I 検討経緯
1997年にIARC(International Agency for Research on Cancer)が結晶質シリカに発がん性ありとする見解を出し、2001年4月に日本産業衛生学会でそれを支持する提案がなされている。このような状況のなかで、結晶質シリカがじん肺の主要な原因物質であるため、肺がんを併発するじん肺の健康管理の在り方に関する検討を行う必要があり、本検討会が設けられた。
1 第1回検討会:平成13年7月3日
和田委員を座長に選出し、高橋委員から結晶質シリカに関する日本産業衛生学会における提案の考え方が紹介され、委員から喫煙の影響の排除などについて質疑が出され、議論を行った。
2 第2回検討会:平成13年10月11日
結晶質シリカの発がん性検討に際しての喫煙の影響に関する議論等を行った。今後の検討の方針として、下記を行うことに決めた。
・ | この問題に関する文献を改めて収集し、検討会の疫学専門の委員6名(和田座長、大前委員、清水委員、高橋委員、矢野委員、山口委員:「疫学ワーキンググループ」と呼ぶ。)で統一的観点で評価を行うこと |
・ | 肺の線維化などにおける発がんの機序に関する病理学的知見の収集を行うこと(深山委員) |
・ | 結晶質シリカの発がん性に関する動物実験に関する文献の収集を行うこと(加藤委員) |
3 疫学ワーキンググループの検討
疫学ワーキンググループでは、IARCの検討の際に用いられた疫学文献に加えて、国内のじん肺有所見者に関する文献、最近の国外の文献を追加し、文献の質を評価し、検討対象の選定およびメタアナリシスの検討などを下記のとおり行った。
・ | 平成13年12月27日:評価作業の進め方、文献の評価項目等について検討 |
・ | 平成14年2月15日:各文献を評価し、メタアナリシス採用の適否について検討 |
・ | 平成14年2月〜3月:メタアナリシスの実施(於 埼玉医科大学衛生学教室) |
・ | 平成14年3月8日:メタアナリシスの分析について議論、追加分析の確認 |
4 第3回検討会:平成14年4月30日
疫学ワーキンググループが行ったメタアナリシス等の分析検討結果について、検討を行い、次回以降、検討会として、じん肺と肺がんの関係の見解をまとめ、肺がんを併発するじん肺の健康管理について検討することとした。
5 第4回検討会:平成14年8月8日
「じん肺と肺がんの関係について」見解をとりまとめ、和田座長、工藤委員、土屋委員から提言のあった「肺がんの合併を念頭においたじん肺有所見者の健康管理の在り方について」について検討し、これを検討会としての提言とすることを決めた。前記の見解と提言を併せて、検討会の報告とし、今回を最終の検討会とすることを決定した。