02/09/04 第3回新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ議事録        新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ第3回全体会                              日時:平成14年8月14日(水)                           13時30分〜                        場所:厚生労働省省議室9階 ○ 医事課長  ただいまから、「新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ」を開会させていただ きます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席いただきまして、誠にあ りがとうございます。初めに、本日は下村委員及び吉田委員からご欠席との連絡をいた だいております。本日も文部科学省から高等教育局医学教育課長の村田課長、労働基準 局監督課から引地中央労働基準監察監督官が出席をしております。どうぞよろしくお願 いいたします。  それでは本日の議事について、矢崎座長よろしくお願いいたします。 ○ 矢崎座長  それでは議事に入りたいと思います。その前に、本当にお盆の中、しかも暑い中を委 員の皆様にお集まりいただきましてありがとうございました。本日は下村委員及び吉田 委員と、論客の方がお休みですが、活発なご意見をいただければ大変ありがたいと思い ます。前回までの全体会において、各小委員会の検討結果のご報告をいただきまして、 それぞれの委員会の持たれている課題について、一通りの議論をお願いしたいと思いま す。本日は引き続いて各項目の議論をいただき、順次取りまとめさせていただきたいと 思っております。  まず初めに、本日の資料はたくさんございますので、事務局から説明をお願いいたし ます。 ○ 医事課長  まず資料全体について、確認をお願いしたいと思います。資料1が委員の名簿です。 資料2がプログラム小委員会の検討資料で、2−1から4まであり、内容改変点等につ いては後ほど説明させていただきます。資料3が施設基準小委員会の検討資料です。資 料4が処遇等小委員会の検討資料で1から3までです。資料5が委員提出資料で、梅田 委員、西岡委員、そのほかに本日は堺委員の提出資料と、星委員の提出資料が追加にな っております。あと参考資料として参考の1、2がございます。以上ですが、資料の不 備等がありましたらご連絡をいただきたいと思います。  それでは引き続きまして内容変更点について順次説明をさせていただきます。 ○ 事務局  資料2、3について説明させていただきます。まず、資料2−1、「医師臨床研修の 目標(案)について(第4版)」です。これについては、これまでのご意見を踏まえて 、変更させていただいた点のみについてご説明いたします。資料2−1の10頁です。「 経験すべき症状・病態・疾患」ということで、前回から全部で35項目書かせていただい ておりました。こちらの下線のものが4項目増加になっております。7番、14番、15番 、11頁の33番が追加に下線として増えています。  11頁の中段辺りに、2.「緊急を要する症状・病態」があります。こちらの必修項目 として16番の「熱傷」が下線として追加になっています。  12頁です。こちらは「経験が求められる疾患・病態」ということで、前回までは囲み の疾患と下線の疾患、及び外科症例1例というものが必修項目となっていました。今回 はこれを少し体裁を改め、Aを付けた疾患については、「レポート提出を求める疾患」 です。もう1つがBの疾患で、「外来診療または受け持ち入院患者の合併症等で、自ら 経験するというもの」とカテゴリーの付け方を変えさせていただいています。さらにそ れらを付けた疾患が、前回までは囲み疾患と下線疾患合わせて18項目であったものを、 今回はA疾患、B疾患合わせて24項目に増やさせていただいています。  また1点訂正なのですが、「必修項目」と書かれた大きな四角枠の下に、「全疾患(9 4項目)のうち70%以上を経験することが望ましい」とありますが、これは事務局のミ スで、88項目の間違いです。細かい症例その他については、ここでの説明では省略させ ていただきます。  16頁の下のところに括弧を付けています。こちらはカテゴリーの付け方として、A疾 患は10項目あります。こちらは患者調査による入院患者数が2万人以上のもの、またB 疾患のうち14項目については外来患者数が2万人以上のもの。また、B疾患はそれ以外 に24項目あり、こちらは比較的頻度が高く重要であると思われるものにマークを付けて いるということです。  18頁です。「特定の医療現場の経験」ということで、上の段、(3)「地域保健・医 療」のところですが、3)「診療所の役割」は前回追加させていただきましたが、こち らに括弧付きで(病診連携への理解を含む)という言葉を追加させていただいておりま す。以上が資料2−1、「医師臨床研修の目標(案)」の追加点です。  次に資料2−2、「研修プログラムの基準(案)について(第5版)」です。2頁、 2番目の研修方式の項目の中の(2)を追加させていただいています。こちらは「研修 医は、研修期間中、研修プログラムに基づき研修に専念すること」という文言を追加さ せていただいています。  次に3頁です。こちらは基本的に数字等、変更はございませんが、(案)をa、b、 c、dという4つの案ということで修正させていただいております。内容については前 回と変更ありません。  次は資料2−3です。「研修医の評価(案)について(第2版)」ということでお出 していますが、3頁、「研修管理委員会」の評価に関する事項を挙げていますが、(3 )の4つ目の○、「外部評価者による評価もあわせて行うことが望ましい」という文言 の追加、また、5つ目の○、「研修医が研修終了に至らず研修プログラムを中止したと きには、研修医の求めに応じて、その時点までの研修内容及び評価に関する証明書を交 付すること」という事項を追加しています。以上が資料2の追加点で、資料2−4のマ ッチングのほうは前回と同じです。  資料3です。「臨床研修病院の指定基準(案)について(第4版)」ということで、 修正点は2頁の2番、「施設、人員等に関する基準」の中で、(2)診療科のb案です 。2頁のいちばん下で、bの1行目に「内科、外科、精神科、小児科、整形外科」の後 に、「脳神経外科」を追加させていただいております。同様に次の3頁の(3)「指導 医」のb案にも「脳神経外科」を追加させていただいております。以上が資料2、資料 3の説明です。 ○ 事務局  引き続きまして資料4についてご説明いたします。「研修医の処遇について」です。 前回のご指摘を踏まえた修正点を中心に簡単に説明いたします。まず資料4−1です。 こちらの修正点は1点です。2頁目の(2)の「研修手当」の項目を修正しています。前 回のワーキンググループにおける高梨委員のご指摘を踏まえ、「臨床研修病院は、当該 病院における勤務医の初任給との均衡に考慮した研修手当てを支払うよう努めること。 その際、臨床研修病院は少なくとも最低賃金額以上の研修手当てを支払うこと」という 、前回の資料の案のaと案のbを合わせたものとしております。資料4−1の修正は以 上です。  続いて資料4−2です。初めの2枚の紙については前回と同じものです。3枚目、「 出向契約書(例)」ということで、こういう出向契約書の例がありますよというものを 示したのですが、こちらも前回のワーキンググループでの高梨委員のご指摘を踏まえ、 第12条について、労災保険加入のところですが、「出向先乙が加入し、保険料を負担す る」と書いています。それと第16条のところですが、「出向期間が終了した後で、研修 医が出向元のほうに復職するものとする」という規定を置いております。資料4−2の 修正点は以上です。  資料4−3です。前回のワーキンググループで指摘された事項についての整理したペ ーパーになります。前回のワーキンググループにおいて指摘された事項は3点あり、1 点目が「2年間の研修期間における労働契約の期間について」というもの。2点目が「 臨床研修の労働的側面と教育的側面をどう区別するのか」という話で、3点目が「国立 病院を含むローテーションの場合の公務員法制との関係がどうなっているのか」という 話です。1点目の指摘事項なのですが、2年間の研修期間における労働契約の期間につ いてですが、この指摘の内容なのですが、臨床研修の研修期間は2年であるけれども、 労働契約の契約の上限は原則1年と労働基準法で決められている。この労働契約の期間 についてどうするのかというご指摘でした。それについて5行目からの字体を変えてい る所を見ていただきますと、「労働契約の契約期間を1年とし、その1年の期間満了時 に労働者が労働契約の解約の意思表示をしないというときには、一度に限り、同一内容 の労働契約を自動的に更新する旨の自動更新契約とあらかじめしておく」ということに よって、2年間の研修期間中、研修医の身分を保障しつつ、労働基準法の1年の上限に は違反しないということは可能です。  次頁です。「臨床研修の労働的側面と教育的側面について」というペーパーです。こ ちらの指摘事項は、臨床研修というのは労働的側面もあるが教育的側面もある。それを 区別することはできないのかというご指摘でした。ただし、今回まとめたのですが、労 働関係法制の観点からは、使用者が実施する労働者の教育についても使用者が出席を強 制するというものについては労働時間に該当するのだということで、労働的側面と教育 的側面というものを区別するというのはしていないとなっております。また、このペー パーの「なお、研修医については」という以下なのですが、「裁判例においても研修目 的からくる自発的な発意の許容される部分を有し、その意味において特殊な地位を有す ることは否定できないが、全体として見た場合、他人の指揮命令下に医療に関する各種 業務に従事しているということができるので労働者に該当する」のだと。教育的部分と 労働的部分というものは区別せずに、全体として見た場合ということで判断しています 。また、その控訴審においても、病院のほうは、研修を受ける臨床研修医と病院の関係 というのは教育者と被教育者の関係であるのだ。労働者に該当しないのだという主張を したのですが、こちらのほうも裁判所のほうは退けているということになっております 。いずれにしても、現在の労働法制の上では、労働的側面、教育的側面という区別はし ていないということです。  3点目の指摘事項、「国立病院を含むローテーションの場合の公務員法制との関係に ついて」なのですが、こちらのほうは今回は資料は提出しておりません。まだ現在引き 続き検討をしているところです。 ○ 矢崎座長  いかがでしょうか。前回検討した上での訂正ですが、まだ十分な結論には至っていな いところと、あるいはまだ現時点では対応できないところが幾つかございます。いまの 事務局の説明にご質問するということよりも、いまはほとんど元のものとあまり変わら ないので、もう少し議論を進めさせていただきたいと思っております。前回、幾つかの ご提案というか、ご要望がありました。まず1つは、下村委員を中心に、臨床研修の目 標について、もう少し整理したらいかがなものか。卒前教育からすべて入っているので 、臨床研修で何を学んで、どういうことを到達目標にするかというのがあまりはっきり 見えていないのではないかというご質問があったかと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 北村委員  この点に関して、私と堺委員と島田委員が電話等その他で了解を得たのですが、まず 、下村委員のおっしゃるとおり、卒前の教育は変わりつつあります。したがって、ここ に書いてある多くのことは、卒前の中に取り上げられています。特に行動目標の医療人 として必要な基本姿勢、態度、この辺りは卒前でも真っ先に教えることです。したがっ て、これをこの研修の目標から外すことを考えましたが、多くの人のご意見をいただき ますと、卒前でやるレベルと卒後やるレベルではもちろん違う。まして医療人としての 患者、医師関係、チーム医療等々には一生涯かかっても勉強していくようなことであり 、ここを削ることは研修目標にはそぐわないのではないかという意見が強いので、とり あえず削らないでおきたいという意見です。  その後、いちばん最後のほうにあるのですが、新しいものの17頁に予防医学というの があります。研修医は保険医療の下で働くわけで、予防医学に関しては保険が適用され ていませんので、予防は学生時代に勉強するものであって、保険医療の中で医療をやる のではそぐわないのではないかという意見がありましたが、医師として予防医学を心が けることは当然であり、これも治療医学に通じるものですので、削ることはそぐわない と思います。  ということで、我々3人個別ではありますが、とりあえず下村委員のおっしゃるよう に卒前に落とし込んで、もう卒後やらなくてもいいという内容はないのではないか、と 、申し訳ないのですが、そういう結論に達しました。 ○ 矢崎座長  いかがでしょうか。堺委員、あるいは島田委員から追加はございませんか。 ○ 島田委員  卒前の教育で実際に経験し、学習するということと、この中に含まれていることは重 複しているところはあると思うのですが、卒前にしたから卒後にはもう一切しなくても いいとも言い切れないというところだと思うのです。ですから、一遍やったからもうし なくてもいいですよという立場に立ってもいいですし、あるいはもう少し詳しくやって もいいですよというような、考え方になるのではないかと思うのです。 ○ 矢崎座長  ありがとうございました。重なる点は多々ありますが、卒前と卒後では学習するレベ ルが違うということと、大切なことは卒前、卒後に繰り返してもいいのではないかとい う結論で、目標についてはこの原案でよろしいということでよろしいでしょうか。あり がとうございます。 ○ 櫻井委員  この資料についてなのですが、第4版と5版というのは、5版が新しいという考え方 でよろしいのですか。 ○ 事務局  その点について事務局から申し上げますと、それぞれの先生方のご議論を踏まえて、 バージョンアップさせていただきまして、最新では第5版ということで今日出させてい ただきました。 ○ 矢崎座長  これはおそらくリバイズが1回行われていなかったということではないでしょうか。 ○ 櫻井委員  第4版というのは前回もありましたが、これは前回のものと同じものですか。 ○ 事務局  この目標については前回第3版で今回は第4版ということになっているかと思います 。 ○ 櫻井委員  これに皆さん賛成なさっているようなのですが、これも必要だ、あれも必要だという ことで、いろいろな項目を加えますと、結局以前の卒前のポリクリ的なものになって、 あまり密度の高い研修が受けられないことにもなります。これらはオプションとして入 れるとか、そういった考え方もあると思います。 ○ 矢崎座長  これは先ほどの大枠の下にあるように、この中の88項目のうちに70%を経験すること がであ望ましいとか、そういうことである程度整理をしたということになっているので すか。 ○ 北村委員  12頁以下の88項目がここに出てきた経緯を、大元からこの機会に調べましたが、先生 のおっしゃるように、もっともっとたくさんの項目から文部省のときの国立大学のカリ キュラムを作るときの20数名の委員で投票をして、どうしても学ばせるべきものという ので、確か6割以上の先生が学ばせるものとして取り上げたものが、この(1)(2)(3)(4) のレベルです。そして、その中でも、是非というのが事務方で発生頻度等を見て付けて いただいたA、これは入院が2万人ということで、Bのランクは外来が2万人プラスい ま言った専門外の人でもこれだけは一応満たしておいたらというので、投票の票数の高 かったものから選んできたわけで、むしろかなり専門でない人がせめてこれだけはとい ったものが多いので、確かに何やかんやと言っているうちに、ちょっと増えてきたよう な気もしないでもないのですが、そういう経緯です。  もう1つ、この前の医学教育学会で、たしか医科歯科の先生だったと思うのですが、 現在の研修医が、もしこれでやったとして、どうだろうというアンケートをお取りにな っています。そうすると、内科を半年以上、特に一般病院で半年以上やると、これの8 割方ぐらいがカバーできるという内容のご発表だったと思います。大学病院もスーパー ローテーションに変わって、いろいろ工夫すれば、大学病院でも一般病院においてでも 、2年以内で十分この70%はカバーできる分量だと思っております。 ○ 堺委員  17頁のCの「特定医療現場の経験」なのですが、私は必ずしもこの辺は北村委員、島 田委員に賛成するわけではなくて、これだけ多項目を網羅的に入れて現場を経験するこ とというのはかなり厳しいと思います。ある程度これは卒前教育でしっかりやっていた だいて、病院なり、そういう所でそういうことを十分経験すればいいわけであって、例 えば前回下村委員がおっしゃったように、「それでは保健所へ行かなければならないの か」とか、そこまでも規制するというのは現実的ではないような気がしています。 ○ 松田委員  いまの堺委員のご意見に私も賛成です。この17、18頁を見ますと、これは書き方の問 題ではあると思いますが、「必修項目」と囲んでありますが、ここの書き方は従来のそ れまでのところと、少し違っていて、総論的なことを必修項目と書いていますが、ここ は必修項目とはちょっとニュアンスが違うと思うのです。例えば救急医療ですと1)か ら7)がある。もし救急医療の現場を経験するのだったら、その中のある部分は必修で あろうということでないと、何かこの各項それぞれ全部のことを経験すること、現場で 経験することというのを必修項目と書いていますが、この文言は少し誤解を招くのでは ないでしょうか。あえて「必修項目」と書いておられる理由が分かりにくいというか、 誤解を招くのではないでしょうか。 ○ 医事課長  17頁の医療現場の経験という中での「必修項目」は、まさにそういう現場を経験する ということが必修であって、1)から7)の全部を必修としているという意味ではない つもりで書いたわけです。その書き振りが必ずしも適切でないということであれば、そ ういういろいろな現場を経験するという趣旨が伝わるような書き振りに訂正することは いいのではないかと思います。 ○ 矢崎座長  ですから、いまのお話は、個別的な項目をたくさん、「など」は入っていますが、「 の現場を経験すること」となると、みんな回らなければいけないというニュアンスにと られないかということですので、これについては文言を変えさせていただきたいと思い ます。そのほかにはいかがでしょうか。 ○ 高梨委員  3頁の「行動目標」の関係ですが、ここに記載されているような患者、医師の関係、 チーム医療、次頁の安全管理、医療面接など、いずれも大切なことだと考えています。 ただ、若干こんなふうに考えるのですが、3頁の(1)の患者、医師の関係で見れば、 患者、家族のニーズを把握できるとか、あるいはインフォームドコンセントができる、 あるいは(2)のところでコンサルテーション、あるいはコミュニケーションが取れる とかというのがあります。また、4頁には(5)として医療面接としてコミュニケーシ ョンスキルを身に付けることが大事だということが書いてあるわけです。このことを誰 がやるかということになってきますと、基本的に指導医の先生がその都度機会をみなが ら、実施をするということになるのだと思います。  さて、それではコミュニケーションスキルについて、体系的な十全な研修教育を指導 医の先生が十分にできるのかどうかというのが多少あるのかなと思います。そういう場 合に、研修病院以外の民間の資源の活用を指導医の先生が考える、あるいは研修生自身 が自主的にそういうところを活用することも考えられるのではないかと思います。すで に民間企業において、CS(Consumer Satisfaction)、CRM(Customer Relationship Management)などのコンサルティングサービスを行っている所もありま す。また、コミュニケーションスキルの講座を開いている所もあります。研修の過程で こうした外部の資源を活用するということも、望ましい1つの選択肢と考えられるので 、義務化ではなくてそういうことも考慮するということがあってもいいのではないかと 思います。 ○ 堀江委員  先生がいまおっしゃった指導に関連することですが、これは当然指導的な立場になる 人たちに対しての講習ですとか、一方でファーカリティ・ディベロップメントとしての 教育ということも行われていくわけです。その中において、例えば先生がおっしゃるよ うに医学そのものに関連しない医学以外の領域の方々から得られる情報というのは、確 かに若いドクターを教育する上で非常に重要な情報が得られるということはあり得ると 思います。例えば我々にしても、教育に取り組んでいくときに、経営を担っている人た ちの経営に対する取組み方という教育を受けますと、それを医学教育に応用することは 可能であるということは実際にあります。ですから、そういうことは指導医の資格要綱 のところにファーカリティ・ディベロップメントといった要綱も入ってくるということ になると思います。講習を受けること、あるいはそういうのに出席することといった条 件付けも、自ずと入ってくると思います。ここに研修目標として大きな目標が掲げられ ていますが、この大きな目標が、まず大前提でして、それに到達するために行動目標と して具体的な項目、こういうことができるようになることによって、研修目標が達成で きる。その行動目標を達成する背景には、こういったことを経験する必要があるのだと いうことで、それぞれの目標の設定の立て方というのは、そういうように最終目標を達 成するためのプロセスとして、こういうことをやっていけばこうなるでしょうというこ とで組まれていると思います。プログラムに対する審議の中では、基本的にはこういう 方向で目標に向かって研修を行っていくということで、一応皆さんの意見をいただいた 上で、基本的にこういう目標の立て方でいいのではないかということになりました。 ○ 矢崎座長  よろしいでしょうか。コミュニケーションについてはいまお話いただいたことは非常 に大切だと思います。ただ、これを教育するには、コミュニケーションスキルといまお っしゃられたのですが、本当に行動科学に基づいた、経験だけに基づいた方法ではなく て、しっかりしたスキルというのがやはりここにはあると思います。厚生労働省がもう 5年になりますが、臨床研修指導者講習会というのを研修財団を櫻井先生と私が理事で やっていますが、そこでは毎年50名ずつ4回にわたってこういうコミュニケーションス キルを中心とした教育指導を行っています。いま卒業生は臨床研修指定病院、あるいは 大学病院の指導者で、もう1,200人以上に達しています。おそらくこれからは、こうい う方面に力を入れて指導医を、この臨床研修必修化に備えてさらに、要するに指導者が どうやって教えたらいいかということを学んでいただくという講習会を、今後も強力に 押し進めていただければと思います。これは厚生労働省の臨床研修のサポートと同時に 、大学側でもそのようなことをしていただければ、大変ありがたいということで、この 辺については実際にしっかりした指導体制がとれるように今後も見守っていきたいと思 っておりますので、よろしくお願いいたします。  それではご議論はあると思いますが、またリバイズさせていただいて、臨床研修の目 標については一応まとめさせていただきます。次はプログラムに関してですが、これに 関しては前回、施設基準ということも含めて、何人かの先生に議論の土台になる資料を 出していただけないかとお話申し上げましたところ、本日は資料を提出いただきまして 、誠にありがとうございました。では、プログラムの基準と施設の問題も絡めて、一応 議論させていただきたいと思います。まず、提出された資料に順じて、かい摘んでお話 いただければと思います。いちばんご熱心に資料を作っていただいた梅田委員からご説 明いただけますでしょうか。 ○ 梅田委員  それでは簡潔に説明させていただきます。資料5−1です。これは我々が公立病院と いいますか、病院群で研修をするときの1つの案として出させていただきました。「千 葉県立病院群による臨床研修について」と、もう1つは「千葉県立病院研修プログラム (案)」ということで、これはプログラム(案)ですので、こういうものも我々は作っ ているということでご覧いただきたいと思います。  この臨床研修の体制ですが、「千葉県立病院群による臨床研修について」の2頁をご 覧ください。これは私どもの県立病院群の臨床研修カリキュラムの特徴として、研修シ ステムの特徴ということで、地域中核病院と高度専門センター病院のローテーションを いろいろな病院でする。そして、うちの特色として救急医療一次から二次救急を地域中 核病院、二次から三次を救急医療センター、救急医療をやる、小児医療をやる、終末期 緩和医療をやる、精神科をやるということ。それから千葉県がんセンターを中心とした 病院群でやるということです。  そして、研修プログラムの特徴はここに書いてあるとおりです。指導体制の特徴はこ こに出ているところですが、2年間の研修を通じて、一貫して指導する担任指導医を置 く。当該科目の指導医は担任指導医、プログラム責任者と協議した幅広い指導を行う。 そして評価をきちんと行うということです。  具体的なものをご覧いただきたいのですが、いちばん後ろに3枚の絵があります。こ の3枚の絵の1枚目、「千葉県立病院群研修管理組織図(案)」ということでご覧いた だきたいと思います。まず真ん中に研修管理委員会というのを置いています。これは私 どもの病院群の場合、上から8つの病院、がんセンター、救急医療センター、精神科医 療センター、こども病院、循環器病センターがどちらかというと高度医療センター、で 、医師担リハビリもそうです。それから東金、佐原病院というのが県立の一般病院です 。これだけが群になって行うということで、その施設長とプログラム責任者というのを 置いています。プログラム責任者は12人から14人の研修医、群を統括する責任者という のを置いており、その責任者、管理型病院の事務局長、県庁の中の課長を置き、研修管 理委員会を置いています。この研修管理委員会の下に事務局、臨床研修管理班というこ とで、これは事務的なサポートが絶対に要りますので、管理型病院の中に事務局を置い て、臨床研修担当主管、事務官を置きたいと思っております。そして、このプログラム を常にリバイスしなければならないということで、プログラム委員会を別に置き、内科 、外科、小児科、救急、産婦人科、精神科、緩和医療、リハビリ、地域医療の1つひと つの代表科のプログラム委員会を置いております。そして、プログラム責任者が12人か ら14人の研修医を見るわけですが、研修医については担任指導医というのを置きます。 これは次のローテーション表を見ていただきますと、わかりますが、卒業して4月にす ぐオリエンテーションに入っていただいて、このオリエンテーションの中では健康保険 のこと、患者さんへの接遇のことをひと月やっていただき、5月になってきちんと免許 が出てからローテーションに入ってもらいます。各病院とも内科から始まるのも、外科 から始まるのも、小児科から始まるのも、救急から始まるのも全部あり得べしと考えて います。そして、いろいろな病院に飛ぶわけですが、その最初の病院での指導医を担任 指導医として、その人が2年間師弟関係というか、2年間面倒を見る、フォローアップ をすることになります。そして、各病院では、例えばいちばん上の研修医A君は5月か らがんセンターで3カ月間内科をやりまして、8月は産科を2週間、婦人科を2週間や っていただき、別の病院へ行って、9月はひと月精神科に行く。そして、そこの各病院 には指導医はいますが、最初の病院で付いた担任指導医が最後までその人をフォローア ップをするという形にしたいと考えています。  ですから、その次の絵になりますが、最初の所で研修開始時点では16年5月から7月 まで内科としたときには、最初の人が研修A、B、C、Dをがんセンターでとある医長 さんが指導をする。そうしたら、その次はこの人たちは11月から12月は外科を研修する のに別な所に行くわけですが、その別の病院ではその別の病院の指導医に指導を受ける わけですが、最初の指導医が担任指導医としてその人をフォローアップしているという ことの説明をこれはしています。  これは具体的な流れですが、我々の考え方としては、その資料の5頁をご覧ください 。「千葉県立病院臨床研修規定(案)」がありますが、これはもう病院長さんたちだけ で検討したものですので、我々県庁のほうで法令的に見ているものではありませんが、 我々が考えている研修管理委員会についてはいまご説明したものです。次頁のプログラ ム責任者、担任指導医等についてのご説明をしたものです。そして、臨床研修の評価で すが、評価はきちんとやらなければならない。それから基本研修ですが、我々の考え方 としては内科、外科、小児科、救急、産婦人科、精神、緩和医療、リハビリテーション 、地域医療、この9科目についてはやはりきちんと全部見てもらおう。内科、外科は3 カ月、救急、小児科も3カ月、そのほかは1カ月としています。ですから残り6カ月が 選択研修になりますが、それは我々の考え方としては3カ月ごとに2科目までというこ とで、その科目は次の8頁にありますが、各病院でこんなことができるというのを提示 して、それを希望するとできるということです。または、いろいろな症例が偏った場合 には、場合によったら担任指導医のサゼスチョンで、その不足しているところを再履修 ということもあり得べしということを考えております。具体的な形ということで、この ような形を出させていただきました。議論の参考になればと思います。 ○ 矢崎座長  ありがとうございました。大変具体的な細かなところまでご提示いただきましてあり がとうございました。これが地域病院での1つのモデルケースになるかと思いますが、 何か委員の方々でご質問がございますでしょうか。 ○ 島田委員  いわゆるスーパーローテーションのプログラムが数10名で組まれているのですが、千 葉県のいままでの経験に基づいてこういうものをやっているのでしょうか。それとも今 から新たにこういうことをすると頭の中で考えてやっていることなのでしょうか。 ○ 梅田委員  そのとおりです。これをやりたいということで考えていることです。 ○ 島田委員  というのは、我々の経験では、例えばレジデント数10名の中で、こういうふうにスー パーローテーション的な形を進んで、好んで自ら積極的にやろうとする人は比較的現在 は少数なのです。ですので、意気込みはすごくいいのですが、うまくお互いに合致する というか、いいプログラムだな、是非あそこに行ってやろうという人がたくさん出てく れたらいいと思いますが。 ○ 梅田委員  そのお言葉はどういう意味でしょうか。我々は新しい制度を作らなければいけないと いうことでやっていることですので、昔ながらの所にしか人が来ないという意味でした ら、それはそうですかと私はお答えするしかございません。こういう形で我々は頑張り たいと思っております。 ○ 星委員  その頭の中で考えているというのはすごくよくできていると思います。まさにそうい うものを今から作っていこうという、千葉県の試みを評価しますが、1つ気になるのは 、県立病院だけでは多分行動目標のすべてが達成できないのではないかという部分、特 に地域医療の部分においては外部の人たちの力を借りなければいけない部分があるのだ ろうと思うのです。そういう人たちとの理解、あるいは交流などはどんな形でやること を想定されているのか、教えていただけますか。 ○ 梅田委員  実際に診療所に出かけて行くとか、保健所の場合には県立の保健所がありますので、 そこで、研修することになると思います。実際は診療所との連携とかになりますと、病 院の中には地域連携室がありますので、そこを理解していただくとか、私どもの場合は 東金病院という所で地域の先生方との連携を電子カルテシステムなどを使って、そうい うことを非常に熱心にやっておりますので、そういう所で勉強していただこうかなと思 っています。まだ、とにかく今度の新しい臨床研修の体制に向かって作る試案ですので 、それは星委員のご指摘のところも踏まえて、これからどんどんバージョンアップして いきたいと考えています。 ○ 山口委員  いまの千葉県の県立病院群は本当によく作ってあるなと思います。いろいろな所でこ れは導入可能な現実性のあるプログラムではないかと思います。そういう点は先生方が 中心になってこの県立病院の先生方と一緒になってお考えになったのだろうと思います 。2点ほど教えていただきたい点があります。1つはいま星委員がおっしゃった、ここ では全部固有名詞に病院名がなっていますが、場合によってはこれが他の病院、民間で あっても他の公的病院であっても、病院群を組むという場合には、そういうことも想定 されておられるのかということが1点。もう1点はここに「地域保健」と書いてありま すがこれは保健所、あるいは市町村の保健センターと、保健所に限らず、そういうよう な点も視野に入れられた地域保健だろうと思うのですが、その点も教えていただければ と思います。 ○ 梅田委員  ほかの病院に出ることもあり得べしだと思っています。地域保健というのは保健所も ありますし、介護保険関係のいろいろな施設に回っていただくということの両方を考え ています。 ○ 櫻井委員  これは案として非常によくできていると思います。特に第1点はオリエンテーション を4月から始めるということは非常にいいと思うのです。いまでも大学病院をはじめ国 家試験が終わってから研修を始める所はありますが、2年間という限られた期間を考え れば、やはりオリエンテーションは4月から始めたほうがいいのではないかと思います 。  それからスケジュールについてお伺いしたいのですが、実際にこれを実施した場合、 どのくらいの研修医を採用し、採用した研修医に対して各科で適切な教育、特に期間1 カ月の科目は適切な教育ができるかどうか。あとは精神科、小児科、地域の医療という のは内容を考えればいい教育を授けるというのは施設的に難しいことが全国的にあるの ではないかという感じがするのですが、人数と実際の教育材料というか、症例数につい てはどのようなお考えがあるのか。その点をお尋ねします。 ○ 梅田委員  この資料の11頁をご覧ください。我々が考えたのは、これは大学のような教育病院で はなく現場の病院ですので、指導医は実際の診療をやりながらの指導ですので1人の指 導しかできないと考えています。各病院のドクターの数でどれだけの指導ができるかと いうので、マキシマム52人だと考えてこれを作ったわけです。  次の12頁に研修ローテーションの実際というのがあり、ABチーム14名、CDチーム 12名が各科をこういう所でとやりましたが、実際に律速段階といいますか、結局私ども は精神科を1カ月としていますので、その精神科が律速段階になってしまいました。や はり指導者の体制でグループが何人の研修医を研修できるかというのが決まってくるの ではないかというのが、我々の検討結果でした。 ○ 堀江委員  基本ローテーションの構成については、これからまだ審議されることだと思いますが 、研修目標を達成していくときの基本となるのは、内科、外科領域です。そういうこと からも原案では内科、外科8カ月、そしてコアとしての4つの診療科、内科、外科、小 児科、救急が12カ月以上ということで小委員会としては意見の一致を見ておりました。 それでお聞きしますが、先生の示されたプログラムでその辺の取組方はどうなのかとい う点と、5つの領域をローテーションしますが、例えば救急が先にくるということが起 こってしまうだろうと思うのです。結果として2年間研修する中で、全体とが研修でき るということかとは思いますが、内科等の基本的な領域の前に、救急、あるいは産科、 精神科等の研修が先にきて、その後、内科となる。そういう点についてはいかがお考え でしょうか。 ○ 梅田委員  いまおっしゃったように、これを見ていただきますと、産婦人科とか精神科とかは、 やはり内科、外科をやった後に組みました。最初は内科、外科、小児科、救急というよ うに導入を組みました。正直言いまして、内科、外科から始めますと、内科、外科がい うなれば、その年の前半に集中してしまう。実際我々の大学のときのベッドサイドを考 えますと、私などはもう20何年前の教育ですが、やはり18ホール全員配置して「ヨーイ ドン」で始まったわけで、内科、外科、小児科、救急から始めれば、基本的なところか らいけるのではないかということでした。  我々はこれを3カ月で組んでいますが、こちらでの結論が4カ月ということになりま したら、またそれで動かしますし、また、選択研修をどうするかについても、またこち らでの決まり方によってそれを短くするとか、考えたいと思っております。  やはり5月、6月、7月、8月にドーッと集中していいのかどうか。現実、救急、小 児だったらいいのではないかというのが、我々ドクター間の結論でした。 ○ 堺委員  大変基本的な質問なのですが、これは8つの病院をまとめたということは県立病院で も研修できるということなのか、あるいはいまのご議論から考えたら8つを例えば2つ とか3つのグループに分けてしまえばいいと思うのです。あまりにも大きい組織で、多 くの研修生を扱うというのはどうかなという気もするのですが。 ○ 梅田委員  この病院群の場合にはやはり救急センター、精神医療センター、精神の救急という、 本当にこれは日本でも珍しいのですが、こども医療センター、がんセンター、そういう ものを持っておりますのでこうなったということと、これは病院の連中も非常に密接に 連携がとれているのでできるということです。  もう一つ、県立病院の中で人事的なもの、移動するときのような社会保険の管理とか 、そういうものも不要なので非常に簡単にできるという意味で、ここまででも可能だと いうことで提示してあります。ですから、病院群によってはこれを2つ3つのところに まとめてもいいと思いますが、たまたま、私どもの県立病院ではこれだけの機能を持っ たものがあってやりやすいという、それも割と密接した所にありますので。そういう意 味でございます。 ○ 北村委員  基本的なことをお尋ねしたいのです。ここにある病院は専門的な病院ですね。専門的 な病院が集まって総合病院に匹敵する、という議論は一見当たっているようだけれども 違うような気もするのです。例えば、がんセンターに皮膚科があるかどうか知らないで 言っているのですが、単独型で必要とされる皮膚科とか耳鼻咽喉科がこの専門群では欠 けてくるのではないかということと、1人の患者で複数の疾患を持った場合になかなか 対応できない。それを全人的な医療で診ようというのが研修なのですが、専門病院です からなかなかそういう対応が難しいと思うのです。要するに、専門病院が集まって1つ の総合病院に相当するかというのが1点。  2つ目は、指導医が担任をするというのは言葉では非常にいいのですが、東金や佐原 で何かアクシデントを起こしたと。指導医が「ちょっと話がある」と言われて千葉市か ら駆けつけても小1時間以上かかりますから、電話で済む話ならいいのですが、何とな く指導の責任というものが曖昧になるのではないか。指導医というものはそれなりに地 域的にも近いほうがいいのではないか。  3点目は、この規約案に書いてあるのですが、県の嘱託医員として50何人を採用する ということなのですが、要するに、千葉県がこの人たちの給料を持つことと私は理解し たのですが、研修を一旦引き受けたからには、今年は10人です、来年は30人です、とい うようなデコボコは社会的に許されないと思うので、その50何人という大所帯を年余に わたって引き受け続けるというそれなりの担保などはあるのかという質問です。 ○ 梅田委員  1点目については、実は、内部でも議論があるのです。専門病院の中でのドクターが 例えば「私は小児循環器の医者であって小児科の医者ではない」、「腫瘍内科の医者で あって内科ではない」とか、そういうように言う方がいらっしゃいます。それについて は、「お前、とんでもない話だ」ということで言っております。これは、言うなれば大 学の先生などはもっとひどいと思いますので、きっちり考え方を改めてもらってやって もらいますし、我々が教育を受けた先輩方もそういう先輩方ですから、それは考え方を 改めてもらってやるべきだと思います。  逆に、研修をやる病院が広がれば広がるほど、医者自体の研修というものは医者自身 がきちんと後輩たちを教えるのだという意識改革につながればそれは解決される問題で はないかと思います。  指導医ですが、担任指導医と指導医があって、指導医はとにかくその病院の中で指導 をするわけです。担任指導医というのが、2年間、その人をフォローアップするわけで すから、例えば東金は千葉から車で1時間ぐらいかかりますが、何かあったときには東 金病院の中で院長をはじめ現場の指導医がやるわけで、それについて後で担任指導医が 行くことがありますが、当然、それは現場の指導医がやるわけですから、一義的には責 任を持つわけですから、そのように少し離れていても問題はないと考えております。  雇用ですけれども、おっしゃるとおりです。これはばら付きはあります。我々は最大5 2人ですが、52人来るとは思っていません。これだけできると書いているだけですが、そ うしたときに県のほうでどういう定員を確保しておくかというのは、実は、これからの 問題なのです。それについては、総務部、人事課、財政課のほうと完全に詰めて出した ものではありません。これは病院長たちの計画ですので、これから処遇のほうでどれだ けきちんとしていただけるかとか、そこが出てから完全に人数が出てくると思います。 その中でも、今年は20人、来年は10人ということもあり得るべしということで制度を組 まなければいけないと思っております。それはこれから事務的な詰めをしたいと考えて おります。 ○ 櫻井委員  短く質問させていただきます。これは病院群を考える場合に問題になると思うので質 問をしたいのですが、基礎的臨床能力を授けることから考えますとがんセンターはかな り高度な施設と思うのです。このがんセンターを管理型病院とした理由をお聞きしたい 。これは地域性ですか、病院のサイズですか、スタッフの面ですか。どういった意味で 管理型にしているのですか。 ○ 梅田委員  これは千葉県立病院の中の全体でのがんセンターの位置付けとスタッフの多さという ものです。それから、実は、こういう議論を始めたのは去年ぐらいからなのですが、そ の段階では臨床研修指定病院が300床とか、そういうものがありました。たしか、ほか の病院はそこまで行ってないのです。そういうことがありまして、総合的に考えて、ス タッフの多さからも考えてこういうようにしたわけです。ですから、逆に、管理型病院 に対する要件というものがあれになれば、逆に、その管理型病院をまた別の所に移すこ ともあり得ると思います。 ○ 花井委員  2つあるのですが、1つは4頁の(11)です。「自己評価を行い、第三者による評価 を」とあるのですが、第三者というのはどういう方たちの構成を想定されているのです か。  もう一つは、私みたいな素人にはこういうものを見せていただいて大変イメージが湧 いてありがたかったのですが、そこで思いましたのは千葉県の場合は千葉大学がありま すよね。研修の場合、単独と群でやるものとあるのですが、例えば大学病院が単独でで きたとしても地域の病院と群をつくってやるということは可能だったのですよね。これ は事務局の方に聞いたほうがいいと思うのですが、例えば県立でやる場合、大学病院と 県立、大学病院と民間の病院、そういう組み合わせなども施設基準の中では想定されて いたのでしょうか。もし決まっていたら大変初歩的な質問かもわかりませんけれども、 そこをお教えいただきたいと思います。 ○ 梅田委員  評価についてですが、6頁に書いておりまして、規定の12条の所で「研修の評価は以 下の各時点で行う」ということで、研修期間ごとに、自己評価に加え、指導医が、担任 指導医やプログラム責任者と協議して行う。この際、受け持ち患者や他の医療スタッフ の意見も参考にするということで、こういう意味でも第三者評価だということです。  それから、事務局がお答えになる前に、私どもの考え方では千葉県の医療の実際を考 えてみると、千葉県のこども病院、小児科とか精神科が律速段階になり得ると考えてお りまして、千葉県立のこども医療センターは、千葉大がどうお考えなのか知りませんけ れども、千葉大、また他のプログラムを受け入れなければならないのではないかと思っ ております。ですから、精神科医療センターもそれはあり得るべしと考えておりますの で、当然、県立病院のグループを組みながらも、千葉大からの研修、国立千葉病院から の研修、順天堂大浦安からの研修、東邦大佐倉からの研修、すべてあり得るべしと考え ております。 ○ 矢崎座長  いまの梅田委員のお話で原則としてはよろしいですよね。 ○ 医事課長  結局、群をつくることになるので、その群の話はまだ施設のところで残っていますの でご議論いただきたいのですが、いまのところ特に大学病院としての制約は考えていな いということです。 ○ 二村委員  ローテーションのことですが、3枚目の紙で外科だけで見てみますと、それぞれの病 院が外科の中でのいろいろな領域を担当するのだと思いますが、研修医の方は、救急を 除くと4カ所でしょうか、外科を研修するためにこの4カ所の中を3カ月間で回るので しょうか。 ○ 梅田委員  実は、この色分けがどこの病院に行くかということなのです。 ○ 二村委員  そうすると、3カ月間固定ですか。 ○ 梅田委員  固定です。 ○ 二村委員  実は、愛知県の例ですと、ローテーションをやっていますとがんセンターはいままで3 0年間は不参加なのです。研修医も行きません。「まあ、できないだろう」というように お互いに思っていましたし、実際もできないと。初期段階の研修にはふさわしくないだ ろうということで、受入れ側も行く側も経験上そんな感じだったのです。循環器に関し ましてもそういう印象が強くて、外科系の初期のトレーニングをするには専門的すぎる のではないか、というような感じでどうもうまくいかなかった経験があります。がんセ ンターですと、いろいろな臓器別にまたあるのですが、一個一個の臓器がまた専門分化 していますので第一線の一般病院で一般的な外科のトレーニングをするにはよい実績が 挙げられないなという印象を持っていますが、それに関してはどうでしょうか。 ○ 梅田委員  私もそこら辺までの細かい議論には参加していないのですが、先ほども言いましたよ うに、逆にそういう所でもきちんと研修医を受け入れて指導をするという習慣というか 、そういう態勢をとりながら専門のこともやっていくような病院にしなければならない のではないか、というのがこのプログラム委員会、県立病院の方々全体の意向なのです 。がんセンターだから、がんの高度なことだけをやって、研修医は知らんよ、せめて6 年目から来なさい、ということではいけないのではないかという話の中でいまのこうい う話が進んでいるのです。先生のご意見はまた持ち帰りまして。 ○ 二村委員  そうしますと、がんセンターで患者さんの受入れ態勢の機構を変えないと多分できな いと思います。一般的な患者さんを受け入れるという姿勢をつくって、それ相当のスタ ッフをそろえないと少し難しいのではないかという印象を持ちました。 ○ 松田委員  繰り返しになりますけれども、非常に努力をされているのがわかってよいボールを投 げていただいたと思いますけれども、何人かの委員のご意見にもありましたように、い まのような仕組みで県としては何かまとまらなければいけないという力が働いてやられ たと思うのです。そういう県とか国とかほかのいろいろな括りがどうしても頭にあると すれば、そしてそういう中でこういうものがどんどん出てくるのかと思われます。とに かく何か集めていろいろな所を回せば何とかなる、というサンプルになったら折角出さ れているものが危険だと思うのです。いみじくも委員がおっしゃったように、上からや れと言っても医師が現場でやれるかどうかということも大変疑問です。それと、最後に 1点だけ。私は、ずっと管理型で申し上げていますけれども、先ほども出ましたように ジェネラルホスピタルといいますか、管理型というのは単に帳簿をつくってマネージメ ントをするのではなしに、一つのコアとなる病院であって、それで足らないところはい くつかつながるという、そういうところをつくっていくのが筋だと思うのです。何か、 県ということでまとめるということで専門的病院も集めて、というのは本当に大丈夫な のかなという気がいたします。 ○ 星委員  いまの意見には私は反対で、梅田委員のやられることを応援したいと思います。例え ば、医師会病院もある意味で機能が限定しております。できる研修の中身も限られてい るかもしれない。しかし、コアとなっていろいろなプログラムを組んでいく、いろいろ な実習施設にお願いをする、病院を組んでいく中心的な母体としては県立病院のグルー プと同じように、あるいはそれ以上に価値があるものだと思います。  研修施設の面倒を見る所はある程度ジェネラルでなければいけないという議論は、む しろ、そうではない。大切なことは、プログラムの評価ができるとか個別の研修医の評 価ができるということが大事だろうと。そして、そのことが外に知らされることで、先 生がご心配のような「適当に集めて適当に回した」、「何カ月間を適当に行ってもらっ た」というようなものが横行するようなことがおこれば、それは選ばれないということ になりますのでそういう病院は選択肢の中から消えていく。あるいは、そういういい加 減な病院群は消えていく。そういうように考えることのほうが前向きであろうと思いま す。 ○ 島田委員  私も、例えばいくつかのいろいろな各病院で指導医がいて研修医がいるといいのです が、指導医が診療を担っています、そこに研修医が来ます、というのがこういう病院に おける研修医が受ける現実の境遇なのです。それでよかったかどうかというのは最終的 には研修医が判断するのだと思うのです。よい研修を受けたとか受けられなかったとか いうのは。  ですので、私自身はいろいろな研修医の話を聞いていたら、相当ここで一生懸命頑張 らないと研修医に満足できるようなことができない可能性があると思うのです。という のは、自分で診療をしながらやっていって、しかも、研修医に満足いくような指導をし ていくわけですから。でも、それはそれで千葉県は一生懸命やろうとしているのだから どんどんやっていったらいいわけです。  ですから、いろいろな可能性のあるプログラムは「ここは何人に絞りますよ」とかい うようなことは言わずに、定員とか何かというのは「皆がいいプログラムを提供してい るのだから、来たい人ぐらいの定員を提供しますよ」と。研修医がそれを見て「ここは よさそうだ」、「あそこはいいようなことを言っているけれども実際は大変ですよ」と 口伝で伝わりますので、そういう形でいい病院を研修医に決めてもらう。そのためには 定員のことでいろいろと縛るな、ということを私は言いたいわけです。 ○ 梅田委員  私も先生と全く同じ意見です。我々のこの52というのは最大52ということでありまし て、来てもらえばうれしいですけれども、そのぐらいの箱を用意しておいて学生に選ば せることになるのではないかと思っております。 ○ 高梨委員  いま議論しているのは新しい研修医制度をどのようにするかということを議論してい るのであって、千葉県立病院群をどういうようにするか、という議論はまた基準ができ てから梅田委員の所でも当然やるわけですので、こういう考え方もありますねという話 です。そういうことの中で、我々としてどういう基準づくりをするかということだと思 うのです。この千葉県立病院の話も大事なのですが、こういう話をきっかけにしてどう いう基準づくりをするかという点についての議論を進めていっていいのではないかと思 うのです。 ○ 矢崎座長  おっしゃるとおりです。ただ、こういう例がありますよ、ということをしっかり議論 しないと具体的な次のステップへ移れませんので、これは千葉県という梅田委員が指導 力を相当発揮してこういうようなグループをまとめられたと思います。前回、何か出し てくださいということで、おそらく、梅田委員が駆け回ってつくられた非常にその労を 多とします。ただ、高梨委員が言われたように、このプログラムがいいか悪いかという のはまた別論で、こういうケースもありますと。これをほかの県で同様にできるかどう か私は疑問符があるのですが、梅田委員みたいな方がおられるとこういうことでできま すよと。ただ、プログラムの内容についてはご議論がたくさんあって、専門病院と一般 病院をどういうように、という議論になってしまいますのでそれは置いて、次の堺委員 から提出された資料をご説明いただけますか。 ○ 堺委員  これは研修プログラムに特定したわけではなくて、卒後臨床研修全般に関しての意見 です。四病院団体協議会というものがありまして、その中にある医療制度改革検討委員 会が7月5日に「医療提供体制のあるべき姿」というものを発表しました。もちろん、 医療提供体制ですから、その中に「医師卒後研修のあり方」というものがありまして、 7頁ですけれども、大きく分けて3つ重要ではないかということでご提案申し上げます 。  1つは、前々から言っておりますように、臨床研修病院というものに大学病院と臨床 研修指定病院と2つあるのはいかがなものか、できたら一元化できないか。2つ目は、 いろいろなプログラムとか入口、出口の問題で言われていますけれども、結局、適正な 評価ができて、皆さんがおっしゃっているように情報の開示をやりながら正当な評価を するためには、第三者機関的な、これは仮称ですけれども、卒後臨床研修支援機構とい うものが設立されて、卒後臨床研修の管理・運営、指導医の教育等も含めるわけですけ れども、そういうことをやっていただきたい。3番目は処遇ですけれども、すべてを診 療報酬で賄うのは無理だろうと。研修に必要な病院に対するいろいろな補助はもちろん 必要であるので、それはぜひ頑張って保障していただきたい。この3点を申し上げたい と思います。 ○ 矢崎座長  それは当然のご希望であると思います。次に、西岡委員から。 ○ 西岡委員  私は梅田委員のように細かくできていなくて誠に申し訳ないのですが、この考え方の 基は既に7月に提出させていただいた「卒後臨床研修のあり方について」というところ でお話しているところです。それからこの場の議論を踏まえまして少し修正させていた だいたということでございます。  この表にありますように、いままでいちばん大きな問題になっておりましたのは、こ の2年間の研修が努力目標でありましたので、どこかの例えば眼科なら眼科に入られる と眼科だけを2年間やられると。あるいは、その場合もその1つの施設の中だけで2年 間研修されるといったようなことがあって、それに対してかなり強いご批判を受けたも のだろうと思っております。  それから以降、種々の取組みがありまして、現在行われておりますのは、ここにあり ますように多くの場合ですが例えば内科の中をローテーションする、外科の中でローテ ーションする、これが1年目です。2年目は、外の病院に出まして協力病院でいろいろ な研修をさせていただいているといったような現状です。到達目標がうまく到達できな いような科に関しましては、例えば麻酔科のローテーションをしたり救急のローテーシ ョンを加えたりといったようなことが行われています。また、当然、ここにありますよ うな一部の大学ではスーパーローテーションがずっと行われているのが現状です。  そこで、私たちといたしましては、これからの時代の新しい研修制度をつくらなけれ ばいけないということで、いままでの問題点も洗い出しましてここに新しい研修という 形で提案させていただいています。IからVIIIまで並んでいるのですが、開始の時期が いまの国家試験の問題でずれが出ますのでこういった表示にしております。これは2年 間です。3カ月ずつ区切ったのですが、特にローテーションをしたりするときにそのほ うが便利だろうということで4カ月になっても結構かと思いますし、ある診療科では1 カ月になるということも加わるかと思います。  ここでいちばん大事なのは、最初の1年目に内科、外科、小児科、救急の基本的な臨 床を身につけていただくということです。これは、この到達目標、先ほど北村委員から ご紹介がありましたが、私たちの大学で研修が済んだ方たちにどのぐらい到達できたか ということをアンケートさせていただいているのですが、それを基にいたしますとこの 4科目をきっちり最初のときにやっておくと、大体、いまの到達目標の疾患の80%ぐら いが到達できるというデータがあります。これをコアローテーションとして12カ月以上 研修するということです。  2年目には、外来研修を実際にやっていただく。そのところでいろいろなプライマリ ーケアが可能であろうかと考えております。緊急な疾患なども経験することが多数あり ますし、また、ポピュラーな疾患を経験することが可能です。それは、AからDの部分 が選択課程ということになります。この所で外来診療をやっていただくということと、 これまでお話し申し上げております必修選択科目を立てております。これは産婦人科、 精神科、麻酔科、診療所、あるいは福祉介護施設、こういった中から2科目を選んで集 中的にやっていただく。そういうことによって、1年目にコアのところでやった経験、 そこでの知識をさらに深めていただくことができるだろうと考えています。  残りのところですが、これは私たちが考えましたのは、実際のところ、いままで選択 必修までやったところでうまくカバーできなかったところが出てくるかもわかりません 。それは、そのときの時期によりまして患者さんの種類が偏っていたりすることがあり ますので、そのときには例えばさらにもう一度内科をとっていただいて、その到達目標 が十分にカバーできるような形。あるいは、外科的な種類が少なければ外科を再度加え ていただいてそれを到達していただく。こういった形でこれから組んでいけば研修され る方にとって非常に充実したものが出るのではないかというように考えて提案させてい ただきました。 ○ 矢崎座長  これはプログラムとしてはこういうプログラムで、施設としては大学病院プラス病院 群として組んでいくと。 ○ 西岡委員  これをやっていきますときに、例えばある研修医にとっては地域医療などをぜひとも 経験したいという方も確かにおりますので、そういうものも加えまして病院群的な形、 協力病院にお願いしてそこのところをカバーしていただくといったような形になるかと 思います。1つの病院で完全にカバーできるという、例えば堺委員の所のプログラムで は完全にいろいろな分野がその中にありますので1つでできるかと思うのですが、大学 によりましては例えば地域医療の部分などはかなり欠けておりますので、いま現実にも 行っているのですが、そこの部分は協力病院にお願いをして、地域医療、介護の問題と か、そういったものも実際に経験させていただいているのが現状でございます。 ○ 矢崎座長  次に、星委員からの資料がありますので、簡単にご説明いただけますか。 ○ 星委員  私が精神科のカリキュラムを入れるべきだという主張をしている中で、精神科でそん なことが本当にできるのかという指摘がありました。1カ月程度行ってどのぐらいの意 味があるのかと。人数的に引き受けられるのかと。いろいろな疑問に答えれば答えた後 にまたいろいろな疑問が出てくるというようなことだったのですが、「実際に1カ月と いう研修期間を想定したときにどんなことができるのでしょう」ということで、精神神 経学会、精神医学講座担当者会議、精神科病院協会、国立精神療養所院長協議会、全国 自治体病院協議会、日本精神神経科診療所協会、日本総合病院神経精神医学会で七者懇 というものをつくっているそうですが、その七者懇がその立場が違うながらもこの重要 性を認識して、非常に急なお願いに上がったのですが、その試案をつくってくれたのが これです。  中身は読んでいただきたいと思いますけれども、それぞれ、4週間をどういうように 過ごすのかというようなこと。あるいは、最終の頁に研修のモデルとしてこういうよう なものが考えられるのではないかということで提案されております。特に、外来で新し い患者さんを診るというようなことに重点を置いて、病棟の研修というよりは外来ある いは検査技術の担当、リエゾン、地域とのかかわりといったようなことに重点を置いた ものを考えているというお答えでありまして、こういったことで1カ月間の研修は十分 可能であると。  あるいは、その効果などについて疑問の声も各委員から出ておりましたけれども、十 分に可能だろうし、この7つの団体それぞれがお考えになってのものだということで私 もこの線で行けるのではないかと思っておりまして、この間からの議論、精神科あるい は産婦人科を必修にするかどうかという議論の一つの証佐として提出をさせていただき ました。 ○ 矢崎座長  よろしいでしょうか。それでは、元の議論で、1つ目の行動目標についてはある程度 の整理をさせていただきました。次のプログラムに関してですが、いま星委員が言われ た、あるいは先ほどのモデルの中にも入っておりましたが、基本研修と必修選択、そし て選択といういくつかのことに区分けさせていただいたのですが、なかなかご理解を得 ず、ディスカッションをしてまた元のデータが出てくるのです。これについていかがで しょうか。 ○ 山口委員  時間がなさそうですので簡単にポイントだけ申し上げます。このプログラムの基準案 ですが、3頁に書いてあります「基本ローテーションの構成」、これはこのA案が今度 の臨床研修必修科の原点を考えたときに必要であろうと思います。ただ、これをやる場 合にどうしても特殊な部門が入ってまいりますので、それを臨床研修指定病院群として 完結させる方法論がそこには必要になってくるであろうと思います。施設基準の中で、 この問題はまだ小委員会でもあまり議論しておりません。単独型についての議論はいた しましたけれども、先ほど梅田委員が提案された千葉県のケースは、一つの例とはいえ 、研修病院群としての考え方がこの中に非常に網羅されていると思っております。やり 方、方法論は別としましても、こういうような研修病院群の発想というものが今回の臨 床研修必修科には必要であろう。これは第1点として申し上げておきたいと思います。  第2点目は、1点目に関係するのですが、先ほど地域保健医療等について保健所、診 療所、社会福祉施設云々とたくさんあるというご指摘がありました。これは整理すれば 3点で済むのではないかと思っています。1番目は保健所等でありまして、これには市 町村保健センター、保健福祉センター、そういうものも入る。2番目が診療所等で、こ れにはヘキ地離島の診療所等も入る。3番目が介護保険施設とすれば、社会福祉施設も 介護老人保健施設も入ってしまう。このように3点に整理できるのではないか。これは 事務局でご検討いただきたいと思っております。  第3点ですが、臨床研修の病院群というものを考えたときに、これは資料−3になり ますけれども、こういう基本研修、基本ローテーションをやるとすればその仕組みをど うしていくのか。これを本来は議論をすべきであったのではないかなと思っております 。ただ、研修の処遇の小委員会で出向その他の問題について提言がなされておりますの で、そういうものを参考にしながら、あるいは千葉県もこのプランニングをされたとき に出向問題も当然ご検討なさったと思いますので、そういう点も踏まえてこの病院群の 管理型、協力型、そういうものを医者は別としてどう仕組みを組んでいくのか。これを ぜひ皆で議論したいと思いますし、また、議論をすべきであったと思っております。 ○ 堀江委員  先ほど星委員から精神医学科領域の研修についてのお話がありましたけれども、8月1 0日付でありますけれども精神医学講座担当者会議の代表世話人の山内先生から声明書と して精神神経科領域の研修についてということを何とか取り入れてほしいという要望が 来ております。  その内容については、前回、ヒアリングのときにいろいろなご意見がありましたので 詳細は割愛いたします。プログラムについては、最終的結論まで至っていません。全小 委員会4回開催したわけですけれども、今後各施設において、平成16年に向けてカリキ ュラムを組む方向で取り組んでいきますが、「基本ローテーションはどうなるのか」と いうことは重要です。そういう意味で、この点は早目にある方向性が出ることが求めら れると思っております。  トータル24カ月の研修期間に、研修目標として設定されている項目について各研修医 が到達していくためのカリキュラムが組まれることが非常に重要と思いますけれども、 私の意見としては選択必修も含めたコア的に取り扱われる領域について18カ月ぐらいの 研修をする。ただし、選択の領域は残しておく、必要があると思っております。 ○ 矢崎座長  18カ月はもうプログラムを組んでしまうと。残りの6カ月を選択にすると。 ○ 堀江委員  選択として少なくとも6カ月ぐらいの期間はあってもいいと思っております。 ○ 松田委員  期間につきましては、いまの堀江委員の18カ月程度についてはとにかくいろいろ回ら なければいけないという趣旨は理解します。議論になるのは、この1カ月というローテ ーションで本当にそれで現場で混乱なく出来るか。医師になって1年目、2年目という ときの本来の目的をどれだけ達し得るかということの議論が大事です。精神科が必要で ある、産婦人科が必要であるという、それはそれぞれ理解もできますし、こうなってく るといろいろな科が順番に手を挙げて、どうしてもやるべきであると。  そして、卒前教育が充実している中とどう違うのかという議論、これは繰り返しにな るので言いませんが、要点は、1カ月というのがそれで十分だという、先ほど星委員は 1カ月で大丈夫だとおっしゃいましたけれども、そこの議論はきっちり詰めておくべき です。とにかくいろいろ回ってやってみたけれども1カ月は大変だな、ということにな らないよう、議論を十分にしていただきたいと思います。 ○ 矢崎座長  このプログラムの基本研修事項は今回極めて重要なポイントになると思いますので、 これはしっかり議論していかないといけないと思います。プログラム検討委員会のもの は事務局案に近いですよね。 ○ 医事課長  事務局案というか、ご要望を踏まえて、プログラム検討委員会のご意見も踏まえてつ くった事務局案です。 ○ 矢崎座長  申し訳ないけれども、ご要望を踏まえてというのは問題発言だと思いますが、どうい う研修医を育てたらいいか、それにはどこをどのぐらいの教育が必要か、というところ で。 ○ 花井委員  私もこの間、同じことを言っているのですが、ぜひ、産婦人科と精神科が入っている 、A案で行っていただきたい、ということを強く要望したいと思います。特に、産婦人 科、です。議事録を読んでおりますとお産とセットで語られるのですが、女性の体は子 どもを産むためだけにあるわけではなく、生涯を通じてさまざまな病気にぶつかって、 います。私の周りでも婦人科の病気になっている方が大変多いわけです。  そういう方が病院あるいは大学病院に行ったときにカーテン1枚で仕切られプライバ シーが保護されない中で診察を受けなければいけないという状況がまだまだたくさんあ るわけです。女性の体ですとか、病気に対して思いを馳せるような先生が研修を経て出 てきてくれたら大変ありがたい、というのがずっと私の意見です。よろしくお願いした いと思います。 ○ 川崎委員  いま花井委員が言われましたけれども、確かに両方とも大事なのですが、1カ月では 見学か体験だけ。その専門家になられる場合は選択なり、将来、研修が済んだ後で専門 に行かれてベテランになられると思いますが、全研修医に2年間のローテーションの中 で1カ月だけ精神科とか産婦人科に行ったのでは中途半端です。実は、昔、私どもはイ ンターンというものをやりまして、1カ月、精神科とか産婦人科を回ったことがありま すが、ほとんど見学だけでした。むしろ、やるのであれば3カ月はやらないと教えるほ うも教わるほうもものにならないのではないかと、その議論です。 ○ 花井委員  3カ月ということであれば、ぜひそうしていただきたいと思います。ただ、全体のバ ランスがあると思いますので。 ○ 川崎委員  そうなると、必修ではなくて3カ月の選択で選んでもらうほうがいいのではないか。 必修にしますと、全員が1カ月必ず行かないといけない。その場合は、全員が見学。あ るいは、星委員からも資料が出ていますけれども、精神科も外来中心ならばできるとお っしゃるけれども、多分これも見学。そういう経験も大事だと思うのですが、先ほどお っしゃったように、基本的なことについては卒前教育でかなり勉強させています。5年 、6年生はクリニカルクラークシップで現場を回すことをやっておりますから、見学レ ベルのものならば卒前教育の中でできるのではないかという考えもあります。 ○ 花井委員  ぜひ見学レベルではないようなことをしていただきたいと思うのと、産婦人科の病気 にかかっている人の話を聞きますと、いま卒前で教育が行われているかもしれませんが 、その先生個人のせいかわかりませんが、産婦人科はとても人権を無視したような発言 が多いのです。  ですから、女性がどういう病気で悩んでいるのか。子宮内膜症のひどい方などは職場 をやめざるを得ないのです。そういうことに対してもきちんと話を聞いて適切な処置を してくださる先生にいてほしいと思うわけです。そういう意味で、1カ月であってもい いですから、いまたくさんの女性たちが悩んでいるということを理解するだけでもいま までの産婦人科が臨床研修で扱われてきた位置からしたら大きな進歩ではないかと思い ます。ぜひそのことをお願いしたい。 ○ 矢崎座長  私、座長ということではなくて、いつも精神科では星委員、産婦人科では花井委員と 星委員とお話をしているのですが、花井委員がおっしゃっていることは産婦人科の先生 の問題であって臨床研修制度の問題とは少し違うような感じがする。女性の心といいま すか、病に対する感受性とか、女性の社会に置かれている立場とか、そういうことを理 解して女性の患者さんに接するというもの、これは臨床研修の基本的な能力で、そうい うことを教育しないといけない。  ただ、いま川崎委員が言われたように、全員が1カ月ちょこちょこと回って。ちょこ ちょこと言うと語弊がありますが、前もインターンのときはそうだったのです。それで 改善されたかどうかというよりは、医師の30%とか40%の人が産婦人科に例えば3カ月 行くとか精神科に3カ月行くというほうが私個人的にはプラスかなと。「皆、1カ月全 員行きました」だけで、それが本当のよい研修制度になるのか。  あるいは、全員3カ月産婦人科というのはスケジュール上できませんので、30%、40 %の人はしっかり3カ月産婦人科で。花井委員が言われるような産婦人科ではなくて、 きっちりした産婦人科に回れるようなシステムを構築したほうがいいのではないかとい う気があって、私は、前から言っているのはコアの部分と、少なくとも30%あるいは半 分のドクターが「少し時間をかけて精神科、産婦人科をしっかり身につけてやろう」、 「自分は内科に行く、外科に行くけれどもそういうことをやってみる」という人を数十 パーセントつくるのは教育効果としては極めて大きいと思うのですが、その辺が重要な のですよね。  皆さん、精神科、産婦人科、あるいはいろいろな所から「ここは回るべきだ」と言う 、「1カ月、1カ月」と言うと診療科の積み重ねになって、花井委員の言われているこ とを理解するドクターが医師の大勢を占めるようにしていくにはどうしたらいいか、と いうことを考えて。「ともかく精神科に1カ月行けば判こがもらえる」、「産婦人科に 1カ月行けば判こをもらえる」というシステムは設計したくないという思いがあるので 、本当にそういう医者を少数派ではなくてある程度のグループとしてしっかり育てる。  ですから、地域医療もそうです。地域医療も否応なしに行かされるというのではなく て「3カ月とか4カ月、そこで地域医療をやりたい」と言う人が、医者の20%とか30% が絶対に行くような道を残しておいたほうがその領域の活性化になります。そういう意 味なのです。座長ではなくて私個人の。  なかなかわかってもらえないところがあって、それが基本研修と選択必修ですかね。 それから、後は選択と。そういうことでここでも重要なのです。1カ月でここを回れば いいというようにして花井委員、星委員の言うきちんとした医師が育つかどうかという 。これは、いまの産婦人科のドクターと精神科のドクターがずいぶん対応を考えないと 、いまの診療科をただ回るのでは、ある程度回ったという証拠にはなりますけれども、 実質としてどうなのかなというところを私は現場から感じて申し上げているので。少し 理解が難しいかもしれませんが、そういう考え方もあるということでご議論いただけれ ばと思うのですが。 ○ 花井委員  座長がおっしゃるのもそのとおりかもわかりませんが、1カ月というのは原案として 1カ月と出ているのであって、1カ月でいいか2カ月でいいか、そこは先生たちのご判 断があると思うのです。いずれにしましても、人口の半分が女性であるということです 。 ○ 矢崎座長  それは矛盾していないと思うのです。そういう医師をいかに育てるかというのが議論 であって、1カ月全員回せばそれでいいのか、ということに対しての私は個人的な意見 ですので、これは私が言っているだけであって。 ○ 堀江委員  先ほど基本ローテーションのところで「できれば18カ月ぐらい」ということを言いま したけれども、その意味は基本研修として挙げられている精神科、産婦人科等それらを すべて含めてという意味で申し上げたわけではないです。精神神経科領域からこういう 要望が出ているということはお伝えしました。しかし、私は、前回の議論にもありまし たように、特定の領域についての研修を行うのに必ずそれぞれの診療科に行って研修を する必要があるのかどうか。研修目標に掲げられている項目について、こういう領域で こういうように研修します、ということがプログラムの中に盛り込まれれば研修の実を 上げられるのではないか、そういう意見もあったと思いますけれども、そういうように 思うのです。  そういう意味で、ここに挙がっている全科について1カ月ずつの研修でいいかどうか というのは非常に重要な問題だと思うのです。むしろ、選択必修としてその中からどれ かの科も数ヶ月必ず研修する。そして、研修しなかった領域に関する項目をどう研修す るかについては必ずプログラムの中に盛り込むことを明らかにする。そういうことで基 本ローテーションの領域を構成するということを考えてもいいのではないかと思います 。 ○ 矢崎座長  そうすれば精神科を2カ月回るとか3カ月回るとかができるわけですよね。 ○ 堀江委員  むしろ、選択した領域の研修は1カ月ではなくて、きちっとやっていただいたほうが いいと思います。 ○ 矢崎座長  いいですよね。どうでしょうかね。これは難しい問題で、私はいつもそう思っている のですが、出てくる度にこういう数字になって、これは医事課長にいろいろプレッシャ ーがあるのでしょうね。これ、また振り返ってこのプログラムを見直して云々というこ とは担保としてあるということでいかがでしょうか。 ○ 花井委員  よく法律をつくるときに何年先に見直し規定をいれることがあるのですが、これも必 修科は法律なのですが、例えば何年ごとに見直すとか何年先に第1回の見直しを行うと か、そういうことは可能なのでしょうか。 ○ 矢崎座長  これは可能ですよね。国会で通るのは2年間のことですから。ただ、プログラムをつ くるほうとしてはこれが一種の憲法になりますので慎重に決めていかなければいけない と思います。 ○ 堀江委員  その場合に、研修が、必修化されて各施設で研修プログラムに基づいて行われていっ て、その結果としては研修を終了した医師がどうなるのかが出てくるわけです。その点 を評価する必要があるということは委員の方々は認識されていると思います。いずれに しても評価された結果として悪ければプログラムを修正していくことは当然求められる ことだと思います。 ○ 松田委員  私も、この委員に入っていて、最後にいろいろ決まるでしょうけれども、その見直し のことは何としてでも入れてもらおうと思ってずっと聞いております。というのは、卒 前教育とずいぶんリンクするものですから、いま卒前教育がずいぶん進んでいる中で「 これだけ頑張ったのにもう一回ローテーションか」ということにならないように。少し 言いすぎかもわかりませんが、卒前教育も進むということも前提にして、何年後に見直 すということは必ず入れていただきたい。そうでないとこの委員会としての役割が大変 なことになると思います。 ○ 矢崎座長  私の責任がそんなに残らないように次の座長に引き継いで替えていただきたいと思い ますが。ほかにいかがでしょうか。 ○ 北村委員  私も座長の意見とほとんど同じ意見です。花井委員とはいつも丁々発止になるのです が、私自身、決して女性の問題が軽いと思っているわけではなくて、むしろ、女性のこ とをきちっと考える医者がきちっとした形で育てられるシステムが必要だと思っていま す。極端に言えば、花井委員がおっしゃるようなそういう人権に配慮しない医者を排除 するくらいのシステムをつくるべきだと思うぐらいです。ただ、全員が1カ月回ること が、花井委員が望んでおられるような医者をつくるシステムではないと思いますので、 意欲のある人がある一定期間そこに集中するシステムのほうが教育効果がはるかに上が ると思います。  同じように、精神科も、星委員が今日配られた資料のいちばん最後の頁を眺めてみま すと、どうも自由時間が多すぎる。特に、午後の入院診療という部分があまりに時間が あって、決まったことが少なすぎるというような気がします。それと、リエゾン精神科 はいま社会の求めるところである、ということにもかかわらず1カ月のうちにたった1 回しかないというようなところに少し不安を覚えます。精神科、産婦人科は意欲のある 人が3カ月程度決まった時間やるということをぜひ座長がおっしゃるとおり認めていた だきたい。  もう1点、追加ですけれども、内科、外科の8カ月というのは数字が変なので6とか 9とかにしていただきたい。実務的には8はやりにくい数字なので、もしここで決める のであったらそこもディスカッションしていただきたいと思います。 ○ 島田委員  いまの北村委員のお話ですけれども、精神科、産婦人科だけではなしに地域保健医療 も同じ同列に選択必修科あるいは必修にするかという議論で行っていると私は理解して いるのです。それにもかかわらず、いつも出てくるのは選択必修に関しては精神科、産 婦人科だけで、地域医療、保健はずっと聖域のごとく残されているのです。ですので、 はっきりしておかないといけないと思うのですが、選択必修の議論は精神科、産婦人科 、地域保健医療を議論の対象とするというように理解したいと思います。 ○ 高梨委員  前回と同じ発言になるのですが、私は精神科、産婦人科をこのA案のとおり必修の研 修科目にする必要があると思っています。1カ月という期間が短すぎるのではないかと いうご主張があるのですが、私は実態はよくわかりませんが、指導医の先生がいらっし ゃるのですよね。その先生に教育をきちっとしていただいて、1カ月でも十分に教育効 果があるような仕組みをつくってほしいと思います。  逆に、選択必修という形にした場合には、精神科あるいは産婦人科の研修を全く受け ない人が出てくるのです。それはどうかなと思います。そういう意味で、1カ月という 期間が短いかどうかという点があるとすれば、その1カ月の間での研修効果を高める方 向で対処するということで私はA案を支持いたします。 ○ 矢崎座長  ただいまのご意見は、卒前教育がどう変わったかというご理解を得ないとなかなか難 しいところもあります。 ○ 高梨委員  卒前教育がどう変わっているかというのは私は承知しておりません。ただ、若干、素 人なりに申し上げれば、全国に医学部、医科大学が何十校とあるわけです。そのすべて が精神科あるいは産婦人科についてどこまで卒前の教育が義務的にできるようにしてい るかどうかということとのかかわり合いだと思っております。ある特定の大学について は、産婦人科について一生懸命やっている、精神科についても一生懸命やっている、と いうこともあり得ると思います。それは大変結構なことでありますが、すべての卒業生 がそうなっているかどうかということでございます。 ○ 西岡委員  いまの高梨委員のお話に少しだけ追加させてください。全国の医学部の学生にはコア カリキュラムが既にできて走っております。これだけは必ず収めなければならないとい うカリキュラムがあります。その中に、もちろん精神科も産婦人科も全部入っておりま す。それと同時に、それに対する一定度以上のレベルをキープするがための全国共通の 試験を既にやっております。それを基にいたしまして臨床研修をやって、そこからさら にいろいろな所での臨床実技に関する試験も試行的に行われてきております。  ですから、かつてはばらばらであったのかもしれませんが、これは矢崎座長が大元締 めの所でおやりになっていらっしゃるところでもあるのですが、卒前教育に関してはか なり充実してきておりますし、臨床実習の部分も充実しております。実際精神科の病院 、外の病院の中で学生は実習をしていていろいろなものを体験してきております。そう いう状況があります。それで、先ほど松田委員からありましたように、いまはこういう カリキュラムであっても何年か後には必ずそれのリニュアルをしなければいけないとい うことをお願いしたい、というのが我々教育の現場の者の考え方でございます。少し追 加させていただきました。 ○ 二村委員  見直しの件が出ましたが、卒前も卒後も、指導態勢といいますか、指導者側の改革が いまどんどん進んでいます。ご存じのように、大学の外の先生方が臨床教授、助教授、 講師の肩書をいただいて卒前教育にも非常に積極的にいま参加しています。卒後もやっ ています。そういう非常に変わり目のときにこの研修制度がちょうど引っかかっている ということもありますので、いま考えているよりも近い未来に相当ないま考えているこ とと違う現象が起る可能性がありますので、ぜひとも指導態勢についても見直しをお願 いしたいと思います。 ○ 星委員  先ほど矢崎座長がおっしゃったことも北村委員がおっしゃったことももっともだと思 うのです。確かにそのとおりかもしれない。しかし、これだけの国民の要請、我々医療 界以外の人間から見たときのいまの医者のスタイル、医者の姿というものに対して、「 そういうものが欠けているのではないですか」というメッセージであり、これを我々は もっと真摯に受けとめるべきで、そのときに1カ月が足りないのであれば増やすという 選択肢をとるほうが理解をされると思います。お金は国民の税金から出してくださいと いうことを言っているわけですから、それが自分たちの都合で、あるいは我々のほうが よく知っているのだから任せておけばいい研修をやるのだということで、それで説明仕 切れるのかといったら現時点では無理だと思うのです。むしろ、そういう声を真摯に受 けとめて、どういうプログラムを組むのかと。こういうプログラムを組んでこういう医 者をつくるから、国民の皆さんも協力をしてくれというスタイルを私たちはある程度認 識をする必要があるのだと思います。  その上で議論をして、選択肢とか何とかという話はまたこの先にあるのかもしれませ んけれども、皆さんのおっしゃることはごもっともだと思うけれども、私は現状を何も 理解しないで言っているわけではなくて、むしろ、現状を理解しているからこそそうい う発言をしているということは理解してください。 ○ 北村委員  星委員と全く同じ意見を持っています。花井委員、高梨委員、ドクターではない方か らこのような意見をいただいたことは我々医者がいかに国民の要望を知らなかったかと いう思いで十分感じております。それは押さえた上で、その要望を実現するための方法 論のところではぜひ我々の意見にも耳を傾けていただきたいと。要望を無視しているわ けでは全くなくて、むしろ、非常に尊重したいと思っています。 ○ 島田委員  まさに北村委員の言うとおりです。もし選択必修を入れたら、これはいままでの態勢 から比べて相当の進歩だと思います。しかも、それが非常に現実的に実効性があるとい いますか、そういうように私は信じているのです。 ○ 矢崎座長  いままでの実情は、例えば内科だったら内科に行って、産婦人科を回らないわけです 。精神科も回らないわけです。この新しい必修科はそういう意味ではいま言われたよう にものすごく違うわけです。皮膚科の先生でも内科を回り、外科を回り、あるいは産婦 人科を回り、精神科を回りというシステムに変えましょうということなのです。こっち が要らなくてこうだということではなくていままでからずいぶん多様性のある。と言う と、下村委員からは、多様性のある医者を育てるというのは国で育てる医師かというこ とになってしまいますが、ご理解願いたいのは、いままで回っていた産婦人科は要らな いとかいうことではなくて、いままでは産婦人科を希望した人しか産婦人科の研修に行 かなかった。  それが、内科あるいは精神科に行く人が「精神科へ行くには女性のことを知らなけれ ばいけない、じゃあ、産婦人科に4カ月ぐらい行こう」とか、そういうことがあっても いいのではないかというのが私の趣旨です。皆さんもずいぶん変わっているということ はご理解いただいて旧来とはずいぶんシステムが変わっていると、これだけは言えると 思うのです。  ましてや、地域保健とか、そういう所にはいままで誰も行かなかった。学生の公衆衛 生の実習のときに行くぐらいで、それが卒後に医師の免許証を持ってそういう所に行き ましょうと。ある一定数の人が4カ月も行ってやるというのはものすごく画期的なこと で。ですから、1カ月では軽視とか、そういうことではないということはご理解いただ ければと思います。しかし、なかなか難しいと思います。  時間がだいぶ過ぎて、暑い中、長くお集まりいただきまして本当にありがとうござい ました。座長の不手際で、今日も結論がついたようなつかないような中途半端なことに なっていますが、あとは処遇の問題についてはある程度レベルを出して省庁のほうにお 任せするよりしょうがないと。我々は「このぐらいのレベルは絶対に出してください」 ということをこの部会で要望して、大谷先生からの国の責任でやってほしいということ をこの委員会で出したいと思います。 ○ 大谷委員  あとはどういうスケジュールなのですか。細かいことは何回もやっていただくと、先 生方には非常にご迷惑ですけれども、細目についてはだんだん良くなっていくと思うの です。問題は、前回も申しましたように、国がどこまで頑張ってテコ入れを本気でやる のかということを、しっかりやってくれということを、ワーキンググループとしては意 見表明をしなければいけないということがあります。  もう一つは、先ほどから私も感心しているのですが、いろいろと良い案が煮詰まって きているのですが、これが施行できたときに、現在の2年の制度でどれだけの人に来て いただいて、あるいは大学に残られるとかいろいろな所に行っていただくとか、そうい う場面もあるのでしょうけれども、出て行かれて2年後にどうなるかと。医学部卒業生 が大学で研修をやるのか千葉のがんセンターでやるのか星病院でやるのか、いろいろあ ると思いますけれどもね。  誰が考えても私はこの中でいちばん古いと思うのだけれども、私たちのころはいまこ こにおられるような有名教授になりたい人ばかりで「大学に居座りたい」と言う人が多 かったです。だから、私が卒業してから何十年と経っているわけだから変わっていると 思いますけれども、その制度を一生懸命やって、国の金も入れるように私としては何と しても皆さんの意見を結集してやらなければいけないと思いますが、できたときに卒業 生の人が一体どういうメルクマールで自信をもって選ばれるのか。そして、その2年後 に、大学のほうはどうしても教授になりたい人とか専門医になりたい人とか、開業した い人であるとか、プライマリケアの医者になりたいとか、いろいろあると思いますけれ ども、その先のことについて2年の研修が終わった時点でどういうようなことを考えて いくのかということについて先生方のご意見もある程度伺っておく必要があるのではな いかなと。  2年だけだと、最初の議論は卒前でどこまでやっているのかという議論がありました けれども、これは国家試験である程度のレベルをお考えになっていると思うのです。国 家試験委員会に出ていると、全体、皆、同じようなことを言っておられます。だから、 それはいいとして、2年後に日本の医学界というものが国民の期待に応えてどういうよ うに行かれるのかということを、この研修が終わった時点で研修医の人が選ばれるそれ についての見通しについてきちんと医学界を挙げてね。それは、文部科学省と厚生労働 省がしっかりしなければいけないことは当然ですけれども、いちばんは医学の指導者層 がどういうようにお考えいただくのかということも何かご意見を伺っておければ非常に 大事なことではないかと。  何回もやっていただいて詰めていけば最後は良くなるに決まっています。だから、大 いにやってください。だけど、基本的に卒業した人が研修を選ぶについて自分は2年を どういうように。例えば、A病院に行けば、千葉県がんセンターに行ってしまえば自分 は一体どうなるのかと。自分は大学から嫌われても堀江先生の医局にかじりついている かと。いろいろと思案されることについて、きちんと明確に示しておかないとワーキン ググループが本質の議論をしていないのではないかという、そういう懸念もいたします 。 ○ 矢崎座長  研修のときに入局しないという前提ですが、そうではなくて、2年後も大学を視野に 入れて研修制度が行われるのではないかというご心配ですか。 ○ 大谷委員  私の古い考えでいくと、医局のほうの研修にかじりついていたほうが将来は得ではな いかと。私たちのころはそう思っていたわけです。もちろん、実力があればアメリカに 行って有名になってまた教授に迎えられるという人もいましたけれども、私がこの50年 間に見ていますのに、それは本当に少ないですね。だから、そこの点は、研修制度を本 当に合理的な外国で行っているような立派なものにしようとするならば、そこの点につ いていろいろな各界のご意見もきちっと求めておかれることが大事ではないかと。 ○ 矢崎座長  その点についてはどうですか。いまは時間がありませんが、2年後の研修の後の対応 をどう考えておられるか。大学だけではないと思いますが、そういう意味で、西岡先生 と櫻井先生にいまの大谷先生からの極めて重いご質問に次回答えていただければと。 ○ 大谷委員  櫻井先生の所も、いまから40年前に日本で先き駆けてレジデントをやられて、全国の 大学から優秀な人が皆来ているのです。ですけれども、レジデントをやられて、本当は 櫻井先生の意見を伺いたいのだけれども、そういう人たちは聖路加に残りたいという人 もいるし元の大学に帰りたいという人もいるのだけれども、皆、その志しを得ていませ んよ。そういう実態もきちっと言ってもらわないと困ると思うのです。 ○ 矢崎座長  わかりました。極めて現実的な問題になるかと思います。では、スケジュールを。 ○ 医事課長  先般、先生方に日程調整をお願いいたしまして、今回まとまるということではござい ませんでしたので、次回は9月4日の水曜日13時から15時ということでお願い申し上げ たいと思います。場所等の詳細につきましては改めてご案内を申し上げたいと思います 。 ○ 矢崎座長  今日は本当に長時間にわたりましてありがとうございました。これで全体会を終わり たいと思います。 照会先                        厚生労働省医政局医事課                         電話03−5253−1111                          内線 2563,2568