02/10/28 第15回社会保障審議会介護給付費分科会議事録         社会保障審議会 第15回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所    平成14年10月28日(月) 14時から16時半    霞ヶ関東京會舘ゴールドスタールーム 2 出席委員    西尾、井形、青柳、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、田中(滋)、    田中(雅)、中村、橋本、堀江、村上、山口、山崎、山本の各委員    塚本、三宅、高見澤、高梨の各参考人    新井、澄田、樋口、矢野の各委員は欠席 3 議題  (1)介護事業経営実態調査の結果について(報告)  (2)介護報酬について(訪問介護、居宅介護支援 等)  (3)その他 ○ 資料1に沿って、平成14年介護事業経営実態調査結果について、資料2に沿って、 制度等に関して介護給付費分科会で指摘のあった事項について、資料3に沿って、介護 保険施行後のサービスの課題と介護報酬の見直しの方向について、資料4に沿って、報 酬単位の見直し(訪問介護、居宅介護支援 等)に沿って、福本企画官より説明。 (村上委員)  制度論を一通り終わらせるべき。それと、どれが法律事項でどれが基準事項なのかの 整理がなされていない。 (西尾分科会長)  その点について事務局の意見は。 (松田総務課長)  事務局としては、資料2でいただいた制度に関するご意見を整理している。「1.制 度体系のあり方」についてはほとんど全てが法律に関係する事項となっている。 「2.要介護認定」、「3.居宅サービス関係」、「4.施設サービス関係」について は検討の結果、あるいは内容によって法律事項に及ぶ場合とならない場合が考えられ、 一概になかなか言えない。法律以外で運用できるものについては順次対応したい。 (西尾分科会長)  どれが法律事項でどれが基準事項なのかを項目ごとに明快に分けることが難しかった ということ。 (山崎委員)  まず制度について。1つは在宅重視の観点が資料3の論点だけでは足りない気がする。 給付費の状況を見ても居宅サービス利用者は7割を占めているのに、3割の施設利用者 で6割のサービス費を占め、居宅サービス費は4割にすぎない。利用者本位と言うこと を考えると負担と給付、在宅と施設間のアンバランスといったものを基本的に見直しを しなければ、在宅にインセンティブがわかないのではないか。  2つめは、在宅または施設における医療と介護の充実について。特に、現在訪問看護 サービス等は伸び悩んでおり、ステーション数も最近減少している。また、10月の老 人保健法改正等によって、訪問看護、在宅診療等の利用抑制がすでに出ていたり、利用 上限額、定額制の撤廃により利用料が2,3倍になったため、在宅の医療の利用が抑制 されたりしている。医療と介護の整合性を図るためにもこれらのことも考えるべき。ま た、医療専門職による医療ニーズ、サービスが充実できる議論を先決すべきで無資格者 が行ってよいということではないだろう。  実態調査については、訪問看護ステーションの収支率は現場の実感と異なる。また調 査のサンプル数も少なく、これが本当にそうなのかという乖離感を持っている。  デイケア、ショートステイ等については、医療が未整備であり、充実させるべき。  施設関係については人員配置の見直し、特に夜間の看護職員の配置が進んでいない。 福祉施設におけるターミナルケアや、感染症対策も重要であり、早急に手厚くしていた だきたい。  報酬については、ケアマネは専任で行えるよう報酬単価を上げるべき。また現行の利 用人数50人という設定は下げるべきであり、質ということでは、研修の義務づけ、担当 者会議、ケアプランの数などで加算・減算といった方法もあるのではないか。  最後に訪問介護のネーミングについて、生活支援は家事援助のままの方が分かりやす い。再検討をお願いしたい。  介護タクシーについては通院のみの利用でよいのかという議論も残っている。 (木村委員)  前回の資料で、将来65歳以上人口が10%伸び、要介護者も16%伸びる。これらを全て 介護保険に持っていかないように市町村の第3次老人保健福祉計画の意味を十分承知し てもらいたい。また、概算要求の中に今までの介護予防・生活支援事業もあるわけで、 保険者である市町村に事業計画の意味を十分承知してもらいたい。  施設の待機者が多いが、施設を1つ作ることで保険料が上がるということを市町村、 地域住民に周知徹底すべき。  ケアマネについては、ケアマネジメントリーダーの配置先や役割が不明確。リーダー の意味合いも保険者に伝わっていない。青森県八戸市では八戸市役所に基幹型の在宅介 護支援センターを置き、リーダーを配置し、うまくいっている例を聞く。中立的なとこ ろにリーダーを配置し、ケアマネのサポートをしていくことが必要。  ケアマネのケアプランの作成については、月に利用者と一度も会わないような人や、 アセスメント表がないものについては、報酬を減額どころかはっきりカットで良い。そ の代わり、例えばケアプランにおいて4種類を越える場合や、自立支援に向かっている ものについては加算すれば良いのではないか。  通所リハについて、個別リハ加算を行うことについては前々から賛成。医療機関、ま たは、入所・入院施設などは、リハビリ関係のプランを立てる方々にデータ等の情報を 伝えたこと、また、それにもとづいて個別リハを実行したことに対して加算するべき。 (笹森委員)  これまで発言のなかった痴呆介護について。まず、痴呆介護研究センターで研修を受 ける人は福祉の、特に施設従事者の方が中心。痴呆介護は在宅のほうが断然多いわけで、 この研修を在宅にどう還元するかが重要。考えていただきたい。  また、痴呆介護研究センターに関連するが、訪問看護に痴呆の対応の助言指導が含ま れていることになっているが、実績が伴っていない。同時に訪問看護は身体専門という 意識が一般的となっていて、痴呆の対応の仕方について家族が指導を受けるという気持 ちがない。看護など医療系の人も研修に参加させ痴呆研修を行っていただきたい。  グループホームの第3者評価ができたが、これからグループホームを設立する方々が その評価項目を参考にしていると聞いており、期待できるのではないか。また、グルー プホームについては問い合わせが多く、終の住処か、通過する住まいなのか、というこ とまで聞かれる。私は後者だと考えるが、グループホームが限界となったときの受け皿 はどうするのか、現在は家族が苦労してその受け皿を探しているところである。また、 特養の待機が何年かかかるため、その間グループホームを利用したいといった声も聞く。 グループホーム本来の良さがどうなっていくのかという懸念がある。第3者評価ととも にその面も含めて充実させていただきたい。 (木下委員)  介護保険のサービスは利用者視点で行われるべきものであり、利用者のニーズを踏ま えた上で、効率よく提供されるシステムを確立すべき。  質の確保の問題に今後取り組む必要があると思うが、医療と介護は切り離せないもの であり、効率良く両者を提供できるようにすべき。その上で、人員配置等の検討がされ るべきであり、それに見合った報酬設定をしてほしい。  ケアプランはアセスメントし、問題点、ニーズをつかんだ後に実際にプランを立てて いるはずのもの。それらが実施できていないものは利用者には有害である。木村委員も 発言されたが、減額でなく、費用を払うこと自体がおかしいという言い方もできる。な お、個別リハについては賛成。 (田中(滋)委員)  制度について3点。  1点目は予防について。ひきこもり防止のような支え合いサービス、要支援者に対す る家事援助、要介護者も含めたパワーリハビリや口腔ケアといったものがあるが、予防 を介護保険内のどこに位置づけるのかを制度的に考える必要がある。  2点目は特定施設について。介護保険は地域全体でのケアが重要。在宅、施設という 2分にこだわる必要はない。将来的には在宅と施設の間に現在の特定施設が入るような 第3のカテゴリーを明示的に作るべき。  3点目はケアマネについて。現在の受験資格の要件を緩和しても良いのではないか。 試験できちんと選び、研修を充実させれば良いのではないか。 (村上委員)  制度論に発言させていただきたい。  1つめは、給付対象年齢を拡大し、20歳にすべき。次の改正時に是非考えていただき たい。来年から是非やっていただきたいのは特定疾病について。  2つめは、低所得者対策の拡充を図っていただきたい。低所得者対策をきちんと行わ ないと保険制度が崩壊していく。連合としてはそれがきちんと行われない場合、税法式 への転換も言わざるを得ない。  3つめは、事業所と都道府県との関係であるが、事業所の指定に当たっては保険者に 関与させるべき。  4つめは、保険料率の上限の法定化を行うべき。  5つめは、現在在宅なのか施設なのかが不明であるグループホームの法的な位置づけ を明確に行ってほしい。  6つめは、介護療養型医療施設は経過措置を設けてなくすべきである。  7つめは、サービス提供責任者のきちんとした人員基準を追加していただきたい。  8つめは、成年後見制度を法の精神にのっとって使い勝手を良くしてほしい。  9つめは、第3者評価を介護保険制度全体に充実させてほしい。  最後に、医療と介護は利用されない方が良いものであり、予防の強化策を求めたい。 (高梨参考人)  実態調査の結果について。  まず訪問介護についてトータルとしては−2%となっているが、経営主体別に見ると 様々であり、地方公共団体は−24.7%、社協は−12.0%となっており、両者はコスト意 識が働いていないのだと思う。そこで、地方公共団体と社協を除いた訪問介護の収益が どうなっているのか教えてほしい。また特養についても地方公共団体、一部事務組合を 除く、社会福祉法人だけの集計結果を提示していただきたい。  最後に進め方について、個々の報酬見直しについての議論は重要。しかし、全体的に どうするかという観点を見失ってはいけない。 (山本委員)  制度を考えながら報酬見直しを行っていただきたい。  現在市町村合併が促進されているが、平成15年になると現在の倍以上に合併が進む。 私のところの広域連合では、市町村合併により広域連合への入退が激しくなることが予 想され、今後の見通しが立たない。入退する市町村においてもシステム改修のための負 担がかかり、市町村合併と広域連合と介護保険の関係がこれから2,3年は難しくなる のではないか。  それから地域間格差については非常に顕著になってきている。特に、過疎地域におい て、要介護認定者数の伸び率が高くなっている。私たちの広域連合ではこのような高い 伸び率の地域を低い伸び率の地域が負担するような形になっており、今後少し問題にな ると思う。援助、支援を考えてほしい。そこで、不必要な費用を削減していただきたい。 例えば、要介護認定であるが夜間行われることで人件費が高くなる問題がある。この要 介護認定に10億円の余分な費用がかかっている。認定の有効期間を一生涯とし、容態が 急変した場合に認定を再申請して新たに認定を受けるというやり方にしてほしい。老人 はそれほど容態がいつも変わるものではなく、病気でない人たちを介護していくのが介 護保険の趣旨。  医療保険の方は一元化をやろうということで大臣も私案を出しているが、介護保険も 一元化をやっていくことが必要ではないか。  低所得者対策をどうするということは今まで当分科会で聞いたことがない。少し考え ていただきたいと思う。  住宅改修については限度額の範囲内ならば認定を受けた人は誰でもやって良いという ものではないと思う。ある要介護度以上の方が可能となるような基準を設ける検討をし てほしい。  認定の申請の代行については、サービス業者が認定申請の代行をやるのは良いことで はなく、国はそのためのマニュアルを作ることが望ましい。  4月より保険料が上がる地域があるわけだが、そのことに対してどう被保険者に納得 させるかが課題。費用を抑える、公正・公平な支出をするということを考えていく必要 がある。 (喜多委員)  まず本日の説明について2点。  1点目は、訪問介護の見直し案について。介護保険制度創設時は時間がなかったとい うこともあり、報酬単価についてはほぼ実質的に事務局にお任せした。これまですでに 13回にわたって議論されているにもかかわらず、まだ○○単位という記述となっている。 これからもこのように進めるのか。  2点目は、3級ヘルパーについてだが、すでに100分の90という記述がここだけある のはなぜか。また、町村会も含めて保険者は介護タクシーを介護保険でみるのは時期尚 早という意見を出しているにもかかわらず、いつこれが現行として認知されたのか。 (福本企画官)  いずれ単位を決定する際には、この審議会に対して諮問をいたし、答申をいただくと いうことを考えていて、その際には単位を入れる形でお示しすることになると思ってい る。本日の議論はその前段階として大きな方向性についてお聞きしたいため、現時点で は単位のところに案を入れていない。ただし、3級ヘルパーについては減額の幅の議論 を審議会でしていただきたかったためここは数字を入れ、介護タクシーについては現行 こういう扱いになっているところを、通院等のための乗車・降車の介助ということで改 める形にし、単位をご議論いただくということでこういう提示をしている。 (喜多委員)  一番最後の諮問の時に単価の事務局案を出すということだが、次回に全部数字を入れ て出したらどうか。そのほうがもっと簡単にいくのではないか。その反面、3級ヘルパ ーは具体的数字を出しており、論理が一貫されていない。介護タクシーは一部の都道府 県でしか行われておらず、まったく介護タクシーのないところに圧力がかかってきて迷 惑な話。整理して議論できるようにしていただきたい。 (下村委員)  全体の状況が判断できるような資料がここにない。審議会では、個人個人が別々の問 題について発言しており、議論がまとまらずに、しかも意見が言いっぱなしになってい る。できるだけ大きな問題点だけでも整理して議論を集約してほしい。  そういう点からいうと、介護保険のこの3年間の予算・決算、平成14年度の決算見通 し、15年度以降の財政見通し。それから保険者である市町村ごと介護保険の収支状況等 ある程度のものを出していただきたい。それから現在の報酬と保険料は平成12年基準で 決まっているわけだから平成12年以降の物価、賃金等経済指標の見込みの資料をいただ きたい。  また、新型特養のようなものの位置づけ、性格についてどう考えるのか。新型特養は、 保険に迷惑がかかることはないとのことだが、一番待機が多いのが終の住処と言われる 特養であり、療養型に入っていると退院しなければならないから早め早めに特養に申込 みをしておかなければならなくなっている。そういった状況の中で特養のグレードアッ プを図るべきなのか。他にももともとは介護保険3施設のイコールフッティングと言っ ていたが、最近は3施設それぞれに特性を持たせるようにしようという話に変わってい る。いつからそう変わったのか。  グループホームについても全く同じ。位置づけ、性格を明らかにしてほしい。最近夜 勤体制加算を行うべきという話もあるが、実態調査を見ると、経営状況はそれほど悪く ない。また、最近では民間企業の参入も進んでおり、参入して株を上場したいというと ころもある。こういった状況で報酬を上げるという話になるのか。  個別リハについては、本当に有効であるならば、有効であることが分かるデータを提 出していただきたい。  個別の議論については分科会長が言うように急がなければならない。ただ、今のよう な点を言っていただかないとなかなか判断がつかないところがある。 (西尾分科会長)  議論の進め方について以前から下村委員から御指摘を受けている。議論中は出席者の 中で利害が対立するような話もある。また、限りない議論になる可能性のある問題が多 いと思う。当分科会は、皆様の御発言に対して事務局は全部聞いていて、こういう方向 かなというのを徐々に出すような進め方になっている。そのため、委員の皆様に発言し ていただく機会を設けている。 (下村委員)  私も同感。ただ、分科会長が言う形でやるならば事務局は的確な対応を行う必要があ るし、あるいはこれは事務局にまかせるというような合意があるべきだがそうでない場 合もある。  また、この審議会の問題としては分科会長を補佐すべき公益委員がいないことだと思 う。 (喜多委員)  分科会長の進め方について真っ向から反対しているわけではない。  本日も意見はいろいろと出たが、介護保険は最終的には市長村長が責任をとらなけれ ばならない制度。ところが、市町村の意見が採用されず勝手に話が決められている。保 険者の立場を理解して進めていただきたい。また、過去にワークシートを審議会に提出 していただきたいと言ったが、提出されなかったということもある。 (山本委員)  審議を充実させるためには、委員の人数を減らしたらいかがか。 (西尾分科会長)  そういったことは私の権限で行えるかどうかは分からない。こういう大きな審議会の 場合、専門委員会を作るという方法もあるが、あと半年のことでもあり、うまく審議に 御協力していただきたい。 (京極委員)  分科会は法律に基づいたものであり、時期の介護給付をどうするのかということを決 める大変責任のある場である。部会とはちょっと違った、一般的、抽象的な議論、ある いは将来的な展望をただ議論するということでなくて、当面の段階の問題についてきち んと回答するということがこの分科会の任務。利益団体の代表者の方々もある時は高所 から見てほしい。分科会では基本的な方向について決め、具体的な報酬の単価設定は行 政の仕事としてある程度信頼して良いのではないか。もちろんそういった中で良くない 問題が出てきたら、それはちゃんと指摘するということで良いのではないか。  見直しについては、現実に即して事業の安定化に資するというのは当然であるが、そ れだけではなく介護給付はサービスの質の向上に資するという方向で改善していくとい うのは当然のことだと考える。そういったことを踏まえ、何点か意見を述べさせていた だきたい。  1つめはケアマネの報酬一本化は悪いとは思わないが、良いケアプランを作るケアマ ネについては加算することは当然。最初は訪問するが以後行わないというところは少な くとも減額措置は必要。  2つめはケアマネの適正規模は一応50件となっている。少なければ少ないほどケアマ ネにとっては良いと思うが、私は45くらいが妥当ではないかと思う。介護報酬の中でケ アマネ支援を行ってほしい。  3つめは在宅介護でより良いサービスを提供することは重要ということで身体介護、 生活支援という2類型になったわけであるが、生活支援という名称について意見がいく つかあがってきており、生活援助くらいの名称が適当なのでは。もしかしたら生活支援 というのは身体介護と生活援助を含めたものなのかもしれない。そういう点から言うと、 要介護度別の報酬設定が一番現実的であると考える。その他、介護福祉従事者の資格保 有者をもう少し評価してほしい。それから、ヘルパーの2級と3級についてはきちんと 格差を設けてやるべきだと思う。  かつて措置時代に1時間の報酬単価は1段階のみだったが、介護福祉士制度ができた 後、2段階となり、その後介護保険制度下で要介護度ができた。そういう経緯からやは り要介護度別単価を反映させた要介護度にする。看護の場合も同じではないかと思うが、 介護との性格が違うので、その点をご考慮いただき、この問題に対して適正な対応をし ていただきたい。 (中村委員)  通所介護も旧来型のデイサービスからどう脱却しようかという考え方を多くの施設が 持っている。自立支援とリハビリを核と考えており、通所介護においても集団リハから 個別リハへの動きを加速させたい。その辺の見解を老健局長にお願いしたい。また、ケ アマネは能力のバラツキも大きいが早急に整理整頓をしていただきたい。それと同時に、 能力のあるケアマネについては専任でやっていけるような制度にしていただき、介護保 険の要はケアマネであるということを再認識するようなシステムにしていただきたい。 (中村局長)  介護報酬を見直すとするのであれば、様々な考慮をしなければならない要素があると 考えている。介護保険の財政状況、経済指標等は提出させていただきたい。  資料3は在宅の重視、あるいはサービスの質、痴呆対策等々をそれぞれブレークダウ ンして書いているが、介護保険の大きな1つの目的が自立支援であるとすると、やはり 在宅復帰につながるリハビリや、あるいは介護度を落とさない、維持できるリハビリの 充実は大事。リハビリの充実というのは介護保険の中で極めて重視すべき方向であると 考えており、中村委員の御指摘どおり施設内、訪問及び通所の三つの側面が考えられる のでそれぞれの側面においてどういう施設がどういうリハビリ機能を担うのが適切か。 施設については次回の審議会で御議論いただくことになる。通所サービスについてはデ イサービス、デイケアをどう考えていくのか。それから訪問サービスには、訪問看護、 訪問介護などがあるが訪問看護の中にはPT、OTが訪問しているケースもあり、そう いった中でリハビリをどう位置づけていくのか。今回私に質問があったが、そういった 点については、実は委員の方々にもご審議いただきたいと思っているところである。  我々としては、そういった中で、個別リハなり本当の意味でのリハビリの向上に寄与 する機能についてはきちんと位置づけて評価することはやぶさかでない。 (橋本委員)  審議会の進行については、私は森を見る議論と木を見る議論を行きつ戻りつせざるを 得ないと考える。  ケアマネについては、減算・加算の案も出ているところだが、まずはケアマネの業務 内容をはっきりさせてほしい。その上でやるべきことをやっていないケアマネについて は減算をする。また、良いケアプランを作っているかどうかを誰がどのようにしてチェ ックするのかを考えていかなければならない。同時に、在宅介護支援センターの機能、 役割を整理してほしい。現在ケアマネはいろいろなものとの兼務が可能であり、この体 制のまま報酬を上げるわけにはいかない。ケアマネジメントの業務を限定したうえで報 酬単価を上げてほしい。常勤専従でやるならば現在の50ケースはもっと引き上げること も可能である。  訪問介護については、もともと身体介護と家事援助の単位の差が開きすぎているとい うところから議論が始まっている。介護保険のサービスはプロの仕事であり、3級ヘル パーはできるだけ早い機会にやめたらいい。3級ヘルパーの10%減算についても私が発 言した記憶がある。2級であってももっとしっかり研修してほしい。痴呆のことも本当 に学んでいないし、医学的な知識も足りないと思う。また、きちんと勉強せずして2級 の修了というのはあり得ないと考えており、卒業試験まで行ってほしい。 (青柳委員)  審議会がどうあるべきかという意見が出たが、審議会は委員がそれぞれに意見を開陳 しながら詰めていき、事務局が取捨選択、意見集約を図るのが流れだと思う。先ほど一 委員から局長の見解を問う質問があったが、本来的にいうと議論の筋道をたてるのはこ の審議会の役割ではないか。  実態調査については、今後どういうルールで報酬見直しに反映させるのかが不明確。 反映させる際のルール、反映させるべき指標を示してほしい。また、審議会の中でその ルール、指標についての合意を作っておかなければならないのではないか。  制度の実施には、保険者、事業所、あるいは利用者とそれぞれ問題はあるわけであり、 今回の実態調査の公表によって事業所の収支については分かったが、保険者についても、 どう介護保険サービスメニューに限定すると市町村保険者としてプラスマイナスがあっ たのか、また、国の費用負担についても、介護保険制度の施行前、施行後に変化したの か、そういう意味で12年度、13年度の決算をそのうち用意していただきたい。市町村合 併も今後相当進むという御発言もあったわけできちんと用意しておくべき。  報酬見直しの進め方については会長がおっしゃっている内容にならざるを得ないと思 う。しかし、介護保険創設時のように時間がないという縛りの中で結論を出さざるを得 なかった経験者としては同じようなことがあってほしくない。そういうことも考えてス ケジュールを組んでほしい。また、具体的な数字等については、次回介護保険施設絡み の話をするときに話をさせていただきたい。 (下村委員)  介護は営利と非営利の経営主体によってサービスが提供されている。実態調査を参考 にする際に、その指標としてどの経営主体を指標にするのかといった問題もある。また、 現在は赤字となっていても、今後のサービス量の増加等で採算がとれるようになるのか どうかの資料が必要になるのではないか。私は営利法人を指標とし、ある程度将来を見 越したような形で基準を決めるべきではないかと思う。 (堀江委員)  実態調査においては確かに調査対象事業所が概況調査に比べ増やされているが、回収 率、有効回答率についてはどういう認識なのか。これがどれだけ重要度を持って評価さ れるべきなのか。例えばケアマネ事業所の収支については大幅赤字であるとのことであ るが、回収率は14.5%となっている。これでは実態に即した議論と直ちに結びつけられ ないのではないか。また、このデータによって単価を算出するということになると、関 連性、合理性、結びつきが全然生じないのではないか。その点について、もし今まで問 題点なり、課題点なり、実態を担当部局として整理されているのであれば、補正のデー タをこの場に出していただき、報酬単価設定にあたっては、きちんと連結性をとってい ただきたい。  訪問介護について資料4に書かれている論点整理は、端的なひとつの視点すぎるので はないか。これは、実態調査上からでてきているのか。また、地元地域の特性に即した ならば、複数回数訪問とかその場合の効率性、一定規模の事業所の運営が可能な地域な のかどうか。可能でない地域もあるわけで、その場合どう考えるのかというふうな整理 が行われて、考え方、視点が提示されるべきではないか。  福祉タクシーについては、病院でヘルパーが付き添った場合のサービス重複・長時間 化等はやはり整理されなければならないのではないのか。  ケアマネの報酬については単価選定の基本前提が違った実態になっているのではない か。ケアプラン作成の業務は17.7%しか行われてなく、対象規模は50人前後だと。しか し、このことは介護保険創設時にケアマネを作りすぎたから効率が上がらないのであり、 報酬もマイナスなんだという理屈にもなる。また、業務中に訪問を行わないケアマネが いるとのことだが、こういう実態を直すためのインセンティブとして報酬を上げるとい うのは全く理論が逆転しているのではないか。今後は誰が責任を持ってケアマネの業務 の実態を直させるのか。できるだけ早期に方向づけをすべき。この場合においても、地 域性に即してきちんと成り立ち得る議論かどうかを確認していただきたい。 (見坊委員)  各市町村において来年度からの保険料の推測値がでているが、県に聞くとだいたい500 円ぐらい上がるだろうといった話になるが、これは今後の高齢者の増加と、介護報酬の 見直しのある程度の予測をもって保険料が計算され、予算化されようとしているのか。 厚生労働省として何か御指示されているのか。各市町村ごと、あるいは各県で出されて いる数字はどのような作業で行われているのか教えてほしい。  また、我々は介護報酬の見直しに関して議論しているが、報酬体系案見直し案に数値 部分は入れられなくともせめてプラス、マイナスくらいは入れていただけると議論が違 うのだと思う。  2点めは、今回の審議会では訪問介護とケアマネの2つにしぼって議論しているが、 従来から各委員が言っているヘルパーの質の向上とかその実態、特に常勤・非常勤。非 常勤の実態はどうなっていて、どう現場で活用されているのか。単純に非常勤を常勤換 算しただけではそれらが不明。また、質の向上は報酬を上げれば解決できるものなのか という点についてはどうも疑問がある。この点について、ある程度何らかの報酬見直し の方向について推測できるようなことがあれば大変ありがたい。  3つめは、ケアマネについてだが、居宅介護支援事業者の中で、専門性、公正性、中 立性、場合によっては市町村が関与しているようなものがあるのかどうか。特に在宅介 護支援センターというものがあり、ここが高齢者が一番安心できるはずなのに実態がど うなっているのか分からない。また、どこの居宅介護支援事業所を選び、相談したらよ いのかが分からない。頼りになるのは市町村や、公的で独立した専門性のある事業所だ と思うがそれが在宅介護支援センターであろうと私は想像しているがそうではないのか。 ケアマネと関連して国としてどう方向づけようとしているのか教えていただきたい。 (貝谷介護保険課長)  1つめの事業計画について。前回の審議会でも、現在作業中の各市町村での状況とい うことを一部ご報告いたしました。ざっと言いますと、各市町村で高齢者数の推計を行 い、その中で要介護認定者数、つまり介護保険サービスの対象がどれくらい増えるのか を推計する。ここで、どのくらいまで増えるのかという御議論があり、各市町村とも大 変悩んでいるところである。そうすると、利用者数がだいたい見込まれる。その次にそ れぞれの利用者がどの程度各サービスを利用するのか見込み、そうすると全体の人数と サービス量が出てくる。単価については、6月推計のものは現行の報酬単価を前提に全 体のサービス費用を推計しているところである。  報酬単価が見直された後どうなるかは、市町村は今後の作業となっており、1月段階 で出る予定の最終的な各サービスの単価を各市町村が提供するサービスの内訳のウエイ トにあわせて微修正をやっていただき、最終的な保険料というものを2月、3月の議会 で御議論いただくような状況を想定している。 (見坊委員)  報酬単価が全体として上がれば、保険料も上がるのか。 (貝谷介護保険課長)  審議会での結論としてサービスそれぞれプラス、マイナスというのが出てくると思う ので、各市町村のサービスのウエイトによっても異なるが、結論的には個別の介護報酬 をどう上げ下げするのかが各市町村の保険料に当然影響することとなる。 (井形委員)  全体的なことであるがこの分科会は厚生労働大臣から諮問を受けて、それに答申しな ければならないわけで多数決で決めるというような委員会ではない。確かに導入時に相 当苦労したのは皆さんご存じのとおりであるが、できるだけ委員のみなさんの意見を聞 いて集約する形で答申できることを期待している。  今日はケアマネのことがずいぶん問題となったが、ケアマネについてはドイツにはな く、日本独自の制度であり、優れた点である。しかし、現実にはケアマネの能力はバラ バラだったりしている。また、学問的にも若い分野であり、どういうケアプランが優れ ていて、どういったメリットがあるのか学問的検討が必要であるため、厚生労働省より 間接的な援助を受けケアマネジメント学会を組織しており、総会が12月に開かれる。こ れから公開講座、あるいは各地のケアマネジャー協議会と協力しながら、できるだけケ アマネジャーの資質向上に努めていきたいと思っているが、その中で話題となっている のが認定ケアマネジャー。思想は経験のある優れたケアマネジャーには良い待遇を、そ れからその方が主力になっていただきたいというのことが根本。ケアマネジャーは、創 設当初非常に多くの職種から、情熱のある人に参加していただくために数だけはそろっ たがバラツキがあるのは当然。私が希望しているのは、大学で4年生の教育を受けた本 当のケアマネジャーを養成していく道を開いていただきたい。 (塚本参考人)  認定審査会に2年間携わった中で、要介護度の更新申請の審査をした部分でやはりケ アプランに変動が非常に出ている。また、モデル的に口腔ケアを中心にしたケアプラン を作成したところ、要介護度に変動があった例もある。自立支援を重要視する上で、口 腔ケアの位置付けをもっと明確にしていただきたい。 (田中(雅)委員)  訪問介護に関する運営基準に照らし合わせると、サービス提供責任者は22の条文の中 で何らかの業務を行わなければならないこととなっている。サービス提供責任者がどの ような介護業務を行っているか、私ども日本介護福祉士会としても調査中であり、いず れデータをお示しできると思うが、サービス提供責任者は、人事管理、サービス管理、 ケアマネジャーの方々等との連絡調整など大変重要な役割があり、膨大な業務をこなし ているにもかかわらず報酬に反映されていない。国としてサービス提供責任者の業務内 容のみならず業務量をきちんと把握して分析していただき、介護報酬の中に反映してい ただきたい。  家事援助の定義が資料のP2に「家事援助は本人の代行的なサービスとして位置づけ ることができる」と書かれているが、家事援助は代行として行う家事ではない。関連す る学問分野の家政学は生活をどのように成り立たせるかを研究する学問であり、一般的 に言われる代行として行う家事の学問ではないはず。生活を形成するための援助の重要 性を勘案すべきである。定義を見直すべきである。  3級ヘルパーについて。介護保険制度は地域全体で介護を必要とする人たちを支える という理念があり、専門家とそうでない人達が組み合わせによって地域での生活を支え るということになるかと思う。そういうことを考えた場合、地域住民の方々の力、有償 ボランティア等の方々の振興といったことに、よりインセンティブが働くようにするた めに30%くらい減算しても良いのではないか。そのためのシステム作りをすべき。  また、現在運営基準に規定された事項が十分に実行されていないことをずっと言われ てきているが、利用者にとって利用する事業者のサービスの格差があることが不利益に つながる。どうすればそういった状況がきちんと解消され、少なくとも運営基準が十分 履行できるのかを考えていただきたい。 (高見澤参考人)  ケアマネについて要介護度によって報酬単価を設定するというが、現場の人たちに聞 くと結局家族がいるかいないかで全然違う。家族がいない一人暮らしのお年寄りの場合 では時間外の要求が非常に多い。これはヘルパーについても同様で、要介護度より環境 を重視すべきだ。  また、最近ケアマネが社長、あとは非常勤のヘルパーで構成されるような事業所がた くさんできているため、もっぱら商売のためのプラン作りが先行している。事業所につ いてあたりはずれが大きい分、実態がどうなっているのか調査していただきたい。 (外口老人保険課長)  次回の第16回目についてでございますが、日程は11月18日月曜日14時から。議題は、 介護報酬について、その内容は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医 療施設。その他、を予定。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係     TEL 03(5253)1111(内3948 3949)