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インターネット等による医療情報に関する検討会(第5回)資料


平成14年11月13日


資料1

インターネット等による医療情報に関する検討会 論点整理(案)


1 インターネットによる医療情報の重要性

 ○ 患者の視点を尊重した医療の提供を推進するためには、患者・国民が医療機関等を自ら選択できる環境整備を進めることが重要であり、そのためには、患者・国民に対する医療情報の提供を積極的に推進することが必要ではないか。

 ○ 患者・国民に対して医療情報を提供する手段としては、パンフレットやホームページなど様々なものがあるが、その中でも、インターネットは、
(1) 患者・国民が、必要とする情報を端末からプロバイダーに接続して早く、確実に入手したり、検索エンジンを活用して容易に入手したりすることができる
(2) ホームページを開設することによって、医療機関が、従来よりも簡易に、多様な情報を患者・国民に提供することができる
といった利点があるため、患者・国民が医療情報を入手し、医療機関等を自ら選択できる環境を整備していくためには、インターネットを活用した医療情報の提供を推進することが重要ではないか。

 ○ 一方、インターネットは、使い方によっては、提供者を隠したまま情報を発信できたり、偏った情報を発信することができたりするといった面もあることから、提供される情報の信頼性の確保を図ることも必要ではないか。

2 インターネットによる医療情報の提供の推進

(1)現状等

  ○ 我が国においては、インターネットの利用者数、企業普及率等は急速に増加している。また、インターネットによる医療情報の提供についても、社会福祉・医療事業団のWAM NETや都道府県等の公的機関が医療機関に関する情報を提供したり、医療機関がホームページを開設して詳細な情報を提供したりしている。このほか、NPO等の民間団体もインターネットを活用して医療情報を提供しており、これらを活用してインターネットで医療情報を入手する者も急速に増加している。

(2)基本的な考え方

  ○ 患者・国民に提供される医療情報については、客観性や検証可能性に着眼すれば、
(1) 既に客観性が十分で検証が容易な情報(例:住所、診療科目、診療機能、治療実績、患者に対するサービス提供の状況等)
(2) 評価基準・評価方法の明確化などによって客観性が十分に高められている情報(例:医療機能評価機構による病院機能評価等)
(3) 客観性を高めるために評価基準・評価方法等を確立していく必要がある情報(例:死亡率等の結果(アウトカム)情報など客観的に比較可能なデータを提供するための環境整備(ICDコードの普及、重症度補正等のデータ処理技術の開発等)が必要な情報等)
に区分されるのではないか。

  ○ 患者・国民の利便性を考慮すると、官民のそれぞれの特色を生かした情報提供が必要であり、具体的には、基本的、画一的な医療情報は官が中心となって、きめ細かで特色ある情報は民が中心となって提供することが重要ではないか。

  ○ 公的機関がインターネットによって医療情報を提供する場合、その性質上、客観性があり、検証可能な情報を提供すべきではないか。これを具体的に考えると、上記3分野のうち、現段階では(1)と(2)が該当するのではないか。広告可能な事項については、客観性があり、検証可能なものと位置付けられていることから、公的機関はインターネットによって広告可能な事項を広く提供していくことが適切なのではないか。

  ○ また、地方公共団体は、地域の実情に応じた医療情報を提供していくことが重要ではないか。このためには、都道府県は、医療機能調査を積極的に実施し、それに基づいて地域の医療機関の医療機能に関する情報など患者・国民が医療機関を選択する際に役立つ情報をきめ細かく提供していくことが重要ではないか。

  ○ 個別の医療機関やNPO等の民間団体は、国の機関や地方公共団体等の公的機関との役割分担の下に、それぞれの特色を生かしながら患者・国民にとって有用性の高い情報を提供していくことが重要ではないか。

  ○ なお、社会福祉・医療事業団や都道府県等がインターネットを通じて医療情報を提供していることについて、国民に積極的に広報することによって国民の利用促進を図るべきではないか。

3 医療情報の信頼性の確保

 ○ 医療機関のホームページ上の医療情報については、患者・国民に対する医療情報の提供を推進する必要がある現状においては、当面、法規制の対象とするのではなく、情報の内容は基本的には提供者の創意工夫にゆだねることとするのが適当ではないか。

 ○ しかしながら、医療情報の重要性にかんがみると、その信頼性の確保は不可欠である。また、今後、インターネットによる医療情報の提供が一層進むことが想定されるため、何らかの信頼性の確保のための方策を講じておくことが必要ではないか。この場合、医療以外の分野における取組状況等を考えると、民間団体等による自主的な取組を中心に考えていくことが適切ではないか。ただ、こうした自主的な取組を促進しても、民間団体等に属さない者に対しては効果が及ばないという問題も考えられることから、医療機関がインターネットによって医療情報を提供する場合、やはり広告可能な事項の範囲内にとどめることが妥当なのではないか。

 ○ 医療情報の信頼性を確保するための民間団体等による自主的な取組の具体的な方法については、例えば、関係団体又は第三者機関によって、
(1) コンテンツ等において配慮すべきポイントやホームページの運用基準等を示したガイドラインの作成
(2) 医療情報の内容が法令やガイドライン等を遵守していることを認証する仕組み
(3) 医療情報に関する患者や医療機関からの問合せへの回答や苦情の審査等
などが考えられるが、今後、インターネットによる医療情報の提供の進展を踏まえて更に検討していく必要があるのではないか。

 ○ 患者・国民が公的機関による客観的で検証可能な情報と個別の医療機関やNPO等の民間団体による特色ある情報提供を双方見比べることが、医療情報の信頼性の確保につながるのではないか。したがって、このためには、例えば、社会福祉・医療事業団のWAM NETによる医療情報の提供に際して、個別の医療機関やNPO等の民間団体の情報提供とリンクさせることを取り入れるべきではないか。

 ○ 患者・国民は「かかりつけ医」を通じて医療情報を得ると同時に、インターネットによって得た医療情報について「かかりつけ医」に相談することによってその信頼性を判断することも、医療情報の信頼性を確保するための有効な方策ではないか。

4 その他

 ○ 必要な情報をインターネットで得ることができない人のために、広報誌や紙媒体によって提供できるような仕組みを作っておくことも、当面は、必要なのではないか。また、患者・国民のニーズに対応する観点からは、来訪に対する相談や電話による相談への対応を充足させることも重要ではないか。

 ○ 個々の患者にとっては、全国的な医療機関の情報とともに、自分が治療を受ける可能性の高い身近な医療機関について、より詳細な情報を必要としているのではないか。そのためには、例えば、2次医療圏内の医療機関に関する情報をきめ細かく提供する方策を講じる必要があるのではないか。


資料2

医療以外の分野における情報の信頼性の確保するための自主的な取組について


1 関係団体による取組の例

(1)日本旅行業協会による取組

  ○ 旅行業においては、インターネットを利用して自ら又はプロバイダー等の第三者を通じて旅行の予約及び旅行契約の締結が行われることが多くなってきた状況にかんがみて、平成14年2月に、インターネットを利用して行う旅行契約の締結に関し、健全な電子商取引の普及に寄与し、旅行者の信頼を確保するために、日本旅行業協会が「インターネットを利用した旅行取引に関するガイドライン」を定めたところである。

  ○ このガイドラインは、
(1) 関係法令の遵守、セキュリティー対策、個人情報保護、e−TBT(electronic-Travel Buisiness Trust)マークの交付など一般的留意事項
(2) 旅行業務取扱主任者の選任などインターネット取引にかかわる営業所に係る留意事項
(3) 営業所における掲示事項の取扱い、標識の掲示、主催旅行業者の明示等、お客様相談窓口などホームページ上の記載項目に係る留意事項
(4) 取引条件の説明等、電磁的方法による書面の交付、インターネット上での決済の取扱いなどインターネットによる取引に係る留意事項
(5) 主催旅行の広告、電子メールを送信して行う広告など旅行の広告
(6) 取引に関する記録の保存など取引に関する電子データ等の取扱い
などインターネット取引において旅行業者等が遵守すべき基本的方針を定めるものである。

  ○ インターネットを利用して旅行商品の予約・販売の一部又は全部を行う旅行業者等が開設するホームページの内容については、旅行業法を遵守していること、セキュリティー対策が講じられていること、個人情報の保護が適切に図られていること等に関して、日本旅行業協会及び全国旅行業協会が承認の上、e−TBTマークを交付している。ただし、このマークは、当該ホームページの内容や質を保証するものではないとされている。

(2)日本弁護士連合会及び単位弁護士会による取組

  ○ 弁護士の業務の広告については、従来、日本弁護士連合会会則等によって原則として禁止されていたが、インターネットの普及等の情報化社会の進展などの環境変化や弁護士情報の不足に対する利用者からの不満などを背景として、平成12年3月に同会則が改正された。

  ○ これによって、弁護士の業務の広告については、原則として自由とされ、
(1) 事実に合わない、誤導・誤認のおそれがある、過大な期待を抱かせる、特定弁護士等との比較、法令・会則等違反、品位・信用に反する広告
(2) 勝訴率、顧問先・依頼者名、受任中の事件、過去の関与事件を表示すること
が例外的に禁止されることとなった。

  ○ また、違反広告に対しては、弁護士会が、違反行為の中止・排除を命令したり、再発防止のための措置を講じたり、措置を行った事実及び理由の公表を行ったりすることとされており、一部の弁護士会においては、弁護士の業務の広告について調査等を行う広告審査委員会が設置されている。

  ○ なお、同会則は、弁護士が開設したインターネット・ホームページに掲載される情報についても適用される。

2 第三者機関による取組の例

 ○ 広告・表示について業界横断的な取組を行っている第三者機関として、昭和49年に日本広告審査機構が設立されている。同機構は、一般消費者や媒体社、広告代理店、一般企業からの広告・表示についての問合せの受付処理、苦情の審査を中心の業務とし、その他業種ごとに作られた機関、行政機関及び消費者団体との連携、連絡会の実施、広報活動などの事業を行っている(詳細については、第4回資料参照)。


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