02/12/06 第6回インターネット等による医療情報に関する検討会議事録 第6回インターネット等による医療情報に関する検討会 ○ 日時 平成14年12月6日(金)14:00〜16:00 ○ 場所 経済産業省別館944会議室 ○ 出席委員 大山永昭 五十嵐良雄 石原謙 河北博文 菊池令子 坂本憲枝        櫻井秀也 塚本亨 中島みち 奈良昌治 花井圭子 深井寧 松山幸弘        三谷博明 御手洗尚樹 ○大山座長  ただいまから、「第6回インターネット等による医療情報に関する検討会」を開催し ます。委員の皆様方におかれましては年末、非常にお忙しい中をご出席いただき、まこ とにありがとうございます。本日は残念ながら木本委員、福島委員、渡辺委員からご欠 席の連絡をいただいています。  議事に入る前に一言だけ発言します。実はいま、ここへ来るのが遅れてしまったのは 、もう既にご案内の方もいらっしゃるかと思いますが、行政情報オンライン化の3法案 が通ったようですが、実はあの中の2つに直接関与しています。ゼロから一緒にやって きたものの1つがコウテイ個人入所サービスです。これは市町村、市区町村のほうが正 確です。あと1年ぐらいの間になると思うのですが、法律が通りましたので、電子署名 を希望者に配付するための法律でした。この電子署名ができることによって、いわゆる 記名・捺印を必要とする申請・申告、さらには安全性の観点から見るとオンラインでの 、まさしくインターネット等による医療情報を取得する場合においても完全にオープン なもの、それからある程度制限をかけなければいけないものがあると思います。後者の 場合には、電子署名を使うことで十分、安全性が確保できるだろうという予測が成り立 つものであります。多分、今日はこのあと総務省に行ってお祝いをししようという話を していました。  ここから言うとまたいろいろ差し障りがある。うまく時期が合えば皆さん方にご説明 申し上げたいと思うのですが、このコウテイ個人情報サービスの秘密鍵と公開鍵、両方 を使う暗号方式なのですが、公開鍵のほうは都道府県の知事から電子署名付きで、我々 が電子データでもらうことになります。秘密鍵は安全性が十分に確保できる、「対タン パー性」と言っていますが、スマートカードの中に入れることが想定されています。現 時点でこの安全性、機能、すべての面で要求を満たすものは、来年の8月に実施が予定 されています「住民基本台帳カード」のみであります。民間にはまだそこまでのものが ない、ということからこのような結果になっているのです。カードの基本的設計、技術 的な面にも私はずっと関与していて、これがいよいよ電子署名が来年度からスタートで きるかなと思っています。  さらに、この上に今度、保険医療の場合だと資格の認承、特に医者の認承であったり 、患者についても自分の情報にアクセスするための重要なインフラの1つになっている のではないかという気がします。おっしゃられた点はまさしく、この「インターネット 等による医療情報に関する検討会」の中でさまざまなご議論をいただいているとおり、 情報化によって適切に、信頼性の高い保健医療情報を国民に提供する。お医者さん方に さらに活用いただくという仕掛けの、インフラに成り得るものができてきたのかなとい うことがありました。私にとって少し個人的で恐縮なのですが、非常にうれしい状況が ありましたので、このようなことをご説明申し上げました。  早速、議事に入りたいと思います。本日は前回の会議でご案内したように、年内の取 りまとめに向けて、報告書の案について議論を進めていきたいと思います。事務局側と いろいろ打ち合わせをさせていただき、今日、皆様方に報告書の案をご覧いただきたい と思います。  まず事務局から、本日の議事資料の確認と説明をお願いしたいと思います。お願いい たします。 ○竹林課長補佐  配付資料の確認をいたします。お手元の資料、1枚目が本日の会議次第です。その下 に本日の資料として、「インターネットの医療状況に関する検討会(第6回)」の資料 であります。資料は以上です。  まず、本日お配りする資料について簡単にご説明いたします。まず資料1、先ほど座 長からご案内があったように報告書(案)です。これはのちほど読み上げます。  続いて13頁、資料2をご覧ください。前回のご議論で、患者がどのような情報を求め ているのかについてのご議論がありました。それに関して、現在医療法上、医療機関が 広告できる事項として定められている事項について、法律及びその告示に掲げられてい る事項すべてを網羅しています。1の「医師又は歯科医師である旨」から、15頁の74の 項目、これらの項目がすべて広告可能事項とされています。  資料3も患者・国民が求めている医療情報について、こちらの第1回の会議において も同じような資料をお配りいたしましたが、「保険者機能を推進する会調べ」という健 保組合の団体がアンケート調査したものです。その調査結果において、患者が医療機関 を選ぶ際に患者・国民はどのような情報を知りたいか、どうしても知りたい情報をすべ て選んでくださいという問いに対する回答として、その割合の高いものを上から20番目 まで並んでいます。上から順にいちばん多いのがインフォームド・コンセント、続いて 所在地とあって、20番目にセカンド・オピニオンとあります。  こちらの表の備考覧をご覧ください。1から20まで掲げられている回答ですが、これ が医療法上広告可能かどうかといった点をこちらでチェックし、まず最初に、ほとんど 広告可能とされているところであります。広告できないものは7の「患者の評判」、8 の「医師・看護士等の接遇態度」、9の「平均待ち時間」、12の「施設の外観」といっ たものが広告不可とされています。  この中ではインフォームド・コンセントについて※1と付いています。表の下に「注 釈」という形で書いておりますが、インフォームド・コンセントについては医療法上、 医師等の努力義務とされていますので、これはすべての医療機関において行われている ことが前提になっていますので、広告するかどうかということではないと。また下のほ う、16の「差額ベッド代」、これも※2と付いています。この差額ベッド代については 、省令において「院内の見やすい場所に掲示しなければならない」というように義務づ けられていますので、これも広告とは少し観点が異なるということです。17の「病院、 院長、担当医の診療方針」、これも※3としています。ここにあるものはあくまでもア ンケート調査に対する回答ということで、診療方針というのは具体的にどういった内容 なのか、こちらではなかなか明らかではなかったのです。ただ、医療機関において実施 している治療方法については、これは広告可能とされています。  次の頁、資料4ですが、こちらも前回ご議論があったように「かかりつけ医」につい て資料がないかという点がありました。こちらについては、4月4日の朝日新聞で医療 に関する世論調査が行われ、その中でかかりつけ医についてこういった調査結果が出て います。「いつでも相談に乗ってくれる、かかりつけのお医者さんがいますか」という 質問に対して、有効回答数は2,060人となっていますが、その中で「いる」と答えた方 が56%、「いない」と答えた方が42%、過半数の方は「いる」と答えられています。  この世論調査においては、「もし、あなたやあなたの家族が病気になったら、どう やって病院や医者を選ぼうと思いますか」という質問もありました。これについても、 「かかりつけの医者に相談する」が56%という調査結果が出ています。  次の頁はそのときの新聞の切り抜きですので、ご参考までにご覧いただければと思い ます。資料については以上です。 ○大山座長  ありがとうございました。次に事務局から報告書(案)について、少しお時間をいた だいて、全文を読み上げていきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○竹林課長補佐  それでは読み上げさせていただきます。                 (報告書案朗読) ○大山座長  ありがとうございました。少し時間がかかりましたが、全文を読み上げていただきま した。  資料1の報告書(案)について、自由な討議に入りたいと思います。この報告書は予 定では、できれば次回には皆様方にお諮りしたいということになりますので、そのこと を念頭に置いて修正等必要なところ、あるいは加筆すべき点についてありましたらご指 摘いただければと思います。いかがでしょうか。 ○中島委員  今日はもともと3時20分に退席させていただくことになっておりますので、大変申し 訳ありませんが最初に発言します。  いま、とてもお上手にお読みになるものですから非常に快く聞いてしまいました。し かし、よく考えて1つひとつの字を見ると、座長はこれにはご満足でいらっしゃいます か。ともかく、第1回のときからのことを考えると、インターネットの細かい問題につ いては本当によくできていて、ご苦労なさった甲斐があったと思います。  ですが、例えばいちばん初めにあるような、「インターネットによる医療情報の信頼 性を確保するための方策等について、基本的な方向性を示したものである」、これは確 かにそういうことでしょう。しかし、実際にはやはり、こういうことは結局は、この国 の医療のあり方の方向性を示すものでなければならないわけでしょう。  そこからこの報告書案を読むと、もともと10年前に「病院機能の評価に関する検討会 」を行ったときと、まさに本質的にあるものは同じなのです。例えば信頼性とその検証 とか、それについての問題など、そこのところはいま聞いていてあのときの場面を思い 出してしまうぐらい、同じことを10年言っているのかなという気がします。座長も初め におっしゃったように、世の中がものすごく変わっているわけです。その中でこの報告 書案の中身の本質は同じなのです。  書き方として具体的に言うと、例えば7頁、ここのところは別にもう1つ質問がある のですが、それはあとにしていまの続きを述べます。いつも申し上げている1、2、3 、結局アウトカムの問題になるわけです。例えば3の5行目、「重症度補正等のデータ 処理技術の開発など」と言っているわけです。こういう開発などがあるのは、開発とい うのはいまどの辺に来ているのか知りませんが、いつも開発というのはずっと言ってい るのです。重症度補正の開発が整わないかぎり、アウトカムは出ないと。それも年中言 い続けていることです。  そうすると、この会議を第1回から見ていて、例えば松山委員がご発表になったもの や三谷委員がご発表になったもの、そのようなものをあれだけの時間をかけて、みんな が一生懸命聞いてきたにもかかわらず、あれらはどこへ行ってしまったのかという気持 がするのです。あのご発表で、私どもが啓発されたものというのは一体どこへ消えてし まったのか、わからないなという感じが非常にします。例えば補正の処理技術、開発な どがきちんとできるのならば、「開発が待たれる」とただ言っているのではなくて、そ こに何か1つの目標という方向性を持たせる必要があるということです。  これを当然のごとく踏まえているのが、例えばこの頁のいちばん下、「死亡率につい ては平成14年3月28日に社会保障審議会医療部会が厚生労働大臣に提出したこれこれの ように課題である。今後、このような種類の医療情報の信頼性を確保することが課題と なる」とあるわけです。これも同じなのです。この委員会は、これを当然のごとく踏ま えなければいけないのかどうか。「社会保障審議会医療部会が厚生労働大臣に提出した 」ものを当然のごとく踏まえるべき委員会なのかどうか。今後というか、むしろ早急に ということだろうと思います。「今後このような種類の……」ではなくて、早急にやっ ていくということだと私は考えます。  例えば9頁、これは同じ問題です。真ん中辺、「(1)から(3)までの情報(7頁参照の うち)」と書いてあるところ、「(3)の情報については」とあります。ここでよくわか らないのは、「医療機関がインターネットを通じ医療情報を提供する場合、やはり(1) と(2)の情報の範囲内にとどめるのが妥当であるという考え方もあるが、実態に鑑みる とむしろ信頼性を確保するための方策を講じることが重要である」とあります。この文 章、私はあまりよく理解できないのです。つまりは「やらない」と言っているわけでし ょうか。  他にも言いたいことはいっぱいありますが、結局いちばん最後に来てしまうと、「さ らに患者、国民はかかりつけ医から医療情報を得ることが多いという調査結果もあり、 患者、国民に身近な存在である」。そして、「かかりつけ医の役割が大きいことは当然 である」とあるわけです。私は普段から、「かかりつけ医でやっていきましょう」論者 です。公に発表しているものでもそのように言っています。しかし、この報告書案では 、20年前といまとで、かかりつけ医が同じ状況で把握されているのです。  先生方はご存じと思いますけれども、かかりつけ医というのは例えば皮膚科の人が何 科を見ても全く問題がないような形でやっている。かかりつけ医がなぜこれだけの任務 を担ってこられなかったかというのは、総合診療医というものがきちんと育てられなか ったからなのです。  確か2004年でしょうか、医学部でやっと総合診療の教育も始まるわけです。今は例え ば、みんな、国民の側はかかりつけ医といっても、何科の人が何を見るのかもわからな い。患者を専門病院のどこどこへ振り分けるということはできない。できないと言って は失礼ですが。はっきり言って、総合診療のできる家庭医というものをきちんと国が育 てれば、それによって患者を専門医に振り分けるという点において、かかりつけ医とい うものを私たちが信頼して、近所にかかって、インターネットなど見なくてもいい。そ のようにやっていける状況になるのです。だから、かかりつけ医を通すということはと ても大切なことなのです。  ただ、いまのかかりつけ医に安住しているこの報告書案の書き方が、私にはどうなの かなと感じます。結局、かかりつけ医のところへ戻ってきてしまったのかなと思うので す。そういう点がいちばん最後にくっ付いてしまって、これは何なのだろうという感じ になるのです。  もし、「かかりつけ医」とお書きになるのだったら、やはりかかりつけ医の側も、日 本医師会も全く努力をやってこなかった総合診療をむしろ努力どころか、妨害をなさっ てきた。国の医療の将来を考えると、そのような状況をきちんと改めて、方向性として ここに、インターネットの情報ですからここに詳しく言う必要はないのです。つまり、 かかりつけ医にも1つ描いている理想像があるわけで、かかりつけ医のほうにもその像 に近づいていただく。その中でということを、ほんの半行でも加えていただければ、ま だずっと新しくなると思います。やはり、国の医療の方向性というものをもう少し盛り 込んでいただきたいという感じがします。時間的余裕がないものですから、いろいろ一 度にしゃべって申し訳ありません。 ○大山座長  最初に質問されたので、答えざるを得ないのかなと思いつつ、困ったなと思っていま す。「困ったな」にはいくつか意味があるのですが、多分、どれぐらいのスパンで目標 を設定するかということがまずあります。  このような報告書を本当に皆さんが思う理想的な姿を共有して書くのであれば、何年 計画という話になると思います。この検討会での座長を務めている関係もあって、私の 認識はやはりインターネットという非常に有効な、なおかつ強力な情報伝達媒体がある 。これは双方向になっていて、簡単に申し上げると医療機関だけが出すわけでなく、場 合によっては患者の声も直接入るようになってくる。この辺はまさしく、医療の中でも 「患者参加型」の医療を作っていく非常に有力な方法だと思います。そうはいっても、 インターネットを使って医療情報をどうやって提供したり、どうやって意見を回収する のかというのは、厚生労働省としては今回のものが一歩踏み出したことになっているの ではないかと期待しています。その意味で、どのような情報から提供できるのかという 議論があったのだと思います。  多分、先生のお話になられている将来像は、私はどちらかというと情報処理のほうの 専門ですが、医療関係のほうについても長年一緒に仕事をやってきたので少しはわかり ます。ただ、医者ではありませんので決して十分ではありません。申し上げたいのは、 学問的にもまだ難しい課題がいっぱい残っているということです。先ほどの言葉で言う と、例えば「補正する手法」と言っていますが、これはそう簡単ではないのではないか と思います。したがって、10年一日の如く同じことを言っている、という言い方にも聞 こえるのかもしれないという気がします。 ○中島委員  これは10年一日ですが、世の中、1つひとつ、もっと進んでいると思います。実際、 このようなことをやっていると、どんどんインターネットに外から入ってきますよ。こ んなことを言っていると、アウトカムの出ているものが今度は横から入ってきますよ。 そうすると国の1つの理想像を示す誇りある委員会だと思っているのですが、それがリ ードしていくものではなくなって、横から入ってきてしまって穴だらけということにな ってしまうのではないか。現実はもっと早いです。 ○大山座長  ですから、そこは9頁にあるように、本来であればそういうお話があって、それが誤 解、あるいは混乱を生じる可能性があるものについては規制的な発想だと禁止になるわ けです。それはやるべきではない、という言い方を読ましていただいているのです。こ こは結構いろいろな会話がありました。さらに(1)と(2)の情報の範囲にとどめるという 点に対して、「実態に鑑みると」という部分の読み方がいろいろ。 ○中島委員  いろいろ苦労なさったのでしょうけれども。 ○榮畑総務課長  特に9頁の「1」、「信頼性の確保の必要性」の最後の6行目ぐらい、事務局として 、このような趣旨でこれまでの議論を踏まえて書いたということでご説明いたします。 客観性、検証可能性によって分類された(1)から(3)までの情報のうち、3番目の情報に ついては先ほどのご指摘にもありますが、実際の問題としては評価基準、評価方法等が 確立されていないということから、そもそもそのようなものを、仮にインターネットを 通じてであっても提供することが妥当なのか。むしろ、そういうことをするのではなく て、客観性、検証性が確立されているものだけ出すべきではないかと考える人も確かに あるのだろう。そのような点を「そのような考え方もあるが」というところで紹介させ ていただいています。  一方で、そうは言っても、現実はもうそのようなことは関係なくインターネットで提 供されているのだとするなら、そこをどのように考えるかとするとしたら、客観性や検 証可能性が確立されていないものが提供されている情報の中にあるからこそ、「信頼性 を確保するための方策が必要になってくるのではないか」の次に続いていくことができ るのではないかというつもりで書いています。確かに、若干舌足らずな面があった点は そのとおりでした。 ○中島委員  趣旨をもう少し明確にしていただきたいと思います。 ○榮畑総務課長  わかりました。これまでのご議論を踏まえて書いた趣旨はそのような趣旨でございま す。 ○中島委員  これはいまの点に比べて全く小さい質問ですが、6頁の終わりから7頁の頭、「公的 機関は国民、住民の信頼の上に成り立つ機関であり、その性格上、各種の医療情報の中 でも客観性があり、検証可能な情報を提供することがふさわしいと考えられる。一方、 民間団体については公的機関との役割分担のもとに、それぞれの特色を生かしながら患 者、国民にとって有用性の高い情報提供をしていくことが重要である」とあります。 「有用性の高い情報」というのは、一方では検証可能な客観性がある。こちらはいかに も客観性、検証可能性がなくてもいいかのごとく、「一方」となっているとそのように なってしまって、それでは最初から論議してきたことが根本から違ってきてしまうので はないかと思い、言葉の使い方としてどうなのかなという疑問があります。これは全体 の本質的な問題ではありません、書き方の問題です。 ○大山座長  典型的な行政文章という気もしますね。 ○榮畑総務課長  ここのところ、大変お叱りをいただかなければならないのはむしろ事務局のほうでご ざいます。この点も若干舌足らずな点があったのかもしれません。書かせていただいた 趣旨というのは、公的機関が提供していくインターネット情報というのは、やはり公的 機関としての性格上、客観性があって検証可能な情報がふさわしいのではないか。その ような情報を提供していくことが好ましいのではないかと書いた上で、それに対比する 公的機関以外の団体については、客観性があって検証可能な情報をどんどん出していた だければいいのですが、それだけではなくてさまざまな情報がまさに現実にも出されて いますし、まさにそれぞれの特色を生かしながら患者、国民にとって必要性の高い情報 が提供されていくのだろう。公的機関はこの範囲でただ公的機関以外の。 ○中島委員  いまおっしゃったとおりにお書きになれば、とてもいい文章だと思います。 ○榮畑総務課長  ありがとうございます。次に向けて考慮したいと思います。 ○中島委員  長い時間を取って失礼しました。 ○松山委員  いまのお話の続きで、議論の整理をさせていただきたいと思います。事務局から、客 観性のある情報はインターネットで出して、客観性が確立されていないものはインター ネットには出さない。これは正しいと思います。しかし、客観性がないから出さないと いうのは国民から見たらおかしいのです。説明責任はあくまで、専門家である医療界側 にあるからです。  先ほどの重症度補正の問題に返ってみると、アメリカでも以前ここでプレゼンテーシ ョンさせていただいたように、重症度補正を行ったあとのベンチマークとか、それによ る個々の医師、医療機関の評価といった情報がありますけれども、彼らは重症度補正の やり方というのは100%正しくないということを前提に議論しているのです。だから、 日本の場合も、100%正しいというのは作りようがないわけです。そうは言っても、せ めて専門家である医師の間だけでも議論ができるようなレベルの重症度補正の手法をき ちんと作って、データベースを作って議論してくださいとお願いしているのです。それ を公開するかどうかというのはまた別の問題だと思います。私はアメリカでも、個々の 評価情報までは、医療機関が自ら出すということはしていないと思います。それは事務 局がおっしゃるように、100%正しいという科学的検証ができない。でも、なぜ、その ようなデータベースを作っているかというと、それぞれの医師が自分たちのスキルをア ップするために議論するツールとして使っているのです。そのようなことをやっていた だければ、国民は医療界に対する信頼をかなり高めるのではないかと思います。  それから、(案)全体の印象としては、結論部分は結局国民が容易に医療に関する情 報にアクセスできて、医療機関、治療方法等を自ら選択できる環境整備を進めるという ことだと思います。問題は、迫力がないのは環境整備をどうやって進めるかが書いてい ないのです。それを提言しなかったら、多分国民はこの委員会が何を検討したのかわか らないのではないかと思います。  結論的なことを言うと、国民がいちばん知りたい情報というのは、要するに自分の主 治医や医療チームの能力評価情報だと思います。これをすぐ出せというのはなかなか難 しいのですが、日本の医療界の問題というのは専門家である医師や医療機関が自らを評 価するためのベンチマーク、データベースを持っていない。つまり、評価情報がないこ とが問題なのであって、それを出すか出さないかというのは次の問題かなというのが私 の印象です。 ○奈良委員  中島先生のおっしゃったことに、ちょっと聞き捨てならないことがあったので発言し ます。私は医師会の代表ではありません、日本病院会の代表として出てきています。 「医師会が妨害している」というのは非常に聞き捨てなりません。 ○中島委員  言い直します。必ずしも妨害したのではないですが、結果的に妨害したかの如くに取 られるような経緯を持って今に至った。それでよろしいですか。 ○奈良委員  それで結構です。桜井先生がここで発言していることは、むしろ例えばきのこの話と か、本を売りまくって患者を誘引しているけしからん医療機関があるから、あのような ものは困ったものだ。「医療審議会」その他では、それは規制しようではないかとなっ た。ただ、インターネットというのは規制できないものだからズボズボということを言 っているわけです。  この報告書は非常によくできていると思います。ただ、9頁の「インターネットによ る医療情報の信頼性の確保について」、私の希望とするところは、その下にカッコをつ けて「情報の光と陰」というのを加えていただきたいと思っています。というのは、影 の部分が非常に多いのです。  この間も発言したと思いますが、ある怪し気な出版社が私どものところにやってきて 、「お宅の病院を全国100の病院のリストに挙げるから、このようにしてください」と いうような要求もある。それから、この間講演会に行ったとき、未だに老人会の患者か ら質問があって、「先生、尿を飲むと大変いいという話を聞いたのですが、いかがでし ょうか」と言ったから、私は「自分の小便ならいくら飲んでもいいけれども、他人様の ものは飲まないほうがいい」とかわしたのです。それを大テレビ局が正々堂々とやって いたことがあります。他人の生命は非常に大切なものである。だから慎重に、暴走はし てはいけないと思っています。ですから、慎重に慎重を重ねてやっていかなければいけ ないと思っています。というのは、一旦人間の生命が失われてしまったら取り返しがつ かないでしょう。  私がさらに提言したいのは、虚偽の情報や誇大な情報をインターネットに流した者は 日本弁護士会のやっているような仕組みで、私はできたら日本医師会あるいは日本医学 会という非常にレベルの高い、学問的な会なのですが、そのようなところで規制をすべ きではないかと思っています。この間、桜井先生は「それはちょっと無理だ」とおっし ゃったのですが、やはり蛮勇を振るって日本の国民のためには正義をやっていかないと いけないだろう。  そうなってくると、日本医師会でも日本医学会でもいいですから、いんちき情報、そ れからいましきりにやられている「きのこ」情報など、私どもの病院に明らかにがんの 患者がおいでになって、「これこれかようで、そろそろちゃんとした治療をしたほうが いいですよ」と申し上げると、「いや、何とかというきのこがいい」、「何とかこぶと いうきのこがいいから、それを飲んでみたい」ということで、本当に時期を失してしま うのではないかと思ってしまう。ところが、それが正々堂々と大新聞に広告が出ている のです。中島先生、あれはどう思われますか。EBMは全くないのです、つまり検証は されていないのです。それから、昔、何とかワクチンというのが出たことがあるのです が、マスコミの方は例えば医学会、医師会かもしれませんが、そこがその先生をいじめ ているのではないかという取り方をしている。でも、あれにはEBMはなかったわけで す。そういうことがあるので、私は専門集団の責任として、既に桜井先生の発言を聞い ていると、いんちき広告や怪しげな広告については何とかしてほしいという気持がおあ りだと思います。病院団体としても是非、そのようなものを日本医師会なり日本医学会 がきちんと対応するべきだと思います。かかりつけ医云々という話があったのですが、 今度、日本病院会を中心にした「4病院団体協議会」で、「臨床研修への提言」をまと めました。それはどういうことかと言ったら、患者を親身になって見られるような医者 を教育すべきであるということです。これは半分マスコミにも責任があると思うのです が、いまは「専門医指向」といって、大学に入った先生が何もできないうちに「私は肺 がんの専門家」、「私は何の専門家」と、専門、専門ということになりたがるのです。  例えば、非常に優秀な、私どもの大学で金時計クラスの者が、私どもの病院へ出てく ると、自分の専門については非常に詳しい。ただ、一般的なことには全くど素人という のが出てくる。そういうことがいけないから、我々は日本医師会とも話し合った上で、 この教育をきちんとしなくてはいけないと。だから、専門教育に偏ったものを何とか今 、やり直さなければいけない。だから、大学での偏った教育をやめていただいて、本当 にかかりつけ医を中心にした、患者さんの目線に合った医者をつくらなければいけない という提言を、この間、各方面に出しました。そういうことですから、日本医師会が邪 魔したというのは、気の毒な発言だと思います。私は、日本医師会の会員ではあります が、病院団体の代表として発言しています。 ○中島委員  いま「日本医師会が妨害した」と言ったのは、失礼しました、お詫びして訂正します 。ただし、結果は同じです。つまり、日本医師会が妨害したのではないけれど、そのと きは事情は違いましたが、この20年を全部検証すると、それが結局いまの結果になって 、いろいろな医者がかかりつけ医として機能しているけれど、総合診療ができない。総 合診療ができないということは、このインターネット会議の続きで言えば、かかりつけ 医がインターネットの代わりにもなるべきみたいなお話が何回か出てきましたが、その ぐらいちゃんと、いろいろな病気について振り分けができる。  本当なら、かかりつけ医がインフォームドコンセントをちゃんとして、時間をとって 話を聞き、振り分けをして専門医のほうにおくればいいわけです。私はそれが理想だと 思っているのです。ですが、かかりつけ医の教育そのものが、この20年、全くそのまま 止まってしまっているでしょう。一度、1985年かにそれが提案されて、そのまま止まっ てしまったのは、やはり日本医師会とのいろいろなかかわりがあった。妨害と言ったの は申しわけなかったと思います、お詫びしますが、結果としてはそうなってしまった。  奈良先生は、総合診療ができないままで、いまのかかりつけ医という形でいいとお思 いなのか、総合診療医というものをきちんとつくる方向に国も提案しているわけですが 、そっちの方向に向かってやるべきだとお思いなのか。さっき松山委員もおっしゃった ような、そういう形を整えていけば、ここの最後にくる「かかりつけ医が」というのの 重みが全然違ってくる。つまり、「インターネットにアクセスできなくても、かかりつ け医が」ということを最後の行に持ってくれば、かかりつけ医はもう少しちゃんとして くださいと。かかりつけ医の中の自浄作用があって、きちんと患者の専門病院への振り 分けができるように、ちゃんとしてくださいということでいいのではないか。ただ、書 き方として、ここに半行加えていただきたいと言ったのが、これだけの時間をとるとい うことになり、全体からみるとまだお話になりたい方がいっぱいいるのではないかと、 心配しております。 ○榮畑総務課長  10頁の「信頼性を確保するための方策」について、これまでのご議論を踏まえて書か せていただいた趣旨を事務局から説明させていただきます。「信頼性を確保するための 方策」として、ここに掲げておりますのは、10頁のいちばん下の行から、関係団体、ま たは第三者機関によって3つぐらいの方策があるだろうと。そして、11頁の6行目ぐら いで、そういう方策の中で、どのような方策が適切かということについては、さらに検 討していく必要があると。「この具体的方策の検討にあたっては」ということで、11頁 の中段でさらに3つぐらいの論点を掲げ、「これをできる限り速やかに具体的な取組み が実現されることが必要だ」ということで、インターネット情報の信頼性を確保するた めの方策については、こういうのをまずやらなければいけないことだろうというふうに 、これまでのここでの議論を踏まえて書いた上で、「それとともに」ということで、併 せて2つのことを書いています。  そのうちの最初が、11頁の下から2つ目の括りで書いていることで、公的機関がイン ターネットで医療情報を提供する際に、個別の医療機関等が提供する情報とつなげる、 リンクして両方を見比べていく方法も、1つの信頼性確保の方策としてあるのではない かという点が1つ。それとともに、いまご指摘のかかりつけ医から情報を得ていくとい うのもあるのではなかろうかということで、必ずしもかかりつけ医のこれが結論だとい うつもりで書いているのではない、ということをご理解いただきたいと思います。 ○中島委員  これがたまたま最後にきただけである、ということですよね。それはよく分かります 。ただ、私どもが考えているかかりつけ医というもの、理想的なかかりつけ医になって ほしいと思って一生懸命みんながやっているわけですから。だけど、かかりつけ医の。 ○大山座長  それは分かりますが、そのことはここには書けないですよね。 ○中島委員  ですから、半行ぐらい。 ○櫻井委員  言っていることが間違っていますから、かかりつけ医がイコール総合臨床医だ、とい うのは全く間違いです。 ○中島委員  私は、かかりつけ医がイコール総合臨床医だなどとは言っておりません。よく聞いて ください。 ○櫻井委員  では何と言ったのですか。 ○中島委員  これをこんなところでいま言うことではありません。 ○櫻井委員  あなたが言ったから言ったのですよ。2004年からの臨床研修は、2年間でいろいろな ことを総合的にやりましょうというのは、総合臨床医をつくるためにやるのではない、 それから専門の医者になってくださいということなのです。昔の医者はみんなそうやっ ていた。慈恵医大の阿部元学長が、「エの字型教育」といって、日本の医者は薄く広く やって、それから専門の勉強をして、それから開業をすることがいいということを言わ れていたのです。 ○中島委員  それはみんな承知しております。 ○櫻井委員  承知していたらあんな言葉は出ない。総合臨床の医者をつくろうなどということは誰 も言っていません。そんな医者をつくってもナンセンスですから。そんなものは要らな いのです。 ○中島委員  そんなのは要らないと言われるのですか。 ○櫻井委員  その話はここではしたくないけれど、間違っているから一応直しておきます。今度ゆ っくりやりましょう。 ○中島委員  間違ってはおりませんが、ここで論議する話ではないと思います。時間が非常に無駄 です。 ○櫻井委員  あなたが言ったから言っただけで、間違っているからその点を取り消していただけれ ばそれで議論をします。 ○中島委員  取り消しはいたしません。さっきの妨害というのは取り消しました。 ○櫻井委員  内容が全く間違っていらっしゃるから直してください。 ○中島委員  それは飛ばしただけで、間違ってはいません。いまおっしゃったことは全部承知して おります。ここに半行、やはり理想の形を入れていただかないと、ただ「かかりつけ医 」だけでは分かりませんと言っただけです。 ○櫻井委員  理想の形は、総合臨床医ではないですから。そこが違っている。 ○大山座長  いまのご議論は全部議事録に残ります。公開しますので、それはそれで、その時その 時の考えがあるのを自分が責任を持って発言していただければいい。もし、それが後で 考え直してみて、いろいろ違いがあれば、それはお互いに理解する。そのほうが一歩前 進ですから、これ以上この話をするよりも、他の方のご意見もあるようなので、この議 論は打ち切らせてください。 ○中島委員  当然そうだと思います。 ○櫻井委員  私もそうです。 ○大山座長  では、花井委員どうぞ。 ○花井委員  いくつか、意見と要望と、質問も含めて述べさせていただきます。まず1頁ですが、 ずっと後に、「患者、国民が医療機関を選択するために」この検討会ができたというこ とが出てくるのですが「はじめに」のところに、検討会ができた背景を記載していただ きたいと思います。  次に、11頁の下から5行目に「ただし」というところがです。「信頼性を担保するも のではないことに留意する必要がある」となっていて、8頁を見ると「WAMNETや 都道府県等のホームページの利用の促進を図るべきである」とあり、公的機関、あるい は行政が出す情報の信頼性を語って、WAMNETをやっていくんだということが書か れている。そして最後に、「信頼性を担保するものではないことに留意する必要がある 」と、あえて強調する必要があるのか。最後に「かかりつけ医」というのが何行もある と、この報告書全体がインターネットのはずなのに、なぜ最後にこれが強調されるのか 、目的が薄れてくる感じがします。医療機関が、別の医療機関の出す情報の大切さも否 定するものでもないし、重要なわけですから、6頁の「医療機関、民間団体等による情 報提供」というところに、かかりつけ医なり診療所の先生なりが提供する情報も大切で ある、という趣旨が書かれればいいのではないかと思いましたので、述べさせていただ きました。 ○大山座長  いまのことについては、もちろんご意見は承った上で、この後、参考にさせていただ いて文章を直したいと思いますが、まだ伝わっていないかもしれませんので、これを書 いているときのイメージを私なりの理解ですが、簡単に申し上げたいと思います。前に も言いましたように、インターネットの世界は基本的に法律で縛っていくと海外に出て しまう。出てしまったら、もう全然手が打てない。  したがって、法律だけで手を打つのはまず無理だということをご理解いただきたい。 先ほどのお話のとおり、リンクしたら信頼性を保つものではないというのは、ある意味 で我々インターネットをすでに知っている、あるいは使っているとすれば、そしてさら にWMANETの運営主体の方たちの責任の範囲を考えれば、これは当たり前なのです 。この世界だけではなく、ほかも全部そうなのですが、これはある種の情報倫理かもし れないし、情報システムを使う上で知っておかなければいけないルールだと思うのです が、まだそこが不十分というよりも、十分伝わっていない可能性もあるということもあ って、こんなことをわざわざ書いた。そうでないと、WMANETにリンクしたくない という話も逆に出てくる可能性もあるということで、あえてこんなことをこの報告書の 中には書かせていただいたということです。  かかりつけ医の話は、もちろん皆様方のご意見もさまざまありましたが、私の理解は 、公的機関等でインターネットに発信される情報について、1と2という話がありまし た。3については、今後の課題も含めて、一生懸命いろいろやっていく必要があるとい うふうに申し上げたわけですが、そうは言っても先ほどのお話のとおり、民間の中には 、それこそどうやっても取り締まりようのないというか、出ていくものはありますので 、最後の最後、いろいろな情報を見比べて、要するに国民の方、患者の方がいろいろな 情報を見比べて、ご自分なりの判断をなさっていただけるように情報提供をするのが最 初だと思うのです。それについて何かおかしいなとか、変だなと思えば意見を上げるこ とができるようにするのが、インターネットの双方向だと思うのですが、本当の最後に 心配になったときにどうするのかというと、やはり医者の所に行くのではないか。  「かかりつけ医」というふうに決めつける必要はないという意味であれば、もちろん そうなのですが、相談しやすい医者という意味で、やはり「かかりつけ医」という言葉 を普通使っているのではないかということもあって、こういう書き方をさせていただい たのです。要するに、いろいろな情報が集まってきたときに、判断できなくなることが あるのではないかということから、こんなことを書いただけなのです。これは私の考え です。 ○花井委員  先生のおっしゃることを否定するつもりは全然ないし、たぶん最後はそうだと思うの ですが、このインターネット検討会のまとめの中に、そのことを最後に持ってくる必然 性があるのかなということで、もっと違う場所に書かれていたほうがいいのではないか という意味です。 ○石原委員  それに関してちょっとコメントさせていただきます。私は、やはりインターネットを 是非普及させるべきという立場なのですが、だからこそ価値のある情報発信、コストに 見合った情報発信をしなければいけないと思うのです。そういう意味で現状をきちんと 把握しますと、やはり過半の方々が主治医、かかりつけ医から情報を得ていらっしゃる 。実際に入院している患者にアンケートを採りますと、インターネットで情報を得てい るというのは1、2%あるかないかです。もちろん、外来では若い方を中心に少しずつ 増えてきている現実がありますから、こういう委員会は非常に意義のあることだろうと 思うのですが、まずは現状の順番でいうと、やはりかかりつけ医という大きなフィール ドがあって、そこでの情報は実際にこういうふうに流れて信頼されている。しかし、今 後はインターネットでということで、そこで提案なのですが、最後にきたものを最初に 「かかりつけ医」というものの現状、情報の流れの現状を少しお示しして、しかしより 選択肢を広げる、情報を透明化していくという意味において、インターネットの活用を 考えるのでこの委員会が動いている、そういう順番にされたらいかがかと思いますが。 ○大山座長  いまのことについて、いかがですか。 ○三谷委員  いまの話につながるかもしれないのですが、第1章のタイトルで、「医療情報の提供 の現状と重要性について」とあります。この「重要性について」という部分、ここは強 調すべきところですが、その内容というのが、「医療情報の意義」ということで(2)に あります。今回、この会でテーマになっているのは、インターネット上の医療情報とい うことですが、そもそも医療情報が患者、国民にとってどのような役割を果たすのかと いう意味みたいなものは、やはりきちんと押さえるべきではないでしょうか。  この中で、前後して「患者、国民が医療機関を選択する」ということで、選択するた めの情報であるということも出てきます。これと併せて、いまの医療の提供体制の前提 となっている「情報の非対象性」というのがありますね。こういうものが現在歴然とあ って、たとえば、医者と患者との間には病気に関する情報の量が圧倒的に違うというこ とが現状ではあるわけです。その格差を埋めるために、インターネット上の医療情報が 有効に使えるのではないかという、そこの意義みたいなものをきちんと定義しておく必 要があるのではないかと思います。  情報の非対象性を少しでも埋めて、医者と患者が病気に関する情報を共有することに よって、治療とか選択の意思決定に参加できるという、そういう方向性を進めるもので あると思うのです。そのためにインターネットがあるのだという、ここの役割をしっか り押さえておかないと、インターネットが何のために有効に使えるか、という方向性が 見えてこないと思うのです。  今回は、本当は医療全般につながる大きなテーマをいっぱいはらんでいるわけで、医 療機関に関する情報というのが今回のテーマだったのですが、今回ここで議論されてい る内容は、当然ながら次には医学に関する情報はどうかとか、そこに進んでいくべきも のであると思うのです。そういう意味で、そんな展望性を含めるような表現もあってい いのではないでしょうか。  それから、3頁の(注)で「医療情報の範囲についてはさまざまな議論があるが、こ の報告書における医療情報には、患者の診療に関する情報、医学等の学術情報などは含 まれないものとして取り扱っている」とあって、一応限定されたのでしょうが、では何 なのかというのがまだはっきり分からない。  たぶん、この報告書における医療情報は、医療機関に関する情報を主とし、患者の診 療に関する情報、医学等の学術情報は含まれないものとして取り扱っている、というよ うな意味合いでしょう。ですので、対象は何なのかということを定義した上で、患者の 診療情報、あるいは医学等の学術情報については含まれない、というふうに断っておく ほうが、より明解になるのではないかと思います。  これは報告書の中に反映しなくてもいいのですが、アメリカ医師会の事例を今まで何 度か引用させていただきました。アメリカ医師会のメンバーが情報発信をするときのガ イドラインをいま運用しているわけです。そのガイドラインを案内するサイトのトップ ページにおいてどういう表現をしているかというと、インターネットを利用して医療情 報にアクセスすることは、患者と医師の関係が、従来の医師の権威に基づいた治療やア ドバイスから、患者と医師が情報に基づいて意思決定を共有する関係に移行していくス ピードを上げていく、そのポテンシャルを高めていくのだということを、定義している わけです。この辺の認識をやはりきちんと見ておくべきではないかと思いますので、参 考までにご紹介させていただきます。  ついでですが、2、3表現上の問題を、細かなところになりますが申し上げておきま す。いまのに関連して、4頁に「インターネットによる医療情報の重要性」というのが あるのですが、ここにいま触れたような表現が一部ありますので、この部分はむしろ前 に持ってきたほうがいいのではないかと思います。「インターネットによる医療情報の 重要性」の頭の10行ぐらいの部分です。それでつなげていくと、医療情報の意義が表現 できるのではないかと思います。  また、11頁で「信頼性を確保するための方策」というのがあります。1、2、3とあ る中で、3番のところに「医療情報に関する患者や医療機関からの問合せに関する回答 、患者からの苦情の審査」というのがあるのですが、苦情を審査するというのは、言葉 として馴染みにくいので、「問合せに関する回答および苦情相談の受付」としたほうが 適切ではないかと思います。  先ほどのWAMNETからのリンクというのがありましたが、総合ページから個別の 医療機関のページにリンクされるというのは、個別の情報が見られて良いのですが、そ のリンクした情報の中身はどうかというところがあるので、ただリンクするというので はなくて、「吟味された情報サイトにリンクする」とか、ここに何らかの判断する仕組 みがあってもいいのではないかと思います。  これは、私のほうで報告させていただいたカナダのカナディアン・ヘルスネットワー クの例がありましたが、公的なものからリンクして、情報を案内する場合には、それな りの基準みたいなものがあってもいいのではないか。そうしないと、無差別に個別の医 療機関の情報に入っていく、何でもありの世界に入っていって、その結果に対して責任 をどうとるかということがあるので、そこをきちんと区別できる何らかの仕組みが要る のではないか。また、WAMNETから外に出るときの、そこからサイトが移動します よという、その辺のアナウンスが、利用者から見られるような配慮があっていいのでは ないかと思います。 ○櫻井委員  全体をよく読んでみると、「はじめに」があって、1章が「現状と重要性」、2章に 「推進」があり、3章で「信頼性の確保」がある。「信頼性の確保」の最後に、かかり つけ医に聞けばいいではないかという、私が申し上げたことがいけなかったのかもしれ ませんが、それが出ている。もし、この中だけでおさめるのなら、2章がこの委員会の 本来のテーマなので、2章を後ろに持っていけば話が済むと考えるか、あるいは「はじ めに」で始まっているから、3章のおしまいに「おわりに」を付けて、結論みたいなも のをサマライズして、インターネットによる医療情報は必要だと書けば、かかりつけ医 が最後にきているのはけしからんというのはなくなるような気がします。  なぜかというと、これは「信頼性の確保」の最後のところに、1つの方策として書い ているだけで、結論でも何でもないのです。ところが、最後にきたために非常に誤解を 招いているようなので、それは作り方が悪い。2章と3章を入れ替えて、2章の「推進 」を結論にするか、いまのままで「はじめに」で始まったから「おわりに」というのを 付けたらどうかというのを提案したいと思いますがどうでしょうか。これは全体の構成 の問題で、そういうことがあるのではないかと思いました。  もう1つは、ここがなかなか難しいところですが、この「はじめに」と書いてあると ころで、国民か患者かが、情報が欲しいけれど情報がないからインターネットに載せて 欲しいと言っていることへの対策委員会なのか。インターネットに医療情報が溢れてし まってどうにも使い切れなくなって、整理をしたほうがいいのではないかとさえ私は思 っているのですが、松山先生などは、「そうは言っても要る情報が入っていないではな いか」と言われるだろうと思うのですが、そこはまた難しいところで、何が要る情報か ということにもなるわけです。  どちらかというと、ここの書き出しで書いてあるように、インターネットで医療情報 を調べるとたくさん出てきてしまう。最初に坂本先生が言われたように、救急医療機関 を調べようとすると800いくつとか出てきてしまう。さっき10年1日だと言って帰られ たけれど、それではどうしようということになってしまう。それをどういうふうに処理 するかですね。医療機能評価というのはなかなか難しい。ある基準で評価することはで きるけれど、それですべてが決まるわけではない。  せっかく、河北先生たちが苦労してやったものを、ある雑誌が順番をつけて、1位が どこと順番をつけてしまった。私は、そういう趣旨でやっているのではないと思うので 、そこが難しいところだと思うのです。手術のことなどについても、1つ1つのものが あって、1つ1つの評価をどうするかとやっていったら、これはキリがないわけで、10 年1日だと言われますが、それはなかなか出来ないのではないかという気がするのです 。これこれの条件の下でこうですよということは出来るわけですが、しかしそれがその まま広く流れていいかという問題が次にあるから、問題になっているのだと思う。確か におっしゃったように、ある一定の基準でこうだということでは、情報を出そうと思え ば出せるわけですが、そういう情報をもっと乗せましょうという結論になるのかどうな のか。むしろ、いまは乱立していろいろなものが出てしまい、みんなが使い切れていな いから、うまく使えるようにしてあげたほうがいいのではないかというのか、そこが私 には分からないのです。その辺に根本の問題があるのかもしれません。 ○河北委員  たまたま今、日本医療機能評価機構の情報提供に関してお話がありましたから、繰り 返しになるかもしれませんが、我々は評価基準というものを設けて、ですからスタンダ ードを設けて、その範囲で評価をしているということだけです。ですから、それを今回 、9月1日から報告書を掲載したということで、その以前、これも繰り返しになります が、認定病院の名称等、属性しか発表しなかったわけです。それは、情報に関しては、 情報に関心のある人たちが、自分たちの責任でその病院にアクセスして、あとの内容は 自分たちで検討してほしいということのために、属性しか出さなかったわけです。それ を、いろいろな社会的な要望があるということで今回は、報告書の内容をあそこに掲載 をしたわけですが、それが『アエラ』という雑誌であのように取り上げられた。それは それで何も否定をする必要はないだろうと思いますが、情報はやはり他の人が情報を利 用するということはあり得るというふうに、あのときは感じました。  私自身がこの報告書を読んで、大変失礼な話になるかもしれませんが、ここはインタ ーネット等によっての医療情報の検討会ということですから、まさに検討して、解説書 的な報告書だなという印象だったのです。解説書の中で、特にWMANETと都道府県 の情報に関しては、キズをつけないように、ここに一応、肯定的に書き込んだというこ とがよく見えたというのが私の感想です。 ○石原委員  いまのご発言に関して、私もWMANETについては肯定的に書きすぎると思ってい ます。しかも、客観性が十分に高められるものだけをするのであれば、これは嘘をつけ ば誰でも分かるわけですから、民間に回せるわけです。ですから、このWMANETに かかる予算と、民間ができないということを証明できない限り、これを推挙するような 2章の書き方と、何よりも「はじめに」のところの最後の段落で、「今後行政において はこの報告書で提言された施策を着実に実施する」というようなコメントを入れており ます。この検討会が、WMANET推進のお墨付き委員会になり下がることは避けてい ただきたいと感じました。 ○大山座長  それはもちろんだと思っているのですが。 ○松山委員  最初に質問したことに戻るのですが、これは私がマスコミの記者の立場に立ってみた ときに、見出しが書けないのです。要するに、結論はどうも「医療機関、治療方法等を 自ら選択できる環境整備を進めるべき」ということになりそうなのですが、具体策がな かったら、何をするのかが分からない。1つヒントになるかどうか分からないのですが 、先週、ある著名な国立病院の院長先生とお話をしたときに、その先生がおっしゃった のは、大病院とかかりつけ医の連携パス、つまりネットワークを地域で作り、それから 情報発信をしているのだが、地域の住民の方、もしくは患者の方からの評価が低い。結 果的に月1回血圧を測るにしても、かかりつけ医の所でやってくださいと言っても、や はり大病院へ来てしまう。これはなぜかということを先生がおっしゃっていました。  その病院では、いま脳血管と生活習慣病と循環器系の病気に関して、地域の医者と疾 病別のプロトコルをどんどん作っていこうとしている。それを患者に伝えつつ、できる だけかかりつけ医と大病院でも医療の質は変わりませんということを説得して、かかり つけ医で済むことはそちらでやってくださいとお願いしているのだが、まだうまくいか ない。この原因は、要するに単発的にそういう臨床プロトコルを作っても駄目で、主要 な疾病について、広い地域医療圏で臨床プロトコルを網羅的に作って、それを「これだ けのクォリティがあるんですよ」ということを情報提供をしていく。そのときに、イン ターネットなどでそれが提供できるようになれば、効果が上がってくるかもしれないが 、相当努力が必要だ、ということをおっしゃっていました。  私は、環境整備を進めるというときの具体策として、日本の病院というか医療界で欠 けているのは、やはり地域医療圏で完結する疾病別の臨床プロトコルではないかと思う ので、それを政策的に後押しするようなことをすべきみたいなことが、例えば具体策の 1つとして入るとか、そういうことが必要なのではないか。ほかにももっとあるかもし れませんが、そういうことを書いておかないと、新聞記事にしにくいという気がしてい ます。 ○坂本委員  このインターネットの検討会というのは、最初に患者主体のというか、患者のニーズ に合ったということが大前提で進められたと思うのです。報告書の案を見ますと、要す るに今年の4月に広告が規制緩和になった情報については、検証可能な情報ということ で、それは公的機関が出すのにふさわしい。それ以外の情報については、検討の余地が あるということで、民間機関に委ねるような内容の書き方になっているのですが、実際 に民間機関が検証不可能な情報をどのように情報提供できるのか。情報の原点は、患者 のニーズに合った情報がきちんと見られるかどうか。それを私たちが見て、それは信頼 するに値するかどうかが判断ができるかどうか、そこが今回のインターネット検討会の 基になると思うのです。  公的機関が検証できる情報を出すというのは当然のことで、それは簡単といってはい けないかもしれない、ここまでの道程はすごく大変だっただろうと思いますが、それさ えも一般の人たちはもらえなかったという状況が何十年もあったわけで、すごい画期的 なことで、私はまずそれが出るということが第一段階だろうとは思うのです。次に、そ れが患者のニーズに合った情報であるかどうかというところの検証も併せてしてもらい たいと思います。情報の質を3つに分けてありますが、また、3について重要課題であ るとか、検討課題であるとかいうふうに逃げていますが、これをもっと突き詰めなけれ ば今回のインターネットをうまく利用する、という方向にはいかないのではないかと思 うのですが。 ○石原委員  患者からのニーズがいちばん大事だというのはおっしゃるとおりだと賛成するのです が、そうするとランキング情報とか、医療機関情報はどうなのか。最終の願いは、やは り良い医療機関に良い治療をしてほしいというところに尽きると思うのです。途中にラ ンキングというのがちょっと曖昧に入ってくるわけですが、例えばアメリカのベスト病 院というランキングがいくつかありますが、あれもその中身の仕組みを見てみますと、 いちばん大きいファクターは、アメリカの専門医同士のピアレビューで、「俺はあいつ の所がいいと思うよ」という投票なのです。つまり、ピアレビューの中での評価が高い ところが、いかにも何かの物差しでランキングが上がったように見えている。  日本の医療はアメリカの表面だけを真似する必要はなく、かかりつけ医の先生から情 報が得られる。日本の場合には、全く阻害されず、制約なくセカンドオピニオン、サー ドオピニオンにいけるわけですから、それをお使いになったら国民の皆さんは、非常に 良い情報が手に入るのではないでしょうかという、そういう啓蒙も1つあるのではない でしょうか。患者の立場としては、実際にITのランキングがほしいわけではない。報 告書の3頁によると、24.3%の方々が、インターネットを通じて医療情報を入手すると いうことをサンプルで挙げていますが、これは実際には、健康保険組合などの若い方々 が非常に多いところで、しかも健康な方々が多いところでの数字なのです。実際は、入 院している、あるいは外来通院をしている方々でみるとぐっと低いわけです。  インターネットで患者が判断できる形の情報を出せというと、結局はミシュラン型の ものを出せということになる。ミシュラン型は、先ほどからいろいろなご意見がありま すが、結局は無理なのです。それは医療にかかわらず、こういうサービス、あるいは教 育もみんな一緒だろうと思うのですが、たくさんのマルチパラメーターだからやりにく い。それを分かった上でアメリカはやっている。それは参考にすべきだろうと思います が、それよりも高いレベルで日本ではかかりつけ医が非常に使いやすい。アメリカは、 どうしてそういう物差しが発展したかというと、向こうにはかかりつけ医がないわけで す。5,000万人とも、6,000万人ともいわれる無あるいは低医療保険者ですから、簡単に は医療機関にはかかれないわけです。国民の不平不満が鬱積しますから、アメリカ医師 会は、そういう方々にちゃんとエクスキューズしなければいけない。アメリカ医師会は 頑張っています。保険は全然きかないが、25ドル出したら医療情報も提供できて、バー チャルにコンサルテーションできますよというところまでいくわけです。  アメリカで25ドルというと3,000円か4,000円に相当しますが、日本ではそれで生身の 医療機関にかかって、薬までもらえて、次のステップに進めるわけです。ですから、ア メリカの表面の、大事なところを真似するのはもちろんいいのですが、なぜそういう仕 組みになっているのかという、アメリカの陰の部分も知ってから、日本のITの進むべ き道を考えないと、大きな無駄な投資と禍根を残すと思うのです。 ○奈良委員  一言申し上げます。急速なITの普及で、病院団体に所属している病院は、ほとんど はホームページを持っているはずです。だから、アクセスするつもりならどこの病院の 情報もとれるはずです。大体、ホームページを持っていない病院が何パーセントあるか 、皆さんはご存じでしょうか。ほとんどの病院が持っているはずです。例えば、ある病 院を、どういう病院かと見ようと思ったら、インターネットでアクセスすれば必ず引っ かかる。そういう時代になっています。むしろ、氾濫する情報、場合によってはインチ キ情報や誇大情報を取り締まるべきで、専門団体がきちんと、不適情報とか、これはク エッションマークだよということも出すべき時代がそろそろきているのではないかと思 っています。 ○大山座長  その辺、やってくれるところがあればあれば書く意味もあるのですが。 ○花井委員  患者の立場ということで、発言させていただきたいのです。患者の立場でいちばん知 りたいのはどういうことかというと、どこにどういう医者がいて、どの医者が親切に話 を聞いて、丁寧な治療をしてくれるのかとか、医療事故、医療ミスが起きた所が、どう いう対策を講じようとしているかとか、そういうことを知りたいわけです。ところが、 いま氾濫している情報、ランキングの情報にしても、それはほとんど分からない。ホー ムページを見ても、検証可能な情報ですから、そのとおりの情報なのです。ところが、 それをいくら見比べても、どこが良いのかは素人にはほとんど判断がつかない。  どういう基準で選ぶかというと、知人とか友人の口コミ的な情報が多くなるわけで、 そういうことも併せて情報が提供されると、患者としては非常にありがたい。いま出て いる情報で判断するとすれば、せめて客観性が確保されるとか、先ほどから出ている死 亡率とかについては、できるだけ早くいろいろな事例を用いて患者が判断できるような 形で出てきたらいいと思っています。ですから、ミシュランとか、そういうことを欲し ているわけではない。もう1つ、インターネットというのはあくまでも手段で、インタ ーネットだけですべてを知ろうなどとは誰も思っていないと思います。 ○深井委員  先ほどの松山委員と一緒で、新聞の見出しをどうつけるか。この報告書のコンセプト は何か。最初に与えられた課題が、患者の視点の情報がないから、そういうものを作ろ うと。ではこうしよう。あるいは情報が多すぎる、だからその中できっちりとした情報 をセレクトするようにするためにこうするんだとか、あるいは信頼性のおける情報がな いから、それを作ってこうしていこうというようなところが、始めたときと今とで、何 も変わっていないような気がします。これは我々みんなの責任なのですが、そこのとこ ろを何を作っていくのかというのが、ちょっと見えなくなってきている、困ったな、ど うしようかという感じです。 ○塚本委員  私も全く同じ意見、認識です。やはり、大きな言い方をすれば、医療の歴史的な認識 は当然検証していかなければまずいと思います。ただ、時代の趨勢の中でIT化の流れ というのは歯止めがききません。どんどん無尽蔵に出てきます。その中でのこの論議な のでしょうが、いまおっしゃいましたように最後の検証の中でも、3の部分で、インタ ーネットを媒体としてご覧になったときに、何について、何の目を養っていくのか。私 どものホームページの中でも、一般的な口腔内での疾患は、家庭の医学書ではございま せんが、そういったものは誰でもがツールを利用してご覧になれます。その自分で得た 情報をもって、それぞれコンタクトする。最後の医療は対人間ですから、そこはもうち ょっと報告書の取りまとめの中で熟成させていただいて、国民がどういった目を養って いくかという部分を是非書き込んでいただきたい。また、3頁の原点の中、注釈の小さ な字の部分がありましたが、あの表現は変えていただいたほうがよろしいかと思います 。 ○菊池委員  報告書全体で何を言おうとしているのか、私も考えながら読んでいたのですが、第3 章で「信頼性の確保」というところが最後にきているわけで、他の審議会などで医療情 報の提供を促進していくという方向性はもう出ていて、この検討会で新しく加わってい るのが「医療情報の信頼性の確保」のところだと思うのです。具体的にこうしてはどう か、という案が出てきているのが新しいことかと思うのですが、実際に提供を促進する ために何をしたらいいかというのは、あまり出ていないような感じがしています。その 辺をもう少し書き込んだらいいかと思うのです。さっきWMANETの話が出ていまし たが、いろいろな医療機関がホームページを出していますが、患者から見たらどこを見 たらいいか分からないという部分があるので、玄関口みたいなところがあると、確かに いいと思うのですが、あとはリンクで任せてしまうということで大丈夫か、もうちょっ と何かやり様があるのではないかという気がしています。 ○大山座長  貴重なご意見をいろいろいただき、この検討会のポリシーが出てきたように思います 。本来の話は、石原委員が先ほど言われたように、患者参加型なのです。患者が必要な 情報、患者が要求する情報、それは決してランキングではなくて、医療を患者が参加し て作っていくというか、進めていくことを推進するためにこういう情報をどう提供して いくかというふうに考えているのですが、ちょうど政府が今、電子化しているのとすご く似ていると思います。向こうではEデモクラシーといって、住民直接参加型のさまざ まなやり方が出ています。医療の中でどういう形になるか分かりません、こういう1つ の試みとして一歩前進、その意味ではここでは触れていませんが、患者同士の情報の収 集とか交換は当然できるわけで、その中でランキングが起こるかどうかは知りませんが 、それはある種特別な、あるいは特殊なフィルターを通した後のランキングを出すよう なことよりも、はるかに信頼性が高い。客観的に見て信頼性が高いかどうかは別ですが 、本人たちにとっては、コミュニティの中で信頼性が高いものができるのではないか。 そういうのを作り上げていく世界も必要なのではないか。  ただ、ここでそれを書くのはちょっと違うかなと思って実は書いてないのです。タイ トルが、「インターネットによる医療情報に関する検討会」なので、患者同士の医療情 報は、ここでいうのに当たらないのかもしれません。ただ、皆さん方のご意見を今日い ろいろいただきましたので、次回までにもう1回精査した上で、それを反映するような 形をとりたい、それでやりたいと思います。五十嵐委員が今まで発言されていないよう ですので、一言お願いできますか。 ○五十嵐委員  2回ほど用事があって参加できなかったので、理解するのに時間がかかったのですが 、具体的な方策は最後の(1)(2)(3)で叩き台みたいなのは出ているかと思います。例え ば、病院団体がガイドラインを自主的に作っていくとか、そういったものがもう少し具 体的に書き込めれば、非常に内容は豊かになってくるなと思っています。 ○御手洗委員  最後に発言させていただきます。この報告書を読ませていただきますと、先ほどどな たかが言っておられたように、第一に、公的機関の情報をきちんとやりましょうという ふうに読めるわけです。民間についても、最後のほうで「次への課題」という形で書か れていますが、そういうふうに読めるわけです。そういう中で、では公的機関の情報が 、いまどうなのかという、その辺のことについて、何となく今の情報が、かなり肯定的 にとらえられるような書き方をされているように思うのですが、もっと利用者の立場に 立った、さっきは項目のことを言われていましたが、情報そのものをもっと分かりやす く提供する、という観点、視点がどうもないように思えるのです。その辺も是非、検討 といいますか、書いていただけたらと思っている次第です。 ○大山座長  そろそろ終了の時刻になりますので、本日の議論はここまでにさせていただきたいと 思います。次回は、いまいただきましたご議論、あるいはご意見を踏まえまして、この 報告書を取りまとめていきたいと考えております。事務局としっかり相談をさせていた だいた上で、所要の修正等を行って、皆様方に送付させていただきますが、さらにご意 見等がございましたら、事務局にまたお寄せいただきたいと思います。次回はそれを踏 まえてもう一度議論をさせていただき、報告書の取りまとめを行いたいと思っています 。次回の日程について、事務局から説明をお願いします。 ○榮畑総務課長  次回は年末ギリギリで、ご多忙のところ恐縮ですが、12月26日(木)午後2時からお 願いしたいと思っています。会場は、厚生労働省9階の省議室でやらせていただきます 。年末、ご多忙のところ恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。 ○大山座長  それではこれで本日は閉会したいと思います。大変お忙しいところ、長時間にわたっ て非常に活発にご議論いただきましてありがとうございました。終了いたします。 照会先 医政局総務課 竹林(内2516)