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参考資料


御意見募集で寄せられた意見(平成14年8月17日〜9月13日)

受付番号 51
受付日 平成14年9月9日
年齢 75歳
性別
職業 京都大学名誉教授(医学部)、日本生命倫理学会初代会長・現常務理事
氏名 星野 一正

意見

「祖母による代理母出産の容認について」

 厚生科学審議会生殖補助医療部会のご意見に基づく「代理母禁止」の基本的考え方には、私は、原則的に賛成でございます。
 しかし、世の中には、価値のある例外的措置を無視できない場合があることは、種々の裁判の判決でも見られるところであり、日常の生活の中には、例外的措置により、惨めな当事者に幸福をもたらすこともあることは周知の事実でございます。
 原則論に拘り続けて、例外的状態や環境におかれた不幸な人々の幸福追求権を無視することによって、「例外を認めれば幸福になれる善良な市民」を奈落の底に突き落とす権利は、誰にも与えられていないのではないのでしょうか。
 そのような権利が与えられていると錯覚を起こすようでは、国民を代表して、決定権を与えられている厚生科学審議会生殖補助医療部会の委員は勤まらないと考えるべきなのではないでしょうか?
 善良な市民に憲法が保障している幸福追求権を剥奪する権利は、委員各位には与えられていないのではないでしょうか、各位のお考えをお聞かせ頂きたく、存じます。
 「代理母禁止」の例外的措置として、是非ご検討頂きたい「祖母が孫を産む」実例についての拙著論文を、ご検討頂きたく、提出致しますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

論文   「祖母による代理母の倫理的考察」
  時の法令 1636号 62−68頁 2001年2月28日


受付番号 52
受付日 平成14年9月11日
年齢 下記参照
性別 下記参照
職業 下記参照
氏名 下記参照(匿名化希望なし)
所属団体 妊娠・出産をめぐる自己決定権を支える会

この問題に関心を持った理由:

私たち「妊娠・出産をめぐる自己決定権を支える会」FROMは「患者の妊娠・出産に関する諸問題」を時代の推移に伴う社会の変動と患者たちの変化に即し、ある特定した生殖医療を自己決定した患者自身とその家族並びに生まれてくる子供の人権を擁護するために活動しているボランティア団体である。
患者の声・委員の声を反映した部会運営を望むため以下の意見書を提出する。

意見

(1)決定事項に対する早期法案提出を望む

この厚生科学審議会生殖補助医療部会は、平成12年12月にとりまとめられた「生殖補助医療技術に関する専門委員会」の報告書に基づく制度整備の具体化のための検討を行っているが、この委員会報告書によると「必要な制度の整備を3年以内に行うことを求める」と書かれてある。このスケジュールでいくと平成15年の通常国会には法案を提出しなければならないが周知のごとくこの部会では毎回白熱した議論が続いており、来年の通常国会に法案を提出することは不可能である。
 しかし平成14年4月3日の第11回の部会で二巡にわたる「検討課題1」の議論が終了し「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることができる者の条件」「精子・卵子・胚を提供できる者の条件」等の具体的項目について、その多くが審議会委員の同意を得て決定された。「対価の問題」や「兄弟姉妹からの提供の是非」など結論が見送られた項目については、今後も充分な審議が必要であると思うが決定した事柄については一日千秋の思いでこの決定を待ち望んでいる患者のために、予定通り法案提出をするべきではないだろうか。国民からこの審議会に寄せられた「意見書」の中にも高校生の時から拒食症に悩まされ続けた女性がやっと30歳を過ぎて落ち着き、45歳で結婚し、48歳の今「卵子提供による非配偶者間体外受精の実施」を願っている気持ちが切々とつづられている。(平成14年6月12日付 受付番号48)これらの治療を待ち望んでいる人にとって「加齢」は一番大きな問題である。審議会委員は時は待ってくれないという事実を認識戴き決定事項についての一日も早い法案提出を望む。

(2)代理懐胎に関する再審議を望む

この部会では「生殖補助医療技術に関する専門委員会」で全面禁止が決定した代理懐胎については、国民からも異議を唱える意見が多数寄せられているにもかかわらず、その是非を1度も検討していない。
しかし今迄の議事録を再読すると委員の中からも
「先の報告書を作成するとき「代理母」を「全面禁止」という線を出したときの経緯が少し拙速だったかなというふうに思います。代理母は全面禁止なのか条件付きで許容なのかという議論が完全に詰め切ってなかったのではないか云々」(平成13年7月16日第1回議事録 加藤尚武委員発言)
「もうすこし慎重に専門委員会でも全面禁止については扱った方がよかったのではないかというような、そういうニュアンスの発言がありましたが、この委員会で「代理懐胎」については審議しないのでしょうか」 (平成13年7月16日第1回議事録古山順一委員発言)
上記第1回部会での一連の発言に対し私たち妊娠・出産をめぐる自己決定権を支える会(FROM)では「このように委員からも討議不十分との発言があるにもかかわらず本部会ではこのような重大な問題を先の専門委員会で代理懐胎は全面禁止と決まったからとの理由で討論なく通過させてしまうことは納得いかない」との意見書を提出している。
(平成13年9月17日受付 受付番号36)

さらに1回目以降も「代理出産の話しは、これのひと回り目の一番最後にやるのでしょうか。それなりの心の準備をしてきたいなと思うんですけども云々」(平成14年2月28日第10回議事録 鈴木良子委員発言)
「代理出産は全体の討議課題が終った後で、もう一度論議することになるかと思いますので云々」(平成14年2月28日第10回議事録 矢崎義雄部会長発言)

「代理懐胎についてもう一度是非論じて欲しい」(平成14年8月22日第17回 鈴木 良子委員発言)

このように委員からも審議を求める意見があるにもかかわらず第17回の審議会で事務局側から配布された資料によると、インフォームド・コンセント、カウンセリングの具体的な内容として「医師は代理懐胎及び精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は認められない生殖補助医療として患者に説明すること」と明記されている。
「代理懐胎」は国民的にも大きな関心の的である。このままずるずると「最後に」とか「みなさんの要望があったら」とか「すると思う」という言葉で「代理懐胎」の討議を逃げるのではなくはっきりと「第何回でする」と明言していただきたい。
またこのような国民の関心の高い医療の意志決定あたっては受益者側の参加を認めた討論会等を公開で開催したらどうであろうか。


[妊娠・出産をめぐる自己決定権を支える会(FROM)]

会長 医学博士   飯塚理八(70才代)男
産婦人科医 慶應大学名誉教授(産婦人科学)
所属団体 日本産科婦人科学会(名誉会員.元会長)
日本不妊学会(名誉会員.元理事長)
日本受精着床学会(名誉会長.元理事長) など

副会長 医学博士   星野一正(70才代)男
京都大学名誉教授・元産婦人科医・発生学者 ・癌研究者等
米国イエール大学講師・カナダ・マニトバ大学教授
ドイツ・フライブルグ大学医学部病理学研究所客員教授
医療の倫理・インフォームド・コンセントの専門家
所属団体 米国内分泌学会(名誉会員)
米国解剖学会(名誉会員)New York Academy of Science (会員)
日本解剖学会(名誉会員) 日本生命倫理学会(初代会長.現 常務理事)国際バイオエシックス学会(1990年設立準備委員会以 来の創設会員)財団法人先端医療振興財 団「先端医療センター生命倫理審議会」(初代会長)京都大学再生医科学研究所「ヒト幹細胞に関する倫理委員会」(初代委員長)日本医学教育学会(名誉会員)等

議長 法学博士 遠藤直哉 (50才代)男 弁護士 桐蔭横浜大学法学部教授
所属団体:第二東京弁護士会 (財)日米医学医療交流財団(常務理事)

会長補佐 医学博士 大野虎之進(70才代)男
医師 東京歯科大学名誉教授(産婦人科学)
所属団体:日本産科産科婦人科学会(功労会員)
日本不妊学会(功労会員) 日本受精着床学会(名誉会員)

議長補佐 釘澤知雄(40才代)男 弁護士 中央大学法学部非常勤講師(生命倫理)
所属団体:第二東京弁護士会

事務総長 医学博士 柳田洋一郎(70才代)男
産婦人科医 東京マタニティークリニック院長
所属団体:日本産科婦人科学会 日本母性衛生学会(功労会員)
米国医療情報学会

広報部長 塩田美津子(30才代)女 東京マタニティークリニック医療情報部


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