02/09/24 第8回労働政策審議会雇用均等分科会議事録           第8回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時: 平成14年9月24日(火) 15:00〜17:00 2 場所: 厚生労働省省議室 3 出席者    分科会長: 若菜委員    労側委員: 岡本委員、秋元委員、片岡委員、吉宮委員    使側委員: 前田委員、遠藤委員、山崎委員    公益委員: 樋口委員、奥山委員、佐藤(博)委員 ○分科会長  ただいまから第8回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は皆様お 忙しい中をご出欠いただき、ありがとうございました。  それでは議事に入ります。最初の議題は、前回に引き続いて、「今後のパートタイム 労働対策について」です。最初に事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  資料に基づいてご説明いたします。資料1−1です。パートタイム労働法制定以降の 動向をまとめています。平成5年12月にパートタイム労働法が施行されて、そこに附則 で「3年後の見直し」ということが書かれていました。そういった関係で施行状況を中 心に調査を行うとともに問題点の整理が行われ、平成9年8月にパートタイム労働に係 る調査研究会の報告が出ています。その報告を基に審議会で審議が行われ、平成10年2 月に建議が出されています。  この建議の中で、特に2番目の項目は、平成10年9月の基準法改正で、パートタイム 労働にかかわらず、一般の労働者も含めての形での法改正になっています。3番目の通 常の労働者との均衡又は均衡を考慮した処遇・労働条件の確保、そういったところにつ いては、それを受けて平成12年4月のパートタイム労働に係る雇用管理研究会報告のほ うで検討がされています。  先ほどの平成10年2月の建議を踏まえて、全体的にその事業主指針が平成11年2月に 改正され、4月から施行という形になっています。  次に資料1−2です。この間、パートタイム労働対策がどのように進められてきたか の概要です。1番目で、パートタイム労働法の一層の定着のための取組みということで 、特に全国の都道府県労働局雇用均等室中心のものです。まずパートタイム労働法の周 知徹底ということで、特に毎年11月上旬を「パートタイム労働旬間」と決めて、セミナ ー、相談等もしているところです。  それから、パートタイム労働法に規定されている短時間雇用管理者の選任勧奨と講習 会の実施などもしています。  3番目が、通常の労働者との均衡を考慮した雇用管理についての情報提供ということ で、これについては先ほど言った研究会において考え方が整理されました。そこの部分 について情報提供を行っているところです。説明会、短時間雇用管理者の最近の状況を 表としてまとめています。  2番目が、短時間労働援助センターによる援助事業ということで、資料を2枚ほどめ くっていただくと事業の内容が詳しく書いてあります。1つは助成金の支給で、中小企 業事業主に対するものと、事業主団体に対するものがあります。中小企業事業主に対し ては、パートタイム労働者の雇用管理の改善のための計画を作成し、他の事業主の模範 となる取組みを行う場合に支給ということです。事業主団体については、その構成事業 主の雇用するパートタイム労働者の雇用管理のための活動を行う場合に支給ということ にしています。  2番目の大きな柱が、雇用管理アドバイザーによる情報提供、相談援助事業の実施と いうことです。併せて、改善事業という形で自主点検をしていただいたり、業種別使用 者会議などで事業主に対する取組みを促しているところです。その実績については後ろ に3枚ほど付けているので、そちらを見ていただければと思います。これが短時間労働 援助センターの援助事業関係です。  再び資料1−2の1枚目をご覧ください。パートタイム労働者の雇用の安定という関 係からは、パートバンク・パートサテライトの設置という形で、パートタイム労働者の 方々に対する職業紹介をしています。  次の頁で、パートタイム労働者の能力開発の推進ということで、ここにあるような形 での職業訓練を通常の職業能力開発の施策とさらに上乗せという形で、パートタイムの 方に対するもの、特に短期のものを実施しているところです。5番目が、中小企業退職 金共済制度へのパートの方の加入促進ということで、パートタイム労働者については一 般の労働者よりも低い掛金月額で加入できる特例制度があって、それに基づいてだんだ ん加入者も増えてきている状況です。  このように都道府県労働局、21世紀職業財団などの活動を通じて、事業主による雇 用管理の自主的な改善を促してきているところですが、その下でもパート労働者の通常 労働者と比べた処遇格差は依然として大きいということで、先ほど言った平成10年2月 の建議でも出されたところですが、その関係をまとめたものが資料2です。こちらの平 成10年2月の建議で、雇用管理上の中心的な課題の1つとされて、その中で具体的にど のように通常労働者との均衡を考えるかについては、物差しが形成されておらず、異な る賃金形態上の比較や、職務の違いに係る評価が必要になるので、技術的、専門的事項 を整理した上で取り組む必要があるということが建議として出されたところです。  次の頁で、それを受けてパートタイム労働に係る雇用管理研究会が設置されて、そち らで検討を進め、正社員と同じ職務を行うパートタイム労働者をAタイプ、その方たち について処遇や労働条件の決定方式を合わせることに合理的理由があるかないか、それ を見て、さらには正社員と異なる職務を行うパートタイム労働者をBタイプというふう に、場合分けをして考える形で考え方が整理をされたところです。行政としてはこの研 究会の考え方を基に情報提供を行ってきたところでした。  今回出た、資料3−1にあるパートタイム労働研究会の最終報告ですが、こちらでは いまの研究会報告だけに留まらず、この考えを踏まえた上で、現在のパート労働の現状 を見て、多様な働き方が望ましい形で広がっていくために何が重要かということで、そ の中で働きに応じた公正な処遇ということが主張されています。  前回はパート労働の現状と問題点を資料を交じえて説明させていただいたので、本日 は資料3−1の右側について説明させていただきます。政策の方向性ということで、柔 軟で多様な働き方を選び取れる社会という流れを、政策的にも望ましい方向に促してい くための条件として、労使の合意を進めていただかなければ現状は変わらないというこ とで、労使の主体的合意形成の努力が挙げられています。また、多様な働き方が望まし い形で広がっていくための制度改革を着実に行っていくということから、2つの視点が 挙げられています。まず、企業の選択肢を拡大する方向での多様な働き方が可能となる 制度改革という視点と、そうやって多様な働き方が広がる中で、働き方は相互の間で公 正さが損なわれないようにルールを整えるという視点での制度改革で、就労形態の多様 化に対応した社会保険制度の改革とともに、公正なルールを確立するという観点で、こ の2つの視点が欠かせないというのが研究会報告のスタンスです。  この2つの課題のうち、私どもの局が担当しているのが、後者で、パートタイマーの 公正なルールの確保の問題ということです。その下の具体的方向性というところでは、 パートについての日本型均衡処遇ルールの確立というところです。そこでは何が均衡か ということについて、日本の実態に即したルールを示していただいています。  日本型ということで、ヨーロッパの法制との違いについては後ほど紹介させていただ きますが、「日本型」といっている観点としては、企業の評価の物差しという場合、日 本の場合は職務が同じかというだけではなく、その職務における職能、経験、潜在的な ものが含まれた能力といったことと、いま同じ仕事をしているかというだけではなく、 もう少し長い時間軸の中で、どういう働きをしているかを考慮に入れる必要があるとい うことで、そういったルールが日本型ルールということで考えられています。  その具体的なルールのほうは資料3−2のほうで、こちらに「6つのルール」という 形で書いています。これはいま言ったことを整理して考えられているもので、左下の黄 色の図をご覧ください。横軸で仕事や責任が同じか異なるかで分けています。さらに仕 事や責任が同じ場合についても、色の幅や頻度など、キャリア管理の実態が同じか違う かということでさらに2つに分けているので、全体でパートタイマーについて3つに分 けているわけです。  いちばん右のグループは仕事や責任が異なるグループで、ここに該当するのはパート タイマーの7割ぐらいです。真ん中のグループは仕事、責任は同じであるけれども、キ ャリア管理の実態は正社員と明らかに違うと思われるグループで、これが3割程度です 。いちばん左の仕事、責任が同じで、キャリア管理の実態も違わないというグループが 4〜5%という調査も出ています。  これらに対して6つのルールを設定しているところで、まずルール1ということです が、これはパート労働者の処遇について常用、フルタイムの社員との違いや、その理由 の説明を行うことということです。これは労働基準法やパートタイム労働法の指針で定 められている労働条件の明示に加えて、フルタイム職員と比べて、仕事やキャリア管理 が具体的にどのように異なり、それがどのように処遇の違いに反映されているかを採用 時はもちろん、パートタイム労働者から求められたときには、いつでも十分に説明する ようにということです。  2番目に、処遇の決定プロセスにパートタイム労働者を参画させるということです。 パートタイム労働法7条においても、パートタイム労働者に適用される就業規則や改定 に当たっては、パートタイム労働者の代表者の意見を聞くようにとされていますが、さ らに処遇決定プロセスにパートタイム労働者の意思が反映されるということは、処遇に 係るパート労働者の納得性を高める上でも重要ですが、実際にパート労働者の組織率が 低いとか、賃金改定交渉でパート労働者の意見が反映されにくいという現状の中で、そ ういった労働組合員でないパート社員の処遇を含めて、労使交渉に臨もうとする場合に 適切な対応をとるといった、日常的にもパート社員の声を聞くようなプロセスを踏んで 処遇条件を決めるようにすれば、パートの方々の納得性を高めることになるというもの です。  3番目に、仕事の内容や役割の変化、あるいは能力の向上に応じた処遇の仕組みをつ くることということです。常用のフルタイム正社員についてはほとんどの企業がやる気 を引き出すために、さまざまな処遇制度で対応していると思われますが、パートタイム 労働者についてもやる気を持って積極的に働いてもらおうとするのであれば、同じよう な視点での配慮が必要ではないかというものです。  4番目が、パート社員の意欲、能力、適性などに応じて、常用フルタイム社員への転 換の道を開くことで、パートタイム労働法に基づく指針においても、正社員を募集する 場合には予め既に雇用しているパート労働者に募集を行う旨その内容を知らせ、もし正 社員への転換を希望をする者がいれば、応募の機会を優先的に与えるよう求めています が、こういったことをさらにパート労働者から正社員への転換の道という形で制度的に 確立すれば、最初はパート労働者として雇用された方でも将来のキャリアパスが描けて 、企業にとっても優秀な人材を確保する有効策になるのではないかということです。  5番目ですが、このルールについてはいちばん左のグループ、仕事や責任が同じで、 かつ移動の幅や頻度などで判断されるキャリア実態の違いも同じという場合、唯一の違 いはフルタイムかパートかの違いであるという場合は、その処遇の決定方式を合わせる ということです。処遇の決定方式というのは、例えば同じ賃金テーブルを適用するとか 、同じ評価基準で評価処遇というものです。  6番目は、仕事や責任が同じであるけれども、キャリア実態が違うということで、処 遇決定方式が異なることに合理性があるという場合でも、処遇水準の均衡への配慮とい うことを言っているものです。ただ、ここで言っている「配慮」ということは、何割で あるとか、どのくらいの違いにするという水準を問題にしているのではなく、処遇水準 の均衡に至る道筋として、いま説明してきたルールの2、3、4を行うことによって、 結果的に処遇水準の均衡への配慮につなげたらどうかということです。ルール2、3、 4については、若干色がパートの方たちの分類によって違いがあるということで考え方 を整理しているところです。  こういったルールに基づいて、資料3−1に戻りますが、この報告書では、目指すべ きルールの法制化を視野に入れつつ、いま言った日本型均衡処遇ルールの具体的な姿を 、例えばガイドラインなどでも示すということをしながら、社会的なルールとして確立 、浸透させていくことが重要とされているところです。また、その事後的救済措置の充 実についても重要性が述べられているところです。  あと具体的な方向性としては、多様な働き方を行き来できる連続的な仕組みの促進と いうことで、フルタイム正社員とパートの方とのバイパスの役目を果たすということで 、短時間正社員制度の導入支援ということが提唱されています。さらに、多様な働き方 が広がっていく中で、税制や社会保険制度についても、そうしたことを前提として制度 設計が必要で、働き方に忠実な税制、社会保険制度が構築されることが必要ということ で、就業調整行動が解消されるような制度の仕組みをということが提言されているもの です。以上がこの報告書の部分です。  併せて資料4ですが、先ほど申したように、この報告書では日本型均衡処遇ルールと いうことを言っているので、参考までに諸外国のパートタイム労働に関する法制、特に この法制についてはヨーロッパにおいていろいろな法制ができているので、それを紹介 させていただこうと思います。  1頁はまずフランスですが、1982年にオルドナンスというので労働法典の中で具体化 され、現在までこの体系が継続されています。主な内容としては、いちばん上の1の(1) (2)にありますように、フルタイム労働者に認められた権利をパートタイム労働者も享受 できるという権利均等原則と、2番目に、同一格付け、同等職務のフルタイム労働者の 報酬に対して、その報酬は比例的なものにするという報酬比例原則が核になっています 。  次が3頁のドイツです。ドイツは1985年に就業促進法というものが制定され、この法 律は判例で示されていた法理が確認されたもので、バートタイマーを促進させるという ことで、就業促進という雇用対策の面があったわけですが、さらに2000年にEU指令を 国内法化するため、従来の就業促進法を発展させたパートタイム・有期労働法というも のが制定されています。  その内容ですが、まず1番目の賃金に係る法規制のところで、いちばん上にあるよう なパートタイム労働者をフルタイム労働者より不利に扱うことは、客観的な正当理由が ない限り許されないというものです。これは1985年にもこの考え方はありました。その 次が報酬に関しての比例原則です。時間比例の考え方ですが、これは2000年の改正で入 ってきたものです。  2番目の賃金以外の法規制の内容で、転換権といったものです。これも2000年の改正 で入ってきたもので、フルタイム労働者が自己の労働時間の短縮を要求するということ ができます。それから、労働者が自己の労働時間、配置転換を希望した場合、使用者は 相応する職に関する情報提供が必要ということで、パート、フルタイム、その間の行き 来をいろいろな形で可能にするというものです。これはパートタイム労働の拡大によっ て雇用創出するためという観点から盛り込まれています。  4頁はイギリスです。従来は労使関係について国は干渉しないということで法律等は なかったのですが、EU指令が採択されたことを受けて、その中でこの指令の対象にイ ギリスも追加することになったので、2000年7月にパートタイム労働者に対する不利益 な取扱いの防止に関する規則というものが施行されて、比較可能なフルタイム労働者よ りも不利益な取扱いを受けない権利を有するということが規定されました。  5頁がオランダです。1982年に労使によるワッセナー合意ということで、よくオラン ダモデルと言われるものですが、政労使が合意をしてパート促進をしていくというもの です。ただ、それに当たっては労働条件といった観点から、パート活用の前提条件とし て均等原則を受け入れていくという形で考え方が整理されて、それが個別労使協約でも 広まっていったというもので、そういった実態がつくられた上で1993年に労働法が改正 されて、最低賃金、休日、企業年金などに関するパートの差別取扱いが禁止されました 。さらに1996年では労働時間差別禁止に関する民法、公務員法の改正法が出来、2000年 には労働時間調整法という形で整備されてきています。  1番目のパート賃金に係る法規制ということで、労働時間の違いを理由とする差別は 、その区別が客観的に正当とされない限り禁止されるという、これが1996年に決められ た労働時間差別禁止に関する改正法の部分です。2000年のほうの労働時間調整法は、2 番目にある賃金以外の法規制ということでの転換権等といっているような形で、労働者 は労働時間変更といったことを請求することができるということです。事業主はそれに 対して拒否できるけれども、それに対する理由が必要といったものが盛り込まれた法律 です。  こういったヨーロッパの国々において規定された背景には、EUのパートタイム労働 指令ということに関連する部分はあるのですが、それと併せて全般的にこういう流れで 比例原則などが採られてきた、そういった範囲には、やはりその国々によって違います が、特に産業別の労働組合が使用者団体との間で労働協約を締結するといった状況の中 で、その労働協約においては、賃金・格付けといったものが、特に現業労働者の場合に ついては基本的に時間給ベースで考えられているようなことで、フルタイムであるかパ ートタイムか、その辺について別建てでなかったという背景もあるかと思われます。  6頁は、EUのパートタイム労働指令です。先ほどいくつか言いました各国の法制に 対して影響を与えた部分ですが、1997年12月にこの指令が採択されて、(2)のイにあ りますが、加盟国は2000年1月までに必要な措置をしなければならないとされたもので す。特に考え方としては、(2)のロの(ホ)で、比較可能なフルタイム労働者より不 利な待遇を受けてはならないということ、適当な場合には時間比例の原則が適用される ということが書かれています。この場合の比較可能なフルタイム労働者ということにつ いては、資格、技能といったことを考慮した上で、同一の企業の中で同種の雇用契約、 雇用関係をもって、類似の業務、職業に従事するフルタイム労働者というようなことで 定義されているところです。  (チ)のほうでは、フルタイム労働からパートタイム労働への転換、また逆の転換も 可能ということも考慮ということで書かれています。  8頁で、これはILOのパートタイム労働に関する条約です。こちらは1994年6月の ILO総会において条約と勧告が採択されたものです。(1)のニに書いてありますが 、現在までにはここにある9カ国が批准しているという、批准国が少ない条約です。と いうのは、その内容にかかわる部分なのですが、内容として(2)のイにパートタイム 労働者の定義がありますが、パートタイム労働者については通常の労働時間が比較可能 なフルタイム労働者の通常の労働時間よりも短い者ということで、ここでいう「比較可 能なフルタイム労働者」というのは、パートタイム労働者と同一の種類の雇用関係を有 するフルタイム労働者、それから同一または類似の職業に従事する者、かつ同一の事業 所に雇用されているフルタイム労働者ということですが、そういった方が同一の事業所 にいない場合は同一の企業、さらに同一の企業にいない場合は同一の活動部門でという ことで、企業の枠を超えた方と比較するという考え方になっています。  加盟国が講ずべき措置というのはロの(イ)、(ロ)にありますが、パートタイムで 働いているという理由だけで、賃金面で比較可能なフルタイム労働者より低いものが払 われないようにということ、それからフルタイム労働からパートタイム労働への転換、 その逆の転換といったことを確保するような措置も考えるように、といったことが条約 で盛り込まれているものです。  こういったことで、比較可能なパートタイム労働者という観点が、同一の事業所にい ない場合は同一の企業、それでもいない場合は企業の枠を越えて同一の産業部門でとい うことになっているので、日本においても批准は困難ではないかと考えられているとこ ろです。あと勧告等はありますが、資料の説明は以上ということです。 ○分科会長  いまの説明について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。 ○労側委員  資料No.3−1で、前回の実態に加えて政策の方向性ということが、これは前回いただ いたこの報告書そのものを説明したものとして、我々は受けとめていいのですか。 ○分科会長  はい。 ○労側委員  では、これに対していろいろ質問あれば。 ○分科会長  ええ、そうです。 ○労側委員  この中でやってもらうということですね、質問する場合は。 ○分科会長  ええ。ですから、このテーマについて、これは研究会報告をわかりやすく整理したも のだと思いますから、どちらについてでもご質問がありましたら。 ○労側委員  もう1つは、前回ご要請申し上げた資料、諸外国のパート労働者の法制等が出たこと は感謝しますが、家族的責任条約というのを、もう均等待遇におっしゃっていますよね 。特にこの拘束性の問題から言いますと、かなり関わってくる話なので、我が国は非常 に家族的責任条約の説明が資料として提出されていないのですけれど、それはどういう 理由でしょうか。 ○事務局  いま労側委員がおっしゃられたように、そういった拘束性と関わるというような観点 、確かにございますけれども、今日のところはパートタイム労働法制全般について、各 国の状況をということで考えておりましたので、その大きな意味での条約、ILO条約 ということで175号条約のほうを説明させていただきましたけれども、またその具体的な ルールの考え方といったようなところで、それについてもご説明というか、資料として 出そうかなと思っていたところです。 ○労側委員  前回お願いした、その公務の非常勤の部分については、人事院や総務省との関係で、 困難を要するという返事はいただいたのですが、その後は何か。 ○事務局  一応話はしてみたのですけれども、やはり出せる資料についてはどこに出してもあれ なのですけれども、ただ審議会で、ここの均等分科会での審議会での審議の参考という ことになると、ちょっと観点がわからないということで、まだ調整がついていないよう な状況です。 ○労側委員  研究会報告について前回それぞれ性格をめぐって議論はあったのですが、私どもとし て、1つの資料としては参考にするということで、ちょっとそれを前提にご質問を。正 しく理解するために、いくつか質問させてもらいたいのです。1つはパート法施行後の 施策について、今日法制定後の行政側の取り組みが出されたのですが、研究会報告でも 処遇格差が広がっているという指摘をされていますよね。いわば法ができて、行政がか なりの施策をしたにもかかわらず、なぜ処遇格差が縮まらなかったというか、その総括 がやはり見えないんですね、報告書の中では。そこのところが第1点、ちょっといただ きたいと思います。特に雇い入れ通知書については、この間のいちばん大きな法解釈、 それは基準法の世界で改善したのですが、その雇い入れ通知書の問題が、どのようにそ れは労働者に知らされて、どういう現状にあるかと。私どもの相談でも、いくつかそう いう原因のトラブルがけっこうあるものですから、その雇い入れ通知書の基準法に義務 付けたことに伴う、その効果はどうだったのか。  それから、物差し研がかなりAタイプ、Bタイプということで、労使の参考資料とい うことなのですが、その終わりから間もないこともあるのですが、どういう資料が労使 に影響を与えているのか、そのことをちょっと。特に政策の、この転換の中でお聞きし たいということが1つ。  それから2つ目にここの報告の大きなポイントだと思うのですが、制度改革を2つの 視点からおっしゃっていますよね。いわば派遣労働者の拡大、有期契約の拡大、裁量労 働制の拡大ということの、多様な就業形態を目的とした、いわば法制度改革が必要だと 。それともう1つは、パートタイム労働者の新たな社会……を確立するというパッケー ジだと言っているのですが、いずれも欠けてはならないとおっしゃっているのですが、 研究会報告は法改正、パート法を巡る法改正の新たな問題については時機を見てと。そ れで、当面はガイドラインというようにおっしゃっているんですよね。そのパッケージ という言い方が、制度改革というときのパッケージというのは、どのように私どもは理 解していいのか。特に多様就労型の制度改革では、規制緩和のところで、例えば派遣に ついては期間を延長しなさいとか、裁量労働制を拡大しなさいとか、ある意味では国で 決めておいて、それを関係審議会に、分科会に求めているようですが、パッケージとい う意味をどのように理解していいのか、その辺が2つ目です。  それから3つ目に、この説明された中にもちょっとパートの雇用保障ということがあ るのですが、やはり有期の問題について、この全体報告の中で言及があまりないんです ね。雇用保障、雇用安定というのは欠かせない要件であるというようにおっしゃってい るわけですけれども、やはりパートタイム労働者の7割近くは有期契約だということか らすると、研究会で有期問題をどのように議論されたのか、ちょっとお聞きしたいとい うことと、4点目はこれまた大きな報告書のキーワードなのですが、日本型処遇ルール という、日本型という、先ほど課長はヨーロッパ的な、横断的な賃金決定システムと、 日本企業内における賃金決定システムは違うということをおっしゃりたいのだと思いま すけれど、ではその日本型と言われている賃金決定システムはヨーロッパに全くないの かどうかですね。そのように、もう一刀両断で違うのだと、だから適用できないのだと 、だから日本型なのだという、そのロジックというのですか。そこを、ちょっと理解し にくいので、そこが4点目です。  5つ目は研究会報告にも若干触れられているのですが、職務評価システムというので すかね。これは非常に必要だというようにおっしゃられていますし、厚生労働省も何か 、社会的な職務評価システムの検討を重ねているというのですけれど、そういう中でど うも現状の姿を「こうだから難しいのだ」というように、その力点にかなり重きを置い ている感じですけれど、今後将来を考えた上で、その職務評価システムというのは、研 究会ではどのように検討されているのかですね。日本的にはそのことを言わずに、日本 的な問題は社会的評価システムというものをどのように検討されるかというのが。  6点目は、必要に応じた処遇から、この研究会は扱っていらっしゃいますね。働きに 応じた処遇という、必要に応じた処遇という家族的・生計的なものから、働きに応じた 処遇というのですが、この理解の仕方を同一労働、同一賃金ということの意味をおっし ゃりたいのか、あるいは研究会報告では、日本では同一労働、同一賃金がまだ一般的に 確立してないとおっしゃっているのですけれども、しかし基準法にありますよね。そう いう何か同一労働、同一賃金というのを基準法にあるにもかかわらず、日本にはそれは まだ確立していないという言い方、そのことと働きに応じた処遇というのはどういう関 連なのか、ちょっとお聞きしたいということ。  それから7番目に拘束性の強さ、これがもう1つの、この研究会報告のポイントなん ですよね。転勤、時間外労働の有無の差異が、均等処遇の合理的な差異になるというよ うにおっしゃられているのですが、先ほど冒頭に質問したように、家族的責任条約との 絡み合いで、我が国は批准したにもかかわらず、このことに対することと、将来のキャ リア形成という、将来という物差しで、拘束性というのを語っていいのかどうか。それ を、どういうご議論が研究会であったのかですね。  8点目が、法制化の道筋というのをどのように理解すればいいのか、ちょっと非常に わかりにくいのです、この研究会は。必要だと言って、時機をはかる。労使の合意、社 会法制が必要だという。原則を法律で示して、あとはルールでという、いつ、どのよう に、どういう条件が整ったら法整備ができるのかですね。その法整備でいった場合、現 行のパート法ではなくて、別の法を考えているのか。それから、均等処遇タイプと均衡 配慮タイプといっているのですけれど、均衡配慮タイプというのは、いま現行のパート 法の3条の努力義務とどう違うのか、というところが道筋の関係で、ちょっと法律の仕 組みが理解しにくいということ。  それからガイドラインというのを作るという、ガイドラインはどういう法律上の位置 付けになるのかということ。  最後に「均衡」という言葉を使うのですが、均等と均衡。パート法を作るとき、かな り国会でも議論になったように理解しているのですけれども、均等ではなくて均衡とい うのを使っている、その整理というのですかね、そこを、ちょっとお聞きしたい。研究 会報告を正しく理解するため、ちょっと質問を。 ○分科会長  最初に行政のほうにご質問があった部分、1番目ですかね。では、それからお願いし ます。 ○事務局  雇い入れ通知書の関係につきましては、前回お出しさせていただいた資料のほうにご ざいますけれども、労働条件の明示に関しまして、平成7年では主に口頭で説明してい るというところが59.6%で、文書で労働条件通知書を交付しているというのが24.6%で ありましたけれども、それが平成13年では口頭で説明しているというのが45.9%、それ から労働条件通知書を交付しているというのが40.2%と、文書での通知というのがこれ だけ上がったというように、その結果上がったというように見ております。  それから2番目の、物差し研と言われるものの、それがどのように影響したかという ことですけれども、これにつきましては研究会報告を簡単なパンフレットにしまして、 いろいろなセミナー等の機会に情報提供しているという段階でして、この報告が出てか ら1年、2年というような形でありまして、それが、それを受けて、どういう形で浸透 しているかというのは、まだあまりそういう意味では結果が出ていない状況かなとも思 いますし、情報提供という状況ですので、ある意味での限界もあるかなというように思 っております。 ○分科会長  以上でした。 ○労側委員  研究会報告ですよね。 ○分科会長  そうですね。それでは今後の審議の上で研究会報告を一応1つの材料にして、検討を 進めるということになっておりますので、その研究会報告を理解していただくというこ とは、非常に重要なことだと思いますので。 ○公益委員  ちょっといいですか。 ○分科会長  ええ。 ○公益委員  いま全部答えられるかどうかわかりませんけれど。 ○分科会長  では、一応ご質問を頭に置いて、また一つひとつではなくて、関連する形でもご説明 いただければよろしいかと思います。 ○公益委員  1つは資料3−2なのですけれども、日本型均衡処遇ルールといって、日本型という と、例えば同一労働、同一賃金という考え方を割り引いて、非常にそういうものではな いものを適用しているのではないか、というように思われる方がいらっしゃるかと思い ますが、決してそうではないと。基本的には同一労働、同一賃金という考え方を適用す べきだと思います。  では、日本型とは何かということですけれども、これはルール、この絵でいえばいち ばん左と真ん中のところを区別する要因というのは国によって違うと。何を同じ仕事と 考えるか。つまり、同じ仕事であれば同じ処遇をするという原則は、私は日本でも適用 しなければいけないというように考えています。ただし、日本で同じ仕事というように 考える考え方は、正直言ってそれぞれの雇用システムは違う可能性がある。  例えば先ほど言いました異動があるかないか。同じ仕事としても、例えば異動がある かないかということを、仕事の違いに含めたほうがいいと判断されるような雇用管理が 日本で行われているとする。私はそう研究会は、そのときにその部分を日本型と言って いるのです。だから基本的には、同一労働、同一賃金だというように思います。そのと きに同じ仕事というものは、私は国によってとらえ方が、それぞれの国の雇用システム の在り方が違う可能性がある。日本の場合、同じ仕事というものをどう判断すべきかと いったときの考え方が、日本の雇用システムの在り方によって違うのではないか。それ を日本型というように研究会で言った、というように私は理解しております。  そうしたときに、資料3−2なのですけれども、いちばん右側、つまりフルとパート で比較対象な人はいないわけですね。それがこのどの国でも、これについて同一労働、 同一賃金という議論はないわけですね。ですから、これはつまり日本でも海外でも同じ であります。ただし、ここで言っているいちばん右側は何かというと、簡単に言えばち ゃんと人事管理しなさいということなんですね。つまりフル、パートということに関係 なく、フルタイマーについてそれぞれの会社で、例えば働きにおいては人事管理をする というようにすれば、パートの人にもちゃんとやってくださいという原則です。いちば ん右側ですね。  それで、問題は真ん中とこちらです。いちばん、この分け方のところは日本型かどう かというところがありますけれども、いちばん左側は同じ仕事であるだけではなくて、 キャリア管理について、このキャリア管理の違いの有無というのは、私は日本の場合、 けっこう大事ではないかと考えたわけですけれども、同じ仕事であり、かつキャリア管 理も同じであれば、まさに同一労働、同一賃金です。いちばん左側です。  ただし、このときに同一処遇決定方式というものの理解を、ちょっとしにくいかもわ かりませんけれども、同じ仕事だから同じ賃金水準にしろと単純に言っているわけでは ない。この場合、同じ賃金決定要素で評価してくださいということです。例えばレジの 仕事であると、フルとパートの人がいて、どういう能力の人が就いても同じアウトプッ トが出るということであれば、例えばシングルレートの職務給を適用すると、うちの会 社は。ということであれば、つまりレジという仕事であれば同じ賃金をもらうかもしれ ない。  しかし、そういう単純な仕事ではないと。同じレジの仕事であっても、例えば経験に よって能力が違う、顧客に対する対応が違うということで、アウトプットが違うとすれ ば、うちは単に仕事というだけではなく、能力を見ます、仕事プラス能力で見るという ような賃金で決めているとすれば、同じ仕事をして、例えば賃金水準は違うわけですね 。ですから、単純に同じ仕事だから同じ賃金水準にするというわけではない。ただし、 仕事給プラス職能給という同じ賃金決定要素を、フル、パートに関係なく適用する。そ れが同一労働、同一賃金決定方式であります。  どういう賃金決定要素を適用するかどうかは、それぞれ企業、あるいは組合なり労働 者が話し合って、合理的な賃金決定要素を適用してください、というのがいちばん左側 です。  ですから、どういう賃金体系、あるいは賃金決定要素を適用するかによって、個々の 労働者、フルとパートという違いだけではなくて、もらう賃金水準は違ってくる。シン グルレートの職務給であれば、同じ仕事であれば時間比例で同じ賃金になる。だけど職 能給が、例えば入るとすれば、同じ仕事に就いていても能力が違えば、賃金水準が違う 、こういうことです。  ただし、この5と6ですね。同じ仕事であっても日本の場合、キャリア管理、つまり 中長期的なキャリア管理によって、例えばパートとフルを分けている場合があり得る。 実態として、ある一時点だけレジの仕事をしているという人、ずっとレジの仕事をして いる人とで違うとすれば、この場合は、ある人は職能給、つまりキャリア管理が違って 、異動していく人は職能給を適用し、レジだけずっとやっている人は職務給を適用する というように、賃金体系を分けることが合理的だろうと。そういう賃金体系を分ける合 理的理由があるとすれば、ルールのほうを適用します。つまり賃金体系を分けてもいい けれども、しかし同じ仕事をしているわけですから、賃金水準について配慮してくださ い。これはルール6です。  このことと、その法制のタイプなのですけれども、均等処遇原則タイプと均衡配慮義 務タイプでありますけれども、均等処遇原則タイプは同じ仕事であれば同じ処遇決定を する。ルール5です。もしこれだけであれば、ルール6のところは落ちてしまうのです ね。それで、均衡配慮義務タイプの場合はルール6も入る。つまり同じ仕事だけれども 、それ以外が違う場合について、水準についても配慮してくださいというのが均衡配慮 義務タイプです。  日本の場合は、研究会報告では均等処遇原則タイプと均衡配慮タイプ、両方セットの 必要があるのではないかというのが、研究会での提案です。つまり均等処遇原則タイプ だけであれば、ルール5のところだけそろえてくれば、ルール6のところはやらなくて いいのです。これでは実際上、パートの処遇改善は進まないのではないかということで 、一応法制タイプについて、2つに分けた上で、もし法制化するとすれば、両方セット でやる必要があるのではないか、というように提案しています。  ですから、もし研究会報告とは、均等処遇原則タイププラス均衡配慮義務タイプをセ ットでやるという、1つの考え方ではないかというように提起しているということ。も ちろん均等処遇原則タイプだけやるのだとか、あるいは均衡配慮義務タイプだけでいく という選択はあり得ると思いますけれども、一応そういう整理です。 ○労側委員  現行法のパート法3条との関係というのはレベルが違う。この報告書の提案は。 ○公益委員  現行法であれば私はルール6、均衡配慮義務という形でカバーするという考え方では ないかなというように思います。均等というのではなくて、均衡配慮義務タイプという のは、いまの現行法の3条に近いというように考えています。 ○労側委員  有期の話とか、まだ。 ○事務局  先生、また追加してご説明してください。とても重要な課題について、数多くこの場 で出されましたので、体系的にご説明するのに、とても発言の準備もいると思いますの で、また後で先生に補足をしていただくとして、私も全部についてコメントできるわけ ではないですが、いまの先生のコメントで触れられなかったことについて、いくつかご 紹介したいと思います。  まず、この間処遇格差が拡大してきているということについて、研究会はどのような 分析をしたのだろうかという、その1点目についてなのですが、研究会報告を委員の先 生方はお持ちでしょうか。18頁からその分析をしていただいております。詳しくはお読 みいただければと思いますが、まず18頁の第1、2というように書いてございますのは 、職務構成の変化です。やはり職務分離が起こっているのではないかという点が第1で す。  そして第2の点は19頁にまいりますけれども、就業調整の影響です。130万で就業調整 がなかったとすれば、これほどの格差にはなっていないという就業調整の影響です。  そして、次の要因としては、19頁の下のほうに第3とございますけれども、これは正 社員の時短の影響です。正社員の時短によって、正社員の時間当たり単価が上がってき ているということの影響です。この3つを分析をしていただいておりまして、そしてど こかに明確に書いているかというと、私もすぐには引き出せないのですけれども、もち ろん研究会の認識としては、やはり均衡処遇についての社会的なルールというのが、日 本には少なくともこれまでは十分なものがなかったということが、もう1つの要因とし てあるというのは、研究会の認識であったというように思います。これが、まず最初の 点ですね。  そして、ちょっと順不同ですが法制化の道筋。2つのタイプについては、いま公益委 員からご説明いただきましたけれども、ガイドラインとの関係や、パート法3条との関 係についての、最後の点について、公益委員がお触れにならなかった点についてですが 、いまの現行法の3条と均衡配慮義務との関係については、研究会ではそれほど具体的 な議論はありませんでしたけれども、私の理解では、いまのパート法3条は雇用管理改 善に当たっての留意の視点は書いてございますけれども、具体的な均衡配慮の義務を事 業主に課しているというレベルまでにはいっていない。それに似ていますけれども、研 究会報告でまとめた均衡配慮義務は、いまのパート法3条で実現しているというように は、私は考えておりません。  そしてガイドラインのレベルや、ガイドラインと法制化の関係ですが、これも研究会 では、この点についてはずいぶん議論がありまして、私の理解は、法制化をいつするか というのは、もちろん社会的な合意とか、雇用情勢ですとか、いろいろ考慮すべき要素 はあるというように思いますが、法制化を仮にするという場合、法制化を近いうちにす るという場合についても、その均衡を考慮する事業主の具体的な義務の中身というのを 、法律では原則を明らかにするとしても、別の次元のもの、それをここではガイドライ ンと言っておりますが、ガイドラインで事業主が具体的に何をすべきかということを明 らかにする必要があるのではないか、ということを言っております。  一方で法制化について、少し時間がかかるという場合については、法制化についての 国民的な合意形成をする上でも、何が均衡処遇か、何が均等処遇かということについて の具体的な内容を、これまたガイドラインで示すことによって、法制化に向けての地均 しをしようと。ですから、このガイドラインは2つの役割を担っているわけでして、法 制化をする場合の事業主の具体的な義務の内容を示す。あるいは、法制化は先に送ると いう場合については、その国民的な合意形成に向けての道具にしようという、そういう ことについて研究会ではご議論があって、その考えに基づいてこの研究会報告は整理を されているのではないかと思うわけです。それ以外にもたくさんございましたが、ここ でちょっとエネルギーが切れましたので。 ○公益委員  現行のパート法の第3条との関係ですが、それとの近さで言えば、均衡配慮義務タイ プということで、現行法の第3条というのはもっと弱いものだということです。これと 同じだという意味ではなく、近さで言えばそういうことです。いま局長の説明のとおり だと思います。  あと有期については、研究会では、機械的に契約上で有期であるか無期であるかとい うことによって、例えばフルタイマーと仕事が同じかどうかを機械的に判断しないとい う考え方です。だから実態で見る。実態として継続的に活用されていれば、継続的に雇 用されていると判断をし、このルールを適用するという考えです。形式的な有期である か無期であるかということをもってして、フルタイマーと仕事が同じであるかどうかの 要因に含めないというのが研究会報告の考え方です。ですから有期であることは、実際 の仕事なりキャリア管理の違いが出てくればそのように判断しますし、そうでない場合 は、有期だからと言ってフルタイマーと同じようなキャリア管理の場合もあれば、そち らで判断する、研究会報告では実態で判断するという考え方です。 ○分科会長  それではどうぞ。 ○事務局  有期に関しては、この研究会で考えられている大きな流れの中では、その均衡処遇を 考えるという中で、キャリア管理の分離の中でどういった要素があるかということで考 えられているわけで、労側委員がおっしゃった雇用保障そのものの問題に関しては、こ の研究会という部分では特に均衡処遇からではなく別の観点という形で整理され、さら にこの審議会においても、やはり雇用保障システム、そのあり方全体の話になりますと 労働条件分科会、そういう整理になるのではないかと思います。 ○労側委員  パッケージということを研究会ではおっしゃっているのでしょう。ということは、議 論されてどっちも欠けたら駄目だとおっしゃっているわけだから。法律上の扱いは、別 に労働条件分科会でも、均衡については議論されたように感じるのですけど、パッケー ジと言っているわけですから。 ○事務局  ですから、研究会としては大きな考え方の中で、正社員の働き方も含め、いろいろと 全体が変わっていく中で、パートの部分についてもそういう中で考える、1つの考え方 が整理されたわけです。いざ今度、それをどういう形で施策として考えていくかという のは、それぞれ審議会の中の分科会という所で、派遣の問題になればまた別の分科会、 そして有期の関係は別の所となっております。もちろんそういった所の進行速度という か考えていることは、そこはつながりが出てきますが、研究会報告そのまま全てがこち らにということではないかと思います。 ○労側委員  もう一度、そこをお聞きしたい。制度改革というのは、法律を変えるということでは ありませんか。仮に多様就労型の派遣の拡大とか、有期契約の拡大とか、そういった内 容の法律改正を労働条件分科会でしてしまったと。だから、パッケージというのはこっ ちはどうするのだと。パッケージはこっちもしなくてはいかんとのことで、パート法の 改正案ということになるのか。そのパッケージの理解をきちんとしてほしい。向こうが やらなかったら、こっちもやらないと、それはパッケージだから、片方だけではまずい と、これは言っているのです。そこをどうにか理解する。仮に労働条件分科会で、その 派遣法の基準を改正しますと言った時に、こちらも自動的にやらなくてはまずいと、私 は素直に理解するのです、パッケージというのは。そこをどういう結論を出すのか。 ○分科会長  公益委員どうぞ。 ○公益委員  他の分科会の話が出ており、派遣の話をいまやっているところでして、審議は着々と 進んでいるわけです。問題は、派遣労働者の拡大のための制度改革をやっているわけで はないと、私は認識しております。結果としてそういうことになるかもしれませんが、 それは単に期間の問題、あるいは職種の限定の問題です。  それだけを扱うわけではなく、片方で例えば派遣労働者の保護の問題であるとかそう いったことも当然出てきており、ここで書いてあるような派遣労働者の拡大のための制 度改革をするのだというような認識には、少なくとも私はなってないということは申し 上げておいたほうがよろしいのではないかと思います。  その上で、1点ご質問したいのですがよろしいでしょうか。いまの政策の方向性の所 で、多様な働き方が「望ましい形」で広がっていくための制度改革。「望ましい形」と いう所に括弧が付いているのです。この点は、私も望ましい形で進めばいいなと思うの ですが、誰にとって「望ましい形」なのかというのが、しばしば意見が異なってくるわ けです。  例えば、経営者にとっての望ましい形なのか、あるいは労働者。労働者の中でも正社 員、あるいはパート労働者、それぞれ違った意見があるかというふうに思うわけです。 そうした時に、経済学では「効率と公平」というような概念がしばしば登場しまして、 この望ましいかどうかということを議論する時にも、この2つの基準を考えて議論をし ていくというようなことになると思うのですが、そういった時に、効率と公平というも のがトレードオフ、「2者、両方は同一に成立しない」と、どちらかが重視されれば、 どちらかが逆に弱まるというような関係にあるとするならば、例えばいまの例で言えば 、「均等、均等」と言い過ぎると、今度は企業利益が上がらないじゃないかと。国際競 争を通じて日本企業が破れ、結果として雇用が減少してしまうじゃないか、雇用機会が 減ってしまうじゃないかというような意見。これは正に「効率」と「公平」が相対立す るというような概念として議論されているわけです。  「そうじゃないと、両方は両立しうるんだ」という考え方も、経済学の中であるわけ です。例えば、公平性が維持されなければ、正しい公正な評価というものがなされなけ れば、人々は働く意欲を失ってしまうのだと。だとすれば、それによって効率というも のも低下してくる可能性があるというような議論が出てくると思うのです。  多分、研究会の中で「望ましい」という言葉を「」で使っていますので、どういう意 味で「望ましい」というものが議論されてきたのか。私も「望ましい」というのは、皆 さんが合意できるのであったら、これで審議会も一定の方向で全て走るのだろうと思う のですが、しばしばそこの所が、対立概念として、「私にとって望ましいものは、あな たにとって望ましくないよ」というようなこともありますので、是非、ここでの議論を 、「望ましい形」というものをどういうイメージで持たれたのかということについてご 紹介いただけたらと思います。 ○分科会長  先生、よろしいですか。 ○公益委員  先生の言われたことは、1つは企業の雇用について制約しない。いろんな選択肢が増 える。もう1つは、労働者にとって、フル、パートを選ぶということにより、フルであ るかパートであるかということによって、不合理な処遇格差が生じない、公正というこ とです。それを同時に達成しよう。そのことが、私は公正であることが効率に結びつく という、つまり公正と効率というのは対立しないという考え方がある。そうではなく、 不合理な格差を置いたものを効率というのは、効率ではないだろうと。それは特定のソ ウリシを養成しているということで、やっぱり公正を前提とした効率というのが大事で はないかという考え方です。 ○事務局  そのとおりですが、もう少し研究会報告に立ち返りますと、34頁からそういう思いで 書いていただいていると思います。  今回の政策提言、新しい雇用システムというのは、企業にとってもメリットである。 これは34頁に書いてあります。そして35頁には、「働く側にとってどういうメリットが あるか」。そして最後は、38頁から「社会全体にとってどういうメリットがあるか」と いう観点からまとめていただいており、いまの佐藤先生がおっしゃった「効率」「公正 」。両立させる方向での新システムの提案だと思います。そういった関係者にとって、 どういうメリットがあるかという視点から、具体的にはこのレポートでまとめていただ いておりますのでご紹介したいと思います。  それから、労側委員のパッケージ論にちょっと戻って、コメントをしたいと思います 。そのパッケージと書かれた意味合いは、これから制度改革をするに当たり、2つの大 きな柱といいますか、2つの大きな価値観というのを同時に、平行して議論していく必 要があるのではないかという問題提起であるというふうに思います。それぞれについて の対策は、1つはレベルですが、法律で制度改正をするということもあると思いますが 、法律ではない例えば告示、指針は告示ですが告示でやるとか、通達でやるとか。厳密 に言うと制度改革というのは、法律制度改革かもしれませんが、ここで言われているの はもう少し広い意味の、レベルはいろいろあるというふうに思います。  またその実施時期も、厳密な意味で同時にということではなく、これからどのくらい の期間がかかって検討が進むかよくわかりませんし、1回でこの課題が達成されるのか 、何回かに分けて段階的に達成するのかいろいろあるというふうに思いますが、それら を総体として、2つの柱で対策を推進しようという考え方でまとめていただいていると いうふうに、そういう意味のパッケージであるというふうにご理解いただければと思い ます。 ○分科会長  使側委員、どうぞ。 ○使側委員  雇用の問題についての現状認識なのですが、先ほど先生のほうから、雇用問題につい てちょっと言及がされました。私どもとしては、現在の正社員が減り、パートタイム労 働者が増えているという現実は、国際的な競争にある企業の経済環境からして、かなり 止むを得ない所があるのではないかと考えています。この審議会においても、そうした 現実を踏まえた議論を是非お願いしたいというふうに考えているところです。  つまり、我が国の賃金水準を、特に東南アジア、東アジアなどの国々と比べた場合、 かなりの格差があるというのはどこでも言われているところです。一部の国では、我が 国の賃金水準に比べて50分の1か100分の1の水準になっていると。そうしたところで、 何千万人という単位での雇用希望者がいるというふうな状況です。そうした国際競争に ある中で、企業権益を考えていった場合に、やはりコストの高い層から低い層へという ふうには、入れ替えていかなければ経営が成り立たなくなっているわけです。そうした ことが我が国の雇用のあり方に大きな影響を与えているというふうに、私どもとしては 認識しています。  現在、均衡論議が行われようとしていますが、是非、国際的な格差といったことも視 野に入れないと、我が国の存立基盤が失われてしまうのではないかというふうな危機感 を、私どもとしては持っているところです。「効率と公正」というふうにご指摘がなさ れたところですが、その前に我が国の企業が成り立つかどうかというふうなことを、是 非、この審議会の場でもご議論をお願いいたしたいというふうに考えています。  均衡、公正が実現した場合に、効率の好調があるというふうなメリットのご指摘は確 かにあるのですけれども、それがカバーできるほどの賃金水準の格差かどうかというよ うなことがポイントになっており、そのことを是非、忘れないで議論をしていただきた いというふうに私としては考えております。  それから、こちらの報告書の中でのことで1つお伺いしたいことがあるのです。例え ば、20頁の図表の23のほうでは、職種の調整などはされていらっしゃるのかどうかとい うこととか、隣りの21頁のほうの図表の25で、勤続年数別賃金カーブというふうなこと が出ていますが、これについても職種の調整とか、あるいは役職の調整などがなされた 上での比較なのかどうかというふうなことを、是非、ご指摘いただきたいと思います。 と申しますのは、ルールの5、6のほうで、仕事・責任が同じ場合に処遇格差があるか どうかというようなことを指摘されようとしているところですので、そうした同じ仕事 かどうか、あるいは責任が同じかどうかというようなことを揃えた上での比較かどうか というようなことを、是非、ご指摘をいただければありがたいと思います。 ○分科会長  それでは、課長どうぞお願いします。 ○事務局  20頁の図表の23でいうところの、これは労働時間の調整前後であれですが、その前の 所で、まず職種構成の調整ということで、それを見たものがあり、それが18頁の図表の2 2で、こちらのほうで職種の構成を正社員に揃えてみると、賃金格差が8割の水準という ことで、職種構成を加味していない場合に比べて、大分格差が縮小するということで、 その分析する視点において22表のほうでは職種を調整したものであり、図表の23のほう はまた別の視点で労働時間の短縮の影響があるというので、そちらのほうを見たもので あります。ですから、賃金格差の要因を幾つかに分けてみた時に、その見方によって、 その調整したものの数値、何で調整したかということで図表が分かれているところです 。 ○分科会長  公益委員、お願いします。 ○公益委員  データの件についてはいまのとおりなのですが、前半の国際競争をどうこうの話なの ですが、企業がフルタイマーを減らしてパートを増やす。これについてはこの報告書は どうこう言っているわけではなく、問題なのはその時にフルとパートということによっ て、不合理な処遇格差があるのが問題だと言っているのです。企業にパートを増やして はいけないとか言っているわけではないのです。  不合理とはどういうことかというと、先ほど賃金が高すぎるのではないかと、これに ついてはどうかという議論があるかと思いますけれども。フルとパートの、その同じ仕 事をやりながら不合理な格差があることを問題にしているのであり、正社員が高すぎる からパートにするのだということがいけないとかどうこう言っているわけではない。パ ートを活用するのはいいわけです。  その時に、パートを活用する。その時にパートタイマーが、実際フルタイマーと同じ 仕事をしていながら、給与水準が低い。それを合理的に説明できないことを改善してく ださいと言っているのです。だから賃金水準、国際的にどうこうという話ではありませ ん。いまフルタイマーの賃金水準と、それと同じ仕事をしているパートタイマーが、賃 金以外について同じ仕事をやりながら、不合理な格差があるとすれば、それが問題なの ではないかと言っているだけなのです。もし高いとすれば、それはフルタイマーが高い のかもしれません。それはそういうことが言えるかもしれません。それと、パートタイ マーが低いということと別な話です。  私は、フルタイマーの人と同じ仕事をしていながら、短時間であるが故に低い。それ 以外の要因が同じであるとすれば、それは不合理ではないのか。これはなくす必要があ るのではないかと言っているのです。それがなくなれば、企業の選択としてフルを減ら してパートを増やす。もちろんパートで働く人がいれば、それは自由なそれぞれの選択 であろうと言っているだけなのです。 ○使側委員  前の回に、課長さんのほうから、報告書作成の段階において、労働者側だけではなく 企業家の意見を大分聞かれたというお話をされました。かなり企業家の実態の把握、あ るいは意見の聴取が非常に大事なことだと思うのですけれども、どのような規模の企業 家から、何人ぐらいの方からどのような業種、業態の方にお聞きになったか。そして、 またどのような意見が出たかということを、ちょっと紹介いただきたい。そういう意見 が、この報告書の中にどの程度、どんな形で生かされているのかということがもしあれ ば、ちょっとお聞きしたいのです。 ○事務局  ちょっとお時間いただけますか。 ○分科会長  ちょっとお待ちください。 ○使側委員  追加的な説明をお願いしたいということなのですが。 ○分科会長  いまのことに関連することでしたらどうぞ。 ○使側委員  先ほど事務局から賃金格差の問題と申しますか、報告書のほうの19、20頁、で、それ ぞれの目的に分けどういうふうなことになっているかという状況説明をしていただいた のです。それでもここで議論しようとしているのは、同じ仕事、責任の方々についての 賃金格差が広がっているのかどうかということが問題なのですから、もう少し精密な分 析に基づいた説明をお願いしたいと思うのです。 ○事務局  まず、最初のほうのヒアリングの関係からちょっとお話をさせていただきます。ヒア リングにつきましては、企業のほうからはかなり大手ですが、スーパーであるとか百貨 店、それから金融関係の所、そういった所からお話を聞きました。例えば報告書の中に も、29頁に百貨店のA社ではとか、スーパーのB社ではとか。それから32頁に金融業の C社においてはとか、34頁で医療販売のD社ではとか、電機のE社ではというようなこ とで、幾つかこういった所から聞いた話とかも紹介しております。あと、事業主団体の ほうから、中小企業の団体のほうからもお話を聞いたりとか、あと幾つかの組合からも お話を聞き、そういった中で考え方をまとめていったというものです。 ○使側委員  ちょっとよろしいですか。本当に小さい、末端の中小企業の企業者についてです。パ ートについてあまり何か認識をしてないところもかなりあると思うのです。そういう所 の意見。いまおっしゃったのは、大分パートの管理ができている大きな所だと思うので すが。そこを、日本の屋台骨を支えている中小企業の細かい所の、そういう意見という のはなかったのでしょうか。 ○事務局  そういった中小企業の方たちの団体であるところからお話を聞くという、ある意味で 間接的ですが、そういった形でお話を聞きました。 ○使側委員  何人ぐらいから聞かれたわけですか。 ○事務局  企業に直接ではなく、ですからそちらの団体の方から、知っている状況をお聞きした ということです。 ○使側委員  うちのほうから通じた企業ですね。そっちの意見ですね。直接は聞かれていないので すね。 ○事務局  直接の企業は、ここにあるような雇用管理をしているような所になるかと思います。 ○使側委員  今度は、資料6の所にあるようなのですけれども、何かちょっと時間的に、年末に向 けての時間もないということなのですが、できれば希望なのですが、もしいろんな予算 とか、事務的な関係があるかと思うのですが、事務局のほうで、いろんな所に行って、 町の企業の、例えば大田区とか、近場にはいろいろあります。そのような所に行って、 事務的なことでいいのですが、事務局のほうで、何かそういった機会を持って聞いてい ただくというのも1つお願いできればと思うのです。そのように時間をかけてやること ではないと思うのです。近場でいいと思うのです。  大分、私どもヒアリングして聞いたのも、企業というよりもむしろ団体の専務さんク ラスに聞いているのです。ですからそこのまた下の企業があるわけでして、間接的に出 てきたという感じがあり、具体的に社長さんの意見をお聞きいただければという、ちょ っとした希望なのです。 ○分科会長  いまのお話、伺っておきます。 ○事務局  それから、使側委員が言われたデータの比較という部分になるのですが、先ほど申し ましたそういったものは、統計上のできるものということになります。おっしゃられる ように、本当にここで考えているように同じ職種かどうか、そういったことを具体的に 見るとなると、今度はそういった統計的なデータよりは、個別ないろいろなものを見て いくという、そういうことかなと思います。またそれは、これから具体的なことを考え る中で、どういうふうな形で、私どもとしてもそういったデータというか、事例なりを 集めていき、議論の参考にということで情報収集したいと考えております。 ○分科会長  まだありますか。どうぞお願いします。 ○使側委員  すると、同じ職種に合わせたりとか、それから同じ勤続年数とか役職に合わせたりと かいった形での、我々の議論の前提とすべき処遇格差の実情というのが、いまいちわか らないと認識してしまいますが。 ○公益委員  何をもって同じ職種というのかは、非常に難しいわけです。日本職業分類があります 。賃金構造基本調査はそれに基づいて分類しているわけであり、その調整についてはや っているところだと思うのです。でありますから、少なくとも大分類ではなく、その下 の分類のレベルで、同じ職種の中に分類されているフルタイマー、一般労働者とパート タイマーについて、時間給を換算したなならばこれだけ、80%ですか、格差が20%とい ったものが存在しているということについては、もう既に確認しているということだろ うと思います。で、さらにその格差が拡大しているというところについては、確認済み だと。問題は事務局より指摘があった、さらに細かい職種までというようなことになる と、そこはまだできていないですし、多分できないだろうというふうに思います。 ○分科会長  どうぞお願いします。 ○事務局  日本では職種に関する統計というのが本当に限られており、いま先生がおっしゃった とおり、賃金構造基本統計調査で取れるだけなのです。報告書をちょっと貸してくださ い。それで、やっと事務局のほうでやらしていただいたのが、さっき見ていただいた18 頁の数字です。これを見ていただきますと、フルタイマーと短時間の方で、職種を合わ せることができたのが、大体80職種ぐらいなのですが。その80職種程度について合わせ て見たわけですが、そうすると平成13年の所で見ていただきますと、調整前が68.3であ るのが、調整後は80.3になる。職種調整をしても、やっぱり8割ぐらいで、2割の格差 があるということと、そして平成8年と比べますと、平成8年は調整後が82.6であった のが、平成13年は80.3ですから、職種調整をした後の格差が、この5年間で、やはり若 干ですが拡大しているということがわかったわけです。  それで、いま使側委員がおっしゃったのは、さらに同一職種に属する一般労働者とパ ートタイム労働者について、勤続を合わせたらどうかとかいうようなことについてのご 提言だと思いますので、ちょっとそれが統計上可能かどうかというのを預からせていた だきまして、可能であれば、いつかの段階でお出ししたいと思います。統計上の制約で できないということになりますと、その制約の中でご審議していただくということにな ろうかと思います。 ○公益委員  仕事の比較というのは、企業内でやるしかないわけです。企業を通じて職種分類が共 通というふうになっていない。そうすると、同じ企業の中でフルとパートのついている 人が同じかどうかということになると思います。そうした時に、今回の例えば51頁の調 査とか、その物差し研の調査で、企業なり正社員なりパートに聞いているというのがあ ります。つまりパートタイマーに、同じ仕事をしている正社員と比べて賃金格差がどう か。正社員に、同じ仕事をパートがするとどうかということを聞いています。これにつ いて不満というのは相当にいます。ちょっといま持っていませんが、その中では幾つか データがあると思います。  あるいは企業に、そういう形でどのくらいの賃金水準に変えたほうがいいか。現状よ りも、変えたほうがいいという企業がかなりあるということは、現状がそうなっていな いということだろうというふうに思います。つまり変える必要があるという企業の比率 が、いま手元にないのですが、物差し研の時に出ています。つまり現状はそうなってい ないと認識している企業が、かなりあるのではないかというふうに思います。 ○分科会長  一応、今の話はそこで必要に応じて今後の審議会の中で議論していただくことにして 、労側委員どうぞ。 ○労側委員  先ほど課長のほうから有期雇用について、取扱う審議会の分科会が違うというお話が あったのですけれど、パート問題を考える時に有期雇用問題は、非常に大きな問題だと 思います。それで労働条件分科会のほうでは、どちらかと言うと、有期雇用についても 拡大の議論が今されていると思うのですが、パートの実態は、有期雇用は期間が非常に 短くなるような実態があるわけでして、そのことについて分科会が違うからという取扱 いではなくて、今後の議論の中にきちんとそのことも含めて検討するということを、取 り入れていただきたいということを、ここで確認をしておきたいというか、していただ きたいと思います。 ○事務局  パートの実態とからんで何か考えていくということがあるということでしたらば、有 期というかそういうパートの方たちがどういう状況にあるかということ、これから論点 を考えていく中で、必要な事項ということでまた適宜議論していただいて、その上でそ れが通常の労働者に関わる問題で、労働条件分科会の問題なのか、均等分科会でさらに 議論を深める問題なのか、議論の中で整理していったらよろしいのではないかと思いま す。 ○分科会長  ほかにありませんか。 ○労側委員  先ほど労側委員からの質問の中に入っていて、まだお答えがないという拘束性の調査 をめぐる、いわゆる正社員とパート労働との間の中間形態という、拘束性が低いという ような表現で、研究会の中で働き方として今後の雇用システムとして言及されています が、それに関してなんですけれど、残業や転勤がそもそもあるなしということを、その 拘束性の基準に置くということと、現実的にはパート労働者の多くは女性の労働者で、 望ましい働き方としても、家族的責任との両立が図られるというものを求めていきたい 。女性労働者の実状からすると、これはILOの156号条約や165号勧告が言っているこ とと、むしろそこに触れてしまうのではないかというふうに思うのですけれど、研究会 としては、その点についてどういった議論があったのか教えていただきたいと思います が。 ○公益委員  中間報告では、「拘束性」という言葉があったのですけれど、最終報告ではないはず です。一応、最終報告ではパートでも残業する人がいる。フルタイマーでも残業をする 人もいるし、しない人もいる。フルタイマーでも転勤する人だけではなく、転勤しない 人もいるということですので、転勤の有無とか残業の有無だけで、その仕事の違いの区 分にはしないという議論にしています。ですから、拘束性という議論はしないです。 ○労側委員  どういう議論だったのですか。逆に聞きたいです。 ○公益委員  今言ったように、パートでも残業する人がいる。パートがみんな残業しないわけでは ない。正社員は全部転勤があるわけではない。パート、フル、あるいはその時の仕事の 比較、キャリアの違いということをした時に、パートはみんな残業がないとか、転勤が ないという区分はしないという整理。実態として、フルとパートがどういう仕事をして いるのかということで、区分をするということです。それぞれの会社によって、正社員 も残業がないとか転勤がないとかあるわけですね。 ○労側委員  物差し研の作られたAタイプ、Bタイプのこれは、非常に今後の切り具合にしては大 事にしたいとおっしゃっていましたね。 ○公益委員  それは、物差し研と今回の研究会報告とでは違う点だろうというふうに思います。 ○労側委員  Aタイプの5%程度の均等待遇というのと、先ほど均衡配慮義務のグループとに分け られているのですけれど、Aタイプの中に残業、休日出勤、配置転換、転勤がないは消 えていますか。 ○公益委員  それは、今回の報告では消えているはずです。 ○労側委員  文章は消えているけれど、これ自身はまだAタイプを大事にしろと言っているけれど 。 ○公益  それは、Aタイプ、Bタイプという議論から消えている、というふうに私は理解して います。  ですから資料3−2のルールで、ルール5とルール6の適用、仕事・責任が同じだけ れど、合理的な理由に転勤、残業というのはない。キャリア管理の実態との違いという ふうに例示しているだけです。この中に残業、転勤というのはない。 ○労側委員  キャリア管理の中身はまた。 ○公益委員  それは企業によっても違いますよね、単一事業所もあるわけですから。全国に事業所 を展開しているところもあるわけですから、一律には言えないです。  ○事務局  そのとおりです。この研究会報告、中間報告を一度お出ししたのですが、その時には 拘束性という概念で、パートタイマーと正社員の関係を論じていたのですが、中間報告 を公表しまして様々なご意見を頂戴しました。それらも踏まえて、研究会でさらに検討 し、最終報告では拘束性はないという基準で整理をしていただいております。 ○労側委員  50頁の物差し研のことを説明したのがありますよね。これは第2、残業、云々の説明 をされているのですよ。その中に入っているんじゃないですか。消えてはいないと私は 理解するのですが。 ○公益委員  これはキャリア管理の実態のほうが生きているというふうに考えていただきたいと思 います。それは企業によって違いますからね。残業は基準にならない会社もあるし、転 勤というのは基準にならない会社もある。あくまでもキャリア管理の実態というところ で見る。それは、転勤というのが基準になる場合もあるでしょう。それは、そこで議論 してもらうしかない。一律には言えないです。 ○分科会長  時間の制約もありますので、今特にということであれば。 ○労側委員  先ほど家族的責任条約の話でちょっともう1つ、EU等の動きで間接差別の問題の観 点から、この問題をとらえるというのが出ていますよね。やっぱりせっかくの議論です から、それはもう少しどういう議論でそうなっているか将来像の動きの中にちょっと資 料として説明してやると、ここで議論するに当たって、良いかなあと思っています。研 究会はどうかしらないけれど、次回もし分かれば。 ○事務局  次回分かる範囲で出させていただきます。 ○分科会長  では、特に今の段階でということがなければ、事務局のほうから資料5と6の説明が あるようですので、これをまず伺いたいと思います。お願いします。 ○事務局  資料5のほうですけれども、今後議論していただくに当たって、論点ごとに議論して いただいたほうがよろしいのではないかということで、この資料5で、この論点の案で す。  まず、これは論点を絞るというわけではございませんけれども、議論を進めて行く上 での順番ということで、まず最初にパートタイム労働者と正社員の賃金との均衡処遇ル ールについて、議論していただけたらと思うところです。その下に、ポツが2つありま して「あり方について」と「普及推進方策について」とありますけれども、ある意味で 相互に関連するものもありますので、その中で順番を追ってというふうではなく、こう いう観点もあるということで、議論していただければと思います。  そこである程度議論していただいた後に、2番目のほうで企業、労働者のニーズに合 わせた多様な雇用システムを作っていくという観点から、短時間正社員制度、パート能 力開発、就業支援について、また3で就業調整などの就業に影響を及ぼしている、そう いった制度についても、「その他は」ということでご議論していただけたらと思うとこ ろです。  併せてなのですけれど、資料6でこういった議論をしていただく上で、前回ご指摘が ありましたように、広くいろいろな方々のご意見を聞いたほうが良いということで、意 見公募をしたいと考えております。それで意見募集に当たりましては、次の2頁目のほ うに、今の論点をちょっとわかりやすくいろいろ説明を書き加えたものですけれども、 基本的には同じ形でのパートタイム労働に関する論点。これを参考にしていただいて、 パートタイム労働対策に関する意見を、広く募集するというふうに考えております。  いつからかというのは、ちょっと事務的な作業がございますので、10月の早いうちで 、先ほど申しました「パートタイム労働旬間」が11月の上旬、10日までですので、この 間募集するということで、電子メール、郵送なりで個人、団体問わず意見を出していた だくということで、この出していただいた意見につきましては、原則としてこの雇用均 等分科会の場において配布させていただきまして、この議論の参考にしていただけたら ということで、進めたいと思います。 ○分科会長  今の資料5と6について、ご意見あるいはご質問ありましたらどうぞ。 ○労側委員  よろしいですか。前も言ったかと思いますが、その1の処遇ルールという所のありよ うによって普及推進方策が決まってくるのだと思うのですけれど、セットにされてしま うとガイドライン的なものでいこうという場合は、それは理解しますが、そうでないと いう話にもなりうることも想定しますと、普及推進方策というのは、どうも気にかかる のですよ。結論が出ているような感じです。 ○事務局  言葉があれで政策の進め方ということで考えていただくと、それを社会的にいかに進 めていくのかという広い意味で考えていただいて、ただ、ある方の意見の中にはまた逆 の立場の方もあって、それがその「あり方」にも反映するのではないかというご意見も あるようなので、ですから、「あり方について」ということでご議論していただく中の 場合によっては、そういうことと関連してご議論される方もあるかと思ったので、こち らとしては併せてでということを言っただけで、別にその方向性を言っているわけでは ございません。 ○労側委員  それからもう1つ意見募集ですけれど、いろいろありがとうございました。この分科 会の資料公開について、今日お配りした資料は公開されているのですか、ないとかとい う話ですけれど。意見募集の時にいろんな資料を見て書く場合があるので、資料の公開 の仕方というのはどうなっているのですか。 ○事務局  はい、基本的にというか、公開でホームページにも載せたりするのですが、そこら辺 の作業が若干遅れて見られないということがあるかもしれません。そちらのほうの例え ば資料のほうは速やかに載せて、議事録のほうの作業が遅れたりするかもしれませんの で、それはちょっと遅れるということあるかもしれませんけれど、そこら辺はスムーズ にしたいと思います。それから、問い合わせがあればこちらのほうで、来ていただいた 方にはお渡しするとか、そういった形で資料も公開です。 ○労側委員  判断しやすい資料を提供したほうが良いと思います。 ○使側委員  それはあれですか、資料は全文ですか。そうではなくて、概要みたいなポイントみた いなのという、ちょっと専門家はいろいろ意見があるでしょうけれど、企業家はなかな かこれだけ見てもちょっと漠然としてて中身がないと、これに対してはこうだという言 い方でないとなかなか難しいと思うのですよね。 ○事務局  意見を求める際には、一応これが基本ですけれども、パートタイム研究会最終報告に ついては、ホームページでリンクできるような形でつなげたいと思っております。全文 、そういった形で関心を持っていただける方にはそちらを見て書くとか。 ○使側委員  要約は、出ていないのですか。 ○短時間・在宅労働課長  要約もそちらのほうでアクセスできるようにしたいと思っています。 ○分科会長  使側委員、どうぞ。 ○使側委員  資料6のほうの2頁の別紙の並べ方の問題なのですが、均衡処遇の問題については、 3の就業調整問題が大きな要因になっているというふうなことで、研究会報告のほうの まとめ方があったと思いますので、どこにどう入れるか分からないのですけれど、1と 3についてはより近い位置で並べていただいたほうが分かりやすいのかなと、私として は思います。 ○事務局  一応この考え方としましては、資料5の論点と連動させてということで考えているも のでして、それを1つの頁で見れる、1つの画面でここが見れるようにというふうに考 えておりますので、あえてそこでまた順番を変えると、どうしてかなと思われる方もい らっしゃるのかなと。 ○使側委員  では、あの資料5についても同じように書いてみてはどうでしょうか。 ○局長  あの3の就業調査の話は結局、税制・社会保障制度、それから企業の手当の問題かと いうふうに思います。そして企業の手当については、何か規制をするとかということに はならないというふうに思いますし、この議論を受けてやるべきことというのは、税制 改正や社会保障制度に、この審議会の意見をどういうふうに反映させるかということで すので、いわば他局、他省の施策に対して、この審議会から意見を言うという位置づけ かと思いますので、そういう意味でパートの雇用管理の問題そのものを中心にご議論い ただく、この審議事項からして3番目に、しかしながら企業の雇用管理で大変影響を受 けている問題だというふうに思っておりますので、その重要性に鑑みてわざわざ取り上 げているというふうにご理解いただければと思います。 ○分科会長  では、とくにありますか。労側委員、どうぞ。 ○労側委員  質問ですが、資料6のほうなんですけども、この提出された意見については、一般の 方に対してインターネット等で公表するお考えがあるのでしょうか。また、もしあると すれば氏名について、ここの分科会の議論も委員という形になっていますし、また例え ば総務省なんかのパブリックコメントもわりと個人という形で出ていることが多いので すが、その個人名を公表するという考え方がどうかと。私は、個人名はインターネット 上には記載する必要はないのではないかというふうに、個人ということだけで良いので はないかというふうに思うのですけれど、そこはいかがでしょうか。 ○事務局  厚生労働省の他の審議会で意見を募集した例におきましては、例えば介護報酬に関す る意見という時には、個人名も含めて掲載されているという例があったものですから、 それを参考にしてということです。  ある意味で、いろいろな方々がこの審議会の場に来て、自分で意見を表明するとその 時に名乗られたりしますよね。それを文書で出していただくという考え方で、名前を含 めて意見募集と、ですからそれも公表しますよということで考えたわけです。 ○労側委員  では、やはり積極的に出していくという意味も含めて、委員の立場とは違うというこ となのでしょうか。後ろにあるものも含めてですね。 ○事務局  ですから、団体の場合でも団体名を出していただくのと同じように、個人でも自分の 意見を表明していただくということで、新聞とかでも投書とかがございますよね。そう いった時には名前が出ているという、そういったことも含めてその意見を表明していた だく場合だからというふうに考えたわけです。 ○労側委員  掲載するのですね。 ○事務局  というふうに考えております。 ○公益委員  今のは、別に出してもらう時に、個人名を書くけれども、個人名をその研究会で出す わけではない。ここに書いてあるのは、そういう趣旨だと思うのですけれど、個人名を つけて意見を出していただく。しかし、まとめる段階でここに配られた時に個人名は出 てこないという趣旨ですよね。 ○事務局  今の案では個人名が出るのです。 ○公益委員  「公表しろ」と書いてありますけど。 ○事務局  個人名が出ていないものについては、公表しないと。 ○公益委員  ああ、そうですか。 ○事務局  個人名を公表しないのではなく、その意見自身も公表しないという整理です。 ○公益委員  そういう意味ですか。個人名も出すということですね。 ○事務局  はい。 ○労側委員  すみません、資料5の関係も論点については、今日ここで確認をするということです か。 ○事務局  ただ、一応こういった方向で進めるということで、その順番としてまずこういった形 で、次回パートタイム労働者と正社員の均衡処遇ルールについてといったことで、お話 いただいてこういった順番で進めていただく中で、またさらにこれに関わる問題が出て くれば、別にそのポツに書かれている内容に限定されたわけではなく、この流れの中で 出てくるものがあれば、ご議論していただければというふうに思うわけですけれども。 ○労側委員  それを伺った上でこの論点に対する意見なのですけれど、パートタイム労働の現状認 識とこの審議会の関わり方によって、受け止め方が違ってくるというふうに考えていた だいていいのですが、2番の「短時間正社員制度」、あるいは「パート労働者の能力開 発、就業支援」というのは、基本的には普及促進方策の中のメニューというか、項目と してそれをより積極的に推進したり、良いものにしていくということについての議論と しては、私はあって良いと思うのです。  2番という項目で、「短時間社員制度」ということを論点の1つに置くというのは、 私自身としては、もともとパートタイム労働とはどういうものかというところに立った 上で、これからどうしていくかという時に、ちょっとこの短時間正社員制度を、この場 で論点の1つとして扱うという、こちらの意見の準備やあるいは研究会報告がそれを出 しているということをベースに、この中身について話すというだけでは留まらないと思 うのですね。  ですから、これは2番という項目で立てるのではあれば、そこで先ほど労側委員がお っしゃったところと私は同意見ですけれど、いわゆる普及促進策全般という形の項目だ て、論点ということで、その中に入れていただくというほうが良いのではないかという ふうに思います。それは、意見ですけれど。 ○事務局  1つ単語だけ出ているとちょっと唐突な感じがあるかと思いますけれども、まずその 2番目の大きな考え方としては、企業、労働者双方のニーズに応じた柔軟な雇用システ ムの中で、フルタイム労働と短時間労働と行き来出来る仕組みという、そういう観点か ら、その1つの例示として短時間正社員制度であるとか、そういったその行き来ができ るという中に、能力開発とか就業支援が必要という観点であって、均衡処遇ルールとは 、ちょっとまた1つ視点が違うかなという考え方のものです。 ○労側委員  ごめんなさい。公正処遇ルールの、つまり今回の、先ほど今後の審議会だけではない と思いますけれど、ポイントというのがパートタイム労働者の公正処遇の実現というこ とでいくという大きな目標があるというふうにとらえていて、その関係から言っても、 むしろ1番が中心課題ということが、そこはしっかり落ちてくるのですが、今の説明を 伺ってもちょっとこれを2番の項目だてとして、短時間正社員制度というのを議論する というのは、つまり、パート労働者の実態がきちんと浮き彫りにされた議論をやって、 その上で2番というものは施策としてというちょっと強弱というか、私は優先順位で言 うとむしろ1番ということが、ここのテーマではないかと思うのですね。 ○事務局  おっしゃるとおり、「1、2、3」と書いておりますけれども、議論で同じように時 間をさくかというと、またそこら辺は議論のある所かもしれませんけれども、こちらと しても1にかなりの議論、当分の間、先ほどからの議論の感じからして、現状認識とそ ういった面においても、かなりいろいろなご意見があるようですので、しばらくはそう いった意味で、1のほうで議論が続くのかなとは思っております。 ○事務局  前回の会議の冒頭でご挨拶したように、今回の議論の成果は、1つは均衡処遇ルール をどういう内容のものをどういうレベルで作るかということです。  それからもう1つは、基本方針の策定を大臣がやりたいと思っているのですけれど、 その基本方針にどういうものを盛り込むかということの議論をお願いしたいというのも ございますので、主として2に書いてありますのは、基本方針の策定に盛り込むような ことを、念頭においた項目だてになっていると思います。  そして、ここで現状認識について十分な議論ができていない中で、「短時間正社員制 度について」という項目が出ることに違和感がおありだということでしたら、もし皆さ んがよろしければフルタイマーとパートタイム労働者の相互転換の促進というのが問題 意識ですから、この「短時間正社員制度について」というのをそういう形で書き改める ことはできると思います。 ○分科会長  いまの点はいかがですか。 ○労側委員  いまのご説明で、基本方針を作るということを1回目にご説明いただいた。つまり、 そこがそもそもスタートラインとして、その前に現状の法律はどういう問題があって、 それをどういう方向に持っていくのかがあって、長らく基本方針を見直していなかった のでそれをやるという組合せ理解であれば、私はいいと思います。ただ、やはり2番の 項目を入れているとそういうふうに受け止めがちなので、それを訂正していただけるの であれば訂正していただきたいと思います。 ○事務局  相互転換という趣旨で直せばいいですか。 ○労側委員  普及促進に関する項目立てというふうにはならないですか。 ○事務局  1の2番目のポツの普及促進方策というのは、合意ができた均衡処遇ルールを、どう いうふうに定着させるかというための対策のあり方という趣旨だと思うのです。 ○労側委員  わかりました。私の意見としてはいま申し上げたような意見を表明しておいて、この 2番の項目のタイトルがこのままでいいということであれば、この中でまた意見を申し 上げていくことにしますので、修正しなくて結構です。 ○使側委員  繰り返しになるのですが、パート研の報告書の中でも就業調整は2つ目の要因として 取り上げられているので、均衡処遇ルールの検討は1、2、3とあるのですが、3番目 の1つ目のポツにある問題というのは、1の中で併せて検討していくべき問題ではない かなと思います。 ○事務局  1は、まさに労使の中でどういうふうにしていくかということですが、やはり就業調 整そのものはある意味でほかの社会的なルールということで、それについて前にもこの 審議会で建議を出していただいて、当時は厚生省や大蔵省のほうに意見を出してという 経緯がありましたが、外に対して働きかけるものとここの中で決めて、いかにそれを施 策として実行していくかという部分を分けて考えたほうが、議論としては整理がつくの ではないかなと事務局としては思うところです。 ○使側委員  受け止める企業側からすると、それぞれが別々の方向であるというのは、ちょっとや りにくいのが実際のところではないかなと思います。 ○事務局  方向は、トータルでまとめていただくときにはどういう順番で書くとか、そういった ことがあるかと思いますけれども、あくまで論点としてその議論をするときに均衡処遇 ルールを議論しながら、また就業調整の議論をするということになるよりは、ここの会 議での論点としてどういうふうに議論していくかの整理でして、またそれについて何ら かの形でまとめるときに、どういうふうにそれを書いていくかということで、それを広 く公に出していくときの、それはまた別の話ではないかなと思います。 ○分科会長  いまの順序立てについて、ほかに何かご意見はありますか。 ○公益委員  社会制度という言葉は、先ほどのご説明ですと税・社会保障と企業内における配偶者 手当。配偶者手当までを含んでいるとすると、これは上のほうの均衡処遇と関わってく る問題でありますから、その他のところで言っているのは社会制度というボヤッとした ことではなくて、税・社会保障に限定する。それで、上のほうでもし配偶者手当の問題 を議論するのであれば、それは企業内の話ですから話をしてもらうというふうに分けた ほうがよろしいのではないでしょうか。 ○公益委員  公益委員に賛成です。基本的に1は、企業内でどういう均衡処遇ルールを作るかとい うことです。これには多分、配偶者手当の問題が入ってくるだろうと思います。ただ3 については企業を越えて意見はあるでしょうが、個々の企業では基本的にはどうもでき ない税や年金の問題についての意見として、そういうものが変わらなくても企業内でや れることは1と整理したほうがいいのではないか。  多分3については、これまでの審議会では基本的に労使はこの建議を見ますと、ある 程度合意されていると思います。基本的には個人の行動に中立的な税制、年金にしなけ ればいけないのはかなり合意されていますので、そういう意味でもこれは3でいいので はないかと思います。ですから配偶者手当は1に入れて、3は税や年金と整理して分け て意見を伺う形でいいのではないかと思います。 ○分科会長  いま、公益委員二人からお話がありました。そういう方向で整理をして、企業内のも のとそれから越えた制度と一応振り分けて、順番を付けて議論をするということでまと めたいと思いますが、よろしいですか。そういうことにさせていただきます。  それでは、もう1つの議題に移らせていただきたいと思います。「今後の少子化対策 」についてお願いします。 ○事務局  それでは、少子化対策についてご報告をさせていただきます。9月20日に坂口厚生労 働大臣から小泉総理大臣に対しまして、お手元にあります資料8−2の「少子化対策プ ラスワン−少子化対策の一層の充実に関する提案−」ということでご報告をしましたの で、当雇用均等分科会にも関わりのある、特に働き方の問題等がありますので、若干ご 報告をさせていただきます。  ご承知のように少子化が進んでいますが、今年の1月に私どもの社会保障人口問題研 究所で新しい人口推計をしました。現在平成13年で見ますと、年間117万人のお子さんが 生まれていますが、今後の見通しを見ますと、今後20年ぐらいは毎年1万5,000人から2 万人ぐらいお子さんの数が減少し、さらにその後も1万人弱ずつお子さんが減少して、2 050年ごろには70万人を切るぐらいのお子さんしか生まれないのではないだろうかという 見通しが発表されています。  これまでは、少子化の要因としまして晩婚化や結婚をされないということが要因で、 結婚されれば1970年代以降ほぼ一組の夫婦から2.2人ぐらいのお子さんが生まれたのです が、特に1960年代以降に生まれたご夫婦からは従来の人数のお子さんが生まれていない ような実態も出てきたものですから、今回の推計ではそうした調整係数を見込まなけれ ばいけない事情もありまして、いま申し上げたような状況になっています。  こうした少子化の進行というのは、社会保障をはじめとして社会経済全体に大変大き な影響を与えるわけですが、これを5月の時点で総理に社会保障制度、特に年金などの 見通しを含めてご報告したところ、少子化の流れを変えるために実効性のある対策を検 討してほしい。9月ごろには中間的なものでよいから対策の方向をまとめてほしいと。 その際に特に2つ話がありまして、1つは育児休業の取得や看護休暇制度の普及などに ついて、具体的目標を定めて子供を安心して産み育てられるような職場作り。もう1つ は、これまではどちらかというと働いておられる女性の仕事と子育ての両立ということ で、保育を中心に子育ての支援施策を考えてきたわけですが、この前の会でもご報告し たように、専業主婦においても子育ての問題に不安があるとか、負担感が多い点は変わ っていませんので、地域において子育支援サービスを推進する体制作りという2つを特 にというお話もありまして、まとめました。  資料がいくつか出ていますが、資料7−1や資料7−2については、そうした少子化 対策を考える上で大臣の懇談会を催しましたので、それについての報告書の本体と概要 です。資料8−1は今回出しました少子化対策プラスワンの概要で、これに沿って簡単 にご説明をさせていただきます。  1頁は、これまでも少子化対策を怠ってきたわけではないわけで、内閣としては平成1 1年12月に「少子化対策推進基本方針」を定めまして、とりわけ保育などを中心にして平 成16年度までの事業の新エンゼルプランに沿った形で、少子化対策が進められています 。併せまして昨年7月には、待機児童ゼロ作戦を閣議決定したわけですが、基本的考え 方の箱の中にありますように、夫婦の出生力の低下という新たな事態を踏まえまして、 少子化の流れを変えるためにもう一段の少子化対策を進めようということで、プラスワ ンという命名にしてあります。先ほどご説明しましたように、これまではどちらかとい うと子育て、仕事の両立支援を中心に少子化対策を進めていたわけですが、それに加え ましてそこに4つの旗を掲げて、少子化対策を進めようというわけです。  1つ目は、男性を含めた働き方の見直しです。2つ目は、先ほど申し上げました地域 における子育支援です。実は、現在平均的な合計特殊出生率は1.33になっていて、いち ばん高い地域は鹿児島県奄美諸島の和泊町の2.5、反面いちばん低い所は東京都目黒区の 0.8で3倍ぐらいの格差がありますし、またお子さんたちがどういう家庭で育っているの かを見ますと、3世代の同居家庭というのが25%ぐらいになっています。いまは18歳以 下のお子さんが2,300万人ぐらいおられるのですが、3世代で育っているお子さんが25% 、核家族が70%、1人親等が5%弱という状況にあります。このため家庭だけで子育て をしていくことは、専業主婦の場合でも先般お話しましたような問題を抱えているとい うことで、地域において子育支援をしていくことが必要になっています。  3つ目は、現在社会保障の給付というのは数十兆に及んでいますが、そのうちの67% が高齢者に対する給付です。一方、お子さんに対する給付というのは3%ぐらいになっ ています。これは年金制度というものがありますから、同一のレベルでの比較はできな いわけですが、もう少し社会保障制度の中で次世代の支援を考えていったらどうだろう かということです。4つ目は、将来親になりますお子さんたちの社会性の向上や自立の 促進の面も重要ではないかなということで、4つの柱を立てさせていただきました。  まず最初は、働きながら子育てをされている人のためにということで、「男性を含め た働き方の見直し、多様な働き方の実現」という見出しの中で、この部分は本体も併せ て見ていただきますとよろしいかと思いますが、本体のほうは3頁にあります。これに ついては、少子化の背景にあります家庭よりも仕事を優先するという働き方を見直しま して、男性を含めたすべての人が仕事時間と生活時間のバランスを取って、子育てにも 時間をさいていただこうということです。そこにありますように残業時間の縮減やお子 さんが生まれた場合には父親誰もが最低5日間は休みを取って、子供との接触を、最初 のアタッチメントといいますか接触が非常に重要ですので、そういうことをやっていっ たらどうかということです。  それから、先ほども少し議論になっていましたが、短時間勤務等の仕組みについて、 多様就業型のワークシェアリングを社会全体で取り組むということで検討していったら どうかということがあります。また、パートタイム労働者の社会保険適用についても、 平成16年の次期の年金財政再計算の中で検討していったらどうかということも書いてあ ります。  2つ目の「仕事と子育ての両立の推進」ということで、ここは総理からも要請のあっ たところですが、育児休業の取得率、子供の看護休暇制度の普及率、小学校就学の時期 までの勤務時間の短縮等の措置の普及率を設定させていただいています。この各率の設 定の考え方は資料8−3にあります。基本的には育児休業については希望する方が取得 できるようにという考え方を取っていますし、またその看護休暇制度の普及率等につい ては現行の普及率をさらにアップしまして、将来的な制度の充実を期したいということ で設定をさせていただいています。  サービスについては、待機児童ゼロ作戦をさらに進めていくということですが、平成1 4年4月の時点では残念ながらまだ待機児童は2万5,000人という数字になっています。 この中身を詳細に分析してみますと、待機児童100人を超えるような自治体が都市部を中 心にして63ありますし、また待機児童の年齢を見てみますと3歳未満の方が多いという ことで、そういう点について配慮をしながら施策を進めていくことを考えています。今 回特に打ち出していますのは予算の説明でも触れましたが、特定保育事業や保育ママに ついて制度の充実を図ろうとしています。  3頁は「子育てをしているすべての家庭のために」ということで、地域における支援 サービスの拡充と、地域の中で公的な施策、NPO、教育の分野で進められているよう ないろいろなサービスがありますので、そういうものの情報の一元化をして提供できる ような仕組や、あるいは子育てを進めるためのバリアフリー、社会保障における次世代 支援として次期の財政再計算の中で、年金額の計算における育児期間への配慮の検討な ども考えています。  4で、お子さんを育てていく場合に教育費の問題がいろいろ言われていますが、従来 の奨学金制度を充実していくと同時に、併せて年金の積立金を使って新たな奨学金の仕 組ができないかということも、財政再計算の中で議論をしていきたいと考えています。  4頁は「次世代を育む親となるために」で、子供たちの自立、社会性の獲得というこ とで、この中では近頃なかなか中高生が赤ちゃんと触れ合う機会も少なくなってきてい ますので、そういう場の設定やボランティア、世代間交流を進めていくとか、最近非常 に経済情勢の中で若者の就労状況が不安定化していますが、そうした面での対策、さら には子供の健康や御産の問題、不妊の治療といった面の対応についても検討することと しています。  5頁は、そうした対策を今後さらに検討するために、厚生労働省に少子化対策推進本 部を設けた上で、いま申し上げたような対策について、対策の基本的な枠組、特に働き 方の見直し等を中心に直ちに着手すべき課題について、立法措置を視野に入れながら検 討を進めて年末までに結論を得て、そこで決まりました中身あるいは実際の対策のスケ ジュールに沿った形で進めていくことにしています。その際いままで申し上げましたよ うな点について、地域と企業での取り組みが重要になっていますので、地方公共団体に おける行動計画あるいは企業における行動計画について、推進法的な枠組も含めて検討 をすることにしたいと考えています。なかなか国だけで進めていくわけにもまいりませ ん。地域、企業での取り組みが非常に重要ですので、今後少子化についての国民会議等 もありますし、そういう場でも協力を求めつつ、また個別に企業団体、労働団体、地方 公共団体の集まり等に協力を求めながら、年末に向けてさらなる検討を進めていくこと になっています。以上です。 ○分科会長  どうもありがとうございました。ただいまのご説明について、ご質問はありますか。 ○公益委員  素晴らしい案を作ったと思うのですが、2点お尋ねしたいのです。1点目は例えば仕 事と子育ての両立の推進で、具体的目標というのが設定されましたね。これが具体的に 見えるのですが、期限が付いていない。いつを目標にこれをやるのか。そうしないと将 来やります、という話では数字が出てきても仕様がないわけですが、そこら辺について どういう議論がなされたのか。あるいはどう考えていらっしゃるのかということです。  もう1点は、この審議会と関連してくると思うのですが、働き方の見直し等について 立法措置を視野に入れて検討を行うということで、多分働き方の見直しはパートやワー クシェアリングというようなことと関連してくるテーマに思えるのですが、これはどう いうことを考えていらっしゃるのかです。 ○事務局  期限についてですが、育児休業等について目標を設定させていただいていますが、こ れについては当面2、3年は集中的に努力をしていくのが実態上は必要なのかなと思わ れますし、先ほど申し上げましたが企業等についてもアクションプラン、行動計画を策 定していただくということで、そういう基本的な枠組ができたときにはおそらくアクシ ョンプランは期限もなしで、ということではないと思いますから、期限を限ってまた努 力をしていただくことになろうかと思います。特に今回、男性の育児休業の取得率が現 状が0.55で20倍くらいの率を設定していますので、当面2、3年集中的に努力をしたあ とでも、さらなる取り組みがそこの部分についてはいるかもしれないなと思っています が、できるだけ早く皆さん方の協力を得てやっていきたいと思っています。  もう1点の話ですが、先ほども少し申し上げましたが1つの議論としては、アクショ ンプランに関わるようなものについては推進法というか基本法というか、そういうイメ ージのものを用意すると同時に、併せて個別法に関わるような問題も平行して議論する 。ただ個別法については、過去の経緯やスケジュールがある程度ありますので、そうい うことも加味しながらよく相談をしながら、年末までに中身とスケジュールを設定して いくことにしていますので、今回お示ししたものの関係各方面での反響も見ながら、さ らに検討を進めていくことになります。 ○労側委員  1つ目は育児休業の取得率の目標なのですが、資料8−3ではこの数字を出された10 %と80%の考え方が書かれているのですが、10%と80%だけが外に出ると、両方が携わ っていこうということにしているにもかかわらず、やはり女性のウェイトが高いとも見 られますので、そこら辺の伝え方については十分に配慮していただいて、役割分担の助 長にならないような形にしていただきたい。  2つ目は「社会保障における次世代支援」について、資料の中では「年金額計算にお ける育児期間への配慮の検討」と書いてあるのですが、これは例えばいまあるような社 会保険料の免除とか、そういうことをおっしゃっているのか、それとも別に何かほかの ことも考えていらっしゃるのかを教えていただきたい。というのは、育児に携わってい る人というよりは「次世代支援」という表現になっているものですから、例えば児童手 当の拡充とかも含まれているのか、そこら辺のことについて教えていただけますか。 ○事務局  後者から言いますと、社会保障制度における議論としてプラスワンに書かれているも のは、例えば4頁のパートタイム労働者の社会保険適用について検討をする点とか、9 頁の4「多様な働き方の実現と併せて育児期間において収入が下がり、または亡くなる 場合に将来の年金額計算において配慮を行うことについて検討する」ということで、こ ういう例示が挙がっています。また教育費は非常に大きな経済的負担になっていますの で、その点についても先ほどご説明しましたように、奨学金の充実制度ができないかと いうことも検討したいということで、現在のところ考えていますのはこういう点ですが 、さらにいろいろご議論があるかもしれません。  なお、先ほどご紹介しました懇談会などではさらに踏み込んで、子育てについて現在 も社会保険制度の中で、例えば出産について健康保険で出産手当のようなものがありま すし、雇用保険では育児休業を取ったときに給付があるなどの形でされていますが、そ うしたものを含めて子育てについての新たに保険的な対応ができないかという提案もさ れていますが、これはまだ先の議論になろうかと。とりあえず年金制度では、いま申し 上げたような点が指摘されています。 ○事務局  前者の質問を私からお答えします。もちろん10%、80%として目標自体も非常に格差 がありますが、資料8−3にありますとおり現状はそれ以上に大きな格差があります。 そういう現状の中で目標の考え方にもありますとおり、男女を含めて育児休業を取得し たいと考えている方が最低限、取得できるような環境を作るということで、こういった 目標の設定をしています。したがって、これは申すまでもありませんが個別的な役割分 担を固定化するといったことを意図しているものでは全くありません。  ただ、たしかにおっしゃるとおり、10、80という数字だけが独り歩きするというご懸 念があるのは十分認識はしています。そういう意味で資料8−3自体もプレス発表等に 合わせて、こういった考え方で設定していることも含めて公表していますし、これから もいろいろな機会を通じて、この目標値の考え方についてはご説明をさせていただきた いと思います。 ○労側委員  重ねてで申し訳ないのですが、資料8−2の9頁の社会保障における次世代支援の説 明書きに、「将来の年金額計算において配慮を行うことなど」という書き方になってい るのですが、ここは社会保険料や年金保険料ではなくて、年金額計算そのものにも検討 されていると理解してよろしいのですか。それと、少子化社会を考える懇談会の今後の スケジュールについて教えていただけますか。 ○事務局  年金については別途検討の場が設けられていますので、これがあくまで例示というこ とで、そちらの検討を待っていろいろなことが議論されるのではないかということで、 ここでは文書として整理されているもののご紹介に留めたいと思います。  少子化懇については、一応中間報告ということですが、いま申し上げましたように政 府としての案をこれから年末に向けて固めてまいりますので、それを再度ご報告するよ うな機会があろうかと思っています。ただ、それを受けてさらに最終報告になるかどう かは、いまの時点では確たる状況にありません。 ○使側委員  いまの資料8−2と資料8−3に関連して、言葉遣いがよく私はわからないのですが 、例えば資料8−2の3頁の(2)に、「子供が生まれたら父親誰もが最低5日間の休暇を 取得することを促進する」というのがありますし、資料8−3は目標だとなりますし、 さっきの議論の中ではガイドラインなどがありますが、そういう言葉の位置付けという のはどういうことなのでしょうか。  いまの事務局のご説明ですと、これからこの目標については企業についてきちっと計 画を立てろとか、そういうのを義務化していくとかというようなことがあるのですか。 それとも、そういうことを含めて12月までに考えるということをおっしゃっているので しょうか。この目標を達成するために、どういうことをしなければいけないと考えてい らっしゃるのか。そして、この促進というようなものは、なるべく取ってくださいとP Rするだけというか、そういうことなのか、その取り扱いの強弱をちょっと教えていた だきたいのです。 ○事務局  まず、促進という言葉で、「子供が生まれたら父親誰もが最低5日間の休暇」ですが 、いま委員のおっしゃったとおりで、現実は相当数の企業が既に制度として出産休暇と いうのを持っています。あるいは日本の場合ですと年次有給休暇が皆さん相当余ってい ますので、有休を取ってお子さんの出産に立ち会う方もいらっしゃいます。これは私ど もの育児休業の制度でPRはしているのですが、なかなかまだ一般に浸透していないの ですが、いまの仕組では奥さんが専業主婦の方であっても、産後8週間の間は育児休業 の制度が取れるようになっています。ですから、ここのところはそういったそれぞれの 企業の状態、あるいは個人に応じていろいろな制度が既に活用できますので、そういっ たものを使って、最低5日間は休みを取っていただく環境作りをしていこうという意味 で、まさに促進という言葉を使っています。  併せて、育児休業の目標についても既にご案内のとおり、育児休業の取得そのものは 育児・介護休業法によりまして、請求権として認められています。したがって、それを ただ現状として、特に男性については0.5%という数字になっているのですが、そういっ た状況の中で、資料8−3の「目標値を設定することの意義」に書いてありますとおり 、制度としては仕組としては認められているけれども、先ほども申し上げたとおり、男 性でも女性でもまだ育児休業を取得したいと思っても、なかなか取得できない職場の雰 囲気があることは事実です。そういった状況に対して政府あるいは労使一体になって、 ここにありますような社会全体として集中的な取り組みをすることによって、取りたい という皆さんが育児休業を取得できるような状況に持っていこうという形で運動を展開 しようと。  そのための対策として、本文の4頁の目標値の下に掲げてありますが、私どもとして もいろいろな所に要請をしたり、平成15年度の概算要求で新しい奨励金の制度を設けた りという措置を考えています。先ほど総務課長から申し上げたとおり、これから2、3 年集中的にいろいろな取り組みをしまして、この目標値に向けて取り組みを強化してい きたいと考えています。 ○労側委員  2点、要望ということになると思います。育児・介護休業法を改正をする審議の中で も、男性の取得促進をめぐってさまざまな議論があったところだと思いますが、それが さらに進むことに何か期待ができるのかなという印象を受けましたが、それは是非枠を 決めるだけでなく進めていただきたいと思います。  もう1つは、やはり育児休職の適用労働者の問題が育児・介護休業法の検討の際も議 論があって、指針によって有期労働者の更新に対する一定のものは出ましたが、まだま だ取りたくてもそれが十分適用されないという人たちが多い実状を踏まえて、育児休業 を当然職場の雰囲気を越えて取ることと併せて、その適用対象者が広がるようにする必 要があると思っていますので、それ自体も是非法律の中できちっとやっていただきたい と思います。  もう1点は、「次世代を育む親となるために」という大変重要な柱立てがされている と思います。そこについて補強する意味で要望というか、意見を申し上げたいと思いま す。やはり若い人たちが安心して働くことができてこそ、親になろう、子供を持とうと いうことだと思うわけです。そういう視点で若者の安定就労という課題があるのですが 、ちょっと気になるのは就労支援を行うと共に、若年層の試用雇用を推進する、いわゆ る派遣法で言われているような紹介予定派遣のような、イメージがどうも一定の期間だ けは雇うけれども、その後のことはその時よという印象を持って、ややこれこそ不安定 な方向になる心配があります。そういうことをここは言っていないと思いますが、むし ろやはり安定した仕事を若い人に提供することに関して、雇用全体の問題をどうしてい くかを取り上げていただくことが必要ではないかと思いまして、若干試用雇用について は不安を感じていますので、これについて意見を申し述べたいと思いました。 ○事務局  まず、1点目の育児休業の対象の範囲は制度的な問題だと思いますが、これについて はいま委員からお話がありましたとおり、前回の育児・介護休業法の審議の過程でも国 会審議の過程でも、こういった問題についてご議論があったと認識しています。前回の 育児・介護休業法の国会審議においてもご案内のとおり、国会で修正がなされまして、 施行後その施行状況を見てさらに検討することになっています。制度面の問題について は、そういったような状況を受けまして今後、他の問題も含めて検討させていただきた いと思っています。  2点目の試用雇用は所掌ではありませんが、これは通常職業安定局の所管になろうか と思います。トライアル雇用という形で特に若い方については、どちらかというと自分 の適職が果たしてどういうものなのかがよくわからないということで離転職を繰り返す 、あるいはついフリーターという形で就業し続ける実態がある中で、実際に職場の雰囲 気あるいは仕事がどういったものなのかを体験していただく目的で、こういった取り組 みを始めているところだと認識しています。ですから、そこはむしろご懸念のような問 題よりも、かえって特に若年者の方についての適職の選択を支援する観点から、こうい った取り組みがなされているというふうにご理解いただければと思います。ちょっとそ こは所掌外ですので、正確に申し上げられたかどうかはわかりません。以上です。 ○使側委員  先ほどの説明の中で、個別企業のほうに推進委員会や行動計画を、推進法の法律によ って作らせようということが盛り込まれるという説明があったのですが、基本的に法律 によってこうしたことを義務化するのかはよくわかりませんが、推進させようというの は企業の自主的な管理について、かなりの制約を与えることになると思いますので、こ うした方策を推進するのはいいのかどうかは多大な疑問を持っていると考えています。 ○事務局  私どもとしては企業にも、地方公共団体にも少子化の問題についてきちんと考えてい ただき、アクションプランを作って一緒に取り組んでいただけるような仕組があったほ うがいいのかなと考えていまして、またそのあたりはお話をさせてもらいながら進めて いきたいと思っています。 ○分科会長  ほかにご発言はありますか。特にほかにご発言がなければ、本日の分科会はこれにて 閉会とさせていただきます。本日の署名委員は、吉宮委員と山崎委員によろしくお願い します。  次回の日程をお願いします。 ○事務局  次回は10月9日(水)15時から17時に、17階の専用第21会議室で、議題は引き続き今後 のパートタイム労働対策についてお願いしたいと思っています。 ○分科会長  本日は長時間、大変時間をオーバーしまして申し訳ありませんでした。どうもありが とうございました。       照会先:雇用均等・児童家庭局 総務課 企画調整係(内線:7826)                短時間・在宅労働課 企画法規係(内線:7876)