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自営業者グループの現状から見えてくること

年金部会
今井延子


○社会保障制度は個人単位化へ

 私が年金で格差を強く感じたのは、今までの仕事をやめ、農業を職業に選んだ時、農業を職業としている夫と結婚したことで第2号被保険者から第1号被保険者に変わった時である。はじめて妻は夫の職業によって年金が変わる事を知った。
 第1号は男女同額の定額負担であり、個人単位である。そのため妻に所得がなくても、夫の収入が低くても支払わなければならない。(平成14年度から保険料の半額免除制度スタート)


○無・低所得者の最低保障

 例えば農家の嫁は農作業以外は仕事と見てもらえないし、農業は家業なのでやってあたりまえ、という考えがまだまだ残っている。家事・育児・介護・農作業をやっても無償労働。そんな時代、環境を生きてきた女性は多い。もし離婚すれば無年金になることもある。又第1号の国民年金加入者は40年間加入で月約67,000円にしかならないし(老齢基礎年金の繰り上げ請求している人も多い)夫を早く亡くしてしまえば遺族年金もないなど不安な老後が待っている。商工業者も同じだと思う。
 農村も少子高齢化が進み長男と長女の結婚あり、老夫婦2人暮らしあり、結婚していない長男と母親の2人暮らしなどいろいろなスタイルがある。
 21世紀はまさしく女性も男性も1人で生きられる社会にしていかなければならない。
 自営業は生涯現役と言われるが、農業に関しては退職金制度はないし、農産物は年1回の収穫がほとんどなので天候に左右され安定した所得確保はむずかしい。又、作物によっては多種の機械を必要とし、農家の多くは借金をして購入しているのが現状である。
 農地は農産物を生産するのにどうしても必要であり、次世代へ引き継いでいかなければならない。それが食糧自給や自然環境を守る多面的機能をはたしていることにもつながるが、農作業はきつく65歳ともなると体力的にきびしいので生きがい程度の働きとして考えるべきではないか。


○支え手を増やす取組み

 これ以上国民の信頼を失わないためにも、支給開始年齢の引き上げや給付の引き下げ、あるいは保険料アップなどせず、もっと保険料を払える人を増やすことに目を向けるべきである。具体的には、まだよくわからないが主婦の保護から一個人の労働者として働く女性をバックアップする政策、誰でもが働く意欲を持てる政策を集中していく必要があると考える。



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