02/10/28 第6回新たな看護のあり方に関する検討会議事録            第6回新たな看護のあり方に関する検討会議事録 日時  平成14年10月28日(月)      16:00〜 場所  厚生労働省専用第21会議室 出席メンバー  井部俊子、上野桂子、内布敦子、川越厚、川村佐和子、國井治子、         西澤寛俊、平林勝政、藤上雅子、宮武 剛、柳田喜美子         (五十音順、敬称略) ○看護課長(田村)  ただいまから、「第6回新たな看護のあり方に関する検討会」を開催いたします。委 員の皆様方におかれましては、ご多用のところ当検討会にご出席を賜り、誠にありがと うございます。  それでは川村座長、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○川村座長  それでは本日の議事に入らせていただきます。まず事務局から資料の確認をお願いい たします。 ○勝又補佐  それでは資料の確認をさせていただきます。まず、座席表、議事次第、メンバー表で す。そして資料1は、「麻薬の取扱いと包括的指示について」。資料2は、「症状の緩 和のための与薬における包括的指示の例」です。参考資料として、「在宅療養支援のた めの医療処置管理看護プロトコール」です。以上が本日の資料です。 ○川村座長  本検討会も、これまで5回にわたって検討をさせていただいてきました。前回は皆様 のご協力を得まして、これまでの論点整理と看護師等の静脈注射についての考え方を整 理し、当検討会の「中間まとめ」として公表をいたしました。  その後、9月30日に「医師等の指示に基づき、看護師等が静脈注射を行うことができ る」とする旨の厚生労働省医政局長通知が発出されました。これについては皆様のお手 元にも届いているかと思います。  今後の検討課題としては、在宅療養者に対する麻薬の取扱い、包括的指示のあり方、 療養上の世話に係わる医師と看護師の連携のあり方、在宅患者の死亡時における看護師 等の関わり、医薬材料の取扱いなどがあるかと考えております。  そこで、本日は、まず麻薬の取扱いの現状と包括的指示について検討していきたいと 思います。 麻薬の取扱いについては第4回の検討会において、事務局からの現状説明や、国立がん センターの平賀手術部長から、「がん疼痛治療ガイドライン」についてお話を伺い、内 布委員及び藤上委員からご意見をいただいた後、議論をいたしました。本日は、それに 引き続き、さらに議論を深めていきたいと思います。  それでは、まず事務局から資料が提出されておりますので説明をお願いいたします。 ○土生企画官  それでは配付資料について事務局からご説明をいたします。まず資料1ですが、標題 が「麻薬の取扱いと包括的指示について」となっていて、1頁目が「第4回の検討会に おける主な意見」です。ただいま座長からご紹介がありましたように、8月19日に開催 されました検討会において、がんセンターの平賀部長からお話をお伺いするとともに、 内布委員、藤上委員の両委員からもご意見をいただいたものです。  その後、若干のお時間をいただきご議論をいただいたわけですが、その中で主な意見 を整理したものです。「論点整理」というサブタイトルが付いておりますが、括弧書き にありますように「病院内に関する論点」、それと1頁目の下のほうですが「在宅に関 する論点」、それと「共通事項」の3つに分けて整理をしたものです。論点を逐一申し 上げませんが、主なものだけを申し上げますと、まず病院のところでは、がん疼痛治療 の普及に妨げになっている要因について、医療者の認識の問題とかガイドラインの普及 の問題等々、ご意見を賜ったところです。また、医師と看護師の役割分担ということに ついても、ご意見を賜っております。また、在宅については幅広いご意見を賜ったわけ ですが、訪問看護師の認識の問題とか、医療保険の取扱いの問題、さらに麻薬管理上の 手続の上での課題、在宅における医師・看護師の役割分担についても、いくつかのご意 見を賜ったところです。また、麻薬の管理については、それぞれのご意見、これには両 論あるわけですが、どういった管理が適当かというようなことで、ご意見をいただいた ところです。  3頁は、「在宅での麻薬使用に係る課題の整理」です。ただいまご紹介いたしました 第4回で出された意見の中で、特に麻薬の使用ということに関して、具体的な意見があ ったものを事例に即して、ご意見を整理したものです。事例の内容については、いちば ん上の□囲みの中にありますように、末期がんの患者で在宅において疼痛のために麻薬 の内服を開始しており、病気や症状、予後、麻薬の内服方法、副作用についても、本人 への説明は済んでいるという前提です。  資料の左のほうに「患者の病状の変化」をフローチャートで示しております。右のほ うには、関連する部分について委員の皆様方からご意見があった事項を並べております 。まずフローチャートのいちばん上ですが、MSコンチン内服薬を服用しており、アン ペック座剤も併用しているということですが、疼痛が増悪した際には内服薬を増量する ということが考えられるわけです。右のほうにご意見として整理しておりますが、一定 の条件の下で麻薬の増量について看護師に任せられないか、というご意見を賜ったわけ です。なお、その左に麻薬の搬送についての通知の要約が示しております。特別の理由 があって、患者への麻薬の交付がなければ医療上支障が生じる場合においては、患者宅 に看護師が麻薬施用者の指示で麻薬を搬送するということは、通知上可能とされている ということです。  フローチャートの3番目は、内服が困難で注射薬に変更するということです。注射を するということですが、その下に小さな字で通知の要約が掲げてあります。看護師は麻 薬施用者の直接の監督または指示の下に麻薬を注射する等ということは、麻薬取締法に 違反しないという解釈が示されているところです。この点に関連しては、右のほうにご 意見として示しておりますが、バルーン式のディスポーザブルタイプのように、麻薬施 用者が設定した注入速度を変更できないようなものではなくて、注入速度が簡単に変更 できるようなシリンジポンプの使用ができないかということです。バルーン式云々とい うタイプですが、その次の頁に写真を示してありますので後ほどご説明いたします。  次は3頁に戻っていただき、関連するご意見です。そうしたことで疼痛緩和が得られ るわけですが、残念ながら患者さんが死亡されたという場合に、こうした指示を前提と しますと麻薬の残薬があるというケースがあり得るわけですが、その廃棄処分について 、手続を簡略化できないかというようなご意見を賜ったわけです。これは出された意見 を事実として整理したものですので、こうしたことが適当かどうかということは、医師 ・看護師の役割分担、あるいは麻薬の適正管理など、さまざまな観点からご議論があろ うかと思っております。  4頁は、包括的指示の例を2つ示しております。あくまで幾つかの例示ということで すが、まず先ほど申し上げましたバルーン型のディスポーザブルタイプの連続注入器持 続点滴を使用した例ということです。現行の指示ということで、いわばそのベースとな る指示ですが、4%塩酸モルヒネ0.5ml/hrということです。これを包括的指示、 包括的指示という呼び方自体も、これまでさまざまな議論がありましたが、一応ここで は、そういう言い方で引き続き使っております。包括的指示ということで考えますと、 いま申し上げました現行の指示のベースに加えて、疼痛時にレスキュードーズを使用す ることが考えられるわけです。このタイプの場合は、薬液投与ボタンが手首の所に付い ており、この中にリザーバーが内蔵されておりますので、この薬液投与ボタンを押すこ とにより一定量がさらに注入されるということです。こうした疼痛時にはレスキュード ーズを使用することによって、注入量を増加させるということが考えられるということ です。  5頁は、「内服薬の包括的指示の例」です。現行のいわば単独の指示ということであ りますと、そこに書いてありますような薬剤を、それぞれ決められた量を通常服用する ということですが、包括的指示ということですと、やはり疼痛時にはレスキュードーズ として塩酸モルヒネ錠を1回1錠、追加的に内服するというような指示の仕方があり得 るのではないかということです。  6頁は、2つの例示のうちの最初のバルーン式ディスポーザブルタイプの連続注入器 に関して、麻薬注射薬の取扱いについて医薬安全局のほうから出されている通知です。 1の(1)にありますように、注入速度については麻薬施用者が設定するということで すが、患者の痛みの程度に応じた追加投与ということで、レスキュードーズの設定につ いても麻薬施用者が設定をするということになっており、患者を含む他の者が変更でき ないという仕組みになっているということです。以上が資料1の麻薬の取扱いと包括的 指示ということです。  次は資料2の1枚紙です。さきほどの資料は「麻薬の使用と疼痛の緩和」というとこ ろに焦点を当てていたわけですが、この資料は「一般的な症状の緩和のための与薬にお ける包括的指示の例」ということで、3つの例が示してあります。便秘、不眠、呼吸困 難ということですが、それぞれ表の2番目の欄にありますような患者さんの状態を想定 しているということです。  現在といいますか現行の指示ですが、それぞれ決められた与薬の量というものがある わけですが、これを包括的指示のあり方ということで考えてみますと、それぞれ患者さ んの症状の変化に応じて追加的に薬を使うということです。まず便秘の例で申し上げま すと、現在の指示でありますアローゼンを内服しても排便がない場合には座剤を使うと いうことですし、さらに、無効時には浣腸を行うということです。こうしたことで医師 の指示を待たずに苦痛から解放されるということで、患者さんの生活の質の向上に資す るのではないかという考え方です。  2番目の不眠の例も同様で、アモバンを内服しても眠れない場合に、リスミーと言わ れる薬を1錠追加するということで、夜間の睡眠を確保するなどの生活の質の向上が得 られるのではないかということです。  呼吸困難の事例については、これは第1回の検討会での資料として提出したものです が、在宅酸素療法を受けている患者さんの例ということで、活動時に酸素の吸入量を状 況に合わせて増加させるということで、活動時にも呼吸困難に陥ることなく、日常生活 に支障を来たすことがないというようなことになるのではないかということです。  次は参考資料についてご説明いたします。まず1つ目は、「在宅療養支援のための医 療処置管理看護プロトコール」です。出典については4頁の下のほうに記載されており ますが、旧厚生省の平成10年度の老人保健事業推進費補助金により、社団法人全国訪問 看護事業協会に補助をして策定をされたものです。委員長は竹中先生で川村先生が主任 研究者を務められ、日医からは西島先生、日本看護婦協会からは山崎先生、そして平林 先生にも委員としてご参画をいただいたと承っております。  この経緯ですが、当時は老人保健法が制定されていたわけですが、訪問看護ステーシ ョンが当初虚弱で自立生活を営むことが困難な高齢者を対象としていたということです が、さらに終末期にある方々、あるいは人工呼吸器を装着している方々等、比較的医療 依存度の高い患者さんが居宅で療養生活を送るという場合、医師の指示と看護師の業務 範囲をより明確化できないかという問題がありましたし、また医師の側からは、ステー ションの運営方針、サービス内容、あるいは訪問看護師の力量などが不明瞭で指示を出 す際の判断材料がないというようなご意見もあり、こうした補助金を活用して、全体で 14項目のプロトコールを作成したものです。これは本日の議論に関連いたしまして、特 に2頁以降ですが、癌末期の疼痛管理についての医療処置管理看護のプロトコールとい うことで、その一部を概要版ということですので、ご議論の際にご参照いただければと いうことです。  参考資料の2つ目は、先ほどご質問のありました緑色の冊子です。EBMに沿った「 がん疼痛治療ガイドライン」ということで、これも本日のご議論の参考としていただけ ればという趣旨です。この作成の経緯あるいは効果などを中心に、先ほど申し上げまし た第4回の検討会で平賀部長からご紹介いただくとともに、ご意見を賜ったガイドライ ンの要約版ということです。  表紙のあと2枚ぐらいめくっていただきますと、前書きの後に「目次」ということで 構成をご覧いただけるわけですが、このガイドラインの作成手順、あるいは臨床場面で の使い方、痛みのアセスメントということに引き続きまして、がん疼痛に対する薬物療 法ということで、それぞれの痛みの程度などにより、薬物を使用する際のガイドライン というものが示してあるというものです。ご議論の際に適宜ご参照いただければという ことです。以上、雑駁な説明で恐縮ですが、資料の説明とさせていただきます。 ○川村座長  ありがとうございました。麻薬の問題については包括的指示との関係で議論を深めて いくということで、包括的指示との関係を深く解き明かしていただいた説明をいただい たと思います。いまの事務局の説明内容についてのご質問、皆さまの自由なご意見をお 伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○宮武委員  川村先生もお入りになったプロトコールですが、例えば医師との連携条件の中で「管 理協定の締結」と書いてありますが、こうすることが望ましいということなのでしょう ね。「療養者ごとに癌末期疼痛管理協定を書面で取り交わすこと」と書いてあるという ことは、要するに、書面を取り交わしている所は少ないということでしょうか。 ○川村座長  この前、がん末期疼痛管理ではございませんでしたが、静脈注射について上野委員が 、これをお使いになったことをご説明になりましたので、よろしくお願いいたします。 ○上野委員  このプロトコールができて責任を持って看護に当たるというときに、特に癌末期に限 らず、褥瘡のことに関しても、いろいろなプロトコールが14項目ありますので、そこで 可能な限り医師と向かい合って協定書をもとに、このときどうしましょうかという形で 、普通の指示のほかに協定書に基づいた指示を受けて、それをお互いに持ち合って仕事 をする、ということを実際にいま始めています。このプロトコールができてまだ2年目 ぐらいでしょうか、まだ普及は十分とは思わないですが、それによって安心した指示の もらい方ができると考えております。 ○宮武委員  そういうものをなしにやっておられる例もよく聞いておりましたので、おそらく不可 欠の条件なのかなと思いましたので。 ○上野委員  先生方に理解していただき、その協定書を分かっていただくという形で進めています ので、全部の先生方と協定書を結んでいるわけではありません。利用者さんにどうして もこの協定書が必要だという場合は主治医の先生と面談をしまして、こういうことがあ るのですが先生いかがでしょうか、というところでいま始めている段階です。本当はも っと普及して、先生方も、ああ、これがいいね、というのがいちばん良いのですが、ま だそういう段階です。 ○内布委員  資料2にあります包括的指示の例ですが、これに書かれているような包括的指示の例 は、少なくとも20年以上前から臨床の病院においては使われていたわけです。訪問看護 の状況の中では「現在」の所に書いてあるような、リジッドな指示しか現在も使われて いないのが現状なのでしょうか。 ○上野委員  便秘、不眠、呼吸困難という所でいきますと、例えば下剤が投与されていて排便がな いという場合は、看護師が行って、何日間出ていないというところで摘便をしたりしま す。もちろん指示書には摘便をしなさいとか、浣腸をかけなさいという指示はないです 。ただ出ない場合は、どうしましょうかと言ってアローゼンなり、グリセリン浣腸等々 をいただいている場合はそれを使いますし、ない場合は摘便をするというようなことは 行っています。 ○内布委員  ということは、指示としては出ていないということですか。 ○上野委員  何かのときには薬剤を処方しておいていただかないと使えませんので、それは処方し ていただく。包括的指示という考え方でいうと、処方箋を出していただかないとはじま らないということになります。ただ看護師が行くときアセスメントとして、排便がない ね、というところでいろいろグルを聞きながら、じゃあ摘便しましょうかと。これは指 示書等には書いてないのですが、結果として報告をするという形です。 ○内布委員  そうしますと処方箋がアローゼンしかでていなくて、患者さんの手持でアローゼンし かものがない場合は、このような状態があった場合にどうするのですか。 ○上野委員  摘便をします。 ○内布委員  摘便しかないですよね、薬剤が使えないですから。 ○上野委員  そうです。 ○内布委員  その間のいろいろな試みは、できないということですね。 ○上野委員  薬剤でやることはできないです。例えば腹部マッサージをするとかという看護の技法 でやります。マッサージをしながら、便がおりてきているときには摘便を行います。例 えば報告書の中には、もし浣腸がいいのだとすれば、いかがでしょうか、と書くことは ありますが、まず浣腸とか薬剤を使わなくてもいい方法を一般的に行います。 ○内布委員  分かりました。 ○川越委員  いまの件に関してですが、資料2の所に「包括的指示の例」を挙げられています。モ ルヒネが今日のメインテーマということでそれに関係して言いますと、便秘がある意味 で出発で、これをどうするかというのが非常に大きな問題です。そのときに私はどうし ているかと言うと、下剤を少し多めに出しておくこと、人によっては予備的に浣腸薬を 手元にあるという格好にしております。病院と違い看護師が全部チェックしているわけ ではありませんので、特に便のことに関しては、私は家族の方に説明して、下剤を増や しなさいとか、減らしなさいとか、判断できるような形で指導しております。正直申し まして、あまり弊害はないと言いますか、現行で何か変えなければいけないということ は実際問題ないように思います。  ですから、ここをわざわざ「包括的指示の例」という形で、このような格好で挙げる 必要はないのではないかと思っております。 ○上野委員  いまの資料の例示は、モルヒネを使う場合の例示として出されたということではなく 、包括的指示ということの例示と捉えてよろしいのでしょうか。 ○看護課長  私どもの意図といたしましては、モルヒネを使用する資料1でご説明した包括的な指 示の考えを延長させれば、他の一般的な苦痛を伴っている患者さんに対する看護的な関 わりでその苦痛が緩和されればそれに越したことはありませんが、薬を使わなければ緩 和ができないような状況のときに、こういう形で指示を事前にしていただくことができ れば、より対応が可能であろうという一般論としての例を挙げさせていだきました。  したがって、これと同じように、吐き気であるとかその他の一般的な頭痛であるとか といったいろいろな例に運用できるのではないかと考えた資料です。 ○平林委員  いまの点ですが、ご承知のように保助看法37条があるものですから、看護師が訪問看 護において、当初処方されていない薬剤を使おうと思うと、医師の指示がなくてはなら ないし、処方が予めなされていなければならないというのが基本的な法の枠組みです。 実際問題として家族がやる場合と看護師がやる場合とでは、少し法的な状況が違ってく るだろうと思います。むしろ医師がきちんと処方をして指示を出すというところに医師 の責任の所在というものが明確になってくるので、そこをより明確にするために、"包 括的指示という言葉がいいかどうか私はこだわりたいですが、それはともかくとして" 、それが必要だということになるのだろうと思います。 ○川越委員  いまの話はよく分かりました。ただ現実にはそういう解釈とは別に、現場では看護師 さんの判断でやっております。便のことをいちいち私たち医師が把握しているわけでは ありません。それが法的な裏付けがないというところが、やはり問題だろうと理解して よろしいのでしょうか。 ○平林委員  それでよろしいと思います。そういうときに医師が、いちいち判断できないとは思い ますので、それこそ包括的にと言いますか、症状の変化を予測して、こういう状況が予 想されるだろうから、そういう時にはこういう処置をしておきなさい、というようなこ とを言うことによって医師の責任を果たし得るということになるだろうと私は思ってお ります。 ○川越委員  ここに出されている例が便秘、不眠、呼吸困難ということですが、いまはこの3つに 限らないですね、吐き気の問題等もありますし。 ○川村座長  サンプルというふうに考えてよろしいのですね。 ○内布委員  病院等で医師が常時いるような場所であっても20数年前から包括的指示は常識的に用 いられていたわけです。在宅であれば医師はその場にいないわけですから、その方の変 化のバリエーションを想定して包括的指示をしなければいけないと思うわけです。そう なければ現実に患者さんの苦痛をとることは難しいだろうと思います。臨床で呼べばす ぐ医師が来れるような状況であっても私たちは包括的指示で動いているのに、なぜ在宅 でリジッドな指示しか許されないのか、というのが非常に疑問です。 ○平林委員  私が答える問題ではないだろうと思いますが、むしろ現実は、少なくとも私が訪問看 護をされている看護師さんから聞くところによると、何ら具体的な指示が出ていないと ころに問題があるように思います。前にもお話をいたしましたように、訪問看護指示書 の中の1、2、3のどれかに○を付けて、例えば、リハビリならリハビリに○を付けて 、具体的に何をするかということについては指示を出さない番号に○を付けるだけで指 示一丁上がりというお医者さんが少なからずいる、非常にいる、もしかしたら、半数以 上いるというのが現状のようです。そういう状況の中で、きちんと指示を出してほしい 、指示を出すべきだ。そうすることによって医師が医行為に対し最終的な責任をとるべ きであるということを明確にすることができる。病院の中で行われていることがそうで あるとするならば、それと同じことを在宅でもきちんとやってほしい、というのが包括 的指示の議論の出発点だろうと私は認識しています。 ○川村座長  平林先生が言われた指示書というのは、お手元にあります第1回目の資料の10頁の「 指示書」を頭に置いているわけですね。 ○平林委員  はい。 ○川村座長  そこの「装着・使用医療機器等の…」という辺りに○が付いているというようなこと で、終わりになってしまっているということを具体的に指していると思います。 上野 先生、一般的には大体そんな指示なのですね。 ○上野委員  Iの「療養生活指導上の留意事項」の所には○が付いていると。例えば2の「褥瘡の 処置等」の所に関しては少し細かく、○だけでは終わらないという形です。この指示書 に関しては、訪問看護ステーションが始まるときに、これが包括的指示的なもので訪問 看護の始まりであるという捉え方をしております。詳しく書かれると逆に分からなくな ってしまうというところがあったりして、この中で利用者を診た設問として、今度医師 との報告書とのやり取りのところで変えていくという今の流れになっています。 ○井部委員  平林先生の話を聞いていると、何事も指示書がないとできないということになります 。目の前で便が出なくてうなっている人に指示書を求めに行かなければいけないわけで す。便秘に関しては訪問看護ステーションでいくつかの対応策があると思いますので、 対応策1、対応策2というような、訪問看護ステーションの手順のようなものを確立し ておいて、この方は、例えば選択肢1を採用して、便秘のときに対応してもよろしいか 、ということを予め合意をもらっておくと、訪問した場合には、包括的な指示の範囲で 判断をして選択肢1で実施することは法律違反にはならないでしょうか。 ○平林委員  私がすべてを決められるわけではないのですが、私の個人的な意見を申し上げれば、 それでいいと思います。むしろ、そうすべきだろうと思います。1対1の指示書だけで 訪問看護をやっていたのでは到底やりきれないし、実態にそぐわないし実情に対応でき ないだろうと思います。まさに先生が言われるような形で、それを医者がきちんと認め てOKをする、オーソライズするという作業が必要だろうと思います。とりわけ医行為 については、看護がやるところについては、それは看護がきちんと責任を持ってやれば いいわけですから、そこの仕分けといいましょうか、業務分担をきちんとすべきではな いかというのが私の考えです。 ○西澤委員  資料2の例示の便秘と不眠は少し話が混じり合っているような気がします。ここに出 ている「包括的指示」の例は、例えばレシカルボンにしろ浣腸液にしろリスミーにしろ 、予め処方されているはずです。そういうことでは医師の指示が出ていて、看護師には 言っていなくても家族の方には、こういうときにはこうしなさいと指示が出ているはず ですから、例示としてはおかしいと思います。  一方、医師の処方がアローゼンかアモバンだけのときに、どうするという話と混じり 合っていると思います。処方されていない時、看護師の判断で下剤を使うだとか、浣腸 するとか、あるいはリスミーを追加するということになると処方の話になりますので、 ちょっと問題が外れると思うのです。それをちょっと整理して議論したほうがよろしい かと思います。 ○川村座長  いまの件は別枠としてお考えだったのですか。それとも、もう処方薬が出ているとい うことを前提にして包括的指示と考えていたのですか。 ○看護課長  私どもが考えましたのは、薬物がないが故に長い間まだ排便がないという状況がある 患者さんに対して、やはり事前にこういうことが予測される医師の専門的な判断からし て、この患者には、もしかしたらアローゼン3回では効かないかもしれないという場合 には、こういう薬も出しておきましょう、という形で事前の処方をきっていただいて、 それをどの時点で使うかはナースが判断できるような仕組みを在宅でも作り上げたら、 患者さんは苦痛から解放されるのがスムーズではないだろうかということです。 ○西澤委員  いまみたいな意図であれば既にほとんどされているということで、改めて議論しなく てもよろしいのではないかということで聞いたのです。 ○上野委員  1の「療養生活指導上の留意事項」の所に、例えば「排便コントロールをして体調を 整えてください」ということも含まれるというふうに解釈をするのです。そうすると利 用者の状況を見ながら、あっ、便が出てないのねと。もちろん下剤が出ていれば下剤を ちゃんと飲んでいるかどうかも確認をする。そこに座薬とかがあるわけではないので、 いまないからもらって来るまで待っててね、ということはしないし、そこで看護ででき る範囲のことはほとんど対処できます。  この事例がたまたま浣腸とレシカルボンの事例で、指示の中で浣腸とかレシカルボン が必要である利用者でしたら、それなりの処方をきっていただく。それは処方したこと を投与中の薬物の所にレシカルボンとかを書いています。つまり、医師が処方したもの に関しては投与中の薬剤の所に書かれますので出ていることが分かります。「排便コン トロールをしてください」という指示であれば、私たちはそれを見てそれなりのことを アセスメントしながらやっていく、というのが現状だと思います。 ○川村座長  いまの西澤委員のご質問というのは、この程度のことはほとんどすべて問題なくやら れているのではないか、指示が出ているのではないかというご質問ですね。 ○上野委員  そういう形で対処しています。 ○西澤委員  3の例は、1、2の例と違うと思うのです。例えば医師の指示が酸素2リットルのと きに、看護婦さんの判断でその量が変更できるかどうかは、1と2の例とはちょっと意 味合いが違うのではないかという気がします。上のほうは明らかに医師が処方をしてい るということですから、家族には、すでに、説明・指示しているのでこれは問題ない。 3の例の場合は看護師さんの専門性と判断力にかなり係わるということでは、ちょっと ニュアンスが違うかなと感じたのですが、いかがでしょうか。 ○川越委員  私も西澤先生と同じ意見です。在宅の難しさというのは、いま言われたように問題点 として2つ整理しておかないといけないと思います。使おうとしているものがそこにあ るかどうかということが1つ。つまり処方されて薬物がそこにあるかどうかということ 。それと、そこにあるものをどう使うかの判断です。例えばアローゼン1回、0.5g、 1日3回といって、もし物がありましたら、便秘だからと言って、1包ではなくて2包 飲んでくださいよ、ということは普通に行われています。そこも医師の指示からすると 処方する量が超えていると言えば問題になるのかな、と思いながら先ほど平林先生のご 意見を伺っていたのです。だから、物があるかどうか、増量するかしないか、というこ とは、確かに言われたようにしっかり分けておかないとちょっとこんがらがるかなとい う気がいたします。 ○川村座長  私が間違えているかどうか確認という意味も含めてですが、「現在」という所は、例 えばアローゼンが1回に0.5g、1日3回しか出ていないということであって、この右 側の包括的指示の(1)(2)は出ていない状態と思うのですが、そうですね。 ○川越委員  処方の仕方で、例えば頓服で出すとか、物があればできるのです。そのときに物があ るかどうかと言ったのはそういう意味なのです。現在はアローゼンしか置いてないとい うことでやっているから話がおかしくなるので、例えばレシカルボンを置くとか、グリ セリン浣腸を置くとかということだって処方の出し方によっては十分現行でできるわけ です。 ○看護課長  まさに現行の場合できるのですが、出されていないという現状を私どもはたくさん聞 いていて、そこのところを医師がきちっと将来的な患者の病体の変化、状況の変化を予 測した上で、そういった処方をきちっと行っていただきたいというようなことをお願い したいなというニュアンスで書いたのです。 ○川越委員  現場が、特に看護師さんたちが苦労しているのがよく分かります。ただ、いま看護課 長が言われたことは、私は医師と訪問看護師さんとの連携ではないかなと思います。あ る日突然便秘になるというわけではないですから、この方は便秘であるから、先生、ア ローゼン少し多めに処方出しておいて、あるいは浣腸も一緒に出しておいて、というこ とが行われていれば、こういう問題は起きないのではないかという気はします。 ○平林委員  処方がされて薬が出ているかどうかという問題と、先ほど先生が言われた整理に従っ て申し上げると、どう使うかどうかという問題を区別すべきだと言われましたが、どう 使うかどうかということの基本的な判断は、やはり医者が持つべきだろうと思うのです 。例えばアローゼンが0.5g、1日3回というのが出ていて、場合によっては倍量飲ま せておいてね、というようなことは、やはり医者が言わないと看護師は独断ではできな いはずです。そういうことを少しきめ細かく、ちゃんと指示を出しておいてほしい。そ れを受けた上で、看護師としては薬をどう使うかという問題を考える。あるいはまた、 場合によっては、先ほど上野委員が言われたように、薬を使わないで便秘を改善させる 方法を、まず考えるべきだという場合もあるだろうと思います。薬を使うかどうか、薬 をどう使うかを予め出された指示の中で看護師が専門性の持った判断をして処置をして いくという構造を、きっちりと明確にしておくべきだろうということです  便秘の例は、ある意味で簡単で従前やられていると言われるとするならば、それと同 じようなことをもっと高度なモルヒネとか、その他の麻薬についてもできるかできない か、あるいは呼吸困難の場合、西澤先生は、ちょっと違うのではないかと言われたので すが、それも同じ手法でできるかできないか、という議論を先に進めていったほうがい いのではないかと思います。 ○川村座長  呼吸困難の場合は、現在では1分間に2リットルという限定した量がすべてのときに 指示されている。包括的指示というのは、それに比べ幅のある指示となっているという ところが違うのだと思うのですが、いま平林先生が言われたことと、かなり近い例にな るかと思いますが、いかがなものでしょうか。先ほど西澤先生が言われた相違というの は、いかがなのでしょうか。 ○西澤委員  言い方を変えますと実はこういうことだったのです。これだけを見ると、医者が例え ば不眠の場合アモバンしか投与していないのに、訪問看護師さんが行って、医師の指示 が出ていないのに、処方もされていないのにリスミーを追加するというような解釈もで きたので、それではないだろう、ということを確認したかったということを申し上げた いと思います。 ○内布委員  包括的指示で事前に処方があるものに関して、それをいつ、どのように使うかという ことに関しては、1つ1つ医師の指示を仰がなければ看護の判断ができないということ では決してないと思うし、もしそういう縛りをかけてしまいますと、いまよりもっと動 けなくなるということもあると思います。私たち看護師は症状緩和に関して教育も受け ています。例えば、どういうときに浣腸が禁忌であるとかということも知っています。 教育をきちんと受けておりますので、包括指示が出ておれば、いつ、それをどのように 使うかの判断に関しては、これは看護師が行ってもよいということを私はどこかで明言 されても結構ではないかと思います。 ○西澤委員  全くそのとおりだと思います。いま私が言ったのはそれを否定したものではなく同じ 意見です。処方権をはっきりしておいたほうがいいということで申し上げたのです。 ○内布委員  であれば、その処方の範囲内での、いつ、いかように使う、ということの判断は看護 師が行ってもよい、というふうに先生はお考えでしょうか。 ○西澤委員  医師が処方した範囲内ですね。 ○内布委員  処方の範囲内です。 ○西澤委員  それは当然で、同じ意見です。 ○内布委員  はい、分かりました。 ○川越委員  訪問看護ステーションのいろいろな方とやっておりますと、例えばアローゼン1回 0.5g、1日3回という処方を出した場合、それを厳密にやられる所と、わりと融通を きかせて、先生、ちょっと便秘が強いようでしたから0.5のところを1gにしましたと いうことを言ってくれる所があります。平林先生、こういう場合は、医師の指示が0.5 gというのは現行法では、例えば1gに看護師さんが、私らに許可なくして変えるのは 法的に問題になりますか。 ○平林委員  どう解釈するかの問題ですが、本当に厳密に解釈すれば、それは問題がないとは言え ないということになってしまうと思います。我々としては最悪の場合を想定して、それ を回避するためにはどうすればいいかということを考えると、予め症状を診て、2倍ま では、1gまでは飲ませてもいいですよ、という指示をいただいておけば、その範囲内 で先ほど内布委員が言われたような形で看護師が判断をして、その枠の中で与薬をすれ ば全く問題ないだろうと思います。 ○國井委員  処方の話が出ましたので現場で問題にしていることをお話しいたします。褥瘡の処置 でいろいろな材料を使います。これは処方箋を出して使うのですが、褥瘡の状況で使う 材料を変えなければいけないときに、医師の処方がないと薬が使えないというところで 非常にタイミングが悪くなったりとか、その辺のところで看護師の判断が活かされない という課題があることをよく聞きます。看護師が処方できないことがちょっとネックに なっている例をお話ししました。 ○看護課長  いまの國井委員のお話ですと、看護師に処方ができるといいなという話のようですが 、いま私どものほうで提案しているのは、看護師に処方をということではなくて、医師 の指示であるというか、医師の処方されたお薬を、どういうタイミングで使うかという 議論をしております。それと同じように、資料1で提示した麻薬注射薬の例、それと内 服薬の例もうまく使うことによって、がん性疼痛からの緩和がもっとうまくできないだ ろうか、ということをご議論いただきたかったところです。 ○柳田委員  いろいろ医療提供者側の考え方もありますのでご意見もさまざまかと思います。私は 包括的指示、あるいはプロトコールには原則として反対です。現在は携帯もありますし いろいろな通信手段がありますので、医師がもう少し積極的に参加すべきです。このま ま議論が進められていって、これが麻薬にまで及んで、このプロトコールまでできてい るということに非常にびっくりしています。狭い考え方かもしれませんが、時代の趨勢 というのももちろんあります。ただ単に利便性のために、そういうことがすぐさまスム ーズに行われていくことは、反対で今はまだ先送りさせていただきたいと思っています 。 ○平林委員  2つ申し上げます。1つ目は國井委員のおっしゃられた状況は、看護師の責任だと思 います。看護師が状況をきちんと把握して予測をして、早め早めに医師と連絡をし、報 告をし、指示を出してもらうなり処方をしてもらうなりの対処をしておくべきであった のに、それをしておかなかったから手遅れになるわけで、それはやはり看護師の責任だ と思っています。  2つ目は、いまの柳田委員からのお話なのですが、たしかに医者が必要なときにいつ でも来てくれるという保障があれば苦労しない話なのですが、実際問題としてなかなか 来てくださらない。そして、在宅の場合には緊急を要したりその患者さんが苦しんでい たりというときに、ではどうすればいいのか。そこにいる医療関係者は看護師だから、 包括的な指示というカッコツキの指示をもらって、その看護師の専門的な判断を活用し て、具体的に迅速に対応していこうというわけです。この包括的な指示、プロトコール の研究班にはもちろん医師会の先生にも入っていただいて、我々としては議論をしてき たつもりですので、そのことは少なくとも既に了解をされたと理解をしてこの問題は考 えていますので、申し上げておきたいと思います。 ○柳田委員  それは、訪問看護事業協会で決まったことでしょうか。 ○川村座長  この研究班のことですか。 ○柳田委員  もちろん全部行き渡っているということではなくて。 ○川村座長  そうではないです。私が回答をするのもおかしいのですが、とりあえず主任研究者を 務めたということで、それについての回答だけを申し上げさせていただきます。全国訪 問看護事業協会が委員長をお務めになりまして、主任研究員を務めさせていただきまし た。委員としては医師会から西島先生がお出になりまして、いつもお話がありました。 この報告書を14部まとめて、ほぼ1年間かけて医師会の中でご議論があって、その上で 了解という事業協会を通して結論をいただいて、公開してよろしいということで公開し たという手続を経ていますので、医師会の中でどのように扱われたかといいますと私は わからないのですが、一応組織としてのご了解はいただいていると理解しています。1 つ1つのプロトコールを作るところでは、すべて訪問看護師とそれに対応する主治医の 先生とのお話し合い、議論、それからほかのEBMを出してきてどうかということをや っていただいて作ったもので、決して看護職だけで作ったものではありません。 ○柳田委員  それは存じていますが、その辺はもう一遍持ち帰って詳しく聞いてまいりますが、こ れは全国の在宅医療をしている人がすべてやっているわけではないですよね。結局そう いう研究班で決まったものであって、一応の基準を作ろうということだったのだろうと 思いますが。 ○上野委員  これは事業協会が3年がかりで、連続の研究をしていましたので、その研究成果をそ の都度お出しをして、次年度に積み重ねをしてきています。もちろん医師会を通して各 医師会のステーションとか、いろいろなところのステーション関係のところには啓蒙活 動といいますか、それを使った安全な在宅療養者を支えるための1つの処方として、普 及をさせようとしている状況です。 ○川村座長  プロトコールというのは、あくまでも参考資料として出されていまして、こういう包 括的な指示というものを具体的に担保する1つのやり方、別にはクリニカルパスという 方法もあるかもしれませんし、そういうものの1つということでいま話題になっている のだと思います。 ○柳田委員  要するに、医師の指示があればいいわけです。包括的指示とか何とかではなくて、ど ういう場合にも医師の指示があれば、それでいいわけなのですが、そうでなくてただ教 科書的にこういうのが作られていくのは、ちょっと問題であろうと思います。 ○川村座長  それが研究班の報告書でしたので、指示という表現はあえて使わないで、協定書とい う意味合いで現行で行われているものとちょっと違った表現をして、紛らわしくしない ことで協定書という言葉を編み出したといいますか。そこには、看護のほうはこのよう にしますということを声明しますし、医師のほうはこれでよろしいという指示ですよね 。そういう形でサインをいただく形を取っているというものです。上野先生、実際もそ れでよろしいのですね。 ○上野委員  曖昧ではなくて、例えば褥瘡が発生したときに医師に連絡するときは、このときに医 師に連絡する。このときは連絡しない。例えば痛みが伴ったら医師に連絡するとか、発 作的だったら体位交換するという形で、いつの時点で医師に連絡するかとか、全部医師 と一緒にこのときはこうしますねということを見ながら決めていっているのです。いま までこのプロトコールがないときには、ある意味ではこちらの判断で先ほどの平林委員 のお話ではないのですが、きちんとアセスメントして医師に伝えていたのですが、伝え た時期がずれないようにするのにプロトコールがあると非常にきちんとした伝え方がで きるということで、医師のほうもそれは了解していて、このときには熱があったら必ず 医師に連絡をくれとかということの約束をしていくのです。ですから私は訪問看護を推 進するためには、このプロトコールはまだ14項目しかないのですが、非常に参考になる と思っています。医師の側も、逆にそういう意味で安心した指示が出せるといいますか 、こういうことを言えば看護はこうやってくれるということが明確になっているのです 。判断樹というのがこの中にあるのですが、この判断樹に沿ってやっていきますので。 ○柳田委員  1つ1つが医師の指示の下に、密接な連携であるということであれば良いのですが、 例えばこれが出せるようになって、その薬がないからこれでいいやという感じで流れた 場合、非常に大変なことになる。そこら辺にある程度の注意を払っておかないといけな いのではないかなと思います。 ○上野委員  そんなことは決してありません。 ○川村座長  逆に言いますと、そういうことをやらないようにこれを作ろうということが目的であ ります。 ○柳田委員  本当は包括的とか何とかではなくて、1つ1つ医師の指示ということが望ましいと思 うのですが、結局医師も忙しい中で、また時代の趨勢の中でそこら辺を考えていかなけ ればならないことだろうと思いますが、やはりいま以上に積極的に医師に在宅医療に関 わってもらうことを今後考えていかなければならないと思います。 ○上野委員  そのためにも是非これを活用できればいいと思っています。 ○川越委員  大分議論が煮詰まってきて、私もこれ以上喋ることはないかなと思うのですが、やは り柳田委員のおっしゃった心配は、私も医師として同じようなことを思います。最終的 には私たち医師の指示、その知っている範囲の中で動いていただくことがどうしても必 要なときがあると思います。かといって在宅医療をやっていて医師も忙しいわけで、便 秘のことでいちいち「0.5gしか出してないんですけど、1gでいいですか」というこ とを逆に相談されるとえらい迷惑になりますので、看護師さんたちがいまは実力をどん どんつけている時代になってきていますから、そういうのがもっとのびのびとできて、 私たち医師のほうも楽といったらちょっと変ですが、安心して任すことができるような 体系を作っていただくことがどうしても必要ではないかなと思います。確かに、ある意 味で曖昧模糊とした指示というのは、私たちは包括的指示をあまり出したことがないわ けで、何々をこうしなさいという形でいつもある意味で厳しい指示を出していたわけで すが、包括的な形の指示ができてくるというのはこの時代に合った、いろいろな意味で の緩和に繋がっていくのにも非常に望ましいことではないかと思っています。  ただ、もう1つ。多分柳田委員も同じ心配を持ってらっしゃると思いますが、変えた ことに関しての何らかの報告をきめ細かくしていただかないと、「範囲内だからそれだ けやりました。あとは知りません」ということではなくて、その連絡や報告はきっちり 来るような形を考えていただきたいことを希望として申し上げておきたいと思います。 ○内布委員  いまの意見に繋いでなのですが、判断を伴う処置を行った場合は、やはりそれの責任 を取ることが付いて回ると思うのです。ですからこの包括的指示を認めるときには、や はり看護師が負うべき責任の範囲というものも明確にしておく必要があるし、私たちは それは受けていくだろうと思います。 ○川村座長  國井先生はよろしいですか。 ○國井委員  さっきの疼痛コントロールに関する薬の使い方に、ある程度の限度というか範囲を明 らかにして、使い方は看護師の判断になったときには少し量を増やすとかの包括的指示 の話で、疼痛コントロールというのは在宅を推進していくときに、いちばん大事な技術 だと聞いています。痛みを案外思うようにコントロールできないことで、すぐに患者さ んは怖がって入院したがるという話も聞いたので、そばにいるナースがこういうときに 「このお薬をこのぐらいにちょっと増やしてみましょう」という、それはもちろん指示 の範囲内ですが、そういうことができるということはこれから在宅医療を推進していこ うというときには、必要なことではないかなと考えます。 ○川村座長  ありがとうございました。 ○藤上委員  包括的指示の例として便秘や不眠が出ていますが、これは当然いままでもなされてい ることでいいのではないかと思うのですが、麻薬に関しては例えば資料1の5頁に「包 括的指示」という例で出ていますね。そのときにレスキュー的に使うものに関して、使 い過ぎて呼吸抑制が起きたとかの事例がありますので、そこのところでのきちんとした 指示の出し方というか、患者さんへの説明の仕方をきちんとしておかないと事故に繋が るのではないかなと思うのです。麻薬のことに関しては、さっきの便秘や不眠などとは またちょっと違う部分があるのではないかと思います。 ○柳田委員  いまお話が出ましたが、皆さんもご存じのように麻薬施用者の免許というのは県知事 の許可であって、しかもその免許は大体64%ぐらいのドクターが持っているということ ですが、2年に1回更新となっています。麻薬を取り扱うときには鍵をちゃんと掛け、 そして厳重に管理して監査もあるし、残量がどれぐらいかと、残量は結局どういう理由 で使って、いくら残ったということをちゃんとカルテに記載するという、非常に厳しい 掟があるわけです。包括的指示ではありませんが、こういう議論の中で普通の睡眠薬な どではなくて、事が麻薬でありますのでスムーズに議論を進めていっていいのでしょう か。私はこれはちょっと問題だと思いまして、これには時間をかけていただきたいし結 論はすぐには出せません。 ○川村座長  いま柳田先生がおっしゃったことは、それ以前の薬の種類と麻薬についてとを別枠に して、整理して討論を進めるということでよろしいですか。 ○内布委員  麻薬に関しては前回平賀先生のご講義の中で、がん性疼痛の患者さんに用いる場合に 限ってはスタンダードどおりに増量することで、事故が起こることはほぼないと明言な さったと思います。それはモルヒネの薬理作用等々を考えれば当然、事故が起きないよ うにスタンダードが作られているので、そういう事故の心配よりはむしろ取締法上の問 題が、いちばん大きいのではないかと思います。それに関して言いますと私は病棟の経 験しかありませんが、病棟で麻薬の管理を実質的に行っているのは看護師です。病棟の 麻薬の金庫の鍵を持っているのも看護師ですし、病棟の麻薬の残量を把握しているのも 看護師で、そこの病棟医長にいま現在麻薬の残量はいかほどかと聞いても多分答えは返 ってこないけれども、その病棟のリーダーナースに聞けば確実に答えは返ってくると思 います。そして麻薬の施用に関して看護記録等々に記録を書くのも、実際にペンを走ら せるのは看護師です。そう考えてみますと、麻薬取締法に看護師の名前は一切出てきま せんが、実際に実務で行っているのは看護師であることは明らかであると思います。 ○藤上委員  医療機関の中で、いま内布先生がおっしゃったことはあると思うのですが、例えばこ の患者さんに1ccのモルヒネのうち0.7ccを使ったとするならば、残量0.3ccということ を最終的に麻薬管理者がきちんと、麻薬の管理簿に記入することは法律で義務付けられ ていますので、内布先生がおっしゃったことは病棟ではそのようなこともあると思いま すが、最終的な管理は麻薬管理者が行っています。 ○内布委員  もちろんそうだと思います。でもそれは転記しているのですよね。 ○藤上委員  薬剤師は麻薬に関しても他の薬剤と同じように、病棟活動を行う過程で患者さんの状 態を観察しながら、投与量の適切性、副作用の緩和策などを検討しています。 そして、例えば半分を使ったということであれば、アンプルの中に半分の量が残ってい るかどうかも麻薬管理者は確認して、管理している状況です。 ○平林委員  先ほども申し上げたように、資料2の包括的指示が認められるからといって麻薬にそ れが認められるかというと、当然にはそうならないだろうと思います。例えば今日いた だいた資料1の3頁に、「内服が困難で注射薬に変更。疼痛緩和」というところで昭和 30年10月21日の通知が引用されています。そしてこの頁全体のテーマが「在宅での麻薬 使用に係る課題の整備」です。しかしながら、昭和30年の通知は、明らかに病院、診療 所等の麻薬業務所においての議論であって、直接在宅に適応される通知かというと必ず しもそうではないだろうと思うのです。この通知にある「直接の監督または指示の下に 」の「直接」の意味は何なのか、という議論が前にも確かあったように記憶しているの です。これはある意味において麻薬という薬の性格を考えた場合に、責任者が常に最終 的な責任を取れるような状態と解釈をすればできるのかなと考えたのですが、そうする と在宅の場合に先ほどのように、医師が通常の標準的なものをやっていれば問題がない と言われたとしても、それはどういう状況が起こるかはすべて予測の限りではないだろ うと思います。そういう万が一のときに、誰がその麻薬の施用について最終責任を取る のかが問題となってくると、少しここは慎重に議論をしていくべきだろうと思いますし 、また、仮にそれが認められるとしても静注の場合と同じ議論ですが、どういう基準に 従うかはともかくとして、すべての看護師がというような枠組で考えることは危険かな と思います。実際、何らかの形での絞りをかけていくことが工夫されなければならない のではないかなと思っています。 ○内布委員  私も同意見です。すべての看護師に認められるとしないほうがいいと思います。とい うのはやはり中毒の問題がありますので、実際に届出をして認められた医師においても 、中毒の問題で摘発をされています。そういうふうに、かなり厳しくした状況でも中毒 の問題が出てきていますので、やはりこれを使える人というのは何らかの教育なり資格 なりを受けて、認定された人でなければしないほうがいいと思います。 ○川村座長  井部先生からは何かご意見はありますか。 ○井部委員  話が逸れますが、私はやはり包括的指示というのがさまざまなイメージを沸き起こし て、議論が多少ずれてしまう危険性があるので、どこかできちんと定義をしたほうが良 いのではないかと思います。もし定義をするのならどのようにしようかと考えていたの です。例えばこういうのはどうでしょうか。「起こり得る状況を想定して、事前に対処 法を明示しておくこと」というような。対処法の中には薬もありますが、そのほかのこ ともありますので。事前に複数の対処法を明示しておくこと。 ○柳田委員  「医師の指示もしくは、医師と看護師との密接な連携の下に」と。 ○井部委員  それはそうですね。 ○柳田委員  それはもう入っているのでしょうが、例えばその次の段階で勝手に独り歩きをするの が怖いと思うのです。だから1つ1つのプロトコールを作る場合には、すべてその1つ 1つに医師の指示が入っているということなのでしょ。 ○井部委員  事前にいくつかのスタンディングオーダーのようなものを作っておいて、それをお互 いに了解し合って進めていくということが前提です。 ○川越委員  麻薬の問題は、先ほどから出ている処方の問題と量を変える問題、これはまさにもの すごく両方とも大事な問題になってくるのです。アローゼンをちょっと多めに出すとい うのは、医者としてはあまり神経を使いませんが、モルヒネを使う量よりもちょっと多 く出すことに対してはすごく神経を使うわけです。ですから、処方を医者のほうに課せ られている責務ということを、ある意味で緩和といったらちょっと悪いかもしれません が、ただ量を増やしていいからという格好では解決しないのではないかなと。つまり処 方の出し方、麻薬の取り扱いそのものに対しての緩和ということまでに踏み込んで議論 しないと、十分ではないのではないかなと思っています。  ここに注射薬の問題が出ていますが、例えばモルヒネの皮下注射をやっているときに 、脊椎に転移したときなどはモルヒネの量をかなりの勢いでパッパと上げなければいけ ないときがあるのです。そういうときにバルーン式のものだったらどうしたって十分な 対応が難しいです。足りなくなりますし、レスキューも限度があります。その辺にいつ もジレンマを感じるのはものすごく細かい対応を要求されるということで、この辺はも っと簡単にならないかなと思っているのです。  もっと卑近な例では、ちょっと細かいことですが経口モルヒネで始めるときに普通は 20mgで始めるのです。MSコンチン20mg分2、あるいはカディアンという24時間のもの を1カプセル飲んでいただく形で始めていくのですが、それはしばしば早い時期に増量 しなければいけないということがあるのです。増量する場合には普通は30mgに持ってい くわけですが、20mgだけを出していたら30mgという量が出せなくなってしまうのです。 ですから現実には、もう一度また処方箋をきってということになります。麻薬の処方は 結構面倒くさいのです。番号を書いて誰が持っていくかとか、そういう点がありますか ら、これは本当に現場の意見ですが、例えば最初から20mgと30mgというものを処方して もいいということですよね。そういうことをちゃんと法的に保障していただければもの を用意しておけますから、そしたらものが20mgと30mgがあるから看護師さんの判断で行 うようにできないか。最初のうちは私たち医者が見なければいけません。これは看護師 さんだけの問題ではなく、新たな看護ではなくて新たな在宅医療ですから医師のほうの 大きな問題でもあるわけなのですが、その辺のことも規制緩和の中に考えていただけれ ばと思います。 ○川村座長  これは、どのように扱ったらいいのでしょうか。 ○宮武委員  医学はわかりませんが、注射ではなくて飲み薬でも貼り薬というのですか、パッチで もあるわけですから、そのものを飲んだり貼ったりするときにいつもお医者さんがいな ければいけないという時代ではないわけで、技術というのはある意味では封印できない わけですから、向上した技術に合わせた医療現場があっていいと思うわけです。おっし ゃるとおり、1つ1つお医者さんが立ち会っていかなければいけない、1回ずつ電話を かけなければいけないことになれば、それこそいまの在宅の訪問看護ステーションが成 り立たないのではないでしょうか。内布さんがおっしゃったように、経口薬を飲ませる のもパッチを貼らすのも、特別な看護師さんの資格が必要なのでしょうか。さっきから 聞いていて、包括的指示の例を聞いて、もともと激痛を麻薬で痛みを取るために、言っ てみれば中毒患者にさせるわけでしょ。中毒患者にさせるときに、それは便秘も起これ ば不眠も起きるわけで、どっちが大事かといったら痛みを取ってあげることがまず大事 なわけで、そのことをまず利用者側というか患者側、家族側は望んでいる。問題は呼吸 困難になって死期を早めることがあったら困るわけですが、そこのところは便秘や不眠 と、呼吸困難と並べることは私もよくわかりません。むしろ逆にいえば、末期のがんの 患者と認定される認定が本当に正しいかどうかが患者、家族は心配なわけで、認定され て正確であれば何よりも疼痛を取ってあげることに全力を注がなければならない。それ に対して医療の側が患者と家族のために、どんな制度が便利かを考えなければいけない わけで、そこのところの原点をあまり忘れては困るような気がしました。 ○川村座長  重要なご指摘をありがとうございました。 ○西澤委員  いまのご指摘はそのとおりだと思いますが、私たちは決して原点を忘れているわけで はなくて、当然わかって議論していると思います。ただ問題なのは、麻薬というのは非 常に副作用が大きいものですから、使い方を間違うと生命に関わる、これをやはり無視 できないということです。そこをいかにどうしようかということで、私たちは真剣に悩 んでいる。それから麻薬中毒取扱いの上でいろいろな問題があります。ちょっとこうい う席で言いづらいのですが、使用している薬剤がほかへ流れる危険性があることもを十 分に考えながら管理するのは、私たちの責務だと思っています。そういうことでいま議 論していることをご承知いただければと思っています。 ○内布委員  同じです。使っているのは看護師。RN、正看護師の資格を持っている看護師は、麻 薬を貼ったり飲ませたりということをしています。それは問題ないのです。ところが、 包括的指示になってから余裕が出てきまして、家から病院はよいとなっていますが、持 ち運んだり管理をするところに看護師が参入し始めますと、麻薬は国を滅ぼすと言われ ていますから、だから取締りはやはりきちんとしないといけなくて、それが扱える人は 限定されないといけない。ただ私たちは、医師の指示の下にそれを投与することはでき ますので、もちろんそれはやるわけです。だから扱いの問題です。 ○上野委員  管理上の問題では2頁の最後にもありますように、訪問看護ステーションにおいては 麻薬を管理することは、在宅の場合にはできないと思っています。本当に夜中はいませ んし麻薬管理者の資格も持っていませんし、それから無人の所に置くわけにはいきませ ん。訪問看護ステーション側からいいますと、利用者宅で麻薬を取り扱うことはします 。貼ったり注射したり飲ませたりはやりますが、持ってきてここでアンプルを管理しま しょうということはステーションとしてはできないと思っています。 ○川越委員  いまの件に関して、麻薬だけではなくて、ほかの薬などもまずいのではないのですか 。 ○上野委員  薬もないのです。 ○川越委員  ないというよりも、置いてはいけないのでしょ。 ○上野委員  置いてはいけないし、医薬品はありません。 ○川越委員  ちょっとこれを読んだときに非常に違和感を持ったのですが、麻薬の管理というのは 先ほど柳田先生がおっしゃったようにそういう届出をして、自分たちの所に鍵の掛かっ た動かない金庫があるなどかなり厳しい。あるいは私たちの所は院外処方だけですので 、そういうところでやっているわけですから、麻薬を管理という意味はむしろ法律違反 になると思います。置くことはしないのではなくて、してはいけないのです。 ○井部委員  川越先生にお伺いしたいのですが、大きな訪問看護ステーションに医師も薬剤師もい て、麻薬施用者の届けが出されている場合でも一定の取り扱いはできないわけですか。 ○川越委員  訪問看護ステーション自体に置くことは許されていません。多分調べていただいたら わかると思いますが、診療所は届け出ればかまいません。診療所があって、そこに訪問 看護ステーションが別にあるというときに、診療所で管理するものに関しては全く問題 ないのですが、訪問看護ステーションに金庫を持って、そこに管理することは現行の法 律は絶対に禁止されていると思うのです。 ○井部委員  そうすると、家で麻薬金庫をおいて管理をするというのはできないわけですね。 ○川越委員  あとのところでちょっと議論になっていますが、モルヒネが余ったとき、簡単にほか の薬だったら持って帰って処分しても良いと思うのですが、例えば患者さんが亡くなっ てモルヒネが余ったというとき。それをどうするかというと、いまの方法では家族の方 、遺族の方が調剤薬局に持っていって廃棄していただくことは全く法的には問題ないの ですが、ただ間違えて訪問看護師さんが持って帰ることがあるのです。それをどこで管 理するかという問題。実は私たちの所は金庫がないから診療所でも管理できない。だか らロッカーに置くしかないことになりまして、これも明らかに法的に問題があり、そう いう細かいことがありますので、実は麻薬の廃棄の手続をもっと簡略化できないかをお 願いしたのは、そういうことにも関係しているわけです。 ○藤上委員  いまの廃棄の問題なのですが、現時点では患者さんが亡くなって麻薬が余ったときに は、患者さん側が調剤薬局に返すこともそうなのですが、薬局の薬剤師がもし来られな い状況ならば取りに行く。取りに行って持ってきて、そして立ち会いのもとに廃棄する 形になっていると思うのですが、そうですよね。 ○川越委員  そうです。ただ、薬剤師さんでそこまでやってくれる所はあまりありません。 ○藤上委員  やっていますよ。それはやらなくてはいけないことではないかなと思います。 ○國井委員  麻薬管理のことで、いま在宅ホスピスをやっている訪問看護師さんから聞いたのです が、前にも藤上先生がおっしゃいましたが急激に疼痛が増強して、緊急事態になったと きはよくそういうことがあると思うのです。そういうときに医師が遠かったりすると処 方を書いてもらうのに非常に時間がかかるとかの問題がある。 ○藤上委員  私がプレゼンテーションのときに言ったことは、患者さんが痛みを訴えた。そして訪 問看護師さんに連絡をした。訪問看護師さんが医師に連絡を取ろうとしたときに、どこ かへ出張か何かで行っていたときですよね。そういうときの緊急状態のことを言っただ けの話です。あとは例えば、麻薬管理上の手続を省略して患者宅へ届けることもあると 言いましたが、そのあとで必ず法的にきちんと整備された管理を後付で行うことでやっ ています。 ○國井委員  それは当然そこでもそうだと思うのですが、在宅ホスピスをやっている所は非常に少 ないので、どうしても家で死にたいということで、ものすごく遠くの医療機関から送ら れてきたり主治医も遠かったりとか、そういう実態があるのも事実のようなのです。そ うすると、そういうときの緊急時の対応ということで予め処方を書いてもらっておくと か。 ○藤上委員  それはいままででも行っていらっしゃるのではないですか、レスキュー的に使う処方 というのは。ただレスキュー的に処方されたものを、どうやってきちんと安全に患者さ んに使っていただくかを考えていかなくてはいけないのではないかなと思うのです。レ スキュー的に出したもので間に合わない場合には、もうこれは薬剤師とか看護師の問題 ではなくて、医師の問題だと私は思います。 ○川越委員  訪問看護ステーションが疼痛のことでとても苦労しているのは私もある意味で理解し ているつもりですが、だからといって患者さんが苦しがっているときにポケットからア ンペックを出して、「これを使いなさい」というのは非常にまずいわけで、ステーショ ンのどこかに置いておくのは、絶対やってはいけないことだと思います。 ○國井委員  そこは医師の指示を取るというのはあります。誤解しないように。 ○川越委員  ですから、そういうことがないようにといいますか、たしかに私もいまの國井委員の 話だけではなくて、ほかの所でもそういう話をちらっと聞いたことがあります。現実に はポケットというのはちょっとオーバーな表現ですが、どこかに置いておいて、いざと いうときはこれを持って飛んでいくのよということでやっている所があるようにも伺っ ているのですが、そういうことがないようにするために私たちがどうしたらいいかをい ま議論しているわけです。例えば現行の麻薬処方の仕方ですと、ある意味で余分なもの を出してはいけないというのがありますので、どうしても私はいつも多めに出すことに 抵抗があるのです。かといって緊急に激痛が起きたときに、どうするかということに十 分な対応が取れないこと、そういうジレンマに感じることもしばしばある。しかも私た ちのように院外処方を出しているときは、処方を書いたからといって夜中に寝ている薬 局を叩き起こすことは現実には無理ですので、そういうところがなんとかうまくできれ ばいいなと感じているわけです。 ○内布委員  院外薬局で24時間という所はないのですか。もしあるとしたら日本国内に、いくつぐ らいあるのですか。 ○藤上委員  それはちょっと私は把握していませんが、ただ薬局の使命としては先生は夜中に叩き 起こすのは忍びないとおっしゃいましたが、そうではなくて叩き起こされても起こされ たほうがいいのではないかと思います。それに対する対応を、薬局はしていかなくては いけないのではないのかなと思います。 ○内布委員  24時間、保障ができる状況にあるという条件ですね。薬局の対応は24時間できるとい う条件ですね。 ○藤上委員  そういう対応をしなくてはいけないと思っています。もし必要性があるならば。 ○川村座長  資料1の3頁を次々とご議論をいただいていると思いますが、大体この辺はこれでご 意見は尽きるのでしょうか。 ○川越委員  3頁の真中辺の右に委員から意見のあった事項があるのですが、その真中辺に「バル ーン式ディスポーザブルのような麻薬云々」とあります。実は私の意見をここに書いて くださったのですが、ここ1つを取りましてもある程度疼痛管理に慣れてくると、アン ペックを投与に使うとかで逃げることはできるのですが、いちばん簡単な方法は流量を 変えることで対応することです。PCAのことが書いてありますが、あれはやはり対応 に限界がありますので、ベースを上げるときにはどうしても流量を上げればいいという ことになります。けれども実際はこういう縛りがありますと、そういうことがままなら ぬことが現実にあるわけです。ですから、その辺のところは厚生労働省のご意見と法務 省ですか、別のところでは麻薬に対する厳格性が違うように伺っていますので、ただ現 場がやりやすいように変えてもらえばいい問題でもないかと思いますが、何らかの形で 考えていただきたいなと思っています。 ○看護課長  川越先生にご質問させていただいてよろしいですか。私どものほうから提示した資料 1の5頁の「内服の麻薬の包括指示の例」で、注射薬の場合と内服薬の場合とで書いて みたわけですが、注射薬の場合ですとバルーンでもって調整というか、レスキュードー ズを入れることができますね。でも内服薬の場合には先ほどのお話ですと、レスキュー ドーズとして、塩酸モルヒネ錠10mgを1回1錠で3錠分だけ渡しておくといったような ケースはないのでしょうか。 ○川越委員  あります。いま現実に、そういう対応をするしかないのです。 ○看護課長  その場合にそのお薬の保管は、ご家族が家のどこかに置いておく状況なわけですね。 ○川越委員  はい。そこは私たちは非常に虫のいい考え方をしていまして、処方を出す人が用意す るのは調剤薬局。そしてそれは頂いた段階で患者さんのものになりますから、そこでき っちり管理していただきたいと。もちろん私たちは気を遣っていますが、それは患者さ んの持ち物だという考え方でアンペックを3錠、30mgとかを置いていただくことはやっ ています。何か問題になりますか。いつもこれでいいのかなと思いながらやっているの ですが。 ○川村座長  例えばこのレスキュードーズの投与部分も、場合によっては処方が出ている場合は患 者さんのお宅にあるということなのですね。 ○川越委員  そうです。ただ、ものすごい勢いでモルヒネを上げなければいけないというのが現実 にあるのです。それをやるときは例えばフェンタニルのパッチで変えていけばいいので すが、計算がまたちょっとややこしかったり、そのために在宅を断念して入院した。私 たちのところには、ほとんどそういう例はないのですが、一般の先生方だったらちょっ とこの管理は難しいかなと思うのです。ですから、これはモルヒネの流量がもう少し医 師の判断で変えられるという格好にしておいていただければ、わりと簡単に在宅でも痛 みのコントロールのためにややこしいことをしなくて済む、入院しなくて済むことがで きるのではないかなと考えています。 ○藤上委員  麻薬の量を頻繁に変えなくてはいけない状況というのは、もしかしたら在宅に馴染ま ないのではないかなとちらっと思ってしまうのですが、そういう頻繁に変えなければな らない状況は、入院のところである程度のコントロールを付けて出すのではないのかな と思ったのです。 ○川越委員  もちろんそういう常識的な考え方なのですが、中には絶対入院は嫌だという方もいら っしゃるのです。簡単に痛みのために入院しろということはもちろんできるのですが、 できたら在宅でそういうコントロールはやって、できたら最後まで家で見てあげたいと いう気持、患者さんへの思いを実現できるようにやって、それは決して無理なことでは ないと思っています。 ○川村座長  ほかに、特に今日中に是非ということはありますか。 ○内布委員  バルーン式とシリンジ式が法律上難しいのは、何がどう違うからですか。 ○川越委員  さっき、どこかに書いてありましたよね。流量を変えてはいけないという。 ○内布委員  レスキュードーズを使うことは、でもレスキューだからいいということですか。基本 の流量ではないから、いいということですか。 ○川越委員  レスキューを使っているのは、PCA設定の方法は1回押すとしばらく行かないよう になっていますから、ちょっと普通のベースを上げるのとは全然違うのです。 ○内布委員  バルーンに関しては出始めはとても良かったということでしたが、使っていくうちに 非常にきれいに入らないとか、濃度にばらつきがあるとかたくさん言われているので、 私もシリンジポンプのほうが確実に正確に入っていると思います。患者さんの反応を見 るときに、いまこの人は1時間に何mgで入っているからこの反応なのだという付き合わ せが、バルーンだとやりにくいです。判断を間違ってしまうので、むしろシリンジに変 えるほうをどうにかしてできないかと思います。法律をどうにかしてもらわないと、本 当に看護師云々とかの問題ではなくて、患者さんは本当に困ってらっしゃると思うので す。 ○藤上委員  それは、安全性が担保できるというところでバルーン式が認められているのかなと思 うのですが、その安全性を担保することをどうするかを考えなくてはいけないのかなと 思います。麻薬取締法という規制というのは、多分過去にいろいろなことがあって、あ あいう形になっているのであって、それを患者さんのためにとか医療者側の利便性のた めだけで変えていくのは、少し考えなくてはいけないのではと思います。患者さんの安 全性を担保することと、もし仮に不正に使用された、流用された、盗難に遭ったという のがあるとするならば社会問題にも発展していきますよね。そういうところを考えてい かないといけないのではないかなと思うのです。 ○川村座長  では、今回もまた充実したご意見をいただきまして、ありがとうございました。そろ そろ時間ですので、本日はこれで終了したいと考えます。事務局からのご連絡はあるで しょうか。 ○看護課長  どうもありがとうございました。次回は11月19日(火)10時から開催をさせていただき たいと思っていますので、先生方よろしくお願いします。 ○川村座長  大変お忙しいところと思いますが、次回もご参集いただきたいと思います。  本日は大変長い時間、ありがとうございました。 照会先  厚生労働省医政局看護課  課長補佐  勝又(内線2599)  保健師係長 習田(内線2595)  ダイヤルイン 03-3591-2206