資料2 |
(1)経緯
昭和48年 | ポリ塩化ビフェニル(PCB)による環境汚染を契機に制定。新規化学物質の審査制度を設けるとともに、PCB類似の化学物質を特定化学物質(現在:第一種特定化学物質)として規制 |
昭和61年 | トリクロロエチレン等による地下水汚染を契機に、第二種特定化学物質、指定化学物質の枠組み創設・規制のための法律改正 |
(2)目的
難分解性で人の健康を損なうおそれがある化学物質による環境汚染を防止するために、
(1) 新規化学物質の製造・輸入に際しての事前審査
(2) 化学物質の性状等に応じた製造・輸入等の規制
を行う。
注) | 新規化学物質:以下のもの以外の化学物質 ・法律制定時(昭和48年)に作成された既存化学物質名簿に掲載されている化学物質 ・化学物質審査規制法における審査が終了し公示された化学物質 |
(3)化学物質の性状等に応じた規制
法律上の定義 | 化学物質の性状等 | 規制内容 | |||||||||
分解性 | 蓄積性 | 人に対する長期毒性 | 広範な地域の相当程度の環境汚染 | ||||||||
第一種特定化学物質 | 難 | 高 | あり | − | ・製造・輸入を原則禁止 | ||||||
第二種特定化学物質 | 難 | 低 | あり | あり |
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指定化学物質 | 難 | 低 | 疑い | − | ・製造・輸入数量の事後届出 |
(4)新規化学物質の事前審査
年間国内製造等数量 | 事前審査の要否 | 必要な試験 | 手続き等 | ||||||||
1トン超 | ○ | 分解性試験 蓄積性試験 スクリーニング毒性試験
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1トン以下 | × | なし |
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(5)化学物質審査規制法における審査スキーム(平成14年10月24日現在)
(参考)
(1) | 第一種特定化学物質等の指定状況 現在、第一種特定化学物質として13物質、第二種特定化学物質として23物質、指定化学物質として616物質が指定されている。
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(2) | 新規化学物質の届出・判定状況等 新規の化学物質としての届出は、年間約300件程度。届出総数は3749件(昭和61年法改正後)あり、うち指定化学物質として判定され公示されたものは526物質。 年間の国内製造・輸入数量が1トン以下の少量新規化学物質については、申出の対象とし、毎年確認を行うことで製造・輸入を可能としている。申出件数は年々増加している。
(1)新規化学物質の届出件数の推移
(2)少量新規化学物質の申出件数の推移 |
(3) | 既存化学物質の点検状況 既存化学物質については、化学物質審査規制法制定時の国会附帯決議等を踏まえ、国により安全性の点検が実施されている。 厚生労働大臣、経済産業大臣及び環境大臣は、点検を行う必要があると認めるものにつき、その試験結果により、又は既存の知見に基づき、第一種特定化学物質、指定化学物質又は規制対象でない化学物質のいずれに該当するかを判定している。 平成13年度末までに、分解性や蓄積性に関しては1279物質(経済産業省が実施)の、毒性に関しては191物質(厚生労働省が実施)の点検結果が公表されている。 なお、近年は、国際的な協力の下で高生産量化学物質(HPV:毎年1000トン以上生産される化学物質)に係る安全性の点検が進められており、我が国でも国と産業界が分担・協力して必要な作業が進められている。 |
○ | 国際的にも化学物質の評価・管理に関する取り組みは大きく進展してきている。
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○ | 特にOECDでは、加盟各国における化学物質の審査制度の国際的整合化等に関する議論が進められている。
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○ | 本年1月には、OECD環境保全成果レビューにおいて、化学物質管理政策の目的に生態系保全を含むよう規制を拡大する等の勧告がなされた。
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国際的な動向に配慮しつつ、国内においても、新規化学物質の事前審査制度のあり方や環境生物への化学物質の有害性を考慮した新たな制度のあり方に関して、検討が進められている。
○ | 環境省:生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会報告書(平成14年3月)概要
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○ | 経済産業省:化学物質総合管理政策研究会中間とりまとめ(平成14年7月)(関連部分要旨)
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(1)事前審査制度の評価の観点
日本 | アメリカ | EU |
○難分解性を有する化学物質による環境経由での人の健康への被害の防止の観点から以下の性状を評価 ・難分解性 ・高蓄積性 ・長期毒性 |
○人の健康及び環境へのリスクを評価 | ○人の健康及び環境への有害性、リスクを評価 |
(2)審査後の規制等管理措置の内容
日本 | アメリカ | EU | ||||||||||||||||||||||
○化学物質の性状や環境残留状況に応じ以下の規制を実施 <規制内容> (1)第一種特定化学物質
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○リスクの懸念ありとされた場合に、届出者は追加試験データの提出又はリスク削減対策のいずれかを選択。リスク削減策の内容を基に、EPAとの交渉を経て規制措置を確定 <制限措置内容>
○製造・使用等の禁止 |
○一定の毒性(人、環境)を示す化学物質に対して有害性分類に基づく表示 の義務付け ○個別物質毎に、リスク評価結果を踏まえ、上市又は特定用途への使用を規制 |
(3)事前審査の届出に関する主な適用除外・軽減措置
日本 | アメリカ | EU |
(1)試験研究用等の届出不要 | ||
○試験研究用、試薬用 | ○研究開発用 (記録保存義務あり) |
○1社当たり100kg未満の研究開発用途(記録保存義務あり)等 |
(2)製造・輸入数量が少量の場合の届出事項の軽減 | ||
○年間の製造・輸入数量の国内合計1t以下の場合の事前確認制(試験データの届出不要) | ○年間製造・輸入数量が1社当たり10t未満の場合の事前承認制 | ○年間上市量が1社当たり1t(累積5t)未満の場合は届出事項を軽減(10kg未満の物質は届出不要。また10t以上に達した場合は追加データの要求が可能) |
(3)中間物や低暴露等の場合の届出事項の軽減 | ||
○医薬品中間物 (事前確認制、試験データ提出不要) |
○環境放出及び人曝露の低い化学物質(事前承認制、暴露情報の提出) ○輸出専用の製造等は届出・審査の対象から除外 (記録保存義務等あり) |
○中間物については事前許可により届出事項を軽減 ○EU域外への輸出は届出・審査の対象から除外 |
※ | このほか、重複規制排除の観点から、日・米・EUとも、他法において規制されている物質に係る届出不要の措置が講じられている。 |
(4)既存化学物質の点検
日本 | アメリカ | EU |
○化審法公布(1973年)の際に現に業として製造され、又は輸入されていたものを既存化学物質名簿に収載。約2万物質 | ○1979年以前の米国における工業化学品を収載してインベントリーを作成。1980年以降に審査が終了し製造・輸入が開始された新規化学物質も随時追加。約7万物質 | ○1981年にEUの市場にあった物質をリストに掲載。 約10万物質 |
○国が必要と認める物質について、厚生労働省が毒性、経済産業省が分解性及び蓄積性の試験を実施 | ○年間1万ポンド(約5t)以上製造・輸入等の要件に該当する15,000物質から、優先物質として500以上の物質と10の物質カテゴリーを選定 | ○高生産量化学物質について事業者に対し所有データの提出を要求し、欧州委員会が優先物質リストを作成 |
○指定化学物質に指定されたものについては、一定のリスクが見込まれる際に、有害性(長期毒性)調査を指示 | ○対象物質について人又は環境への重大な影響(リスク)が懸念される場合に、製造・輸入業者等に毒性試験実施するよう指示 | ○事業者から提出されたデータをデータベース化し公表 |
○ | 動植物の生息等に支障を及ぼすおそれのある化学物質の審査・規制の在り方について
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○ | 化学物質審査規制法に基づく審査・規制制度の見直し等について より合理的かつ効果的な化学物質の審査の促進を図るため、科学的知見等の蓄積を踏まえ、国際的な動向も配意しつつ、現行の化学物質審査規制法に基づく審査・規制制度及びその運用について、以下の見直しを行うことを検討する。
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○ | その他、制度の円滑な運用のために改善すべき点 |