02/10/16 第4回インターネット等による医療情報に関する検討会議事録         第4回インターネット等による医療情報に関する検討会 ○日時 平成14年10月16日(水)14:00〜16:00 ○場所 厚生労働省省議室 ○出席委員 大山永昭 石原謙 河北博文 菊池令子 坂本憲枝 櫻井秀也 塚本亨       中島みち 花井圭子 深井寧 福島龍郎 松山幸弘 三谷博明       御手洗尚樹 渡辺俊介 ○座長  ただいまから第4回インターネット等による医療情報に関する検討会を開会いたしま す。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席くださいまして、誠にありが とうございます。厚く御礼申し上げます。本日は残念ながら、五十嵐委員、木本委員、 奈良委員からご欠席の連絡をいただいております。議事に入ります前に、新しい委員の 方をご紹介いたします。向山委員が退任されまして、その後任として花井委員にご就任 いただきました。花井委員から簡単に自己紹介をお願いいたします。 ○花井委員  花井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○座長  ありがとうございます。 続きまして事務局のほうも異動がございます。これからご 紹介をお願いしたいと思います。 ○竹林補佐 8月30日付けで事務局に人事異動がございましたので新任の紹介をさせて いただきます。まず、いちばん正面、阿曽沼審議官です。続いて榮畑総務課長です。土 生企画官です。関医療技術情報推進室長です。最後に総務課課長補佐の竹林です。よろ しくお願いいたします。 ○座長  それでは早速、議事に入らせていただきます。本日は、医療における情報の信頼性の 確保、いままでさまざまなご議論をいただいておりましたが、特に信頼性の確保という のが一般の方たち、患者の方はもちろんですが、国民にとって重要な情報を与えるため の必要要件であろうと思います。  この信頼性の確保について、今日は市川参考人、三谷委員からご説明をいただき、そ の後に議論を進めたいと思います。それでは最初に、社団法人日本広告審査機構事務局 長の市川参考人からお話をいただきます。市川参考人、よろしくお願い申し上げます。 ○市川参考人  市川でございます。私は社団法人日本広告審査機構、略称JAROと申します。2頁 目の上のほうに英文の団体名がございますが、Japan Advertising Review Organization、それぞれの単語の頭文字を取りましてJAROと申しております。昭和 49年に広告業界で作りました民間の自主規制の団体です。中心の業務は、商社及び事業 者からの広告表示についての苦情、及び問い合わせ、問題になる広告については審査を し、事業者に対して適正化を促すという活動を、いままでに約29年間続けております。 その中で、私どもは現場で毎日のように1日約20件ぐらいいろいろな電話がございます 。それこそ悪質情報にかかわるような広告被害、数十万円取られてしまったというよう なものから、テレビコマーシャルで小錦は見苦しいから出すなというようなものまで、 さまざまなものがまいります。そういうものの中で、本当に問題になるものを1件1件 つぶしていくというのが、私どもの民間としてやっている事業です。  本来、広告というのは、自由であるべきものと考えています。やはり経済活動に資す るためには、非常に優れた広告作品が必要なわけです。非常にクリエイティブな活動で す。そのためには、あまり多くの規制がないほうがいいというのが広告業界の基本的な 考え方です。つまり、法規制によって多く縛られた上で、クリエイティブ性を発揮しろ といっても、非常に難しいというところから、本来は自主規制、業界の人間が自分たち で襟を正す自主規制、これが最も重要であろうということで、私どものような団体がで きているということです。  まず、レジュメに従い、簡単にご説明をしてまいります。1番目です。日本の広告規 制というのはどういう体系でできているかという説明をしたいと思います。もうご存じ の方も多いかもしれませんが、1頁目です。上の四角い囲みです。矢印が2つあります が、日本の広告規制は法規制と自主規制に大きく分かれています。法規制の中には一般 法規と個別法規があります。真ん中の四角い囲みの中のポツ2つ目に、「不当景品類及 び不当表示防止法」とありますが、これが一般的に広告を規制する法律、虚偽、誇大広 告を規制する法律です。公正取引委員会が所管しています。最近では、これからご説明 するような着物の販売のトラブルですとか、さまざまな問題があります。それこそ牛肉 の偽装表示事件、これもこの景品表示法で排除命令というのが出ております。  この四角い囲みの中の破線の下にありますのは、一般法規で、広告業界にとっていち ばん厳しい規制のあるのが薬事法と医療法です。非常に細かく規制があります。この中 でいちばん最後にある「特定商取引に関する法律」と、これも広告規制には深くかかわ ってまいります。今日のテーマにも関係がありますインターネットによる通信販売の規 制というのがこの特定商取引に関する特商法と申しますが、法律によって規制を受けて います。経済産業省の所管です。  法規制と自主規制との間に、公正競争規約というのがあります。これが非常に日本独 特で、欧米にはありません。業界団体が規約を設定し、公正取引委員会が認定をすると いう、いわば半官半民的な規制が、日本独特にあります。家電業界、自動車業界、不動 産業界、銀行業界など、非常に主要な業界はこの公正競争規約を持っております。いま 50以上あったかと思います。  最後の四角です。自主規制というものには幾つかあります。各業界ごとにいろいろ決 めている自主規制というのがあります。例えば薬関係では日本製薬団体連合会、日本大 衆薬工業協会など、薬関係の規制があります。例えばビール酒造組合というビールの団 体がありますが、そこでは申し合わせをビール業者の間でしています。例えばビールの テレビコマーシャルは午前中は流さないということを決めています。日本たばこ協会で はテレビコマーシャルは一切やらない。学校の正門から200mでしたか、300m以内では 、たばこの立て看板は出さない。そういうような規制をしています。そういった業界の 規制があります。それから広告業界でもいろいろなクリエイティブコードなどを持って います。 黒マルでいうと右側に「媒体掲載基準」というのがあります。実際に消費者の目に触れ るためにマスメディアですと新聞、テレビ、雑誌などに載せるわけですが、例えば朝日 新聞は朝日新聞社としての広告掲載基準を持っています。持ち込まれた広告を、朝日新 聞の審査室で審査をします。これは朝日新聞に載せるのにふさわしくないということで あれば排除されます。TBSはTBSで持っている。こういう掲載基準にスクリーニン グされた上で、実際にはマスメディアは掲載されているということです。こういった規 制を受けています。  最後にやはり世論というのがいちばん問題になります。こういうもので載っても、実 際にマスメディアに出ても、非常に評判が悪いというものがあります。長くなりますが 、例えばいま問題になっているのが大手サラ金、要するに消費者金融がやるテレビコマ ーシャルの中に、「明日デートでお金がない。さあ、みんなでお金を借りよう」みたい なのがあります。若者を対象にしたものです。若者が安易にサラ金に手を出すというこ とがいいのかということを、年輩の方がものすごく心配しています。こういうのはその うちに問題になってくるのかなと私は思っています。  次に日本広告審査機構の自主規制活動ということについて、少し説明をしたいと思い ます。2頁です。設立の経緯などが書いてありますが、ポイントは1960年代にいまと同 じで、牛肉の偽装表示などがありました。これは「にせ牛缶事件」といいますが、牛肉 の大和煮の缶詰の中に馬肉が入っていたという有名な事件がありました。そういうこと で、広告表示が非常に指弾された時期があります。それを受けて広告業界では、アメリ カのBBB、Better Business Bureauという自主規制機関に視察に行きまして、これを 範として、1974年にJAROを生むわけです。非常にアメリカ的な発想でできている団 体ということです。  この当時としては、こういう自主規制、苦情処理をする団体というのは、例えば日本 通信販売協会という業界団体の中に、「通販110番」というセクションがあります。広 告団体という大きい団体が別に1つあり、それとは独立させて苦情処理の機関を作った というのが、30年前の日本の産業界では、非常に希有なケースです。中立公正、厳正を 旨とする必要があったということです。日本の産業界の中で、おそらく映倫に次いで、 2番目だったと思います。  そういう組織というのはどういう資金で成り立っていくかというのが3頁にあります 。広告関係企業はいま950社が会員になっています。年間1口15万円の会費をいただき 、総年間予算2億2,000万円で運営しています。会費収入のみで、補助金等はいただい ておりません。  次に「審査のプロセス」というのがあります。このリーフレットをご覧いただきます と、裁判の三審制に近いものがあります。ステップ1というのが相談者からクレームが きますと、当該事業者から回答をもらって、相談者に連絡をします。それで解決すれば 終了となりますし、ステップ2では、業界の関係者が集まる業務委員会というので審査 をします。ステップ3にいきますと、考査されるわけですが、これは大学の先生等知識 人7名で構成される審査委員会というところで、最終的に判断します。あくまでも最終 判断をするのは第三者がやるのだというようなシステムになっています。ただ、この審 査を行った結果については、法律に基づいて行っている団体ではありません。あくまで も自主規制機関ですので、自主規制機関の限界というのは、私どもが事業者に対して指 導をしても、その事業者がきかないと言ったら、それで終わりです。これが大変忸怩た るところがあります。ただ、日本の企業の場合、いままで活動していて、おそらく95% 以上はきいていただいております。非常に確信犯的に広告を使って、詐欺をやろうとか 、そういう人はきいてくれません。ただ、多くの企業はきいてくれているのが実情です 。  次に、ではどんな広告問題がいま多いかというのが5頁にあります。平成13年度、平 成13年4月から今年の3月までの業種別の分類です。最も多いのは通信です。広告苦情 は時代を映す鏡と言われますが、やはりいまは通信というのが多いです。もっとも多か ったのは通信の中では昨年度はマイラインの広告が非常に分かりにくいというのがあり ました。いま多いのはADSLの広告です。広告で頼んで、すぐ工事をしてくれないと か、といった問題があります。2番目は大型量販店ですが、これは都市近郊にある家電 の量販店の広告です。「他店より1円でも高かったら安くします」というのがあります が、そういうことで他店のチラシを持って行って、「安くしてくれ」というと、「きち んとした見積りを持ってこないと駄目だ」とか。行ってみると、他店では置いていたよ うな商品は品揃えとしては全くないというようなことで、トラブルになっています。  その下が問い合わせのワースト10です。1位は消費者金融で、これは先ほど言った問 題です。医療広告に関して、私ども担当の現場の者に聞きましたら、大きな問題として 上がっているようなものはない、件数としても少ない。整形外科、形成外科などが雑誌 広告などで少し散見されるかもしれない。実際に手術を受けて、その結果がどうもとい うような問題でくるケースがあると。それから医療法とは少し外れますが、カイロプラ クティック、整体関係は非常に相談が多いと聞いています。インターネットの医療情報 についてないかということで、コンピューターのサーバーに全部入れているのですが、 1件もありませんでした。特に今日のテーマにある問題ということで、私どもにそれが 苦情として上がっているというのはありませんでした。  6頁です。媒体として、いま見ると何がいちばん多いかという問題です。平成13年度 はテレビが多くなっています。テレビの場合は先ほど言いましたように、審査、考査が かかっていますが、極端な虚偽、誇大広告というのはありません。新聞でもそういうの はあまり多くありません。そういうものが、いま流れ込んでいるのが2番目の折込み広 告です。新聞に折り込まれる折込み広告です。これは審査、考査のシステムが全くあり ません。ですので、いま問題広告が非常に悪質のものが多いということになります。  つまり、この後に出てきますが、SP広告という下の囲みの中の下から4番目に「イ ンターネット」とあります。この年から初めてカウントして、238件ありました。非常 に少ないのですが、これからは急速に伸びるだろうなと思っています。なぜ問題かとい うと、先ほど折込み広告に審査、考査のシステムがないと言いましたが、インターネッ トには全くそれがないということです。それがいちばん問題になってくるだろうと思い ます。いま業界ごとに調べていきますと、いろいろな広告規制を持っている業界は、従 来テレビとか新聞とかが持っていた規制を、インターネットにも適用するという規約改 正を多くのところが行っています。それとは別に、インターネットで多くの取引が急速 に増えたところは、新たにインターネット用の広告規制を作っているところがあります 。私が調べた範囲では3つありました。1つは旅行です。日本旅行業協会です。これは インターネットで旅行商品の募集をし、契約にまで至っていますので、その手続が決め られています。それから銀行です。インターネットバンクというのが出てきていますの で、銀行業界も作っています。それから不動産が決めています。きちんと決めていたの は、私が調べた範囲ではこの3つがあります。不動産も非常に高額で、しかも不動産の 広告というのも非常にインターネットでは多いので、そういうことでできていると思い ます。  7頁は省略させていただきます。次に、実際にどういう広告に問題があるか、具体的 な事例をお見せするのがいちばんいいので2件挙げたのですが、ただ私どもJAROで は定款で、審査した案件については一般に公表しないということになっています。申し 訳ありません。今日は新聞社等の方がいらっしゃるので、これは最近公正取引委員会が 問題にして、排除命令という法的措置をとったものを、載せさせていただきました。こ れは最近多い問題広告の例として、挙げさせていただいています。いま多いものに、痩 身効果を標榜したいわゆる健康食品というのが非常に多いです。その中の1つで、ここ 数年前から始まっているのに「お茶」というのが多いです。その次に出てきているのが 「インシュリンダイエット」と称しているものです。次が「アミノ酸ダイエット」とい うのがいま出てきています。そのときの「お茶」の問題です。この中で景品表示法上問 題になるのは、左上に「4.5〜10kg減量がラクラク」とか、「1日3食しっかり食べても きちんと痩せる」とか、「卓球の選手権大会に出た中国の選手が飲んでいた」とか、「 中国の大学でモニターテストをして成果が出た」などが景品表示法違反になったという ものです。薬事法の第68条、承認前の医薬品の広告の禁止、薬効表示をしていますので 、これの違反にもなるかと思います。ただ、この会社の問題は別のところにあると私ど もは思っていました。いちばん上の行を見ていただきますと、「もし痩せなかったら、 お金は一切いりません」いま出てきているのは、「返金保証制度」というものです。こ の会社に返金してという電話をします。まず電話はつながりません。たまたまつながっ た方は、6種類の返金用の書類を出せと言われます。6種類の中に誓約書、自分の健康 保険証のコピーを出せとあります。家族の構成を書けといっています。自宅付近の地図 を書けといいます。大体女性の方ですので、気持ち悪がって、まず返金請求はやめます 。ただ、これはこういう書類を出せといっても、法的には違反にならないのです。これ が大変問題になりました。東京都も実はこの会社に対して動きました。最終的には公取 が景品表示法で引っかけたわけです。返金保証制度で引っかけていません。そういう問 題がありました。  次はこれも何年も前から多い呉服商法、着物商法、ゆかた商法と俗に称しているもの です。左側にあるような簡単なクイズに答えると、ゆかたプレゼントということで、ク イズに当選しましたということで通知がきますので、会場に赴きます。そうすると、ゆ かたの生地はくれます。非常に薄い生地だそうです。ただし、そこで仕立ててください というのが条件になるそうです。仕立代が何千円かかかるということです。着物の場合 、モデルさんになってくださいという広告で、あなたはモデルに応募しました。そして 行きます。そうすると、やはり生地はくれる。仕立代はよこしなさい。それから数10万 円の帯を買うのが条件ですというふうになります。こういう商法というのがあります。 これも公正取引委員会が景品表示法違反として排除命令を出しています。JAROとし て例えばこういう問題を言えるのは、広告表示の適正化ですので、こういう商法が駄目 だとは言えないのです。私どもが言えるのはゆかたプレゼント以外に仕立代がかかるの だったら、その仕立代の料金が別途幾らかかりますと書けとしか言えないのです。広告 表示の問題を扱っていると、そういう問題が多分にあります。悪質商法は広告が入口に なるという説があります。いろいろな悪質情報が広汎に広がるときに、いま大神源太で したか、ジー・オーグループも5年ぐらい前からJAROでは問題になっていました。 捕まったのは今年です。あれも広告で盛んに撒かれました。あれが撒かれなかったら、 あれほど広汎な出資法違反事件はなかったのかなと思います。  最後にインターネットの広告というものについて、少しお話をさせていただきたいと 思います。インターネットの情報というのは、あれは広告なのか、情報なのかという論 議がだいぶ前からあります。ただ、個人がホームページを見て、病院を探す。そしてど こかの特定の病院に行く。それは消費者にとっては病院選択についての非常に重要な情 報をそこから得たということになります。これは広告機能です。広告というのは商品、 サービスについての消費者が選択するための重要な情報を提供するというのが広告の機 能です。そのためにアメリカでは比較広告というのが非常に盛んに行われるわけです。 そういう意味では広告、つまり消費者がホームページを見て、広告と思って見ていたか どうか、つまりそれが大事だろうなと思います。消費者がどう見たかだと思っています 。JAROは消費者が広告として見ていたホームページは広告として扱うことにしてい ます。先ほど言いました景品表示法上も、解釈としては明確に公正取引委員会は景品表 示法上の表示に、インターネットのホームページは当たるのだというふうに解釈を出し ています。  その内容が適正でなければいけないというのが非常に重要なことなわけですが、いま は全くインターネットについては自由ということです。私はインターネットというのが 折込みチラシにならなければいい、インターネットの折込みチラシ化が非常に危惧され るところだと思っています。そのためにどうするかというのは、私は基本的には自主規 制がいちばんいいだろうと考えます。それは、例えば2000年10月1日から、いままです べて禁止になっていた弁護士広告が解禁になっています。これは法律によって弁護士は 広告ができないという規制があったわけではありません。日本弁護士連合会、日弁連が 会則においてそれを決めていたわけです。原則禁止です。それが、2000年10月1日から 原則自由化しました。そして、日弁連はその自由化の前にもJAROにもヒアリングに 来られたのですが、ただ、広告についてやってはいけないことというのを何項目か決め ています。もちろんその中には虚偽・誇大広告をしてはいけないとか、例えば自分が裁 判に出た勝訴率を書いてはいけないとか、幾つかこういう決めを作っています。その中 で自由に皆さんやりなさいという決め方をしています。やはりこれは1つは外国からの 弁護士が参入してきたというような、政府の規制緩和策が大きいかと思います。実際問 題として、弁護士のインターネット広告がどんどん出てしまったと。現実に出てしまっ たのに後追いしなければいけなくなったという問題があったようです。それで、この規 制緩和というのをやったと聞いています。  いま広告業界で各種の規制緩和というのがいろいろな意味で続いています。例えばオ ープン懸賞といって、例えばチョコレートを買って、当たると昔は上限100万円までで した。いまは1,000万円までになりました。そういうようにいろいろな緩和が続いてい ます。その中で、私がやってきた30年弱のことで言えば、やはりいまいちばん必要なの は、業界のことが分かっているのはその業界のことだという認識だと思います。そして 、その業界の人たちが、自分たちでいちばんいい落としどころはどこだろうといって規 制をしていくのが、いちばんいいだろうということだと思っています。自主規制活動と いうのは、そういう意味では大変重要な活動だと思っています。そういうことを30年近 くやってきた者として、皆様方に少しでもお役に立てばなと思っています。少し時間が 長くなりまして申し訳ありません。以上です。 ○座長  ありがとうございました。いまのお話を聞いていると、やはりうまく広告って書く人 がいるのだなと思います。何かすぐ簡単に騙されそうな気もしましたが、それはそうと して、次に三谷委員から引き続きお話をいただきたいと思います。 ○三谷委員  日本インターネット医療協議会の三谷と申します。本日のテーマは「医療情報の提供 法について」ということで、3つの項目についてお話をさせてもらえればと思います。 スライド1:まず1番目に、「自治体等公的サイトにおける医療情報の提供法」という テーマです。2番目が「提供される情報の質の問題」について、3番目に「情報の質を 高めるための仕組みづくり」という内容で進めていきます。まず、初めの「自治体等公 的サイトにおける医療情報の提供法」ということなのですが、これまでの議論の中で、 情報の提供主体ということで公的主体、あるいは私的主体という分け方がありました。 その中の公的主体における情報の提供のあり方ということで、特に公的主体の代表であ る、例えば地域の都道府県からの情報提供という中で、医療機関に関する情報の提供は どうなっているであろうかというのが話題に上がってきましたので、それをこの夏休み 前後を挟みまして、日本インターネット医療協議会の会員を対象に、アンケート調査を やらせていただきました。 スライド2:あまり時間がなかったので、数は少なかったのですが、190名の人にアン ケートをお願いして、65名からの回答がありました。内訳は3割が患者家族、7割が医 療関係者というような、我々の会員のメンバー構成がだいたいそ_のようになっていま すので、それが反映されています。方法としては、自分、あるいは家族が病気になった と想定し、居住している自治体等の公的サイトにアクセスしてもらい、医療機関情報へ のアクセスの利便性等について質問をしました。この内容についてはこちらのほうのウ ェブサイトのアドレスに詳細が載っています。お手元の資料にも用意させていただきま した。 スライド3:その中の幾つかを取り上げさせていただきます。「医療機関に関する情報 を探す方法は」というのがありまして、いちばん思い付く方法というのを聞いてみたわ けなのですが、「ロボット型の検索エンジンを利用する」が35%、「Yahooなどのディ レクトリー検索」が27%で、いわゆるサーチエンジンといわれるようなものを主に利用 しているのが合計62%ということで、この両方のリストからいくと、かなり高いのです が、ちなみにアメリカで同様の調査をした報告があります。これは今年の7月ジュピタ ー社が調査したものですが、医療機関だけに限定しないで一般的に医療情報を集める際 の方法についてきいたところ、サーチエンジンが39%、ヘルスサイト、これは医療情報 を提供している民間のサイト等を含めるわけですが、それが32%、その他いろいろと続 いていました。向こうでもサーチエンジンの比率がトップだったのですが、比較では日 本の場合、特にサーチエンジンを使うケースが多いようです。これは想像できるかと思 うのですが、どこで情報を探していいか分からないので、いちばん手っ取り早いところ で、とりあえずYahooなどのサーチエンジンを使うという例が、日本の場合には多いの ではないかと思います。逆に言うと、それなりの情報を案内するサイトが、まだでき上 がっていないということになるかと思います。 スライド4:次のアンケート結果ですが、「都道府県の公的機関のサイトにアクセスし た経験は」という質問に対し、「ある」が76%でした。自分が利用したときに、「医療 機関に関する情報が案内されていたか覚えていますか」という質問に対し、「案内され ていたと思う」が62%、「はっきり覚えていない」が38%というところです。次に、先 ほど申しましたように、自分もしくは家族が病気になったと仮定してサイトにアクセス していただきました。そのときに、「うまくアクセスできましたか」という質問ですが 、「すぐにできた」というのが86%、「5分以上かかった」かあるいは「できなかった 」が13%ということでした。この「すぐできた」という率が高くなっているかと思いま すが、これは日本インターネット医療協議会の会員さんが、ある程度インターネットを 使い慣れているというか、それなりのリテラシーを持っているところが多分反映されて いるかと思われます。実際の一般の人を対象に調査をすると、もう少し低いのではない かと予想されます。 スライド5:5番目の項目ですが、「サイトにアクセスして医療機関に関する情報が確 認できましたか」というのに対して「確認できた」が94%で、これもけっこう高い率で はあるわけなのですが、先ほどのある程度慣れている人が今回は対象だったので、こう いう高い数字が出ているのではないかと思っております。  続いて、「どのような情報が利用できましたか」という質問に対しては、「病院に関 する情報」がいちばん多くて80%、「救急・救命に関する情報」が49%、「一般診療所 に関する情報」が47%と続きまして、最後、「医師に関する情報」というのが3.64%と いちばん少ない数字でした。 スライド6:また、「全体的に情報へのアクセスは容易でしたか」という質問に対して 、「かなり容易であった」と「やや容易であった」を合わせて83%で、高い割合ではあ ります。これも、慣れている人がアクセスしたということが反映されているかと思うの ですが、「容易でなかった」という方の回答の理由を聞いてみたところ、「トップペー ジからの案内が分かりにくい」が71%、「階層が深過ぎる」が42%、「検索などの機能 が難しい」が14%というような答えが出てきました。 スライド7:「情報の内容が十分であったかどうか」というのを聞きましたが、これも 項目はたくさんあるのですが、その中の代表的なものを挙げさせていただきますと、「 病院に関する情報」として、5段階ある中で、「かなり十分」と「やや十分」を足して 38%、「診療所に関する情報」は同じく両方を足して27%で決して高い割合ではないと いうことですが、「医師に関する情報」は同じく両方を足しても8.7%しかなく、十分 と感じていなかったということです。「病気の予防、健康管理に関する情報」について は8.7%で低い割合になりました。全体的にこういうようなところから、「情報の内容 が十分であった」とするところが、まだまだ低いということが結果に出ています。 スライド8:そして、最後にいろいろ自由に意見をあげてもらったわけですが、その中 の一部をご紹介させていただきますと、「医師についての職歴、専門資格や医師会所属 有無などの、客観的な情報を掲載してほしい」「利用者側に立って、ホームページが構 成されていないように思われる」「公的機関ならではの情報が必要だと思う」「都道府 県から提供される情報では内容量が足りないので、近くの医療機関を探すことは難しい と思った」「健康や医療問題は市民生活の基本中の基本なので、まして公的機関なら第 三者評価機関を常設してでも、利用者の意見をもっと反映させるべきである」というよ うな意見がありました。その他、たくさん意見があがっており、別の資料に全部掲載さ せていただいています。  以上のような調査をやらせていただいたわけなのですが、やはり現時点では、今回は 都道府県のサイトが対象だったのですが、医療情報を探すときに、まず、都道府県のサ イトにいってみようという、そういうような発想をしないという人が、まだ結構多いの ではないかということで、「わざわざ見てください」ということでも、今回のような結 果だったわけですので、全体的には自治体等からの情報発信の状況が不十分であるとい うようなことがいえるのではないかと思っています。 スライド9:日本とアメリカの比較参考例として、ウィスコンシン州のサイトを見てみ ました。アメリカの状況については松山委員からこれまでに詳しくご報告がありました が、自治体についてということで、こちらの州政府のサイトを見ました。ここに挙がっ ているのがトップページなのですが、ご覧のように項目の分類が分かりやすく整理され ています。このときは、たまたま医療に関する市民向けの情報があって、それがトップ ページにトピックとしてあげられていました。  利用者のニーズに答えた見出しというのがあるということです。検索のほうもこちら にありますが、分かりやすくなっている。デザインも見ていただきまして分かるように 、非常にシンプルでしかも洗練されているということがいえるかと思います。 スライド10:実際に入ってみますと、「Health & Safety」という頁があります。 スライド11:ここから州政府のHealth & Family Services部というところが提供し ている「Consumer Guide to Health Care」というヘルスケアに関するコンシューマー 向けのガイドという頁があります。こちらのほうを見てみますと、一般市民が、あるい は患者が自分が何かを探したい、あるいは情報を得たいというときに、その目的とする ものによって、ちゃんと内容が分けられているというところで、実際には次の頁に、こ ういうようにGetting Careということで、医療を受ける場合の情報を探すコーナー、 Paying for Careで費用の支払い、医療にかかる費用の情報の案内というのがあります 。それからDealing with Problems with Your Health Careということで、何か問題が あったときの相談の窓口になっているというようなものがあります。この問題には医師 に関するトラブル、あるいは病院に関するトラブル、あるいはヘルスプラン等に関する 具体的なトラブル、苦情があったときに、窓口として受けているというものになってい ます。  それから、Learning and Copingということで、医学に関する情報も提供されていま す。 スライド12:試しにこのGetting Health Careで、ドクターの検索というのをやって いくと、次のような頁が出てきます。 スライド13:名前からの検索、あるいは専門科目からの検索、あるいは地域からの検 索、男性か女性かという、幾つかの項目に従って検索ができるようになっています。 スライド14:そして検索の結果、出てくる情報というのは、ドクターに関する情報で すが、名前が出てきて、専門科目、勤務場所、いままでの教育歴、トレーニング歴とい うものもあがっています。ウィスコンシン州はドクターが1万8,000人いるということ で、2000年にその9割に該当する人たちの大がかりな調査があって、その回答データを もとにして、更新されてきたわけですが、ほとんどのドクターが網羅されて紹介されて いるというようになっています。  このウィスコンシン州の政府のサイトの頁と、先ほどの日本国内の頁と比較すると、 その辺の違いがよく分かるかと思うのです。そして、このウィスコンシン州はアメリカ の五大湖のそばにあって、すぐ北側はもうカナダに接しているわけです。そのカナダの サイトにリンクが設定され、Health Canadaというサイトが出てきます。 スライド15:これはカナダの政府が運営しているものですが、このHealth Canadaと 連携しながらやっているサイトに、Canadian Health Networkというのがあります。 スライド16:これはNPOが運営しているのですが、カナダの中の英語及びフランス 語で書かれた医療情報の優れたサイトにリンクをしています。 スライド17:1万2,000のリソースということなのですが、サイトの数としては600ぐ らい、しかしコンテンツとしては、1万2,000の情報源リソースにリンク案内するとい う活動をやっています。 スライド18:ここではCanadian Health Networkがそのリンク先を選別するときの基 準というものを持っていて、Quality Assurance Processという、情報の質を確保する ための基準が作られています。その内容がすべてこのように書かれているわけなのです が、誰がサイトを運営しているか、そのコンテンツがどういうふうにして作られている かというように、さまざまな点から評価がなされるわけなのです。 スライド19:また、情報の質のチェックリストというのがあり、これは先ほどのよう にサイトを評価選別するときに使われます。これはコンシューマーにも明らかにされて いて、こういう基準でもって信頼できるサイトを選んでくださいというような、コンシ ューマー向けのアナウンスにもなっています。  このようにいろいろな工夫をして、質の高い信頼できるサイトへとガイドするという 活動が行われているのです。 スライド20:しかし、全体的に医療情報の提供という点において、コンシューマーに とって大きなバリア、障害が2つあるということで、まずひとつめに情報、あるいはサ ービスの質の問題があげられています。次に、プライバシー、セキュリティの問題があ げられています。この2つが大きな問題として取り上げられていて、アメリカにおいて はさまざまな対応がなされているところであります。 スライド21:次に、ウェブサイトの調査がアメリカで行われました。その1つは、ネ ット上のヘルスケア情報の質に関する調査です。それからプライバシーに関連して、個 人情報保護に関する意識調査をやりました。同時に主要なヘルスケアサイトにおける個 人情報の保護対策を調査しています。 スライド22:まず、情報の質という部分では、ここに、2000年7月に、CHCFとラ ンド社が共同でやった調査があります。 スライド23:医療系のウェブサイトの情報の中身を専門家が評価したものであります 。乳癌、喘息、うつ病、肥満症の情報を提供する18のサイト、検索エンジンを評価して みたわけですが、その結果、必要な情報がカバーされている割合に大きなバラつきがあ ることがわかりました。がん情報の専門サイトで割合が高いものもあれば、Yahooの27 %というように、目立って低いものもありました。また、他にも情報の提供者が分から ない、作者名、日付けが不明であるとか、内容に矛盾があったりというようなことが指 摘されました。一般的に検索エンジンでの情報の検索というのは、非常に効率が悪いと いうことが指摘されました。そして、情報の内容が一般の人にとっては専門的すぎて理 解できないというようなこともあげられました。特にアメリカの場合にはいろいろな教 育レベルの人がおりますので、情報が理解できないケースがあるのも問題とされました 。 スライド24:次に、個人情報保護に関して、オンラインのユーザー1,009人を対象に しまして、プライバシーの意識の調査をやりました。 スライド25:オンラインユーザーの61%は、プライバシーに関心を持っていることが 示されました。個人情報が許可なしに他に供与されることを心配している、e-mailが他 人に読まれている不安を感じている、あるいは誰かがハッキングをして自分の医療情報 を見ているのではないかと心配をしている人も多くいました。 スライド26:次に、実際の民間企業のプライバシー保護の情報、具体的には21のサイ トを調べました。 スライド27:21のサイト中、19のサイトがプライバシーポリシーを掲示していたけれ ども、以下の点で公正さを欠いているということが指摘されました。いつ、誰によって 個人情報が収集されるか不明確である、何の情報が収集されているのか説明不十分であ る、第三者の行動に関する記載が不十分である、あるいはセキュリティの確保のことに ついて説明がない、というようなものが指摘されました。 スライド28:プライバシーポリシーという個人情報の保護方針を掲げて、それを実行 していくわけですが、ポリシーの実行状況をさらに調査したところ、ポリシーはあるけ れども、実際にやっていることはポリシーに違反している例が出てきました。たとえば 、クッキー」というインターネット上で利用者の情報を自動的に収集する仕組みがある わけですが、そういうクッキーを使っていたとか、あるいは第三者によるバナー広告に おいて、説明なく個人情報が収集されていたということが判明しました。ポリシーはあ るのだけれども、実行が伴っていないということでした。  本日はこのプライバシーのところがメインではないので、詳しくは触れませんが、情 報の質とプライバシーの問題が一緒に絡めてとらえられているような状況ではあります 。 スライド29:アメリカにおいては、このような調査が、新聞等で報道され、メディア 等が取り上げて注意が促されました。これらを受けて、実際のサイトを運営している事 業者が、内容を改善をしたという結果にもつながっていきました。 スライド30:このような動きを受けて、実際に情報を提供する、サービスを提供する 人たちが、自律的に対応していこうということで、「Self-regulation」という言葉が ありますが、この自律の原則で、自分たちが提供する情報の質を高めていこうという取 組みを始めました。ここにありますように、幾つかの取組みが出てきました。  まず、AMAのguidelineというのがあります。これはアメリカ医師会のガイドライ ンです。それからeHealth Code of Ethicsがあります。eヘルス倫理コードという意味 ですが、これは民間の企業等が連合を組んで、倫理規範を作ったというものです。それ からHON、ホンと言いますが、スイスに本部があり、ここが倫理コードを作って、情 報を提供する世界のさまざまな国のサイトに、質の確保を呼びかけているものです。ま た、Hi-EthicsとURACというのがありまして、これはアメリカの民間企業が情報の 提供にあたって、自分たちの質を高めていこうということで基準を作っています。 スライド31:1つ目のAMAのガイドラインですが、アメリカ医師会がAMAのウェ ブサイト自身の情報提供における基準を作りました。そして、同じ基準を、医療に関す る情報発信をする一般のサイトにも適用してもらうように呼びかけています。ここで は、4つの原則を掲げています。コンテンツに関する原則、アドバタイジングとスポン サーシップということで広告と資金提供などのスポンサーシップに関する原則、プライ バシーと患者情報等の守秘義務の原則、そしてe-commerceに関する原則となっていま す。AMAでe-commerceというのはちょっと不思議に思うのですが、将来的にはネット 上での金銭のやり取り、ものやサービスの売買というものが考えられますので、e- commerceに対する原則も用意しているというものです。これらの4つの原則が細かく掲 げられているわけなのです。1995年にAMAがまだインターネットに限定しないで、書 籍その他の媒体から情報提供する場合の広告のガイドラインというのを作っておりまし た。その辺から始まっていき、順次こういうような原則を追加していき、2000年に最終 の包括的なガイドラインを完成し、公開したという状況です。 スライド32:実際にAMAのガイドラインはアメリカ医師会誌(JAMA)のサイトに 公開されております。 スライド33:URACというものを紹介しましたが、MEDLINE plusという、 一般向けに医学情報などを提供する公的なサイトがあります。このコンテンツを作って いる民間企業でADAM社というところがあります。ここがこのURACの認定シールを取 っています。コンテンツは民間企業が作っているのですが、このコンテンツを公的なサ イトから提供するときの質の担保の基準として、こういうようなURACの認定プログ ラムを導入しているという例です。以上が海外における状況です。 スライド34:次に日本における状況ということで、日本インターネット医療協議会も 協力させていただきまして、厚生労働省の厚生科学研究による研究事業をこの春まとめ させていただきました。「患者・家族におけるインターネット上の医療(健康)情報の 利用状況と意識に関する調査」というものです。 スライド35:インターネット上で医療情報を利用している患者・家族1,081名を対象 にアンケート調査をやらせていただきました。高血圧、糖尿病、アトピー性皮膚炎、喘 息、胃癌、乳癌、大腸癌の患者及びその家族を対象としたアンケートですけれども、医 療情報の実際の利用状況と、情報の質やプライバシー保護に対する意識を調査してみま した。  2002年2月に完了し、その調査結果はJIMAのサイトに掲示してありますが、その内容 の一部を紹介させていただきます。 スライド36:回答者 1,081名は、実際にインターネットを利用しているという人たち が対象になったわけですが、利用の頻度としては1カ月に1度以上使っている人が7割 いました。利用している情報の内容ですが、病気に関する情報がいちばん多くて、続い て病気の治療法に関する情報、薬に関する情報、医療機関に関する情報と並んでおりま した。  「その情報が信頼できますか」という問いに対して、「かなり信頼できる」が9%、 まあまあ信頼できる」が83%ということで、この両方を足すと92%で、信頼できるとし ている人が多いように見えるのですが、「まあまあ信頼できる」という中間的な答えが 、どの程度の意味を持つかというところで、同様の調査がアメリカであったわけなので すが、「かなり信頼できる」という回答が非常に高くなっていました。今回の場合は、 この積極的に信頼できるとする割合が9%という低さであったことが対照的でありまし た。  次に、情報の中身の信頼を損ねる理由を幾つかあげてもらいました。「誰が情報を提 供したか分からない」が67%、「情報が偏っている」が60%、あるいは「営利的な要素 が絡んでいる」が58%というように、その他いろいろあげられました。 スライド37:ついでに医療相談の経験についても聞いてみたところ、28%が「経験あ り」ということで、非常に高い率になっていました。医療相談の相手は、医師が当然な がらいちばん高いわけですが、「信頼できる相手は」という質問に対しても「医師」が 93%ということでした。これについては同様の調査がアメリカでもあり、やはりプロフ ェッショナルである医師が、医療相談の相手としては1位にあげられていました。  個人情報の取扱いについては、「非常に関心がある」が35%ありました。「まあまあ 関心がある」を足して89%となり、高い割合で個人情報保護について関心が持たれてい ました。 スライド38:こういう状況を踏まえて、プライバシーの保護について、「プライバシ ーポリシーが必要であるか」という質問をしたところ、「不可欠である」とするのが80 %で、非常に高い割合で必要であるという回答になりました。現状、日本においては、 ようやくプライバシー保護に対する関心が高まってきており、プライバシーポリシーと いうようなものが必要であるという認識が出てきているかと思うのですが、残念ながら 、まだまだ情報提供者側、あるいはサービスの提供者側において、そういう取組みが遅 れているという現状であります。  また、「情報やサービスの提供に際して倫理規範やガイドラインの必要性があります か」という質問に対して、「是非必要である」というのが62%、「やや必要である」が 34%、合わせて96%が「必要である」という回答で、利用者側においては情報やサービ スの質を高めるためのガイドラインのようなものの必要性を認めていました。  以上が、この春にやらせていただいた調査なのですが、このような調査を毎年行いな がら、実際の医療情報の利用状況、あるいは提供者側における課題等を探っていってい ます。 スライド39:日本インターネット医療協議会は、医師、患者、弁護士、市民という、 さまざまな立場の人が参加している非営利の任意団体で1998年6月に発足しました。現 在NPO法人化を準備しており、来年の4月にはNPO法人に移行したいと思っていま す。こちらのアドレス(http://www.jima.or.jp)でその活動状況等を報告させていただ いております。主な活動内容としては、インターネット医療に関する研究調査活動を行 い、情報やサービスの質を高めるトラストプログラムというのを提案しています。また 、プライバシー保護の推進と、利用者側への啓発ということで、「医療情報利用の手引 き」というようなものを作成案内させていただいています。 スライド40:最後に、私どものほうで取り組んでいるトラストプログラムというもの を紹介したいと思います。先ほどのセルフレギュレーションというような考え方に立ち 、情報の提供者自ら、その質を高める工夫をしていこうということで、トラストプログ ラムを展開しているわけなのですが、その中の1つに、トラストマークというマークを 用意し、これをウェブサイトに掲示使用するというような仕組みを提供しています。 スライド41:これを付けるためには、まずセルフアセスメントという自己評価という ものを行っていただきます。コンテンツの製作方法とか、情報の提供対象者が誰である か、個人情報を扱っているかどうか、プライバシーポリシーがあるかどうか、営利的サ ービスを提供しているかどうか、スポンサーシップがあるかどうかといったような、ウ ェブサイトの運営ポリシーを開示していただきます。最初に自己評価があり、それを公 開していただくというところで、その内容が実際に合っているかどうかといった点を中 心に審査をさせていただきます。特に大きな問題はないという場合に、このマークを使 っていただいています。 スライド42:実際にこのマークをサイトに掲示していただいたときに、このマークを クリックすると、運営者の情報が表示されるようになっています。同時にサイトの真正 性というのでしょうか、偽物でないというような認証機能が働くようになっています。 10月現在44のサイトが、このマークを掲示しているところです。現在、このセルフアセ スメント情報を中心にやっているわけなのですが、実際の基準そのものは、先ほどのA MAのガイドラインとか、アメリカのその他のガイドラインに比べると、項目としては まだ弱いというような部分がありますので、改めて、基準の見直しを行っており、いま 新たなeヘルス倫理コードというようなものをまとめているところです。 スライド43:これは現在はまだドラフト段階なのですが、この10月5日から一般にも 公開し、パブリックコメントというような形で、外部からの意見を聞いて最終的にまと めていく予定です。来年の4月から本格運用に入っていきたいと思っています。内容的 には今後非常に広範な、インターネットを使った情報やサービス提供の、さまざまな展 開がされていくと思いますので、それを見越した上で、コンテンツだけではなくてコミ ュニケーション、あるいはコミニュティというのでしょうか、そのあり方、それから、 実際にネット上でケアに近いことをやる場合の基準、コマースの基準、プライバシー保 護。これらの5つの分野についての配慮すべきポイントをまとめてあります。 スライド44:これがそのドラフト(案)の内容で、インターネット上に公開させてい ただいております。現在、全部で119項目あります。 スライド45:その中の一部、コンテンツですが、見ていただくとおわかりのように、 かなり細かく基準を定めてあります。それぞれ、それなりの理由があって、理解いただ けるかと思うのですが、この辺を実際にやっていくのは大変かなという印象を、たぶん 持たれるのではないかと思っております。先ほど紹介させていただいたカナダの Canadian Health Network、あそこで1万2,000のリソースにリンクしている、そのとき の基準があったわけですが、あの辺の基準に比べるとほぼ同等なものと考えておりま す。ですので、改めてマークを付けたいので、難しいこのレベルに達するというよりも 、高めていけば自然にこういうものが必要になってくるというようなところが、取り上 げられているというものであります。 スライド46:最後にまとめとして、インターネット等を通じた医療情報の提供にあた っては、患者・市民がそれぞれの状況に応じて、必要なとき、必要とする情報に的確に アクセスできるような情報の提供法が望まれるのではないだろうかと考えます。公的主 体、私的主体ということで分けられましたが、公的主体、私的主体がそれぞれの立場を 生かしながら、相互を補完しあうような形で、有用性の高い情報が提供されていくこと が望まれるのではないかと思います。情報の質の確保に関しては、情報の提供者が自律 的に高めていきながら、外から客観的評価を受けることによって、さらに信頼性が担保 されていくような仕組みを機能させていく方法があるのではないかと思います。そして 、インターネットのような新規技術の利用に際しては、利用者の自己責任が原則となっ てくるわけですが、利用者の情報利用能力の多様性を踏まえて、専門家による情報支援 、あるいは、信頼できる情報データベースの構築を積極的に図っていくなどして、情報 利用の環境を総合的に整備していくことが、望まれるのではないだろうかと考える次第 であります。  以上です。 ○座長  どうもありがとうございました。それではこれまでのご説明も踏まえて議論を進めた いと思います。いま、お二方からご説明をいただきましたが、この内容についてご質問 、あるいはご意見等がありましたらまずお願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○中島委員  とても小さな質問ですが、市川参考人に伺います。  JAROが強制力がないから、5%はそれが及ばないというお話でしたが、例えばあ のときのお話に出た、かなりクレームが多いカイロプラクティックとか、整体ですね。 そういう場合に、強制力がないけれども、その5%に入る人たちに、どこまでどういう 順序で。 つまり、この団体そのものに何かアクセスして注意勧告を行うとか、何か順 番があるのでしょうか。  もう1つは、日弁連の広告に勝訴率は入れないことになっている。それは、2000年10 月だと、もうだいぶたちますが、勝訴率について全くみんなちゃんと言うことをきいて いる状況ですか?。もしきかなかったらどうするという罰則などが、自主的に決められ ているのか。もう1つが、アメリカの弁護士のものでは、勝訴率はたぶん入っているの ではないかと思うのですが、そこを、もしご存じでしたらお願いします。この3つです 。 ○市川参考人  まず、カイロプラクティックの場合、多い相談は、広告のように、効果があるのかな いのかというご相談です。実際に行ってクレームとして、全く効果がなかったとか、か えって悪くなったとか、そういうのではなくて、どちらかと言うと、効果はあるのでし ょうかというご相談が多いということです。  それから、まずお話したいのは、何かクレームがきたときにまず審査するのは、その 案件が法律に違反しているかいないか。これを調べるのですが、これは医療法と直接か かわってこない。だから、いま非常に隙間にあるもので、扱いとして非常に困っている 。私ども、どう答えていいかもわからないという、非常に困っているというのが現状で す。  法律には明記はない、だけど、業界団体があって、そこで自主基準みたいなものを決 めているのだったら、それに抵触しているのか、していないのか、抵触しているのだっ たら、それはやっばり駄目だよと言う。最終的にはJARO独自で判断して、それはや はり社会的、倫理的にみておかしいよという判断をしていくわけです。カイロの場合は そういうようなことで、問題があってすぐ、警告を出してやめさせなさいというような ケースではないかと思います。  拘束力そのものの話をしますと、民間の自主規制団体というのは、法律のようなもの ではないから、拘束力を基本的には持たないわけです。そうすると、例えばJAROの 場合はどうしているかと言うと、会員社950社の中に全国の新聞社と放送局、新聞社で 言うと約100社ぐらい、放送局で言うと100数十社。それと、主要な出版社は会員なので 、マスメディアでその広告を出している会社が、JAROが問題があるというのを出そ うとしても、実際は、JAROが駄目だと言っているものを、会員の新聞社が載せるこ とはないわけです。だから、それは実質上の拘束力になります。ただ、簡単に言うと、 会員社にお触れを回して、あそこの会社は載せるなとJAROが言ったら、これは、業 界団体が非会員を排除したというようなことで、独禁法違反になるのです。だから、お 話は各新聞社には連絡しますが、あくまでも形としては、各新聞社が独自の判断でその 掲載をとめたということになります。ということですから、強いて言うとそういう拘束 力というのは、私どもの場合にはある。ただ、先ほど言いました折込みとかインターネ ットだとかいうと、そういう意味の拘束力がなくなってしまう。そうすると、折込みで 出ているようないわゆる悪質商法みたいなものは、警察庁にお話するか、公正取引委員 会にお話するか。ダイエットで本当に問題がありそうだなと言ったらこちらにお願いす るか、ということしかできないかなと思っています。  日弁連の件は、私ども、最新の情報は知らないのですが、トラブルがあった場合はど うするか、2,000年の作った段階ではやはり、そのクレームを処理する機関を別途作ろ うということを、日弁連の中で決めています。実際にこれで発足してみて、やはりクレ ームが非常に多いぞということだったら作ってみよう。発足時にそれを明記した上で始 めているようです。実際にそれがいまどうなっているか、私はそこまで詳しいことは存 じ上げてないのですが、やはりコードを作って、入り口の所できちんと適正にしましょ うということと、事後にちゃんとチェックする機関というのは必要でしょうねという感 じ、それは原則だろうと私は思っています。  もう1つ、アメリカの勝訴率については、詳しいことは存じておりません。 ○福島委員  いまの三谷委員のご説明の中の、最初のアンケート調査及び結果のことで。前提を伺 えればいいのですが、ここにお話いただいた内容によると、回答者のうちの患者家族が 大体3割、医療関係者が大体7割ということになっています。アンケート結果が後ろの ほうに出ていますが、例えば、そういう分け方で集計してないかもしれませんが、患者 家族だけの集計をまとめた場合、これはおそらく合計した数字だろうと思うのですが、 もし患者家族だけのものを集計したとすれば、ここにいただいている調査結果が、かな り動いたかどうか。感覚的なものでも結構ですが、何かわかればお願いしたいと思いま す。 ○三谷委員  該当した回答者65名ということで、総人数が少ないものですから、この中の3割と言 っても非常に数は少ないので、詳細な、患者とそうでない医療関係者という分類はして おりません。そこまでのところは、この数ではちょっと出ないかなと思って、あえてや っていない次第です。もう少し数を増やしてやると、その辺の確かなところがつかめる かなと思っているので、また機会があれば、この調査を発展する形で、特に一般市民が どうなのかというところを、数を増やしてやってみたいなと思っております。 ○塚本委員  ただいまの質問に関連するのですが、インターネット医療協議会の中のコンテンツで すが、もし差し支えがなければ、医師、患者、弁護士、また市民の方の参加ですが、客 体としては今回の調査では190ですが、参加している総数がどのくらいかお聞かせ願えれ ば。 ○三谷委員  この190名が現在のメンバーです。 ○塚本委員  現在、フルメンバーという認識でよろしいわけですか。 ○三谷委員  はい。 ○塚本委員  もう1点はeトラストの件ですがNPO法人の日本技術者連盟でe−トラストという 部分が発足して、いま研究段階ですが、それとの関連というか、何か共通項とか、情報 の交換があったかどうかお聞かせ願いたいと思います。 ○三谷委員  トラストeはプライバシーについての基準かと思いますが、関心は持っております。 トラストeの仕組み自身もいろいろ示唆される部分がありますので、日本でプライバシ ー部門についてのプログラムを展開していくということで、協力というか、そういうも のがあるかなと思っています。まだ直接プログラムには関与していませんが、先ほどご 紹介したアメリカのURACというところが、トラストeと組んでやっている例があり ます。特にプライバシーについては非常に内容が深い、難しい部分がある、それを同じ レベルで評価しにくいということで、そこについては別途、特別なプログラムを考えて いこうかと思っています。ですから、eヘルス倫理コードの中では、そういうプライバ シーの分野については、トラストe、あるいは国内でもPマークとかそういうものがあ るので、特定に決める必要はありませんが、そういう連携が考えられるかなと思います 。 ○座長  いまの話は、ちょっと先へ行くかもしれないですが、電子商取引のときには、そのプ ライバシー保護ということの議論の、まあ、初期の段階が、かなりクローズアップされ たことがあって。もう5年ぐらい前なんですが、当時の議論だと、OECDの8原則か らずうっときて、そこは同じなんですが、結局、前に申し上げたことがあるかもしれま せんが、社会的に信頼を失うと大変な人たちにとっては、自主規制は非常にうまく働く が、そうでない人にとっては、自主規制はなんの役にも立たないという整理がまずあっ て、社会的に信頼を失うと大変だから、その人たちがちゃんとやっているということを 広く知ってもらうために、プライバシーマークのようなものができた。したがってこれ をJISで自主規制の範囲に入っている。こういう整理でしたね。私がちょっとわから なかったのは、医療界というのは、そんなのがいまさら要るのだろうか。信頼されてい るのではないかという気も少しはします。しかしそれはさまざまな考えがあって、たぶ んトラストeの話も出るしいろいろあるので、それについてどうこう言うつもりは全く ないのですが、基本的にそういうところの話があって、今日お話を伺っていると、かな り似たものがあるなという気がしました。これは私の勝手な感想なんですが、ほかにい かがでしょうか。 ○櫻井委員  インターネットの情報を広告とみなすかどうかは、見る人が広告だと思えば広告だと いうようなお話でした。その辺のこと、もう少しご意見を。どちらかと言うと医療法絡 みの問題では、インターネットに出ているのは広告ではないというような、一応そうい う考えでいま進んできているわけです。それが広告だとすると、現状では医療法で医療 に関する広告を禁止しているから、相当大きな問題に引っかかってきてしまうのですが 、その辺のことで、もう一度ご意見をお願いします。 ○市川参考人  厚生労働省がインターネットが普及し始めたときに、インターネットのホームページ は医療法上の広告ではないという見解を出したのは、各省庁に比べて非常に早かったで すね。それはいろいろ考え方があるのですが、広告の定義は何かという問題も出てきま す。消費者に選択するための情報を提供する。それは、媒体費を払ってということが、 いままでの定義の中に必ず入っていた。例えば新聞社にお金を払って載せる。これはア メリカの広告業、広告会社、マーケティング会社の定義が日本にも入ってきて、そうい う定義になっているのです「媒体費を伴う」ということ。インターネットの場合は媒体 費は伴わないから、その定義からすると、外れているということになるのだと思います 。それが学問としてどちらかというのは、また別の話だろうと思います。医療法上は広 告ではないという話。ただ、景品表示法上は広告表示。景品表示法上では、広告という 言葉は使っていませんが、表示と言っている。その表示の対象にはなるのだろうなと思 います。そのほか特定商取引法とか、そういうものの広告規制の中に、インターネット とか携帯のサイトとか、みんな入ってくるので、広告と言っている行政機関のほうが多 いのかなと思います。じゃあJAROの場合、インターネットのホームページ用の医療 情報について、JAROに何かきたよというときに、じゃあ、どうみるのだろう。先ほ ど、いままで例がないと言いましたが、JAROの場合まず、法律で見てそれがどうな のかという解釈をしますから、そうすると、ここだけは別なのかなということになって きてしまうのです。私どもがまず優先するのは、法律でどう判断すべきかということに なると、この医療情報だけは別ですねという話になってしまうのですが、実際に消費者 がそれで何かトラブルを起こしているというときは、私どもはちょっと悩むだろうなと 思いますね。いま、どちらか結論を出せと言われても大変困るのですが、まず優先する のは法律だということになるだろうと思います。 ○座長  いまの櫻井委員のご指摘は考えるべきことが多くあるとは思うのですが、ここで解釈 論をやるとしても、というか、本来この委員会はそういう場ではないのかな。それが1 点と、やはり人間が作っているルールなので、いま、ベストな方向、より良い方向は何 かという下で議論してよろしいのではないかと私は思っています。たしかこの委員会を 立ち上げるときにその議論というか、整理をご説明いただいた記憶があります。もし必 要であればもう1回お聞きすることになりますが、JAROさんなどは、より消費者あ るいは、それによって被害を受ける可能性を減らすために、そういう解釈をしているの ですよね。医療の場合はいままでずうっと逆だったので、いま出すことが非常に、国民 にとって利益が大きくなる、医療機関にとってもいいことだという解釈の下で、こうい うふうに進んでいるのだと思うのです。この前提が狂うと、もともとこういうのはやら ないほうがいいという話になってしまうのかなという気もしますが、その辺のところは 、もし皆さん方のご意見、あるいはご異論がなければ、そのような形で進めさせていた だきたいと思います。  法制局の解釈は終わっているのですよね。ということはあまり、そこは解釈上の問題 は、たぶん生じていないのだろうと思いますが、広告という言葉は、全部一律に使うの がよくないのかもしれなくなりますね。本来、法律を改正しろという話、どちらを改正 するのかはわからないけど。そういうこともあるのかもしれませんが、言葉は、時代と ともに変わりますからね。 ○中島委員  でも、ここのところがわからないとちょっと。 ○座長  確かにそうですね。バナー広告なんて、どう考えたってあれは広告と言っていますよ ね、勝手な言葉かもしれないけれど。  いまのお二方に対するご意見等も、まだありましたら続けていただいて結構ですが、 今日の本来の趣旨は、医療における情報の信頼性の確保という形になっています。この 辺についても、もう一歩先へ進めて議論させていただければと思います。ここからは自 由に発言させていただきたいと思いますので、皆さん方もし、ご意見等がありましたら お手を挙げていただければと思います。いかがでしょうか。 ○松山委員  質問で恐縮ですが、市川参考人、教えてください。  マスコミと健康食品の広告との関係です。私は毎日家に帰る途中に夕刊紙を買ってな がめているのですが、その中には毎日、不自然なぐらいに健康食品の広告が出ているの です。それが通常の広告であれば問題はないのですが、ある雑誌によると、それは、そ の夕刊紙がそれによって売れた金額の何十パーセントかのキックバックを貰っていると いうふうに出ていたことがあります。それが事実だとすると、この国民の関心の高い健 康食品に関する医療情報の信頼性というのが、結構問題になるのではないかと思うので すが、JAROのほうで、この問題が何か具体的に上がったことはあるのでしょうか。 逆にマスコミのほうで何か自主規制みたいなものがあるのかどうか。 ○市川参考人  まず、いわゆる健康食品の広告に関してのクレームとか相談、非常に多いです。ここ のところ特に多いです。それでJAROとして、そういう当該者に是正を求める、中止 を求めるということもいちばん、委員会にかかったケースとしては多いです。現実にそ れは多いと思います。何年か1回、波のように出てきますね。数年前は一時期、ちょっ と鎮火したと思いますが、また出てきていると思います。  夕刊紙に健康食品の広告が載っているというのは、いま言いましたように、健康食品 の広告の場合、問題なのは景品表示法上の、不当な表示になっていないか、もう1つは 薬事法上の、効能効果を標榜していないか。この2点がいちばん大きな問題だろうと思 うのです。その夕刊紙に載っているいわゆる健康食品の広告が、この2点に明らかに違 反しているのか、していないのか、私も見てみないとわからないのですが、明らかに薬 効表示みたいにしてあれば、これは違反だと思います。少なくとも夕刊紙、いま夕刊紙 と言っていられるのは、タブロイド版の夕刊紙だと思うのです、いま2社しかありませ んので、少なくともそこはそれほど、あまりおかしいものは出していないだろうなあと 、通念的にはそういうふうに思います。  それと、媒体費の話が出ましたが、そこで売れた商品の量によって媒体費が変わると いう話は、私、30年近くいますが、あまり聞いたことがないです。それはないですね。 ありません。 ○深井委員  私、広告代理店におりますが、その辺、媒体自身がそういう形を取るのは、おそらく 、ちゃんとした新聞社、雑誌社、テレビ局、ラジオ局にはないと思います。ただ広告代 理店が最近クライアントのほうから、例えば売上げに応じて、ある一定以上までいった 場合には、インセンティブが入るよと。つまり、例えば媒体料が本来は1,000万円なん だけれど、たくさん売れたら最大2,000万円まで払うよ、逆にあまり売れなかった場合 には、広告代理店の利益はなしで、700万円しか払わないよというようなことを要請す る企業が、特に外資系などに多いのです。広告代理店によってはそれを受けている所が あります。電通は受けていませんが、かなり大手の広告代理店が受けているケースがあ るので、そういう可能性を、メディアサイドがやるのではなくて、広告代理店サイドが 受けているということは十分あり得ると思います。 ○櫻井委員  この情報に関する委員会からちょっと外れてしまうかもしれません。話が出たことと 、自分がちょっと関係したことがあるので申し上げたいのですが、私は、おおもとは薬 事法の規制緩和の問題があると思っているのです。2、3年前にあった委員会のことで す。私も知らなかったのですが、薬事法で規制されているものは医薬品で、それから外 れると食品になってしまうのです。食品と薬品の区分の検討委員会というのがあって、 薬事法の規制を緩和して、サプリメントの部分を増やしたというか、薬から外したわけ です。私はその弊害だと思っています。簡単に言うと、昭和46年に「46通知」という 薬事法に関する、ある意味では相当厳しい規制通知が出ていまして、いろいろあるので すが、わかりやすい例を言うと、錠剤とかカプセルとか形体で薬品を定義していたので す。カプセル・錠剤は薬品である。だから、その形をしていたら、これは薬品で食品で はないと。だけど、それはおかしいという理論で規制を外しました。それにも一理ある のでしょうが、外したために、いま錠剤・カプセルの食品が出回っている、それが問題 なのです。このあいだの中国製のやせ薬と称するサプリメントも、あれはカプセルなん です。カプセルだから、もし昔の法律ならあれは薬品としてしか入りようがないわけで す。そうするとすぐ、薬品としてどうだという調査に入れるはずなんですが、食品だか らそこが難しくて、成分的に違反があるかどうかなどで調べるしかなかったということ で、私は、安易な規制緩和が国民に健康被害を与えた例として考えています。  話が飛んですみませんが、現在の小泉内閣の特区構想についてのヒアリングで、これ を1つの例に挙げて、安易な健康に関する規制緩和は困るということで申し上げたわけ です。これはインターネットの情報とは関係ないのですが、おおもとはそこにあって、 それでいまサプリメントはものすごく儲かっているというか、売上げを増やして、広告 も我々から見たら相当おかしなものが出ています。大体、食品なのに、食後にのめと書 いてあるのはどういうわけだろうという気もする。のんだらまた食後になってしまうか ら絶えずのんでいなければならないのかなというようなのも、平気でやっているわけで すから。私はそのおおもとに不満なのです。私はその委員会で一生懸命、46通知を守れ と主張したのですが、ついにやられて、やられたと言うか、これは日本の総理大臣がア メリカへ行って、向こうの大統領に尻尾振って、全部オーケーしてきたことだからどう しようもないのですが。 ○座長  議事録削除したほうがいいですか。 ○櫻井委員  載せてもらって結構です。私は公で言っていますから。前の委員会でも申し上げまし た。こんな委員会を開くのだったら、アメリカで決めてもらったらいいだろうとはっき り言いました。本当に不満でした。日本は独立国かと思いましたよ。 ○座長  でも、いまの件はわかるのですが、最近問題になっていたいろいろなやせ薬がありま すよね。あれ、メディアの力もあってかなり知れ渡ったと思うのですが、私実は今朝シ ンガポールから帰って来て、きのうの捜してみたのです。やはりなくなっていましたね 。だから、そういう面もあるのかなという気はしましたが。あれでまだあったら、シン ガポールに伝えなければいけないなとか思いましたが。  やはりそのインターネットの話、先ほど三谷委員から話がありましたが、自己責任の 原則というのはいいのだけど、一体どこまで責任を取れるのか、あるいは、どこまで要 求できるのか。当然のことですが、知識は偏在化しているわけです。消費者のほうが絶 対、知識が足りないのは当たり前、そうでなかったらプロフェッショナルの人なんかい らないわけです。だから、そこをうまく考えていかなければいけない。原則は原則だけ ど、どうするのかということと両方ないと、結局はうまく機能しないということになる のではないかという気はします。 ○坂本委員  今日のテーマは「医療における情報の信頼性の確保」ということですが、私はまず、 この信頼性というのは誰にとっての信頼性なのかということを思いました。いまお二人 のご説明などから広告の実態とか、インターネット医療協議会の運用方法とか、医療情 報はどういう提供をするのが望ましいというまとめなどを伺って、枠組的にはインター ネット医療協議会でお考えになっているような、そういうきちっとした情報、信頼性を つくっていくと言うか、機能をきちんとしていくというのは非常に、私はそういうふう にやっていただきたいと思います。7頁のアンケート結果の中でも、「情報の内容は十 分でしたか」。情報の信頼性ということは、情報の内容とかそういうものが、実に質が 的確で、患者にとってというか、利用する人にとって信頼があるということと解釈する と、本当に人数が少ないということで、かなり不足だったのが「医師に関する情報」、 「一般診療所に関する情報」、「病気、予防、健康管理に関する情報」というふうに。 数が少ないからこれが本当に全体に言えるかどうかとか、医療関係者の対象がそうで、 一般がどうかということにはちょっと問題があると思うのですが、ここまで「不十分だ った」という意見が多く出ているということは、ここをもっと、情報の信頼性に向かっ ていくためには、患者のニーズがどこにあるのかということを、もっと的確な形で分析 するなり、明確な形で私どもが双方向でやっていかないと。枠組を作るということもす ごく大事なことだと思いますが、私、一方的にいろいろな状況を見ていて、いまの状況 をより良くするための方策とか施策はいろいろ取られていると思うのですが、患者にと って何が必要かとか、患者が求めているのは一体どういうことなのかということの、追 求というか、分析というか、私はそこがすべての出発点だと思っているのです。  前回も東京都の医療情報、病院情報が出るとか、今後、情報が非常に多くなっていく 現状だから、より信頼できる情報に到達するには、患者のニーズがどこにあるのか、本 当にそれが患者にとって必要なのかということが検討されないと、情報の質が患者の信 頼につながるというには、ちょっと弱いのではないかなということで、私は情報提供す る枠組、たぶんこの検討委員会はまずそこから入っていると思うのですが、枠を作って いくと同時に、その中身の確保というのか、そこがベースとしてないと、なんか。その 枠組だけが先にどんどんできてしまって、あとで、患者のニーズは一体どうだったのか というようなところが、必ず出てくると思うのです。  患者にとって使いやすいとか、かなり不足だったとか、そういう意見というのは、何 が不足だったのか、何がほしいのか、そういうところをもう少し検討できるというか、 そこをやらないと、せっかくの委員会がどういうことになるのかなと、ちょっと危惧し ているのでその辺を、毎回申し上げているような気がするのですが、そこにいく議論に なっていないような気がします。是非その辺を取り上げてほしいと思っております。 ○座長  何かいまのことについてありませんか。 ○中島委員  いまのことの補足になるかならないかわからないのですが、私が三谷委員の先ほどの 表、非常に面白く拝見したのは、いまおっしゃった、病院について、かなり不足であっ たということと、医師について、かなり不足であったということ。見ていてこれが対照 的でしたよね。それで、あのときにひょっと思い出したのは、このあいだの日本病院学 会で、日本の患者さんは、病院について、どこがいいかということはものすごく知りた がるが、ドクターは誰かという質問はほとんどないという話が出たことでした。そうい うことがありましたので、いまお調べになっているものも、やはり患者側の気持もちゃ んと出ていたお答えだなと。お話はちょっと違ってきますが、患者側にとってどういう 調べ方だったかということについて、とても面白い答えが出ていたなと思いながら先ほ ど拝見していました。 ○三谷委員  まさにおっしゃるとおりかと思うのですが、先ほど紹介させていただいたウィスコン シン州のサイトに、非常に印象的な言葉があります。それは、このConsumer Guide to Health Careというページを作っている目的というのが、州民が有益な情報に容易にア クセスすることによってBetter Health Care Choice、すなわち、「より良い医療の選 択」というのでしょうか、コンシューマーがHealth Care Choiceをするのを支援するの が目的となり、州のこういうサイトができているということなんですね。そのBetter Health Care Choiceをするために何が必要かというときに出てくるのが、医療機関に関 する情報で、そこにはドクターの情報も入ってくる。ドクターに関する情報があって医 療機関があって、なおかつ、向こうの場合は医療制度が違うのですが、保険会社である ヘルスプランに関する情報も提供されているというわけです。要するに利用者が、コン シューマーの立場で選択をするときに必要な情報を行政が提供していくという、そうい う枠組ができているのです。  これはやはりヒントになるかなと思ったのですが、これ自身がウィスコンシン州の州 法によって規定されているということです。法律で、州政府がそういうことをやりなさ いということを規定している。それを受けて州政府の中に、先ほどのDepartment Health and Family Serviceというのができているのですが、その中にさらにBureau of Health Informationという医療情報のビューロー(部局)ができている。そこがどういうことを やっているかと言うと、まさにいま言われたような、さまざまな組織がそこに関与して いっている。まずは、Consumer focus groupという消費者の代表が入っている。また Consumer Health Informaticsというような学問があって、それの専門家も入っている 。あらゆる立場の人が入っていて、行政がそういう情報提供をしていく仕組みを促して いるという、このかたちではないかと思うのです。  ですから、コンシューマーに提供する情報というのは、限られた情報ではなくて、そ れに関して全部である、というような考え方が出てくるのではないかと思うのです。た だ残念ながら、すべての州がこれではなくて、こういう取組みをしている所もあるとい うことで、州によってはここまでいっていない所もあるのですが、たまたま1例として 、こういう所があったということです。今後日本で考える場合は、一律でなくてもいい と思うのですが、自治体によって、こういうことをやっていこうという動きがあってい いのではないか。そのときは必ずコンシューマーが関与していく。そういう仕組みが必 要ではないかなと思います。 ○中島委員  とても面白かったです。 ○松山委員  いまの三谷さんのお話の続きになると思うのですが、以前私が報告させていただいた ときに、たしかアメリカの場合、人口2億8,000万人のうち、常にインターネットを通 じて医療情報を見ている人が大体7,000万人ぐらいいる。それで、いま三谷さんがおっ しゃったように、州政府が一般の医療情報に加えて、病院や個々の医師の評価情報を出 しているわけですが、例えばバージニア州の医療事業体であるSENTARAという所 に聞いたら、病気に関する情報は確かに地域住民もインターネットで見ているけれど、 自分たちに所属している2,200名の医師については、意外にもインターネットではあま り見ていない。その情報は州から出ている。なぜ見ていないのかと聞いたら、それは、 この地域医療ネットワークに所属している2,200名の医師には、レベルチェックが入っ ていて、診療科別の同じグループごとに、医者同士で相互牽制している仕組みがある。 その仕組みに対する信用が高くて、地域住民から見れば、専門家がチェックしてグルー プをつくっているわけだから、それを信用してその先生の所に安心して行くという仕組 みになっているのです。  日本に欠けているのは何かというと、地域の医療圏で、専門家の先生方が相互牽制す るような仕組みだと思うのです。それは、お互いに評価しあうというのではなくて、切 磋琢磨するような仕組みがあれば、それをみんなが信用していって、そこから出てくる 情報には信頼性が高まるということだと思うのですが、それが日本はまだ、努力が足り ないのではないかというのが私の印象です。 ○福島委員  この検討会の進め方の問題でもあるのですが、いまも、消費者のニーズがどういうと ころにあるかということを調べるとか、いろいろ具体的な意見が出ていました。今日で 4回目の勉強会というか検討会で全体的なものの考え方をいろいろ、専門家の意見を聞 きながら勉強しているということですが、取りまとめまでの時間が非常に限られている というふうにも、冒頭に聞いておりましたので、なるべく早く具体的な論議に入れば、 その中からまた必要があれば、広い原則論の論議に帰ることもできるわけです。従って 、こういう具体的な項目を挙げれば、それが患者のニーズかどうかという、そういう検 討がしやすいと思いますので、できれば、今後への希望でもあるのですが、日程との関 係で、そろそろ具体論に進めたらどうかと思います。 ○座長  その辺については。 ○深井委員  いまのことに関連してですが、例えばあと3回とした場合に、最終的なアウトプット のイメージ、中身ではなくて項目だけでも、ある叩き台を作っていただけるとかなり。 ○座長  あとで説明しようと思っていたのですが、予定では次回、その辺のことを出すことに なっています。 ○深井委員  そうですか。わかりました。ちょっと議論が拡散するような気がしますので。 ○座長  そこについても私の仕切りが悪いのは重々承知してお詫び申し上げますが、事務方の ほうから今日の最後のほうで少しお話をさせていただきます。やはりこういう研究会で すから、基本的には官と民の役割分担ということが一般的にはあって、官と言っても医 療行政の場合には、厚生労働省のみならず医療機関という大事な所もありますので、そ ういった所とどういう連携をしていくのか、それによってより良い方向に進むにはどう するか。たぶんそういう枠のお話を申し上げることになると思います。あまり私がここ で申し上げる話ではないので。あとで事務局側から説明をいただきますが、石原委員の 手が挙がっていますので、石原委員のほうから。 ○石原委員  坂本委員が先ほどおっしゃられた患者さんの本当のニーズは何かということは、やは り非常に大事なポイントだろうと思います。そこで、先ほど座長がおっしゃられたIT 化を進めるにあたってということで、少し逸脱するのですが、常に、IT化を進めるに あたって、それのみがいいという発想ではなく、いまの日本の医療が世界的に見て、ど ういうふうに立場しているかということも踏まえつつ、広報というか周知していかなけ れば。IT化していない医療機関は遅れているのだとか、どうしても、患者さんに医療 情報を提供すればそれで良しというふうに偏りがちになってしまうので、やはり、いま の日本の医療機関の良い所を見ていくべきだろうと思うのです。  そうすると、いま三谷先生がおっしゃったのでしょうか、前回松山先生もおっしゃら れたアメリカの例、アメリカの例というのはどうしても、良くも悪くも日本の参考にな るわけで、アメリカの州政府がこれだけ医療情報を流しているということを、良い先例 のようについ捉えがちなのですが、そうではないのですね。実際にはご承知のとおり、 アメリカは医療を民間医療保険機関に全部丸投げしていて、絶対額で日本の5倍のコス トをかけているわけです。アメリカ医師会のホームページに明記されておりますが、ア メリカの医療で、インターネットがどうしてこれだけ使われるようになったか、あるい は、ドクターズ・フィジシャンの紹介であるとか、オンラインのコンサルテーションが あるかと言うと、アメリカでは、日本の医療機関にかかるときの約10倍ぐらいのコスト がかかる。そうすると多くのアメリカ人が、医療機関にコスト的にも、そして大陸が広 いですから、時間的にもかかれないという現実が非常に発生する。それをそのまま放置 できないので、アメリカ医師会もこういこういうふうに25ドルで安い、バーチャルな医 療機関にかかることもできますよという、ある意味のガス抜き、イクスキューズをする わけです。州政府も当然放置するわけにいかないから、こういう形で情報は十分、たっ ぷり出していますよ。これがいまのアメリカのやり方です。  そういうことを考えると、いまいらっしゃる厚労省の大先輩たちや医師会の先輩たち が、営々と築き上げてきたこの低コストで、そこそこのレベルの日本の医療制度の良さ は、やはり、保つ方向でこの議論を進めなければいけないと思うのです。  そこのところをつい見失いがちになるので、今一度、ちょっとご確認いただきたいと 思い発言しました。 ○座長  そこはいろいろなご意見があるだろうと思いますが、1つだけ私のほうから、皆さん に是非お考えいただきたいことがあるので申し上げます。  こういう形でインターネットによる広告云々という議論がありますが、これはあくま でも国内法なのです。インターネットは、国内なんて言ってももう駄目なんです。下手 に縛れば海外へ出る。そのときどうするかというと、一般的には「違法有害コンテンツ に対する対応」というのがいままで取られていて、違法は、あくまでも国内のプロバイ ダーというか、国内にサイトがある場合で、それに対しては当然、違法だから対処でき る。ところが海外については、そちらの国で合法な場合には違法にならない。これがい まの常識になっている。それで、国内ではそれを「有害」として扱う。  有害に対してどうするかというと、やはり自主的な規制しかあり得なくて。自主的な 規制というのは、利用者側が自分で有害なものは排除するというやり方を取りました。 そのためにコンテンツによってはレーティングと呼ばれているもの、映画で、映倫がつ けたPGとかPGサーティーンとかいろいろありますよね、R指定とか。あれと同じよ うなものをつけて、自分の受けるほうのコンピューターでフィルターをかけて、ある程 度以上のものは排除する。というやり方をいままで推奨してきたわけです。  現実のその自主的な有効策は、いま、それ以外この分野にはありません。もっとすご いのが出てくればまた別ですが、いまのところ、それ以外見つかっていない。私は医療 の世界の話も、この委員会の話の中で海外、いまはまだないかもしれないけれど、せっ かくこういう議論をするのであれば、そこのところも踏まえておかないと。また、その 話は逆にすると、より良いものに対して先ほどのプライバシー・ワークではないけれど 、そういうのがあり得るのかということも、ちょっと考えておく必要があるのかなと思 います。  逆に言えば、ある程度以上でなければ私は見ません、あるいは、信用しませんという のを、まあ、ツールを提供するということになるかもしれませんが、ちょっとここはま だ全然、私自身も頭の中整理していないのでわかりませんが、他の例ではこういうのが あるということ。それから、海外ということがあると、必ず日本の中の法律だけでは議 論はできないということもあるわけです。だから、ここのところはあまりこの中で、い ままでは議論されていないので、ちょっとと思って。どうぞ。 ○渡辺委員  石原先生の意見にも関連して伺います。いま日本国民でインターネットを利用してい るのがせいぜい50%、高齢者にいたっては10%だという話が、いつかここで出たことが あるのですが、そうすると、良質な医療情報を患者に提供するには、インターネットだ けでは逆に不十分なわけですね。 ○座長  そうです。 ○渡辺委員  他の媒体、あるいは他の方法が当然必要わけです。そうすると、大体ここに出ていま すが、聞いていると、インターネットだけですべてのことをやろうとしているのか。こ れは厚労省に伺いたいことですが、ほかのことも含めて言えば、相当、情報の内容も違 ってくると思うのです。例えば第1回の資料で配られましたが、まさに先ほどの坂本委 員の話ではないけれど、患者がいちばん知りたがって、かつ、情報の目的は、医療機関 を選ぶための手段でしょう。患者は「所在地が知りたい」というのがいちばん多かった 、あるいは「診療科を知りたい」、その次に多かったのは、例えば「医師や職員の接遇 態度を知りたい」みたいなもの。それで選ぶというのが、例えばこの第1回目の資料に よると非常に多かったわけです、しかし例えば救急と慢性の老人みたいなところで、ま た違った情報を欲しがる。救急だったら極端に言えば、選ぶ手段として言えば、医師が どんなに態度が悪くても腕がよければいいわけです。あるいは満性の老人病症だったら 逆かもしれない。そういう本当に患者が欲しがっている情報というのは、やはり診療科 によっても違うし、それをどういう手段で出すかということを、本当ならばやらなけれ ばいけないけれど、これはあくまでも情報提供、ワン・オブ・ゼンでしょう。  厚労省に伺いたいと言ったのは、じゃあ、ほかはどう考えているのかということも含 めて。基本的なことに戻ってしまうかもしれませんが、それは質問と同時に意見です。 ○総務課長  確かにここの検討会では、主にインターネットを使った医療情報の提供のあり方、内 容、信頼性の確保等々についてのご議論を願いしています。ただ、確かにおっしゃっる ように、各方面への情報提供の仕方としてインターネットというのは、かなり有効では あるけれど、それがすべてかと言ったらすべてではない。既存の情報提供ルートという のはある。端的に言ったら、紙を使ったようなものなどは当然あるだろうと思っていま す。それはそれで現在、例えばいろいろな公的機関、都道府県等々が、医療情報の提供 をしておられるから、これはこれとして当然進めていかなければならないだろうと思っ ていますが、ここでお願いした趣旨自体、やはりこういうような、まさに急速に最近普 及してきたインターネットを通じた医療情報というのが、やはり、新しいということと 、かなり有効だということ、そういう点からそのあり方、先ほどのお話だと、提供され る情報はどういう内容がふさわしいか、もしくはその仕組み、枠組みがふさわしいか。 新しい情報提供手段だからこそ、そこをきちんとご議論していただく必要があるのでは ないかということで、ここをお願いしたわけです。そういう点では確かにいまの「これ だけではない」というお話は当然のことながらありますし、それはそれでまた、どうい うような手段、内容が適切なのかという議論、違う情報提供手段のときにどうなのかと いう議論がありますが、まずこちらでお願いしたのは、いまのインターネットを使った 場合にどうかということを、いわば、違う手段のときはどうなのかという議論も睨みな がら、こちらでもご議論していただきたい。そんなつもりでお願いしているところでご ざいます。 ○座長  渡辺委員、いまのでいいですか。 ○渡辺委員  はい、結構です。 ○御手洗委員  先ほどの石原先生のお話ですが、私ちょっと異論があります。やはり、制度の問題と 情報の問題とは違うのではないか。制度的にアメリカがどうだから、情報がこういうふ うに進んでいる、故に日本も同じようにできないよということですが、私はちょっと違 いまして、情報があそこまで開示できているということは非常に素晴らしいことだろう 。それに対して日本のいまの現状を考えるとどうかということを考えた場合、もっと進 めなければいけないだろう。やはり、1つの目標はそこだというふうに捉えて考えてい くべきではないかと思っています。  そういう観点から、信頼される情報、客観的な情報というのは、このあいだの表等を 見ると公共団体とか、WAMですか、そういう所から出したらどうかというふうになっ ていたのですが、前回見せていただいた内容だと、一般の患者から見て、本当にわかり やすい内容なのか、これで十分なのかという、そこのチェックが十分されていかないの ではないか、そういうところをどうしていくのか、非常に重要な問題だと思っています 。  もう1つは、客観的でない情報についてはいろいろな評価機関等を使って、複数に評 価していくことが大事だろうと思っているのですが、そのときには、病院、まあ、治療 成績とか技術とか、そういうものの評価という問題と、情報そのものの評価という問題 があるだろうと思うのですが、そういうのを含めて、これらについてはやはり複数の第 三者機関で評価、評価と言いますか、見ていくという、そんなことが必要なのではない かと思っております。 ○河北委員  日本医療機能評価機構で9月1日から、同意をした認定病院の報告書の内容をウェブ サイトで出し始めたのですが、これは一般論で言われていることと全く同じように、そ こに対するアクセスは医療機関同士が圧倒的に多いです。その次が、かなり下がってジ ャーナリズムの人たち等だろうと思います。患者さんはもっと少ないということが現実 にあるようです。次回必要でしたら数字を持ってきます。  第三者が評価するということには限界があるということを、我々はいつも感じていま す。我々が病院を評価認定をしても、例えば医療事故は起きてしまう。ですから、第三 者の評価というのは「この評価項目」、「この範囲で評価をした」ということしか言え ないという限界があります。  もう1つは、医療に関して患者さんというのはかなり個別性があるということなので 、やはり患者さんは自分のことは自分でやる。自分に合った情報と相手を捜すこと、こ れは自分でやるということなんだろうと思います。その情報のシステムをどういうふう に作るかということなんだろうと思いますが。 ○松山委員  この委員会の原点に立ち返って、インターネット等による医療情報をなぜ研究するか というと、それは、インターネットによって最新の医療情報が無料で提供されるからだ と思うのです。それによって国民に対するインパクトが大きいので、それがどうあるべ きかということを議論している。  なぜ日米比較をするかというと、これは1点大きな問題があって、アメリカには評価 情報がたくさんあるわけです。日本にはそれが不足している。日本にどういう医療情報 が足りないかということを見るために、アメリカの事例を出しているのだと思うのです 。そのとおりやらなければいけないということはないのですが、参考にはなるという意 味です。  先ほど、アメリカの医療制度は民間に丸投げというお話だったのですが、それは例え ば、国民医療費全体の中で税金投入額はどちらが大きいかと言うと、アメリカは45%ぐ らいで、日本は35%ぐらいです。公費の投入額ではアメリカのほうが上だという事実は あると思います。 ○菊池委員  この検討会で、インターネットによる医療情報の提供を中心に話しているということ については、私はこれはこれでいいのかなと思うのです。それは患者や家族に医療情報 をもっともっと提供していかなければいけないと基本的に思っていますが、その手段と して、先ほど松山委員がおっしゃったように、インターネットというのはその情報の量 、新しさ、コストの面で、また、患者・家族にとっては、物理的にも空間的にも非常に メリットの多い手段だと思うのです。このインターネットによる医療情報というのを中 心に考えて、確かにインターネットにアクセスできない人たちはいるので、その人たち のためには別途、その中からその媒体に合ったものをまた確保し直して提供するという 、そういう考え方で整理すればいいのではないかと思っています。 ○座長  ありがとうございます。まだご意見があるかもしれませんが、4時の定刻を少し超え 始めましたので、ご意見等がおありの方は、また事務局のほうへお投げいただけますで しょうか。私のほうと事務局とで、これから説明をいただきますが、次回までにさまざ まな作業をやらせていただきたいと思っております。それではここで事務局側から次回 の日程等について、連絡をお願いしたいと思います。 ○総務課長  先ほどもここで何人かの委員からお話がありました、これまで4回にわたって、今日 みたいなヒアリングも含めて議論してきていただいたわけですが、事務局のほうでこれ までの議論を整理するとともに、座長ともご相談させていただいて、論点みたいなもの を出させていただいて、それを叩き台にして具体的な議論をしていただくほうが、最終 報告書の取りまとめのイメージにもつながるような議論になるのかなと思っております ので、もしご了承いただければ次回あたりにこれまでのご議論を事務局なりに十分こな して整理させていただいて、そういうものを出させていただきたい。それを踏まえてあ と何回かご議論お願いできればと思っています。座長のご指示のもとに、論点整理みた いな紙を出させていただければどうかという提案でございます。 ○座長  いかがでしょうか。ご了承いただけますでしょうか。                (異議なしの声あり) ○座長  ありがとうございます。それではこちらでできるだけ努力をしてみますので、次回ま でお待ちいただければと思います。では次回の日程を説明してください。 ○総務課長  次回は11月13日(水)の午後2時からということでお願いしたいと思います。会場は 経済産業省の1111会議室を予定しておりますが、これはまたちゃんとご案内させていた だきます。ご多忙中恐縮ですが、日程を確保していただければと思っております。よろ しくお願いします。 ○座長  次回は11月13日(水)の午後2時から、経済産業省別館1111会議室ということです。 これで本日は閉会いたします。お忙しいところ、長時間にわたってありがとうございま した。 照会先 医政局総務課 竹林(内2516)