02/11/19 第9回これからの医業経営の在り方に関する検討会議事録         第9回 これからの医業経営の在り方に関する検討会 日時    平成14年11月19日(火)10時30分から12時30分 場所    厚生労働省共用第7会議室 出席委員  石井孝宜、遠藤美光、大石佳能子、川合弘毅、川原邦彦、小山秀夫、       田中 滋、谷川和生、津久江一郎、豊田 堯、西澤寛俊、西島英利、       南  砂                 (五十音順、敬称略) 議事内容 ○田中座長  ただいまから、第9回「これからの医業経営の在り方に関する検討会」を開催いたし ます。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところを検討会にご出席いただき、ど うもありがとうございました。  本日は、内田委員と長谷川委員がご欠席との連絡を受けております。  次に、神谷委員の後任で就任されました遠藤委員が前回はご欠席でしたが、今回、ご 出席なので、ご紹介させていただきます。千葉大学法経学部教授の遠藤委員です。どう ぞ。 ○遠藤委員  千葉大の遠藤です。神谷先生が研究で海外へ長期間外出されるということで、後任を 承りました。どうぞ、よろしくお願いいたします。 ○田中座長  よろしくお願いいたします。それでは議事に入ります。  本日は、ご案内にもありましたように、「医療法人、医療機関経営の弾力性・効率性 を高めるための方策」ということをテーマに議事を進めたいと存じます。初めに西澤委 員から、意見発表をお願いいたします。それから続いて、お二方においでいただいてお ります。富士総合研究所の山本主事研究員、それから損保ジャパン総合研究所の中村研 究員のお二方です。ご紹介します。あちらに座っているお二方でいらっしゃいます。  初めに事務局から、資料の確認と説明をお願いいたします。 ○中野指導課課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。  議事次第、委員名簿、それから座席表に続きまして、本日発表していただく委員から 提出された資料としましてまず、西澤先生の「医療法人、医療機関運営の弾力性・効率 性を高めるための方策に関する意見」という横長の表が1つです。  続いて、富士総合研究所の山本先生のプレゼン資料、「患者満足度調査導入による病 院の経営改善に係る調査研究」です。  続いて、損保ジャパン総合研究所の中村先生のプレゼン資料、「病院におけるアウト ソーシング等の活用について」の調査研究結果概要です。  最後に、石井先生のほうから、医療法人経営と効率性についての資料が提出されてい ますので、添付しております。以上です。 ○田中座長  それでは、意見発表に入らせていただきます。最初に西澤委員から、よろしくお願い いたします。 ○西澤委員  それでは、「医療法人、医療機関運営の弾力性・効率性を高めるための方策」に対す る意見を述べさせていただきます。私のほうは、「運営」となっていますが、今日のレ ジュメを見ますと「経営」という言葉を使っています。これは、同義語だと考えてよろ しいかと思っています。  また今日意見を述べるにあたり、この委員会で今後検討を深めるべき課題が5つあり ますが、そのうちの1項目だけを取り上げてもなかなか理解できない面もあると思いま すので、場合によってはほかの項目とオーバーラップしたり、総合的な話になることを お許し願いたいと思っております。次の頁をご覧ください。  今日の検討項目としては、項目例として事務局が挙げたもので、附帯業務など医療法 人の業務範囲の拡大あるいは共同化、外部委託の活用、推進等ということでした。今回 はその中の「附帯業務など医療法人の業務範囲」についての意見・要望というものを中 心にお話します。次の頁をお願いいたします。  まず、附帯業務の業務範囲拡大と言っても、では、附帯業務とは何か、というところ が私自身がまだ十分理解できていなかったので整理させていただきました。  ここに「医療法人の業務範囲」ということで4つ書いてあります。本来業務、付随的 業務、附帯業務、収益業務。医療法人の業務というのは大体、この4つに分けられてい るということです。その3番目の「附帯業務」が本日のテーマですが、これを知るため にはほかの3つの業務の内容もある程度理解しておく必要があるのではないかというこ とで、簡単に説明いたします。次の頁です。  「本来業務」というものは言うまでもなく、病院、医師又は歯科医師が常時勤務する 診療所又は老人保健施設の開設ということです。これが医療法人の本来業務です。次の 頁です。  「付随的業務」というものがあります。これは実は、医療法上には明確には明記はさ れていません。本来業務に伴って生じるものと言われています。平成10年に健政局の局 長通知で、一応これのある程度詳しい通知がありましたので、それを例にとって付随的 業務とは何か、ということを理解したいと思っています。  まず、上に書いてありますが、「病院等の施設内で該当病院等に入院若しくは通院す る患者及びその家族を対象として行われる業務又は病院等の職員の福利厚生のために行 われる業務であって、医療提供又は療養の向上の一環として行われるもの」。さっと読 むと解りづらいのですが、具体例を言いますと、病院等の建物内で行われている売店、 あるいは敷地内で行われる駐車場の経営というのがこれに当たるそうです。  もう1つは、「病院等の施設外で当該病院に通院する患者を対象として行われる業務 であって、当該病院等において提供される医療又は療養に連続して行われるもの」。当 該病院への患者さんの搬送、あるいは病院からの搬送ということがこれに当たるそうで す。こういうものが一応、付随的業務と言われています。  似た言葉でも附帯業務と付随的業務というのは明らかに違うということですので、そ れでは附帯業務とは何かということで、次の頁です。  附帯業務とは、医療法第42条第1項に書かれたものを見ますと、「医療法人は、本来 業務に支障のない限り定款又は寄付行為の定めるところにより附帯業務として、次の業 務を行うことができる」ということで、この頁と次の頁にある1から8までの項目とい うことになっています。具体的な例をいくつか申します。  1の「医療関係者の養成又は再教育」では、例えば看護学校の経営などがこれに当た ります。この研究所は、がん研究所等々を持っている所もあります。また4番目は、グ ループホーム、福祉ホームなどがこれに当たります。次の7頁からは比較的新しく許可 になったものが混じっています。  5番目と6番目、これは疾病予防運動施設あるいは温泉利用施設です。これは有酸素 運動を行わせる施設ということですが、診療所が付いていることや厚生労働大臣の基準 をクリアすることなど、かなりの厳しい縛りがあります。これは、平成4年の第2次医 療法改定のときに追加になったそうです。  7番目にいろいろ書いてあります。これも平成4年、6年、あるいは7年に許可にな っているものが混じり合っていますが、いまいちばん行われているのは訪問看護事業で 、訪問看護ステーションの事です。そのほかケアハウス、それからホームヘルパー養成 等々も、最近は非常に行われています。  8番目は、「第二種福祉事業のうち」ということです。これは、デイサービス、ショ ートステイがここに当てはまるということです。  大体、この範囲内のことがいま附帯業務ということになっています。繰り返しますが 附帯業務というのは、「本来業務に支障のない限り」という縛りがあります。  次の8頁に、「収益業務」というものがあります。附帯業務というものはすべての医 療法人ができる業務ですが、この収益業務というものは、特別医療法人だけができる業 務です。これも医療法第42条第2項に書いてありますが、「その開設する病院等の業務 に支障のない限り」ということでは附帯業務と全く同じです。違うのは、「その収益を 病院等の経営に充てることを目的として」ということです。あとで述べたいと思います が、それでは附帯業務というのは収益性があるのかないのかという疑問があります。  この収益業務の内容が、次の9頁です。第1号から第12号まで書いてあります。この 収益事業ですが、何でもできるということではなくて、先ほど言いましたように本来業 務に支障のないということと、具体的業務ということで、非常に厳しく規定されていま す。次の10頁です。  ここで収益事業の「収益」という言葉に引っかかりまして、ほかの法人と比較してみ ました。いままでの資料は全部、この委員会で第1回のときに配られた資料から抜粋し たものです。医療法人、株式会社、民法法人、社会福祉法人、学校法人を比較しました 。この設立根拠はそれぞれ、皆さんご存じのようにその法律がばらばらです。  収益事業ですが、実は株式会社は何も書いてありませんが、これは当然営利を目的と していますから、当然書くまでもない、すべてが収益事業だということだと思います。 医療法人が収益事業は行えない、ということになっています。先ほど言いましたように 特別医療法人だけは別です。あと、民法法人、社会福祉法人、学校法人、すなわちかな り公益性の高い法人だと思います。これはすべて、収益事業が可能になっています。  ですからこれをさっと見ると、何となく違和感があります。株式会社は当然オール収 益事業。公益法人も認められる、医療法人だけが駄目。これはどういうことなのかなと 、今後の医療法人のあり方ということで、この検討会でかなり煮詰めていただく議題か な、と考えております。  税金の取り扱いですが、公益法人は非課税ということで、株式会社は30%の法人税が かかっています。医療法人も30%かかっています。ほかの公益法人に非常に近い内容で ある特別医療法人は非課税かと思えば、8%軽減されているだけということです。この 辺のアンバランスというのも、やはり問題ではないかと思っております。次の11頁です 。  いろいろ調べた結果、附帯業務の拡大ということに対する意見です。附帯業務は何の ためにするのかという事はあまり明確ではありません。平成8年に当時の医療審議会の 会長が述べた言葉がありましたので、参考までに述べさせていただきました。  ここを読みますと、「現在、民法法人、社会福祉法人、学校法人等の公益法人につい ては、設立要件が厳しく、かつ、本来業務が収益性のあるものでないので、その収益を 本来業務の経営に充てるための事業の実施が認められている」となっています。  その下ですが、「医療法人については、これまでいわゆる収益事業の実施の必要性が 低いと考えられていたため、結果的に民法法人等に比べ業務範囲が制限されてきた」と いうことです。どういうことかと言うと、私なりの解釈では、医療法人というものは本 来業務が収益性があるため他の収益事業を行う必要性が低い、と解釈しました。ですか らここでは、いちばん上に書いたとおり、「医療経営の本来業務で経営が成り立つのが あるべき姿」だと、と言っていると思います。  ところがいちばん下に書きましたが、「現在、医療法人は本来業務だけでは経営が困 難」ということもこの次に述べております。というのは、下から4行目ですが、「その 資金確保が容易でなく、利益が個人に帰することがないことが担保されている医療法人 について、医療の実施に支障のない範囲で、例えば他の医療機関、福祉施設、在宅患者 等への給食の提供等のいわゆる収益事業の実施を検討すべき」ということで書いており ます。この結果、生まれたものが特別医療法人です。ということは特別医療法人という のは、資金確保が容易でなく、利益が個人に帰することがないという法人です。  そうすると一般の医療法人というのは、この文から見ますと、資本確保が容易でなく 、利益が個人に帰する法人ということになります。  そうするとこのような一般医療法人はどうするのかなと言うと、どうもこの内容から しますと、本来業務だけでは経営が困難で、かつ資本確保が要易でないにもかかわらず 収益事業は認めないということで、極論ですが、もしかしたらつぶれなさいと言ってい るのかなと、そういうふうにも読み取れるということです。このようなことが非常に問 題で、ですからこの検討会もあると思っておりますので、附帯業務等の拡大以上にこち らのほうの、議論をよろしくお願いしたいと思っております。次の12頁です。  「附帯業務と収益業務との違い及び条件」です。先ほど言いましたが、本来業務に支 障がないということでは同じですが、収益業務はその収益を病院の経営に充てることが 目的なのです。  それでは附帯業務というのは、その業務をする目的というのは、私が読んだ範囲では 、どうも明確ではないという気がしております。それともう1つ、附帯業務というのは 、収益性があるのかどうかということです。収益を目的とはしていないのはわかります が、収益性があるのかどうかということです。  先ほどいくつか附帯業務をした中でも、収益性のあるものと、場合によっては逆のも のも混じっているような気がしております。こういうことで、この附帯業務の定義付け というかその辺りも、もう少ししっかり議論する必要があると思っております。次の13 頁です。  私の個人的意見です。附帯業務、収益業務ということで、私がこれから要望を言うと きの条件というものが、やはりいくつかあるのではないかと思っております。  これは、実はここに書いてありませんが、平成10年の4月の健政局長の通知で収益業 務に対して、「収益業務とは、病院等の業務を行うことにより得られる知見の活用又は 当該医療法人が所有する資産の活用が図られるもの」ということで収益事業を縛ってい ます。私も、ある程度は同じ考え方です。ですから上に書きましたとおり、「本来業務 に寄与する」、すなわち「質の向上」につながる事が条件の1つです。裏を返しますと 、本来業務にマイナスになるものはやはりいけないということです。  それからもう1つの条件は、本来業務の持つ人材・施設・設備・その他のノウハウを 活用したもの、その結果「地域サービスの向上」につながるという事です。医療法人で ある以上、附帯業務、収益業務というものを拡大するときには、当然このような基本的 な条件がある、と個人的に考えております。そういう条件の下で、次の14頁に要望とい うことで一応3つ出しました。9頁と併せてご覧ください。  1として特別医療法人の収益事業というものを、一般のすべての医療法人の附帯業務 としてよろしいのではないかということです。これはその収益事業の一部または全部と いうことで、この場で議論していただければと思っております。というのは、この特別 医療法人の行える収益業務の範囲というのはかなり縛りがあります。これだけの縛りが あれば、別に特別医療法人の収益業務ではなくて一般の医療法人の附帯業務でも構わな いのではないかと思っております。  特に9頁を見ながら言いますと、この中の例えば第2号の「物品貸付業」などはよろ しいかと思います。例えばもう1つ、第6号の「医療に関する情報サービス」、これな ども逆に言えば医療法人は積極的に行うべきだということで、附帯業務に入れるべきだ と考えております。特にこの医療に関する情報サービスについて言いますと、現在、医 療情報というのは非常に氾濫していると思います。質の高い医療情報や健康情報という ものを持っているのは、やはり医療機関です。そのような医療法人の持っているものを きちっと表に出すということは、私たちの1つの責務であるとも考えておりますので、 是非、この項目は附帯業務にしていただければと思っております。  2番目の「特別医療法人の収益上の拡大」は、後で述べたいと思います。  3番目は「特別医療法人は第一種社会福祉事業を行えるようにする」ということです 。先ほど比較しましたが、社会福祉法人と特別、特定医療法人は、ほとんどその条件に おいて変わりありません。とすればやはり同じ条件、即ち非課税であるべきと思います 。そして業務も、社会福祉法人の業務を特別医療法人が行ってもいいのではないかとい うことです。特にこの中でどれがということになれば、特別擁護老人ホームは特別医療 法人が行ってもよろしいのではないかと思っております。介護保険の中ではほとんど差 がなくなっていますので。この辺りは要望としておきたいと思います。次の15頁です。  「特別医療法人の行える収益事業要望例」と書きました。これは実は特別医療法人の 行える収益業務ということだけではなくて、この中で附帯業務でも構わないというか、 それに相応しいものは、附帯業務であってもよろしいと思います。それが混じり合って いると考えていただけたらと思います。  まず、いちばん上の「人材研修事業」です。これはいまでも事業としてはしていませ んが、こういうことは、いろいろなボランティア的に行われています。すなわち、医療 法人の中にいる専門職の方々を利用して法人内外での教育・研修というものを行うとい うことです。 それから「清掃業」ですが、これは次に書いてあるとおりです。  次の「医療に関する情報サービス業」、これは先ほどの情報システムとは少し違いま して、もう少し健康診断以外の健康相談業務というふうな具体的な、直接的な業務です 。  それから「不動産業」です。これも書かれてある通りです。それと「疾病予防運動施 設」ということで、先ほどありましたが、いま一部認められているものは診療所が附置 されているなど条件がありますが、もう少し条件を緩めてもよろしいのではないかと思 っています。 あとは、「治験コーディネイト」などもよろしいかと考えています。  この中で特に不動産業ですが、これもある程度の縛りが必要で本業に支障のない範囲 であれば可ということです。ただ、普通の不動産業と全く同じというわけにはいかない と思っています。  この中の1つだけを具体的にお話させていただきますと、老人向けアパート・マンシ ョンということですが、これも先ほど言いましたように単なるアパートやマンションの 経営でなくて、例えばケア付きアパートのような、やはり医療法人としてのノウハウな ど、持っているものを生かしてできるような経営ということです。法人の土地とか、あ るいは施設の利用ということを含めてです。少し言い方を変えますが、これからダウン サイジングする病院も増えてくるといいますが、そういうときに施設がある程度使わな くなった場合などはこのように利用できれば、地域の方々に良いサービスが提供できる のではないか、という意味で書きました。  以上が私の要望です。要望項目とは外れ、繰り返しになりますが、やはり本来業務で 経営できるということが第一と思っております。今回いろいろな方に意見を聞きました が、「附帯業務などの拡大もいいけれどもっと本質的なことを言ってくれ」と言われま したので、繰り返させていただきます。  ざっくばらんに言いますと、診療報酬が適正であれば附帯業務拡大はそう大事ではな いと思っています。ただし、現在は診療報酬が適正ではありませんのでやはり附帯業務 、収益業務は、現段階では少し拡大していただきたいということです。  それと、消費税ということです。消費税が非課税であれば附帯業務、収益業務をやる 上でもいろいろな足枷になっているのではないかと思っております。  それと、医療法人のあり方ということでは、やはり特別・特定医療法人というものを 一本化していただきたいということ。更に一般の医療法人を特別にするように推進して いただきたいということです。同時に、他の公益法人並みに非課税ということも当然、 要望させていただきたいと思っております。  以上です。ご清聴、ありがとうございました。 ○田中座長  どうもありがとうございました。わかりやすくご説明いただきました。次に富士総合 研究所の山本主事研究員にご発表をお願いいたします。 ○山本主事研究員  お手元にお配りしておりますパワーポイントの資料、「患者満足度調査導入による病 院の経営改善に係る調査研究」ともう1つ、調査票の抜き刷りのコピーをお配りしてい ますが、この2点でご説明いたします。  この調査研究は、平成13年度の医療施設経営安定化推進事業の業務として、研究班を 設置して実施したもののご報告です。まず、研究班としてこの調査をどういう経緯を持 って取り組んだか、というところをご説明します。  少子・高齢化社会の中で、安定的で質の高い医療サービスを提供していくに当たって 医療機関が取り組まなければいけないことは多々あるのですが、その中でとりわけ急性 期医療の効率化と重点化、病床の削減を目指した医療制度改革の流れに対して、とりわ け中小民間病院は、どう適応していくべきか戦略を練っています。  それからもう1つ、患者側の立場から言いますと、他のサービス同様、情報公開、消 費者主権、患者中心の医療といったように、サービスを使うことに対する考え方が大き く変化しています。これら社会的変化、実際に利用される患者さんのニーズの変化に中 小病院が対応していくために医療機関に対して何かその経営の新しい戦略を練る上での 情報提供ができないかということを発想のスタート地点にして、患者、とりわけ患者ニ ーズについて情報提供を行っていこう、ということでこの満足度調査導入による経営改 善の調査というものを組み立てたわけです。  「調査の目的」です。後ほどご説明しますが患者アンケート調査というものを実施い たしまして、患者さんが総合的なその病院に対する評価する際、どういった個別医療サ ービス内容を重視しているのかということを明確にしていこう、ということに取り組み ました。要するに病院側としては、まず手をつけなければいけない医療サービス内容に ついて優先課題というものを明らかにし、情報提供していこうと考えたわけです。  資料の2つ目の□の所です。病院のアンケート調査というものを行いました。これは 患者指向経営、いわゆる患者満足(CS)を高めていくために、病院側はどのような取 組をしているのか、また、患者ニーズを病院サービスに反映させるために職員の周知徹 底といったような方策がどのようにとられているのか、といった実態を捉えようと試み ました。  さらに、実践されている事例等も集めてそれらのノウハウについて全国の医療機関に 情報提供をしよう、ということがこの調査の目的でした。  資料の3頁です。「調査研究の全体像」として、全体としては文献調査、患者アンケ ート調査と病院アンケート調査を行いました。これらの結果を踏まえて事例調査を行い 、ノウハウの分析ということに努めたわけです。本日は、20分程度の時間ですので要点 しかご説明はできないのですが、厚労省の医政局のホームページに調査報告書の全体像 が掲載されていますので、詳細については、こちらのほうでご案内いただきたいと思い ます。  4頁の「研究体制」です。ここに書かせていただいているように、田中先生を初め企 画検討会議をヘッドに置き、その下に研究班ということで九州大学の高木教授に班長に なっていただき、調査研究を富士総合研究所で実施しました。  では、結果についてご報告します。まず、「患者アンケート調査」について、方法を 簡単にご説明します。  こちらは、もう1つ別添の資料でお配りしている抜き刷りの調査票が現物です。これ は入院患者さん用の調査票ですが、平成14年2月1日から18日に実施いたしました。対 象は全国で30カ所。実際に受療していた入院・外来患者さんに実施しております。回収 は、入院が983件、外来が1,439件でした。調査方法は、各協力していただいた民間の病 院に、手渡しの形で調査票を患者さんにお渡しいただきました。回収については、調査 結果についてバイアスがかかることのないように富士総研事務局宛に返していただいた という手法をとっております。  6頁は、この患者調査票の全体の構造です。まず、この3つのパーツに分けて調査項 目を設計しております。1つは、病院職員についての評価に関するものです。これは医 師、看護師、薬剤師、医療技術者、受付、会計職員といった方々について説明、相談へ の応答、基本的接遇態度や信頼感といったようなことについて聞いております。  もう1つのパーツが、このBの病院設備、全般機能についての評価です。これは施設 整備面、それから診療情報の開示や紹介の手続きといったような附帯サービスについて も聞いております。  これらA、Bの要素を含めて最終的に総合評価、その病院に対して受療したことにつ いてどういった満足度を感じたか、という評価を書いていただいております。そのほか に「基本属性」として、患者さんの属性についても書いていただきました。  ここで「満足」ということの定義です。先ほど申しましたように、国内の文献を調査 しておりますと、これらのCS調査の中で、「これらのサービスについて満足しました か」という形で回答を得るものが非常に多くありました。しかし答える側からすると、 満足したかどうかと聞かれると、非常に高い歩留まりで「満足」、「ある程度満足しま した」と回答してしまうという傾向があります。むしろ今回の場合は、経営改善に資す る情報を提供することが目的でしたので、問題点を掘り起こすという意味でこの選択肢 に書いてあるように、「非常に多くの問題を感じた」から「問題は感じなかった」とい うところで問題点にフォーカスを当てて回答していただくというような調査設計をして おります。  「結果」です。これは病院職員について、実際調査票の中の1頁目の設問を見ていた だくとわかるように、例えば「医師についてお伺いします」と書いた所の(1)で、「非 常に多くの問題を感じた」から「問題は感じなかった」という所までを評価していただ いたものの棒グラフになっています。これが職員全体の平均値で「問題を非常に多く感 じた」から「少し問題を感じた」までの合計の長さの割合をこの棒で表しております。 この平均を黒い線で縦軸にとってきますと、平均をオーバーした所というのがとりわけ 患者側からみた場合に、問題点を大きく感じた」という要素として抽出できます。例え ば医師については、「病状・治療方法等の説明について問題を感じた」という回答が高 くなっています。(2)で、「本人・家族からの相談に対する応答が悪かった」というよ うな問題点の指摘がありました。  右のほうに「主に挙げられた問題点」とありますが、これは調査票の中で「問題があ った」と回答された方に対して、具体的にその内容が何だったのかということを選択方 式で○を付けていただいております。その中で回答が多かったものをここに書いており ます。  医師については、病気の種類や特徴、病状についての説明が多少問題を感じたという ような回答の割合が高かった、ということです。  次に病院の施設整備面、2つ目のパーツのBについて見ました。これが施設整備面の 平均に関する問題を感じたというウエイトです。8頁です。全体としては、28%ぐらい の回答として「問題を感じた」という割合が出ています。先ほどの回答で医師を初めと する病院職員についての問題点というのは22%程度ですので、全体の問題点の重要度と しては、施設整備面のほうが問題点の回答割合は高くなっています。  これで要素として平均値より大きかったものというのが病棟、病室等の療養環境の快 適性や食事、先ほど西澤先生からもお話がありましたような談話室やお手洗い、売店等 の附帯設備、快適性といったようなことも、問題点として挙げられていました。  ここまでは、各調査結果の要素を単純にどういった点を問題点として挙げられている のかということを分析したところまででしたが、ここでお見せしている総合評価との関 係という結果を1つご紹介したいと考え、ここに付けてまいりました。  これは何をしたかと申しますと、縦軸に全体の総合評価、調査票の中では最後の12頁 の一番最後、問16の所でこの病院の治療内容や設備を含めた全般的な内容について、ど の程度問題を感じたか、という評価をしていただいていますが、この総合評価に対して 、各サービス要素別の満足度と関係性があるのかというものを附置したグラフになって います。簡単に申しますと、この4象限の中で右肩、上にプロットされているサービス 要素ほど全体の満足度に強く影響していますし、その相関係数が高いものと理解してい ただければと思います。  ここでわかるのが、ご覧いただけますように「医師の病状・治療方法などの説明」、 「医師への信頼感」、「看護の方法等」、「看護職の信頼感」が病院に対する総合的な 評価に影響している要素として客観的なデータとして明らかにされた、ということがお わかりいただけると思います。  これをまとめたものが10頁に書いてあるものです。「医師の病状・治療方法等の説明 」、「医師への信頼感」、「看護師の看護方法等」についてが非常に入院患者の満足度 を高めるために重要度の高い要因ということで、定量的に評価することができました。  次に、施設・設備面についての同様のプロット図です。これについても「病院内の施 設の快適性」、「療養生活の快適性」という要素が重要度の高い要因として取り上げら れていることがご覧いただけるかと思います。  続いて、「病院アンケート調査」の結果をご報告します。これは、最初にご説明した 患者アンケートと平行して行った、全国に行った病院アンケートです。これは平成14年 2月1日から16日を時期としまして、全国に3,500件、無作為抽出で実施いたしました 。回収は17.7%に留まったのですが、618件で集計しております。郵送方式で実施いた しました。  ここで調べた調査の構造です。病院属性に関すること、病院の運営状況、例えば平均 在院日数や平均外来患者数、保険診療収入といったような運営状況の概況を聞いており ます。  この調査の目玉である「患者指向の病院運営の実現に向けての取組み」ということで 、運営方針全般について個別の医療サービスのステップ別に、具体的に申しますと、患 者さんが受付をされてから最後、会計を済ませるまでの各ステップにおいて、患者指向 経営ということを留意した取り組みが行われているのか、ということを設問で組み込ん でまいりました。これについて、概観をご説明します。  結果です。全体としては618件の回答がありまして、7割がいわゆる一般民間病院の 回答でした。  病床数でまいりますと、100床以下の病院が3割、200床以下が3割程度です。全体の 7割弱が、200床以下の病院ということです。  ここで最初に「患者ニーズの把握状況」ということで、これはマルチアンサー(複数 回答)で回答いただいております。16頁です。実際、「どういった患者ニーズの把握方 法に取り組まれていますか」という問です。  いちばん多かったのが「院内に意見箱を設置して分析している」というのが8割、「 患者アンケートによる調査」というのが5割程度、「特に実施していない」という所も 10%程度ありました。  「結果を反映させる仕組み」です。先ほどご説明した患者ニーズを把握させる手法を 通じて得られた情報を実際院内でどういうふうにそれを反映させるように取り組んでい るか、ということをマルチアンサーで回答を求めたものがこの17頁のグラフです。  いちばん多かったのが、「検討委員会等を設置してサービス向上のあり方を検討して います」というのが5割、「院内報等を通じて職員に情報提供をしています」というの が35%程度という結果でした。  これはまず、この設問を設定したときに上から下に向かって比較的取り組みの濃度と しては濃いものというのを想定しておりました。つまり「調査結果を人事考課にまで反 映していく」というようなところまで取り組んでいる病院は6.3%あったわけですが、 その結果をダイレクトに病院の経営に反映させている仕組みを取られている病院、とい うふうにこちら側としては仮説を設定してこの回答を求めてまいりました。  それからここで医師、先ほど患者調査のほうで非常に重要度が高いというふうに結果 が出ていた、医師を対象とした取組みとしてどういうことをやっているかという回答を マルチアンサーで求めたものです。実際は、「医療事故の防止に対するガイドラインを 作って事故防止に取り組んでいる」という回答が6割、「医療の情報提供等について一 定の手順や取決書を作っている」という回答が4割という形でした。その他、「院内の 症例検討会で質を評価している」というような回答も4割あります。反対に、「特にや っていない」という回答も1割ありました。  看護師について同様に調査しておりますが、先ほどの18頁の医師と比較して、比較的 どの回答も割合が高くなっていますが、「ケアの提供方法等についての取決書」が7割 、「ガイドラインについて」が74%、「ケアカンファレンス等による評価」が5割、と いうような回答になっています。  ここまで病院調査のほうは簡単にご紹介しましたが、1つ取組みとして、先ほど17頁 の所でご紹介した患者のニーズを把握するための取組み、先ほど院内報で調査結果を職 員に周知といったような方法から人事考課に反映させるというような手法までご紹介し ましたが、この回答をした病院の実際の経営状況がどうなのかということを分析したも のがこのクロス集計の棒グラフの意味です。  実際にご覧いただきますと、この人事考課に反映するというような回答をされた病院 は黒字、これは、実際は3%程度医業収入に対する医業費用の差を見たときの医業収入 に占める割合が3%程度以上のところを黒字というふうに今回、便宜的に評価させてい ただいたわけですが、8割から9割の病院から黒字であるという回答が出ています。N 数は多少少ない所はありますが、ここで調査研究班として設定した患者ニーズを踏まえ た改善策について全く何もしないというよりは、捉えた結果を職員に周知したり、症例 検討会を開いたり、人事考課にさらに反映していくというような取組みの濃度を高めて いくことによって、病院の経営改善ということも実際にある程度図られているというこ とがうかがわれるのではないか、と考えております。  最後に、「患者指向経営の実践に向けて」ということで、取組結果を少し総括させて いただきたいと思います。  まず、一般的にCSの調査を他サービスについて文献等を研究してまいりますと、い わゆるサービス満足度を調べるときには、「本質サービス」と「表層サービス」に分け て分析することが必要だということが言われています。  例えば本質サービスで言いますと、病院では治療技術であったり、病状、治療方法の 説明ということです。表層という意味では、接遇であったり病院・病室の雰囲気といっ た、または診療予約等の手続きといったようなことも、ある意味表層サービスというふ うに整理できるかもしれません。  今回、総合的な満足度にどういった要因が重要度が高いものとして分析できるか、と いうことを試みでやったわけです。言うまでもなく、この本質サービスの影響度という ことが非常に高かったのだということを、もう一度、客観的データを通じて全国の病院 に伝えるべきだと研究班としては考えています。  ここで、「患者指向経営の実践」についての総括をしますと、特に医療の質を向上さ せていくための直接的な手段として、この患者満足度調査(CS)の反映ということに 取り組むことは1つ必要ではないかと考えております。それから第2に医療の管理手段 として、つまり先ほど人事考課という、かなりいちばん突っ込んだ手法ということをご 紹介しましたが、患者からの要望といったものについてどういうふうに病院として経営 方針を立て、戦略を立てるのかという、管理手法としてそれを使っていくということ。  さらに突っ込んで医療の質についての評価の手段、自己評価であり、他者との評価・ 比較でもあり、評価の手段としても一部見ることができるのではないか、ということを ここでまとめております。  いずれにしても、患者から寄せられたデータをいかに戦略的に病院が活用していくの か、ということが非常に重要なテーマになるかと思います。  少しマクロな視点でこの患者指向経営、満足度を把握した病院運営の重要性というこ とを3点から取りまとめた文献をご紹介します。これは長谷川氏が1999年に報告されて いますが、(1)患者側から見た場合、患者満足度が高まり、信頼感が高まったりQOL が高まることで転院率が低下し、1つの病院にきちっと受療するというような効果があ る、ということが国内・外の文献で評価されているということを指摘されています。  また(2)医療機関側から見れば、この最初の患者側から見たものの裏返しとして継続 受診者が増えますので、経営の安定化につながる。またある調査では、自分の親族や友 人をその病院に誘うかといったような設問を入れているものもありますが、新規受診者 の獲得といったようなことにも1つのメリットがある、ということを評価されています 。  全体の(3)保険者としては、1つの病院に信頼を持ってかかることは、その重複受診 の減少につながるというようなデータを、これは国外の文献ですが、評価したものがあ りました。  そういう意味で患者満足というのは、いわゆる全体的な雰囲気ということだけではな くて、少し本質サービスに踏み込んだところで患者ニーズをどう病院の運営に反映して いくのかというところで今後、医療機関のほうでこの情報を活用していただければと思 っております。調査結果は以上です。 ○田中座長  どうも、ありがとうございました。引き続いて、損保ジャパン総合研究所の中村研究 員に発表をお願いいたします。 ○中村研究員  損保ジャパン総合研究所の中村です。よろしくお願いいたします。早速、説明に入ら せていただきたいと思います。資料は、「平成13年度厚生労働省医政局委託 『病院に おけるアウトソーシング等の活用について』調査研究結果概要」というパワーポイント で作った資料と、本日は詳しく説明はいたしませんがご参考としてヒアリングの事例集 の抜粋というA4の縦で作った資料です。 まず、資料4頁の「調査研究の背景と目的」ですが、背景についての捉え方として2つ 挙げております。ひとつは、医療施設を取り巻く環境の変化として、人口動態の変化や 疾病構造の変化に伴って医療・介護等のサービスに対する需要が変化しているというこ と。もう1つは、医療法や診療報酬の改定、介護保険制度の導入、こういったことによ る制度面での変化といったところが挙げられるかと思います。  そのような環境における医療施設の経営の現状はどうか、ということですが、一般・ 療養の病床選択、専門分野の強化、病棟の建て替え、看護職員の確保、こういったさま ざまな経営課題を抱えております。そういった中で業務の外部委託、医療以外の業務に おける業務展開、関連法人の活用等によって業務運営や組織体制を最適化し、経営の効 率化やサービスの質を向上していこうというような動きが見られます。  このような背景を踏まえて、この調査研究の目的ですが、まず1つは、業務の外部委 託や、医療以外の業務展開が民間病院の経営にどういう影響を与えているか、というこ とについての実態の調査です。2番目としては、病院経営の効率化、サービスの質の向 上を効果的に実施するためにどのような方策が考えられるのか、ということについて提 言を行うことです。  この調査研究では、企画検討会議と研究班を組織して、研究班で具体的な作業を進め たわけですが、横浜市立大学の橋本先生に研究班のご指導をお願いして、安田総合研究 所が実際の研究を行いました。  「調査研究のプロセス」については、資料の6頁から8頁にわたって書いてあります 。手法としては、アンケート調査とヒアリング調査を行いまして、その2つから最終的 に調査結果を取りまとめました。  まず、アンケート調査の内容ですが、7頁の(1)から(4)に書いてあるとおりです。 (1)の「民間病院における外部委託の実施状況」と(2)の「外部委託が病院経営に与えて いる影響」、これが外部委託についての調査です。(3)の「主に高齢者を対象とした医 療・介護のサービスや関連分野のサービスについての実施状況」は主に附帯業務に関す る調査を行っています。(4)が「関連法人の活用状況」です。この研究においては(1)、 (2)の外部委託の所を中心的なテーマとしておりました。本日は、時間の都合もありま すので(3)、(4)の所については割愛させていただきます。  アンケート調査では全国の民間病院、3,000病院にアンケート調査票を配付し、その うち701票、有効回答率としては23.4%の回答を得ました。  次に、ヒアリング調査におきましては、この調査研究の中心的な対象領域であった外 部委託のみに調査項目を限定して、外部委託を実施している病院における成功事例や失 敗事例を収集しました。また、アンケート調査で得られた結果がヒアリングの場で聞い てみて実際に当てはまるかどうか、というような検証も行いました。  調査の対象としては、北海道から九州までの各地方から、中小の病院を中心として16 病院にヒアリング調査を行いました。ヒアリング対象先の抽出は2つの方法で行いまし た。1つがアンケート回答病院からの抽出です。これは、アンケートの中でヒアリング 調査に協力の意志を示していただいた病院の中から、外部委託をしている業務が多い病 院を抽出いたしました。2つ目としては、文献等によって先進的な病院経営に取り組ん でいる病院として紹介されているところを抽出いたしました。  それでは、調査結果についての説明をさせていただきたいと思います。9頁の「外部 委託の実施状況と経営への影響」という所からが、主にアンケート調査の結果です。今 回アンケートで対象とした業務種類は、9頁の表に書いてある15業種です。医療関連サ ービス振興会等で先行調査が多い、法令上の医療関連サービスの8業種については、今 回のアンケートでは対象外といたしました。  10頁と11頁は、各業務について外部委託の実施率、それと、外部委託を実施していな い場合に今後実施する意向があるか、ということについて調査をしたものです。  まず、外部委託の委託率の高い業務としては、いちばん高かったのが税務申告です。 これに施設管理、院内情報コンビューターシステム、警備保障、一般経理・会計、医療 事務というような業務が続いています。  現在は委託していないけれども今後委託する意向の多い業務としては、人材教育、広 報活動、医療情報サービス、院内情報コンピューターシステム、医業経営コンサルティ ング、医療事務と、このような順番になっていました。  続いて12頁、13頁です。外部委託を実際に行っている病院について、外部委託の成果 についてどのように評価しているか、というものを調査したものです。  12頁のグラフの数字で間違いがありまして、ご訂正をお願いいたします。まず、グラ フの2本目の所に「総務・庶務」と書いてありますのが、これを消してください。次に 、3列目の「一般経理・会計」となっている所が、「総務・庶務」です。次に、4列目 の「税務申告」となっている所が、「一般経理・会計」となります。それから税務申告 のグラフが抜けています。数字を申し上げます。左から4.9、75.1、13.4、2.2、4.3と いう数字になります。  こちらでは外部委託の成果について、「成果は期待以上である」というものから、「 期待を下回っている」という4段階に分けて質問をいたしました。  まず、委託の成果についての評価が高い業務ということで5業務、上から挙げていま す。まず税務申告、こちらが「期待以上」、「期待どおり」というような項目を合計し て80%。以下、自動車管理、施設管理、一般経理・会計、警備保障という形で続いてい ます。  一方、委託成果への評価が低い業務では、こちらは選択肢の下の2つを合計した数字 ですが、いちばん評価が低かったのが医療事務です。それに院内情報コンビューターシ ステム、広報活動、医療情報サービス、人材教育が続いていました。  続いて外部委託を実施している病院について、それぞれの業務でどのようなプラスの 効果が得られているか、ということを整理したものが14頁の表です。説明については、 15頁に書いております。まず、すべての業務を通算して、ということでは、「職員が本 来の業務に集中できる」、「業務の質の向上」、「業務の迅速化」といった項目が高い ポイントになっています。これらは、「経費の削減」や「固定費の変動費化」といった 経済的な効果を上回っている、という結果が出てまいりました。  業務種類別では、まず、税務申告については、「業務の質の向上」、「業務の迅速化 」、「職員が本来の業務に集中できる」というような項目が高い評価を得ています。  医療事務については、「人員の不足・過剰への対応」、「経費の削減」、「労務管理 の軽減」、「固定費の変動費化」という項目。  院内物品管理については、「在庫の適正化」、「スペース不足の解消」、「経費の削 減」「固定費の変動費化」といった項目。  警備保障では、「職員が本来の業務に集中できる」、「労務管理の軽減」、「人員の 不足・過剰に対応しやすい」、「担当職員の労働条件の改善」、このような項目が高い 評価を得ています。  一方、外部委託を行ったことによるマイナスの面ということについても聞いておりま す。これが16頁、17頁の所です。ほとんどの業務については、マイナス面は「特にない 」という回答が最も多かったわけですが、一部の業務では、マイナス面が出てきており ます。  まず、医療事務については、「業務の質の確保に不安がある」という回答がほかのも のと比べても非常に多かったということがあります。それと院内情報コンピューターシ ステムについては、「緊急時などに融通が利かない」というものが多くありました。そ して警備保障については、「業務の質の確保に不安がある」という回答が多くなってい ます。 その他の調査項目については、今回データはご紹介しませんが、調査した項目としては 、外部委託に当たってどのような準備をしたか、とか、委託業務の質を確保するために どういうことをやっているか。また、外部委託をしていない場合については、外部委託 をなぜ実施していないのか、といった項目についても質問しています。  次に、アンケート調査結果のまとめとして、「業務種類ごとの特徴」について何業務 かを抜粋してお話させていただきます。一般経理・会計、税務申告といった業務は、ほ かの業務と比較して委託率が高く、委託の成果については高く評価されております。プ ラス面としては質の向上や迅速化といったものが挙げられていて、マイナス面としては 特に挙げられているものはありません。委託の準備においては事業者の評判を確認する 程度で、ほかには特に目立つものがないという結果が出ていて、こういったことを考え ると外部の専門性に対する信頼度が、比較的高い業務なのではないかと考えています。  医療事務については、規模の大きな病院において委託率が高く、プラス効果としても いろいろな面が評価されておりました。その一方マイナス面として業務の質の確保に不 安を持つ病院は多いこと、委託成果に対する評価が低いこと、委託しない場合について は、マイナスの影響を心配する意見が多いという結果が出てきました。こういった結果 を総合すると、プラスの効果に対する期待というのは大きいけれども、その反面実際に 委託している場合に、うまくいっていない病院も結構多いのではないかと考えています 。  院内情報コンピュータシステムですが、これについては委託率が高く、今後委託する 意向を持つ病院も多いという結果が出ていました。プラス効果としては「職員が本来の 業務に集中できる」、「業務の質の向上」、「業務の迅速化」といったものが挙げられ ています。一方、成果に対する全般的な評価は低いという結果が出ていて、また、委託 の準備のところで、「料金を比較した」というものが目立っていました。このような結 果を見てみると、コンピュータシステムについては高額な費用がかかるということで成 果に対する期待が大きいけれども、必ずしも効果が上がっていない場合もあるのではな いかと考えています。  最後は院内物品管理ですが、委託率、今後委託する意向もあまり高くありませんでし たが、実際に委託している病院については「成果が期待以上である」という回答が非常 に多かったのが特徴です。プラスの効果としても多くの事項が選択されていて、マイナ ス面として特に目立つものはないという状況です。そういうことを考えますと、委託率 は低いけれども、委託している病院では比較的効果が上がっているケースが多いと言え るのではないかと考えています。  21頁以降、ヒアリング調査の結果を中心にして、この調査研究のまとめとして病院が 外部委託を効果的に実施するために、どのようなことがポイントになるかを6点に整理 しております。それぞれ簡単に説明させていただきたいと思います。まずは22頁の「外 部の専門性の活用」です。ポイントとしては、外部の専門性を認めて病院経営に積極的 に活用しようとする意識を持つことにより、外部委託を効果的に実施できるのではない かということです。ヒアリング調査においても、外部委託がうまくいっている病院とい うのは、非常に外部のノウハウを利用することに対して熱心でした。  2つ目のポイントは、「外部委託する業務の選択」です。先ほどのアンケート調査結 果からも、どのような業務がどういう効果をもたらすのかが、ある程度見て取れるかと 思うのですが、業務種類ごとに得られる効果が異なるということで、病院の置かれた環 境や経営課題といったものに適した業務を選択することが重要であると考えています。  3つ目の「外部委託の準備」については3つのポイントを挙げています。1つ目は委 託先の事業者の選定においては、先行事例の見学や料金の比較といったことが有効であ ること。2つ目は契約締結の際に、契約内容を十分に点検することによって、委託後の トラブルを回避することができること。3つ目は、職員の業務プロセスに対する影響が 大きい業務を外部委託する場合や、労働組合との良好な関係を重視している場合につい て、事前の意見調整が非常に重要になってくるということです。  4つ目は「委託業務の質の確保」で、ポイントを2点ほど挙げています。1つ目は委 託業務を標準化するための継続的な取り組みや、業務の質を評価する体制、委託先職員 に対する教育、委託先の定期的な見直しといった方策を病院側が講じることによって、 委託業務の質を確保することができるということ。2つ目は、委託先職員が病院内部で 働いている場合について、委託先職員の労働意欲を向上させて定着率を上げるような取 り組みによって、業務の質を確保することができるということです。  5つ目は、「委託成果の定期的な評価と見直し」ですが、これは質の確保だけではな くて全体的なパフォーマンスの評価、見直しのことを言っています。外部委託の導入後 に委託の成果を定期的、定量的に評価して、改善への取り組みを継続することが委託の 効果を高める好循環を生み出すことができると考えております。  最後のポイントは、「外部委託のマネージメント体制」についてです。経営の目的に 照らして外部委託のメリット、デメリットを検討するキーパーソンの存在、それとその キーパーソンを中心として委託業務の評価、改善を行う組織体制を整備するといったこ とが、外部委託を効果的に実施するポイントであると考えています。以上お話しました 6点が、この研究の最終的なまとめになります。 なお、こちらの報告についても、報告書の全文は厚生労働省のホームページに掲載され ていますので、詳しい内容についてはそちらをご覧いただければと思います。以上です 。 ○田中座長  どうもありがとうございました。それでは3名の方々の意見を踏まえて、委員の方々 のご意見ご質問がありましたらお願いします。 ○石井委員  3名の方々のことを受けた形になるのですが、簡単に私なりに資料を作ったものがあ りますので、ご覧ください。5分だけいただいて、意見を述べさせていただきたいと思 います。  5頁をご覧いただきますと、「経営の現場からの現状認識」と書いてあります。いま までの医療機関は、かなりきちっと経営管理や経営改善を実施してきたのだろうと思っ ておりますが、今年の4月以降明らかに医療は経済デフレ化をしていて、さまざまな影 響が出ています。そういう中で、これからはさらなる意識改革の必要性と改革を実現す るためのスキームの導入がどうしても不可欠だろうということで、現在数十の病院の経 営と関わりを持っている立場から、現場において私自身が感じていることを簡単に述べ させていただきます。「医療法人経営の効率性」の下に4つの疑問符が出ています。医 業経営における経済性や効率性の重要性に対する意識というのは、各医療機関の中で十 分に認識されているのだろうか。外部への業務委託よりも内部における意識変革が必要 なのではないだろうか。特にコスト面の評価は、外部委託に関してきちんと完全に行わ れているだろうか。先ほどお話がありました外部委託のマネージメント体制というのは 、完璧に確立をされているのだろうかということでもあります。意識のみで改革はなし 得るのか。あるいは意識と知識と経験のすべてが、満足なレベルに達しているのかどう か。こんなことを日常的に感じております。  現場から医療の経済性認識をきちっとして、ものを積み上げていかなければ何も変わ らないという現実があります。そうなりますと、もう既にある程度の組織的運営をされ ている、しかしながら特に病院開設型の医療法人等においては、更なる組織的管理が必 要なのではないだろうか。現実的には経営情報というものが十分に掌握されて管理され て、分析評価されて伝達されていないような気がします。  医療や病院における質の管理の議論は、この数年間非常に中身が濃くなってきていて 、それなりの成果等も出ていると思うのですが、他方において経済的側面から経営を評 価して分析し、その結果を各現業に伝えていくようなシステムは残念ながら、それほど きちっと作られているとは思えない。組織的管理を行おうとしたときに必要なものは有 り体ですが何かなと考えますと、経営システムの構築、管理体制の確立、人材の育成、 調達ではないだろうか。  8頁をご覧いただきまして、そうしますと経営を全体的に組織的に管理をする部門は どこなのだろうか。診療部門だろうか、入院部門だろうか、検査部門だろうかと考えて いきますと、どうしても経営の効率性、経済性を管理する部門はいわゆる事務管理部門 であろうと思われる。組織運営の効率性を確保することが必要だということは、ご了解 いただけることだと思います。その管理の中心は、したがって事務管理部門ではないか 。なおかつ、いま現在事務管理部門の役割は、極めて大きく増大する傾向にあるだろう と考えられる。  ところが、この事務管理部門がきちっとした形での技術力を持っているのだろうかを 考えると、どうも完全・万全とは言えないような気がします。理念があっても技術力が なければ何もできない、管理不能に陥るというのが経営の基本ですので、そうなってく るといまいちばん必要なのものは何かを考えますと、10頁の「結論」です。病院の経営 内部において、合理的で適切な意思決定システムを構築することが最も大切な施策では ないかと思われ、それをするためには何がいちばん大切かというと、人であろうという 結論に到達します。人がなくしてシステムがあっても何も機能しないということですの で、私自身が最近強く感じていることですが、現在従事している事務職員の教育研修の 実施がきちんと行われているだろうかという点です。いま、アウトソーシングに関して ご発表いただいた中身を拝見しても、人材教育部門に関しては効果が非常に大きいだろ うと評価をされている。しかしながら、導入率は非常に少ないことになっていて、少な く導入をされたものに対する評価が小さいと、残念ながら有効に機能していないような 部分もある。したがって、その部分をなんとかして作っていけないものなのだろうかと いうのが一つの結論であります。  もう1つは、医療界以外からの事務管理職の登用ということも必要なのではないだろ うかという点です。医療界は非常に特殊な要素を持っているので、外からそういった方 を招聘する際の教育研修のプログラムというものが是非必要であると考えます。一般の 企業にいらっしゃって大変有能な管理職をおやりになった方も、基本的に企業の行動理 念というのは合法的に、いかにきちっとした採算性の下で利益を最大化するかとなりま すが、医療はそれだけで成り立っているものではなくて、それ以上にまさに適切なサー ビスをきちっと医療として提供できるかが大切なことで、そういう理念も含めたところ で、あるいは医療界の経済的な実態も含めたところでの教育研修を行うことによって、 医療界以外からの事務管理職の登用のための何らかの方策も必要なのではないか。実感 として、こんなふうに思っています。  最後に記載はしていませんが、自然発生的にはコスト意識というのは生まれないはず で、経営全体を見ながらそのコスト意識を持たなければいけないのだけれども、経営の 全容を数値的に掌握するのは事務管理部門です。したがって、コスト意識を伝達するの は事務管理部門の役割になるのではないのだろうか。事務管理部門自身が、コスト意識 を持つ必要性があるのだと。これを持つためには、どうしてもそれなりの教育が必要で あります。これによって初めて、現場の医療部門に対してコスト意識を持っていただく 合理的説明ができるのではないだろうかと。内容が一部繰返しとなりましたがこの数カ 月、医業経営が非常に厳しくなってきている過程の中での実感として考えたことを、私 説ですが申し上げました。 ○田中座長  ありがとうございました。最初のお三方の発表についてでもいいし、委員の発表でも 結構ですが、どうぞ。 ○川合委員  山本さんに教えていただきたいのです。提出されました資料の11頁の「病院内の施設 、療養生活の快適性と問題率の相関が取れている」という話です。この表の見方をちゃ んとわかっていないのかもわかりませんが、病院の情報提供や診療記録の入手や紹介と いうのは、問題率と相関が取れていないというのは、いったいどう読めばいいのですか 。 ○山本主事研究員  まずこのデータは、入院患者さんの調査結果の分析結果をまとめたものです。見てい ただくときに、縦軸は総合的な満足度が高いものが上にいく。横の軸は、その総合的な 満足度と関係性の強い、相関係数が右にいけばいくほど高いものという評価になってい ます。先生がおっしゃられるようにこのプロット図でいきますと、診療情報の記録や病 院の情報提供というのは低い方向に出ていますので、一見満足度と関係ないように見え るのですが、そうではなくて、ここで回答した方の立場を捉えますと既に入院をして、 退院せんという方に対して看護師さんが調査票を配られていますので、その方が特に入 院時の情報を入手したいとか紹介したいというところに問題があるとか、この手続を踏 んで問題指示をしたことを回答しなかった。特に問題は感じなかったとしたために、こ の回答の中ではその下のほうに附置されたということです。回答になったかどうかはあ りますが、要するに入院患者さんの立場からすると、この診療情報の提供というのは特 に退院する段階では、満足度に強く影響する要素として、通常は優先順位の高いものと して出てこなかったということです。 ○小山委員  座長、中村さんのプレゼンテーションで資料の訂正が口頭でありましたが、新しい資 料を配っていただきたいと思います。  山本さんの話はご苦労さんでしたという形で、満足度についてはたくさん先行研究を 文献調査したというのですからそれ以上言いませんが、20頁だけは嘘です。20頁の「患 者指向経営の取組み度別にみた経営状況」で、これを患者指向経営が高いほうが、経営 状況はいいと言いたいのだろうけれども、有意だったってどこが有意なのですか。「検 討委員会等を設置して検討」43.2と「特になし」44.0の間に全く統計的に有意はない。  それから母数を記載していませんが、618病院ですよね。私が計算しますと、これで 答えたのは420病院ではないですか。そして3%以上を黒字にしたのですね。それで統 計を取ったのですね。これで有意と言われてしまうと、その思いは結構ですが、統計的 にはお作法として正しくないので、ご訂正いただくならご訂正いただいたほうがいいと 思います。 ○田中座長  いずれにしても資料は必ず変えるのと、これを統計的有意と読んだり因果関係がある ような説明は間違いですね。「こういう結果がありました」としか言いようがないと思 います。 ○山本主事研究員  はい。 ○田中座長  ほかによろしいですか。 ○豊田委員  医療法人経営の効率性あるいは運営について、意見を述べさせていただきます。医療 法人に限らず医療には、その医療の平等性や公共性、非営利性ということが厳然とある わけで、そのことについては前回私も説明しましたが、そうである以上、制度があり、 また規制がある。これはまたやむを得ないところです。そういった制度及び規制という ものは必要ですが、また時代によって社会背景によって変わっていくことでもあります 。今日のテーマについて、制度面と経営面から現実的な問題について、少し意見を述べ させていただきます。  まず、医療法人の運営、経営の効率性と言いますが、医療法人制度ができて既に50数 年経ち、全国の病院数の60%以上が医療法人経営であります。また病床数も40%以上を 占めます。つまり、国民医療における医療法人の経営の医療機関の役割というのは既に 定着して、これは我が国で国民医療を安定的に継続するためには、必要な部分になって います。したがって経営の効率を言う前に、この医療法人制度が安定して存在する必要 があるということで、特に持ち分ある社団について、出資額限度法人の創設について前 回お話申し上げました。大切なことは医療法人制度の立法の趣旨であり、特定医療法人 あるいは特別医療法人の新しい制度ができたのも、医療法人そのものを少しでも公益性 の高いほうにシフトさせようとの意向によるものであり、また、そういうふうにシフト した医療法人に対しては、それなりの対応をしていかなければならないということです 。つまり、こういった特別医療法人あるいは特定医療法人というのは、その立法の趣旨 からしてこういった医療法人が増えることを期待しているという言い方もできるかと思 います。医療法人により公益性を高めることを期待するとすれば、それに向けたインセ ンティブを高めることが必要になってくるわけで、是非この検討会でもそのことについ て議論を深めていただきたいと思います。  例えば現在、社会福祉法人並みの公益性、公共性を持った特別医療法人あるいは特定 医療法人にしても、公益性が高いからうまくいっているのかというと、必ずしもそうい うことではありません。現在、依然としてある差額ベッドの20%規制、あるいは料金の 平均5,000円以下、問題なのはいま健診とか予防とか、そういうことが重要視されてい るこの時代に、収入の80%以上を保険診療の収入で確保しなければならないといったこ と。それから、給与体系といったことは制度として必要であるとしても医療法人がそち らのほうへシフトしようとするときに、大きなハードルになっていることも事実です。  それから、インセンティブを高める点では、先ほども西澤先生のお話に出ていました が、例えば特別医療法人、この法人の公益性の高さからすれば社会福祉法人、特定医療 法人と何ら変わらない。にもかかわらず、いまだに株式会社並みの税制であることは、 いったい何なのかということです。  それから、特定の医療法人についても多少法人税は下がっていますが、社会福祉法人 と特定医療法人について、片方は法人税なしで、片方に法人税がある理由として、医療 そのものに収益性があり、片方は社会福祉法人の特養などの社会福祉事業はそういった ことに該当しないということで、一応納得できる面がありましたが、現在介護保険がス タートして、その論法はもはや通用しない。片方は医療保険、片方は介護保険ですが、 仕組みは全く同じです。  したがって、そういった意味でも税制面での不公平性は早急に是正してもらわなけれ ばいけませんし、特に特別、特定医療法人の、そちらのほうに医療法人をシフトさせた 、より公益性の高い医療を国民に提供していこうという立場からすれば、急いで改革し てもらわなければならない問題です。  先ほど言いましたとおり法制度、それに伴う規制というのはやむを得ないところがあ るわけですが、そういった規制というのは最小限にすべきですし、いま申し上げたいの は、そういった制度あるいは規制の中でいろいろと問題が生じたときに、その不服申立 てがある時に、透明度の高いレベルでこれを検討してくれることがはっきりしておりま せん。大体担当のところと話し合って、なんとなく「まあまあ」という形が現在の形で はないかと思います。  したがって、私どもは制度をきちんと遵守していきますが、医療機関側からの不服申 請に対し、それがどのように処理されるのか。そういうことの透明性を是非高めていた だきたい。そういった手立てを講じていただきたいと考えます。以上が制度面からの問 題です。  運営あるいは経営面の問題から少し話させていただきます。附帯業務の拡大について は先ほど西澤先生が非常に詳しく、わかりやすくご説明いただきました。附帯業務の問 題について、一般の医療法人については先ほどお話になりましたので、それはそのとお りだと思いますが、特に特定医療法人あるいは特別医療法人、その組織の基盤としては 社会福祉法人と何ら変わることのない公益性を持っている法人について、西澤先生も言 われました第一種の社会福祉事業、その中で医療に関するものは、この法人に行わせる ということを私も主張したいと思いますし、私どもの日本医療法人協会でも前から医療 福祉法人という構想で、この問題についてはずっとお話をしてきました。そういったこ とで、医療法人が第一種の社会福祉事業も行えるようにする。内容が私どもの言うとこ ろの、医療福祉法人という形を特別あるいは特定及び特別医療法人に是非許可していた だきたい。  もう1つ申し上げたいのは、先ほどから特別医療法人あるいは特定医療法人の必ず2 つを並べて話をするわけですが、この2つを是非1つにすべきだと思うのです。なぜこ れが2つに分かれているかわからない。意味はわかるのですが、このまま放置されてい ることが問題なのです。公益性が高いレベルで確保されていることは全く同じであり、 片方は旧大蔵省、いまは財務省の管轄である、片方は厚生省の医療法に基づくものであ るという、似たようなのが医療の中に混在することは整理すべきだと思います。是非1 つにしていただきたいと考えます。  それから医療法人にとって大きな問題は、前回もお話しましたが、資金調達の問題が あります。資金調達は私どもは間接金融、銀行や社会福祉・医療事業団からの融資がほ とんどです。日本の医療機関は、ほとんどそれでやっているわけですが、特に病院と医 療機関というのは高額医療機器を買うこともありますが、いちばん大きな資金需要が生 じるのは病院の建て替えの時なのです。戦後、あるいは昭和30年代に建てた病院は、い まは建て替えの時期になっています。たまたまいま、こういった長期の不況で融資も思 うようにならない状況の中で、医療機関はまさに資金の調達に苦労しておりますが、医 療法人にとって資金調達は、経営上非常に大きな問題であります。例えば公的な医療機 関にとってはPFIという、民間の資金を使えるような制度もあります。一般財源から の繰入れもあります。医療法人は、そういうことがないです。したがって私ども医療法 人協会としては、例えば病院債の可能性、SPCの活用ができないかとか、寄付金の問 題、補助金の問題といった資金の調達の選択肢を広げる可能性について、いま委員会を 立ち上げて検討していますが、そういった問題についても是非ここでいろいろなご意見 を賜りたいと思います。  最後に大きな問題を申し上げます。医療法人の問題が、株式会社参入の問題と合わせ て大きく取り上げられていますが、実は日本の医療の中で大きな問題は公私格差あるい は官民格差の問題です。ですから、医療法人制度の問題を議論する、株式会社参入の問 題を議論するときに、公私格差の問題が全く議論されないというのは、日本の医療提供 体制全体を考えるときに、何かが落ちている、いちばん大事なところが外れているので はないかという思いがします。そのことは先ほど触れましたが、民間病院に対する国に よる補助金、助成ということにも関係してくることですので、公私格差の問題について も是非、いろいろな面から議論をしていただければよろしいのではないかと思います。 以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。医療法人に関する規制緩和や手続や、税制はちょっと違う かもしれませんが、そういう固まりの話と実際の経営改善の話と、それぞれ整理をして いただいたと思います。発表に対する質問ではなくて、ご意見でも結構です。経営の改 善については、ご専門の方もたくさんいらっしゃいますので。 ○小山委員  西澤先生のお話は、要するに医療法人に特別医療法人で行われる収益事業を、医療法 人全部に広げろとおっしゃったのですよね。そのあと、でも本来は診療報酬でくれるほ うがいいし消費税もあるよねという話だったのですが、ちょっと聞き間違ってしまうと いけないので、何とおっしゃったのですか。 ○西澤委員  14頁が「要望」です。今回私が与えられたテーマは、医療機関の弾力性、効率性を高 めるためということで、附帯業務など医療法人の業務範囲に対する要望ということです から、それに対する要望は14頁に書いています。いちばん最後に述べたのは、今回こう いう発表するということでいろいろな病院関係者や団体から意見をいただいたときに、 附帯業務の拡大について言うのも結構だけれども、もっと大事なことがある。テーマか ら外れてはいるが、やはり本来業務で経営できることの大前提だと言ってくれと言われ ましたので、いちばん最後に述べました。そうご理解いただければと思います。 ○小山委員  ではお聞きしますが、特別医療法人に第一種社会福祉事業を行えるようにするという のは、医療法上の問題ではなくて社会福祉法上の地方公共団体か、そうでなければ第一 種社会福祉事業については社会福祉法人が行う法律を改正しろということになるのだと 思うのです。それはここで議論して聞いてもらえるかどうかはわからないのですが、特 別医療法人を作るときにいちばん問題になったのは、医療法人の継承問題だったわけで す。  今回は医療費がずいぶん引き下げられてひどいことになって、いま医療法人の経営が 非常に難しい。背景が少し違うと思うのですが、特別医療法人のときのいちばんの議論 になったことは、何しろ事業継承のことを考えようという形で、さらには収益事業にも 拡大してもよくて、さらには、その場合に特別医療法人になれば、よくわからないです が、税制上もかなり優遇ができるだろうと期待をしたわけです。  そうだとすると、社会福祉法人がなぜ社会福祉施設を社会福祉法の中で、そんなに庇 護しなければいけないかという条件なのですが、要するに社会福祉事業をやるときに全 く資本集積ができないわけですよね。ですから、補助金を付けて社会福祉法人を開ける ということになっているわけです。ただ、社会福祉法人にかなりの補助金を出している のですが、その補助金がもし事業の目的と違うことになったり、経営者が間違ったりす ると補助金を全部返せという条項が付いているわけです。ですから社会福祉法人という のは、実は財務諸表上は全く資産がないのです。だって、そんなものをもし不正にやっ たら、全部補助金を返せという法律になっている所に金を貸す人はいないわけですよね 。  そういう構図で、1つは特別医療法人の附帯事業というのは、社会福祉法人が行われ る附帯事業をそのまま持ってきただけなのです。社会福祉法人が附帯できる業務という のは、当時は社会福祉事業法にあったものをそのまま持ってきた。たしか旅館業だけは 抜いたのではないかと思うのです。ここまでの話をして、それでも特別医療法人には社 会福祉法人を取らずに、第一種社会福祉事業をやらせろというのですか。 ○西澤委員  おっしゃるとおりだと思います。ただ、それはいまの社会福祉法や医療法の枠内で考 えるからそうであって、私は1回その枠を越えた議論をしてもいいのではないかという ことです。 ○小山委員  会長がおっしゃった医療福祉法人ということは、厚生省は医政局の総務課と局を跨い で別の局にしろというのか。そうでなければ1つの法律を作って、2つの局で共管しろ というのか。局を跨いだ法律というのはどういうイメージなのかが、よくわからないの ですが。 ○ 豊田委員  私どもの意見は、局がこうなっているから、役所の機構がこうなっているから、それ に合わせて何かをやるという発想はしていません。こうやったほうが、患者さんなり障 害者にとっていいだろうと。最近は変わってきていれば大変いいのですが、例えば特別 養護老人ホームになかなか入れない。私もそこの医師をやったことがあるわけですが、 例えば入所者が肺炎になります。この人は病院に入院したほうがいいでしょうと、嘱託 医として言うわけです。長期3カ月以上病院に入院していると、そこの籍はなくなる。 家族はそれを心配します。特別養護老人ホームは、重症者の治療をする場所ではないの です。健康な人が大体入ることになっているので転院させるわけですが、そういったと きに家族は何を言うかというと、是非ここに置いてくれと。ここで出されたら、二度と 入れなくなると。いまの患者家族のニーズと特別養護老人ホームに入る人たちの健康状 態とは、ミスマッチしているところがあるのです。もともと福祉法で定めた特養に入る 人たちの健康状態は、合併症などがない状態の人たちを想定しているわけです。しかし ながら、老人というのはそんなに想定通りにいくわけではないので、入るときはいいで すが、年が経つといろいろな合併症も出てくるし感染症にかかることもあります。医療 の必要性が非常に高くなってくるので、私が言いたいのは特別養護老人ホームで特に介 護重症度の人を入れている所では、病院の療養型病床とほとんど変わらないような仕事 をしているところも多いのです。ですから、そういう中で、ここが社会福祉です、こっ ちは医療ですというのは現実的でないので、厚生省の中の機構がどうこうの話と全く違 って、私どもは患者さんの立場からこういったことを医療と福祉が一緒にできればいい なと、そういう法人ができればいいなということで議論をしてきたので、それが医療福 祉法人という構想だったわけです。 ○小山委員  正確に言いますが、ここには「第一種社会福祉事業」と書いてあるのですが、先生の いまのお話だったら介護保険事業だけではないですか。だったら、医療介護法人と変え ろというならわかるのです。私が言っているのは第一種社会福祉事業というのは、たく さんの業種があるのです。それを全部特別医療法人にやらせろというのは、法律の趣旨 からしておかしいではないですか。社会福祉は社会福祉として固有の領域があるわけで すから、それを第一種社会福祉事業を行えるようにするというのは、私にとっては何か 医療が福祉にパクッと食い付いて、とても危険な発想に見える。もし特別養護老人ホー ムだけならば、介護保険対象のものについて医療法人がちゃんと全部できるようにしよ うという議論と、第一種社会福祉事業を行えるようにするというのは全く違うことです よ。 ○豊田委員  先ほどこれを発言するときに、「医療に関係ある部分」という言葉を発言したはずで す。例えば第一種社会福祉事業には全く医療と関係がないものがたくさんあります。全 ての第一種事業をやらせろと言っているのではなくて、私は先ほど「医療に関係する部 分」と断わったはずです。 ○小山委員  「医療に関係する」というのはすごくあって、情短とか救護施設とか何が医療に関係 するかがよくわからないので、なぜいまここの議論で。介護保険に関するものを医療法 人に、すべてパッケージで特別だったらやらせてもいいよという話なら、いまの時勢で わかるのですが、どうしても医療法で規定されている医療法人の日本の団体が、特別医 療法人は第一種社会福祉事業を非課税でやらせろというのは、ちょっとすごいことでは ないですか。 ○豊田委員  すごいかどうかはわかりませんが、第一種社会福祉事業を全部やらせろという話をし ているのではなくて、その中で現在、第一種社会福祉事業をやれるのは社会福祉法人の みで、医療法人や医療機関は入っていないのです。ですから、第一種社会福祉事業の医 療に関係する部分について、特定あるいは特別医療法人がやってもいいのではないか。 そういうミックスしたようなことができないかを我々は議論してきた。そういうことを お話しているわけです。 ○田中座長  伺っていて、おそらく理解は主に介護保険対象施設のことだと思いました。 ○西澤委員  私の書いた14頁が、おそらく小山先生の疑問だと思うのですが、確かにここの言葉尻 を取られると全部やれということで、しかも非課税と。私が言ったガラガラポンという 意味は、いまはやはり社会福祉事業が変わってきている。第二種も医療法人ができるよ うになっていますし、そういう意味では第一種福祉事業自体や社会福祉事業を見直して いいのではないか。その中で適正なものを特別医療法人の業務としていただきたいし、 もう1つは書き方が悪かったのですが「非課税」と書いたのは、同じ業務をやるのであ れば同じ税率というのは基本ではないかという意味合いも込めましたので、そのあたり を少し弾力的にこの文章を捉えていただければありがたいと思っています。 ○遠藤委員  西澤先生にお尋ねしたいことが2点あります。ご意見の14頁の(1)「特別医療法人の 収益事業を全医療法人の附帯業務とする」と、(2)「特別医療法人の収益事業の拡大」 は、(1)が駄目なら(2)がほしいという話でしょうか。 ○西澤委員  失礼しました。ちょっと言葉足らずですが、(1)は現在特別医療法人に認められてい る収益事業の全部又は一部を、いまの全医療法人にということです。(2)は、特別医療 法人に現在認められている収益事業以外に新しいものを加えていただきたいということ です。 ○遠藤委員  加えてはどうかというのが、15頁に出てくる例示ということですか。 ○西澤委員  そうです。 ○遠藤委員  その関連でお尋ねしますが、15頁の「人材研修事業」がありますね。これは医療法で いうところの、附帯業務でいう1号との関係はどうなるのでしょうか。つまり1号でも 、医療関係者の養成または再教育というものを附帯業務の中に掲げていますので、その 中にもう含まれてしまうことではないかと思うのですが。 ○西澤委員  附帯業務は看護学校の例にあるように、かなり厳しい中で限定的なものです。私たち の今回の人材研修事業というのは、きちっとした学校や養成所などの設立ではなくて、 医療法人自体の人材をもっと地域の方とか、ほかの医療法人あるいは関係ある会社等々 に自分たちの医療職の職員が行って、いろいろな研修等々を事業として行えたらどうか ということですので、ちょっと違うと思っています。 ○遠藤委員  附帯業務の1号の解釈を少し拡張するというような、弾力性を持たせる方向で検討す ることは、それはそれでいいわけですよね。 ○西澤委員  弾力性の検討でも結構ですが、別項目で立てたほうがやりやすいのではないかと思っ ています。 ○遠藤委員  要するに、それによる収益を上げることに力点があるのだと。そこで収益事業の拡大 ということを言いたいのですか。 ○西澤委員  そうです。 ○遠藤委員  15頁の表の3つ目に「医療に関する情報サービス業」と出ていますが、これは現在の 収益事業の6号で出てくる「医療に関する情報サービス」の中に入らないものになるの でしょうか。入っていないから、新たにやらせてくれというお話でしょうか。9頁に第 6号関係で同じような項目が載っていますが。 ○西澤委員  これは私の頭の中では、現在の情報サービスの具体例が把握できなかったのと、いま はあまり行われていないので書きました。現在の収益事業の項目はインターネット等広 い意味の情報サービスが考えられますが、今回のこれは健康相談業務等々のことで、イ ンターネット等の情報サービスのイメージとは、若干違うのかなということで書かせて いただきました。もともとの解釈の拡大でよろしいのかなと思っています。 ○遠藤委員  拡大というか、そのものの解釈の中にも吸収される可能性もあるように思います。  14頁に戻りまして、ご意見ご要望の第1点なのですが、要するに現在の特別医療法人 の収益事業は、すべての医療機関の附帯業務の中に入れてくださいということですね。 そういう意味では特別医療法人と、その他の医療法人との区別はなくしましょうという ことを言いたいということですか。この収益事業の点について。 ○西澤委員  そういうことではありません。あくまでも、これは一部または全部という書き方をし たのですが、いまの段階では先ほど説明しましたように、特に第2号や第6号あたりは もう完全にいいなと。ほかの項目に関しては私なりに議論が必要だと考えています。こ れをすべて、いまの附帯業務としていいかどうかは問題があると思っています。ですか ら、そういうことを議論していただきたいと思います。例えばこのままあるいは若干縛 りをかければ附帯業務でいいのではないか。あるいはこれは収益事業になっているけれ ども、時代も変わってきているし、過去の議論の中で附帯業務が少し拡大した経緯を考 えると、いままでは特別医療法人しかできない収益事業だったけれども、普通の一般法 人の附帯にしてもいいのではないかという議論です。次に、特別医療法人のできる収益 業務の拡大という二段構えで、決して一緒にするという理論ではありません。 ○遠藤委員  もう一度確認しますが、(1)の特別医療法人の収益事業については、現行法が認めて いるもののうちのある部分については、全医療法人の附帯業務化について検討していた だきたいという話ですか。 ○西澤委員  はい。 ○遠藤委員  その具体的な中身としては、どういった点があるということでしょうか。 ○西澤委員  具体的なこととしては、いま2つの例だけを言いましたが、例えば第2号の「部品貸 付業」はよろしいのではないかと思っています。介護用品の貸付とか、かなりノウハウ を持っていますし、貸すときに貸付業以外の付加価値もあるのではないかと思っていま すので、 「医療に関する情報サービス」も、私のイメージではインターネットなどの ネット上をイメージしたのですが、先ほど言いましたような健康相談も含めてよろしい かと思います。医療機関というのは性格上、質の高い医療情報を持っている所ですから 、いろいろな情報がこの世の中に氾濫している現在は質の高い正確な情報が非常に望ま れているので、そういうことでは医療法人がする業務としては合っているのかなと。こ れを特別医療法人だけにしておく必要もないということです。 ○田中座長  よろしいですか。 ○西島委員  西澤委員と豊田委員のお話を聞いて、ちょっとだけ感じることがあったのです。そも そも、特別医療法人というのがどうしてできたのかという経緯、社会福祉法人がどうし てできたのかの経緯をきちんと把握して、医療法人業務範囲の拡大を考えていかないと 、そっちのものをこちらに持ってこいという話では、いまのような議論になってしまう と思うのです。ですから、いまの持ち分を含めた医療法人の中で、どういうものを業務 拡大として入れ込んでいったほうがいいのかという議論をしていかないと、なかなかこ れは整理がつかないのではないかという気がしました。  もう1つは特別医療法人の場合には、解散のときには国に帰結するわけですから、こ の問題はやはり大きいと思うのです。ちょっとそれを感じました。 ○遠藤委員  いまの西澤先生とのやり取りの中で、収益事業の全体を附帯業務に持っていくおつも りではない。そうしてほしいという要望ではない。その中のある部分だというお話でし た。そこで15頁では要望例が掲げられているわけですが、先ほど申しましたように附帯 業務の中で、現在の解釈論でも取り込めるというように議論できるような部分もある。 あるいは、その現在の収益の事業の中に取り込めるものもありそうだということで、そ れ自体は西澤先生もそういうことだというお話のようです。そうであるとすれば、具体 的な要望事項を現行法の枠組と照らし合わせて、さらに絞り込んでいく。その必要性が 証明されることが、ここでは必要になるということなのではないでしょうか。 ○田中座長  いつも外部の方を呼んだときだけ攻撃しているとフェアではないですが、本日は委員 同士でも大変厳しい意見や質問が飛び交って、公正さが証明されて結構でした。  時間となりましたので、これくらいとします。次回の日程と今後の進め方について、 事務局から説明をお願いします。 ○渡延指導課長  次回は、12月11日水曜日10時半から開催します。経営の安定性を高めるための対策に ついてご議論いただくほか、第8回の検討会で医療法人の永続性、公益性を高めるため の方策を取り上げて議論いただきました。本日もその辺の議論がありましたが、その際 に時間的な制約もあってご議論が尽きていないと思われる民間企業経営方式などを含め た、医療機関経営の在り方について、時間の許す限りでさらにご議論を深めていただけ ればと思います。このため、次回は時間を若干延長できるよう簡単な昼食をご用意しま して、委員の皆様方のご都合のつく範囲で13時ぐらいまでご議論をいただければ、あり がたく存じます。次回の開催案内については場所が決まり次第、正式にペーパーでご連 絡を差し上げるようにします。 ○田中座長  株式会社問題というのは、議論が尽きる尽きないという話ではないかもしれませんが 、やめたというわけにもいかないので、次回にもう一度取り上げたいと思います。  それでは、本日はこれで閉会いたします。お忙しいところご出席いただきまして、ど うもありがとうございました。                                    (以上) 照会先 厚生労働省医政局指導課 医療法人指導官 橋本 昌男(内線2560) 医療法人係長  手島 一嘉(内線2552) ダイヤルイン 3595-2194