海外の公的年金積立金運用について(改訂版)
国名 | カナダ | スウェーデン | デンマーク | スイス | アメリカ合衆国 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
運用組織 | カナダ年金制度投資委員会 (CPPIB) |
国民年金(AP)基金 | デンマーク労働市場 付加年金(ATP)基金 |
中央平衡準備基金 | 老齢遺族保険信託基金 (OASI Trust Fund) |
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障害保険信託基金 (DI Trust Fund) |
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国とは別人格のカナダ年金制度投資委員会(CPPIB)により運用を行う。 理事会が投資方針、戦略、最高経営責任者(CEO)等を決定する。 理事は12名(非常勤)。財務大臣が金融関係の知識・経験を有する民間出身者などから任命。 |
国とは別人格のAP基金(第1〜第4、第6〜第7の計6基金)により運用を行う。 理事会が投資方針、戦略等を決定する。 第1〜第4AP基金は理事9名(政府が任命)。労働団体、経営者団体の推薦により各2名、その他は運用の専門家。 第6AP基金は理事5名(政府が任命)。 |
国とは別人格のATP(労働市場付加年金)基金により運用を行う。 理事会において、政策的資産構成割合と乖離許容幅、投資可能資産、ベンチマークを決定。 理事会は、経営者側6人、労働者側6人の12人の理事で構成され、労働大臣が任命する。実質は労使の推薦。 |
国の組織である中央平衡事務所で投資実務を実施。 年金資産運用に関する最高意思決定機関は、政府組織とは別の理事会(連邦政府(2)、地方政府(1)、労働組合(4)、雇用主団体の代表者(4)、中央銀行(1)、生命保険等金融関係者(4)の計16名で構成。政府が任命)となっている。 |
信託基金理事会が信託基金の運営を行う。 信託基金の財政状況の監視や基金の管理等を目的として社会保障法に基づいて設置された理事会で、財務長官を理事長に、労働長官、厚生長官、社会保障庁長官及び2名の公益代表理事から構成される。 |
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99年3月から積立金全体のリターン向上のため、株式運用を開始。制度として財務省が管理している保有債券の償還資金を順次CPPIBへ移管し、分散投資の観点から、当面、新規資金全額を内外株式へ投資。 |
第1〜第4、第7AP基金の基本ポートフォリオは、各基金で策定。 第6AP基金は、中小企業、ベンチャーキャピタル、未公開株を中心に投資することとされ、基本ポートフォリオの制限はない。ただし、外国への投資は行わない。 |
信託基金は信託基金だけを対象として発行される特別財務省証券(短期債務証書及び最長15年の債券)で運用。 |
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資産構成割合(実績)% |
CPPIBの資産構成割合
制度全体の資産構成割合
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総資産額 | 1兆1,800億円 (2002年3月) 4兆4,200億円 (制度全体) |
7兆3,500億円 (2001年末) |
3兆8,900億円 (2001年末) |
2兆9,000億円 (2001年末) |
158兆9,100億円 (2001年末) |
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GDP比 | 4.86% (91兆200億円 (6,945)) |
26.72% (27兆5,000億円 (2,098)) |
18.37% (21兆1,700億円 (1,615)) |
8.95% (32兆3,800億円 (2,471)) |
11.95% (1,329兆3,700億円 (10,143)) |
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年間支出比 | 2.7倍(比較時点が異なる) (1兆6,335億円(2000年度)) (注)年間年金給付額に運営コストを加えた額 |
1.6倍 (4兆6,900億円(2001年)) (注)年間総支出額(2001年予算値) |
− (−) |
1.3倍(比較時点が異なる) (2兆2,200億円(2000年)) (注)年間総支出額 |
2.8倍 (57兆5,900億円(2001年)) (注)年間年金給付額に運営コストを加えた額 |
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財政方式等 |
1997年までは完全賦課方式であったが、1997年改革において、将来的に賦課方式と積立方式を組み合わせた制度への移行が決定し、現在移行措置中。今後、積立金を年間支出の6年分まで引き上げる予定。 |
保険料率18.5%のうち、16%分は賦課方式、2.5%は積立方式で運営。 |
完全積立方式で運営。 |
賦課方式で運営。 |
原則として賦課方式を採用しているが、1970年代の景気後退や物価上昇を受け、年金財政の悪化を回避するため、1977年及び1983年制度改正において、信託基金の積立金額を増加させ、いわば「修正賦課方式」で運営している。 |
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年金給付 | 【所得比例】 | 【所得比例+運用実績比例】 | 【運用実績比例】 | 【定額+所得比例】 | 【所得比例】 |
(注1) | カナダは税方式の2階部分、スウェーデンは制度の最低保障年金を除いた部分、デンマークは税方式の2階部分、スイスは1階部分、アメリカはOASDIについて記載。 |
(注2) | 総資産額は、各国の通貨を各期日の円換算(WMロイター終値)により算出 |
(注3) | GDPの()内は億ドル、2001年12月31日現在(1ドル=131.06円)で換算 |
(注4) | 年間支出比の()内の額は、総資産額算出の際の各国の通貨を各期日の円換算(WMロイター終値)により算出 |