02/10/07 第15回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録      第15回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 1 日時  平成14年10月7日(月)14:00〜14:40                      2 場所  経済産業省別館1111号会議室 3 出席者 [委員]  奥平委員、勝委員、吉川委員、齋藤委員、            桜井委員、笹川委員、佐藤委員、田勢委員、            都村委員、中山委員、野澤委員、長谷川委員、            堀越委員、山路委員       [事務局] 奥田勤労者生活部長、蒲原勤労者生活課長 4 議題  勤労者退職金共済機構の平成13事業年度決算の報告等について 5 議事内容 ○齋藤部会長  ただいまより第15回中小企業退職金共済部会を始めます。本日は辻村委員が欠席で す。  最初に8月21日付で委員の交代がありましたので御紹介いたします。菅野委員に代 わり田勢委員が任命されました。また、8月30日付で厚生労働省の人事異動により、 勤労者生活課長が交代いたしましたので御紹介いたします。  それでは議事に入ります。本日の議題は「勤労者退職金共済機構の平成13年事業年 度決算の報告等について」です。事務局から説明をお願いいたします。 ○蒲原勤労者生活課長  資料1から資料4まであり、これを基に主として平成13年度の決算の状況について 説明いたします。  最初に資料1についてですが、1頁に「一般の中小企業退職金共済制度の現況」があ ります。一番目に「加入状況」ということで、当該年度に新規加入した人あるいは加入 者事業主の数が書いてあります。「共済契約者」と書いてある所が、いわゆる事業所の 数です。一方で、右のほうに「被共済者数」と書いてありますが、これは加入者のこと です。一般中退で見ますと、平成13年度は約32万人が新規加入しているという状況 です。  一方、二番目の「在籍状況」ですが、平成13年度末で約42万事業所が加入してい ます。一方、加入者数は約266万人という状況です。  三番目は「平均掛金月額」です。中小企業がこの制度に入る際、各労働者ごとにいく らという数字を決めて掛金を払っているわけですが、この平均は年々上がっています。 左側の平均掛金月額の下の所を見ますと、平成13年度の数字は約9,200円となっ ています。  以上のような加入状況を前提として、退職金の支給状況がどうなっているかを見たの が2頁目の資料です。これもいちばん下の平成13年度の所をご覧ください。この制度 は基本的には一時払が原則になっています。一時払の欄を右のほうにたどっていくと、 支給総額が大体4,000億円であり、1件当たりの支給金額は128万円、大体13 0万円という額になっています。年4回に分ける分割払も認められており、その数字は 下に書いてあります。なお、(注4)に書いてありますが、掛金を払っている方々の平 均的な納付月数は115月となっており、現在の掛金は9,000円ちょっと、過去は 少し安いですが、115月なので大体10年ぐらい払った結果、130万円ぐらいのお 金が支払われているというのが大まかな現状かと思います。  3頁以下が「特定業種退職金共済制度の現況」です。この制度は建設業、清酒製造業 、林業の3つの業種が特定業種として指定されています。先程と同様に、左側が事業所 ベース、右側の被共済者数が加入者ベースで、新規加入者数は、建設業で平成13年度 は約16万7,000人という状況です。以下、清酒が約300人、林業が約2,30 0人となっています。こうした新規の加入を含め全体として現在どうなっているかとい う数字が下の在籍状況です。共済契約者数で見ると、建設業は約17万事業主、清酒製 造業が約2,600事業主、林業は約3,700事業主となっています。右側の被共済 者数ですが、建設業が約230万人と群を抜いて多い状況であり、清酒製造業が約3万 5,000、林業が約5万となっています。同様に退職金の支給状況ですが、いちばん 下の欄の平成13年度の所を横にご覧ください。建設業については1人当たり支給金額 は約89万円となっています。清酒製造業が116万円、林業が85万円になっていま す。清酒製造業が高くなっているのは(注2)に書いてあるように、平均的な掛金納付 月数の影響であると考えます。  以上が簡単な現況です。続きまして資料2に移ります。これに基づき、平成13年度 の決算の状況を説明いたします。最初の頁に一般の中小企業退職金共済の部分がありま す。上のほうが貸借対照表、つまり年度末の全体の状況であり、下は損益計算書で年度 を通じた出入と考えて下さい。下のほうからご覧いただきたいのですが、損益計算書の 全体の構成は、かかった費用が左側、右側が収益ということになります。右側の収益の 欄のいちばん下の所を見ると、「当期損失金」というものがあります。これはかかった 費用と入ってきた収益を見た場合、年度でどのようになっているかということを表して います。この数字が370億円損失と出ており、単年度で見ると約400億円程度のマ イナスが出ているという状況です。  これをベースにして上の表に移っていくと、左側が持っている資産、右側が負債と資 本ということになります。右の欄の下のほうに「欠損金」という欄があります。欠損金 の所にさらに小さく「繰越欠損金」と「当期損失金」というものがありますが、当期損 失金は、先程説明した下の図の損益計算書の当期損失金に相当します。繰越欠損金は当 該年度の前までに欠損があった数字ということです。この数字からわかりますとおり、 平成13年度が始まる前に、概ね2,000億円を超える欠損が全体として出ていたわ けですが、ここに新しく平成13年度の約400億円が加わり、平成13年度末で見る と約2,400億円の累積欠損が出ているという状況です。このような平成13年度の 状況になっていますが、この点については予定運用利回り、現在3%を前提に計算して いるのですが、これを1%に下げる方向で部会からの意見をいただき対応を行ったと考 えております。  次は特定業種、建設業についてです。これも同じように下から説明しますと、損益計 算書上で見ると、右側の欄の収益のいちばん下の所に、「当期損失金」ということで、 約10億円の損失が単年度で出ております。実は建設業の過去の数字を見ると、単年度 では大体黒字できていたのですが、黒字がだんだん減少してきているという傾向にあり 、平成13年度においては単年度赤字になったという状況です。それを踏まえて貸借対 照表を見ると、先程と同じ「負債及び資本の部」の下に、「利益剰余金」として約30 0億円を計上しております。元々これまで黒字であったということもあり、この建退に ついては累積で剰余があります。平成13年度は赤字になりましたが、これまでの積立 分があるので、累積では黒字の状況が続いているということになります。  続いて清酒製造業の状況です。同様に、下のほうの損益計算書を見ていただきたいと 思います。これまでのものとは違い、「費用の部」のいちばん下の所に、「当期利益金 」ということで600万円が計上されております。黒字ではありますがとんとんの状況 になっています。清酒製造業について過去の状況を見てみると、赤字傾向でずっと推移 をしてきておりました。ただ、その過程で運用利回りの引下げなど、いくつかの措置を 取ってきた結果、赤字幅が減少し、平成13年度には若干の黒字、とんとん状態になっ ているという状況です。こうした単年度分をベースに全体を考えてみると、上の貸借対 照表の右の負債及び資本の部の所の下に「利益剰余金」ということで、黒字ということ になります。これも清酒製造業については従来から黒字ということできており、損益計 算書上は黒字になり、上のマクロ全体で見ても黒字となっております。  次に林業です。林業についても下の損益計算書を見ていただくと、収益の部の右の下 に「当期損失金」ということで8,000万円の赤字が出ている状況です。林業につい ても過去の傾向を見ると、過去5年間ずっと赤字できており、運用利回りの引下げ等を やっていますが、赤字になったままということです。こうした状況を踏まえて、上の貸 借対照表上の全体の累積状況を見ると、右の表の下のほうですが、「欠損金」というと ころで、全体として累積の欠損が出ているということです。これは過去5年間ずっとこ のような状況で赤字が続いております。  以上が主な決算です。5頁以下ですが、いろいろな決算状況については公告する際に 今まで言ったことに加えて、事業の状況あるいはディスクロージャーの状況を公告して いるということです。中身は直接決算には関係ないので、説明は省略させていただきま す。いちばん最後の7頁には、これまで申し上げたことを1つの表にしてあります。 「一般中退」と「特定業種3事業」について横に並べてありますが、上から3番目の「 当期純利益」というのが単年度の収支、その下の「積立金(累積利益剰余金)」が年度 末の累積欠損あるいは剰余の数字です。繰り返しになりますが、一般中退は単年度赤字 で累積でも赤字の状態であり、建設業は単年度赤字になってしまいましたが、累積では 300億円程度累積剰余が出ているということになります。清酒製造業については単年 度黒字で、かつ累積でも黒字、林業では単年度で赤字であり、かつ累積も赤字になって いるということです。これがこれまでの説明を表にしたものです。いちばん下に「運用 利回り」がありますが、これは別の資料がありますのでそちらで触れたいと思います。  続きまして、資料3をご覧ください。実はこれまで申し上げた決算の状況は、基本的 にはいろいろな資産の状況を簿価ベースで計算しているわけですが、特殊法人について は「行政コスト計算書」を作り発表するようになっています。この趣旨は仮に特殊法人 が民間企業であったと仮定した場合に、どのような財政状況になっているかを明らかに するための資料です。この件は昨年にも中身を説明したかと思いますが、これに基づい て平成13年度分がどうなっているかということを簡単に説明したいと思います。  1頁目の所で横長に「結合行政コスト計算書」というものがあると思います。この行 政コスト計算書の構造ですが、いちばん左の上に「I業務費用」、ずっと下がって「II機 会費用」、3番目に「III行政コスト」とあります。大きなIの「業務費用」というのは 、かかったいろいろな経費を出し、その経費から事業収益なり収益に相当する部分を引 くということで計算しています。業務費用ですが、真ん中の辺りに「仮定損益計算書上 の費用小計」があるかと思いますが、ここを右にたどっていくと約5,000億円ちょ っとの数字が出てきます。これが、かかった費用ということで、そこから下のほうにず っと収益が書いてありますが、下から7番目に「(控除)業務収入小計」という数字が あると思います。ここが約4,000億円ということで括弧で入っています。  言ってみれば、上のほうのかかった費用の5,000億円ちょっとからこの4,00 0億円を引いた部分が業務費用としてかかったもので、約1,000億円という数字が 出ているわけです。これに機会費用、例えば公務員からこの機構に出向している場合の 退職給与引当金のようなものを、本来ならば機構のかかる費用としてカウントするべき だということで、ここを機会費用として入れているわけです。そうした機会費用を足す と、いちばん下に書いてある行政コストとして約1,048億円がかかっているという 数字が出ています。  次の2頁に民間企業と仮定した場合の貸借対照表という数字が出ています。これは先 程来説明したものと構造的には似ているのですが、この計算の仕方として違う所が2点 あります。1点はいろいろな資産の中で売買目的を前提にしているものについては、時 価評価する前提になっているということです。もう1点は、退職給与引当金について当 該期のいちばん末に、仮に皆辞めたとした場合の退職給与をちゃんと引当金に全部盛り 込むということです。この辺が先程説明した部分と違っていることです。後で詳しく言 いますが、この表の下の所の(資本の部)の「剰余金合計の内訳」で(中退)(建設) (清)(林)の数字が出ていますが、ここが民間企業と仮定した場合の累積の欠損の数 字ということになります。ここは先程説明した数字よりちょっと大きいのですが、この 出入については別の資料が後ろに付いていますので、そこで説明したいと思います。  次の頁ですが、「民間企業仮定損益計算書」があります。これも構造は同じなのです が、いちばん下の所に「当期損失金」があり、数字が入っていますが、ここも先程来説 明した単年度の赤字よりもちょっと数字が大きくなっております。これも次の資料で説 明したいと思います。4頁の「キャッシュ・フロー計算書」はちょっと細かいので省略 いたします。  横長の参考1という資料をご覧ください。上の区分の所に「仮定貸借対照表」という 欄と、「現行の貸借対照表」という欄があります。(ロ)の現行の貸借対照表が先程来 私が説明した部分であり、(イ)の仮定貸借対照表が行政コスト計算書上の貸借対照で す。いちばんのポイントは、資産、負債、資本とある中で資本の所を見ていただくと、 それぞれ現行と仮定との差が出ており、その差が第3欄の(イ)−(ロ)の差という所 に入っているわけです。  例えば中退で見ると、現行の貸借対照表では2,400億円程度の累積があるのです が、行政コスト計算書上はもう少し大きくて2,800億円となっております。以下、 それぞれ少しずつ違ってきているということです。この差額については右の所にいくつ か理由が書かれていますが、いちばん大きなところが、例えば当期損失金の所に金銭信 託等評価見直しということで、約500億円の△が立っています。このように資産運用 の中で売買目的を前提としている部分については時価の評価をしているということで、 先程説明した簿価ベースの決算よりもここの欠損が大きくなっています。以上が貸借対 照表の話です。  次の頁ですが、今度は損益計算書ベースでも同じようなことになっています。いちば ん下の欄に「当期利益金」ということで、現行損益計算書と仮定損益計算書においてそ れぞれ数字が違ってきています。差が約500億円ぐらいあります。ここも先程と同様 に、金銭信託についての時価評価の結果、数字が出てきているという状況です。以上、 決算状況を簿価ベースで説明するのに合わせて、行政コスト計算書で見た時価ベースで 評価してもそれぞれ財政状況はかなり厳しいと言えると思います。  次に資料4に移ります。資料4は資産の運用状況です。一般中退、特定業種それぞれ を作ってありますが、まず1頁目の一般中退です。いちばん下の欄に「平均運用利回り 」があり、下から2つ上に資産の額が書いてあります。これを見ると、平成9年度の平 均運用利回りは3.53%程度だったのが、だんだん下がり平成13年度には1.77 %という状況になっています。一般中退予定運用利回りは3%だったわけですが、それ を下回っていたという状況であり、先般の改正で1%に下げるということにしたわけで す。  次の頁には建設業退職金共済の資産運用状況が出ています。資産が1兆円弱あります が、平成9年度には3.77%で回っていたのが、だんだん下がってしまい2%を切る 状況になっています。ちなみに、建設業の予定運用利回りは現在4.5%です。次の頁 は清酒製造業です。大きな傾向は一緒です。平成9年度では3.34%でしたが、これ は少し成績がよくて平成13年度2.35%となっているものの、いずれにしても低下 傾向ということであります。最後に林業の資産運用状況です。平成9年度は3.25% であったのが、平成13年度では2.3%に下がってきています。  以上、資料をベースに説明しました。一般中退については先般の法律改正で予定運用 利回りを政令に下ろすということにしました。それに基づき予定運用利回りを3%から 1%に下げるということにしたわけです。一方、特定業種については今言いましたとお りの財政状況になっています。中小企業退職金共済制度というのは、中小企業で働く方 々にとって非常に大事な制度ですから、財政状況を常によく見て、制度が安定的に運営 できるように、常日頃から財政状況の改善ということを念頭に置いて考えておく必要が あるのではないかと思います。今後この部会においても、こうした財政状況の改善につ いていろいろと御審議をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたしま す。  以上が基本的な資料の説明です。追加情報で2点、私の方から説明させていただきま す。1点目が、一般中退の法改正のその後の流れです。法律改正については御審議いた だき、諮問答申をいただき、また法律が通った後、具体的に運用利回りを3%から1% に下げるための政令について諮問させていただき、答申をいただきました。その後、私 ども政府部内でいろいろな作業をし、8月末に関係政令を閣議決定することができ、現 在施行に向けて取り組んでいる状況です。その政令上、11月1日から新しい制度で施 行することとなっております。  2点目は独立行政法人についての動きです。御承知のとおり、特殊法人全体について 改革をするということで、政府が所管している各特殊法人についてそれぞれ独立行政法 人化にするための作業が進められています。臨時国会が開かれれば、それぞれ提出する 予定になっております。この策定の中で当然ながら中小企業退職金制度の大枠は基本的 には全く変わっていません。ただ、当然特殊法人が独立行政法人になるので、本来の法 人業務がより効率的、より自主的に行われるようになるかと思います。独立行政法人に ついては独立行政法人通則法という一般の法体系と、それに合わせて各個別の法律で規 制をすることになっており、個別の規制法について私ども今最終的な作業をしていると いう状況です。この法律の中では、来年10月1日を目途として独立行政法人に移行す ることで案を盛り込む予定になっております。今後動きがありましたらいろいろと御説 明したいと思います。本日の決算状況に合わせて2点御報告いたしました。 ○齋藤部会長  ただいまの説明について、何か質問、意見等ありましたらお願いいたします。 ○勝委員  2番目に言われた決算のことに関してお尋ねします。行政コスト計算書ですが、これ で見ると本当に実態がよくわかる気がします。現行の貸借対照表だと2,400億、こ れが仮定の貸借対照表になると2,800億ということで、今まで金銭信託がどの位の 含み損を抱えているのかわからなかった状況が非常に明らかになったと思います。これ から公表するに当たって、行政コストベースでの貸借対照表の情報開示はいつ頃の予定 でしょうか。 ○蒲原勤労者生活課長  この行政コスト計算書は昨年から作っており、昨年から外向けに公表している状況で す。したがって、今年の分も外向けに公表しています。 ○勝委員  この部会においても、仮定貸借対照表及び損益計算書をベースに話し合ったほうがい いということですか。今までは現行の貸借対照表と損益計算書をベースに話し合ってい たと思うのですが、これからは新しい方の基準をベースにと考えてよろしいのですか。 ○蒲原勤労者生活課長  そこはまさにこの部会の議論だと思います。私どもも従来ベースの資料は資料として 出しながら、合わせて今回このような形で行政コスト計算書も出したので、両方をベー スに議論していただくことになるかと思います。 ○佐藤委員  今日の報告に基づいて、これからのそれぞれの予定運用利回りについても検討してい ただくということを今課長が話されたと思います。一般中退のときも我々としては非常 に強い関心を示して慎重審議をお願いしましたので、これから予想される運用利回りの 改定があるのだとすれば、より慎重な審議をしていただきたいと思います。よろしくお 願いいたします。 ○堀越委員  昨年の結合行政コスト計算書を見ているのですが、私のメモでは「補助金は入ってい ない」となっているのですが、今年も同じですか。 ○蒲原勤労者生活課長  今年も同じです。行政コスト計算書の資料1の所がいちばん基本ベースのものなので すが、ここで行政費用を計算するときに、かかった費用から収益を引くと私は申し上げ ましたが、引くべき収益には国庫負担金が入っていないのです。したがって、国庫負担 金なしで、どのくらいのコストがかかっているを示す資料ということで、その性格は前 回も今回も同じです。 ○佐藤委員  ちなみにいくらぐらいあるのですか。 ○蒲原勤労者生活課長  現在、平成13年度ベースで大体180億円ぐらいの国庫補助が入っております。 ○野澤委員  佐藤委員のほうから今後慎重にということを含めて、強制力の問題も出てくるかと思 いますが、逆に聞きたいのは、すでに赤字の所は一貫して赤字です。平成14年度も半 年過ぎているわけですが、赤字の所についてはどのように考えるのか、ポイントだけ言 ってください。 ○蒲原勤労者生活課長  累積赤字というのは多分林業のことを言われているのだと思います。実は個別の業種 の分析は、今日から議論をいろいろ始めるということで、私ども詳細なところまでまだ 分析していないのですが、累積で赤字になっているという状況はかなり深刻であると思 っております。林業についてはここ5年間で2度ほど運用利回りを下げているのですが 、残念ながら単年度に黒字にならず累積が溜まっているという状況になっています。林 業のいろいろな働く現場の実態については、私ども林野庁あるいは機構のほうからいろ いろ聞いており、その実態をよく見た上で対応していくということだと思います。具体 的なところについては、今まさに分析をしているという状況です。 ○野澤委員  一般的な意見になるのかわかりませんが、結局、民間で言えば瞬時に決算状況がどう かわかるということなのですが、ややもすると、国の決算もそうなのですが、予算委員 会は慎重にやるのですが決算委員会はいくら否決されてもそれは過去のことだからと全 部通っていってしまうわけです。通っていくというより、否決されても否決されたとい う事実が残るだけであり、何ら改善されないと思うのです。我々もこの決算を聞くのは 終わってから6カ月、7カ月目にこのような話を聞くわけです。そこから次を考えたら 、またもう1年以上ずれてしまうというような話になるので、やはりこのような議論を するときには、企業で言えば半期決算が終わっているところですから、大体見通しはど うなのか、それに対して早目にどのような手を打つのかということをやっておかないと 、今のペースで決算をし、数カ月遅れで委員会その他に数字が出て、そこからまた議論 をするとなると、今の時代に常に1年以上のタイムラグが出てくるということになりま す。  ご注意いただきたいのは、先程どのベースでやるかが出ていましたが、国の財政も大 変だという中、それぞれがどのような努力なり、どのような運営をするか、また事と次 第によってはお互い助け合わなければいけないということもわかるのですが、病巣があ るのならば、それをどのように改善していくかということをお互い肝に銘じながらやっ ていかないと、出た数字が常に半年遅れ、1年経ってからその評価をどうするかでは遅 いのではないかと思うのです。今後、是非決算や今後の見通しの程度などを関連したポ イントとして出していただきたいと思います。 ○齋藤部会長  資料4の資産運用状況について、各事業ごとに実際の運用利回りに大分差があるよう ですが、これは全部それぞれ別々に運用しているのですか。要するに、同じ所が運用す るのであれば、それぞれ調子を取って運用するのではないかという気がするのです。 ○蒲原勤労者生活課長  その点についてですが、中小企業退職金制度にはいろいろな過去の沿革があると思い ます。基本的には一般中退と特定業種の建設、清酒、林業というのが、それぞれ独立し た区分経理の下で掛金を決めるとか、財政状況をチェックしてきているという状況にな っています。機構の組織上もそれぞれの退職金共済本部があり、その下で、中退、建設 は当然大きいので資金運用専用の部課があり、清酒なり林業も全体の課の中でそのよう な資金運用の体制を取っている状況です。昭和34年にこの制度ができてからこれまで 、一般中退のあと、いくつか各業種を指定してきているわけですが、そのような経緯と 法律の立て方からそれぞれが独立して運用することになっているので、その結果それぞ れ利回りが多少違ってきているということです。 ○齋藤部会長  たしか運用委員会のようなものがあったかと思いますが、あのようなもので調整はし ないのですか。 ○蒲原勤労者生活課長  実はこの間の法律改正で、資金運用についてはきちんと体制を取ることになりました 。前の法律で基本方針をそれぞれ立てるようにということになっています。ただ、この 基本方針も中退なら中退、各業種なら業種ごとに基本方針を作ることになっており、そ こはそれぞれバラバラになっています。ただ、やはりその後の評価のようなものは、あ る程度横割りでする必要もあるかと思っており、資産運用については今年11月に評価す る体制作りを機構の中で1つ作り上げるということで、いま最終的にその作業をやって おり、そこでは統一的に見ていきたいと思っております。 ○齋藤部会長  今お話があったように、問題点は特定業種の退職金共済制度についてのようですから 、それについて次回以降詳しい資料を出していただき、議論を続けていきたいと思いま す。以上で本日は終わりたいと思います。  最後に本日の議事録の署名委員ですが、佐藤委員と吉川委員にお願いしたいと思いま す。本日はどうもご苦労様でした。 6 配布資料 (1)中小企業退職金共済制度の現況 (2)勤労者退職金共済機構の平成13事業年度決算 (3)勤労者退職金共済機構に係る行政コスト計算書 (4)中小企業退職金共済事業の資産運用状況      ┌───────────────────────────┐      │照会先 厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課 │      │    担当:河野・簑原               │      │    03(5253)1111(内線5376)   │      └───────────────────────────┘