02/10/03 確定拠出年金連絡会議(第3回)議事録              確定拠出年金連絡会議(第3回)                    議事録                平成14年10月3日 確定拠出年金連絡会議(第3回) 議事録 日時  :平成14年10月3日(水) 10:00〜12:00 場所  :厚生労働省 専用第22会議室(18階) 出席委員:御手洗座長、今井総合人事担当(大場委員代理)、河合委員、徳住委員、      長久保委員、中村委員、秦 委員、渡邊委員、吉野委員 オブザーバー      田村正雄(社団法人生活福祉研究機構理事)      土井康晴(社団法人生活福祉研究機構専務理事)      石田成則(山口大学経済学部教授) 関係団体等      小島 茂(代)村杉直美(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局部長)      小野 明(日本商工会議所新規プロジェクト担当付副部長)      持永哲志(経済産業省経済産業政策局参事官) 事務局      厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課 ○ 御手洗座長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第3回確定拠出年金連絡会議」を 開催いたします。  本日は大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。  初めに、8月30日に審議官に就任されました、井口審議官よりご挨拶をいただきた いと思います。よろしくお願いいたします。 ○ 井口審議官  おはようございます。ただいまご紹介いただきました大臣官房審議官の井口でござい ます。  私は年金局がこれで三度目に相なりますけれども、この間、制度に様々な改革が行わ れまして、その中の一番大きな柱の一つが、今回のご意見をいただいています確定拠出 制度ということになろうかというふうに存じます。私も何年か前、介護保険の導入のと きに、その業務に携わった経験から、その導入に当たっては大変関係者の方々にご苦労 いただいた。この新しい制度につきましても、大変皆様方にご苦労をおかけしているの ではないかというふうに思っております。その際、介護保険の経験から申し上げますと 、比較的順調に導入がいっているように私どもは評価しているわけですが、その一つの 一端は、私ども行政の立場の者と第一線の方々との意見交換を、かなり制度導入前後に おきまして密接に行ったのも一つの大きな要因かなという印象を持っております。  この確定拠出年金制度につきましても、こういう場で、皆様方のご意見を逐次お伺い しながら進めていくことが、今後の制度定着につきましても、大変大きな意味を持つの ではないかと、そんな気持ちを強く持っております。  こういう機会で、皆様方導入に当たって直接的に携わった方々ばかりだと伺っていま すので、ご議論いただきまして、その成果をぜひ今後の制度運営、制度の見直し等につ きまして、ぜひ活用いたしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上 げたいと存じております。  以上、簡単ですが、ご挨拶に替えさせていただきます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  それでは、まずメンバー等に変更がございますので、事務局よりご紹介をお願いいた します。併せてメンバーの出欠状況を報告していただきたいと思います。 ○ 矢崎課長  8月30日付で企業年金国民年金課長を拝命いたしました矢崎でございます。私も年 金局は3回目となりますが、この間、企業年金制度は大きく変遷しているなというのが 率直な実感でございます。いろいろご検討、ご議論いただきます確定拠出年金につきま しても、今後どうやって大きく育てていくかという大事な時期にあろうかと思います。 審議官が言われましたように、皆様方と率直な意見交換をさせていただいて取組んでい きたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思っております。  同じく、やはり異動で参りました当課の企画官の松岡です。 ○ 松岡企画官  松岡です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○ 矢崎課長  では、続きまして、メンバー等の変更のご紹介をさせていただきたいと思います。お 手元の資料1というものがあろうかと思います。連絡会議の開催要綱でございますが、 これの2枚目に「連絡会議参集者」という一覧がございますので、この順に沿いまして ご紹介申し上げたいと思います。  まずメンバーの中ほどでございますが、本日はご欠席でございますが、光谷様、10 月1日に行われました日本ベニア株式会社と丸長産業株式会社との合併に伴いまして、 新会社である株式会社ジューテックの取締役業務副本部長にご就任されていらっしゃい ます。それから、その少し下の方でございますけれども、国民年金基金連合会の確定拠 出年金部長というところでございますが、人事異動がございまして、泉様に代わりまし て吉野隆之様が新しくメンバーに就任されていらっしゃいます。 ○ 吉野委員  吉野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○ 矢崎課長  同じく下の方になりますけれども、日本労働組合総連合会の総合政策局生活福祉局長 が人事異動に伴いまして向山様から小島茂様に代わっております。なお、本日は小島様 がご欠席でございまして、代理で村杉部長にご出席いただいております。  次に、本日のメンバーの出欠状況について、ご報告申し上げます。  本日は、アプライドバイオシステムズジャパン株式会社の太田様、株式会社ジューテ ックの光谷様がご欠席でございます。また、株式会社すかいらーくの大場様もご欠席で すが、代理で総合人事担当の今井様にご出席いただいております。  その他のメンバーの方は全員ご出席ということでございます。  なお、私どもの方から実施企業の皆様方に本連絡会議についての情報提供等を行って おりますが、本日は二十数名の実施企業の方々が傍聴されていらっしゃいますことを併 せてご報告申し上げます。  以上でございます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  議事に入ります前に、一点、会議の運営につきまして、ご提案がございます。ただい ま事務局から、二十数名の実施企業の方々が傍聴にいらっしゃっているとのご報告があ りましたが、この連絡会議は確定拠出年金の実施企業の担当者を中心に意見交換を行う 場ということでございますので、会議の最後に10分程度時間を設けまして、その日の 議事内容に関しまして、傍聴者のうち、確定拠出年金実施企業の担当者の方々との意見 交換を行いたいと考えておりますがよろしいでしょうか。                (「はい」と声あり) ○ 御手洗座長  では、そのようにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、議事に移りたいと思います。まず、「確定拠出年金の施行状況について」 、事務局から説明をお願いいたします。 ○ 松岡企画官  説明させていただきます。資料2でございますけれども、確定拠出年金の施行状況で ございます。1ページ目でありますが、9月30日現在の状況であります。企業型年金 の数は、7月末現在では134社でございましたが、現在174社となっております。 それから、加入者については6月末現在では10万8,000人でございましたが、8 月末で18万6,000人に増加しております。  個人型年金の加入者でございますが、6月の時点で2,262名でございましたが、 8月末で4,162名ということで増加しております。  運営管理機関の登録数につきましては、195社でございましたが、235社という ことでございます。  一覧表等を添付してございますので、ご参照いただければと思います。  以上でございます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。次の議題でございますが、「確定拠出年金実態アンケート 調査」につきまして、社団法人生活福祉研究機構の田村理事よりご報告をお願いいたし ます。 ○ 田村理事  おはようございます。それでは説明させていただきます。第1回のこの会合で調査の 概要をご説明申し上げましたけれども、その後、今ご覧いただいております資料3−1 、3−2という調査票の検討を進めてまいりまして、でき上がりましたので、先週末、 9月27日現在で調査票を発送いたしました。回収は今月末ということになっておりま すけれども、どういうところを対象にして発送したかということを申し上げます。調査 対象は企業型と個人型の二つに分けております。  まず企業型でございますけれども、8月31日現在承認を受けている企業全社に調査 票を発送しています。先ほどの実施状況を見ますと、承認されているのは155社にな っておりますけれども、私どもが発送したのは144社でございます。  同時に、企業型を実施している企業に勤めております加入者1,200人を対象とし た個人票を発送しております。この1,200人の抽出はそれぞれの企業にお任せする という形になっております。  個人型につきましては、国民年金基金連合会のご協力を得まして、約8分の1の抽出 率で400名の加入者を抽出しております。調査の内容は個人型と企業型の個人加入者 は同じでございます。資料の3−2になります。  これから作業をするわけでございますけれども、私どもの予定といたしましては、1 1月から来年の2月あるいは3月にかけて集計・分析をいたしまして、報告書をまとめ る予定になっております。  分厚い調査票で大変わかりにくいのでございますけれど、どんなことになっているか という概要だけここで申し上げますと、企業型は調査項目として大きく分けて8項目ご ざいます。その中身は、まず第1番目は、制度の準備状況がどうなっていたかというこ とで、これには10問がございます。  2番目が確定拠出年金以外の退職給付にはどのようなものがあるかということを聞い ております。  3番目は、年金制度の中心になる部分でございますけれども、加入、掛金、給付とい ったものはどのようなことになっているかということでございまして、これには7問が ございます。  4番目が運営管理機関について聞いておりまして、これは4問ございます。  5番目が一番ウエイトが大きくなっております投資教育でございまして、これには1 2の設問がございます。  6番目は手数料がどうなっているかということでございまして、これには6問ござい ます。  その次の7番目が運用商品でございまして、この運用商品につきましては、調査の中 身が細かくなっておりまして、大変書きにくいのではないかという感じがいたしますけ れども、よろしくお願いしたいということでございます。  最後が、この制度に対する意見あるいはご要望というようなものを書いてもらうとい うことで、6問が設けられております。  以上が企業型でございますけれども、3−2の資料の個人型につきましては少し内容 が違っております。まず加入の状況でございまして、企業型に入っているのか、個人型 に入っているかということも含めまして、7つの質問がございます。  2番目が投資教育でございまして、これは先ほどの企業型と少し違った観点からでご ざいますけれども、5つの質問がございます。  個人型では一番ウエイトが高くなっておりますのが3番目でございまして、運用ある いは記録管理に関して、運営管理機関に対してどのような感想を抱いているかというこ とを15問かけて聞いております。個人型の調査では、このウエイトが一番高くなって おります。  4番目が運用の状況です。どんな運用をしているかということで7問でございます。  最後が5番目で、意見、要望ということで2問ということになっております。  調査票をごらんになりますとわかりますとおり、大変分厚いものでございまして、ご 苦労をかけるのではないかと思いますけれども、発送いたしました企業、あるいは個人 の方には、よろしくご協力いただきたいと思っております。なにとぞ、よろしくお願い いたします。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。この調査は、今後の確定拠出年金のあり方を考える上で、 大変貴重な資料になるものだというふうに思っております。  実施企業の担当者を始め調査票にご回答いただく方々におかれましては、是非とも協 力いただきますよう、私からもお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、次の議題であります「各実施事業所の実施状況等の報告」に移ります。  本日は、まずトヨタ自動車株式会社の河合様から、引き続きまして、株式会社すかい らーくの今井様から、それぞれの企業のおける実施状況等についてご報告をお願いした いと思います。  それぞれ15分程度でご報告していただきまして、ご質問等につきましては、2名の 方のご報告が終わった後、まとめて時間をとりたいと思います。  それでは、まずトヨタ自動車株式会社の河合様からご報告をお願いいたします。 ○ 河合委員  トヨタ自動車の河合でございます。それでは、トヨタ自動車の確定拠出年金について ご紹介をさせていただきたいと思います。1枚おめくりいただきたいと思います。確定 拠出年金制度(確定拠出年金)についてお話しさせていただく前に、簡単にその背景に ついてもお話しをさせていただきたいと思います。  私どもトヨタ自動車では、退職金の約半分を厚生年金基金に積み立てておりますが、 90年代半ばから、ご承知のように運用環境が非常に悪くなりまして、多額の利差損・ 評価損が発生してまいりました。また、退職給付会計の見直しによりまして、基金の積 立不足を会社会計上認識するということで、経営にとっても大きなインパクトを及ぼす ようになった。  こういう状況の中で、2000年4月に給付設計の見直しを行いました。内容としま しては、加算部分の予定利率・給付利率を5.5から4.5%に引下げ、保証期間を1 5年から20年に延長、雇用保険との併給調整等々を実施いたしました。  さらに代行部分の返上についても行ってきております。  こうした基金制度を見直していく一方で、社内の中で、従業員の意識としまして、会 社に任せっきりというような意識が非常に従来から強くございました。その意識改革と しまして、福利厚生面においても自己責任ですとか自助努力が基本であって、会社はそ のサポートなんですよというふうなスタンスを明確にしようということで、右の下に書 いてございますが、2000年7月からは、社内では「ウェルチョイス」と称しており ますけれども、カフェテリアプランを導入いたしました。  こうした一連の流れの中で確定拠出年金制度を導入ということで、当社の確定拠出年 金制度の導入には、退職給付会計の見直しという側面と社員の財産形成を自己責任、自 助努力をベースに、より促進をさせていきたいという側面があると言ってよいかと思っ ております。  1枚めくっていただきまして、当社の「年金・退職金制度」について触れさせていた だきたいと思います。当社では退職金の約半分を加算年金として基金に積み立てており まして、残りの半分を退職一時金として会社から支給をしておりました。  確定拠出年金制度の原資でございますが、会社から支給する退職金の退職一時金を原 資としております。社内の議論の過程では、現在でも大きな不確定債務を抱えている加 算部分から移行すべきとの意見もございましたけれども、給付設計の見直しを行ったば かりであったということですとか、自己責任で行う部分と、安心感を担保すべき部分と いうことのバランスを考慮して、退職一時金からの移行ということにいたしました。  退職金との関係でございますが、多くの企業では、退職金制度の見直しを確定拠出年 金制度よりも先行して、あるいは同時に並行してご検討されている企業さんが多いかと お聞きしておりますが、私どもにおきましては、現実問題として大変時間がかかると考 えております。退職金制度そのものの見直しと確定拠出年金制度導入のスピード感のど ちらを優先させるかというふうなことから、退職金制度につきましては、現行制度のま ま確定拠出年金制度を導入することにいたしました。この部分については、後ほどもう 少し触れさせていただきたいと思います。  1枚めくっていただきまして、「制度設計の概要」ということでございますが、導入 の目的という点は、公的年金縮小への備え、自助努力による資産形成のサポートという ことでございます。もちろん退職給付債務の削減という会計上のメリットはございます けれども、当社の場合、移行割合も大きくないということから、大きな影響とはなって おりません。  一方で、労働組合の反応でございますが、導入の目的は理解できるけれども、今すぐ に必要なのか疑問だ、というようなところが第一の反応でございました。  話し合いを進めていく中で、公的年金の縮小は既に始まっておりまして、できるだけ 早い時期から準備をすることが必要であるということ。社員にとっても非常に有利な制 度であるのだということを説明いたしまして合意を得たというところでございます。  制度の特徴としては3点ほど挙げておりますけれども、とかく年金制度は難しいとい う声が非常に多数ございますので、わかりやすさということを重視した仕組みにしたつ もりでございます。  次のページになりますが、制度の導入時期、加入対象はそこに記載をしているとおり でございます。55歳以上については選択制といたしましたのは、運用期間が非常に短 いということを考慮してそのようにさせていただきました。  次のページは掛金の原資でございますが、先ほども触れさせていただきましたとおり 、退職金一時金から移行をしております。移行の割合は資格によって異なりますけれど も、およそ退職金全体の8分の1程度になっております。  掛金額でございますが、資格に応じて定めております確定拠出年金基礎給に定率を掛 けて算出をするという方式をとっております。  「退職一時金との精算」につきましては次のページをごらんいただければと思います 。先ほども申し上げましたけれども、退職金制度を維持したままで確定拠出年金制度を 導入するというふうなことにいたしましたので、退職時までは全く割り引かない掛金を 拠出いたしました。最終的に退職時点で退職一時金から確定拠出年金の掛金の総額と確 定拠出年金割引額を差し引く仕組みといたしております。確定拠出年金割引額の算出方 法はそこに記載をいたしているとおり、定期預金の利率に応じて毎年決定する確定拠出 年金割引率によって算出をすることにしております。ちなみに現在非常に低金利下であ りますので、本年度の確定拠出年金割引率は0.25%ということでスタートしており ます。  次のページ、給付方法、受給権、コスト負担につきまして、これは記載のとおりでご ざいます。ごらんをいただければと思います。  その次のページで、「運用商品」でございますが、運用商品の選定の考え方といたし ましては、先ほども申し上げましたとおり、シンプルでわかりやすいものにしたいとい うことを最重点にいたしました。商品の具体的な選定に当たりましては、まずはコスト 、いわゆる信託報酬が安いという点、2番目としましては、品質、トラッキングエラー ですとか運用手法がよいこと、3点目に安全性、資産規模ですとか格付けが高いという ようなチェックポイントから商品を選定いたしました。  前回のこの場でもご指摘を受けましたけれども、信託報酬につきましては、金融機関 の皆様のご理解を得まして、非常に低いレートをご提示いただいております。非常に低 いレートをいただいているのですが、残念ながら、当の社員でそれを理解している人た ちは余りおりませんので、PRをしないといけないとは思っています。  具体的な商品名は次のページに提示をしております。こういう皆さんの前ですから申 し上げてもいいのかと思いますが、信託報酬につきまして、国内債券は0.16、外国 債券が0.23、国内株式が0.25、外国株式0.25という形でやらせていただい ています。  その次、もう一枚めくっていただきまして、「制度運営」についてでございますが、 制度の設計及び導入に関するコンサルタントは三井アセット信託さんにお願いをしてお ります。  また、運営管理業務につきましては、野村ディーシー・プランニングさんにお願いを しております。  なお、社員の窓口は一本化をいたしまして、基本的にはすべてコールセンターに問い 合わせる形といたしました。  各運営機関また当社の社員などの関係図につきましてはイメージ図を次のページに載 せておりますので、ごらんをいただければと思います。  その先へ進ませていただきます。次、6番目として「従業員教育」でございますが、 私ども社員は6万人を超えておりますが、社員にどういうふうな形で教育をしていくか 、これは大きな課題、やる前から非常に不安を抱いていたところでございます。一度説 明したぐらいでは十分な理解は得られるとも思いませんし、逆に「それで良し」などと 思っては、私ども事務局としていけないというふうな考え方で、いろんな形で展開をし て、社員の意識を徐々に高め、変えてきたというふうに思っております。  メインの導入教育につきましては、テキストとビデオを中心にいたしまして、各職場 で60分間実施をいたしました。同じ情報が正確にわかりやすく伝えられるという点で ビデオは有効であったというふうに思います。約4,000本のビデオを社内に配布を いたしました。  問い合わせにつきましては、基本的にはコールセンターで一括して受け付けるという ことで、応答の標準化を図っております。先ほども申し上げましたけれども、一度の説 明で十分な理解が得られる、そういう期待を持ってはいけないということで、説明会が 終わった後からもいろんな資料が順次従業員の手元に配布されるよう、つまりそれぞれ の個々人から忘れられないようにというふうな観点も留意をいたしまして、継続的にテ キストが社員の手元に届くように展開をいたしました。このあたりのスケジュールにつ いては次のページに記載をしておりますので、ごらんをいただければと思います。  続きまして、その次のページの「資産配分状況」について触れさせていただきたいと 思います。私ども8月の下旬に最初の掛金の拠出がございました。その結果でございま すが、過去分を含めた8月末時点の資産全体の状況を見てみますと、定期預金の選択、 全体の約5割にのぼっておりまして、社員の安定志向は高いなというふうにうかがえま す。また、投資信託につきまして、いずれも10%前後という結果でございました。  一方で、右のグラフでございますが、過去分を含まない定時拠出分のみの配分状況を 見てみますと、分散投資の傾向がやや強いことがうかがえます。過去分については安定 志向が強い一方で、毎月の掛金についてはやや積極的に分散投資を行っているというこ とかというふうに見られます。  次のページ、続きまして商品の選択数でございます。シンプルな非常に少ない品揃え にしたわけですが、その選択数ということで、選択数が一つという人、それと逆に五つ という人がそれぞれ約3割ございました。二極化をしているということかと思っており ます。分散投資の重要性を教育で随分伝えてきたわけですけれども、ある程度理解をし てくれた層と、十分に伝わっていない層があるということが割とはっきり今の時点はし ているということかと思っております。今後も引き続き資産運用セミナーを開催する予 定でして、その際にもこの点は強調し続けていきたいと考えております。  その次のページはご参考で、ホワイトカラーとブルーカラーで何か特徴があったか、 ややブルーカラーの方は安定志向が強いというような、スタートの一回目ではあります が、そういう形になっております。  めくっていただきまして最後でございますが、「確定拠出年金制度の普及のための課 題」について申し上げさせていただきたいと思います。もともと確定拠出年金制度は年 金制度を持っていなかったような中小の企業さんにおかれて、年金制度を普及させると いう側面があったかというふうに思います。しかし、現在はこういった企業さんが導入 をする場合、割高なコストがネックになっているようにお聞きをしております。そのた め、コストが低減されるようフレームワークの共有化などの点を工夫した連合型の確定 拠出年金制度が必要になってくるというふうに認識をしております。  私どもトヨタグループにおきましても、この連合型を検討しております。  次のページにそのイメージを記載をさせていただいています。掛金の設計などは各社 ごとに決定をしたい部分については、自由に設計できるようにして、テキストですとか 運用商品についてはスケールメリットを活かせるように共通にしたいというふうに考え ております。  また、ある会社が例えば掛金を変更しても、他社の労使合意の必要がないような仕組 みにしたいというふうにも考えております。  運用商品については、先ほどご紹介させていただいた私どもトヨタの商品をベースに 検討をいたしております。  恐れ入りますが、1枚戻っていただきまして、8の「確定拠出年金制度普及のための 課題」というページでございますが、課題の2つ目という意味では、前回の会議、この 場でもご指摘がございましたけれども、特別法人税の撤廃はもちろんのことでございま すが、制度の仕組みとして脱退一時金の受給緩和ですとか、会社拠出と個人拠出のマッ チングが認められること等が確定拠出年金制度の普及のためには必要だというふうに私 どもとして思っております。  以上、大変駆け足でございましたが、トヨタ自動車の確定拠出年金制度のご紹介とい うことにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。それでは、次に株式会社すかいらーくの今井様からご報告 をお願いいたします。 ○ 今井代理  株式会社すかいらーくの人事を担当しております今井でございます。本日は大場の代 理ということで、弊社のケースをご紹介させていただきたいと思います。  テーマは「退職給付制度の再構築」ということで、私どもの退職給付制度全般につい てご紹介いたしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、表紙に書いてある「お客様が増えつづけていること、すべての従業員が生き生 きとしていること」という文言が書いてございますが、いささか青くさい文言でござい ますが、それをもって、私ども制度がうまくいっているか否かを判断する軸というふう にとらえております。そうでない制度は全く意味がないといった切り口でこういった制 度も設計しているということでございます。  それでは実際お話しをさせていただきます。1枚めくっていただきまして、当社の概 要ということから簡単にお話しいたします。ご存じのとおり、私どもファミリーレスト ランを中心にお店を展開している企業でございます。設立からおよそ40年たちまして 、正社員数が現在のところ4,700名、平均年齢が30.7歳、平均勤続7.5年と 比較的若い会社でございます。おかげさまで店舗数は全国で2,000店を数えるよう になりました。今後5年間で、またこれまで30年間でつくり上げた2,000店とい う数と同数の店舗を出す計画でございます。したがって、単純計算で言いますと、従業 員数も同数必要ということになってきますので、5年後の平均年齢はおよそ27歳とい うふうに大きく引き下がる予定でございます。そこのところは、4月の定期入社、中途 の入社を問わず多くの人材を採用していくという方向になろうかと思います。  1枚めくっていただきますと、「正社員年齢構成」ということで記載してございます 。今年600名の新入社員・新卒採用をしたため、22歳の層といったところが非常に 突出をしていることがうかがえるかと思います。弊社の社長である伊東が新卒採用の一 期生ということもありまして、ことし53歳を迎えたわけですが、プロパーで定年退職 を迎えたという者がまだ発生しておりません。したがいまして、定年者を多く迎えるの は、今後10年以上も後という形になります。  次のページに、弊社の退職給付制度の再構築と経緯ということでの図を示しておりま す。始まりは、1993年にさかのぼります。バブルが崩壊、はじけた後、利益率が下 がりまして、労働分配率が上がってきてしまった。そこのところでより従業員の活力を 引き出すために、組合の方から人事制度の再構築という申し入れがあったということが 特筆すべき点かと思います。  当時、無論、経営側でも人事制度の再構築ということも同様に考えておりましたので 、そこで労使で人事改革プロジェクトというものを立ち上げまして、成果型の人事処遇 制度というものを検討し始めました。そこで助走期間を設けまして、96年仮導入、 00年の正式導入、およそ検討期間含めて7年近くの期間を設けて成果主義型の人事処 遇制度を導入したという経緯がございます。  その際、労使人事改革プロジェクトでは、退職金制度も当然成果型にということで検 討しておったのですが、93年〜95年、制度設計のところの当時、弊社に合う退職金 制度というものがなかったということの判断をし、退職金制度は一旦置いておこうとい う形にいたしました。  そこで99年になりまして、野村証券関係のコンサルタント会社から401Kという 制度がアメリカにあって、近々日本にも導入されるということと、すかいらーくの私ど もの理念に合致するのではないかということでご紹介をいただいて、また、そこのとこ ろで再度労使プロジェクトといったものを立ち上げて、今度は退職給付制度の検討に入 ったという経緯がございます。  そこのところで、2000年4月にはポイント制、退職金はまずポイント制に切り換 えようということでポイント制を導入いたしまして、2002年1月に確定拠出年金の 制度の導入へという形になったという流れでございます。  次のページに図が書いてございますが、こういった流れで、私ども退職給付制度の再 構築というのは、10年前から10年間かけて取り組んできたというような一連の人事 処遇制度、成果型の人事処遇制度の総仕上げとして位置づけているということでござい ます。  そして、ことし(2002年)の4月には、2000年に正式導入した人事処遇制度 も、新たに職務給という考え方を加えまして、より公正・透明で明快な制度という形で 変革をしていったということでございます。  その理念がその箱の中に書いてあるものですけれども、こうした理念に基づいて私ど もが行う人事処遇制度の改革サイクルというものは概ね5年というものを考えておりま す。やはり時流の先頭に立つということを念頭に置くのであれば、ダイナミックに組織 と制度を改革し続ける必要があるというふうに会社の姿勢として考えるからということ でございます。  次のページに、「退職給付制度・再構築の背景と目的」ということで記させていただ きました。私どもが制度を再構築するに当たって、労使とともに基本にする認識という ことで4つ挙げております。とりわけ大切にしていることは、今後、私どもが5年で倍 の大きさでというふうに成長していくに当たりまして、定期の学卒採用・新入社員の学 卒採用だけではなく、さまざまなキャリアを持った異能、異彩というのでしょうか、異 能・異彩の人材を外から多く受け入れていく必要があると考えております。  その際に、そうした入ってくる中途入社の方々にとって、退職金という制度において ですが、不利益にならないような仕組みを持つということは、人材の流動というふうに 言われていますけど、私どもは移動ということで言っているのですが、私どもにとって は2番目のところは非常に意味が大きいと考えております。  また、一つ目の「不倒神話の崩壊」、従業員に確実に退職金を払いだす仕組みという ことは、当然従業員の退職金のリスクをヘッジするという意味からして、確定拠出年金 の持つところの大きな背景の一つでもありますし、また3番目の「自己責任の時代」と いうことで言いますと、退職金の明細がそれぞれわかってくるということから言えば、 ライフプランの視点ということと、それを見直すようなきっかけづくりといった意味か ら、確定拠出年金の持つ役割というのは非常に大きいというふうに考えております。  あと、四つ目の「国際標準の時代」ということは、将来的な財務リスクを経験する仕 組みということですけれども、言うまでもなくPBO問題だということでございます。 弊社は単体でも70億、グループでも100億程度のPBOというものしかありません でしたので、将来のリスクをなくすという意味の4番目のところのプライオリティーは さほど高くなかったというふうに考えております。  次に制度の概要という形で簡単にご説明したいと思います。以前の制度はモデルで 2,000万円。うち240万円は業界で構成しておりますJF厚生年金基金というも のでございます。そして、1,000万円が適格年金、760万円が一時金という形で した。  これらのうち、適年と一時金部分を確定拠出年金制度を使った新しい退職給付制度へ と移行したということでございます。名称は「MAP」というふうに呼んでおります。 MY ACTIVE AGEING PLANの頭文字をとったものでございますが、 意味はじっくりと、しかも主体的にしっかりと育てていくといった意味を込めてつけた ということでございます。  拠出金の設計は60歳時点から現価に割引く現価方式をとっております。その際の割 引率は3%ということで設定をしております。グループ11社で同一スキームで導入を して運用をしているということでございます。  次のページに「MAP拠出モデル」ということで記しております。厚生年金基金を私 ども残しておりますので、非課税限度額が21万6,000円と、モデルで言うと、入 社15年程度で枠をはみ出してしまうということになってしまいます。この部分を給与 と一緒に紛れて支給をしてしまうとわけがわからなくなってしまうというか、すぐ使っ てしまうという形になってしまうので、こちらの方もあくまでも60歳以降の生活資金 という形で位置づけてもらうために、この部分、非課税枠をはみ出した部分を税制の非 適格ですけれども、野村証券さんのご協力を得て、疑似確定拠出年金というのですか、 そういうようなスキームで運用できる制度を活用しているということでございます。  その疑似確定拠出年金制度というのは、次のページに簡単に示してあります「MAP  第2口座概要」ということで記してありますが、この内容でございます。その制度は 「第2口座」というふうに呼んでいるのですが、ポイントは定年後の資産という位置づ けであるということと、確定拠出年金制度のスキームに可能な限り近づけるということ 。そして買いつけ手数料がこの中で無料ということにしていただいているということで ございます。こちらの方は、当然希望者のみを対象にして、やりたいという方たちだけ を対象にして実施しているというようなことでございます。  次のページに、私どもの制度導入に向けて気を配ってきたということで記しているの ですが、何よりも労使合意のプロセスの透明性ということに気を配ってまいりました。 ファーストランナーで走ってきたということもありまして、前例がない中で、多様な選 択肢の中からすかいらーくオリジナルの理由で、どういったものを選択していくか、ま た、制度の中身を決めていくか。そして合理性というのでしょうか、理由をきちんと立 てていくということに腐心をしたということでございます。  次のページに「前提」ということで記しております。前提は公的年金のない60〜6 4歳と。若い年齢層が多いですから、60〜64歳の間の生活資金ということの手当て をしてもらいたいということ。  そして制度設計も60歳から。したがって、60歳からの現価方式ということの考え を入れました。  年金の受給期間も5年の有期、この期間60〜64の5年間を担保するということで ございます。  そして、事務費の負担は加入者均一で月額130円。  個人情報についても、個人の自主性を尊重するという意味合いから、事業主側は一切 取らないという選択をしたということでございます。  1枚めくっていただきますと「MAP制度導入に向けた会議体」ということで簡単に 記してございます。99年1月から労使勉強会を始め、さまざまな形で分化させていっ たという経緯がございます。その中で言うと、真ん中にあります制度設計部会は、毎週 1回4時間程度、延べ200時間ぐらい労使とコンサルタント会社から講師を招いて勉 強を重ねてまいりました。  次に投資教育ということでお話しをさせていただきたいのですが、次のページに「従 業員に対する教育について(導入時)」ということで記してございます。  導入教育については、導入の1年以上前から着手し始めました。導入時期が見えた2 001年8月には、ビデオを2本作りまして、従業員の自宅に送付をしたということで ございます。そのビデオの内容のレベルは、基本的には高校生が見てもわかる内容とい うことで、シナリオは私ども素人が主体となって作って、監修を野村証券さんにお願い したいということでございます。  自宅に送付した意図ということで言うと、ライフプランという切り口で私ども考えて おりましたので、特に配偶者や家族という方と一緒に見ていただきたいと。それを考え るきっかけにしていただきたいということで、あえて自宅にお送りしました。通信衛星 のシステムを私ども持っておりまして、通信衛星を使うと、15分後にはすべての店頭 にビデオを配信するというシステムがあるのですけれども、あえて私どもはダビングを それぞれし、一人一人の従業員の家庭に宅配便で送ったということでございます。コス トはこれによって、この点に関して言えば倍以上かかったのですが、効果はあったとい うふうに考えております。  そして、10月から導入研修会を実施、一回当たり3時間程度で行ったということで ございます。これが導入教育です。  次のページに継続教育というか、今、実際に行っている教育ということで記してござ います。既に導入して、加入者の方に対しては、今3カ月に一遍、2万部ですけれども 、社内報というものを刷って、全グループの社員に配っております。そこのところに3 カ月ごとに情報提供は、特に寄せられた質問に対して回答するということを載せている ということでございます。  あと、同時に新入社員に対しては継続的に当然行っているということと、あと組合の 方で、組合の労連ライフセミナーということで、ゲーム主体の資産セミナーみたいなも のを既に実施をしているということでございます。  次にご参考に「MAP商品ラインナップ」をまとめております。投資信託を中心に、 元本確保型2本加えて、自社株ファンドを加えて11本ということのラインナップでス タートしております。  次のページに「従業員の運用状況」ということで簡単に記しております。  元本確保型に全体の35%、投資信託に過半数53%、自社株ファンドに12%とい う資産が配分されております。こちらは6月末時点でございますが、現在のところは若 干また変わってきているのかなという気はしておりますけれども、6月末時点でござい ます。  自社株ファンドについては、従業員のインセンティブ効果という意味合いと、グルー プ会社の従業員のガバナンスという意味合いからも採用に踏み切ったということでござ います。そこで採用した意味で言うと、何よりも従業員側、組合側から強い要請があっ たということがあって導入に踏み切ったという経緯もございます。  そして、導入前に調査した投資経験者がどれくらいありますかという調査で申し上げ ると、全体の5%、投資信託だと1%未満ということであったのですが、投資教育を経 た後、こういった分散を見る限りは、投資教育で分散を訴えたということの効果はある 程度出ているのかなというふうに考えております。  次のページが、私どもの制度の関連機関ということで記してございます。  特に、私どものような、こういった年金ですとか、そういったものの素人集団だった わけですけれども、制度導入コンサルティングの野村ヒューマンキャピタル・ソリュー ションさんには、足かけ3年にわたって制度導入前の勉強会から何から非常に大変にお 世話になったという経緯があります。私ども素人にそういったことを確実に教えていっ てくださったという経緯がございます。  次のページに、MAP導入に向けての苦労と特筆すべきことという形でまとめさせて いただきました。  駆け足になりましたが、最後に「今後の問題点」ということで整理させていただいた のですが、ご多分に漏れず、3号被保険者の運用指図者問題ということ、やはりペナル ティタクス等の検討をしていただきたいなというふうに考えております。  また、非課税限度枠の問題も同様でございます。  あとは特別法人税問題もございますので、こちらもケア面でございます。  以上、非常に駆け足ではございましたが、皆様方のご参考になればというふうに考え ております。  どうもありがとうございました。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。それではただいまの報告につきまして、ご質問等ございま したらお願いいたします。  口火を切る意味で、私から。きょう投資教育の議論を後ほどさせていただこうと思っ ているのですけれども、その観点から、トヨタさんとすかいらーくさん、それぞれ継続 的な教育をされているように見えるのですが、トヨタさんは任意参加のセミナーですか 、これを実施されている。すかいらーくさんは労連のセミナーを実施しているというこ とで、その具体的な中身をもうちょっと教えていただけたらと思うのですけれども。 ○ 河合委員  ちょっと今材料持ってないのですけれども、まだ始まったところなものですから、導 入当時、4月に説明をしまして、8月からスタートしますよというときに1回目を実施 しまして、まだ、2回目は実施していません。 ○ 御手洗座長  1回目はどの程度の規模で。 ○ 河合委員  任意ですから、200人ぐらいを何回ぐらいやった。 ○ トヨタ自動車担当者(随行者席)  一応20回ぐらい。 ○ 御手洗座長  どんな内容なのですか。 ○ トヨタ自動車担当者(随行者席)  これは本当に一般的なことで、テキストのおさらいのような内容でございまして、年 末にかけて、もう少し具体的な、実際に資産配分を始めた後で、具体的なところを同じ ような形で実施していこうという企画をしているところです。 ○ 御手洗座長  継続的に今後も実施していこうということなのですね。 ○ トヨタ自動車担当者(随行者席)  反応を見ながらですね。 ○ 御手洗座長  反応を見ながら。すかいらーくさんの方は。 ○ 今井代理  すかいらーくの労連のライフセミナーは、組合の方で、ファイナンシャルプランナー を招きまして、そこのところで、投資のABCというのですか、株式の投資の考え方だ とか、そういったものを1時間ぐらいに話した後に、人生ゲームみたいな、シミュレー ションというのでしょうか、グループ分けをして人生ゲームみたいなマス目をつくって 、投資のシミュレーションというか、そういうゲーム形式のものをやって、実際にこう いうふうに分散投資をして、ここに投資をしていったら幾らになったとか、失敗したと か、成功したとか、そして最終的に何年後にこうなってよかったね、みたいな、そうい った投資のライフプランシミュレーションゲームみたいなものを中心に、実際に参加し ながら、わいわいやりながらやっているというふうに聞いております。  最大人数は30人ぐらいでやっているということですので、今のところ、7月に第1 回を終えたということで、組合の方でもいろんなセミナーをやったりするらしいのです が、このようなことを言ったらなんですけれども、大体募集をすると、1週間か2週間 ぐらいで何とかいっぱいになるかなということなのですが、ライフプランセミナーの方 は、1日でいっぱいになっちゃったということで、2回目、3回目の企画を既にスケジ ュールは立てているということで聞いております。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。他にございますでしょうか。 ○ 中村委員  トヨタさんの「導入までの教育関係スケジュール」、13ページ見ていますと、「未 登録者フォロー」というところが上の方にあるのですが、未登録者というのはどういう もので、どのぐらいの規模で、どういうフォローの内容をやったかというのを教えてい ただきたいと思います。 ○ 河合委員  再度、担当の方から。 ○ トヨタ自動車担当者(随行者席)  私ども商品少ないと言いながら、分散投資をしてきましたので、ここで配分指定の登 録をしていただいたのですけれども、パソコンに入力するような形で基本的にはやりま したけれども、要はなかなかやってくれない人がいるものですから、そういう人たちに 対してやってくださいよということを行ったのが未登録者フォローです。6月の末ぐら いの時点で、登録した人の比率がたしか75%ぐらいだったと記憶しておりまして、最 終的には九十数%まではいったと記憶しております。 ○ 中村委員  九十数%までいった、これのお金についてはどういうふうな扱いになっていくのでし ょうか。 ○ トヨタ自動車担当者(随行者席)  結局、配分指定の登録しませんと、定期預金に自動的に振り込まれるということにし ております。 ○ 御手洗座長  そのほか、いかがでしょうか。 ○ 持永参事官  すかいらーくさんに2点ご質問ですが、いわゆる第2口座と言われている制度につい てですけれども、希望者だけだということなのですが、大体どのくらいの加入率なのか ということと、もう一つは、月当たりの事務費が従業員負担130円ということなので すが、割と、今の運用利回りを考えると若干高いというか、従業員にとって負担かなと いう感じもあるのですが、その辺について、組合とは何か議論があったわけですか。2 点お願いします。 ○ 今井代理  第2口座の加入率のところは、加入対象者、要は15年以上たってオーバーしてきた 人たちの3分の1ぐらいの人数が今加入している状況です。3分の2はそのまま払い出 しをしているということです。特に小額の場合でも1円でもはみ出たら、その対象者に なるということからすると、やはり額が大きい数万円単位になってきた人の加入率は高 いかなというふうに考えています。それ以下の方、数千円単位ですとか数百円単位の方 も多数いらっしゃるということなので、形はまだ加入していないということでございま す。  事務費130円ということの根拠については、当初いろいろ組合の方と、私ども経営 側の方でも協議を重ねてきたところもではあったのですけれども、不確定要素というよ うなところで、特に特別法人税のところの問題がひっかかっておりまして、1.173 %が課税されると非常にその負担は大きいねと。そこのところが、今はいいけど、この 先、将来どうなるのかといったときで言えば、130円という定額にすることで、仮に 今後増えたとしても、その部分は会社として見るよと。そこを担保する代わりにという 経緯もございました。  また、この水準についても、当時およそ1年ぐらい前にこういった水準も決めたので すけれども、ここまで悪くなるという体制が続くということも、その当時は、ここは底 だよと労使ともに楽観的考えていた部分もあるのですが、5年ぐらいをめどに、もう一 度水準というものは考え直していこうというふうに考えて、当面はこの水準でいこうと いうことで話し合ったという経緯がございます。 ○ 御手洗座長  他にどなたかございませんか。 ○ 石田教授  確定拠出年金の実態アンケート調査との関係で、従業員投資教育についてお聞きいた します。導入前ないしは導入後にセミナー等を開催なされたと思いますけれども、その 際に、そのセミナーの終了後に、参加者のご意見ですとかご要望ないしは質問等があっ たとございます。こういった質問、意見等につきまして、何か類型化というような形で 整理をなされて、それを今後の継続教育の方に活かすというような仕組み、ないしシス テムは構築されておりますでしょうか。その点をお聞かせください。 ○ 河合委員  システムというご質問を受けますと、甚だ心もとないですが、通常の業務でもよくや りますように、当然アンケートはとっておりますし、それは集約し分析はしております 。それをオートマチカリにそれが回るようにというふうな中身を分析するシステムとい うのは特に用意はしていませんけれども、アンケートの項目をそれぞれ、今の時点では まだ1回だけですけれども、ハンドで集計した中で、どんな声が強いというふうなこと はまとめてはおります。 ○ 今井代理  導入教育の後に、アンケート調査を実施いたしまして、無記名で記入していただいた のですが、短時間ということではあったのですけれども、その中でわからなかったこと 、何でも書いてくださいと。「わかった」、「わからないところ」は当然マルつけ等も あったのですが、そこのところで質問を全部集めまして、その質問の内容も類型化いた しまして、約1カ月後に質問に対して、1の質問は全員の質問というスタンスで回答を つくりまして、全員に冊子をつくって、1カ月後配布したという経緯がございます。そ うした形で、導入教育の質問とかそういうものに対応していったと。そして理解度に関 しても対応していったということを実施してまいりました。 ○ 石田教授  ありがとうございました。 ○ 御手洗座長  それでは、まだご質問あるかと思いますけれども、時間でございますので、この辺で C質疑を終わらせていただきます。河合委員、今井様大変ありがとうございました。  それでは、次の議題でございますが、本日は、白鴎大学経営学部の今井澂教授をお招 きしております。「投資家教育についての私見」というテーマでご講演をいただきます 。  今井教授から20分程度ご講演いただきまして、質疑応答につきましては、本日のフ リートーキングのテーマが投資教育でございますので、その中で併せて行いたいと思っ ております。  それでは、今井教授よろしくお願いいたします。 ○今井教授  「投資家教育についての私見」ということでお時間いただきます。  初めに私の経歴について申し上げようと思います。私は昭和34年に山一證券に入り まして、当時の調査部におりました。昭和49年から調査部が研究所に代わりまして、 私はそのまま転籍し、山一グループには1989年の4月までおりました。  中途、1960年代、山一證券は日銀の特融を受けるという事件があったのですが、 その後、私はウォールストリートに派遣されてトレーニーに参りました。そのときに、 私は多少英語ができたものですから、ピーター・ドラッカーが証券会社に来まして、そ のときに年金の話を聞いたのが初めてでございます。まだ私が30代のころでございま した。彼はこう言ったわけですね。GMの社長のウィルソンという人が、新しい年金に ついてのプランを言い出したと。  これはどういうことかと言いますと、その後、1974年にERISA法として施行 された精神そのままでありまして、例えば年金というと、ほとんど当時はアメリカの国 債を買う、債券型のファンド、それから自社株ファンドというのが中心だったわけです が、これは両方とも正しくない。国債といえども借金だから、その借金に年金という労 働者の将来を託すことは正しくない。もう一つ、自社株を全部買うというファンドも、 これは、その当時はエネルギー革命の最中でございましたので、石炭会社がつぶれて、 同時に年金なくなってしまったという例が多いので正しくない。この両方の主張を入れ て、ウィルソンは、アメリカの将来を買うと。できるだけ分散する。株式あるいは債券 、いろんなものを入れるのだという発想で、GMのファンドをまずリノベートした。こ れは正しい考え方だ。その後、彼は本に書きまして、これは現在でもかなり売れている ようですが、『見えざる革命』という本でございます。この本を、私、彼にサイン入り でもらいまして、残念ながらその本はなくしてしまったのですけれども、私の生涯に大 きな影響を与えました。  私は研究所の後、山一投資顧問に行きまして、投資顧問で年金を運用するという仕事 を始めました。そのときに、アメリカの年金にも参りまして、日本株の運用ということ で年金営業をいたしました。当然80年代の年金営業を通じて、その当時はブローカー を通じた売り込みでございますが、80年代から401Kという形での今の確定拠出型 が始まったわけなので、その当時の年金の人たちの反応ということをよく覚えておりま す。  その前に、ちなみにERISA法についても一言申し上げしておきますと、これがで きたとき、私はちょうど山一證券経済研究所のニューヨークの支所長で、ワールドトレ ードセンターにおりましたけれども、あのとき、ERISA法、エントリーズ・リタイ アメント……という法律ですけれども、アメリカのブローカーでは、これは今まで年金 というと、ブローカーの安定したビジネスと考えていたので、当然のことながらかなり の反発がありました。冗談ですけれども、エブリー・リディキュラス・アイディア・シ ンス・アダム、つまり人類始まって以来の、最もリディキュラスのアイディアだと。こ の程度のウォルストリートは理解であったように記憶しております。  前後して、80年から今度は例の国債投資というのが始まり、金とか不動産などへの 投資も始まり、ベンチャーへの投資も始まり、大きな多様化がはじまりました。90年 になってから、今度再び自社株を入れたファンドが復活するようになりました。私はそ のときアメリカの年金のコンサルタントたちと、このドラッカーの意見を踏まえて、間 違っているのではないかということをかなり議論した記憶がございます。これは将来、 何らかの形で大きなトラブルがあるのではないかというふうに申し上げたわけですが、 その当時はプロフィット・ヒアリング・プランというものがあるのだと。そのプロフィ ット・ヒアリング・プランは、会社の利益を分配するという形でプランができ上がって いるので、その利益の分配は自社株で払うということが多いので、その流れで自社株を 入れた投資というのが重要になってきたのだ、こんな話でございました。  その後、私は89年に日債銀にスカウトされまして、あと8年半いて、それから現在 、慶應の講師をやり、今、白鴎大学でお世話になっております。  少し時間をいただいて、初めに経歴を申し上げたのは、私、この流れを通じて、投資 家の教育については、アメリカは恐らく間違っていたと思います。これが最近になって 、昨年から始まったあの株の暴落、ことしの4月のエンロン騒動、これに絡んで、法律 はきちんと通って、もう一度見直しということにはなっていないようでございますけれ ども、かなり401Kそのものについて問題点というものは、今年の春以降明らかにな ってきたように思います。それは基本的には投資家教育の基本ということを何か忘れて しまったのではないかという反省でございます。  そこら辺、私5月にも実はアメリカに行きまして様子を聞いてきたので、そのあたり の印象を、ちょっとまとまらないながら、これから少しお時間いただいてお話しをしよ うと思います。レジュメをお配りしてありますので、これに従って申し上げようと思い ます。初めミスプリがございまして、2カ所ばかり直していただきます。初め1枚目で すけれども、IIの「401K投資家教育の実情」というところの2行目、「積み立てた 資産を担保に86%の加入者」と書いてありますが、これは「加入企業」の間違いでご ざいます。すみません。  その次の2枚目のところで、「アメリカの投資家教育プログラムの基本的内容」、「 内容と問題点」というところの(5)に「福利」と書いてある、幸福の福になっていま すが、これは複合の複、「複利」のミスプリでございます。申し訳ありません、訂正し てください。  さて、そこで「NY株価の急落で再認識されている投資家教育」という項目のレジュ メの1に入ります。ことし春ごろに、ご案内のとおり、4月、5月ごろからエンロンの 倒産、倒産自体は去年の11月でしたけれども、その後、大トラブルが幾つか明らかに なりました。特にケネス・レイ会長以下、主力の幹部が自社株をかなり高いところで売 り抜けてしまって、自社株で買っていた401Kの加入者は、凍結期間という契約があ ったものですから売れないということで大変な悲劇が起きまして、これが会員を中心に 大きく自社株への投資ということを見直すべきではないかということが議会で言われる 騒ぎになりました。  そのときに、その国会議員の要請を受けて二、三、余り大きくないコンサルタントが 調べてみましたら、株というものは元本保証でないと、これはごく当たり前な、これ以 上、基本的なことがないことについて、知らなかった401K加入者は20%超えてい たという事実が明らかになった。  これは驚くべきことでありまして、債券への投資も金利の上下で額面に対して市場の 評価額が上下すると、これも債券の基本ですけれども、これも知っていなかった人が3 人に1人ぐらいいたということで、これは少しおかしいのじゃないかということが言わ れだしたわけでございます。  それから、先ほどのプロフィット・シェアリング・プランから、401Kは、自社株 についてのファンドというのは結構多いよと申し上げたのですが、大体40%のファン ドが自社株導入、あるいは自社株そのものだけのファンドということがわかったので、 これも大きな問題ではないか。改めてERISA法というものの基本精神を考えるべき ではないか。つまり"プルーデントマンルール"あるいは"分散"という言葉について、も う一度きちんと考えるべきではないかということが言われて、これはその都度運用関係 のマスコミでは大きく取り上げられたというのが現状でございます。  その後、実は8月、9月になってから経済関係とか、あるいはご案内のとおり、企業 会計の不信問題というのがもっと大きくなってきたものですから、それに絡む方が中心 になってしまって、現在ややしり切れトンボのままに401Kの見直しということが、 法案になっていないようですが、これはまだもう一回蒸し返しをするのではないかとい うのが関係者の見方でございます。  その理由は、訴訟問題でございまして、現在自社株に投資して、非常に損をして、エ ンロンはもちろんのことながら、それ以外にも破たんしている企業はうんとありますか ら、これに絡んだ訴訟問題というのは大変に大きな問題なので、これに絡んで、アメリ カの投資家教育の基本に帰れというのは、一つの今の401Kに絡んだアメリカでの大 きな問題のテーマであろうと思います。  では、それに絡んで投資家は一体どんな動きをしたのか。お配りした資料の3ページ 目の下の方をごらんください。コンサルタントのHEWITT ASSOCIATES のインデックスがそこのグラフにございます。これは401Kの加入者、約150万人 、資産にして710億ドルを対象にプランを入れ替えるわけです。例えば昨年の9月の あのテロ事件、そこのところは棒が非常に長くなっておりますけれども、これは1週間 株式がとまっていたので、それに絡む受け付けがとまっていたということがありますが 、空前の長さになっております。  この幅は、どういう意味があるかといいますと、全体の加入者に対してどのくらいの プランの変更があったか。これはトレンドとしてある程度右肩上がりになりますので、 トレンドからの乖離率という形でグラフにしておりますが、これは実数でいきますと、 全体の1.15%、8億ドルぐらいに相当するというふうに言われております。710 億ドルのうちの8億ドルですから、多いというのか少ないというのか、これが1週間に 出た今までの記録でございます。  今回の暴落に絡んでは、案外大きくないことにお気づきになると思います。これはそ の後も含めて、株式から、例えば預金あるいは債券というところでのプランの変更とい うのはそうは大きくないというのが今のところ現状のように思われます。したがって、 401Kそのものの基本的な変動というのはある程度ないようには思いますけれども、 それでも、先ほど申し上げたような理由で、投資家教育の一番のファンダメンタルなと ころは足りなかったのではないかというのと、もう一つ、実はこれだけ下がってまいり ますと、資産残高としては、実は案外多くないということがわかりました。401Kで 蓄積して、リタイアした後、アメリカの労働者は不安がないというふうに何となく誤解 しておりますけれども、これはとんでもないということが明らかになってきました。労 働者の中位数というか、上限から下限、その間のところ、これが一番多いかどうかは疑 問ですけれども、中位数は大体5万数千ドル、四捨五入しても6万ドルあるかないかで ございます。6万ドルですと、利回り仮に5%で回してもそう大したお金になりません 。ということは、401Kでそれをメインの年金の収入としては、それだけでというわ けにはどうもいかないということがわかってきた。  それから、積み立てた資産を担保に借り入れをしていいよというのは86%の加入企 業はオーケイしているわけですが、現実に借りているのは、2001年の末の段階では 19.4%の加入者が利用しております。300億ドルのお金が借りられております。 この300億ドルのお金は、大多数が住宅を買っているお金でございまして、これによ って最近の傾向としては、リタイアメントエイジを予定より遅らすというのがどんどん 増えてきております。そうすると企業にとっても、これはある程度負担があるかないか の問題はありますけれども、従業員教育をこれから企業の負担で増やさなければならな いということが流れといたしますと、これは企業にとっても真剣な問題なので、今のと ころ、これはトラブルの種になり得るというのが問題でございます。  リタイアメントの時期の延期というのがどのくらいであるかというのが問題ですが、 これはコンサルタントの調査では大体4〜5年は延ばさなければならないのではないか 、こんなふうに言われております。  401Kの拠出は課税前のお金でやるわけですけれども、しかし成果を流動化すると 、働いていますと当然税金がかかります。アメリカではキャピタルゲイン税は5年以上 の長期投資の場合には18%、これに連邦税としての所得税がかかります。年3万ドル 以上の所得は28%で上限は39.6%、これに別枠で州税がかかります。これは州に よって随分と上下がございますけれども、常識的に普通4〜5%はかかるだろうと思い ます。これはかからない州もございますけれども、そこは不動産の絡みの税金が高いと いうのが常識なので、現在株が下がってきて、これからも見通しが容易でないというこ とになりますと、リタイアメント以前に、流動化をしてしまって、それで税金を払って ということになってくるので、これは今非常にシリアスな問題であろうと思います。  その場合、投資家教育は一体企業は、後でちょっと申し上げますが、今3ページ目の BARRA ROGERS/CASEYの表を見ていただきますと、投資アドバイス・ サービスのコスト負担というのは、今雇用主が持つというのが急増しておりまして、 2000年と2001年を比較いたしますと倍以上に増えております。2002年現在 では50%は当然大きく超えているというふうに一般的に見られております。  では、コストはどのくらいということになるのですが、私の聞いている範囲以内では 大体ヒアリングで、例えば面談を何カ月かに1回、それに加えていろんなレポートをつ くってもらうというので850ドルというのが下限であるように聞いております。 1,000ドルを超えるというケースも試算によってはあるようでございますが、それ だけの経費を企業が負担して、しかも従業員の数が多いところは多いわけですから、こ れはかなりの負担になるのではないかというので、その場合、どうしたらいいかという ところがポイントでございます。  そこで2ページ目の「投資家教育プログラムの基本的内容」というところを見ていた だきます。今言われております問題点は、投資家教育の少なくとも私が知っておりまし た80年代のころは、今の日本の証券会社と同じ、単にプロスペクタスを従業員に送り つけるとか、あるいは工場のところに山のように積んでありまして、これを持って帰れ というふうなことを職員の長が言うとか、80年代のころにはその程度でございました 。  それがその後、セミナーを開いたり、それからパソコンが普及してきましたら、イン ターネットで問い合わせをしたりをする。あるいはホームページから情報をとるという ことになってきたのですが、まだ90年代の前半ぐらいには、これから申し上げる6点 を中心とした簡単なリーフレット、ブロシュアが配られるという程度が普通であったよ うに思います。  この内容はここに書いてあるとおりでございまして、第一はハイリスク・ハイリター ン、これはアメリカの労働省が投資というものは、ハイリスク・ハイリターン、ミドル リスク・ミドルリターン、ローリスク・ローリターン、この三つの組み合わせ、これ以 外にはないのだ。つまりハイリスクで、しかもローリターンという組み合わせはあり得 ないということをちゃんと教育しろということを通達で出しまして、それがしたがって 第1番目に入ったわけでございます。  それから、長期投資によりリスクは低下し、必ずリスクテイクは報われる。アメリカ 人好みの"チャレンジ"という言葉が非常に多く使われるというのがポイントでございま して、これが2番目。  3番目は分散投資せよ。  4番目はドル平均法、毎月毎月買っていく均等投資というのがメリットだということ 。  5番目、複利の有利性と大概これと一緒にくっつけまして、インフレのインパクトと いうものをくっつけて、複利投資した場合にはインフレということをきちんとヘッジで きるということを言うわけであります。  それから、最後は課税繰り延べの効果というのがポイントでございます。  ごく最近になって、ことしになってからホームページに増えてきたのは、これに加え て、7番目としては、年代による投資ストラテジー、先ほど伺っておりましたら、投資 の人生プランみたいなものをゲームでおやりになる。あれに似たようなことが入ってき ているように思います。これが7番目と言ってよろしいように思います。  これが載っているのが大体通常でございまして、これ以外のものが載っているという のはほとんどありません。どこかで話し合いをしているのではないかというくらい共通 しております。  私が見ているところ、これは問題点が非常に多いと思うのでございます。つまりリス クについて、リスクとは一体具体的にどんなリスクなのか。例えば株式で言ったら、そ れは株価、マーケットリスクというものがありますが、それ以外にも、例えば債券なら 債券でも、いろんなマーケットのリスクもありますし、クレジット関係のリスクもある 。現に高い格付けであったエンロンが倒産したおかげで、向こうの債券市場やそのほか のマーケットでも、日本でも同じですけれども、かなり打撃を受けたわけですから、こ れについての説明がほとんどやっていないか、説明しても1行しかないという程度であ る。  第2は、ドル平均法にした場合に、例えば先ほど申し上げた自社株投資をしていて、 これが最後につぶれる場合に、ドル平均法をとっていった場合に、このようなケースは 最後は必ず大変に悲惨な結果になります。リスクの取り過ぎになるわけです。つまり分 散をしていないでドル平均法をした場合にはリスクは非常に過大になるというのは投資 の常識ですが、これについて、説明しているところはほとんどありません。  3番目、手数料でございますけれども、先ほどトヨタさんの方から非常に安くという ことを言っておられました。これは安いからもちろん良いのですけれども、これ以外に 、例えば証券会社関係への手数料とか、投信会社の運用手数料、ファンドをトランスフ ァーするときはほとんど手数料はかからないのが常識ですけれども、取る場合もないで はありませんので、その場合の手数料、これについての説明は、現実には私は見たこと がありません。それについては口頭で説明することにならないとわからないように思い ます。  現在、私は最近になって日本に来日したマーサーという年金のコンサルタントがあり ますが、そこの連中に聞いてみましたら、彼らも1年間に一回ヒアリング調査をしてお りまして、今のところ八つほどPRする方法があるのだというふうに言っておりますが 、まず、それはプランの説明書を配る、ファンドの目論見書を配る、ミーティングをや る、ブロシュアを配る、これが大体ほとんどである。  残りの四つは、パーソナライズをされたステートメントを、これはインターネットで 質問を受けて返事をするというのが一つ。会社のニューズレター、これもパソコンを使 った場合が多い。それから、トールフリーの電話、コールセンターを使う。あとセミナ ーを開いて、それのワークショップでのいろんな資料を配るというのが多いと言われて おります。  ただし、アメリカの場合、最大の問題点は、5%ほどの受益者は、どんな格好をやっ てもPRというか教育にのらない。セミナーにも来ないし、いろんなパソコンを通じた 情報供給にも応じる気配がない。これをどうやって参加させるかということはなかなか 名案がない。しかも損をした場合には、そういう連中に限って必ず提訴する。私、これ は相当に日本のことを考えても、私は証券会社に30年おりましたからよくわかります けれども、合致するのではないかと思います。  そこで、私なりの考えを最後に申し上げようと思います。お時間大分いただきまして 、すいません。  第一に、現在の分散という考え方、これは今の年金は、モダン・ポートフォリオ・セ オリーという考え方の影響下にあるので分散ということが中心であり、それはそれで正 しいと思います。  ただ、アメリカの最近のポートフォリオ理論は、このモダン・ポートフォリオ・セオ リーをさらに一歩進めまして、投資技法をいろいろ高度化することによってリスクを低 く、しかも安定した収入を得ることができるという技法が今開発されていて、例えば最 大の年金でございますCALPERSなどは資産の1割ぐらいは、日本で言うとヘッジ ファンドですけれども、デリバティブをいわば安全に使ってリスクを少なく、リターン を高く運用できるというふうな手法に少しずつ資産を増やしつつあって、長期的には私 の聞いている範囲内では、2割あるいは3割もあり得るというふうなことで、大手の州 年金ですら考えているように見受けられます。  こういう時代の変化というものと、日本の年金の発想法というと、連合会は発想法が モダン・ポートフォリオ・セオリーそのままですから、新しい考え方が入っていないの ではないのかなという考え方が一つあります。これに対する答えはまだもちろん出てお りませんけど、投資ハイテクというものを、今度運用会社がどう導入してくれるのか。 現時点では、まだ定期預金が圧倒的に多いようですから、現時点ではまだそれ以前の段 階なので、長期的な課題であろうと思いますけれども、これに対するモダン・ポートフ ォリオ・セオリーのマーケットに対する指標をアウト・パフォームできないという、そ ういう仮説があるわけですが、その仮説については、最近はアメリカでは余り通用して いないということ。  それから、日本の場合には、今株式を入れた年金をスタートすることは長期的に大底 に私は近いと個人的には思っておりますので、絶対に有利であろうと思いますが、それ でも、かつてのバブルのときのような、3万円、4万円というところまで行くのは大変 だろうと思います。そうすると、ある程度資金効率をよくするために、いわゆるマーケ ットの指標よりもいい運用をする。アウト・パフォームするという、アクティブ運用と いうものについての考え方というのをどこかで入れないと、現在はすべて恐らくインデ ックス運用のパッシブ運用になっているように見受けられるので、これは逆に言うと長 期的に問題ではないかというふうに考えております。これが私の私見の1でございます 。  第2、これはSECの情報公開が一昨年から変わりました。どういうふうに変わった かといいますと、情報を公平に同時に公開しなければならないという考え方でございま す。これは例えばホームページで公開するというだけではない。例えばアナリストに有 利な情報を早めに話すというのもいかんということになっている。これはニューヨーク 上場の会社さんもおられるようなのでご存じと思います。  これは恐らく日本の証券監督絡みの官庁も、今の状況ですと、何年か先には必ず導入 することになると考えます。これと年金とどういう関係があるかということなのですが 、アナリストは、私も実はアナリストを20年やっておりましたからよくわかりますが 、アナリストが、はっきり言えば、社長なり何なりに気に入られて早めに有利な情報を とる。それを自社のグループのファンド・マネージャーに耳打ちして、そこでファンド ・マネージャーはいわば付加価値をつけるという形で運用があるわけですが、これが恐 らくそうでなくなるという事態がここから5年先を考えたらほぼあり得ると考えた方が よろしいように思います。  そのときに運用というものがどういう形になるのかということでございます。したが って、株式なり債券なりの運用というものは基本的に変わるだろう。つまり売り建、買 い建というものが同時に並行するようなファンドとか、そういうファンドが恐らく出て くるだろう。  そのときに、運用をする企業が非常に少数であった場合に、そういう実験的なことを する会社というのは常に非常な少数派ですから、社会的な常識になるまで遅れるという ことになると、その受益者はあり得るべき利益をもらえないということになるのかなと か、それから、社員教育を、先ほどいろんなコンサルタントですけれども、それは恐ら くグループの中に運用会社がある金融機関や、どこか利害関係がある、そういうフィナ ンシャル・プランナーが、営業マンの代わりに帽子をフィナンシャル・プランナーとし てかぶって出てくるというのが多いので、私は公平無私なアドバイスというものをどこ かで年金の運用機関さんはどなたか入れるか、あるいはそれに絡んだ情報をしょっちゅ うおとりになるかというふうなことにしないと、ここからの流れは正直申し上げて、右 肩上がりの上げがずっと続いたという体制が無理だということは日本中の誰もがわかっ ていると思いますが、その体制に対して対応ができているのかどうかということが私は 問題点であろうかなと。従業員教育と同時に、運用するファンド・マネージャー選びの 体制、運用する商品の選ぶ体制というものについても、ある程度必要ではないのか。  きょうはメインテーマが従業員教育ですけれども、従業員教育がそこまでの私はハイ レベルになるのは物すごい時間がかかると思いますし、アメリカでもそこまでやってい るのは、まだ完全に少数派でございます。しかし、私は5年先考えたら、今のうちに教 育の基準なり何なりをきちんとつくること。  それから、どうしても参加しない5%をどうやって引きずり込んで教えるかというこ とを大事にすること。それから、あと理論的な変化とSECの基準、運用商品の多様化 というものをどう考えるかということについての考え方があって、これはまだなかなか 一朝一夕には解決しないと思いますが、どこかで申し上げておく必要があるかと思った ら、いいチャンスをいただきましたので申し上げました。  ちょっとお時間をとりまして申し訳ありません。以上で、私の考え方は終わりでござ います。ありがとうございます。 ○ 御手洗座長  どうもありがとうございました。それでは引き続きフリートーキングをいたしたいと 思います。本日のテーマは投資教育を中心に議論したいと思っております。従業員に対 する投資教育とか情報提供につきましては、その内容、体制、導入時のみならず導入後 のあり方などもいろいろあろうかと思います。ご自由にご発言をお願いいたします。  それから、ただいまの今井教授のご講演につきましても、何がご質問等ございました ら、それも併せてお願いしたいというふうに思っております。それではご自由にどうぞ 。 ○ 秦委員  どうも先生、今日は貴重なお話ありがとうございました。私も現在いろいろ教育につ いて頭を悩ませている中にあって、やはり今先生がご指摘されたように、"最低限どう いう教育をしなければいけないのか"というスタンダードというか、基準を絶対つくる 必要がある。しかも、それに、場合によってはちょっと細かくなるかもしれませんけれ ども、例えばこういう商品を入れる場合には、少なくともこの追加説明を必ずやらなけ ればいけないというような一つのモデルを作らないと、今、いろいろな運営管理機関で ある金融機関さんが迷われて困っておられるところもあると思うのですね。  方々、FPに委託していく場合にも、そういうスタンダードができてないと、人によ って違ったりすると、一つの企業の中で説明がちょっとずつ違っていったりして、これ はなかなか問題になってしまいます。いろんな企業さんは入れるときには、その辺、で きる限りスタンダード化するようにしていると思いますが、例えば質問があった場合な どの答えなんかが違ってしまうというようなことになってくる可能性が十分あると思う ので、そういう共通化は絶対必要だと私は思っているのですね。  併せて、場合によっては、既にFPでも松竹梅とかというランクはあるようですけれ ども、何をベースにして松竹梅なのかということがもうちょっと明確になるような、と いうか、それを判定していくような基準なり何なりが、もうこれだけ一般化してきたの で必要なのではないかと思っております。  ちょっと先生にご質問なのですけれども、私が、先ほどから問題になっています継続 教育で非常に頭を悩ませているのは、任意参加でセミナーをやるということが企画され て、私どもも実は実質的には補習校みたいにしてやったわけなのですけれども、出てく る、出てこないという問題があるわけなのです。たまたまその日が空いているから出て きた人は、いい知識が得られたけれども、たまたま出てこなかった人はうまくいかなか ったと。ある意味で、今投資したら得だったぞ、という情報が入った、入らないという ようなところで有利、不利が出て、結果として、それが例えば企業サイドに訴えられる とかということも起こり得るのかなということで、私は任意参加ということに対して、 今のところのちょっと消極的に弊社の場合やっているのですね。  ですから、むしろあるタイミングでもって、すべての社員が、例えばWEBを使えれ ば見ることができる。具体的に申しますと、今初級用の教育みたいのはかなりWEBで 、そういう確定拠出関係のサービス会社がつくるようになっていますけれども、今ある 会社とやっていますのは、それに例えば単科みたいな物を作るわけですね。例えば為替 リスクをどう考えたらいいかとか、インデックス型とアクティブ型は本当に言うとどう 違っているのかとか、結構もう少し深いところへ入ったものを科目ごとみたいに勉強で きるような、例えばカントリーリスクをどう考えるとか、そういうようなテーマ別のも のをWEBに載せてしまうというようなことを今考えているわけなのですけれども、実 際セミナーを任意参加ベースでやって、企業側にリスクは残らないのかどうなのかとい う点はいかがなのでございましょうか。 ○ 今井教授  初め申し上げた教育の質の基準、私も大賛成でございます。それから後でおっしゃら れた任意制にするというのは、今まさにそれはアメリカが困っていることでございまし て、訴訟されちゃうと。訴訟の国ですから、日本よりはそれは頻度が高いのは当たり前 と言えば当たり前かもしれませんが、強制すると、またそれはそれでトラブルになるの ですよね、必ず。したがって、どうしても任意で参加ということにならざるを得ないし 、そうすると必ず面倒くさいから出ないとかということになって、知識がなしで、しか もそれで不足だったということに、今堂々めぐりをどうしようかと思って、アメリカの 方もおっしゃいます疑問は、誰もが答えを出せないというのが現状だと言えると思いま すが、私なりの考えとしては、職場の一応全員参加を建前とするというのを、恐らく自 主ルールで、さっき労組が参加されるというのはそれなりに有利だと思っているのです ね。会社の職制としてどうというと、またうるさいことになりましょうから、労働組合 さんの支部なり何なりで、みんなが出るのだというようなことをある程度前提にした会 議で、そこでついでに何かやるというのは、私はそれなりの解決策かなという気がさっ きから見ているとしておりました。 ○ 秦委員  ちょっと追加なのですけれども、私ども任意というと、今確かに組合というのは一つ のアイディアなのですが、じゃあ、管理職をどうするのだ、という議論が出てきてしま うわけですね。確かに組合はいいアイディアだと思うのですが、すべてそれが可能では ないだろうとしたときに、任意で勉強会を会社なり組合主催でやるということが難しい とすれば、例えば昨今投資クラブというのが大分できてきていますけれども、ああいう ものをつくって、それに対して情報を提供していただくような業者と連携して、本当に 任意で勉強したい人は、それに参加していくようなインフラづくりだけを企業がやると いうのは、訴訟上どうなのか。ちょっと細かいのですけれども。 ○ 今井教授  それはそれでいいと思いますけれども、それでも、なお、ボランタリーということに なるのではないかなと。ただ、おっしゃいますとおり、確かに管理職のことは、私も考 えにありませんでした。 ○ 秦委員  ありがとうございました。 ○ 御手洗座長  その件に関連しましてちょっとよろしいですか。任意で教育をやっているということ で、5%方出てこないと。その方たちから訴えられると。実際に訴訟で負けているので すか、それは。訴えられる可能性は常にあると思うのですけれども。 ○ 今井教授  まだ判例出ておりませんから、恐らく判例が出そうになったら、どこかで和解をして 手打ってしまうのではないかと思うので、現実には判例は出ないと思います。ただ、現 実は問題としては、何十件とか一説には100件超えたとか、非常に頭が痛いというの は、今のところアメリカの経営者はみんな言っておりますですね。 ○ 御手洗座長  アメリカの法律の枠組みというのは、今日本の法律の枠組みとほぼ同様のなんですか 。その辺につきましては。 ○ 今井教授  すいません、私ちょっとそこら辺は。 ○ 御手洗座長  そうですか。それから、もう一つは、5%の人たちを、アメリカでは常に5%ぐらい の人たちは多分受けてないということになると、その人たち、何かしようということで 相当努力されていると思うのですが、その辺、具体的に例えばこんなことやっていると か、そういう事例のようなものはないのですか。 ○ 今井教授  私もよくそれはわからないので聞いてみましたら、それは友達同士で間接の話を聞く とか、その程度が残りの5%。それでも401Kに参加するのだと。 ○ 御手洗座長  まさにそれこそ自己責任じゃないかという気はするのですけれども。 ○ 今井教授  自己責任というのは、アメリカはそんなのわかっているじゃないかと言われるかもし れないけど、現実には。 ○ 御手洗座長  そうなのですか。 ○ 今井教授  ええ。 ○ 御手洗座長  どうぞほかに、ご自由に。 ○ 中村委員  今、うちは個人型でやっているものですから、ちょっと特殊なのですけれども、企業 型の場合には企業が主催して投資教育という、そういう形で、5%の人の問題はあるの でしょうけれども、まがりなりにも一応教育できるという環境はあるのですけれども、 JR東は個人型でやっているものですから、そういう意味では、投資教育というのが一 番やりにくいといいますか、そういう部分があります。  基本的には金融機関からやっていただくというのが建前になっているわけですけれど も、会社としては、制度のアウトラインの説明、それから問い合わせはこういうところ にしてくださいというようなことの説明しかできないということで、それで実際には金 融機関の方からやっていただくという形になるのですけれども、ただし、それも会社が 音頭をとってという形はなかなかできないという、音頭をとらなかったというか、声を かけなかった金融機関の方が有利だった場合の問題とかいろいろありますので、そうい う意味ではなかなかできないという状況になって、前回もまどろっこしいという言い方 したのですけれども、それでは金融機関の方の個人型確定拠出年金に対する教育がどう かというと、これもまだ十分にはされていないなという感じがするのですね。  申し込む、資料請求すると、確かに分厚い資料が送られてくるのですけれども、それ だけにとどまっているというか、自分でコールセンターへ電話したりすれば、またそれ はそれでいいのでしょうけれども、まずその分厚い資料を読むことから始めなければな らない。先ほど高校生でもわかるビデオという話がありましたけれども、実際には本当 はそういうものから始めていかないとすそ野が広がらないのかなと思いますし、それか ら、そういう高校生でもわかるようなレベルの投資教育の場を、一般のサラリーマンで も参加しやすい場所、あるいは自営業者でも参加しやすい場所、時間、そういうもので 幾つか金融機関あたりが開いていただけるともっと進むのではないかという気がするの です。  金融機関に勤めている友人に、何でやらないのだという話をしたのですけれども、個 人はマーケットも小さいし限度額も小さいし、なかなかそこまでやっても見合わないの だという話が来ましたけれども、限度額の問題でまたいくのかとは思いますけれども、 しかしながら、非常に貴重な制度でありますので、そういう意味では金融機関の方もも う少し力を入れてやっていただければというふうに思っております。 ○ 御手洗座長  ほかにいかがでしょう。 ○ 矢崎課長  教育のモデル化とか標準化、大事だというお話でありますけれども、例えばアメリカ などですと、特定の団体とか機関で、そういうような取組とかは行われているのでしょ うか。 ○ 今井教授  やっております。コンサルタント会社の独立したところが始めておりまして、それは かなり細かく、それからホームページなんか見ますと、ちょっとした雑誌になるぐらい 載っておりますから、それはそれなりの努力は見受けられます。最近です、でもそれは 。上がっているうちは、みんな、それ行けどんどんですから、そんなに要らないのです よ。下げ始めてから、慌ててつくったというのが現状ではないか。アメリカでもそうで す。上がっているうちは、入りますと、翌年、成績よかったって、胸張っちゃって、や っぱりうちのということになりますから、基本な話は質問もしにくいし、確かにやらな いわけですね。下げてから慌てたというのが、これは正直申し上げて、洋の東西問いま せんですね。 ○ 御手洗座長  継続教育の何か代表的ないい例みたいなご存じないですか。継続教育といいますか、 導入時だけではなくて、その後の教育がかなり重要だと思うのですけど、その辺につい ての、アメリカのこういったいい事例があるとか、コンサルタントはこんなふうに考え ているとか、その辺。 ○ 今井教授  そういう投資家教育協会とか、その手の機関とかというのは幾つもございますし、そ れから年金コンサルタントが大概みんな子会社を通じてやっています。それは継続の一 つのプログラムを持ってやっております。日本の場合にもNPOでそういう教育をやろ うかというようなところも二、三あるようには聞いております。 ○ 御手洗座長  何かご意見含めましてどうですか、ございませんですか。今井教授が、この後、所用 がございますので、この辺で退席されます。  では、今井教授、本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。 ○ 今井教授  失礼いたしました。                 (今井教授退席) ○ 御手洗座長  投資教育の関係の議論もまだちょっと不十分だと思いますが、その辺も含めて、それ から、それに傍聴者の方もぜひご参加いただいて、意見交換をしたいなというふうに思 っております。よろしくお願いいたします。  今、最初に秦さんの方から、少し強制的なことも含めてやるのはどうかというご意見 ありました。それに対して一方では、やはり任意が基本ではないかというご御意見も、 これは継続教育でございますが、あったわけでございますが、その辺についていかがで しょうか。 ○ 徳住委員  日本の確定拠出年金の運用を考えていくときに、導入時点に、加入者に対してはまず 教育をきちんとやるということは、各社さん皆さんやられている。それで、教育責任は 果たせたということは十分ではないのではないか。やはり何らかの形でフォローアップ が必要ではないか。では、フォローアップをする内容をまずどうするのか。今もお話が ありましたけれども、基準的なものを一つ作っていただく必要があるのではないかとい う建設的な意見がありましたが、ただ、これもどこがつくるのか。  それと、今、今井先生がおっしゃいましたけれども、モダン・ポートフォリオ理論に よる分散投資に対して、今疑念が持たれていて、一般的な企業年金を運用するサイドに おいては、モダン・ポートフォリオ理論をいかに凌駕するような形でプラスアルファを とるかというようなことがやられているわけですが、このあたりの話については、到底 個人にやるいうことはできないわけですね。アメリカも株式が大きくダウンをしてきた という中で、そういう問題が非常にクローズアップされてきたのだろうと思うのですけ れども、基準をつくるにしても、誰がどのような内容をつくるか、内容もどういうタイ ミングでつくっていくかという、その変更みたいな部分もあると思います。  私が聞いております限りにおいては、投資教育をコンサルタントされるところも、独 立系もあれば、旧来の機関投資家というか、大きな金融機関でも機能を持たれていると ころもあると思いますけれども、先ほど今井先生の方から話がありましたけれども、投 資教育に関する協会みたいな組織を、行政の方で働きかけられるというのも如何かなと 思います。投資家協会みたいな形で、一つの横の連絡協議会というか、何かそういうよ うなものをお作りになって、そのあたりからタイムリーにアドバイザリー的なコメンタ ールが出てくる、何かそういうような働きかけが必要になってくるのではないかという ふうにお聞きいたしました。 ○ 御手洗座長  その他、ご自由に。 ○ 石田教授  先ほど秦委員の方から、個別な企業が投資クラブ等への橋渡しというようなお話があ って、これは非常にこれからのスキームとして重要だと考えておりますけれども、その 際に、投資の助言アドバイス、それと一般的な投資教育というのですか、それを明確に 区分するというようなガイドラインをきちんとしておくことも併せて必要になってくる のではないかと考えております。 ○ 御手洗座長  いかがでしょうか。 ○ 秦委員  余りご意見出ないので、ちょっと低次元の話になるのですけれども、今どちらかとい うと、より勉強したい方に対してのどうするかという議論がいろいろ出ているのですね 。これはやりたい人がやっていただければ、いかようにしても、そういう人たちはつい てくるので、極言すると余り問題が、実はないのだろうと思うのですね。インフラさえ 整えてやればどうにもでもなります。  問題は、先ほど来、座長からもお話ありますけれども、積極的でない、消極的な人を どうするかというところが非常に大きな問題なのだと思うのですね。ですから導入する 企業サイドからすると、勉強会にとにかく出席させて、"現におまえ、2時間半座って いたじゃないか"とか、例えばテキストとかビデオはちゃんとご自宅にお送りしてある ではないかと。見るか見ないかはおまえの判断だけど、企業としては最低限のことはや ったのだから、これで我々としてはお役御免というとおかしいのだけど、法的に免責だ よと。そういう形に現在残念ながらなってないと思うのですね。だから、どこまでやれ ばいいのか。 我々も少なくとも聞いてもらうために、眠らせないため、勉強会でガム 配って噛んでもらったり、それから物理的に来られない方、産休の方だとかご病気の方 なんかについては、ご自宅まで行って、場合によっては、ご本人がもうだめな方の場合 には奥様にやったりとか、やれるだけ一応はやったのですけれども、どこまでやるのが いいのか、また、そこまでやる必要ないのかとか、今はわからないのですね、こういう ところが。  ですから、こういうあたりのところの、悪いのですけれども、企業からすると最低限 ここまでやっておけば、リーガリーには行けるよ、という線も同時にスタンダード化す る必要があるのではないかと思います。 ○ 井口審議官  同じような経験が私もありまして、十数年前には公的年金の積立金を自主運用やろう ということで1兆円ほど資金をいただいたものですから、運用というのが余りよくわか らずに一から勉強した経験があります。職員を各証券会社に派遣したり、信託銀行に派 遣したりして一から勉強しましたが、もともとモダン・ポートフォリオ理論なんて言わ れても、なかなか理解するのが容易じゃない。統計学に関してイロハのイの字ぐらいは 知ってないと、共分散がどうだ、こうだとかなんとかということを言われてもちょっと わかりませんね。当初は本当かなというような感じの中で、だんだん勉強していくうち にそういうこともあるのかなというような気がしてきたわけですけれども、いずれにし ましても、アメリカではそういう運用のスタイルが確立されていた。  そういうような運用方式が正しいということが一応定着しつつあった時代なものです から、分散投資の考え方でやっていくのがいいのかなと、そんなことで実施していった 訳です。しかし、最後は過去の実績に基づいた判断になってしまいますから、未来が過 去と同じような構造になっているのかどうかというようなことの判断はなかなかつけが たい。そういうような限界も踏まえた上で、今度のファンドは、それぞれの各個人の持 たれているファンドですから、それぞれの方の自己責任の範囲で自由に運用してもらう こととされています。  したがって、その後はリスクがあるのですよということを十分理解していただいて、 先ほど秦委員からお話があったような方向で考えていくしかないのではないかと思いま す。その場合にも、先ほどの今井先生から話があった教育プログラムの6点の問題点、 ハイリスク・ハイリターン、こういうところだけは踏まえてくださいというようなもの も要るのかなという気がいたします。先ほど言ったように、その場の雰囲気が、十何年 前のバブルのときは、とにかく、イケイケというので、何か危ないのじゃないかと言う 人もいたのですけど、それが全然声にならない。それで気がついたら、プロの方ですら 、こんなことになっているわけですから、素人が本当にどこまで行けるのかというよう なことも踏まえて、やっていただくというようなことにならざるを得ない。  運用の責任を、どこまで行政が持ち、どこまで企業が、どこまでが自己が責任持つか 、これを仕分けしていくというのは正直なところ難しいのかなと。ただ、教育すべき点 については我々の方も考えていかなければいけないような、そんな感じが強くいたして おります。  ご意見を伺いながら、マニュアル化できるようなものは考えていくべきなのかなと思 いますが、それが果たしてどこまでできるか、またご議論いただければという感じがい たしております。 ○ 御手洗座長  この場は結論を出す場ではございませんので、言いっぱなしということでございます けれども、今、審議官に少し締めていただきましたけれども、その方向で今後も進めて いっていただけたらというふうに思っています。  それで、きょう傍聴されている実施企業の方、せっかく時間を取ったのですけど、何 かございませんか。特にございませんか。  それではそろそろ時間も参りましたので、最後に次回の予定につきまして、事務局か ら説明をお願いいたします。 ○ 矢崎課長  次回の議題といたしましては、この連絡会議メンバーの方々の各企業における実施状 況等のご報告、それから、今日もご紹介ございましたけれども、実態調査の結果につい てとりまとめが済みましたら、その内容。それから、テーマとしましては資産運用等に ついてフリートーキングなどをしていただいたらどうかというふうに考えております。  メンバーの方々からのご報告につきましては、次回は株式会社ジューテックの光谷様 、日商岩井株式会社の長久保様のお二人から、それぞれの企業における確定拠出年金の 導入状況や今後の課題などについてご報告していただければと考えております。光谷様 の方には、きょうご欠席でございますが、事前にご了解いただいておりますが、長久保 様。 ○ 長久保委員  はい。 ○ 矢崎課長  ということでよろしくお願いします。  次回の開催でございますけれども、今のところ、私どもとしましては、1月中旬でど うだろうかというふうに考えております。日程調整でございますが、テーブルの上に、 前回と同様に日程調整表を置かせていただいているかと思いますので、終了後、ご記入 して置いていっていただければと思っております。調整の上、また具体的な日程、場所 等はご連絡申し上げたいと、かように考えておりますので、どうぞよろしくお願いいた します。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。それでは、本日の連絡会議をこれで終了いたします。大変 お忙しいところ、ありがとうございました。 照会先 厚生労働省 年金局企業年金国民年金基金課 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111   (内線)3369、3370 堀田、亀田