02/11/21 第20回厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録                    第20回              厚生科学審議会生殖補助医療部会                    議事録            厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課             第20回厚生科学審議会生殖補助医療部会                   議事次第  日時:平成14年11月21日(木) 13:00〜15:53  場所:厚生労働省専用第21会議室(第5合同庁舎17階)   1 開会   2 議事    (1)検討課題2について    (2)検討課題3について    (3)その他について   3 閉会 ○宮本生殖補助医療対策準備室長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第20回厚生科学審議会生殖補助医療 部会を開催いたします。  委員の皆様には、大変お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます 。  本日の出席ですが、才村委員、澤委員が御欠席でございます。また、渡辺委員からは 遅れて出席いただけるというふうに御連絡をいただいております。  それでは、矢崎部会長、議事の進行をお願いいたします。 ○矢崎部会長  大変お忙しい中、また、本日も多くの委員の方に御出席いただきまして、ありがとう ございます。  まず、資料の確認をお願いいたします。 ○宮本生殖補助医療対策準備室長  本日の資料ですが、資料1から6、それから「御意見募集で寄せられた意見」としま して参考資料を1つ配付しております。  それから、本日、平山委員から配付されました資料と、松尾委員から配付されました 資料をそれぞれ机上に配付しております。  以上です。 ○矢崎部会長  今日は、才村委員がお休みですので、この資料につきましてはまた次回に御説明いた だくということにしたいと思います。  それでは、まず、松尾委員の資料6と新しく今日御提出いただいたものを併せて御説 明いただけますでしょうか。 ○松尾委員  初めに、資料6の方をごらんいただきたいと思います。先回の当委員会で実施医療施 設の基準につきまして、産科的な基準だけではなくて、もう少し広い問題を包括した基 準をつくるように提案いたしましたが、基本的には、当委員会で御賛成をいただいたと 理解しております。  その後の作業といたしまして、事務局の方で骨組みをつくっていただいて、私どもも 意見を述べさせていただく機会をいただいて、たたき台を本部会で議論するという予定 を考えておりましたが、そういう流れにはなりませんでしたので、数日前にこの資料6 を事務局の方にお届けいたしました。実は、ここに資料として上がるということは想定 していなかったものでございますけれども、実施医療施設基準の記述についての考え方 を書いたものでございます。  まず、総論の記載を置くということと、それから、基準は(1)(2)(3)というふうに3 つのセクションから成っておりますけれども、それぞれのセクションに総論的な記載を 置くということを御提案したのが、この資料6でございます。余り具体的でもございま せんので、今日、急いで追加資料を用意させていただきましたのが、「実施医療施設の 基準について(私案)」と書いたものでございます。これについて一応、簡単に読ませ ていただきたいと思います。  全体の総論の要旨といたしまして「当該生殖補助医療は、生殖細胞提供者、生殖補助 医療を受ける家族、及び生まれてくる子どもの安全、福祉に配慮した施設において実施 されなければならない。実施施設は、生殖補助医療に伴う、社会心理的、医学的リスク を評価し、追跡する責任を有する」。これが冒頭部分に入れたいと思っております基本 的な考え方でございます。文章については、必ずしもこれでいいというふうには思って おりませんけれども、概念だけを御披露させていただきたいと思います。  次に、(1)施設、設備基準についてでございますけれども、このセクションの総論 要旨でございます。「実施施設は、産科的医療施設、新生児、乳児医療施設、家族ケア 機能を持つことを原則とする。早期からの愛着形成、特に父親の父性を育むため、父親 参加を容易にする産科家族病室等を備えることが望ましい」。  次に、(2)人的基準でございますが「当該生殖補助医療は、チーム医療である。チー ムは、産科医、新生児専門医、小児精神保健医、カウンセラーを含み、生殖補助医療を 受ける夫婦と生まれてくる子どもの愛着形成と育児支援にあたる一方、子どもの健康、 福祉のため家族介入する権限を持つ」。これは「権限」とするのか「責任」とするのか 、ちょっと迷ったところでございますけれども、一応「権限」とさせていただきました 。  (3)倫理委員会について。「当該倫理委員会は、医療行為一般に共通する医学的、人 道的判断の他、生殖補助医療固有の医学的、人道的判断に関わる。即ち、生殖補助医療 前には、生まれる子どもが健全な親子関係、家庭環境の下で育てられると期待されるか 否か、生殖補助医療後には、生まれた子どもが健全な親子関係、家庭環境の下で育てら れているか否か、の判断に関わる」。先回の委員会で、倫理委員会は一体何をするかと いう御議論もございましたので、私見を少しまとめさせていただきました。私見補足に ついてもご参照いただければ幸いでございます。以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。  これは、施設基準のところに前文として置いたらどうかという御意見ですね。 ○松尾委員  はい、そうです。そのたたき台のたたき台というふうにお考えいただければと思いま す。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。  では、この施設基準のときの議論の糧にさせていただきたいと思います。  続いて、本日、平山委員からカウンセリングの分類についての改正案を御提示いただ きました。御説明いただけますか。 ○平山委員  急に出して申し訳ありませんでした。まず、これを出した理由は、大きく2つありま す。1つは、現在の検討課題2のところにございますカウンセリングの分類というのが わかりにくい、結局インプリケーションというのもわけのわからないままずっと行って しまっているんですけれども、そういうことが1点。  それから、あの分類というのは、広く生殖医療一般あるいは生殖医療以前の不妊とい う問題一般を含めたカウンセリングの分類でありまして、非配偶者間生殖医療に特化し た内容ではないということがあります。というのも、実は、あの分類で治療的カウンセ リングというのがあったと思いますけれども、この適用の第1というのが、このドネー ションの患者さんなのですね。つもり、ドネーションの患者さんはもう治療的カウンセ リングが前提だというのが一般的なヨーロッパやアメリカの考え方なんです。ですの で、この点を考慮し、これまでの議論を踏まえて、現実的なシステムということで一応 、分類をつくってみたんです。もし、これをたたき台にして分類というのを考えていた だければ、今までより少しわかりやすくなるのではないかと思って出させていただきま した。0から4まで書いております。少しずつ、ちょっと時間をいただきますけれども 、説明をさせていただきます。  0で「心理社会的インフォームド・コンセント」と書きました。これは、カウンセリ ングのところに入れるべきかどうかというのは問題なんですが、インフォームド・コン セントのところに入れてもよいと思います。その位置付けが今まではっきりしていませ んでした。というのは、内容のところを読みますが、「当該生殖医療が、その個人、カ ップル、家族、そして生まれてくる児に与えうる心理社会的影響などについて、実施時 点におけるエビデンスに基づいた十分な情報を提供すること」というのが必要であろう と。「また、カウンセリングを受ける機会の保証とその方法、カウンセリングを受ける ことによる利益などについても説明し同意を得る。情報は冊子等書面にし、口頭で必要 に応じ説明する」というのをインフォームド・コンセントのところに入れていただくと 。インフォームド・コンセントは義務化されておりますので、せめてこれだけは最低で もやっていただたきたいというふうに思っております。  客体は、インフォームド・コンセントと同様。特に提供者カップル、被提供者カップ ルに対しては必須とした方がいいと思います。ですから、主体としては「当該医療を行 う医師。ただし、必要があれば他の専門職に説明の補足を依頼することができる」とい うふうに書きました。  次に、1で「心理教育」と書きました。ここからはカウンセリングの内容と分類の実 質的なところになると思います。これは実は、情報の内容としては上のインフォームド ・コンセントとほとんど一緒なんです。読みますと「当該医療の性質やその影響、対処 法など、当該医療を受療するにあたり必要な正しい知識や情報を提供することが効果的 な医療の実施に必要不可欠であるとの認識に基づき、心理療法的な配慮を加えた教育的 援助を行うこと」というものです。ですので、情報提供は絶対にインフォームド・コン セントの時点でしてもらうんですけれども、もし、それだけでは足りないあるいはもっ ときちんと説明してほしい、納得したいあるいは一緒に考えたいという場合に受けても らうようなカウンセリングということで、今まで「情報提供カウンセリング」などと言 われていたものと割と近いものです。  客体は当該医療を受ける者、またはその家族のうち希望した者に実施することとなる と思います。時期としては、インフォームド・コンセントの時期、または当該医療を実 施するまでの任意の時期であろうと思います。主体は、精神保健の専門家であることが 望ましいと思います。  2番目に「心理社会的アセスメント」をつくりました。これは、これまでの議論で倫 理委員会や公的管理運営機関が審査をする場合に、カウンセリングを担う心理士や精神 科医といった精神保健の専門家がかかわることが必要であると思われますので、その役 割について書いたものです。内容・方法は、勿論「面接、心理検査等を用いて対象の心 理社会的問題をアセスメントする」というものです。  客体は、提供者カップル、被提供者カップルのうち希望する者。そして、もう一つ、 実施医療機関の倫理委員会や公的管理運営機関が必要と判断したものに対して行われる サービスというふうに考えてほしいと思います。時期は、任意の時期です。特に提供す る者、あるいは受ける者の条件について主治医のチェックを行う時期というのは、今回 の資料で資料4にありましたので見ていただくといいんですけれども、そこにあったの で参考にしてみました。提供者・被提供者としての心理社会的適性が問題となったとき ですね。主体は、精神保健の専門家、また、特に社会、福祉的問題のアセスメントが必 要な場合には、社会福祉専門家の関与が望ましいということです。  ここで、やはりいつも独立性の問題が大きく取り上げられますが、もし、こういう審 査ということが入ってくる場合の心理社会的アセスメントというカウンセリングサービ スを行う場合には、先ほど松尾先生が言ってくださった、もしかすると、実施機関には カウンセラーを設置することになった場合でも、公的管理運営機関から派遣するなどの 方法を取ることにより独立性が保障されるものと考えます。  裏に行きますが、3番「意思決定カウンセリング」です。Decision−making  counselingというものがあるわけですけれども「当該医療を受けるかどうか、また、当 該医療を受けた後(特に、不成功に終わった場合)の治療選択に関して、当事者が適切 に自己決定を行えるように援助する」というものです。これも、今まであったものと余 り変わらないんですが、そういうものです。  次に、「心理療法」としました。お気づきかもしれませんが、前あった分類の3番の サポート・カウンセリングというのをなくしています。というのは、あれと心理療法の ところがちょっとあいまいになっていたので、よくわからないと思ったので、いっその こと心理療法として、サポーティブなものもこちらに含めることにしました。現状の理 解と受容、不妊と当該生殖医療の影響の意味、特に、これはグリーフ、悲しみのプロセ スを含みます。それから、家族形成の代替法、養子縁組や子どもを持たないことなど。 それから、対処法略の促進と心理的苦痛の軽減、問題解決、性・夫婦関係・対人関係の 問題などを扱うことにすると。技法としては、本当にサイコセラピーのいろいろな技法 を使う。形式としては、個人、カップル、家族などいろいろあり得ます。  これも希望者に行うと。任意の時期にですが。特に、これは当該医療を終えるまでの 時期です。資料4には、その実施までしかカウンセリング機会が書いてございませんけ れども、実際にはこれというのは出生後もずっと続くわけですから、すべてずっととい うふうに考えていただいたらと思います。これは、勿論、心理療法に習熟した精神保健 専門家が行うべきであると。  こういうふうに分類してみたんです。もし、こういう感じの方がわかりやすいという ことであれば、こういうものを検討課題2のカウンセリングの分類のところに使ってい ただければと思って出させていただきました。  以上です。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。  この意見については、どうしましょうか。松尾委員の御意見については、施設基準を もう一度検討するときに議論させていただくということにしまして、このカウンセリン グ、これは28ページのためのお話ですよね。 ○平山委員  そうです。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○松尾委員  これは、現在の社会制度上の問題との絡みもございますし、非常に難しい問題だと思 います。平山先生に出していただいた案は、心理的なカウンセリングにちょっと偏って いるところがあると思うんですけれども、遺伝カウンセリングですとか生殖医療のカウ ンセリングとか社会的なカウンセリングとか、かなり広いカウンセリングなので、カウ ンセリングという言葉をどういうふうにここで位置付けて使うかということをやらない と、議論が非常に堂々巡りするのではないかなという気がいたしますけれども。 ○矢崎部会長  そのほか、いかがでしょうか。  平山委員のカウンセリングの分類は、新たにこちらに変えるという基本のフレームワ ークの御提案なんでしょうか。 ○平山委員  そうですね。というのは、やはりあの分類がよくわからないので、実際的に非配偶者 間生殖医療のカウンセリングというのを考えていく場合、カウンセリングという定義が あれでしたら、「心理社会的援助」というふうに言い換えてもよろしいかと思いますが 、その場合には、そういうことは必要であろうというように考えます。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○町野委員  これは、生殖補助医療を受ける側に対するカウンセリングでございますね。 ○平山委員  提供者、被提供者含みます。ですから、こういう書き方になってしまうんですけれど も。 ○町野委員  わかりました。  もう一つは、インフォームド・コンセントというのがこの中に入っていますけれども 、インフォームド・コンセントは別のところで扱われていますから、これをどう整理す るかということですね。 ○平山委員  ですから、実は私もその点については考えておりまして、あえて0としたのはそのた めで、インフォームド・コンセントにはこういう内容を付け加えてもらうことがまずは 必要であろうということで、0としております。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。28ページにあるカウンセリングの分類というのは、ここで分類し たのではなくて、ある程度ユニバーサルな基準でこういうカウンセリングがあるという ことで提示されたと思うんですが、先ほど松尾委員がおっしゃられた、カウンセリング というのは非常に包括的なものですよね。ですから、心理的なものは極めて重要ですか ら、こういうふうに分類するかどうかというのは、大分基本的なカウンセリングの概念 の変更になってしまう可能性がありますね。  もう一つは、教育とか療法というのは、ちょっとカウンセリングにはなじまないよう な感じがしますね。カウンセリングというのは、サポートするという意味ですので、カ ウンセリングでわかりにくかったのは、2番目のカウンセリングの表題が「意思決定カ ウンセリング」ということも少しわかりにくいのではないかということで平山委員に変 えていただいたら、大変恐縮ですが更にわかりにくかったので、元に戻していただいた という経緯がありますが、いかがでしょうか。 ○平山委員  言わせていただきますけれども、この非配偶者間生殖医療におけるカウンセリングと いうのは、非常に深い心理社会的問題を含むわけでして、それには非常に専門的な臨床 心理学的ケアが必要であるというものこそ、ユニバーサルな合意であると私は考えてお ります。そのために、あえてサイコセラピーという言葉を使わせていただいたわけです 。カウンセリングはサポートというふうにおっしゃいました、勿論広い意味ではサポー トなんですが、普通にだれか非専門家が説明したり、あるいはアドバイスをして終わる ようなレベルの問題ではないんだということをよく理解していただければと思っており ます。 ○矢崎部会長  当然、それは理解できるんですが、4番目の「治療的カウンセリング」ではなくて、 あえてストレートに「心理療法」というふうに言われなければならない必然性といいま すか、一般性といいますか、これはどうしても変えないとまずいですか。 ○平山委員  まずいわけではないんですが、ですから「カウンセリング」という言葉が非常に今の 世の中に氾濫しているわけですね。そのためにも、あえて区別しているというふうに考 えていただきたい。そして、専門家が行う心理社会的なセラピーというか、セラピュー ティックなアプローチとして「心理療法」という言葉は、あるいは精神科医がされる場 合には「精神療法」と言いますけれども、これは一般的な用語であって、特別な用語で はないというふうに考えております。 ○矢崎部会長  これは、インフォームド・コンセントを取る過程で、カウンセリングを受けるわけで すね。 ○平山委員  ですから、書いてあるように、すべてのプロセスでこれはあり得るというふうに考え ております。インフォームド・コンセントの段階だけではないですよね。 ○矢崎部会長  勿論そうですが、一番大事なのは、勿論生まれた子どもをどういうふうに養育するか というカウンセリングも重要ですが、その最初から「心理教育」とか「心理療法」とい う言葉で、不妊の御夫婦にアクセスする必要があるのかどうかですね。 ○平山委員  これほど今までずっと長い間議論をしてこられて、カウンセリングは重要、重要とい うふうに言っておられましたので、当然この程度は必要と皆さん考えておられると私は 理解しておりましたが。 ○矢崎部会長  重要性は理解していますが、こういう分類でするかどうかという判断ですが、ほかの 委員の方はどうでしょうか。 ○高久委員  よろしいでしょうか。この心理療法は、28ページのカウンセリングのところを見ます と、(3)の支援カウンセリングに一番内容的には近いですね。 ○平山委員  (3)と(4)ですね。 ○高久委員  (4)も含みますかね。ですから、この(3)か(4)の中に、平山委員の提案された心理療 法的なニュアンスを含めれば、まとまるのではないかと思うのですが。それで平山委員 が御満足かどうかは別としまして。この(3)か(4)、私はどっちかというと(3)に近いよ うに思います。(4)も当然入ると思います。 ○矢崎部会長  そうしますと、ここですぐ結論はできませんので、平山委員とここのカウンセリング の分類について、もう少し詳しく議論させていただいて、また、皆様に御議論いただく と。もし、このカウンセリングのところを皆さんに議論していただいて、ある程度コン センサスが得られた中に、今、高久委員が言われたように、平山委員のカウンセリング の趣旨が生かされるように文言を入れ込んでいただければ、私としては大変ありがたい と言うと語弊がありますが。それで御議論いただいて、また、最終的な決定にしたいと 思います。 ○町野委員  先ほどのインフォームド・コンセントとの区別の問題ですが、法律的には、インフォ ームド・コンセントの場合に与えるインフォメーションとかいろいろなものというのは 、それがなければ同意が無効になるというだけの効果を伴うものですよ。ですから、ほ かのものをインフォームド・コンセントと一括して議論されるということになりますと 、かなり問題が生ずるように思います。先ほどの質問の趣旨は、前の方のインフォーム ド・コンセントの方は意思決定に本当に関係するところだけにしておいて、あと、カウ ンセリングのところを充実させるという考えかな、と私は勝手に了解していたのです。 もし、そうだとするならば、余り用語のことをぎちぎち言う必要はないというのが私の 素人考えなんですが、どうでしょうか。それは平山委員が言われましたとおり、ここで カウンセリングの重要性というのはかなり言われてきたわけですから、それを盛り込む というのは、言葉は何を使うかは別として、適当でよいのではないかという具合に思い ます。だから、もし、これを盛り込んだことによって、ちょっとでもこれに遺漏がある と同意が無効になって、全部違法な手術になってしまうということになると確かに問題 ですけれども、今のように切り離すということですと問題がはっきりしてきて、充実さ せるのは私は結構なことだろうという具合に思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。  インフォームド・コンセントについて、情報については、最初の時にいろいろくわし く確実に教えなければ、情報を開示しなければいけないものと、必要があれば開示する ものとに分けて、本当に30項目ぐらいやっておりますね。これに従ってインフォームド ・コンセントをする。ですから、カウンセリングについては、今、町野委員の言われた ように、委員の皆様もそういうふうに取っておられるのではないかと思いますので、そ ういう前提の上で、カウンセリングのところを少しまた平山委員と調整したいと思いま す。 ○町野委員  よろしいですか。その趣旨でしたら、それほど言葉とかそういうことに余りこだわる 必要はないのではないか、これを入れるのはちょっと過ぎた要求ではないかとか、そう いうことにならないように私は思ったわけです。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。  そういうことで、平山委員の方ともちょっと議論させていただいてよろしいでしょう か。どうもありがとうございました。それでは、そのような理解の上で、また議論を詰 めさせていただきたいと思います。  前回まで意見交換をいただいて、今回の資料にできるだけ盛り込ませていただきまし たが、一応、念のために前回からの変更点について、室長の方から御説明いただけます でしょうか。 ○宮本生殖補助医療対策準備室長  前回からの変更点、以前と同様に赤字において修正しております。確定したと考えら れますものにつきましては、これまでと同様○から●、皆様にお配りしておりますもの は赤い丸ということで変更しております。  主な変更点ということですが、まず、28ページなんですけれども、カウンセリングの 項目について、これまでの議論の中では一応4つということでありましたので、2つ目 の内容については、平山委員とも御相談したつもりではあったんですが、「意思決定カ ウンセリング」としております。  それから、「実施医療施設の施設・設備の基準について」というところで、29ページ 以降の部分ですが、これまで具体的な基準というものをこの中に盛り込んでおったんで すが、かなり細かい部分になるということもございまして、分離をしてございます。分 離したものが資料2ということでお配りしているものになります。  それから、30ページの下の方になりますけれども、カウンセリングを行う部屋という ことに関します議論がございましたが、その部分を1つ盛り込んでおります。  それから、若干上に戻りますけれども、医療施設の低出生体重児等の事態に対する備 えという部分については、これまでの議論ということで、綿密な連携を行うことによっ てそうした事態に十分な対応ができることを担保しなければならないという部分を削除 した形でまとめております。  それから、資料2の方に飛んでしますけれども、4ページ「基礎研究室」という部分 について御議論がございましたが、いろいろ御議論があった中で、医療施設をかなり限 定的に考えるべきではないかということが議論されたと思うわけでありますが、そうい ったものを踏まえまして、そのままの形で残しております。  資料1の方に戻りまして33ページ「倫理委員会について」でありますけれども、ここ も同様に考えるということで、実施医療施設ごとの倫理委員会の設置というものを原則 にするということで、共同で設置ができるという部分を削除しております。  続きまして34ページでありますけれども、一番上の部分は、倫理委員会の審査の内容 について、個々の症例について実施の適否、留意事項、改善事項等について審査を行う という部分をより明確にするということで加筆しております。  それから、真ん中の・の3つ目、倫理委員会の審議を行う事項の1つといたしまして 、夫婦が生まれた子どもを安定して養育することができるかどうかというところについ て、例示が「夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など」ということで原文では 書かれていたわけでありますが、そういったことを明記することによって、より限定的 になってしまうということを防いではどうかという意見がございましたので、この部分 を削除しております。  なお、ほかにもこういった御夫婦が安定して養育することができるかどうかというこ とについて記述した部分がありますけれども、この内容というのは確定いたしましたら 、ほかの部分にも反映する必要があろうかというふうに考えております。  それから、35ページでありますが、考え方としましては、胚提供や兄弟姉妹等による 精子・卵子・胚の提供のみを公的管理運営機関の審査の対象にするということで整理を してございます。  主な変更点は以上です。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。施設設備については、極めて専門的なことになるので、一応基準 については添付資料ということで述べさせていただいて、本文の中には少し専門過ぎる ので省いてはいかがかという御意見がございましたので、そのようにまとめさせていた だいたわけです。大体前回の御議論に沿って整理させていただいたと思いますが、松尾 委員からお話のあるように、前回は生殖補助医療でお子さんが生まれたときに、超未熟 児の可能性が強いので、新生児ケア、NICUなどが整った施設が重要ではないかという御 提案がありました。特に30ページです。いかがでしょうか。綿密な連携を保てばいいの ではないかという、もともとそういう文章があったんですが、やはりそういう施設はし っかり。 ○高久委員  確かに、体外受精の場合には未熟児が生まれる可能性があり、一般に体重が低いとい うことを読んでいますが、それは提供された精子・卵子あるいは胚に限らないから、そ れをやりますと、生殖補助医療を実施するところは全部その様な施設を持っていなけれ ばならないということにるのではないでしょうか。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○金城委員  私もこの間、欠席をしましたので、仕方がないと思って今日は参ったんですけれども 、機会があれば言いたいと思っていたところでして、やはりこういうことになりますと 、大学病院ぐらいしかだめだと。普通の不妊治療クリニックというのは全部排除されて しまうわけですね。やはり、それは問題ではないかと。やはり、治療を受ける人たちの 選択の自由も認めておかなければいけないと思いますので、連携を保っていればよろし いのではないかと私は思います。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○松尾委員  先回の資料、即ち、平成14年10月24日の部会で配布させていただいた、机上配付資料 を是非お読みいただいた上で発言いただきたいと思います。現在、小児医療はさまざま な矛盾を抱えているんですが、超未熟児や極小未熟児の医療というのも非常に大きな矛 盾を抱えている部門の1つであります。現在超未熟児の出生が急速に増えていますが、 生殖補助医療が無秩序に行われていることが最大の原因と思われます。新生児医療の現 場はパンクしているんですね。ですから、先生のおっしゃることは一見もっともらしく 聞こえるんですけれども、現実問題として、子どもの福祉を担保するということにはな りませんので、是非、現状をよく見ていただいて、お考えを述べていただきたいという ふうに思います。 ○金城委員  そうしますと、生殖補助医療全体の問題であって、提供の問題だけではないわけです よね。ですから、まさに今、高久委員がおっしゃったようなことで歯止めを掛けなけれ ば、小児医療のパンクというのはどうにもならないということになりますよね。 ○松尾委員  我々が議論しているのは、非配偶者間の生殖補助医療についてでありまして、配偶者 間の問題というのは、別な問題だと思います。非配偶者間の生殖補助医療は配偶者間の 生殖補助医療に比し、リスクがより高い対象というふうにお考えいただいた方がいいと 思います。 ○金城委員  私は医者ではないのでよくわかりませんが、それはそういうことはならないと思いま す。非配偶者間の生殖医療については、ここで今まで議論してきたように、いろいろな 要件を課しているわけですよね。ですから、非配偶者間の方がかえって一般の夫婦間の 生殖医療よりは、かなりいろいろな意味で条件が整備されているというふうに言えるの ではないかと思いますから、非配偶者間の生殖医療について、ここまで厳しい要件を入 れる必要はないというふうに思います。 ○矢崎部会長  ほかの委員の方はよろしいですか。 ○町野委員  私は、もしこれだけの施設基準をつくるなら、生殖補助医療すべてをやらなければい けないだろうと思います。非配偶者間のものだけについてこれをつくる必要性があるか 。私は、全部について必要性があるということはそう思いますけれども、ここだけをや るということになりますと、非配偶者間の生殖補助医療技術についてだけ厳しくすると いうことですよね。そうなりますから、全部をやるかあるいはやらないかということし かないのではないかというふうに思いますが。松尾先生は先ほど、非配偶者間の場合に は、やはり一般の生殖補助医療の場合と比べてリスクが高いということを言われました から、もしそうだとするならば、やはり別に考える必要があるということは少しわかり ます。 ○高久委員  産科の御専門の先生にお伺いしたいのですが、精子の提供を受けて体外受精した場合 、夫婦間で体外受精した場合よりも、低体重児が高頻度に生れるというデータがあるな ら、その様にしなければならないと思うのですが、そうではないとするならば、ここだ け厳しくするのは理論的に矛盾していると思います。 ○矢崎部会長  そのデータについてはないですよね。 ○松尾委員  高久先生が誤解されたのは私の資料の表現が一部不正確であったことに原因があるの だと思いますけれども、精子の提供による治療を除いた生殖補助医療という意味で先回 の資料も出しましたし、そういう認識でおります。非配偶者からの精子の提供による生 殖補助医療の超未熟児の出生リスクが高いというデータは恐らく存在しないと思います 。 ○高久委員  卵子の場合でも、そういうデータがあるのかどうかということです。 ○荒木委員  データはございません。まず、非配偶者間の卵子の提供は行われてございませんので 。根津先生の数例があるかも知れませんが、学会としてはデータは取りようがございま せん。 ○加藤委員  世界的に見てもないですか。 ○荒木委員  ないと思います。どうですか、吉村先生。 ○吉村委員  松尾先生が言われたのは、例えば、卵子提供を受ければ、当然のことながら高齢者が そういうことを希望されるということになりますと、そういったデータが出てきても私 はおかしくないと思います。今の御意見を伺っていますと、皆様が言っていることはそ れぞれごもっとも。やはり生殖医療全体を考えていかなければいけない問題であると思 います。ただ、こういった新しい医療をしていく場合、前からさかのぼってすべてを変 えるということは非常に難しいんです。新しいものを決める場合に、こういった基準を つくっていくというのも一見矛盾のようには見えますけれども、こういったものが根付 いていくときに、次にまた生殖医療をもう一回考え直すという時期も来るかもしれませ ん。 ○矢崎部会長  前回の議論は、私は施設をこういう基準で最初からだめというのはいかがなものかと いう認識でまとめたんですが、議事録を見ますと、一方的にこの部分を消しましょうと いう議論がメーンだったので、事務局がこれを消すのに私は随分抵抗したんですが、一 応消して、今日の議論にしましょうということのお話でありました。確かに御議論はあ りますが、これは施設基準をある程度、施設基準と申しますか、提供配偶子による生殖 補助医療は質的にも、それから、透明性の上あるいはフォローアップについても十分に 行えるようなところということで施設がだんだん絞られていくのではないか。だから、 結果としてそうなるかもしれませんが、最初からそういうふうに分けるのはいかがなも のかというのは、私はずっと思っていた考えで、ですから、振り返ってみますと前回の 議論では、委員の方で暗黙にそういうふうに思っておられる方が多かったと思いますが 、議論を見ますと、松尾先生の御意見がメーンだったのでこういう結果になったという 次第なんですが、この点はいかがでしょうか。 ○石井委員  私は、法律家として適当ではないのかもしれませんが、今、先生方の多くは、生殖補 助医療全般についてこの要件をしないと矛盾するのではないかという御意見だったんで すが、松尾先生もおっしゃるように、私たちがここで規制できるのは、非配偶者間の生 殖補助医療だけなわけですよね。全般を私たちが規制できるなら、そこで全般をしなく てはいけないということは言えると思うんですけれども、今ここでは非配偶者間の問題 だけをどうするかということを考えたときに、その医療としてあるべき姿として私たち はこういう方がいい、殊に、小児医療の専門である松尾先生からそういう御意見が出て いるということは、重く受け止める必要があるのではないかと。現にNICUが不足してい る状態で新たにこういう医療を行うということは、その需要が増えるということですか ら、そういう設備を備えた病院で行っていただいて、子どもに健康が十分保証されるよ うな体制をつくっていく、そういうことを求めていくということの方が私はよろしいの ではないかと思うんですけれども。 ○鈴木委員  私も、前回お休みしていたので乗り切れていないところがあるんですが、基本的には 、今、石井委員がおっしゃったとおりかなというふうに思います。今クリニックレベル で体外受精とかたくさん行われているわけですけれども、私などが例えば友達にアドバ イスするとき、多胎などの心配もあるから新生児医療のことは十分考えておいてほしい というようなことは言っていますし、理想的にはそれはNICUなどでもあればいいだろう というふうには思います。現実にこれが運用されれば、かなり厳しいあるいはむしろや りたいのにどうしてうちの近くのクリニックではできないのよというような文句という のは、かなり出てくるとは思うんですけれども、これはこれで1つの見識でもあろうと いうふうには思います、スタート期にあっては。  ただ、1つだけ、ちょっとこれは具体的な話で伺いたいんですが、この場合の実施と いうのはどれを指していらっしゃるのか。松尾先生は今、精子に関しては別なのではな いかということをおっしゃいましたよね。例えば、精子を採取するだけという病院、例 えば、A病院が実施機関と決まったときに、そこでしかドナー精子の採取というものも できないのか。別に精子の採取というのは、そんなに医学的なリスクがあるわけではな いですよね。それが1つ。  あと、金城委員がおっしゃった分娩施設を選ぶ自由というのも確かにあるだろうし、 逆に、卵子提供で妊娠なさる方は、必ずしも高齢の方とも現実には限らないわけでよす ね。場合によっては、自宅で夫と産みたい、助産院で産みたいという方もいらっしゃる かもしれない。多胎ではなくですよ。そういうような場合は、ケース・バイ・ケースで 対応していくということになるのか、ちょっとその辺だけイメージとしてお伺いしたい んですが。 ○宮本生殖補助医療対策準備室長  よろしいでしょうか。今御発言いただきましたところで、1つだけこちらから御説明 させていただきます。これまでもそのように使ってきたつもりでありますけれども、実 施施設といいますのは、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を実施する施設 そのものでありまして、提供を行う施設と区別してこれまでも使ってきておりました。 それで、30ページの下のところ、それから、31ページの上に掛けまして記載しておる部 分がございますけれども、そういった提供する医療施設においても一定の基準を示す必 要があるかどうか。必要があれば、その具体的な基準が必要ではないか。そういう論点 として矢印で掲げておるものでございまして、これはここに書いてありますように、事 務局で原案を作成中というふうな状況であります。具体的には、吉村先生に行っていた だいております研究班の中での課題ということで現在続けております。 ○金城委員  もう一点付け加えたいんですけれども、そういえば実施施設で必ずしも分娩するとは 限らないということを私は伺ったような気がするんです。多くの人たちはクリニックで 治療を受けて、成功すると分娩施設はほかのところに行く。そうであるならば、こうい うことで実施施設について限定することの意味というのは、余りなくなるのではないか と思います。 ○吉村委員  金城先生のおっしゃることは当然でありまして、この文章であったままでも分娩を実 施施設でやらなければならないということは読めません。要するに、実施施設はそうい うものを持っているべきであるということであって、患者さんは当然どこに行ってもい いわけです。私はここで産みたいと行かれても私は当然いいと思うんです。そのときに は、その病院には今まで私たちがAIDでしているように、このお子さんはAIDで妊 娠をいたしましたという御報告を申し上げるということになります。例えば分娩に関し ては、それは分娩までここでやらなくてはいけないということは非常に患者さんにとっ てもかわいそうです。例えば、沖縄から来られた方がどこかでやられて、その方がそこ でお産しなくてはいけないというのはできないと思います。ただこういったことをやる 施設は、備えるべきであるという基準をつくっても、それは先生のおっしゃったことと は矛盾しないように感じるんですが。 ○金城委員  ただ、そうすると、余りにも実施できる施設を排除してしまう。大病院でなければだ めだ、大学病院でなければだめだということにするわけですよね、現実問題として。 ○吉村委員  多分、こういった医療を、恐らく大学病院は受けないと思います。 ○金城委員  そうすると、実施施設がなくなってしまう。 ○吉村委員  それは、やはり国の機関とか。恐らく大学病院でこれを受けたいという病院はないと 思います。 ○町野委員  私は、やはり理屈としては今のは通らないだろうと思います。自分のところで産まな くていいなら、別に安全なそれをつくる必要はないわけですね。これはよくわからない 。  それから、先ほど言われました石井委員の御意見も、私はちょっと納得しがたいとこ ろがあります。できるところからやれというのかもしれませんが、それをやったことで どれだけの不公平が生ずるかということも考えなければいけない。やはりやる以上は、 やはり公平にやらなければいけないだろうと思います。ただ、非配偶者間の生殖補助医 療技術をなるべくやらせないためにやるということは、それは通用しない理屈だろうと 思います。 ○安藤委員  私は医療の現場にいまして、やはり多胎妊娠の場合とか、それから、今は多胎だけで はなくて体重の非常に小さいお子さんが生まれる可能性が非常に多いわけなんですね。 ですから、こういうふうに体外受精などをされた方がお産が始まったというと、クベー スを用意しなければいけないんですね。そうすると、今入っているお子さんを外に出し て、一番状況のいいお子さんを外に出して、そしてクベースを確保するという状況を見 ていますので、できるならここをちゃんと残して、そういう施設を置いていただきたい と思います。そうでなければ、母子関係とかそういうところで離された状況で新生児搬 送ということになってきまして、なかなか親子関係もうまくいかないし、家族との関係 も難しい状況にありますので、できるだけそういう連携を取れるような設備と体制をつ くってほしいと思っております。 ○福武委員  ここでの議論が第三者提供だけに限られてしまっているというのが、そもそもの問題 だろうと思うんです。外国などでは公的規制は、例えば、体外受精のものについてもや っていると思うんです。それを、第三者提供だけに限って議論するから矛盾が出てくる のは当然だろうと思うんです。ですから、全般的なものに一気に広げるというのは難し いのであれば、第三者提供の法律をつくって、更に、どのような法律を今後つくろうと するのかという、ある程度の見通しを出していかないと、今回この基準だけをつくって おいても、確かに不公平にはなるだろうし、矛盾が露呈をするだけになるだろうし、あ るいは、安藤先生がおっしゃったような形での体外受精の超未熟児あるいは母体も結構 大変というようなものには対応できないだろうと思うんです。ですから、法律が限定的 で中途半端だということを認識しながらつくるということだったら、それはそれで矛盾 が出てもやむを得ないんだろうとは思いますが。 ○高久委員  第三者提供の場合、一番問題になるのは、精神的なケアとかカウンセリングというこ とですね。その他の問題について、特に医学的に特に問題になるということがあり得る のかどうかよくわからない。その意味で、ほかの生殖医療と第三者からの提供によるも のとを医学的な面から区別するのは、理論的に考えておかしいし、ほかの人が読んでも 矛盾すると思います。科学的な根拠がないのに、ここだけ厳しくするのはおかしいと思 います。 ○金城委員  もう一つ、もう一回同じことを言うんですけれども、実施施設と出産施設は違う場合 が非常に多い。それは、個人が選べるわけですから、実施してもらったところで妊娠し た。そうしたら、もしかすると低体重児で生まれるかもれしないということであれば、 そういう施設を持ったところで産めばいいわけですよね。ほとんどクリニックなどでは 出産まではやっていないわけなんです。ですから、実施施設について縛りを入れるとい うのは、全く論理的ではないと考えます。 ○矢崎部会長  ですから、このもともとの案でよろしいわけですよね。そういうことを十分考慮して 対応できることを担保しなければならないということで、そういうNICUを持たなければ ならないというふうに、ここで決めるかどうかという。 ○松尾委員  現状認識が全然違います。現場にいる人間と、外で見ていらっしゃる人と。厚生労働 省は人口100万人について1か所のNICUを整備するというプランを大分前に出しました。 日本の人口は1億2,000万人ですから、120か所本来できるべきなんですけれども、現実 にはそれだけの医師がいませんので、それすら整備されていないわけです。現在、新生 児専門医というのは日本に大体400人ぐらいいるだろうというふうに想定されております けれども、1か所のNICUに8人の新生児専門医が必要なんですね。現在NICUと称するの は日本に770か所あります。そういうところではどうしているかというと、小児科医が 小児救急をやりながらNICUもやり、一般小児科診療もやるということをやっているわけ ですけれども、そういうところに入ってきた未熟児のケアというのはどういう状況にな るかというのは、想像にかたくないわけです。新生児専門医が非常に少ない段階で、超 未熟児が生まれてくるリスクが非常に高い医療を推進するということは、片手落ちなん です。法律の整合性や親の都合の前に、子どもの命や子どもの健康というのを考えるべ きです。ですから、一番最初の基本認識を、共有していただかないと、生産的な議論に ならないと思います。 ○新家委員  今の松尾先生の御意見は全くそのとおりなんですね。少なくとも現時点においては、 1つもない県というのが半数近くあるのではないでしょうか。そういう状況でNICUのこ とを話しても、恐らく非配偶者間生殖補助医療の施設基準加えてくると、理想論を述べ ているならいいんですけれども、現実は余りにもかけ離れ過ぎていると思うんです。私 どもが提案しているのは、小児科の先生方がどう思っているか知りませんが、総合周産 期という定義が非常に厳しくて、お金の面で足らないのではなくて、いわゆる人的な資 源が足らないということで多分整備ができていないのだろうと思っているわけです。で すから、もう少し基準を下げてでも、やはり最低50万人に1つぐらいの病院ができると いう状況がまずなくては、だめだろうと私は思っているんです。ですから、まず産科小 児科の医師を増やし、周産期センターを整備することであると思います。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。現実があって見方によって厳しい現実だから医療をそれに沿って やりなさいというものと、現時が非常に厳しいので、ここだけを縛ってやっても余り意 味がないというか、医療として成り立たないのではないかという意見まであると思いま すが、同じものをとらえて結論は全然違う方向に行っているので、なかなか議論がまと まらないのではないかと思うんですが。 ○荒木委員  先ほど高久委員のおっしゃいましたような疑問点ですけれども、私は非配偶者、夫婦 間の体外受精あるいは生殖医療に対して、超未熟児の発生頻度は変わらないと思います 。いつの時点でもやはりそういう危険があるわけです。正常なお産でも、やはり妊娠の 早い時期に発生してしまえば、勿論未熟児が生まれる。これは、何か先入観が皆さんあ るのではないかと。非配偶者の第三者からの卵子・精子提供は超未熟児がたくさん生ま れるというようなことには余りならないので、普通の夫婦間の体外受精も超未熟児時の 発生率は同じだと思います。 ○高久委員  ですから、体外受精の方が自然の受精よりは一般的に新生児の体重が低いというデー タを私は文献で見たことがある。ですから、今の松尾先生の御理論から言えば、体外受 精全体を制限しないと、ここだけ制限しても数からいうと余り意味がない。NICUが足り ないという議論からここだけ厳重にするというのは、おかしいと思います。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。そうしますと、さっき石井委員の言われた、隗より始めよでは ないんですが、ここから始めたらいかがという議論はどうですか。 ○石井委員  私は、そう考えるということですけれども。  それと、もう一つよろしいですか。確かに、どこで産むかを強制することはできない んですが、今の現状の問題として伺っているのは、生殖補助医療を行っている医師は、 出産のところまでフォローしていないということにかなりの問題があると言われている わけですね。確かに、産む人にここで産みなさいという強制はできないんですけれども 、そこのところを把握していない。子どもがどう生まれてきているのか、どういう問題 が起きているのかということを知らないで、ともかく妊娠の成功を挙げるという形にな ってしまいがちであるというところに問題があると言われているので、なるべくそこが フォローできる、そういう体制を取っておくということも必要なことなのではないかと も思っております。 ○矢崎部会長  そのためにこの議論があるわけで、今までのような生殖補助医療でやるのではなくて 、きっちりフォローするシステムをつくって登録して、そういうことをやろうとしてい ますので、それについては担保できると思いますが、そのほか何か。 ○平山委員  個人的には、NICU等との連携の必要性ということに関しては全く異論がありません。  ただ、もう一つの現実、私は不妊患者さんとふだん接していますので、そちらの状況 から言わせていただくと、では、どうして皆さんは大病院ではなく不妊クリニックに行 くのか。待合室で妊婦さんと一緒にいるだけで、どれほど不妊の方が苦痛に思っている か。採卵をしている隣のベッドで中絶手術をしている、現実はそんなことが頻繁に行わ れているわけです。そういう現状があって、では、大きな病院でやるとするならば、待 合室からすべて分けてやってもらえるんでしょうか。そういうふうにできるのであれば 、そういうふうに一貫した医療というのは大丈夫だと思います。私も連携というのは勿 論必要だし、フォローというのはすごく重要なことだと思いますけれども、治療から出 産まで同じ施設を想定するというのは、不妊患者さん、実際のユーザー側からすると、 勿論そのユーザー側の心理に問題があると言われればそうかもしれませんが、現実とし て私は毎日大病院で傷ついた患者さんの話を聞いているわけです。そういう話を聞いて いると、とてもそういうところに患者さんを送ることは私には耐えられないのが現実で す。一面かもしれませんが、それも現実ということを知っておいてほしいと思います。 ○新家委員  逆に、不妊症で妊娠が成立した場合に、我々のところに妊娠の経過なり分娩なりとい うことでいらした患者さんというのは、絶対にその元を明かさないです。ですから、我 々診ている方もわからない。ですから、これをつかまえるのはすごく難しいだろうと思 います。 ○矢崎部会長  これは、そういうことにはならないですよね。それは御安心いただけるのではないか と思いますが。 ○吉村委員  今、新家先生がおっしゃったことも事実でありまして、生殖医療をされたということ を知らないで、産婦人科医がケアをしていくということは、現実には多いと思います。 それから、平山先生がおっしゃったことも現実では大いにあることだと。すなわち、さ まざまな問題がこの生殖医療にはあるということなんですね。  私も、精子提供に関しましては、高久先生がおっしゃったことは事実でありまして、 全然変わらないと思います。ところが、卵子提供に関しては、医学的にかなりの差が出 てくる可能性はあると思います。これは、勿論40歳以下ということで切れば、問題点は ないと思いますけれども、これはデータが外国でもありませんので言えないと思います 。45歳でも48歳でも妊娠できるということになりますから、この子どもに対する影響、 母体に対する影響というのは、やはり我々が今まで知らないところのデータが出てくる 可能性はあると思います。やはり40歳以上の妊婦死亡率も1,300人に1人ぐらいいます から、そういうことを考えますと、45歳以上で妊娠される方も出てくる可能性はあるわ けですから、そういったことというのは、母子ともに与える影響というのはあると思い ます。ですから、医学的基準を例えば40歳ということで切るということであるならば余 り差はない。かえって卵が若くていいのではないかと。35歳未満からいただくというこ とに一応決まっていますので、そういう意味ではいいのではないかと思いますが、母体 に与える影響というのは医学的にも差が出てくる可能性は十分ある、予想されることだ と一応思います。精子に関しては、私はないと思いますが。 ○平山委員  これは、吉村委員に伺いたいんですけれども、確かに母体にはかなり差があろうかと 思います。ですけれども、今のジェネティックな問題のほとんどは卵の問題というのが 非常に多く言われていて、卵子提供の場合は本当に若い方からもらうので、その問題は 少ないというふうに考えられますよね。今の配偶者間生殖医療というのは、やはり年齢 が非常に高いので、そういう意味でもジェネティックの問題というのは非常に大きいと 思うんですけれども、そういう意味で、一概にリスクが高いというふうにはならないよ うにも感じます。実際に海外の今までのデータを見ても、そういうふうに思うんですが 、これはちょっと違うのでしょうか。 ○吉村委員  おっしゃることは大変よくわかるんですが、例えば、母体が早産になる確率というの は、当然母体年齢が高くなれば高くなると思うんです。染色体異常がないとかそういっ たことに関しては、私は関係ないと思うんですが、母体がそれを維持できるかどうかと いうことはあると思うんです。現実面において、卵子提供を受けた方がお産の際に我々 のところにお見えになりますので、私も4例ぐらい経験があるんですけれども、全例帝 王切開ですし、未熟性があるということは早期に早産兆候が出て、早期に出さなくては いけないということは現実面としてあります。ジェネティックには異常がないというこ とであっても、そういったことというのは当然起こり得る。そういったところから医学 的な基準も決めていく必要があるだろうと思います。例えば、これが40歳以下で本当に 決められるということであるならば、余り大きな問題点は起こってこないのではないか と。今の配偶者間で40歳以上の方というのは大変多くお見えになりますので、かえって 問題点は少ないのかもしれない、そういうことを私は言っているんですけれども。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。 ○鈴木委員  これは医学的な話というよりは、私なりの整理なんですけれども、1つには、入院施 設があるかないかという問題と、NICUがあるかないかという問題の2つがあると思うん です。いずれにしても、多分この2つを備えるということは、つまりこの技術を行うに 当たって、私たちの病院というのはあなたに何かあったときに、私の病院ですべて引き 受けるんだという覚悟宣言ということなのかなというふうに思うんです。逆に、すべて 私たちはやる者の責任として備えますと。だけれども、もし、あなたがほかの施設で分 娩したいのであれば、私たちはそれを最大限に尊重して、しかるべき施設に連携して紹 介しますと。もう一つ、現実にはNICUとか例えば切迫早産などで間に合わないこととい うのも多々出てくると思うんです。実施施設が全国5か所とかしかできなかったり、数 が少なければ。それは1県1か所ぐらいあれば別かもしれませんが、1県1か所だった としても、結局そこに行くのに3時間掛かるという方は当然いらっしゃるわけですし、 そうした事態に対しても、私たちは基本的にそれなりの対処方法を考えていますという 、これが宣言文なのかなというふうに理解しましたけれども、いかがでしょうね。 ○岸本委員  ここの文章で、いろいろ話を聞いていまして、生殖補助医療を実施する医療施設の条 件と、出産後の小児医療の体制が一緒になって議論をしているので、ちょっとわかりに くい部分が、私は素人なのであるんですけれども、先ほど金城先生がおっしゃったよう に、生殖補助医療を実施する医療機関は機関で条件をいろいろ決めて、また、松尾先生 のおっしゃることも小児医療体制もきっちりしていくという形でしていくべきだと思う んですが、生殖補助医療を受ける病院と分娩する病院とは別だということですね。私の 知っている方は、分娩は普通のところで出産して、その先生も勿論知らないですよね。 自分が卵子提供で受けたということは勿論知らないで、普通の近所の医院でお産したん ですね。やはり不妊は、また別のところで卵子提供云々に関してやって、結局、産んだ 後には無事に生まれましたよという報告を電話1本だけはしましたということをおっし ゃっていたんですけれども、その方が言うには、やはりどこでもここでも生殖補助医療 を第三者の卵子とか精子のできるところがたくさんあっても、逆に自分は遠いところに 行くとおっしゃっていたんですよ。身近に近所の人とかたくさん行っている中で自分が 卵子提供を受けに行くのは、逆にいつどういう形で知られるかわからないということで 嫌だから、生殖補助医療については遠いところでも行くと。でも、分娩に関しては、も っと近くの安心できる小児医療がきっちりしたところに行くとおっしゃっていたので、 それを一緒に議論しようと思ったら、本当に矛盾する部分が出てくると思うんです。 ○渡辺委員  今、岸本さんがおっしゃったこととか平山先生がおっしゃったことはみんな同じだと 思うんですけれども、生殖補助医療を受けなければいけない夫婦の必然的な1つのプラ イバシーが侵害されるおそれというものがあるから、だから、それぞれがばらばらにな ってしまって、責任ある医療的なかかわりさえもできにくいからこそ、逆に、本当にそ の子どもの健やかな成長をちゃんと保証できるような、1つの連続性のある連携システ ムをつくっておかないと、やりようがなくなってくるんですね、現実に。そして、私も 驚いたんですが、やはり新生児医療の現場のすさまじさを御存じない方たちが、楽観的 にこういう問題をおっしゃっているというふうに、もし、新生児医が思ったら、私は新 生児医の方から、そういう最初の卵子の段階からのデータがきちんとわからない経過の お子さんたちの治療は責任持ってできないから、だめだというふうにギブアップすると いう姿勢も出てくると思うんです。私ども医者は、そこら辺はかなり柔軟にやりますけ れども、もっと厳密にやろうとしている看護婦たちは、きちんとした信頼関係のないと ころにバトンタッチはできないというふうに言って、現場の同じチームの中で割れるん ですね。昨日も、同じ病院の中の同じチームの中で割れていて、それは別の病院の生体 肝移植の情報の伝達の仕方が余りにもいいかげんだったために、その外科医がここでや る必要はないと言っているんです。必要ないけれども、お子さんの精神的な問題があっ て私どもが関与している。そういうときに、みんながばらばらになっていくんです。で すから、生殖補助医療が本質的に秘密性というもの、どうしても大事にしながら同時に そのお子さんの命をつくって、そして、育てていくことにかかわった人が、いろいろな 観点から長期的に本当にあれでよかったのかという責任を果たしていかないと、これか ら無秩序にいろいろなものが出てきたときに、だれも収拾できない、だれも対応できな いということがあるから、困難だから、私どもがやはりたくさんの議論を重ね合ってい く必要があると思うんです。でも、本当に新生児医療の現場というものをもう一度真剣 に見ていただかないと、ちょっとギャップが大き過ぎるというふうに私は思います。 ○矢崎部会長  ちょっと議論が収集つかなくなりましたが。 ○岸本委員  すみません。私は別に連携を取らないとか言っているのではなくて、ここで今決めて いるのは、生殖補助医療を実施する条件をどうするかということを決めているのであっ て、今、渡辺委員がおっしゃったように、連携を取らないとか、小児が今どうなってい るかというのを知ってほしいとか、そういうことを私は言っているのではなくて、ここ の条件を一緒に、分娩と生殖補助医療を受ける部分とが多分違う施設でするということ で、その後はきっちりした連携は取るべきだと思うんですけれども、この条件を決めて いるのはちょっとまた違う内容だと思うんですが。 ○渡辺委員  ちょっと追加させていただきますが、平山委員がおっしゃっていることと岸本委員が おっしゃっていることは、みんなそれぞれの個々のユーザーの方たちの本音だと思うん ですけれども、それをきちんとすくい上げて1つのシステムとして、例えば、同じ機関 の中で不妊治療はどういう設定でやるべきか、人道的にやるにはどういうふうにやるべ きかということを次の段階として整理して、1つのモデルとして、例えば、隣り合わせ で中絶と不妊治療の人がいるのは、基本的におかしいという1つのことを明確にしてい くんだと。次の段階をやるためには、やはり今の議論を少し連続性のあるものにしてい かなかったら、私は後退すると思うんです。現状が今ばらばらであって、それぞれ自分 自身を守るために、みんなが自分なりに動いているから、生殖補助医療で妊娠した人が 別の病院に行ったりするのは、一種のその個人の方々たちの自己防衛でそれはいいんで すけれども、それがもう少し有機的にきちんとした認識とかデータとか実態をみんなで 把握して責任を持っていくというものにしていくには、私はやはりこれは1つの実験で すから、実験期というのは両面をちゃんと見ていかなければいけない。うまくいくだろ うという仮説を立て、うまくいかないだろうという仮説を立て、両方をきちんと全員が 見ていくような体制でやるしかないと思うんですね。その結果、1つの常識が定着して 安全にできるというふうになったときには、もっと自由度の高い診療で構わないと思う んですけれども、生殖補助医療で妊娠したその後はどうなっているかわからないという ことで平気でいる医者がいるとしたら、これは私個人の意見ですけれども、私はちょっ とその人とは組めない。やはり自分が診た患者が、例えば、名古屋で診た患者が東京の 私のところでどうなっているかということを、やはり知ろうとするのが医者の一つのモ ラルですし、そのように私どもはトレーニングされましたから当然だと思うんです。で なければ、国民から安心し信頼される医療はないと思うんです。  ただ、これはまた理想論と言われるかもしれませんけれども、現状をもう一歩よくす るには、少し理想論より一歩後退しても構わないですから、少なくとも何が起きている かが全員が把握できるような、わかりやすいきちんとした流れを受精した段階からでも 構いませんから、その子どもさんに関して私はつくっていただきたいと思います。でな いと、メンタル的にごちゃごちゃなった段階で何かやろうとしましても、本当のデータ 、本当の状況が出てくるまで、親との信頼関係をつくるまでに2〜3年掛かってしまっ て、その間子どもたちがどんどんゆがんだ行動系が発達していって、手遅れになってい るというのが現状だと思うんです。ですから、連続性とか調和、連携プレーというのを なくして、これ以上この生殖補助医療を続けていくということ自体、私は、大人がすご く無責任だと思えてなりません。 ○矢崎部会長  委員の方々がそれぞれ持っておられるバックグラウンドで思いを込めて言われている んですが、この検討部会は私が引き受けたのは、専門委員会で議論されてある程度の方 向性を定めて、それをいかに医療としてきっちり定着させるかというのが、この部会の 役割なんですが、そのときに結論が決まったからそれに沿ってゴールを定めて、ゴール が決まっていて議論を進めるというのではなくて、ある程度少し元に戻って専門委員会 では議論を尽くせなかった部分は、ここで追加に議論しましょうということだったんで すが、今日のいみじくもこの課題で、現在の我が国が抱えている生殖補助医療全体の問 題点とか、我が国で一番遅れている新生児医療の問題がここのところで一気に議論され ていますが、これはちょっと私のテリトリーから外れていますので、医療全体の問題で はなくて、勿論、生殖補助医療の抱えている問題というのは極めて大きな問題がありま すが、ここはやはり医療ですので、いかに定着させるか。それで御議論がありましたよ うに、非配偶者間の生殖補助医療は、少なくとも透明性、公平性、そして、子の福祉の ためにきっちりフォローアップできるシステムを確立するというのが基本概念で、余り 細かい、こうしなければならない、ああしなければならないという法律論的なことまで 詳しくきっちり詰めていくというのは、恐らく国会審議とかそういう過程で詰まってい くと思うんです。基準としては、当該医療というのは、生殖補助医療や分娩に関する異 常事態に備えて必要な設備等を備えると。そういう事態に、また十分対応できるという 下の文言でないと、新しい医療だから全然違った認識で決めるというのであれば、少し 本体からずれてしまうので、私としては、やはり基本の非配偶者間の生殖補助医療の問 題点をクリアカットにして、それをガイドライン的なものをつくるというのが、繰り返 しになりますが、生殖補助医療の問題とか新生児医療の問題に振り返ってここの議論を されると、とてもこの部会では手に負えない問題になってしまうので、そういう意味で 、やはり医療というのは幅広いいろいろな問題を包括的に対応していかなければならな いので、やはり密接な連携を担保することということでいかがですか。 ○福武委員  今、先生がおっしゃったのは非常によくわかるんですが、そうすると、第三者提供を 伴わない生殖技術に関して、どこか議論する場所があるのか、そういった予定があるの かという問題は必ず出るのだろうと思うんです。そういうものは現実に何かあるんです か。あるいは現状として、全くない、白紙だということなんですか。ちょっとそれを聞 きたいんですが。 ○鈴木委員  関連です。私も、今、福武委員がおっしゃったように、今の議論をして、どうしてそ のような結論になるのか全然わからないんですけれども、単純に言うと、現状がやはり 妊娠させっ放し、つくりっ放しの無責任体制だということがあるんだと思うんです。新 生児医療の中から……。 ○矢崎部会長  いや、それを直すのがこれですよ。 ○鈴木委員  だから、それをそのまま容認のままでこれをスタートするのかどうか、そこが問われ ているんだというふうに私は思います。 ○矢崎部会長  だから、それをここできっちり、この領域に関してはそういう問題を解決しましょう ということですよ。それで、どうしていけないんでしょうか。 ○鈴木委員  ごめんなさい、部会長がおっしゃっていたのは、やはり「又は」という文言を入れよ う結論だったんでしょうか。 ○矢崎部会長  そうです。 ○鈴木委員  逆に言うと、NICUはなくてもOKと。勿論、その連携は条件だけれども。 ○矢崎部会長  だけれども、分娩というのとやはり分けて考えないといけないので、新生児医療の問 題をここで議論されると非常に困りますし、だから、生殖補助医療を分娩のところまで 幅広く言ったときには、施設がいろいろ内容があるのではないかということを私は提言 しているわけなんです。だから、それは本当に非配偶者間の生殖補助医療でそういう問 題点を担保できるようなことをしていけば、おのずから実施しなければならない医療施 設というのは最終的には決まってきて、それで国である程度、国と言っても国家が決め るのではなくて、やはりある程度の委員会で決めていただくということになるかと思う んです。ですから、最初からこういうふうな規定で行くというのは、高久委員がおっし ゃられたように、よほどの医学的な根拠がない限りは、ちょっと難しいのではないかと 。ただ、従来持っている生殖補助医療の問題点を、少なくとも非配偶者間の生殖補助医 療では正していこうと、それが精神なんですけれども、御理解いただけますでしょうか 。 ○金城委員  そう思うんですね。そして、私はせっかく法律をつくるのですから、全体の生殖補助 医療についてある程度認可制というものは必要だと思っていたんですけれども、現状で はそうではなくて、非配偶者間だけだということなんですね。でも、非配偶者間である 程度みんなが納得できるようなものがつくられれば、あとは多くの患者さんが、やはり 認可を受けたところの方がいいではないのということで集まっていくのではないかと思 うんです。そのときに、こんなものまで入れてしまったらば、全くそういう方向へ行く のではなく、仕方がない、非配偶者間の人が国立病院だとかそういうところに行くとい うことになってしまうと思うんです。ですから、できるだけ一般の患者さんたちが行き たいと思うような、そういうところも入れて認可制にしておけば、あとは競争の原理で すから、多分あそこの方が国家のお墨付きがあるんだからいいんだというようなことで 、多くの人たちがそこに行く。そして、こういう認可制になっていることが、だんだん と一般の医療についても及ぼしていくことがあればいいのではないかと、私自身は思っ ているんです。そういう観点からも、余り厳しい、小児科施設などということまで入れ る必要はないのではないかと思います。 ○矢崎部会長  余り直接的にということではなくて、やはりこういうことで議論して幾つかの問題点 がオープンになれば、従来の生殖補助医療の抱えている問題も明らかになるので、これ に対しての何らかの方策というのは取る必要がおのずからその後出てくるのではないか と思いますが、特に、厚生労働省側が生殖補助医療全般をどうこうしようというのは今 現在どうなんでしょうか。 ○谷口母子保健課長  よろしゅうございますか。これは、以前にもちょっと出た話かと存じますけれども、 本来、産む産まない、子どもを持ちたい持たないといったところにつきまして、行政の レベルで関与すべきものではないというのは基本的な認識としてはありまして、そうい う意味での規制というのは若干の例外、例えば、中絶問題ですとかこの辺以外はやって いないわけなんですね。これは、少なくともやってはいけないというのが私どものもと もとの認識でございまして、今後もやるつもりは規制について言えばありません。普通 の配偶者間に関してはですね。  ただ、非配偶者間に関して言えば、これは他人様の精子・卵子・胚といったものを用 いるということで、配偶者間の問題と全然違う性質のものがあって、それが専門委員会 報告でも述べていただいていますように、商業的 に用いられるおそれがあるとか、そ ういった問題も含めて、これはさすがに社会通念の上から、行政がある程度レギュレー ションすることが適当なのではないかという認識の下で、専門委員会でまとめられたと いうふうに私どもは理解しております。ですから、その点について、部会長がおっしゃ いましたように、具体的にやっていくにはどうすればいいかというのは、この部会のマ ンデートであるというふうに理解しておりますので、今後、全般的な話という形での夫 婦間での生殖補助医療といったものは、広げて考えるつもりは今のところございません 。ただ、非配偶者間の中でも微妙にオーバーラップしてくる少しの部分は確かにあると 思いますので、その点につきましては、最後の方で整理をさせていただくということは 、以前どこかで申し上げたような記憶が実は私もございますので、その点は整理させて いただきたいということでございます。 ○矢崎部会長  そうですね。先ほど生殖補助医療のいろいろな問題点と私が申し上げたのは、AID の抱えている問題をメーンに頭に考えていたんです。これはこの中に入るわけですから 、そういう意味では、大きく方向性が定まると思います。しかし、松尾委員が主張され ていた夫婦間を含めた生殖補助医療と新生児医療に関しては、厚生労働省として今後ど う当たるかというのは全体的な問題ですよね。ここの議論から離れて。 ○谷口母子保健課長  その点について補足をさせていただきますと、先ほど私が申しました問題と新生児医 療を含めた医療体制の場の整備というのは、若干次元が違う話だと私自身は認識してお ります。仮に、この場で非配偶者間の生殖補助医療はかくあるべしということでもって 結論が得られた段階で、では、現実の小児医療体制がどうなっているのかということが 当然足りないだとか、十分だという議論が出てくるわけでして、その段階で我々として は、今後、小児医療の現場の体制をどうするべきかということで、ニーズに応じたもの をむしろ整備していかなくてはいけないのではないかというのが、私どもの認識でござ います。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○町野委員  議論を滞らせるのは私のあれではないんですけれども、1つ確認なんですが、もし、 施設基準をこういうものとするということになりますと、それへの対応として、これで 法律をつくるかどうかは別として、少なくともガイドライン辺りでは、つまり行政指導 のレベルでは、これこれの基準を備えた施設でなければ、第三者、非配偶者間の生殖補 助医療技術を実施する施設としては認定しないということにする。少なくともそこまで は考えていらっしゃるということでしょうね。 ○谷口母子保健課長  法制化するかしないかはまだ置いておけとおっしゃいましたので、そのとおりだとす るとおっしゃるとおりです。 ○町野委員  この部会のマンデートの問題です。ここで議論するときもかなり気をつけなければな らないと思います。もし、実施施設をこのようなものとして限定するということになる と、それがそのままガイドラインになってしまう。それで、議論するのは私は結構なこ とだろうと思います。他方では、先ほど渡辺先生がおっしゃられましたとおり、それぞ れの問題の連携の必要性は皆さん認めておられるところだと思います。しかし、それを すべてこの部分に上げてしまって、全部ほかのところでできないようにしてしまうとい うことは、理屈は通らないだろうということでございます。  もう一つですが、部会長はかなり役割を限定されましたけれども、ここで出す意見書 というのは、そのまま法律あるいは行政的なガイドラインになって、拘束力を持つもの とそうでないものとかなりあるわけですよね。その部分について議論するのは当然では ないかというふうに思いまして、新生児医療にまで広げるかどうかは確かに問題ではあ りますけれども、配偶者間の生殖補助医療技術についてもやはり共通の問題があるわけ ですから、それは議論してもいいのではないかと私は思います。 ○矢崎部会長  議論するのはいいんですが、こうでなければならないという議論が発展して、こうい うガイドラインの内容そのものがそこに引っ張られると一方的になると思いますので、 今、町野委員が言われたことを私がまとめるといろいろ問題がありますので、先ほど町 野委員が言われたことをかんがみて、一応この30ページの赤丸は赤線をなくしていただ いて、結論にさせていただきたいというふうに思います。  ちょっと時間が過ぎましたので、水入りをしまして。 ○石井委員  水入りする前に、ちょっとよろしいでしょうか。実は私、途中で退席するので、その 前に一言だけ。  先のことなんですけれども、人的基準のところで、前回のときにも法的な説明をだれ がするのかという質問はさせていただいたかとは思うんですが、インフォームド・コン セントについては医師が責任を負うことになっていると思うんですけれども、やはり親 子関係を含めて法的な問題は重要な問題で、医師だけの説明で十分できるのかどうかと いうことが問題になるかと思うので、人的基準の中にそういう法的な問題を情報提供で きる、そういう人が確保できる体制があるということも入れていただいた方がいいので はないかと思っています。 ○矢崎部会長  石井委員のお考えは、その実施施設にそういう人がいなければならないということで はなくて、きっちり対応できるということで。 ○石井委員  そう思います。病院に必ず法律家がいなくてはいけないということは難しいかと思い ますので。 ○矢崎部会長  わかりました。  それでは、3時まで休憩で、また再開させていただきたいと思います。                   (休憩) ○矢崎部会長  それでは、あと1時間ですが、松尾先生からもう一言お話があるということですので 、お手やわらかにお願いします。 ○松尾委員  新生児医療の体制を云々する議論をしているつもりは全然ございませんで、現実の NICUの状況を考えますと、生殖補助医療と新生児医療は同じ施設でやるということにし ていただきませんと、困る人は生まれてきた子どもでありその親であります。母親が移 動するか、子どもが移動するかというのを考えますと、母親が移動する方がまだいいと 思うんです。未熟児を移動させるというのは非常に大変なことでありますし、移動すべ きNICUが存在しない状況すら十分考えられます。児の予後に直結いたしますので、それ が第1点です。  それから、第2点としては、あらかじめ施設を限定してやるというのは非配偶者間の 生殖補助医療はあくまでも実験的な治療であって、どういう社会心理的な影響があるか ということがわからない医療でありますので、そういうことを点検した上で実施施設を 広げていくということが、適切であると思います。次の段階では実施施設を広げていく ということが考えられるわけで、永久に大学病院とか国立病院に限定する我々も考えて おりません。とりあえず十分なフォローができる施設でやっていただくという趣旨であ りますので、排除する論理は全然ございません。 ○加藤委員  松尾先生に伺いたいんですけれども、NICUというのは現在でも既に施設が不足で、余 りにも過密であるというか、ともかくこれ以上NICUの利用者が増えた場合に、非常に危 険な状態になるとかそういうことは言えるんですか。 ○松尾委員  言えます。全出生の0.6%というのが超未熟児、極小未熟児です。新生児医療の専門 家というのは、ほとんど全エネルギーをこの0.6%の子どもに割いているわけです。で すから、ほかの99%以上の新生児の医療あるいは新生児の親の医療というのは、今、 産後うつ病というのが非常に大きな問題になっているんですけれども、ほとんど手がつ けられていないという状況です。対策はNICUを増やすのではなくて、超未熟児の出生を 防止するということです。この最大の原因は生殖補助医療にあるわけです。ですから、 高いハードルを置くということは、国民にとって望ましいということだというふうにお 考えいただきたいんですけれども。 ○加藤委員  もう一つ伺いたいんですが、今、赤ちゃんを動かすか、お母さんを動かすかというこ とを先生はおっしゃいましたけれども、お母さんは超未熟児を出産するかどうかという ことは、事前に診断することはできるのではないですか、できないんですか。 ○松尾委員  できません。できる場合もありますが、ほとんどはできないですね。突然出産が始ま るという事態になりますので。 ○渡辺委員  今、新しいニューロサイエンスも加わりまして、乳幼児精神保健、乳幼児精神医学と いう領域が1980年代から急速に発展しております。そういうところで、実証的に赤ちゃ んの生理的な状態のいいコンディションにするときに、例えば、未熟児であったり障害 児であったりする場合に、お母さんの体内には入れられないんですけれども、胸に乗せ てカンガルーケアをするということが非常に広がっているんですね。それは、赤ちゃん にとってすごくいいですし、お母さんにとってもいいんですね。そして、本当に子ども に障害があったときには、それが唯一お母さんの育児意欲をつぶさないで残していく方 法になるんです。ですから、そういう状況が、実は新生児室やNICUで起きているとなる と、同じ屋根の下にいないということで、どうやって母子関係をつくるんだろうという ふうに思います。そして、もう既に別々に搬送された場合の親子関係はまずくなるとい う辺りの研究は、もう古い古典の研究ですから、人間というのは身近にいるということ 、ともにいるということが、いいきずなの前提であるという、脳にとってやはり触れ合 っているということは大事だということははっきりと出ていますし、ニューロサイエン スで明らかに自分のにおいを知っているお母さんに抱っこされている赤ちゃんの方が、 グロス・ホルモンの方が高いとか、そこから切り離すと、あるタイプの子どもはやはり 体重が増えないとか、免疫機能が下がるということはもっともっと明らかに出てくると 思いますので、やはりお母さんの幸せ、赤ちゃんの幸せをリアルに考えるのであれば、 同じ場所以外にはないというふうな実感を私は持っております。 ○古山委員  先ほど休憩の前に、部会長がまとめられたのは30ページの赤丸の「又はそうした事態 に対応」云々という文言が一度消えていたのが復活するということでございますね。こ の消えた元は、松尾先生が非常に重大な問題として提起されたNICUを含む新生児医療を 非常に大事にしなければいけないということから始まっているわけですが、ただ、この 部会の意見を報告するに当たって、ここまで入れると非常に難しいというようなことも ありますし、それこそ松尾先生が提起されて、こういうディスカッションされたものは 非常に重大な問題を含んでいますので、我々の部会の報告書なり意見書なり、あるいは ガイドラインなりを最終的に報告するときに、例えば「はじめに」というような前文と かあるいは後文でもいいですし、あるいは経緯の中でもいいですから、そういう中で、 ここで松尾先生が提起された重大な問題のディスカッションの内容を盛り込むというこ とを是非やっていただきたいなというふうに思うんですが、そういうことは可能なので しょうか。 ○矢崎部会長  最終的にどういう形にするかは事務局と相談します。どうもありがとうございました 。ただ、これに沿って厚生労働省側が案文をつくって、それを例えば法的な問題、親子 関係もありますから、これも恐らく法的な手続があると思います。そのときのディスカ ッションの中に、この部会でこういう問題点が指摘されていたということを、きっちり 国会の中のディスカッションの中で発言していただければ、随分影響が大きいと思いま すので、これは決してこのまますんなりまとまったという文ではありません。ほかにも 、まだこれから大変な議論が山積されておりますが、これは全員の委員の方が満場一致 ということはあり得ないので、また、一方で、は多数決で決めるという問題でもありま せんので、こういう議論を踏まえて国会討論、その他でやっていただくということで、 十分委員の皆様の御意見がそこに反映するように努めていく、そういうふうに私は聞い ていますので、そういう意味では、委員の方々が真摯に議論していただくのは大変あり がたいと思います。  ですから、最終的にどうしてもだめな場合は、両論併記みたいな形で最終的にはどこ かで決めていただくということもあり得ると思いますが、できるだけそういうことはな くして、この案である程度の結論を出して、そのプロセスについてはオープンにすると 。当然、ホームページではオープンになっていますし、いろいろな方が傍聴されていま すので、そういう意味では、ディスカッションは無意味ではないということで御理解い ただければと思います。  30ページの次の○で残されているのが、新たな文言ですね。先ほど高久委員から提供 された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う実施施設は、カウンセリングを行う部 屋を有していることが望ましいということですね。 ○高久委員  要するに、カウンセリングは、部屋がないと出来ませんので、「実施施設はカウンセ リングを行うのに適切な部屋を有していること」にしないと、「望ましい」ですと、部 屋がなくてやられては困る。これは常識的な話だと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。大変、有益なサジェスチョンをいた だきまして、どうもありがとうございました。  あとは、提供する医療施設については、今、事務局で原案を作成していただきまして 、あと人的基準でございますが、ここで一応●になっておりますが、先ほど石井委員か ら言われた法的な課題について、説明する人を施設で確保するというのは大変困難でし ょうが、そういう方がアベイラブルと言うと言葉があれですが、そういう方とも連携が 取れるような、疑問があったらいつでも説明できるようなということをちょっと加えて いただきたいということで、それは大変結構なことなので、よろしくお願いしたいと思 います。  提供する施設については、事務局で今つくっていただいております。これについては そう大きな問題はないと思います。  33ページ以降の「倫理委員会について」ですが、御議論を踏まえてこのような結論に させていただきましたが、また、御意見はございますでしょうか。まず、最初の●につ いては、一応、各施設でそれぞれの実施医療施設に設置しなければならないという、「 それぞれの」という言葉を入れさせていただいたということであります。  それから、次のまだ●になっておりませんが、34ページにわたっての文言で、これを ●にしていただいてよろしいでしょうか。「個々の症例について、実施の適否、留意事 項、改善事項等の審査を行い」と、それが前回の議論で、要するに、個々の症例の議論 をしっかりした方がいいのではないかという御議論ですが、よろしいでしょうか。  そうしますと、次の34ページの、これは余り大きな変更がなくて「夫婦の健康状態、 精神的な安定度」云々というのは、一々そういう条項を入れなくて、「夫婦が生まれた 子どもを安定して養育することができるかどうかについて」で十分含まれるのではない かということで、そうさせていただきました。  人的要件等につきましては、大体これで御同意が得られたと思います。  提供する医療施設についても、先ほどの一連の問題でありますが、ここで生殖補助医 療を行う施設に準じた基準を事務局で今つくっていただいているところです。  最後の審査の流れでございますが、「胚提供及び兄弟姉妹等からの提供による生殖補 助医療は、倫理委員会の審査によって実施を認められたのち、公的管理運営機関により 実施に関しての審査が行われることとする」ということで、大体御意見が一致したと思 います。よろしいでしょうか。 ○松尾委員  先ほどの議論とも絡むんですけれども、人的基準として事務局案は主として産科医を 想定した記述ですが、チーム医療、新生児専門医、小児精神保健医、カウンセラーが一 体になって治療を行っていく必要があると思います。実施責任者1名というのはいいん ですけれども。 ○加藤委員  何ページの話ですか。 ○松尾委員  すみません、31ページです。  実施責任者に並列して、もう一つの項立てがどこかに必要ではないかと思います。 ○矢崎部会長  これは、先ほど石井委員が言われた公的な問題とか、そういうものはコンサルトでき るんだということで、すべてがその施設の常勤医でなくてもよろしいわけですよね。だ から、先ほどの連携が保てるということで、そういう情報とかサポートがきっちり得ら れると。 ○松尾委員  ただ、文言のつじつま合わせであってはならないと思うんですね。少なくともこの未 熟児医療を担当すると予測される新生児専門医というのは、そのプロセスに加わるべき だと思います。児が生まれた後ケアをすればいいという問題とはちょっと違うのではな いかというふうに思います。ですから、少なくとも実質的な連携というのはどうしても 必要だと思います。 ○矢崎部会長  1つは、私が申し上げたのは、要するに常勤の医師には限りがあるということと、そ れから、もう一つは、生殖補助医療を実施する施設と分娩を行う施設が必ずしも同一で はないことも予想されるので、1対1の関係でこのAさん御夫婦の子どもはB先生がと いうのは、なかなか難しい可能性がありますので、私が申し上げたのは、もう一つは、 そういう新生児あるいは小児心理学に問題が予想される場合には、そういう方によく相 談に乗っていただいて、相談といっても責任ある対応をしていただくということでよろ しいでしょうか。そうしますと、それをこの中に書き加えさせていただきたいと思いま す。 ○古山委員  同じ31ページなんですが、細かいことなんですけれども、条件のところで「医師であ って、生殖生理学、発生学、生殖遺伝学等を含む生殖医学に関する全般的知識を有し」 となっていますが、実は「生殖遺伝学」という言葉はありません。多分「生殖生理学」 という言葉もないのではないかと思いますので、この「生殖生理学」と「生殖遺伝学」 については、「生殖にかかわる生理学・遺伝学」とか、そういうふうになさった方がい いのではないかと思います。細かいことで申し訳ございませんが。 ○吉村委員  生殖生理学という言葉はReproductive physiologyであります。生殖遺伝学はない かもしれません。 ○矢崎部会長  でも、全体を今、先生がおっしゃられたように「生殖にかかわる」の方がよろしいで すよね。「生殖生理学」と言うと専門的になってしまいますから。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。大体よろしいでしょうか。  そうしますと、最後のところで、倫理委員会も含めて、いよいよ公的機関の在り方に ついての検討課題3に入らせていただきたいと思いますが。 ○松尾委員  1つよろしいでしょうか。倫理委員会でございますけれども、生まれる前の審査とい うのも必要だと思いますが、生まれた後フォローをするという機能も必要だと思うんで すけれども、そういう文言を併記していただければと思いますが。 ○加藤委員  34ページの文言では不足だということですね。 ○松尾委員  はい。真ん中のところ。 ○加藤委員  34ページの上から6行目のところに、「結果について報告を受け」云々というのがあ りますけれども。 ○松尾委員  この倫理委員会の一番重要なポイントというのは、やはり生まれてきた子どもが家族 関係とか親子関係で問題がないかということを判定することだと思いますので、これは そういう表現にしていただいた方がいいと思うんですけれども。調査報告と言うのとは ちょっと違うのではないでしょうか。 ○矢崎部会長  具体的に言いますと、審議事項の中に入りますか。ただ、実施施設が独自にフォロー アップするのかどうかはまた問題がありますので、34ページの●の・の4番目ぐらいに 、フォローアップのことも考慮してというような文言を入れればよろしいですかね。  では、そのようにさせていただきたいと思います。 ○鈴木委員  質問いいですか。今日、松尾ドクターが出してくださった実施医療施設の基準の資料 がございますよね。そこともちょっと関連しているんですが、実施医療施設の総論のと ころなんですけれども、冒頭にこういうものを入れたらどうかということで、4行いた だいているわけですよね。「生殖補助医療に伴う、社会心理的、医学的リスクを評価し 、追跡する責任を有する」というようなことで、人的配置とも関係があるんですが、生 まれた後、最終的に相談したいときはだれが担当してくれるんですかということを単純 に聞きたいだけなんです。これも医師に電話をするような、実施した病院の医師に、ま ず電話するというような感じになるのでしょうか。ちょっと今さらさらと公的管理機関 のところも読んだんですが、つまりサポートの責任はだれが負うのか。そこが何だか私 にはいま一不明確なんですが、特に心理サポートです。2年、3年、5年、6年経って も告知どうしようと、10年後の相談というのも当然あり得るわけで、その辺はどういう イメージになっていくのでしょうか。 ○矢崎部会長  出自を知る権利とかそういうところで、だから、どこで対応するかということは、こ れから議論をしていきたいと思います。  いろいろな今言われたような児童心理学的な問題は、やはり生殖補助医療を受けた施 設がフォローアップする責任がございますよね。ですから、そういうことをかんがみる と、やはりしっかりした医療施設でないと、なかなか難しいのではないかということで すよね。ですから、さっきの施設基準というのはそういうことも入れると、やはりしっ かりした施設でないとやっていけないのではないかということなんですが。  すみません、松尾委員から言われた基準について、これは前文とかそういうものを入 れる必要があるのではないかということ、これは、ちょっと事務局と考えさせていただ いて、また、次の議論のときに細かく検討させていただきたいと思いますので、文言を どういうふうに入れるかというのは、松尾委員と事務局と私とで少し素案をつくって、 また議論していただければというふうに思います。  今の鈴木委員からの御質問は、恐らく実施施設がカウンセリングとか倫理委員会で判 定していますので、やはり実施施設がフォローアップするんですね。どうなんでしょう か、難しいでしょうか。 ○松尾委員  実施施設以外に考えられませんね。 ○宮本生殖補助医療対策準備室長  すみません、ちょっとよろしいでしょうか。今、御発言いただいた部分は、出自を知 る権利についての検討の際に併せて検討するということで、27ページのカウンセリング の検討をした際に、後ほどございましょうという定義をその時点ではしておりました。 27ページの下の方に※で示している部分でございます。当然、この際の検討内容につき まして、本日検討いただいたようなものに反映するような部分が生じるかもしれせん が、その際に併せて対応できればと思います。 ○矢崎部会長  では、それもちょっと頭に入れておいてください。出自を知る権利だけではなく。た だ、今の生まれた子のフォローアップというのは、データ的には公的管理機関がきっち り保管しますので、そういう生まれてきた子どものいろいろな問題点があったときに、 どういうふうに対応するかというのはまた別なので、それはまた改めて議論させていた だきたいと思います。それは、事務局の方でも※のところはまた新たに、課題3で問題 提起していただければと思います。  ほとんど時間がございませんが、ちょっと事務局の方から検討課題3について説明を いただけますか。 ○宮本生殖補助医療対策準備室長  そうしましたら、資料3「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に係る管理 体制」、それから、資料4「生殖補助医療の流れ」という3枚ほどまとめたものでござ いますけれども、そちらの方で説明させていただきます。主には、資料3に従って説明 させていただきます。  この検討課題3の中には、大きく分けまして2つ課題がございます。1つは、公的管 理運営機関の具体的な業務の内容、それから、もう一つは、実施医療機関等の監督体制 、主にその行政として係わるような内容というようなことでございます。  1つ目の公的管理運営機関の業務としましては、情報の管理業務、それから、審査業 務、精子・卵子・胚のコーディネーション業務といったものがあろうかということです 。それから、実施管理施設の監督体制の内容につきましては、実施医療施設の指定など の業務ということでございます。  もう一度、最初の方から内容を簡単にお話ししたいと思いますが、まず、1つ目の公 的管理運営機関の業務の具体的な内容として、その中の(1)「情報の管理業務について 」ということです。その情報としていたしましては、同意書の保存、これは生殖補助医 療を受けた御夫婦の同意書、それから、提供された方及びその配偶者の同意書の保存。  それから、個人情報の保存といたしましては、生殖補助医療を受ける方の個人情報の 保存、それから、提供を行う方の個人情報の保存、生まれた子どもに関する個人情報の 保存といったものがございます。  それから、出自を知る権利に対しました、生まれた子からの開示請求に対する対応と いったものが含まれているということでございます。  このほか4ページの(キ)でありますけれども、提供者の情報の一部という部分もござ いますが、提供された精子・卵子・胚により生まれた子どもの数を確認するための情報 の保存という部分もございます。更に、包括的に実績などの報告を徴収し、その徴収し た報告の統計資料等の作成などの部分もあるということでございます。  (2)「審査業務について」でありますけれども、内容といたしましては、兄弟姉妹等 からの精子・卵子・胚の提供に関する審査、それから、胚の提供に関する審査、その2 つでございます。  7ページの(3)「精子・卵子・胚のコーディネーション業務について」ということで ございますが、この部分は、これまで余り議論としてもされてこなかった部分かと思う んですけれども、私どもでいろいろな状況というものを整理いたしまして、こういうも のもあり得るのかということでまとめたものでございます。  一般的な精子・卵子・胚の提供されたものに関する情報の管理という部分があるかと 思いますが、それに加えまして、医療を受けたいという方と、それから、提供してもい いという方の間を取り持つマッチングという部分が想定されるということでございます 。そのマッチングの内容といたしましては、むしろ資料4の方がその状況を示しておる わけでありますけれども、精子・卵子・胚それぞれにつきまして、提供をしてもいいと いうふうにおっしゃる方の数と、提供を受けたいとおっしゃる方の数のバランスによっ て、関与する度合いが違うのではないかということで、そのような場合分けをしまして 、まとめております。  もう少し付け加えて言いますと、希望される方の数の方が提供される方の数よりも上 回っている場合には、かなり介入といいますか、マッチングを行っていくということが 必要だろうと考えられますし、一方、逆に、提供される方の数の方が多い状況がありま した場合には、それほどそういった部分に大きな力を掛けた対応を行わなくても、施設 相互間の協力によって進める部分があるのではないかといった内容であります。  資料3の8ページにまいりまして、大きく2つ課題があるうちの2つ目の課題、実施 医療施設等の監督体制ということでありますが、これまでの施設基準等の御議論でも想 定されましたとおり、こういった医療施設の指定と、それから、指導監督業務という部 分があろうかということでございます。  その具体的な内容といたしましては、9ページ(ア)にありますように、実施医療施設 の指定、それから、(イ)実施医療施設の指導監督業務、それから、(ウ)提供医療施設の 指定、それから、10ページ最後でありますけれども、(エ)提供医療施設の指導監督業務 という内容が含まれるであろうということでございます。  簡単ではありますけれども、全体は以上であります。 ○矢崎部会長  まだ、事務局の原案も作成中のところが多いので、議論に入ることはできませんが、 最初の同意書の保存とか個人情報の保存、すなわち(ア)(イ)(ウ)(エ)については、今ま での御議論で一応、こういう方向で意見の統一が取れたというふうに理解しております が。 ○松尾委員  1つよろしいでしょうか。患者の医学情報がすべて保存されるということが必要だと 思うんですけれども、この文案ですと、その辺がちょっと明確ではないのではないかと 思うんですが。つまり、カルテが80年間保存されるのかどうかという。 ○矢崎部会長  それは、御議論があったと思いますが、そういう情報は5年間ということになります ね。情報の内容は、ここに書かれている内容だけでしたか。どのような種類の個人情報 を保存するか。これは医学的なものは入っていないですね。 ○吉村委員  専門委員会では、個人情報といった場合に、医学的情報を含むかどうかということに ついては、詳しく言わなかったんですけれども、当然これは医学的情報も含むと私たち は理解しておりました。例えば、名前と住所と戸籍謄本ということだけではなくて、精 液所見がどうであったとか、卵は何個提供したとか、卵のクオリティはどうだったとか 、それは私は当然の情報として保存されるものだと。加藤先生、そうではなかったです か。 ○加藤委員  余り議論しなかったという記憶があるだけなんですけれども。 ○矢崎部会長  そうしますと、今、御指摘のとおりで、内容をきっちり施設基準と同じように、すべ てカルテを全部残す必要はないと思うんですよ。ですから、ちょっと吉村委員と検討し ていただいて、情報の内容をどこまで一般的に保存できるかという視点で。 ○吉村委員  これは、精子を提供した場合と、卵子を提供した場合と、胚を提供した場合と3つに 分けてですね。 ○矢崎部会長  それでよろしいでしょうか。  そうしますと、個人情報については、また次回までに事務局で内容を吉村委員と詰め ていただいて、ドラフトを出していただければ大変ありがたいと思います。  ここでは出自を知る権利をどこまで認めるかということは、検討課題1の議論にのっ とって公的管理運営機関が判断するということですので、詳しいことは検討課題1でも う一度議論して、またここに戻ってくると。そのときに、公的管理運営機関の性格付け とか具体的なイメージがわかないと、検討課題1で結論できないということで延ばされ た経緯がありますので、今のような公的管理運営機関の具体的なイメージができ上がっ たところで、どこまで認めるかということを議論していただきたいと思います。  ここまでよろしいでしょうか。問題は、3ページの(カ)で出自を知る権利に対する対 応ですが、出自を知る権利はここで議論させていただきますか。 ○金城委員  次回ということですか。 ○矢崎部会長  はい。よろしいでしょうか。運営機関の一番大きな問題は、出自を知る権利をどうい うふうに対応するかということですね。それから、5ページの審査業務についても、や はり議論を深めないといけないですね。特に、兄弟姉妹を含んで。ですから、極めて重 たい問題が次回もありますね。前半と後半で座長を交代していただくというシステムは ありませんでしょうか。ちょっと課長が国会に呼ばれていなくなってしまって、責任あ る立場で言える人がいないんですが。  そうしますと、次回は、今の重たい課題を一気かせいというわけにはいかないでしょ うが、ある程度議論をまとめさせていただければというふうに思います。そうしますと 、おのずから検討課題3は済みますし、検討課題1の大きな課題はそれで終わると期待 していますが。 ○福武委員  公的管理運営機関というのをイメージするときに、これは全く独立のものをつくって 、スタッフもつけるというようなことを考えるのか、それとも何らかの法人あるいは機 関というものに、このような業務を任せるということを考えるのかで随分違うのだろう と思うんですよ。それと、実際に第三者提供による生殖補助医療というものがどの程度 行われるものなのかによって、随分差が出てきてしまうのではないかという気がするん です。そのイメージがはっきり言いまして全くわからないままなんです。いろいろな機 関をつくっていろいろな業務をやっていても、省庁の統合だ何だかんだでごたごたして いるのが現状だと思うんです。そういうときに、このイメージがどうもわからないもの ですから、もう少しわかりたいという気がしているんですが。 ○矢崎部会長  これは、メーンは要するに、データ情報をきっちり80年間保管するのが1つです。そ れから、もう一つは、兄弟姉妹の提供の場合と胚の場合は少し……。 ○福武委員  個別に議論するというような形ですよね。 ○矢崎部会長  公的機関で議論するということ。それから、出自を知る権利というプライバシーに関 しても、そこで公的機関がある程度判断するというところ。 ○福武委員  そうすると、例えば、何らかの医療機関なりが、それを一部業務としてやるという形 になるんですか。そこが全くわからないんです。 ○矢崎部会長  それについては、そういうことができた上で、どういうふうな組織あるいはところで 行うかという最終的な議論は、厚生労働省の方で考えていただけるわけですよね。我々 はそういうことを心配しないで議論して、こういうふうにしてくださいというのは誠意 を持って対応してくれるという信頼感で私はやっているんですが。 ○宮本生殖補助医療対策準備室長  そうですね。この見かけ上1つの組織であるかのように書いておりますけれども、実 際上どのように行うかということは、かなりいただいた議論の、勿論その方がわかりや すさがあるわけですが、直ちに実施できるということを私どももこの時点でお約束でき ないだろうと思います。ですので、内容の方を御議論いただいて、その固めていただい た内容というのをどのように実現するかということについては、私どもで考えさせてい ただきたいというふうに思います。ちょっとわかりにくさが残ってしまうかもしれない ですが、その点は、この時点ではそのようにお願いしたいというふうに思います。 ○町野委員  2つ別々といいますか、例えば、臓器移植法ではいろいろな記録の保存等は医療機関 の方が担当したわけですよね。そして、ほかの生命倫理上問題のあることについては、 別にある委員会、例えば、文部科学省ですと生命倫理安全部会とかそういうところの下 に置いて、それから、専門委員会が審査するという格好だったんですよね。今度はそれ を2つ一遍にやるわけですけれども、今のように機関も別になるということは恐らくお 考えになっていなかっただろうと思います。機関を一緒にすることは可能なのかという 非常に素人的な疑問なんですが、そこら辺も勿論お考えだということなんでしょうね。 ○矢崎部会長  それを含めて考えていただければ。 ○町野委員  かなり困難なのではないかと、これを見て思いましたけれども。 ○矢崎部会長  かなり困難だと思いますが。 ○町野委員  責任はやはり専門委員会の報告書を出した方々に、あるだろうと思いますが。 ○矢崎部会長  ですから、それをきっちり対応していただくということで、そういうことは後ででき てくるということで、業務をきっちり押さえておいて議論していただければと思うんで す。 ○鈴木委員  業務内容で質問なんですけれども、いわゆる広報宣伝活動というのはどこが担うこと になるのかなとずっと気にしています。例えば、臓器移植みたいに全国的にポスターを つくって、要するに、ドナー募集をだれがどうやるのかということ。ポスターをつくっ て、全国の産婦人科とか、産婦人科ではないですよね、結局ドナーというのはどこにで もいるわけですから、張ってくれて大々的に募集してくれるのか、それによって実施数 というのも多分変わってくると思うんです。だけれども、大体それをだれが予算を出す のかなというのもありますし、あるいはそれぞれの実施医療機関が独自に募集していい のかどうか、それも業務の中身で1つ考えていきたいことかなと思うんですけれども。 宣伝活動がないと、これは成り立たないと私は思うんですが。 ○矢崎部会長  そうですね。余り積極的に宣伝して大いにやってくださいという問題でもないので。  ただ、私たちのスタンスは、要するに、透明性を持たずに医師と御夫婦あるいは関係 者だけで医療をやってはいけないということを言いたいためで、非配偶者間の生殖補助 医療をできましたから大いにやってくださいということではないので、したがって、特 に生殖補助医療を行う医師に徹底していただければいいように思います。また、それに ついては議論をいただきたいと思います。  今日も3時間ですが、もう時間がほぼ終わりました。今日、検討課題3のドラフトが ありますが、まだ事務局で作成中ということもございます。検討課題2で、先ほど松尾 委員から言われた基準についての文言などをそこで検討していただく。それは次の議論 の機会にやっていただくことにして、一応ドラフトだけは用意しておいてもらうという ことで。今日、検討課題3をお帰りになって出たものだけでも見ていただければと思い ます。特に、兄弟姉妹等からの提供及び胚の提供の適否に関する審査の具体的な方法、 手続というものが6ページで案がございます。これについて、あらかじめ委員の方々で 少し考えていただければ大変ありがたいと思います。  そういうことで、今日は大分議論が熱中しまして、いつも熱中しますが、また次回も 懲りずによろしくお願いしたいと思います。本当に長時間にわたり、いつも御議論いた だきましてありがとうございます。  事務局の方で何かございますか。 ○宮本生殖補助医療対策準備室長  次回でありますけれども、12月19日木曜日の13時から16時。場所は、本日と同じ厚生 労働省専用第21会議室となっております。また、いつものとおりでございますが、各委 員からの御意見や御指摘を引き続きメールですとかFAXで事前に御送付いただけます と、皆様に配付させていただくということで、こちらの締め切りを12月17日火曜日の午 前中までとさせていただきたいと思います。 ○加藤委員  19日の14時からですか。前に14時という連絡が来ましたよね。 ○宮本生殖補助医療対策準備室長  申し訳ございません、訂正いたします。14時から17時です。場所は同じです。 ○矢崎部会長  それでは、これで本日の部会を終わらせていただきます。どうもありがとうございま した。                     照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                          03−5253−1111(代)                              宮本(内線:7933)                              天本(内線:7939)