02/12/15 ゲフィチニブ安全性検討会平成14年12月25日議事録              ゲフィチニブ安全性問題検討会             平成14年12月25日(水)9:00〜12:00              厚生労働省5階共用第7会議室  事務局  おはようございます。厚生労働省医薬局安全対策課の関野でございます。本日御出席 の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうござ います。本日の会議は公開で行うこととしておりますが、カメラ撮りは議事に入る前ま でとさせていただいておりますので、その旨御承知おき願います。  早速議事に入りたいと思いますが、議事において座長が選出されるまでの間、事務局 の方で本会議の進行を進めさせていただきたいと考えております。まず初めに、本会議 の開催に当たりまして厚生労働省の小島医薬局長よりごあいさつ申し上げます。  医薬局長  おはようございます。医薬局長の小島でございます。委員の先生方におかれましては 朝早くから、また年末の大変お忙しい中、本検討会への御出席を賜りましてまことにあ りがとうございます。また、日ごろより各分野における専門家として医薬行政全般につ きまして御指導、御協力をいただいておりますことに改めて御礼を申し上げたいと存じ ます。  さて、本日御検討いただきますゲフィチニブ(販売名イレッサ錠250)につきまして は、大変治療が難しいといわれている非小細胞肺がんの治療薬として本年1月25日に承 認申請が行われ、これを受けて薬事法に基づく優先審査が実施され、去る7月5日に新 薬としての承認が行われたところでございます。その後8月30日に薬価収載がなされた わけですが、9月以降、間質性肺炎を中心として本剤との因果関係を否定できない副作 用症例が、死亡を含め多数報告されるに至りました。厚生労働省としましてはこの間の 副作用症例の報告を受けまして、去る10月15日には本剤の輸入販売元であるアストラゼ ネカ社に対して緊急安全情報を発出するように指示し、また、市販後安全対策の徹底等 を指導いたしました。その後も引き続き副作用症例の把握に努めているところでありま すが、本日御報告申し上げるデータによりますと、本剤による間質性肺炎などの副作用 を疑われる症例が358例、そのうち114例が死亡という状況となっております。緊急安全 情報が発出されて以降、副作用報告症例が減少しているとはいうものの、今後の見通し についてはなお予断を許さない状況であると思われます。本日は、本剤に関する各種の 資料やデータ、すなわち審査報告書を初めとする承認時の安全性・有効性等に関する資 料及び市販後の副作用報告データ等を取りまとめましたので、これらについて御議論を 賜りますとともに、今後の安全対策につきましてすぐにでも採るべき対策を含め、御議 論をいただければと考えております。抗がん剤は、これを待ち望んでおられる患者さん が多数おられる一方、重篤な副作用の発生が避けられない場合もあり、いわばリスクと ベネフィットの兼ね合いが大変難しいと考えられる医薬品の一つであると思います。ど うか委員各位の忌憚のない御議論を賜れればと考えております。どうぞよろしくお願い 申し上げます。  事務局  それでは議事に入りますので、マスコミ関係者の方々によりますカメラ撮影はここま でとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。  〔委員の紹介〕  〔配付資料の確認〕  安全対策課長  それでは最初の議題、座長の選出などに入ります。本検討会の座長につきましては、 先生方の互選により選出したいと考えておりますが、どなたか御推挙ございませんでし ょうか。  栗山委員  事が副作用及びその安全性に関することでありますので、厚生労働省のこういった組 織の部会長をやっておられます松本先生に座長をやっていただくのが適切ではないかと 思います。御推薦申し上げます。  安全対策課長  ただ今栗山先生から、松本先生にお願いしてはいかがという御発案がございました が、先生方いかがでしょうか。  〔拍手多数〕  安全対策課長  ありがとうございます。それでは松本先生、恐れ入りますがどうぞよろしくお願いい たします。それでは松本先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。  松本座長  御指名によりまして進行役を務めさせていただきます。本日の課題は私にとりまして 大変荷が重い課題でありますが、本日、専門の先生方が多数おいでになっておりますの で、大船に乗った気持ちでおります。よろしくお願いいたします。  それでは審議を始めたいと思いますが、その前に副座長を決めさせていただきたいと 思います。副座長につきましては、私が薬食審では安全対策を担当しております関係 上、副座長には承認審査を担当されております先生が適当ではないかと考えておりま す。したがいまして私としましては医薬品第二部会長であられます池田委員に副座長を お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  〔拍手多数〕  松本座長  どうもありがとうございます。それでは池田先生、副座長席にお移りを願います。そ れでは議題2の、承認時の安全性・有効性に関する評価についてに入りたいと思いま す。まず資料1〜5をもとに事務局から説明をお願いいたします。  事務局  まず資料1をごらんいただきたいと思います。イレッサ錠250の申請から市販後まで の経緯という資料でございます。この資料は大きく2つの項目に分けてございます。申 請から承認までの経緯が1で、2が市販後における経緯ということでございます。イレ ッサ錠250につきましては、平成14年1月25日に承認申請がなされまして、5月24日に 薬事食品衛生審議会の医薬品第二部会が開かれて審議されております。その後6月12日 に薬事食品衛生審議会の薬事分科会におきまして御議論いただきまして、7月5日に承 認されているという経緯でございます。その後市販後になるわけですが、7月16日の段 階で販売が開始されており、その後8月30日の段階で薬価収載されているという経緯で ございます。その後2カ月ほどたちました10月15日の段階で、間質性肺炎等に26例の副 作用報告、そのうち死亡例が13例あったわけでございますが、そういった情報を根拠と しまして緊急安全性情報の発出を指示したところでございます。その後10月26日の段階 でアストラゼネカ社の方が10月23日時点の症例数というものを公表しまして、そのとき の数字を下に示してございます。間質性肺炎等につきまして125例の報告という状況で ございます。うち死亡例が39例ということでございます。そしてその後12月4日になり ますが、11月25日時点における症例数というものを我々の方からお示ししているという 状況でございまして、その数は間質性肺炎等に関しまして291例ありまして、そのうち 死亡例が81例ということでございます。こういった経緯を経て、副作用報告の件数ない しその内容を踏まえて、この薬剤に関してどういう形で考えていくかということを本日 御議論いただければと考えております。  事務局  それでは引き続きまして、審査の概略につきまして有効性・安全性を中心に御説明い たします。資料2−1に基づいて御説明いたします。まず有効性でございますが、有効 性の評価には臨床試験として大きな2本の試験について評価してございます。まず一つ 目でございますが、プラチナ系抗がん剤治療後の非小細胞肺がんに対する第II相試験。 いわゆる国際共同試験といっておりますが、資料2−2でまいりますと34〜36ページの ところでございます。有効性の結果については資料2−1で御説明いたします。まず対 象患者でございます。プラチナ系抗がん剤による治療歴のある非小細胞肺がん患者でご ざいます。投与された薬剤はイレッサ錠(ゲフィチニブ)の250mgを1日1回投与。こ れを250mg群。それからイレッサ錠250mgの2剤ということで、1日量でいいますと500 mg投与のものが500mg群となっています。これらの投与群というのはイレッサ錠単剤で の効果を評価したものでございます。  その結果でございますが、奏功率を見ていただきますと、日本人、250mg群では27.5 %。500mg群では同じく27.5%の奏功率がございました。日本人以外ですが、250mg群は 9.6%。500mg群は10.9%でございました。合計しますと250mg群が18.4%。500mg群が 18.9%という奏功率が得られてございます。さらにその後、生存期間についてもわかり まして、生存期間中央値は250mg群が7.6カ月。500mg群が7.9カ月でございました。現在 プラチナ系抗がん剤治療後の標準的な治療法とされておりますドセタキセルの二次治療 を行ったときの臨床成績が7.0カ月ということですので、これを踏まえても本剤の有用 性が示されていると考えております。  続きましてもう一つの試験でございます、プラチナ系抗がん剤及びタキサン系抗がん 剤治療後の非小細胞肺がんに対する米国で行われた第II相試験でございます。対象患者 はプラチナ系抗がん剤、その後にタキサン系抗がん剤治療をした経歴がある患者、非小 細胞肺がんの患者でございます。薬剤の投与は、イレッサ錠250mgを1日1回投与。500 mg群、これはイレッサ錠250mgを2錠ということで1日500mg投与。これも単剤での効果 でございます。  結果でございますが、奏功率で見ますと250mg群が11.8%。500mg群では8.8%の奏功 率となっております。この試験についても生存期間についてわかってございます。生存 期間中央値は250mg群が6.5カ月。500mg群が5.9カ月でございました。従来、標準的治療 法が定まっていない三次治療の患者については、平均的な予後が4カ月程度と推測され ております。そのことから考えましても、本剤の臨床的な有用性が示されていると考え ております。以上の臨床成績を踏まえまして、有効性に関しては非小細胞肺がん患者に 対するイレッサ錠単剤での有効性が認められると判断しております。  続きまして安全性についてに移らせていただきます。国際共同試験で見られた発現頻 度の高い有害事象ということですが、国際共同試験におきましては日本人の副作用評価 症例51例中50例、98%に副作用が見られた。一方、外国人副作用評価対象例52例中38例 ということで73.1%に副作用が見られております。主な副作用ですが、発疹、下痢、そ う痒症、皮膚乾燥等でございました。  次に間質性肺炎についてですが、これは資料2-2、審査報告書の43ページをお開き いただきたいと思います。間質性肺炎との関連性についてという項目でございます。間 質性肺炎については審査段階からも注目していたものでございます。国内臨床試験で死 亡例は出ておりませんが、3例の間質性肺炎が報告されております。また、海外からの 報告ということで、平成14年4月の段階4例。その内訳ですが、臨床試験が2例。治験 外提供でありますEAPで2例報告がございます。そのうち1例ずつ2例の死亡が報告 されてございました。  国内臨床試験の患者の発症時期ですが、投与開始後17日目、87日目、10日目に発症し てございます。いずれもステロイド療法によって改善しております。10日目に発症した 患者さんですが、この臨床試験に入る前に同じくイレッサ錠500mg群を219日間前治療と して投与を受けた患者さんでございました。審査結果としましては、国内臨床試験症例 の臨床データ等を取り寄せております。それで所見等を確認いたしました。その結果、 本剤との因果関係は否定できないと判断いたしまして、添付文書の重大な副作用の項に 記載するよう企業に指示し、注意喚起を行ったところでございます。添付文書の該当部 分を切り抜いてございます。重大な副作用の項ですが、4)の間質性肺炎ということ で、間質性肺炎があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合 には投与を中止し、適切な処置をすること、という言葉を入れまして、注意喚起を行っ たところでございます。続きまして非臨床試験の無毒性量とヒト臨床用量の関係につい てお示ししてございます。イレッサ錠250のヒト臨床用量が、非臨床用量の無毒性量よ りも高いという指摘がございました。非臨床試験の考え方ですが、非臨床試験の成績と いうのは臨床実験に入る前の毒性プロファイルの確認ということでございまして、臨床 用量は臨床成績によって決まるということでございます。参考までに他の抗がん剤の例 をまとめてございます。このような形になっております。  続きまして、承認時までに海外から報告された副作用等についてということで、3枚 目に移らせていただきます。報告時期別に分けてございますが、申請前、本年1月25日 以前の段階で全報告数が121。死亡数が36。申請後から承認まで、報告数が75、死亡数 が19となっております。合計しますと報告数が196、死亡数が55となっております。症 例の重複等について今回再度精査いたしました。その結果、全報告数が4例ふえてござ います。死亡例は変わってございません。この報告は、注1)、2)、3)と書いてお りますけれども、報告対象が薬剤の使用によるものと疑われる副作用ということで、薬 剤投与と因果関係が完全には否定できないものがすべて報告に含まれております。した がって因果関係のはっきりしないものもあるわけでございます。  また、今回対象となったイレッサ錠に関しては、担当医からの報告の様式が違ってお りますが、因果関係につきましてはイエス・ノーという二者択一という形になっており ました。したがいまして関連ありということにつきましては、完全に因果関係が否定さ れたもの以外がすべて挙がってきているという状況でございます。また、海外ではイレ ッサ錠についてはまだ承認はございません。しかしながらアストラゼネカ社、これは米 国の会社ですが、治験外提供ということで本年7月までに約1万5000を超える患者が登 録されておりまして、副作用の数字はそれらの患者についての報告も含まれておりま す。また臨床試験からの報告ですが、日本での申請に使われた臨床試験以外の臨床試 験、すべて含まれた数字でございます。その数値は約2500くらいではないかと考えてお ります。  具体的な症例につきましては資料4にリストとして挙げてございます。報告日、副作 用名、どこの国で起こったか、副作用による死亡かどうか、臨床試験かEAP、これは 治験外提供でございます。それから、肺がんを対象としたものか、それ以外のものか。 肺がんのステージはどのステージであったか、対象外の副作用はあったか、急激な転帰 があったかどうか。その横が報告医の因果関係、一番右が審査センターの判断というこ とになっております。報告医の因果関係につきましては、基本的にイエス・ノーで聞い ておりますので、関連ありとなったものにつきましては因果関係が完全に否定されたも の以外が挙がっております。カラムの中に関連が低いとなっておりますが、こういうも のにつきましては担当医からのコメントが特についていた場合はそれを反映しておりま す。そこで一点修正でございますが、6番目の症例の報告医の因果関係のところが「関 連あり」となっておりますが、これは担当医のコメントのところに、「直接的な関連性 はないと考えるが、完全には否定できない」というコメントがついておりますので、こ こは「関連低い」に直していただきたいと思います。訂正をお願いします。それを受け まして審査センターの判断として「ありそうにない」という結論になっております。  これらの報告ですけれども、いろいろな薬剤が併用された場合、患者の病態というの がさまざまでございます。したがって、個々の症例で判断を下すというのはなかなか難 しい場合がございまして、症例数の集積を待って検討していくということになっている のが多いということでございます。それから、同じ資料4の9ページを開いていただき ますと、死亡症例の内訳が出ております。参考として記載しておりますが、死亡症例の 報告があったものは55例ですが、この副作用の一覧でございます。呼吸困難から始まっ て肺塞栓というふうになっております。これは一つの症例でたくさんの副作用が記載さ れているものがございますので、合計は55にはならないということでございます。10ペ ージ目ですが、死亡症例以外の症例、141例ございますが、この症例の副作用の類別分 けをしたものでございます。消化器系が25例、循環器系が21例ということになっており ます。これは主たる副作用で分類してございます。  続きまして、国際共同試験における国内外で奏功率に差が見られた点について御説明 いたします。国際共同試験におきましては日本人で27.5%の奏功率。一方250mg群では 日本人以外で9.6%というふうに差が見られております。その原因ですが、表に示しま したように、海外症例での前治療期間の中央値が日本人症例での倍以上あるというこ と。つまり臨床試験に入る前に他の抗がん剤での治療期間が倍以上であったということ でございます。また、患者の全身状態を示すPerformance Statusで見ましても、PS2 の割合が国内に比べて倍近くあったということで、組み込まれた患者さんの全身状態が 悪い症例が多かったということが奏功率、あるいは死亡例の多い原因だったものと考え ております。  以上のとおり、審査センターでの審査結果及び薬事分科会等での審議結果を踏まえま して、非小細胞肺がんに対する本剤単独投与の有効性が認められ、一方安全性について も臨床的有用性を損なうものとはならないと判断いたしました。また、効能・効果に関 連する使用上の注意におきまして、化学療法未治療例及び補助療法における、有効性及 び安全性は確立していないという旨を記載した上で、効能・効果を手術不能または再発 非小細胞肺がんと設定いたしました。さらに4番のところの承認条件ですが、手術不能 または再発非小細胞肺がんに対する本薬の有効性及び安全性のさらなる明確化を目的と した、十分なサンプルサイズを持つ無作為化比較試験を国内で実施すること。二つ目、 本薬の作用機序のさらなる明確化を目的として検討を行うとともに、本薬の薬理作用と 臨床での有効性及び安全性との関連性について検討すること。また、これらの検討結果 について再審査申請時に報告することという承認条件を付して承認をいたしたものでご ざいます。  続きまして資料5をごらんください。これはアストラゼネカ社が行ったINTACT1試 験、INTACT2試験についてということですが、この結果が承認後に報告がございまし た。これらの試験は日本で申請された効能とは異なる効能の取得を目的として、アスト ラゼネカ社が海外で実施したものでございます。試験内容としては、ゲフィチニブを既 存の非小細胞肺がんに用いられている他の抗がん剤と併用して、非小細胞肺がんの一次 治療としての有効性を確認しようとしたものです。試験の概要ですが、INTACT1では、 対象患者は化学療法未治療非小細胞肺がん患者。投与群は、プラセボ群としましてはゲ ムシダピン、シスプラチンにプラセボをかませると。250mg群ではゲムシダピン、シス プラチンにゲフィチニブ250mg1日1回投与。500mg群はゲムシダピン、シスプラチンに ゲフィチニブ500mgを投与するということでございます。その結果ですが、生存期間中 央値はプラセボ群11.1カ月。250mg群9.9カ月。500mg群9.9カ月。統計的な有意差は見ら れなかったという結果が得られております。  INTACT2の試験ですが、対象患者はINTACT1と同じでございます。投与群は、プラセ ボ群、250mg群、500mg群ということで、併用される薬剤だけが変わっております。パク リタキセル、カルボプラチンを併用するというものでございます。結果ですが、生存期 間中央値はプラセボ群9.9カ月。250mg群9.8カ月。500mg群8.7カ月で、統計的な有意差 はやはり見られておりません。  これらの試験の目的が、一次治療として他の抗がん剤との併用療法ということでござ います。我が国の承認というのはプラチナ系抗がん剤治療後の二次治療あるいは三次治 療ということで、単剤での療法であるということから、我が国の承認ラインには影響し ないと考えております。以上で審査関係の御説明を終わらせていただきます。  松本座長  ありがとうございました。委員の先生方、御質問・御意見ございませんでしょうか。  堀内委員  経緯のところで、副作用の発現状況はわかりましたけれども、イレッサがどのくらい の患者に使われてこのような副作用が起こったのか、患者数を把握するのが難しけれ ば、使用量に対して副作用の起こった割合がどのように変化しているかがわかりました ら教えていただきたいと思います。  事務局  それは、実は本日御議論いただく点とも関連しますので、我々の方としましては後ほ ど資料9で副作用の発現状況の概略と、推定ではございますが使用患者数というものを 整理いたしておりまして、資料9の1枚目がその整理表でございまして、2枚目が本剤 の承認後、今日に至りますまで経時的に副作用が起こっている状況を資料として御用意 させていただいております。  堀内委員  それはわかっておりますけれども、分母がどのくらいかということを知りたいという ことです。今のお話はどのくらい副作用があらわれたかという資料だと思いますが、実 際どのくらいの患者に使われてというのが経時的にわかったら教えていただきたい。そ れが無理だったら、使用量は大体推測がつくと思いますので、それがわかったら教えて いただきたいということです。  事務局  12月段階におきましては資料9に示しましたとおり推定で1万8960という数字がある わけですが、8月以降調べました大まかな数字で申し上げますと、9月の段階で推定約 6700の患者さん。10月の段階で申し上げますと1万4000人の患者さんに使われていると いう数字でございます。11月に入りますと1万7000弱という患者さんになります。そし て12月現在は1万8960という推移になっております。  松本座長  よろしいですか。ほかにございませんでしょうか。特別御質問がなければ次に進ませ ていただきます。議題3、市販後におきます安全性と安全対策についてに入りたいと思 います。まず最初に、肺がん治療の御専門であられます貫和先生に、最新の知見を含め ました一般的なお話を伺いたいと思います。先生、よろしくお願いいたします。  貫和委員  肺がんの治療及び副作用としての間質性肺炎の問題の概略を説明したいと思います。 肺がん治療のオーバービューという点と、2番目、化学療法の副作用とイレッサ重篤事 象の問題点ということで概説いたします。まず、肺炎の典型的な症例2例を紹介しま す。この症例は50歳の方で検診での発見でして、自覚症状はございません。喫煙は1箱 を25年ほど吸っておられます。この時点で比較的小さな腫瘍ですので、気管支鏡下細胞 診でクラス5肺腺癌という診断がついております。このときの臨床診断がT2N0M0、 ステージIBでありますので、外科の先生にお願いして切除しております。  もう一例でございます。この方も少しせき等の自覚症状はありましたが検診でチェッ クされました。タバコは決して多いわけではありません。ここに影がございまして、腫 瘍マーカーであるCEAが既に35.1という高値でありました。この方は年齢もお若いも のですから試験開胸を行いました。その結果、残念ながら胸膜播種がございまして手術 を断念しました。化学療法を2コース行いましたが、反応がないということで外来で経 過を追っておりました。初診より1年8カ月後にがん性の髄膜炎で死亡されました。  肺がんと申しますと、肺に起こります腫瘍の95%が悪性であります。そのうちほとん どが原発性肺がんで、気道の上皮細胞から発生するものであります。原発性肺がんは大 きく2つに分けられまして、小細胞肺がんと非小細胞肺がんです。非小細胞肺がんはま だまだ生物学的な細かい分類まで至っておりませんけれども、大きく、腺がん、扁平上 皮がん、大細胞がんという3つに分かれます。それぞれ特徴がありまして、腺がんは比 較的非喫煙者にも発生しまして、女性で最も多い。扁平上皮がん、あるいは小細胞肺が んは喫煙の多い方に多くて、あまり奥の方でない気管支に起こりやすいという特徴がご ざいます。  疫学を簡単にお話ししますと、非常に増加しているという事実と、高齢者にその発生 がふえているという点がございます。昨年度の死亡者は、数年前から胃がんを凌駕して 肺がんが一番多いんですけれども、平成13年度で年間5万5000人が亡くなられている。 男性と女性でかなり格差がありまして、参考までに大腸がんをここに並べておりますけ れども、大腸がんでは性差はそれほど大きくありません。肺がんはかなり性差が大き い。この性差の部分はほとんど男性患者は喫煙者でありますので、喫煙が関連している ことが強く疑われております。  これは私どものデータで、年齢分布と組織型の分布でございます。年齢は60代と70代 に各々全体の3分の1程度。この年齢分布を見るとやはり高齢層であるという事実が分 かります。その分類ですけれども、非小細胞肺がんでは腺がんがふえております。女性 に多い。実は、このグループが一番イレッサの効果がありそうだということは我々現場 の人間が考えているところであります。  肺がんの臨床症状ですけれども、肺がんはせきとか血痰が出るということが昔からい われております。そういう症状とともに、問題は隣接臓器にどんどん広がっていくこと にあります。胸膜へ広がって胸水(がん性胸膜炎)、あるいは心膜に広がってがん性心 膜炎、あるいは縦隔のリンパ節に転移しまして神経を圧迫し声がかれる、あるいは上大 静脈症候群で上肢が浮腫を起こすというようなことがございます。この図は胸腔内の症 状を示しております。こういう無気肺や胸水が呼吸困難の原因になります。問題は、遠 隔転移が多いというのが肺がんの特徴であります。特に脳とか副腎、骨、肝臓移転をす る例が多くございます。  診断への臨床検査ですけれども、検診や症状をもとに疑いの段階で写真を撮りまして 専門の施設に紹介されてまいります。我々のところではそれを確定診断まで進めるわけ でありまして、現在ではコンピューターの断層写真が主流でございます。それと共に細 胞診、あるいは血液中のマーカーを調べます。こちらのスライドにはそういう点を少し 細かく書いておりますが、細かくは説明いたしません。そして気管支鏡下に肺がんの部 分にアプローチしまして細胞診、あるいは一部肺生検をしまして組織診断をつける。そ れと同時に全身検索を行います。これは転移の多い部分が中心になりますけれども、脳 と骨あるいは腹部にそれぞれ画像的な検索を行います。それから、治療法の選択の問題 がありまして、高齢の方が多いものですから、心機能は大丈夫か、腎機能は大丈夫か、 そういうこともあわせてかなり大がかりな検査を行います。  その結果、腫瘍の広がり、リンパ節への転移の具合、全身の転移の有無という判断 で、臨床病期というものを決めるわけです。IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IV 期と診断します。なぜこれを決めるかといいますと、これによって治療の選択肢が決ま ってくるところがございます。IAとかIBとか、リンパ節にも転移をしてないようだと いう症例。IIA、IIBは近くのリンパ節には転移している。IIIAになりますと縦隔の リンパ節に転移をしている。そういう大ざっぱな分類でございますけれども、残念なが ら自覚症状を伴って受診した症例は、どうしても進行期になって初めて私どものところ に紹介されてくるということが多ございます。臨床病期におきましてリンパ節への転移 がほとんどないものは、もちろん外科で切除をいたします。IIIA期も一部外科の先生 にお願いすることもありますが、大多数は放射線を当てまして化学療法。IIIB期にな りますと放射線と化学療法。IVA期、遠隔転移がある段階になりますと化学療法、パ フォーマンス・ステイタス(PS)を考慮しましてアグレッシブな治療ができない患者 に対してはベストサポーティブケア(BSC)を行います。  もう一つ肺がんの難しい点は、高齢者でありますとか、タバコを吸ってる患者さんが 多い。これに伴って肺気腫とか線維症をベースに持ってる患者さんが多く見られる点で ございます。そうなりますと治療の選択肢が制限されます。例えば肺機能の面から手術 ができないとか、あるいは軽い線維症があって、まず大丈夫だと思ってましたら放射線 を当てまして急性に肺線維化ががっと広がる。年間少なからぬ例を経験するわけであり ます。こういうところから化学療法を選択する症例が増加するわけでございます。  このように肺がん治療を制限する条件としまして、肺そのものに問題がある場合以外 にも、他臓器、循環機能、腎機能、肝機能、神経症状が伴う患者さんもございます。P Sは患者さんの全身的な一般状況を示すスケールでありまして、0から4までございま す。まず治療の対象になりますのは、せいぜいPS2まででございまして、それ以上に なりますとベストサポーティブケアになります。PS1というのは、症状があって歩行 は全く制限されない。肉体的に厳しい運動は制限される。PS2は、症状があって歩行 可能、身づくろいは可能。覚醒時間の50%以上をベッド上で安静に過ごしている。こう いう分類でございます。  手術に関しては、化学療法を中心にお話ししますので簡単にお話しします。標準術式 としては、肺葉切除と縦隔郭清、片肺の全摘をやることもございます。それから縮小手 術、これはハイリスク群で行う。それから、拡大手術というかなり難しい手術をお願い することもございます。現在注目されておりますのが、比較的侵襲度の少ない胸部鏡下 の手術でありますけれども、これはまだ標準化への試行の最中でございます。放射線療 法に関しましても簡単に御説明します。根治を期待する場合、例えば肺気腫があって手 術で肺を切るわけにいかないような場合に放射線を当てまして、根治を期待するという ことになります。それから補足的な照射といいますのは、化学療法と組み合わせる場 合、治癒率、奏功率がよくなるということがわかっておりますので、副作用の面で全照 射量を少なくした照射のやり方をします。新しいものとしては、定位放射線照射やガン マナイフがございます。ガンマナイフは非常に有効な方法でございまして、以前は脳の 転移が出ましたら予後が3カ月ぐらいであったものが、この治療法によって1年以上生 きていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。定位放射線も新しい方法として試さ れております。  次に化学療法でございます。化学療法に関しましては1997年に、切除不能の非小細胞 肺がんにおける治療のガイドラインが出ておりまして、限局進行型IIIA期の放射線と の併用、それからIV期でもPSのいい方に対して化学療法を行う。その評価としては生 存期間の延長をエビデンスとしては考えるべきで、QOLというものも確かに意味はあ るんですけれども、生存期間の方を評価すべきであるというガイドラインであります。 そして現状では、シスプラチンを使ったコンビネーションが一番効果が高いということ でございます。化学療法として肺がんで使用できる薬剤がこのスライドに挙がっており ます。これにイレッサが加わるわけであります。実際のコンビネーションは、現状では 2剤の併用療法が主流になっております。少し前までは3剤を使っておりましたけれど も、非小細胞肺がんに対しましては多くの臨床試験の結果2剤を使うことが主流になっ ております。  こうした化学療法の効果の判定であります。コンプリートレスポンス(CR)、パー シャルレスポンス(PR)、ステーブルディジーズ(SD)、プログレッシブディジー ズ(PD)という4つに分けられます。この点はよく誤解されているところがございま すけれども、臨床試験におきまして奏功率が出ました場合は、CR例とはほとんど評価 対象の腫瘍が認められないようになったという状態が、4週間以上続く場合でありま す。PRは最近新しく、一方向の長径の測定だけでもよろしいんですけれども、その径 が3割以上の縮小、ということは面積にしまして5割以上の縮小がある場合がこのPR になります。ですから時間が経過すれれば、どうしても腫瘍は再増大してまいります。 現在の化学療法ではいろいろ限界がございまして、いつまでも続けることができない場 合や耐性を獲得してで増大してくるわけであります。奏功率というのはCRとPRの和 を実際の評価対象になる総数で割ったものでありまして、それが単剤では2割前後とい うのが現状でございます。イレッサに関しては経口剤で単剤使用であるのにそういう例 が日本の場合は27%前後の値が出ておるわけであります。  2剤の組み合わせの大規模な臨床試験が行われまして、ことしの『ニューイングラン ド・ジャーナルオブメディスン』に報告されております。新規抗癌剤とシスプラチンと の組み合わせでどれが一番有効かということで注目されていたわけですけれども、結果 はほとんど有意差がありませんでした。メディアンサバイバルタイム(MST)は8カ 月前後でほぼ同じであったというデータでありまして、化学療法というものがある種の プラトーに達しているのではないかという認識を我々は持っているわけであります。  ここからイレッサの問題に入ります。がんの化学療法におきまして副作用がどうして も伴う。特に患者さんサイドからしますと消化器症状、シスプラチンを使いますと悪心 ・嘔吐が非常に強くあらわれます。CPT11などは下痢も出てきます。脱毛もあります し、神経症状が出てきます。もちろん倦怠感もあると。我々治療する側は、生命に関連 するようなものは特に重点を置いて監視するわけでして、特に白血球の減少、腎障害、 出血性膀胱炎等がございます。頻度は低いんですけれども、確かに間質性肺炎は治療の 組み合わせによってたびたび経験するところであります。  実際に副作用の頻度がどのくらいかというのが先ほどの『ニューイングランド・ジャ ーナルオブベディスン』の論文にも載っておりまして、血球系の副作用はかなりの高頻 度であらわれます。それに伴う感染症とか熱が出るというのが大体10%前後ございま す。こういう副作用のため、主治医が治療に関連して患者さんが亡くなられたと判断す る例が300例ぐらいの臨床試験で大体1%前後出てまいります。  幾つかの抗がん剤で重大な副作用、添付文書に書いてあるところをここに並べたもの であります。臨床で我々が注意しなくてはならないのがこの薄いグリーンで示してあり まして、さらに呼吸器に関連したものは赤とかピンクで示しております。特に今回問題 の間質性肺炎は、ほとんどの薬剤に関して副作用として注意が喚起されているわけであ ります。このスライドは薬剤性肺炎の解説です。ほとんどの薬剤で何らかの薬剤性肺炎 が報告されるものであります。間質性肺炎、ぜんそく様症状、肺水腫、出血、胸水が出 る、リンパ節がはれる、あるいは肺血管性の障害がある。そのうち特に重篤なものは間 質性肺炎とかびまん性の肺胞障害、肺血管障害、そういうものがあるわけであります。  これは解剖学的にいいますと、肺というものが単に空気が出入りするだけではなく て、血流に非常にさらされる臓器であるということがございます。そのため薬剤の影響 を受けやすくなるわけであります。これは私どものところでイレッサを使用後に亡くな られた患者さんの病理解剖の所見でありますけれども、急性間質性肺炎、特にびまん性 肺胞障害の例であります。こういう病態を検査するために、米国におけるガイドライン で一応試みるべきだといわれている方法が、気管支肺胞洗浄法であります。気管支から 生理食塩水を入れまして、呼吸とともに戻ってくるのを回収してその細胞や成分を調べ るという検査でありまして、特にリンパ球がふえたような場合にいろんな判断に使えま す。それから、肺の一部をとってくるTBLBと胸腔鏡下肺生検をやるわけですけれど も、残念ながらTBLBの検体はあまり確定診断に使えず、参考程度になるわけです。  問題は急性に起こった場合、ガイドラインに示してあるような肺胞洗浄あるいは生検 というものはなかなかできない。肺イレッサを使用した場合、したがって呼吸器の副作 用と認識されているような場合にはこのスライドのように間質性肺炎、あるいは肺臓 炎、あるいは肺胞炎といった名前が使われるわけですけれども、それが十分認識されな い、あるいは診断的にアプローチできなかった場合は肺浸潤とか肺出血、あるいは急性 呼吸不全というような診断名になるんだろう。それ以外例えば肺炎という診断名でも細 かく胸部CTで検査をすれば別の診断になるかもしれないというような診断名もござい ます。  先ほどのINTACT1の結果です。現行の化学療法にイレッサを加えても新たな効果がな かったということ以外に、この臨床試験では薬剤性肺障害の副作用はほとんど認識され ておりません。プラセボ群(シスプラチンとジェムザールを使ったもの)の副作用死 3.7%に対してイレッサを上乗せにすると5.9とか6%ぐらいの副作用死になるが、推計 学的に有意差がないという解釈であります。ひょっとするとこのわずかな差の中の一部 症例の中に、実際症例数が多い日本の症例で我々が経験している急性間質性肺炎が含ま れている可能性はあると思います。実際現場におきましてイレッサ使用の背景でありま すけれども、非小細胞肺癌の患者さんは4万5000人いらっしゃる。同じ分子標的薬であ るグリベックの場合は慢性骨髄性白血病患者は5000例ぐらいでありますから、実際10倍 近い患者さんを肺癌専門医は対象にしている。再発あるいは前治療に抵抗性が出るとい う患者さんが多ございまして、そういう患者さんには新規薬剤の使用がどうしてもふえ るという現実があります。  高齢者が多いという点で全身の倦怠感を来すような治療を避けたいという潜在的な要 求もございますし、次世代の新薬への希求感も現場にはございます。こういう状況か ら、本来はこれ以上の治療は進められませんと我々が話をするような患者さん、要する にベストサポーティブケアを受けるはずであった患者さんに、副作用が少ない、あるい は非小細胞肺がんである程度効果が期待できるんじゃないかという期待感からイレッサ が投与されているケースもあるのではないかと思われます。  もう一点は、イレッサを含めましたシグナル遮断薬は全く新しい領域でありまして、 類似の薬剤もどんどん今後臨床実験に入っているわけですけれども、従来の代謝阻害に よる薬剤とは違ってシグナルを遮断するわけですから、恐らく細胞生理が大分変わって くるのではないか。従ってシグナル遮断薬の副作用は新たな機序によるものを考える必 要があるのではないかと私自身は考えております。その例としては今年の『JCO』の 3月号に、シス+ジェム+スジェンのVEGFシグナル阻害剤を使った臨床試験でかな り高頻度に副作用が出たという報告がございます。  最後のまとめです。今お話ししましたような点でありまして、肺がんの患者が多い。 副作用が少ない抗がん剤の開発に希求感があります。イレッサは一部に有効であるのは 事実ですけれども、反面、急性に肺障害を起こす。この副作用は現時点では海外ではほ とんど認識されておりません。実際現場で各種抗癌剤を使っておりまして、我々は間質 性肺炎の副作用をよく経験するわけですけれども、イレッサの場合は服用後比較的短期 間にこういう症状が出てくるのが今回一つの特徴かなと思います。そしてイレッサは新 しい範疇の薬剤でありますので、広く基礎的にも国際的にも充分な情報収集が必要では ないかというのが、現場におります私の意見でございます。以上でございます。  松本座長  ありがとうございました。御質問・御意見があろうかと思いますが、これは事務局か ら説明を受けた後、本議題の意見交換の中でまとめて伺うことにいたします。次に資料 6〜12をもとに事務局から、これまで行ってきました市販後の安全対策に関する説明、 その後に報告されてきた副作用症例について説明を受け、今後の安全対策についての議 論をさせていただきたいと思います。この際、資料12につきましては、本研究の当事者 でもあられます青柴先生からも説明を伺うことにしております。それではまず事務局の 方から説明をお願いします。  事務局  お手元の資料6〜12に基づいて御説明申し上げたいと思います。まず資料6でござい ます。緊急安全性情報の資料ですが、本年10月15日に発出した資料ですが、本来であれ ば黄色に赤の枠ということで目立つ配色になっておりますが、資料準備の関係上白黒に なっておりますことをお詫び申し上げたいと思います。まず1ページ目に3つほど項目 がございます。この段階で1に関する事項を警告欄に記載するということを行っており ます。2番目、3番目に書いてありますことは、使用上の注意の中の重要な基本的注意 という中に書き込んだ内容が記されております。これらを含めて2ページ目以降4ペー ジにわたる資料ということで医療関係者に対して10月15日の段階で配られているという ことでございます。同じ資料の5ページ目に関しましては、同日付で我々の方から公表 しました資料でございまして、その内容を概略として示したものでございます。この段 階での措置を反映させた添付文書というものを7ページ以降つけさせていただいており ます。アンダーラインを引いた部分がこのときの措置に関する改訂部分ということでご ざいます。後ほど御参照いただければと思います。  続きまして資料7でございます。イレッサ錠250についての御説明というものが一枚 目にきている資料でございます。これは企業の方で作成した患者向けの説明文書という ことですが、実際薬剤を使われている患者さんに対して医療関係者を経由してこの資料 が現在使われているということでございます。2種類ございまして、1〜4ページ目ま でが一つの配付資料でございます。5ページ以降に関しては、実はこれはポケットサイ ズでございまして、見開きで上下にこの資料としては収めさせていただいております が、実際は手帳サイズのものということでこういった資料が現在使われているというこ とでございます。内容はまた後ほどご覧いただければと思います。  続きまして資料8でございます。市販後に報告された副作用状況の症例ということ で、我々の方で報告を受けました副作用報告につきまして、12月13日の段階までのもの を集計した資料でございます。総報告数でいいますと494例になります。うち死亡例が 124例という状況でございます。その内訳ですが、間質性肺炎あるいは急性肺障害に関 する副作用報告が358例。そのうち死亡例が114例ございます。そのほかの副作用という ことで136例。うち死亡例は10例という内訳でございます。2ページ以降に関しまして はここの症例であります494例を一例ごとに副作用名とその転帰を示したものでござい ます。この資料の中で星印が左側についておりますが、これに関しては各症例の報告を 受けました後、追加として詳細情報がわかってきた段階で随時アップデートされてくる わけですが、そういう過程の中で専門家による御評価を経まして、薬剤との因果関係が 否定できない症例ということで取り扱っているものでございます。数としては142例ご ざいます。後ほどこの部分に関しては別の解析を資料10で行っておりますが、発現日が わからない、詳細情報が部分的に不明なものが7例含まれておりますので、後ほど資料 10での説明の際には142から7を引いた135例がその対象になっております。同様に左側 にアスタリスクがついている症例がございますが、これに関しては今回の配付資料11と いうことで細かい症例表も含めました情報を46例ほど無作為で抽出させていただいてお ります。その参考ということでアスタリスクをつけております。この資料の2〜8ペー ジまでが間質性肺炎あるいは急性肺障害に関する副作用報告のリストになります。トー タルで358例ございます。9ページ以降がその他の副作用報告ということで136という数 字になるわけでございますが、表中のトータルの数としては158例ございます。この中 には間質性肺炎あるいは急性肺障害症例との重複例が22例ございます。具体的に申し上 げますと、9ページの8番目あるいは9番目、10番目のあたりが、こういう状況でござ いまして、これらはいわゆる間質性肺炎の副作用報告という形での扱いをしておりま す。したがいまして間質性肺炎に関する副作用情報の358例の中に含めておりますので、 重複しているものが22例あるということでございます。したがいまして間質性肺炎関連 の副作用は358ありまして、その他が158、トータル516から22を引くことになりますの で494症例の報告という扱いでございます。これが我々の方で取りまとめました12月13 日報告分までの集計結果でございます。  資料9に移らせていただきます。こちらは緊急安全性情報を10月15日の段階で発出し たわけでございますが、その前後における間質性肺炎あるいは急性肺障害の発現状況を 表とグラフにしたものでございます。まず報告例数ですが、合計358例でございます。 その内訳ですが、12月15日以前の発現日という形で集計したものが155例ございまして、 緊急安全性情報を出した後、10月16日以降に発現したものに関して133例ございます。 そのほか発現日がわからないものが70例ございますので、これらを足し合わせますと358 例になるわけでございます。そのうちの死亡例はトータルで114例でございまして、う ち緊急安全情報を発出した10月15日以前の部分は71例ということになりまして、その時 点での報告例数155でそれを割った結果が45.8%ということになります。同様に10月16 日以降発現した症例というものが133例あったわけですが、そのうち死亡例が31例とい う内容でございまして、割合は23.3%ということでございます。なお、この集計をした 時点での推定患者数を欄外に書いてございます。1万8960人ということでございます。  2ページにまいりますが、今申し上げた情報を経時的にグラフにしてみたものでござ います。まず棒グラフで示しましたものが各月におきます副作用の発現日別の報告件数 になります。ですから棒グラフの頂点の部分が報告件数ということになりまして、その うち黒塗りの部分の頂点が死亡症例というふうな読み方になります。7月以降12月まで こういった推移を示しており、それぞれの週別のものをグラフに示したわけですが、そ れを累計したものが折れ線グラフでございます。累計ですので右肩上がりになっており まして、最終段階においては300例弱ということになっております。トータルでは358例 ありますが、発現日がわからないもの70例がありますので、それを引いて288例がここ で累計されているということでございます。また、それぞれ販売開始、あるいは薬価収 載、緊急安全性情報発出時期というものを参考までにその都度示させていただいている という資料でございます。  続きまして資料10でございます。この資料は間質性肺炎及び急性肺障害の発現時期別 の症例数を調べたものでございます。投与開始後いつの段階で間質性肺炎等が起こって いるかということで、調べられる症例数というものはある程度精査された詳しい情報の ある症例ということになりますので、ここではその対象として135例の副作用報告を対 象にしております。欄外に書いてありますとおり、薬剤との因果関係が否定できない症 例は142例ありますが、そのうち転帰がわからない7例はこのグラフの中で生存あるい は死亡が判明できないわけですので、7例を除き135例がこの図の対象になっておりま す。トータルでは死亡例が63例あるということで、割合は46.7%となっております。各 週ごと、投与開始から1週以内に起こっております報告件数あるいは死亡件数がそれぞ れ棒グラフの頂点、あるいは黒塗りの部分の頂点という形で示されております。以降、 1週から2週目の間、2週から3週目の間ということで、1週刻みで示している資料で ございます。  続きまして資料11に移らせていただきます。こちらは主な症例ということで46例を記 載しております。後ろの方に個別の副作用症例表というもので詳細情報を示させていた だいております。部分的に個人情報に当たる部分をマジックで黒塗りしておりますが、 一点訂正がございますので御確認いただければと思います。1ページ目の6番のとこ ろ、既往歴の欄に「間質性肺炎」という記載がありますが、これを削除していただき、 その3つ下の9番、ここの既往歴が空欄になっておりますが、この欄に「間質性肺炎」 を記入していただきたいと思います。この点、お詫び申し上げたいと思います。それぞ れ46症例の概略表を示しておりまして、3ページ以降順番に症例表がついておりますの で後ほど御検討に用いていただければと思います。  最後に資料12でございますが、こちらは11月22日に開かれました第43回日本肺がん学 会の総会の中のワークショップの抄録でございます。肺線維症を起こしたモデルマウス に関して本剤の影響を御研究された内容になっておりまして、本研究の関係者でござい ます青柴先生から具体的なお話をいただければと思います。以上でございます。  松本座長  ありがとうございました。続きまして青柴先生、よろしくお願いします。  青柴委員  資料12に私のお話がございます。スライドは10枚程度、10分ぐらいで終わる予定でご ざいます。タイトルは「ブレオマイシン肺線維症モデルに対するEGF受容体チロシン キナーゼ阻害剤の影響」ということでございます。若干用語の説明をさせていただきま すけれども、ブレオマイシンというのは本来抗がん剤でありますけれども、呼吸器の研 究の分野では肺障害、間質性肺炎、あるいは肺線維症をつくるときによく使う薬であり ます。今回抗がん剤としてではなくて、肺線維症をつくるために使ったということでご ざいます。きょうのお話では間質性肺炎、肺障害という言葉が出てきていますけれど も、平たく言えば間質性肺炎が進行すれば肺線維症になるというふうに大まかには考え ていただいてよろしいかと思います。したがいましてブレオマイシンによる間質性肺 炎、肺線維症モデルに対するイレッサの影響ということでございます。  目的ですけれども、マウスを用いて、ブレオマイシンによりひき起こされる肺線維症 に対してイレッサがどういうふうに影響があるかということを検討したものでございま す。動物は6週齢のICRというマウスを用いております。そのプロトコルですが、動 物群を2群に分けてございます。1群、2群でございます。両群とも最初の日にブレオ マイシンという薬を気管の中に投与しております。そうしますと21日目には肺線維症が できるわけです。  1群におきましてはイレッサをブレオマイシン投与30分前と投与後週5日間、1日1 回、3週間にわたって経口的に投与するということであります。量の設定ですが、イレ ッサは200mg/kg。これはヒトの量で換算しますと大変多い量でございます。そこは御承 知いただきたいと思うんですけれども、大体40〜50倍ぐらい多い量です。週5日間やっ てますけど、土日がありますので2日間はお休みさせていただいております。実際の患 者さんは毎日飲んでるわけですけれども、そこはちょっと違うかもしれません。  もう一群にはコントロールとして懸濁液、つまりイレッサを溶かすために使った薬だ けということで、それを同じように投与しております。21日目に肺を取り出して検査し たということであります。この実験では行っておりませんが、全く何もしていないマウ スにイレッサを同じように投与しても肺の障害が起きるか。つまりイレッサ自体で肺の 障害が起きるかどうかを検討しましたけれども、少なくとも顕微鏡学的に見る限りは変 化はなかったということでございます。  結果でございます。ブレオマイシン肺線維症に対するイレッサの影響ということで、 まず顕微鏡写真をお見せします。これはマッソントリクロームという染色でございまし て、ブレオマイシンを入れて21日目でございます。こちらはイレッサが入っていない方 でございます。ブレオマイシンというのはもともと間質性肺炎、肺線維症をつくる薬で ございます。青く見えるところが肺線維症ができたところです。これと同時にイレッサ を投与しますと、肺線維症の程度が悪くなっているということがわかったわけでありま す。  これを半定量的に評価しています。左側が目で見たスコアリング法、非常に有名なア シュクロフト法というのがあるんですけれども、確立された方法でありまして、いろん な視野を見まして、その視野ごとの肺線維症の程度をスコア化しています。スコアが高 ければ高いほど肺線維症が悪いということになります。そうしますと、ブレオマイシン と懸濁液のみに対しまして、ブレオマイシンにイレッサを同時に投与いたしますと、肺 線維症の程度が悪いんではないかということがわかったのであります。  これは同じスライドをコンピューターを用いて肺線維症の面積を比較したものでござ います。やはりそれにおいてもブレオマイシンとイレッサを同時に行いますと、ブレオ マイシンだけによって起こる肺線維症よりは少し悪くなったというデータが得られたわ けであります。  これは肺のコラーゲン量でございます。何のためにはかっているかというと、肺線維 症の程度を生化学的に評価するという目的でございます。これが多ければ多いほど肺の 中に線維化がふえたというふうに御理解いただければよろしいかと思います。そうしま すと、ブレオマイシン単独群に比べて、ブレオマイシンとイレッサを投与しますと肺の コラーゲン量がふえている。つまりここまでわかったことは、どうもブレオマイシンと イレッサを同時に投与すると、ブレオマイシン単独でできる肺線維症よりも悪くなって いるんじゃないかということが推定できるわけであります。  では、どうしてそういうことが起きたかということですけども、ブレオマイシン肺線 維症の発症機序というタイトルをつけておりますけれども、ブレオマイシンはもともと 肺胞の表面を覆っています上皮を壊す薬であります。その結果として上皮が壊れっぱな しじゃなくて直ろうとするために、上皮の増殖・再生が起こるわけです。ブレオマイシ ンではどうもその過程がうまくいかなくて、上皮の増殖・再生の阻害が起こりますと、 その結果として肺の障害が進行したり、あるいは線維化になったりすると一般的には考 えられております。  翻って考えてみますと、イレッサという薬はEGF、つまり上皮成長因子でございま す、EGFの受容体、アンテナをブロックするものであります。EGF受容体というの はもちろんがん細胞にもたくさん発現しておりますけれども、正常な組織でも壊れた上 皮が再生するときには必要なものだろうと考えられるわけであります。したがいまして 一つの可能性としては、この薬はひょっとしたら上皮の増殖や再生を阻害したのではな いかという可能性が浮かび上がるわけであります。  そこでこの動物モデルを用いまして肺胞の再生している上皮のEGF受容体のリン酸 化、何かといいますと、この受容体がちゃんと活性化しているかどうか。あるいはイレ ッサを使うために、再生している上皮のEGF受容体が不活性化しちゃってるんじゃな いかということを検討したわけでございます。こちらはイレッサを入れてない部分でご ざいます。ちょうど線維化の部分を拡大したところでありまして、線維化の表面のとこ ろには再生しつつある上皮、これはII型上皮細胞といわれる上皮系の細胞なんですけれ ども、表面に茶色く染まっているのがおわかりいただけると思います。これは免疫染色 という方法を用いまして、この再生している上皮の表面にありますEGF受容体、この 受容体はリン酸化している、つまり活性化しているということを示したものでございま す。  つまり、線維化の一部の部分では上皮が壊れているわけですけれども、その上皮を直 そうと思ってEGF受容体が活性化しているということがわかるわけであります。イレ ッサはEGF受容体のリン酸化、活性化を抑制する薬ですから、同時に投与していると どうなるかといいますと、同時に投与した分では表面に上皮があまり見当たらないわけ なんですけれども、上皮の中にもEGF受容体のリン酸化、活性化が見られないという ことであります。これは薬理作用からすれば当然のことなのかもしれません。つまり、 EGF受容体の活性化を抑制する薬であるということから考えれば、当然ながら受容体 の活性化が見られないということであるかもしれません。  じゃあその増殖はどうかということであります。これはブレオマイシンを投与してイ レッサは使っていない群であります。何をみたかといいますと、細胞がどれぐらい増殖 しているかというのを見たスライドでございます。二重染色という方法をしておりまし て、紫に見える小さいプツプツがごらんいただければと思うんですが、これは増殖して いる細胞でございます。茶色く染まっているのが上皮の細胞であります。上皮と増殖細 胞を別々に染め分けたということでございます。紫に染まっている増殖細胞、これは線 維化の部分ですから線維芽細胞が増殖しているというところであります。  一方この赤の矢印で見たところは茶色く染まっている細胞の中に紫に濃く染まってい る細胞がございます。これはもともと上皮の細胞ですから、上皮が増殖しているという ことを示すものであります。一方、イレッサを同時に投与してやりますと、上皮の中に は増殖している細胞がほとんど見当たりません。肺の線維芽細胞はもう増殖しているわ けで、上皮の方はあまり増殖していないということがわかります。つまり、EGF受容 体が不活化されて、その結果として上皮の再生が妨げられているんじゃないかというこ とが推測できるわけでございます。これを半定量評価してやりますと、ブレオマイシン 単独分に比べてブレオマイシンとイレッサを一緒に投与した場合には、再生上皮の増殖 が減っているというデータが出たわけでございます。  これは試験管内の培養皿の上での実験でございまして、肺胞上皮細胞と肺線維芽細胞 というのを培養皿の上にまきまして、イレッサが増殖をほんとに抑えているかどうかと いうことを見たものであります。左側はA549、もともと肺がん由来の細胞なんですけ ど、肺胞の上皮細胞であります。こちらは線維芽細胞でございます。イレッサを培養皿 の中に入れてやりますと、上皮細胞の増殖はどんどん抑えられます。しかしながら線維 芽細胞の方の増殖はあまり抑えられないということであります。つまり上皮の増殖は妨 げられても線維芽細胞の方はあまり増殖を抑制されないということであります。これは 当然のことだろうと思います。EGF、上皮成長因子の受け手というのは上皮細胞にい っぱいあるわけですから、それは当然のことだろうと思います。  ここまでのところをまとめますと、一つはイレッサを、これはあくまでもマウスでご ざいますけれども、実験モデルでイレッサを投与しますと、マウスのブレオマイシン肺 線維症という特殊なモデルを悪化させたということがわかったわけでございます。第2 点目は、その機序としてはEGF受容体の阻害による再生上皮の増殖抑制ということが 考えられるということでございます。イレッサによる肺障害の悪化の機序として、推定 ですけど、こういうことが一つ考えられるかということでございます。ブレオマイシン を投与しますと上皮の障害が生じると。その結果として上皮の増殖・再生がうまくいか ないわけであります。肺障害は進行、線維化するということでございますけれども、恐 らくイレッサの一つの可能性として、この上皮の増殖・再生を阻害する可能性があると いうことかと思います。  この実験からもし何か申し上げることがあるとすれば2点ほど申し上げさせていただ きたいと思います。まず一つは、イレッサ自体には肺の障害を直接起こすような毒性は あまりないだろうと実験データからは私は思っているんですけれども、事前に肺が傷つ いている場合には、そういった肺の障害を悪化させることがあるかもしれないというこ とが一つかと思います。もう一つは、ブレオマイシンというのは抗がん剤ですけれど も、この抗がん剤は肺がんの治療に使うことはないわけですけれども、似たような抗が ん剤を事前に使っていると悪化することがあるかもしれないということかもしれない。  しかしこれはあくまでも実験データですから、注意しておかなきゃいけない点をもう 2点ほど申し上げますと、一つはこれはあくまでもマウスのモデルということでありま す。マウスはヒトと違いますので、ヒトで同じことが起きるかどうかは全くわかりませ ん。実際使っているイレッサの量も大体40倍ぐらい使っています。したがってこれがヒ トの肺で起きているかどうか、それはわかりません。第2点目は、不幸にも間質性肺炎 を起こされた方が、皆さんもともと肺が悪かったということでは決してないように思い ます。したがって、このモデルですべて説明できるわけでは決してないだろうと思いま す。しかし、きょうのお話の参考になればと思って提示させていただいた次第でござい ます。以上でございます。  松本座長  ありがとうございました。これまでのお話をもとに、ゲフィチニブの今後の安全対策 についての御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。  堀内委員  今の青柴先生のお話の中で、40倍ぐらいというお話がありましたが、先ほどinvitro の系ではもう少し低い濃度でも上皮性の細胞では増殖抑制がかかっているように見えま したので、invivoの系でおやりになったデータがありましたら教えていただきたいと思 います。  青柴委員  それは残念ながらございません。ただこの臨床の報告を見ますと、総量としては非常 に少ない量でも起きていることがございます。ですから臨床面では少なくともきれいな ドースディペンデンスが描けるわけではないだろうと思います。私の動物実験の方では 残念ながらワンポイントしかやっていませんので、それは今後の検討だろうと思いま す。  松本座長  ほかにございませんでしょうか。  栗山委員  事務局の方にお伺いしたいんですけれども、資料2−1で承認審査の概略について御 説明がありましたが、承認条件というところで、手術不能または再発非小細胞肺がんに 対する本薬の有効性及び安全性のさらなる明確化を目的とした、十分なサンプルサイズ を持つ無作為化比較試験を国内で実施すること、となっておりますが、これは具体的に はどういうふうに解釈して対応して、現状どういうふうになっているか、もしわかりま したらお教えいただきたいんですけれども。  事務局  審査センターよりお答えいたします。全般的に日本のおける抗がん剤の開発は、いわ ゆる第II相ということで奏功率をエンドポイントにした評価にしております。その承認 後に本来のプライマリーエンドポイントを使った延命率とか、あるいは無病期間とか、 そのあたりの効果を確かめる試験を実施するということになっております。それを想定 してこの承認条件がついております。イレッサにつきましては、当初の申請者のもくろ みとしてはINTACT1とか2の試験がうまくいけば、日本でもその試験と同じような形で やれればというふうに考えていたところでありますが、御存じのようにこのINTACT1・ 2の試験につきまして予定どおりの結果が出ていないということでございますので、改 めて延命率を調べる試験をこれから組み直すという状態でございます。  堀内委員  私もこの承認審査にかかわりましたけれども、その段階で幾つかの疑問点があったの でこのような、今の承認条件がついたと思います。欧米間での有効率の違い、薬物動態 で大きな変動があること、作用機序についてもよくわからない、EGF受容体の Tyrosinkinaseの阻害ということだけで説明できるかどうか。その後のカスケードに 対する影響はどうなっているかというような問題。それから、EGF受容体は体内のい ろいろな臓器の細胞に発現しているとなどから治験の段階で出ていない様々な問題点が 出る可能性があるから、市販後臨床試験をきちんと組むというのが条件だったと思いま す。ところがこういう問題が起こって、メーカーからそれについての説明文を見ます と、「今後プロトコルを組む」という話になっています。当然直ちに行われる、少なく とも全症例のチェックが行われているだろうと思っておりましたが、これからプロトコ ルを組むということです。承認条件の最後のところにこれがついていたのを見落とした のは私にも責任があるなと自分で思っておりますが、「これらの検討結果について再審 査申請時に報告すること」というのがついてしまいました。それでゆっくりしたという ことかもしれませんけれども、抗がん剤である以上この文章がついたのは理解に苦しみ ます。要するにある程度使ってみて副作用が起こらないことをきちんとして、症例数を 拡大していくというのが本来の考えだと思います。その辺についての指導はどうだった のかをお聞きしたい。メーカーの姿勢にも大きな問題があるだろうと思っています。  松本座長  堀内委員がおっしゃることは全くごもっともだと思いますが、恐らくそういうものが ないことがきょうの検討会を開くことになった一つの理由ではないかと思っております ので、ぜひ安全性の問題、これからどうするかということについての御意見を伺えれば と思っております。よろしくお願いいたします。  吉田委員  ちょっと余計なことを申し上げるかもしれませんけれども、実際今回なぜこんなに大 勢の報道関係者の方が見えてるかというと、過去にエイズとかいろんな薬害があって、 日本では薬事申請に関して国際的に先頭を切るような場合、不安が非常にある。CPT 11が承認されたとき某新聞は社説を張って、こんな危険な薬を認可する厚生省は何事だ というような論調であったわけです。しかしそのCPT11も、要するに腸閉塞状態に対 して注意深く投与するということに気づいたことから急速に有害事象が減って、今や国 際的に唯一国産でブロードスペクトルの固形癌に対する標準治療薬になっているという 経緯を見ますと、今回の問題の所在というのも見誤ってはいけないと思うんですね。一 つは、非小細胞肺がんという難治がんに対して、いわゆる有害事象が出にくい薬である ということで、日本じゅうの肺がん患者さんから早く認可してほしいという声が上がっ て、より迅速に審査してほしいという声とともに、逆に大勢の患者さんがいるのである からより慎重に審査すべきだという意見があったと思うんですね。今回の審査の過程に おいては厚生労働省としては非常に英断をもって迅速にその療法が成り立つように審査 をやられたということだと思います。その結果、予期しなかった肺線維症の問題、肺臓 炎の問題が出てきて、それが市販後に問題になったので、これを今どうするかというこ とになってると思うんですね。そのことなんですけども、一つ申し上げたいのは、肺臓 炎で110例以上もなくなったということで、その数の多さに非常にびっくりされると思 うんですけれども、がん治療の領域では、最も安全性の高いといわれている胃がんの手 術でさえ0.3%、0.5%という手術死亡が出るんですね。食道がん、膵臓がんの手術では もっと高い手術死亡になります。ですからこの死亡率が本質的な問題なんじゃないんで すね。実はこの薬の問題点は、予想できなかった有害事象が市販後に出てきて、予想で きなかった有害事象ですからいろいろな審査の過程がないわけです。そのようなときに どういう対応をしてそれをクリアしていったらいいかということに問題の所在があると 思うんですね。  私は基本的には原因究明を真っ先にやるべきだと。原因究明に関してはなかなか難し いし、抗がん剤のいろいろな間質性肺炎に関しても原因不明なことが非常に多い。た だ、最もそれらしい、既に間質性肺炎があって、ある範囲に対してこの薬が悪くするか もしれないということは一つ明らかになりつつあるわけですね。その薬自身がつくるか どうかはまた別の問題として、肺がんというのはもともとそういうものを合併しやすい がんですから、それが一つですね。それから、もしそうだとすると、それ以外にまだ予 期できるような因子であるかどうかということも検討してほしいし、そういったものを 今ある市販後のデータの中から、メーカーだけでは無理ですから、そういったものに関 して学術的に究明していくようなことが一方において行われていて、それに伴って行政 がどうするかというふうな判断でいかれるべきだと私は思います。  松本座長  ありがとうございました。間質性肺炎の既往がある人、または現実にある人にこの薬 を禁忌にするのか、慎重投与にするのか、何らかの対応が必要なような御意見かと思う んですが、これに対しましては専門家の先生、どなたか御意見ございませんでしょう か。  池田副座長  私も審査の過程に携わっていた者として、審査のときの予想をはるかに超える市販後 の間質性肺炎の発症があると思うんですけれども、それについて非常に早期に出てると いう、普通肺がんの治療薬にしろ抗がん剤にしろ、肺障害というのは常に起こり得ると 思ってますよね。それと違って、起こり方が全く早期に起こっている。そういうことは 審査時には全く発現してなかったんですね。2週間か3週間のところにありますね。そ このところになぜ集中して起こってるのかということと、こういう症例の前治療歴とい うのはどうなっているのかというところが一つかぎになるのかなと思って、審査とは別 に安全性の対策をとらなければいけないというところで、きょうは肺がんあるいは間質 性肺炎の専門の先生方がいらっしゃるので、これをどういうふうに、通常の抗がん剤と は違ったシグナルトランスダクションセラピーの特徴としてとらえるべきなのか、その 辺の御意見をぜひうかがいたいなと思ったんですけど。  松本座長  栗山委員、症例をごらんになっていると思いますので、御意見をいただけますでしょ うか。  栗山委員  私は副作用の方の委員をやっておりまして、偶然初期からこのゲフィチニブの肺障害 についての症例を見せていただいております。それまではどの薬物でも間質性肺炎、肺 線維症というようなものが起こってきておりますし、そういった関係のものかなという 目で見ておりました。副作用として間質性肺炎という診断をつけるときには、まず臨床 症状がありまして、息苦しいとか呼吸困難、それに伴ってそれを裏づける形の低酸素血 症というものがあります。それから画像で、間質性肺炎の場合には間質性の陰影がびま ん性あるいは両側に出現する。そういった病気を起こすほかの感染症が否定されるとい う状況のときに間質性肺炎として診断しておるんですけれども、私がこれらの症例を最 初に見せていただいたとき、副作用名として間質性肺炎というものが挙がっておるんで すけれども、投与後2週間以内に、いろいろな検査をする暇もなく、低酸素血症、呼吸 困難が非常に強くて、そのまま進行して亡くなってしまったような症例があった。たま たま撮られたCT等の所見では、いわゆる間質性肺炎というよりは肺胞領域でベトッと した濃度上昇、肺胞陰影が強調されるような形の所見の記載がありまして、普通の間質 性肺炎ではないなということで、むしろ急性の肺障害、間質性肺炎という概念は非常に 幅広くて、超急性のものについては急性間質性肺炎あるいはびまん性の肺障害という言 葉があるんですが、むしろそれに該当する所見ではないかと思いまして、間質性肺炎以 外に急性肺障害というようなものを名前として挙げた方が、急性に起こる副作用があり 得るということで、いいんではないかというふうに思ってコメントも書いたのを記憶し ております。したがいまして、先ほどの青柴先生のお話では、ゲフィチニブは肺線維症 を増悪するということでありますが、そのことと急性の肺障害とはある程度分けて考え ておいた方が良いのではないか、短絡的にくっつける必要は必ずしもなくて、急性の肺 障害というのがこの薬の非常に大きな特徴じゃないかなと思っております。これが現場 で使われている先生方にとっても、あるいは患者さんにとっても非常に経過の早い、そ して普通ならば薬をやめてステロイド治療を行うと回復することが多いんですが、この 場合はそういうことを行ってもそのまま進行してしまうという症例もままありまして、 意外な転帰をとってしまうという印象を与えることになったんじゃないかと思います。  松本座長  そういう例をできるだけ減少させるということに対して、何か具体的な方法というの はございませんでしょうか。  栗山委員  これは私も一例一例の症例を見ながら、何か予見できる所見がないだろうかと思って 診ておりますけれども、なかなかはっきりいたしません。ですからこういう方にはまず いんだという形で予測できるような情報を出せる程症例が十分集まってないと思いま す。したがって、まず副作用に関する正確な情報を集めるということが非常に大事だと 思います。副作用がこういうふうに起こってきて、先生方に情報を提供していただいて いるんですけれども、十分な検査もできないうちに状態が進行したということもあるん でしょうけれども、その後の会社のMRが先生方のところにお伺いして、さらなる情報 提供を依頼したとしても、なかなかお忙しいというようなことで十分な協力が得られな いというようなこともあるようです。このような状況に対して、医師たる者は、副作用 に関する情報は努めて提供する、調査に協力的であるべきだと、まずこれが一つあると 思います。  それから、原因ははっきりわからない、きっかけもわからないけれども、この薬の臨 床的な有効性は確かに認められる、手ごたえがあるといった症例が結構ございますの で、何とかそれを使いたい。そのときにどういうシステムで行うかということですが、 この薬が経口投与できるというところに、先生方の直接の監視下から少し離れてしまう 大きな要素があると思いますので、普通の抗がん化学療法に準じてはどうか。肺がんに 対する抗がん剤治療といいますのは原則入院して行っております。最近は外来の化学療 法という考えが出てきておりますけれども、それでも多くの施設では抗がん化学療法は 一度入院で試してみて、その安全性を確かめた上で外来に移行するというのが普通であ りますから、この薬においてもそういった一時的に安全性を確かめるというステップを 踏んで、それから外来に移すという考えは妥当じゃないかなと思っています。  松本座長  ありがとうございます。それでは福地先生、何か御意見いただけませんでしょうか。  福地委員  今の栗山委員の御発言は非常に妥当な点を述べておられると思います。私、この薬の 副作用につきましてはきょう初めて詳細なデータを拝見して、その間は私どもの施設の 経験と、肺がんの学会、地方会において発表された症例を、提示された病理所見その他 で拝見していたということであります。まず最初に確認したいのは、本日この資料の11 で46例、比較的きちんとした背景が記載された症例のまとめを拝見いたしますと、この 症例は間質性肺炎という副作用名については、疫学専門家のしかるべき審査を経たもの と理解してよろしゅうございますか。届出の疾患名ではなくて、しかるべき検討を加え た後の診断名と考えてよろしゅうございますか。  事務局  そう考えていただいて結構でございます。  福地委員  この質問の理由は、これほとんどIV期とか非常に進行した肺がん症例に使われており まして、こういう状況で起こる肺の事象につきましては画像所見とか定期所見等を組み 合わせても、実際なかなか確定診断が難しい。特に間質性肺炎とか肺水腫とか、似たよ うな画像を呈する所見がございます。こういうものをきちんと整理しませんと、届出と 医師の判断と、ほんとにその事象が間質性肺炎なのかどうかということの間に乖離があ るということになりますと、統計の持つ意味が違ってくるということで確認いたしまし た。  そういたしますと、間質性肺炎はこの中で少なくとも10例記載がございまして、放射 性肺臓炎というのは間質性肺炎と読みかえることができますので、46例中10例は間質性 肺炎が既に既往歴にあるという状況でございます。しかしそのほかの方々は既往がない と考えますと、先ほどお示しいただいた動物実験のモデル、この間質性肺炎がベースに ある場合の薬物の副作用のあらわれ方とは必ずしもすぐに結びつけるのは難しいかもし れないという気がいたします。  それから第2点につきましては、この間質性肺炎の実際の病系を見ますと、2週ない し4週までにピークがある症例が非常に致死率が高い。びまん性の肺胞損傷の病理所見 に近いのかなという気がいたします。またそれ以降にあらわれる間質性肺炎は、我々が ほかの抗がん剤でも   つけるような、そういう薬物に伴う間質性肺炎のパターンか なというふうに理解されます。したがってこの間質性肺炎の合併につきましては、病期 ごとの病系の違い、致死率の違いということを慎重に考慮する必要がある。それに応じ て対策を講ずる必要があるのではないかというふうに思います。  経口投与であるということで、院外使用ということが当然あったかと思いますし、そ れがこの薬の利点でもありますが、私ども抗がん薬の在宅治療、外来治療という場合に は、すべて患者さんに入院いただいて、そして院内で評価をしまして、そして適用を決 めて、最初の化学療法は少なくとも1回はきちんと院内で行いまして、そしてその副作 用その他、必要な副作用に対する処置を見きわめた後で外来に移行するということをず っと以前からやっております。したがって多くの施設において、そのような考え方で、 このような進行性の肺がん治療が行われているのではないかと思います。  そういうことは一つは副作用のモニターが重要でありますし、適切な対応ができると いうことで重要ですが、もう一つは、恐らくそういうことをしませんと何がリスクを判 定するのに有用な指標かということがあまりわからないと思います。ですからリスクの 回避及びリスクを予知するための因子の集積ということで、そういうことが必要なので はないかと思います。  私ども日本呼吸器学会は1万人の会員がおりまして、その中で専門医制度として認定 医の資格と専門医の資格を持ってる方が2500人を超しております。この方たちは試験を 受けて一定の知識を有している人たちで、こういう方たちにホームページ等を通じてい ろんな情報を流しておりますので、理事会におきましてもイレッサの副作用につきまし ては、学会としてどう対応すべきかということが検討された経緯がございます。学会と しては調査権限その他、直接の手段がありませんので、慎重に経緯を見守って、しかし ながら会員には十分にこの薬物の持つリスクあるいは有効性というものを周知しようと いうスタンスで臨んでおります。今後もそのようにしていきたいと思っております。  松本座長  ありがとうございます。堀江先生、一言お願いいたします。  堀江委員  栗山先生と同じように、私も副作用調査会の方でいろいろな副作用症例についての検 討をさせていただいておりますけれども、このイレッサの事例につきましては私は画像 を見ておりません。書類審査だけですが、今まで2回、多くの症例について経過表等に 基づく判断をさせていただいております。確かに書類見ますと中にはかなり進行してい て、副作用名としては間質性肺炎と書いてありますけれども、実際にはがん性リンパ管 症が疑われるような症例も含まれていたと思います。ただ、対象となっておりますのが 非小細胞肺がんの診断がついていて、そして治療歴があるような症例がほとんどであり ますから、したがって私のとらえ方としては施設名はわかりませんけれども、かなりの 症例はそういう患者さんに対応できる施設で治療されていたのかなと思います。特に今 日配られております資料11にある症例を拝見しましたけれども、乳がんによる症例が含 まれていたり、あるいは組織系がはっきり記載していない症例がありますけれども、し かし多くは本剤が該当する症例としてとらえられますし、症状等が出てきた時点でステ ロイド治療等も取り組まれているケースが結構あるなと思いました。ですからこの資料 に基づきますと、今まで肺がんの治療や副作用対応について経験してきた医師たちが対 応していると思われます。ただ、従来経験した副作用の出現と違う点として私が感じる のは、投与開始後かなり早くから副作用としての病態が出現しているという問題です。 その点に対する対応をどうするかということが非常に重要で、今後治療を実施する上で の重大な警鐘として提示されるべきだろうと思います。多くの肺癌患者に化学療法を経 験してきましたが、当然入院中の患者であれば症状等が発現したときに直ちにレントゲ ンを撮ったり、あるいはCTをとったりということで対応ができるわけです。本薬のよ うに経口投与で外来での治療が行われているケースの場合に、急激な増悪が起こった場 合の対応が十分できているのかどうかというところが、注意しなければいけない点と思 いました。  そういう意味では、これは患者さんとご家族に十分な説明をして、どういう症状が注 意点であるかということを十二分に理解していただいた上で、何かあればすぐに受診す るというような警告がされるべきだと思います。望ましい対応としては、これだけの早 期に起こるケースが多いという事実からすれば、入院での初めの期間、経過を診ていく ということは重要ではないかなと私も思います。  それから、先ほど肺線維症、間質性肺炎のある症例に対する本薬剤の投与について話 がありました。確かに事例としては間質性肺炎、あるいは肺線維症としてあらかじめ記 載されている症例に本剤が使われているケースもありました。そういうケースにおけ る、例えばKL6ですとか、LDHなどのデータもありますので、間質性肺炎の活動性 との関係が経過中急激な増悪につながってないかどうかということも、一応データとし て比較しながら診てみましたけれども、必ずしもこれらのデータだけでどの症例を除外 した方がいいということは言い切れないような気もいたしました。ですから何を指標に するのかは非常に難しいと思います。それから、間質性肺炎がある事例は禁忌という発 言がありましたけれども、禁忌とすべきなのかどうかという点については、やはり慎重 に検討していただく必要があると思います。といいますのは、もともと肺線維症があっ て肺がんが出てくるケースというのは結構あるわけです。そういう症例で本薬がすべて 禁忌としていいかどうかということは検討する必要があると思います。以上でございま す。  松本座長  ありがとうございました。菅谷委員、何か御意見ございましたらお願いいたします。  菅谷委員  この薬はがんに使うということで、患者さんの側からも、あるいは治療する医師の側 からも使ってみたいという要望が非常に強かった。しかもこれは経口で、外来でも使え るというふうな条件であったために、使用の状況を見ましても急速にふえてるわけです ね。そこに一つの落とし穴があったんじゃないかなとは思います。今いろいろお話のあ った中から考えてみますと、一つは、きちんと科学的に原因を追究していくということ がもちろん大事なことだと。有害事象が起こった例ばかりではなく、逆に有効であった 例と間質性肺炎を起こした例と何が違うのかということも検討してみる必要があるんじ ゃないかと思います。その上で、今度はこれを使用する上での条件をどうするかという ことになりますけれども、最初はきちんと管理した状態で使用すべきではないのかと。 その上で安全性が確認されたら外来あるいは在宅での対応ということも可能になるだろ う。しかし有害事象がかなり早期に起こっているという観点からいえば、やはり最初の うち一定の期間は入院して管理した状況の中で使用するという条件が必要ではないかと 思います。  松本座長  ありがとうございました。藤上委員、何か一言ございますでしょうか。  藤上委員  先ほど委員の先生の方から、症例収集に当たっては、医師たる者、副作用症例をきち んと収集していかなければいけないというお話がありましたけれども、もちろん市販後 の情報収集に関しては医師の協力が不可欠だと思うんですけれども、薬剤師の視点から の情報収集、提供ということもこれから私たちは強化していきたいなと思っておりま す。  松本座長  どうもありがとうございます。大野委員、どうぞお願いします。  大野委員  私は基礎研究の立場から申し上げさせていただきます。医薬品開発における基礎研 究、臨床試験ですね、そちらの役割というのは臨床での作用の予測、副作用の予測な り、裏づけとかメカニズムを探るということはあるんですけれども、この場で重要なの は臨床での副作用の予測ということだと思うんですね。この薬物に関しては上皮細胞の 増殖を阻害するということですから、そういったものはどこにでもあるわけですね。ユ ニバーサルに作用する薬物に対してはどんなところに副作用があるかわからないと、基 本的にそう考えなくてはいけないことだと思うんですね。この場合気になったので、青 柴先生にちょっと質問した上でまたお話しさせていただきたいんですけれども、上皮細 胞と線維芽細胞との関係ですね、肺線維症になる、上皮細胞の増殖が阻害されると肺線 維症が悪化するかもしれない、そういうことは先生の全くオリジナルなのか、それとも 前からそういうことが予測されていたのかどうかということをお聞きしたいんですけれ ども。  青柴委員  肺線維症の発生の考え方というのはここ1、2年で少し変わってまいりました。以前 は間質性肺炎、つまり炎症があって、その結果として肺線維症が起きるということでし たけれども、この1、2年の間に上皮の障害を重要視する考えというのが出てまいりま した。それが一般に認められているわけではありませんけれども、かなり有名な雑誌に も出てきています。つまり上皮の障害が先にありき、その結果で肺線維症がおきるんじ ゃないかという考え方が出てきています。したがいまして私が提示したお話は、決して 私のオリジナルではございません。  大野委員  極めて新しい考え方が出てきたということですね。そういうところを非認証の段階な り基礎研究の段階で予測するのは難しいかもしれませんけれども、全身に広く分布して いる細胞に作用する薬物であって、その機序を抑制するということになったときに、副 作用の予測というのは極めて慎重であると思います。特に動物実験で副作用が出たとこ ろだけ注意して臨床でチェックするんじゃなくて、全身の状況を極めて慎重に審査すべ きだと。  松本座長  先生おっしゃるのはごもっともで、こういう薬を開発する段階で予知できる方法を開 発していただければというのは、これは一番の理想なわけなんですが、今は間に合いま せんので、現時点での対応ということで検討させていただこうと思います。吉田先生、 最後にお願いします。  吉田委員  基本的に原因究明の責はメーカー側にあって、この委員会で原因究明しようとしても できないわけですね。ですから、私としてはメーカー側に早急に専門家を含めた救命検 討会か何かをつくっていただいて、逐次アップデーテッドな報告を上げていただくとい うことで、我々もそれを見ながら対処していくということでよろしいのではないかと思 います。堀江先生のおっしゃるように、いろいろな写真をもう一回見直してみて、非常 に小さな間質性肺炎はどんな肺がんでもあるといわれているぐらいですから、どれぐら いの範囲だったろうかということから含めて、ほかの出なかった症例には全くそういう 肺線維症がなかったのかどうかということも含めて、きちっとした科学的なレポートを 上げていただきたいと思います。  松本座長  ありがとうございました。まだいろいろな意見がおありだと思いますが、ただ今か ら、これまでにいただいた意見をもとにこれからの対応策をどうするかという案をこち らの方でつくらせてもらって、再度討論することにして、そのときにまた御意見をいた だくということにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいで しょうか。それでは作業の間10分ほど休憩とさせていただきます。  〔休憩〕  松本座長  お待たせいたしました。資料の作成が済みましたので検討会を再開いたします。事務 局から今後の対応(案)と記した資料を委員の皆さんに配付してください。それではま ず事務局から読み上げます。  事務局  お手元に今お配りした資料を読み上げさせていただきます。  今後の対応(案)。本検討会としては、ゲフィチニブについて、これまで「緊急安全 性情報」の発出(10月15日)等により安全確保がなされてきたところであるが、今後よ り一層安全に使用するための方策として、以下を実施する必要がある。  1、インフォームドコンセントや情報提供の徹底。本剤による治療を開始するにあた り、患者に本剤の有効性・安全性、副作用の初期症状、非小細胞肺癌の治療法等につい て十分説明し、理解を得た上で投与すること。企業による医療機関への有効性および安 全性等に関する情報提供を徹底すること。企業による副作用情報の収集に対して医療関 係者は協力すること。  2、より適切な管理の下での使用の徹底。肺がん化学療法に十分な経験を持つ医師が 使用するとともに、投与に際して緊急時に十分措置できる医療機関で行うこと。間質性 肺炎が投与初期に発生し致死的な転帰をたどる例が多いため、少なくとも投与開始後4 週間は入院またはそれに準ずる管理のもとで、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関す る観察を十分に行うこと。  3、間質性肺炎、肺線維症、またはこれらの疾患の既往歴のある患者への使用を禁忌 に設定。間質性肺炎が増悪し、致死的となる症例が多いため、間質性肺炎、肺線維症、 またはこれらの疾患の既往歴のある患者を禁忌とする。  4、「服用者向け情報提供資料」の作成等。間質性肺炎等発生時の処置が手遅れとな らないよう、「服用者向け情報提供資料」を作成し、患者・家族等に受診を促すよう直 接の注意喚起を徹底すること。  5、企業による市販後安全対策の強化。承認条件として附された間質性肺炎等の科学 的究明等の試験研究を早急に実施するとともに、その原因究明のための専門家による検 討会等を設置し、それらの検討結果について逐次報告すること。企業における重篤な副 作用情報の収集や、医療機関等への情報提供等の実施方法について再検討するととも に、間質性肺炎・肺障害の発現危険因子、およびハイリスクの患者背景等を明らかにす るためのプロスペクティブな調査・分析を行うこと等により、本剤の適正使用を推進す ること。  以上でございます。  松本座長  ありがとうございました。この対応案につきまして御意見をいただきたいと思いま す。  栗山委員  3番のところなんですが、間質性肺炎、肺線維症の既往のある患者さんにこれを使用 することはできない、禁忌に設定ということになっておりますが、これは肺がんの患者 さんが死亡例だけで5万人を占めておりますし、ますますこれは増加しようとしてい る。その基礎になる状態というのはタバコを吸っておられる方ということになります が、そのほかにじん肺症の患者さんとか、あるいは膠原病の患者さんで肺線維症を起こ している方たち、絶えず肺がんの合併ということで経過を管理されていると思います。 そういう方が肺がんになったときにこの薬が使えないというような状況は望ましくない のではないか。私ども専門家は肺線維症や間質性肺炎のある方に放射線照射を行った り、抗がん剤を使ったりするときには、肺繊維症を増悪させる危険性を絶えず念頭に置 きながらも、それでも使用しなければいけないときは注意しながら使用すると言うこと をやっておるわけでありまして、スッパリと禁忌にしてしまうのはわかりやすいんです けれども、あまりにも薬から受けるメリットを受けられない方のほうが多くなり過ぎる のではないかと思います。  松本座長  ありがとうございました。ほかの委員の方、いかがでしょうか。  貫和委員  私も栗山先生と同じ意見です。肺癌患者の10〜30%には程度の軽重を含め線維化があ る報告がございますし、ということは現在まで約2万弱の患者さんのうち、数千人の患 者さんは使われているはずでありまして、その中で一部に重篤な副作用が出るわけであ ります。従って要注意ということが重要な面ではないかと思います。5番目の、企業に よる市販後調査の点で、特にプロスペクティブな面が非常に大切なことではないかと思 います。今回の副作用はヨーロッパあるいは米国の臨床試験では気づかれてない頻度、 現状では0.5〜1%ぐらいが非常に重篤である。そうしますと、それに見合うような症 例数に関してプロスペクティブに調査をするとどうであったかということを出すとい う、どのくらいの頻度であるかということが正確にわかってくると思います。この薬剤 は日本で最初に承認されたわけでございますので、世界的にもそういう役割を果たすこ とは非常に重要であると思います。  それからもう一点は管理という面でございます。入院期間4週間が適当かどうかは議 論があると思うんですけれども、投与後短いうちに症状を起こすということは我々にと ってもショックでございました。一方長い経過を経て発症される患者さんもありまし て、そういう意味では患者さんが一番最初に感じることは息切れですので、息切れに対 しての注意勧告を十分にインフォームドコンセントに書いていただきたいと思います。 そういう意味では現在処方薬局さんで処方されるケースもありますので、薬剤師さんか らも息切れに関しての注意を患者さんにしていただくのは非常にいいことではないかと 思います。  松本座長  ありがとうございました。藤上先生、いかがですか。  藤上委員  がん化学療法においては、特に医師とか薬剤師が連携した患者説明というのが必要な のではないかと思っております。医師の説明と薬剤師の説明というのは表裏一体の関係 があるのではないかと思うんですね。医師にはなぜこの薬を使わなければいけないかと いうことをきちんと説明していただく。薬剤師はその薬をどうやって安全に患者さんに 飲んでいただけるかということを説明して行くということだと考えています。  それともう一つは、これは「薬の副作用」が問題になる場合にいつも言いたかったこ となんですけれども、ゲフィチニブだけのことではなくて、医薬品が適正により安全に 使用されるためには、メーカーの適正使用に関する情報提供のあり方が非常に重要であ り、メーカーの責任が大きいということは言うまでもないと思うんですけれども、医薬 品を使用するということに関しては医師・薬剤師はもちろんのこと、患者さんも含めて 使う側の責任も考えていく必要があるのではないかと思います。でなければ同じような ことが繰り返されるような気がしてなりません。適正に使用されれば有用な薬剤が消え ていくということにもつながっていくのではないかと思います。  医療者側には、患者さんが自己選択、自己決定し自己責任が果たせる手助けをする役 割と義務があると思いますし、インフォームドコンセントを強化するということに関し ては非常に大切なことではないかと思っております。患者さん自身が主体的に治療にか かわっていくことが治療効果を高めて、安全性の高い薬物療法につながるということも ぜひ理解していただきたい。そして私たち医療者側も賢い医療従事者になりたいと思い ますけれども、患者さんにもぜひ賢い患者さんになっていただきたいと、このごろ特に 思っております。  松本座長  福地委員、どうぞ。  福地委員  私もこの3番は、間質性肺炎の患者さんの少なくとも10%には肺がんのリスクがある ということがわかっておりますので、これを禁じてしまうのは非常に問題だろうと思い ますので、3を1に組み込みまして、特にこれらのことがある云々ですので、インフォ ームドコンセントの場合に注意をするというようなことで、インフォームドコンセント を得る場合に特に3のことをはっきり明記するということにしてはいかがでしょうか。 禁忌にするのではなくて、インフォームドコンセントをとるときに特記すると。  松本座長  あとは慎重投与にするかということがあるんですが、いかがでしょうか。  福地委員  どちらでも結構ですが、どうしても患者さんが使いたいというときに、インフォーム ドコンセントのときにそういうことをおっしゃると思うんですね。そのことが生かされ る道を残したいと、臨床家としてはそう思います。  松本座長  わかりました。  吉田委員  1番のインフォームドコンセントなんですが、これは文書によるICを考えておられ るんですか、それとも口頭で考えておられるんですか。ICであれば説明して同意を得 るということで、理解ではないような気がするんですが。  安全対策課長  本医薬品の医療の第一線における使用というのは、通常の医療の一つのパターンでご ざいまして、先生が患者さんの最大の利益を考えて行う中でベストな方法を使うと。し たがって具体的な方法で紙で書くか、あるいは口頭でわかりやすく説明するかは先生の 御判断に任されるものと思います。  吉田委員  ということはメーカー側が例えばICの用紙を用意して、全部に配ってやれという話 ではないんですね。  安全対策課長  それをお使いいただくのは先生方の御判断ということでございます。  吉田委員  それと3番ですが、私たちの臨床試験のグループで間質性肺炎を適格条件から外した 場合、微細、軽度なもの、全部含めて除外すると臨床試験は成り立たなかったというこ とがありますので、これ禁忌は絶対まずいと思います。程度を決めるか慎重投与にする かどちらかだと思います。  堀江委員  この薬を使われる多くの患者さんは大体病名を告知されていて、病状についても説明 されていると思います。その中に肺繊維症がもともとあって肺癌を合併する患者さんが いることは今までの意見にあったとおりです。そういう患者さんからやご家族から逆に 本薬を使って欲しい、あるいは私たちが肺線維症の患者さんでも使いたいという事例は あるわけです。現在アクティブに間質性肺炎が動いているような状態の患者さんには、 気をつけなければいけないだろうと思いますけれども、そうでなくて安定している肺線 維症の状態には、やはり禁忌ではなく扱っていただきたいと思います。  松本座長  わかりました。これまでに伺った意見をもとにで訂正した今後の対応案につきまし て、黒川課長が読み上げますのでお聞きください。  安全対策課長  読み上げます。前文は読み上げから除きます。  1、インフォームドコンセントや情報提供の徹底。本剤による治療を開始するにあた り、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の初期症状、非小細胞肺癌の治療 法等について十分説明し、同意を得た上で投与すること。企業による医療機関への有効 性及び安全性等適正使用に関する情報提供を徹底すること。2はそのままでございま す。  3、間質性肺炎、肺線維症、またはこれらの疾患の既往歴のある患者への使用を慎重 投与に設定。間質性肺炎が増悪し、致死的となる症例があるため、急性肺障害及び間質 性肺炎、肺線維症、またはこれらの疾患の既往歴のある患者を慎重投与とする。  5に飛びまして、企業における重篤な副作用情報の収集や医療機関への情報提供等の 実施方法について再検討するとともに、間質性肺炎・急性肺障害の発現危険因子および ハイリスクの患者背景等を明らかにするためのプロスペクティブな調査・分析等を行う こと等により、本剤の適正使用を推進すること。  以上でございます。  松本座長  今読み上げました案に皆様御賛同いただけますでしょうか。  大野委員  この薬物はもともと安全に使用できる適用濃度の範囲が非常に狭い薬ですね。もとも と毒性が出る適用濃度で使っているわけですよね。3倍ぐらいの毒性実験の中で血中濃 度が上がると多くの毒性が出てますよね。ところがこの薬物はCYP3Aで代謝されて ますよね。そうすると相互作用によってこのデータの2倍ぐらいに上がるといってます けども、場合によってはCYP3Aで代謝されるものは20倍ぐらい上がることだって十 分可能性というのはあるわけですね。そういう事例もあるわけですので、安全に使える 血中濃度が極めて狭いということと、相互作用の可能性が非常に高いということをさら に認識して使っていただきたいと思うんですけれども。  安全対策課長  認識して使っていただきたい等の部分につきましては、当該企業によりまして安全性 に関する情報提供を徹底せしむるということになるかと思います。御指摘のありました CYP3A4などに対する影響、個人差が大きいということ、毒性域が狭い、この辺の ことにつきましては、例えば5の市販後安全対策の強化の中で科学的究明等の試験研究 を早急に実施するという部分でさらに詳細なデータが得られるということで担保できて いるものと思います。以上でございます。  池田副座長  今後の対応案についてはこれでよろしいんですけれども、インフォームドコンセント の件について、とにかく抗がん剤治療はリスク・ベネフィットの明確化を図ることが非 常に大事なわけですけれども、一番問題になっているのは、こういう治療をしてほんと に2、3週間の間に致死的な、要するに内服をして致死的な経過をとってるというとこ ろが患者さんや家族にとっては非常にショックなことだろうと思います。たとえアドバ ンスながんの患者でも、患者さんあるいは家族にとっては、これはどうしてなんだとい うことがぬぐい切れないんだと思うんですね。そういうことを見ると、このイレッサ錠 の説明という企業が10月につくった小冊子にも、死亡例があるということが書いてない んですよね。こういう重篤な副作用が報告されてますということは書いてあるんですけ ど、死亡に至る例があったという事実を書いてないというのは、企業としてもきちっと したインフォームドコンセントという面では大事なのではないか。情報提供という面で は必要じゃないかと思うので、企業はどうしても軽目軽目に書くので、重大な副作用と いうところでカバーしてるんだということを恐らく意図してるんだと思うんですけれど も、やはり死亡例が出てるということを情報提供として書くのが必要だろうと思いま す。  安全対策課長  ただ今の御指摘につきましては、今後の対応の中で特に間質性肺炎にスポットライト を当てました患者向けの説明文書でわかりやすく説明することが第1点。それから一般 的に申し上げまして先生の問題提起は、こういったパンフレットの内容のバランスとい いますか、有効性と安全性について適切に医薬品の横顔を反映しているものであるかど うかについて疑問なしとしないという御指摘だと思いますので、ここは例えば安全対策 課の市販後対策の一つの問題としてとらえるとともに、関係各課とも相談して対応を進 めていきたいと思います。  堀内委員  添付文書にぜひきちんと入れていただきたい。それから、メーカーの使用予定の大体 3年分ぐらいを半年ぐらいで使っているわけです。急激にたくさんの患者に使ったこと が大きな原因ではないかと思いますので、慎重に使うという文言をぜひ添付文書に書い ていただきたいと思います。  松本座長  わかりました。最終的な今後の対応(案)については皆さん御確認いただいたと判断 してよろしいでしょうか。よろしいですか。それではそのようにさせていただきます。 先ほどの堀内委員の御発言は、そのように対応するように申し伝えるようにいたしま す。本日配付された資料は公開資料となりますので御承知おきをお願いします。また、 今後引き続き情報が収集されるわけでありますが、改めて安全確保のための方策が必要 になることもあります。その際はあらかじめ御案内させていただきますのでよろしくお 願いいたします。全体を通じて御意見ございませんでしょうか。なければこれで閉会と させていただきます。どうも長い時間ありがとうございました。 照会先 厚生労働省医薬食品局安全対策課 TEL 03(3595)2435