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○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施、精子・卵子・胚の提供までの手続きや実施医療施設の施設・設備の基準(検討課題2)
−「生殖補助医療技術に関する専門委員会」報告書において提示された条件及びその具体化のための要検討事項(案)−
(第2次改訂後(平成14年9月19日版))
※1 |
p○○とあるのは、「「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書」関係資料集」中の該当ページを示す。 |
※2 |
波線部が前回からの変更部分である。 |
1 インフォームド・コンセント、カウンセリングの具体的な内容 |
(1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における十分な説明の実施について |
(ア) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明の実施
○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受ける夫婦が、当該生殖補助医療を受けることを同意する前に、当該夫婦に対し、当該生殖補助医療に関する十分な説明を行わなければならない。(p35)
⇒「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明」とはどのようなものか?(説明の主体は?説明の客体は?説明する内容は?説明する方法は?説明する時期は?) |
⇒説明の主体は?
(案) |
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療を受けることを希望する者の診療を行う医師であって、生殖生理学、発生学、生殖遺伝学等を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、生殖補助医療に関する診療の経験が豊かで、医療相談、カウンセリングに習熟した医師。
※ |
説明を行う医師は、必要があれば他の専門職に説明の補足を依頼することができる。 |
|
⇒説明の客体は?
(案) |
提供を受けることを希望する法律上の夫婦。
当該夫婦は原則として同時に揃って説明を受ける。 |
⇒説明する内容は?
※ |
◆は説明することを必須とする事項
◇は必要に応じて説明する事項 |
(1)生殖補助医療に関する一般的な医学的事項について
(@)検査について
◇ |
検査の種類(※1)と各々についての具体的な実施方法、実施に要する期間等について |
◇ |
検査の過程における副作用や合併症のリスクと起こった際の医学的対処方法について |
(A)治療について
◇ |
治療の種類(※2)と各々についての医学的適応、具体的な実施方法、実施に要する期間等について |
◇ |
生殖補助医療を受けるにあたって起こりうる副作用のリスク(多胎妊娠、卵巣過剰刺激症候群、手術操作に関するリスク等)と起こった際の医学的対処法について |
(B)予想される結果について
◆ |
妊娠率、流産率、生産率、突然変異の遺伝病・染色体異常・形態的な先天異常等の発生率等について |
(※1) |
例えば、基礎体温、精液検査、子宮卵管造影、頸管粘液検査、性交後試験、超音波検査、内分泌検査、子宮鏡検査、腹腔鏡検査、排卵障害の有無、多嚢胞性卵巣の有無、プロラクチン値の測定、子宮内膜症の有無、子宮筋腫の有無、卵巣嚢腫の有無、子宮内膜ポリープの有無、卵管閉鎖の有無等 |
(※2) |
例えば、タイミング療法、夫精子による人工授精、ホルモン療法、排卵誘発、子宮筋腫核出術、卵巣嚢腫摘出術、マイクロサージェリー、腹腔鏡下手術、経頸管的粘膜下筋腫、ポリープ切除、体外受精・胚移植、顕微授精等 |
上記(@)〜(B)の事項につき、
- できるだけ正確な最新の情報を提供するように努めなければならない。
- また、提案されている治療によって期待される結果と同時に、その治療の限界についても説明されなければならない。
- 妊娠率や流産率、副作用等、提供を受ける者の年齢によって異なる結果が想定される事項については、可能な限り提供を受ける夫婦の年齢に応じた説明をするよう努めなければばならない。
- 提供を受ける夫婦が実際に治療を受ける医療施設におけるデータと全国平均のデータの両方を用いて説明するのが望ましい。
(2)提供による生殖補助医療に関する医学的事項について
◆ |
上記(1)(@)〜(B)の事項の中で、提供による生殖補助医療に関して特に言及すべき事項について(Rh型不適合妊娠等、提供による生殖補助医療において特に注意が必要な事項について) |
◆ |
提供による生殖補助医療を受ける医学的理由について(配偶者間の生殖補助医療では妊娠できないと判断された理由について) |
2.提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施及び精子・卵子・胚の提供について |
(1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施の条件について
(@)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることができる者の条件について
-
(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療全般に関わる条件について
◆ |
加齢により妊娠できない夫婦は対象とならないこと |
◆ |
自己の精子・卵子を得ることができる場合には、それぞれ精子・卵子の提供を受けることはできないこと |
◆ |
夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など、生まれてくる子どもを安定して養育していける夫婦に限って提供を受けられること |
(2) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の種類ごとに適用される条件について
○ AIDを受ける者に対して
◆ |
精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供精子による人工授精を受けることができること |
○ 精子提供による体外受精を受ける者に対して
◆ |
女性に体外受精を受ける医学上の理由があり、かつ精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供精子による体外受精を受けることができること |
○ 提供卵子による体外受精を受ける者に対して
◆ |
卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供卵子による体外受精を受けることができること |
◆ |
ただし、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された胚の移植を受けることができること |
○ 提供胚の移植を受ける者に対して
◆ |
胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供された胚の移植を受けることができること |
(A)子宮に移植する胚の数の条件について
◆ |
体外受精・胚移植又は提供胚の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は、原則として2個まで、移植する胚や子宮の状況によっては、3個までとされていること |
◆ |
1回に2個以上の胚を子宮に移植する場合、仮に双胎、三胎となってもそれを受け入れること |
(2)精子・卵子・胚の提供の条件について
(@)精子・卵子・胚の提供者の条件について
◆ |
精子提供者は、満55歳未満の成人であること |
◆ |
卵子を提供できる人は、既に子のいる成人であって、満35歳未満であること
ただし、卵子提供者が自己の体外受精のために採取した卵子の一部を提供する場合には、当該提供者は既に子がいることを要さないこと |
◆ |
同一の人からの卵子の提供は3回までであること |
◆ |
同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠した子の数が10人に達した場合には、当該人から提供された精子・卵子・胚は生殖補助医療に使用することはできないこと |
◆ |
提供される精子・卵子・胚は、血清反応、梅毒、B型肝炎ウィルスS抗原、C型肝炎ウィルス抗体、HIV抗体等の感染症の検査が行われること |
◆ |
具体的には、提供時及びウィンドウ・ピリオドが終了した後に、上記の感染症についての検査を行い、陰性が確認された提供者の精子・卵子(実際には、夫の精子と受精させた胚)・胚であること |
◆ |
上記感染症の検査の結果は提供者に知らせること |
◆ |
遺伝性疾患に関しては、日本産科婦人科学会の会告「「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」の遺伝性疾患に関する部分及びその解説の当該部分に準じたチェック(問診)が行われること |
◆ |
遺伝性疾患のチェックの結果、精子・卵子・胚の提供を希望する者が当該提供を認められないと判断される場合もあること |
(A)精子・卵子・胚の提供に対する対価の条件について
◆ |
精子・卵子・胚の提供に関し、金銭等の対価を供与すること及び受領することは一切禁止されていること
ただし、実費相当分(交通費、通信費等)については、この限りでないこと |
◆ |
提供を受ける者より提供者に支払うことができる実費相当分の具体的な額(P)
(←「実費相当分」として認められるものの具体的な範囲について(検討課題1)) |
(検討課題1第10次改訂後資料P16)
(要検討事項)
⇒「実費相当分」として認められるものの具体的な範囲をどのように設定するか?
(交通費、通信費のほかにどのようなものを実費相当分に含めるのか?)
(案1) |
個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額に一定額を加算した額を「実費相当分」(の上限)として認める。 |
(案2) |
個々の事例について、実際にかかった額を含めた一定の額を「実費相当分」(の上限)として認める。 |
(案3) |
個々の事例について、実際に提供者が負った負担に応じた額を「実費相当分」(の上限)として認める。 |
(案4) |
個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額のみを「実費相当分」として認める。 |
(案5) |
「実費相当分」という以上の具体的な基準は特に示さない。 |
|
◆ |
医療費やカウンセリングの費用等、提供による生殖補助医療の施行に要する費用は、提供を受ける者が全額負担すること |
(B)精子・卵子・胚の提供における匿名性の条件について
◆ |
精子・卵子・胚の提供は匿名で行われること |
◇ |
精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、精子・卵子・胚を提供する人が兄弟姉妹等以外に存在しない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する人及び当該精子・卵子・胚の提供を受ける人に対して、十分な説明・カウンセリングが行われ、かつ、当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭等の対価の供与が行われないことを条件として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供が認められていること(P) |
◇ |
兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、その実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を受けることとされていること(P) |
(検討課題1第10次改訂後資料P19)
(要検討事項)
⇒兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めるか?
(案1) |
「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」を認める。 |
(案2) |
「兄弟姉妹のみからの精子・卵子・胚の提供」を認める。 |
(案3) |
「姉妹等からの卵子の提供」のみ認める。精子・胚については、兄弟姉妹等からの提供を認めない。 |
(上記3案いずれの場合も)
子の福祉などを担保するためのカウンセリング体制の整備などの環境整備を条件とする。
←(関連)カウンセリング、インフォームド・コンセントの内容(検討課題2)
←(関連)生まれた子の出自を知る権利(検討課題1・3)
(案4) |
「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」は、(当分の間、)認めない。
当分の間、認めない場合は、精子・卵子・胚を提供する人の匿名性が保持された生殖補助医療が実施されてから一定期間経過後、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実施の是非について再検討することとする。 |
|
(C)精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける者との属性の一致等の条件について
◆ |
ABO式血液型(A型・B型・O型・AB型)について、提供を受ける人の希望があり、かつ可能であれば、精子・卵子・胚の提供者と属性を合わせることが出来ること(合わせられない場合もあること) |
◆ |
ABO式血液型以外の血液型(Rh型血液型等)については必ずしも合わせることができないこと |
◆ |
提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれたのち、提供された精子・卵子・胚の残りを第2子のために使用することについて(P) |
(検討課題1第10次改訂後資料P20)
(要検討事項)
⇒属性以外の提供を受ける者の希望に応えるか?また、応える場合、どこまで応えるか?
(第2子や第3子も同じ提供者から提供してほしい等)
→提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれたのち、提供された精子・卵子・胚の残りを第2子のために使用することについては、
(案1) |
可能な限り認める。ただし、精子・卵子・胚を提供する際に、当該提供により、第1子だけでなく第2子も生まれる可能性があることについて、提供する人に対し、インフォームド・コンセントを取っておく。 |
(案2) |
認めない。 |
|
(3)提供された精子・卵子・胚の保存について
(@)提供された精子・卵子・胚の保存について
◆ |
提供者の死亡が確認されたときには、提供された精子・卵子・胚は廃棄すること
胚提供を行った夫婦のうち、一方が死亡した場合は提供された胚は廃棄されることとする |
◇ |
提供された精子・卵子の保存期間は2年間であること |
◆ |
提供された胚及び、提供を受ける夫婦の精子・卵子と提供された精子・卵子とを受精させて得られた胚は、ともに保存期間が10年間であること |
◆ |
保存期間を超過した場合の取り扱いについて(提供者に返却する、廃棄する等) |
(4)提供者に関するその他の事項について
(@)提供者に発生した副作用等に関する補償について
◆ 提供者への医学的検査・医療行為に伴って発生した副作用、合併症等に対する補償について(P) |
(A)提供者の権利について
◆ |
提供者は、提供を受ける者や提供により生まれる子を同定できないこと。 |
◆ |
提供を受けた結果子供が生まれたかどうかについては、提供者の希望があった場合には提供者に知らせることとされていること |
◆ |
提供者は、提供に関する同意の撤回ができる以外には、提供したものやその結果生まれた子に対して何ら権利を有さず、義務を負わないこと |
(1)親子関係について
◆ 出生する子の法的地位について |
(←法務省法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会で検討中) |
(2)提供により生まれた子の出自を知る権利について
◆ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が出自を知る権利を行使することができるためには、親が子に対して当該子が提供により生まれた子であることを告知することが重要であること |
◆ |
精子・卵子・胚を提供した人は、その者の個人情報が開示される前であれば開示することを承認する自己の個人情報の範囲を変更できること(P) |
◆ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、成人後(P)、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報について、当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができること(P) |
(検討課題1第10次改訂後資料P22)
(要検討事項)
⇒ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利として、生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲をどのように設定するか?
→
● |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利を認める。
出自を知る権利の範囲としては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が開示を希望する場合、当該生まれた子に対して、 |
(案1) |
精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該提供した人が当該生まれた子に開示することを承認した範囲内の個人情報(当該提供した人を特定できる個人情報を含む)を開示する。 |
(案2) |
当該提供した人を特定できる個人情報を開示する。 |
|
◆ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、上記に関わらず、自己が結婚を希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を公的管理運営機関に求めることができること |
(3)予期しない生存児について
◆ |
予期しない生存児の生まれる可能性について
その場合でも、生まれた子を責任を持って養育すべきこと |
4.提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施、精子・卵子・胚の提供までの手続きや実施医療施設の施設・設備の基準について |
(1)インフォームド・コンセント、カウンセリングの手続き等について
◆ |
同意を実施する具体的な方法や時期、手続き等について
(後述P21(2)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における同意の取得についての「(ア)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の書面による同意」の決定事項を説明する。) |
◆ |
提供を受ける者、提供者が行った同意は、当該同意に係る当該生殖補助医療の実施前であれば撤回することができること
胚提供を行う夫婦のうち、一方の意思だけで提供の撤回ができること |
◆ |
同意の撤回により提供する者は何ら不利益を被るものではないこと |
◆ |
同意の撤回により提供を受ける者は何ら不利益を被るものではないこと
(以下卵子提供による体外受精の場合)
ただし、提供者へのhCG注射を行った後に提供を受ける者の同意の撤回が行われ、提供者が採卵せずに卵胞刺激を中止する場合、提供者にOHSS発生等のリスクが生じる場合があること |
◇ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、同意書を公的管理運営機関に提出すること |
◆ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦は、当該生殖補助医療の実施に際して、当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられること |
(2)実施医療施設の施設・設備の基準について
◆ |
公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできないこと |
(1)生殖補助医療に係る公的管理運営機関の業務の具体的な内容について
◆ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、当該生殖補助医療を行った医療施設は、保存している提供者の個人情報を公的管理運営機関に提出し、公的管理運営機関は当該情報を管理することとされていること |
◆ |
公的管理運営機関は、上記により提出された個人情報を、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて開示するために80年間保存することとされていること |
(1)守秘義務について
◇ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関わる者が、職務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏洩することは禁止されていること |
(2)提供による生殖補助医療以外の選択について
◆ |
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療以外の選択が存在すること(子供を持たない人生、養子縁組) |
(3)認められていない生殖補助医療について
◇ |
代理懐胎(代理母・借り腹)及び精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は認められていないこと |
⇒説明する方法は?
(案) |
説明する医師は、説明した内容について記載されている文書を配布した上で、それを用いて説明する。
提供を受ける者が再度の説明を求めた場合、もしくは担当医師が当該夫婦の理解について不十分であると判断した場合、担当医師もしくは当該医師の指示を受けた他の専門職は、当該提供者に対して繰り返し説明しなければならない。
提供を受ける夫婦は、説明を受けたあと、記名押印もしくは自署による署名を行うことによって説明を受けた確認を行う。 |
⇒説明する時期は?
(案) |
施術ごとに提供を受ける夫婦への説明を行う。 |
⇒シェアリング(P)の説明はどのように行われるのか?
⇒夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など生まれた子どもを安定して養育していけるかについてどのようなインフォームド・コンセントで対応するか?
(←検討課題1からの宿題)
|
(イ) 精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対する十分な説明の実施
○ 精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者が、当該精子・卵子・胚の提供に同意する前に、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対し、当該精子・卵子・胚の提供に関する十分な説明を行わなければならない。(p37)
⇒「精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対する十分な説明」とはどのようなものか?(説明の主体は?説明の客体は?説明する内容は?説明する方法は?説明する時期は?) |
⇒説明の主体は?
(案) |
生殖生理学、発生学、生殖遺伝学等を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、生殖補助医療に関する診療の経験が豊かで、医療相談、カウンセリングに習熟した医師。
※ |
説明を行う医師は、必要があれば他の専門職に説明の補足を依頼することができる。 |
|
⇒説明の客体は?
(案) |
提供者に配偶者がいない場合、提供者本人のみ。
提供者に配偶者(婚姻の届け出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にある者を含む)がいる場合には夫婦であり、当該夫婦は原則として同時に揃って説明を受ける。 |
⇒説明する内容は?
※ |
◆は説明することを必須とする事項
◇は必要に応じて説明する事項 |
1.提供による生殖補助医療に関する医学的事項について |
(1)提供者の受ける検査について
◆ |
検査の種類(※1)と各々についての具体的な実施方法、実施に要する期間等について |
◆ |
検査の過程における副作用や合併症のリスクと起こった際の医学的対処方法について |
(2)提供により実施される生殖補助医療について
◆ |
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の種類(※2)と各々についての医学的適応、具体的な実施方法、実施に要する期間等について(特に注意事項として(※3)が挙げられる) |
◆ |
提供をするにあたって起こりうる副作用や合併症のリスクと起こった際の医学的対処方法について(特に注意事項として(※4)が挙げられる) |
◇ |
予想される結果等について(妊娠率、流産率、生産率、突然変異の遺伝病・染色体異常・形態的な先天異常等の発生率等について。)。
(※1) |
については、P2の(※1)を参照 |
(※2) |
非配偶者間人工授精(AID)、提供精子による体外受精、提供卵子による体外受精、提供胚の移植など。 |
(※3) |
非配偶者間体外受精の方法と管理について
(1) |
卵子提供者が経口避妊薬(ピル)を使用している場合にはその使用を直ちに中止すること
子宮内避妊器具(IUD)の使用は差し支えないこと
卵子提供者として採卵周期に入った場合は、その期間の性行為は禁止すること |
(2) |
卵子提供の場合、採卵を確実に実施するためには排卵誘発剤(hMG,FSH,GnRHアナログ等)による卵巣刺激法の施行、卵胞の成熟度確認、副作用の予防等のために毎日通院する必要があること |
(3) |
卵子提供者には卵巣刺激法の開始前に、なぜそれが必要なのか、いつから何日間位通院する必要があるのか十分な説明を受けること |
(4) |
卵巣刺激開始前、中間および最終日には担当医によって経腟超音波検査、ホルモン検査等が施行されること
その結果、卵胞の成熟が確認されれば、定められた時間に来院し、hCGの注射を受けること |
(5) |
採卵は超音波ガイド下による経腟採卵法によって行われること |
(6) |
採卵を行う際には静脈麻酔がかけられる場合があり、その場合、副作用が発生するリスクもあること |
(7) |
卵子提供者に対する採卵後のケアは24時間の安静、鎮痛剤、抗生剤の処方等であること
また、採卵後1週間、担当医師や不妊治療について十分な専門性を有する看護師が採卵後の症状、状態についていつでも質問、疑問に答えられるように待機していること |
|
(※4) |
非配偶者間体外受精の成功率と医学的リスクについて
(1) |
卵巣刺激法を実施している間は下腹部の違和感、膨満感などの卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の前駆症状に対する注意が必要であり、もし問題が生じた場合には担当医師あるいは不妊治療について十分な専門性を有する看護師等がいつでも相談に応じられるような体制となっていること |
(2) |
卵巣刺激法を受けることによりOHSSになる可能性はあるが、卵子提供者は胚移植を受けないので、その危険性は通常の体外受精・胚移植より少ないこと |
(3) |
採卵操作によって通常の生殖補助医療と同様の出血、感染、他臓器穿刺、麻酔合併症などのリスクが考えられること |
(4) |
ゴナドトロピンによる卵巣刺激によって卵巣癌のリスクが高まるという報告もあるが、まだ実証されていないこと |
(5) |
卵子提供の場合、卵巣刺激法を実施したことによって、その後に提供者自身の妊孕性が低下することはないこと |
|
|
上記(1)〜(2)の事項につき、
- できるだけ正確な最新の情報を提供するように努めなければならない。
2.提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施及び精子・卵子・胚の提供について |
(1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施の条件について
(@)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることができる者の条件について
-
(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療全般に関わる条件について
◇ |
加齢により妊娠できない夫婦は対象とならないこと |
◇ |
自己の精子・卵子を得ることができる場合には、それぞれ精子・卵子の提供を受けることはできないこと |
◇ |
夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など、生まれてくる子どもを安定して養育していける夫婦に限って提供を受けられること |
(2) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の種類ごとに適用される条件について
○ 精子提供者に対して
◆ |
精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが、提供精子による人工授精を受けることができること |
○ 精子提供による体外受精を受ける者に対して
◆ |
女性に体外受精を受ける医学上の理由があり、かつ精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供精子による体外受精を受けることができること |
○ 卵子提供者に対して
◆ |
卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供卵子による体外受精を受けることができること |
○ 胚提供者に対して
◆ |
胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供された胚の移植を受けることができること |
◆ |
ただし、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された胚の移植を受けることができること |
(A)子宮に移植する胚の数の条件について
◇ |
体外受精・胚移植又は提供胚の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は、原則として2個まで、移植する胚や子宮の状況によっては、3個までとされていること |
◇ |
1回に2個以上の胚を子宮に移植する場合、仮に双胎、三胎となってもそれを受け入れることとされていること |
(2)精子・卵子・胚の提供の条件について
(@)精子・卵子・胚を提供できる者の条件について
◆ |
精子を提供できる人は、満55歳未満の成人であること。 |
◆ |
卵子を提供できる人は、既に子のいる成人であって、且つ満35歳未満であること
ただし、自己の体外受精のために採取した卵子の一部を提供する場合には、卵子を提供する人は既に子がいることを要さないこと |
◆ |
同一の人からの卵子の提供は3回までであること |
◆ |
同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠した子の数が10人に達した場合には、当該人から提供された精子・卵子・胚は生殖補助医療に使用することはできないこと |
◆ |
精子・卵子・胚の提供に当たっては、血清反応、梅毒、B型肝炎ウィルスS抗原、C型肝炎ウィルス抗体、HIV抗体等の感染症の検査を行うこと) |
◆ |
具体的には、提供時及びウィンドウ・ピリオドが終了した後に、上記の感染症についての検査を受け、陰性が確認された場合のみ提供できること |
◆ |
上記感染症の検査の結果は提供者に知らされること |
◆ |
遺伝性疾患に関しては、日本産科婦人科学会の会告「「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」の遺伝性疾患に関する部分及びその解説の当該部分に準じたチェック(問診)が行われること |
◆ |
遺伝性疾患のチェックの結果、提供を認められないと判断される場合もあること |
(A)精子・卵子・胚の提供に対する対価の条件について
◆ |
精子・卵子・胚の提供に関し、金銭等の対価を供与すること及び受領することは一切禁止されていること
ただし、実費相当分(交通費、通信費等)については、この限りでないこと |
◆ |
提供を受ける者より提供者に支払うことができる実費相当分の具体的な額(P)
(←「実費相当分」として認められるものの具体的な範囲について(検討課題1)) |
(検討課題1第10次改訂後資料P16)
(要検討事項)
⇒「実費相当分」として認められるものの具体的な範囲をどのように設定するか?
(交通費、通信費のほかにどのようなものを実費相当分に含めるのか?)
(案1) |
個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額に一定額を加算した額を「実費相当分」(の上限)として認める。 |
(案2) |
個々の事例について、実際にかかった額を含めた一定の額を「実費相当分」(の上限)として認める。 |
(案3) |
個々の事例について、実際に提供者が負った負担に応じた額を「実費相当分」(の上限)として認める。 |
(案4) |
個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額のみを「実費相当分」として認める。 |
(案5) |
「実費相当分」という以上の具体的な基準は特に示さない。 |
|
◆ |
医療費やカウンセリングの費用等、提供による生殖補助医療の施行に要する費用は、提供を受ける者が全額負担すること |
(B)精子・卵子・胚の提供における匿名性の条件について
◆ |
精子・卵子・胚の提供は匿名で行われること |
◇ |
精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、精子・卵子・胚を提供する人が兄弟姉妹等以外に存在しない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する人及び当該精子・卵子・胚の提供を受ける人に対して、十分な説明・カウンセリングが行われ、かつ、当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭等の対価の供与が行われないことを条件として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供が認められていること(P) |
◇ |
兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、その実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を受けることとされていること(P) |
(検討課題1第10次改訂後資料P19)
(要検討事項)
⇒兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めるか?
(案1) |
「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」を認める。 |
(案2) |
「兄弟姉妹のみからの精子・卵子・胚の提供」を認める。 |
(案3) |
「姉妹等からの卵子の提供」のみ認める。精子・胚については、兄弟姉妹等からの提供を認めない。 |
(上記3案いずれの場合も)
子の福祉などを担保するためのカウンセリング体制の整備などの環境整備を条件とする。
←(関連)カウンセリング、インフォームド・コンセントの内容(検討課題2)
←(関連)生まれた子の出自を知る権利(検討課題1・3)
(案4) |
「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」は、(当分の間、)認めない。
当分の間、認めない場合は、精子・卵子・胚を提供する人の匿名性が保持された生殖補助医療が実施されてから一定期間経過後、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実施の是非について再検討することとする。 |
|
(C)精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける者との属性の一致等の条件について
◇ |
ABO式血液型(A型・B型・O型・AB型)について、提供を受ける人の希望があり、かつ可能であれば、精子・卵子・胚の提供者と属性を合わせることが出来ること(合わせられない場合もあること) |
◇ |
ABO式血液型以外の血液型(Rh型血液型等)については必ずしも合わせることができないこと |
◇ |
提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれたのち、提供された精子・卵子・胚の残りを第2子のために使用することについて |
(検討課題1第10次改訂後資料P20)
(要検討事項)
⇒属性以外の提供を受ける者の希望に応えるか?また、応える場合、どこまで応えるか?
(第2子や第3子も同じ提供者から提供してほしい等)
→提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれたのち、提供された精子・卵子・胚の残りを第2子のために使用することについては、
(案1) |
可能な限り認める。ただし、精子・卵子・胚を提供する際に、当該提供により、第1子だけでなく第2子も生まれる可能性があることについて、提供する人に対し、インフォームド・コンセントを取っておく。 |
(案2) |
認めない。 |
|
(3)提供された精子・卵子・胚の保存について
(@)提供された精子・卵子・胚の保存について
◆ |
提供者の死亡が確認されたときには、提供した精子・卵子・胚は廃棄されること
胚提供を行った夫婦のうち、一方が死亡した場合は提供された胚は廃棄されることとする |
◆ |
提供した精子・卵子の保存期間は2年間であること |
◆ |
提供した胚及び、提供を受ける夫婦の精子・卵子と提供した精子・卵子とを受精させて得られた胚は、ともに保存期間が10年間であること |
◆ |
保存期間を超過した場合の取り扱いについて(提供者に返却する、廃棄する等) |
(4)その他について
(@)提供者に発生した副作用等に対する補償について
◆ |
提供者への医学的検査・医療行為に伴って発生した副作用、合併症等のに対する補償について(P) |
(A)提供者の権利について
◆ |
提供者は、提供を受ける者や提供により生まれる子を同定できないこと |
◆ |
提供者に知らせるのは、感染症の検査の結果や採取された精子・卵子・胚の成熟度や数、もしくは提供可能な当該数等の事項等に限られ、精子・卵子の提供によって受精卵が得られたかどうか等の事項は一切知らされないこと
また、提供者が希望すれば、妊娠・出産に成功したかどうかを知ることができること |
◆ |
提供者は、提供に関する同意の撤回ができる以外には、提供したものやその結果生まれた子に対して何ら権利を有さず、義務を負わないこと |
(1)親子関係について
◆ 出生する子の法的地位について
(←法務省法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会で検討中) |
(2)提供により生まれた子の出自を知る権利について
◆ |
提供した精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が出自を知る権利を行使することができるためには、親が子に対して当該子が提供により生まれた子であることを告知することが重要であるとされていること |
◆ |
精子・卵子・胚を提供した人は、その者の個人情報が開示される前であれば開示することを承認する自己の個人情報の範囲を変更できること(P) |
◆ |
提供した精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、成人後(P)、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報について、当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができること(P) |
(検討課題1第10次改訂後資料P22)
(要検討事項)
⇒ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利として、生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲をどのように設定するか?
→
● |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利を認める。
出自を知る権利の範囲としては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が開示を希望する場合、当該生まれた子に対して、 |
(案1) |
精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該提供した人が当該生まれた子に開示することを承認した範囲内の個人情報(当該提供した人を特定できる個人情報を含む)を開示する。 |
(案2) |
当該提供した人を特定できる個人情報を開示する。 |
|
◆ |
提供した精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、上記に関わらず、自己が結婚を希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を公的管理運営機関に求めることができること |
(3)予期しない生存児について
◇ |
予期しない生存児の生まれる可能性について。その場合でも、提供を受けた夫婦が生まれた子を責任を持って養育するべきこと。 |
4.提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施、精子・卵子・胚の提供までの手続きや実施医療施設の施設・設備の基準について |
(1)インフォームド・コンセント、カウンセリングの手続き等について
◆ |
同意を実施する具体的な時期や手続き方法等について
(後述P24(2)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における同意の取得についての「(イ)精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の書面による同意」の決定事項を説明する。) |
◆ |
提供を受ける者、提供者が行った同意は、当該同意に係る当該生殖補助医療の実施前であれば撤回することができること
胚提供を行う夫婦のうち、一方の意思だけで提供の撤回ができること |
◆ |
同意の撤回により提供を受ける者は何ら不利益を被るものではないこと |
◆ |
同意の撤回により提供する者は何ら不利益を被るものではないこと
(以下卵子提供による体外受精の場合)
ただし、提供者へのhCG注射を行った後に提供を受ける同意の撤回が行われ、提供者が採卵せずに卵胞刺激を中止する場合、提供者にOHSS発生等のリスクが生じる場合があること |
◇ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、同意書を公的管理運営機関に提出することとされていること |
◆ |
精子・卵子・胚を提供する者(配偶者がいる場合は配偶者を含む)は、当該生殖補助医療の実施に際して、当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられること |
(2)実施医療施設の施設・設備の基準について
◇ |
公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできないこと |
(1)生殖補助医療に係る公的管理運営機関の業務の具体的な内容について
◆ |
提供した精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、当該生殖補助医療を行った医療施設は、保存している提供者の個人情報を公的管理運営機関に提出し、公的管理運営機関は当該情報を管理することとされていること(P) |
◆ |
公的管理運営機関は、上記により提出された個人情報を、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて開示するために80年間保存することとされていること |
(1)条件整備守秘義務について
◇ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関わる者が、職務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏洩することは禁止されていること |
(2)提供による生殖補助医療以外への精子・卵子・胚の使用について
◆ |
提供した精子・卵子・胚は、別に研究目的等に使用されることについてのインフォームド・コンセントを得ていない限り、提供による生殖補助医療以外の目的には使用されないこと |
(3)認められていない生殖補助医療について
◇ |
代理懐胎(代理母・借り腹)及び精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は認められていないこと |
⇒説明する方法は?
(案) |
説明する医師は、説明した内容について記載されている文書を配布した上で、それを用いて説明する。
提供者が再度の説明を求めた場合、もしくは担当医師が提供者(配偶者がいる場合は配偶者を含む)の理解について不十分であると判断した場合、担当医師もしくは当該医師の指示を受けた他の専門職は、当該提供者に対して繰り返し説明しなければならない。
提供者は、説明を受けたあと、書類に記名押印もしくは自署による署名を行うことによって説明を受けた確認を行う。 |
⇒説明する時期は?
(案) |
期間をあけないで使用される場合には1度の説明でよいこととする。
1年以上の期間をあけて使用される場合には、再度説明する必要があることとする。 |
⇒シェアリング(P)の説明はどのように行われるのか?
|
(2)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における同意の取得について |
(ア) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の書面による同意
○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療の実施の度ごとに、当該生殖補助医療の実施について、夫婦それぞれの書面による同意を得なければならない。当該同意は当該同意に係る当該生殖補助医療の実施前であれば撤回することができる。(p33)
○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助 医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、上記により得た当 該妊娠していないことを確認できた人以外の人及びその夫の同意書を公的管理運営 機関に提出しなければならない。(p33)
⇒「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の書面による同意」とはどのようなものか?(同意の主体は?同意の客体は?同意する内容は?同意する方法は?同意する時期は?同意書の保存方法・期間は?) |
⇒同意の主体は?
(案) |
提供を受けることを希望する法律上の夫婦。
当該夫婦は原則として同時に揃って同意を行う。 |
⇒同意する内容は?
⇒同意する方法は?
(案) |
説明した医師の面前で同意する項目について一つずつ確認し、同意書に記名押印もしくは自署による署名を行う。
同意をする夫婦に対し、確実な本人確認(パスポート、運転免許証等、本人の顔写真のついてあるものによる確認等)と法的な夫婦であることの確認(戸籍謄本による確認等)を行うこととする。 |
⇒同意する時期は?
(案) |
説明から同意の取得の間には、3ヶ月の熟慮期間を置くこととする。
施術が繰り返される場合は、そのたびごとに提供を受ける夫婦両者の同意を得ることが必要である。
同じ生殖補助医療の施術が繰り返される際にも熟慮期間は3ヶ月必要であることとする。 |
⇒同意書の保存については
(案) |
同意書の保存は公的管理運営機関が行い、保存期間は80年とする。 |
⇒撤回の主体は?
(案) |
提供を受けることに同意した夫婦の双方またはいずれか一方。 |
⇒撤回する方法は?
(案) |
提供を受けることの同意に関する撤回の意思を表明した文書に記名押印もしくは自署による署名の上、当該文書を医療機関を経由して公的管理運営機関に提出する。 |
⇒撤回する時期は?
(案) |
胚を子宮に戻す前であればいつでも撤回できることとする。 |
⇒撤回の文書の保存は?
(案) |
文書の保存は公的管理運営機関が行い、保存期間は80年とする。 |
⇒シェアリング(P)の同意・撤回はどのように行われるのか?
|
(イ) 精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の書面による同意
○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設(以下単に「精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設」という。)は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の当該精子・卵子・胚の提供及び当該提供された精子・卵子・胚の当該生殖補助医療への使用について、書面による同意を得なければならない。当該同意は当該精子・卵子・胚が当該生殖補助医療に使用される前であれば撤回することができる。(p34)
⇒「精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の書面による同意」とはどのようなものか?(同意の主体は?同意の客体は?同意する内容は?同意する方法は?同意する時期は?同意書の保存方法・期間は?) |
⇒同意の主体は?
(案) |
提供者に配偶者がいない場合、提供者本人のみ。
提供者に配偶者(精子・卵子の提供の場合、婚姻の届出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にあるものも含む)がいる場合には夫婦であり、当該夫婦は原則として同時に揃って同意を行う。 |
⇒同意する内容は?
⇒同意する方法は?
(案) |
説明した医師の面前で同意する項目について一つずつ確認し、同意書に記名押印もしくは自署による署名を行う。
同意をする者に対し、確実な本人確認(パスポート、運転免許証等、本人の顔写真のついてあるものによる確認等)と法的な夫婦であることの確認(戸籍謄本による確認等)を行うこととする。 |
⇒同意する時期は?
(案) |
説明から同意の取得の間には、3ヶ月の熟慮期間を置くこととする。
提供した精子・卵子・胚が、1年以上の期間をあけないで使用される場合は、最初の同意取得が有効であることとする。
しかし1年以上の期間をあけて使用される場合には、再度、提供者(配偶者がいる場合は提供者と配偶者の両者)から同意を得ることとする。
同じ生殖補助医療の施術が繰り返される際にも熟慮期間は3ヶ月必要であることとする。 |
⇒同意書の保存については?
(案) |
提供者の同意書に関しても公的管理運営機関が保存を行うこととする。(P)
また、その保存期間は80年とする。 |
⇒撤回の主体は?
⇒撤回する方法は?
(案) |
提供することの同意に関する撤回の意思を表明した文書に記名押印もしくは自署による署名の上、当該文書を医療機関を経由して公的管理運営機関に提出する。 |
⇒撤回する時期は?
(案) |
提供者は、精子又は卵子の提供を行った場合は受精させる前、胚の提供を行った場合は提供を受ける者の子宮に戻す前であればいつでも撤回できることとする。 |
⇒撤回の文書の保存は?
(案) |
提供者の撤回の文書に関しても公的管理運営機関が保存を行うこととする。(P)
また、その保存期間は80年とする。 |
⇒シェアリング(P)の同意・撤回はどのように行われるのか?
|
(3)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療におけるカウンセリングの機会の保障について |
○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦又は当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者は、当該生殖補助医療の実施又は当該精子・卵子・胚の提供に際して、当該生殖補助医療を行う医療施設又は当該精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設以外の専門団体等による認定等を受けた当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられなければならない。(p38)
⇒カウンセリングの内容や方法としてどのようなものが考えられるか?
(1) |
カウンセリングの客体、内容、方法、時期等により、様々なカウンセリングがあり得ると考えられるが、いくつかに類型化することは可能か?可能であるなら、具体的にどのように類型化できるか? |
(2) |
類型化されたそれぞれのカウンセリングを行うために必要な能力はどのようなものか?さらにそれを担保する具体的なBack Groundや知識、経験を類型化されたそれぞれのカウンセラーごとに設定できるか?(各類型のカウンセリングを行う者(カウンセラー)の要件設定) |
(夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など生まれた子どもを安定して養育していけるかについてのカウンセリングのあり方を含む。(←検討課題1からの宿題))
⇒類型化された各々のカウンセリングの客体、内容、方法、時期はどのようなものか?
⇒上記の類型化された各カウンセリングのうち、受けることを義務づけるカウンセリングはあるか?
|
⇒カウンセリングの主体は?
(案) |
不妊治療に関する十分な知識を持ち、精子・卵子・胚の提供を受ける夫婦、精子・卵子・胚の提供者及びその配偶者に対して医学、心理、福祉等の観点から十分な支援を行うことができる者。 |
⇒カウンセリングの客体は?
(1) |
精子・卵子・胚の提供を受ける者 |
(2) |
(1)の配偶者 |
(3) |
精子・卵子・胚の提供者 |
(4) |
(3)の配偶者(配偶者(精子・卵子の提供の場合、婚姻の届出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にある者を含む)がいる場合) |
※ |
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療によって生まれた子に対するカウンセリングは、出自を知る権利についての検討の際に併せて検討することとする。 |
⇒カウンセリングの内容は?
(案) |
提供を受ける夫婦、提供者及びその配偶者が自己決定を行えるよう、以下のようなものをカウンセリングの内容とする。 |
(1) |
情報カウンセリング(giving information)
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療に関する情報の提供を行うこと |
(2) |
含意カウンセリング(implications counselling)
本人自身、その家族、及び措置の結果生まれてくる子にとって提案された一連の措置が持つ意味を理解することができるようにすること |
(3) |
支援カウンセリング(support counselling)
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療が不成功に終わった場合や、これ以上治療が続けられなくなってしまった場合など、不妊の検査や治療において多大なストレスがあるときに、情緒的サポートを行うこと |
(4) |
治療的カウンセリング(therapeutic counselling)
不妊及び治療の結果に適応するように、また不妊及び治療によって引き起こされた諸問題を自ら解決するように援助すること |
⇒カウンセリングの機会の保障については?
⇒カウンセラーの施設からの独立性の確保のための要件をどのように設定するか?
(直接治療に関わっていない者であればよいのか?施設に雇用されている者以外でなければならないこととするのか?カウンセリングを行う場所についても施設以外でなければならないこととするか?)
(案) |
提供を受ける夫婦又は提供者及びその配偶者は、インフォームド・コンセントの際に、専門団体等による認定等を受けた生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを当該施設以外で受けることができるということについて、十分説明されなければならない。
担当医師は、提供を受ける夫婦や提供者及びその配偶者からカウンセリングを受けることの希望があった場合、希望者が適切なカウンセリングを受けられるよう手配しなければならない。
また、担当医師が提供を受ける夫婦や提供者がカウンセリングを受けることが必要だと判断した場合には、当該夫婦や当該提供者に対し、カウンセリングを受けることを勧めることとする。 |
(参考:カウンセリングの機会の保障)
(専門委員会報告書p38)
○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦又は当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者は、当該生殖補助医療の実施又は当該精子・卵子・胚の提供に際して、当該生殖補助医療を行う医療施設又は当該精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設以外の専門団体等による認定等を受けた当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられなければならない。 |
⇒カウンセリングの質をどのように保つのか?
(参考:カウンセリングの機会の保障)
(専門委員会報告書p38)
○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦又は当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者は、当該生殖補助医療の実施又は当該精子・卵子・胚の提供に際して、当該生殖補助医療を行う医療施設又は当該精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設以外の専門団体等による認定等を受けた当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられなければならない。 |
|
2 実施医療施設の施設・設備の基準及び人的基準について |
○ 公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできない。(p51)
⇒以下に示すような実施医療施設の基準をどのように設定するか? |
⇒施設・設備・機器に関する基準は?
(案) |
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療を行う実施医療施設が持つ施設・設備・機器の目安は以下の通りとする。 |
(1)施設・設備について
(@)体外受精培養室・培養前室(IVFラボ)
IVFラボは安全な労働環境と生殖補助医療研究室の手技のクオリティを保証するため、適切な環境を確保しなければならない。
○ 衛生環境について
- 培養環境は高温、多湿であり、培養液は栄養価が高く、細菌や真菌類が増殖しやすいため、無菌的操作が行える環境が必要であること
- 手術室並みの清浄度と無塵状態を保たなければならないこと
- 培養室内では無菌衣、帽子、マスクを用意しておき、入室時には必ず着用すること
- 培養室・培養前室ともに不使用時には、紫外線を点灯し殺菌すること
- 定期的に手術室のクリーン度検定用の寒天培地シャーレを用いて、落下細菌試験を行い、空気の清潔度を確認することが望ましいこと
- 少なくとも1週間に1回は定期的に清掃を行うべきであること
清掃の際、洗剤は用いず、水で湿らせた布で床面を含めたすべての部分のふき掃除をすること
○ 空気について
- 施設を作る前に、ラボ内と外の揮発性有機化学物質の濃度を測定しておくべきであること
- IVFラボ全体の空気を浄化するため、活性炭フィルターなどを使用することも考慮すること
- 外部からの雑菌の進入を防ぐため、除菌フィルターを設置し空気を流入させ内部を陽圧に保つこと
通常、毎時7〜15回の空気換気をしつつ陽圧(少なくとも0.10〜0.20 インチ水圧)とする方法がよいこと
- ラボ内の空気は密閉された供給源と環流管のもと、100%ラボ外の空気を化学的および物理的フィルターに通したものを用いるのが理想であること
○ 構造について
- 採卵件数にもよるが、2名の配偶子・胚の取扱いに携わる技術者が平均1日1〜2症例のIVFを処理するならば、少なくとも15〜18 m2程度のスペースを確保するのが望ましいこと
- ラボは、採卵する場所のできるだけ近くに設置する。採卵された卵は手術室と壁で隔てた位置にあるクリーンベンチ内の実体顕微鏡下で詳細かつ迅速に検鏡できるように設計することが望ましいこと
- 器具類は全て培養室の壁面に沿って配置し、中央部分はフリースペースとするのが望ましいこと
- 配管や機器の設置の際は、メインテナンスや修理作業をラボの外側で行えるような設計にして、極力業務の支障にならないように配慮すること
- あらかじめ、避難経路が確保された設計にすること
○ 出入り口について
- ラボの出入り口を採卵室(手術室を利用する場合は手術室)と共有せず、できれば採卵室とは別にラボに出入り口をつくること
- 培養室前室にはエアカーテンを設置し二重扉とするのが望ましいこと
- ドアは施錠できるようにすること
○ 照明について
- ラボの室内は自然光(太陽光)を避け、室内照明だけとすることが望ましいこと
- 胚への影響をコントロールするため、自然光、蛍光灯、顕微鏡からの紫外線を遮断すること
- 顕微鏡には紫外線カットフィルターを取り付けること
- ハンドリングチェンバーや顕微授精装置のフードに紫外線カットフィルムを貼ること
- 室内光量は、顕微授精の針の取り付けや卵、胚の移動に支障がない程度に少し下げるべきであること
○ 温度・湿度について
- 室内の温度、湿度は、作業員が最も能率よく仕事ができる条件に設定すること
一般に卵、胚培養温度は37℃が用いられ、培養器から出し入れするディッシュも同様の環境が望ましいとの考えから、ラボの室温を30℃あるいはそれ以上に保つべきとする考えもあるが、これは作業能率の低下をもたらす危険があり、逆効果と考えられること
ただし、必要に応じてラボ内の温度は30〜35℃に、湿度は40%以下に調節可能であることが望ましいこと
○ 振動、音響について
- 顕微授精を行う際には、除振台を設置する等の配慮が必要であること
実施医療施設が交通量の多い道路に隣接しているような場合には最初から強固な架台を用意しておく必要があること
- 音響は(作業工事現場のようなものを別とすれば)なんら問題ないこと
○ クリーンベンチについて
- 配偶子や胚の操作、培養液の調整などはすべてクリーンベンチ内で行うこと
- 不使用時には70%アルコール消毒、UV照射を必ず行うこと
- チャンバー内に設置するものは必要最少限とし、実体顕微鏡、ウォームプレート、ヒートブロック以外はなるべく恒常的におかないようにすること
○ インキュベーターについて
- 使用者はあらかじめ使用説明書をよく読み、調節や補正の方法に習熟しておく必要があること
使用前に内側の棚を全て取り外し、その内部の構造をよく確認しておくこと
- 必ず2台以上設置すること
- インキュベーター内は雑菌が繁殖しやすい環境にあり、定期的に清掃、消毒が必要であること
- 温度、湿度、酸素濃度などを一定の時間を決めて毎日点検すること
チェックリストはインキュベーターの扉に貼っておいて記入しやすくしておくことが望ましいこと
- 年に1〜2回は業者による徹底点検を行うようにするのが望ましいこと
- 胚発育の環境の面から扉の開閉は最小限にすべきであること
- インキュベーターの数に対するART症例の数は、原則として最小限に抑えられるべきであり、1台のインキュベーターに対して4症例以下になることが望ましいこと
○ 倒立位相差顕微鏡・顕微授精用装置について
- 顕微授精を行うため、倒立位相差顕微鏡とマニピュレーターの設置が必要であること
- テレビモニターシステムを付属すれば、モニターを見ながら操作することが出来るため、なお良いこと
○ 液体窒素容器について
- 火事や停電の時には液体窒素の場所をすぐに移動させなければならないため、あらかじめ建物の出口の近くに液体窒素用の保存スペースを確保しておくべきこと
- あらかじめ液体窒素の運搬が比較的簡単にできるように運搬ルートを設定して火事などに備えること
○ その他について
- 実体顕微鏡、生物顕微鏡、凍結用プログラムフリーザーを配置すること
- 壁面からの揮発性物質をなくすため、床はビニール、壁はタイル、または非揮発性塗料で塗装すること
- 壁や天井は極力配管による貫通を少なくすること
(A)採卵・移植室
- 採卵室は手術室に準じた設備とすること
- 超音波装置、低圧吸引ポンプ、内視鏡診断設備などを設置すること
- 麻酔器、救急時の蘇生器、バイタルサイン確認のための酸素分圧モニター、心電図モニター等を常備しておくこと
- 培養室の近傍に設置し卵や胚の受け渡しがスムースに行えるようにすること
(B)回復室
- 麻酔から覚醒するまでの間、安静にして待機できるための環境が必要であること
- バイタルサイン確認のための酸素分圧モニター、心電図モニター等を常備しておくこと
(C)採精室
- プライバシーを重視した清潔な環境が必要であること
- 採精室は音響が遮断され、広すぎず、手洗い場が設置されていることが望ましいこと
- どのように採精をするかわかるよう、部屋の中にわかりやすい指示書を置いておくこと
- 採精室は調精室と受け渡し窓で結ばれ、ベルなどを準備し、患者が採精を終えてカップをドアの前においたことを知らせるようにし、患者が自分の精液を持っていかずに済むのが望ましいこと
(D)基礎研究室
- 生殖補助医療は発展途上の医療であり、未知領域の研究、実験には公的病院、大学研究施設、農学、畜産学など多くの研究者の協力が今後とも必要になってくるものであり、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実施医療施設では、技術研修医や新人の技術訓練、あるいは研究施設として、臨床で用いるラボとは別に基礎実験用の研究室設備を持ち、生殖補助医療における先端施設としての役割を果たすことが望ましいこと
- 基礎研究室内は、無菌、無塵で安定した室温を保つことが重要で、研究室の設置は、直射日光、高温多湿、ほこりなどの立ちやすい場所、および振動や衝撃のある場所は避けるべきであること
- 設置が望ましい主な研究室内設備は以下のとおりであること
- クリーンベンチ
- CO2(O2)培養器
- 双眼実体顕微鏡
- 倒立位相差顕微鏡
- 生物顕微鏡
- 顕微授精用装置一式
- 顕微授精用マイクロピペット作製装置
- 胚凍結保存用装置一式
- FISH用蛍光顕微鏡装置
- PCR用装置一式
- マルチブロックヒーター
- 超純水製造装置
- 遠心分離機
- 冷凍冷蔵庫
- pHメーター
- オートクレーブ
※ |
臨床用ラボとの相違点として顕微授精用マイクロピペット作製装置、FISH用蛍光顕微鏡装置、PCR用装置一式などが挙げられる。 |
(2)機器について
(@)クリーンベンチ
(A)CO2(N2-O2-CO2)培養器
(B)実体顕微鏡
(C)生物顕微鏡
(D)顕微授精装置一式
- 倒立顕微鏡
- ステージ恒温プレート
- マイクロマニピュレーター一式
(E)プログラムフリーザー
(F)液体窒素容器
(G)精子算定盤(またはコンピューター精液分析装置)
(H)遠心分離器
(I)冷蔵庫
(I@)ディスポーザブル器具(注射器など)
⇒未熟児の出生に備えた受入医療施設の確保等に関する実施医療施設の基準のあり方について?(←検討課題1からの宿題))
⇒精子・卵子・胚を提供する医療施設についても施設・設備・機器に関する基準について一定の基準を示す必要はあるか?必要があるのであれば、その具体的な基準は?
⇒指定(許可)に際しての審査方法はどうするか?(指定(許可)後の監督体制はどうするか?)(書類審査に加え、実地調査も行うこととするか?)
←(関連)検討課題3(実施医療施設等の監督体制)
|
⇒人的要件に関する基準は?
(案) |
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実施施設には、以下のスタッフが必要である。 |
(1)実施責任者(1名)
(@)条件
医師であって、生殖生理学、発生学、生殖遺伝学等を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、適切な生殖補助医療実施施設で通算5年以上実際の生殖補助医療に従事した経験を持つもの
(A)業務
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療について最終的な責任を負う。
具体的には次のこと等について責任を負うこと
a. |
実施施設における人的要件が、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療を行うのに適切な基準を満たしていることこと |
b. |
実施施設で行う精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療に必要な機具、器材を整備すること |
c. |
実施施設において取り扱う配偶子や胚の保存及びそれらの破棄に関して、適切な同意書を、提供を受ける夫婦、提供する者及びその配偶者から得、当該同意書を公的管理運営機関に提出すること |
d. |
実施施設で施行する精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の水準を維持するために必要な研修の機会を、実際に当該医療に携わる従事者に適切に与えること |
e. |
実施施設における人的要件が、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療を行うのに適切な基準を満たしていることを定期的に評価し、また公的管理運営機関に報告すること
また、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実績等について、決められた書式に従って公的管理運営機関に報告するとともに、その内容に変更があった場合には遅滞なく報告すること |
(2)実施医師
(@)条件
医師であって、生殖生理学、発生学、生殖遺伝学等を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、適切な生殖補助医療実施施設で通算5年以上実際の生殖補助医療に従事した経験を持つもの。
(A)業務
提供による精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療を実施する。
(3)配偶子・胚取扱責任者
(@)条件
医師、看護師、臨床検査技師、または胚培養について十分な専門性を有するもののいずれかであって、配偶子・胚・遺伝子検査の意義に関して十分な知識をもち、適切な生殖補助医療実施施設において通算3年間以上の実務経験を有するもの。
(A)業務
配偶子・胚の取扱い(配偶子・胚の培養・保存、記録の保管)について責任をもつ。
(4)配偶子・胚の取扱いに携わる技術者
(@)条件
医師、看護師、臨床検査技師、または胚培養について十分な専門性を有するもののいずれかであって、配偶子・胚・遺伝子検査の意義に関して十分な知識をもち、適切な生殖補助医療実施施設において通算1年間以上の実務経験を有するもの。
(A)業務
配偶子・胚の取扱い(配偶子・胚の培養・保存、記録の保管)を行う。
(5)その他
精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療に従事する医療従事者は、当該技術における個人情報の守秘義務の重要性、記録の重要性等について深い知識と高い倫理観を持っていなければならない。
また、当該医療を実施する医療施設では、実施医師は必要に応じて患者が速やかにカウンセリングを受けられるようにしなければならない。
⇒精子・卵子・胚を提供する医療施設についても人的基準について一定の基準を示す必要はあるか?必要があるのであれば、その具体的な基準は?
|
⇒倫理委員会設置の必要性については?
(案) |
実施責任者は、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の適切な施行を図るため、その実施の適否の審査を行う倫理委員会を実施医療施設に設置しなければならない。 |
(⇒実施医療施設ごとに倫理委員会を持つことだけでなく、複数の実施医療施設が共同で一つの倫理委員会を持つことができることとするか?) |
⇒倫理委員会の業務は?
(案) |
実施医療施設の倫理委員会は、次に掲げる業務を行うものとする。 |
- 精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療について審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等について、その医療機関の長及び実施責任者に対し意見を提出するとともに、当該審査の過程の記録を作成し、これを保管すること
- 生殖補助医療の進行状況及び結果について報告を受け、必要に応じて調査を行い、その留意事項、改善事項等について医療機関の長及び実施責任者等に対し意見を提出すること
⇒倫理委員会の審議事項は?
(案) |
実施医療施設の倫理委員会は、次に掲げる事項の審議を行うものとする。 |
- 精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療を受けるための医学的適応の妥当性について
- 適切な手続の下に精子・卵子・胚が提供されることについて
- 夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など夫婦が生まれた子どもを安定して養育することができるかどうかについて 等
⇒倫理委員会の人的要件等に関する基準は?
(案) |
医療機関の倫理委員会は次に掲げる要件を満たすことが望ましい。 |
- 生殖補助医療の医学的妥当性、倫理的妥当性及び提供による生殖補助医療の結果生まれる子の福祉について等を総合的に審査できるよう、生物学、医学、法律学及び児童福祉に関する専門家、カウンセリングを行う者、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の国民の立場で意見を述べられる者から構成されていること
- 委員会は10名前後で構成され、委員のうち2名以上は、医療機関の関係者以外の者が含まれていること
- 委員のうち2名以上は、女性が含まれていること
- 倫理委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められているものであること
- 倫理委員会の構成、組織及び運営、その他生殖医療計画の審査に必要な手続に関する規則が定められ、公開されていること
⇒精子・卵子・胚を提供する医療施設についても倫理委員会の基準について一定の基準を示す必要はあるか?必要があるのであれば、その具体的な基準は?
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⇒精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の審査の流れは?
(案) |
全ての精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療は、実施医療施設の倫理委員会でその実施の是非を審査されることとする。
なお、胚提供及び兄弟姉妹等による提供による生殖補助医療は、倫理委員会の審査によって実施を認められたのち、公的管理運営機関により実施に関しての審査が行われることとする。
(←検討課題3 公的管理運営機関の業務の具体的な内容) |
(⇒胚提供や兄弟姉妹等による精子・卵子・胚の提供だけでなく、全ての精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療を第三者の審査機関で審査する必要はないか?) |
⇒説明や同意、カウンセリング等の実施手順の作成に関する基準は?
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