02/09/13 第5回少子化社会を考える懇談会議事録           第5回少子化社会を考える懇談会 <議事録> 1.日時  平成14年9月13日(金) 10:00〜12:00 2.場所  厚生労働省省議室(中央合同庁舎第5号館9階) 3.出席者  <メンバー>   木村尚三郎(座長)、山崎泰彦(座長代理)、青木紀久代、安達知子、大越将良、   大日向雅美、奥山千鶴子、熊坂義裕、小西秀樹、酒井順子、清水ちなみ、   白石克子、津谷典子、松本秀作、水戸川真由美、山田昌弘  (敬称略)  <厚生労働省>   坂口厚生労働大臣、狩野厚生労働副大臣、田村大臣政務官   澤田厚生労働事務次官、大塚厚生労働審議官、水田政策統括官(社会保障担当)、   青木政策統括官(労働担当)岩田雇用均等・児童家庭局長、吉武年金局長、   青柳社会保障担当参事官、伊原政策企画官 4.議事内容  木村座長  それでは、まだ3人ほどお見えになっておられませんが、時間になりましたので、第 5回少子化社会を考える懇談会を開催させていただきます。  お忙しい中、ご参集いただきまして誠にありがとうございました。  本日は、柏女さん、黒澤さん、玄田さん、津谷さんがご欠席であります。  議事に入ります前に、厚生労働省側にかなりの異動がございましたので、ご紹介をお 願いします。  青柳参事官  社会保障担当参事官の青柳でございます。私から8月30日付で厚生労働省側に異動 がございましたので、異動のあった者だけご紹介をさせていただきます。  まず、事務次官の澤田でございます。 厚生労働審議官の大塚でございます。 政策統括官、社会保障担当の水田でございます。 政策統括官、労働担当の青木でございます。 年金局長の吉武でございます。 社会保障担当参事官室、政策企画官の伊原でございます。  最後になりましたが、私、先ほど申し上げましたように、社会保障担当参事官の青柳 でございます。以上でございます。  木村座長  ありがとうございました。何卒よろしくお願いいたします。  それでは議事に入らせていただきます。  前回の懇談会では、中間的なとりまとめに盛り込むべき事項についてご議論いただき まして、その後、懇談会でのご議論を踏まえて起草委員の方々に「中間的なとりまとめ 案」を起草していただきました。起草委員の先生方、誠にご苦労様でございました。  この案につきましては、既に皆様方に事前にお送りしてご意見等を伺っておりまし て、それに基づいて事務局で修正案を作成していただきました。それが本日、お手元の 「中間とりまとめ案」でございますが、今日はそれについて最終的に皆様方からご意見 を頂戴して、とりまとめをいたしたいと思っております。  後ほど、厚生労働大臣が、11時40分頃と伺っておりますが、お出でになりますの で、議論がないといって帰っちゃうわけにもいかないので、その点よろしくお願いいた します。ひととおりご意見を伺ったあと、もし時間が余れば、今後の取り組み等につい て、お一人おひとり、皆様方からご意見を頂戴しようと思っていますが、そういうハッ ピーなことになるかどうか、まだわかりません。よろしくご協力のほどお願い申し上げ ます。  それではまず事務局から本日の配布資料の確認と説明をお願いします。  伊原企画官  伊原でございます。ご説明させていただきます。  お手元に資料をいくつかご用意させていただいております。  資料1として「中間とりまとめ(案) 〜子どもを育てたい、育ててよかったと思え  る社会をつくる〜」  資料2として「少子化社会に対する御意見募集」の結果について 次に、白い表紙のもので、参考資料として「少子化社会を考える懇談会中間とりまとめ  参考資料」 これは以前皆様方から出していただきましたレポートと、厚生労働省内 の若手のグループが2025年をイメージして議論をしたレポートを印刷したもので す。今回のとりまとめにあたっての参考資料として配布させていただきました。  資料1「中間とりまとめ(案)」ですが、後ほど一語一句朗読させていただきます が、全体の構成として、4つのパートからなっております。  序 なぜいま「少子化社会を考える」のか  (いのちあるものと共に生きる喜び)  (夫婦出生力の低下という新たな現象)  (これまでの少子化対策の評価)  (今回のアプローチ)   という構成になっています。  1 どのような社会を目指すのか  (多様な生き方が可能になる社会)  (子どもを育てたい、育てて良かったと思える社会)  (子育てという選択をする生き方が不利にならない社会)  (子どもや若い世代の成長と自立を支援する社会)  (子どもも大人も生き生きと暮らせる、活力ある社会)   という5つの社会像を提案させていただきました。  2 少子化社会への対応:4つのアピールと10のアクション  3 「企業のトップ」「地域の人たち」「政府関係者」に対する3つのメッセージ  最後に「少子化社会への対応を進める際の留意点」   (1)「子どもにとっての幸せの視点で」   (2)「産む産まないは個人の選択」   (3)「多様な家庭の形態や生き方に配慮」  以上のような構成になっています。  資料2は「少子化社会に対するご意見募集」ということで、今回、この懇談会を開催 し、ご議論いただくことと併せて、一般の方々に、少子化の原因、政府や地域が行って いる少子化対策について、どのように考えておられるかということでご意見募集を行い ました。  6月4日にスタートして約3か月間、8月31日までの期間に377件のご意見をい ただいております。電子メールによるものが277件と非常に多くなっているのが一つ の特徴かと思います。65%が女性で、とりわけ30代の女性が全体の約4割、144 件ございました。  次のページは、施策に関するご要望、ご意見をいただきました。ご意見は重複してお りましたが、あえて分類しますと、  一番多かったのが、保育所、学童保育をさらに整備してほしい。この整備の中には、 運用面で延長保育とか一時保育をもっと充実してほしいというご要望もありました。  次に多かったのが、職場の環境改善ということで、有給休暇、育児休暇が法律にある けれども、実際にはなかなかとりにくい。きちんととれるような環境整備をしてほし い。あるいは周りの理解が得られていないというご意見。  そして、不妊治療に対する経済的な支援、あるいは技術面でまだまだ全国に普及して いないので充実を図ってほしいというご意見。  教育費の負担が大きい。  社会保障制度で育児手当や優遇税制といったものが考えられないか。  保育料の軽減  地域社会との関わりの見直し、育児の孤立化をなくすために、育児サークルの利用を 積極的に進める。またその支援をしてほしい。保育ママ等、中高年の方も育児に積極的 にかかわってほしい。  等々のご意見がありました。  少子化が進行している要因として、  ・経済の先行き不透明感が少子化にも影響しているのではないか  ・価値観の多様化、子どもに対する意識ということで、パラサイトシングルといった   ことも少子化に影響しているのではないか  ・政府、自治体が実施している施策が身近でなく、わかりにくい  等のご意見がありました。  次のページ以降は、自由記述で出てきたものを並べたものですので、お読みいただけ ればと思います。  以上、簡単ですが、資料の説明とさせていただきます。  木村座長  ありがとうございました。それではこれから中間とりまとめ案について、全文を読ん でいただいて、ご意見を頂戴するわけですが、ちょっと長いので、3つぐらいに分けて 読んでいただいて、それぞれご意見を頂戴することにしたいと思っております。  3つに分けるというのは便宜上の問題でありますが、まず、序のなぜいま少子化社会 を考えるのか 続いて、1のどのような社会を目指すのか これについてご意見を頂戴 したいと思いますので、まず、読み上げをよろしくお願いいたします。  伊原企画官  それでは、少し長くなりますけれど、読み上げさせていただきます。 序 なぜいま「少子化社会を考える」のか (いのちあるものと共に生きる喜び) (夫婦出生力の低下という新たな現象) (これまでの少子化対策の評価) (今回のアプローチ) 1 どのような社会を目指すのか (多様な生き方が可能になる社会) (子どもを育てたい、育ててよかったと思える社会) (子育てという選択をする生き方が不利にならない社会) (子どもや若い世代の成長と自立を支援する社会) (子どもも大人も生き生きと暮らせる活力ある社会)     <以上について、本文読み上げ>  木村座長  ありがとうございました。では、いま読み上げていただいたところについて何かござ いましたらお願いいたします。  山崎委員  事務局から昨日でしたか、事前に我々ペーパーをいただいているんですが、特に意見 があれば、ということだったんですが、昨日の段階と今日とで変わっている点があれ ば、教えていただきたいんですが。  伊原企画官  特にございません。体裁だけちょっと変わっております。  木村座長  それでは、よろしいでしょうか。よろしければ、次の2 少子化社会への対応:4つ のアピールと10のアクション のうち、アピール1、アピール2についてご意見を頂 戴したいと思います。朗読をよろしくお願いします。  伊原企画官 2 少子化社会への対応:4つのアピールと10のアクション (アピール1)男性を含めた働き方を見直し、「仕事時間と生活時間のバランス」のと        れる働き方を実現する  (アクション(1))多様な働き方が可能な社会の仕組みに変える  (アクション(2))ファミリー・フレンドリー企業に優秀な人材が集まる (アピール2)子育てという選択をする生き方が不利にならないよう、「育児の社会        化」を進め、企業・地域・政府こぞって子育て家庭を支援する  (アクション(3))地域における子育て家庭を支援するための幅広いネットワークを          つくる  (アクション(4))子育てバリアフリーを推進する  (アクション(5))子育て支援は妊娠・出産から始まる  (アクション(6))社会保障などにおいて次世代を支援する     <以上について、本文読み上げ>  木村座長  ありがとうございました。ではこの部分について、何かご意見等ありましたら、お願 いします。  大越委員  アピール1に関連したアクション(1)のところですが、先月たたき台が配られて、意見 を求められたときに述べた意見で今回反映されてない部分でもあるんですけども、男性 の働き方の現状認識として、かなり長時間働いている男性が多いわけです。この答申を 見ますと、働く形態を柔軟にして増やす。これは非常にいいことで、いろんなトラック を増やすというのはいいと思うんですが、これをすなおに読みますと、じゃあ、フルタ イムで働く男性の働き方、長時間労働にはメスを入れないのか、そういうふうに読み方 もできるわけです。短く働きたいならば別のトラックを選んでください、短時間勤務の 形態もあります。フルタイムの人は長時間も残業も、いまの現状をどうするんですか、 ということで、対策として長時間労働にどう切り込むかという視点が是非必要だと思い ます。  木村座長  要するに、企業に対してフルタイムの長時間労働はやめてほしいと。  大越委員  そうですね。労働時間を規制するような法律を改正するようなところまで踏み込めれ ばいいとかなと思います。フランス、ドイツ等ヨーロッパではかなり少なくなっていま すね。そういった形をイメージしてますけども。  木村座長  ほかの皆さん、いかがですか、いまのところ。  大越委員  もしこの文言で修正を加えるとすれば、可能であれば、アピール1の、男性を含めた 働き方を見直し、というところに、まだまだ長時間働いている男性を含めた働き方の見 直し、というふうな言葉が入れば、現状認識としてそういう認識があるんだなというこ とがアピールされるのかなと思います。  木村座長  アピール1の、男性の前につけるわけですね。  大越委員  ご意見があれば伺いたいと思います。  山崎委員  そうすると、例えば、長時間労働など男性を含めた働き方、こんな感じになるでしょ うか。  木村座長  大きな意味では、アピール1の「仕事時間と生活時間のバランスのとれる働き方」と いうところに入っているといえば入っているわけですけれども、積極的に指摘はしてい ないということでしょうね。どうしますかね。皆さん方の意見、ありませんか。  残間委員  わざわざそういうふうに言わなくても、就業形態を柔軟に選ぶことができるようにす ることが必要だ、というところで解るのではないか。就労に関しては、現在は職がない 人もたくさんいて、長時間したくてもできないというように、ここは経済の変動で大き く変わると思うんですね。だから、わざわざ特記することはないような気はします。働 きたい人がもっと働きたいというような社会でも、自由な選択の中に入るわけですか ら、働きたくないのに、働かなければいけない人、働きたいのに働けない人、両方つ くってはいけないと思うので、これは、就業形態を柔軟に選ぶことができる、というこ とがアクセントとして大きくついていれば、わざわざうたう必要はないのではないかと 思います。  木村座長  ありがとうございました。この中に含まれているとも私も思うんですけどね。わざわ ざ書く必要はないというご意見がありましたが、そういう含みも入っているということ でご了解いただけるとありがたいのですが。  大越委員  わかりました。  大日向委員  確認なんですが、こうして読んでくださるということは、多少意見を申し上げて、修 正を加えていただく可能性があるんでしょうか。  木村座長  そうなんですが、できるだけ、修文ぐらいだと私としては大変幸せなんですが。あま り根本的なことだと困っちゃうので。  大日向委員  1,2度事務局とやりとりをさせていただいたんですが、極めて短時間だったもの で、どの委員さんもそうだと思うんですが、こちらが申し上げた意見をできる限り汲ん でくださったと思いますが、なお残っている点は多少あると思うんですね。そういうこ とを細かい文言で申し上げたいことと、全体の構造で申し上げたいこと、いろんな思い を込めて参りましたのですが、その最後のほうは後にいたしまして、細かい文言で、8 ページの(アクション(5))子育て支援は妊娠・出産からはじまる、というところの4行 目に「これを原因として起こるかもしれない不妊症になったり」という文章がありま す。8月28日に拝見したのと、いま気がついて、若干ニュアンスが違うんですが、私 は不妊症に苦しんでいる方々のカウンセリングなどもさせていただいております。で、 産婦人科の先生からおっしゃると、こういう表現は事実なんだろうと思いますが、その 前段に、性に関する正しい理解がなくて、性感染症があり、中絶、と続いたあとに「こ れを原因として起こるかもしれない」というふうに書いてくださってはあるんですが、 ここに「不妊症」という言葉が出ることに対しては、若干、不妊症の方々のお気持ちを 考えて、複雑な思いがあります。むしろ「これを原因として起こるさまざまな心身のト ラブルとか弊害を予防する」というような文言に変えていただければありがたいと思い ます。  木村座長  なるほど。私はよくわかりますが、専門家の方は。  安達委員  ここを少し変えたのは、私の意見で変えていただけたんだと思うんですが、この文 章、本日は原文を持ってきてないんですが、いただいたときには、性感染症と中絶をし た人がみな不妊症になるようなニュアンスにとれる文章でした。不妊症の原因の一つと してこういうものはとらえられているんだよ、ということを知らせる意味もあって、文 章に少し修復を入れました。しかし、私の文章とはまた少し変わっておりまして、非常 にわかりにくい文章になっているなと思いました。特に「これにともなう中絶を減ら し」のあとに「これを原因として」という「これ」は、その前の中絶を断定しているか のようにもとれるものです。中絶するのはやむなくというような状況もいろいろありま すので、ここは少し変えたいなと思っておりましたので、大日向先生の意見に概ね賛成 です。ただ、不妊症ということを入れたいという意図がもともとあったのかなという気 持ちもありましたので「不妊症を含めた心身の」というような形のほうがより明確にな るかなとは思います。「これを」というところは「これらを」としていただいたほうが いいと思います。  木村座長  「これらを原因として起こるかもしれない心身のトラブル」  安達委員  「不妊症を含めた」という。  木村座長  不妊症を入れたほうがいいんですか。  安達委員  いや、そのへんはどうでしょうか。  木村座長  どうでしょうか、専門家の方、ほかに。不妊症はとってもいいですか。私は判断しか ねるんですが。  安達委員  イメージとしては不妊症ということがあるんだと思うんですけれども、不妊症の人に とってみますと、不妊症というのは性感染症を起こしたんじゃないかとか、そういう目 で見られるのが、非常に差別的な印象を受けるということをよく聞きます。私の専門は 不妊症を診る立場なんですけど、好ましい文章ではなかったので、そういうふうにマイ ルドにさせていただいたんです。それでも、心身の障害ということで将来の不妊症とい うものも少し含めているということを入れたいのであれば、不妊症を含めた、という言 葉を入れても、私はいいとは思います。  大日向委員  安達先生がそこまで不妊の方の気持ちをわかってくださるのであれば、私はなおのこ と取っていただきたいと思います。心身のトラブルで十分わかることで、不妊だけでな くいろんな弊害があるんだということで、その何行かあとに「子どもを持ちたいのに不 妊が原因で子どもを持てない男女」と不妊の問題は書かれてありますので、前半のとこ ろは、性感染症、中絶の並びで不妊という言葉は是非取っていただきたいと思います。  そうすると、3行目、「ら」を入れて、「これらを原因として起こるかもしれない心 身のトラブルを予防する」、これでよろしいんですか。私はいいと思うんですけども。 よろしいか、不妊症という言葉を取って。じゃあ、そうさせていただきます。「起こる かもしれない心身のトラブルを予防する効果も期待できます」と。そして、これ、では なくて、「これら」と「ら」を入れる。ありがとうございました。  小西委員  読んでいて、いくつか聞きたいことがあるんですが。8ページの上から2行目のとこ ろですが、「日本は子どもに無関心で、ときには子どもを排除するような社会だといわ れることがある」という、僕はこれを読んで、ちょっと驚いて、こんなこと本当にいわ れてるのかなという感じがするんですね。子どもに関して、日本はものすごく寛容な社 会なんじゃないかなという感じがして、例えば、新幹線の中でどれだけ子どもが騒いで いても、大人は何も言わなくて、外国ではちょっと考えられないようなことが割と頻繁 に見られるわけで、この文章はもう少し具体的にあるのであればお書きになったほうが 意味がわかりやすいんじゃないかなという気がひとつしています。  それから、いただいたファックスで、何でも修正しろということで、修正したものを 送って来い、ということだったので、私の専門というか、やっていることだと、アク ション(6)と若干関係があるんですけど、修正する、どこか直せばいいとかいう話には ちょっとならないので、ただ、意見だけ申し上げますが、要するに、社会保障で次世代 の支援をする、社会保障をいいのかどうかということはあると思うんですが、なんか2 つの問題がごっちゃになっているような気がしていて、1つは、いま非常に急速に少子 化が進んでいて、人口構成がいびつになっているわけですね。高齢者がすごく多くなっ ていて若い人が非常に少ない。そのために現在の世代間扶養の色彩の強い年金とか医療 の制度に大きな歪みがきている、要するに負担のギャップが出てきてしまっているとい うことですよね。  ところが、いまの少子化がこれからずっと続いていくわけですから、人口構成のいび つな形というのは早晩解消されていくわけです。そのときの問題というのは、全体の人 口が減っていくということであって、中身の割合はそんなに変わらないわけですね。要 するに、高齢者も少ないけれども、子どもたちも少ないということで、いまのいびつな 構造が仮に中長期的と考えて、人口が減っていって、ただし中身の構成はあまり変わら ないというのは、長長期的と考えた場合に、ここでのアクションとかアピールが一体ど ういう時点のことを見ているのかなというのが少し気になるわけです。  申し上げたいことの第1点は、世代間扶養の色彩が強い社会保障制度は変えられない ものだという前提で議論されているわけです、ここのアクションというのは。それが本 当に果たして越長期まで考えたとき、そういうスタンスでいいのかなというのが少し気 になっておりまして、それから、もう1つは、いままでエンゼルプラン等々のいろんな 政策がとられてきたにもかかわらず、少子化は解消されて来ないわけですね。つまり、 子どもを増やすということが、その効果というのが不確定というか、はっきりしていな いわけですが、ここの文章を読みますと、政策的な対応をとると子どもが増えて、世の 中よくなる、ということが明らかに前提になっているような気がするわけです。そうす ると、はっきりした効果もわからないのに、こんなこと書いちゃっていいのかなと。例 えば、「長い目でみれば支え手が増えて制度が安定する」とかいうようなことが、いい のかなという気がする。 それから、先ほど削除してくださいというご意見もありまし たので、ついでに僕も削除してほしいなと思うのは、社会保険を使うという議論を一体 どこでやったのかという気がちょっとしていて、介護保険ならまだいいんだと思うんで すね。誰でも介護のお世話になる可能性があって、給付と負担がなんらかのリンクが確 率的にはあると。ですが、子育てを社会保険で対応するということになると、要する に、みんながお金を出して子育て支援のためのサービスを受けることができるとか、そ ういうことになるわけでしょうけれど、例えば、50歳とか、そういう年齢の女性から 保険料をとって給付と負担のリンクがあるからいいんだといえるのかということですよ ね。逆に、子どもを膿む人というのは、20代とか30代だったら、20代、30代の 人たちだけから保険料をとってサービスをやるという、そういう社会保険というのがあ るのか。果たしてそれを、前に戻って、育児の社会化というのかということになると思 うんですね。そういう意味では、ここは僕が見た感じではちょっとフライングをしてい るんじゃないかという気がするんですね。つまり、社会保険でもって子育て家庭に配慮 するというのは、ちょっと言い過ぎなんじゃないかなというふうに、印象としては思っ ているということです。すみません。具体的にここを直せというふうにはちょっと言え ないので。  木村座長  ありがとうございました。最初の、8ページの上の2行、日本は子どもに無関心とい う、ここは誰か…、何かありませんか。  山崎委員  どなたかペーパーでお書きになっていたのかどうか、よくわかりませんが、少なくと も、やりとりの中では起草委員会で私がこういう意味のことを話したことはあります。 それは、起草委員会の段階で既に原案にあったことかもわかりませんが、いろんな人か ら最近話を伺う機会がありまして、特に外国生活をした方々、私はないんですが、そう いった方々の話では、日本に帰ると子どもは産めない。逆に、外国に行ったときに、こ の国なら子どもは産めると感じたことがあると。そして、それに対して割と賛同する方 が多かったということで、これは私自身は経験ありませんから、なんとも言えません。  木村座長  私は別に書いたことも何もないんですが、例えばフランスだと、優先席が、最初に傷 痍軍人、次は一般の身体障害者、その次が妊婦で、その次に4歳以下の子どもとそれを 連れた大人、とちゃんと書いてあるんですね。それは日本にはそれはないですね。そう いう意味では無関心なのかもしれない。たぶんそういうことでしょう、外国でなんとか というのは。その2行について、どなたか。  奥山委員  電車を騒いでいる子をなかなか注意できないというか、私はいま子どもが3人いるも のですから、そういうご意見もあるだろうなと思いながら聞いておりました。海外の事 に関して言えば、私のひろばでも、外国で生活して日本に戻って来られたという方が何 人かいまして、例えば、電車の切符を買うとか、払い戻しに並ぶというときに、日本で は子どもを押し除けて大人が割り込むとか、そういう行為を見てほんとに愕然とした、 ということをおっしゃる方もいましたし、また、最近イギリスを見に行かれた方が、 スーパーの駐車場の優先順位が、車いすマークと高齢者マーク、その次に小さい子ども を連れた家庭に対しての配慮があるということを見て来られました。このような例をみ ると、日本ではあまり子どもに配慮をしていないというところもあるんじゃないかなと 思います。  木村座長  ありがとうございました。フランスでも、バスに乗るために長蛇の列をつくっている ときでも、赤ちゃんを連れたお母さんは「プリオリテ」私は優先よ、と言って一番前に 突っ込んできますね。ああいう配慮はたしかに日本はないですよね。こっちは並んでる のにとなんとなく思うんだけど、堂々と一番前に行きますね。そういう優先順位がたし かにあるようです。そういう意味で無関心。子どもに無関心というこの表現がちょっと 問題なのかもしれませんけどね。  奥山委員  それから、最近新聞に載っていましたのが、これから運動会の時期になりますけれど も、運動会の朝の狼煙もうるさいので揚げないでくれと近所の人が申し入れるとか、私 たちも経験があるんですけど、公園で子どもを遊ばせていても、そんなに騒ぐな、と言 われてしまうというぐらい、子どもたちがワイワイ騒いで歓声をあげてる姿に対して世 の中があまり好ましく思ってないんじゃないかというのを感じるようなことがありま す。そこをうまく盛り込んでいただければいいんじゃないかなというふうに思うんです けど、文章をちょっと変えていただいて。  木村座長  私はフランスしか知らないんですが、フランスは断るんですね、いちいち。明日は音 が出ますのでよろしくお願いしますって、まわりに言うんですね。そうやって了解をと る。黙ってやるのはほんとはよくないのかもしれない。子どもたちがパーティーかなん かでわぁーっと騒ぐようなときですね。それはありますね。「子どもに無関心で」とい うこの表現が、たしかにちょっと、小西さんおっしゃったように問題かもしれません。 何かいい表現はないですかね。どうしたらいいかな。やっぱりこのままですかね。何か 名案はないですか。なかなか言いにくいよね。  大越委員  表現はこれでいいんじゃないかと思います。社会保障のほうがもっと重要なポイント だと思うので、そちらに時間を割いたほうがいいと思います。  木村座長  はい、そういう意見がありましたので、上は原文のままということで、下については 山崎先生。  山崎委員  小西先生とはいろんな場でご一緒することがあるんですが、おそらくその議論を始め ると収拾がつかなくなるので、ここは多数決にしていただきたいと思います。というこ とで、いつも小西先生との場では私が多数派になってしまうんですが、申し訳ございま せん。つまり、極端にいうと、次世代に依存しない社会保障をつくるというのは一つの 選択なんですよね。年金でいえば完全積立にするというのも一つに選択だと思うんです が、おそらくそれはいま話をしてもまとまらない。一つの、特に経済学者の中で多い意 見だとは思いますが、社会全体としてはちょっと無理な意見だと思います。つまり、小 西先生の意見でここで合意をとるには無理な意見だということでご了承いただきたい。 ただ、そういう発言は全部議事録に残りますし、おそらく事務局としては、我々起草委 員会でもそうでしたが、いろんな意見がある中で、一つの方向性を示さないと世の中は 動かないということです。そして、いろんな意見については、これは特に事務局の配慮 ですが、お手元の、全員の意見をわざわざ載せていただいたということでご了解いただ きたいと思います。  それから、社会保険をという、そういう議論はあったのかということについては、私 もペーパーを出しておりますし、ここで長々と発言させていただいたことがあります。 社会保険でというと、非常に唐突なことかもわかりませんが、現実に、子どもがいる 人、いない人が健康保険料を払っていて、お産については出産手当金が出ていますし、 育児休業をとれば雇用保険から育児休業給付が出ていて、さらに健康保険や年金の保険 料も免除されている。これは子どものいない人も含めて、年配の人も含めてみんなが 払った保険料で出ているわけですから、既に社会保険で相当子育てに関与しているとい う実態がある。ということで、これは小西先生に誤解を解いていただかなければいけな い。介護に対して医療保険と福祉サービスで対応していた。それを一元化して介護保険 をつくった。ですから、子どもに関しても現在既に関わっている社会保険の分野での関 わりをもっと強めてはどうかという提案です。  木村座長  いまのことですが、9ページの最後の2行のところ、非常に遠慮しながら、「次世代 の育成を支援することなども考えてよいのではないでしょうか」と、このへんでお許し いただけると大変に有難く存じます。万感の思いがここにこもっているということで。  実は、「なども」という表現では弱すぎるということで、私、最後まで一番抵抗した ことなんですが、ほかの意見もございますから、この程度に納めてくださいということ で、私今日ここに来ているので、それもわかっていただきたいと思います。  木村座長  ではここはそういうふうにさせていただきたいと存じます。  ほかにご意見ございますか。よろしいようであれば、アピール3以降の朗読をお願い します。  伊原企画官 (アピール3)「家庭を持って子育て」という生き方にも「挑戦」できるよう、若い世        代の成長・自立を支援する  (アクション(7))子どもの生きる力を育てる  (アクション(8))若い世代が子どもや家庭を知り、子どもとともに育つ機会をつくる  (アクション(9))若い世代の親離れを進め、自立して家庭を持つための基盤を整備す          る (アピール4)少子社会への対応を進め、活力ある「老若男女共同参画社会」を実現す        る  (アクション(10))少子社会を活力ある社会にする     <以上について、本文読み上げ> 3 「企業のトップ」「地域の人たち」「政府関係者」に対する3つのメッセージ (メッセージ(1)) 企業のトップの方へ 「多様な価値観は経済と企業を伸ばします。家庭と両立できない職場は立ちゆきませ ん」 (メッセージ(2)) 地域の人たちへ 「子育て家庭を地域で支える仕組みをつくろう!子どもにとって育つ場所が『ふるさ と』です」 (メッセージ(3)) 政府関係者へ 「国の未来を見据えて、いますぐ少子化社会への対応を。政府ぐるみで実効ある子育て 支援策を」  ※少子化社会への対応を進める際の留意点   上記の対応を進めるに当たっては、次のような留意をすることが必要です。  (1)「子どもとっての幸せの視点で」    子どもの数だけ問題にするのではなく、子どもが心身ともに健やかに育つための   支援という観点で取り組むこと  (2)「産む産まないは個人の選択」    子どもを産むか産まないかは個人の選択に委ねるべきことであり、子どもを持つ   意志のない人、子どもを産みたくても産めない人を心理的に追い詰めることになっ   てはならないこと  (3)「多様な家庭の形態や生き方に配慮」    共働き家庭や片働き家庭、ひとり親家庭など、多様な形態の家庭が存在している   ことや、結婚するしない、子どもを持つ持たないなどといった多様な生き方があり   、これらを尊重すること。  以上でございます。  木村座長  ありがとうございました。これについて。どうぞ。  大日向委員  いまここで文言を訂正してくださいというお願いではありません。むしろ全般を拝見 して、いろんな立場によく配慮していただいてとてもよくおまとめいただいたと拝見し ました。ですから、起草委員の先生方や事務局の方々のご尽力に私は感謝したいと思い ます。ただ、こうしてきれいにまとめていただくと今後の課題というのがよく見えてき たというふうに思いました。そして、その点はメールでお送りした点でもあるんです が、一番最後のところに、「少子化社会への対応を進める際の留意点」を最後にまとめ ておられます。しかしこれは留意点ではなくて、非常に大切な基本的な視点だろうとい うふうに思います。ですから、今後はこれを基本的な視点として議論を進めていくこと が必要だろうと思います。そういうふうに考えますと、逆にいまお読みいただいた、ア ピール4の「老若男女共同参画社会」というのが、これからの日本社会のあり方を考え た上での基軸として考えていかなくれはいけないと思うんです。  ここまでの議論を考えてみたときに、現状、さまざま子育てに起こっている現象につ いていま何をするかということと、近い未来に向けて社会の構造改革まで含めた提案を していくとこと、議論が2つ分けてきちっとしていくことが必要だと思います。しかし ながら、私がいま申し上げたように、男女共同参画社会の実現、もっと踏み込んで申し 上げると、性別役割分業体制の弊害を明確にし、その是正だと思います。この点に関し ては、これまで、この懇談会で議論が十分なされては来なかったのではないかと思いま す。これは中間とりまとめですから、今日で解散なわけでは…。  木村座長  ではありません。  大日向委員  ないですね。ということは、今後そのあたりは十分議論させていただいて、最終のと ころに是非盛り込んでいただければと願っております。  木村座長  ありがとうございました。エールを送っていただいたと理解いたしました。 ほか に、よろしいですか。これは大臣への手渡しは40分頃がいいんですか。では。  山崎委員  ただ今の大日向先生の発言についてでございますが、最後の留意点につきましては、 これもいろいろ議論しまして、これはほんとに大事なことなんです。一般に従来のこう いった子どもに関わる報告書は、この留意点から始まっておりまして、誤解のないよう に断り書きが延々と最初に書かれるというぐらい、いろいろ配慮したことになっている んですが、それはもう当たり前だろうということで、むしろ思い切って後ろにもってき ました。しかし、大事なことだということなんです。ですから、むしろ方向性を先に出 して、しかし、この点はくれぐれもお忘れなく、という形になっている。従来の報告書 とは違うということでございます。  それから、今日中間とりまとめをして、今後どうなるのか。中間とりまとめというの はしばしば最終報告に事実上なってしまって、解散して、ということになる、こういっ た懇談会多いんですが、その点につきましては、今後しっかり取り組んでほしい。そし て、具体的にどのようなことを政府として考えているのかということについてこの場で 示してほしいということを事前に事務局に言ってあります。私もこのままでは不満でご ざいます。ということで、時間があるようですから、そのへんの今後の取り組みについ て、事務局からお話いただいたほうがよろしいんじゃないかと思いますが、いかがで しょう。  木村座長  そうですね、これからのこの懇談会について事務局から。そういうご発言がありまし たから。  青柳参事官  それでは私からお答えをさせていただきます。そもそもこの少子化社会を考える検討 につきましては、今年の5月に総理大臣から厚生労働大臣に少子化対策全般について の、いわば夏休みの宿題をいただいているという背景が政府の側には別途ございます。 したがいまして、厚生労働省におきましては、今回の懇談会でのご議論等踏まえまし て、その夏休みの宿題を9月中にとりまとめまして、総理にお出しいたしますと同時 に、その後、年末に向けて政府全体で、既に概算要求出ております予算、それから税制 改正、そういった具体策のとりまとめを行うという運びになるというふうに心積りをい たしております。したがいまして、後ほどまたご相談をしていただければとは存じます が、そういった私どもの具体策がある程度出揃った段階で懇談会で新たなご議論なりを いただくというのが妥当ではないかと事務局としては心づもりをしている次第でござい ます。  木村座長  ありがとうございました。ということでありますので、これでおしまいではありませ んね。事務局がこれからお金の点などいろいろ対応して、その後、ここでそれを受けて 懇談会を開くという形でございます。  もしよろしければ、今日修正された一点をここで確認させていただいて、そして、大 臣にお手渡ししたいと思っております。修正されたのは、8ページのアクション(5)であ りますが、この3行目、これを、と書いてあるのを、これらをと訂正し、4行目、起こ るかもしれない、のあとの、不妊症になったりすることを、というところを、心身のト ラブルを、とする。「これらを原因として起こるかもしれない心身のトラブルを予防す る効果も期待できます」と、そのように訂正させていただきます。よろしいですね。  青柳参事官  念のために、訂正した部分の直ったものをお配りさせていただきますので、ご確認く ださい。     <事務局、訂正版 配布>  木村座長  よろしいですか。それではこれから大臣に「少子化社会を考える懇談会」の中間とり まとめをお手渡ししたいと存じます。  このように出来上がりましたので、よろしくお願いします。     <座長から大臣に手交>  坂口大臣  どうもありがとうございます。  木村座長  それでは、ここで坂口厚生労働大臣から一言ご挨拶を頂戴したいと思います。よろし くお願いします。  坂口大臣  それでは一言だけご挨拶を申し上げたいと思います。メンバーの皆様方には大変お忙 しい中を5回にわたりましてご議論をいただきまして、本日中間報告をおまとめをいた だきまして、心からお礼を申し上げたいと存じます。  私は一番最初のときに出席をさせていただきまして、最初の皆様方のご議論を聞かせ ていただいたわけでございますが、いままでに聞いたことのなかったようなお話もその 中には多くございまして、これは非常に新しい立場からの少子化に対するご意見をおま とめいただけるのではないかと期待をして参ったわけでございます。  中間報告でございますから、先ほどからご議論ございますように、まだまだこれから いろいろと肉付けをしていただくものというふうに思っておりますが、この中間報告を 拝見いたしましても、非常にわかりやすい言葉で、そして、国民の皆さん方がこれを直 接お読みいただいても十分に理解できる表現でおまとめをいただいておりますことにま ず感謝を申し上げたいと思います。  その中身を拝見いたしましてもまた、大変かみくだいた表現になっておりまして、多 くの皆さんがこれをお読みいただければ、「なるほど」とわかっていただける内容に なっておりますことにも敬意を表したいと思っております。  先ほど事務局からお話をさせていただきましたとおり、総理から少子化に対する支援 策をまとめてほしいというお話がございまして、それは厚生労働省だけの内部の話だけ ではなくて、各省庁にまたがる、政府全体としてどう取り組むかという立場から是非ま とめをしてほしいということでございます。今月末にはその方向性、そして大体3年以 内にこれぐらいとことをやってはどうでしょうかという私の案をお持ちをしたいと思っ ているわけでございますが、しかし、それは方向性と大枠のお話でございまして、それ を実現をいたしますためには、その内容をさらに詰めていただかなければなりません し、そして、より具体的にそれをどういう手法で実現していくかということにもこれか ら取り組んで行かなければならないと思っております。たぶん年末頃までにそうしたこ ともやらなければならないというふうに思っておりますので、今日までのご努力に感謝 いたしますとともに、今後そうした問題も残しておりますので、さらに一層いろいろの ご議論を賜りまして、さらに具体的にどういう政策が必要なのかということについての ご意見を賜ることができれば大変幸いに思います。  先日、スウェーデンにお邪魔をいたしまして、少子化対策の勉強を私なりに少しして 参りましたが、日本ではなかなか行われていないことで、向こうがやっていることは何 かということを見て参りました。いろいろな点がございましたが、その中で特に、いわ ゆる政策評価というものを彼らは徹底的にやっているということだったというふうに思 います。この政策を実行することによって少なくともこれぐらい出生率は上がるはず だ。あるいは、現在実施しているこの政策によって少子化が抑えられている、といった ようなことを評価しておりました。こういう政策を実現していけば、少なくともここま では上がるはずだという、自信を持って政府に発言をしている研究機関もあるわけで す。そうしたことを、これは厚生労働省の内部なのか、あるいは外にお願いをするの か、いろいろやり方はあると思いますけれども、そうした評価も加えながら、これから やっていかなければならないのではないかというふうに思っている次第でございます。  いずれにいたしましても、本当に長時間をかけていただきまして、立派な中間報告を おまとめをいただきましたことに心からお礼を申し上げたいと存じます。本当にありが とうございました。  木村座長  大臣、まことに真摯な、そして力強いご挨拶を頂戴しましてありがとうございまし た。具体化に向けて何卒よろしくお願い申し上げます。  予定の時間まであと30分ございますが、この際、今後の具体化について、一言これ だけは言っておきたい、というようなご提言ございましたら、伺わせていただきたいと 思いますが、いかがでしょうか。16名いますから、2分話すとオーバーしてしまいま すので、1分でお願いできれば幸いであります。(笑)それでは名簿順に青木さんか ら、よろしくお願いします。  青木委員  いろいろと皆様にご協力いただきまして、また、勉強をさせていただきまして、あり がとうございました。私はこの内容では子育て支援に近いところにいて活動しているの で、こうしたところを、今度は実際の自治体のところ、それからもっと小さな地域と いったところへ足を運んで、生きたものになるように努力していきたいと思います。あ りがとうございました。  安達委員  いままで勉強させていただき、どうもありがとうございました。私は産婦人科医です ので、実際に子どもを妊娠、出産するという場面にいつもおりますし、自分でも仕事を 持って子育てをしている立場です。そういう面でこういうことがお役に立てれば大変よ かったと思いますし、同じ立場の後輩たちもたくさんおりまして、これからこれをどん どん活用していきたいと思います。また、「いのち」を中心とした内容がよく出た中間 まとめになったことを大変うれしく思いますし、子育てを中心に、お年寄り、大人もみ んなにいい環境の社会をつくるという視点が盛り込まれたと思っております。どうもあ りがとうございました。  大越委員  育時連という市民団体代表ということで出させていただいて、いろんなしがらみがな いので言いたい放題言えるのが私の役回りかなと思いまして、いろいろ意見させていた だきまして、ありがとうございました。  大日向委員  子育てに苦しんでいるお母さんたちの声を聞くということは、社会の構造の歪みがよ く見えるということ、先ほど申しましたように、どうか性別役割分業体制の矛盾を是正 していくような政策につなげていただければと思います。勉強になりました、ありがと うございました。  奥山委員  御意見募集の資料を見ましても、30代女性の関心が非常に高いということ、それ と、子育てをしながらお母さんたちが地域の中でいろんな矛盾を抱えながら生活をして いるということが非常によく表れた資料だと思います。これからは、各地域、市町村に 落として、そこでどんな地域活動、支援活動をしていくかということが大事になってく るんじゃないかなと感じた会でした。ありがとうございました。  熊坂委員  皆様方のご意見大変勉強になりました。お母さん、女性、子ども、そして、これから の世代の頂点に立った良いまとめができたのではないかと思っております。そしてま た、これからの子育ての主役は市町村だということを明記していただきました。私も市 長といたしまして、この報告を十分に読みながら一生懸命やって参りたいと思います。 ありがとうございました。  木村座長  遠いところから、本当にありがとうございました。  酒井委員  たしか最初にいただいた資料で、いろいろ皆さんのご専門があった中で、私の専門と いうか、独身というカテゴリーで括られていたと思うんですけれど、で、30代女性の 関心が非常に強いということで、いまも結婚したい、子どもを産みたいという30代の 女性の方はいろいろいらっしゃると思うんですが、反対に独身の男性の代表の方がい らっしゃらないなあという感じがしまして、たぶん、その方の協力なしには子どもはで きないという気もしますので、そのへんのご意見もこれから聞いていきたいと思いま す。  残間委員  最初、顔ぶれを拝見したときにはどんなふうにまとまるのだろうと思って、起草委員 にさせられたときに、ほんとに困ったと思ったんですが、なんとかまとまってよかった というのと、それから、今回は若い世代に立ち入ってるといえば立ち入っているので、 ここは正直のところ私は最後までちょっと抵抗があったものですから、「家庭を持って 子育てをするという生き方にも「挑戦」できるように」の挑戦にカギカッコをつけてく れと。今や、結婚や子育ては当たり前ではなくなっているという意味を表すために「挑 戦」としてほしいと言ったのです。多様化といっているんだから、パラサイトもフリー ターも認めていいじゃないかというのが根本にあったものですから、ここは結構こだ わったんですが、今日、全体のバランスで見ると、いろんなところに配慮がいってるか なあと思いました。  ただ、一方で次なる課題かもしれません、既に子どもを持った親の残酷さとか、鈍感 さというようなものも実は子どもを持つということを阻害させていると思います。一方 で無関心であることの対極に、子どもを持っている親たちが非常に鈍感だったり、残酷 だったりという、ニュースの最前線を賑わしているような事件を見ると、やはり子ども を持つのをやめようと思う人もいると思います。外国の友だちが、日本に来てびっくり するのはとにかく成田空港に降りたとたん、子どもの泣き声が聞こえると。それはうる さいといえばうるさいし、かわいそうといえばかわいそう。こんなに子どもが泣いてい る国は世界でほとんど見かけない、というのを聞くと、それは無関心さと残酷さと鈍感 さが入り混っているんじゃないかという気もいたしますから、次はその辺りも論じてい ただけたらなと思っております。  木村座長  ありがとうございました。  清水委員  大変勉強になりました。中間とりまとめということで、本当に方々に配慮の行き届い たもので、ご苦労がしのばれますので、起草委員の方々含め、事務局の皆さんお疲れ様 でございました。で、私はOL委員会というのをやっておりまして、子どもがいる人も いれば、いない人もいる。働いている人もいれば、いない人もいるという、全部ごちゃ まぜになっているところの運営をしておりますので、例えば、子どもを持ちたくない人 とか、持ちたくても産めない人たちに、配慮というだけではなくて、その人たちがこの まとめを見て激怒しないような内容のもの、あるいは、大日向先生が先ほどおっしゃっ たみたいな、さらに今後の発展ということを期待したいと思います。お疲れ様でござい ました。  白石委員  起草委員の方と事務局の方、ご苦労様でした。私は案を拝見させていただいて、私が お願いをした法整備の部分もきちんと盛り込まれておりました。これがスタートとなり ますので、これをどこまで、日本の中で広げていって、どのように実効あるものにする か、これからのほうが大変かなとあらためて思っている次第です。それから、私は組合 の役員でございますので、会社と話し合う中で、制度等々つくっていくのですが、その 運用が一番大事なんですね。つくったはいいけど、運用がきちんとされてないよという ことでは何になりませんので、そこのところをどのように皆さんに広げていくのかとか いう部分を、これからまた議論ができればいいかなと思っております。ありがとうござ いました。  松本委員  委員の皆さん、また事務局の皆さんに感謝を申し上げます。大変勉強になった次第で ございます。また、この中に何回もあります、多様性という言葉、まさに多様性を認め 合うことの難しさを今後具体的にしていき、地域で経済人としてやっておりますので、 その視点に立って具体案を練っていきたいと思っています。ありがとうございました。 水戸川委員  妊娠から子育てにかかわる活動をし、また、働く女性・母親の立場からもこの懇談会 に参加させていただきました。なお、起草委員としても参加させていただきました。自 分の分野以外の意見を聞くことができたことに非常に感謝しております。今後どうなる かなというのがちょっと不安だったんですけれども、事務局のご説明で、これから具体 化されていくということで、それでこそ、このまとめが反映されていくのではないかと 思っております。今後もつたないながらも、勉強させていただきながら活動に加わらせ ていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  山田委員  いつもアイウエオ順で最後になる山田でございます。私も起草委員としてもいくつか 意見を述べさせていただいたんですが、いろいろ話を聞いたり、調査をしたりしてみま すと、いまニューエコノミーの影響というものが相当経済の転換を促進していて、その 影響が一番若者に出ているのではないか。つまり、若者が非常に不安定になっているの ではないか。その不安定な状況にある若者というものをこのようないろんな対策で未来 の見通しを持てるような状態にしていくように努力していかなくてはいけないというふ うに考えました。どうもありがとうございました。  山崎委員  歴史的に見て、いまこの時点がどういうところにあるのかなということをふと考えて いたんですが、ちょうど平成元年に介護対策検討会というのが事務次官の下にできまし て、その暮れにゴールドプランができました。いまから振り返ってみると、介護元年 だったのだろうと思います。僅か十数年の間に、高齢者介護については飛躍的な発展を 遂げたと思います。いま、子どもの問題について、今年が「子ども元年」になれるのか どうか、そういうところにさしかかっているんだろうと思います。なんとかテイクオフ して安定した発展軌道に乗せるために、政府を挙げて頑張っていただきたいという感じ がいたします。もう失敗は許されないというふうに思います。よろしくお願いします。 木村座長   ありがとうございました。子ども元年という言葉が最後に飛び出しましたが、私い ろんな懇談会、あるいは委員会の座長をさせていただきますが、今回のこの懇談会は極 めてのびのびと皆様方ご意見くださったというのは非常に印象的です。型にはまらない というか、自由にご発言いただいて、その点は私は大変うれしく存じました。  それと、坂口大臣が先ほどおっしゃってくださいましたように、この中間とりまとめ が大変にわかりやすく、美しい言葉で書かれているというのは非常に印象的です。どな たかそういうセンスのある方が、いや、皆さんだったかもしれませんが、お出でになっ たんだと思いますが、いわゆるお役所言葉ではない表現で本当によかったと思っており ます。  皆様方のおかげでこの際厚く御礼を申し上げます。  また、大臣にも最初と最後、ちゃんと締めていただきましてありがとうございまし た。  それではこれでひとまず懇談会を閉じさせていただきます。ありがとうございまし た。  坂口大臣  どうもありがとうございました。                                      以上     (照会先) 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室  政策第一係長 野村  政策第一係  木寺 電話:03−5253−1111(内7692)