H14.10.10
年金制度改正に係るこれまでの意見の整理(案)
検討項目 | 論点 | 委員意見 | 備考 |
1.年金制度改革の基本的な視点 | ○年金制度改革の基本的な視点をどう考えるか。 |
【現役世代の年金に対する不信感を払拭する改革を目指すべきとする意見】
【給付水準と現役世代の保険料負担をバランスのとれたものにすべきとする意見】
【少子化、高齢化の進行に対し、柔軟に対応でき、かつ安定した制度とするべきとする意見】
【将来の年金を実感できる分かりやすい制度とするべきとする意見】
【就労形態、ライフスタイルの変化に対応できるものである制度とするべきとする意見】
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2.公的年金制度の基本的な考え方・体系 (1)制度の財政方式等 |
○実質的に価値のある年金額を終身にわたって確実に保障するという公的年金の役割に照らし、その財政方式をどのように考えるか。 |
【基本的に賦課方式とすべきとする意見】
【両制度を併用し、積立部分を明らかにした財政運営が必要とする意見】
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○基礎年金について、社会保険方式を維持するべきではないか。税方式化についてはどう考えるか。 |
【社会保険方式を維持すべきとする意見】
【基礎年金は税方式によるべきとする意見】
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○賦課方式・社会保険方式を基本とする財政運営の中で、年金積立金の役割についてどう考えるか。 |
【年金積立金は高齢化が進んだ段階における負担の軽減等の役割 があるとする意見】
【積立方式としての性格付けが必要とする意見】
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○年金積立金の取り崩しについてどう考えるか。 |
【年金積立金を取り崩すべきとする意見】
【年金積立金を取り崩すべきでないとする意見】
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○公的年金の一部に積立要素を入れることについてどう考えるか。 |
【賦課方式を基本としつつ一部に積立要素を入れるべきとする意見】
【報酬比例部分の積立型移行・民営化に反対する意見】
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(2)制度の体系 |
○サラリーマングループと自営業者グループの間で異なる取扱いとなっていることについてどう考えるか。 ○自営業者グループについて所得比例方式を目指す場合に必要となる所得把握について、どう考えるか。 |
【両者を区分すべきとする意見】
【区分しない方向を目指すべきとする意見】
【自営業者グループの所得把握の問題点を指摘する意見】
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○年金給付の構造(所得比例、所得再分配)についてどう考えるか。 |
【現行の2階建て方式を維持すべきとする意見】
【厚生年金保険料において基礎年金に対する部分と報酬比例部分を完全分離すべきとする意見】
【所得比例構造に税財源による補足的な給付を組み合わせて対応する意見】
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○所得のない、あるいは低い者に対する年金による保障について、どう考えるか。 |
【特別のグループについて特に年金の保障が必要とする意見】
【生活保護との関係を指摘する意見】
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(3)制度の理解を高める仕組み | ○現役世代、特に若い人の年金制度に対する理解を深めるため、将来の自らの年金給付を実感できる仕組みや運営として、どのようなものが適切か。 |
【個人に対して加入記録や将来の年金についての情報を通知すべきとする意見】
【ポイント制の導入を検討すべきとする意見】
【概念上の拠出建てを検討すべきとする意見】
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3.給付と負担 (1)給付水準 |
○高齢者世帯の生計費を賄うという観点、現役世代の生計費との比較、等から見て、年金の給付水準をどうとらえるか。 |
【一定の水準の確保が必要とする意見】
【給付水準を引き下げるべきとする意見】
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(2)保険料負担のあり方 | ○将来の保険料水準を過度に上昇させないためには、現在凍結されている保険料(率)の引上げを再開すべきではないか。 |
【保険料凍結の解除が必要とする意見】
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○前回改正での最終保険料(率)の設定も踏まえ、将来の最終保険料(率)及び到達時期についてどう考えるか。 |
【最終保険料引上げには慎重な意見】
【年収の20%を大幅に下回る水準で長期間保険料を固定すべきとする意見】
【最終保険料は年収の20%と明示することが必要とする意見】
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○厚生年金に係る保険料の5年ごとの引き上げについて、どう考えるか。 |
【5年ごとでなく小刻みに保険料を引き上げる方法をとるべきとする意見】
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(3)想定を超えた社会経済の変動に対する対応 | ○人口構造や経済情勢の変化等の外生的な社会経済情勢が想定を超えて変動するときに、その都度給付内容や将来の保険料負担を見直していくことには限界があるのではないか。 |
【給付の抑制と負担の増加の繰り返しが制度に対する信頼を損なっているとする意見】
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○将来にわたって最終保険料の上限を固定し、その後人口構造や経済情勢の変化等の外生的な社会経済情勢が想定を超えて変動するときは、給付水準を自動的に調整する手法についてどう考えるか。また、その方法についてどう考えるか。 |
【保険料を固定して給付水準を自動的に調整する仕組みを検討すべきとする意見】
【少子化への取組や経済発展に向けた努力によって給付や負担が変動する仕組みが必要とする意見】
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【負担を固定した場合の給付の自動調整については、下がりすぎないよう一定の限度を設けるべきとする意見】
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※ILO第102号条約 「標準受給者(年金受給年齢の妻を有する男子)について、30年拠出した場合に従前の所得額の40%の給付を確保すること。」 |
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【労働力率、出生率の変動による給付の調整を受ける世代についての意見】
【現役世代の可処分所得に応じた給付とすることで調整が可能とする意見】
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(4)現在受給している年金の扱い | ○将来世代に対して保険料負担の引上げや給付水準の適正化を求める場合、現在の年金受給者に対しても、給付水準の適正化を求めることについてどう考えるか。また、その場合の方法についてどう考えるか。 |
【既裁定年金についても適正化を検討すべきとする意見】
【既裁定年金について賃金スライドを復活すべきとする意見】
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4.国庫負担の引上げと安定的な財源の確保 (1)国庫負担水準の引上げ |
○社会保険方式における国庫負担の意義をどう考えるか。 |
【低所得者も含めて社会保険制度により保障を及ぼすためとする意見】
【年金の給付の構造を所得比例構造としたときに、補足的な給付を国庫負担で考えるべきとの意見】
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○基礎年金の国庫負担の水準についてどう考えるか。 |
【2分の1への引上げが必要とする意見】
【国庫負担の引上げについては、低所得者や過去期間分の債務の償却に着目してもよいとする意見】
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○基礎年金国庫負担割合の引上げのための安定した財源をどのように確保するべきか。 |
【基本的には消費税や年金税制の見直しで財源を賄うこととする意見】
【間接税を所得保障の財源とすべきでないとする意見】
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(2)年金収入に対する課税 | ○年金受給者に対しては、公的年金等控除により、現役世代と比較して優遇した措置が税制上講じられているが、世代間・世代内の公平を確保する観点からの見直しをどう考えるか。 |
【公的年金等控除を縮小するべきとする意見】
【上記見直しの際、生活実態等への配慮が必要とする意見】
【遺族年金・障害年金の非課税措置も見直しが必要とする意見】
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○年金収入に対する課税を強化した場合の増収分の取扱いをどう考えるか。 |
【基礎年金の国庫負担水準の引上げに充てるべきとする意見】
【子育て支援に充てるべきとする意見】
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5.支え手を増やす方策 (1)取組の意義 |
○就労形態を含めた個人のライフスタイルの多様化に対応して年金保障の充実を図るとともに、少子高齢社会においても給付と負担のバランスを図り安定的な制度運営を行っていくことが重要ではないか。 |
【安定的な制度運営を行う観点から支え手を増やす取組を評価する意見】
【年金保障の対象を拡大する観点から評価する意見】
【関連して外国人労働についての検討が必要とする意見】
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(2)短時間労働者等に対する厚生年金の適用 |
○短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大を図るべきではないか。その場合、保険料負担の増加、年金財政への影響、健康保険との取扱いの均衡等について、どのように考えるか。 ○派遣労働者に対する厚生年金の適用拡大について、どう考えるか。 |
【短時間労働者に対する厚生年金の適用を進めるべきとする意見】
【短時間労働者に対する適用拡大を論じるには定量的な議論が必要とする意見】
【個人事業所の労働者保護の観点から考える意見】
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(3)高齢者の就労促進 | ○現在の在職老齢年金の仕組みについて、高齢者雇用との関わりをどう評価するか。 |
【在職老齢年金制度が一定の就労促進効果を有するとの意見】
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○高齢者の本格的な就労を促進していくため、就労に対して年金制度の影響が及ばないような新たな仕組みを検討することについてどう考えるか。 |
【在職老齢年金制度以外の方策についての意見】
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(4)次世代育成支援 | ○少子高齢化が将来の我が国の社会経済に大きな影響を及ぼすことが予想される中で、公的年金制度においても次世代育成支援に向けた対応をとることをどう考えるか。 |
【年金制度での次世代育成支援を肯定する意見】
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○育児期間中の者に対する保険料の免除等の配慮措置を拡大することについてどう考えるか。 |
【育児期間中の者への配慮措置に反対はしないが、効果は疑問とする意見】
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○年金の給付と負担における措置にとどまることなく、例えば、公的年金の積立金を財源とした新たな教育資金の貸付制度の創設や年金制度における保育費用の助成等、育児や子育てを支援する措置を講じることについてどう考えるか。 |
【少子化対策は必要だが年金制度の外で行うべきとする意見】
【社会保険システムを活用した育児支援の枠組みを検討すべきとの意見】
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6.女性と年金 (1)女性のライフスタイルの変化と給付設計の在り方 |
○女性のライフスタイルが多様化する中、年金制度の給付設計についてどう考えるか。 |
【制度の給付設計の単位・モデルを見直すべきとする意見】
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○給付設計を個人単位とした場合に、女性の年金保障をどうとらえるか。 |
【個人によっては年金保障は十分ではないとする意見】
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(2)第3号被保険者制度 | ○女性の就労の進展等、経済社会情勢の多様な変化の中で、現在の第3号被保険者に係る給付や負担の在り方をどう考えるか。 |
【第3号被保険者制度等が男女の経済力の平等化を阻害しているとする意見】
【育児・介護期間中の者以外の被扶養者は定額負担すべきとする意見】
【第3号被保険者の負担能力を指摘する意見】
【短時間労働者に対する厚生年金適用との関連で、第3号被保険者制度の見直しが必要とする意見】
【個人単位化を評価する意見】
【給付面で調整すべきとする意見】
【負担能力に欠ける者への配慮が必要とする意見】
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※さらに以下のような論点が考えられる。 ○第3号被保険者に係る保険料負担を、従来どおり第2号被保険者の負担能力に応じて求めるという方法についてどう考えるか。 ○受益に着目した保険料負担を求める場合、妻自身に保険料負担を求める考え方と、夫を通じて保険料負担を求める考え方があり得るが、どちらが適当か。 ○育児・介護期間中は、第2号被保険者で従来どおり負担するという仕組みについてどう考えるか。 |
7.公的年金と私的年金の役割分担 | ○私的年金は、公的年金を補完して、多様化したニーズに対応する役割を果たしており、それぞれの役割を踏まえ、公的年金を土台として、両者を組み合わせて老後の収入を確保するという位置付けについてどう考えるか。 |
【公的年金の役割を再考すべきとする意見】
【私的年金の基盤整備が重要とする意見】
【公的年金の役割の再考には慎重な意見】
【公的年金の役割を明示することが必要とする意見】
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8.国民年金保険料の徴収 | ○国民年金保険料について、どのように収納対策の強化に努めていくか。 |
【国民の年金に対する不信感を払拭することが必要とする意見】
【保険料納付は国民の義務であるという立場から収納対策を強化すべきとする意見】
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9.年金改革と他の社会保障制度改革 | ○他の社会保障制度などとの関係で、年金の給付と負担の水準をどうとらえるべきか。 |
【給付と負担の水準は総合的に考えるべきとする意見】
【国民負担率の上昇を抑制すべきとする意見】
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(敬称略)