02/09/04 第2回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会議事録                    第2回              厚生科学審議会生活環境水道部会                 水質管理専門委員会                    議事録                厚生労働省健康局水道課            第2回厚生科学審議会生活環境水道部会               水質管理専門委員会議事次第  日時 平成14年9月4日(水) 10:00〜12:15  場所 経済産業省別館827会議室  出席委員(敬称略)  安藤正典、伊藤禎彦、宇都宮暁子、遠藤卓郎、大谷倫子、国包章一、  中村栄子、西村哲治、平田強、古米弘明、眞柄泰基 1.開会 2.議事 (1) 水質基準の設定経緯等について (2) その他 3.閉会 ○松田室長補佐  それでは、定刻となりましたので、ただいまから生活環境水道部会水質管理専門委員 会を開催いたします。  委員の皆様には、御多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうご ざいます。  本日は、江馬委員と大村委員におかれましては、所用により御欠席との御連絡を受け ております。  それでは、眞柄先生、よろしくお願いいたします。 ○眞柄委員長  それでは、大変暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございました。今日は、 後ほど事務局から説明がありますが、午前中2時間で、これまでの水質基準の設定の考え 方とその方法等について、確認を兼ねて御議論をいただくということと、それから、今 後の具体的なスケジュールについて御相談をしたいと思いますので、よろしくお願いし ます。  それでは、資料の確認をお願いします。 ○松田室長補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。  まず、1枚目が議事次第でございます。  1枚開いていただきますと、資料1、これは第1回の水質管理専門委員会の議事録と なります。  続きまして、資料2「厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会今後の審 議日程の目安(案)」というものでございます。  資料3「水質基準の設定・改正経緯」でございます。  資料4「水質基準を補完する項目等の設定・改正経緯」でございます。  資料5「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針の設定・改正経緯」でござ います。  資料6「現行の水質基準の考え方について」。  資料については以上でございます。  それから、参考資料でございますが、参考資料1「水質基準の国際比較」の表になっ てございます。  参考資料2「諸外国等におけるサンプリング手法」でございます。  参考資料3「諸外国等における評価手法」についてまとめたものでございます。  参考資料4「水道水質基準の検査方法」でございます。  最後に、参考資料5「総合衛生管理製造過程の承認とHACCPシステムについて」でござ います。  資料については、以上でございますが、足りないものがございましたら事務局までお 申し付けいただければと思います。 ○眞柄委員長  よろしゅうございますか。  それでは、資料1は前回の専門委員会の議事録であります。委員の方々には事前に目 を通していただいておりますので、特に間違いはないと思いますが、もし何かお気づき の点がございましたら、後ほど事務局まで御連絡をいただくようお願いいたします。  それでは、早速議事に入りたいと思います。  まず、最初に、本日は先ほどもお話ししましたように、これまでの水質基準の設定・ 経緯等について、現在の水質基準がどのような考え方に基づいて設定されてきたかとい うことについて、整理をしたいということであります。  資料2に、おおむねの審議日程の目安がございますので、この点について意見を最初 に交換しておきたいと思います。勿論、目安でございますので、必ずしもこれに縛られ ることはありませんが、先回の委員会で谷津課長からお話がありましたように、目標が ほぼ最終ラインが決まっておりますので、その中で時間的にこういうふうにしたらとい うことであります。  では、まず、事務局の方からこれを御紹介ください。お願いします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、資料2につきまして御説明申し上げます。  今、委員長からもお話がありましたとおり、来年度の早い時期に取りまとめいただき たいという私どもの希望でございますので、それから逆算をいたしまして、こういった 審議の目安ではいかがかということでつくってみたものでございます。  まず、第1回、8月1日、これは先回でございますけれども、審議の進め方について 御議論いただきました。 第2回、9月4日、本日でございますが、現在の水質基準の考え方等についてレビュー をいただこうということでございます。 次回第3回、10月上旬ということで予定させていただきたいと思いますけれども、ま ず、水質基準の今後の在り方について総論という形で御議論いただいたらどうかと考え ております。その上で、各論につきまして、先回御指名いただきました各担当主査の 方々から、今後の作業方針や作業の進捗状況についてお話をいただいたらどうかという ことでございます。  その後、10月ないし11月と聞いておりますけれども、WHOの飲料水水質ガイドライ ンの改定案が公表されるというふうに聞いております。  第4回、11月の上旬を予定しておりますが、ここから水質基準の在り方について各論 に入っていただいたらどうかということで、まず、各論1といたしまして、微生物に関 する基準、それから、化学物質に関する基準、水質検査法について、御議論いただいた らどうかということでございます。 12月上旬、第5回でございますけれども、水質基準の在り方の各論2といたしまして、 水質検査に関する品質保証、それから、水質検査のためのサンプリング・評価、それか ら、水質検査計画、更に、12月を目途に部会へ中間報告するというようなことを予定し ておりますので、部会への中間報告案について御審議いただいたらというふうに思って おります。  その上で、12月中・下旬の生活環境水道部会に本委員会の審議状況につき中間報告を 申し上げるということでございます。  それから、年を明けまして第6回を1月上旬。水質基準及び水質検査法各論3と書い てございますけれども、微生物及び化学物質に関して水質基準の設定の要否、設定する とした場合はその数値、それから、水質検査法について各項目ごとに順次御検討いただ くことを予定しております。  それから、2月上旬に水質基準の在り方、各論4とございますけれども、先ほどの第 4回、第5回で1回目の議論をしていただいた結果を踏まえて、そろそろまとめに入る というようなことでございまして、ここでは水質検査に関する品質保証、水質検査のた めのサンプリング・評価、水質検査計画についてまとめに入っていただいたらいかがか というふうに考えております。  ちょうどこの時期、2月4日からの会議だったと思いますが、WHOの飲料水水質ガ イドラインが改訂されます。 それから第8回、3月上旬でございますけれども、34条機関の在り方につきまして御議 論をおとまめいただいた後、可能であれば水質管理専門委員会報告案について、多少審 議に入っていただいたらいかがかなというふうに思っております。  その上で、来年3月下旬、水質管理専門委員会の報告案の取りまとめをお願いしたい と思います。その上で、パブリック・コメント手続、これはおおむね一月程度要します ので、そのパブリック・コメント手続を経た上で、第10回、5月中旬を目途でございま すけれども、水質管理専門委員会、本委員会の報告を取りまとめていただいたらどうか というふうに思っております。  本委員会の報告を取りまとめていただいて、これを生活環境水道部会に御報告申し上 げまして、同部会で御審議いただき、答申を6月中旬から下旬辺りにいただければと考 えております。  資料の説明は以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  先回の専門委員会でもおおむねスケジュールの御紹介がありましたが、今日改めて具 体的に案をいただいたわけですが、これについて御意見などありましたら、どうぞお出 しください。 ○国包委員  全体については特に異存はございません。 それから、ついでながら、先週、私は出張でジュネーブに行っておりまして、WHOの橋詰 さんともずっと一緒だったんですが、この中にありますWHOの飲料水水質ガイドライ ンの改訂の関係のスケジュールは大体こういうことで進んでいるということですので、 この予定の中で2か所書いてありますけれども、10月の改訂案の公表と来年の2月の改 訂と書いてありますが、これは改訂ではなくて最終案の取りまとめというぐらいに私は 受け取っているんですが、いずれにしましても、このスケジュールはこのとおりWHO の方では進むというふうに考えておりますので、御参考までに。 ○眞柄委員長  大変、有益な情報をありがとうございました。  ほかにありますか。遠藤先生、何かございますか。 ○遠藤委員  先ほどの国包先生の御発言に補足いたしますと、微生物関係のWHOのガイドライン の第3回目、すなわち最終の改訂作業が来週開かれまして、私もそこに参加することに なっております。  以上です。 ○眞柄委員長  ということになると、どうもWHOガイドラインの改訂作業で一番遅れているのが化学物 質ということですが、多分間に合うようにみんな努力していると思いますので、でも、 少し遅れるかもれしないかな。いずれにしても、そういう状況だということです。  では、おおむねこの案で進めるということにして、水質検査計画の方はこれでいくと 一番最後になるわけですが、こういう流れになるのでしょうか。大谷さんには、全国の 地方の試験所の情況を勘案してもらわなければいけないので、そちらの方のタイミング もあるのかもしれないと思うんですが、こういうスケジュールで進むということでいき たいと思います。  それでは、具体的に今日の主題であります現在の水質基準の設定の経緯について、先 生方は御存じだと思いますが、改めて復習というか確認という形で事務局から御説明を いただくことにしましょう。  まず、資料3と資料4を一括して御説明ください。お願いします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、資料3と4について御説明申し上げます。  資料3は「水質基準の設定・改正経緯」でございまして、昭和33年に初めて水質基準 ができまして以来のこれまでの経過を整理したものでございます。昭和33年に制定され て、昭和41年に全部改正、昭和53年に全部改正、平成4年に全部改正ということで、昭 和33年、昭和41年、昭和53年、平成4年に全部改正という形で大きな改正がございまし た。現在の水質基準は平成4年の改正を基本としまして、一部改正をしたものでござい ます。特に平成4年におきまして、従来の26項目が、46項目に増えております。一番最 近の改正といたしましては、先般3月に一部改正というふうにございますけれども、こ こで鉛の基準を強化したところでございます。  それから、平成4年まで、逆に申しますと、昭和53年改正までは、水道法第4条の要 件ごとに水質基準が定められておりました。更に、検査方法が省令で規定されておりま す。  現在の水質基準につきましては、生活環境審議会の答申を受けまして、健康に関連す る項目29項目、それから、水道水として生活利用上あるいは水道施設の管理上障害が生 ずるおそれのない水準として、水道水が有すべき性状ということで17項目を設定してお りまして、合わせて46項目について基準が設定されております。  それから、水質検査方法については、核となる検査方法を省令に規定し、具体的には 通知で定めているというようなことでございます。  それから、次の資料4でございますけれども、水質基準を補完する項目ということで ございまして、これに関しましては3種類ございます。1点目は、監視項目でございま す。これは、先ほど御説明申し上げました平成4年の水質基準改正に伴いまして、その 基準を補完するということで設定されたものでございます。 監視項目というのは、健康に関連する物質のうち、将来にわたって水道水の安全の確保 を期することができるよう、水道として体系的・組織的な監視を行うことにより、その 検出状況を把握し、適宜、水質管理に活用するための項目ということでございます。  当初、26項目設定されておりましたけれども、現在は35項目が監視項目として設定さ れております。  それから、2つ目として、快適水質項目でございますが、国民のニーズの高度化、お いしい水などのより質の高い水道水の供給を目指すというようなことでございまして、 アルミニウムや残留塩素など13項目について目標値が定められております。  それから、ゴルフ場使用農薬に関しましては、平成2年、これも生活環境審議会、本 委員会の前身に当たります水質専門委員会の報告を受けて設定したものでございます。 当初、農薬というのは耕作地で使用されるということが念頭に置かれていたわけでござ いますけれども、例えば、河川敷のゴルフ場などで使用されますと、それがそのまま水 道水源である河川に流入するというようなことで、水質目標を設定してございます。当 初、21農薬について設定をされておりましたが、現在は追加等がありまして26項目につ いて設定をされてございます。ここに資料がついておりますけれども、これは、それぞ れなるべく原典をお示ししたいというようなことで、先ほどの資料3につきましては関 係の法律、それから、省令を昔の文書から含めて付けてございます。資料4につきまし ても、これの設定関係、それから、改正関係の通知を準備して資料として付けてござい ます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  資料3、4で、今の水質基準と平成4年に設定されました水質基準を補完する項目の 性格とその概要について御説明をいただいたわけですが、これについて御意見、御質問 がありましたら、どうぞお出しください。特によろしいですか。後ほど資料6で、もう 少し詳しい御説明があると思いますので、では、次のクリプトの暫定対策指針の方をお 願いします。 ○岸部水道水質管理官  御承知のとおり、埼玉県越生町でのクリプトスポリジウムの集団感染を契機にいたし まして、クリプトスポリジウムの予防対策、感染症が発生した場合における応急措置等 の所要の対策を含めた暫定対策指針を策定したものでございまして、最初に策定された ものが平成8年でございます。その後、私どもの水道課で設置しております「水道にお けるクリプトスポリジウム等病原性微生物対策検討会」といったところで御審議をいた だきながら、最新の知見を加えるという形で平成10年6月、それから、平成13年11月に 見直しを実施しております。現在の暫定対策指針は、平成13年11月に見直したものでご ざいまして、これを踏まえまして、私ども全国の水道事業体あるいは水道担当部局に対 して、こういった形で対応を取るようにというようなことを指導しているものでござい ます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  水質基準の監視項目はわかるんですが、このクリプト暫定対策指針というのは、水道 法の枠組みの中からいくとどういう位置付けになるんですか。いわゆる衛生基準のとこ ろに相当するのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  現在は、水道法上の位置付けというのは無く、組織法上の任務を根拠にして、私ども はこういった形で指導をさせていただいておるというようなことになろうかと思いま す。 ○眞柄委員長  何かございますか。よろしいですか。  それでは、一応、今、規制的な措置としてある水質基準と補完する項目とクリプト暫 定対策指針の経緯を御説明いただきましたので、資料6にはそういう基準等がどのよう な考え方に基づいて定められているか、あるいは来たかということについて御説明をく ださい。お願いします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、資料6について説明させていただきます。  資料の最後から3枚目から「水道水質に関する基準の見直し等に係る検討課題(試 案)」という部分があろうかと思います。資料6の一番最後のところでございますけれど も、これは先回、主査の御指名をいただくときの参考資料としてお出ししたものでござ いますが、今回は、このうちの「基本的考え方」の仕分けに沿って、現在の水質基準が どういうふうな考え方で設定をされてきているのかというものを事務局で整理させてい ただいたものでございます。  先ほど申し上げましたように、現在のものがどうなっているかというようなことで、 なるべく原典を引用する形で資料を作成させていただきましたので、多少長くなってい ることを御承知おきいただきたいと思います。 こういった形の整理にいたしましたのも、これまで水質基準に関しましては、各法令が ございます。それから、通知がございます。それから、審議会の報告あるいは答申がご ざいます。そういったものを何度も御審議いただいたわけですけれども、今後、水道水 質管理、少なくとも水質基準に関しては、今回、御審議いただいた結果である報告を参 照すればいいというような形でおまとめいただければというのが事務局の希望でござい ますので、従来のものも重複も問わずに掲載をさせていただいたものでございます。  私どもといたしまして、従来の考え方に予断をなるべく持たずに、現在の目で当然引 き継ぐべきものは引継ぎ、改めるべきものは改めていただいて、よりよいものをおまと めいただければというふうに思っております。その上で、水質基準に関しては、今回の 専門委員会の報告を参照すれば今後はよいというような形で整理いただければというふ うに思っております。  それでは、ちょっと長くなりますけれども、具体的には松田の方から御説明させてい ただきます。 ○松田室長補佐  それでは、資料6について御説明させていただきます。  1枚開いていただいて1ページから「水質基準のあり方・性格」についてでございま す。「水質基準」ということで、まず、水道法はどういったものかというところを改め てチェックいただければということで掲載してございます。 第4条に水質基準の規定がございまして、第1号から第6号までの要件が掲げてござい ます。また、第4条第2項に基づいて水質基準に関する厚生労働省令が定められており ます。  現在の水質基準については、平成4年生活環境審議会において第2次答申が出されま して、これに基づいて設定されたものでございます。第2次答申について、1ページの 下に抜粋してございます。2ページ目に移っていただきますと、2番「水道水質に関す る基準のあり方」というところで、平成4年度の基準、現行の基準の基本的な考え方が 示されてございます。 現在、水質基準の項目は46項目ありまして、1から29の項目までが健康に関連する項 目、30から46が水道水が有すべき性状に関連する項目となっております。  水質基準については、現行では以上のように定められております。  関連事項として、第4条に基づくものではないのですが、水道水質管理に関して重要 と思われるものについて掲載しております。  1つ目が、衛生上の措置としての残留塩素でございます。これは、水道法の第22条に く施行規則第17条第3号に、給水栓における水が遊離残留塩素0.1mg/L以上保持するよう に塩素消毒をすることという規定がございます。  2つ目に「給水装置の構造及び材質の基準」がございます。資料文章中に「施行令」 という文言が抜けておりまして恐縮ですが、正しくは水道法施行令の第4条ではなく第 5条です。水道法施行令第5条第2項の規定に基づいて、給水装置の構造及び材質の基 準に関する省令が定められております。  3番目が「施設基準」でございます。施設基準は水道法の第5条に規定されておりま す。水道施設と申しますのは、取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設、 配水施設というものから構成されますが、その備えるべき要件が定められております。 当然これすべてが水質管理にも関係してくるところがございますが、例えば、浄水処理 で注入される薬品については、不純物などの濃度の基準が定められているところでござ います。  以上が、「水質基準のあり方・性格」の現状を示したものでございます。  続きまして、2「地域性・効率性を踏まえた柔軟な基準」について説明いたします。  必須基準項目・選択基準項目については、現在、水道法第20条で、定期及び臨時の水 質検査を行わなければならないとされてございまして、具体的には施行規則第15条に規 定されております。  それから、地域の実情に応じて必要な項目を検査していくということについては、水 質基準を補完する項目という考え方が平成4年に出されておりまして、これを踏まえ て、先ほど出てきましたけれども、快適水質項目と監視項目の2つが定められておりま す。 ここで考え方を紹介させていただきますと、1つ目は、基本的には現行の水質基準はす べての水道に一律に適用することが基本ですが、水道水の質的向上が求められていると いうことで、こういったものに加えて、おいしい水などにより質の高い水道水を供給す るための目標値を設定する必要があるという考えになっておりまして、国民のニーズの 高度化に積極的にこたえられるように、おいしい水など質の高い水道水を供給するため の目標ということで、快適水質項目が設定されております。  もう一つが監視項目でして、あくまで健康関連物質ということで、検出レベルが低 く、基準としては必要性は無いが、体系的・組織的な監視を行うことによって検出状況 を把握して、水質管理に活用するという項目になっております。  更に、地域性がいろいろあるということがございますが、「ゴルフ場の使用農薬」と いうのがございまして、これについても水質目標を設定してございます。  この考え方が提示されましたのが、水道部会の水質専門委員会、平成2年のときのも のです。水道として安全性を確保するためには主要な農薬について水道水として目標と なるレベルが設定され、必要な場合にはモニタリングが必要であろうということになっ ております。この水質目標は生涯にわたる連続的な摂取をしても人の健康に影響が生じ ない水準を基とし、更に安全性を見込んで定めたものであるという性格になってござい ます。  今後、いろいろ検討が必要になってくるということでございますが、(2)に「水質検査 計画」というものがございますが、現状では特にこういった水質検査計画を定めたもの はございません。ただし、この考え方については、後ほどまた詳細に御説明いたします が、平成12年にその考え方が示されております。 ○眞柄委員長  では、そこまでにしていただいて、後ほど説明をいただくんですが、皆さんの御理解 をいただきやすくするために、16ページに基準項目と監視項目の設定をどういうふうに 考えて行ってきたかという部分がございますので、16ページの基準項目と監視項目の選 定のところを御説明ください。 ○松田室長補佐  それでは、16ページの基準項目と監視項目について、その選定の考え方がございます ので御説明いたします。  水質管理専門委員会、平成10年のときのものでございます。基準項目と監視項目の選 定ということですが、基本的には、毒性情報や暴露評価から評価値を設定するというこ とです。その評価値の一定レベル以上の値を超えて検出されているものの中から、用 途、使用量、毒性といった科学的知見等を総合的に判断して、重要であると考えられた ものを基準項目に、これに準ずると判断されるものであって、定期的にモニタリングが 必要である、これを監視項目とするという考え方になってございます。  毒性情報に関しましては、WHOの飲料水水質ガイドライン等の国際的な評価、ある いは最近の文献といったところを踏まえるということと、検出状況は検出率と検出濃度 の双方を考慮するといった考え方を基本としまして検討することになっております。  基準項目は、水質管理を強制するものであることから、基準値に近いレベルとなる蓋 然性が高いものを選定するという方針になっており、具体的には、調査結果の有効な最 大値データが評価値の50%を超えており、かつ評価値の10%を超えるものの検出率が 数%のレベルであるといった判断基準になっております。  続いて、監視項目は今後の動向を把握するものということですので、評価値に近くな る可能性が乏しいと考えられるものを除いて幅広く選定しましょうということになって おります。評価基準は、有効な最大値データが評価値の数%レベル以上、かつ評価値の 1%を超えるものの検出率が数%レベル以上であるという、この2つの条件となってご ざいます。それから、評価値が暫定的なものについては監視項目としますということに なっております。  基準項目と監視項目の選定については以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、今御説明をいただいたところに関して、御質問等がございましたら、どう ぞお出しください。お願いいたします。  伊藤先生、何かありますか。 ○伊藤委員  こういうふうに出されたものが、実際の水道事業体でどれくらい配慮されているかと いうのは、何か把握されているんでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  監視項目ですか。 ○伊藤委員  はい、例えば監視項目ですね。 ○岸部水道水質管理官  監視項目の検査あるいは検出状況につきましては、私ども毎年取りまとめておりま す。これにつきましては、具体的な資料は先回の専門委員会で御提出申し上げたんです が、平成12年度で見ますと、例えばジクロロ酢酸のようなものにつきましては、全国の 1,000地点以上、この地点というのは浄水場単位でございますが、浄水場にして1,100以 上の浄水場で測定をされておると。あと、その他の項目につきましては、おおむね300浄 水場単位ぐらいで毎年検査をされているというような状況にございます。 ○眞柄委員長  そういうこともさることながら、伊藤先生が御関心をお持ちなのは、5ページのとこ ろに「体系的・組織的な監視を行うこと」というふうに書いてあるんだけれども、その 体系的・組織的ということがどの程度水道事業体間なりあるいは厚生労働省なり都道府 県の水道行政担当部局が指導しているかというか、ちゃんと見ているかどうかという辺 りになるだろうと思うんですが、そういう観点からはいかがですか。 ○松田室長補佐  水道水質管理計画というものがございまして、8ページの資料を見ていただければと 思うんですが、現行で国・地方公共団体あるいは事業体も含めるんですが、水質監視、 特に監視項目がどういった形でやられているかというところでございますが、平成4年 の見直しに伴って項目が増えたと。それから、検査技術も高度化したというようなこと から、1つには、水質検査の体制自体をより計画的に進めましょうということと、それ に加えて監視項目という位置付けができましたので、体系的・組織的な水質測定を行い ましょうということになっておりまして、その具体的なものとしましては、国で水道水 質管理計画というものを都道府県がつくってくださいよということを通知において示し ているという状況にございます。  具体的には、9ページ以降にその関連の資料がございます。 ○眞柄委員長  そういう建前になっているけれども、必ずしも組織的・体系的に行われているという 実態ではないといふうに私は理解しています。例えば、淀川の水質協議会ですとか、あ るいは相模川だとか利根川だとか、幾つかの流域単位で水道事業体なりあるいは河川管 理者も含めて、まさに体系的・組織的に行っているところはあるけれども、全国的にそ の趣旨が徹底されていないのが実態ではないかと思いますが、いかがですか。だから、 もうやられているならいいので、やられていなかったら、それを行うためにどうするか というのが、この専門委員会で議論しなければならないことだと思いますが、実態とし てはそうなんでしょう。 ○岸部水道水質管理官  御指摘のとおりです。 ○伊藤委員  ちょっと補足させていただきますと、やはり水質基準の性格に関連することなんです けれども、ここで非常に立派なことが書かれてあって、これ以上申し上げることはない ような内容なんですが、この考え方がきちんと浸透していれば、今のような状況には なっていないのではないかというところがあるわけです。つまり、水質基準はやはり世 の中に出てしまいますと、安全性評価の基準といいますか、その水が危ない水である か、安全な水であるかというものの白黒の判定基準に使われてしまうところがあるわけ ですね。私がちょっとお世話させていただいている厚生科学研究の中では、例えば、先 ほどお話が出ましたジクロロ酢酸があります。これは1998年に0.04mg/Lという暫定指針 値が0.02mg/Lになりましたけれども、それによって水道事業体では非常なマンパワーと 費用とを掛けて、大々的に調査研究が大々的に行われているんです。でも、あの暫定指 針値を決めるときに、0.04mg/Lというのは条件が1つ違えば0.05mg/Lになっていたかも しれない。ちょっと暴言かもしれませんけれども、緩くなっていたかもしれないわけで すよね。しかし、暫定指針値とはそういう性格のものであるということは、ここにちゃ んと書かれているので、それが周知されていれば、何もそれによって踊らされるという ことはなかったかもしれないと思うわけです。  したがって、水質基準を今回出すときに、そういった水質基準の性格といいますか、 あるいは基準項目も含めてだと私は思っているんですけれども、1つの目安であるとい う性格を全面に出す必要がある。 それから、発がん物質などの慢性毒性影響の場合には、積分値としてそれは評価される べきものです。すなわち、あるポイントで値を超えたから危ないということではなく て、平均的あるいは積分値として有害性が現れる筈のものですよね。 今回の改定では、以上のようなことがなお一層浸透するような形のものになればなと 思っています。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。ほかにありますか。 ○宇都宮委員  用語的なものかもしれないのですけれども、ちょっとわからないところがあります。 先ほど眞柄委員長の方からも質問がありましたが、クリプトスポリジウムの暫定対策指 針というのは、基準項目、監視項目外だと思うんですが、それがどういう位置付けなの かということと、それから、同じようなことですが、残留塩素が衛生上の措置というふ うになっていて、基準項目と監視項目というものに入っていませんよね。どういうよう な考えで、衛生上の措置になったのかということを、御説明いただけたらと思います。 ○岸部水道水質管理官  まず、残留塩素の方でございますけれども、残留塩素は根拠条文が異なるということ でございまして、水質基準は水道法第4条に基づいて、水道水として供給される水はこ ういう要件を満たさなければいけないというようなことが設定されております。これに 対して、残留塩素につきましては、衛生措置ということで水道法の第22条に基づいて消 毒その他、衛生上必要な措置を講じなければならない。その措置の中で、病原性の微生 物によって汚染されるのを防ぐということで、塩素消毒をしなさいと。その塩素消毒を した結果、給水栓のところで残留塩素として0.1mg/Lを下回ってはいけないというような 規定を定めているところでございます。  その上で、一方、消毒上残留塩素が必要なんですが、余りに多く入ってくると、当 然、水中の化学物質と反応してにおい物質を生成するということで、水道法第4条の考 え方に基づいて、快適な水質を保つために1mg/L以下に抑えるようにというような指導 をさせていただいておるということでございます。 ○宇都宮委員  結局それは、消毒方法が今後変わるというような要素を配慮しているのでしょうか。 残留塩素は基準項目の第1要件を満たしていると思うのですが、なぜ外側に置いている のかというのが、ちょっと私にはわからなかったので。 ○眞柄委員長  もともと水道法が制定されたときに、第4条と第22条と2つ条を分けて、条を分ける ということはそれなりに上下関係があるのか、それとも全く並列的な第4条と第22条で あるのか、その辺のところが余りよくわからないということだと思うんですよ。だか ら、もっと端的に言うと、第4条の水質基準を超えていても、例えば、トリハロが超え ていても給水停止にはならない。ところが、第22条の残留塩素がなかったときには給水 停止になる、あるいはクリプトも多分その第22条に関係するものだろうと思うんです が、給水停止になるということからすれば、第22条の方が水道水の安全性に関して言え ば、上位にあると言った方がいいかもしれませんが、そういうふうな理解は間違ってい るんですか。 ○岸部水道水質管理官  その辺は直ちに……。 ○宇都宮委員  いつも疑問に思っていましたので……。 ○眞柄委員長  だから、第22条は給水停止の要件だけれども、第4条は、でもシアンの場合にはあるか もしれないけれども、例えば、トリハロが超えたからといって給水停止にしなくてもい いではないかと。その代わり、給水停止にしなくてもいいけれども、トリハロが減るよ うに第5条の施設対応をしなさいというふうに考えるのであれば、理解はしやすい。そ の辺はどうなんですかということだと思うんですが、どうですか。あるいは志々目さん からでも結構ですが。 ○志々目課長補佐  この第22条については、必要な措置を講じることが定められており、この措置を担保 するものとして消毒に関して0.1mg/L以上というものが定められていると考えておりま す。他方第4条については、先ほど眞柄委員長がおっしゃいましたように、水質基準と して要件を書いているということで、この要件を達成するために第5条の施設基準等に 基づく対応を取ることとされております。第22条の場合、例えばそれに基づく施行規則 第17条の第1号で、「常に清潔にし、水の汚染の防止を十分にすること。」という措置 がありますが、これと同じ並びで第3号で消毒に関する措置が書いてあるものと理解す ることができ、この消毒の裏付けとして数値が定められているものと考えられます。 ○眞柄委員長  だから、措置を講じなければならないのだから、残留塩素で0.1mg/Lを超えていな かったら、それはだめだよと。 ○志々目課長補佐  措置は取っていないというふうに趣旨を理解すべきということです。 ○眞柄委員長  それがために、給水を継続してはだめだということになるわけですね。 ○志々目課長補佐  しかるべきアクションが担保されているという証明として数値が使われているという ふうに読むのではないかと思います。 ○眞柄委員長  私はそう理解しているから、そういうことだろうと思うんですけれども。だから、今 回は第4条の水質基準を検討しようということなので、第22条の第3項については、と りあえず議論はしないという理解でいきましょう。ただ、専門委員会の報告で、これは もう外したらということがあったら、報告事項のその他にでも書かせてもらうというこ とでいきましょう。  中村先生、何かございますか。 ○中村委員  先ほど伊藤先生からも御指摘があったことなんですが、要監視項目とか農薬のところ の基準値を決めるときに、では、測定はどのくらい、モニタリングはどのくらいやるか というような審議は前回なされていたのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。 ○岸部水道水質管理官  審議会自体で御審議されたかどうかは確認しておりませんが、報告書としては具体的 な記述はちょっと見あたらないようです。 ○眞柄委員長  安藤先生、いかがでしたか。 ○安藤委員  それは、先ほどの眞柄委員長が何となくおっしゃった体制のお話の中でやったのかな と。具体的には、こうしなさいというのはなかったですね。 ○眞柄委員長  いや、ありました。年4回以上と書いてありました。快適の方の消毒副生成物もそう ですし、ゴルフ場の農薬もあるいは季節的な変動があるので、年4回という話がたしか 書いてあったと思います。議論はしました。ただ、具体的に年4回やっているかどうか というのは、要するに、平均的な水質を把握できるような採水回数をということで、報 告書の中に書いてあったとは思いますが、少なくとも議論はしました。 ○古米委員  資料3の最初のところに基準改正などの全体的な流れが示されています。水道水質を 管理する上で、省令で定められる基準が改正されるレベルと、暫定指針を示すことで対 応するレベルなどいろいろあるようです。具体的には、水道法のレベル、厚生労働省令 として、部長通知として、場合によっては課長通知として、あるいは審議会の報告で示 した今後のあるべき姿を基礎として方向付けするなど、水道水質を管理するレベルに段 階があるように思います。その部長通知による1つの例が、「クリプトスポリジウム暫 定対策指針」であると。これは、特別に新たな問題が生じたときに、急に法律を変える なり、省令で対応することはできない場合に、迅速に、バランスを取りながら新たな基 準を作ることなく、実際上、飲み水として安全なものをいかに効率的に供給するかとい う視点で対応された結果と考えます。この辺の対応判断を今までどのようにして、どう 使い分けてきたのかが何となくわかるようで、結局わかりにくい感じがします。省令の レベルの水質基準や施行規則の改正、部長通知など、対応のルールと言うべきではない のでしょうけれども、対応に関して何か判断基準があるのでしょうか。あるのであれ ば、例えば、省令レベルの基準は何年おきぐらいに見直しを掛けるというルールを法律 の中に書くということもあり得るのかなとも考えます。この辺について、対応の考え方 や判断基準をお教えください。 ○岸部水道水質管理官  それは、先ほど御説明しましたとおり、資料6の16ページのところで「基準項目と監 視項目の選定」というところで書かれてありますように、審議会でこういう考え方に基 づいてこの物質は基準項目にするか、監視項目にするかというのを振り分けていただい ております。基準項目になれば、それは省令で整理します。それから、監視項目という ことになれば、通知で整理をするというようなことでございます。  それから、何年おきにどういうことで基準を改正するかというような御指摘でござい ますけれども、現状は明示的ではないというようなことで、今回そういった明示的な考 え方をお示しいただければというふうに考えておるところでございます。 ○古米委員  条文としては明確に見直しをすることが必要だという文章ではなくて、問題があれば 見直しや改正することを示唆する表現はあるのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  法令上、特に何年おきに見直せとかそういうような規定はございません。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。 それでは、また続いて、8ページから御説明をいただきましょう。今の古米先生の御質 問とも関係するところになりますので。では、お願いします。 ○松田室長補佐  8ページの「逐次改正方式」です。逐次改正方式ということで、必要な知見があった らその都度見直していきましょうというような考えとしては、現行ではどういったとこ ろでどう書かれているかということですが、今、古米先生の方から御指摘がありました が、法令的なところで何か書いてあるかというと、具体的に書いてある部分は無いとい うことです。 基本的な考え方としましては、平成4年の第2次答申で簡単ですけれども、ここに書い てございます。  (1)の1番目の四角に、「水道水質に関する化学技術の進歩には著しいものがあること から、今後とも幅広い知見の集積を恒常的に行い、基準見直しの検討を行うべきであ る」と。基本的には、この考えに立って恒常的に知見等を見つつ、見直しを進めていく ということになるかと思います。  2番目としまして、それでは、こういった検討を開始するための要件というのはどう いったところにあるのかということですが、具体的に明記してあるものは無いと思いま すが、基本的にはこれまでの見直しにおいては、WHO等の国際的な動向やあるいは先 ほどもありましたが、科学的知見、検出状況、検査技術等を総合的に勘案して、検討を 実施するかどうかといったところを検討しているということになるかと思います。  検討が開始されますと、今度は「水質基準の設定のための要件」というところ、どう いったところで水質基準を設定していくかということですが、これも平成4年の第2次 答申の文章ですけれども、WHO等の検査対象項目を参考にして、現行項目、それか ら、水道水源において検出される可能性のある物質といったところを母集団、検討対象 項目としまして、健康影響の知見、諸外国の基準の設定状況、検出技術あるいは水源、 水道水中の検出状況といったところを総合的に評価して、基準を設定するということで す。  水質基準と監視項目といったところの区別については、先ほど御説明したところに記 載されてございます。  見直しの要件は以上でございますが、こういった見直しを進めていく上で、水質監視 といったところが適切になされるのが重要であろうということなんですが、その辺りの 現行の取り決めといいますか、体制はどうなっているかというところで、これも先ほど 簡単に御説明いたしましたが、都道府県が水道水質管理計画というものを策定してくだ さいということになってございます。その水道水質管理計画に基づいて、1つには、検 査体制を充実するということと、それから、監視項目についての体系的・組織的な測定 を計画に組み入れてやっていってくださいということがございます。  平成4年の審議会答申に基づいて部長通知が出されて、それの更に詳細な留意事項を 課長通知で定めたものでございます。  それから、3番目の「水質監視に関する事項」でございますが、監視地点をどういっ たところに取っていただくといいかといったことや、水道事業者等、関係水質検査機関 及び関係行政機関等から成る体系的・組織的な体制といったところを明らかにしていっ てくださいといった旨の記載がございます。  逐次改正方式については以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、今の逐次改正方式と改正のときに資するための、言うなれば水質情報とい う科学的なエビデンスを得るための水質管理計画ということで御説明をいただきました が、御質問や御意見があったらどうぞおっしゃってください。 ○国包委員  私は理解が十分でなくて申し訳ないんですが、今ちょうど御説明いただいた水道水質 管理計画というものは、水質検査計画というものも別にありますよね。これと概念とし てあるいは制度上の取り扱いとして同じなのでしょうか、それとも違うのでしょうか、 言葉が非常に近いものですから私もいつも混乱するんですが、どう違うのかというのを 御説明いただけませんでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  水質検査計画というのは、各水道事業体が水道法の第20条に基づいて検査義務が課せ られていますので、その検査をどういうふうにやるかという、各事業体ごとの検査計画 でございます。 水質管理計画というのは、例えば、流域といった単位で水道水の水質管理をしようとい う計画でございまして、ちょっと言葉が似ているんですが、そういうような違いでござ います。 ○国包委員  わかりました。  更にいいですか。今の御説明でよくわかったんですが、ここで言う水道水質管理計画 というものは、そうしますと、いわゆる基準項目とかについてではなくて、専ら監視項 目についての水質管理計画というふうに考えるべきなのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  監視項目も含めてというふうに考えていただければと思います。 ○国包委員  監視項目も含めてですか。そうですか。わかりました。  更にですけれども、これでおしまいですが、都道府県ごとに水質管理計画というもの をつくることになっているということだったですよね。その場合に、私がこれまで聞い ております限りでは、その中身というのは、これも先ほど来の書いてあるものは非常に いいんだけれども実態がというお話とも関連するんですが、いわゆる機器の整備計画で すとか、それから、あとは先ほどの御説明ですと基準項目も含むということではあった んですが、特に、水源での監視項目とかの測定計画をこの中で明示するとか、この場 合、監視項目だけではなくて、水質基準項目も勿論入るのかもしれませんが、そういっ たことがメーンであるというふうに、よくいろいろな方から伺っております。大体そう いうようなところがメーンだというふうに考えてよろしいでしょうか。実態がどの程 度、水質管理計画と言えるようなものになっているかという辺りなんですが、御紹介い ただけますか。 ○松田室長補佐  基本的にそういったところかと思いますが、水質検査体制を充実したものに、計画的 に整備するということと、監視項目を中心として、そういう法的に規定されていない部 分についても体系的に、水源といったところの整合性を見つつ計画できるようにすると いうところが主眼になっているということかと思います。 ○眞柄委員長  全都道府県をということですか。 ○松田室長補佐  はい。 ○眞柄委員長  中間的な報告は来るわけですか。これは、目標年次は10年か15年後で、中間見直しを したりいろいろ対応をすべきと一応通知では書いてあるんだけれども、平成4年か5年 に各都道府県でつくったはずだけれども、その後、進捗状況なりフォローアップはされ ているんですか。 ○宇都宮委員  ちょっといいですか。神奈川県の場合ですけれども、平成5年に管理計画を策定して いまして、一応10年経ったので、昨年度に実は見直しを予定していました。ところが、 WHOの改正と水道法の見直しがあるということなので、やはり改正に合わせて見直し をしたいというように聞いております。私も神奈川県衛生研究所におりましたので、管 理計画の中で衛生研究所は地下水を水源にしているところを担当しており、基準項目と 監視項目まで含めて年2回水質検査をしていました。多分それぞれの都道府県では、そ れなりの管理計画を策定してやっているのではないかというふうに思っています。 ○眞柄委員長  札幌市もやっていますか。 ○大谷委員  札幌は道の中に入っていて、多分、札幌市は水源としては豊平川単独ということなん ですが。 ○眞柄委員長  だから、環境サイドにおける水質管理計画では、環境基本法の環境基準点の監視計画 を県で定めるというのは法律的な裏付けの上で定められるものですよね。だけれども、 この水道の水質管理計画は水道法の法律的な裏付けがあって策定するものではないとい う理解なんですよね。だから、そういう意味では、まさに今後の議論としては、体系 的・組織的にやるとすれば、都道府県単位で水質基準あるいは監視項目、原水の調査を 組織的・体系的にするということだとすれば、毎年監視計画を立てなければいけないと か、そういう具体的なモニタリングの部分と、それから、検査機関あるいは検査能力を 充実させるためのインスティテューショナルな整備をどうするかという2つぐらいに分 けて、どれかの部分は法的な根拠に基づいてするんだというようなことも検討の対象と はなるという理解でいいですか。 ○岸部水道水質管理官  当然、この委員会で議論いただく内容と考えます。ただ、それがそのまま法律に書け るかどうかは、他との絡みもありますので。 ○眞柄委員長  それは勿論そうでしょう。 ○国包委員  私はいろいろお聞きしましたが、まさに今最後に眞柄委員長がおっしゃったように、 単に計画を立てればそれでよろしいということではなくて、何のためにとかその計画を 立てて何かを実行するわけですけれども、その結果を適切にフォローしたりとか、そう いったことにつなげていく必要があると思うんです。そういった意味でお伺いしまし た。やはり、計画を立てた以上はそれをきちんと公表したりとか、あるいは場合によっ てはパブリック・コメントをもらって見直したりとか、最後のさっき言いました報告と いったきちんとした手順を併せて考えておく必要もあると思います。 ○眞柄委員長  どうもありがとうございました。  それでは、次に、水質基準の設定に当たっての考え方について、御説明ください。 ○松田室長補佐  資料6の13ページ、4「水質基準設定に当たっての考え方」ということで、(1)は「 微生物に係る基準」について、これまでの考え方を抜粋してございます。  ここでは、水質基準の考え方について書いてございまして、先ほどのクリプトスポリ ジウムの関係については、特段ここには記載はございません。  現行の基準のうち微生物につきましては、一般細菌と大腸菌群が設定されています が、平成4年の専門委員会で検討の概要がございますので、それを抜粋したものです。  一般細菌につきましては、ここには水の一般的清浄度を示す指標であるというような ことで書かれてございます。基本的には、平常値よりも一般細菌数が著しく増加した場 合には、病原生物により汚染されている疑いがあるというような考え方になっておりま す。  それから、大腸菌群につきましては、糞便性の汚染といったところに着目していると いうことで、これについても、これが検出されるということが病原生物により汚染され ている疑いがあるというものです。  いずれにしましても、病原生物それぞれ個々にこういったことが設定されているとい うわけではなく、一般細菌、大腸菌群といったこの2つで抑えられているということか と思います。  それから、(2)「化学物質に係る基準」でございます。これも平成4年の専門委員会 報告で考え方が示されてございます。  3(1)(1)健康の関連する項目でございますが、WHO等が飲料水の水質基準設定に当 たって広く採用している方法を基本としているということで、それは1日に飲用する水 の量としては2L、人の平均体重は50kgとなっております。ほかの食物、空気等の暴露 源の寄与も考慮して、生涯にわたる連続的な摂取をしても人の健康に影響が生じない水 準を基として、安全性を十分に考慮しているか評価を行ったということになっておりま す。こういった評価を行って、あとは水源、水道水の検出状況を勘案して、項目・基準 値というものが設定されてございます。  具体的に個別にどういった考え方になっているのかというのが、平成10年の専門委員 会報告で示されてございます。毒性評価、暴露分析、処理技術と検査技術の考慮をどう しているか、最終的に基準の設定の考え方はどうなっているかということでございま す。  14ページの下の囲みが、毒性評価についての考え方になってございます。検査対象項 目については、人の暴露データや動物を用いた各種毒性試験、短期毒性、長期毒性、生 殖・発生毒性、変異原性、発がん性といった毒性情報を基に評価を行うということに なっております。また、先ほどもありましたが暴露源も考慮するとなっております。  この際には、閾値があるものと閾値がないものと2つの考え方に分類して毒性評価を 行ってございます。その検討に当たっては、IARC、国際がん研究機関の発がん性評価を 基本とし、その他の発がん性評価も参考にしているということでございます。  続きまして暴露分析でございますが、これは(4)の「基準の設定」の中で具体的には 述べさせていただきます。  (3)の処理技術、検査技術ですが、平成10年の専門委員会報告で分析技術から見た検 討としましては、基準値あるいは指針値は実用可能な分析技術によって定量可能なレベ ルである必要があり、その際、定量可能なレベルでない場合には、水質としての基準化 ではなく、必要な場合には一定の技術的手法によりその確保を図る方法、ここでは定量 下限を基準値、または指針値とすることも含むと書いてございます。  それから、処理技術では、基準値は水道において維持されることが必要であるので、 その達成のための処理等の技術について必要な検討がなされなければならないというこ とでございます。  次に具体的な基準の設定方法でございます。  まず、評価値の算出についてですが、閾値があるものとないもので区別しておりまし て、閾値がある場合には、動物あるいは人に対して影響を起こさない最大の量、これを NOAEL、最大無毒性量と呼んでおりまして、それに基づいて評価値を算出するということ になっております。  毒性試験等に基づいて、ある用量以下では毒性が発現しないとみなされる場合、動物 試験あるいは疫学調査から得られるNOAELなどに不確実係数を適用して、最終的に耐容1 日摂取量というものを求めております。このTDI、耐容1日摂取量に基づいて基準値 が算出されることになります。 不確実係数は、基本的には種内差及び種間差に対して100、それから、それ以外にも毒性 試験が短期であるとか、最大無毒性量ではなく、最小毒性量、LOAELといったところを用 いた場合、あるいは毒性の根拠が重篤な場合、更に、毒性試験の質が不十分な場合に、 それぞれ最大10の不確実係数を追加するという考え方になっております。更に、閾値が ある場合においても、非遺伝子障害性の発がん性の場合には、発がん性を考慮して不確 実係数を追加するという考え方になっております。  続いて、寄与率については、食物、空気等ほかの暴露源からの寄与を考慮して定める となってございますが、なかなかこれらが明らかでないものも多いということで、一般 的な考え方としては、飲料水からの摂取量をTDIの10%を想定するという考えになっ ております。  一方で、閾値がないという場合については、飲料水を経由した摂取による生涯をつう じたリスク増分が10のマイナス5乗、10万に1例となるリスクレベルを評価値とするこ とを基本とし、その外挿法としては線形多段外挿法を基本とするというやり方になって おります。  以上により評価値が算出されましたので、検出状況を勘案して基準項目、監視項目を 設定するということになっております。この部分については、先ほど御説明いたしまし たので省かせていただきます。  最後に、(3)「性状に係る基準」については、平成4年の専門委員会報告では、色、 濁り、においといった生活利用上あるいは腐食性などの施設管理上の障害を生ずるおそ れのある項目について設定しているということでございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、基準設定の考え方について御説明をいただきましたが、まず、微生物に係 る基準についてでありますが、現在は一般細菌と大腸菌群ということになっております けれども、これについて御意見があればお願いします。 ○平田委員  前のディスカッションのところで話のあった、第22条との関係が一つ大きく私は気に なっているところでございます。第22条は今回の委員会の検討では、あれはあのままで いくということですと、微生物関係はいわゆる遊離塩素で言えば0.1mg/Lが残留している 水というのが対象であるという考え方で整理をする必要があるだろうと思います。そう した場合に、一般細菌と大腸菌群辺りをどのように評価をしていくのかということにな りますが、一つにはダブルスタンダードのようなイメージがあります。残留塩素で0.1mg /L以上を常時維持すると、大腸菌群指標で従来評価してきたような病原微生物に対して は、これまでの我が国の水道は誇っていいと思いますが、その実績から見て法律上の運 用をきちんと守っている水道では少なくとも細菌の感染症は発生しないという長い歴史 を持っているわけです。だから、そういう意味で、大腸菌群指標を今後どうするか、い じるのかいじらないのか、少し考えなければいけない。  それと、もう一つは、一般細菌と大腸菌群がある意味では類似性がある項目とも言え るおそれがあるように思います。そういう意味では万一、例えば、残塩があるといって もすべて連続監視しているわけではないし、微生物は連続監視が不可能です。そういう 観点から考えますと、大腸菌群は病原微生物によって汚染されているおそれをもう少し 的確に把握できるような項目に変更する。そして、従来の大腸菌群のようなものについ ては、一般細菌のイメージの中で補足できないかどうかということを少し考える必要が あるだろうという気がしています。  それと、クリプトの問題をどう扱うかというのが非常に問題なのかなという気がして います。今は御議論いただくような情報を提供できる条件まで私自身が来ておりません ので、第3回以降のところで皆さんの御意見を伺わせていただければと思っております が、可能ならやはり私はどういう形であれ水質基準の中に、基準項目にするかどうかは 別として、監視項目なりあるいは数値は暫定でも構わないと思いますが、危機管理だけ ではない扱いをする必要があるのではないかと考えております。その辺りのことについ ては少し考えさせてください。 ○眞柄委員長  ありがとうございます。  そういう意味で言えば、一般細菌はそこに書いているように、水の一般的清浄度を示 す指標だったら水道の性状項目でもいいし、場合によれば快適水質項目でもいいのでは ないかという議論もあるかもしれないんですが、遠藤先生いかがですか。レジオネラも 含めて。 ○遠藤委員  これまでに問題となっていなかった病原微生物として特に注目されているのがクリプ トスポリジウムのような塩素耐性のあるものと、もう一つは配水系の中で増殖し得るよ うなレジオネラ(Legionella)、あるいはアエロモナス(Aeromonas)などの新しい問 題が出てきております。これらに関しましても当然何らかの形で基準の中に反映させて いく必要があろうかと考えております。  現在水質基準になっております一般細菌に関しましては、たしか36℃で培養をしてい ると思います。大腸菌群を補完する意味合いを持たせているものと思われます。が、先 ほど委員長がおっしゃられたように、快適項目として扱うにしても36℃という体温に近 い培養温度が適当なものか検討してみたいと考えております。むしろ、もっと低い培養 温度で検出される従属栄養細菌を快適項目に加えていくことを考えてみるのも良いので はないかと思っております。この辺の問題については十分な議論をさせていただきたい なと思っております。  それから、現在は糞便汚染の指標として大腸菌群を用いておりますが、検査方法の選 択によって大腸菌と大腸菌群が同時に測定できると思います。このような方法を活用す ることで、当面は両方の測定を併行させつつ、暫時大腸菌にシフトしていくことができ るのかもしれません。糞便汚染を表現するという意味では大腸菌の方が適当と考えられ ますし、測定方法も確立しておりますことから、これまでの測定結果との継承性を持ち つつ無理なく変更することも可能ではないかと考えております。この機会に検討してみ たいと考えております。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、化学物質についてですが、最近、日本人の体格が大きくなってきて50kgで いいのか、最近、食品か何かは五十何kgに変わっているのではないかとか、その辺はど うなんですか、50kgでいいんですか。省内で確認を取ってもらった方が。 ○岸部水道水質管理官  確認した上で、次回にご報告申し上げます。 ○眞柄委員長  西村先生、化学物質全般について。 ○西村委員  1つ毒性評価のところで、今は新しく情報がたくさん出てくる時代になっていますの で、その新しい情報をどのように収集して毒性評価を新しくしていくかというところの システムが従来どうであったかということをお聞きしたいということと、それから、今 後どのようにしていけばいいのか。例えば、発がん性物質については、新しい発がん性 の評価がどんどん出てくると思いますので、その情報をどう毒性評価に盛り込んでいけ ばいいのかという体制のところを少し考えていく必要があるのかと考えております。 ○眞柄委員長  国包先生、いかがですか。 ○国包委員  化学物質ということでは必ずしもないんですが、特に微生物の基準はかなりどうする か真剣に考え直さなければいけないのではないかというふうに思っております。ただ、 かといって、例えば単にクリプトの数字を適当に付けてこの中に入れればそれでいいと いうことでもないだろうというふうに思っているんです。いろいろ考えていきますと、 詰まるところ水質基準を守っていればそれで安全というふうに言えるような水質基準を 目指すというのが、現行の制度も関係はするんですけれども、そういうふうな水質基準 にすることは恐らく無理だというふうにむしろ考えた方がいいのかなという感じを持っ ております。  化学物質に関していいますと、現在のところ考えられるものについては、一通りリス トアップをして基準を決めたり、あるいは補完する項目ということで監視項目で指針値 を決めたりとしかしておりますよね。ただ、今、西村先生もおっしゃったように、これ 以外のものがいろいろあるわけですし、そういったものはまだ重要度は低いかもしれま せんが、でも、無視はできないだろうと思います。それから、今後いろいろなものが出 てくると思います。 それにも増して微生物の方は、先ほどの平田先生のお話ではないですけれども、これだ けで水道水の微生物学的な安全が担保できるわけでは決してないわけですよね。クリプ ト以外にもほかのものもありますし、ですから、微生物に関しては水道法第22条の衛生 上の措置のこともありますが、あれがあってもまだ足りなくて、なおかつ暫定指針が あって、それでもまだ足りなくて。そういうふうに考えていきますと、やはり化学物質 も大なり小なり微生物とむしろ同じような目で見て、最終的にはWHOでも最近よく出 ますウォーター・セーフティプランという話がありますが、つまり基準を決めてそれを 守っていればそれでいいということではなくて、安全な水道水を供給するために水道全 体としてどういうふうにクリティカル・ポイントをコントロールしていくのかというふ うなことを全体としてむしろ考えて、その中で基準というものの在り方なり性格付けな りをきちんと整理していくのかなというふうに思っております。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  中村先生、分析技術上から見た検討というのが、一応項目に入っておりますが、これ について何か御意見なり御質問があればお出しください。 ○中村委員  すみません、分析方法全部をまだきちんと、水道法の方を見ていないんですけれど も、ちょっと気になったところは、例えばイオンクロマトでやって、ちょっと定量感度 が問題ではないかと思ったり、例えば、フッ化物は水道の場合には結構入っているから 測れるのでしょうけれども、環境水などの場合にフッ化物をイオンクロマト入れるかど うかという議論は、今はまだ。ようやく今度はいったんですよね、環境の方では。その 辺はどうなんだろうというのがちょっとあります。  それから、さっきの化学物質の件なんですが、例えば、発がん性のデータは国際がん 研究機構という、先ほど西村先生もおっしゃったんですが、ほかの毒性はどういうデー タ、前回の委員会でも質問したんですが、ここではWHOと最新の文献を見て、毒性評 価をどんどん入れていくというふうに言っているのですが、それはどういうシステムで 最新の文献から得た最新の毒性のデータが取り入れられているのかというのは、私も ちょっと知りたいところです。 ○眞柄委員長  これまでのいきさつを申し上げますと、WHOではガイドラインを見直す際に、WH OとUNEPがやっておりますEnvironmental Health Criteriaをベースにして、それから 、農薬についてはJMPR、これはWHO/FAO、それから、食品添加物についてはWHO/FAOの 毒性の評価の情報が変わるたびに、言うなれば見直してきている。平成10年でも一部基 準の改正をしましたが、そのときには海外でそこまで整理されている、例えば、今回で すとWHOの関係のは2001年ぐらいまでのジャーナルが全部レビューされていますが、 そこから後1年分ぐらいは追加でレビューを加えて、それでどうかというようなやり方 でこれまで進めてきていますので、そういう意味では、ある意味では最も新しい情報に 基づいてTDIの値を決めているというやり方を進めてきています。  それでは、時間も余りないので、次の水質検査のところをお願いします。 ○松田室長補佐  続きまして、18ページの5「水質検査」でございます。水質検査方法につきまして は、水質基準に関する省令においてその方法名が挙げられてございます。詳細は「水道 水質に関する基準の制定について」という通知が出されております。本日の参考資料4 として添付してございますので、後ほど参考いただければと思います。  基本的な考え方としましては、近年の検査技術の進歩に対応した検査方法を採用する ということで、最新の技術が反映されるように努めるということでございます。それに 加えて、精度管理の重要性が指摘されているということです。  検査方法は基準に適合してるかどうかの判断ができる精度の確保を前提とし、水道と して実用可能なものとすべきだというふうになっておりまして、一部では自動分析シス テムの導入も考慮すべきであろうとされております。  更に、定量限界については、原則として基準の10%とございます。  続きまして、品質保証についてですが、これまで精度管理の重要性については、平成 4年の第2次答申を踏まえて通知が出されているという状況です。  「水質検査のためのサンプリング・評価基準」でございますが、水質検査の際にどう いった基準でサンプリング、試料採取を行っているかというところでございます。水質 検査につきましては、大きく分けますと定期及び臨時の水質検査、それから、事前の水 質検査と2つに分けられると思います。 定期及び臨時の水質検査は、水道法の第20条に規定されてございます。具体的な検査頻 度については、水道法施行規則の第15条に、1日1回の場合は色、濁り、消毒残留効 果。それから、おおむね1か月ごとに行う水質基準項目があります。また、その中で省 略できるものがあるという規定になってございます。  これを含めて水道法施行規則、それから、それを踏まえた通知が22ページ以降に出て おりますが、それを踏まえますと、定期水質検査の対象というのは、基本的には水道に より供給される水が対象、すなわち給水栓水ということが基本となっております。それ に加えまして、通知においては、原水も対象にすべきであるということになっておりま す。  採水場所につきましては、基準の適合の判断ができる場所で、基本的には給水栓水、 それから、それを具体的に示したものがありまして、施設の構造、配管の状態等を考慮 して最も効果的な場所を選ぶとか、必要に応じて水源や配水池、浄水池等も検査するこ とが望ましいということでございます。  それから、送配水システム内で濃度上昇がしないことが明らかであれば、給水栓では なく浄水場の出口などの送配水システムへの流入点において、採水場所を選定すること ができるといった規定もございます。  検査頻度につきましては、先ほどの施行規則にございましたのが基本的なものでござ います。具体的には通知でいろいろ、それをどういった場合に省略できるかといったと ころの考え方が示されてございます。  臨時の水質検査というのが別にありますが、これは水質基準に適合しないおそれがあ るというときに行うというものでございます。  22ページ、検査頻度の省略の考え方ですが、健康関連項目でおおむね過去5か年間の 水質検査の結果の最大値が基準の10%以下である場合には、1年に1回以上にまで省略 できるということになっています。抜粋ですので一部抜けておりますが、「できるこ と」の後ろに、消毒副生成物、農薬等の年間の変動パターンが明らかな場合についても 規定がありまして、その場合は、基準の10%を超えていても年間の平均的な値が求めら れる時期を選んで、1年間に4回以上まで省略できるというような考え方となってござ います。  23ページの下の欄に、生活環境審議会の平成12年の報告がございますが、これまでの 考え方のより一歩進めた考え方を提示している状況にございます。それが24ページ以降 にございまして、ちょっと長いのですが、1つには、浄水施設の工程管理の一環として 行う検査というものと、いわゆる品質検査という2つの性格に分けられようということ でございます。省略ができないものと省略できるものという考え方を分けてございまし て、後で見ていただければと思うんですが、別紙5が後ろにありまして、表3−1とい うところに、当時の専門委員会の考え方が示されてございます。  それから、それに加えまして、水質検査の項目、頻度についてということで、やはり 水源の状況あるいは水源の周辺の状況といったところも踏まえて、省略の仕方とか頻度 というものを考えていく必要があるのではないかという指摘。 それから、25ページは代替指標ということで、突発的な水質の異常を迅速に発見すると いう目的からは、必ずしも水道水について水質基準項目を監視する必要はなく、むしろ 原水についてそれに代替となるような指標を監視することにより対応できる場合がある のではないかという考え方を示してございます。  25ページの下は、認可の場合には水質検査の対象は原水とされております。 それから、「給水開始前の検査」でございますが、これは水道法13条に基づくものです が、給水を開始する前には、基準の46項目と消毒の残留効果をチェックしてくださいと いうことになっております。これは、原則としまして給水栓水が対象となります。  27ページに「評価基準」とございますが、水質基準値が超えた場合に、それをどうい うふうに判断するかといったところは、平成4年の専門委員会で検討されてございま す。それを踏まえて通知が出されております。水質異常時、基準値の超過が継続するこ とが認められるという場合には、健康項目に関しては、更に人の健康を害するおそれが あるという場合に取水あるいは給水の緊急停止措置、関係者に周知といった措置が必要 ですということを言っております。  それから、28ページ、「水道水が有すべき性状に関連する項目」では、基準値を超過 して生活利用上等で障害が生じるおそれがあるという場合には、原因究明、低減化対策 といったところが基本となってくるということです。  それと、「水質検査結果の評価」ですが、「健康に関連する項目」では、短期的な検 査結果から評価すべき項目と、長期的な検査結果から評価すべき項目の2つに分けてご ざいます。短期的な方では、一般細菌、大腸菌群。これは検査ごとに基準値と照らし合 わせる。シアン、水銀についても基準値の性格としては生涯にわたる連続的な摂取に対 しても安全であるというレベルなんですが、従前からの扱いを考慮して一般細菌、大腸 菌と同様にその都度照合する。  長期的な検査結果から評価すべき項目についても、それ以外の項目になるのですが、 やはり検査ごとに結果の値をチェックしまして、基準値を超えている場合は原因究明、 低減化措置といったところが必要で、それが継続するとなれば、先ほどの緊急的な対応 が必要というなっております。  29ページは、性状に関連する項目ということですが、これについても検査ごとの結果 の値を基準値とその都度照らし合わせて、必要に応じて基準値を超えている場合には原 因究明、低減化措置といったところが基本ですとなっております。  それから、「水質検査計画」です。これは平成12年の専門委員会報告で提示された考 え方でございます。基本的には、水道基本問題検討会の報告で、事業者の視点に立つと か、自己責任原則が重要ですとか、健全な水循環系の構築といったことが重要ですとい う指摘があるので、そういったことを踏まえて効率的・合理的な水質管理を行っていく にはどうしたらいいかというところの提案になっております。それが30ページに具体的 に載ってございますが、水道事業者の役割としましては、いわゆる水質検査計画という ものを策定しまして、その結果を評価・公表するということをやる必要がありましょ う。その際には、従前の全国一律的な水質管理ではなくて、水源種別、それから、水質 検査結果、水源周辺の状況等について総合的に検討して、自らの判断によって水質検査 等の内容を計画する、それが水質検査計画ですということになっております。  それから、都道府県の役割としましては、流域という観点から必要な助言、指導とい うことが考えられましょうということです。 それと国の役割としましては、水質検査計画についてのガイドラインといったところの 技術的な支援というものが1つあるのではないかということでございます。  それから、続いて31ページの「水道事業者による水質検査計画」ですが、基本的に は、水道水質基準に適合することを確認するための検査というものを位置付けましょう ということです。それに加えて原水、それから、代替指標といったところも考えて計画 に位置付ける。その際には、水源とか検査結果、周辺状況という地域性を踏まえて考え ていくということです。  それから、水道事業者は毎年度水質検査計画を作成し、監督行政機関に報告すると。  3)で、この監督行政機関、国または都道府県は、それに対して必要な場合には技術的 助言を行いましょうと。  4)の水質検査計画では、当然ながら基本方針を設定し、定期の水質検査はどういった 項目、頻度、地点、方法、だれがやるかと。それから、その考え方はどういうものかと いうところを書く必要がありましょうということでございます。  最後のページになりますが、水道事業者自らが評価を行って、必要に応じて計画の改 定を行い公表する。それから、その客観性を確保するための監査等の体制も検討が必要 とされてございます。  この辺りの仕組みといったところは、水道法の体系の位置付けで運用されることが必 要であり、監督する行政機関によって、ここでは計画の事後確認等の体制といったとこ ろも検討されるべきだろうというふうな指摘がございます。  なお、経営基盤の弱い簡易水道等の小規模水道事業者については、都道府県等が支援 ということもありましょうといったものが、平成12年の専門委員会報告で報告がなされ ております。  資料については、以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、まず、水質検査の方法とQA/QCの辺りについて、御質問や御意見があれば 出していただきたいと思います。  では、安藤先生、何かありましたらお願いします。 ○安藤委員  今も幾つかここに載っていないことが動き出しているとは思うんですが、やはり水道 というものの検査が外部に委託される状況ということになっているわけで、そこで1つ のQAなりQCなりを求めているだけでいいのかという問題、これはやはりそろそろ結 論を出さなければいけないのではないか。つまり、水道事業体が出したデータというも のの信憑性というものを、ちゃんと保証できるような体制をつくり上げていく必要があ るのではないかというふうに思うということです。この問題については眞柄委員長とも 何度かお話ししておりますけれども、例えばISOの問題だとか世の中ではそういう動 きになっていて、水道はそれでいいのだろうかということも、やはりもう一回立ち返っ て考える必要があるのではないか、そんな気が簡単に言うとございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございます。  古米先生、結果の評価にいろいろと記述があるんですが、この辺のところで何か御意 見があれば、出していただきたいと思いますが。 ○古米委員  水質検査計画やその結果の評価についてしっかりと提言はされていますが、実際上ど う行われているのかという現場実態がわかっていないものですから、それが正しい評価 なのかという懸念もあります。大事な点は、実施されたことがどのようにフィードバッ クされて、本当の役に立つ形で水質管理に利用されているのかという点であり、そのあ たりの実態を十分に理解していくことが重要かと思います。 ○安藤委員  結果の評価のことなんですが、先ほどちょっと基準のところで言いそびれたんです が、例えば28ページの3の(1)イで、シアンだとか水銀については短期的なものを見な さいよとなっている。水道の場合、その基準ももう一回真剣に考えると、微生物は短期 暴露の問題が非常に大事だよと。短期暴露という言い方もおかしい、一発が勝負だよと いうことですね。化学物質の場合は、非常に長い暴露が問題だよとなっているわけです ね。ここでシアン、水銀というのは非常に短期暴露が問題だよと言っているわけです ね。実際はどうかというとそうではないわけで、突如ある瞬間にぽっと出てきた問題は どうするんだ、シアン、水銀の話はもう終わったでしょうと。それは確かに水道法に書 いてあるからしようがないと言えばしようがないんですが、そういう問題ではないで しょうと。そこもやはり考えなければいけないし、そういう基本的な問題は一応議論し なければいけないし、あるいは基準にどう反映させるか、基準とオーバーラップして困 るならば、そこでフォローするデータとして、いわゆるEPAがやっているような1日 暴露ではここまでが限度だよ、あるいはそれがどのくらい測るのかは別問題としても、 1か月はこのぐらいだよとか何かそういう考え方を取り入れていくべきではないか、そ んな気もいたします。 ○眞柄委員長  だから、どこかの段階で、水道水源事故の実態を事務局とか厚生労働省で把握してお られるでしょうから、そういうものを出していただいて、少なくとも水銀の事故などと いうのはもう起きてはいないし、それから、シアンは浄水場でどちらかといえば弱アル カリですけれども、遊離塩素処理をやっているわけだからシアンなどというのはなく なってしまうわけで、そんなものは給水停止しなくてもいいというようなこともあるの で、そういう意味では、今後の検討の過程で、言わば緊急的な措置を取らなければなら ない項目あるいはそれの状態とそうでないものというようなものも議論をしていただく ということが大事だというふうには思いますので、その辺をよく御承知おきいただきな がら議論をしていただきたいと思います。  中村先生、何かございますか。 ○中村委員  ちょっと勉強不足で申し訳ないんですが、基準というのは原水にも掛かっているもの なんですか、原水は全く基準には掛からないんですか。 ○眞柄委員長  では、それは事務局から。 ○岸部水道水質管理官  水道法では安全な飲料水の供給という観点から、水道により供給される水、基本的に は、給水栓から一般消費者に供給される水の水質についての基準を定めてあります。原 水で基準を超えていても、当然そこで浄水操作を行うことになりますので、原水までは 基準はかけない、ということでございます。 ○眞柄委員長  基本的には給水栓の水ですが、水道によっては例えば地下水を使っているところは、 その地下水からくみ上げた水に塩素だけ入れて配っているところもありますので、そう いう意味では、原水は水質基準の対象ではないけれども、施設が適正に設置され管理さ れているという観点から、原水も測定してほしいということになっております。 ○中村委員  そうすると、原水は例えば環境基準でチェックしていればいいというふうな考え方は 成り立つんですか。健康項目で、かなり環境基準と水道基準がオーバーラップしていま すよね。そうすると、原水は例えば水道事業体はモニタリングする必要はないみたいな 考え方も出していいんですか。 ○眞柄委員長  それもありと思いますし、ただ、実務的なことを言いますと、水道の取水点が環境基 準の測定点と一致していないところが非常に多いという問題は存在していると思いま す。  それでは、ほかに大谷さん、何かありますか。ちょっと時間が過ぎてしまってすみま せん。何かありましたらどうぞ。 ○大谷委員  水質基準は給水栓の水が対象なんですけれども、それぞれの水道事業体では工程管理 ということもありますので、水源の情報がどうしても必要になります。取水点と環境監 視の測定点が一緒で、情報交換の体制ができていれば、しかも水道事業体が必要なレベ ルの感度や精度でデータを入手できるのであれば、環境基準点のデータを利用して、取 水点の測定を省略できるのですが、現状は必ずしもそうではありません。実際には水源 の水質検査は必ずやっています。さらに、それぞれの流域によって影響を与える事業所 や温泉等がある場合には、必要な箇所に監視点を定めて水道事業体独自でモニタリング をしているという現状です。ただ、全国的に見ればかなり広域にわたって流れている河 川があるので、国土交通省や環境省サイドで個別に測っているデータをもっと有効に活 用できれば、水道事業体としても助かるのではないかと思います。是非そのあたりの情 報の共有化についても考えていただきたいと思います。 ○眞柄委員長  ありがとうございます。  国包さん、何かございますか。 ○国包委員  その後の水質検査計画のところですが、私も今、御説明をお伺いしながら、これは2 年半くらい前になるのでしょうか、こういった議論をそういえばしたなというようなこ とを少しずつ思い出しておりました。そういっては何ですが、この中にはかなり先進的 なこともいろいろ書いてあって、非常にいいと思っているんですが、これは古米先生で はないですけれども、専門委員会の報告なんでしょうか、答申でしょうか、そういった ものですので、まだこれが実現をしているというわけではない段階ですよね。ですか ら、そういった意味では、この辺のところをベースに見直しをきちんとすれば、検査計 画に関してはよろしいのかなというふうに思っております。  もう一つ、そのことに関連してなんですが、これはこのことだけではなくて、ほかの 面でも都道府県のこういった水道水質管理についての役割分担というものを少しきちん と整理して考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。基準だけ いいものを決めてもしようがないというのは、恐らく皆さん合意できるところだと思う んですが、どうやってその基準を守るかとか、あるいは万が一基準が守れない場合にど うするのかとか、そういったことの中で、やはり都道府県の役割というのは非常に大き いと思います。例の国直轄の水道事業体と都道府県が担当する水道事業体というふうに 今分かれておりますけれども、特にそういった後者のものについてどうするかという大 きな問題があろうかと思います。  以上です。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  私が思うのは、先回の基準改定以来10年経ちまして、大分データがたまってきたわけ ですね。年1回まで省略できることになっているんですが、10年測ってきて、もう10年 たまったら、2年に1回か3年に1回ぐらい、別に工程管理の項目とか何かで補完する 必要はあるだろうと思いますが、必ずしも1年1回でなくてもいいというようなことを 検討してみるのも意味があることだろうと思いますので、その辺も後々のところで議論 をしていただければというふうに思います。  時間も過ぎましたので、この辺で終わりたいと思いますが、次回以降は最初にお話が ありましたように、具体的なことについて議論を進めていきたいと思いますので、よろ しくお願いいたします。  議事でその他がありますが、その他については日程でございます。先生方からあらか じめ日程の御案内をいただきましたが、恐れ入りますが、10月は7日の午前、今日と同 じ時間で設置をさせていただきたいと思います。11月につきましては、今の予定では8 日の午前に設定をさせていただきたいと思います。12月については、先生方に日程調整 表をお渡しして調整したいと思いますが、事務局では12月6日ということですが、6日 は私が教授会が入っておりましてちょっと無理なので、9日ないしは10日ぐらいになる というふうにお考えいただきたいと思います。その辺のところで先生方の御都合をいた だいて調整をさせていただきます。 ○岸部水道水質管理官  もし可能であれば、12月もここでお決めいただければありがたいと思いますが。                  (日程調整) ○眞柄委員長  では、12月は9日の午前でお願いします。  ずっと午前で2時間ぐらいの刻みでやってきておりますので、スケジュールからビハ インドすることがあるかもしれませんが、そのときには12月のワーキングデーのぎりぎ りぐらいのところで、もう一回12月末に開催させていただくかもしれませんが、それは そういうこともあるということで、9日の午前ということでお願いします。  では、どうもありがとうございました。事務局でほかになければ、これで終わりたい と思います。                    −了− 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4032)