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平成14年11月18日
厚生科学審議会
地域保健健康増進栄養部会
資料4
たばこの健康影響について
「喫煙と健康問題に関する検討会」報告書より
1 喫煙と個別疾病との関係
○がんとの関係
喫煙とがんとの関係については、動物実験や疫学研究など、従来様々な研究が行われてきた。これらの研究を総括した報告も数多く公表されている。肺、食道、膵臓、口腔、中咽頭、下咽頭、喉頭、腎盂尿管、膀胱のがんについては、喫煙との関連の大きさが相対危険度として2以上の値を示しており、喫煙との因果関係があると判断する十分な証拠がある(表1-1〜2)
○脳卒中との関係
喫煙により脳卒中発症のリスクが高くなることは、欧米では確立した疫学的な事実である。欧米のいくつかの疫学追跡調査による喫煙の脳卒中発症相対危険度の成績を総合すると、喫煙1箱による脳卒中発症相対危険度は1.4〜3.7倍程度であり、平均的には約2倍であった。我が国のコホート研究では、大阪、新発田の研究、NIPPON DATA80が喫煙と脳卒中の関連を示しており、喫煙1箱は脳卒中罹患・死亡に対して2〜3倍の相対危険度を示した。(表2−1〜2)
○心筋梗塞、狭心症との関係
欧米のコホート研究を総合すれば、毎日喫煙1箱の虚血性心疾患に対する相対危険度は、死亡に対してであれ、罹患に対してであれ、2−3倍の相対危険度である。我が国の研究においても、6府県コホート研究、広島・長崎研究、久山町研究、大阪、新潟の新発田市の研究等、多くのコホート研究において喫煙の虚血性心疾患死亡・罹患への影響が明らかにされている。これらの研究では、毎日1箱の喫煙の虚血性心疾患罹患・死亡に対する相対危険度は1.7〜2.2倍であった。NIPPON DATA80では、1.7〜1.9倍の相対危険度であった。(表3−1〜2)
○妊娠中の喫煙が胎児に及ぼす影響
妊娠中の喫煙が胎児の健康に及ぼす影響は、かねてより指摘されており、喫煙妊婦の早産、自然流産の頻度は非喫煙妊婦に比べて概ね1.5倍、周産期死亡は1.2〜1.4倍高くなることが報告されている。また、喫煙妊婦における低体重児の頻度は非喫煙妊婦に比べて約2倍高いと報告されている。(表4−1〜4)
2 受動喫煙と個別疾病等との関係
環境中たばこ煙の慢性影響についての研究が進み、これまで、確実な受動喫煙関連疾患が9種(虚血性心疾患、肺がん、副鼻腔がん、急性下気道感染症(小児)、気管支喘息の発病と悪化(小児)、慢性呼吸器症状(小児)、中耳炎(小児)、低体重出生、乳幼児突然死症候群)、可能性のある受動喫煙関連疾患が5種(子宮頚がん、気管支喘息の悪化(大人)、呼吸機能低下、自然流産、認識と行動の障害)同定された。(表5−1〜3)
寄与危険度割合:
ある集団においてみられた患者の何パーセントが、その関連要因によって起こったかを示す指標。暴露群の率
Re
と非暴露群の率
Rn
を用いて次のように計算できる。
寄与危険度割合=(
Re
−
Rn
)/
Re
×100
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