。全体から見れば、それを活かしたいと思っているけれど も、いろいろな利害関係者がいる中で、そこを上手にやるためには、機密性を守っても らえる、独立性がある、公正である、専門性があるというような所が何かせざるを得な いのかなと思います。  第三者機関を考えるときに、2種類あるような気がするのです。1つ目は、いわゆる 啓蒙普及コンサルティングをしてあげるといった、サポートをする機関です。それは、 各病院の中において、そもそもその報告をするというのはどういう意味があるのだと か、出てきたものをどのように分析すればいいのだとか、そういう制度を中で動かして いくために、どのようにして組織全体を変えていけばいいか。推進論、運動論といった ことをちゃんとコンサルトしてあげるような、サポートする機関が必要かなと思いま す。  2つ目は、まさにいま議論されているもので、社会における制度のある機能を果たす 機関としての第三者機関ということです。半ば強制的にかどうかよくわかりませんが、 何か報告が上がってきたものに関して、全体としてどういう傾向があるとか、ある特定 の典型的例についてきちんと分析をし、それを公式の文書にしてフィードバックしてい く、もしくはどういう状況かということを国民に対して説明していく、という透明性を 上げるための働きをするという機関です。その2つがいいのかなと感じます。  現在のところは、ただ単に報告しろというふうに言うと、意味がわからない、何のた めと思う。そんなことを言ったら何かされるかもしれない、というふうに恐れおののい て委縮して何もしない状況が起きます。一方で啓蒙普及し、一方で正しいことを出して いくという2つ要るのかなという感じがしています。 ○岸委員  本日は医師、看護師と医療機関に携わっている方がたくさんいるので是非教えていた だきたいのです。報告制度というときに、医療事故とは何か、という定義付けでいろい ろ皆さんと意見が食い違うケースを見てきました。我々素人から見ると、医療事故とい うのは所詮事故だろう、そんなものは誰が考えたってすぐわかりそうなものではない か。だから、それを上げればいいではないかと思う反面、いや待てよ、これは医療事故 なのかどうかというのは、医療機関として争いたい、争う余地があるというケースも 多々あろうかと思います。  そういう場合に、事故を挙げてきなさいと大ざっぱに言うと、それでは医療機関が対 応できません。もう少し細かく、きちっとした分類していただかないと、とてもではな いけれどもそんな報告制度には対応できません、ということになるものでしょうか。例 えば、こういうケースがあり得るよ、ちょっと考えただけでもこんなケースがあるよ、 ということがいくつかあれば教えていただきたいのですがどうなのでしょうか。 ○三宅委員  これについては、この委員会の中でもここに書いていますが1つの提案としては、事 故というと非常に漠然として、何が本当に事故なのか、何を報告すればいいのか基準が ないわけです。アメリカのJCAHOなどでも決めているようですけれども、州によっ てもあるようです。いわゆるセンチネルイベントといって重大事故、こういう事故は報 告しなさいということです。  例えば、術後24時間とか48時間以内の再手術とか、退院してから48時間以内の再入院 といった基準をきちんと決めて、そういうものに合致したものは報告しなさい、という ような方法も一つの方法だろうと思います。そうすればみんながわかりやすいし、そう いうものについてはちゃんと報告をして、それを検討する。  先ほど川村委員がおっしゃったように、事故情報というのは、インシデントレポート に比べものにならないぐらい、情報量としては非常に多いと思うのです。事故例を1例 そういう形で検討することが、たくさんのいろいろな改善のヒントといいましょうか、 いろいろな情報が得られるのではないかという気はしています。ですから、何か基準を 決めてあげることが、情報は集めやすいというふうに思っています。 ○森座長  確かに、ある意味での客観的な基準を決めて、という意見が非常に多いと思います し、大体いまの日本の社会では大勢を占めていると思います。ただ、あえて別のことを 申し上げるとすれば、患者が、あるいは患者の側の方が真実を知った上で納得すれば、 それは世にいう事故ではないのだと。たとえ細かいことであっても、患者側が真実を知 らなかったり、あるいは納得できないという気持を持てば、それは事故と呼ばれる呼ば れないにかかわらず、やはり大きな問題である、という考え方が一方にあると思うので す。  医療の場合には、必ずしもそういう客観的なガイドライン、客観的な分類、定義とい ったようなことだけで片付けうるものなのか、あるいは人間同士の接触という面を重視 して、ことで、気持なり納得という点を重視するか、その辺で多少考え方が分かれてき ます。私は、どちらがいいとは申しませんけれども、そういう両端の考え方があること は確かだと思います。 ○中村委員  本日の主題から外れるかもしれませんが、現場の内情をここで聞いていただきたいと 思います。医療安全対策というのは、まだ発展途上で、言うならばまだ始まったばかり だという気持が現場にはあります。  現在に至るまで、我が国の医療は、できるだけ多くの患者を診る。国民皆保険で、い つでも、誰でも、どこでもというのがありますが、その中に診療の拒否をすることに関 してかなり厳しい批判があります。医療安全対策上であれば、診たくない、本当は診る べきではない、というような事例もかなりあります。これが何らかの解決の方法、ある いは考え方が示されていないという感じがします。  現場としては、確実に努力をして、毎年少しずつでも向上すれば、それはそれで評価 していただきたい、という気持があります。努力も何もしない所があるとすれば、それ は同僚評価をしたり、特にリピーター等に関しては自浄作用というのも医師会の主たる 仕事になると思います。  一方では、より事故が多いような状況がつくられつつあります。例えば拘束がない医 療とかケアということ、これは確実に転倒・転落が増えています。その辺の綱引きとい いましょうか、力の入れ方、場合によっては、この方は私どもではお引き受けできな い、というような状況もあります。  端的に言いますと、今度の看護師の新しい就職先では何をいちばん問題にしているか というと、医療安全性において、危険度の高い所は、まず就職先としては避けたいとい うことがアンケート等ではっきり出ています。これは、ここでもよく出ましたけれど も、まさしくディフェンスになると思うのです。一方では、管理職として悩ましいの は、陰蔽をすると、更迭という問題があります。  従来からこういう傾向がありまして、研修生等が、何かヒヤッとするような事故、あ るいは本当に医療事故かもしれませんが、なんとかその人の将来のために、穏便に済ま せる方法はないものかと。家族の方にお願いしたりということがありましたが、そのよ うなことにも時間がかかってしまう、あるいは途中で曖昧になってしまう。これは陰蔽 だということで更迭、トップの交代という事態に至ります。それを極端に恐れる人がい たら、見境のない告発をしたり、あるいは自供しろ、というようなことを言ったり、そ れはそれで組織力の低下、バランスを崩すようなことが起こってくるのではないかと思 います。  医療機関だけの問題として我々が考えればいいということであれば、ある程度の期間 があればなんとかなる面もあります。しかし、我々はさらに在宅医療のことも考えざる を得ないのです。そこではご存じのように、いまの医療機関でもマンパワーが少ないの ですけれども、今度在宅になると、医療知識が非常に少ないのです。家族には、ある程 度の医療行為は認められていながら、ヘルパーには認められてない。その辺は非常にア ンバランス、矛盾だられのところがあります。  ですから、ここは性急にするのではなくて、ある程度の時間をかけて、国民の多くの 方々に、その面での納得を得ながら、あるいはいまこういう段階だということの情報を 公開しながら、一歩一歩進んでいくというようなことをしないと、現場は非常に暗い、 あるいは再三申し上げておりますように自己防衛に走る。それはそれで非常に悲しいこ とだと思います。 ○辻本委員  私も、起草委員のメンバーに入れていただいておりますので、大変思い悩んでおりま す。ただ、事故事例の取扱いということ1点で報告がまとめられなければならないとい うことになってくると、すべての問題をここに網羅することは全く不可能だと思いま す。  ただ、この事故情報ということが医療現場から報告されるものに限定されていくこと の裏に、私どもの電話相談に届く、患者がヒヤリ、家族がハットした訴えの内容とのず れが非常に大きくあります。言ってみれば、医療現場がヒヤリ・ハットしたことは実は 患者はあまり気がついていない。だけど、患者の側がヒヤリ・ハットしたことというの は、医療現場においては日常性の何ら取るに足らない問題だという、そのような乖離を どう埋めていくのかということが今後非常に大きな問題になるではないかと思っていま す。  相談窓口の設置の議論に期待ができるものと思っています。いま、対立と、まだまだ 依存という受け身の立場でしかない国民、患者の側が少しでも安心して、納得する形、 組織ということで言えば、やはり先ほどから議論に出ている第三者機関の機能をどうす るか。それを明確に提示すること。それがこの報告書の中では重要な課題ではないかと 考えています。医療が非営利であるだけに、やはり国民、患者も協働して医療安全の構 築に参画できる問題であるだけに、この第三者機関といった組織、そのあり方を今後の 議論につなげていくような求め方がいま、とりあえずとても大事なポイントではないか と思っています。ただ、議論に参画した1人として、まだまだ第三者機関というのは一 体どうあればいいのか。その答えを私自身も見い出せていないジレンマを感じていま す。 ○児玉委員   先ほどの岸委員のお話、何が事故かということが直ちにわからないのかという趣旨 のお尋ねであったように思います。私なりにたくさん事故事例を見てきている立場か ら、個人的な思いを申し上げたいと思います。  何か、自分がやろうと意図したことをやれなかった。あるいは、意図したことと違っ たことをやってしまった。例えばAという薬をやろうと思って、うっかりしてBという 薬をやってしまった。あるいは、Aという薬を10mgやろうと思って、うっかり100mg や ってしまった。つまり、やろうと思っていたことと違うことをやってしまったミス、こ れは病院の中でもはっきりわかるはずです、わからなくてはいけないと思っています。 少なくとも、私が事件の処理をしている過程で、そういう形でわかった事故については 患者の側に「ミスがありました」とお話して、示談をさせていただくしかないという事 例だと思っています。  ただ、いま、少なくとも法廷で私が扱っている事件の大部分というのは、医療機関が 意図したことを意図したとおりにやって結果が悪い場合に、これが紛争になるという事 例です。最近言われている言葉で、「作為型」と「不作為型」という言い方をします。 作為型というのは、何かをしたことによって悪い結果が発生した場合です。この典型例 が合併症です。例えば心臓カテーテルから、これまで本当に治せなかったような重い疾 患に対して新しい技術が出てきて、それによって疾患が治せるようになる。ところが、 ご存じのとおり、心臓カテーテルだけ例を挙げると誤解を招くので、心臓カテーテルで あれ何であれ、どの分野であれ、新しい技術には必ずその裏に非常に大きな合併症があ ります。心臓カテーテルの手術中、合併症で亡くなる事例というのは実はたくさんある のです。  そうすると、このような事例について、何かをやったことで合併症で亡くなってしま う。これは新しい技術だけではなくて、例えばおよそ手術というのは人間のお腹を切っ て開けているわけですから、いろいろな突発事態が起こります。そのような合併症で亡 くなってしまうというように、医療行為が何か行われることによって事故が起こってし まう。ところが、それが不可避の合併症なのか、それともミスによるものなのか、作為 型の中でのいろいろな議論が出てきます。  もう1つは不作為型、つまり何かをしなかったことについての不満、クレームがたく さんあります。例えば、ある患者が癌に罹患して亡くなった。癌で亡くなったのだか ら、これは事故でないだろうということはないのです。癌で亡くなった患者でも山のよ うに訴訟が起こっています。もっと早く見つからなかったのか、もっといい治療ができ なかったのか。最終段階で、例えば感染症で亡くなったとするなら感染症防止対策の問 題があったのではないか、もう少しでも長生きしたのではないか。こういう形で、ドク ターであれナースであれ、いまある医療を自分たちの水準で精一杯やっても、それにつ いて納得が得られない。そういう形で作為型であれ不作為型であれ、紛争が起こってく る。  他のサービス業、あるいは他の産業のモデルを持ってくるときに非常に難渋するの は、端的な言い方をすれば医療を仮にサービス業だとすると霊安室のあるサービス業、 常時死亡するお客様を送り出しているサービス業だと言うことができます。それについ てすべてがミス、事故だと言えるのか。例えば建設現場で死亡する方がいらっしゃる、 これは事故です。病院というところは常にお客様が死亡して、送り出しているサービス 業である。その中で事故、そうでないものを振り分ける困難というのが常にある。膨大 に広がるグレーゾーンをどう処理するか、という問題がいつも目の前に立ちはだかって いることを感じます。 ○森座長  個々の事例ということになると、なかなか難しい問題が起こると思います。ちょっと お伺いしたいことは、ある事例について、そういう病気をもっと早く発見できなかった だろうかという点がしばしば問題になるわけです。確かにあとになって考えれば、この 検査も、あの検査もやったらもっと早く発見できただろうと思われる症例があると思い ます。しかし現実の問題として、そのときに患者が示していた症状、例えばちょっと咳 が出る、お腹が痛い、その程度の訴えをもつ非常に多くの患者について、それだけの十 分、あるいは十二分な検査を全全員にしなくてはいけないのかどうか。お金のことはわ かりませんが、おそらく医療費の問題にも関係してくると思います。あとになって眺め てみて、最善の道をたどってこなかったから「あなたの過ちだ」と言われるのは、時に は少し酷なことでもあろうかと思います。それはどうでしょうか。 ○児玉委員  全くご指摘のとおりです。「後医は常に名医なり」という言葉もあって、あとになっ て症状が出そろった段階ではもちろん、誰でも判断がつくわけです。それをどの程度の 兆しの段階で判断をすべきだったのか。  法廷での争いはいつも、患者側からはまず、結果から遡って考えればもっと早く判断 がつくはずだったという主張が出てきます。こちら側はそれぞれの時点の所見を総合す れば到底判断がつかない、という医療側の実態をお伝えする。その中で、裁判官は非常 に難しい判断をしていくことになるわけです。  ご指摘のとおり、遡って考えてあまりにも過酷になるという話は間々ございます。一 例だけ挙げると、いま風邪のシーズンです。喉が痛い、といって病院にやってくる患者 はいくらでもいらっしゃいます。ひどく喉が痛い、つらい、唾が飲み込みにくいという 患者もいくらでもいらっしゃいます。  毎年、これぐらいの季節に経験しているのは急性喉頭蓋炎による死亡事故です。海外 の教科書では小児に多いと言われています。アジア人、とりわけ日本人には成人にもた くさんあります。いま、喉が痛いといって外来にいた患者が、急性喉頭蓋炎というのは 教科書によれば大体、短くて20分ぐらい、長くて2〜3時間のうちに上気道が閉塞して 窒息死します。普通のドクターの感覚で言うと、そういうものは1万分の1、あるいは 10万分の1の確率なので、「喉が痛い」と言われたら「風邪でしょう、お帰りください 」、そして「お薬を出しておきましょう」という対応をするわけです。その何万分の1 かの確率で毎年、急性喉頭蓋炎の死亡事故が起きています。  結果から遡れば、こういう事例をどうして見つけられなかったのかという話になりま す。しかし、果たして、どれだけのドクターが「喉が痛い」といってやってきた患者 に、そこまでの判断ができるだろうかという事例があります。  ただ、それでいいとは私は思いません。逆に言えば、そのような事例があることをド クターたちはみんな知っているのだろうか。あるいは議論の前提として、例えば100例 なり200例なり、せいぜい500例ぐらいの医療事故の事例をみんなで共有して議論した ら、いろいろなアイデアが出てくるはずだと思います。  そのような、事故事例の共有化という前提がいま、医療事故防止において前提が欠け ているのではないか。ならば、どうやったら共通のプラットフォームを作ることができ るのだろうかということを間々思います。 ○全田委員  私は医療現場の人間ですから、いろいろなことをどれだけ患者から引き出せて、いろ いろなことをどこまで検査するかということを含め、実は今日、日本大学と例のハーバ ードのリスク・マネージメント・ファンデーションのプレジデントが来てシンポジウム をやっています。  昨日、幸い、ドクター・マッカーシーというプレジデントと2時間半ほど、いわゆる リスク・マネージメントをペイシェント・セーフティーで話し合う機会がありました。 そのときに大変感激したのは“Unti-coagulating team”です。要するに1つに固まら ずに、みんなで考えよう。その中で、ペイシェントというものが最も中心になってきま す。  この報告書の中で話が出てきた、いかに一般的な意味で患者教育をしていくかどうか が、やはり相当大きなファクターだということでした。我々はどうしても医療人ですか ら、こちらからの一方的な、十分なことをやっただろうかどうか。ただ、やはり問題の 中心は患者ですから、固まったチームではなくて、もっと広い意味で患者を中心とした チーム、もちろんそこにはドクターもあればナースもあれば、我々のようなファーマシ ストも入るけれども、そのようなものを置くことが結局、先生方もご承知のように25年 間の実績があるわけです。大変に訴訟費が少なくなった。  要するに、いかにハーバードのメディカル・スクールの訴訟を少なくするために作っ たか。確かに、ほかに比べると相当少ないのです。そういう意味で、いかに患者を抱き 込むかが極めて重要だという話がありましたので、ご参考までにお話いたしました。 ○桜井委員  少し視点が違うかもしれませんが、大体、安全やリスク・マネージメントの話には暗 いものが多く、話がだんだん湿っぽくなる特徴があります。それだけでいいのか、とい うのが私の感じなのです。  というのは、ヒヤリ・ハットの事例などはリスク・マネージメントで言うと、いわゆ るリスク分析などに当たると思います。それは非常に大事なことだと思うのですが、結 局、解決しなければ意味がない。意味がないと言っては失礼かもしれませんが、実効性 はないわけです。実効的な解決策をそれぞれにぶら下げることが非常に大事だと思いま す。  1つ強調したいのは、やはり技術進歩をリスク・マネージメントに大幅に取り入れる 考え方が必要なのではないか。例えばいま、ユビキタスなどいろいろ言われています。 あのような、ICチップが1ミリ、2ミリというような時代になってきて、そういうも のを例えば投薬、与薬の間違いにどのように応用できるか。そのような個々の分析、あ るいはリスクの評価が大体これである段階に来たというところです。そのように、解決 策をぶら下げるという作業を同時に進めることが必要なのではないかと思います。それ がないと結局実効性がない、愚痴の言い合いのようなことになってしまうので、それで はまずいのではないかと思います。  今日も参考資料が出ていますが、薬や医療用具など、物の安全というのはどちらかと いうと比較的簡単と言えば簡単なのです。それを改善して、万人が納得するようなうま い安全策をそれに付与すればいいということなので、あるところまでは解決がつく。  そこに新しい技術を入れていただく。できれば「安全開発センター」とでも言うよう なもの、特に日本はいま不景気ですから、前にもさんざん申し上げたのですが、日本の 医療用具は世界一安全なのだという、逆のいき方もあるのではないかという気がしま す。したがって、何かの分析評価だけで終わってしまって、暗いイメージ、愚痴のこぼ し合いで終わるのはちょっと残念です。やはり、解決策をぶら下げていくことが必要な のではないかと思います。  もう1つ、グローバル時代ですので、国際整合性が日本として非常に大事なことのよ うに思います。例えばISOの210、これは医療用具の品質管理システムの委員会なの ですが、そこで割合早くから医療用具に関するリスク・マネージメントが議論されてき て、国際基準にもなっているのです。JISにもなっています。そこで医療用具を作る ときには、「まずリスク・アナリシスをすること」という点が明記されています。その ような動きが実際にあるので、日本が先手を取って、そういうことに積極的に関与して いくことが非常に大事なのではないかと思っています。 ○梅田委員  私もこの検討部会に参加しています。前田先生をはじめ、事務局がよくこれだけきち んとおまとめいただいたと思い、委員の1人として感謝しております。  この中で、病院の参考人のお話を既に4回にわたって聞かせていただきました。た だ、病院と診療所というのはちょっと組織が違います。病院でやっているようなことを いわゆる診療所でできるかどうか。病院でやっていることの小型を診療所でやることに なると、いちばん最初にお話があったように診療所についてもある程度のガイドライン を作っていただくと、私どもとしてもやり易いかと思います。  私も診療所の代表ですが、いわゆるヒヤリ・ハットにしても、インシデントにしても 報告しやすい。報告したことがフィードバックされることが大事ではないか。そうする と、皆さんがおっしゃっているように第三者機関の中に報告し、報告したものが有意義 に活かされるようにしていただきたいと思います。いつも申し上げているのですが、私 どもは全員に対し生涯研修指導をやっています。その中で、全会員にこういうものを十 分浸透させていかなければいけないと思います。ただ、文書だけで出しても、なかなか 実が上がらないのではないかと考えているわけです。 ○井上委員  やはり第三者機関は大事かなと、この委員会に参加して感じています。5頁、「収集 の障害となる要因」がありますが、これを超えて幅広く情報が集まらないと対策の立て ようがない。大変なご苦労をいただいて、ここまでインシデント事例、ヒヤリ・ハット 事例がこれだけ集まっているわけですが、この中の「センチネルイベント」というのは 一体何なのでしょうか。ただ情報を集めて、それを分析すればいいということではなく て、その中から客観的にセンチネルイベントを評価して、それを現場に還元していく機 関が要るのかなと思いました。そのために、障害となるものをどう超えていくのかと いったことが大事かなというように、最近つくづく感じています。 ○前田起草委員長  私は正規の委員でないので、個人的な意見はなるべく申し上げるべきではないと思っ ています。議論として今日のお話を伺って余計にその意思を強くしたのですが、やはり 情報を集めていくための第三者機関が必要である。そのイメージとしては、私はやはり 消費者保護に関する国民生活センターのような感覚なのです。そこに情報が集まってき て、そのときには騙されて変な物を売りつけられた、ひどい目に遭ったというけれど も、それが客観的に、本当にひどい商売なのかどうかがわからなくても全部集まってく るわけです。  それがトータルして集まったゾーンの中から、問題のある業態や何かが出てきてチェ ックしていける。おそらく全体として、完全な一致はみないでしょうが、この第三者機 関に集まった情報によって、それが法的な処分につながるなどという危険を感じたら集 まらない。情報をどんどん寄せていただいて、国民の申し出で、本当は事故かどうかの 基準が正確でなければいけないのかもしれませんが、いまの国民生活センターなどとい うのは本当はずいぶんがせネタも入ってきてしまっていると思います。でも、それはそ れなりに価値を持っている。それに対応するようなものを作って、しかも専門性を加え た分析、組織も持ったものができてくれば、国民にとっては非常にプラスになる。  先ほどご指摘があったように、喉に異常があって死ぬ1万人に1件の情報でも、本当 はここが集めたほうがいい。ただ、そういう医者が法的に責任が問われるかどうかとい うのは別個の問題で、それはそれで、法律の世界もきちんと対応するようになってきて います。ただ、そのような第三者システムができ、そのような情報がまたフィードバッ クされることによって、こういう場合には喉をもう少し注意しなければいけないのでは ないか、合併症はこう、副作用はこうという議論にもつながってくるのだと思います。  ここまで来て、これだけの大きな要請の中で、何らかの組織ができなければいけな い。動き得る、合理性のある組織ができなければいけない。かなり幅があるような面も あるのですが、何らかの形で第三者機関を作る、という形でほぼ合意ができていくので はないか。非常に楽観的なのですが、そう考えています。個人的なことを申し上げて失 礼いたしました。 ○森座長  先ほどのご説明の中でも、例えば第三者機関というものを考えるにしても、1つです べての目的をカバーすることは不可能である。もし、第三者機関が果たすべき役割がい くつもあるのであれば、それぞれの役割に応じて第三者機関的なものを作らなくては無 理ではないかという趣旨のお言葉がありましたね。 ○前田起草委員  私の言葉が足らずに申し訳ありません。例えば、医療被害に遭っている患者の側の方 のご不満も、情報をきちんと集めるというニーズもすべて、完全に満足する第三者機関 というのは非常に難しいと思います。ただ、当面の課題として最優先にあるのは、やは りいかに医療情報をたくさん集めて、国民にそれをフィードバックして、国民全体の医 療的なメリットを高めていくかというのが第1の柱です。それと矛盾しない範囲で、で きる限り患者の側の利益も入れていく。  具体的なイメージとしては、やはり国民生活センター型で情報をできる限り集めてい く。そうすると、事故情報かどうか、クライテリアというのは必ずしもそれほど明確に 出さなくても、集まってきた情報を逆にその中で組織が精査したり分析する。その前提 として、消費者問題などに比べると医療の世界はヒヤリ・ハット事例の分析など、専門 の方がたくさんいて英知がずいぶん結集されている。レベルが高いところにあると思い ます。その優位さを活かしながら、広く国民から不満のようなものを投げかけていく場 ができるということが患者の側の不満というか、疑心暗鬼を解消し、それは萎縮医療を 解消していくことにもつながっていくと思います。  ただ、全部を解決できないというのは、そこに持っていけば法的に処罰してもらえる のではないかという組織を作るのは無理だろう。すべて解決する組織を作るというのは 無理だろうという趣旨で、「1つの」というのは無理だと申し上げたのですが、大きな 柱としては安心して国民、医療の側からもそうなのですが、情報提供できる組織を信頼 制の高いものとして、厚労省との関係をどうつけるかというのは難しいかと思いますが 作っていく。それが国民の期待にまず応えていくだろう。必ず不満は残ると思います。 だけど、作っていくことが合理性があるのではないかという個人的意見を持っていま す。 ○山崎委員  この意見書を拝見して、意見が尽くされているというのが率直な実感です。これから は第三者機関をどのように作っていくかに議論が集中していくのではないかと思いま す。  私自身は医薬品情報学会を主催しております。「釈迦に説法」的なことを申し上げる と、情報というのは収集の段階でフィルターがかかってはいけないわけです。言うなれ ば、ピンからキリまでの情報が収集されなければならない。ただ、これが活用されると きに収集されたままでは当然駄目なわけで、そこに評価が必要になってくる。この評価 がいかに冷静に、正しく行われるかによって活用への道が開けるわけです。  そこで、この第三者機関という存在が大きくものを言うだろうと思っています。いま までも議論がありましたが、第三者が、事故において現場の当事者が評価するというの は無理なわけです。したがって、冷静な評価ができる方々の集まりが第三者機関になる だろうと思います。この意見書の中で、「医療担当者の事情」という言葉、それから 「生活者・患者の納得・理解」という言葉が出てきました。これがどうつながるか、と いうところが問題のように思います。  生活者である国民というのは、事故を起こした当事者を処罰することについては望ん でいないと思います。被害者の方の声をお聞きしても、2度とこういう事故が起きない ようにと、ほとんどの方がおっしゃるわけです。そこで納得がいかないというのは、医 療を担当した個人から医療の全体、例えば医療担当者個人から国全体というような図式 が出てくるかもしれませんが、その中で果たして担当者の個人的な能力、例えば知識・ 技能が不備だった、あるいは医療環境に不備があった、システムに欠陥があったとい う、どこに事故の原因があるかについてはっきりと説明されない場合が非常に多い。そ れが不満につながったり、不安につながったりしているということです。  したがって、この第三者機関は医療担当者の側は、先ほど児玉委員からもご説明があ りましたが、事故の内容について、わかりきった事故のときははっきり説明し、そのよ うな能力を高める。あるいは、担当をシフトするということが生活者の納得する自浄作 用につながっていくのだろうと思います。当然、医療担当者というのは知識、技能を日 夜磨いているわけですので、1回の事故の経験がその方の将来を決定するということは ないと思っています。そういうことを含めて、どういう方が第三者として第三者機関を 作ることができるのか、ということをこれから少し突っ込んで議論していくことが大切 なのです。この意見書は言わばバヒューのように、ここを見ると大体の意見が尽くされ るというのが私の率直な感想です。 ○児玉委員  いまの山崎先生のお話に関連して一言だけ発言します。先ほど医療事故に関して、グ レーゾーンが非常に広く広がっているということを申し上げました。今年も少なくと も、1年間でおそらく数百例から1,000例ぐらいの医療事故に出会うだろうと思います。  私自身の実感として、いま必要なのはグレーゾーンを白と黒に区分けする基準を求め るのではなくて、つまりこれは過失か過失でないか、あるいはこれは事故か事故でない かと仕分けする基準を求めるのではなくて、グレーのすべての情報を一旦集め、それを 国民の皆様、医療現場にもフィードバックしていく仕組みが必要なのではないかと思い ます。 ○森座長  どうもありがとうございました。さて、駆け足でしたがこれで、一応委員の方々全員 のご意見を伺いました。ただ、1つだけ話題に出なかったことがあろうかと思います。 それは、この部会の持っている使命が情報の活用と取扱いであるということからすれば 当然ですが、私はそれ以前に、こういう情報をどのような気持で受け止めるかが、おそ らく出発点として大きな違いになってくるであろうと思っています。  思いつく限りで、少なくとも2つの場合があると思います。どちらの立場、考えを 取っても、やることは同じだろうと思いますが、微妙なところで違ってくる可能性があ ります。1つの立場はヒヤリ・ハットといえども、こういう事柄はすべて忌むべきも の、100%悪であるという立場で、だから0にしなくてはいけない。「0にすること は不可能だ」と発言なさった委員の方もいらっしゃいました、私もそう思います。しか し少なくとも0にすることを目標にして、そこに一意専心すべきであるというお考えが あろうと思います。  もう1つの立場はむしろ、これを現実であると受け止める。人間の社会である以上、 ある程度はやむを得ない。ヒヤリ・ハットの少なくとも一部のものは、我々の普段の生 活から言えばちょっと思い違いをしてしまった、あるいは約束を忘れてしまった、心な らずも小さな嘘をついてしまったという辺りに属するものもあろうかと思います。医療 の現場では、そういうものもすべて悪であると決めつけるのか、あるいは人間が構成し ている社会であり、医師も人間であるから、そういうことはどうしてもある程度は存在 することを現実として受け止め、むしろ周辺を固める。そういうことが起こったときに 備え、被害が大きくならないような方策にも力を尽くす。おそらく、これはそっくり同 じではありませ んが、どちらかというと“To err is human”という、IOMの立場に近づくかと思い ます。この両者、どちらを自分の心の中に持って情報を聞き、分析し、次の対策を立て るかによって色々な点が微妙に違ってくると思います。  このような些細なことまでも、医療の世界において絶対に無くすことを目指すべきな のでしょうか、それとも人間の社会である以上はある程度、努力してもどうしても残る ことに重点を置くのか。確かに個々の患者、ご家族がそれによって受ける被害なり、悔 しい思いをし、怒りを覚えるという気持も十分理解しているつもりです。その上でなお かつ、これをむしろ現実として受け止めるのか、その辺はどうなのでしょうか。 ○飯塚委員  それに関係して、タイトルにある「事故事例情報」という言葉が、先生のおっしゃっ た前者のことを示唆しているように思えてならないのです。先ほど事故の定義について のお話がありましたが、何か起きてはいけないものだというように言われています。  私たちが狙っているのは何かというと、要するに教訓を得たいということ、先生が おっしゃった2番目のほうなのです。そうすると、この「事故事例情報」という言葉の 中に、あってはいけないものについて集めてきて、情報というとファクトをそのまま溜 めているような印象を持っていますので、何とかして教訓を活かす言葉に変えたほうが いいのではないかと思います。児玉委員がおっしゃった、グレーゾーンのものを全部集 めて分析しなければいけないということにも通じると思います。  例えば事例解析など、もっとニュートラルなものにしたほうがいいと思います。先生 のおっしゃった提言から言ったら、2つは微妙どころか、全く違うことであって、むし ろ後ろのほうで行くべきなのでしょう。何らかの分析を行って、そのときの最高の技術 で仕方がなかったことは仕方がないのです。それを認めない限りは技術の進歩はあり得 ないわけですので、当然後者で行くべきだと思います。どうしようもないところはもう 仕方がない。個人にとっては我慢ならないことですから、予めこのようなリスクがある ことを提示しておいて、保険や何かで担保しながら進んでいくしか道はないのではない かと思います。 ○黒田委員  いま先生がおっしゃったことというのは大変重大な発言なのです。医療だけではない のですが、日本での安全の考え方の中に、ターゲットとプロセスとが完全にコンフュー ズしていると思います。ターゲットは医療過誤がないように、皆さん非常に努力をして おられる。しかし、努力をしておられてもなくならないということは、ターゲットを掲 げているだけでは駄目だというのは事実だと思います。それが2万何千件のデータとし て起こってきているわけです。そうすると、ターゲットを達成するためには、そのプロ セスをよく調べなくてはいけないというのがいまの「事故調査報告書」だろうと思いま す。  ところが大変困ったことに、ターゲットを掲げているとひとりでに良くなる。各人が 一生懸命努力しなさい、という対策しかいまはないのです。日本人は器用なものですか らあるところまでやってきたわけです。労働災害もそうです。現場からボトムアップ型 安全ということが、いままでやってきた労働災害であり、いろいろなものであったわけ です。それではいま、どうにも収拾がつかないところまで来てしまっているのです。そ うすると、発想を転換しなければならない。IOMに書いてあるように、人間というの は誤りを犯すことをこれだけたくさん見ているのだったら、それをどのように解析し、 その裏側に手をかけて対策していけばいいのかという時代に、もう完全に変わってきて いるのだと思います。そこがうまくいかないのが、いままでの日本の中における医療過 誤を主体とする問題点だと思います。 ○川村委員  1万の事例を全部、定性的に分析をし終わったいま思うことは、やはり知ってさえい れば、あるいは習得さえしていれば防げる医療事故は非常に多い。それと知っていて も、習得していても、その場のさまざまな状況から仕方なくこうなってしまったという ものと、2通りあると思ったのです。知ってさえいれば、習得していれば防げる医療事 故でみすみす生命を失った反対の立場、患者、ご家族にとっては本当にやるせないと思 います。  ところが、医療現場というのは生身の弱者である患者を相手にする仕事ですから、私 たちの労働力いかんにかかわらず、人間にエラーを起こさせようとする状況が日常茶飯 事に発生する場面があります。その中で知っていてもできなかったというものもありま す。  前者の場合は最終的に教育の問題だと思います。知るべきこと、やるべきことをきち んと教育システムとして改善していかないといけない。後者の場合は他の産業界に見ら れない医療特有のもの、1つ宿命的な特性を持った、システム上の困難性もはらんでい る。医療従事者はそのことに関して、最終的には人を増やしてくださいという要求に なっていくのです。  いずれにしても、私たちはすぐシステムの問題、かつては個人の問題だと揺れ動いた わけです。いま両者があって、私たち医療に携わった人間というのは、医療従事者だか らわかることと医療従事者だからわからなくなっていること、2通りあると思います。 先ほど座長がおっしゃったことは、当然知っていれば防げる事故に関しては限りなく0 にしていく努力をしていかなければならないですし、後者はシステムとしてのフォロー が必要だと思います。以上、事例を分析して感じたことを申し上げました。 ○森座長  ありがとうございました。いま教育とおっしゃったけれども、それは専門教育です か、それとも初等・中等教育なども含めた、人間全体の教育ということでしょうか。 ○川村委員  専門教育です。人が誤らないための知識、技術というのは、ヒヤリ・ハット事例を分 析すると、本当にある程度限られたものはわかってくるのです。それをいままで、きち んと整理していなかったがゆえに知らなかったわけです。  私など、看護の事例をいただいて分析したわけですが、例えば輸血のことなど知らず によく無事にこられたなという、ドキドキするような事例がたくさんありました。その ように、きちんと事故防止にターゲットを当てた知識、技術をきちんと卒前教育でも、 卒後教育でも教育していくシステムというのは片方で、ただ精神論で走るのではなく て、個人のスキルアップという形で目指さないといけない部分だと思います。  一方で医療現場の特性もあります。それは産業界のモデルではなかなか適用できない のではないかと思っています。 ○森座長  ほかにいかがでしょうか、まだ若干の時間は残されています。どうぞご遠慮なく、ど のようなことでも、お願いします。 ○井上委員  川村委員が言われたことはよくわかります。私どももいま、4,000例のインシデント 事例から対応策をいろいろ考えているのですが、明らかに標準的な知識として、医療に 従事する現場の臨床の人間として知っておかないといけない、基本的な知識の欠落から 起こっている場合、それから「ヒューマンエラー」と言うのですが、その知識を知って いたのですが思わずやってしまう。みんな、傘を忘れてはいけないと思いますね。忘れ ようなどと思っている人はいないのですが、電車の中に忘れてしまうのです。そのよう に、どうしようもないエラーの部分がある。先ほど座長が言われたように、人間である がために付いてくるヒューマン・エラーがどうしてもある以上、現実から立ち返って対 応しないといけないのではないかという気がします。エラー分析をやっていると、どう してもそういうものが出てくると思います。 ○中村委員  最近の悩みなのですが、実は私どもの会員に非常に熱心な小児科の先生がおられま す。今年はインフルエンザがはやるだろうということで、そのことをしっかり広報誌等 で患者の方に知らせてあげたということでした。インフルエンザの特効薬等も例年以上 に買い込んでおられたのですが、実際に蓋を開けてみると想像を絶する、何倍もの患者 の方が詰めかけられて、小児用のインフルエンザの特効薬が早々となくなったのです。 やむなく、大人用のカプセルまで何とかばらして、それを昔風の紙に包んで渡していま す。なおかつ、大人用のものもなくなるのではないかと思って、非常に不安だというわ けです。  その先生は普段から、そういうことを熱心にやっているだけに期待外れというか、裏 切られたような、患者の保護者から不満らしいものが出ているという状況があります。 「会長、これは私の責任でしょうか」と言われたので、「先生の責任ではないと思う」 と言いました。こういうことは決して医療事故ではありませんが、国民の不安・不満に は確実につながっているわけです。  責任の所在はどうなっているのか、あるいは先ほど言われたような国民生活センター 等々があれば、そのようなことも特に挙がってくるのかなとも思うわけです。そうなる と、製薬業界が社会的責任ということできちんと、その年に売れても売れなくても、あ るいは経済的に厳しい状況下でも、それに応えていくべきかどうか。それを含めて、み んなで考えないといけない問題ではないかとつくづく思っています。このようなケース は期待権が高まれば高まるほど、いろいろ出てくるのではないでしょうか。 ○辻本委員  1998年、厚生省の仕事で「医者にかかる10カ条」というものを作りました。その作業 の中で、10項目、私どもが今後、いちばん患者と向き合っていかなければいけない課題 が医療の限界性、不確実性を患者自身がどう受け止めていくか。そうした課題を同じ患 者の立場から提案しています。先ほど座長から、忌むべきもの、あるいは悪である、0 にすべきであると考えるべきなのか、現実なのだからある程度はやむを得ないと受け止 めるか。このどちらもが限界性、不確実性の問題ということを現していると考えていま す。  ただ、患者側の立場としては、決して医療者の方から「現実なのだ」、「ある程度は やむを得ないのだ」という、大変失礼ながら、開き直りとも言えるような言葉は絶対に 聞きたくないのです。先ほどの「教訓を得たいという姿勢を前面に出すべき」という委 員のご意見、本当に同感です。わかってはいる、だけど言ってはいけない言葉という位 置づけで、この問題を一歩前に進めていただきたい。患者の立場としては切にお願いす ることを最後に申し上げておきたいと思います。 ○森座長  もっともな御意見だと思います。ただ、現実と捉えるにしても、それをもって免罪符 にするという考えは全くないのです。例えば、この世の中に約束を守らない人がたくさ んいるといって、ならば約束を守らなくていいということにはならないと思います。現 実として捉えるということと、それを免罪符のように使うということは別の問題として よろしいかと思います。 ○三宅委員  先ほど前田先生が、消費者センター的な機能ということをおっしゃっていました。面 白いというか、非常にいい考えだなと思います。そのような考えであると、1つは一般 国民から、あるいは患者からいろいろなご意見を伺える。もう1つはおそらく医療機関 からの情報収集、大きく分ければ2つになるのではないかと思います。  そうしたときに、第三者機関がいろいろ分析をしてフィードバックをする。それを社 会へフィードバックすると同時に、医療機関、場合によっては社会へ還元するというこ とがそのような機能を果たすのかもしれません。一種の勧告というような形、こういう ことがあって、こういうことを注意しましょうというような形を投げかけていくことに 案外、非常に大きい効果があるのかなという気もしています。  もう1つはこの前もちょっとお話した、医師集団としての自浄作用が働く必要がある と思っています。そのときにも、いまここでいわゆる行政処分という話がちらりちらり 出ています。それについても、やはりこういうものを抑制するという立場から、私はあ る程度は必要なのではないかと思います。  そういうことを考えたときに、どこをどのようにするかということが行政処分につい ては非常に不明確なのです。現在で「医道審議会」ということになっていますが、医道 審議会がそのような機能を本当に十分に果たしているかというと、そうではないような 気がしています。そういった意味ではむしろ、医師会だけではないと思います。医療従 事者、学識経験者という人たちをできれば全国的にいくつかのブロックに分けて、「ミ ニ医道審議会」のようなものがあって、こういうところからの勧告や国民からのいろい ろな声を聞く。そういった意味では、消費者センターという考えについては非常に機能 を発揮できるような気がします。そういうところからの勧告に基づいて、行政処分など も検討できるのではないかという感じがしています。前田先生がおっしゃった、こうい う意味での第三者機関というのは、うまく機能してくれると非常に効果があるのではな いかという感じを受けています。 ○森座長  こうして拝見すると、少なくとも5〜6人の方は部会のメンバーでもいらっしゃると 思います。前田先生、どうもありがとうございました。これからこれら5〜6人の方 と、ほかのメンバーもご一緒に、さらにご議論を進めていただきたいと思います。今日 はどうもありがとうございました。  次の議題に移りましょう。間近に迫っている、来年度の厚生労働省の予算についてで す。まず、全般的なことをご説明いただきたいと思います。中でも「医療安全推進総合 対策」の中で指摘されている、患者からの苦情や相談に対応する機構というか、体制に ついてもある程度予算が認められていると聞いています。どうぞ、15年度の予算につい て説明をしていただけますか。 ○長谷川補佐  平成15年度、医療安全対策関連の予算についてご説明申し上げます。資料2−1、お よび資料2−2となっています。  15年度の医療安全対策予算の考え方については、昨年4月、本検討会議においておま とめいただいた「医療安全推進総合対策」において、環境整備ということでご提言いた だいた事項を具体化するといった考えで要求をしたところです。具体的には医療安全に 有用な情報の提供、2点目としては都道府県等に患者の相談等に対応できる体制を整備 する。3点目としては、医療安全に必要な研究の計画的な推進といったことをご提言い ただき、それを具体化するという要求をしたところです。  具体的には資料2−1をご覧ください。事項に沿ってご説明申し上げます。1は「医 療安全対策の総合的検討」です。この中では先ほど申し上げた有用な情報の提供の推進 ということで、ヒューマンエラー部会でヒヤリ・ハット事例等の収集分析をしていただ いているところです。ただ、収集された事例等が多くなってきていますので、事例の収 集をさらに拡大する。それから、いまホームページ等で提供している情報を検索機能等 を加味しながら、効果的な情報提供に努めるといった点の強化をしています。  2点目、「苦情や相談等に対応するための体制の整備」については資料2−2を用意 しています。「患者の苦情や相談に対応するための体制整備」については、概算要求の 時点でもご説明したとおりです。患者、家族の皆様を取り巻き、既にある医療機関にお ける相談窓口、あとは地域医師会等での相談窓口、これに加え都道府県等、二次医療圏 等ごとに「医療安全相談センター」(仮称)を設置し、患者からの相談に的確に対応す る体制を整える。「医療安全相談センター」については都道府県等が自主的に実施し、 地域の関係者等から構成される協議会等を設置し、弾力的に実施していくといったこと であります。概算要求の考え方はいま申したとおりです。この考え方は基本的に変更し ていません。ただし、全体の相談体制については地方交付税による措置を行うといった ことで決着を見ています。  資料2−2の2頁をお開きください。具体的には都道府県、二次医療圏、保健所等で 表に記載したとおりの業務を実施する。これらの業務に必要な財源としては地方交付税 の措置を行うというものです。すべての都道府県、すべての二次医療圏の相談体制を円 滑に推進させるために、支援体制といったことで各都道府県、二次医療圏、保健所の相 談職員等に対する研修が実施され、相談事例等が収集されますので、その事例等を収集 し分析、その結果を都道府県、二次医療圏、保健所等への還元といった、都道府県を超 えた支援体制を行っていくことを考えています。  資料2−1、2頁です。「啓発活動の充実」、「教育・研修の充実」、これは平成14 年度と同額程度の額を確保しています。  5の「調査研究の充実」も昨年の提言を受け、医療安全に必要な研究の計画的推進と いったことを想定しています。来年度については業務の標準化、情報技術の活用、ハイ テク医療機器における対策などのような安全対策、あとは評価方法、これらの研究を充 実させることとしているところです。  以上、簡単ですが、平成15年度予算の概要についてご説明申し上げました。 ○森座長  どうもありがとうございました。予算が増えること、そのこと自体が良いのか悪いの かはよくわかりません。が、とにかく14年度に比べると、15年度は大体、総額で5割増 しぐらいになっているのでしょうか。これはおそらく、ここにおられる委員の方々のい ろいろなご意見が援護射撃になって、基本的には事務局の努力で獲得したものかと思い ます。何かご質問、ご意見はありませんか、よろしゅうございますか。 ○中村委員  2頁の「その他」にありますが、国立病院部は87%増ということで、大変頑張ってい ただいていると思うのですが、うらやましいという思いがあります。「専任のリスクマ ネージャーを配置する」、これは当然だとして、全部国立病院のためだけというのは ちょっと不満に感じます。それ以降の部分でも、例えば民間の医療機関にポスターを配 付する、研修会にこぞって参加を勧めるなどというのは考えておられないのでしょう か。 ○医療安全推進室長  ここに掲げているのは国立病院部用ですが、民間のその他の病院、すべての医療機関 を対象とした普及啓発活動として、本年も8ブロック、すべての構成局単位で各種の普 及啓発活動を行いました。引続き、来年もその活動は充実していきたいと思っていま す。  それについては簡単ですが、3の「啓発活動の充実」で、「患者安全推進(PSA) 事業」と称していますが、これを引続き行っていきたいと考えているところです。 ○辻本委員  昨年、岩手県の県行政の会議に招かれて、行政として、あるいは二次医療圏、保健所 が今後どのような相談活動をしていくか、その中での意見を求められました。  そこで相談活動に当たろうとする受け皿を作っていく行政サイドの意識の中に、限り なく苦情処理という意識をお持ちだったことを感じ、非常に切ない思いをしました。先 ほども申し上げたように、医療の限界性、不確実性をどう共有していくかという、新し いブレイク・スルーという道筋を探さなければいけない時代の中で、あくまでも処理す るという意識を相談員が持っているということは、非常に貧しい対応にしかならないの ではないかと憂えています。  その意味で2の「体制の整備」、あるいは教育の中に十分な予算があるのかないの か、私はよくわかりませんが、今日の議論ではないとは思いますが、そういった点も含 めて今後、大きな課題として取り上げていただきたいと思っています。 ○森座長  予定した時間となりましたので、今日はこの辺で終わりたいと思います。事務局から 次回の日程等も含めて、何かアナウンスメントを頂戴したいと思います。 ○医療安全推進室長  次回の日程については3月上旬を予定しています。これを目途に、委員の先生方の日 程を確認させていただいて設定し、またご連絡させていただきたいと思います。  先ほど森座長からお話がありましたが、内容については医療にかかる事故事例情報の 取扱いに関する検討部会、今日ご議論いただいたものの検討状況、さらに進んでいると 思われますので、それについてのご報告・ご審議をいただければと思っています。以上 です。 ○森座長  この検討会は来年度も続くのですか。 ○医政局総務課長  15年度も当然、何回かやっていただくことを考えています。 ○森座長  それでは、今後ともよろしくお願いいたします。今日は以上でよろしいですか。  長時間、どうもありがとうございました。                      (照会先)                       医政局総務課医療安全推進室指導係長                       電話 03-5253-1111(内線2579)