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株式を含む分散投資の是非についての論点整理(案)


検討
項目
論点 「株式を含む分散投資」の考え方 「全額国債運用」の考え方
リスク・リターンについて (1)株式運用の評価 ○株式運用は、インフレなどの経済変動に強く、長期的には債券運用を上回る収益が期待できる。 ○株式運用は、元本割れのおそれがあり、年金資金運用の方法としては不適切。
(2)運用収益の考え方 ○年金給付額は賃金上昇率に連動するので、賃金上昇率を上回る実質的な運用収益を確保することが必要。 ○名目額で安定的な運用収益を確保することが必要。
(3)安全性と効率性 ○年金積立金は、安全かつ効率的に運用することが必要。年金資金は長期資金であるため、適切な運用リスクの下に一定の実質的な運用収益を見込んだ運用を行うべきである。 ○年金積立金は、安全性を第一とし、名目元本が減少しないように運用することが必要。

○強制徴収した保険料を原資としているので、株式運用などにより、名目元本を減少させることは許されない。
(4)分散投資の効果 ○長期運用においては、リスク・リターンの異なる資産を組み合わせることにより、目標とする収益率をより小さなリスクで達成することができる。従って、全額国債運用よりも、株式を含む分散投資を行う方が、リスクは小さい。  
国民経済に与える影響について (1)市場への資金配分 ○株式に資金を投入することにより、一定の資金が民間に還流し、市場を通じて、我が国経済にとって適切な資金配分がなされることとなる。
 一方、全額国債運用を行うと、年金資金が国に流れ、国によりその資金配分が決定されることになる。これは、財政投融資制度改革の考え方に反する。
 
(2)民間企業支配の懸念について ○議決権行使については、年金資金運用基金から、運用受託機関に対して投資の方針及び行使状況の報告を求めており、民間企業支配の懸念を回避しつつ、コーポレートガバナンスの働く仕組みとなっている。 ○株式保有は、国による民間企業支配の懸念がある。
 一方、民間企業支配の懸念を払拭するため議決権行使を行わないとすると、コーポレートガバナンスが働かず問題。
(3)政治介入リスクについて ○政治介入が行われないよう、国とは別人格の組織で運用する必要がある。 ○株式運用を行うと、政治介入のリスクがある。
(4)市場へのインパクトについて ○運用に当たっては、市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないよう配慮を行っている。 ○年金積立金は巨額なので、市場へのインパクトがあり、株式の価格形成を歪める。


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