審議会議事録  水質基準の見直し等について  厚生労働省ホームページ

第4回
厚生科学審議会生活環境水道部会
水質管理専門委員会
議事録




厚生労働省健康局水道課


第4回厚生科学審議会生活環境水道部会
水質管理専門委員会議事次第

日時平成14年11月8日(金) 10:00〜12:00
場所第5合同庁舎専用第21会議室
出席委員(敬称略)
安藤正典、伊藤禎彦、宇都宮暁子、江馬眞、遠藤卓郎、大谷倫子
大村達夫、国包章一、中村栄子、西村哲治、平田強、古米弘明、眞柄泰基


1.開会

2.議事
  (1)水質基準のあり方(各論1)について
     ・微生物に係る基準
     ・化学物質に係る基準
     ・水質検査方法
  (2)その他

3.閉会


○松田室長補佐
 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから生活環境水道部会水質管理専門委員会を開催いたします。
 委員の皆様には、御多忙にもかかわらずお集まりいただき、ありがとうございます。
 それでは、眞柄委員長、よろしくお願いいたします。

○眞柄委員長
 お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。
 だんだんと具体的な事項の審議に入りますので、よろしくお願いします。
 それでは、議事に入ります前に、関係の資料の確認をさせていただきます。担当からお願いします。

○松田室長補佐
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 一番上に乗せてございますのが議事次第でございます。
 1枚おめくりいただきますと資料1、第3回水質管理専門委員会議事録でございます。
 資料2−1「微生物に係る基準の考え方(案)」でございます。
 資料2−2「微生物に係るリスク論について」でございます。
 資料3−1「検討対象化学物質選定の考え方について(案)」でございます。
 資料3−2「検討対象農薬選定の考え方について(素案)」でございます。
 資料4「水質検査方法の設定に当たっての考え方について(案)」でございます。
 資料は以上で、参考資料をおつけしております。
 参考資料1は、水道法第4条に基づく水質基準等の表になっております。
 参考資料2は、「水質基準の国際比較」でございます。
 参考資料3は、今後の審議日程の目安でリバイスしたものでございます。
 以上でございます。

○眞柄委員長
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、まず、最初の資料1でありますが、これは先回の議事録でございます。事前に先生方には目を通していただいておりますので、特に大きな間違いはないかと思いますが、何か不都合なところがございましたら、後ほど事務局の方にお申し出をいただきたいと思います。
 それでは、早速議事に入ります。
 前回は、水質基準の見直しについて、基本的な考え方について議論をしていただきました。今回は、前回の議論を踏まえまして、微生物に係る基準、化学物質に係る基準、それから、水質検査法について具体的な論点を担当していただいた委員の方から御提示をいただくことになっております。それを踏まえて、具体的な議論を進めようということになります。それでは、最初に遠藤委員から、微生物に係る基準の考え方について、論点メモを御準備いただいていますので、遠藤先生から微生物に係る基準について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤委員
 前会の会議で頂いた宿題に関して、資料2−1を準備させていただきました。これは、専門家の先生方とお話し合いをさせていただいている過程で、これまでに討議した内容をまとめたものですので、そのようなご理解をいただきたいと思います。
 今回の基準改定に際しまして、以下の3点が検討されております。(1)ご承知のように、現行の病原微生物に関する基準では、一般細菌と大腸菌群が用いられていますが、まずこの是非について検討しております。その中では、従属栄養細菌の追加、あるいは一般細菌に替えて従属栄養細菌を採用することの合理性について検討することを課題としています。(2)また、新しい問題として提起されています、クリプトスポリジウム等の塩素耐性病原微生物の対策が課題となっています。クリプトスポリジウム問題に関しては既に暫定対策指針が示されていますが、水質基準を考える上で暫定対策指針との整合性を考える必要があるものと考えています。(3)さらに、配管系における微生物の増殖問題も新たに加えられた課題であると認識しています。
 ところで、水道水における病原微生物対策は、本来、原水中の病原微生物の量、種類、存在様式、あるいはその行動様式、存在に影響する環境要因等々の汚染原因を把握し、汚染に見合った浄水処理を的確に実行することであろうと思います。ところが、実際には、汚染に関係する病原微生物は多様で、個々の病原体について網羅的に検出・測定していくことは現実性を欠くもので、技術的にもきわめて困難であると考えられます。
 微生物の検出・測定は培養法が基本になりますので、迅速性に欠けるという問題も抱えております。これまでの病原微生物対策はろ過と塩素消毒によってなされており、製品、すなわち浄水の中に一般細菌や大腸菌群が含まれていないことをいわば抜き取り検査によって確認してきました。上述のように、水道水の微生物問題は新たな取り組みが求められる状況にあります。そこで、この機会に、原点に立ち返って微生物汚染対策について検討してみたいと考えたわけです。
 御承知のように、一般細菌数による微生物学的な水質管理の発想は、歴史的にも有名なRobert Kochの功績によるもので、緩速ろ過により細菌聚落数(現在の一般細菌に相当)が<100個/1mlにまで減少されれば、コレラやチフスの集団感染につながらないという観察事実に依拠しているものと理解しています。その意味で、Kochの業績は今日の水道においても高く評価されるべきものと考えられます。
 ところで、当時は細菌聚落数と糞便汚染、ましてコレラ菌との相関関係は不明であったのですが、コレラ菌にしろ水を汚染する主な病原体は、大半は糞便由来ということからいたしますと、Kochの発想も基本的には、細菌聚落数を指標として糞便汚染を評価していたと考えられます。我が国に導入されて以降、培地の開発もあり、培養条件を哺乳動物の体温に近い温度へ改良していった経緯が伺えます(一般細菌)。更に進んで、大腸菌群という概念が確立され、糞便汚染の指標として優れているとの認識から現在に至っているものと思います。さらに、培養条件を高温(44.5℃)に設定して分離する糞便性大腸菌群という概念も生まれております。
 その後、大腸菌群はいわゆる大腸菌のみではなくて、その他のいろいろな菌の集合体であるということが明らかにされ、外部環境で増殖する細菌類も含まれていることから、糞便指標としての価値低下が指摘されるに至っています。
 そこで、今回の改定に際しては大腸菌群に替えて大腸菌を基準項目に採用することができないか検討しているわけです。
 その長所・短所につきましては、資料2−1の4ページに大まかにまとめてありますので、ご参照いただきたいと思います。1つ、2つ要点を申しますと、大腸菌群と大腸菌は、現在の検査法では同一のプレートで検出することができますので、大腸菌群を大腸菌に改定する場合にあっても、今までのデータと継続性を持ちながら暫時移行していくことができるメリットがあります。
 一般細菌の検査は糞便汚染の指標として始まったわけでありますが、現在ではその役割を終えており、むしろ従属栄養細菌に近いような、すなわち微生物がどの程度水系に含まれているのか(総量評価)を知るために用いられているように解釈が変わってきております。そうであるならば、従属栄養細菌そのものを使う方がよいのではないかと考えて、ご検討をいただいております。
 問題は幾つかございまして、従属栄養細菌は培養時間が長く、迅速性に欠ける点が指摘されます。
 仮に大腸菌に替えた場合、変更理由に関する根拠と、基準値としての実際の数値をどこに設定するべきかというところが重要な論点になろうかと思っております。
 前回の委員会で眞柄委員長の方から宿題として提起されましたのが、クリプト等の塩素耐性を持った病原体に対しての考え方についてであったと思います。少しリスク論を展開してみろというお話でございました。資料2−2を見ていただきたいと存じます。これは基本的に1996年の米国Haasの論文に依拠したものですが、クリプトスポリジウムのオーシストを1個飲んだ場合の感染確率はおよそ0.4%とされています。
 米国EPAによりますと、微生物の許容感染リスクとして年間10のマイナス4乗(10−4/年)以下に目標設定されています。これを用いて、仮に一日の飲用量を1Lとして計算してみると、15.4t当たりに1個程度のオーシストの混入が許されるという計算結果となります。飲用量を一日当たり2Lとすると、30t当たりに1個ぐらいの汚染量が許容範囲ということになります。
 一方、試案の段階ですがWHOの考え方は、原水の汚染状況を把握し、参考許容値(Reference Level of Acceptable Risk)までレベルを下げるような浄水処理工程の導入を図るというものです。30tあるいは15tの水を測って、その中にクリプトスポリジウムが1個いるかどうかを検査するのは現実的ではないことから、原水の汚染状況を把握して、その汚染に対応するような浄水処理工程を導入するというものです。その際に、参考許容値を決める上で病気の重さを、統一的に考える必要があるということから、WHOではDisable Adjusted Life Years、DALYsという概念で統一することとしているようです。資料2−2の2ページに「疾病によって失われた寿命」と書いてございますが、「余命」の方がいいのかもしれません。Years of Life Lost、DALYsは病気によって死亡した場合に余命の損失年数(Years of Life Lost: YLL)と、病気により生じた障害の継続時間(Years of Life Lived with a Disability: YLD)の和で表現されます。
 DALYsに当てはめてクリプトスポリジウムを評価したものが、4ページの表となります。我が国では10Lの原水でクリプトスポリジウムの有無をチェックしています。そこで、仮に10L中に1個のオーシストがいたと仮定し、浄水処理によるオーシストの除去率を3logからあるいは2log除去を想定してDALYsを計算してみました。表で明らかなように、無処理ですと、一日当たりのクリプトへの感染リスクが4×10のマイナス4乗(4×10-4)となります。これは1.6×10のマイナス4乗(1.6×10-4)DALYsに相当します。それに対して2log、あるいは3logの除去を行ったとすると、10のマイナス6乗(10-6)までDALYsの値を低減することができことになります。
 DALYsの求め方を水道水中の臭素酸の摂取によって発生する腎細胞がんを例にして説明いたします。前後して恐縮ですが2ページ目に戻り、水道の臭素酸の摂取によって発症する腎細胞がんの許容発生率は年間10のマイナス5乗(10−5/年)であるということがWHOから示されています。中段のように、腎細胞がんでの死亡確率は約60%、発症する平均年齢が65歳であるとされています。損失余命を19年としていますが、これは平均余命の最も長い日本人の女性の84歳を基に計算された値です。腎細胞がんは65歳で発生して、その6割が亡くなるとすると、DALYsは11.4という大きな値になるわけであります。
 本症の許容発生率が年間10のマイナス5乗(10-5/年)であることから、1.4×10のマイナス6乗(1.4×10-6/年)DALYsと計算されます。これを根拠に、クリプトも年間で1×10のマイナス6乗(1×10-6/年)DALYs程度で抑えたらどうだろうかという提案をしています。
 ちみなに、クリプトスポリジウムの症例当りのDALYsは幾つかといいますと、4ページの表にございますように、WHOとしては10のマイナス3乗(10-3)DALYsぐらいの値に設定しています。つまり、クリプトは基本的には自分で治る病気である。それから、健常人であれば数日間の下痢で済むというわけで、表の一番下の値のように、2log程度除去できれば、仮に10L中に1個存在していてもWHOの示す値の範囲に収めることができることになります。換言すれば、凝集沈殿ろ過等々の処理をもっと厳しくして、2.5logあるいは3log除去の効果を持たせれば、より安全側に傾くといえます。
 さて、クリプトスポリジウム等に関して私どもは当面、2つ考え方を持っております。1つは、今、計算でお示ししましたように、通常時の管理方法で、製品を検査して30tに1個あるいは15tに1個というクリプトを見つけるということは現実的でないから、WHOのReference Level of Acceptable Riskを取り入れて、原水の汚染状況に見合った処理技術の導入することで対応したらいかがかということであります。この考え方、つまり水道法の第22条に基づく措置として、消毒に加えまして塩素耐性微生物に係る措置を加えるべきではないかと考えておりますが、この点に関してご意見をいただきいと考えております。なお、大手の水道事業体は別として、原水の汚染状況を十分把握する能力のないような小規模な浄水場においては、むしろ積極的に、例えば膜ろ過のような措置を義務付けていくようなことも考えてもいいのではないかということが議論されています。この点につきましても、先生方のご意見をいただきたいと思っております。
 それから、もう一つクリプトスポリジウム等の汚染を考える際には、異常時対応が重要ではないかと考えております。今までのクリプトスポリジウムの集団感染事例を見てまいりますと、ほとんどの例が一過性あるいは断続的な高濃度汚染が原因となっており、決してだらだらと長時間にわたり高濃度のクリプトの汚染が続いて事故が起きたというわけではないと考えられます。そうなりますと、常時連続監視するしかないのですが、これは非現実的です。事故に対応する場合は、例えば、原水濁度の急激な変化を監視して取水管理で対応していただくといったような、別の方法の導入が必要となります。もちろん、それだけでは済まず、長期的には例えば着水井の容積を大きくして緩衝能力を高めて濁度対応を容易にする努力が必要となるのかもしれません。
 それから、異常事態対応で重要なポイントは、発生した事故への速やかな対応であると考えられます。集団感染の汚染源の特定が非常に重要になります。二次災害、三次災害を防ぐこと、あるいは被害を最小限にとどめることへの努力が必要です。そこで、1つの提案でございますが、各浄水場におきまして配水の一部あるいはその沈渣を一定期間保存するような制度の導入を検討してみてはいかがかということを提案いたしました。
 採水方法は連続採水とし、試料水そのものあるいはそこから得られた沈渣を適当期間保存いたします。この適当期間は、潜伏期間を考慮して、適当期間の保存をするということであります。
 保存方法としては、試料価値を失わないような措置が必要となります。保存期間中に集団感染等の発生がなかった場合は、順次廃棄します。集団感染が疑われた場合には、保存試料を検査をして原因を調べるのがよいのではないかと考え、検討しております。本日の会議で、先生方からのご意見も伺いたいと思っております。
 以上でございます。

○眞柄委員長
 ありがとうございました。
 それでは、2点大きくあると思います。1つは、大腸菌群数と一般細菌数の扱い。それから、もう一点は、クリプトスポリジウムと塩素耐性の微生物対策ということであります。1番目のところでは、いわゆるネットワーク、配管系での微生物の増殖ということも考慮して御議論をいただきたいと思います。
 まず、最初に、今回の水質基準の改正を機会に、大腸菌群数を従来と同様に継続するか、あるいは大腸菌群数から大腸菌に変えるかどうかというような観点から、先生方の御意見をいただきたいと思います。

○安藤委員
 2つございます。1つは、大腸菌群から大腸菌にした場合にどれだけデータがあるかということが大事かなと思いまして、それは日本水道協会の委員会でちょっと調べました。大腸菌群、今のいわゆる特定酵素基質培地法は、大腸菌も同時に測れますので、測っている事業体が9つございました。そこでデータが230ぐらいそろいまして、その結果、もちろん水道水では大腸菌群も大腸菌も不検出でした。問題は、原水でどうだったかという状況を調べました。その結果わかったことは、大腸菌群が多いところは大腸菌も多い、つまり相関性があった。地下水は別ですが、表流水では、相関係数が大体0.6ぐらいの相関性が見られた。
 もう一つは、その大腸菌群に対する大腸菌の数は、大体10の2乗(102)オーダー低い、つまり大腸菌群数が100だったら大腸菌は1個の割合で原水では見られました。ですから、大腸菌群を大腸菌にしても、できるかなという感じが見受けられました。
 もう一つ、これはどう考えたらいいかなということの御質問になりますが、つまり、大腸菌群から大腸菌とすることは、非常に大きな視野から、大腸菌という非常にセンシティブのものを測っていくということになるわけで、その場合、ほかをカバーしていた部分をどう担保するかが問題です。なおかつ、先ほどの一般細菌を従属栄養細菌も考えようということになると、なおさらここの灰色の部分をなくしてしまうわけですから、その担保をどこに求めるかを考えておく必要がある。それに関するデータはなかなかないだろうなと思いますが、一応の努力はしてみる必要があるのかなという感じがいたしました。

○眞柄委員長
 前段の部分は、いろいろな先生方が国内の環境水を前提にして調査をされて公表されている知見と大きく変わりがないと思いますので、それでよろしいかと思いますが、2番目の点についてですが、実際に水道の方で大腸菌群数が検出されたときに、IMViCを含めて確定試験までやって、それが大腸菌であるか、それ以外の菌であるかということは、現実の問題としては試験をされているということだと思いますが、平田先生どうですか。今の抜けてしまうところが出てくるのではないかということですけれども。

○平田委員
 一番悩ましい問題だと感じておりまして、私もまだ具体的に何を加えるべきかの結論を出すところにまでは来ていませんが、安藤先生がおっしゃった、大腸菌群と大腸菌の比が大体一定というのは,実は、たまたま汚染の様式が同じような水道水源であるからそうなんですね。例えば、もっときれいな上流域の水道などで、非常に近い汚染源からの糞便汚染があった場合は、大腸菌群と大腸菌のオーダーが余り変わらない。大腸菌群の半分以上が大腸菌だというところもあります。たしか10年ほど前に厚生省の方で、日水協に委託された水道の水源調査で北海道のある地域だったと思いますが、大腸菌群の70%か80%ぐらいがE.coliだという結果が出ています。一方で,処理した下水のような汚染しかないようなところや糞便汚染のないようなところでは、大腸菌は死んでしまっているのですが、大腸菌群は検出される。水環境に入ってから有機物はまだ微量残っていますから、それをえさとして大腸菌群が増えるということが起きるわけです。今まで大腸菌群で水道の安全性を十分に確保はしてきたのですけれども、一方で,塩素による消毒副生成物の問題がございます。消毒副生成物が水道水には望ましいことではないという前提に立ったときに、健康に直接関連がない、糞便汚染とはかなり異質なものも含むインデックスを水質基準に使うということの意味を考えなければならない。病原性細菌は基本的に環境では増殖しないというのが大前提ですから、そういう意味では、大腸菌の方に特化した方がいいのではないか。しかも、大腸菌の存在率は人の糞便に限って言えば、いわゆる大腸菌群に属する中での細菌の存在率が一番高い細菌ですから、大腸菌にすることによって糞便汚染を逃がすというおそれは基本的にないのではないかと思います。
 ただ、問題は濃度です。今まで大腸菌群に関して50mlで検出されないことというのが実際の水質基準であったと私は理解していますが、それを例えば今、安藤先生がおっしゃった100倍違うよということになると100倍しなければいけないという話になるんですが、それだったら、そんなことをしないで元のままでいいわけです。今抱えている有害化学物質生成問題との関係で、もし大腸菌に変えるとすれば、100ml当たりの検査水量とするか,それよりもちょっと増やすというようなことは必要かなと、そんなふうに考えております。
 長くなりまして、すみません。

○眞柄委員長
 ありがとうございました。
 大村先生、いかがですか。

○大村委員
 今、遠藤先生と平田先生がお話しになった内容につきましては、前回の我々のグループでいろいろ議論した内容がきっちり入っていたと思います。安藤先生がお話になった中の、大腸菌数では結局カバーできない部分をどうするかという話が出まして、かなり議論しました。大腸菌群数と大腸菌数が10の2乗(102)オーダー違うということは、大腸菌群数が10の2乗(102)以下の場合大腸菌は検出されないということですよね。その辺のところのリスクというものをどうカバーするかということで、今議論があったんですが、一つの考えとして、大腸菌数への変更による危険がちょっと大きくなってしまうようなところを、一般細菌数を従属栄養細菌数に変えることによって、そのリスクをカバーするとか、そういう別の手段によって大腸菌数への変更によるリスクをカバーすることができるのではないかというような話も出ておりました。
 以上です。

○眞柄委員長
 では、もう少しお話を伺いたいと思います。ほかの先生どうぞ。大腸菌群を大腸菌にするということで、先ほど平田先生がおっしゃったように、国際的に見れば大腸菌を使うときには検体量が100mlという、これは国際的な言わば標準ですから、100mlで大腸菌を測定して検出されないということにして議論してください。それで、どうでしょうか。

○遠藤委員
 安藤先生の2番目の御指摘の件ですが、今後ディスカッションに入ってくると思いますが、HACCPの概念の導入を図り、例えば消毒が万全か、あるいは凝集沈殿ろ過に異常がないことを、別の物理化学的なパラメーターを使って担保していくことが前提になろうかと考えております。これにより安全性が確保されるのではないかと考えられていることを追加させていただきます

○宇都宮委員
 質問ですが、遠藤先生が書かれています塩素に対して感受性が高い大腸菌があるということで、この辺についてはどのように考えたらいいのでしょうか。

○遠藤委員
 すみません、当方の書き方が悪かったのかもしれませんが、そういう意味ではございません。大腸菌のCT値0.02ぐらいでしょうか。

○宇都宮委員
 高いというのは、耐塩素ではなくて、すぐに死んでしまうという方ですか。わかりました。すみません、勘違いでした。

○遠藤委員
 塩素処理をすると大腸菌はすぐ死んでしまうということを表現したかったわけです。

○平田委員
 1つ悩ましいといいましょうか、迷っているところがありまして確認をさせていただきたいのですが、残留塩素規定、いわゆる給水栓水で遊離塩素0.1mg/l以上を確保するということを大前提とするのかどうかということです。0.1を残すという前提であれば、例えば先ほど安藤先生からお話があったように、当然、浄水では大腸菌群も大腸菌もどちらも出てきません。当たり前ですよね。もちろん、消毒だって人為的なあるいは機械的な操作ですから、ミスがあるおそれはないとは言えませんから、定期的に今は大腸菌群なり大腸菌なりを測って水質の保障を取っておくという制度は残してもいいと思います。しかし、残留塩素が常に確保されているという前提に立つか、水質が良好なら、消毒しなくてもいいような水を担保できるのなら消毒しなくてもよいという立場に立つかによって、この微生物基準というのはかなりニュアンスを変えなければいけないというところがあるんですね。これは、第1回からもお話し申し上げましたが、その辺りをお示しいただければと思います。

○眞柄委員長
 それについては、いわゆるディスインフェクション・プロセスは必ずあると。では、ディスインフェクション・プロセスの効果をCTで議論をするのか、給水栓の残留塩素で議論するのか、両方あると思いますので、それはこの後、化学物質や何かで消毒副生成物やいろいろなものと関係しますので、どこかの段階で全体像がまとまったときにディスインフェクション・プロセスをどう考えるかということを議論することにさせてください。今は、少なくともディスインフェクション・プロセスは、水道のシステムの中にあるという前提で議論をしてください。
 それでは、ほかの方。プールの水質基準があって、あれは大腸菌群になっているんですが、もともとプールに使う水は大腸菌がない水で、そこにいるのは人が持ち込んだものしかないので、大腸菌群であろうが大腸菌であろうが、それはコストと迅速性という観点で大腸菌群になっているので、それはそれでいいと思うんですよ。水道はそうではないので、あくまでも糞便汚染の指標として従来は大腸菌群を使っていたのだけれども、試験法というか検査法も進んできたし、大腸菌も比較的容易に測れるようになってきているので、この際、大腸菌の方を糞便汚染の可能性の指標として水道で取ったらどうだろうかということですが、一応、その方向で検討するということにしましょう。
 それでは、従属栄養細菌のことです。一般細菌から従属栄養細菌にするということですが、これについてはいかがでしょうか。

○安藤委員
 先ほど遠藤先生もおっしゃいましたが、たしか20℃ということからすると、実際に測定という状況から考えると、ほとんど不可能な状況になるだろうと。つまり、基準として値をなるべく早く出すというその操作としてはかなり苦しい面があるのではなかろうかという気がいたします。
 かといって、それが無理だという話ではなくて、やはり遠藤先生と同じような考え方なのですが、水道の工程管理あるいはパイプの管理ということをすると、その必要性というのはあるのだろうなというふうには考えられます。
 ただ、それをどういうふうに具体的にできるのかというのは、私は存じ上げませんので、それが多いから何だ、あるいはそれが多いということは、そこは死水がいつもあるのだよという評価になるんだろうとか、ですから、基準という観点からすると違うかなという感じがいたしました。

○眞柄委員長
 ほかの先生方はいかがですか。今でも水道統計を見ると、水質基準の数値を時々超えているのは、一般細菌が少数あって、それに対してアクションも余り取られていないし、実態としては、一般細菌数というのは皆さん方余り重きを置いていないような気もしないわけではないですが、大谷さんどうですか。一般細菌から従属栄養細菌にするという話は。

〇大谷委員
 安藤先生もおっしゃったように、従属栄養細菌数をどう評価するのかということ、どれくらいの数値でどのような判断をするのかということがわからないのですが。また、結果が出るまでかなり日数がかかることもあります。異常な数値が出たとしても水は配られてしまっていて、タイムラグがかなりあると思いますが。

○眞柄委員長
 ただ、一般細菌数というのは、Kochが緩速ろ過をした水が感染症を招かないようになっている水で、そういうふうにならないように緩速ろ過を運転しなさいという指標だったわけですよね。それが今や、我が国では緩速ろ過はほとんど導入されない時代になっていて、今から130年前の一般細菌数を、それこそ明治政府が飲用水指令か何かをつくった数値がそのまま生き残っているわけで、だから、もういっそのこと従属栄養細菌はという話はあるけれども、もっと極論と言ったら極論ですが、もう一般細菌数を水質基準から外したらどうかと。そういう議論も一方にはあると思うのですが、遠藤先生、それはどうですか。

○遠藤委員
 委員長の意見に賛同いたしますが、ただ、今日では新たにレジオネラ問題が出ております。レジオネラ問題は何が問題かというと、水道水系中に有機物汚染がどの程度あるか、その有機物汚染を如何にして把握するかというところがポイントだろうと考えております。例えば、AOCといった方法論があろうかと思いますが、従属栄養細菌が使えないかなと考えて提案をしたした次第です。従属栄養細菌とレジオネラとの間に数的な相関関係はございませんが、従属栄養細菌が増えるところは有機汚濁があって、その量によって結果的に、微生物が繁殖をする余地がある、と言うことは表現されるのではないかと考えます。その結果として、生物膜が形成され、アメーバー等が繁殖し、やがてアメーバー等を宿主としてレジオネラの増殖につながっていくわけです。相関はないですが、レジオネラ汚染につながるような状況になっているか否かの判断材料としては十分使えるのではないかと考えています。一般細菌よりもこちらの方が有用ではないかと考えて、培養時間が長いなどという欠点を考慮しても十分まだ価値があるだろうというのが、私の提案の理由です。

○眞柄委員長
 国包先生、どうぞ。

○国包委員
 私は専門外と言うとちょっと具合が悪いかもしれませんが、微生物が専門ということではありませんので、大ざっぱなことしかわかりませんけれども、1つ先ほど委員長から緩速ろ過の時代ではもはやないという御指摘がありました点に関して、実際には緩速ろ過がまだ数パーセント使われておりますので、そのことをまず申し上げておきたいと思います。
 それから、残塩の保持のことについてどう考えるのかというお話が、平田先生からありました。従属栄養細菌に関しては、私はむしろこれが決まらないことには、つまり、これについてどういうふうに今後考えるのかという姿勢がはっきりしないことには、余り議論しても意味がないのかなという感じがしております。少なくとも現行のまま、それもクロラミンは実態としてはまずないと考えてもいいぐらいでしょうから、そうしますと、次亜塩素酸での残留効果ということなりますから、そういった場合に、従属栄養細菌によって水の快適性を云々するというのは、余り意味がないのではないかというふうに思います。もう少し残塩の保持についての考え方が変われば、また随分事情も違ってくると思います。
 あと、もう一つ。測定に時間がかかるというお話なのですが、これはほかの項目でも大なり小なり時間はかかって、水はもう既に行ってしまっているわけですよね。そもそもこの水質の検査の意味をどう考えるかによると思うのですけれども、5日かかっても、7日かかっても、とにかくそのときの水質の状況をきちんと把握しておくことが大事であるというふうに考えれば、それはそれでいいのかなという感じもしております。

○古米委員
 今の御指摘に近いことですけれども、要は、従属栄養細菌を配管中の再増殖の指標として捉えるということになると、従来の一般細菌との位置付けとちょっと違うようです。そうなったら先ほど言ったように、配水管内の栄養塩で見た方がよいのではないかとか、そこでの再増殖を従属栄養細菌という指標で見るのがよいのどうか。さらに、再増殖に影響する因子として残留塩素の話もでてきます。その辺は一旦クリアにしておかないといけないのではと思います。従属栄養細菌を従来の一般細菌の代替としてか、新しい視点で導入するという位置付けで考えるかどうかによって、ちょっと議論を分けた方がいいかなと思います。

○眞柄委員長
 ありがとうございました。
 細菌に係ることに関して言えば、大腸菌群数と大腸菌については、委員の方々の御意見はほぼ等しいかと思いますので、これについては、次の段階で具体的な試験法も加えて御提示をいただきたいと思います。
 それから、一般細菌数と従属栄養細菌については、残留塩素の規定の問題とかかわりますので、これについては第22条の関係、つまり衛生的な措置のうちの残留塩素のことと関係しますので、これは別途、別の機会に残留塩素の規定をどうするかということと、そのことが委員会として方向性が定まった上で、どうするかということを御議論していただくということにしたいと思います。
 大村先生が御意見がありそうですが、時間もありますので、クリプト関係のことについて、特に、WHOが今度のガイドラインでDALYsという概念を導入しまして、ガイドラインにしかるべく載ることが確定しておりますが、そのDALYsという概念を特にクリプトスポリジウムのようなものを対象として考えたときに、それを適用するとして考えたときに、遠藤先生のお考えでは、現状の浄水施設が適正に維持管理されれば、2ないし2.5log期待できるということから、10L当たり1個というような具体的な数値が提案をされていらっしゃるわけですが、これについて御意見をいただきたいと思います。

○遠藤委員
 確認ですが、具体的に浄水に10L中1個存在していてもよいという意味ではありませんので、確認させていただきます。

○眞柄委員長
 10L中1個いれば、このぐらいのリスクになると。

○遠藤委員
 そういうことです。

○眞柄委員長
 だから、このぐらいのリスクは、ほかの化学物質と同等であるよという前提に立ってお考えください。

○国包委員
 質問よろしいですか。資料2−2の一番最後のページですけれども、別表1で、このクリプトの場合は、これはどう言えばいいんでしょう、ケース当たりのDALYsの数字がWHOのデータに基づいてだと思いますが、10のマイナス3乗(10-3)だという記述がありますね。さっきの御説明の中でも、クリプトスポリジウム症はそんなに大変な病気ではないからという御説明があったように思うのですが、この数値の具体的な根拠なり考え方というのを、少しお教えいただければありがたいと思います。

○遠藤委員
 ご指摘の数字は実はWHOの今度のドラフトから持ってきた数字でありまして、具体的な計算方法は存じ上げておりません。ただ、簡単な病気というわけではなくて、水道水というものの基本的な考え方は、健常者に供給するということが前提になっていると思います。これを前提とすれば、クリプトの評価がこの程度であると思います。

○平田委員
 補足になるかどうかわかりませんけれども、従来この委員会の中でも数字が出たと思いますが、例えば、EPAが言っているような10のマイナス4乗/年(10-4/年)というリスク、あれは感染リスクだったわけです。だから、コレラだろうがクリプトだろうが、死ぬ病気であろうが、ちょっと風邪を引いた程度で終わる病気であろうが、感染するかしないかという同じ土俵で並べて評価をしていた。それでは、ちょっとアンバランスなので,怖い病気については、やはり厳しくしないといけないだろうし、ちょっとした病気で済むものは、軽く見てもいいではないかという、個々の感染症の重さを加味しようとしたわけです。その病気にかかったときにどれだけ障害を受けるか、その障害の長さで評価をしましょう、その損失を多分10のマイナス6乗(10-6)ぐらいに設定すればいいのではないかとしたわけです。それで、クリプトはどのくらいの強さかというのが、先ほど国包先生から御指摘のあった、ケース当たりのDALYs、それが10のマイナス3乗(10-3)だと読んでいるということですね。だから、これは私も細かいところは見ていませんけれども、感染したときに下痢をする。そうすると、何日間まともな生活ができませんよと。それをまともな84年間の人生の中で、どれだけ損失したことになるかを計算している。そのときに、子どものときに感染するものもあれば、大人になってからも感染するのもあるので、あるいはそれぞれの年齢で感染率が違ったりするというようなこともあるのでしょうが、そこも余り細かいことはやっていないですが、そういうことも一応加味している。ただ、クリプトの場合は、小さいときにかかろうが、大人になってかかろうが、命に別状はない形ですから、がんのような場合とはちょっとスタンスが違って、数字が小さくなるということだと思います。
 おそらく、詳細な根拠のある数値としての1×10のマイナス3乗(1×10-3)ではなくて、何で5×10のマイナス3乗(5×10-3)でないのだとか、そういう議論は、今のところするだけの根拠を多分WHOも世界もどこも持っていないと思います。

○眞柄委員長
 だから10の3乗というと1,000日ですから、3年に1日クリプトで下痢になって、スツールの上に座っているということに相当するということですよ、わかりやすく言えば。

○国包委員
 私はよく理解できていないものですから。少なくとも、臭素酸の方については、かなり具体的に、合っているかどうかは別にして、考え方はこうだということで式でも示されていますので一応は理解できるのですが、クリプトの場合、いきなり10のマイナス3乗(10-3)だというふうにぽんと出てきますので、ちょっとすぐに常識というか普通の感覚でどうとらえればいいかというのはよくわからない。

○眞柄委員長
 そうではなくて、10のマイナス3乗(10-3)に置くと、こういう数字になるよということでしょう。

○遠藤委員
 もう一度言いますと、人が死ぬということを1と考えまして、健常を0として、そこを7ランクぐらいに分けています。下痢は軽い方から2番目ぐらいに分類されています。それで、それが先ほど平田先生からご説明がありましたように、子どもが感染した場合、大人が感染した場合にどの程度の影響をこうむるかというのを全部足し算して、それで計算するものだと理解しています。
 ただし、臭素酸の場合でも同様ですが、かなり思い切った近似値が適用されているものと理解しております。10のマイナス3乗(10-3)の根拠につきましては改めてご報告いたします。

○眞柄委員長
 それで、国包さん、そういう前提の上でどうお考えになりますか。

○国包委員
 そういう前提でこういう計算をすれば、この最後の数字のようになる。この数字であれば小さいではないかということであれば、それはもうそうですかと言うしかないですが、先ほど遠藤先生の御説明にありましたような、10のマイナス3乗(10-3)なりDALYsの数字の取り方についての少し考え方みたいなもの、あるいは根拠につながるようなもの、そういう資料がありましたら御提示いただければ、非常に参考になるのではないかと思いますので、お願いしたいと思います。

○遠藤委員
 はい。

○安藤委員
 今の国包先生のお話とちょっと似ているんですが、10のマイナス3乗(10-3)というWHOが出してきたもののレベルでは、軽い方の2番目ぐらいだとおっしゃいましたが、それがどのくらい、何となくこうかなと思ってやったのか、つまり、例えば免疫不全の人がなったら確実に死ぬわけですね。

○眞柄委員長
 それは、免疫不全症は対象にしていません。

○安藤委員
 対象にしていないのですか。あと、老人とか乳幼児はどのくらい入れているのかなと。

○眞柄委員長
 要するに、免疫不全という人は入っていない。でも、子どもで普通の子どもというか、健常な子どもは対象にしている。だから、免疫不全で特別な治療なり加護が必要なグループは対象にはしていない。WHOのガイドラインはそっちを対象にしていませんから、あくまでも健常な人が水道水あるいは飲み水を利用したときのリスクをどう考えるかということをしていますので、免疫不全の話は別というふうに考えてください。
 ほかにございますか。伊藤先生、御意見ありますか。

○伊藤委員
 この間も議論があった点ですけれども、飲用水量1L/dayあるいは2L/dayの話についてです。これについては、水環境学会の方で平田先生や大村先生が作業されて、私も協力させていただきましたが、まさにこの原単位を求めるためにやられたアンケート調査があります。あのときの結果というのは反映されないものなのでしょうか。

○平田委員
 ちょっと私の方からお話をよろしいですか。あのときのデータから95%値が大体1Lであるという結果が出ているんですね。遠藤先生がおつくりになられた4ページの方でも飲用日量が書いてございますが、1L/日ということになっておりまして既に1Lを使ったものですべて計算しています。その妥当性については、本当はもう一遍議論しなければいけないのだろうと思いますので、お茶の水女子大学の大瀧先生が実際にはやってくださっていますので、彼からきちんとまとまったものを資料として御提出させていただくことは可能ですね。
 でも、95%値がいいのか、50%値でいいのかどうかという議論はあるのですが、「実際にあなたは生の水道水をどれだけ飲みますか」というスタンスで調査した飲料水量の分布そのもの、あるいは現在の実態を水質基準の根拠とするのは、私は水質管理専門委員会の立場としてはおかしいのではないかと思います。水道水は、そのまま飲んでもいい水として供給するわけですから、やはり日常行動の中でどれだけ飲む可能性があるか、生物として生きていくのに必要な水の2Lを、全部生水で飲む可能性はないでしょう。それで95%値当たりを取るのがおおむね妥当なところではないか。それがたまたま千何十ミリリットルという数字だったので、一応95%値に相当する値である1Lというのを微生物基準の算出根拠にしてもいいのではないかというのが私の考え方です。

○伊藤委員
 了解いたしました。

○眞柄委員長
 TDIから実際には飲用というか摂取、利用する水量を何リットルにするかということで、具体的な基準値等が決まるわけで、現状は2Lで動いているわけですが、それについてどうするかということは、どこかで決めなければならないことだというふうに理解しています。
 それでは、クリプトについて今、暫定対策指針が設定されておりますが、それを基準にするかどうか、あるいは基準にしないとすれば、現状の対策指針と更に何を付加するかというようなことについて、一応、遠藤先生から御提示がございました。ただ、DALYsを適用するときの基本的な情報をもう少し提示をしていただきたいということでございますので、クリプトに関して具体的に議論する際には、DALYsの考え方を整理していただいたペーパーと、併せて具体的な基準設定についての案を御提示していただいて議論するということにしたいと思います。
 それでは、次に、化学物質選定の考え方について、江馬先生に資料を御準備いただきましたので、江馬先生から御説明ください。

○江馬委員
 資料3−1です。ここに選定化学物質をどのようにして選んだのかを記載いたしました。
 1ですが、現在選定されている水質基準と監視項目等それから、農薬は別として、これらから選ぶと、検討対象項目と書いてありますが、検討対象項目候補とすると。これらの表から選ぶと。そして、次の3ページ、4ページ、5ページの頭の方までのものが、私どの方で検出実績あるいは重要度等を考えまして選んだ39項目、これは選定化学物質のたたき台が出ないと作業が進まないだろうと思いまして、最低限の39項目。数をたくさん出しても増える可能性はあるのですが、減る可能性はない。作業量を考えますと、できるだけ絞りたいというのが本音でありまして、39項目からどれだけ追加されるかというふうなことが、現実としては非常に大きな問題となってくると考えています。
 後の方についています表は、事務局でつけていただいた表ですね。この中から、どれだけ検討すべき項目が上がってくるかということになるかと思います。
 この表に書きましたのは、先ほど言いましたように、検出実績を主にして選び出したもので、今回の話題となるものは、内分泌かく乱物質関係のことだと思いますが、そのうちのビスフェノールAは、低用量問題が現在でも解決しておりませんで、これは入れざるを得ないのかなと思っています。
 それから、フタル酸エステル類としてはフタル酸ジエチルヘキシルが既に監視項目として入っておりまして、そのほか生産量から考えたらフタル酸ジブチルフタレートが重要なものとなってくると思います。
 ここには書いておりませんが、ジブチルフタレートの毒性の活性本体が代謝物のモノ体でありまして、ブチルベンジルフタレートも同様の活性代謝物ができますので、ブチルベンジルフタレートもこの表に入れるべきかなと思っています。
 それから、エチニル−エストラジオール、これはピルの原料ですが、このようなものも問題になってくるだろうというふうに思っております。
 簡単ですが、以上です。

○眞柄委員長
 ありがとうございました。
 それでは、資料3−2で西村先生、お願いします。

○西村委員
 農薬についてですけれども、先ほど江馬先生からお話がありましたが、水質基準が設定されているものについては、今回検討対象とするということです。そのほかの検討をする対象の農薬のリストをつくるに当たって、資料3−2に掲げた考え方に基づいてつくってはどうであろうかということで、この委員会で検討していただきたいと思います。
 1として、まず、我が国で登録のある農薬のリストを母集団から、これは次の点はここでまた議論していただきたいと思いますけれども、現状を把握するということで、平成12年度の推定使用量50tを超える農薬についてリストアップをしてはどうだろうかと。この50tの目安なのですけれども、すべての農薬についてのデータはないんですが、例えば、1つの農薬でアミトラズという農薬があるんですが、これは50t以下の使用量ですけれども、平成10年度の厚生科学研究の実態調査で51か所中検出されていないというような事例、このようなことで、1つの目安として検出されないものが多いということで、50tを超えるものについてリストアップ。以下のものはリストアップをしなくてもいいのではないだろうかという考え方ではいかがでしょうかというのを御提案したいと思います。
 それから、正確に実態を把握するということで、水道原水もしくは浄水の濃度レベルで、きちんと測定ができる検査方法が設定されているもののうちで、そのリストの中でそこに掲げてあります(1)(2)(3)のWHOの飲料水水質ガイドラインでガイドライン値が設定されているもの、それから、EUにおいてはガイドライン値、米国のEPAにおいては基準値が設定されているものの農薬をリストアップして検討をしてはどうでしょうかということです。
 それから、平成12年度に、先ほど資料3−1の2ページに書いてありますけれども、種々の研究で検出状況を調べておりますが、そこで検出報告のあるような農薬、これは検討の対象にしてリストアップをしてはどうでしょうか。
 その他、専門的観点から検討する必要のある農薬。例えば、過去に登録をされていた農薬で、現在は失効している農薬であっても検出実態のあるようなもの、現在も継続して測定していて検出実態があるようなものについては、検討対象の項目に入れてはいかがでしょうかということで、リストアップをしようと考えております。
 現時点では、ここで御議論をしていただいた上でということなので、確定的なリスト案を示すところまでは煮詰まっていないということで、今回のところでは考え方の案を提示したところにとどめまして、抽出法が決まりましたら、その考え方に基づいてリストアップをしようというふうに考えております。

○眞柄委員長
 ありがとうございました。
 それでは、まず、農薬を除く化学物質などということにしておきましょうか。無機もありますので。それの項目選定の考え方について、御意見がございましたら。内分泌かく乱性を有するとされている化学物質について幾つか例示もしていただきましたが、それも含めて御意見をいただきたいと思います。

○安藤委員
 終わりの方のお話ですが、内分泌かく乱化学物質ですが、基本的に入れることに反対する理由はないのですが、測定という面からすると非常に厳しいです。よほど精通していないと測れないという状況がございますということを御理解いただきたいと思います。

○眞柄委員長
 分析技術上、達成できる水準でという基準の決め方もあると思いますから、それはそういうことかと思います。

○伊藤委員
 今の内分泌かく乱物質については、ここでリストアップされている物質の次に来るべきものとして、ノニルフェノールがあると思います。これを外されている理由は何かございますでしょうか。

○江馬委員
 特にありません。特にないというのは、内分泌かく乱でノニルフェノールとオクチルフェノールでしたか、環境面での作用はかなり出ているようなんですが、哺乳類での影響が余り出ていないようなので、検出の例としていました環境省の中間報告に載っていたと思うんですが、それほど多くはなかったように記憶しています。

○眞柄委員長
 WHOのガイドラインでは、今、江馬先生がおっしゃったように、人あるいは人以外の哺乳類による毒性的な知見があるものに限って、ガイドラインを設定するという基本的な原則を設定しておりますが、我が国の水道の水質基準を検討する際にも、そのような視点で考えるというか、検討するということの原則でよろしいですか。では、そういうことにさせていただきます。
 では、宇都宮先生、何か化学物質に関係して。

○宇都宮委員
 安藤先生と同じなのですが、例えば、フタル酸ジブチル、これはもう既存の方法でありますよね。でも分析法的に考えるといろいろ問題があると考えています。

○眞柄委員長
 では、分析をどうするかというのは、その次の安藤先生のところで水質検査法のところですから。要するに、TDIを算定する対象をどれにするかという観点で、今は御議論をしていただく。

○宇都宮委員
 もう一つ確認していいですか。ノニルフェノールの内分泌かく乱性のデータについてですが、魚類は哺乳類ではないので、魚類のデータは認めないということですね。

○眞柄委員長
 はい。
 それでは、農薬についてですが、いかがですか。

○大村委員
 選定の考え方で、結局WHOとかEUとかEPAというようなところで明確になっているものだけをリストしていいのかどうか。ちょっと農薬とはかかわりがありませんけれども、前の方の重金属などで見ますと、例えば鉛対策で、今度鉛レス合金ができると。そのときに何を使うかというと、ビスマスなんですよね。実質的にはここの中に、そういう水道施設で将来使われるような物質に対して、必ずしも目が向けられていないのではないかという気がして。そういうものはどうするのかというのがちょっとよくわからないんですが、その辺のところはどうですか。

○眞柄委員長
 今、大村先生が言われたような項目は、今ここで抜けているものもありますので、それについては、当然のことながら検討の対象にしていかなければならないという認識でいます。

○西村委員
 農薬に関しましては、今後問題になるような農薬というのは、(2)の研究レベルのところで、検出実態を調べているというところで、もちろん、今、委員長がおっしゃったところは含めますけれども、ある程度はフォローはしているところだと思います。

○安藤委員
 農薬の件ですが、2つございます。1つは、環境省が決めております、いわゆる水質汚濁性農薬は、(1)の(1)から(3)の次の(4)ぐらいに入れなければいけないのではないか。評価の中に入れて検討したらいかがでしょうかということが1つ。
 それから、もう一つ、検査方法にもかかわる問題ですが、例えば、今の水質基準では農薬で変化したものについても、ある程度入れております。つまり、有機リンの場合はオキソン体も入れている。そういうものをどうするか。あるいは、先ほど西村先生がおっしゃった(3)の専門的見地からというもので、例えば、CNPの場合は多分土壌に入れば還元体になっていると。それがひょっとして、ぱっと出てくる可能性もあるというものをどうするかだとか、そういうことが、この(3)の話なのかなというふうに思うんですが。

○眞柄委員長
 そういう理解でいいですね。

○西村委員
 はい。

○眞柄委員長
 ほかに農薬類についてありますか。よろしいですか。
 それでは、化学物質については、江馬先生と西村先生から御提示があった考え方に基づいて項目を選定して、具体的には、もうある程度担当の方から資料が提出されておりますが、必要と思われるものを更に追加して、具体的な検討ができるように資料の御準備をお願いしたいと思います。
 それでは、検査方法について、安藤先生、お願いします。

○安藤委員
 検査方法につきましては、4つの考え方で示しております。まず、検査方法というものをどういう尺度で決めていくかということでございます。それは、1つは(1)に書いてございますように、今、資料3で決まったものについて、確実に測定できますよという観点が当然ながら必要だと。それは主に、選択性という観点が大きいものだというふうに思っております。
 その次が(2)でございまして、当然基準値という値が出るわけですから、今回の考え方も基準値のレベルではなくて、その10分の1が測れるという条件設定を考えていくということでございます。
 それから、(3)は精度という点からしますと、変動係数が操作が複雑なものは20%、どちらかというと有機化合物類。それから、操作がほとんどないようなもの、あるいは簡単なものとして無機物類は10%の精度というものを確保、そういうものを試験方法とすべきだろうということでございます。
 もう一つは、有害物質として幾つかどうしても操作として必要なわけですが、なるべく有害物質の使用は避けていこうということでございます。ここに具体的に書いてございますが、ベンゼン、これは使っておりません。クロロホルムは使っております。これが変えられるかどうかは、ちょっとまだわかりません。これは、具体的な非イオン界面活性剤がそうですし、もう一つフェノール類がございます。ですから、それを比色法ではなくて液体クロマトグラフ法に変えられるかどうかという問題を考えなければいけないということになります。そうすると、基本的な概念が変わってしまうということが生じてしまいます。つまり、個々の物質を足すか、トータルで評価するかというような問題が発生してしまいます。つまり、ここに書いてある問題は、実はその下にいろいろ大きな問題が含まれていますということです。
 それから、ジクロロメタンの問題、こういうことをなるべく解決できる方法でしていこうということでございます。ただ、そのとき採用する場合、今がベストな方法であって、今度はベターな方法というふうに変えるわけですから、その場合発生する問題として、当然CV値が下がるあるいは定量下限が上がってしまうという問題が発生します。それをどこまでクリアしたらいいんだろうかということを考えなければいけないということでございます。これが、具体的な公定法の基本的な考え方として整理していこうというところです。
 それから、2番目は、公定法の設定方法としては、基本的には複数挙げても構わない。今、申し上げた1番目の4つがクリアできれば、基本的にいいのではないかという考え方に立ちたいということでございます。
 それから、自動分析というのは、これからは当然そういう状況でございますので、自動分析というものが1番目の問題がクリアできれば当然OKだという考え方にしていきたいということでございます。
 それから、測定後、原理が異なる問題というのは、先ほど申し上げましたように、基本的に何かを測っているんだけれども変わってしまう、見方が違う、大腸菌群もそうでした、それはそれで通してしまったわけです。大腸菌群というのは、あくまで培地でガスを産生し云々というものに対して、完全に比色という全く違う方法でやっているということでございます。それについて整合性が取れればOKにしようという考え方に立とうということでございます。
 それから、浄水工程だとか事故についての問題をどうしたらいいか。例えば、鉄がございました。鉄は、水道にとっては非常にしょっちゅう測るものですので、それは簡単に測れたらいいなという観点で入れてありました。今回は、鉛が厳しくなります。そこから出てくる水で鉛がさっと検出されればいいなということになるわけですが、その限界というのは当然あるわけで、基準はクリアできないという方法になってしまう。そこら辺をどう考えたらいいだろうかということを考えるということでございます。
 それから、5番目はここに書いてありますように、必要最低限の要素というものを試験法のスタイルとしてどういうふうな書き方をするかというのは、基本的な原理を書くことにとどめた方がいいのではないかということでございます。
 それから、大きな3番目では、これからいろいろな技術革新が行われて、新しい方法が出てくるだろうと。そういう場合、どういう観点で新しい方法を採用していったらいいかということを考えておかなければいけないだろうということが、(1)、(2)という形で書いてございます。
 いずれにしても、どこかで提案されたものについて、どこかが評価しなければいけない。そのシステムはつくっておかないとまずいだろうと。つまり、極端な言い方をすれば、どこかの分析機器メーカーが、これはいいですよと言って、それをすぐ採用できるかというと、それは困る。水道という立場がございますので、少しレベルが低いところでも測れるという状況は、ある程度設定できなければいけないということから、検証できる体制が必要だろうということでございます。
 それから、具体的な問題として10項目書いてございます。大腸菌と大腸菌群のお話は、先ほど出ましたのでやめます。従属栄養細菌もやめます。
 それから、具体的には、過マンガン酸カリウム消費量というものが今ございますが、その有機物指標としてTOCを採用していきたいという考え方で、現在そのデータ取りを全国で展開しているという状況でございます。
 それから、シアンについては、当然、急性毒性物質として常に問題になるわけですが、誤陽性という考え方がいつまで経っても抜け切れないということがございます。これは、今まで要するに比色という古い試験法でやっているからでございまして、そこの問題をもうちょっと詰めておかないといけないということでございます。
 それから、揮発性有機化合物については、現在ある試験方法よりも更に化合物全体が測れるというものができてきましたので、それを見直そうということでございます。
 それから、6番目は先ほど申し上げました、クロロホルムの問題でございます。
 それから、7番目が比色法の見直しをどうするか、これも6番目と関係するものでございますが、どうしたらいいのかというところの考え方でございます。
 そのほか、8番目、定量下限の見直し。当然、技術革新ができておりますので、それができるということでございます。
 9番目は、先ほど農薬のお話で出ましたので、そういうものについても取り込んだ試験方法にするかどうするか。そうすると、スタンダードな問題も出てまいりますので、ややこしいなということがございますが、そういう問題がございます。
 そのほかが10ということでございます。
 以上でございます。

○眞柄委員長
 以上が、水質検査方法の設定に当たっての考え方を御説明いただきましたが、これについて御意見があれば出していただきたいと思います。

○岸部水道水質管理官
 事務方から追加をさせていただきたいと思います。先ほど来問題となっております残留塩素の測定法の件についてでございます。従来、残留塩素の測定法につきましては、測定方法というのは公定法をつくっておりません。私どもの通知で、こういった方法で測定をしたらどうですかというのをお示ししております。その中に従来、いわゆるオリトトリジン法があったわけですが、平成14年4月1日からそれを削除致しました。そうは言いましても、オリトトリジン法を使いたいとか、使ってはだめなのかという問い合わせが非常に多く寄せられております。現在の法令上からいきますと、公定検査法というのを定めていないものですから、どのような測定法でもよいという状況にございます。私どもといたしましては、オリトトリジン法のようなものはやめていただきたいというような考え方がございますので、その意味で、例えば、公定検査法とすることについてとうだろかというようなことを安藤先生にもお願いしたところでございまして、直接水質基準のこととは関係ございませんけれども、その辺の点につきましても、先生方のお考えをお教えいただければありがたいというふうに思っております。

○眞柄委員長
 ありがとうございました。
 今の岸部さんの御意見は、有害物質を使用しない方法ということに尽きるだろうと思いますが、公定検査法の要件ですが、中村先生、何か御意見がございましたらおっしゃってください。

○中村委員
 要件はこの4つでいいと思うんです。有害物質を使用しない方法で非イオン界面活性剤が今、溶媒抽出吸光光度法で液クロでやると、安藤先生がおっしゃったように、いろいろな種類の非イオン界面活性剤が出てきて、それをどう評価するかという点は、やはり今後の検討課題だなというふうに思います。
 それから、同じように、有害物質を使用しないというところで、硬度の測定時に、マスキング剤でまだシアンが残っていますね。ああいうところは、やはり是非外していくとか、ここに書かれていないものでも、例えば、塩化物イオンも滴定にクロムはやめた方がいいというふうに思いますし、大きな問題と小さな問題もありますが、この際、そういう点も是非見直して、やはりなるべく有害な物質を使わない方法をつくるというふうに、私も賛成です。
 それから、もう一個、シアン化物イオンなのですが、やはりイオンクロマトの検出が電気化学検出になってしまいますよね。その辺のメンテナンスがきちんとできるかなという点でやはり心配というか、もうちょっとデータ等を出した方がいいかなというふうに思います。
 以上です。

○眞柄委員長
 大谷委員、何かございますか。

○大谷委員
 特に追加はありません。

○眞柄委員長
 宇都宮委員、何かございますか。

○宇都宮委員
 1つだけあります。公定検査法の設定方法の(1)に「可能な限り多くの方法を提示する」という基本的なことが書いてありますけれども、項目によっては削除するというような検討があってもいいのかなというふうに思っています。多くの方法を残すということが、必ずしもいい方向に行っているかどうか、といいますのは技術はどんどん進歩していますので、この辺の見直しはやった方がいいのではないかというふうに考えています。

○安藤委員
 それも含めてのつもりで申し上げました。問題は、削除するというのをどう考えるかということになります。つまり、水質検査をやっているレベルをどう考えるかによって変わってくる。先ほどおっしゃった滴定法だとか、比色法をやっているような、これしかないようなところはやめなさいよという考え方に立ってしまうのか、それは簡単にできてしまうんですね。言ってみれば、そこの議論をしておかなければなりません。

○宇都宮委員
 範囲を広げてもう一度削除について考えてみたいですね。

○安藤委員
 考えないと、簡単に、はい、削除というふうにもいかない。その考え方を整理しないと、削除するかどうするかというところが難しいなと思います。もう割り切っていいと先生方がおっしゃるなら、割り切ってやめましょうというふうになるのですが。

○中村委員
 その辺なのですけれども、私自身は残せるものは、小さいところでもやれる方法は残して、ただ、そのときに有害な物質を使わない方法に変えてほしいというのはあるんですが、これは1回目の時にも申し上げましたけれども、やはり最新の機械しかできないというところでは、小さな事業体ではどうするかという問題が、安藤先生がおっしゃったように出てくると思うので、試薬は有害でなくて、きちんと測れてという方法がもしあるならば、私は残してもいいというふうに思います。

○安藤委員
 最後に1つだけいいですか。これは、次回に出てくる問題だと思うんですが、つまり、この測定ということは民間が入ってくるということになりますね。そうしますと、QA/QCの問題をどうするか、この問題とどうしてもバッティングしてしまうということになります。ですから、非常に小さいところでもいいんだよということになると、今度は精度というものは保障されるのですかという問題が出てくる。そこの問題もやはり考えながら、どっちかに決めないといけないなと。それは次回にまた。

○眞柄委員長
 そうは言っても、アルカリ度はやはり容量滴定は残るのでしょうね。だから、すべて容量滴定法がなくなるというわけでもないのでしょうけれども、ただ、基本は10分の1が定量下限で、CVが有機物で言えば20で、無機物で言えば10だと。それを満たしていればいいと。ただし、クリーンラボ、要するに、きれいなラボを前提とするということでいくわけで、しかし、そうはいっても、提示される方法の中にはパックテストみたいなものもあり得る、必ずしも機器分析ばかりではないという考え方で、検査方法を設定していただくということで対応していけばいいと思いますが、古米先生、いかがですか。

○古米委員
 ちょっと確認をしたい点があります。公定検査法の設定方法の(4)のところで、機器分析できないで緊急的に測る方法というのは、その条件付きの下で公定法として提示するという発想でよろしいでしょうか。

○安藤委員
 そこはわかりません。どうしたらいいのかなと、むしろ問題提起でして。例えば、いわゆる無機イオンだとか、陰イオンというものは当然できますが、そのほかのものはほとんどできなくなってきていますね。ですから、かなり苦しい面がある。だから、そういうものについては、どういう考え方でこれは使えますよというふうにするのか、そこをどうしたらいいのかなという問題として挙げた、すなわち検査法にランク付けができるということです。

○大村委員
 1つだけ。例えば、これから多分、化学物質などがどんどん増えていくというか、問題になってきているのだと思いますけれども、例えば、総トリハロメタンみたいに何か1つひっくるめて、例えば、有機塩素化合物だったら、塩素みたいなものに特化して総塩素量とか、そういうような取りまとめていって、全体を測らなくてもいいような手法というものはつくられないのでしょうか。

○安藤委員
 現在の段階では、無理であろうなという状況です。将来としては、有機物で私が考えているのは、例えば、有機リン系農薬というのだったら、その有機リンのPOのところをうまく免疫化学的に把握して、それをトータルとするとか、そういう可能性はあります。ですが、今は個々の分析について云々している段階ですので、今回の改正にはそれは入らないだろうなという気がいたしております。

○眞柄委員長
 ほかに、公定検査法について。

○宇都宮委員
 2ページ目の3番のところで、公定検査法と同等以上の検査法がいろいろと発表された場合に、それを評価するシステムがいるのではないかというところです。私も、これはすごく必要だと思っています。やはり早くに良い分析方法や技術は導入した方がいいと思うのですが、具体的に、評価システムということについて何かお考えがあって書かれたのでしょうか。

○安藤委員
 具体的にはありません。ただ、現在は協会というところでやっていただいているという状況ですので、国が本当に腰を軽くしてできるかというのは、また別問題ですので。ただ、それは考えていただかないと。

○宇都宮委員
 ただ、公定法ではなくても通知というような形で、早目に対応するというようなことは評価システムさえきちんとしていれば可能かなというふうに考えたものですから。

○眞柄委員長
 では、岸部さんから、そもそも公定法とは何かというところから御説明をください。

○岸部水道水質管理官
 水質基準に限らず、基準については、この方法で測ってこの値というのが基本的な考え方でございまして、法令的には、基準と検査法がセットで規定されるのが通常でございます。今回の例で言えば、水質基準とセットの形で、省令なり告示で検査方法を示すことになります。ですから、水質基準の検査のためには、私どもが法令でお示しした検査法でやってくださいというようなシステムになろうかというふうに考えております。そうはいいましても、省令なり告示ですべてのものを書き尽くすわけにはいきませんので、当然、同等以上の方法については技術革新に従って認めるシステムというのは必要かと思います。だれが同等以上と判断するかというようなことがございますが、当然、公定法を定めた役所ということになろうかと思います。その意味で、安藤先生の資料にございますけれども、当然、役所内にそのシステムをつくる必要があるのではないかというふうに考えております。そして、何らかの方法で同等以上と認めたということをお示しすることになるのかなと、それが通知のような形になるのか、別途の方法があるのかは別ですけれども、そういった形でお示しすることになろうかというふうに考えております。
 当然、検討会というふうなことが資料にございますけれども、これは当然私どもの中に検討会を、もし、こういったことでやるのであれば、つくるのではないだろうかと思います。その場合、例えば、こういう新しい方法ができたという提案あるいはこういった新しい方法を使いたいという利用の要望のある方から、必要な資料を提出いただいて、その上で、私どもの設ける検討会の先生方に検討をしていただいて、必要ならば検証という作業を経て、これは同等であるというような私どもの考えをお示しするというようなシステムになろうかと思います。

○眞柄委員長
 私から伺ってはいけないかいいか知りませんが、私も委員長でありますが「長」を取れば「委員」ですから聞きますけれども、基準値は決まるわけですね。基準値は、例えばヒ素だったら、3価と5価の金属のヒ素というふうに定義して、その合計量。そして、試験法は、例えばヒ素が10ppbだったら、基準値の10分の1が定量下限であり、精度は定量下限において変動係数が無機物ですから10%以下の試験方法、それではだめなんですか。そういう検査方法を適用しなさいという表現では、法律的にだめなのですか。

○岸部水道水質管理官
 基本的には、例えば先ほどの条件ですね、定量下限が10%、それから、CVが10とか20%、それをだれが確認するかという1つの問題がございますし、具体的にはその測定方法ですね、今、先生がおっしゃったものを具体的にどういうふうにやるかという問題もございます。基本的に法令で定めるというのは、例えば、測定の専門家であればそういった要件で対応できるかもしれませんけれども、それより広く、法令というのは国民に対して提示するものですので、通常の常識を持った人が読めば、それなりのことがわかるというような形でお示ししないといけないというようなことがあろうかと思いますので、法令の形式上、具体的にこういう方法というのをお示しする必要があろうかなというふうに思っております。

○眞柄委員長
 ただ、クオリティ・アシュアランスとクオリティ・コントロールを今度の改正では、いわゆる検査を行う機関に対して、まだ結論は出ていませんけれども、例えば義務付けるということになるとすれば、例えば、ISOの9000か17025であるとすれば、要するに、証拠となるドキュメントはすべて残るわけですね。何も国がここで書いた試験方法を採用してくれなくてほかの方法でいいと書いたら、そういうドキュメントベース、エビデンスベースが残るようで、しかも、情報公開に耐えられるような仕組みあるいはそういう社会制度に今どんどん転換しようとしているときに、それでもやはりいると。

○岸部水道水質管理官
 その辺につきましては、例えば毒性試験のシステム、ほかの例を取りましても、試験施設のスペックというのはGLP、一方、試験方法についてはテストガイドラインという形で、それなりの試験のポイントになる部分は書いていますので、それは国際的な流れから見ても、先ほど言った測定をする施設の要件と、測定法のガイドラインは必要、これは国際的な流れかと思います。安藤先生ともお話ししていますが、安藤先生の資料にもありますが、検査法の記述に当たっては、必要最低限の要素というのはどちらかというとテストガイドラインをイメージして、従来の細かいところまで、何ミリリットル云々という記述ではなくて、要するに、測定としてここのところは外していけないというような点といったものを書いていただくのかなというふうに考えております。

○眞柄委員長
 それでは、特にほかに御意見がないようですので、検査方法の設定についての基本的な考え方は、委員の先生方から御了解をいただいたということにいたしたいと思います。
 ここの方法は、定量下限の基準の10分の1という数字がなければ、検査方法が決定できませんので、具体的な検査方法が提示されるのは、いろいろな議論を行って基準値等が設定された後に、具体的な方法を御提示していただけるということになりますので、そういうお考えで対応していただきたいと思います。
 以上で、今日予定していた議事は終了いたしました。議事では「水質試験方法」、安藤先生の資料では「水質検査方法」となっていますが、正しくは多分「水質検査方法」だろうと思いますので、その辺はよろしくお願いします。
 あとは、その他ですが、実は日程の調整であります。12月9日まで決まっていまして、その後に、中間報告で基本的なところが固まった段階で、12月に水道部会で中間報告をされるということで、その後になって具体的な事柄について専門委員会で議論をしていきたいというお考えであります。今、お手元にカレンダーが出てございまして、このカレンダーの中で何個ぐらい埋めればいいのかというのを事務局からお考えを出してください。

○岸部水道水質管理官
 参考資料3の2ページ目のところに来年の、これは2回目のときだと思いますが、具体的にこういったスケジュールを目安に御審議いただきたいというようなことでお願いしたところでございますが、6回から9回まで、本会計年度の終わりぐらいまでにお願いいただければと思います。当初は1月上旬とありましたけれども、作業の都合で1月上旬は難しいかなと思ったりしますし、2月上旬は例のWHOのファイナル・タスクミーティングが2月上旬にありますので、1月は中下旬、2月も中下旬、それから、あと3月は上旬と下旬、合わせて4回程度、この場でお決めいただければありがたいなというふうに思っております。

○眞柄委員長
 ガイドラインの件ですが、ドラフトのディスカッションが実質的に全部終了いたしましたので、今月末にはドラフトがWHOのWebに載ることになると思います。具体的にそれでやろうという話がまとまりましたので、今月末か来月上旬、多分クリスマスプレゼントよりは早いということになっておりまして、そういう日程も見ると、今、岸部さんが言われたことだと思います。
 それでは、1月ですが。

○岸部水道水質管理官
 すみません、追加して。1月の議論というのは、ケミカル・バイ・ケミカルでご審議いただくことになりますので多少時間を取っていただきたいと思います。それから、可能であれば予備日も設定しておいていただけるとありがたいと思っております。

(日程調整)

○眞柄委員長
 では、1月28日の午前と午後、2月17日午前、3月3日午後、3月26日午前としたいと思います。
 それでは、そんなところで、本日の議題は終了いたしましたので、よろしくお願いします。もう一度、年内にございますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

−了−

照会先厚生労働省健康局水道課
電話03−5253−1111(内線4032)


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