戻る

資料3


○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に係る管理体制(検討課題3)
−「生殖補助医療技術に関する専門委員会」報告書において提示された条件及びその具体化のための要検討事項(案)−

この資料において「胚」とは、夫婦が自己の胚移植の為に自己の精子・卵子を使用して得た胚でないことが文脈上明らかである場合を除き、「夫婦が自己の胚移植のために得た胚であって、当該夫婦が使用しないことを決定したもの」のことを言う。


 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に係る公的管理運営機関の業務の具体的な内容

 
(1)情報の管理業務について

  (ア)  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた夫婦の同意書の保存
(専門委員会報告書p33)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、上記により得た当該妊娠していないことを確認できた人以外の人及びその夫の同意書を公的管理運営機関に提出しなければならない。
(要検討事項)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた夫婦の同意書をどのように保存するか?

(案)  精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた夫婦の同意書については、実施医療機関が5年間、公的管理運営機関が80年間それぞれ保存する。

  (イ)  提供者(及びその配偶者)の同意書の保存
(要検討事項)
 精子・卵子・胚の提供者の同意書をどのように保存するか?

(案)  精子・卵子・胚の提供者の同意書については、提供医療機関及び実施医療機関が5年間、公的管理運営機関が80年間それぞれ保存する。

  (ウ)  精子・卵子・胚の提供を受ける人に関する個人情報の保存
(要検討事項)
 公的管理運営機関は、精子・卵子・胚の提供を受ける人についてどのような種類の個人情報を保存するか?

(案)  公的管理運営機関は、精子・卵子・胚の提供が行われた後も当該提供を受ける人と確実に連絡を取ることができるための情報、具体的には、氏名、住所、電話番号等についての情報を保存することとする。
 当該提供によって子が生まれた場合、当該情報の保存期間は80年とする。

  (エ)  精子・卵子・胚の提供者に関する個人情報の保存
(専門委員会報告書p41)
 公的管理運営機関は、上記により提出された個人情報を、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて開示するために必要な一定の期間保存しなければならない。
(要検討事項)
 公的管理運営機関は、精子・卵子・胚の提供者についてどのような種類の個人情報を保存するか?

(案)  公的管理運営機関は、精子・卵子・胚の提供が行われた後も当該提供者と確実に連絡を取ることができるための情報、具体的には、氏名、住所、電話番号等についての情報を保存することとする。
 また、精子・卵子・胚の提供により生まれる子が出自を知る権利を行使するための情報を保存することとする。
 (←検討課題1のふた回り目の検討の際に併せて検討してはどうか)
 当該提供によって子が生まれた場合、当該情報の保存期間は80年とする。

(検討課題1第10次改訂資料p21)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利として、生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲をどのように設定するか?
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利を認める。
 出自を知る権利の範囲としては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が開示を希望する場合、当該生まれた子に対して、
(案1)  精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該提供した人が当該生まれた子に開示することを承認した範囲内の個人情報(当該提供した人を特定できる個人情報を含む)を開示する。
(案2)  当該提供した人を特定できる個人情報を開示する。

  (オ)  精子・卵子・胚の提供により生まれた子に関する個人情報の保存
(要検討事項)
 公的管理運営機関は、精子・卵子・胚の提供により生まれた子についてどのような種類の個人情報を保存するか?

(案)  公的管理運営機関は、精子・卵子・胚の提供により生まれた子を同定できる情報を保存することとする。
 また、当該子が、将来近親婚を防ぐことができるよう、当該子の遺伝上の親(提供者)が誰であるのか記録し、保存することとする。
 これらの情報は、保存期間を80年とする。

  (カ)  精子・卵子・胚の提供により生まれた子からの開示請求(出自を知る権利)に対する対応
(専門委員会報告書p48)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、成人後、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人を特定することができないものについて、当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができる。
 当該精子・卵子・胚を提供した人は、当該個人情報が開示される前であれば開示することを承認する自己の個人情報の範囲を変更できる。
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、上記に関わらず、自己が結婚を希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を求めることができる。
    
(検討課題1第10次改訂資料p21)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利として、生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲をどのように設定するか?
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利を認める。
 出自を知る権利の範囲としては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が開示を希望する場合、当該生まれた子に対して、
(案1)  精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該提供した人が当該生まれた子に開示することを承認した範囲内の個人情報(当該提供した人を特定できる個人情報を含む)を開示する。
(案2)  当該提供した人を特定できる個人情報を開示する。

  (キ)  同一者から提供された精子・卵子・胚により生まれた子の数を確認するための情報の保存
(専門委員会報告書p42)
 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、上記の同一の人から提供された精子・卵子・胚の使用数の制限のために必要な当該生殖補助医療の実施の内容に関する情報を公的管理運営機関に提出しなければならない。

  (ク)  提供者及び提供を受ける人に関する個人情報の保存・医療実績等の報告の徴収や徴収した報告の確認・当該報告に基づく統計の作成
(専門委員会報告書p51)
 また、本報告書の結論に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の適正な実施を確保していくためには、当該生殖補助医療を行う医療施設から提出された当該生殖補助医療を受けた夫婦の同意書や当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報の保存、当該生殖補助医療を行うすべての医療施設からの当該生殖補助医療に関する医療実績等の報告の徴収や徴収した報告の確認、当該報告に基づく統計の作成等の提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施に関する管理運営の業務を行う機関が必要となることから、そうした業務を行う公的管理運営機関を設けることとしたものである。
(要検討事項)
 実施医療施設から公的管理運営機関への報告はどのように行われるのか?

(案)  実施医療機関は、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実施ごとに、提供による生殖補助医療の経過についての情報及び出生の成否や出生時体重などの妊娠・出産の経過についての情報を把握し、その内容について公的管理運営機関に報告することとする。
 精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実施後に、実施医療機関は当該提供を受ける人に関する個人情報(上記(ウ))及び提供者に関する情報(上記(エ))を公的管理運営機関に報告することとする。
 また、当該提供によって子が生まれた場合には、当該生まれた子に関する個人情報(上記(オ))を公的管理運営機関に報告することとする。

 
(2)審査業務について

  (ア)  兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供(P)についての審査
(専門委員会報告書p31)
 兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、その実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を受けなければならない。

  (イ)  胚の提供についての審査
(検討課題1第10次改訂資料p10)
 提供胚の移植を認める。その際の「胚の提供を受けなければ妊娠できないことの具体的な判定は医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき医学的基準の具体的な内容は、男性に精子の提供を受ける医学上の理由があり(p6の●)、かつ女性に卵子の提供を受ける医学上の理由がある(p9の●)こととする。
 医学的な基準以外の、子を安定して養育していけるか、生まれた子に対する真実告知(←(関連)生まれた子の出自を知る権利(検討課題1・3))などの基準については、カウンセリングやインフォームド・コンセントで対応する(←(関連)カウンセリング・インフォームド・コンセントの内容(検討課題2))とともに、個別の事例について、公的な第三者(公的管理運営機関?)の審査を行うこととする(←(関連)公的管理運営機関の具体的な業務(検討課題3))。
(要検討事項)
 兄弟姉妹等からの提供及び胚の提供(P)の適否を決める審査の審査事項は?

(案)  公的管理運営機関は、兄弟姉妹等からの提供(P)及び胚の提供が行われる場合、次に掲げる事項を審査するものとする。

 精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療を受けるための医学的適応の妥当性について
 適切な手続の下に精子・卵子・胚が提供されることについて
 夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など夫婦が生まれた子どもを安定して養育することができるかどうかについて
 精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと(兄弟姉妹等からの提供(P)の場合)
 
(専門委員会報告書p32)
 本専門委員会としては、これらを総合的に勘案した結果、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供は認めるべきではないとの強い意見も存在したものの、兄弟姉妹等以外に精子・卵子・胚を提供する人がおらず、精子・卵子・胚の提供を受ける人が精子・卵子・胚を提供する人の選別を行うものとは解されない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する人やその提供を受ける人に対して、上述の精子・卵子・胚を兄弟姉妹等に提供した場合の弊害の発生の可能性についての十分な説明・カウンセリングが行われ、かつ、当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭等の対価の供与が行われないことを条件として、精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めるとの結論に達したものである。
 兄弟姉妹等からの提供(P)および胚の提供の適否を決める審査会の人的要件に関する基準は?

(案)  兄弟姉妹等からの提供(P)及び胚の提供の適否を決める審査会の人的要件に関する基準は、以下のようなものとする。

 生殖補助医療の医学的妥当性、倫理的妥当性及び提供による生殖補助医療の結果生まれる子の福祉について等を総合的に審査できるよう、医学、法律学及び児童福祉に関する専門家、カウンセリングを行う者、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の国民の立場で意見を述べられる者から構成されていること
 委員会は10名前後で構成され、委員のうち2名以上は、医療機関の関係者以外の者が含まれていること
 委員のうち2名以上は、女性が含まれていること

 兄弟姉妹等からの提供(P)および胚の提供の適否を審査する具体的な方法・手続きは?

 
(3)精子・卵子・胚のコーディネーション業務について

  (ア)  提供された精子・卵子・胚に関する情報の管理

  (イ)  提供された精子・卵子・胚をどの人に提供するか決定する業務(マッチング業務)





 ここで使用する「コーディネーション業務」とは、提供された精子・卵子・胚を適切に希望する人に配分するための調整業務全般を指し、「マッチング業務」とは、提供された精子・卵子・胚を、希望する人のうち誰に与えるのかについて決定する業務そのものを指す。
 「コーディネーション業務」の一つとして、「マッチング業務」がある。





(要検討事項)
 精子・卵子・胚の需給の情報を全国一元で管理し、それをもとに提供者と提供を受ける者をコーディネートするシステムの構築が必要なのではないか?
 (すべての精子・卵子・胚の配分を情報を一元管理する機関に委ねるか?自己の医療施設に適当な精子・卵子・胚が存在しない場合に、情報を一元管理する機関に問い合わせ、情報を一元管理する機関にマッチングや提供をコーディネートしてもらえる程度にとどめるか?十分な提供を得られる見込みのある精子は、コーディネートの必要性が薄いため、卵子・胚のみをコーディネートの対象とするか?)(検討課題1の宿題)
 提供された精子・卵子・胚をどの人に提供するか決定する業務(マッチング業務)について、どのように設定するか?

(案)(1)  精子・卵子・胚について提供数≧希望数の場合、
 精子・卵子・胚の提供医療機関と実施医療機関が情報交換を行うことにより、必要な精子・卵子・胚を確保することとし、公的管理運営機関はマッチング業務を行わない。
(案)(2)  精子・卵子・胚について提供数<希望数の場合
 精子・卵子・胚の提供を受けることを希望する夫婦は必要な情報を公的管理運営機関に登録しておく。
 精子・卵子・胚の提供者から提供についての登録があった場合、公的管理運営機関は登録された情報を元にマッチングを行う。
 マッチングの結果、優先順位が最も高い夫婦は実施医療機関の倫理委員会の審査(胚提供を受ける場合はさらに公的管理運営機関の審査)を経て、提供を受ける。

 マッチングする際の優先順位の基準について、どのように設定するか?
 →事務局で基準の原案を作成中

 精子・卵子・胚の希望数と提供数をどのように把握するか?
 →事務局で原案作成中

 卵子のシェアリングの場合における公的管理運営機関の関与はどのようにするか?公的管理運営機関が卵子のシェアリングに係るコーディネートや金銭のやりとりについて提供者と提供を受ける者の間を仲介することとするのか?それとも医療機関同士が仲介することとするのか?(検討課題1の宿題)  →事務局で原案作成中

 「卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された胚の移植を受けることができるが、その際の「卵子の提供を受けることが困難である」ことの具体的な判定は?(検討課題1の宿題)


 実施医療施設等の監督体制

 
(1)実施医療施設の指定及び指導監督業務について

(専門委員会報告書p51)
 公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできない。
  (ア)  実施医療施設の指定(許可)
(要検討事項)
 指定(許可)に際しての審査方法はどうするか? (検討課題2の宿題)
 →事務局で原案作成中
 (←検討課題2「実施医療施設の施設・設備の基準及び人的基準について」)

  (イ)  実施医療施設の指導監督業務
(要検討事項)
 指定(許可)後の監督体制はどうするか?(書類審査に加え、実地調査も行うこととするか?)(検討課題2の宿題)
 →事務局で原案作成中

  (ウ)  実施医療施設の指導監督業務
(要検討事項)
 精子・卵子・胚の提供医療施設も指定(許可)するか?

(案)  精子・卵子・胚の提供医療施設を公的管理運営機関(もしくは国)が指定(許可)する。

 提供医療施設の施設・設備・機器に関する指定(許可)基準はどのようなものか?
 →事務局で原案作成中

 指定(許可)に際しての審査方法はどうするか?
 →事務局で原案作成中

 指定(許可)後の監督体制はどうするか?(書類審査に加え、実地調査も行うこととするか?)
 →事務局で原案作成中

  (エ)  提供医療施設の指導監督業務
(要検討事項)
 指定(許可)後の監督体制はどうするか?(書類審査に加え、実地調査も行うこととするか?)
 →事務局で原案作成中



トップへ
戻る