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派遣労働者に対する厚生年金保険の適用について

1 派遣労働者の現状
 (1) 派遣労働者数
派遣労働者-------------約139万人(注1)
常用換算派遣労働者-------約54万人(注2)

(1) 一般労働者派遣事業
     常用雇用労働者 137,392人
     登録者 1,113,521人
     (常用雇用以外の労働者(常用換算))       264,220人

(2)特定労働者派遣事業 常用雇用労働者 135,451人

(労働者派遣事業平成12年度事業報告より)
 
(注1)  「派遣労働者」は一般労働者派遣事業における「常用雇用者数」、「登録者数」及び特定労働者事業における派遣労働者数を合計したもの。
(注2)  「常用換算派遣労働者」は一般労働者派遣事業における「常用雇用者数」、「常用雇用以外の労働者(常用換算)数」及び特定労働者事業における派遣労働者数を合計したもの。
  (参考)    
  ○平成10年公的年金加入状況等調査報告
                    ・登録派遣社員
51.5万人
  ○平成11年就業形態の多様化に関する総合実態調査
                    ・派遣労働者数
51.85万人
  ○労働力調査特別調査(平成13年8月)
                    ・派遣労働者数
45万人
 (2) 派遣契約の期間 (別添1)
(単位:%)
  3月未満 3月以上
6月未満
6月以上
9月未満
9月以上
12月未満
その他
一般派遣労働者事業 70.9 17.2 6.6 3.0 2.4
特定労働者派遣事業 25.3 10.4 12.9 30.8 20.6
合計 68.9 16.9 6.8 4.2 3.2
労働者派遣事業平成12年度事業報告

 (3) 勤続期間 (別添2)
(単位:%)
  3ヶ月
未満
3-6ヶ月
未満
6ヶ月-1年
未満
1-2年
未満
2-5年
未満
5-10年
未満
10年
以上
不明
派遣労働
10.4 7.4 16.5 23.1 27.4 10.1 4.6 0.4
(登録) 12.9 8.4 8.3 25.4 24.8 7.4 2.3 0.4
(常用) 5.6 5.2 12.5 18.5 33.3 15.3 9.0 0.5

 (4) 週所定労働時間 (別添3)
(単位:%)
  20時間
未満
20〜30時間 30〜35時間
未満
35〜40時間
未満
40時間
以上
不明
派遣労働 3.8 7.6 5.8 46.9 35.9 0.6
(登録) 4.9 9.0 5.1 55.2 25.8 0.8
(常用) 1.6 4.8 7.1 29.4 57.1 0.2

 (5) 週所定労働日数 (別添4)
(単位:%)
  1日又は2日 3日 4日 5日 6日 7日
派遣労働 0.5 2.9 5.1 82.5 8.9 0.2
(登録) 0.6 3.8 5.7 84.3 5.5 0.1
(常用) 0.4 0.7 4.0 78.9 15.5 0.5
  (資料出所(3)〜(5) H11 就業形態の多様化に関する総合調査)


2 現行制度
 (1)  派遣労働者に対する社会保険の適用についての特別な定めはなく、通常の労働者と同様に就労実態に応じた適用を図ることとなる(派遣元において適用)。
  イ  特定労働者派遣(常用型派遣)
 常用雇用者としての要件を満たす場合には、厚生年金保険の被保険者となる。
(1)  原則2ヶ月以上の雇用期間であること
(2)  通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上であること
  ロ  一般労働者派遣(登録型派遣)
(1)  常用雇用者としての要件を満たす場合には、派遣就業中は厚生年金保険の被保険者となる。
(2)  待機期間中は、国民年金の被保険者(第1号又は第3号)となる。
(3)  ただし、派遣就業に係る一の雇用契約の終了後、最大1月以内に、同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業に係る次回の雇用契約(1月以上のものに限る。)が確実に見込まれるときは、使用関係が継続しているものとして扱われ、被保険者資格は喪失されない(平成14年4月24日付け 保保発第0424001号、庁保険発第24号(以下「14年通知」という))。
 (2)  労働者派遣事業実態調査結果報告によれば、派遣労働者(常用型及び登録型)のうちの67.4%が厚生年金保険に適用されている。
(単位:人、%)
総数 加入している 加入していない わからない 不明
2,029 1,368 277 55 329
100.0 67.4 13.7 2.7 16.2
  (出典:厚生労働省「労働者派遣事業実態調査結果報告」平成13年9月3日発表)


3 各種提言等
  (別添5参照)


4 健康保険における取扱い
 (1)  適用の基準そのものは、厚生年金保険と同じ。
 (2)  ただし、本年5月に総合型健康保険組合(健康保険独自の仕組み)が設立され、任意継続被保険者制度(同)の下で、待機期間がある場合や、異なる事業主の下で派遣就業が行われる場合も含め、派遣労働者に対する健康保険の継続的な適用が図られている。


5 検討課題
 (1)  登録派遣労働者について、派遣期間の終了後、次回の派遣期間までの間に待機期間(雇用関係の存在しない期間)が生ずる場合において、いったん厚生年金保険から国民年金に移ることで、労働者としての保障が十全でなくなり、また、届出事務が繁雑となり、適用漏れも生じ易くなることが指摘されていた。
  図

 (2)  14年通知(2の(1)参照)に基づく取扱いにより、派遣労働者に一定の待機期間がある場合でも被保険者資格は喪失されないことされたが、以下の場合には、これまでと同様に、被保険者資格は継続されない。
 
(1)  待機期間が1月を超える場合
図

(2)  派遣就業に係る次回の雇用契約が1月に満たず、あるいは確実に見込まれない場合
図

(3)  前後の派遣就業が異なる派遣元事業主の下で行われる場合
図


6 派遣労働者に対する厚生年金保険の適用の考え方
 (1)  派遣労働者が雇用されていない待機期間について、厚生年金保険の強制加入とすることは不可能。
 その場合、厚生年金保険に任意加入できる仕組みの導入についてどう考えるか。
   (参考) 社会保険における任意加入の例
  ・ 第4種被保険者(任意継続被保険者)制度
  ・ 高齢任意加入被保険者制度
  ・ 任意継続被保険者制度
(具体的には「失業者の増加に対する年金制度としての対応」参照)
 (2)  任意加入の仕組みを設けるとした場合、届出事務の負担を軽減できる工夫としてはどのようなことが考えられるか。


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