03/01/20 薬事・食品衛生審議会生物由来製品臨時部会 平成15年1月10日議事録         薬事・食品衛生審議会 生物由来製品臨時部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年1月20日(金) 10:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(12名)五十音順  ◎池田 康夫、 甲斐 知恵子、○倉田  毅、 小室 勝利、   清水 慶彦、 菅谷  忍、  土屋 利江、 長谷川 紘司、   早川 堯夫、 藤上 雅子、  三瀬 勝利、 山口 照英   (注) ◎部会長  ○部会長代理   なお、当部会は議事内容をかんがみ、早川堯夫委員が座長として議事を進行した。   欠席委員(0名) 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、 安倍 道治(審査管理課長)、   北條 泰輔(医療機器審査管理官)、 橋爪  章(血液対策課長)、   豊島  聰(審査センター長)、 磯部 総一郎、 屋敷 次郎、   佐藤 大作、 辻阪 高子  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○審査管理課長  定刻となりましたので、生物由来製品臨時部会をただいまより開催ささせていただき たいと思います。各委員の皆様方におかれましては、新年の御多用中大変お忙しいとこ ろお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は委員全員が出席という ことでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。なお、当部会の部会長は池 田委員でございますが、議事の内容にかんがみまして早川委員に座長として議事の進行 をお願いするところでございます。早川座長、どうぞよろしくお願いいたします。               ─ 血液対策課長着席 ─ ○早川座長  本日の審議は、前回12月18日の審議の際に御了解いただきましたように、公開の審議 とさせていただきます。本日は議題が四つ挙げられておりますが、事務局の方から資料 の確認をお願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。お手元の配付資料の確認をさせていただきます。一番始めに当 部会の議事次第が一枚ございます。それに引き続きまして資料1「生物由来製品の指定 の考え方について(案)」、資料1-2-1「特定生物由来製品・生物由来製品指定成分一覧 (案)」、資料1-2-2「特定生物由来製品・生物由来製品指定(案)」、資料1-3、これは一 番最初に日本メジフィジックス株式会社からの要望書がございますが、要望書の一式の つづりがございます。資料1-4「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第9 条に基づく基本方針(案)」、資料1-5「『人又は動物細胞株を用いて製造されるバイオ テクノロジー応用医薬品のウイルス安全性評価』について」の審査管理課長通知でござ います。引き続きまして資料2「生物由来製品の感染症に関する記録の保存についての 考え方(案)」、資料3-1「生物由来原料基準(案)」、資料3-2は3-1の基準案に対する日 本赤十字社の意見書というものでございます。資料3-3は「HTLV-1の検査に関する考え 方について(案)」、資料4が「生物由来製品に係る表示事項(添付文書を含む。)(案)」 でございます。お手元の資料に落丁、乱丁等ございましたら、事務局の方にお申し出い ただければと思います。以上です。 ○早川座長  資料の方はよろしゅうございますか。それではまず議題1、「生物由来製品及び特定 生物由来製品の指定について」というところから始めたいと思います。公開での審議と いうのは初めてでございますので、この公表資料にある考え方に至るまでの議論を含め て、事務局の方から御紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは事務局の方から資料1-1に沿って御説明申し上げます。生物由来製品の指定 の考え方及び生物由来製品の指定案につきましては、ただいま座長から御紹介いただい たように昨年12月18日に当部会から資料という形で公表させていただいたものでござい ます。これらにつきましては、昨年10月に第1回目の当臨時部会を開催いたしまして、 その後生物由来製品検討小委員会という作業委員会をこの部会の下に設置いたしまし て、その中での5回の審議に基づいて作成されてきたものでございます。この資料1-1 でございますが、一番最初に昨年7月に成立いたしました改正薬事法における生物由来 製品、及び特定生物由来製品の定義について書かれてございます。「特定生物由来製品 」とは、生物由来製品のうち市販後において当該製品による保健衛生上の危害発生、又 は拡大を防止するための措置を講ずることが必要なものであって、厚生労働大臣が薬事 ・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものを言う。「生物由来製品」とは、人その 他生物(植物を除く)に由来するものを原材料として製造される医薬品・医療機器等のう ち、保健衛生上特別の注意を要するものとして指定するものを言うという形で定義付け られているものでございます。ここで言うところの保健衛生上の危害発生又は拡大の防 止の中身というのは、基本的には生物由来製品に基づく感染症というものをある意味で は想定して、この法律の条文が構成されているというものでございます。  二番目の「改正薬事法上の定義に沿った指定分類の基本的な考え方について」という ところはこのペーパーのコアの部分でございます。おおむね指定の考え方という部分で は、製品の感染症のリスクに着目して行うという基本的な考え方で御議論いただいてお ります。ただし、これらの考え方というのは、現在想定される感染症を基とした対応と いうことでございまして、現在あるような感染症とは全く別の新しいタイプのようなも のが出てきた場合には、そういう新たな知見に基づいて見直しを行う必要があるものだ ろうということで、現在知り得る限りでの科学的知見の下での御議論として検討されて きたものであります。  「(1)特定生物由来製品については」ということで、特定生物由来製品の類型がここ に書かれてございますが、基本的には特定生物由来製品というのは、分かりやすく言え ば血液製剤等をまず基本的な対象としているものでございますが、製品による感染症の 発生リスクが理論的にも、かつ経験的にもより高いものであると。その原料に関して は、この(1)、(2)に書かれているような、例えば不活化処理等の感染症に関する処置に 限界があるものですとか、不特定多数の方からちょうだいしているような原材料を使用 すると、そういった部分の特徴があるものをここでは想定したものという形になってお ります。(1)につきましては、現在は実際に製品化されてございませんが、将来的に再 生医療の分野で、人・動物等から得られた培養皮膚等の細胞組織医薬品、医療用具等も 想定した形での対応ということになっているものでございます。  2ページでございますが、生物由来製品というものにつきましては、ここの類型は製 品における感染症の発生リスクが否定できないものが基本的にこの対象ではございます が、特定生物由来製品、いわゆる血液製剤との比較において見れば、そこまでの注意は 必要でないということが一つ前提になっているというふうにお考えいただくと分かりや すいかと思います。その中で(1)でございますが、基本的には病原性の細菌、ウイルス 等を原料としているというものが一つ対象となると。(2)としては、人又は動物の管理 された細胞株、又は管理された動物個体によって生産されるたんぱく等を用いて一定の ウイルス、病原体の存在の否定等を確認したものということで、遺伝子組換えたんぱく の一般的なものというのはこういうところに入ってくるということでございます。この 人・動物の管理された細胞株という部分、管理された動物個体という部分もございます が、この部分というのは基本的に単一、又は一定の細胞株を永続的に検査したもの、ク リアランスしたものを使い続けていくという意味で使っているものでございます。(3) でございますが、健康の確認された不特定多数の動物から得られた原料、ここに具体的 な例として「ヘパリン等の動物抽出成分」と書いてございますが、動物等の成分を抽出 してきて一定の不活化除去等の処理を行って造られるものがここに入ってくるというこ とでございます。ということで、生物由来製品、特定生物由来製品に指定されるものと いうのは、ある程度原料の感染リスクというもの、それから実際に製造工程ですとか、 ウイルス感染症等のスクリーニング検査等によって、そのリスクが減じられていくと。 最終的に製品レベルで残っている感染症のリスクを比較考慮しまして、それが比較的高 いものが特定生物由来製品、低いものが生物由来製品という形での仕分けを小委員会、 そして前回までの当臨時部会の方で御議論いただいてきたというものでございます。  (3)といたしまして、生物由来の原材料を用いるものであっても指定の対象とならな いものという考え方として、(1)、(2)、(3)と三点こちらの方に記載させていただいて おります。(1)は、製造工程における管理の内容において、強アルカリや高温の過激な 条件処理を行っているものですとか、基本的には食品レベルと同等の形での投与経路、 経口・経皮といったものであって、明らかに感染症リスクについての蓋然性が低いと。 例示としてはゼラチンというものがございますが、そういうものについては指定の対象 とはしていないという考え方でございます。ここで言っている過激な処理条件という部 分というのは、一般的に分かりやすい例でいいますと、例えばオートクレーブ処理とい ったものが基本的な処理の対象ではないかと思っております。(2)ですが、病原菌を使 用しない形での細菌の使用ということで、乳酸菌という例もございますが、もう少し進 んだ形であれば人・動物等の血清を製造工程中で使用しない形での遺伝子組換えの製品 は、例示としてはインスリン等の大腸菌由来の遺伝子組換え製剤と、抗生物質といった ものもこのグループに入ってまいりますが、こういうものについては明らかに感染症に ついてのリスクの蓋然性が低いという取扱いになっております。(3)でございますが、 実際に使用する原料において人獣共通感染症の蓋然性が低いというものでございまし て、例えば歴史的に見ても、またウイルス学的等のものから見ていっても、人との間で の感染症の共有が理論的にも経験的にも少ないといったもので、例えばここに書いてあ りますような魚類由来のものについては、当然その内容を個別に判断していくわけでご ざいますが、生物由来製品の指定の対象という形にはなっていないというものでござい ます。  その他の事項といたしまして、こういう生物由来製品の病原物質ということでは、細 菌ウイルス以外にプリオン等のリスクも当然考えなければならないわけです。この部会 とは直接関係ございませんが、これまで薬事・食品衛生審議会の伝達性海綿状脳症調査 会等でも御審議いただいておりますように、日本においてはこちらの四角の中に書いて ございますようなBSE対策を行っておりまして、基本的に原産国、使用部位等の規制 を行っており、BSEの製品に対するリスクというものをミニマイズするような形での 対応を採ってきているというものでございます。  引き続きまして3ページでございますが、2ページまでは比較的分かりやすい形での スキルということで御議論いただいたところでございますが、3ページではこういった 区分の境界の判断を行うべき事例ということで、三点ほど書かせていただいておりま す。下の(2)と(3)につきましては、これから新しく出てくる技術分野でございまし て、現状は個別に承認があるというものではございませんので、これについての説明は 省略させていただきますが、(1)については人血液成分を製造工程中で使用するような 医薬品の取扱いについての考え方を示させていただいております。ここでは、例えば遺 伝子組換え製剤の最終製品にする際の安定剤として使うような場合、又は遺伝子組換え 細胞を培養して成分を産生する場合の細胞の培地等にこういった成分を用いる場合のケ ースを想定した形で書かせていただいているものです。  (1)でございますが、基本的に人血液成分、アルブミン等の血漿たんぱくの製品中で の含有量、又は実際に使用する場合にあっては、製造工程中の培地等で使用する場合に あっては残留量ということになりますが、この量を標準的な治療において使用した場合 の累積量ということで、例えば1年使うケースであればその標準的な治療において1年 間累積して使用する量というものを求めています。一方で、人アルブミン製剤が標準的 な治療に用いられる量というものを「基準量」と書いてございますが、そういうものを 設定して比較していくと。一般的に使用量や使用期間というものが、使用期間中に曝露 されるアルブミンのドナー数等にも比例すると考えられるわけでございますので、感染 症対策という部分から言えばこういう形での数量的な比較をするというものを小委員 会、部会の方で御審議いただいたということでございます。  (3)で実際の判定ということでございますが、こういう基準量においてのアルブミン の座標軸という部分であれば、いまだアルブミンにおいても問題となるような感染症の 発生の知見はないわけでございますが、基本的に人のアルブミン製剤とを比較した値が 基準量に満たないような製品については、特定生物由来製品ではなく生物由来製品に指 定すると。ただし、その量を超えたものは特定生物由来製品に指定するという考え方 で、いわゆる血液製剤たるアルブミンとの比較という座標軸において、この限界事例に ついての判断をしていくということが一つございます。ただし、「以下の場合」という ことで「(ア)」と「(イ)」というものが書いてございますが、疾病により一生涯使用す る製剤については、この累積量が基準量より小さいというケースであっても、未知のリ スクという人の成分を使っているという部分でも、未知のリスクに対する予防的な対応 という観点から特定生物由来製品として考えていくと。また、同じ成分でかつ同じ効能 の製剤が特定生物由来製品である場合には、製品の医療現場等での管理、品質管理とい う観点から見ても、適正使用を推進する上で特定生物由来製品として指定することが必 要だろうという考え方でまとめております。この「(ア)」と「(イ)」に具体的に当ては まる事例ということでは、遺伝子組換え第VIII因子製剤というもの、現在三つのタイプ の製剤がございますが、この三つのタイプの製剤の中でも最終的な製剤として添加剤で アルブミンを使っているようなケースも、この「(ア)」と「(イ)」というケースで読み 込めるという対応になっているものでございます。またこの資料は後ろに4ページ、5 ページとございますが、これは先ほど申し上げたように製品のリスクをどのように考え るかを模式的に書いたもの、5ページにおいてはもともとの原材料のリスクを比較して いった場合にどういう形になるかを参考までに付けているものでございます。  こういう考え方に基づきまして、具体的に現在承認されているもの等の製品をそれぞ れ製造工程等も精査して分類させていただいたものが資料1-2-1というものでございま して、この資料1ページの「1.特定生物由来製品」というところから、2ページの 「2.生物由来製品」以下という形で、ここでは実際の品目の一般名で指定する成分の 案というものを書かせていただいております。特定生物由来製品に当たるものというの は、基本的には現在血液製剤として使われているようなものですとか、先ほど申し上げ たような一部の遺伝子組換え医薬品がここに入ってきているものでございます。  それと本日資料1-2-2という形で、資料1-2-1の一般名のものを実際に具体的な製品名 に置き換えたものを御用意させていただいているという次第でございます。事務局から の説明は以上でございます。 ○早川座長  どうもありがとうございました。ただいまの御説明は改正薬事法ということで、製品 の感染性のリスクに着目して既存の知識、技術の範囲の中で原料あるいは製造工程で使 われるもののリスク、それから製造工程でのリスクの低減、あるいは臨床適用に際して の在り方を配慮してできるだけ科学的な観点から特定生物由来製品、あるいは生物由来 製品、指定の対象とならないものに仕分けしたということでございます。もちろんこれ から新しい知見が発生すればそれについての見直しも行うという考え方で、基本的な考 え方で現在の案ができているということでございます。今の御説明に対して、補足、御 意見のある委員の方がいらっしゃれば頂きたいと思いますが、どなたか追加等ございま すでしょうか。もしございませんようでしたら、この資料の公表後に寄せられた御意見 等がございますので、それを事務局の方から御説明いただきたいと思います。 ○事務局  ただいま御紹介申し上げました、資料1-1と資料1-2-1というものにつきましては、昨 年12月18日の当部会終了後に公表ということで、一般の方にも分かる状態でホームペー ジの方にも載せさせていただいている状況でございます。その段階で指定に関して公表 後に頂いた御意見ですとか、当然当該製品を製造輸入されておられる関係企業の方から の御意見もございますが、その他御意見を頂いた上で今回の資料として資料1-3を御用 意させていただいております。ただこの1-3に入る前に、前回の指定案に基づき内容的 に訂正のあった部分については、資料1-2-1に戻りますが、ここに棒線を引いた形で訂 正しているものがございます。中身的には、成分名等に記載の誤りがあったものもござ いますが、ここで一部御紹介しなければならないのは、資料1-2-1の指定成分一覧案の 5ページですが、「次の成分を含有する医薬品(経口・経皮投与で用いられるものを除 く)」という部分の上に、4製剤ほど棒線を引いたものがございます。こちらにつきま しては上の三つ、牛由来のトロンビン、フィブリノジン、結晶トリプシン、いずれも創 傷や潰瘍といったものに使用される牛血液由来の製剤ということでございます。この辺 りにつきましては、今回の審議までに事務局の方で確認させていただきまして、さらに その内容をこの下の小委員会の委員の先生方に内容等のチェックを頂きまして、生物由 来製品の中に新たに追加させていただくというものでございます。それと肺サーファク タントというものがございますが、これは未熟児の呼吸障害等に使われる肺に注入する 医薬品でございまして、牛の肺から抽出してくるものでございますが、これにつきまし ても侵襲的な使用をするといった観点から同様に生物由来製品に御指定いただくという ことで、この部会を開催する前に小委員会の委員の先生方に御確認いただいたものでご ざいます。これらがマイナーな部分で新たに追加される部分ということで御紹介申し上 げる部分です。  資料1-3の要望書の方に移らせていただきます。この資料は三つの要望書から構成さ れておりまして、一番最初が日本メジフィジックス株式会社、2ページおめくりいただ きますと、薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会の大平勝美委員、花井十伍委 員からの要望書、一番最後の方でございますが、日本赤十字社から提出されているもの でございます。一番最初の日本メジフィジックス株式会社の御要望でございますが、こ の18日付けの指定成分一覧の中で、下の「記」の中に品目名が書いてございますが、放 射線の造影剤ということで、体の中に注射して使う体内診断薬3製剤が書いてございま す。これらは実際製造工程で人血液アルブミンを使うというものでございますが、実際 製品名の中にもアルブミンと書かれているといったところから、特定生物由来製品の指 定案の中に前回12月18日公表時点では入っていたものでございます。ただし、この製剤 につきましては、実際に使用しているアルブミンの量がここにも書いてございますが、 ほとんどmgオーダーでございまして、先ほどの指定の考え方の限界事例の判断基準に照 らしていっても、特定生物由来製品に入るものではないと。さらに単回投与の診断薬で あるという事情から、特定生物由来製品ではなく生物由来製品に切り替えてほしいとい った、比較的技術的な御要望ということでございます。二枚おめくりいただきまして、 薬事・食品衛生審議会血液事業部会の花井委員、大平委員からの御要望というものがご ざいます。こちらにつきましては、まず一番最初にこの委員の方々においては特に薬害 エイズと同様の悲劇を未然に防止するといった観点から、やはり患者が医療現場におい て医師から製剤について説明を受けられること、また未知のリスクについても対応でき る遡及調査体制を確保するということをやはりきちんと対応していただくという観点の 中での御要望でございます。  御案内のように、ここにも書いてございますが、改正薬事法において特定生物由来製 品に指定されたものというのは、薬事法の68条の7で使用患者に対するインフォームド ・コンセントですとか、遡及調査の一貫ということで医療関係者における使用記録の保 管といったもの等が法的にも義務付けられているわけでございますが、そういうものに 対して関心を寄せておられるというところでございます。また、今までこの部会自体が 非公開で行われた部分に対する遺憾の意がここで述べられています。2ページからでご ざいますが、実際のこの要望の中身という部分は現在血液製剤の代替医薬品、遺伝子組 換え第VIII因子製剤については特定生物由来製品になってございますが、それ以外の遺 伝子組換え第VII因子製剤については人血液成分を製造工程中で使用していないことも ございまして、特定生物由来製品ではなく生物由来製品に指定されているということで ございます。またこの要望書では、今後開発されてくる製品においては、そういった人 血液成分を使用しないものも出てくるという部分について注意喚起をしているというこ ともございます。この後出てくる御要望という部分でもう少し要約して申し上げると、 基本的に同じような対象疾患に使用されるような医薬品であって、やはり医療現場にお いてインフォームド・コンセントや記録の保管という対応が法的にされるものとされな いものというのが、特定生物由来製品、生物由来製品の区分にかかる問題でございます が、患者を代表する立場からもそこは非常に不都合だろうという御要望というふうに要 約できるかと思っております。そういった意味で、遺伝子組換え製品についても特定生 物由来製品に指定するべきだという御意見でございますが、その辺の理由というのは3 〜4ページ以降の部分に書かれているものでございます。そこで使用している遺伝子組 換え医薬品というものが動物の細胞、マウスのCHO細胞といったほ乳類の細胞等を使 用して遺伝子組換えをやっているわけでございますが、そういうものから来るウイルス のリスク等も当然のことながら勘案すべきだといった内容の御意見でございまして、そ ういう観点からも特定生物由来製品にするべきだというのがここに書かれてございま す。  5ページのその他の事項でございますが、生物由来製品については感染症のみならず 副作用リスク等についても勘案するべきであって、そういう観点での指定というものを 考え、アナフィラキシーショック等を具体的に挙げてございますが、そういうものを配 慮した指定の基準というものを作るべきではないかという御意見でございます。その後 に参考資料等が付いてございますが、時間の都合上割愛させていただきます。  日本赤十字社の御意見というのが最後にございます。お読みいただければ分かると思 いますが、一番最初のページは血液製剤にかかる行政指導上の内外格差という部分を書 いてございますが、直接的には今回の指定等の議論とは関係ございませんので、申し訳 ございませんが、ここは後でお読みいただくということで、具体的には2ページの部分 を御紹介させていただきます。こちらも先ほどの血液事業部会の花井委員、大平委員の 御意見と基本的には同じでございまして、ほ乳類や鳥類の培養細胞を使用する遺伝子組 換え製剤で、かつ長期間反復使用をする製剤については、特定生物由来製品にするべき という御意見を出されてきているものでございます。そういう観点から、日本赤十字社 という立場から従来同じ患者さんに同じ経路で用いられる医薬品等についても、同一の 安全性が確保されるべきであるという主張がございまして、血液製剤と同効の特定生物 由来製品が存在するような遺伝子組換え製剤については、特定生物由来製品に指定する べきというお考えでございます。3ページに別紙等がございまして、指定の考え方等に ついて明確に修正するべきという御意見も寄せられているということでございます。12 月18日以降に御意見を頂いた部分で事務的な形で処理させていただいたもの、また要望 書の形で今回この会に提出させていただいたものは以上でございます。 ○早川座長  ありがとうございます。それで順次事務局から御紹介いただいた論点について審議を 進めてまいりたいと思います。まず始めに、資料1-2-1で創傷、潰瘍使用、牛由来のも のの取扱い、それから牛肺からの抽出物について追加的に前回の資料に加える形で収載 されましたが、まずこれについて何か御意見ございますでしょうか。これは一応小委員 会でもう一度回覧いたしまして、委員の先生方の御意見を伺って、こういう形でよろし いのではないかという結論を頂いているものでございます。委員の先生方でまずこれに ついて特に御意見ございますでしょうか。  よろしければ、次にメジフィックス社の特定ということになっているのですが、体内 診断薬で血清アルブミンが入っているけれども、投与量の問題あるいは単回投与である という臨床上の適用の在り方から考えて、これは生物由来の方に属するのではないかと いう御意見が出されているわけですが、それについてはいかがでしょうか。整理として は、特定から生物由来製品の方に指定を変えるということだと思うのですが、よろしゅ うございますか。それでは特に新たな追加に関して、メジフィックス社から出たことに 関しては御了承いただいたということで、処理させていただきたいと思います。  次に血液事業部会の委員であります花井、大平両委員からの御意見、それから日本赤 十字社からの御意見、多少多岐にわたる部分がございますが、これについて委員の先生 方の御意見を賜りたいと思います。先ほど事務局の方から趣旨説明がございましたが、 私どもは科学的な観点から感染リスクということで、先ほど来申し上げたような基本的 な考え方に沿って分類指定したわけでございますが、花井、大平委員からの御意見とし ては、例えて言えば患者が医療現場において医師から製剤に対する説明を受けられるこ ととか、遡及調査体制を確保することが譲れない一線であるという話が一つ。それから ほ乳類の動物細胞等については相当危険があるのではないかという御意見かと思うので すが、委員の先生方でこれに対してコメントございましたらお願いします。 ○山口委員  今早川先生の方から御説明いただいたように、下の委員会ではまず組換え医薬品の方 について、今までのICHの活動といった観点から特定とするような危険性について は、今考えてはいないというのが我々の結論だと思うのです。しかしもう一点、アルブ ミンを例えば第VIII因子などを造っているメーカーが将来的に特定から外れるために は、例えばアルブミンを抜いたような製剤を開発してくるということが考えられるわけ ですが、今座長がおっしゃられたように、もし医療現場の混乱ということがなければ、 私は逆により安全性の高い医薬品を開発してくるということは推奨されるべきことであ って、開発してきても特定になるのだったらという、ある意味では開発のブレーキを掛 けることになるのではないかと考えます。  また、大平委員と花井委員の御意見の中でやはり幾つか気になって…、おっしゃって いることが我々の意見とちょっと異なっているところは、例えば3ページの一番下に今 一番組換え医薬品で使われているのはCHO細胞ということですが、そのCHO細胞の 危険性について幾つか述べられていることがあるのです。これがその根拠になるかとい う感じで述べられているのですが、例えばCHO細胞がウイルスに対する感受性を持っ ているという…。逆に言うと、感受性を持っていることがいけないということではなく て、むしろ感受性を持っていることによって製造現場で製造している際にもしウイルス 感染が起こればそれは非常に的確に分かってくると。それが多分日赤の方で引用されて いるような論文の中で、EHDVに感染していることが分かるということ自体は危険性 があるという意味にはならないように思います。  また、二番目の遺伝子組換え細胞のいわゆるウイルス汚染は、製造工程のみならず培 養細胞株の汚染によって発生するということで、こういうことをきちんと評価するとい うのが資料1-5のICHのガイドラインですが、医薬品の人又は動物細胞を用いて製造 される培養医薬品のウイルス安全性評価についてということの中で、こういうことがす べて担保されるような形でガイドラインが出されているものだと考えています。そうい う意味では、医薬品というか細胞培養を使った医薬品が危険だという論拠は成り立たな いのではないかと私は考えるのですが。 ○早川座長  ほかの先生方、御意見ございますでしょうか。池田先生、どうぞ。 ○池田部会長  花井委員、大平委員の危惧されること、医療現場で明らかな血液製剤の代替とされて いるものの扱いということが一番大事だと思うのですが、それと組換え製剤一般の問題 とが混同して議論されると非常に整理が難しくなるのではないかと。私は遺伝子組換え は遺伝子組換えとして、やはり製剤の安全性というものをそれぞれきちんと科学的に整 理していく方向を採るべきであろうというので、今回ワーキンググループでいろいろ御 議論いただくと。国際的な観点から安全性、それから評価、今後の問題点なども十分検 討されたと思うのです。  ただ一方、医療現場で明らかな血液製剤の代替としてある遺伝子組換えをどう扱って いくかということに関しては、別の観点で花井委員、大平委員が危惧されているような ことをやはり取り入れていかなければいけない、やはり医療現場でインフォームド・コ ンセントというのが非常に重要なことになっていると聞いています。それから血液行政 上の問題、あるいは長期間にわたって使用した場合にどういうふうになっていくのか、 そういうところは別の観点から整理していく必要があるのではないかと私は思いました ので、非常にサイエンティフィックな分類と行政上の処置というものを少し区別してい く方向がいいのかなと感じました。 ○早川座長  ありがとうございました。先生方、ほかに御意見ございますでしょうか。 ○菅谷委員  この問題は、そもそも今度の薬事法改正につながった背景というものを考えていけ ば、必ずしも科学的にクリアカットに対応するということでは済まない問題を含んでい るわけです。そういう意味で、今回この会でいろいろ問題になってきているわけですか ら、そういう社会的な背景をきちんと考慮した上でやはり対応すべきだと。そういう意 味から言えば、出されている二つ目と三つ目の意見はそれなりにきちんと評価する必要 があるだろうと私は思っております。逆に言えば、こういうものを除外してなぜ具合が 悪いのかもきちんと説明できなければ、これはそれなりの対応をしたということにはな らないわけです。そういう意味で、単に科学的な対応だけで仕分けをするということに ついては、非常に問題があると申し上げておきます。 ○早川座長  三瀬先生、お願いします。 ○三瀬委員  私は池田先生や山口先生と同じ意見なのですが、やはりここでの議論は科学的な議論 に基づいてやって、行政の方々がどういうふうに判断されるのかというのは別にやって しかるべきかと思っています。個人的な意見といたしましては、大平、花井両委員の述 べられていることは、歴史的なことを考えてもっともな点もあると思いますが、やはり いろいろな製剤、ここで問題になっているような第VII因子製剤などは、チャイニーズ ハムスター由来のものでありますし、リスクは非常に低減されているということ、今ま でも問題が出ていないということから、それは生物由来医薬品でいいと思っています。 ただ、歴史的な問題がありますから、それは行政の方で少し考えていただくというふう に考えています。  それから日赤の方から出てきていることにつきましては、これを取り入れてしまうと 余りにもたくさんのものが入ってきますし、今はインターフェロンやB型肝炎ウイル ス、これはすべてではありませんが、動物由来のものであります。しかも人とは違うチ ャイニーズハムスターなどが中心であって、細胞などもきちんと分かっているわけです し、それをそのまま入れてしまうと膨大なものになってしまう。生産側ではなくてお医 者さんの方だって大変で、それぞれ個々の問題について説明しなければいけなくなっ て、大変な負担がかかって現実的ではないと私は思っています。ですから、私の結論は 原案に賛成で、あとは付帯事項として行政の方に考えていただこうと思っております。 ○早川座長  いろいろ御意見があるかと存じますが、なるべく多くの先生方の御意見を頂きたいと 思います。どうぞ。 ○小室委員  私も今三瀬先生がおっしゃったようなことを申し上げようと思ったのですが、基本的 にはやはり規定の考え方についてサイエンスベースで決めるべきだろうと。社会的なバ ックグラウンドというのは、別途考慮するというところで行くべきだろうと思います。 以上です。 ○早川座長  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○土屋委員  私も科学的なことをベースにしておくべきかと。万が一、生物由来特定から外した場 合に起きたときの対策については、行政的に今までの被害の拡大を防ぐような措置を付 帯事項として考えておいていただきたいと思います。 ○早川座長  ほかによろしゅうございますか。今出された御意見を大ざっぱに分けますと、科学的 な背景で議論すべきということと、臨床現場での扱いも一応考慮に入れる部分ももちろ んあるでしょうと。それから社会的な背景、行政的な措置という幾つか違った切り口と いうか、違った観点での話が総合的に出てきたと思うのです。  ちょっと整理しておきたいのですが、まず科学的な背景ということで、特に遺伝子組 換えを使っている細胞由来のウイルス感染性に関しましては、これは既に国際調和され たICHガイドラインというものがございまして、そのICHガイドラインを作ったと きに従来細胞培養由来の製品で感染症が起こった事例がないと。しかしながら、万が一 を考えてより厳密にやりましょうということで、細胞の段階で十分な、できる限りのウ イルス試験をやると。それからウイルス不活化除去工程も設定してきちんとやると。場 合によっては最終製品についてもやると。そのときに日赤から出されているような文献 が幾つかあり、リスク面での可能性を考慮すべき点があるということについても、これ はICHガイドラインの議論の中ですべて議論いたしました。議論した上で、これにつ いてはそういう意味では問題ではないということで、最終的にICHガイドラインがで きたということでございます。ですから、そういう意味では国際的には今の科学的な取 扱いでも全く問題はないと。新しい知見が出てくれば別でありますが、少なくとも永続 的に使用する管理された細胞を使っている限りにおいては、十分な対策が講じられてい るということでございます。そういう意味では、これを科学的な観点からとりわけ動物 細胞由来であるからという理由で直ちに特定にすることはない。特定生物由来というの ももともと全体としては今の段階では安全性は保たれていると我々は信じているわけで す。信じているのですが、それの上乗せを一応予防的にやろうと、その予防的な中での グレードを付けていきましょうということでありますので、そういう観点から考える と、科学的な観点からのみ言えば、動物細胞由来の遺伝子組換え製品については、生物 由来というのがやはり妥当な考え方であろうと思います。そうであっても、その中に例 えば人由来のアルブミンが入ってきていると、それで長期継続するということについて は、今回の措置でも特定というふうに、これは別の観点から特定の方に回っています。 この部会といたしましては、そういう考え方に基づいてやってきておりますので、いろ いろな御意見がコメントとして寄せられておりますが、今の先生方の御意見を伺いまし ても大勢はそういう結論であるだろうと思います。  人血清等を使うものについては、先ほど申しましたように特定という扱いもあるだろ うということでございます。それからまた臨床現場での扱い、あるいは社会的背景につ きましては、この部会の範囲をいささか超える部分もございます。確かに臨床現場にお けるインフォームド・コンセント、医療機関での記録の保存について同様に取り扱って ほしいということに関しましては、これは池田先生、あるいはほかの先生方もおっしゃ ったように非常に理解できる部分もございます。行政的にはここら辺はどういうスタン スかということですが…。 ○医療機器審査管理官  いろいろ貴重な御意見を頂きまして、大変感謝しております。先ほど各委員からいろ いろな御意見を頂きましたが、私どもも基本的には今回の特定生物由来製品、あるいは 生物由来製品の指定につきましては、科学的な評価を基本として行っていくものと考え ているところでございます。しかしながら、池田委員あるいは菅谷委員からの御指摘も あったように、扱っているものが医薬品ということでございますので、やはり医療機関 における使用あるいは実際に使われる患者さんにとって、混乱なく適切に使用されるこ とも大変重要だろうと考えているところでございます。そういうところも含めて、取扱 いというものは決めるべきものと考えているところでございます。  先ほどの早川座長からのお話でございますが、今後のスケジュールも含めてちょっと 御紹介させていただきますと、できましたら今日臨時部会としての案を固めていただき ました後、今月の24日に開催が予定されております血液事業部会の方でも、今回の生物 由来製品の指定について御意見を伺うということにしているところでございます。今日 お配りしている資料1-4というものを少し御覧いただきたいわけでございますが、改正 薬事法と併せて血液についても法改正を行ったところでございます。新血液法の中で国 の方が血液事業等に係る基本方針を定めるということになっておりまして、現在血液事 業部会の方でその基本方針の策定作業の方を進めているところでございます。1ページ おめくりいただきまして、「目次」のところに第1〜8節まで御議論いただいている内 容を示しているところでございます。その中で、「第8節 その他献血及び血液製剤に 関する重要事項」ということで、11ページをお開きいただきますと「(1)血液製剤代替 医薬品に関する事項」という項目が列挙されております。その中の「また、また血液製 剤代替医薬品の安全対策については」と書かれているパラグラフでございますが、その 2行目に「なお、血液製剤代替医薬品のうち、生物由来製品についても、医療関係者は 第6節(1)に掲げたとおり、患者(又は家族)への説明、及び同意並びに記録の保存を特 定生物由来製品と同様に行うことが望ましい」と書かれているところでございます。も ちろんこの基本方針についてはまだ議論の過程でございますので、また今後いろいろな 御議論が出るというふうに考えられるところでございますが、私どもとしてはこの血液 事業部会における議論も踏まえて、最終的に取扱いというものを考えていきたいと考え ております。  したがいまして当部会におきましては、まず基本的には科学的なところをベースに御 評価を頂き、その後医療現場での取扱いについては血液事業部会等の御議論を踏まえ、 それを受けてまた考えていこうとしているところでございます。 ○早川座長  ありがとうございます。ただいまの御説明について…、先生どうぞ。 ○菅谷委員  この部会は、必ずしも純粋に科学的な議論だけする場ではないはずでありまして、そ れは小委員会できちんとやったはずだと思っております。それを基にしてこの部会はそ れを議論しているわけで、ということは諸般のいろいろな状況を勘案しながら検討する のがこの部会であって、そういうものを抜きにするというのであれば小委員会をそのま ま通ってしまうということで、それは間違っていると。やはりこの部会はこの委員会と しての最初の使命があるわけですから、そこをきちんと踏まえて議論すべきだと私はそ う思っております。 ○早川座長  ありがとうございます。今の先生のお話は、この部会でもう一度医療現場での状況、 それから行政的な対応も含めて議論すべきというお話でございましょうか。それともこ こは主に科学的な議論をして、この部会で後段の部分についてはよく理解をしているの で、いわば血液事業部会での方針の論議の行く末を見て、結論については尊重しましょ うという考え方はあるとは思うのですが、ここで最後の決着をつけるか、もう少し行っ たり来たりしながらということか…。 ○菅谷委員  今の大方の意見は座長が言うとおりかもしれません。しかし、こういうコメントがき ちんと出ているわけですから、やはりそれはきちんと評価した上で対応すべきだと。何 でも上の部会に先送りにすればいいという問題ではなくて、やはり具体的な個別の指定 の問題になれば、これはそれぞれ医療現場の状況その他を勘案しながらきちんと対応せ ざるを得ない部分も当然含まれてきますので、それはそれなりの対応をすればいいわけ ですが、基本的な考えとしてこういうものをきちんと担保することをここでやっていか ないとこの部会の意味はない、そう私は思っております。 ○早川座長  承知しました。今の菅谷先生の御意見に対して、何かございますでしょうか。 ○医療機器審査管理官  もちろん私どもこの臨時部会で決めたことで押し切るというつもりは毛頭ございませ んで、血液事業部会における議論を踏まえまして、それも併せて考えていきたいという ことでございます。もちろん24日以降必要がありましたら、またこの臨時部会の中で御 議論いただくこともあろうかと考えているところです。 ○早川座長  池田先生、どうぞ。 ○池田部会長  私も厚生労働省の部会に幾つか参加させていただいて議論しているのですが、部会の メンバーがやはりそれぞれ違った立場で御議論することもございますので、私はこの臨 時部会はやはりどういう考え方でどういう枠組みを作るかという議論をきちんとしてお く必要があるだろうと。ただし、何人かの先生方あるいはこの公表された案に対して意 見も出ているわけですから、それはどちらかというとここでも当然議論していかなけれ ばいけない問題だと思いますが、論点とすると血液事業部会の御意見もやはり聴いた方 がいいようなマターではないかと思いますので、それはそこのところで少しまた議論を していただいて、別に先送りするわけではなくて並列の形で御議論していただいて、そ してもし大きな変更があればまたこちらの方へ持ってくるということでも私はよろしい のではないかと思っています。むしろそれの方が非常に風通しが良くなりますし、国の 審議の方向としては非常に理にかなっていると思うのですが、いかがでしょうか。 ○早川座長  いかがでしょうか。この部会が単に科学的な論議だけやるのであれば、培養細胞由来 の組換え因子というのは科学的に考えれば、生物由来製品であると。これは私個人の科 学的な見解でありますが、もう随分長いこと培養細胞由来の製品についてはそういうこ とであると。これは世界的にもそういう方向で行っておりますので、科学的な観点から 見ればそれがある意味では第VIII因子であっても第VII因子であっても、あるいはその ほかのCHO由来のものであってもこれは同じはずですから、そのことについてはそれ のみをここで言うのであれば明確なのではないかと思います。むしろそういうことも血 液部会に伝えたいような気持ちもいたします。  ただし、先ほど菅谷先生もおっしゃったように、ここはそればかりでもないでしょう と。ほかの要素もある程度加味しながら、指定をするということでございます。ただ、 指定ですべてを律するのか、そのほかのいろいろな手段の中で全体としてのことが矛盾 なくできるのかということもございますので、それは血液部会とのいろいろなやり取り の中でいい方向が見つかってくるという考え方もございます。池田先生がおっしゃった ように、いろいろな違う立場でそれぞれ意見交換しながら、最終的に関係者すべてが満 足というわけにはいかないかもしれませんが、比較的一番妥当な線に落ち着いていけば いいのではないかと思います。  これは細胞培養由来のものを特定にすると決めてしまうと、完全に国際的な世界から は我々は全く説明できなよいような事態にもなりかねませんので、そこは明確にしてお きたいと思っております。これは細胞でのキャラクタライゼーション、それからその不 活化除去工程を設定しているという思想から考えると私は科学的にはそう思うので、決 してここは科学的な場だけですべて割り切ろうとしているわけではない、ただその観点 もやはりきちんとお伝えしておかないといけないのではないかと。最終的な結論はどう なるか分かりませんが、そういうふうに私の方は考えますので、そのことも踏まえて血 液の方でも、またいろいろな背景の中で御議論いただくことになろうと思いますので、 そういうことでいかがでしょうか。行政的な立場で、何か…。 ○血液対策課長  血液事業部会の事務局をやっております血液対策課からコメントを申し上げます。今 日の御議論を踏まえて、当然血液事業部会で科学的な物差しではない物差しを当てて議 論するということになるかと思います。論点は非常にはっきりしていまして、臨床現場 又は患者さんの立場での混乱をいかにしてなくすかという論点かと思いますので、混乱 をなくすためには実効性を上げなければいけないと。要するにこちらの部会の方で決ま ったことを、実効性を上げるための行政的な施策というものが採られるのですが、また 血液事業部会の方でも決まったことの実効性を上げるためのいろいろな行政的な施策を 採るわけですが、これは実効性を上げるためのやり方というものを両方の部会が話し合 いをしながら進めていかなければいけないものかと思いますので、多分混乱をなくさな ければいけないという何らかの結論はあるかと思います。その混乱をなくすためにどう したらいいかというのは、血液事業部会の方でもう一度議論しまして、その結果をさら にこちらの部会の方にフィードバックするということで、結果として混乱のないような 結論を出していけばいいのではないかと思いますので、今後とも両部会で緊密に連絡を 取り合いながら部会運用をさせていただけたらと思っております。 ○池田部会長  私は今御議論いただいたとおりだと思うのですが、やはり確認しておかなければいけ ないのは、これは法律に基づいた指定の考え方あるいは定義なものですから、そこはも うはっきりしておかないと、行政上の対応や医療の現場との問題とはちょっと次元が違 う問題だということをやはり認識すべきであろうと思います。  私も座長あるいは倉田先生、山口先生などとは違って、CHO細胞の安全性、ICH のガイドラインに基づいてどういう議論がされたか、その現場にいたわけではないので もちろん分かりませんが、今お聞きしてあるいは私が個人的に知っていることに関して 言えば、やはりCHO細胞はキャラクタライズされた、はっきりした見解が国際的にも 出ているので、やはりそれはそれとしてきちんとしておかないとこれは逆に混乱すると いうことだろうと思います。血液事業部会の先生方にもそれは正しく、逆に言うと理解 してもらわなければいけないと座長もおっしゃいましたが、それは非常に大事な点では ないかと思います。 ○早川座長  追加で更にございますでしょうか。これからやり取りはするという前提ではございま すが、この部会での議論の大勢というか大方の結論といたしましては、今の考え方、今 の指定の状況で血液事業部会の方にもお伺いしてみるということで、またそこからの御 意見も承りながら必要に応じてこちらでも議論していくということであるかと思いま す。そういうことでよろしゅうございますか。  それで現行の案ということで、一方では血液事業部会の方に、一方ではパブリックコ メントの問題等もあると思いますが、事務局の方からそのスケジュールについて…。 ○医療機器審査管理官  臨時部会、それから血液事業部会での御議論により、厚生労働省としての案がまとま りましたら、通常の手続きでございますが、パブリックコメントというものを採ってい きたいと考えております。またその結果によりまして、それぞれ御検討いただくことに なるということでございます。 ○早川座長  ありがとうございました。先生どうぞ。 ○倉田部会長代理 これは「科学的」、「科学的」と言いますが、私は当然だと思うの です。これは時代によって動いてくるわけで、今遺伝子のチェックというのは微生物に ついてごく当たり前にできるようになりましたが、10年前は全くそうでなく試行錯誤が 続いていたわけです。そういうわけで、この資料1-1の中間のところに「新たな知見」 とありますが、感染症だけではなくて技術的なことも含めてその進展は、現在判断した ことを5年なり10年したらなくしてしまってもいいということが多分起こると思うので す。そういうふうにして、例えば注射なら何億本使っても何も起きていないとかかなり 使用した上での事実と、それからもう一つはここにあるような新しいものが出てきたと きにそれに対応する、あるいはそういうものを我々研究所としてはチェックする立場に あるわけですが、そういう新たな感染症に対して対応していくことと、既知のものに関 して考えられるものはまんべんなく全部チェックしていくと、それが科学的な基盤だと 思うのです。そういうものもきちんとフォローしていく、技術的なものも全部含めて、 何か起こりそうなものに関して常に監視していくということをやることが今回分けた、 あるいはある考え方によって分けたものが、例えば10年したら全然違ったものになるか もしれないと私は思うのです。10年前には遺伝子に基づいて分けると考えもしなかった と思うのですが、今はそれが可能になってきました。  そういうことで、今後の対応として順次見直しを行うということが非常に大事なの で、私はこの考え方に立って現在考えられる範囲で分けていくことというのは現在は非 常に妥当だと思うのです。そういう考え方は流動的であって、法律に基づいて決まって しまったらそれで終わりではなくて、3年くらいで違った株が出てきたらそのときにま た法律を変えていくということをすべきであって、今のものが固定だと考えるとかなり 違ったものになるだろうと思います。そういう意味では、今委員の先生方が言われたこ とは非常に妥当なことだと思うし、もし上の部会で実際に使う段階で不都合が起きるよ うなことがあれば、それはどういうふうにしていくかをまたそこで議論していく。今科 学的にこういう分け方が妥当かどうかという判断でこの委員会が今日はあるかと思うの です。そんなふうに考えて、先々のことをやはりきちんとチェックしていくということ が、見直しを行う必要があるとありますから、これを読めればこれでいいのではないか と思っております。 ○早川座長  どうもありがとうございました。もともとの指定の考え方の一つの非常に重要な要素 として新たな知見が得られた場合には、これは見直しをやっていくと。見直しの中には 緩和もあると思いますし、より厳しくということもあり得るかと思いますので、倉田先 生の貴重な御意見のようにこれから運んでいければと思っております。  議題2の方に移りたいと思います。「生物由来製品の記録の保存について」というこ とですが、事務局の方から議題2に関して審議経過等を含めて御紹介いただければと思 います。 ○事務局  事務局でございます。資料2に従いまして、「生物由来製品の感染症に関する記録の 保存についての考え方(案)」について、今までの議論も含めて御紹介させていただきま す。この資料2の1ページでございますが、まず薬事法には68条の9という部分がござ いまして、その中で生物由来製品については万が一感染症が発生した場合の調査等を可 能とするために、関係者が必要な記録等を保存しなければならないこととされているわ けでございます。まずその承認取得者においては、製品の販売先等の記録、販売業者・ 賃貸業者は販売等の記録を承認取得者に提供すると。また、その特定生物由来製品につ きましては、今までも御議論ございましたように、その他医療関係者が使用対象者の記 録等を保管するということが改正薬事法の中に義務付けられています。  またもう一つの背景といたしまして、国会における審議の中でこの記録の保存期間と いう部分については、十分な期間というものを諸外国の例等を参考にして定めるという ことが付帯決議として付けられているものでございます。なお、一応御参考までに申し 上げますと、現在血液製剤については行政指導により医療機関において患者さんへの使 用記録というものを、有効期間+10年という期間で行われているという状況がございま す。こういう問題に対して答えを出していくに当たりまして、基本的な考え方というこ とをここで三つ書かせていただいております。これまで議論されてきたことでございま すが、一つは感染症が万が一発生した場合に、感染拡大防止のための安全対策という観 点のものを講ずるために必要な期間というものが一つ。それとせんだって昨年12月20日 に国会の方で御承認いただいた、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法の中にもござ いますような、新たな感染症等の救済制度を運用していくという観点の中から、遅発性 の感染症の発症者を合理的可能な限り救済していくという観点からの期間も必要になっ てまいります。それと付帯決議にもございますように、諸外国の状況というものも十分 参考にさせていただくということでございます。  1ページおめくりいただきますと、これまでの小委員会及び当部会で議論されてきた 内容というものを取りまとめた形でテーブルにさせていただいております。特定生物由 来製品については、製造業者等の保存期間30年、医療機関等においては20年という案、 生物由来製品については人血液成分以外のみの場合は10年、人血液成分を含む場合につ いては製造業者において30年という記録の保存について、これはもちろん血液成分の部 分でございますが、そういう記録の保存期間についての案が今回提出されてきているも のでございます。この「5.期間の根拠」という部分でございますが、まず安全対策上 というところで考えていきますと、感染者が出始めたら速やかに安全対策上の措置を講 じると。同一ロット等を特定して、そういったものが納入されている医療機関等を把握 し、ある意味で周囲情報を提供するとか、そういった意味での感染拡大策、そういう安 全対策というものを実施していく上で最低限必要な期間はどのくらいかという観点での 考え方でございます。  ここにおいては、ウイルス性の感染症であれば、従来のHCV等の経験等を見ていき ますと必ずしもHCVのようなものだけではないかと思いますが、ウイルス性の感染症 であれば10年と、またプリオン型の感染症であれば20年というのをここでは設定してご ざいます。この20年という部分の設定については、少し先に行きますが、5ページの 「プリオン型の感染症の過去の感染事例と潜伏期間について」という部分を見ていきま すと、これは過去の話でございますが、参考という形で行けば角膜移植ですとか乾燥硬 膜、人成長ホルモン等々のいわゆる医原性のCJDといったものの潜伏期間というもの がこういった数字になっていると。10年を超える期間が出ているといった状況もござい ますし、また私どもの方で将来的にvCJDというものがBSE等原因説に基づいて感 染爆発をしたような場合、どのくらい最大限推計ができるかということで6ページにグ ラフがございます。これは乾燥硬膜のCJDの潜伏期間というデータを統計的に外挿し ていって、もし仮に人口の0.2%でvCJD等の感染が起こった場合を想定して計算を しDていくと、大体20年くらいのところであれば、先ほどの表3と合わせて考えていく と、安全対策上も十分な期間であるだろうという結論で現在の案が出来上がっておりま す。  申し訳ございません、先ほどの表3の部分で人角膜移植で「17か月」とございます が、これは単位が「年」なので間違っているということでございます。これは訂正させ ていただこうと思います。  資料3ページの(2)でございますが、感染被害救済においては、合理的に最長の期 間、最大限できるだけ最後の患者さんまで拾ってあげられるような形にしなければいけ ないといった部分もあるわけでございます。特にプリオン型の感染症というところを考 えていきますと、先ほどの統計的な外挿という推計の中でも、30年あれば恐らく統計的 な部分から言うと最後の方まで拾っていけるだろうというところで、ここは最大限30年 という数字を検討させていただいたということでございます。当然将来的には未知の感 染症が出てくるわけでございますが、現時点では未知のものであり、こういった考え方 を採っていくに当たっては、現在知られている感染症というものをベースに検討させて いただくということでございまして、そういった考え方に基づく数字であるとここでは 書いてございます。また、新しいタイプの感染症が発生した場合は、そういった場合に 再検討する必要があるということも書かれております。繰り返しになりますが、「6. 記録の保存期間と対象となる製品」ということでございますが、特定生物由来製品とい うものについては、基本的には人ウイルス性のものだけではなく、プリオン型の感染症 伝播のリスクといった部分も十分に踏まえた上での措置と。また、生物由来製品につい て人材料を含まないものについては、基本的にウイルス性の感染症を想定するといった 対応という形にここは整理をしております。「7.記録の保管対象者」ですが、法的に は製造業者、医療機関ということでございます。「8.保管する記録の内容」というこ とでございますが、製造業者であれば血液製剤を取り扱う場合には採血記録と、その採 血事業者に記録の保管等を行わせる場合も含むわけですが、そういうふうな対応と。ま た、その製造記録、ロット記録ですとか、これは法的にも書かれてございますが、出荷 先、医療機関等に関する書類を保管しなくてはならない。  4ページでございますが、これは現在行政指導における血液製剤の管理簿の中でお示 ししている項目と同じでございますが、医療機関においては投与日、投与患者の氏名、 住所、製品名、製品のロット番号・記号等について管理簿を作成して保存をお願いする ということでございます。また、特定生物由来製品については、やはり未知の感染症の 発生リスクを踏まえて考えていくという、原因究明に供するというところもございます ので、書面での記録に加えて10年の製品ロット、又はその採血サンプル等の保管を求め るということもここで記載させていただいております。  これは説明でございますが、外国の状況というものを最後に少し御紹介申し上げま す。現在血液製剤については、この制度と同じような形での長期の記録の保存を義務付 けている国がございます。一覧にしたものが5ページに書いてございますが、例えばド イツにおいては採血業者、医療機関まで含めて記録の保管で15年という対応を採ってい る。またフランスにおいては、採血業者から医療機関までにおいて40年という期間の対 応を採っているということであります。また、(2)に書いてございますが、EU全域と いう話であれば昨年12月末に血液製剤に係るEU指令というものが欧州議会の方で法制 化されまして、その中ではvCJD等のプリオン病を考慮した因果関係の究明等という 理由で、採血業者に対して30年間の記録の保存を義務付けるというものが出来上がって きております。諸外国でどういった記録等を保管するかなどについては、この下に参考 で書かせていただいておりますが、そこの説明は割愛させていただきます。そういう背 景の下で、一応小委員会から当部会における議論の中でこのような20年、30年、10年と いった形での案を取りまとめさせていただいたという経緯でございます。以上です。 ○早川座長  ありがとうございました。これまでの部会の議論におきましても、特定生物由来製品 の記録の保存期間についていろいろ御意見があったわけでありますが、例えば医療機関 での患者使用記録の保存期間20年などについても御意見があったかと思いますが、医療 関係者のサイドから菅谷先生、お願いいたします。 ○菅谷委員  この記録の保存、特に被害を受けた患者さんを救済するという立場から言えば、かな り長期間保管しておく必要があるだろうという点では我々も異論はないわけでありま す。ここで設定された20年というのも、それなりに意味があるだろうというふうには思 っております。ただ問題は、その医療機関が途中で廃止になった場合、なくなってしま った場合、あるいはその医療機関をまた別の人が受け継いだ場合、そのときにその後の 人が前の人の状況を引き継がなければいけないということについてはかなり問題があ る。したがって、その医療機関が廃止ないし休所になった場合には、それまでの記録を どこが次に保管するかという問題にきちんと対応していく必要があるだろうと。そうい うものが担保できれば、20年というのもそれなりに妥当かというふうには思っていると ころです。 ○早川座長  ありがとうございます。20年は妥当だと思われますが、その医療機関が廃止された場 合にどういう対応があるのかに対して何か事務局の方からございますか。 ○事務局  先ほどの資料2でございますが、私どもの方から説明しなかった一番最後の8ページ に「参考」というものがございます。ここにおきまして、医療機関等の業廃止に伴う記 録の保存というものについて1枚ペーパーを付けさせていただいております。いろいろ な検討を今後進めなければいけないわけですが、本日私ども事務局サイドの方から御提 案させていただくものとして、二つの案を御提案させていただく次第でございます。  一つは、「1.医療機関から製造業者等(承認取得者)への記録の提供する案」という ものでございまして、今回の改正薬事法の68条の9第4項という部分において、保健衛 生上の危害発生拡大を防止する目的の上で使用対象者の利益になるという場合において は、その記録を承認取得者、いわゆるメーカーに医療機関から提供するという規定がご ざいます。もちろん受け手の製造業者側にも法的な守秘義務がかかっているわけでござ いますが、こういうものにおける救済といった観点、安全対策といった観点での患者の 利益を考慮いたしまして、製造企業との連携の下に製造業者に記録を提供して保存する という方法が1案と。  あともう一つは、「2.医療機関から地域の保健所等の公的な機関に記録を提供する 案」でございまして、現在医療法に基づく行政指導という形ではございますが、廃止さ れる医療機関のカルテ等の記録をその地域の保健所なり、自治体、都道府県が引き続き 保存するという指導がなされておりまして、実際にそれを実行している自治体もあると いう現状もございます。その当該特定生物由来製品の記録につきまして、それをその地 域の保健所等の公的な機関にカルテと同様に保管をお願いするといった方法もあるので はないかということでございます。私ども行政サイドといたしましては、これら二点の 対応案について今後実行の可能性等も踏まえて更に検討を進めたいと考えている次第で ございます。以上です。 ○早川座長  ありがとうございます。ただいまの事務局側の御意見に対して何かございますか。 ○菅谷委員  今考えられる二つの案が出ていますが、一番目はちょっと問題だろうと思います。や はり二番目で対応する…、ただし保健所そのものが妥当かどうかはまた別の問題として 対応すべきであれば、二番の考え方に立ってやるべきだと。業者というのはかなり問題 があり過ぎると思います。 ○早川座長  ありがとうございました。ほかに…、先生どうぞ。 ○藤上委員  記録を20年保管するということは妥当だと思うのですが、カルテの保管が5年になっ ていますけれども、そのギャップはどうなさるのでしょう。 ○早川座長  いかがですか。 ○医療機器審査管理官  カルテ関係のところは基本的に医政局の方で取り扱っている問題でございまして、私 の立場からはなかなか申し上げにくいところでございます。ただ、行政指導ベースでご ざいますが、現行既に血液製剤については10年間台帳として保管をお願いしているとこ ろでございます。そういう意味では既に5年と10年という差はあるわけでございます。  それからもう一つ今回お願いをしておりますのは、先ほど事務局から御説明したよう にカルテのように、一切合財の診療録というよりもノートのようなものでございますの で、若干事務的にも手間暇がかからないのではないかと思っております。 ○藤上委員  いえ、記録が残っていたとしても、実際問題が起きたときにではどういう疾患に使っ たのかといった細かいこと…、そのときの患者さんの状況というものが分からないと、 また問題が出てくるのではないのかなとちらっと思ったものですから。 ○医療機器審査管理官  どこまでの記録を20年間という長い期間お持ちいただくのかというところだろうと思 います。基本的には、私ども感染被害というものを拡大防止の観点から必要最小限のも のということで、こういう項目を設定しているところです。 ○早川座長  よろしいでしょうか。ちょっとあれかもしれませんが…、どうぞ。               ― 審査管理課長退室 ― ○藤上委員  この「記録の保管」という言葉ですが、製薬企業において製造されてから実際に患者 さんに使用されるまでの各段階で残されるべきだろうと思うのですが、今ロット番号と かいろいろなものをあれするためにはいろいろな手段が考えられると思うのですが、最 終的にはロット番号と使用期限と製剤名が情報として必ず必要になるのであろうといっ たときに、容易にきちんと記録できるので人手が余りかからないようにITを利用する というのは当然だろうと思うのですが、バーコードのようなものを考えていらっしゃる のですか。 ○早川座長  その具体的な…。 ○藤上委員  具体的なことを言うところかどうかちょっと分からなかったものですから、すみませ ん。 ○医療機器審査管理官  これは医政局の経済課というところで、今バーコード化を含めて医薬品や医療機器の コード管理ができるように、いろいろ検討を進めているというふうに聞いております。 もちろんそういう管理を効率的に行うために、私どももそういうものは必要だと思って おります。 ○藤上委員  もう一つ、今現時点で考えられているバーコードというのは、情報内容と表示面積が 非常に限られたものになっているということで、情報が限られてしまうのではないか と。二次元のものを考えていらっしゃるとするならば、絵として取り込むために時間が 掛かるとかいろいろな問題もあるのではなかろうと思うのですが、新しいものを考える などということは考えていらっしゃらないのでしょうか。例えばアメリカのコンビニな どで、かごの中に入れた品物をそのままレジを通るときに関知して、いちいちやらなく ても集計できるICチップなどというものが開発されたと聞いているのですが。 ○医療機器審査管理官  いろいろな技術開発が進んでいまして、いろいろな手段が考えられているということ は私どもも承知しております。そのことも含めまして、経済課あるいは研究開発振興課 になるのかもしれませんが、そういうものの標準化を進めていくように少し要請してお きたいと思います。 ○早川座長  記録の保存に関しましては、先ほど菅谷先生が二つのオプションのうち後者の方、あ るいはそれ以外の方策も何か検討していただければという御意見もございましたので、 そういうことも含めて少し事務局の方で検討していただければ…。 ○医療機器審査管理官  先ほどの菅谷先生からの御指摘でございますが、今医師法24条の規定に基づいて診療 録等が定められているのですが、その中で病院又は診療所が廃止された場合の診療録の 取扱いについて、一応局長通知が出されております。基本的には廃止時点における管理 者において保存するのが適当ということでありますが、その管理者たる医師がいない場 合は、県又は市などの行政機関において保存するのが適当であるという指導を行ってお ります。私どもも基本的には公的な機関において保存するのが適当ではないかと思って おりますので、今後できるだけ具体的に早く詰めてまいりますが、そこを中心に考えて いきたいと思っております。 ○早川座長  どうぞ。 ○土屋委員  そういうIT関係を使ってというのは、今いろいろな不具合報告等にも使われている のですが、その場合にやはり国際的にも外国製品も結構ありますので、感染の場合には もう一国の問題ではなくて、外国の状況との交換をよくできるようにバーコード表示と かいろいろなものも、国際的にある程度統合されたものを使われた方が、難しい点もあ るかと思うのですが、先々の進展、使い道も非常にいいと思います。 ○早川座長  保存の仕方に関する具体的な標準化には、これから少し詰める余地もあるかと思いま すが、今日の部会の審議事項としての保存期間自体に関しては特に御異論もないと思い ますので、これは了承していただいたということでよろしゅうございますか。  それではこの部会としてはこの案を御了承いただいたということで、議題3に入りた いと思います。「生物由来原料基準について」ということで、資料に関する審議経過も 含めて事務局の方から御説明いただきたいと思います。 ○事務局  資料3-1、「生物由来原料基準(案)」について、始めに事務局の方から御説明申し上 げます。まずこの基準の背景でございますが、改正薬事法におきまして第68条の5とい うもの、それと法律の第42条に基づいて生物由来製品に対しては品質等の基準を厚生労 働大臣が定めることができるとされている部分が根拠でございます。  基本的にこの基準はどういう構成になっているかというところからお話しいたします と、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器に使用される生物由来の原料又は材料、こ れは医療機器などを含む場合もございますので、「材料」という言い方をしております が、当然添加物や培地等の製造関連物質を含むということでございます。そういう様々 な製造に使われる生物由来の原材料について、製造に使用される際に講ずべき必要な措 置に関する基準を定めるものという位置付けのものでございます。基本的にはこの基準 は総則だけの規定でございまして、製品各条というものはございません。現在も生物学 的製剤基準というものがございますが、そことの関連で言いますと、血液製剤総則に当 たる部分をその他のいろいろな生物由来原材料というものも含めて、生物由来原料基準 の方に引き取る形にするというのが全体的な構図でございます。生物学的製剤基準は、 生物由来原料基準ができますと、各条を中心とした基準という形で改正を行うことにな るかと思うのですが、生物由来原料基準というのはあらゆる原材料についての、基本的 に守られるべき最低限のハードルを設ける趣旨のものであることを御理解いただければ と思います。  基準の構成でございますが、まずこの基準につきましては「血液製剤総則」という部 分がございまして、血液製剤を造る際の血液又は添加剤としてアルブミンを使うとか、 そういう製造工程中で用いられる人の血液成分に対する基準が設けられてございます。 「1.輸血用血液製剤総則」というものが1ページから始まっておりまして、ここで採 血方法や実際の検査についての基準が定められているわけでございます。  2ページに「記録」というものが、また3ページ以降は「血漿分画製剤総則」という 形での基準がございまして、ここは生物学的製剤基準では一つの基準だったのですが、 採血方法等の違いといった部分を踏まえまして、今回の基準案では輸血用血液製剤と血 漿分画製剤という形で総則を分けさせていただいたというものでございますが、基本的 な基準自体の構成は双方とも同じになってございます。  4ページでございますが、「人由来製品原材料総則」ということで、ここからは血液 以外の人由来の原材料を使用する場合の基準が示されてございます。この4ページの 「I.人細胞組織製品原料基準」につきましては、これは例えば培養皮膚や再生医療等に 今後用いられるようなものを踏まえた上での人細胞組織を生きたままの形で御使用いた だく、またそういったものと類似するようなケースにおいての原料基準を定めたもので ございます。ここの規定というのは一昨年、平成13年3月に告示された42条基準の細胞 組織医薬品、及び細胞組織医療用具基準をベースにこちらの方に書かせていただいてい るものでございます。この中にはいわゆるドナースクリーニング、提供者の方の検査と いうものと同時に、実際にドナーとなる方に対してきちんとした説明と同意を頂いた上 で御提供いただく、また無償提供していただくといった原則についても、併せてこの基 準の中に書かせていただいている次第でございます。  6ページは、人材料の特殊なケースといたしまして、人尿から造られる製品に関する 基準ということで、こちらに関しても検査の基準等々、不活化除去、記録の保存につい ての基準が示されていると。7ページは血液や細胞組織、尿以外のものがあった場合で の基準を書かせていただいています。8ページ以降でございますが、ここからは動物由 来の原材料を使う場合の基準ということでございまして、まず冒頭に基本的に守ってい ただかなければいけないことといたしまして、BSE対策に関する反芻動物より採取さ れる原料の部位ですとか、原産国に関する法的規定というのが示されているものであり ます。これをクリアしていただいた前提の上で、「II.動物細胞組織製品原材料基準」 の下の部分、これは先ほどの人細胞組織に対応する形で、ジェノトランスプランテーシ ョン等も今後出てくるかと思いますが、動物細胞組織を用いて医療用具等を造っていた だく場合に守っていただく基準ということで、ドナースクリーニングや動物福祉の精神 を盛り込んだ上での基準を作らせていただいているものでございます。  10ページにまいりますが、細胞組織医療用具といったもの以外の動物から成分を抽出 してくるような医薬品、また先ほど来御指摘ございましたような、動物細胞を宿主とし て遺伝子組換え細胞を使って製品を製造していく場合のセルバンク、細胞基材に関して 最低限お守りいただくような検査ですとか、不活化除去といった基準をこの10ページに 規定して設けているといった趣旨のものでございます。少し細々と御説明申し上げまし たが、基本的にそういう製品を製造する上で使う生物由来原料について、検査や処理を この基準の中で定めていくという趣旨のものと御理解いただければと思っております。 それとこの基準につきましては、資料3-2でございますが、日本赤十字社の方から資料 が提出されてきております。この中での科学的な中身についても、またこの部会の方で 御議論いただければと思いますが、事務的なところで申しますと、「2.輸血用血液製 剤総則『4』」の(1)等で梅毒の検査が抜けているという御指摘がございまして、誠に 恥ずかしいことでございますが、これは事務局で清書する段階に抜かしてしまったとい うことがございまして、ここは原案について修正するとともに、おわび申し上げる次第 でございます。  それと2ページの「II.血漿分画製剤総則」等について定義がないという御指摘を頂 いてございますが、基本的にこちらの部会の方で中身を固めていただいた上で、定義等 は御審議の中身を踏まえた上でこれから行政的に作らせていただこうと思っております ので、その点御理解いただければと思っております。事務局からは以上でございます。 ○早川座長  ありがとうございました。この生物由来原料基準というのは、従来あった生物学的製 剤基準その他通知等を基盤にして、そのものがないものについては科学的に同じような ことを考えて作ったということでございます。これに対しては、既にこの部会レベルで は一度御審議いただいているわけでございますが、これに関して何か特に追加あるいは コメントがございますでしょうか。先生どうぞ。 ○菅谷委員  中身の問題は別にないのですが、この案文は法令をきちんと検討して書いたものでは ないのですね。今まで出た法案や通知とか、そういうものとの整合をとってきちんと書 かれているかどうかというと、多分違うだろうという気がするものですから、確認して おきたい。 ○早川座長  いかがでしょうか。 ○事務局  基本的に今まで出ているこの42条基準をベースに書かせていただいておりますが、中 身的に現在の科学的水準に照らして修正をした部分等はございます。例えば血液製剤等 の総則に関する基準で申しますと、血液検査等を行う場合の検査項目につきまして、今 までは「抗体検査」といった言い方をした部分をウイルス名の規定に書き換えたりとい ったことをしてございます。また、その他の細かい修正等はさせていただいている部分 がございます。また、法的な文言といった細かい部分については、こちらの委員会での 科学的及び社会的な御議論を頂いた上で、また当方で最終的に詰めるということを御理 解いただきたいと思っておりますが、大体ベースはそういうところで作っているもので ございます。 ○早川座長  よろしゅうございますか。 ○菅谷委員  それはそれで了解できますが、要するに以前出たものとの整合性がとれているかどう かが問題なので、そこはやはりきちんと検証して文書を作るべきだということを言いた かったわけです。               ― 審査管理課長入室 ― ○医療機器審査管理官  この手のものでございますが、通例こういう審議会での御議論を踏まえて原案を作っ た上で、官房総務課の方でいわゆる審査というものがありまして、そこで前例であると か整合性も見た上で文書の方が作られるという段取りになっております。 ○早川座長  ほかに…、先生どうぞ。 ○甲斐委員  日本では今外国から輸入されている製剤がたくさんあって、それを日本の基準に合わ せてもう一回承認するために検査もいろいろしているということは知っているのです が、いろいろな段階で原材料や製品が輸入されるわけで、それにも今後はこの新たな基 準がすべて適用されるようになるのだと思います。それで一つ質問なのですが、製造業 者での保存期間が国によって違う場合がありますね。例えばアメリカでは10年と日本よ りも短いですが、日本に輸入して使う場合には、この部分に対してはアメリカで30年保 存してくださいと売るときに加えるということでしょうか。 ○事務局  基本的に日本の法令を遵守していただかなければならないわけでございますので、日 本の保存期間が当該輸入先国よりも長い場合には、それに合わせた保存をしていただく ことになるかと思います。ただしその保存の方法について、アメリカで保存できないの であればまた日本で保存するとか、そういう運用についてはまた実態に合わせて検討さ せていただくことになるかと思います。 ○早川座長  よろしいでしょうか。 ○池田部会長  以前にもちょっと質問したことがあるのですけれども、人の細胞や組織を使った製品 という格好でこういう人細胞組織製品の原料基準が決められているのですが、細胞その ものはまた別の委員会があって議論されていると私は理解しているのです。特に臍帯血 の問題はどういうふうに、基本的にはこれの中で位置付けるかということだけちょっと 確認しておきたいと思いますが、いかがですか。非常に難しい問題を幾つか抱えている ということは分かっているのですが、方向性としてやはりそのものの安全性というの は、基本的には同じような考え方でいかなければいけないと私は考えているものですか ら。 ○早川座長  薬事法で考えるのか、医療行為の中でという話だと思いますが。 ○事務局  現時点での対応ということでまずベースを申し上げますと、薬事法の基準というもの がかかってくる対象は薬事法の中に入ってくる、薬事法の中で承認許可を取るものが対 象になってくるということでございます。現時点では、血液製剤はもちろん薬事法の中 で対応してございますが、いわゆる臍帯血については移植医療という位置付けになって ございまして、これは薬事法の中での対応にはなってございません。しかしながら、こ れの所管は健康局でございますが、健康局の方でこちらの薬事法で実際に採用している 基準ですとか、考え方というものをお持ち込みいただいて、臍帯血等についても同じよ うな安全基準を適用するということで現在対応を進めているところでございます。た だ、将来的にそういったものを法的にどういうふうに整理するかというのは、また1年 先、2年先、5年先とで状況が変わってくるかと思いますので、申し訳ございません が、そこについては今のところはコメントできないという状況です。以上です。 ○早川座長  よろしゅうございますか。ほかにこの基準案についてはよろしゅうございますか。そ れで日赤の方から御意見が出ておりますが、これについて何か委員の先生方からこうで はないかというコメントがございましたら…、小室先生お願いします。 ○小室委員  一昨日ファックスを頂きまして、この疑問点について何かコメントを頂きたいという ことで、昨日緊急に送らせていただいたのが今日新たに追加された資料にございます。 全部については、ちょっと私も回答できない部分がございますので、平成15年1月8日 の資料3ー2、Iの1についての私なりの意見をここに書いてございます。これにつきま しては、「確認されている場合はこの限りでない」という要望でございますが、この際 の小委員会等での議論を総括いたしますと、製剤のリスク・ベネフィットを考慮しつつ 病原体の不活化除去が確認されていることが、日赤案ではどのような方法で担保される か必ずしも明確でないという議論があったと思います。すなわち確認されている場合 は、どのようにそれを評価するかというところが必ずしも十分でないのでということ で、恐らく事務局案としては承認の際にという文章を…。申し訳ございません、資料は 行っていないということで、私の手元だけでございます。失礼いたしました。すなわち 「確認されている場合はこの限りでない」というだけでは、どのようにその確認を行う のかが必ずしも十分に担保されないということで「承認時」という言葉が入ったと議論 されたと思っております。  それからIの「2.輸血用血液製剤総則」の問題についてですが、梅毒は先ほど話がご ざいました。総合的に判断するという要望書がございましたが、これにつきましては現 行基準と同様にプラスマイナスの判断を、ウイルス検査法による記載からウイルス名で 記載することにしたと。議論の内容は、そのことによってただし書部分を加えると、血 清学的検査が陽性であってもNAT検査が陰性であればこの逆もあり得ますが、使用す ることが可能となります。NATマイナスのものすべてが感染性を持たないかについて は、現時点で臨床評価が十分ではなくしかるべき経験が必要と考えられる。世界的にも 血清学的検査、NAT検査のどちらかにプラスが出た場合は使用しないと考えているの が妥当であろうという議論がされたと思います。  それから輸血用血液製剤総則の「5」と「6」については、私は意見は申し上げませ んでした。分画製剤につきまして梅毒の問題とHTLV-1の血清学的検査の記載がないと いうことで、HTLV-1については以前ここの小委員会、部会等で議論されたと思います。 資料3-3に未定稿ではございますが、事務局が作成いたしまして、私もちょっと筆を加 えさせていただきました。資料が出ておりますので、こういう根拠に基づいてHTLV-1 の検査は分画製剤については不必要であろうという議論がされたと思います。梅毒トレ ポネーマにつきましても、原材料が一定期間保管された後に製造に回されるとか、現時 点で製造工程を考えた際にトレポネーマが分画用製剤に入るということはまず考えられ ない、過去にもそういう例が見られない、世界的にも同様な処置が採られているという ことで、梅毒も不必要であろうと考えます。  それから3の(2)について私なりの意見を述べさせていただきますと、この疑問点は 「指針に従って確認された場合にはこの限りでない」という文を入れるべきであるとい うことだと思います。以前、この安全性確保に関するガイドラインの主な目的は、ウイ ルス検査による安全性の向上という観点と、製造工程チェックによる安全性確保という 両面を二つのステップによって安全確保をとろうという対策の一環と考え、後者の製造 工程チェックによる安全性確保というところを主に述べたものがこのガイドラインと考 えます。ただし書を追加する、すなわち不活化又は除去されることを例に定め、確認さ れた場合にはこの限りではないということが、先ほどと同様に除去、不活化データがあ れば検査陽性であって、ウイルス検査による安全性向上という観点からのウイルス検査 が陽性であっても、指針に従って除去、不活化が行われていれば使用し得るというふう にとられる可能性があります。現時点で不測の事態を想定して、検査による安全性確保 と製造工程チェックによる安全性確保という二点があいまって、安全性を更に確保しよ うということが現時点での世界的な安全確保対策と考えますと、この文章を入れること によってその確保対策の基本が失われるという議論がされたように思います。したがっ て、現時点ではやはりこの両者をクリアしなければならないと考えるのが妥当と私は思 い、そういう点での御意見を述べさせていただきました。 ○早川座長  ありがとうございました。ほかに日赤の御意見に対して、何か先生方の方でコメント ございますか。事務局からこの判定基準、あるいは42条基準の法的な在り方との関連で 何かございますか。 ○事務局  事務局から回答について補足させていただきます。先ほどの梅毒の関係が抜けていた ので資料3-1の方で既に記載の追加をさせていただいているということと、また小室先 生の方からお答えできないということで、「3.輸血用血液製剤総則の『5』及び『6 』」について分画製剤では一つの項の中に入っているけれども、輸血用では分かれてい るという御指摘ですが、そこはエディトリアルの問題でございますので、資料3-1の方 では合わせて修正した形で今回案の方を提出させていただいております。42条基準とい う位置付けで考えていきますと、この基準自体は非常に強制力の強い基準でございまし て、やはりこれに適合していないものは言ってみれば駄目と、販売流通ができないとい う種類の基準でございまして、やはりそこの判定についてはできるだけあいまいさをな くす必要があるのだろうというのが一つあるかと思います。そういった上で、小委員会 の中でも御議論いただいた点ではございますが、小室先生に御指摘いただいたように検 査結果を尊重するという中で、また何か病原体等が製造過程の操作の中で不活化除去さ れるということが確認されていわゆる例外的な取扱いをするという場合は、やはりそこ はきちんと評価し法的にも対応ができるような明確な形で承認の中で見ていくという対 応が必要だろうと考えております。そういう観点で今まで小委員会、部会の方で御議論 してきていただいたものと私どもは考えております。以上です。 ○早川座長  ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。これは1月8日に出された もので、今日突然お配りした御意見でございますので、各先生方の十分な吟味がどれだ けできるかという部分もございますが、今小室先生あるいは事務局からの意見を総合し て考えますと、Iの1については薬事法に基づく承認段階で担保することが必要ではな いかということでこういう表現になったと理解したいと思います。それから訂正すべき ことは訂正するということでありますし、2の(2)について先ほど小室先生がおっしゃ ったことは、いずれかが陰性であれば使えるようだということですね。そういうふうに 受け取られるので、それはよろしくないということでございます。  それから「3.輸血用血液製剤総則の『5』及び『6』」というのは、まとめてもい いのかもしれませんね。それから次の定義ですが、「確認されている場合はこの限りで ない」というのは、これは先ほどと同じことだと思います。それから次の話は先ほども 出たかと思います。同じように総合的に判断するということも同じことで、3の定義に ついては内容を固めて作っていくということでございますね。それから最後の3の(2) は、これは先ほど小室先生の方から御意見があったようなことかと思いますし、私もこ の問いかけの意味がよく分からないというか、当該血漿が既に原血漿として製造に用い られている場合云々というのはどういうシチュエーションなのかよく分かりません。い ずれにしても、先ほど御説明いただいたようなことなのではないかと思いました。一応 今日はこれにすべて確実な答えを出す部会であれば一番望ましいのですが、これからも う一度パブリックコメントもございますので、今日十分論議が深まらなかった分につい て更にパブリックコメントの中でいろいろ御意見がある場合には、もう少し詳しい説明 をしながら御意見頂いた方が私どもも分かりやすいと思いますので…、どうぞ先生。 ○小室委員  もう一点言い忘れた点がございます。先ほど菅谷先生の方からいろいろな整合性の問 題という御指摘がございました。2ページの2の(1)のHTLV-1に関する後半の記載に ついてでございますが、現時点でも生物製剤基準と課長通知の間に矛盾があります。し たがいまして、この点を重々事務局側の方で検討されて…、私の個人的な意見としては この課長通知は廃止すべきと考えますが、御返答いただきたいと思っております。 ○早川座長  ということで、そこはまた検討を加えるということかもしれません。本体部分に関し ては一応日赤の方から御意見が出ましたが、委員の先生方からはこれに対してこういう 形で変更していくという御意見は特段ないように私は思います。取りあえずこの状態と して案を御了承いただいて、これからまたパブリックコメントも含めて更に審議を深め るべきことは深めないといけないというところでございますので、取りあえずこの場で は原案の状態で先に進ませていただくことにしたいと思います。  最後の議題でありますが、表示について事務局の方からお願いいたします。 ○事務局  議題4、資料4、「生物由来製品に係る表示事項(添付文書を含む。)(案)」というも のでございます。これは御紹介でございますが、「改正薬事法第68条の3及び4(抜粋) 」というところで、生物由来製品又は特定生物由来製品に指定された製品につきまして は、その直接の容器包装、ラベルの部分と添付文書等において生物由来製品又は特定生 物由来製品の特性に合った表示をするということが義務付けられるわけでございます。 特にラベルにおいては、特定生物由来製品であれば「特生物」、生物由来製品であれば 「生物」という形での表示をお願いするということになっております。論点として今ま で国会審議等からあった部分でございますが、血液製剤に関する直接の容器の記載とい うことで、採血地、献血又は非献血の区分を記載することを義務付けることが参議院の 付帯決議によって付けられているものでございまして、ここについても対応していく必 要があるものでございます。ここに献血の定義として「自発的な無償供血」ということ で、1991年の国際赤十字・赤新月社第8回総会決議というものを示させていただいてお りますが、私どもとしてはこういう国際的な献血、非献血という献血のメルクマールな る定義を使いながらこの問題に対応していこうと考えているところでございます。  また、もう少し細かい話になってまいりますが、3ページに基本的な生物由来製品の 表示ルールの全体像について書かせていただいております。申し上げましたように、 「生物」、「特生物」という直接の容器ラベルの表示をしていただくということと、今 申し上げた国際赤十字・赤新月社の決議を踏まえた上での特定生物由来製品で人血液成 分が使用されているものについては、献血、非献血の区分を表示していくということが ございます。また、新表示への対応でございますが、薬事法改正の生物由来製品の規定 が本年7月から施行ということでございまして、この施行日の段階で新たな表示がされ ているものが市場に出ているということが法的にも求められているという状況であるこ とは、「5.新表示への移行時の対応について」という部分で御理解いただければと思 っております。  直接の表示だけではなくて、添付文書等においても感染伝播の危険性に関する事項を 特定生物由来製品には記載していただくことになりますし、生物由来製品、特定生物由 来製品ともに成分に関する事項ということで、実際にその製造工程なり成分として添加 剤も含めてどういう生物由来成分が使用されているかを添付文書の中にも明記していた だくということをこのルールの中で示させていただいております。その他4ページ以降 は、もう少し細かいルールとして添付文書の中に、冒頭にどういう注意を書けばいいか とか、組成成分についてはどういう形でリストアップすればいいかといった旨の記載が 書かれているものでございますので、ここはまた御参考に御覧いただければと思ってお ります。表示については御紹介ということでございますが、以上でございます。 ○早川座長  ありがとうございます。それでは今の表示の件について、委員の先生方から何かござ いますでしょうか。特にございませんようでしたら、これについてはこういう案で行く ということで御了承いただいたと理解したいと思います。  その他でありますが、一応ここまでの審議内容というのは一通り議論されたことと思 いますが、今後の予定について事務局からありましたらお願いいたします。 ○事務局  今後の予定でございますが、本日の議題1、生物由来製品の指定の項目においても御 議論いただきましたように、本日この部会で御審議いただいた内容については、1月24 日開催予定の血液事業部会の方に内容をまたお示しいたしまして、またそちらの方でも 御意見を頂くという対応を採らせていただこうと考えております。その上で血液事業部 会での御意見も頂き、可能であればできるだけその後速やかに厚生労働省内でパブリッ クコメントとしての案を作成し、手続きの方に入っていきたいと考えております。今後 の当部会の開催につきましては、血液事業部会及びパブリックコメントの状況により、 また事務局から部会長の方に御相談させていただきたいと思っております。以上です。 ○早川座長  ありがとうございました。そういったスケジュールで今後進めるということでござい ます。血液事業部会あるいはパブリックコメントに向けて、今日御議論いただいたこと の中で字句的、あるいは整合性等から整備しなければいけない部分は事務局の方にゆだ ねるということで、御意見があった部分についてもある程度事務的に整備できる部分は 整備していただくということでよろしくお願いいたしたいと思います。不手際でちょっ と遅れましたが、本日の審議はここまでといたしたいと思います。長時間にわたってど うもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 審査管理課 専門官 齊藤(内線2743)