戻る

中小企業等へのヒアリング概要



A社(製造業)

企業概要 金属製品製造業

事業所数1カ所

従業員数70人(うちパートタイム労働者32人、外国人研修生5人)
パートタイム労働者の特色
 所定内労働時間:1日5時間・週5日勤務(正社員は週40時間制)

 契約期間の定めなし

 3分の1が男性で、60歳前後の高齢者。3分の2が女性で、子育てが一段落した50代が多い(女性は全員夫の扶養下)。

 平均勤続年数5年程度。

 職種は軽作業・補助作業(検査・梱包など)。経験を要しない。
パートタイム労働者の雇用管理の状況
 パートタイム労働者に正社員との待遇の違いについて説明したことも説明を求められたこともない。募集時に時給を明示しているので、納得しているものと思われる。

 労働組合はないが、社長室のドアが常に開放してあり、社長に忌憚なく相談できる状況にある。

 パートタイム労働者の中でも仕事ができる者を班長として任命し、班長手当をつけている。班長手当は、正社員も同額。班長の職務は、新入社員への指導・日々の作業の中での段取りである。
 昇給・昇格制度は、正社員・パートタイム労働者共にない。社長が会社の業績を見て決定。

 正社員登用制度はないが、実績は15−16年で5−6人。有能な人に社長が声をかけて、本人の意向により登用。「責任が重くなるのは嫌だ」と辞退した者もいる。

 パートタイム労働者が従事している軽作業・補助作業をしている正社員はいるが、パートが退社後は正社員が引き続き作業をするほか、正社員は作業計画の作成・部品の補充・デリバリー管理・トラブル発生時の処理・他部署の仕事のカバー等を行う。

 パートタイム労働者の採用時の賃金は、地域相場で決定。正社員は中途採用で、本人の経験・年齢等を考慮し個別に社長が決定。賃金表は作成していない。


B社(製造業)

企業概要 電気機械器具(電子部品)製造販売業

事業所数2カ所(うち1か所は工場。パートタイム労働者は工場にのみ配置)

従業員数30人(うちパート15人)
パートタイム労働者の特色
 所定内労働時間:本人希望による。1日5時間勤務の者が多い(正社員は8時間)

 契約期間:3ヶ月

 3分の1が男性。20代前半のフリーターで、加工、配送等を行っている。正社員志望の者が多く、能力次第で登用する予定。

 3分の2が女性。女性は全員主婦で、多くが夫の扶養下にある。検査、梱包、出荷、発送等の補助的軽作業を行っている。

 パートの勤続年数は2〜6年。
パートタイム労働者の雇用管理の状況
 パートタイム労働者からは正社員との待遇の違いについて説明を求められたことはなく、納得の上働いていると考えている。待遇について納得した上で入社していることと、正社員に対し高い要求がなされているのを見ているため。

 労働組合なし。各部署の責任者を通じてパートタイム労働者の意見や要望が幹部会議に報告される他、全社員の懇親会(3ヶ月に一度実施)、社員旅行(年1回)の機会にコミュニケーションを図っており、気軽に話ができる雰囲気が醸成されている。

 パートタイム労働者の中で優秀な者が他の指導を行うことは現状としてはあるが、制度としてはない。会社としては、そういう者には手当の支給等によりリーダーとして位置づけたいという考えはあるが、パートタイム労働者本人が人間関係等を理由として辞退するので実現していない。

 正社員登用は制度としてはないが、実績2人あり。パートタイム労働者の募集に際して「正社員登用の道あり」としている。正社員志望の者であっても、能力を見極めるためまずはパートタイムで働きぶりをみている。

 女性パートタイム労働者と同じ仕事をしている正社員はいない。

 男性パートタイム労働者の中には正社員と同じ仕事をしている者はいる。正社員志望の者については仕事ぶりをみるため同じ仕事をしているが、正社員ほどは責任は負わない。

 パートタイム労働者も正社員と同時期に年1回必ず昇給する。昇給額は、業績と個々の能力により決定。能力の高い者であれば、勤続年数のより長い者の時給を逆転することがある。


C社(卸売業)

企業概要 総合卸商社

事業所数2カ所(転勤なし)

従業員数約1,300人(うちパートタイム労働者約300人、パートタイム労働者のうち男性約1割)
パートタイム労働者の特色
 所定内労働時間:個別の希望により、週17〜28時間(正社員は週40時間制)。勤務時間帯も個別の希望により、午前半日勤務の者、午後半日勤務の者、短日数の者等様々。

 契約期間2ヶ月

 男性パートは学生のみ、女性パートは、全員主婦で夫の扶養下にある。女性パートの平均勤続年数は5年で、平均年齢は45歳。

 仕事内容は、主として、営業部門では、商品補充・品出し・陳列等。物流部門では、袋詰め・箱詰め・搬入等の軽作業。
パートタイム労働者の雇用管理の状況
 パートタイム労働者に正社員との待遇の違いについて説明したことも説明を求められたこともない。不満も出ていない。

 パートタイム労働者を10数名の班に分けた研修をときどき実施しており、その場で意見をヒアリングしている。また、人事部には気軽に来て話ができる体制になっている。

 パートタイム労働者の中で「リーダー」を作ろうと試みたが、差がつくと人間関係の輪を乱すとの理由で歓迎されなかったために断念。今後の課題。
 昇給制度はない。パートタイム労働者で同一職務の者は、勤続年数・経験にかかわりなく同額の時給。

 正社員登用制度も実績もない。

 正社員と同じ仕事に従事しているパートタイム労働者はいない。物流部門では、パートタイム労働者は軽作業のみ担当するが、正社員は軽作業も時には行うが、作業の統括・在庫の管理等判断業務を担う。営業部門では、パートタイム労働者は補助作業を担い、正社員は、仕入れに来た小売店の営業者に商品を勧め、使い方・陳列方法の指導、商談、契約締結等を担う。

 パートタイム労働者の採用時の賃金は、地域相場で決定。


D社(卸売業)

企業概要 電子部品卸売業

事業所数6カ所

従業員数55人(うち短時間パート11人、フルタイムパート10人)
パートタイム労働者の特色
 所定内労働時間:本人希望による。正社員の3/4程度の者が多い(正社員は週37.5時間)。フルタイムパートの中にも本人の希望により正社員の勤務時間よりわずかに短い者もいる。

 契約期間:1年間

 短時間パートの平均勤続年数4年、フルタイムパートの平均勤続年数7年。

 3分の1が男性。男性の短時間パートは自社を定年退職した高齢者で、配送等の作業を行っている。フルタイムパートはセールスエンジニア等の専門職で年俸制。
 3分の2が女性、主婦が多い(女性の約半数が夫の扶養下)。女性の短時間パートは、営業所における営業職の補助事務、物流センターでの作業(配送、品揃え、荷物受け入れ、出荷等)。フルタイムパートはこれに加えて商品管理(コンピューター入力、分析、発注計画の作成、発注)も行っている。
パートタイム労働者の雇用管理の状況
 パートタイム労働者からは正社員との待遇の違いについて説明を求められたことはない。

 労働組合なし。パートタイム労働者の意見や要望は、職制によりマネジャーを経由して把握する他、年1回、パートタイム労働者も含む全社員のコミュニケーションを図るための行事を宿泊で実施し、その際アンケート調査を行っている。

 パートタイム労働者の中で優秀な者が他の指導を行うことは現状としてはあるが、昇格等の制度としてはない。パートタイムについても個々の能力、実績により昇給を実施。

 正社員登用制度あり。実績3人。本人の希望により上司が推薦し、検討の上決定。

 正社員と同じ仕事をしているパートタイム労働者はいるが、パートタイム労働者は家庭生活優先で休み等の融通について配慮している。パートタイム労働者には転勤、出張はない。

 パソコンが使いこなせる等即戦力の優秀な人材を採用するため、時給を地域相場より高く設定している(新卒の正社員の初任給の時給換算額より高い)。

 正社員の賃金表は社員に公開しているが、パートタイム労働者の賃金表は、人事として作成しているが公開していない。パートタイム労働者の評価制度も人事として作成、実施しているが、公開していない。賞与は、パートタイム労働者については規定がなく、慰労金を支給している。


E社(卸売・小売業)

企業概要 食器の加工販売・卸売業

事業所数(小規模も含めると)7カ所。他に、デパート等に店舗を出している。

従業員数253人(うちパートタイム労働者79人、パートタイム労働者のうち男性5人)
パートタイム労働者の特色
 所定内労働時間:1日7時間・週5日勤務、1日8時間・週2日勤務等個別の相談に応じているので様々である。正社員と同じ週40時間制の人は10名くらいだと思われる。

 契約期間1年。特段の事情がなければ、自動更新。

 平均年齢44歳。女性はほとんど主婦。

 平均勤続年数4年強。男性は約16年、女性は4年弱。

 職種は補助的事務、販売、作業(値札貼り、品出し、荷造り等)、清掃。
パートタイム労働者の雇用管理の状況
 パートタイム労働者に正社員との待遇の違いについて説明したことも説明を求められたこともない。

 労働組合はないが、部門長は年1回パートタイム労働者と面接をし、意見や要望を聞いている。能力査定の結果もパートタイム労働者に見せるようにしている。また、社長が年1回パートタイム労働者と昼食会を開催している。

 パートタイム労働者は、全員平社員である。ただし、デパート等に出しているショップの店長をしている者はいる。パート店長の下に、正社員がいることはない。
 昇給は、正社員もパートタイム労働者も年1回実施。パートタイム労働者は能力査定により、+25円〜−25円変動。ただし、減給した例はない。人事考課表はまず本人が自己評価し、部門長が評価する。部門長の評価で決定。

 正社員登用制度はないが、実績は数人いる。本人が要望してくることもあるし、部門長が声をかけることもある。

 パートタイム労働者が従事しているのと同じ補助的事務や作業をしている平の正社員はいるが、パートが退社後は正社員が業務を引き継ぐほか、正社員は休日出勤・残業・出張をこなす、トラブル発生時の処理、他部門の仕事のカバー等を行う。基本的に、正社員・パートタイム労働者とも異動はない。

 パートタイム労働者の採用時の賃金は、地域相場に若干上乗せする形で決定。賃金表は、正社員についてのみ作っている。


トップへ
戻る