制度等に関する審議会での議論
意見の内容 | 委員名/第( )回 分科会での発言 |
1.在宅の重視 | |
・ 在宅中心は介護保険導入時のコンセンサスかつ世界の流れであり、住み慣れた家、地域にいたいという高齢者の希望を尊重しようということである。 | 井形(9) |
・ 介護保険の議論は、とてもいい議論をしてきたが、やはり生活という視点が希薄であった。 | 樋口(2) |
・ 介護保険は、高齢者の生活者としての自立を支援するシステムであり、その原点を絶対に忘れないようにしてほしい。利用者に分かりやすいことが大事。 | 樋口(4) |
・ 介護の目的は自立支援だが、現在の在宅介護は自立支援につながっていない。 | 村上(5) |
・ 身体障害を重度化させないようにする介護予防の発想を在宅ケアの中に入れ込むことも必要。 | 山口(4) |
・ 3か月後、6か月後の在宅復帰を目指してケアプランを作らなくてはいけない。 | 井形(3) |
・ きちんとした退所・退院計画をつくるようにすべき。 | 京極(5) |
・ 施設から在宅への転換について、介護給付の在り方と基盤整備の在り方の両面から捉えていく必要がある。 | 京極(2) |
・ 「在宅」の間口を広げ、グループホームのようなケア機能をもった居住施設を増やしていくことが重要。在宅へのインセンティブが働く仕組みを検討すべき。 | 山口(1) |
・ 完全な自宅と入所施設との間にあるサービスについて、ケアハウスの今後も含めて議論すべき。 | 京極(2) |
・ 在宅の間口を広げる機能を持つ施設あるいは高齢者住宅を広げていく対応も考えていく必要がある。 | 樋口(2) |
・ 施設の待機者が減らないのは、在宅と施設の給付の格差が一つの要因であり、待機者を減らすためには、施設給付も在宅の支給限度額の範囲内にして、要介護度が軽い人には差額を少し負担していただくなどの工夫が必要。 | 喜多(3) |
・ 在宅復帰の阻害要因として家庭の事情が指摘されているが、在宅サービスと施設サービスの給付のバランスが適切かどうかといった視点も必要。 | 矢野(5) |
・ 在宅サービスへのインセンティブがなかなか湧かないのは、家族の負担感や不公平感が是正されていないからである。 | 山崎(10) |
・ 施設と居宅の負担のアンバランスの問題を是正し施設へ流れるインセンティブを避け、また、財源の捻出という観点からも、ホテルコストについては、個室でなくても、その一部の徴収を適当な時期に考慮すべきではないか。 | 橋本(3) |
・ 個室化あってのホテルコストの導入であるので、4人部屋でホテルコストをとるとは言わないでいただきたい。 | 樋口(3) |
2.サービスの質 | |
(1) サービスの質の向上全般 | |
・ 保険財政の観点だけでなく、利用者に質の良いサービスをどのように提供するかの視点が欠けていてはいけない。 | 青柳(10) |
・ 在宅サービスがなぜ進まないかというと、質が悪いから。いろいろな人が自宅で暮らし続けられるよう、質の確保について議論が必要。 | 橋本(2) |
・ 寝たきりの方を寝たきりのまま介護をするか、あるいは自立に向けてその人の身体レベル等をきちんと勘案しながら介護をするか、サービスの水準によって利用者の方々の快適度は全く異なる。 | 田中(雅) (2) |
・ 訪問介護という福祉サービスと訪問看護・訪問リハという医療サービスの連携をとることによって、効率的にサービスを提供できるのではないか。 | 山口(4) |
(2) ケアマネジメント | |
・ ケアマネジャーは介護保険の大変重要なポジションにあることは明らかであり、もう少し大きな裁量権を与えるべき。 | 山本(3) |
・ ケアマネジャーの独立性、中立性、公平性が必要である。ケアマネジャーは利用者本位の介護保険をつくる柱であり、大変重要。 | 村上(3) |
・ ケアマネジャーは介護保険の要であり、質の評価やケアマネジメントリーダーの養成研修、専門性・中立性の確保、サービス種類が1種類のケアプランの点検、担当ケース数の適正化、ケアマネジャーがサービス内容にきちんと意見が言える仕組みなどが必要。 | 見坊(3) |
・ 在宅介護支援センターの機能と役割がはっきりしないと、ケアマネジメントリーダーを養成しても機能しない。 | 木村(3) |
・ 住宅改修の理由書は、ケアマネジャーが専門家等の意見を聞いて記載することを原則化すべき。 | 中村(6) |
(3) 在宅サービス | |
・ 在宅サービスにおける自立支援には、見守り機能が非常に重要。 | 村上(5) |
・ 訪問介護事業所のサービス提供責任者については、計画を作る者と いうことで大切な役割を担っている。 | 村上(2) |
・ 要介護者の60%以上が歯科的問題を抱えているという報告があるので、現在は2〜3%程度であるヘルパーやケアマネジャーによる口腔チェックを必ず行っていただくようお願いしたい。 | 新井(9) |
・ 3級ヘルパーと2級ヘルパーの差は、1日数時間の実習時間の差であるから、3級ヘルパーが実践を重ねて、その経験時間を基に進級できるようなシステムをつくるべき | 堀江(9) |
(このほか、「1.在宅の重視」の項を参照。) | |
(4) 施設サービス | |
(1) 施設職員の資質 | |
・ 施設の介護職員は任用資格がなく、非常勤化が進んでいるが、「家の嫁」から「社会の嫁」へ介護労働が移るだけではよくないので、ある程度食べていけるような収入で専門性をもって働けるようにしていただきたい。 | 樋口(12) |
・ 施設サービスの介護従事者には在宅サービスのようにホームヘルパー養成研修修了者という義務づけがない。専門的な知識・技術を有する介護福祉士等の配置を考える必要がある。資格職を採用すると費用は高くなるが、自立を目指した介護の質を担保するには専門職が必要。 | 田中(雅) (10) |
(2) 人員配置に応じた評価のあり方 | |
・ 人員配置基準ごとに差をつけて報酬を支払うという考え方は基本的に問題がある。 | 下村(10) |
・ 施設の介護報酬について現行の体系では、診療報酬と同様、構造や人員配置基準に偏った形で設定されているが、今後、各施設の入院・入所者の要介護度のバランスがとれてケースミックスの形になれば、一人一人の要介護者に対する給付、つまりハコではなくパジャマに報酬をつける形を考えていかなければならない。 | 青柳(12) |
(3) 個室・ユニットケア | |
・ 全室個室・ユニットケア型施設について、特養についての方向性は理解するが、療養型や老健施設についてはどう考えるのか。 | 下村(10) |
・ 全室個室・ユニットケア型特養については、将来的にそのような施設整備を行うことに異論はないが、現段階で保険制度内での低所得者の負担軽減措置は時期尚早である。 | 堀江(10) |
(4) 情報開示 | |
・ 自治体、施設、施設団体等が全体として取り組み、施設の運営や入所判定のあり方と施設の特色を公開して、それによって利用者が自らのニーズに合った選択ができるようにしていただきたい。 | 見坊(13) |
(5) 痴呆対策 | |
・ 痴呆介護そのものがきちんと確立していない。 | 笹森(2) |
・ 新しく痴呆の方の介護に関わる方にとって、どこに相談していいか分からないという悩みは非常に大きい。 | 笹森(4) |
・ グループホームの位置づけについて、在宅なのか施設なのか見直しを検討してはどうか。 | 山口・青柳 ・山崎(6)、 下村(11) |
・ グループホームは、在宅か施設かに分類することは難しいので、第3のカテゴリーと割り切ってはどうか。 | 田中(滋) (6) |
3.介護と医療の役割分担 | |
・ 療養病床は医療であって介護ではないから、介護保険からは外すべき。 | 山本(4) |
・ 医療の必要度、医療内容・種類による医療保険と介護保険の区分の基準は一応存在しており、今の考え方を基本に関係を整理していくべき。 | 下村(4) |
・ 利用者は医療と介護を完全に切り離すことはできない。片方のサービスの人もいるが、両方のサービスを必要とする人に安全で安心してサービスができる制度は維持しないといけない。 | 木下(11) |
・ お年寄りの状態像によって、療養する場が決まるのが理想。 | 山口(2) |
・ 医療と介護の整合性や機能分担について、もう少し明確化してほしい。 | 中村(5) |
・ 利用者負担に係る医療保険と介護保険の整合性を考えていただきたい。 | 青柳(12) |
4.効率化・適正化 | |
・ 経営実態上こういう問題があるから介護報酬を上げなければいけない、という単純な議論は大変問題である。本当に合理的な単価設定なのか検証させていただきたい。 | 堀江(1) |
・ 報酬の分析の仕方については、保険理論的な側面も必要。単に要介護者が望むから給付の対象にすべきというのは、理論にそぐわない場合もある。 | 田中(滋) (2) |
・ サービスの質・量も必要であるが、財政の健全性の前提を常に忘れてはいけない。 | 矢野(3) |
・ 保険料を無視して報酬だけ議論するのはおかしいと考えている。 | 喜多(6) |
・ コスト意識が議論の中にない。 | 喜多(11) |
・ 必要不可欠のものまで切り下げるべきではないが、具体的な単価の設定に当たっては、コスト意識を十分持って妥当な報酬案が出てくることを期待している。 | 喜多(13) |
・ 手厚い人員配置は保険財政負担や保険料負担の増大につながるため、慎重に対応すべき。 | 矢野(4) |
・ 財政は保険制度の目的ではなく、あくまで制約条件である。 | 田中(滋) (9) |
・ 高報酬の設定により介護保険で全てのサービスをカバーするのは無理であり、老人福祉法の措置制度や、上乗せ・横出しサービス、介護保険対象外の周辺サービスの組み合わせがある程度ないと、本当に実態に即したものにならない。 | 見坊(6) |
・ 諸外国を見ても在宅系サービスで重要なのは、移送と配食であり、当面の間は介護保険の給付対象にしないということになっているが、何らかの形で議論が必要ではないか。 | 山崎(2) |
5.保険料、利用者負担等 | |
・ 世帯と個人が混ざり、所得の種類によって段階が変わる、第1段階〜第3段階という区分自体が適正かどうか考えなければいけない。 | 喜多(3) |
・ 保険料等の財源のゆがみをそのままにして費用のみを見直すのはいかがなものか。調整交付金が5%以下であるか以上であるかによって、同じ1号被保険者でも保険料の負担割合が17%以上と以下になっており、不公正である。 | 喜多(9) |
・ 所得の問題については、以前から大きな問題であって、今までの整理は不公平であり、再整理が必要。 | 村上(3) |
・ 低所得者対策や都道府県と市町村の関係などが議論されていない。 | 村上(12) |
・ 施設サービスと同様に、グループホームにも住所地特例を設けるかどうか、議論してほしい。 | 中村(6) 堀江(6) |
・ 新型特養では施設整備の法人負担が多くなり資金調達が大変難しくなるので、社会福祉法人の規制改革だけではなく、新しい社会福祉法人像を国として議論していただきたい。 | 中村(3) |