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安全な血液製剤の安定確保等に関する法律第九条に基づく基本方針案及び改正
薬事法に基づく特定生物由来製品・生物由来製品の指定分類案に関する意見書

2003年1月13日

薬事・食品衛生審議会 血液事業部会
部会長 溝口秀昭 殿

はばたき福祉事業団
理事長 大平勝美
特定非営利活動法人 ネットワーク 医療と人権
理事 花井十伍


1、 血液製剤代替医薬品が特定生物由来製品に分類されない事の問題点について
(1) 添付文書の記載内容
 特定生物由来製品の枠囲いで記載される冒頭注意は薬事法第68条の7に規定される特定医療関係者による患者への説明の基礎となると考える。患者の立場からは、血液製剤と代替製品のそれぞれのリスク比較を踏まえた説明が必要であるとの観点から、血液製剤代替医薬品の全てで同様の様式の冒頭注意書きの必要性を強く主張する。この冒頭注意書きには安全対策の実施などポジティブな情報の記載も求められている事から、科学的知見による整理と矛盾しない。
 同様の理由から、特定生物由来製品の使用上の注意として記載される患者に対する説明を促す記載は血液製剤代替医薬品に関しても絶対に必要である。

(2) 記録の保存
 HIV、HCV感染の教訓から記録の保存は未知の感染症等発生時の遡求可能な体制を構築することにより、当該感染症等の疫学的究明に役立てるとともに患者の利益を守る観点から実施されるものであり、現在の知見を限定的に解釈すべきではない。従って、血液製剤代替医薬品の記録は血液製剤の記録と同期間保管すべきである。またロットの保管も同様に行うべきである。特に、自己注射を行っている血液凝固異常症の患者は血液製剤と代替製品を同効能の医薬品として、患者自身も製品付属のロット番号記載シール等個人記録簿を作成しており、記録保存の扱いがヒト由来血漿使用の有無によって変わる事は、患者の視点から遡求調査体制を求めるための一貫性を大きく欠く結果をまねくと考える。

2、 基本方針について
 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第9条に基く基本方針には、法の基本的要請をより明確かつ具体的に記載すべきであり、前文には法のよってたつ理念を明記する必要がある。よって、前文に「献血による国内自給」が盛り込まれないことがあってはならない。また、基本方針においては血液製剤代替医薬品に関する重要事項を明確に記載すべきものである。この点については、そもそも薬事法の特定生物由来製品指定における血液製剤代替医薬品の扱いについて、立法過程から血液関連法案関連規定の脈絡の上で未曾有の悲劇の再発防止をめざし議論されてきたことは周知のとおりである。したがって、安全な血液製剤の安定供給確保等に関する法律は、基本方針において血液政策全般を踏まえた基本的政策方針を定める見地から、血液製剤代替医薬品についても重要事項を定めることを立法経緯及び条文上も明確に求めている。
 基本方針においては、最善の安全対策を講ずるという政策的観点から社会的要因を充分考慮することは、「科学的」議論の結果と何ら矛盾しないばかりか必須の要請であると考える。
 上記理由により、患者としては、別紙「基本方針の修正すべき点」のとおり基本方針を修正すべきと考える。
以上 

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