戻る

資料3


「生殖補助医療技術に関する専門委員会」報告書において提示された条件及びその具体化のための検討結果(案)
【第21回生殖補助医療部会(平成14年12月19日)現在】



平成15年1月14日(火)


目次

検討課題1  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施及び精子・卵子・胚の提供の条件
1 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施の条件
(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることができる者の条件
1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療全般に関わる条件
2) 各々の提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療ごとに適用される条件
(1) AID(提供精子による人工授精)
(2) 提供精子による体外受精
(3) 提供卵子による体外受精
(4) 提供胚の移植
(2) 子宮に移植する胚の数の条件
2 精子・卵子・胚の提供の条件
(1) 提供精子の採取、使用に当たっての感染症及び遺伝性疾患の検査
(2) 精子・卵子・胚の提供に対する対価の条件
(3) 精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例
(4) 精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける人との属性の一致等の条件
(5) その他の条件
1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲
2) 提供者が死亡した場合の精子・卵子・胚の取扱い、提供された精子・卵子・胚の保存期間
検討課題2  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施、精子・卵子・胚の提供までの手続きや実施医療施設の施設・設備の基準
1 インフォームド・コンセント、カウンセリングの具体的な内容
(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における十分な説明の実施について
1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明の実施
2) 精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対する十分な説明の実施
(2) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における同意の取得について
1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の書面による同意
2) 精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の書面による同意
(3) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療におけるカウンセリングの機会の保障について
2 実施医療施設の施設・設備の基準及び人的基準について
(1) 実施医療施設の施設・設備の基準について
(2) 実施医療施設の人的基準について
(3) 倫理委員会について
検討課題3  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に係る管理体制
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に係る公的管理運営機関の業務の具体的な内容
(1) 情報の管理業務について
1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた夫婦の同意書の保存
2) 提供者(及びその配偶者)の同意書の保存
3) 精子・卵子・胚の提供を受ける人に関する個人情報の保存
4) 精子・卵子・胚の提供者に関する個人情報の保存
5) 精子・卵子・胚の提供により生まれた子に関する個人情報の保存
6) 提供者及び提供を受ける人に関する個人情報の保存・医療実績等の報告の徴収や徴収した報告の確認・当該報告に基づく統計の作成
(2) 審査業務について
1) 兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供(P)および胚の提供についての審査
(3) 精子・卵子・胚のコーディネーション業務について
1) 提供された精子・卵子・胚をどの人に提供するか決定する業務(マッチング業務)
2 実施医療施設等の監督体制
(1) 実施医療施設の指定及び指導監督業務について
1) 実施医療施設の指定
2) 実施医療施設の指導監督業務
3) 提供医療施設の指定
4) 提供医療施設の指導監督業務


※1  本検討結果は、「生殖補助医療技術に関する専門委員会」報告書の内容のうち生殖補助医療部会において具体化された事項を中心に記載したものである。(このため、専門委員会報告に記載されていた事項であっても、追加的な検討の結果がない事項については本検討結果に記載されていない。)

※2
 
  
 に囲まれた部分は、「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書」の関係部分であることとし、
 
  
 に囲まれた部分は、生殖補助医療部会での検討結果とする。
 今回、御意見を募集するのは 
  
 に囲まれた部分である。
 なお、
  
  内においてp○○とあるのは、「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書」の該当ページを示す。

※3  (案1)、(案2)等と記載されている部分は、複数の案が出され、まだ意見がまとまっていない部分である。

※4  (P)とされている部分は、未確定部分である。

※5  この検討結果において「胚」とは、夫婦が自己の胚移植の為に自己の精子・卵子を使用して得た胚でないことが文脈上明らかである場合を除き、「夫婦が自己の胚移植のために得た胚であって、当該夫婦が使用しないことを決定したもの」のことを言い、専門委員会報告書において「余剰胚」と記載されている部分についても、「胚」と置き替えて引用している。


検討課題1  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施及び精子・卵子・胚の提供の条件

1 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施の条件

(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることができる者の条件

1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療全般に関わる条件

(専門委員会報告書)
 加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない。(p4)

(検討結果)
 「加齢により妊娠できない」ことの具体的な判定基準については、国として義務的な基準を示さず、医師の裁量とする。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、自然閉経の平均年齢である50歳ぐらいを目安とし、それを超えて妊娠できない場合には、「加齢により妊娠できない」とみなすこととする。

(専門委員会報告書)
 自己の精子・卵子を得ることができる場合には、それぞれ精子・卵子の提供を受けることはできない。(p22)

(検討結果)
 「自己の精子・卵子を得ることができる」ことの具体的な判定基準は、国として義務的な基準は示さず、医師の裁量とする。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容は、精子・卵子・胚ごとに設ける。

2)各々の提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療ごとに適用される条件

(1) AID(提供精子による人工授精)

(専門委員会報告書)
 精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが、提供精子による人工授精を受けることができる。(p7)

(検討結果)
 「精子の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準は、国として義務的な基準は示さず、医師の裁量とする。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、日本産科婦人科学会の会告(「「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」1.及びその解説)に準ずる。

(2) 提供精子による体外受精

(専門委員会報告書)
 女性に体外受精を受ける医学上の理由があり、かつ精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供精子による体外受精を受けることができる。(p7)

(検討結果)
 「女性に体外受精を受ける医学上の理由がある」こと及び「精子の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準は、国として義務的な基準は示さず、医師の裁量とする。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、
「精子の提供を受けなければ妊娠できない」ことについては、日本産科婦人科学会の会告(「「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」1.及びその解説)に準ずる。
「女性に体外受精を受ける医学上の理由がある」ことについては、 日本産科婦人科学会の会告(「「体外受精・胚移植」に関する見解」1.及び3.並びにそれらの解説)に準ずる。

(3) 提供卵子による体外受精

(専門委員会報告書)
 卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供卵子による体外受精を受けることができる。(p8)

(検討結果)
 「卵子の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準は、国として義務的な基準は示さず、医師の裁量とする。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、当分の間、臨床的診断として自己の卵子が存在しない場合に限ることとする。

(4) 提供胚の移植

(専門委員会報告書)
 胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦が、提供された胚の移植を受けることができる。(p9)

(検討結果)
 「胚の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準は、国として義務的な基準は示さず、医師の裁量とする。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき医学的基準の具体的な内容は、男性に精子の提供を受ける医学上の理由があり、かつ女性に卵子の提供を受ける医学上の理由があることとする。
 医学的な基準以外の、子を安定して養育していけるか、生まれた子に対する真実告知などの基準については、カウンセリングやインフォームド・コンセントで対応するとともに、個別の事例について、公的な第三者の審査を行うこととする

(専門委員会報告書)
 ただし、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された胚の移植を受けることができる。
 また、胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦は、胚の提供を受けることが困難な場合には、精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植を受けることができる。(p9)

(検討結果)
 「胚の提供を受ければ妊娠できる夫婦」に対する精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は、認めないこととする。
(2) 子宮に移植する胚の数の条件
(専門委員会報告書)
 体外受精・胚移植又は提供胚の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は、原則として2個、移植する胚や子宮の状況によっては、3個までとする。(p25)

(検討結果)
 体外受精・胚移植又は提供胚の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は、原則として2個とし、医師の裁量で、移植する胚や子宮の状況によっては3個までとする。

2 精子・卵子・胚の提供の条件

(1) 提供精子の採取、使用に当たっての感染症及び遺伝性疾患の検査
(専門委員会報告書)
 AIDの実施に当たっては、提供精子からのHIV等の感染症の危険があることから、そうした事態を未然に防ぐため、提供精子の採取・使用に当たっては十分な検査等の予防措置が講じられるべきである。(p7)
 提供精子による体外受精の実施に当たっても、提供精子からのHIV等の感染症の危険があることから、そうした事態を未然に防ぐため、提供精子の採取・使用に当たっては十分な検査等の予防措置が講じられるべきである。(p8)

(検討結果)
 感染症に関しては、精子・卵子・胚の提供者について、現在のAIDにおける一般的な検査に準じた検査を行うこととする(血清反応、梅毒、B型肝炎ウィルスS抗原、C型肝炎ウィルス抗体、HIV抗体等について検査を行う。)。
 精子・卵子・胚の提供が行われる場合には、提供時及びウィンドウ・ピリオドが終了した後に、上記の感染症についての検査を行い、陰性が確認された提供者の精子・卵子(実際には、夫の精子と受精させた胚)・胚だけを使用できることとする。
 遺伝性疾患に関しては、日本産科婦人科学会の会告「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」の4.及びその解説の当該部分に準じたチェック(問診)を行うこととする。
 検査の結果(感染症の検査結果及び遺伝性疾患のチェックの結果)については、提供者に知らせることとする。
(2)精子・卵子・胚の提供に対する対価の条件
(専門委員会報告書)
 精子・卵子・胚の提供に係る一切の金銭等の対価を供与すること及び受領することを禁止する。ただし、実費相当分については、この限りでない。(p12)

(検討結果)
 「実費相当分」として認められるものの具体的な範囲は、以下のような複数の案が出されているところである。
(案1) 個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額に一定額を加算した額を「実費相当分」(の上限)として認めることとする。
(案2) 個々の事例について、実際にかかった額を含めた一定の額を「実費相当分」(の上限)として認めることとする。
(案3) 個々の事例について、実際に提供者が負った負担に応じた額を「実費相当分」(の上限)として認めることとする。
(案4) 個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額のみを「実費相当分」として認めることとする。
(案5) 「実費相当分」という以上の具体的な基準は特に示さないこととする。
(3)精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例
(専門委員会報告書)
 精子・卵子・胚を提供する場合には匿名とする。
(注釈) この場合の匿名とは、精子・卵子・胚の提供における提供する人と提供を受ける人との関係のことを示している。
 精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、精子・卵子・胚を提供する人が兄弟姉妹等以外に存在しない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する人及び当該精子・卵子・胚の提供を受ける人に対して、十分な説明・カウンセリングが行われ、かつ、当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭等の対価の供与が行われないことを条件として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めることとする。
 兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、その実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を受けなければならない。(p13)

(検討結果)
 精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めることとするかどうかについては、以下のような複数の案が出ているところである。
(案1) 「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」を認める。
(案2) 「兄弟姉妹のみからの精子・卵子・胚の提供」を認める。
(案3) 「姉妹等からの卵子の提供」のみ認める。精子・胚については、兄弟姉妹等からの提供を認めない。
(案4) 「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」は、(当分の間、)認めない。
 当分の間、認めない場合は、精子・卵子・胚を提供する人の匿名性が保持された生殖補助医療が実施されてから一定期間経過後、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実施の是非について再検討することとする。
(4) 精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける人との属性の一致等の条件
(専門委員会報告書)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設が当該生殖補助医療を受けることを希望する夫婦に説明すべき具体的な事項としては、(中略)当該生殖補助医療により生まれてくる子の血液型などを当該生殖補助医療を受ける夫婦に合わせることができない場合もあること、(中略)などが考えられるところである。(p20)

(検討結果)
 精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける人との属性の一致等について、ABO式血液型(A型・B型・O型・AB型)は、提供を受ける人の希望があり、かつ可能であれば、精子・卵子・胚の提供者と属性を合わせることが出来ることとする。
 それ以外については、希望があっても属性を合わせることは認めない。
 Rh型血液型に関しては、Rh不適合型妊娠の可能性も含めてインフォームド・コンセントで対応することとする。
 提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれたのち、提供された精子・卵子・胚の残りを第2子のために使用することを、提供を受ける人が希望すれば希望に答えるかどうかについては、以下のような複数の案が出ているところである。
(案1) 可能な限り認める。ただし、精子・卵子・胚を提供する際に、当該提供により、第1子だけでなく第2子も生まれる可能性があることについて、提供する人に対し、インフォームド・コンセントを取っておくこととする。
(案2) 認めないこととする。
 実施医療施設は、精子・卵子・胚の提供を行った結果子どもが生まれたかどうかを、提供者の希望があった場合には提供者に知らせることとする。
(5)その他の条件

1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲

(専門委員会報告書)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、成人後、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人を特定することができないものについて、当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができる。(p30)

(検討結果)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利を認める。
 出自を知る権利の範囲としては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が開示を希望する場合、当該生まれた子に対して、
(案1) 精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該提供した人が当該生まれた子に開示することを承認した範囲内の個人情報(当該提供した人を特定できる個人情報を含む)を開示する。
(案2) 当該提供した人を特定できる個人情報を開示する。

2)提供者が死亡した場合の精子・卵子・胚の取扱い、提供された精子・卵子・胚の保存期間)

(検討結果)
 精子・卵子・胚の提供者の死亡が確認されたときには、提供された精子・卵子・胚は廃棄することとする。
 提供された精子・卵子・胚の保存期間について、提供された精子・卵子の保存期間は2年間とする。
 提供された胚及び、提供を受ける夫婦の精子・卵子と提供された精子・卵子とを受精させて得られた胚は、ともに保存期間を10年間とする。それ以上の具体的な基準は特に示さないこととする。

検討課題2  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施、精子・卵子・胚の提供までの手続きや実施医療施設の施設・設備の基準

1 インフォームド・コンセント、カウンセリングの具体的な内容

(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における十分な説明の実施について

1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明の実施

(専門委員会報告書)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受ける夫婦が、当該生殖補助医療を受けることを同意する前に、当該夫婦に対し、当該生殖補助医療に関する十分な説明を行わなければならない。(p17)

(検討結果)
 説明を行う者は、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることを希望する者の診療を行う医師であって、生殖に関わる生理学、発生学、遺伝学を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、生殖補助医療に関する診療の経験が豊かで、医療相談、カウンセリングに習熟した医師であることとする。
説明を行う医師は、必要があれば他の専門職に説明の補足を依頼することができる。
 提供を受けることを希望する夫婦は原則として同時に揃って説明を受けることとする。
 説明の内容は、別紙1「精子・卵子・胚の提供を受ける夫婦に対する説明の内容について」のとおりとする。
 説明の方法は、説明する医師が説明する内容について記載されている文書を配布した上で、それを用いて説明することとする。
 提供を受ける人が再度の説明を求めた場合、もしくは担当医師が当該夫婦の理解について不十分であると判断した場合、担当医師もしくは当該医師の指示を受けた他の専門職は、当該提供者に対して繰り返し説明しなければならないこととする。
 提供を受ける夫婦は、説明を受けたあと、記名押印もしくは自署による署名を行うことによって説明を受けた確認を行うこととする。
 説明は、施術ごとに行われることとする。

2)精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対する十分な説明の実施

(専門委員会報告書)
 精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者が、当該精子・卵子・胚の提供に同意する前に、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対し、当該精子・卵子・胚の提供に関する十分な説明を行わなければならない。(p19)

(検討結果)
 説明を行う者は、生殖に関わる生理学、発生学、遺伝学を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、生殖補助医療に関する診療の経験が豊かで、医療相談、カウンセリングに習熟した医師であることとする。
説明を行う医師は、必要があれば他の専門職に説明の補足を依頼することができる。
 説明は、提供者に配偶者がいない場合、提供者本人のみに行い、提供者に配偶者(婚姻の届け出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にある者を含む)がいる場合には夫婦に行い、その場合、当該夫婦は原則として同時に揃って説明を受けることとする。
 説明の内容は、別紙2「精子・卵子・胚の提供者に対する説明の内容について」のとおりとする。
 説明の方法は、説明する医師が説明する内容について記載されている文書を配布した上で、それを用いて説明することとする。
 提供者が再度の説明を求めた場合、もしくは担当医師が提供者(配偶者がいる場合は配偶者を含む)の理解について不十分であると判断した場合、担当医師もしくは当該医師の指示を受けた他の専門職は、当該提供者に対して繰り返し説明しなければならないこととする。
 提供者は、説明を受けたあと、書類に記名押印もしくは自署による署名を行うことによって説明を受けた確認を行うこととする。
 説明は、期間をあけないで使用される場合には1度の説明でよいこととする。
 1年以上の期間をあけて使用される場合には、再度説明する必要があることとする。
(2) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における同意の取得について

1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の書面による同意

(専門委員会報告書)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療の実施の度ごとに、当該生殖補助医療の実施について、夫婦それぞれの書面による同意を得なければならない。(p15)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、上記により得た当該妊娠していないことを確認できた人以外の人及びその夫の同意書を公的管理運営機関に提出しなければならない。(p15)

(検討結果)
 提供を受けることを希望する夫婦は原則として同時に揃って同意を行うこととする。
 「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の書面による同意」の内容は、説明する項目と同じであることとする。
 同意する方法は、説明した医師の面前で同意する項目について一つずつ確認し、同意書に記名押印もしくは自署による署名を行うこととする。
 同意をする夫婦に対し、確実な本人確認(パスポート、運転免許証等、本人の顔写真のついてあるものによる確認等)と法的な夫婦であることの確認(戸籍謄本による確認等)を行うこととする。
 説明から同意の取得の間には、3ヶ月の熟慮期間を置くこととする。
 施術が繰り返される場合は、そのたびごとに提供を受ける夫婦両者の同意を得ることが必要であることとする。
 同じ生殖補助医療の施術が繰り返される際にも熟慮期間は3ヶ月必要であることとする。
 同意書の保存については、公的管理運営機関が行い、保存期間は80年とする。

(専門委員会報告書)
 当該同意は当該同意に係る当該生殖補助医療の実施前であれば撤回することができる。(p15)

(検討結果)
 撤回は、提供を受けることに同意した夫婦の双方またはいずれか一方が行うこととする。
 撤回する方法は、提供を受けることの同意に係る撤回の意思を表明した文書に記名押印もしくは自署による署名の上、当該文書を医療機関を経由して公的管理運営機関に提出することとする。
 同意は、胚を子宮に戻す前であればいつでも撤回できることとする。
 撤回の文書の保存は公的管理運営機関が行い、保存期間は80年とする。

2)精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の書面による同意

(専門委員会報告書)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設(以下単に「精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設」という。)は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の当該精子・卵子・胚の提供及び当該提供された精子・卵子・胚の当該生殖補助医療への使用について、書面による同意を得なければならない。(p16)

(検討結果)
 同意は、提供者に配偶者がいない場合、提供者本人が行うこととする。
 提供者に配偶者(精子・卵子の提供の場合、婚姻の届出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にあるものも含む)がいる場合には夫婦が行い、その場合、当該夫婦は原則として同時に揃って同意を行うこととする。
 同意の内容は、説明する項目と同じであることとする。
 同意する方法は、説明した医師の面前で同意する項目について一つずつ確認し、同意書に記名押印もしくは自署による署名を行うこととする。
 同意をする者に対し、確実な本人確認(パスポート、運転免許証等、本人の顔写真のついてあるものによる確認等)と法的な夫婦であることの確認(戸籍謄本による確認等)を行うこととする。
 説明から同意の取得の間には、3ヶ月の熟慮期間を置くこととする。
 提供した精子・卵子・胚が、1年以上の期間をあけないで使用される場合は、最初の同意取得が有効であることとする。
 しかし1年以上の期間をあけて使用される場合には、再度、提供者(配偶者がいる場合は提供者と配偶者の両者)から同意を得ることとする。
 同じ生殖補助医療の施術が繰り返される際にも熟慮期間は3ヶ月必要であることとする。
 同意書の保存は、公的管理運営機関が保存を行い、その保存期間は80年とする。

(専門委員会報告書)
 当該同意は当該精子・卵子・胚が当該生殖補助医療に使用される前であれば撤回することができる。(p16)

(検討結果)
 撤回は、提供に同意した者が行うこととする。
 撤回する方法は、提供することの同意に関する撤回の意思を表明した文書に記名押印もしくは自署による署名の上、当該文書を医療機関を経由して公的管理運営機関に提出することとする。
 同意は、提供者は、精子又は卵子の提供を行った場合は受精させる前、胚の提供を行った場合は提供を受ける人の子宮に戻す前であればいつでも撤回できることとする。
 撤回の文書の保存は公的管理運営機関が行い、その保存期間は80年とする。
(3) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療におけるカウンセリングの機会の保障について
(専門委員会報告書)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦又は当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者は、当該生殖補助医療の実施又は当該精子・卵子・胚の提供に際して、当該生殖補助医療を行う医療施設又は当該精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設以外の専門団体等による認定等を受けた当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられなければならない。(p20)

(検討結果)
 カウンセリングを行う者は、不妊治療に関する十分な知識を持ち、精子・卵子・胚の提供を受ける夫婦、精子・卵子・胚の提供者及びその配偶者に対して医学、心理、福祉等の観点から十分な支援を行うことができる者とする。
 カウンセリングを受ける者は、以下のような者とする。
(1) 精子・卵子・胚の提供を受ける人
(2) (1)の配偶者
(3) 精子・卵子・胚の提供者
(4) (3)の配偶者(配偶者(精子・卵子の提供の場合、婚姻の届出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にある者を含む)がいる場合)
(5) 精子・卵子・胚の提供を受ける人の家族及び、精子・卵子・胚の提供者の家族
 カウンセリングの内容は、提供を受ける夫婦、提供者及びその配偶者が自己決定を行えるよう、以下のようなものとする。
(1) 情報提供カウンセリング(giving information)
  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関する情報の提供を行うこと
(2) 意思決定カウンセリング(implications counselling)
  本人自身、その家族、及び措置の結果生まれてくる子にとって提案された一連の措置が持つ意味を理解することができるようにすること
(3) 支援カウンセリング(support counselling)
  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療が不成功に終わった場合や、これ以上治療が続けられなくなってしまった場合など、不妊の検査や治療において多大なストレスがあるときに、精神的サポートを行うこと
(4) 治療的カウンセリング(therapeutic counselling)
  不妊及び治療の結果に適応するように、また不妊及び治療によって引き起こされた諸問題を自ら解決するように援助すること
 提供を受ける夫婦又は提供者及びその配偶者は、インフォームド・コンセントの際に、専門団体等による認定等を受けた生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを当該施設以外で受けることができるということ、及び、精子・卵子・胚の提供を受ける前に一度はカウンセリングを受けることが望ましいことについて、十分説明されなければならないこととする。
 担当医師は、提供を受ける夫婦や提供者及びその配偶者からカウンセリングを受けることの希望があった場合、希望者が適切なカウンセリングを受けられるよう手配しなければならないこととする。
 また、担当医師が提供を受ける夫婦や提供者がカウンセリングを受けることが必要だと判断した場合には、当該夫婦や当該提供者は、カウンセリングを受けなければならないこととする。

2 実施医療施設の施設・設備の基準及び人的基準について

(1) 実施医療施設の施設・設備の基準について
(専門委員会報告書)
 公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできない。(p33)

(検討結果)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う実施医療施設は、当該医療における安全性の担保と技術の向上のために適当な施設・設備・機器を持たなければならないこととする。
(具体的な目安としては、別紙3「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施医療施設における施設・設備・機器の具体的な基準(案)」を参照)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を実施する医療施設は、OHSSなどの副作用により入院が必要となる場合や低出生体重児が出生する場合等、当該医療や分娩に関する異常事態に備え、必要な設備等を備えることとする、又はそうした事態に対応できる医療施設と綿密な連携を行うことによって、そうした事態に十分な対応ができることを担保しなければならないこととする。
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う実施医療施設は、カウンセリングの実施に適した部屋を設けなければならないこととする。
(2)実施医療施設の人的基準について
(検討結果)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施施設は、以下のスタッフが必要であることとする。

(1)実施責任者(1名)

1)条件

 医師であって、生殖に関わる生理学、発生学、遺伝学を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、適切な生殖補助医療実施施設で通算5年以上実際の生殖補助医療に従事した経験を持つもの

2)業務

 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療について最終的な責任を負う。
 具体的には次のこと等について責任を負うこと
 
(1)  実施施設における人的要件が、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行うのに適切な基準を満たしていることこと
(2)  実施施設で行う提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に必要な機具、器材を整備すること
(3)  実施施設において取り扱う配偶子や胚の保存及びそれらの破棄に関して、適切な同意書を、提供を受ける夫婦、提供する人及びその配偶者から得、当該同意書を公的管理運営機関に提出すること
(4)  実施施設で施行する提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の水準を維持するために必要な研修の機会を、実際に当該医療に携わる従事者に適切に与えること
(5)  実施施設における人的要件が、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行うのに適切な基準を満たしていることを定期的に評価し、また公的管理運営機関に報告すること
 また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実績等について、決められた書式に従って公的管理運営機関に報告するとともに、その内容に変更があった場合には遅滞なく報告すること

(2)実施医師

1)条件

 医師であって、生殖に関わる生理学、発生学、遺伝学を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、適切な生殖補助医療実施施設で通算5年以上実際の生殖補助医療に従事した経験を持つもの。

2)業務

 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を実施する。

(3)配偶子・胚取扱責任者

1)条件

 医師、看護師、臨床検査技師、または胚培養について十分な専門性を有するもののいずれかであって、配偶子・胚・遺伝子検査の意義に関して十分な知識をもち、適切な生殖補助医療実施施設において通算3年間以上の実務経験を有するもの。

2)業務

 配偶子・胚の取扱い(配偶子・胚の培養・保存、記録の保管)について責任をもつ。

(4)配偶子・胚の取扱いに携わる技術者

1)条件

 医師、看護師、臨床検査技師、または胚培養について十分な専門性を有するもののいずれかであって、配偶子・胚・遺伝子検査の意義に関して十分な知識をもち、適切な生殖補助医療実施施設において通算1年間以上の実務経験を有するもの。

2)業務

 配偶子・胚の取扱い(配偶子・胚の培養・保存、記録の保管)を行う。

(5)その他

 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に従事する医療従事者は、当該技術における個人情報の守秘義務の重要性、記録の重要性等について深い知識と高い倫理観を持っていなければならない。
 また、当該医療を実施する医療施設では、実施医師は必要に応じて患者が速やかにカウンセリングを受けられるようにしなければならない。

(3)倫理委員会について
(検討結果)
 実施責任者は、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の適切な施行を図るため、倫理委員会をそれぞれの実施医療施設に設置しなければならなこととする。
 実施医療施設内の倫理委員会は、次に掲げる業務を行うものとする。
(1)  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の個々の症例について、実施の適否、留意事項、改善事項等の審査を行い、実施医療施設の長及び実施責任者に対し意見を提出するとともに、当該審査の過程の記録を作成し、これを保管すること
(2)  生殖補助医療の進行状況及び結果について報告を受け、生まれた子に関する実態の把握も含め、必要に応じて調査を行い、その留意事項、改善事項等について医療機関の長及び実施責任者等に対し意見を提出すること
 実施医療施設内の倫理委員会は、次に掲げる事項の審議を行うものとする。
(1)  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けるための医学的適応の妥当性について
(2)  適切な手続の下に精子・卵子・胚が提供されることについて
(3)  夫婦が生まれた子どもを安定して養育することができるかどうかについて
 実施医療施設内の倫理委員会は次に掲げる人的要件を満たすことが望ましいこととする。
(1)  生殖補助医療の医学的妥当性、倫理的妥当性及び提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の結果生まれる子の福祉について等を総合的に審査できるよう、医学、法律学及び児童福祉に関する専門家、カウンセリングを行う者、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の国民の立場で意見を述べられる者から構成されていること
(2)  委員会は10名前後で構成され、委員のうち2名以上は、医療機関の関係者以外の者が含まれていること
(3)  委員のうち2名以上は、女性が含まれていること
(4)  倫理委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められているものであること
(5)  倫理委員会の構成、組織及び運営、その他生殖医療計画の審査に必要な手続に関する規則が定められ、公開されていること
 全ての提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療は、実施医療施設の倫理委員会でその実施の是非を審査されることとする。
 なお、胚提供及び兄弟姉妹等からの提供による生殖補助医療は、倫理委員会の審査によって実施を認められたのち、公的管理運営機関により実施に関しての審査が行われることとする。

検討課題3  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に係る管理体制

1 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に係る公的管理運営機関の業務の具体的な内容

(1)情報の管理業務について

1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた夫婦の同意書の保存

(専門委員会報告書)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、上記により得た当該妊娠していないことを確認できた人以外の人及びその夫の同意書を公的管理運営機関に提出しなければならない。(p15)

(検討結果)
 同意書は、当該提供によって子が生まれた場合、又は、子が生まれたかどうか分からない場合、実施医療施設が5年間、公的管理運営機関が80年間それぞれ保存することとする。

2)提供者(及びその配偶者)の同意書の保存

(検討結果)
 同意書は、当該提供によって子が生まれた場合、又は、子が生まれたかどうか分からない場合、提供医療機関及び実施医療施設が5年間、公的管理運営機関が80年間それぞれ保存することとする。

3)精子・卵子・胚の提供を受ける人に関する個人情報の保存

(検討結果)
 公的管理運営機関が保存する精子・卵子・胚の提供を受ける人に関する情報は、以下のようなものとする。
(1)  精子・卵子・胚の提供が行われた後も当該提供を受ける人と確実に連絡を取ることができるための情報、具体的には、氏名、住所、電話番号等についての情報
(2)  精子・卵子・胚の提供を受ける人に関する医学的情報、具体的には、不妊検査の結果や使用した薬剤、子宮に戻した胚の数及び形態 など
 当該提供によって子が生まれた場合、又は、子が生まれたかどうか分からない場合、上記情報の保存期間は80年とする。

4)精子・卵子・胚の提供者に関する個人情報の保存

 公的管理運営機関は、上記により提出された個人情報を、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて開示するために必要な一定の期間保存しなければならない。(p23)

(検討結果)
 公的管理運営機関が保存する精子・卵子・胚の提供者に関する情報は、以下のようなものとする。
(1)  精子・卵子・胚の提供が行われた後も当該提供者と確実に連絡を取ることができるための情報、具体的には、氏名、住所、電話番号等についての情報
(2)  精子・卵子・胚の提供により生まれる子が出自を知る権利を行使するための情報
(3)  精子・卵子・胚の提供者に関する医学的な情報、具体的には、血液型、精子・卵子・胚に関する数・形態及び機能等の検査結果、感染症の検査結果、遺伝性疾患のチェック(問診)の結果 など
 当該提供によって子が生まれた場合、又は、子が生まれたかどうか分からない場合、上記情報の保存期間は80年とする。

5)精子・卵子・胚の提供により生まれた子に関する個人情報の保存

(検討結果)
 公的管理運営機関が保存する精子・卵子・胚の提供により生まれた子に関する情報は、以下のようなものとする。
(1)  精子・卵子・胚の提供により生まれた子を同定できる情報
(2)  生まれた子が将来近親婚を防ぐことができるよう、当該子の遺伝上の親(提供者)を同定できる情報
(3)  生まれた子に関する医学的情報、具体的には、出生時体重や、遺伝性疾患の有無、出生直後の健康状態、その後の発育状況 など
 上記情報の保存期間は80年とする。

6)提供者及び提供を受ける人に関する個人情報の保存・医療実績等の報告の徴収や徴収した報告の確認・当該報告に基づく統計の作成

(専門委員会報告書)
 また、本報告書の結論に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の適正な実施を確保していくためには、当該生殖補助医療を行う医療施設から提出された当該生殖補助医療を受けた夫婦の同意書や当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報の保存、当該生殖補助医療を行うすべての医療施設からの当該生殖補助医療に関する医療実績等の報告の徴収や徴収した報告の確認、当該報告に基づく統計の作成等の提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施に関する管理運営の業務を行う機関が必要となることから、そうした業務を行う公的管理運営機関を設けることとしたものである。(p33)

(検討結果)
 実施医療施設は、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施ごとに、提供による生殖補助医療の経過についての情報及び出生の成否や出生時体重などの妊娠・出産の経過についての情報を把握し、その内容について公的管理運営機関に報告することとする。
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施後に、実施医療施設は当該提供を受ける人に関する個人情報及び提供者に関する情報を公的管理運営機関に報告することとする。
 また、当該提供によって子が生まれた場合には、当該生まれた子に関する個人情報を公的管理運営機関に報告することとする。
(2)審査業務について

1)兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供(P)および胚の提供についての審査

(専門委員会報告書)
 兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、その実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を受けなければならない。(p13)

(検討結果)
 公的管理運営機関は、兄弟姉妹等からの提供(P)及び胚の提供が行われる場合、次に掲げる事項を審査することとする。
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けるための医学的適応の妥当性について
 適切な手続の下に精子・卵子・胚が提供されることについて
 夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など夫婦が生まれた子どもを安定して養育することができるかどうかについて
 精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと(兄弟姉妹等からの提供(P)の場合)
 兄弟姉妹等からの提供(P)及び胚の提供の適否を決める審査会の人的要件に関する基準は、以下のようなものとする。
 生殖補助医療の医学的妥当性、倫理的妥当性及び提供による生殖補助医療の結果生まれる子の福祉について等を総合的に審査できるよう、医学、法律学及び児童福祉に関する専門家、カウンセリングを行う者、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の国民の立場で意見を述べられる者から構成されていること
 審査会は10名前後で構成され、そのうち2名以上の女性が含まれていること
(3)精子・卵子・胚のコーディネーション業務について

(別紙4「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の流れ(案)」参照)

1)提供された精子・卵子・胚をどの人に提供するか決定する業務(マッチング業務)

 ┌
 |
 |
 |
 └
 ここで使用する「コーディネーション業務」とは、提供された精子・卵子・胚を適切に希望する人に配分するための調整業務全般を指し、「マッチング業務」とは、提供された精子・卵子・胚を、希望する人のうち誰に与えるのかについて決定する業務そのものを指す。
「コーディネーション業務」の一つとして、「マッチング業務」がある。






(検討結果)
 提供された精子・卵子・胚をどの人に提供するか決定する業務(マッチング業務)、及びそれらを含むコーディネーション業務については、以下のとおりとする。
(1) 精子・卵子・胚について提供数≧希望数の場合、
  精子・卵子・胚の提供医療施設と実施医療施設が情報交換を行うことにより、必要な精子・卵子・胚を確保することとし、公的管理運営機関はマッチング業務を行わない。
(2) 精子・卵子・胚について提供数<希望数の場合
  精子・卵子・胚の提供を受けることを希望する夫婦は必要な情報を公的管理運営機関に登録しておく。
  精子・卵子・胚の提供者から提供についての登録があった場合、公的管理運営機関は登録された情報を元にマッチングを行う。
  マッチングの結果、優先順位が最も高い夫婦は実施医療施設の倫理委員会の審査(胚提供を受ける場合はさらに公的管理運営機関の審査)を経て、提供を受ける。

2 実施医療施設等の監督体制

(1) 実施医療施設の指定及び指導監督業務について
(専門委員会報告書)
 公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできない。(p33)

1)実施医療施設の指定

(検討結果)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療は、厚生労働大臣又は地方自治体の長が指定する施設でなければ実施できないこととする。
 指定に当たっては、実施医療施設の施設・設備の基準及び人的基準を踏まえて国が定めた基準に合致した施設とする。

2)実施医療施設の指導監督業務

(検討結果)
 実施医療施設を指定した者は、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施について、必要に応じて当該医療施設から報告を徴収し、立入検査をすることができることとする。

3)提供医療施設の指定

(検討結果)
 厚生労働大臣又は地方自治体の長が指定する施設でなければ実施医療施設への精子・卵子・胚の提供は、できないこととする。
 指定に当たっては、提供医療施設の施設・設備の基準及び人的基準を踏まえて国が定めた基準に合致した施設とする。

4)提供医療施設の指導監督業務

(検討結果)
 提供医療施設を指定した者は、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施について、必要に応じて当該医療施設から報告を徴収し、立入検査をすることができることとする。


トップへ
戻る