主な検討項目 |
主な論点及び議論の状況 |
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少子高齢化の進行に伴って、年金保険料の引上げは避けられないが、その上昇をできるだけ抑え、国民負担率の上昇を極力抑制していくとともに、現在から将来にわたる負担を明示し国民的合意を得ることが重要である。(基本方針2002第4部2(3)(A)) |
○給付水準
・ | 高齢者世帯の生計費を賄うという観点、現役世代の生計費との比較などから見て、年金の給付水準をどうとらえるか。
議論の状況 | − | 現役世代の生計費との比較から見ても現在の給付水準はやや過大であり、世代間の公平が図られた持続可能な仕組みにするため、給付水準を引き下げるべき。 |
− | 現行の給付水準は、老後生活の基本部分を保障するという考え方に基づくものであり、現行の水準を維持すべき。 |
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○保険料負担のあり方
・ | 現在凍結されている保険料(率)の引上げを再開すべきではないか。
議論の状況 | − | 将来の保険料負担を過度に上昇させないため、長期的・計画的な視点から、保険料の引上げ凍結を解除すべき。 |
− | 厚生年金保険料率の引上げは、5年ごとでなく毎年小刻みに引き上げるべき。 |
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・ | 平成12年の年金制度改正での最終保険料の設定(基礎年金の国庫負担1/3で総報酬の21.6%、1/2で19.8%)も踏まえ、将来の最終保険料についてどう考えるか。
議論の状況 | − | 諸外国との比較で見ても、将来の最終保険料率は総報酬の20%程度にすべき。 |
− | 医療・介護等の社会保険料負担の高まりなどを踏まえ、総報酬の20%を大幅に下回る水準で長期間固定すべき。 |
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○想定を越えた社会経済の変動に対する対応
・ | 最終保険料の上限を固定して、給付水準を自動的に調整する手法についてどう考えるか。
議論の状況 | − | 頻繁に給付と負担を見直すことへの不信から脱却するため、将来にわたって最終保険料の上限を固定し、その後、人口構造や経済情勢の変化などが想定を越えて生じた場合、給付水準を自動的に調整する仕組みを検討すべき。 |
− | 負担を固定した場合の給付の自動調整については、下がりすぎないよう一定の限度を設けることが必要。 |
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年金課税の見直しを検討する。(基本方針2002第3部5(2)) |
・ | 年金受給者に対しては公的年金等控除が設けられているが、世代間・世代内の公平を確保する観点からの見直しをどう考えるか。
議論の状況 | − | 公的年金等控除については、現役世代とのバランスから見て縮小すべき。 |
− | 公的年金等控除の見直しに当たっては、高齢者世代内の格差などに配慮することが必要。 |
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平成12年改正法附則(安定した財源を確保し、基礎年金の国庫負担の1/2への引上げ)への対応など、年金制度改革の基本的な方向について、早急に議論を始め、その改革に積極的に取り組んでいく。(基本方針2002第4部2(3)(A)) |
○国庫負担割合の引上げ
・ | 平成12年の年金制度改正において、次期年金制度改正までに1/2への引上げを図ることと規定された基礎年金の国庫負担割合についてどう考えるか。
議論の状況 | − | 将来の保険料を負担可能な範囲内に納め、また制度未加入者の加入・保険料未納者の納付へのインセンティブを強めるため、国庫負担割合の1/2への引上げが望ましい。 |
− | 将来的には間接税を財源とする税方式へ転換すべきであり、次回改正では、まず国庫負担の割合を1/2に引き上げることが必要。 |
− | 年金給付の構造を所得比例構造のみとしたときには、税財源による所得制限付きの最低保障年金を設けることを検討すべき。 |
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・ | 基礎年金の国庫負担割合の引上げのための安定した財源をどのように確保するべきか。
議論の状況 | − | 基本的には国民が広く薄く負担する消費税、一般財源、あるいは現役世代と比較して優遇されている年金税制の見直しで財源を賄うこととすべき。 |
− | 間接税は比較的低所得で子育てをしている世帯など、消費性向の高い世帯にとって負担が重く、所得保障の財源とすることは不適当。 |
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4 | .少子化、女性の社会進出、就業形態の変化への対応 |
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○次世代育成支援
・ | 少子高齢化が将来の我が国の社会経済に大きな影響を及ぼすことが予想される中で、公的年金制度においても次世代育成支援に向けた対応をとることをどう考えるか。
議論の状況 | − | 年金制度でも、育児期間中の者への配慮措置の拡大や、年金資金を活用した教育資金の貸付制度など、次世代育成支援としてできることを実施するべき。 |
− | 次世代育成支援は、年金制度の中での経済的支援よりも、保育サービスの充実等の社会基盤の整備で考えるべき。 |
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短時間労働者に対する社会保険の適用拡大、第3号被保険者制度のあり方について見直す。(基本方針2002第2部2(1)) |
○短時間労働者等に対する厚生年金の適用
・ | 短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大を図るべきではないか。
議論の状況 | − | ライフステージに応じた多様な働き方が増加する中、短時間労働者である期間についても厚生年金を適用することが、将来の年金保障のために必要。 |
− | 適用の拡大に伴う将来の給付拡大も考慮した、年金財政に与える影響についての定量的な議論が必要。 |
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○第3号被保険者制度
・ | 女性の就労の進展など経済社会情勢の変化の中で、現在の第3号被保険者に係る給付や負担のあり方をどう考えるか。
議論の状況 | − | 第3号被保険者制度などにより男女の経済力の平等化が進まないこと、第3号被保険者の保険料負担能力が一定程度あることなどから、第3号被保険者制度を見直すべき。 |
− | 就労する者のみに個人単位の年金を支給するのは就労しない者への年金保障に欠けるため、負担能力の欠ける者への配慮が必要。まずは女性に不利な雇用・就業の改善が必要。 |
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国民に広がる年金不信を払拭するため、個人個人の年金に関する情報提供がきちんと行われる仕組みを作り、わかりやすい年金制度とする。(基本方針2002第4部2(3)(A)) |
・ | 若い人の年金制度に対する理解を深めるため、どのような仕組みが適切か。
議論の状況 | − | 個人に対して加入記録や将来の年金についての情報を通知するなど、将来の自らの年金給付を実感できる仕組みや運営を検討することが必要。 |
− | 定期的に加入記録を通知する一環として、毎年の拠出に応じて増加するポイントを基に年金額を算定する方式を導入するべき。 |
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保険料徴収の推進など国民年金の未加入・未納者に対する徹底的な対策に取り組む。(基本方針2002第4部2(3)(A)) |
・ | 国民年金保険料について、どのように収納対策の強化に努めていくか。
議論の状況 | − | 年金制度をきちんとPRし、国民の年金に対する不信感を払拭することが必要。 |
− | 保険料納付は国民の義務であるという立場から、収納対策を強化すべき。 |
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○社会保険方式と税方式
・ | 基礎年金について社会保険方式を維持すべきではないか。税方式化についてはどう考えるか。
議論の状況 | − | リスクに備えて拠出するという自助の要素が内在していること、給付と負担の関係が明確であること、税方式は何もしなくても一定年齢に達すれば年金が支給されるという点で違和感があることなどから、社会保険方式を維持するべき。 |
− | 全ての高齢者の基礎的な生活費の保障を行うものとして、基礎年金は税方式とすべき(当面は国庫負担割合を1/2に引き上げるべき)。 |
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○賦課方式と積立方式
・ | 実質的に価値のある年金額を終身にわたって確実に保障するという公的年金の役割に照らし、その財政方式をどのように考えるか。
議論の状況 | − | 世代間の負担の格差が拡大しないよう、一定の積立金を保有しつつ賦課方式で運営する現行の方式を、今後も維持するべき。 |
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○制度の体系
・ | サラリーマングループと自営業者グループの間で異なる制度となっていることについてどう考えるか。また、自営業者グループの所得把握についてどう考えるか。
議論の状況 | − | サラリーマングループと自営業者グループでは就業形態や老後の収入などが異なり、老後の所得保障の必要性が異なる。 |
− | 区分しない方向を目指していくべきだが、その場合に自営業者グループについての正確な所得把握が不可欠である。 |
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○公的年金と私的年金の役割分担 など
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