02/09/17 第7回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第7回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時:平成14年9月17日(火)15時00分〜17時00分 2 場所:省議室 3 出席者:      分科会長:若菜委員      公益委員:渥美委員、今田委員、佐藤(博)委員      労側委員:岡本委員、片岡委員、吉宮委員      使側委員:前田委員、遠藤委員、山崎委員 ○分科会長  ただいまから、第7回労働政策審議会雇用均等分科会を開催します。本日は皆様、ご 多忙のなかをお集まりいただきまして、ありがとうございました。最初に、お手元の資 料の1で名簿をお配りしていると思いますが、この中で委員の変更がありましたので、 ご紹介させていただきます。使用者代表臨時委員の松井委員が辞任されましたので、代 わりに、日本経済団体連合会労働政策本部雇用・労務管理グループ長の使側寿行さんが 就任されました。よろしくお願いします。事務局のほうで異動があったということです ので、自己紹介をお願いします。 ○審議官  8月30日付で、雇用均等・児童家庭局担当の大臣官房審議官を拝命いたしました渡邉 と申します。よろしくお願いします。 ○総務課長  同じく8月30日付で総務課長を拝命しました中村でございます。よろしくお願いいた します。 ○雇用均等政策課長  8月30日付で雇用均等政策課長を拝命いたしました石井でございます。どうぞ、よろ しくお願いいたします。 ○職業家庭両立課長  同じく職業家庭両立課長を拝命いたしました宮野でございます。よろしくお願いいた します。 ○短時間・在宅労働課長  同じく短時間・在宅労働課長を拝命いたしました内野でございます。よろしくお願い いたします。 ○調査官  同じく短時間・在宅労働課調査官を拝命いたしました阿部と申します。よろしくお願 いいたします。 ○分科会長  議事に入らせていただきます。最初の議題は「雇用均等分科会の公開の取扱い」とい うことです。事務局から説明をお願いします。 ○事務局  私のほうから説明させていただきます。資料の2にありますように、「労働政策審議 会雇用均等分科会の公開について(案)」ということでお諮りをしたいと思います。昨 今、情報公開ということが大切になっていますが、5月29日付で厚生労働省のほうとし まして、官房のほうから「審議会等会合の公開に関する指針等について」ということで 、全体として公開を進めるようにという方針が出ていまして、労働政策審議会の他の分 科会、部会等も徐々に公開の方針が進んでいるところです。当雇用均等分科会について も、1のところで現行の取り扱いということで、現在は議事録で、委員の発言について は「委員」という形で表示しています。それと資料については公開の取扱いをしてきた ところですが、今後、特に大きな点として、この会議自身を公開にしたいということと 、議事録についても委員の発言について従来、「委員」と表示していたものについて「 会長」「会長代理」「公益委員」「労側委員」「使側委員」という形で、表示をしてい きたいということにさせていただければと、ご提案を申し上げるものです。  ただ、会議の公開については、特段の事情がある場合には、分科会の議決をもって会 議または議事録についても、非公開とすることができるということで考えています。原 則公開、特別の場合に非公開とするという取扱いにさせていただきたいというものです 。  なお、特段の事情がある場合ということで具体的に4つほど、こんな場合には非公開 とすることができるということで、個人に関する情報を保護する必要があるような場合 とか、あるいは特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するというようなこと。ある いは(3)にありますように、市場に影響を及ぼすというようなことで国民の誤解とか憶 測を招いて、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合とか、あるいは公開 することによって特定の方に不当な不利益を与えるとか、あるいは不利益を及ぼすおそ れがあるという場合は、非公開とするということを留保した上で、公開にさせていただ ければと思っています。  なお、2枚目ですが、この案に沿ってご了解いただければ、次回以降、会議を傍聴さ れる方が生じるわけですが、ここにありますように、会議を傍聴する場合の留意事項と して1から12までの点を示した上で、公開ということにしてはいかがかということです 。 ○分科会長  ただいまの説明について、ご質問あるいはご意見等がありましたら、どうぞ。 ○労側委員  公開を、どういう方法でやられるのか。それから、今日もスタッフが見えていますけ ど、事務的な仕事で来ているメンバーと傍聴というのは区別されているのか。その辺を ちょっと、全体の容量があると思いますので、それはどうでしょう。 ○総務課長  公開のやり方については、事前に申込みをしていただくというやり方をとっているの が多いかと思いますが、そして事前に登録をしておいていただいて、その場で出席をチ ェックして傍聴を認めるという形になろうかと思います。 ○労側委員  我々委員の補佐のために今日、見えているのですが、そのメンバーと傍聴というのは 区別されていただいているのか。それとも傍聴に入ってしまうのですか。 ○事務局  私、基準局から参りましたので、基準局のやり方にもし倣うとすればという前提でお 聞きいただきたいと思いますが、一応、傍聴と事務局の方の、いわゆる随行者の扱いは 区別をしていまして、特段、随行者について事前に申込みいただくということは踏まず に行っていますので、もしそれに倣えば、そういう扱いになろうかと考えています。 ○労側委員  分かりました。 ○分科会長  その方法は、随行は今のような扱いですか。 ○事務局  そういう取扱いということで、あまり部会とか分科会ごとに違った取扱いも何ですか ら、今のような取扱いにさせていただければと思います。 ○分科会長  ほかに何かご意見、ご質問ございますか。 ○使側委員  (4)のところに書いてある「特定の者」というのは、何か限定があるのでしょうか。個 人に限るとか、あるいは企業も含むとか、その辺は情報公開指針か何かの中で限定はさ れているのでしょうか。 ○事務局  他の分科会等で決まっている文言を、そのまま引用したということですので、そうい う中で個人ということについては(1)のほうにございますし、それぞれ事案ごとに検討し ていくことになるのかなというふうに思っています。 ○分科会長  ほかにございますか。特にご発言がなければ本分科会の取扱いとしては、ただいまの ご説明があったようなことにさせていただくということで、よろしいですか。特段のご 異議もないようですので、そのようにさせていただくことにします。  次に報告事項が2つあります。最初の「平成15年度雇用均等・児童家庭局予算概算要 求の概要」について、これは雇用均等関係のものを中心に事務局のほうから説明をお願 いします。 ○事務局  予算の概算要求の状況について、私のほうから簡単にご説明させていただきます。資 料3にありますように、雇用均等・児童家庭局としましては「少子化対策の推進と子育 て支援の新たな展開、多様な働き方を目指して」ということで、2つのジャンルがある わけですが、主要事項については1枚目にありますように、「少子化対策の推進」のほ うが1兆615億円、「多様な働き方を可能とする労働環境の整備」のほうが39億円という 形で、一般会計、特別会計、それぞれ要求しています。全体としては3.2%の伸びという ことで要求させていただいています。  今年の予算の大きな特徴は、少子化の流れを変えるということが冒頭に書いてありま すが、実はこの1月に私どもの社会保障人口問題研究所が、5年に1回の国勢調査があ りますと、将来の人口推計についてまとめているわけです。その中で従来以上に少子化 が進展するであろうという見通しを発表しています。そうした状況を社会保障制度の将 来的な見通しも含めて、5月に総理のほうにご報告をしましたところ、従来の少子化対 策を越えて各省庁にもまたがるものも含めて、実効性のある少子化対策について9月に も、中間的な報告でよいから報告をするようにというお話がございまして、実は今週中 にも総理のほうにご報告をすべく、現在、調整が進んでおります。そういうことを踏ま えて、少子化対策の予算が、特に厚生労働省の大きな施策の柱として位置付けられてい ます。  そういう少子化対策の中では、1つは男性も含めて働き方の変革をしていこうという 点が1点です。2点目は、地域における子育ての支援ということで、従来、どちらかと いうと共働き家庭ということが念頭にあったわけですが、専業主婦も含めて地域におけ る子育て支援策を充実していったらどうだろうかということ。それから、これは15年度 の予算というよりも、もっと先の問題も含んでいるわけですが、社会保障制度において 次世代の育成について何か取り組めないだろうかということ。4点目は、将来、親にな る子供たち自身と言いますか、そういう子供たちの自立の促進という点に配慮して、少 子化対策を進めたらどうだろうかということで、15年度の概算要求についても、そうし た方向性が出る予算要求になっているということです。  2頁ですが、地域社会を通じた子育て家庭の支援対策ということで、特に市町村にお ける子育ての支援体制を強化しようということで、いろいろな地域におけるサービスに ついてデータベースを作るとともに、そうした情報提供体制を強めていくとか、校区ご とにサービスを考えていくとか、あるいは子育てのバリアフリー化などの施策を考えて います。  3頁では、保育と並んで放課後の子供たちの問題ですが、放課後児童クラブというこ とで、16年度までに1万5,000カ所を設置しようということを目標に立てています。これ に沿った形での箇所数の増加というものを要求しています。  4頁では、これまでもファミリー・サポート・センターということで整備を進めてい ますが、これについても、ここにありますような数字で本部の増設を要望しているとこ ろです。  5頁は保育サービスの充実ですが、ご承知のように、昨年7月に待機児童ゼロ作戦と いうことで閣議決定がされています。そうした中で保育所の受入れ児童数を約5万人増 やすということで、運営費であるとか施設整備を要求しているところです。そうした保 育所というだけでなくて、特に都市部とか、あるいは低年齢時について待機児童が多い ということもあり、家庭的保育事業ということで、これは保育ママさんということで自 宅で、そうした3歳未満のお子さんを預かって保育するような仕組みですが、そういう ものを充実していくとか、あるいはいちばん下にある特定保育事業ですが、これは非常 に耳慣れない言葉だと思います。この分科会でもこれから議論になると思いますが、パ ートの労働者が非常に増加していて、そういう方々の需要として、例えば週2日とか3 日とかあるいは午前中だけとか午後だけとか、そういう多様な保育ニーズが起こってき ていますので、そうしたものにきちんと対応するような仕組みができないかという要望 をしています。  そのほか、6頁にありますように延長保育であるとか休日の保育、一時的な保育、あ るいは障害児の保育等々、特別な保育についても充実を図ろうとしています。  7頁は、子育て生活に配慮した働き方の改革ということで、当分科会とも非常に縁の 深い予算です。1つは育児休業を取得しやすい職場づくりということで、先ほど言及し ました総理の指示の中にも、育児休業であるとか看護休業について具体的な数値目標を 立てて、それで普及に努めるようにということもありますので、そうした普及について 働きかけ、あるいは広報、啓発を行うための予算であるとか、あるいは特に育児休業の 取得に積極的な企業について、育児休業取得促進奨励金について各企業で委員会である とか、育児休業等を普及するための基本方針を立てていただくということをした上で、 具体的に特に男性の育児休業が非常に問題なわけですけれども、そうした方が実際に休 暇を取得するという場合に、奨励金を出そうということも予算要求しています。  2点目に、多様就業型ワークシェアリング導入モデル開発事業の実施ということで、 多様就業型のワークシェアリングについて、業種ごとに短時間正社員制度導入のための モデルを開発して、その普及を図ろうというものです。またファミリー・フレンドリー 企業について、いわゆる両立指標というものを定めて、家庭にやさしい企業の普及に取 り組んでいきたいと考えています。  8頁以降は母子保健対策です。最近、お子さんの栄養状況が乱れていたりするわけで すが、食というものを通じてお子さんの人格形成というか、そういうものにつなげてい くとか、最近、非常に残念な話なのですが、未成年の望まない妊娠、中絶というような こともありますので、そうした面についての対応も考えていけたらと思っています。  10頁ですが、残念ながら子供を巡る問題として児童の虐待ということが大きな社会問 題になっていまして、平成12年には児童虐待防止法という法律も制定されています。  そういう中で、できるだけ予防に努めて、問題がある場合には早期発見、早期対応、 その後はお子さんのケアとか親の指導といった方針で施策を進めていますが、それぞれ について必要な対応を考えていますし、また11頁では、いわゆるDV法、ドメスティッ ク・バイオレンスの法律が4月から全面施行になっていますので、その費用についても 予算要求しています。  12頁以降3頁にわたって、母子家庭対策の予算があります。ご承知のように非常に離 婚の増加が目立っていて、13年においては29万件ぐらいの離婚が発生しています。離婚 が発生すると、お子さんのいる割合が大体6割で、そのうち8割以上がお母さんのほう がお子さんを引き取られるということで、29万件発生すると半数が母子家庭になるとい う状況です。そこで母子家庭の自立のための施策を強化していくことが大変重要になっ ています。その際、1つは、母子家庭のお母さんは子育てをしながら就労するというこ ともありますので、子育て支援を充実していく。  それと就労支援そのものを充実しようということで、13頁にありますように新たな施 策として自立支援給付金とか、あるいは都道府県ごとに母子家庭の就業自立支援センタ ーの創設、さらに母子家庭になると、仮に離婚をした場合でも別れたお父さんには扶養 義務が残っていますので、そうした養育費の取決め確保というような点と併せて、貸付 金であるとか児童扶養手当などの金銭面の施策をトータルに進めようということで、予 算要求しています。なお母子家庭対策については、現在、国会に法案を提出していて継 続審議になっていますので、秋に臨時国会が開かれれば、そうした議論が進められるの ではないかと思っています。  15頁以下は、施設であるとか運営費の新しい事項、あるいは再計のものもあります。 また18頁には新エンゼルプランについての目標と予算の状況についての1枚紙がありま す。  19頁からは多様な働き方を可能とする労働環境の整備ということで、19頁のほうは、 多様で柔軟な働き方を可能とする労働環境整備ということで、先ほどご説明した多様就 業型のワークシェアリングのための環境整備ということです。併せてパートタイム労働 者と正社員の均衡処遇ルールの周知徹底など、パートタイム労働対策の推進ということ が予算として出ています。さらに在宅就業対策の推進ということもあります。  20頁では、男女雇用機会均等の確保対策の充実ということで3つ施策が出ています。 1つは、実質的な均等取扱いを確保するための行政指導の徹底と、個別紛争の解決援助 の促進ということで予算を要求しています。  ポジティブ・アクションを進めるためにベンチマークを開発、普及するということが 2点目です。さらに男女間の賃金格差解消のための雇用管理の改善方策の普及というこ とで、現在、専門家による検討会を進めていますが、そうしたものを普及していくため の経費を要求しています。 ○分科会長  ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご質問はございますか。 ○公益委員  少子化対策との関係で1つお伺いしたいのですが、例えば未婚の子供あるいは未婚の 母を対象にした支援対策というのは、どこかでやっているか、あるいは検討中なのでし ょうか。例えば新エンゼルプランを見ても特にそれはなさそうですし、今まで私が目に している資料では特別そういうものはなさそうな気がするのですが、少子化を解消した ヨーロッパの国などを見ていると、未婚の子供というのは非常に多いわけです。これが 未婚の子供に向けた対策を積極的に取ることについて、日本はまだ大変に少ないですが 、取ることによって未婚の子供があまり差別とか偏見を受けないで生まれて、かつ成長 していけると、これはひょっとして少子化対策の目玉になるのではないかという気がす るのですが、どんなものでしょう。どこかで何か研究されているのでしょうか。 ○事務局  先ほど母子家庭が非常に増加しているというお話をしましたが、母子家庭については 5年に1回調査をしていますので、これは平成10年の数字だと思ってお聞きいただけれ ばと思います。大体、どういうことが原因となって母子家庭となったかということを見 ると、7割程度が今は離婚です。2割弱が死別ということで、未婚の母が7%ぐらいと いう状況になっています。私どもとしては母子家庭というジャンルの中で対応をしてい るし、先ほどご説明しましたように、母子家庭対策の充実を図るために国会に法案も出 しているわけですが、そういう中でも未婚の母の問題も併せて対応しているということ です。ですから、例えば児童扶養手当のようなものも、当然、同じように給付をしてい ます。別に分けて扱っているということはございません。 ○公益委員  例えば、逆に人工妊娠中絶率を見ると10代がかなり多いですよね。母子家庭の中に入 るのでしょうけれども、10代を対象にした特別の施策というのは、まだ特に考えられて はいないのですか。 ○事務局  年代ごとに特別にということは考えておりませんけれども、むしろ先ほどご説明した ように、望まない妊娠をなくすような啓発と言いますか、そういうことをより的確に進 めていったらどうかなと思っています。それから現実には、なかなかお子さんを育てに くい10代のケースの場合などは、例えば乳児院で子供を預かっているというケースも多 々ございます。 ○分科会長  ほかにご質問はございますか。 ○公益委員  少子化対策として保育のサポート支援ということなのですが、もちろん働く母親にと って保育支援というのは重要なのですけれども、よく言われるように働いてなくても子 育てをするのが大変負担であるということから、いろいろなデータ分析をしても、働く 、働かないことと子供の数は必ずしも一定関係にあるわけではなくて、ある意味では働 いてない専業主婦にも子供が少ないということが、要するに少子化の大きな要因になっ ているということがあります。子育て支援の場合に、いわゆる就労してない母親の保育 支援というのと、就労している母親の保育支援との兼ね合いというか、両方の支援とい うのが必要なのだろうと思います。5頁の保育サービスの充実のところに関して、ここ は必ずしも就労の母親を対象にしているというわけではないということですか。最初の 質問を含めてちょっとお願いします。 ○事務局  ご指摘のように、子育てについての負担であるとか不安感という面が非常に強くなっ ているような状況にあるかなと思っています。それで先ほど虐待ということを申し上げ ましたが、法律が施行されて2年弱ですけれども、この間、お子さんが亡くなるような ケースについて、いろいろ仔細に分析をしてみますと、2つの大きなタイプに分かれて います。1つはステップ・ファミリーというか、再婚家庭というようなケースです。も う1つは0歳から1歳ぐらいまでのお子さんが犠牲になるケースが多いのですが、1人 で子育てをしておられて、いろいろな意味で不安を抱えて虐待に走って死亡に至ってし まうというケースは結構、専業主婦で社会との関わり合いがなくてというケースが多い ように分析をしています。  そういうこともあって今回の少子化対策の中では、そうした子育てについての負担感 を軽減するために、まずはいろいろな相談に応じてあげるとか、あるいは従前からもや っていますけれども、子育てサークルに来ていただいて、いろいろな形で、いろいろな 方と接することで孤立を予防していくとか、そういう点から始めていったらどうかなと 思っています。保育サービスそのものについての議論は、いろいろな経緯もございます し、今後、また議論をしていくということで考えています。 ○公益委員  この5頁の主な対象者は、仕事をしている母親を対象にしていると考えられるのです か。 ○事務局  基本的にはそういうことですので、先ほど申しましたように、従来は1週間全部、ま るまるお子さんを預けるというような前提で保育サービスを考えていたわけですが、当 分科会でもご議論になるような最近のいろいろな働き方がある中で、そうした需要にも 応じられるような保育サービスをつくっていこうと考えているわけです。 ○労側委員  6頁の多様な保育サービスの提供というところですが、これから議論されるパートタ イム労働者の方々の就労、特に母子家庭における就労時間帯が深夜に及ぶのが増えてい るとお聞きします。その場合の深夜帯における保育に対する現状と今後の支援策を考え る時に、そういう深夜帯における保育の問題というのはどういうふうに対応されようと しているのか、今後の議論の絡み合いでお聞きしたいです。 ○事務局  6頁にございますように、これまでも例えば延長保育というようなことで、保育時間 の延長を進めておりますけれども、ここにありますように、そうした事業をやる箇所数 を増やしていくとか、あるいは休日についてもそういうことをやっていくとか、基本的 には新エンゼルプランに則った形で量的な拡充を進めていくという方向で進めています 。 ○使側委員  育児休業の取得率が大分ランクが低いということで、先ほど支援のための予算を計上 しているとお聞きしましたが、これは、かなり企業からの要請があるのか、あるいは国 として、もっと男性も育児休業を取らなければいけないという促進の意味でということ だと思うのですが、逆に言うと何か目標値みたいなものというのは特にあるのですか。 もう1つは、何かアウトライン的なものはもうできているのですか。その促進助成策の 詳細です。 ○事務局  先ほどもご説明をしましたけれども、少子化対策についての今後の方向性について、 9月中には総理に報告をしなければいけないということで、特に5月の時点で総理のほ うからお話がございましたのは、育児休業の普及率であるとか看護休暇の普及率につい て、具体的な数値目標を示して普及に努めるようにということもございましたので、現 在、数値目標について鋭意、検討をしているところです。 ○使側委員  何パーセントぐらいまで持っていきたいという数字ですか。 ○事務局  はい。そんなイメージで考えています。 ○使側委員  助成策制度そのものについて、どのくらいの助成金が企業にいくとか何とかという、 そのアウトラインはできているのですか。 ○事務局  一応、7頁にございますように、総額の予算としては5億円余りを要求していますけ れども、この育児休業取得促進奨励金については、先ほど申し上げたように、企業内の 委員会の設置であるとか、企業としての基本方針を立てていただいて、具体的に特に男 性の取得者ということになろうかと思いますが、出た場合には100万円の奨励金をお支払 いするというイメージの予算要求になっています。 ○公益委員  児童虐待との関係でちょっと伺います。10頁、11頁です。被虐待児を養育する専門里 親制度というのが今年の10月ころからスタートすると伺っていますが、これはどこに入 ってくるのでしょうか。ちょっとご説明いただけたらありがたいのですが。 ○事務局  専門里親については、9月9日に省令の改正が官報に告示されまして、現在、専門里 親については研修をきちんとやって、それで都道府県で認定をしていただくという仕組 みになっていますので、研修が始まるかなという状況です。  省令そのものの施行は10月からなものですから、実はもう既に14年度予算の新規の予 算ということで、15年度は特に新たに制度をつくるというような仕掛けでないものです から、この予算に載ってないわけですが、私どもとしては被虐待児の先ほど申し上げた 4本柱のいちばん最後ですね、被虐待児のケアという面で非常に重要な施策ということ で、そうした里親になっていただける方の開拓等、これからPRに努めていきたいと思 っています。いま聞いていますところでは、100人を超える方が研修を受けていただけ るような話も聞いていますので、私どもとしてはより積極的に進めていけたらと思って います。 ○労側委員  いまの里親制度に関連して、直接、この家庭局の話ではないと思いますが、自治体に よって大分違いますけれども、里親になるまでの資格を取得するための期間が半年とか 1年間ぐらいあると伺っています。その時に女性が、例えば乳児院に必ず毎日行かなく てはいけないとか、そういうような決まりがあるところも実際にあるらしいのです。結 局、これから男女ともに子育てをしていこうという時に、女性しかそういったことが認 められないということは、やはり非常におかしいと思っております。  それから、0歳児の赤ちゃんを引き取るという時に、半年以上かかってしまいますの で、実際に育児休職を取る時に、これも企業の問題で解決できることかもしれないので すが、戸籍上、実子でないと育児休職が取りにくいという状況の中で、実際には6カ月 の子供とか8カ月の赤ちゃんを里親として預かった時点で、育児休職をきちんと取りた い、または1歳になった時でも取りたいという要望も実際には出ています。確か署名な ども里親の方たちが集めたりしていると思います。将来的な課題として、是非、こうい った点についても見直しと言うのでしょうか、いろんな議論をしていただきたいなと思 います。 ○労側委員  質問でなく多少、意見ということでも構いませんか。概要をご説明いただいた範囲で の意見という限定になりますが、全体の印象として最近、少子化対策ということを更に 推進するというのが全面に出る。それ自体は積極的な動きとして大変理解をしています 。ただ、ここの前文の中でも、その一方で多少、視点として弱まっているというふうに 感じるのが、もちろん子供を持つこと、育てること自体に喜び、大きな価値を持つとい うことが大事であると同時に、両立が可能な働き方が尊重される社会というのも、大変 重要というふうな意見を持っています。そういう見方や、あるいはそれを男女平等の実 現と重ね合わせると、やはりこの前文の中の後段に、子育て生活に配慮した働き方の改 革というトーンではなく、ここも家族的責任と仕事の両立が図られる働き方の改革とい うふうに、同じ意味かどうか。私は違って受け止めている点がありますので、少し男女 平等を実現するということの促進を含めた両立可能な働き方が尊重される社会というの を、打ち出してもらいたいなという感想を持ちました。  具体的には、それを受けた中身というふうに読み取れるところとして、子育て生活に 配慮した働き方の改革というのが出されていますので、具体的にはここをさらに具体化 、あるいは積極的に推進をしてほしいという意見になりますけれど、特に育児休業を取 得しやすい職場づくりのところでは、先ほど目標設定という説明がありましたけれど、 やはり目標に向けて制度を普及するということと併せて、その制度が職場で使えると言 いますか、取ることが不利益にならない。あるいは処遇の上でハンディキャップなどに ならないという、改正育児休業法の中で不利益扱いの禁止が盛り込まれた点も、さらに 積極的にこの項目の中では取り上げていただきたいなという要望を持っています。生む ことを諦めないで働くことに、やはり働きがいなり自己実現を求めたいという、その側 面をこの項目の中では具体的に実現を図ってもらいたいという感想を持ちました。  最後に、均等の確保対策の充実については、これは単純に数字的な比較ですので非常 に狭い見方と言われるかもしれませんが、予算が他の少子化対策の予算の動きと比較し てみた場合でも、均等の確保対策の充実に関して見れば、予算上、減額というふうにな っているというのは若干、気になりますので、そういったものの問題ですべてを駄目と いうふうに見られないよう、積極的に最後の20頁は推進をする必要があるのではないか と思いました。 ○分科会長  それでは大分時間がなくなりましたので、特にご発言がなければ報告事項の2つ目に いきたいと思います。よろしいですか。報告事項の2つ目は、「ポジティブ・アクショ ンのための提言」ということですので、この点について事務局のほうから説明をお願い します。 ○事務局  お手元の資料4をご覧ください。「ポジティブ・アクションのための提言」というの が、今年の4月に女性の活躍推進協議会から出されましたので、その内容についての説 明をさせていただきたいと思います。  男女労働者間に事実上、生じている格差の解消のために企業が積極的な取組、すなわ ちポジティブ・アクションを行うことが大変重要と考えていまして、この推進のために 、まず企業においてその必要性を十分、ご認識いただくことが大切です。それを普及し ていくための取組として、行政と経営者団体とが連携して、そうした場づくりを行って いくのが大切という観点で、実は昨年から女性の活躍推進協議会を設置していまして、 これがまとまったのが、この4月ということです。  このメンバー表は後ほどご覧いただきたいと存じますが、この資料の26頁に参集者と いう形で収録されています。会長は株式会社リコーの浜田会長にお願いをしたものです 。この資料自体が提言書でして、若干、従前のこの手の提言スタイルとは趣を異にして います。資料1頁目をご覧いただくと、通常、ここで「はじめに」とかいうのが出てく るわけですが、ここでは、いきなりある株主総会でのエピソードから始まっています。 役員席に女性が1人もいないことをもって、質問を受けたのに社長さんは答えられなか った。以後、この問題を重視して取り組むことになったといったことが書かれています 。この提言自体、実は多くの方にインタビューを行っていて、そこから上がってきた実 際の声、生の声を随所に散りばめている。それが若干、この提言書の特徴になっていま す。  資料をもう2枚めくって、目次という欄をご覧いただきたいと思います。この提言の 構成ですが、まずポジティブ・アクションの定義の話、その次にポジティブ・アクショ ンの必要性と効果をまとめ、そしてポジティブ・アクション推進のための取組というこ とで、ここでは経営者の取組、あるいはプロジェクト・チーム、人事担当者等々、7つ の立場から、それぞれにおいて何が求められるかということを整理しているわけです。  ポジティブ・アクションとは何かというところは、一応、この場ですから飛ばさせて いただくとして、4頁、ポジティブ・アクションの必要性とその効果ですが、大きく4 つの項目で整理しています。労働意欲、生産性の向上、性にとらわれない公正な評価に より活力を創出するということ。2番目に多様な人材による新しい価値の創造、多様な 個性による新たな発想ということです。これは日本経団連が日経連時代にまとめたダイ バーシティ研究会の考えとも一脈、通じるものがあるのかなと思っています。3番目に 労働力の確保、労働者に選ばれる企業へです。4番目に外部評価(企業イメージ)の向 上、人を大切にするというイメージの獲得ということで、締め括っています。  5頁目以降がポジティブ・アクションの取組を、経営者、人事担当者等々、各々の立 場ごとに整理しています。1番目に挙がっているのが経営者の取組です。重要なところ はグリーンで浮き出して書いていますが、まず成功の鍵は経営者の決断にあるというこ とを記載しています。その上で次の頁に1-3)というのがあります。性別に関わりな く個人の持つ能力を活かすことで生産性が向上することにあるという意義も書いていま す。その下に囲みがありますが、女性の活躍に期待するのは女性の感性が重要だからと 、これは往々にして、いい事例のような形で取り上げられることもあるわけですが、そ こに潜む問題点もここでは指摘しているわけです。  7頁目の上のほうを特にご覧いただきたいと思います。ポジティブ・アクションには 具体的な分かりやすい目標を定めることが大切ということで、なおかつその目標を公表 して、フォローアップしていくことが重要であるということを掲げています。これは後 ほど、プロジェクト・チーム担当者のほうにも出てくる話です。  8頁をご覧ください。ここではプロジェクト・チーム等、推進担当者の取組というの が書かれています。2-3)をご覧いただくとお分かりのとおり、まず現状を確認して 問題点を発見すること。それが重要であるということを位置付けまして、またその問題 点を明らかにして取り組んでいくことが重要な活動ということです。  9頁の2-5)ですが、これが先ほどと同種のことです。ポジティブ・アクションを 効果的に実施するためには、自社の実態を踏まえた具体的な目標、可能なものについて は目標を数値化させて立てていく。そして、いつまでに達成するかという期限を決める ことも大切というふうに記載しています。ただ、この数値というのは必ずしも、例えば 採用、離職状況というものにとどまらず、従業員満足度といったものも含まれていると いうのが、その下にあります。  10頁から12頁が人事担当者の取組です。ここにおいて環境づくりということを3-2 )で謳った上で、人事考課基準の明確化、そして考課者の教育の実施等々、その評価の 問題について取り上げています。評価システムが適正な運用をなされるということが大 変重要だということを謳っているわけです。  11頁の3-5)ですが、ここでは手当制度についても取り上げていて、家族手当、配 偶者手当などの制度が、個々の働く能力と関係なく事実上、男性を優遇する制度運用と なっている場合があるので、そういう場合は見直すことが必要といったことを記載して います。12頁の下のほうには、人事担当者が現場に足を運ぶことが大切ということをま とめています。  13頁から15頁が職場の上司の取組です。4-1)で記載しているのは、最初の決断と いうのは経営者の判断が重要であるとしつつも、実際に直属の上司がどのように関わる かというのが、現実問題として重要だということを記載しています。その上で基本は能 力と意欲のある女性に「権限」と「責任」を与えること。「小さな成功体験」の積み重 ねが重要であるといったことも記載しています。14頁、15頁にも活躍の機会を広げると か、あるいは育児休業を取得しやすい職場の雰囲気づくりといった問題も取り上げてい ます。  16頁が働く女性に対する問題で、働ける時にしっかり働くという意識を持って、それ を行動に示していくとか、あるいは女性間のネットワークの形成も意識しましょうとい ったことを記載しています。  さらに働く男性に向けてです。これについても、どういう問題かということを理解い ただいた上で、ワーク/ライフ・バランスを自らの問題として考えることも重要といっ たことを書いています。さらに6-3)で実際の職場の風土、企業風土を変えるために は、男性の役割が重要であるということと併せて、労働組合のほうにも期待を申し上げ ているというわけです。  19頁ですが、ここがこの協議会と行政の取組ということで括っている、最後の7番目 の立場ということで整理しているものです。この7-1)のところの1行目からご覧い ただきたいと思います。先ほど来、経営者あるいはプロジェクト・チーム等、担当者の ところで明確な目標というのがありましたが、目標というものをどう立てていくかとい うことで、個々の会社が目標を立てる際に、ベンチマークというのをつくっていくこと が大変重要であるということを書いています。あるいは、そのための情報提供というの が重要だということで、さらには会社の顕彰、すなわち表彰制度についての効果的な方 法というものが重要だということで、現在、女性の活躍推進協議会の下にワーキンググ ループを設置し、具体的なベンチマークというものについて更に詳細な検討を進めると ともに、先ほど総務課長のほうから来年の予算として説明がありましたが、ベンチマー クづくりについて具体的な事業が行われるような形での費用を盛り込んで、今、財政当 局のほうに対してお願いをしているところです。簡単ですが以上です。 ○分科会長  ありがとうございました。ただいまの説明について何かご質問がございますか。特に ご発言がなければ最後の議題に移りたいと思いますが、よろしいですか。それでは4番 目の「今後のパートタイム労働対策について」に移ります。事務局から説明をお願いし ます。 ○事務局  担当課長からご説明する前に、この議題のこれからの審議について、一般的なお願い をしたいと思っています。パートタイム労働対策の歴史を少し振り返ってみますと、現 在のパートタイム労働法が制定されたのは平成5年でしたので、かれこれもう10年近く 経っています。この間、法律の効果はどうだったろうかという問題意識が1つ大事かと 思います。  また、パートタイム労働法が制定された時に、施行後の見直しをするということが法 律上、盛り込まれましたので、その見直しの作業を審議会でも行っていただきました。 確かその審議会の審議結果を踏まえて事業主指針、これは労働大臣の告示という形式で 定められていますが、その事業主指針を改正するというので、確か審議会から報告があ ったのが平成10年で、それを踏まえて告示の改正をしたのが11年ということだったと思 います。それから3年有余経たという、これが今日的な時点かと思います。  後で資料に基づいてご説明しますが、この間、パートタイム労働者は大変増えていま す。正社員が減る中で、パートタイマーと呼ばれる方は増えています。またパートタイ マーが従事する仕事の内容も基幹化していて、正社員の仕事がパートタイマーに置き換 わるといった現象も見られているところです。  一方、パートタイム労働者の処遇の実態はどうかということですが、例えば通常の労 働者の平均賃金とパートタイマーの平均賃金を比較すると、この間、賃金格差は残念な がら縮小することなく拡大をしている状況かと思います。  そういう現状を踏まえ、厚生労働省としましては、昨年の3月に研究会を設置しまし た。この審議会の委員でもあられる佐藤先生に座長になっていただきまして、学識者に よる研究会を設置して、非常に精力的なご審議をいただきました。その時の審議会の審 議のテーマは、パートタイマーと通常の労働者の均衡処遇の図り方で、この点に議論を 絞って検討していただきました。この研究会の報告が7月に出されたということがあり ます。そういうことで今回は、この研究会の報告を是非、議論のベースにしていただき まして、これからのパートタイム労働対策のあり方について、ご審議をいただきたいと いうふうに思っています。  今回のご審議の成果は、私どもとしては2つの成果物と言いますか、この審議の中か ら2つのアウトプットを出したいと願っています。1つは、通常の労働者との均衡処遇 の社会的なルールをどうするかということについて、是非、ご議論をいただいて政策の ベースに乗せられるような結論をいただきたいということがあります。もう1つは、厚 生労働省のパートタイム労働対策について、大臣が基本方針を定めていますが、これが 法律施行当初に定めたものがそのままになっていますので、是非、今日的な問題意識に 基づいて、この基本方針を改定をしたい、策定し直したいと思っておりますので、その 基本方針の改定にも参考になるような審議を是非お願いしたいと思っているところです 。  パートタイム労働者の均衡処遇問題というのは、パートタイマーの労働条件と言いま しょうか、そういった労働問題ですので、労働政策審議会の雇用均等分科会でご議論い ただくわけですが、これは単に労働条件問題ということだけではなく、いろいろな問題 の側面があるように思います。1つは、ワークシェアリングの議論が別途政労使でやる 場がありますが、多様就業型のワークシェアリングを促進するという観点からも、大変 重要な議論のポイントではないかと思いますので、パートタイマー労働者の均衡処遇問 題というのは、ワークシェアリングを進めるという、いわば雇用対策にもまたリンクし ている議題だと思います。3つ目には、冒頭総務課長からいろいろご説明をした中にも 出てきましたが、少子化対策との関係で働き方改革を進めようと思っております。育児 期の働き方、あるいは育児が終わったあとの再就職の段階での働き方とパートタイム労 働というのは切っても切り離せない問題であると思います。  そういう非常に多面的な意義を持ったテーマであると思っておりますので、各委員の 先生方、それぞれご多忙の身だと思いますが、これからしばらくの間集中的にこの問題 に取り組んでいただければ大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いい たします。 ○事務局  それでは、私のほうからパート労働対策につきまして資料を基にご説明いたします。  資料6は、パートタイム労働研究会の最終報告です。2月に中間とりまとめができ、 3月の審議会でそれについて説明しております。その後、いろいろ盛り込み、最終報告 を基にご議論をと思っておりますが、これについては追って説明したいと思います。  資料7は、パートタイム労働関係について、いくつかこの間提言が出ております。特 に局長から話がありました均衡処遇に関連したものが中心ですが、まずワークシェアリ ングに関する政労使の合意ということで、この3月に合意されたものの中でも、「短時 間労働者等の働き方に見合った公正・均等処遇のあり方及びその推進方策について検討 を行う」ということとか、この6月に、年齢にかかわりなく働ける社会に関する有識者 会議の中間とりまとめにおいても、我が国の実態を踏まえた公正な処遇の確立が求めら れているということで、パートタイム労働に関するガイドラインの策定などの環境整備 に努めることが必要と言われております。  それから、この7月に出ました雇用政策研究会においても、やはりパートタイム労働 の公正・均衡処遇のあり方に関する検討を早急に進める必要があるということが提言さ れております。  こういったことを踏まえて資料8ですが、これからパートタイム労働対策についてご 議論していただく考え方です。この7月に出た最終報告を踏まえて雇用均等分科会にお いて、新しいパートタイム労働対策の方向について、労使を含めた検討の場ということ で、是非ご議論をお願いしたいと考えております。  その具体的な検討項目ですが、いま局長から話がありました観点から(1)はパート タイム労働者と正社員の賃金等の均衡処遇ルールに関してです。(2)は、短時間正社 員制度、パーの能力開発、就業支援等といったようなことで、基本方針に結び付くよう な議論をということで、(3)その他と併せて、その他パートタイム労働対策に関係す る諸問題について議論をしていただけたらと思っています。  このスケジュールですが、資料9でなかなかタイトですが、月2回のペースで、でき ましたら年内をメドに何らかの形のものをまとめていただけたらと思っています。この1 2月メドというのは、政労使ワークシェアリングのほうでも、そういった多様就業型の ワークシェアリングについて年内にまとめるというものとの進行状況を見ながらという ことです。9月はこういった検討の進め方、パートタイム労働の現状について議論して いただき、その後、具体的な論点で議論していただき、あとのほうでパートタイム労働 対策の今後の方向についてまとめる方向で議論していただけたらということでの案です 。  こういった形で進めていただくに当たり、まずパートタイム労働の実情、現状につい て若干時間をいただき、ご説明したいと思います。  資料10です。これはパートタイム労働研究会の最終報告で、最初のほうは現状分析し ております。そこの部分と資料番号も振っていない「パートタイム労働者総合実態調査 の概況(平成13年概況)」というのが配られているかと思います。この総合実態調査の 概況というのは、本日の午後、先ほど公表されたばかりのもので、それも交えた形で、 パートタイム労働の実情ということで説明したいと思います。  資料10ですが、若干いろいろな統計資料を交えておりますので、これらの資料によっ て、パート労働者の定義が違いますので、そこの部分の定義が3枚目にまとめてありま す。後ほど参考にしていただけたらと思います。それでは、中身に入っていきたいと思 います。  まず最初は、パートタイム労働者の増加の状況ということで1頁の図表1−1です。 ご案内のとおり、短時間雇用者は増加し、平成13年では1,200万人を超え、雇用者総数 の中で、短時間雇用者は2割を超え、女性雇用者の中で短時間雇用者の占める割合は4 割近くとなり、さらに女性のパートタイム労働者は829万人ということで、短時間雇用者 の中で女性の占める割合は約7割という状況です。  こういった形で増えているのですが、2頁でこの増え方の傾向が若干最近変化が見ら れます(図表1−2)。今までは景気後退期で見ますと、正社員の増加が続き、非正社 員がバッファーとして抑制されるという形で調整されてきたわけですが、平成9年から1 3年にかけては、逆に初めてのパターンですが、正社員が男女合わせて170万人減少する 一方で、非正社員が200万人増加するということで、パターンに変化が見られています。  3頁の産業別等の状況ですが、卸売・小売業、飲食店、サービス業、製造業の3業 種に8割以上が集中しています。企業別で見ますと、1〜29人の所に約4割集中してお ります。職業別の構成で見ますと、サービス、販売、事務といった所に多く、合わせて 7割弱ということです。  これを変化で見たのが、4頁ですが、産業別で見ますと、同じように卸売・小売、飲 食店、製造業、サービス業で増えているのですが、特に卸売・小売、飲食店では比率も 高まっており、約3人に1人がパートタイム労働者という状況になっています。  企業規模別で見ますと、左側の1,000人を超える大企業で、平成2年は7%弱だった のですが、平成13年では、パートタイム労働者の占める割合が2割弱ということで、約 3倍に増えているという状況です。  5頁は職業別短時間従業者比率ですが、特に保安職業、サービス職業従業者、労務作 業者での上昇が著しく、比率も高くなっております。  こういった増加の背景ですが、6頁です。需要側の要因としてパートタイム労働者を 雇用する利用事業所に聞いたところ、いちばん多いのは人件費が割安だからというコス ト要因で、平成7年と比べると平成13年で65%という形で増えています。  図表の1−8ですが、こういった形で増えたパートタイム労働者に対して、正社員が 行っていた業務に当てたかどうかを聞きますと、ほとんど、または全く当てなかったと いうのが3割を超えてありますが、半分以上の労働者を当てた、正社員が行っていたこ とについてパートタイム労働者にも仕事を大体させたというのが3割弱あります。  もう1つ別の要因として、図表の1−7に戻りますと、人件費要因のほかに、一時的 な繁忙に対処するとか、1日の忙しい時間帯に対処するといったサービス経済化の進展 の中で業務の繁寡への対応、営業時間延長の対応といった業務変化への要因も多い面が あります。  それから、7頁の働いている側、供給側の要因です。いちばん多いのは「家計の足し にするため」ということで、平成7年と比べてもあまり変化はありませんが、「生活を 維持するため」が47%で、平成7年と比べて増加しており、かなり高くなっています。  そういったパートタイム労働者としての「働き方を選んだ理由」ということで聞いた のが8頁です。いちばん多いのは「自分の都合のよい時間に働きたいから」、次いで「 勤務時間、日数が短いから」「仕事の内容に興味が持てたから」というもので、時間的 な自由度を積極評価するものが多いのですが、4番目に、「正社員として働ける会社が ないから」も、平成7年の13%から平成13年は21%と高くなっております。  これに対して、図表の1−11ですが、「今後の就業継続希望」ということで聞きます と、「パートで仕事を続けたい」が多く、「正社員になりたい」が15%で、かなり違い がありますが若干変化が平成7年と比べると見られます。  9頁ですが、こういった中でパートで働く方には1つのパターンとしては女性の就業 があって、特にM字型の後半部分の山と関連しての働き方があるかと思います。これに ついて高学歴女性と仕事に関するアンケートで、30歳代の再就職を希望する高学歴女性 に、希望する就業形態を聞いたのがこの調査です。これによりますと、当面はパートと して働きたいという希望が多いのですが、下のほうは長期的に見るとということで見ま すと、パートとして経験を積んだあとや子供の進学後に正社員に移行したいと考える者 が結構多くなっています。  次にこれを年齢別に見たものが10頁です。年齢別にパート比率の変化で見ますと、男 女ともどの年齢層でも生じていますが、特に男女の傾向で見ますと、男女ともに若年層 の上昇と60歳以上の上昇が大きくなっています。  女性で見ますと、45〜59歳層が多くなっておりますが、パートで働いたあと正社員と いう希望を持っていても、なかなか正社員への移行の機会なく、こういう結果になって いるのかと思われます。  若年層と高齢層についてですが、11頁で若年層の状況を見てみたいと思います。「新 規学卒者の入職比」で、上のほうは女性ですが、平成12年で新規学卒で女性の2割、5 人に1人という状況です。下が男性で、男性の16.3%、6人に1人がパートで入職して います。これにはいわゆるフリーターの増加現象とも関連してくるわけですが、それは 若年層の意識変化もあるのでしょうが、正社員としての就職機会が制約されていること も影響していると考えられます。  さらに12頁ですが、大都市圏の高卒者でこの傾向が顕著です。特に男子について見ま すと、1989年〜1992年でパート・バイトで就業した者は2割弱だったのですが、1997〜 2000年卒の者について見ますと、5割弱という状況になっています。  13頁が高齢者の状況です。55歳以上の高年齢者について適当な仕事が見つからなかっ た理由について聞きますと、特に、「今までの技能、経験を活かせる仕事がなかった」 が、男性、女性ともに多くなっています。さらに「適当な仕事がみつからなかった者の 希望する仕事」ということで聞いたのが下で、男性で60歳以上、女性については、その 年齢層すべてについてですが、「短時間勤務で雇われたい」という希望が出ています。  こういった傾向で見ますと、短時間で、無理なく、しかも今までの技能、経験を活か せる仕事を希望するという高齢者が多いことが見られるかと思います。M字型後半の女 性、高齢者、若年の方たちの中で、パート、働く人たちが増えているわけですが、こう いった方たちの能力をいかに活かしていくかということも、これからの課題ではないか と思っています。  14頁は、このように増加してきたパートタイム労働者の働いている実態ということで 、本日出ました「パートタイム労働者総合実態調査」から働き方の状況の資料をいくつ か拾ってみました。1週間の出勤日数で見ますと、5日が過半数を超えています。週の 平均で言うと、4.7日ということです。1日の所定労働時間で見ますと、5、6時間が 22.5%で、その次は6、7時間というのも2割を超えています。  所定外労働の状況を、調査年の平成13年の9月の所定外労働の状況で見ますと、所定 外労働を行ったパートの方は3割を超えています。  15頁は、一般労働者とパートタイム労働者別の離職率を見たものです。パートタイム 労働者の離職率は男女ともに一般労働者と比べ高くなっていますが、この離職というの は自発的な退職、そのほかに雇い止め、解雇といった事業主側からの理由を合わせたも のです。  16頁は、パートタイム労働者の雇入れ時の状況で、労働条件の明示ということです。 この前の見直しのときに文書で交付という制度が改正されましたが、その影響もあって 、労働条件の明示方法については、「主に口頭で説明している」が減って、その分、「 労働条件通知書を交付している」、そういう文書での通知が増えています。  「就業規則の有無とパートへの適用の有無」で見ますと、事業所に就業規則があるう ち、パートに適用されているのが7割という状況です。これを全事業所の中で、パート に適用される就業規則がある企業の割合で計算しますと、62.8%ということで、(参考 )にあるように、平成7年のほうでは、パートタイム労働者に対する就業規則の整備状 況で、「パートタイム労働者に就業規則を適用している」が66.2%ですので、若干落ち ていると読めるかと思います。  17頁です。勤続期間別で見ますと、いちばん多いのが1〜3年が28%ですが、10〜20 年にわたるものも若干増加し、平均勤続年数は4.6年から4.9年と伸びています。  雇用契約期間についてが図表2−8ですが、「雇用契約期間が決められていた」とい うのは44.3%と増加しています。  雇用契約更新についてですが、現在、勤務している会社で契約を「更新したことがあ る」が85.5%、そのうちの更新回数は5〜10回がいちばん多く、28.8%で、平均更新回 数で見ますと、平成7年では9.5回が7.8回ということで、若干減少しています。  18頁ですが、今まで見てきましたように、パートのウエイトの増大に伴い、従来正社 員が行っていた仕事をパートが担うことが起きていることも、先ほど資料の中で説明し ましたが、同じ仕事をしている正社員がいるかを、事業所、正社員、パートに聞いたも のです。これが統計によって、答える側によって回答が違っていますが、いちばん少な い正社員側の回答においても、「多数いる」「少しいる」といった形で4割近くのもの が重なっている部分があるということで答えています。  正社員と同じ仕事をしているパートが携わっている職種では、事務が5割強で多くな っています。  19頁でこれを3年前と比べて、正社員と同じ仕事をしている事業所が増えているか、 減っているかを聞いたところ、大幅に「増えている」が4割で多くなっています。これ を「パートタイム労働者総合実態調査」で、正社員と職務・責任が同じパートタイム労 働者がいるかということで聞きましたところ、4割で「いる」と答えています。若干数 字が違うのは、職務が同じ、責任が同じということで、両方重ねて聞いており、数字が 調査によって違う面があります。  またそれを別の角度から聞いたのが20頁です。責任の重さ、配転・転勤などの取り扱 いも含めて、同じ仕事で、かつ転勤・配転、休日出勤、残業なども含めて、同じような 実態にあるというパートの割合4、5%という調査結果が出ています。  21頁ですが、こういった形でパートの方たちが基幹的な仕事をしている中で、役職に 就いている者が11%で増えています。特に、その中での比率で「その他」が過半数を占 めていますが、この分類に載らなかったものの1例として、22頁に、東京都の外食産業 に関する調査で、パートの人材開発と活用について聞いた調査があります。そこでリー ダーパートを聞いたところ、4割弱でそういった存在がいる。どんな業務をしているの かを聞きますと、店全体とか部門で時間帯の責任者が多くなっています。こういった形 で、ある時間帯で責任を持ってやっているというのも、1例として「その他」の中に含 まれるのではないかと思います。  23頁ですが、同じ東京都の調査で、「店長がパートに今後期待したい業務」というこ とで言いますと、サービス、顧客対応全般の統括というのが多くなっており、パートに 基幹的な仕事を担ってもらうことを期待しているということがあります。  24頁です。このようなパートの基幹的役割に対して期待される、また実際に増加し ている中で、処遇面がどうかを見ていきたいと思います。24頁の図では、一般労働者と パートタイム労働者の1時間当たりの給与額の差を見ますと、女性は7割弱、男性は5 割強です。この傾向を見て、格差の推移では拡大傾向が見られるかと思います。  格差の拡大要因としていくつか考えられるわけですが、25頁で見たのが職種による構 成がパートと正社員で違うから、その影響があるのではないかということです。パート については販売員、スーパーのチェッカーなど賃金の低い職種のウエイトが多くなって いるので、これが影響しており、この職種構成を正社員に揃えて推計すると、正社員の 約8割の水準で、やはり職種構成の影響も考えられます。  26頁は、賃金格差の要因の1つとしては就業調整の影響もあるのではないかという議 論があり、それを見たものが図表4−3です。年収で見たものですが、90〜100万円未 満の辺りを全部足し合わせて100万円未満とするものが37.6%いるという状況です。平 成7年と平成13年で若干違いがあります。平成7年では90〜100万円未満女性で20%と 多く、平成13年では、女性が90〜100万円と100〜110万円に分かれていますが、平成7 年に基礎控除の額が35万円から38万円に変わり、所得税の課税も100万円から103万円に 変わったという辺りの影響が出ているのではないかと思います。平均年収額は121万円 という状況です。  パートの方に「年収の調整をしているか」と聞きますと、平成7年に比べ、平成13年 は減っていますが、やはり2割を超える者が「調整している」と答えています。  その状況は27頁で就業調整をしている労働者にその理由を聞きますと、「自分の所得 税の非課税限度額を超えると税金を支払わなければならないから」というのが7割で多 くなっています。  賃金格差のあと、別の要因としては28頁ですが、時短の影響も考えられるという議論 があります。正社員の場合、月給制が多いので、月給を一定の下で時短を実施した場合 、時給換算した賃金が、結果的に上昇して時給のパートと比べると、格差が拡大すると いうことで、労働時間を調整したのが図表4−6です。格差はこれで調整すると、5% 程度少なくなることが分かるかと思います。  29頁ですが、こういった格差に対して、そのほか各種手当、制度の実施状況でどのよ うな違いがあるかを見たものです。平成7年の調査と比べて、能力活用制度の実施割合 は、若干増えていますが、各種手当の実施割合は若干減っていますし、特に定期昇給、 ベースアップ、賞与、昇進・昇格の実施割合が減っているという状況です。  図表4−8は、年次有給休暇についてですが、「与えている」が平成13年では若干増 え、6割を超えています。  30頁は、こういった格差がある中で、いまの会社や仕事に対して不安、不満などをパ ートタイム労働者に聞いたものです。「不安や不満がある」と答えた者が平成7年の41 %に比べ、平成13年では54%と増加しています。特に、その中では「賃金が安い」が5 割を超えているという状況です。  31頁ですが、こういった処遇格差の背景には、正社員とパートが属する労働市場の違 いがあるということで、正社員というのは、いわゆる内部労働市場で長期的視点に立っ たキャリア形成が行われて、能力向上に応じて賃金が上がるという仕組みです。一方、 パートは一般的に補助的で、代替可能な仕事ということから、地域の相場に応じた賃金 の色彩が強く、経験が評価されにくいという状況があって、こういったことから正社員 とパートの勤続年数別の賃金の動きを見てみました。やはり採用時の賃金差もあります が、勤続年数を重ねたときの賃金の上がり方の違いが顕著に見られます。  32頁ですが、こういったことで就労期間が長くなるにつれ、短時間労働者の納得度で 言うと、賃金格差や納得できないという不満が高まる傾向が見られます。  33頁です。もう少しパートの賃金の決め方について見たいと思います。図表4−12は 、採用時の賃金決定ですが、「同じ地域・職種のパートの賃金相場」が7割弱で圧倒的 に多くなっています。  正社員との賃金差がある場合の理由を聞きますと、「賃金額に差がある」が83.7%で 、そのうち「職務内容が違うから」「責任の重さが違うから」が6割を超え、「勤務時 間の自由度が違うから」も45%あるというところです。  34頁は、「昇給に際して考慮されること」で、いちばん多いのは「能力の向上に応じ て」で、平成13年には5割を超えるように増加し、2番目に多い「経験年数に応じて」 は5割弱です。この順番に関しては平成7年とは逆転し、能力を中心に見るという状況 も出ています。  図表4−15は、こういう現状でパートタイム労働者が、今後どのような仕事を希望す るのかに関しては、「今と同じ仕事がしたい」が平成7年と比べると、若干減少してい ますが、4割弱でいちばん多い。ただ「教育訓練を受けるなどして、技術・技能・資格 を活かした仕事がしたい」も17%で増えてきているという状況です。  35頁では、パートタイム労働者から正社員への転換制度について聞いたものについて は、平成7年とあまり変化がありませんが、「転換制度がある」が46%という状況です 。  次の図がパートタイム労働者と労働組合について見たものです。「会社にパートが加 入できる組合がある」が29.3%で、その中で「実際に加入している」が17.9%です。そ ういったことから組合に加入しているパートの割合を計算しますと、パートタイム労働 者総合実態調査で聞いたパートタイム労働者が分母となっていますが、組合に加入して いるパートは1.2%で、(参考)にある平成7年で加入している4%よりは若干少なくな っているという状況です。  36頁ですが、パートタイム労働者の労働組合員がいる労働組合について、その労働組 合の割合は14%で、規模による傾向はあまりよく見えないのですが、業種で見ますと、 卸売・小売、飲食店では、約3割でパートタイム労働者の労働組合員がいる労働組合が あります。そのうちパートタイム労働者に労働協約の全部、または一部が適用されると いうのは、全体で見ると、約8割という状況です。  37頁ですが、このような現状の中で労働市場のアンバランスも問題になってきており ます。パートが基幹的な役割を担う働き方をして、パートと正社員で処遇格差があると いう状況では、コスト削減が求められている企業にとっては、正社員を極力絞って、パ ートなどの非正社員で対応するという動きをより一層強めることになり、求人倍率で見 ても、パートは1より多く、求人強化という状況であるのに対して、正社員のほうは1 を大幅に下回る求人不足状態が傾向として見られます。  38頁ですが、こういった状況の中でパートについて主な生活の収入源について聞きま すと、「主に配偶者の収入で生活する」がいちばん多いのですが、それでも平成7年よ り減っており、それに対して「主に自分の収入で生活する」が3割弱となり、増加して おります。母子世帯や非自発パート、夫が失業している世帯での妻のパート就労といっ たケースがここでは考えられます。  最後の頁ですが、こういったパート等の多様な働き方の拡大は、フルタイム制社員の ウエイト低下とともに進行しており、パートタイム労働を巡る諸問題については、ます ます正社員を含めた労働市場全体に波及する問題となるという状況です。フルタイム正 社員とパート等非正社員という二者択一ではない形でフルタイム正社員の働き方の中で も多様な選択肢を組むことが必要ではないかということが、パートタイム労働研究会の 最終報告でも述べられているところです。  そういう観点から報告書が提起しているのが、「雇用システムの多元化」という概念 図ですが、この三角がイメージで、上のほうに行けば行くほど一般的に仕事が難しくな る。残業、配転など拘束性が強くなり、それの見返りとして賃金も高く、雇用保障が強 いというものです。上のほうの図では現状で、パートの仕事が右下から上のほうに広が っていますが、そういった形で仕事の難易度が高くなるにもかかわらず、明らかに処遇 面では見劣りがするという状況で、ますますパート化が加速する状況になっています。  これに対して下のほうの図は、上から下にかけて、当然働き方、仕事の難易度は変化 するのですが、それぞれのレベルにフルタイムとパートという壁を作ることなく位置づ けて、仕事の難易度など、同じレベルにあるフルタイムとパートでは、処遇の均衡が図 られるというイメージです。こういう仕組みになりますと、フルタイムとパートタイム との間で働きに応じた処遇が確保され、実態に見合わないパート化の加速も少なくなっ てくるでしょうし、また処遇の均衡がとれ、フルタイムとパートタイムの間の行き来と か、そういった動きが可能になることが提起されて、新しいルールが報告書においては 提言されているわけです。以上、若干長くなりましたが、現状についての説明をさせて いただきました。 ○分科会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、ご質問、ご意見がご ざいましたらお願いいたします。 ○労側委員  佐藤座長はなかなか言いにくい面もあるのですが、大変ご苦労さまでした。そこで、 局長から研究会報告が出て、それをベースにと言われました。厚生労働省が出している ウィメンズド・ワークというところも、パートについての記入を紹介しており、何か結 論が出ている言い方、こんな方向だというのが出されているわけです。  先ほど局長が言われたように、平成3年にパート法ができて、その節々でいくつか当 分科会、あるいは労政審等で検討された経緯があって、今日に至っています。そういう 意味では私も初めての分科会ですから、過去の議論はあまり承知していないのですが、 いずれにしろ、いま実態報告もあったように、かなり総合的に、かつ、抜本的な議論を この時期にしておく必要があるのではないかという認識を持っているわけです。したが って、研究会報告ももちろんいろいろな角度から研究されていますし、法制のグループ 、ワーキングチームを作って出ていますから、大事な要素だと思いますが、いずれにし ろ、当分科会として、この10年間の処遇格差の現状、あるいは下回っている場合もあり ますが、なぜなのということとか、研究会の1回から22回までの検討経過が出ています が、諸外国のパートタイム労働の実態などはありますが、現行のパート法そのものが、 どういう役割を果たしてきているのかというのは、どこで検討されたか分かりません。 それからILO条約等の観点から見たときに、特にパート条約及び家族的責任条約など の面からのアプローチがどうであったのか。少し私どもとしては欠けている面がありは しないのかということがあります。  したがって、そういう意味で1つ言いたいのは、12月16日までの検討は示されており 、年内という気持は十分分かりますが、あまりこだわらずに、深く議論していただきた いというのが第1点です。  2つ目に、検討項目の中のルールのあり方という捉え方、先ほど言われた予算にも入 っていますが、周知というか、これはガイドラインを指しているのかと思いますが、ガ イドラインの指示に従いましょうということですが、ルールというが、私自身の認識は 、現行のパート法があり、それは確かにあそこにおける行政指導タイプの1つの法律で すが、ここでいうルールというのは一体何ぞやということです。ある意味では、研究会 報告にも出ているように、いまのパート法をどう見て、どう改善するか、見直すのかと いう議論も含むルールなのか。その辺の認識を統一しておかなければまずいと思います 。私は法改正の議論も必要があるかどうかも含めてすべきだと思います。  もう1つは、先ほどの実態報告でも、契約期間が1年未満、20年、回数の有期の問題 がが出ています。パート問題と有期問題は切り離せない問題だと思います。研究報告も 雇用安定と言っています。雇用安定と言うときに、有期問題と絡んでいると私は認識し ていますが、当分科会は基準法の話は難しいのではないかという返事が返ってくるよう ですが、これはやはり避けて通れないと思います。もちろん、基準法の改正というのは 労働……分科会なのですが、我々はそういう角度からもう1度議論する必要があるので はないかということも含めて、ルールという理解の仕方をどのように考えておられるの かということです。  もう1つは、研究会のメンバーで、いろいろな方々にご意見を聞いている場面があり ますが、これはたぶん分科会に報告しますということになっていませんから、研究会の 際に聞いたと、当分科会も労働者なり使用者の意見をどのように考えているか、検討項 目がお互いに確認できれば、それについて労使の意見を聞く場もあっていいのではない かという感じがします。  このスケジュールを見ますと、第3回目ぐらいから「パートタイム労働に係る論点に ついて」となっていますが、研究会の検討は我々労使が入っておらず、専門家だけで、 伊勢丹の方は入っていますが、経営者ではないと聞いていますから、専門家だけの研究 会です。そこで議論された論点は何だったのか。最終報告を見れば分かると言いますが 、正社員の処遇をそのままにしていいのかどうかという論点もあります。  もう1つは、多様型の労働法制のルールと……就労はセットではないと言っています が、一方では規制緩和をどう進めて、こちらはルールというのは曖昧です。それは論点 は何だったのか、そういう研究会での論点は何だったのかを、組織に紹介してもらうと 議論が非常にしやすいのではないかと思います。公開とまでは言いませんが、研究会で どんな議論、論点があったのか、先ほどベースとおっしゃったので、それでこういう判 断を下したというその辺の議論の進め方について、少し注文を付けておきたいと思いま す。 ○事務局  まず最初の深く議論していただきたいという話については、おっしゃるとおり、基本 方針も含めてという観点からですので、先ほど言いました資料8にありますが、そうい った意味では労側委員が言われた観点からいうと、何か限られているかのように思われ るかもしれませんが、(2)、(3)はそういった意味で広く議論をしていただき、そ れで基本方針を作る上での参考にさせていただきたいと考えております。  2番目のルールのあり方についても、あり方ということは別にこちらで何かイメージ を持ってというものではなく、研究会報告の中でも法的にどのように考えていくのかと いったことがありますので、それを参考にしていただいて、そこのところを逆に労使が おられるこの審議会でご議論していただけたらと思っています。  有期との関係ですが、資料の中でもありましたが、そういった実態とかかわっている 部分に関して議論が出てくるかと思いますが、本分科会では短時間労働者の福祉に関す る重要事項について審議するということで、一義的に有期ということで、それがパート タイム労働者だけでなく、全体のすべての労働者にかかわる問題ということであれば、 それは労働条件分科会のほうが検討する話になりますが、パートの実態という中で、こ ういった観点があるのではないかということなら、議論を出していただいて、これはこ ういう観点から整理していこうという形で考えていけばいいのかなと思っております。  4番目の意見聴取ですが、限られた時間という言い方も何ですが、こういった中で、 どういう労働者から意見を聞くか、また使用者団体の方から聞くのかといったことにな りますと、この場でヒアリングというよりは、いくつかの審議会においては意見を広く 公募するやり方もあるようですので、意見公募という形で広く募集するやり方を考えて みたいと思っています。それについては、もし意見公募でいいということでしたら、次 回、こちらでどういった形で意見公募をするのか、このスケジュールとの関係も併せて ご説明して、ご了承いただくという形です。ですから、審議会に対する意見公募という ことを考えてみたいと思います。  最後に研究会での論点を紹介してほしいという話ですが、これについても研究会のこ とをベースにしますので、その中身について議論している中で研究会ではこういう議論 、こういう議論があった中で、最終的にこういう報告になりましたという考え方で紹介 させていだきながら、議論を深めていきたいと考えております。 ○公益委員  研究会報告をベースにということですが、私の理解は分科会でどういう検討項目を中 心にこれからのパートタイマーの対策を考えていくかということが、ある程度合意でき たのです。例えば、均衡処遇ルールのあり方を検討項目1つというように取り上げたと きに、そのことについて研究会報告で議論している場合、是非まずそこから議論してほ しいということです。検討項目で挙げられることが、研究会報告で議論してないものが 当然あると思います。その場合は無理です。私がいるということだけではなく、かなり 専門家の意見を聞いて作ったものですので、研究会報告で扱っているテーマであれば、 まずはゼロから議論するのではなく、研究会報告をまず議論し、それで足りないことも もちろんあるかもしれません。ですから、これから出る議論をするなということではな いと思います。まずは研究会報告で取り上げたテーマを、ここの分科会で取り上げるの であれば、是非これを出発点にして議論していただけると、いろいろな意味で効率的な 議論ができるのではないかと私は理解しています。 ○使側委員  佐藤先生のこ意見があったのですが、使用者側としては、初めてここで説明を受ける わけで、審議会としては基本的には議論をゼロからスタートすべきであると私は考えて おります。  いまたくさんの資料をご説明いただいたのですが、パートタイム労働者についての現 状認識についてもかなりの意見の相違があろうかと思います。かなり審議の回数も必要 になってくるのではないかと思いますので、後ろのほうをどのぐらいで切るかというこ とを予め限っておくのはいかがなものかと私としては考えております。 ○公益委員  審議ゼロは、まず素材として取り上げてくださいということです。それで使用者側と して反対だという意見は当然あるだろうと思うのですが、何もない所で議論してくださ いというのは、時間の無駄かなと。まず素材として研究会報告で議論されていれば、そ れをまず経営側としてかなり違うのだとか、組合は違うのだという議論から始めるほう がいいと思います。何もない所から議論するということでは、これまでの議論が無駄で はないかということなのです。つまり、これが受け入れられるかどうかを議論してくだ さいという意味で、これをベースにと私が言ったわけではないので、その辺をご理解い ただければと思います。 ○公益委員  パートタイムの労働問題というのが、先ほどのご説明の中から大変重要な労働問題に なって、それがパートタイム労働だけではなく、フルタイムの労働にも影響するような 位置づけを持つようになってきて、そういう状況の中でパートタイム労働をどのように 方向づけるのか、あるいはパートタイムの動向ということをきちんと考えましょうとい う気運が上がってきたのだろうと思います。もともとパートタイム労働の問題の特に均 衡処遇の問題は、パートタイム労働法のときから課題としてあって、それが重要な問題 であるという認識はあったが、それほど深くそれにかかわるということはパートタイム 労働法の範囲ではできなかった。労使の合意というようなこともあったのでしょう。パ ートタイム法改正にあたっても、結局それほど均等問題については深く突っ込んだ議論 はなされなくて、その代わり、このパートタイム法改正にあたって、あとの建議の中で 改めてパートタイム均等処遇に関して労使が知恵を出して、この問題についての具体的 な方策について、何らかの建設的な案を出すようにという建議が出されているこれまで の経緯があったのだろうと思うのです。  そういう認識の上に立って、パートタイム労働に関して、今回の研究会の報告書はそ うした要請を受けて、具体的にパートタイムの均等問題を検討した結果、これまでそれ ほどいろいろ課題に上がりながら、いかにパートタイムの均等問題が難しい問題であっ たかということの証しでもあるわけです。それはパートタイム労働者側にとってもこの 問題は非常に重要な問題であり、「均等」というのは、ある意味では所与のような、誰 も疑問の余地を挟むものではない、非常に高い価値のあるものだけど、具体化するとい うレベルになると、なかなか詰めた対策を労働側も打ち立てられなかった。  使用者側も、企業の経営の側に立つと、現実的な問題として均等処遇というものは非 常に非現実的な労働側からの主張のような形で、却下するという姿勢を取らざるを得な い状態できたのでしょうが、先ほど課長からいろいろなご説明があったように、労働状 況が大きく変わってきて、この均等問題はその建議で言われるまでもなく、使用者側に も、労働者側にとっても避けて通れない問題だと。でも、具体的にはなかなか難しい問 題なのだから、労使が知恵を出して、具体的な雇用管理のルールを確立すべく、何らか の方策を立てなければいけないという、いままでの経緯があったのだろうと思うのです 。  そういうことで、いろいろな労働省の起草的な準備に基づいて、これまでのそうした 労使の、あるいは法律のいろいろな体制、手続を踏まえたうえで、現状で具体的なパー トタイム処遇を改善すべき方策として、こういうものが打ち出せるのではないかという 形で、今回初めて具体的なレベルで、一般的に均等などというものではなくて、具体的 な均等の実現へ向けての方策として、こういうものはどうでしょうかという1つの提案 を研究会がしたのだろうと私は理解しているわけです。佐藤座長は責任者なので非常に 謙虚なのですが、それを題材にというのを超えて、やはりこれは1つのパートタイム労 働についての、さらに均等問題を議論していくうえでの基礎的な資料というか、そうい うこれまでの議論を踏まえたうえでのベースになる資料と言うべき出発点として位置づ けていいのではないか、という理解をしているのです。 ○労側委員  これから議論を進めていくにあたって、1つだけ確認をしたいのです。この最終報告 の中の最初の「パート労働の現状と問題点」でも書かれているのですが、いわゆる短時 間労働者でない者は、これまで「疑似パート」とか、いろいろな言い方をしていました が、そこの方たちについても視野に入れて検討するということで、この報告書は書かれ ていると受け止めたのですが、前回のパートタイム調査研究会のときには、この疑似パ ートの問題はむしろ外されて、いわゆるパート労働法で定義を付けられた「短時間」と いうことに絞った議論という形だったと思うのです。今回の議論は幅広くというか、こ ういった短時間ではない方たちも含めた議論をしていくということでよろしいのでしょ うか。その確認をさせてください。 ○事務局  基本的にはこの分科会は、短時間労働者の福祉に関する重要事項ということで、ここ で言っている「短時間」は、実際の通常の労働者の方と比べて本当に短い方についてに なります。ただ指針などそのほかで疑似パートの問題も出ておりますので、そういった こととかかわっては出てきますが、中心になる部分としては、やはり短時間労働者とい う「短時間」に着目した部分となると考えています。 ○事務局  何人かの委員の先生方のご発言を聞いて、課長からご説明申し上げましたから、重複 しないように感想を少し申し上げたいと思います。「研究会報告を審議のベースにして ください」と私からもお願いしましたのは、佐藤委員の2回のご発言や、公益委員のご 発言で尽きているのですが、もちろんこの研究会報告の具体的な内容について、議論も せずにここで合意ができたということを前提に議論を始めましょうということを申し上 げているわけではありません。  ただ、この研究会は専門家に確か22回の時間をかけてやっていただきましたし、単 に理論的な審議にならないように、その間並行して、労使の代表あるいは個別の企業の 方に確か10回ぐらいヒアリングもやりました。並行してパブリックコメント的に外部の 方からの意見を頂戴したり、また研究会で実態調査を設計してアンケート調査をやった りと、大変手間暇をかけていただいて、実態に即した今後の検討のあり方ということで ご議論いただいた、そういう意味では非常に貴重な審議資料だと思っております。そう いう意味で、この審議会で是非検討のベースにしていただきたいということを申し上げ たわけです。  2点目は、研究会の論点を明らかにしてほしいという労側委員のお話がありました。 個別の論点については課長から申し上げたように、そういう議論にこの審議会の議論が なった時々に、研究会にリファーしていただければと思いますが、全体を通じてこの研 究会の特徴は、私は3点あったと思っております。  1つは、正社員の働き方や正社員の処遇のあり方自体を見直す中で均衡を図ろうとい うことです。ですから、いまの正社員の働き方、正社員の処遇のされ方を当然の前提と して、それにパートタイマーの処遇を合わせるという均衡の図り方ではなくて、正社員 の働き方自体も多様化しようという、先ほどの課長の長い説明資料のいちばん最後にあ った概念図ですが、そういった雇用システムが全体に多様化する中での均衡を図ろうと いったことが、大変大きな論点の1つだったと思います。  2つ目は、そういう就業形態の多様化が望ましい形で広がっていくためには、1つに はもしその多様化を制約しているようなことがあれば、その制約は取り除かないといけ ない。そういう意味で労働市場の規制緩和というか、労働市場改革はやらなければいけ ないということだと思いますが、それと併せて多様な就業形態の間における公正なルー ルは何かということを確立しないといけないということが論点の2番目だと思います。  そして論点の3番目は、均衡処遇というものは何かということについて、ヨーロッパ に先例はありますが、やはり日本の労働市場や日本の個々の企業の雇用管理の実態を踏 まえた均衡処遇ルールというものは、ヨーロッパ型の同一職務同一賃金というルールそ のままは当てはまらない。日本の実情に当てはめたルールは何かということを具体的に 提言していただいた。以上3点が、研究会の主な論点だったのではないかと思います。  最後に審議のスケジュールについて、何人かの方からご注文がありました。結構委員 の先生方は様々なご意見をお持ちだと思いますので、簡単に年末までに議論が集約でき るかどうかということは、議論を始めてみないとわからないということもありますが、 1つには政労使のワークシェアリングの会議で、12月をメドに、その時点で何が合意で きるかということで、1つ議論を区切ろうということになっていますので、そのことと の関連もあります。また、もちろん1カ月、2カ月議論が延びるということはあるいは あるかもしれませんが、それほどエンドレスに議論をするということなく、今回どこま で合意できるかということを集中的にご審議いただきたいという気持で、とりあえずは 年末をメドにということをお願いした次第です。 ○労側委員  課長から実態把握の報告があったのですが、どういう扱い方をするかは別にして、公 務労働の臨時非常勤が、これもまたものすごく増えているわけです。まさにパートです 。ですから、どういう実態なのか。法的な谷間にあるといま思っているのですが、対象 外となっているのか。事実35万人、40万人いると言われている中で、これはやはり当分 科会として、実態がどうなっているかという把握ぐらいはしていくことも必要なので、 全く実態が出てこないものですから、そこは何かデータ的に出てこないのか。 ○事務局  厚生労働省の所管ということで言うと、こちらでそういうものの実態把握の術がない と言ったらあれですが、総務省なり人事院なりといった所からのご協力をいただかない と、そういったデータについても持ち合わせていませんので、それについては検討させ ていただくというか、相手がある話ですので。それからまたそれがこちらの審議とどう かかわるのかと、その辺の整理も必要かなと思います。 ○労側委員  1997年の審議に委員として参加させていただきましたので、先ほど局長からご挨拶で 述べられた経過を自分なりに整理して、意見を1つ言っておきたいと思います。  パート労働者の置かれている現状は、先ほど調査報告などの結果もご説明いただいて 、さらに認識を持ちましたが、この間、もちろん研究会があるいは報告書が、私自身も 3度審議会にかかわりながら出たと理解しております。その都度貴重な提言なども研究 会報告書の中では取り上げられ、物差し問題が議論をされて、それが研究会という形に 結び付き、それを基に改善された項目もあると見ておりますが、それにしても1993年に 法律ができて、この10年の経過の中で、法律の性格の問題も含めて、審議をしたという 記憶は私自身、1997年からかかわった中ではないと考えております。その点ではパート 労働者の置かれている現状や、社会的な関心の高まりを受けてこれまでの議論を前進さ せる、具体的には今回の検討項目の中で、やはり法改正による今後の方向性を示すべき 時期にきていると、私自身はかかわってきた経過から思います。  先ほど研究会の経過を含めたご説明の中で、公益委員さんから均衡処遇問題が大変重 要な課題だということが述べられましたが、私もまさにそこに今回審議会を持つ意義と いうか、議論の中心的な課題があるのではないかと思っております。そういう日本的な アプローチは随分進んだと思いますが、もう一方でこれでは不十分、法改正ということ をきちんと念頭に置いた議論をすべきと、繰り返しますが思います。私はまだ十分自分 で理解を深めていませんが、国際的にもILOが2001年の総会で、ディーセントワーク の達成に向けて、それを地球的な課題という位置づけを行いました。それは様々に日本 語訳がされているようですが、安心して働くことのできる仕事ということも、世界的に 強く求められている課題だと押さえている点は、大変このパート労働の問題にもつなが る問題意識ではないか。あるいはそういったことにもきちんと視野を置いて議論をする ことが必要だと思います。  最後に、パート労働の問題あるいは有期労働の問題は、女性労働問題という問題意識 もその占める比率から当然持っていて、均等法がこの間随分法律的にも前進し、実態的 にも先ほどのポジティブ・アクションに対する大変いい素材の資料などもさらに出てお りますが、もう一方で均等法の効果を減殺してしまうような職場状況になっていて、女 性労働者が人格的に分断されているという職場状況がある。それは「あなたはパート」 「あなたは契約社員」という状況の中で、本来一緒に意欲的に働きたい人たちが、この 問題に限らず置かれている状況の中から、私は分断をされていると思うのです。ますま すそれが強まる危険性もあるし、この審議会だけでは扱えない雇用全体の問題だと思い ますが、先ほどの高校の卒業者のパート労働の就労ということなども実態が増えてきて いるという意味では、やはりパート労働を「ディーセントワーク」と言われる仕事にす るための議論の場はここしかないとは申しませんが、ここが中心にリーダーシップを取 る必要もある。そのような意見から、いちばん初めに申し上げたように、法改正も含め て積極的な議論をする必要があると思います。 ○使側委員  確認させていただきたいのですが、均衡処遇問題について、この審議会で本格的に審 議するのは、今回が初めてという認識でよろしいのでしょうか。 ○事務局  先ほど話が出た平成10年2月に、こういった問題について物差しづくりが必要ではな いかという建議が出まして、そのあとパートタイム労働にかかる雇用管理研究会が参集 され、そこで物差しと言われる指標の作成を行った報告が取りまとめられたという経緯 があります。そういうことで申しますと、そういった建議がまとまる中で、そういうも のが足りないといった議論は過去においてもありました。ただし、具体的にではどうい う物差しという話については、これから本格的にということだと思います。 ○使側委員  ということは、具体論に入るのは今回初めてということですね。そういう意味で、や はり基礎からもう一度議論し直すことは、非常に大切なスタンスではないかと思うので すが。 ○事務局  具体的にどのような指標、物差しで均衡を考慮すればいいのかの結論には至らなかっ たということで、議論されたけれども、そこまで結論に至らなかったので、この点につ いては、異なる賃金形態間の比較や職務の異同に係る評価が必要になるなど、技術的、 専門的事項にわたるため、別途労使も含めた新たな検討の場を設けるべきであるという ことで、労使を含めた先ほどの研究会が作られたという経緯があります。 ○公益委員  いまの点で言えば、それを踏まえてフルタイマーとパートタイマーの特に賃金を、均 衡処遇のためにどういう基準で比較したらいいか、物差し研というものをやったわけで す。これは日経連の方も入っていて、労使が入って作って、その研究会報告が出て、こ れはたぶん審議会に報告されて、一応それについての情報提供を日経連もやるというこ とで、日経連さんにも情報提供をしていただいていると思うのです。ですから、少なく とも物差し研については経営者団体も入って、私の理解では議論できているということ だと思います。ただし、あの場合は賃金についてかなり絞って議論をした。今回の研究 会報告は、もう少し広く雇用全体のあり方、仕組みなど、処遇全体のことについての均 衡のあり方を議論しますが、基本的な考え方は、従来の物差し研で議論したものを踏ま えて、それを少し広げた形で議論をしているということです。ですから、これまで全然 議論していないということではないのではないかと思います。 ○分科会長  ほかに何かご意見はございませんか。実は予定の時間は過ぎているのですが、このパ ートタイム労働対策のテーマについては、皆さんから非常にコンパクトな、しかし的を 得たご議論をいただいたと思って、その点をありがたく思っております。こういう形で 、今後も効率的な議論が進められれば本当にありがたいと思っておりますので、よろし くお願いします。  皆さんのご意見を伺って私が思いますには、先ほど公益委員の方からもお話がありま したが、今後のパートタイム労働対策の方向を検討するにあたっては、やはり議論を整 理していく必要があると思うのです。議論を制限するのではなくて、議論のやり方をき ちんとしないと、皆さんが議論したいと思っていることがむしろできなくなってしまう ということがありますので、そういう議論の整理のために、まず議論の叩き台として研 究会報告を基に進めていただく。そのあとで、それに含まれていないいろいろな問題が あるというご意見も多々ありましたので、その事項については、それに引き続いて議論 をしていただくという議論の進め方にしたらいいのではないかと思います。これはあく まで議論の進め方でして、議論をこの研究会報告に制限するという意味では決してない 。それとまた研究会報告の論点に従って、それぞれまたそれとは違ったご意見を出して いただいて議論を深めていくというやり方のほうが非常に議論も深まるし、効率的であ ると考えています。そういうことで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいで しょうか。議論の進め方です。 ○労側委員  例えば研究会報告にないテーマについては、どのように理解したらいいのですか。若 干触れてはいるのですが、例えば税制や就労調整問題、有期の問題など、他の所を意識 して、研究会が遠慮しているところもあるのですが、その辺はどういう議論になるので すか。 ○分科会長  それは研究会報告の中でそういうことに関連することもあるでしょうし、なければ一 応研究会報告の論点に終わりがあるのかどうかわかりませんが、ある程度整理がついた 段階で、さらにそれに触れていただくということでよろしいのではないかと思うのです 。そのほうがむしろ意味がはっきりわかるのではないかと思うのです。 ○労側委員  次回の進め方の「現状について」は、総論の議論ですか。 ○分科会長  ですから、次回は資料9によると、同じく「パートタイム労働の現状について」とい うことになっておりますが、現状の中でも特に均衡処遇ルールについてはあまり触れら れていなかったと思いますので、その説明を事務局から受けて、それを議論のベースに していくということで、3回目以降、この研究会報告に基づいた論点でやってみるとい う進め方がいいと思います。  一応、そういう段取りで進めさせていただくということでよろしいですか。ご異議が なければそうさせていただきたいと思います。また何かその経過の中で、「それはお前 が言ったのと少し違うぞ」ということがあれば、おっしゃっていただければいいと思い ます。とりあえずはそういう整理の仕方にさせていただきたいと思いますので、それで よろしくお願いします。  そういうことで、パートタイム労働対策についてのテーマは、本日のところはこれで 切り上げさせていただきます。あとは事務的な話になりますが、署名委員は片岡委員と 遠藤委員にお願いしたいと思います。それから日程はどうなりますか。 ○事務局  次回は、来週24日火曜日の15時から17時で、場所も本日と同じ省議室です。引き続き 「今後のパートタイム労働対策」ということでお願いしたいと思っています。 ○分科会長  では、以上をもって本日の会議は終了させていただきます。どうも長時間、また時間 をオーバーいたしまして申し訳ありませんでした。ありがとうございました。       照会先:雇用均等・児童家庭局 総務課 企画調整係(内線:7826)                短時間・在宅労働課 企画法規係(内線:7876)