02/10/07 第3回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会議事録                    第3回              厚生科学審議会生活環境水道部会                水質管理専門委員会                    議事録               厚生労働省健康局水道課            第3回厚生科学審議会生活環境水道部会              水質管理専門委員会議事次第  日時 平成14年10月7日(月) 10:05〜12:15  場所 第5合同庁舎共用第6会議室  出席委員(敬称略)   安藤正典、宇都宮暁子、江馬 眞、遠藤卓郎、大谷倫子   国包章一、中村栄子、西村哲治、平田 強、眞柄泰基 1.開会 2.議事 (1) 水質基準のあり方(総論)について (2) 主査報告(作業方針・進捗状況)について (3) その他 3.閉会 ○松田室長補佐  それでは、定刻となりましたので、ただいまから生活環境水道部会水質管理専門委員 会を開催いたします。  委員の皆様には、御多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうご ざいました。  委員の中で、伊藤先生、大村先生、古米先生におかれましては、所用により本日は欠 席との御連絡をいただいております。  それでは、眞柄先生、よろしくお願いいたします。 ○眞柄委員長  お忙しいところをありがとうございました。  今回は3回目でございますので、できましたら、基本的な考え方とそれに基づきまし て、それぞれの主たる分類に従って担当していらっしゃる専門委員の方々から作業方針 等をお伺いするという形で進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。 事務局から配付資料の御説明をください。 ○松田室長補佐  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。  お手元に議事次第が1枚ございまして、それをおめくりいただきますと資料1、前回 の議事録でございます。  それから、資料2「水質に関する基準の見直し等に係る基本的考え方(素案)」でご ざいます。  資料3「主要課題に関する作業方針等について」でございます。  つづきまして、参考資料1「水道法第4条及び第22条等の関係について」。  参考資料2「水道水質管理計画のフォローアップについて」。  参考資料3「厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会今後の審議日程の 目安」。  資料につきましては、以上でございます。足りないものがございましたら、事務局ま でお申し付けいただければと思います。 ○眞柄委員長  それでは、資料1の先回の専門委員会の議事録ですが、先生方には事前に目を通して いただいておりますので、特に問題はないと思いますが、もし、何かお気づきの点がご ざいましたら、後ほど事務局にお知らせくださるようお願いをいたします。  それでは、早速、議事に入りたいと思います。  前回の専門委員会では、現在の水質基準がどうなっているか、その考え方はどうであ るかというようなことについて、一通り議論をしながら整理をしたと思います。今回は 、前回の議論を踏まえまして、水質基準の在り方について、いわゆる総論的な部分につ いて具体的に検討したいと思います。  まず、先回、委員からいろいろと御質問や御意見が出ましたので、それについて事務 局より、現在の水質基準の体系について認識を確認するという観点から、御用意をして いただいた資料について説明をしていただきたいと思います。  それでは、事務局からお願いいたします。 ○松田室長補佐  それでは、前回、先生方から幾つか御質問等ございましたので、その点について簡単 に御説明させていただきます。  参考資料1「水道法第4条及び第22条等の関係について」でございます。 水道法の第4条「水質基準」は、水道法の目的の一つである「清浄な水の供給」を達成 するため、水道により供給される水の備えるべき要件を定めてございまして、この要件 を満たすため、水道法で「施設の適正確保」や「管理の適正確保」に関する措置が規定 されてございます。  「施設の適正確保に係る規定」でございますが、施設につきましては、施設基準、布 設工事の監督、給水開始前の届出や検査、給水装置の構造及び材質に関する規定等がご ざいまして、施設基準については、水道の施設の備えるべき要件を定めるということで 、水道事業の認可等の要件の一つになっております。  施設基準の要件の一つとしまして、特に病原微生物に関連する主なものとして、浄水 施設における消毒施設の設置が規定されてございます。  一方、「管理の適正確保に係る規定」は、水道技術管理者、水質検査、定時及び臨時 の水質検査、健康診断、消毒等の衛生上の措置、給水の緊急停止といったものがござい ます。  2ページに移りますと、ここで第22条、衛生上の措置の考え方が書いてございます。 これは、平成4年に出版されました「改訂水道法逐条解説」から抜粋したものでござい ます。読み上げますと「水道法により供給される水は、常に安全かつ清浄なものでなけ ればならない。そのための措置として、水道法では、水質基準及び施設基準の規定を設 け、供給される水に対しては定期及び臨時の水質検査を行うことを義務づけ、さらに、 浄水場業務の従事者等には定期及び臨時の健康診断を行うことを義務づけている。これ らの措置によっても、病原菌による汚染の危険が残るおそれがある。そのため、本条は 、水道施設の管理及び運営に関する衛生上必要な措置として消毒その他の措置を定め、 水道の衛生管理の徹底を期したものである」とございます。  3ページ以降は、関連条文を記載しております。  続いて参考資料2に移らせていただきますが、前回、水道水質管理計画のフォローア ップ状況はどうなっているのかといった御指摘が委員の方からございましたので、今回 、関連事項をお示ししてございます。  まず、最後の6ページに、平成10年専門委員会報告「水道水質管理計画について」の 抜粋を参考までに掲げてございます。水道水質管理計画につきましては、基準項目が増 加・多様化あるいは検査技術が高度化したということで、水道事業者が適正かつ計画的 に水質検査を実施できるように、加えて、監視項目等に係る体系的・組織的な水質測定 、水質監視と呼んでおりますが、それができるようにということで、都道府県がそのた めの水道水質管理計画を定めるというものでございます。基本的には、水質検査につい て水質検査施設の整備に関する計画と、水質監視に関する事項として、監視項目等の体 系的・組織的な水質測定の計画を定めるというものです。  1ページに戻りますと、現在の策定状況の概要を示してございまして、3ページから 各都道府県の策定状況を示してございます。フォローアップについては、すべてではご ざいませんが、一部の都道府県で何度か計画を改訂しております。  また、検査施設の整備でございますが、約3割の都道府県で、検査施設の整備状況に ついて、フォローアップしております。幾つかの都道府県では、検査体制の整備のため に支援とか調整を行っております。  それから、水質監視の計画でございますが、これもすべての都道府県で定められてお り、毎年、厚生労働省で集計及び公表をしております。なお、この結果は、第1回の専 門委員会の資料で添付してございます。 水質監視結果の取扱についてですが、都道府県としては水道事業者への助言・指導に使 用しているという回答が最も多く、それ以外には、集めた結果を都道府県としても フィードバックしている、環境部局や河川部局等との連携でデータ提供する、流域協議 会で活用するという回答もございました。  参考資料については以上でございますが、それとは別に、もう一つ補足いたします。 資料はございませんが、前回、食品関係の毒性評価において用いられる人の体重の話が ございましたが、食品の担当の方に確認しましたところ、一般的に食品添加物の使用基 準等を検討する際には、体重50kgを使用しているということでございました。ただし、 農産物に対する残留農薬基準の検討におきましては、平成10年に、残留農薬の基準設定 における暴露評価の精密化という観点から意見具申がなされており、これに基づき、体 重についてはある年の間の食品の摂取量と関係づけられているんですが、食品の摂取量 の調査としては国民栄養調査がありまして、現状では平成7年から平成9年度の農産物 の摂取量が算定されております。その調査対象者の平均体重が国民平均で52.6kgという 値になっており、農薬においては、こういった考え方を用いるということになっており ます。  以上です。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、まず、最初に、参考資料1の第4条と第22条の関係について、担当から御 説明がありましたが、これについて改めて確認をするところがありましたら、どうぞ御 意見を出してください。お願いします。いかがですか。 ○国包委員  私から聞くのもちょっと変かもしれないんですが、あえて1つお聞きしたいんですけ れども、この参考資料1の1ページの一番下、3番の「管理の適正確保に係る規定」と いうところは、水質基準が決まっていて施設がきちんと整備されていて、なおかつ、こ こで言う管理というのは運転管理でしょうか、あるいは維持管理がきちんと行われてい れば、それで水道水の安全性が確保できるという考え方に基づいての管理の適正確保と いうことだろうと思うんですが、ただ、ここの中身、幾つか書いてありますけれども、 それぞれ見てみますと、いわゆる塩素消毒でやっつけられるような病原細菌による汚染 あるいは病原ウイルスの一部も含めてかもしれませんけれども、そういうものについて は、安全性が十分に確保できるというふうな考え方がベースになっていると思うんです が、現在我々が問題にしているのは、必ずしもそういったものについての安全性だけで はないですよね。そういった部分については、水質基準でフォローされているというこ とになるわけですが、この辺についての行政当局としてのお考えをお伺いできればあり がたいと思います。 ○岸部水道水質管理官  水道法では、そもそも病原微生物に対する対応というものが基本の思想としてあろう かと思います。第4条で水質基準を設定した上で、第5条で必要な施設を設置すべきと 規定されていますが、施設を適切に運用しなさいという明文規定はございません。当然 、設置されていれば、それが適切に運用されるのであろうということが想定されている ものと思います。ただ、そうはいっても消毒だけはきちんとしなさいということで、第 22条が規定されているわけでございます。当初、この法律が制定された際には、今、国 包先生からお話があったように、塩素消毒で処理し得る病原微生物が想定されていたと 思います。ところが、新たなクリプトスポリジウムのような法律が制定されたときには 想定されなかったような問題が生じた場合、この第22条に基づいて必要な措置が講じら れるべきであるということになれば、この第22条に基づいて適切な措置を講じるべきで あろうというふうに考えております。この点につきましては、本委員会で御議論をいた だくべき問題かなというふうに考えております。 ○国包委員  今クリプトの話がありましたが、水の中の健康に影響のおそれのある汚染物質という のは結構多いわけですね。これは微生物に限らず化学物質も。そういったことも含めて 考えた場合には、これは最終的にどういうふうに規定するかは別ですけれども、化学物 質も少なくとも視野に入れてこういった面での安全を議論する必要があるだろうと思い ますが、その辺はいかがでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  御趣旨がちょっとよくわからないんですけれども。 ○国包委員  それでは、どう言えばよろしいんでしょうか。少なくとも、この3の「管理の適正確 保に係る規定」のところに書いてある幾つかの条文というのは、昭和32年ですとか、先 ほども管理官からもお話がありましたような、いわゆる微生物学的安全性、それも塩素 消毒でやっつけられるような微生物についての安全性ということがほぼすべてであった んですね。現在では、クリプトも問題にしなければいけないということです。ただ、そ こまででいいのか、あるいは我々は今、水質基準ということで問題にしております化学 物質というのは、100とか200とかあるわけですね。全部が全部健康影響のおそれがある かどうかということは議論の余地があるにしても、やはり安全性という面でいろいろ考 えていかなければいけない。例えば、原水中に高い濃度であれば浄水処理できちんと除 去するというようなことも必要になります。そういった意味ではクリプトも同様だと思 うんです。単に基準を決めればそれでいいということでもないですし。  それから、ろ過池があっても、例えばクリプトがすり抜けてしまうこともあるわけで すから、化学物質についても処理をきちんとしないと、施設があるだけではやはりきち んと取り除けない場合があります。そういったことも含めての安全確保という見方が、 これから行政の中で重要になってくるのではないかと。これは前回、近いこともお話し しましたので、若干繰り返しになりますけれども、そういう意味で申し上げました。 ○岸部水道水質管理官  化学物質の問題につきましては、平成4年の改正のときに水質基準の項目を大幅に追 加し、それにより対応してきた経緯がございます。今回具体的に、例えば、現行の水質 基準の枠組みで対応できない具体的な化学物質が本委員会で抽出されるということであ れば、当然枠組みを含めて検討するということになりましょうけれども、まずは、現在 の枠組みで対応する、すなわち、水質基準を改訂しそれに基づいて適切な施設を設置し ていただくというようなことで対応するのかなと考えております。具体的に、現行の枠 組みで対応できないような化学物質というものが各論で提起されれば、そこで考えさせ ていただければというふうに思っております。 ○眞柄委員長  おっしゃることはよくわかるし、ある程度お互いに理解をしていることだと思うんで すが、例えば、具体的な例を言えば、第4条の水質基準に残留塩素の規定はないですよ ね。第4条の規定は、これ以上超えてはいけないというものばかりで、これ以下になっ てはいけないという水質基準がないですよ。それが1つです。  それから、もう一個、第22条の方に、徹底を図ることということが書いてありますけ れども、例えば、先ほど国包先生が言われたように、第22条の施行規則で書いてあるこ とは、きれいにしておけとか人が入らないようにしようとか、残留塩素を何とかしろと いうことで、第5条と直接連携していないですよね。例えば、基準が超えたときに第5 条に、例えば、衛生上の措置としても既設の改造だとか更新だとか具体的なアクション 指示が出ていないというところがあるんですが、そういうものをどう扱うかというとこ ろが、国包先生がおっしゃっていることで、きれいにしなくて汚染の防止ができなくて 、策もできなくて、残塩も維持できなかったら給水を停止しろというのが今の趣旨です よね。そうすると、余りにも給水停止に行くプロセスがきついというか、ストレートに 行っているので、中でもうワンクッション水質基準の在り方のところ、あるいは水質基 準そのもので書き込めることが可能でないだろうかというようなところも、私も若干す るので、それもあって国包さんがさっきから聞いておられるのでしょうけれども、それ はこの専門委員会で、具体的な水質基準の項目を議論することとは別かもしれませんが 、例えばHACCPのようなことをこれから議論しようというときに、そこのところで今の 第4条と第22条の関係の言わば橋渡しみたいなことを議論するという可能性はあるとい うふうに理解していいのかということだと思うんですが、どうですか。 ○岸部水道水質管理官  その辺のところは、今後の水質基準の在り方を検討する上で十分御議論をいただきた いと思いますけれども、現在の法的枠組みでそういったものが取り組めるかどうかとい うのは難しいというふうに考えておりまして、そういったものに取り組むためには、場 合によっては制度改正というようなことになろうかと考えております。 ○国包委員  まだ今日は初めですので、余りこの辺で時間を掛けたくないんですが、念のためにも う一言申し上げさせていただきますと、私は水質基準の見直しそのものについて狭い意 味で考えれば、これはかなり機械的にやってしまえると思うんです。ですから、そこの 部分については、私自身は率直に申し上げて余り重視しておりません。それよりも、水 の安全を担保するための水質基準以外のものとの全体としての制度をどういうふうによ りいいものに確実にしていくかということを、やはりこの場で大いに議論しなければい けないと思うんです。そういった意味で、水質基準を取り巻くいろいろな現行の制度の 在り方を可能な範囲であるいは可能な限り見直していく、そのための有用な議論をした いということを今申し上げたわけです。 ○眞柄委員長  御趣旨はわかりましたので、また、どこかで一度基準の項目なり、後ほど検討の対象 になる水質検査計画なり管理計画の辺りでまた議論になるかもしれませんので、そこで 議論をするということにしましょう。  では、その次の水道水質管理のフォローアップについてですが、いかがでしょうか。  もともと水道水質管理計画は、第20条の検査機関に補助を出すための制度だったよう な気もするんだけれども、そういう意味では、一応、各県が管理計画をつくって、共同 検査センターを含めて大体整備されてきて、そういう最初の目的はほぼ達成されたと。 これをどうやって生かすかというところが、これからの議論だというふうに理解すれば よろしいのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  その意味で、今回の資料2の中でも、その言及はしていますけれども、1期10年やっ て、ほぼそれなりの目的は達成したのだろうということで、これから10年先というのは 、今までどおりのやり方ではなくて、また別の水質管理計画の位置付けというものが出 てくるのだろうかと思います。この点については、本委員会で御議論いただいた上で、 どう生かしていくかというのを検討させていただければと思います。 ○眞柄委員長  安藤先生、これについて何かありますか。 ○安藤委員  今までの10年間というのは、たしかに1つの枠組みをつくるという上で、これが確実 に最初の目的に達していたかどうかというのは、若干疑問があるかなというふうに思わ れるところがあります。つまり、いわゆる都道府県の水道行政というのは、どこまで真 剣にという言い方をしたら失礼かもしれませんが、多くの県では自前で末端までの水道 事業を持っていないため、多少動き方がにぶいのかなと。だけれども、これからはそう ではないんだと、いろいろ体制が変わってきたんだという中で、もっと踏み込んだもの をやっていかなくてはいけないのではないか、そんな気がいたします。 ○眞柄委員長  ほかにありましょうか。 ○宇都宮委員  私は、最初のいきさつはよくわかりませんけれども、10年間神奈川県の方で携わって おりまして、水道水質管理計画があっての利点というのがかなりあったのではないかと 思います。それは、役割分担をしていろいろな対象の浄水や原水を測るということで、 機器整備や新しい機器を使った技術などが、この計画があって向上していったのではな いかと。  それから、もう一つは、精度管理ということが盛り込まれておりますので、各都道府 県で積極的に精度管理に取り組んでいったというような経緯もあるということで、この 10年間は水質管理計画を担保するという形でいろいろなことが行われてきたような気が します。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。 ○安藤委員  ただ、都道府県には温度差がかなりあるのではないかと。これが問題なんです。今 おっしゃられた宇都宮先生の場合は、非常に積極的に取り組まれておられる。 ○宇都宮委員  私の話は神奈川県の場合です。 ○安藤委員  温度差が物すごくある点を、ちょっとお考えいただきたいと思います。 ○宇都宮委員  これからの問題点ですね。 ○眞柄委員長  確かに、温度差があり過ぎるし、今はもう私は辞めましたけれども、水道協会雑誌の 編集委員をしていたときに、例えば、精度管理について論文の投稿がどこかの県の研究 所の方からされるわけですよね。そうすると、編集委員が一応査読をするし、必要に応 じて外部査読もお願いするんですが、これは論文でないと、これは事例報告だというこ とに終わってしまっているんですよね。だから、水道の水質管理をする上で、精度管理 をどうすべきかというところまでは踏み込まれていない。  一方、東京や大阪の大水道事業体は、自分の局の中で精度管理をおやりになっていて 、そのやっている内容を外へ教えてくれないんですよね。でも、局内では、けんけんが くがくの議論をして、議論の内容をペーパーにすれば論文になりそうだというところま で行ってしまっていて、そういう意味では、本当に安藤先生が言われたように、日本の 水道も1万何千あって、上水道事業は約2,000ある。2,000の中でもすごい格差があると いうのが実態ですよね。だから、そういう意味では、この辺のところも今後、検討の対 象になっていくわけですから、そのようなことも少し視点に入れて議論をしていただけ るといいと思います。  それから、さっき参考資料1のところで、水道技術管理者の管理の適正確保というの があって、水道技術管理者というのは、今の制度上は大学を出て何年間か水道協会の講 習会を受ければ、だれでも技術管理者になれて、これもまたすごい差があるわけですよ ね。法律では水道技術管理者とぽんと書いてあるけれども、やはり施設の規模なり水源 なりあるいはまさに管理の適正確保にするためには、背景としては難易度があるんだっ たら、難易度に応じた技術管理者の制度なんていうのはあってもいいだろうし、だから 、そういう意味では一度、先ほど国包先生がおっしゃったように、昭和32年のときの水 道というのは、要するに、一番の問題は、国なりあるいは地方自治体が水道を整備する ことによって感染症をなくしたいというのが、我々の気持ちだったわけですよね。とこ ろが、国民の多くは水道が来たら、水道によって感染症がばらまかれるのではないかと 。まさにそういうことはあり得るわけですし、そういうこともかつてあったわけだから 、水道が来たらこれは公衆衛生上大変な問題になると。そんなことは絶対にありません よというのが、この法律だったわけですよね。納得してもらうために。ですから、今や 水系の感染症というのは時々起きますけれども、少なくとも水道では越生のクリプト以 来ほとんど起きていないという事例もあるので、水道水は少なくとも消化器系感染症に 関しては安全だという認識を皆さんが持ってきている。その中で、どう水道が国民の公 衆衛生の向上に貢献しつつ、なおかつ、これからもその機能を持続できるかどうかとい う上での水質基準あるいは水質管理計画みたいなことというのを、我々は気にしなけれ ばならないのだろうと思います。  では、一応、先回の主たる問題になったところを事務局で御説明をしていただきまし たし、委員の先生方は共通的な認識を得られたと思います。共通的な認識としては、第 4条と第22条の間は、まだすき間がありそうだと。それから、水道水質管理計画も所期 の目標は達成できたけれども、これからの水道ということを考えると、もう少しバージ ョンアップをしなければならないということだったと思います。  それから、TDIの算定から基準値をつくるときの体重ですが、これは体重50kgにす るのか、昨今の残農の基準の52.6kgにするかということについては、後ほど御議論をい ただくことにして、とりあえず我が国内でも、この2通りの数値が公式に扱われている ということを現状では御理解いただいて、具体的な基準値を決めるときに50kgにするか 52.6kgにするか、あるいはJMPRというか、我が国で言えば農薬の登録基準のときの関係 で52.6kgということであれば、農薬については52.6kgベースでいくか、あるいはJECFAの 食品添加物関係でTDIが定められているものについては50kgでいくか、いろいろやり 方があるだろうと思いますが、それは個々の数値のときにどうするかということを議論 すればと思いますので、そういう2通りあるということを御理解いただくということに いたしましょう。  それでは、次の議題で、水質基準の見直しに関する基本的な考え方であります。まず 、最初に、担当の方から御説明をいただいて、議論したいと思います。では、お願いし ます。 ○岸部水道水質管理官  眞柄先生、全部説明してからご検討いただきましょうか。 ○眞柄委員長  はい、まず全部説明してください。ちょっと量が多いかもしれませんが。 ○岸部水道水質管理官  はい。それでは、資料2に基づきまして、基本的な考え方の素案につきまして、御説 明申し上げます。  前回の本専門委員会の後、主査に指名された先生方と私どもでフリーディスカッショ ンの場を持たせていただきまして、基本的な考え方についてどうあるべきかというよう なことを議論させていただきました。その上で、各主査の先生方に御担当の部分につき まして、メモという形で私どもにご意見いただきまして、そういったメモと、それから 、先ほど申し上げましたフリーディスカッションの結果を踏まえまして、事務局で素案 という形で取りまとめさせていただきましたのが資料2でございます。各主査の先生方 の御趣旨は踏まえた形で取りまとめたつもりでございますけれども、足りない点あるい は曲解している点がございましたら、各主査の先生方に補足をいただければ幸いでござ います。  まず、1番目「水質基準のあり方・性格」の部分でございます。これは、先ほど来御 説明しておりますように、水道法の水質管理の在り方、考え方を整理したものでござい まして、第4条で水質基準、清浄な水の要件というものを示した上で、それを確保する ために施設的な管理、それから、管理の適正という二面から法律が規定をされていると いうようなことでございます。  その上で、(4)水質基準の性格については、法律の規定するところによれば、水質基準 は、水道により供給される水、基本的には給水栓を出る水について適用されるものであ って、原水について適用されるものではないこと、それから、人の健康に対する悪影響 を生じさせないという観点から設定されるべきものであること。さらに、異常な臭味あ るいは洗濯物が着色するといった生活利用上の障害を来たさないといった面からも設定 されるべきものであるというようなことでございます。  (5)におきまして、前回の改正のときに生活環境審議会が答申で示している考え方を引 用しておりますけれども、この考え方につきましては、本専門委員会においても基本的 に継承してもいいのではないかというようなことでございまして、人の健康の確保とい う観点、それから、生活利用上の要請の観点の2点から、基準の設定について検討を行 うべきではないかということでございます。  次に、2番目「地域性・効率性を踏まえた水質基準の柔軟な運用」ということでござ います。第1回の専門委員会にお出しした資料では、「地域性・効率性を踏まえた柔軟 な基準」というようなことでございましたけれども、先ほど御説明申し上げました先生 方との意見交換の中で、用語法として誤解を招きやすいのではないかというようなこと でございまして、水質基準の柔軟な運用というものが本質ではないかというような御指 摘もありまして、表題を変えさせていただいております。  (1)として、水道水質というものは、地域や原水の種類・質あるいは浄水方法によって 大きく変動するということで、例を幾つか挙げてございます。  地域的な問題といたしまして、北海道におけるヒ素の問題、沖縄におけるアンチモン の問題といった、全国的に見て問題かというと必ずしもそうではありませんけれども、 地域的に見れば安全な飲料水確保の観点から看過し得ない問題がございます。  それから、農薬というのは発生する病害虫が地域によって違いますので、その病害虫 に応じた形の農薬が使われますので、当然、注意すべき農薬というのは地域によって著 しく異なるというようなことがございます。  それから、原水の種類による差異といたしまして、トリクロロエチレンなどの物質、 それから、硝酸性窒素といった物質の場合、地下水を水源とする水道においては問題が 生ずるということがございますけれども、逆に、表流水を水源とするような場合は、基 本的に問題となりません。  それから、ジェオスミンなどのにおい物質といったものについては、ダム、湖沼水な どの停滞水を水源にする場合に問題になりますけれども、例えば、地下水を水源とする ような水道においては、ほとんど問題となりません。  それから、浄水方法による差異ということでございまして、臭素酸などの場合は、有 機物を分解するためにオゾン−活性炭処理を行う水道で問題が生ずる可能性がございま す。  それから、ダイオキシン類などのように水に不溶の化学物質につきましては、水中で は基本的に粒子状物質に吸着された形で存在しておりますので、適切なろ過操作が行わ れれば、多くの場合には問題にならないだろうというようなことでございます。  こういった地域的な問題等に対応するため、すべての水道に一律に適用する水質基準 のほかに、快適水質項目ですとか、監視項目あるいはゴルフ場使用農薬に係る水道水の 暫定水質目標といったカテゴリーを設けて、柔軟性を持たせてきたというようなことで ございます。そのときの考え方が(2)の(1)(2)(3)(4)、さきの審議会の答申で示されてい る部分でございます。  それから、(3)では、快適性の問題、平成4年のときに快適水質項目というのがござい ましたけれども、現在、御承知のとおりペット・ボトル入りの飲料水とかミネラル・ウ ォーターといったものの消費が非常に伸びております。こういった形で消費者の嗜好と いうのは年々変化していくというようなことで、快適水質項目を設定した当時は、より 高品質というふうにされたものについても、現在そういったものは最低限の要求になっ ているのではないかというようなことでございます。現に、異臭味被害として、例えば 、ジェオスミンや2−メチルイソボルネオールなどを原因とするような異臭味被害も生じ ているというようなことがございます。  (4)で、これら現行システムについては、水道事業者の理解を得て水道水質管理上の一 定の機能を果たしてきたと考えられるんですけれども、監視項目などにつきましては通 知による行政指導というようなことで、強制力がございません。  一方、水質基準項目については、全国一律適用というような考え方がございますので 、先ほど例示にもありましたトリクロロエチレンのような物質につきましても、すべて の水道事業体において検査が義務付けられるというような不都合が生じておるというよ うなことがございます。 このため、今回水質基準の考え方として、5ページの(5)の(1)で、全国的に見れば検出 率が低いようなものであっても、地域あるいは原水の種類または浄水方法といったもの については、水質基準項目として設定し、一方(2)で、すべての水道事業者に水質検査を 義務付ける項目というものについては基本的なものに限り、その他の項目については、 各水道事業体の状況に応じて省略することができるというようなシステムを採用したら どうかということでございます。  ただ、省略することができるとはいっても、各事業者が適切に判断できるような水質 検査の省略の可否に関する指針というものが明示されるべきであろうというようなこと でございます。  ちなみに(7)では、水質検査項目の選択を先ほど申し上げましたけれども、水質検査項 目の選択の適正化と透明性を確保するため、当該水道事業者が選択した水質検査項目及 びその理由を明示した水質検査計画というものを作成させ、公表させるようにしたらよ ろしいのではないかということでございます。  それから、(8)といたしまして、こういった形で整理しました水質基準には該当しない 物質であっても、例えば、一般環境中で検出されている、あるいは使用量が多いので、 今後、水道水中で検出される可能性がある物質など水道水質管理上留意すべき項目ある いは物質につきましては、水質目標とともに関連情報を付して公表いたしまして、関係 者の注意を喚起すべきであろうというようなことでございます。  参考までに概念図を6ページの下半分に書いてございます。  それから、7ページ目の(9)、(10)では、先ほどの国包先生の御指摘あるいは眞柄先生 のお話にも関連するのかもしれませんけれども、こういった水質基準の項目あるいはそ の他の項目につきましては、実際にリアルタイム・モニタリングというのができるのは 限られており、モニタリングした上で対応を取るというのでは遅いというようなことが ございますことから、地域性や原水の質、浄水方法などに応じ、水質基準不適合の可能 性を事前に把握し、その上でそれに対応した管理を行っていく必要があろうというよう なことでございます。  こういった考え方というのは、食品衛生の分野におけるHACCP、あるいはWHOではこ れを水安全計画、Water Safety Planというような形で、こういった考え方が取り入れ られております。そういったことから、我が国の水道水質管理におきましても、こうい った考え方というのを取り入れていくことが必要であろうというようなことでございま す。  それから、3点目「逐次改正方式」でございます。これにつきましては、(1)に書いて ございますように、生活環境審議会の答申におきましても、科学技術の進歩に伴い基準 の見直しを行っていくべきであるというような御指摘は既にいただいております。  一方、WHOのガイドラインにおきましても、今後は「Rolling Revision」というふ うに書いてございますけれども、逐次改正方式でやっていくということでございます。 従来のように、一定期間を経た上で改正作業を行うというような形を改めるというよう なことでございます。  (3)で、今、御説明申し上げましたように、我が国におきましても逐次改正というのは 理念上はあるんですが、具体的にそれが必ずしも十分機能していたかというような点で ございまして、この原因を考えてみますと、具体的にどういう場合に行政がアクション を起こしたらいいかというような検討開始の要件というものも、もう少し明確にしてお けばいいのではないかというようなことであります。  これを実効あらしめるためには、例えば、関連分野の専門家から成る専門家会議とい うものを常設しておいたらどうかというようなことが(4)でございます。  それから、(5)以下は、先ほど来御議論がある水道水質管理計画に関連したものでござ います。水道水質管理の一層の充実を図るために、国あるいは地方公共団体における水 質監視が重要であるということを(5)で書いてございます。  (6)で、現在の水道水質管理計画でございますけれども、水道事業者等における水質検 査体制の整備の充実というものが第1目標に掲げられておりました。ただ、10年経って 見てみますと、水道事業者における水質検査体制の整備を第1目標に掲げるというのは 、そろそろいかがなものかというようなことで、例えば、次のようなものを重点に水質 監視をしたらどうかということでございます。  国においては、全国的な水道水質の状況の把握及び水質基準設定の要否の検討が目的 となるかと思います。  地方公共団体による水質監視においては、まず、国に協力するという意味で水質基準 設定の要否の検討、それから、地方自治の観点から都道府県としても県内の水道水源の 状況を監視し、それを踏まえて管下の水道事業者を指導する必要がありましょう。さら に、各管下の水道事業体の水質基準の遵守状況を確認する意味もあろうかというような ことでございます。  (8)として、当然ながら関係部局との連携が必要だというようなことでございます。  それから、4番目で「水質基準の設定に当たっての考え方」でございます。 「微生物に係る基準」については、(1)(2)がこれまでの経緯でございまして、(3)につい て、こういった項目について最新の知見に照らして見直しが行われるべきであるという ようなことで、今回、本専門委員会については、次の点について再評価してみるという ことで、糞便性指標として用いられております大腸菌群数に変えて、直接的に糞便由来 である大腸菌を水質基準とすることの是非、それから、一般細菌というのが現存量指標 として用いられていますけれども、この妥当性、それから、従属栄養細菌HPCの追加 あるいはそれへの転換の可能性について検討を行うということでございます。  それから、(4)でクリプトスポリジウムなどの塩素耐性の病原微生物あるいは配管系で のレジオネラの問題、これらに対応するために対応策を検討する必要があろうというよ うなことでございます。このうち、クリプトスポリジウムにつきましては、私どもで暫 定対策指針というものを策定して、水道事業者などの指導に当たってきておりますけれ ども、本委員会ではその暫定対策指針から一歩進めて、水質基準を設定することの是非 をお考えいただければと思います。  それから、先ほど多少御説明申し上げましたけれども、水道法第22条、現在塩素によ る消毒の措置が規定されておりますが、それに加えてこういったクリプトスポリジウム などの塩素耐性の微生物による汚染が疑われる場合には、適正なろ過操作を行うという ものを付け加えたらどうかと、これについての是非を検討しようということでございま す。  (6)として、更に配管系の微生物の増殖の指標としてHPCの有用性についての検討を 行うというようなことでございます。  次に、「化学物質に係る基準」でございますけれども、(1)の毒性評価では、毒性評価 の基本をざっと整理をしたものでございます。  その上で、12ページの(3)でございますが、毒性評価の考え方については、現在の知見 に照らしても、これまでの考え方を変更する理由は見当たらないというようなことで、 本専門委員会においても、基本的にはこれまでの考え方を踏襲することが適当であろう というようなことでございます。  それから、(4)といたしまして、内分泌かく乱化学物質につきましては、哺乳類、特に 人への低用量域での健康影響に対する評価方法というのが確定していない、今後の研究 を待たなければならないというようなことでございまして、現時点においては、内分泌 かく乱作用に着目した水質基準の設定は見送ることが妥当であろうということでござい ます。そうはいっても、将来の見直しのためにその準備も含めて、水道水中の存在状況 などについては監視を行っていく必要があろうということでございます。  それから、(2)暴露分析でございますけれども、TDIの水道へのアロケーションでご ざいますが、本来であれば暴露分析をするのが望ましいけれども、なかなかそういった データは取れないというようなことで、こういったものが明らかでない場合には、TD Iの10%を水道水に割り振るというようなことでございます。  (3)は処理技術と検査技術でございますが、これは従来の専門委員会でも検討されてお りますが、毒性的な観点からの基準が設定されたといっても、実際に検査できないある いは水処理できないというような場合への対処でございまして、この点については(2)の ところで、本専門委員会も基本的に踏襲するというものでございます。ただ、水道水質 基準というのは、水道において維持されることが必要であるというようなことから、基 準の設定時点において目標値を達成する処理技術が存在しないといったような場合につ いては、いわゆるBAT、Best Available Technologyの考え方を取り入れ、既存の処 理技術で得られる最小の値を基準値とすることも考慮すべきであろうというようなこと でございます。  それから、(4)基準の設定でございます。これは、先ほど来御議論いただいていますけ れども、飲用する水の量として2L、それから、人の平均体重として50kgをこれまで使用 しているということでございます。  それから、14ページの(2)は、その上で基準項目、監視項目はどういうふうな形で設定 するかという従来の考え方を引用しております。  ただ、15ページの下の(3)でございますが、先ほど申し上げましたように、本専門委員 会としては、従来の水質基準の考え方を変えるというようなことを書かせていただきま したとおり、これまでの考え方というのは多少は変更する必要があろうというようなこ とを記述してございます。  それから、(4)は農薬について特記してございます。農薬につきましては、対象とする 病害虫が地域によって違いますので、それに対応して散布される農薬の種類も異なって きます。また、病害虫の発生時期に対応して散布されるものですから、適切な時期に測 定しないと検出されることはまれであるというようなことでございます。そうは言いま しても、水道水中の農薬につきましては、国民の関心が高いというようなことで、その 毒性を十分に考慮した上で水質基準の検討が必要だというようなことを特記させていた だいております。  (5)の総論とりまとめの記載については、先ほど(3)のところで従来の基準設定の考え 方を少し変えるべきではないかということを記述しましたが、個別の物質について検討 した上でないと、具体的な記載ができないのではないかということで、後ほどここを記 述するような形になろうかということでございます。  それから、(3)「性状に係る基準」といたしましては、従来どおり設定をするというこ とでございます。  「水質検査」でございますけれども、(1)「水質検査方法」につきましては、公定法に すべきであるというようなことでございます。  (2)に書いてございますのは、水質検査技術というのは進歩に格段のものがあるという ようなことで、こういった技術革新を適切に取り入れていくことが必要であるというこ とでございます。それから、水質試料というのは地域や原水によって成分が異なります ので、ある程度柔軟性を持たせることが重要であろうということでございます。  (3)といたしまして、本専門委員会では公定検査法とされるということを念頭に置い て、次のような原則に基づき水質検査法の検討を行ったらということで、確度の高い方 法であること、定量下限値として基準値の10分の1の値が得られること、精度の高い方 法であるということ、ベンゼンなどの有害物質を極力使用しない方法であることという ようなものを最低条件として検討するということでございます。  それから、上記の条件を満たす方法が複数ある場合には、可能な限り多くの方法を提 示し、また、自動検査法が採用できる場合にあっては、積極的にこれを対応するという ようなことでございます。さらに、検査方法の記述は、基本的な部分については記述し なければいけませんけれども、その他の部分について極力簡略化し、検査者の工夫の余 地を残した柔軟な検査方法としたらどうかということでございます。  (4)として、公定法を1回告示した後、それと同等以上と認められる検査方法について は、適宜採用できるようなシステムを工夫することが必要ということでございます。  それから、2番目は「水質検査の品質保証(QA/QC)」というようなことでございま す。当然、QA/QCの重要性というのは論を待たないということでございます。既に食品 衛生の分野についてはGLPの制度が導入されております。環境測定の分野におきまし てもISO17025、JIS規格ではJIS Q 17025が制定され、GLPの制度が導入されており ます。  水道水質検査の分野におきましても、私どもが実施しております第20条機関を対象と した精度管理調査の結果を見れば、GLPの制度の導入が不可欠であろうというような ことで、第20条機関についてはGLP制度を適用させることが適当であり、水道事業者 及び地方公共団体の水質検査施設についても、これに準じて水質検査の品質を確保する よう努力していくことが必要であるというようなことでございます。  それから、GLPのほかにも、施設間の格差是正や全体の向上のために、いわゆる従 来言っております統一精度管理調査といったものもやっていく必要があろうということ でございます。  (3)は「水質検査のためのサンプリング/評価基準」でございます。水質基準というの は水道により供給される水、要するに、給水栓を出る水が満たすべき要件であり、それ から、当然水道により供給されるすべての水について満たされる必要がございます。そ うは言っても、すべての給水栓で検査を行うというのは不可能であり、現実的ではあり ませんので、一定の地点を抽出して、そこで検査をして評価するというようなことが重 要であるということでございます。  その場合、項目ごとに地点の選定が必要となります。例えば、トリハロメタンのよう なものについては、配水地から給水栓に近くなるほど濃度が高くなりますし、鉛などに ついては給配水管の溶出が主たる原因となります。他方、トリクロロエチレンなどの有 機塩素化合物などについては、浄水過程以降、その濃度が上昇することはないというこ とでございます。  農薬につきましては、先ほど来申し上げていますように、時期と場所を選ばないと検 出されない状況がございます。  例3で、鉛などにつきましては、流水を測定するか滞留水を測定するかによって結果 が大きく異なりますので、どういうふうな形にしたらいいのかということでございます 。  そういったことから、本委員会におきましては、どのような地点で採水すべきか、ま た、どの程度の地点数が必要か、どの程度の頻度で採水すべきか。得られた検査結果を どう評価すべきかなどについて検討を行うということでございます。  次に「水質検査計画」でございます。水質基準の適合状況を把握するための水質検査 は、当然、水道水質管理の中核を成しますが、一方で、水道事業者等に対して大きな負 担を強いるというようなことがございます。  そういったことから、水質基準の適合状況を確実に把握できるという前提は当然でご ざいますけれども、その上で、もう少し効率的・合理的な水質検査ができないかという 声もございまして、生活環境審議会の水質管理専門委員会におきまして既に検討が進め られておりまして、平成12年3月の報告の中で水質検査計画の制度を中心に据えた姿を 提示してございます。  その中で、水道事業者の役割といたしまして、21ページの(1)から(3)のようなことが 書いてございます。要するに、水質検査計画を作成し、それを公表するというようなこ とでございます。  以上の考え方は現時点でも有効であると考えられますので、これを現時点の目で見直 した上で、これを制度化することが適当であるというようなことでございます。  最後に、「簡易専用水道における水質管理」でございます。簡易専用水道につきまし ては、管理の不徹底で問題が生ずる場合があることから、管理の充実を図ることが重要 と考えられます。このため、今般の水道法の改正におきまして、水道事業者の方から関 与できる規定が設けられたわけでございます。  一方、規制改革の流れの中で、簡易専用水道の管理状況の検査を行う機関につきまし ても、指定制度から登録制度に移行するという状況を踏まえまして、本専門委員会にお きましては、簡易専用水道の管理のあり方あるいは管理専用水道における第34条機関の 役割、あり方、更には第34条機関に係る登録基準及び登録検査のあり方について検討す ることとしたというようなことでございます。  長くなりましたけれども、以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、まず、最初の1「水質基準のあり方・性格」についてですが、これについ ては基本的なことでありますので、特に御議論があればいただくことにして、その次の 2の「地域性・効率性を踏まえた水質基準の柔軟な運用」。例示的に示されております が、その中からさまざまな事柄やあるいは新しいシステムの概念図等が提示されており ますので、1、2のところで御意見や御質問があればお出しください。 ○安藤委員  先ほど眞柄先生がおっしゃいました、いわゆる水道技術管理者の選任というものは、 どの辺をねらっていらっしゃるのかなという気がいたします。つまり、2の方でも幾つ か出ておりますが、いわゆる水質管理に関する問題というのは、単なる水質検査が水質 管理ではないわけで、最終的に良いという判断をするには、HACCPも含めていろいろな手 段があると思われます。事業の管理者のレベルもそうですが、選任というのはここで議 論しろという話なのかお教えいただければと思います。 ○岸部水道水質管理官  最初に眞柄先生からお話がありましたけれども、その辺りの問題についてもこの委員 会の場で御議論いただいて、今後こうあるべきだという御提言をいただくのは非常にあ りがたいことだと思っています。ただ、それを直ちに現行の法制度の中で組み込むとい うのはなかなか難しいかと思いますが、水質管理というのは水質検査だけではないと承 知しておりますので、今後、どういった形が適切かというようなことは御議論いただく 必要があろうかと思います。  その意味では、この資料の7ページの(9)(10)辺りで記載があります。この部分は総論 でございますので、いわゆるHACCP的な考え方のみ言及してございますけれども、体制も 含めて御議論や御提言をいただければ、今後の水道水質管理に役立たせていきたいと思 っております。 ○眞柄委員長  今の安藤先生のことに関して、前か前の答申で水道事業体の中で水質検査何とか者を つくれとか、置けというのが報告書にありませんでしたか。だれか担当者を置くとか何 とか。 ○安藤委員  それは、意見としては言いました。 ○眞柄委員長  ありましたよね。報告書には書いてありましたか。 ○安藤委員  報告書にあったかどうかはよく覚えていませんが、そういうものをつくらないと、水 道技術管理者というのは、先ほどの温度差もありましたけれども、事業体の温度差もも っとあるわけです。それを一律にくくるのはおかしいでしょうという議論はした記憶が ございます。それが書いてあるかどうかはわかりませんが。 ○眞柄委員長  ほかにありますか。 ○中村委員  目標設定物質リストというのを今度考え方として入れられているみたいなんですが、 これは、誰がどういう物質をいつこういう物質リストにするのか。現在も水質基準があ って監視項目とか快適水質とか、その全部に掛かってこれから設定しなくてはいけない 物質リストをつくるということはわかるんですが、どこでどういうふうにいつというこ とはどういうふうに考えているのか。 ○岸部水道水質管理官  水質目標設定物質リストというのは、基本的に私どもが公表させていただくというよ うなことを考えております。ただ、具体的な物質については、今回の検討の中で水質基 準の設定について検討したけれども、水質基準の今回のクライテリアからは入らないだ ろうと、でも注意しておく必要があろうというのを今回のこの専門委員会で御提言いた だき、私どもで情報を整理してまとめる形で公表させていただこうかなというふうなこ とを考えております。 ○眞柄委員長  わかりました。ほかに。 ○宇都宮委員  私も水質目標設定物質リストの資料を読んだんですけれどもわかりにくい点がありま して、そうしますと、今の水質目標設定物質リストというのを厚生労働省が、快適水質 項目、監視項目、そしてゴルフ場使用農薬の中から最終的にリストアップするというこ とですよね。新システムの概念図のところが非常にわかりにくいんです。すみません。 ○岸部水道水質管理官  現行の水質基準、監視項目、快適水質項目、ゴルフ場使用農薬という区分けがありま すけれども、それをいったん同じテーブルの上に載せて、その上で水質基準に振り分け るもの、それから、水質目標として公表しておくべきもの、それから、それ以外の当面 は注意を払わなくてもいいものに今回振り分けていただけるのではないかと期待してお るところでございます。 ○大谷委員  監視項目とか快適水質項目というくくり方は無くなるというふうに考えていいんです か。 ○岸部水道水質管理官  どちらかというと、従来、監視項目というふうにされておりました物質を水質基準に するようなイメージでとれえていただければと思います。例えば、従来の全国的な検出 率が低いため監視項目とされていたようなものも、今回はそれを水質基準として設定し たらどうかということでございます。そうはいっても、それが全く検出されないような 水道事業体で検査する必要はないけれども、それが検出されるような地域においては、 当然、基準項目として検査をしていただくというようなシステムをここで書いていると ころでございます。 ○宇都宮委員  私がこれを読ませていただいた理解では、こんなふうに考えていたんですが、それと はちょっと違うのでしょうか。環境基準では各都道府県で横出し項目がありますよね。 要するに、監視項目、快適水質項目、ゴルフ場使用農薬という従来の枠組みは残してお いて、けれども、その中でどうしても地域性が高くて、これは水質基準に格上げした方 がいいと思われるものは、その地域という単位がやはり都道府県ぐらいになるのかなと 思っているんですが、横出しという形で水質基準に上げるというようなイメージでいた んですが、それとはちょっと違うのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  従来の項目は全く残さないというふうなことでございまして、環境基準とは違いまし て横出しという思想は水道法では規定されておりません。当然、基準としての母集団は 水質基準として国が提示し、その上で、地域で必要な項目については、それぞれ各水道 事業体が判断をするような仕組みを考えたらどうかということでございます。 ○谷津水道課長  それは、見直しの必要性をもう一度説明されたらいいのではないですか。どうして縦 を横にしたか。 ○岸部水道水質管理官  例えば、北海道を例示に挙げて恐縮ですが、北海道のヒ素、現在はヒ素というのは水 質基準項目になっていますけれども、現在、水道で問題を生じているのは北海道のその 一帯だけなんですが、例えば、現在そういった形で水質基準項目になっているものはい いですけれども、そういった物質で現在監視項目になっている物質がある場合には、そ ういったものについては、水質基準に入れたらどうかというようなことでございます。 ○谷津水道課長  多分、今までの行政の流れからして、きっちり法律に基づいて行政を展開しろという 要請が非常に強いわけで、そういうふうに考えますと、水道法で水質管理をやろうとす ると根拠は水質基準がございます。したがって、水質基準をできるだけしっかりしたも のにして、余分な監視とか快適とかゴルフ場とか、これは行政指導ベースでやっている ものですから、こういうものをできるだけ無くして法律の体系に近づけようという、こ れは社会的な要請ということもありまして、したがって、できるだけ今までの縦で来た ものを一度水質基準というところに集約しようと。だけれども、そうなると非常に項目 数が増えてしまうものですから、そこは運用上で少し柔軟性を持たせるための知恵を出 そうということなんです。水質基準の予備軍はそれなりにあるでしょうから、それを目 標設定物質リストということで、要監視項目という名前ではありませんが、今後、いろ いろな動きによっては基準化していくための予備軍とお考え下さい。全部まな板に乗せ て、縦のものを横でちょっとお考えいただければありがたいなということだろうと思い ます。 ○中村委員  そうしますと、水質基準は基準としては全国一律で、測定をする、検査をするという ことが地域性をということでよろしいですか。 ○眞柄委員長  そういうことですよね。基準はとにかく一覧表みたいなものが出てくると。でも、水 道事業体によって、うちはこの項目とこの項目を選んだ水質検査計画を立てますと。こ の水質検査計画が妥当であるかどうか、監督官庁がいいよと言ったら、それがその水道 事業体の水質基準項目になるという理解ですよね、基本的には。それは、判こが要るか 要らないかは別にしても。それは結果責任で、選ばなかった項目で何かトラブルが生じ たら、水道事業管理者と技術管理者はおとがめを受けるようになるという理解でいいで すよね、基本的には。  そういうことだそうですから、我々専門委員会の立場とすれば、何でもかんでも押し 込んでしまって後は知りませんよというやり方もあるし、非常に無責任な言い方かもし れないけれども、そうはいっても常識の範囲で、全国レベルで見たときに役所的に言え ば基準値の1%ぐらいを超えるものは水質基準に入れておかないとならないだろうとい う感じになるんでしょうかね。  ほかに、国包先生ありますか。きっとあるでしょう。 ○国包委員  今のことも私も随分気になっていますので余り重複したことは申し上げませんが、た だ、個別の項目の取扱いとカテゴリーの分類がかなりごっちゃに話が出てしまっている ような気がするんです。確かに、基準と通達でリストアップすべきものというのは現在 でもそうですし、今後もその基本線は変わらないと思います。ですから、今、縦が横に 切ってありますけれども、縦は縦のままでこういうふうに範囲を広げるとか、当然項目 の一部見直しはあるわけですから、考え方としては今までと基本的にそう大きくは変わ らない。ただ、監視項目で特に問題になるようなものは基準に挙げてしまうんだと、そ このところが基本的に違うというふうに私は理解しているんですけれども。 ○谷津水道課長  水質基準の中の柱というか、項目ごとのグルーピングがあり得て、そういうグルーピ ングの中にはこういう縦の要素があるんだろうと思うんです。それは残ると思うんです 。だけれども、一応その全体像は水質基準なんだと、水道法第4条なんだという体系に させていただければという感じなんです。 ○眞柄委員長  だから、第4条は第4条としてちゃんと死守して。だから、それで検査計画をつくっ たときには水道計画指導室長さんが見るのか、水道水質管理官が見るのか、水道課の中 ではどっちが見るんですか。 ○岸部水道水質管理官  それにつきましては、多分これは志々目補佐の方が制度上詳しいんですが、認証制度 というのは難しいと思います。ですので、各事業体を立入指導したときに、当然指導項 目として見るということになります。そういう意味では、指導ということでは矢野室長 のところになりますし、当然私どもも同じ課ですから。 ○国包委員  私は、そこのところが非常に問題だと思うんです。今度はそうでなくても検査義務が 一部免除になるというケースがかなり出てきますので、大きいところは自前である程度 判断が適切にできるでしょうけれども、大半のところはまず無理だと思うんですよ。そ うすると、場合によっては判断能力がない場合には、項目がばっと増えるわけですから 、切るに切れない。そうすると、余計な負担になるといったケースも出てくるでしょう し、やはり何がしか、例えば各都道府県なりで有識者にチェックしてもらえるなり、助 言的なものでもいいですが、何か適切な助言がもらえるようなシステムが欲しいなと思 います。国直轄の場合もまた、是非そういったことと抱き合わせで監視項目を格上げと いうことをお考えいただきたいなと思います。 ○眞柄委員長  だから、基本的な問題はこういう考え方でよしと理解をするとして、このテキストは 担当が随分御苦労されて書かれているのだろうと思うんですが、やはり一番の問題は水 質監視と水質検査は違うんですよね。違うように書き分けていらっしゃるんだけれども 、どこかのところで水質監視というのはどういうもので、だれが主体的に行うものであ って、水質検査というのは、水道事業者が行うのが水質検査であるわけですから、その 結果が水質監視とどうつながるのかというようなことをどこかで定義かもしれませんが 、ちょっと書いておいた方が理解はしやすいかもしれない。  水質監視というのは、今の水質監視は項目を測定することだけでなくて、WHOなど で言っている言葉を使えば、サニタリー・サーベイランスも入るわけですよね。ですか ら、そういう意味の水質監視というのをやって、いわゆる衛生行政というかパブリック ・ヘルスの立場から、この水道事業体はこういう水質検査をすることが妥当であるとい うことを水道事業者に知らせたり、水道事業者が自ら作ってきた水質検査計画に対して 指導するか、意見を差し上げるかというような枠組みで動くんだというような流れで、 多分担当もお考えになっていらっしゃるし、私もそれでいいだろうと思います。  もう一つは、実はそういうことをすると、国包さんが先ほど言われたように、その中 をつなぐ組織が必要になる。その組織が環境基本法で言えば、都道府県が監視計画をつ くるというのは審議会でやっていると。では、水道ではそれがないからどうするか。そ ういう役所の審議会なり専門委員会に県がつくってやるのを考えるのか、もうそんなも のはやめて、民間のコンサルタントでいいではないかというふうに考えるのか、それは もう少し、先ほど課長がおっしゃられたように、今後日本のこういう分野のいわゆる行 政とビジネスの展開を見て、どこが収まりどころかというのは見ていただくということ ではないかなというふうに思います。  それでは、その次の3「逐次改正方式」でありますが、これはこんなものだろうと思 います。当たり前のことが書いてあるだろうと。もう時間もあまりないので少しだけお 話ししたいと思いますが、やはりここのところで、データベースを国としてきちんと位 置付けるというようなことを書いていただかないと、だれがデータベースをつくるかと いうのは、状況の把握だとか要否の検討というのは、要するにデータベースがないとで きないわけですよね。データベースをつくるのは国の仕事なのか、県の仕事なのか、水 道事業者の仕事なのか、今の水道統計も行政統計というか法律で定められた統計ではな いですよね。だから、この辺でやはり水道の統計を行政で定めた統計にできるかできな いかわかりませんけれども、要するに、水道データベース、水道技術研究センターなり 水道統計、日本水道協会でおやりになっていらっしゃいますけれども、あれは言うなれ ば、少しはお金が出るかもしれませんが、実質的には補助金、公共事業調整費補助だっ たし、都道府県の方もデータを打ち込むのも出せと言われたから出しているのであって 、嫌だというなら出さなくてもいいので、やはり全部上がってくるようなデータベース 制度をここで書いていただいて、そうでないと、水道業界も水道技術研究センターもあ れのメンテナンスコストが掛かって実際大変ですよ。だから、この辺のところでそれを 書いておいていただくと、今後我々は助かりますので、ひとつお願いします。  では、その次の「水質基準設定に当たっての考え方」ですが、これについては、主要 課題について主査の先生からメモも出ておりますので、微生物にかかわる基準について 、遠藤先生から補足的な御説明をいただいて、それについて委員の方々の御意見をいた だくことにしたいと思います。お願いします。 ○遠藤委員  基本的には、案に示されているとおりですので、特に大きく追加するところはござい ません。例えば、具体的に(1)の(3)の(1)では、現行の基準にある「大腸菌群」から「大 腸菌」に変えることができるか、あるいは変える必要性があるのかということにつきま して検討したいと考えております。現在用いられている検査法の中には、大腸菌群と大 腸菌が同時に測れるようなシステムがございます。そういう検査法を採用していけば、 両方の検査結果をつき合わせすることができるわけで、これまでの検査の継続性を保ち つつ、無理なく導入が図れるものと考えております。  それから、一般細菌の指標としての妥当性について、この際に検討してみたいと思っ ております。当然ながら、まず是非論から始めたいと考えております。 また、従属栄養細菌につきましては、特に、配管系などの中での微生物の増殖との絡み で、指標としての価値を検討するところから始める必要があろうかと思っております。 当然、ほかの分野をご担当の先生方の御意見をお伺いしなければいけませんが、あわせ て検査のための採水地点や検査回数等が検討課題となるものと考えております。関連す る分科会で御検討いただけたらと思っております。  クリプトスポリジウム問題に関しては、御承知のように、これまでの病原微生物と異 なり塩素消毒が有効でないということから、どのような対策が取れるのか、あるいは対 策を取らなければいけないのかをお示ししなければいけないものと考えております。い ずれにせよ、重要課題だと認識しております。  この件に関しては、HACCPのような管理に関する概念を導入することが必要になるかも しれません。また、(5)の(4)のところに書いてございますように、例えば、塩素耐性の 微生物に係る措置として「適正なろ過操作を行うべきこと」というような措置について の規定を設けることができるかどうか、あわせて検討しなければいけないと思っており ます。  それから、繰り返しになりますが、レジオネラを含め配管系における微生物の繁殖の 問題というのは、我が国では今のところあまり話題になっていないかもしれません。 もっとも、水道水がレジオネラ感染症にどの程度寄与しているのかということについて のデータは我が国にはございませんし、世界的にも乏しいと思われます。反面、WHO の会議での話を総合いたしますと、集団発生ではなく本症の散発例においては、水道の 寄与を否定できないとする研究者もおります。この際に、配管系などでのレジオネラの 増殖に関しても、検討すべきであろうと考えております。このような観点からも従属栄 養細菌の有用性について検討してみたいと考えております。  以上でございます。 ○眞柄委員長  では、平田先生、何かございますか。 ○平田委員  以前にもちょっと御相談いたしましたので特に異論はないんですが、10ページの(4)の ところにございます衛生上の措置の中の、消毒その他の措置としてろ過だけが記載され ていますが、二酸化塩素も、UVもまさに消毒技術です。これらを、消毒その他の措置 のための処理技術に含める方向で考えて良いのかどうか。今、世界的にはクリプトスポ リジウムに対するUVのすぐれた効果が既に認証されており、アメリカもヨーロッパも 、必ずしもクリプトスポリジウム対策としてはうたっていないにしても、水の消毒技術 としてはうたっております。それから、世界の知見を見ますと、UVで感染性を喪失さ せるという観点から見た場合には、下水で使われている消毒装置の転用で必要十分量の 不活化が達成できますので、それを水道に適用しないでいいのかどうかというのが、大 変気になっているところです。 ○眞柄委員長  結局、ここで「消毒に加え」という消毒の定義が、今は塩素剤による消毒としか書い ていないので、消毒の定義を今のUVでもオゾンでも二酸化塩素でも、それこそ電子線 でもいろいろな消毒の方式が水道では既に、我が国ではないにしても実用化されている わけですから、そういう意味では、消毒というのは非常に意味がある言葉なので、消毒 の言葉の定義を少し広げるということでいけば、要するに、ろ過とか膜ろ過もそうです が、除菌・除濁の除く方で、消毒、ディスインフェクションとかインアクチベーション ではないので、そういうインアクチベーションなりディスインフェクションの単位プロ セスとして、塩素剤とかUVとかオゾンとかいろいろなものがあるんだよというような 定義付けにしていただけると、前進するかなという気がしますが。  ほかに、消毒関係でございますか。 ○遠藤委員  ちなみに、この前のWHOの会議では、新しいガイドラインの中で比較的一般的な形 で紫外線による消毒が取り上げられるのではないかとの印象を持ちました。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、化学物質関係で、江馬先生お願いします。 ○江馬委員  化学物質関係のことは、毒性評価で従来やられていました方法で、現在でも標準的に 行われている方法でありまして、基本的には、最小毒性量あるいは無毒性量を基本とし た毒性の評価になると思います。  それから、新しい問題として話題になるのは内分泌かく乱作用ですが、内分泌かく乱 作用のうちでも毒性の面で一番問題になるのは、低用量効果をどう判断するかというこ とになると思いますけれども、これは、ここに書きましたように、まだ低用量評価の評 価法が確立しておりませんので、そのことをこういう基準値とかに盛り込むことは、現 在のところ無理ではないかというふうに考えています。  既に、監視項目でフタル酸エステルのDEHPとかダイオキシン等の値が入っておりま して、これは従来の毒性の評価の仕方で入っていると思うのですが、もし盛り込むとな れば、そういう従来の毒性の評価に基づいた値になろうかと思います。  以上です。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  ほかにございますか。13ページの一番最後のところに、BATの話が入っております が、これはそのとおりなんですが、やはり前提として「感染症対策である消毒操作をお ろそかにしない限りにおいてBATを」というのがやはり要るだろうと思いますので、 そこは何でもBATだというわけではなくて、基本的にはやはり消毒操作というのがパ ラマウントであって、その上に立ってBATだよということを書いておいていただいた 方がいいだろうと思います。逆に言えば、いずれ議論になるかしもれませんが、臭素酸 の数字をどうするかといったときに、さっきはオゾンしか書いていませんが、次亜塩素 酸ソーダ、特に生成次亜では臭素酸ができるわけですよね。そうすると、水質基準にな ったときには、施行されたらその日からそれを守らなければならない。でも、次亜の生 成から次亜の購入に変えるためには、しばらく時間が掛かると。その間はしようがない ではないかとか、そういうこともあるかもしれないので、そういう意味では「消毒操作 をおろそかにしない限り」という文章は、やはりどこかで入れておく必要があるだろう と思います。  国包先生、いかがですか。 ○国包委員  特にありません。あえて言えば、農薬のことがちょっと。 ○眞柄委員長  ここでは農薬は詰められていないので、よろしいですか。基準のところまで来てし まったんですね。では、農薬のことはどうするのかな。 ○平田委員  ちょっとよろしいですか。化学物質のところで初めて出てきたものですから、先ほど 微生物のところで申し上げなかったんですが、「基準の設定」というのが13ページにご ざいますけれども、微生物の関してもここの基本的な考え方といいましょうか、1日飲 用する水の量は2Lというのは、微生物についてもそれを踏襲するというふうに読むべき なのでしょうか、それともこれは化学物質に限ってこうであるというふうに読んでおい て、先ほどの遠藤先生の方から御説明のあったように、それは考慮の対象にしてもよろ しいかどうかということです。 ○眞柄委員長  では、遠藤先生、1日2Lでリスクをどうするかとか、その辺のところを次回までに少 し基本的な原則を書いておいていただけますか。皆さんと議論して、10のマイナス4乗 が当てになるかどうかわかりませんけれども、やはりそういう議論をしましょう。その 上で、科学的な知見がというよりも、要するに臨床のデータなりあるいは疫学的な情報 が我が国ではまだ少ないから、発症しない、無作用量前提で値を決めたというようなこ とになるかもしれないし、その辺のところをやはり一度議論しましょう。 ○遠藤委員  はい。 ○西村委員  12ページに、例えば内分泌かく乱化学物質の存在状況の監視等というようなことが書 いてありますけれども、一般的に化学物質、先ほどの枠組みですと、選択の余地が出て くると眞柄委員長の方からデータベースをきちんとすると。そのための情報の収集が全 国的になされないと、なかなかしっかりとしたデータベースができないと思うので、そ の辺の考え方というのをきちんと議論をしておいていただけるといいのかなというふう に思います。 ○眞柄委員長  わかりました。多分それは、その次の暴露分析と関係すると思いますので、どこかで また書いてもらうことにしましょう。  「基準の設定」の後ろの方に農薬のことが16ページに書いてありますので、農薬のこ とで国包先生何かございますか。 ○国包委員  私の直接担当では必ずしもないんですが、先ほど来の話で、今後は特定の地域でしか 問題とならないようなものも基準項目の中に入れていくというお話でしたよね。恐らく 、そういった扱いをするときに、農薬の取扱いをどうするかというのはかなり大きな問 題になると思うんです。農薬の検出特性とか、使用の特性とかも今改めて申し上げても 意味はないと思いますけれども、そういったことも考慮して、農薬全体の扱いをどうす るかというのを、これはサンプリングのこととか評価のこととか全部含めてですが、ち ょっと別立てで検討する必要があろうかと思います。少なくともここに書いてあること は、これはこれで妥当なことが書いてありますが、具体的にどう扱うかというのが大問 題になると思います。 ○眞柄委員長  これについては、先ほどのことと同じように、江馬先生には毒性評価の方を中心に、 専門的に御協力いただくことになっていますが、西村先生、ちょっと農薬について基準 の立て方の基本的な考え方について、メモを御準備いただけますか。 ○西村委員  はい。今準備しております。 ○眞柄委員長  お願いします。  それから、私から1つ。「性状に係る基準」で発泡性の話があります。今、MBASが 入っていますが、MBASの0.5mg/Lというのがありますが、ノニオンの問題もありますの で、発泡のことについてはちょっと見直した方が、要するに、性状に係る基準の「性 状」というのは一体何だというようなところで「色・濁り・においなど」と書いてある から、泡も「など」の中に入っているかもしれないけれども、これはもともと法律の方 では「色・濁り・におい」というふうになっていますので。ただ、泡のことも忘れない ようにしましょうということです。  では、次の「水質検査」のところを安藤先生、お願いします。 ○安藤委員  水質検査の項は、基本的にここにお書きいただいた考え方でよろしいのかなというふ うに思います。ただ、今までの公定法というのは、単に省令に方法だけしか書いていな いということから、もう一つ踏み込もうという意味では、いわゆる平成4年以前のスタ イルに戻るということになるだろうなと思います。いずれにしても、よりどころを明確 にするということが必要だと思います。  それから、幾つかあるのでしょうけれども、測定方法を1つではなくて複数設けると いうのは、平成4年のときはそうしたんですが、そこで発生する問題としては、Aとい う方法とBという方法の違いが出てくることです。この相違をどうしたらいいか、どの くらいの許容範囲をOKとするか、考え方を明確にしておかなければと思っております 。  あとは、ここにお書きいただいたようなことをできる限りやっていくということにな ろうかと思っています。  それから、その次の水質検査に関するものとしては、資料3の説明は後でするのでし ょうか。 ○眞柄委員長  いえ、もう一緒にやってください。 ○安藤委員  それでは、資料3の方の具体的にどういうものを検討していくかというのは、4ペー ジ、5ページに若干書いてございます。一般的なお話が幾つか書いてあります。そうい うものの試験方法をちゃんとしようということです。それについては、私どもは監視項 目までも含めて、あるいはそれ以上の測定法も検討しておりますので、対応は出来つつ あるというところですが、若干考えておかなければいけないだろうということがござい ます。それは、5ページの個別としては、先ほど遠藤先生から大腸菌群あるはい大腸菌 のお話が出ましたが、そのデータは私どもは多少持っており、それについてもうちょっ と踏み込んだデータ収集をしようというふうに思っています。基本的な考え方として誤 陰性というのは困るということがありますから、我が国の一般的な水道あるいは水道原 水の中で誤陰性になる可能性がどのくらいあるかという基本的データ収集を行わなけれ ばいけないなというふうに思っていることが1つ。  それから、もう一つ、2番目の有機物の使用として今まで過マンガン酸カリウム消費 量というのを使っておりました。これは、当然もう100年あるいは120年以上前の試験法 なわけでして、それが今まで残っている、それはそれなりに非常に有効な手段として使 ってきたわけですが、もう一歩先に進む必要があるだろうということから、過マンガン 酸カリウム消費量、環境水ではこれをCODという形になるのでしょうけれども、もう 一つ踏み込む。つまり、データのQA/QCまでも含めて考えますと、TOCというものに 踏み込んでみようというふうに思っております。それについては、先ほどの大腸菌と同 じように、全国の状況というものはどうか、それとの整合性はどうかということを考え ていこうということでございます。  それから、もう一つ先に行きまして、QA/QCの問題でございますが、これは何度も私 も申しておりますので、いろいろな整合性という観点あるいは民間が参入するというこ とと水道事業体の在り方ということから考えると、どうしてもQA/QCについて、もう一 歩踏み込むということを考えなければいけないというふうに思っているということでご ざいます。 ○眞柄委員長  では、国包先生、サンプリングのところをお願いします。 ○国包委員  資料2の方では、18ページの一番下から書いていただいております。基本的に、こう いう方針で私自身やらせていただきたいと思っております。サンプリングの方法とか評 価の考え方に関しましては、突き詰めれば先ほどの検査か、監視かというようなことに もなってくると思うんですが、要は、飲み水が基準に適合している、適合していない、 その判定をするためのサンプリングの場所ですとか、箇所数、それから、頻度といった ことを基本に据えて、それも水質基準項目に考えとしては一応限定してやっていきたい と思っております。ただ、勿論それだけでは済まないわけでして、基準を超えたときに どういうふうに考えるのか、これは評価に踏み込むことになりますけれども、そういっ たことについても何がしか、ここにはその点は具体的に書いていなかったと思いますが 、踏み込んで検討はしておかなければいけないだろうというふうに思っております。  それから、原水ですとかあるいは水源の水ですとか、いろいろな段階での水質の監視 ということも併せて非常に大事になってまいります。そういったものについて、今の基 準適合、不適合というのとは別の目で、これは、むしろガイドライン的なものをつくれ ばいいというぐらいの考え方で整理をしていきたいと思っております。  こういったことについて、項目群ごとにというのはかなり無理がある場合があると思 いますので、1項目、1項目最終的にはつぶしていかなければいけないというふうに思 っております。  それから、もう一つ、水質検査計画のことなんですが、これも基本的には先般の専門 委員会の報告書の考え方が基本的に私は妥当だと思っておりますが、今の時点で改めて これを見直さなければいけないと思っております。  それと、これは、先ほど来のいろいろな議論も考えて、今の時点で私の単なる感想で あるんですが、例えば21ページにも書いてございますけれども、こういった意味での水 質検査計画というものと、それから、水道水質管理計画、これは作る主体も違うという ことではありますが、私自身は一応の区別はついているつもりではありますが、非常に 近いし、何とかうまく整理ができないかなというふうに思っております。それで、今回 はまだ十分な全体のサンプリング方法ですとか、評価方法あるいは検査計画についての 取りまとめができておりませんが、12月が一応の目途ということですので、鋭意頑張っ ていきたいと思います。  以上です。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  何かここのところでありましょうか。 ○平田委員  ちょっとよろしいですか。精度管理の調査は安藤先生の方でしたか。微生物関係の精 度管理データというのもお持ちですか。例えば、一般細菌だとか大腸菌群だとか、微生 物検査の精度管理調査結果についてですが。 ○安藤委員  それは、ないのではないでしょうか。 ○眞柄委員長  微生物の方は、やはりGLPなんですよね。だから、ふらん器の温度が何度だったと か、培地は作ってから何回実験したものしか使ってはいけないとか、そういうGLPの 仕組みの中で精度を保証させるようなことしか考えられないのではないかと思いますけ れどもね。 ○安藤委員  それは、前回の委員会でも出ましたけれども、全くそのとおりだと思います。HACCPの 考え方を導入するということは、当然こちらもそこをしっかりやらなければ何の役にも 立たないというふうに思っております。まさに、QA/QCも含めて、それはちまたで ISO9000とHACCPは両方セットで出しているということが結構ございますので、そういう ふうな形にしていかないと意味ないだろうなという感じがしております。 ○平田委員  GLPでやっておいた上での精度管理があるのかなとちょっと思ったものですから。 それが、実はかなり大きな問題として微生物の場合には出てくる可能性があるかなと思 います。 ○眞柄委員長  だから、公定法をするというのは厚生省令で定める試験法でしょう。JISではない んでよすね。だから、それはそれとしていいと。QAはGLPのルールのQA/QCと、化 学物質に関してはガイド25のGLPのQA/QCのやり方と、両方水道では適用するよと。 問題は、それを認証するのがだれか。だから、そこが足りないんですよ。実は無いんで すよね。ですから、制度をつくってもそれをどう生かすかというところが、今は要する に民間の仕事ですから、そこは受け皿があるのかと言われたら、いや、受け皿はだれか いないかと。平田先生のところ大学でベンチャーでやってもいいわけだから。中村先生 のところでも結構ですが。  それと、今日、古米先生が御欠席でメモをいただいているんですが、やはり水質監視 をするときに、水質検査もそうなんですが、例えば農薬などの場合には、地域の農薬の 施用の計画というのは大体できているんですよね。前の農薬年度の段階で。あるいは一 月単位で見れば、来月の何日くらいからこの流域では何を何kgまきますよというのは大 体わかる。そういう情報をきちんと入手できるような枠組みを、水質監視の枠組みの中 で工夫をしてもらえないだろうかというのが1つ。  それから、もう一つは、古米先生も要するに河川なり農政の人たちの連携のことをお 話になっていらっしゃいますが、水道事業体なりあるいは都道府県の試験所が1級河川 の水をくみに行こうといったら、くませてくれないところがあるんですよね。これは河 川管理者の仕事で、お前たちが立ち入れることはならないというところもある。そうで ないところもある。でも、それは逆に言えば、水道事業体が河川管理者から自分のとこ ろの水道の取水部分から上流何kmぐらいまでは、河川管理者から水質監視を受託すると かいろいろな方法でもいいという形で、実質的に水道事業者なり都道府県の水道担当部 局が川の水を原水を取りに行けるぐらいの連携を、やはり健全な水循環の各省連絡会議 でひとつやってもらえないかと。宮ケ瀬ダムでも結局、神奈川県は自分で入れないそう ですよ。だけれども、あのダムをつくるための建設費用の7割ぐらいは神奈川県の水道 事業体が払っているのに、何で行けないかという話もあるので、そういういわゆる流域 全体管理、watershed managementの中で、水道事業体なり水道行政部局が連携できるよ うな枠組みを少し、それが基準とは直接関係ないかもしれませんけれども、監視計画な り検査計画のところで書いていただけるとよろしいかと思います。平田先生がクリプト の調査をしようと思ったら、何でお前は川の水を取っていくのか、クリプトを測るなん て、けしからんと言われないとも限らないようですので。 ○平田委員  まだ言われてないですけれども。 ○眞柄委員長  それでは、最後の簡専水ですが、これは私が担当になっていますが、御存じのように 法律が変わりまして、水道事業管理者が自ら簡専水の検査指導をするようになったとい うことと、従来の第34条機関もありますし、第34条機関が登録機関になりますので、状 況が随分変わってきておりますので、今後、簡専水の適正な管理のために、どういうこ とが必要であるかというようなことを検討したいと思っております。  以上で、素案について各主要課題について作業方針も含めて御議論いただきましたが 、改めて特に何かこれをということがありましたら、どうぞお出しください。 ○宇都宮委員  評価方法、これは江馬先生にお聞きした方がいいのもかもしれませんけれども、飲料 水からの寄与率が10%云々というところがありますよね。それは寄与率が明らかでない 場合は10%とするとか、明らかになった場合は、私の記憶だと20%という場合もあった ような気がするんですけれども、その辺の調査というのはされていて、今回の基準改正 にはどのように反映されるのでしょうか。一律に10%でというのは疑問に思いましたの で。 ○眞柄委員長  私からお話ししたいと思いますが、今ここで書かれているのはWHO等であるいは国 内の化学物質のTDIなり食品や環境の基準値を定めるときの一般的なルールです。W HOもこのルールでクライテリア・ドキュメントをつくると思います。ところが、例え ばここではNOAELで100を使っている。LOAELだったら更に10を足すということを書いてあ るんですよね。ところが、WHOがそれをやらない場合もあるわけです。LOAELだけど 100だというようなものについては、江馬先生が中心になって、もう一度元の毒性データ を見ていただいて、やはり1,000なんだというようなことがあって、WHOのものと変わ ることもあり得る。  それから、WHOの今度の幾つかのものについて、10%ではなくて50%などという数 字が書いてあるものも出てくるだろうと。特に、トリハロについてはWSTで、この間 シャワーを浴びた後の血中のトリハロメタンの濃度が上がっているというレポートが出 てくると、やはりあれは50%にした方がいいという話が出てくるかもしれない。そうす ると、それが、では日本人の平均的な暴露水準から見て50%か30%かというようなこと を日本の状況を見て見直すことがあって、やはり10%でいいやとか、やはり30%だとい うようなことは、その都度見ると。全くないときには10%で非常に控えめにいくという やり方を採用せざるを得ないだろうというふうに思います。ということで、要するに何 も情報がなければ10%。もっときついのは、食品の方が余り多いものだから、水はぐっ と隅っこの方においやられて1%などというのがありますから、それはやはり暴露量の 情報があるものについては10%から多くなることもあるし、少なくなることもある。な ければ10%だというふうに対応していかざるを得ないだろうというふうには思います。  それでは、一応、時間をちょっと過ぎていますので、今日は大変重要な御意見をいろ いろいただきまして、ありがとうございました。今後また今日御議論いただいたような ことを踏まえて議論を進めていきたいと思います。次回以降は、だんだんと具体的な課 題について御議論をいただくようにしたいと思いますので、よろしくお願いします。  その他ですが、参考のために次回以降の予定を事務局からお話をいただきたいと思い ます。お願いします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、次回の第4回は、前回お決めいただきましたように、11月8日の10時から 開催させていただきたいと思っております。更に、引き続き第5回を12月9日の10時か ら開催させていただきたいと思います。 具体的に御審議いただきたい点は、本日の参考資料3でお配りしてございますけれど も、次回につきましては、水質基準の在り方の各論の1回目といたしまして、微生物の 基準、化学物質の基準、水質検査法。これらの各論について御審議いただければという ふうに思っております。12月の第5回におきましては、各論の2回目といたしまして、 水質検査のQA/QC、それから、サンプリング・評価、水質検査計画。もし可能であれば 、生活環境水道部会への中間報告案について御審議いただければというふうに考えてお ります。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。 ○平田委員  ちょっと質問してよろしいですか。第4回ですが、水質基準の在り方の各論1で、冒 頭に「微生物に係る基準」と出てきて後は出てこないんですが、ここで基本的にまとま っていないとどうしようもないということではないですよね。 ○岸部水道水質管理官  そういうことではなくて、それは1回目でございまして、次に来年の1月に、個別項 目の水質基準の設定について具体的に御審議いただければと思っております。 ○平田委員  わかりました。それにしてもきついですね。 ○眞柄委員長  こういうものは議論してもいつまで経っても決まらない、そういう言い方は不謹慎で いけないかもしれませんが、要するに、いろいろと不確定なというか、科学的にあいま いな部分はわかっている。それがゆえに我々は研究しているわけですが、現時点でここ までは間違いないというので、やはり線を仕切って、ここではこうだということをしな いと、いつまで経っても行政目標である水質基準ができませんから、そういう意味では 、もうここでというふうに考えていただいて、ここだったら、この考え方、こういう事 実に基づいてこういう基準はできるということにして、当然のことながら報告書ですか ら、例えば微生物についてここまで決めたけれども、今後こういうテーマについて科学 的な研究を進めていけば、妥当性がますます確たるものになったり、あるいは場合によ れば基準値を更に追加するなり考え直さなければならないということは、当然のことな がら報告書ですから、最後の段階では記述されるというふうにお互い考えて、余り固く ならないで、ここまでだというふうに、ここの時点でというふうに対応したいと思いま すので、よろしくお願いします。  では、今日はどうもありがとうございました。                    −了− 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4032)