02/08/29 第9回独立行政法人評価委員会議事録              第9回 独立行政法人評価委員会                             平成14年8月29日(木)                             15:00〜17:10                             経産省別館 944会議室 出席者:黒川委員長、井伊委員、五十嵐委員、井原委員、大久保委員、開原委員、     篠原委員、田村委員、中窪委員、古郡委員 1.開会 ○ 黒川委員長  定刻になりましたので、第9回の独立行政法人評価委員会を開催いたします。お忙し いところありがとうございます。  前回はかなりいろいろなところで議論しまして、全体としての総合的評価についての 起草委員会を作りまして起草していただきましたので、それを聞いてということです。 今日は、岸、坂本、堀田、安井、渡辺委員と、特に起草委員のキーパーソンがご欠席で ちょっと残念なのですが、やむを得ないかなと思っております。  今回は、総合的評価について審議をさせていただきます。その他に財務諸表と剰余金 の使途に関する審議を行うわけですが、5時までの予定となっておりますので、それを 過ぎないようにしようと思いますが。結構、議題は盛り沢山ですので、ぜひご協力いた だければと思います。  それから、私の感じですが、前回もありましたが、これは第1回の評価ということで すし、独法になって初めてですし、各省庁も手探りでいろいろやっています。この委員 会としては、何をするのか、どういうスタンスでいくのかというのをだいぶ議論いたし まして、かなりその意見がまとまっては来たと思うのですが、これが総務省に出たとき に各省庁の独法の評価委員会がどのようにしてくるかというのは非常に将来に向けて参 考になります。ここでこういうパターンになって、これが最終的なものであるというこ とは全然言うつもりもありませんので、これをまとめていただいて、これの議論を基に してまた総務省でいろいろなことを議論した上で、次年度についてぜひ生かしていきた いというスタンスでやろうと思っております。  そうすると、全体的な総合的評価については、そういう点を踏まえてまとめていただ いておりますので、この辺を考えていただければ、時間どおり終わるかなと思っていま す。  もう一つは、役員の退職金規程というのがあります。これは、社会一般の情勢はみん な調子悪くなって、このところ、給料が悪くなっているにもかかわらず、ずっと下がら なかったのが公務員の給料と退職金ということでありまして、3年ぐらい前かな、初め て下がるということが起こったというだけの話かもしれませんが、退職金についてもい ろいろなことが出ておりまして、それについて規程の変更があったということで、事務 局から報告をお願いします。 2.審議 ○ 唐澤政策評価官  事務的な事柄でございますが、最初に退職金規程の変更についてお話し申し上げます 。資料5、6、7は、それぞれ3研究所の退職金手当の支給規程でございます。  まず、何が変わったかということを最初に申しあげますと、資料5の栄養研のところ の1ページの第3条に退職手当の額というのがございます。その2行目に「その者の俸 給月額に28/100の割合を乗じて得た額とする」となっておるのですが、ここの数字が今 回、変更されております。同じ資料の最後のページの新旧対照表をご覧いただきます、 改正前は同じ割合が「36/100」となっていましたが、これを「28/100」に減額するとい う改定でございます。  これは、資料6の安全研究所、産業医学総合研究所、それぞれ全く同じ改定でござい ます。  枠組みについて、一言だけコメントいたしますと、この退職金規程の変更につきまし ては、独立行政法人が主務大臣に届け出た場合に、通則法の53条によりまして、評価委 員会に通知をし、評価委員会は意見を申し出ることができる、ということになっており ます。そういう関係で、本日、これを評価委員会にご報告をさせていただきまして、ご 意見をいただければということでございます。 以上でございます。 ○ 黒川委員長  ありがとうございました。というわけで、意見を述べることができるといっているの ですが、どうしましょうか。 ○ 唐澤政策評価官  ご了承をいただければ。額は上がっておりませんので。 ○ 黒川委員長  わかりました。ではご了承いただくということで、これも1年目ですからね。考えて みればそうですが、理事長先生も今までは国研でしたから、その前が国家公務員の人は たぶんそのまま続いてやって、最終的な退職金という格好の人もいるし、いろいろなこ とがあるわけだから、それが不公平といってもしょうがないですね。こういうわけで、 全体としてこうするぞということだから、ご了承いただけましたね。これもまた、引き 続きいろいろなことが起こると思います。  では、ご意見がないようでございますので、当委員会としては適切だというふうに今 回は報告させていだだこうと思います。ありがとうございました。  では、総合評価の審議に移ります。前回は個別評価についていろいろありまして、各 委員からも全体としての感想、コメントをいただきました。それから各法人からもお話 を伺いまして、お互いの意見の食い違いとか立場の違いがあるのは当然ですが、それを 踏まえて全体の評価を修正するところは修正をいただきまして、全体として総合評価と いうことを起草委員会でやっていただいております。これは、資料1ということであり ます。これについては開原、井原、篠原、渡辺委員に起草委員をお願いしたわけですが 、またさらにお時間をとらせまして申し訳ありませんでしたが、ありがとうございます 。  というわけで、それぞれの法人ごとに審議を進めたいということですが、よろしいで しょうか。  まず、国立健康・栄養研究所から審議いたしますので、事務局から草案につきまして 読み上げた方がいいと思いますので、よろしくお願いします。 ○ 唐澤政策評価官  では、私から簡単にコメントをさせていただきまして、その後、朗読をさせていただ きます。お時間の関係もありますので朗読が少し早口になりますが、お許しをいだたき たいと思います。  まず資料の確認をさせていただきます。  資料1−1が栄養研究所の評価書の案でございます。1−2が安全研究所の評価書の 案、1−3が産業医学研究所の評価書の案でございます。  資料1−4、「評価作業等に係る今後の課題等について(案)」は、今日の最後にご 審議をいだたきたいと思いますが、今後の評価に当たってどのような点にさらに留意を していくべきか、あるいは開示をしていくべきかということを、これまでのご意見をも とにまとめたものでございます。  資料2−1は、財務諸表に関するものが、2−1、2、3、とそれぞれの研究所に対 する意見の案が整理をしてございます。  資料3−1、2、3は、剰余金の使途に関する意見について、それぞれ3研究所につ いて整理をしてあります。  資料4は、先日20日の委員会で個別の評価に関する評定をご変更いただいたものの最 終版でございます。これは後ほどご覧をいただきたいと思います。  参考資料となっておりまして、剰余金の使途に関する関係条文の抜粋がございます。  資料6−1ということで財務諸表がございます。  それから利益処分に関する3研究所のもの、これは資料の番号がついておりません が、2枚紙のものが3セットございます。  最後に、評定のシートを参考のために置いてあるという状況でございます。  では、評価書の全体について、私から要点をコメントいたしまして、そのあと、朗読 をいたしたいと思います。  まず、資料1−1をご覧いただきたいと思います。全体の構成は、1として「平成13 年度の業務実績について」ということで、(1)が独立行政法人の発足と評価の視点を整 理をしてあります。これは前年来ご審議をいただきまして、どういう観点から評価を行 うべきか、あるいはどういう点に留意をすべきかということをこの評価書の冒頭にまず 掲げるべきではないかということで整理をいたしました。  1ページの上段の真ん中あたりにあります「当研究所に対しては」以下のところは、 前回のご審議で国民の求める成果を得ることが求められているというご意見が強くござ いましたので、それを書き込みました。その下のなお書きの「なお、評価に当たっては 調査研究業務や」という部分でございますが、これも、より中期的な観点からその評価 を実施をしていく。単年度だけではなくて中期的な観点から見ていく必要があるという ご意見が前回ございましたので、そうしたことを盛り込んだものでございます。  2ページの下段の(2)からが平成13年度の業務実績全般の評価で、これが業務全体に 対する総合的なコメントを構成しております。具体的には、例えば(2)の2段落目に「 当研究所の設置目的を達成するために云々」とございますが、これは以下のページでも 何点か出てまいりますが、それぞれの業務がどういう目的のために設定をされているか ということを、評価書の中にも具体的に記入した方がわかりやすい、原点に返って記述 を行うべきだというご指摘をいただいておりますので、そうしたものを記入しておりま す。  2ページの下段以降の1)、2)、3)あたりにつきましても、前回のご審議を踏まえてお ります。  これは、次の資料1−2でも原則的には安全研究所においても、1の13年度の実績評 価の部分については、基本的には同じような内容を中心に構成をしておりまして、具体 的な評価内容についてそれぞれの各論が出てくるという形になっております。  産業医学総合研究所も、1の(2)の13年度の業務実績の全般の評価とかこの辺は、ほ ぼ各研究所共通の事項として指摘をしておりまして、具体的な評価内容についてそれぞ れの研究所の規則を踏まえて記述を行っているという形でございます。  では、各研究所ごとに朗読をいたしますので、ご審議をいただいて、コメントをいた だければと思います。 ○ 事務局  それでは、朗読いたします。  1.平成13年度業務実績について  (1)独立行政法人の発足と評価の視点  独立行政法人国立健康・栄養研究所は、厚生労働省の附置機関であった国立健康・栄 養研究所が、平成13年4月から位置づけを変え、新たに独立行政法人として発足したも のである。  今年度の当研究所の業務実績の評価は、平成13年4月に厚生労働大臣が定めた中期目 標の初年度の達成度についての評価であるとともに、独立行政法人としての初めての評 価である。  当研究所に対しては、国の附置機関から独立行政法人となった経緯を踏まえ、弾力的 ・効果的な業務運営を通じて、業務の効率性の向上、質の向上及び透明性の向上により 、国民の求める成果を得ることが強く求められている。  当委員会では、このような国民の視点に立ち、平成13年度の業務実績について、以下 の方針で評価を実施した。  なお、評価に当たっては、調査研究業務や法に基づき行う国民栄養調査に関する集計 業務などの業務ごとの特性を踏まえて、その成果を適切に把握して評価を行う必要があ ること、また、組織改正や一部の調査研究などについては、平成13年度の業務実績の評 価に加え、より中長期的な観点からその成果について評価を実施する必要があることに 留意するものとする。  1) 国立健康・栄養研究所の設置目的に照らし、業務により得られた成果が公衆衛生 の向上及び増進にどの程度寄与するものであったか。  ・社会的ニーズ及び行政ニーズ(国際的な観点も含む)に沿った研究調査等を実施し ているか。  ・業務により得られた成果が、必要な者に有効に活用されるよう、適切に伝達されて いるか。  2) 効率性、有効性等の観点から、適正に業務を実施したかどうか。  ・目標とする業務を達成できるよう、業務・組織の全体的な効率化が図られているか 。  ・業務運営が関係法令等を遵守して適正になされているか。  また、上記の評価を実施するに当たっては、中期目標の達成に向けた業務の個別的進 捗状況について5段階評価を実施している。  なお、個別項目に関する評価に当たっては、以下の点に留意した。  1) 業務実績については、数量だけで判断するのではなく、その質についても考慮す るものとする。  2) 業務実績に影響を及ぼした要因(予期せぬ事情の変化等)についても考慮するも のとする。  3) 業務実績のうち、個別の研究課題に係る評価は、外部専門家が行う研究評価の結 果を考慮するものとする。  4) 業務実績という結果だけでなく、その結果を導くに要した費用についても考慮す るものとする。(費用対効果)  5) 独立行政法人化の利点(財務の弾力的運用等)の活用状況についても勘案するも のとする。  6) 中期計画に掲げられている具体的な取組内容に対するものだけでなく、当該項目 の評価材料となる実績がある場合には、これらを考慮するものとする。  7) 中期目標の達成に向けて意欲的に取り組めるよう、インセンティブを与える制度 や環境が整備されている。その制度や環境がモニタリング等により適切に見直されてい るかについても、考慮するものとする。  (2)平成13年度業務実績全般の評価  平成13年度は、独立行政法人としての発足に伴い、主体的な業務運営が求められると ともに、独立行政法人会計基準に則った会計処理など、新たな対応が迫られた。  そのような中で、平成13年度は独立行政法人化の利点を活用するとともに、新たに必 要となった業務に対応するため、業務全般にわたり、新しい取組がなされた。当研究所 の設置目的を達成するために、業務の中心となる研究業務の実績に関しては、継続中の ものについて今後の成果に留意が必要であるが、個別項目に関する評価結果にも見られ るように、全般としてほぼ適切に行われていると考えられる。  また、栄養改善法に基づき実施することとされている国民栄養調査の集計業務につい ては、中期目標機関中の目標であった集計の長期化を初年度に達成しており、国民栄養 調査結果の公表の早期化に資するものであった。  これらを踏まえると、平成13年度の業務実績については、全体としては当研究所の目 的である公衆衛生の向上及び増進に資するものであり、適正に業務を実施したと評価で きるが、以下の点に留意する必要がある。  1) 業務の効率化、国民に提供するサービスの質の向上のために行った組織改正や栄 養、健康に関する調査研究の発展のために必要とされる基礎的な情報の提供を目的とし て行った基盤的研究等については、平成13年度の業務実績について一定の評価はできる が、これらが後年度にわたり国民の求める当研究所の成果につながったかについても、 中長期的視点に立って評価する必要がある。  2) 独立行政法人創設の目的の一つである弾力的・効果的な業務運営や、これを通じ て得られた国民に対する健康の保持・増進等のための具体的な成果に関しては、国民の 求める水準に到達しているかどうかが必ずしも十分に確認できなかったものがあるとの 意見もあった。このような意見も踏まえつつ、引き続き業務の改善等を図っていく必要 がある。  3) 研究施設、研究設備の共同利用や一般の人々に対する研究成果の普及などの取組 に関しては、改めて検討が必要なものもある。これらについては、今後、中期目標を達 成するために中期計画に沿って業務を運営していくなかで適宜評価を行い、見直すこと が必要である。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。また、個 別項目に関する評価結果については、別紙として添付した。  2.具体的な評価内容  (1)業務運営の効率化について  独立行政法人に移行後、その利点を生かした業務運営を行うため、いくつかの新しい 取組を行っている。  業務運営体制に関しては、法人発足直後に重点調査研究等を効率的に行う観点から、 研究部門を中心に組織改正を行い、プロジェクトチームを発足するとともに、独立した 法人として外部組織との積極的な協力等を図るために、新たに平成14年4月から国際・ 産学共同研究センターを設置した。  また業務運営では、内部進行管理として研究業務について理事長自らが常勤研究員全 員と面接を行うとともに、客観的な指標による個人業績の評価を実施し、業務の質の向 上と研究員間の情報の共有を図った。  さらに経費については、物品購入等を事務部で一括化管理するなど、その節減を図る とともに、外部から競争的研究資金を積極的に獲得し、研究を充実した。  これらのように、体制、運営、経費についてそれぞれ改善が図られており、中期目標 を達成するために平成13年度は業務運営の効率化が図られたと評価できる。  なお、組織改正と国際・産学共同研究センターについては、その効果を長期間で評価 する必要があり、今後の実績にも引き続き注目する必要がある。  研究施設、研究設備については、研究資源の効率的な活用を図るため、共同利用の促 進を図ったが、成果が上がっていない。当研究所が独立の建物を持たないなどの点も考 慮すべきであるが、今後さらに推進していくことが課題である。  (2)国民に対して提供するサービスその他の質の向上について  1) 調査研究に関する業務内容  重点的調査研究については、エネルギー消費量や食物摂取量に関する基礎的なデータ の蓄積など、わが国初の調査研究は世界的に類をみない調査など、独自の調査研究が行 われており、わが国の健康・栄養に関する調査研究の中心的な役割をになっており、高 い成果を上げている。  また、基盤的研究については、生活習慣病に関する調査研究、その対策及び関連する 調査研究に関する情報をデータベース化するなど、着実に取り組んでいる。その一方 で、当研究所の貢献が求められる生活習慣病の遺伝子解析などの研究については、効率 的な共同研究の推進等について検討する必要がある。  さらに、上記の調査研究業務の他に、栄養改善法に基づき、国民栄養調査の集計業 務、特別用途表示の許可等に係る試験及び収去食品の試験を行っているが、技術支援者 の配置などにより効率化を図ったため、集計期間、処理期間の短縮が図られた。  これらを踏まえると、当研究所の目的である国民の健康の保持・増進に概ね寄与した ものであったと評価できる。ただし、個々の具体の研究成果については、客観的な外部 評価の体制が構築されているものの、まだ調査研究が未完了なものも多いため、後年度 の評価を待つ必要がある。  また、社会的ニーズの把握については、研究機関、業務団体、大学等と会合を開いて いるが、当研究所は栄養や健康など、国民生活に密着した分野を対象としており、国民 にその成果を還元する重要性が高いことから、現場に近い人々との意見交換も併せて行 う必要がある。  2) 調査研究成果の普及及び活用  学会発表、論文発表数等は中期目標を十分に達成できるものであり、特に東南アジア 諸国に対する情報発進の重要性にかんがみ、国際学会での発表や英文誌への投稿が多い のは評価できる。  また、調査研究成果を一般の人々に直接伝えるために研究所の一般公開をしているが 、参加者が少ない。シンポジウムも開催しているが、その回数を増やす必要がある。当 研究所が国民生活に密着した分野を対象としていることから、より一層、一般の人々に 調査研究成果を伝えることが求められる。  知的財産権の活用については、実績が出願1件のみとなっており、成果が上がってい ない。当研究所の業務内容は、一般に知的所有権の取得は難しい分野であるが、当研究 所の研究成果の社会的な活用という観点から、今後、平成14年度から設置した国際産学 協同研究センターを活用して、特許出願について戦略を立て、努力する必要がある。  また、調査研究成果を広く国民に伝えるためにはホームページを活用しているが、情 報の所在や提供している内容をわかりやすくするとともに、蓄積した基礎的なデータに 対するアクセスを容易にするなど、研究成果の発信の方法をより一層改善する必要があ る。  これらを踏まえると、学会等での調査研究成果の普及は積極的に行われていると評価 できるが、独立行政法人への移行に伴って積極的に取り組むこととした一般の人々に対 する調査研究成果の普及、知的財産権の活用等については課題が多く、平成14年度以降 、特に充実する必要がある。  3) 外部機関との協力の推進  若手研究者の育成は、研修員については多いが、特別研究員の受入、研究所の研究員 の派遣については、健康、栄養の分野における中核的機関として国内外の研究の振興に 貢献する観点から、より積極的に行うことを期待する。共同研究、受託研究は増加して おり、計画どおり東南アジア諸国からの研究員受入を行うなど、活発になったことを評 価する。今後は、より一層アジア諸国を中心に研究員受入や国際協力に積極的に取り組 むことが期待される。  (3)財務内容の改善等について  独立行政法人化に伴い固定的経費の削減を図るとともに、運営費交付金以外の収入の 確保を進めている。  特に競争的研究資金については、広く多領域より獲得しており、総額も前年の2倍以 上もの実績をあげている。ただし、研究の内容によって競争的研究資金の獲得の難易に ついて差があることから、今後は研究内容に則してより具体的な目標等を設置すること 、それぞれの競争的研究資金についてコストパフォーマンスが明らかになるような工夫 が必要である。  また、職員の採用については、任期付き研究員を2名採用し、研究員の流動化を促進 している点では評価できる。 ○ 唐澤政策評価官  以上でございます。 ○ 黒川委員長  どうもありがとうございました。起草委員の方々は大変だったと思いますが、評価委 員の先生方、何か意見その他ございますでしょうか。  これは全体として1が、このようなことをしたよということです。2で、全体の先生 方のご意見をまとめた。まとめて3に、2の具体的な評価内容ですね。どうでしょうか 。  3ページの2の具体的な評価内容というのは、評価委員の方々から言われたコメント その他についてまとめて列挙してあるということです。 ○ 唐澤政策評価官  基本的には個別項目の点数をベースにして評価の表現ぶりを合わせて、さらにコメン トの中身を取り込んであるという形です。 ○ 黒川委員長  そして、似たようなダブっているようなものは一つに修文してあるということであり ます。 ○ 唐澤政策評価官  他の研究所も先に読みましょうか。 ○ 黒川委員長  そうですね。よろしくお願いします。 ○ 事務局  では、産業安全研究所。  1.平成13年度業務実績について  (1)独立行政法人の発足と評価の視点  独立行政法人産業安全研究所は、厚生労働省の附置機関であった産業安全研究所が、 平成13年4月から位置づけを変え、新たに独立行政法人として発足したものである。  今年度の当研究所の業務実績の評価は、平成13年度4月に厚生労働大臣が定めた中期 目標(平成13年度〜17年度)の初年度の達成度についての評価であるとともに、独立行 政法人としての初めての評価である。  当研究所に対しては、国の附置機関から独立行政法人になった経緯を踏まえ、弾力的 ・効果的な業務運営を通じて、業務の効率性の向上、質の向上及び透明性の向上により 、国民の求める成果を得ることが強く求められている。  当委員会では、このような国民の視点に立ち、平成13年度の業務実績について、以下 の方針で評価を実施した。  なお、評価に当たっては、研究業務や行政要請に基づく災害調査業務などの業務ごと の特性を踏まえて、その成果を適切に把握して評価を行う必要があること、また、組織 改正や一部の調査研究などについては、平成13年度の業務実績の評価に加え、より中長 期的な観点から、その成果について評価を実施する必要があることに留意するものとす る。  1) 産業安全研究所の設置目的に照らし、業務により得られた成果が「労働者の安全 の確保」にどの程度寄与するものであったか。  ・社会的ニーズ及び行政ニーズ(国際的な観点も含む)に沿った研究、調査等を実施 しているか。  ・業務により得られた成果が、必要な者に有効に活用されるよう、適切に伝達されて いるか。  2) 効率性、有効性等の観点から、適切に業務を実施したかどうか。  ・目標とする業務を達成できるよう、業務・組織の全体的な効率化が図られている か。  ・業務運営が、関係法令等を遵守して適正になされているか。  また、上記の評価を実施するに当たっては、中期目標の達成に向けた業務の個別的進 捗状況について、5段階評価を実施している。  なお、個別項目に関する評価に当たっては、以下の点に留意した。  1) 業務実績については、数量だけで判断するのではなく、その質についても考慮す るものとする。  2) 業務実績に影響を及ぼした要因(予期せぬ事情の変化等)についても考慮するも のとする。  3) 業務実績のうち個別の研究課題に係る評価は、外部専門家が行う研究評価の結果 を考慮するものとする。  4) 業務実績という結果だけでなく、その結果を導くに要した費用についても考慮す るものとする。(費用対効果)  5) 独立行政法人化の利点(財務の弾力的運用等)の活用状況についても勘案するも のとする。  6) 中期計画に掲げられている具体的な取組内容に対するものだけでなく、当該項目 の評価材料となる実績がある場合には、これらを考慮するものとする。  7) 中期目標の達成に向けて意欲的に取り組めるよう、インセンティブを与える制度 や環境が整備されているか、その制度や環境がモニタリング等により適切に見直されて いるかについても、考慮するものとする。  (2)平成13年度業務実績全般の評価  平成13年度は、独立行政法人としての発足に伴い、主体的な業務運営が求められると ともに、独立行政法人会計基準に則った会計処理など、新たな対応が迫られた。  そのような中で、平成13年度は独立行政法人化の利点を活用するとともに、新たに必 要になった業務に対応するため、業務全般にわたり新しい取組がなされた。当研究所の 設置目的を達成するために業務の中心となる研究業務の実績に関しては、継続中のもの について今後の成果に留意が必要であるが、個別項目に関する評価結果にも見られるよ うに、全般としてほぼ適切に行われていると考えられる。  また、厚生労働大臣からの要求等に応じて、迅速かつ的確に産業災害の調査も実施し ており、これらを踏まえて安全ガイドや技術指針の策定・見直し、労働安全衛生規則の 改正などに有効に反映した。  これらを踏まえると、平成13年度の業務実績については、全体としては当研究所の目 的である「労働者の安全の確保」に資するものであり、適正に業務を実施したと評価で きるが、以下の点に留意する必要がある。  1) 業務の効率化、国民に対するサービスの質の向上のために行った組織改正や、労 働者の安全に関する調査研究の発展のに必要とされる基礎的な情報の提供を目的として 行った基盤的研究等に関しては、平成13年度の業務実績について一定の評価ができるが 、これらが後年度にわたり国民の求める当研究所の成果につながったかについても、中 長期的視点に立って評価していく必要がある。  2) 独立行政法人創設の目的の一つである弾力的・効果的な業務実績やこれを通じて 得られた国民に対する職場での安全確保のための具体的な成果に関しては、国民の求め る水準に到達しているかどうかが必ずしも十分に確認できなかったものがあるとの意見 もあった。このような意見も踏まえつつ、引き続き業務の改善等を図っていく必要があ る。  3) 一般の人々に向けた調査研究成果の普及などの取組に関しては、改めて検討が必 要なものもある。これらについては、今後、中期目標を達成するために、中期計画に沿 って業務を運営していくなかで適宜評価を行い、見直すことが必要である。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。また、個 別項目に関する評価結果については、別紙として添付した。  2.具体的な評価内容  (1)業務運営の効率化について  独立行政法人に移行後、その利点を生かした業務運営を行うため、いくつかの新しい 取組を行っている。  業務運営体制に関しては、社会ニーズ、行政ニーズに的確、迅速、柔軟に対応した研 究を実施する観点から、複数の研究グループにまたがる調査研究の実施等に対応できる よう、組織編成を変えた。  また、内部進行管理に関しては、内部研究評価会議を開催し、実施中の全研究課題等 について評点をつけ、効率的な評価を実施するとともに、その評価結果を平成14年度の 研究計画等に反映させた。  さらに、経費の削減に関しては、省資源、省エネルギー対策に全職員で取り組むこと ともに、自己収入の確保を積極的に行った。特に幅広い領域から競争的外部研究資金に 積極的に応募して獲得したこと、また、受託研究について新規に民間からの要望に基づ いた5課題を実施したことなど、成果をあげていることは高く評価できる。  さらに、研究施設、研究設備の共同利用に関しては、当研究所の研究資源の効率的な 活用を図る観点から、新たに所内規程を整備し、初めて民間へ低温型恒温恒湿実験室の 有償貸与を実施したことは、独立行政法人としてのメリットを生かしたものであり、高 く評価できる。  これらを踏まえ、業務運営の効率化については、体制、内部進行管理、外部資金の活 用等を含めた経費の節減ともに実績をあげており、中期目標を達成するために、着実に 業務を推進していると評価する。  なお、コンピュータにより研究員の業務執行状況等を一括把握するための業務管理シ ステムの構築を進めたが、本格的なシステム構築については平成14年度に行うこととな っているなど、組織変更や業務進行管理については、業務の効率化に真に資するものと なるかどうか、今後とも評価していく必要がある。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について  1) 調査研究に関する業務内容  労働現場のニーズの把握については、安全管理者や労働安全コンサルタントなどとの 情報交換会を実施するとともに、民間有識者等による所内研究検討会、電話、メール、 ホームページなど、幅広い手段を利用した技術相談を行うなど、積極的に実施した。  またプロジェクト研究については、全課題とも労働現場ニーズ及び行政ニーズの整合 性を図った適切な研究計画を立てて実施しているとともに、当研究所の外部評価委員会 において客観的に評価がされている。  さらに、基盤的研究については、わが国の労働現場の今日的なニーズと行政のニーズ に沿って、ほとんど全ての領域につき、当研究所の役割と目的に合致したものを実施し た。  上記の研究のみではなく、行政機関等からの依頼に対応して、迅速かつ的確に産業災 害の調査も実施しており、これらを踏まえて安全ガイドや技術指針の策定、労働安全衛 生規則の見直しなどに有効に反映した。なお、国内外の労働安全に関する基準の制定や 改定については、国内のみではなく、ISOの国際規格に関わる会議に反映した。  これらを踏まえ、調査研究業務については、当研究所の目的である労働者の安全の確 保に寄与したものであったと評価する。  なお、外部評価については、平成13年度は二つのプロジェクト研究について評価した が、今後、その他の研究についても評価を進めて、業務に適切に反映することが必要で ある。  また、国際的な科学技術情報の調査活動や資料収集については、その結果を行政に適 宜提供、報告しているが、海外への調査の優先順位をつけるなど、計画的な基礎データ の収集等に努めることが求められる。  2) 調査研究成果の普及及び活用  国内外の学会での発表、論文発表に関しては、中期目標を達成するためには十分なも のであり、活発な研究発表等が行われた。  また、学会のみでなく、技術専門誌、雑誌、講演、ホームページなど、幅広い手段に より、研究成果をニュース、研究報告、技術ガイドライン、産業安全研究所安全ガイド として数多く発信した。  さらに、知的財産の活用促進に関しては、一般的に特許権の取得があまり多くない分 野であるが、当研究所の研究成果の社会的な活用という重要性にかんがみ、その出願件 数も比較的多く、登録1件のほか、当研究所として初めて実施2件の成果を得ており、 さらに国際特許も申請するなど、積極的に取り組んだ。  これらを踏まえ、調査研究成果の普及及び活用は、積極的に行われたと評価する。た だし、調査研究成果の普及については、専門家、一般の人々など、対象ごとに目的や内 容を考えて実施する必要があり、特に、一般の人々に向けた調査研究成果の普及への取 組について工夫が必要である。また、技術ガイドラインについては、より社会的に認知 されたものとするため、学会等と協力、協議をする方法等について検討する必要がある 。  3) 外部機関との協力の推進  研究者の受入、研究所職員による他機関への講演や技術支援等を実施しているが、産 業安全分野における中核的機関として国内外の研究の振興に貢献するため、特に途上国 からの研修生の受入など、さらに積極的に実施することが期待される。国内外関係者と の研究協力については、国際研究協力協定に基づく派遣及び新たな協定の締結などを含 め、所期の成果を得ている。  (3)財務内容の改善等について  独立行政法人化に伴い、固定的経費の節減を図った。一方、運営費交付金以外の収入 の確保については、研究内容によって競争的研究資金の獲得に難易について差があると はいえ、運営費交付金以外の外部資金の獲得はやや少なく、今後、積極的に実施するこ とが必要である。  また、予算等、職員の採用等、人事の計画については、計画どおり適正に実施されて いる。 ○ 黒川委員長  ありがとうございました。引き続きいきましょうか。そうすると、一般的なスタンス などはかなり同じことがありますから、そういうことがあれば、同じです、と言ってい ただいても結構ですよ。 ○ 事務局  では、産業医学総合研究所でございます。  1の平成13年度業務実績の部分につきましては、基本的には同じですので、(2)から 申し上げます。  (2)平成13年度業務実績全般の評価   平成13年度は、独立行政法人としての発足に伴い、主体的な業務運営が求められる とともに、独立行政法人会計基準に則った会計処理など、新たな対応が迫られた。  そのような中で、平成13年度は独立行政法人化の利点を活用するとともに、新たに必 要となった業務に対応するため、業務全般にわたり、新しい取組がなされた。当研究所 の設置目的を達成するために、業務の中心となる研究業務の実績に関しては、継続中の ものについて今後の成果に留意が必要であるが、個別項目に関する評価結果にも見られ るように、全般としてほぼ適切に行われ、その成果については技術ガイドライン等に適 切に反映されている。  また、厚生労働大臣からの要求等に応じて、迅速かつ的確に産業災害の調査も実施し た。  これらを踏まえると、平成13年度の業務実績については、全体としては当研究所の目 的である「労働者の健康の確保」に資するものであり、適正に業務を実施したと評価で きるが、以下の点に留意する必要がある。  1) 業務の効率化、国民に提供するサービスの質の向上のために行った組織改正や、 労働者の健康に関する調査研究の発展のために必要とされる基礎的な情報の提供を目的 として行った基盤的研究等に関しては、平成13年度の業務実績について一定の評価がで きるが、これらが後年度にわたり、国民の求める研究所の成果につながったかについて も、中長期的視点に立って評価する必要がある。  2) 独立行政法人創設の目的の一つである弾力的・効果的な業務運営や、これを通じ て得られた国民に対する職場での健康確保のための具体的な成果に関しては、国民の求 める数字に到達しているかどうかが必ずしも十分に確認できなかったものがあるとの意 見もあった。このような意見を踏まえつつ、今後、引き続き業務の改善等を図っていく 必要がある。  3) 「インダストリアル・ヘルス」の有償頒布や研究所の一般公開などの取組に関し ては、改めて検討が必要なものもある。これらについては、今後、中期目標を達成する ために中期計画に沿って業務を運営していく中で適宜評価を行い、見直すことが必要で ある。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。また、個 別項目に関する評価結果については、別紙として添付した。  2.具体的な評価内容  (1)業務運営の効率化について  独立行政法人に移行後、その利点を生かした業務運営を行うため、いくつかの新しい 取組を行っている。  業務運営体制に関しては、研究部の体制にとらわれない柔軟なグループ別組織編成を 行うとともに、それが機能し、重点研究領域特別研究課題の多くが複数部にまたがって 行われた。  また、内部進行管理に関しては、理事長を含む内部研究評価委員会を開催し、研究所 の業務の進捗状況を把握するとともに、その結果を研究改善等にフィードバックするシ ステムを構築した。  さらに、外部研究資金も積極的に獲得し、時々のニーズに対応した研究を充実してい る。  これらを踏まえると、業務運営の効率化に関しては、体制、内部進行管理、外部資金 の活用について実績を上げており、中期目標を達成するために着実に業務を推進してい ると評価する。  ただし、経費の節減に関しては、印刷文書の削減などに止まらず、さらに広い範囲で 行うことを検討する必要があるとともに、施設貸与や研究誌有償頒布等による自己収入 の確保については、他の方法も検討する必要がある。  また、平成13年度の当研究所の外部評価委員会の結果を踏まえ、国際関連業務へ組織 的に対応するため、国際協力部門の拡充を含めた組織体制の見直しを検討しており、そ の結果については来年度以降の評価の課題である。  さらに、研究施設、研究設備の共同利用に関しては、当研究所の研究資源の効率的な 活用を図るため、そのガイドラインの検討を進めた段階であるため、今後、具体的に共 同利用を推進した結果を評価する必要がある。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について  1) 調査研究に関する業務内容  労働現場のニーズの把握に関しては、労働衛生研究の効率的な推進方策について検討 するために外部の有識者を集めた労働衛生重点研究推進協議会を開催し、広く情報交換 を行う体制を整えた。この取組は、わが国の労働者の健康に関する重点課題を明らかに し、それを積極的に推進するものであり、重要な成果である。  プロジェクト研究に関しては、重点的課題について計画どおり順調に実施されている 。基盤的研究については、労働現場のニーズや行政のニーズに沿った研究課題が研究計 画に従って適切に実施され、所期の成果を得ている。  なお、平成14年度にわたり継続して行われている調査研究については、最終的に所期 の成果が得られたかどうか、後年度の評価を待つ必要がある。  また、行政機関等からの依頼に対応して労働者の健康障害等の調査を実施するため、 災害調査実施要領を定めるとともに、実際に迅速に調査を実施した。加えて、労働衛生 に関する国内外の科学技術情報、資料等についても、例えば1万5000件以上の多数の業 務上疾病事例を分析し、データベース化するなど、多くの情報を収集し、提供した。  また、国内外の労働衛生に関する基準の制定や改定については、化学物質に関するO ECD委員会などに委員を派遣し、研究成果に基づき、わが国の意見の提案に貢献した 。  これらを踏まえ、調査研究については当研究所の目的である労働者の健康の確保に寄 与したものであったと評価する。  なお、調査研究等に関する外部評価委員会による評価については、事前、中間、事後 と適切に行われているとともに、その結果もホームページで報告されていることを評価 する。  2) 調査研究成果の普及及び活用  国内外の学会での発表、論文発表、インターネットによる情報発信については、中期 目標を達成するための実績レベルにほぼ到達しており、活発な研究発表等が行われた。  また、国内の労働衛生研究の状況の把握については、先述した労働衛生重点研究推進 協議会でシンポジウムを開催し、その結果などを取りまとめて報告書として出版するな ど、効果的に取り組んだ。また、労働衛生機関等への情報提供は、国際誌である「イン ダストリアル・ヘルス」を継続的に発行している他、他の刊行物についても計画どおり 発行した。  これらを踏まえ、調査研究成果の普及及び活用については、ほぼ計画どおり行われて いると評価する。  なお、より活発な研究発表を推進するために、学会に出席するために必要となる旅費 等を確保するなど、コスト面での問題解決の工夫が必要である。また、研究成果の公開 や意見収集のための仕組みについては、所期の計画どおり行われているが、ホームペー ジにおいて報告書のダウンロードを可能とするなど、より多くの人に使い勝手の良いも のするよう、公表の方法に工夫が必要である。  さらに、講習会や研究所の一般公開など、一般の人々への調査研究成果の公表につい ては、当研究所は労働者の健康に関する分野を対象としており、積極的に一般労働者に 成果を還元することが求められるため、マスコミを活用するなど、今後、その広報の方 法等について検討する必要がある。  知的財産の活用促進については、当研究所の研究成果の社会的な活用という重要性を 再認識し、戦略的な努力が必要である。  3) 外部機関との協力の推進  研究者の受入、研究所職員による他組織への支援については、計画どおり実施してい るが、制度的な基盤として、連携大学院制度に関わる大学院生受入規程案を策定したと ころであり、労働衛生分野における中核的研究機関として国内外の研究の振興に積極的 に貢献する観点から、次年度以降の進展を期待するところである。  また、研究協力と共同研究については、当研究所の実績が認められ、3カ国の国立研 究機関と国際協力協定を締結した。共同研究も、当初の計画どおり、全研究課題に占め る割合を6%とし、所期の成果を得た。  なお、国際研究協力協定については、今後、当該協定を活用して一層の調査研究の充 実を図ることが求められるとともに、次年度以降に締結後の効果を評価することが必要 である。  (3)財務内容の改善等について  独立行政法人に伴い、運営費交付金以外の収入の確保を積極的に進めている。その中 で自己収入を確保するため、「インダストリアル・ヘルス」の有償頒布を検討している が、これについては、当該書誌の社会貢献度にかんがみ、利用者の利便を考慮しつつ、 今後も慎重に検討する必要がある。  また、職員の採用、人事の計画については、計画どおり適正に実施されている。 ○ 黒川委員長  どうもありがとうございました。三つにつきまして、委員から何かコメントその他あ りましたら、どうぞお願いいたします。特に起草委員の先生方は本当にご苦労様でござ いましたので、何かありましたらコメントを言っていただければと思いますが。 ○ 開原委員  実際に書いてみるとなかなか難しくて、結局似たようなものになってしまったような 感じもするのですが、よく読むと細かいところではそれなりの違いも出ているのではな いかと思います。  起草委員から少し変更した方がいいんじゃないかというのも変なのですが、一つだけ 、その後考えたことを申し上げます。産業安全研究所の資料2の4ページ、1)の「調査 研究に関する業務内容」の上から11行目の「上記の研究のみではなく」とありますが、 この部分をもう少し強調してもいいのではないかなという感じがその後したのです。こ れは、「上記の研究のみでなく」というと、ここの部分が付け足しみたいな感じがしな いでもないですが、ここのところを「上記の研究とともに、」とした上で、「行政機関 からの依頼に対応して、迅速かつ的確に産業災害の調査も」ではなくて、「調査に大き な努力を払ったことは評価すべきであり」とか、私は、そこは努力しておられたとは大 変立派だと思うので、そこの部分をもうちょっと強調してもいいのではないかと思いま した。 ○ 黒川委員長  これはこのあいだ議論があったところなので、バランスを欠くかなというのは確かに ありますので、それは修文させていただければと思います。井原委員、何かありました ら。 ○ 井原委員  今、気がついたところをちょっと申し上げます。健康・栄養研究所の5ページの一番 最後なのですが、これは他の研究所と違って「任期付きの研究員を2名採用する」とい う表現があるのですね。これはプラスに評価するというのは何となくわかるのですが、 もうちょっとその理由を、流動化を進めていくと他のところから多様な情報を手に入れ る、いろいろなものがあるのだろうと思うのですが、その理由がないと、どうしてかな という感じを私は受けてしまっていることが一つでございます。  同じ研究所の4ページで2)の4行目で「また」とありまして「参加者が少ない」と書 いてあるのです。そのときに、この研究所の目的はこうこうこうで、いう理由があるか ら、広く外部に情報を提供する必要があるので、参加者がないことはちょっとまずいよ という話が出てくると、ここのところはわかりやすいです。単に少ないから悪いという のもちょっとわかりづらい、という感じを受けました。 ○ 黒川委員長  確かにここで議論はあって、いろいろなデータを見せてもらっているけれど、この報 告だけが外に出たときには、ちょっとわかりにくいだろうなというところがあるので、 それは修文させていただいた方がよいと思います。数が多ければいいとか、人がたくさ ん来ていればいいというと、総動員をかけたらよかったという話で、みんな来て寝てい るだけではしょうがないし、そんなこともありますね。それはちょっと不親切かな。 ○ 古郡委員  今の井原先生のあとの行で「シンポジウムも開催」とありますが、これも目的がよく わかりません。 ○ 黒川委員長  そうですね、それが少ないから増やす必要があるなどと書いてあるけれど、何ともい えないなと思います。 ○ 古郡委員  これは規模の経済が働きますので、研究員の少ない研究所は研究員の多い研究所と同 じようにシンポジウムを開催するといっても無理かもしれない。その点の配慮が必要で す。 ○ 黒川委員長  回数と参加者とテーマのタイムリーさとか内容、その話はあるし、もちろん研究員だ けではなくて外の人を呼んできていいわけですけれど、そうなると、謝金をどうするか とか旅費がかかるとか、いろいろな話があるかもしれませんね。その辺は書きぶりに配 慮があった方がいいかもしれません。  その他に……。では、篠原委員からあとで財務のところは言っていただくとして、そ の他にこれについて何かありますでしょうか。 ○ 大久保委員  全体的に評価できるということですけれども、せっかく点数化をしていますので、A の評価をしている部分については例えば高く評価ができるとか、ぜひもう少し何らか表 現を変えてあげていただきたいような気がいたしますが。 ○ 黒川委員長  これはできますよね。確かに点数化しているので、その辺はどのように書くか。 ○ 唐澤政策評価官  微妙にやったつもりなのですが、もう一度見直してわかりやすいようにします。  それから、前回20日から時間の短い中で起草をお願いしたものですから、3研究所で 必ずしも平仄が合っていないところがありますので、そこは先ほどご指摘のあったよう に直したいと思っております。 ○ 古郡委員  三つの研究所の評価を通して、男女共同参画という視点がないと思うのですが、総務 省委員会の方にいったときに何か言われることはあるのでしょうか。 ○ 黒川委員長  それはどうですかね。それは最初のところの目標に書いてなかったですからね。 ○ 唐澤政策評価官  どんなことをしたらいいですかね。研究員の構成とかそういうような。 ○ 古郡委員  そうですね。 ○ 唐澤政策評価官  ちょっと考えます。男女それぞれどのくらいいらっしゃるのですかね。 ○ 黒川委員長  参考としてどこかに資料があれば、研究員の男女比とかですね。  その他に……。今、55分経ったところですが、前回から1週間の間だったので非常に 大変だったと思うので、修文その他はもう一回見直して直させていただいて、私と事務 方と最終的には先生方が、もしできましたら、あと1週間とか2週間とか今週末などと いっているといつまでもきりがないので、もし今度の修文に入れる材料があるのであれ ば、今日の夜中の12時ぐらいまでにファックスか電話で言っていただければとか、委員 長からお願いしたいと思います。 ○ 唐澤政策評価官  今週中ぐらいにいただければ。 ○ 黒川委員長  金曜日一杯ということでお願いします。 ○ 唐澤政策評価官  お気づきの点をお送りいただければ、ファックスでも電子メールでもかまいませんの で。 ○ 黒川委員長  ということにさせていただいて、最終的にはそういうことを勘案した上で、私の方で 先生方のご意見をいただいて、どういうふうに修文するかというのは任せていただけれ ばと思います。そうでないと、もう一回またやりますという話になっても大変かなと思 います。  それから、3人の理事長の方々にプレゼンしていただきまして、評価シートもありま すので、これを見ていただいて、ああなるほどなというところもあるし、ご自分たちの 立場も十分わかりますけど、外から見るとこういうこともあるのだなと思われたのでは ないでしょうか。この辺はもちろんコミュニケーションの問題とか立場の違いは十分あ り得るわけですが、こちらとしては、最初に議論したように、この評価が国民にどのよ うに評価されるかなということが大事ですので、できるだけ次年度その他にこれを前向 きに、ああ、そういう見方もあるのかなという話をくみとっていただければ、さらにお 互いに良い成果になるのではないかと思いますので、そのような配慮をいただければと 思います。  そんなことで、今回の評価をいろいろやってみて、私どもも大変勉強になったことが ありますので、それを踏まえて、資料1−4について簡単に説明していただけますでし ょうか。 ○ 唐澤政策評価官  では、資料1−4についてご説明を申し上げます。これは「独立行政法人の業務実績 の評価作業等に係る今後の課題等について(案)」としておりますが、この委員会でこ れまで何度もご審議をいただきまして、その際に出た評価に関する視点、そういうもの を整理をいたしまして、次回以降のご審議に役立てていただきたいと考えているわけで ございます。それをこの評価委員会の文書として残していただいて、来年以降の評価に つなげていきたいという観点から整理をしたものでございます。  簡潔にご説明を申し上げますと、まず全体として今後の評価作業を改善するものとし て7項目整理をいたしました。  第1としては、各委員の専門的な知見を十分活用する。それから、各委員の知識を深 めていくという観点から、法人の自己評価を十分に活用する。そして、その委員会の評 価と自己評価が異なる点については重点的に審議するなど、評価作業の充実や効率化を 図るということでございます。  これは、今回は第1回でございまして、回数、時間とも、かなりコストがかかってお りますし、書類も非常に数が多くなってしまいますので、もう少し効率的にしてわかり やすく評価ができるようにしていきたいと考えております。  2番目は、評価について、これは各委員の評点が異なる場合がありますが、その要因 の分析等を行いまして今後の作業に役立てていくということでございます。  3番目は、各法人からの業務実績の報告あるいは法人に対する質疑が中心となります ので、その際には新たに取り組んだ事項を明確にする。それから、実績の説明の際には 、社会的なニーズを明確にして、その具体的な効果についても明らかにすることが必要 ではないか。具体的な事例をできるだけ用いて説明を行うということです。  利益の残余を中期計画に定めた剰余金の使途に充てる申請する場合には、経営努力に よるものであることを明確に説明をする、というような点に留意をしていく必要がある だろうということでございます。  4番目は、組織改正などの将来にわたる効果を目的として実施したものにつきまして は、中長期的な視点に立って引き続き評価を続けていくことが必要であるということで す。  5番目は、月次決算の実施など、業務運営と財務との連動をより明確にしていく。そ して、財務面から適切にその内容が把握できるように、国民に対してわかりやすい情報 を提供できるようにしていくということでございます。  6番目は、13年度は初年度でございますので、独立行政法人の会計基準に準拠してい たわけでございますが、その具体的な方法において判断基準が明らかにされていない部 分があった。これは、各法人の性格とか、あるいは特に運営費交付金に関する事柄、あ るいは残った運営費交付金の会計上の処理の問題という事柄が一番大きいわけでござい ますが、そうした点については、現時点でも統一的な判断基準は示されておりませんの で、そういう事柄について、これは中期目標の1章だけに限らない、もっと全体的な視 点の問題でございますが、そういう点についても早急に改善をしていく必要があるとい うことでございます。  最後に、各府省の評価の方法を参考にして独立行政法人の業務実績の評価のシステム について検討していく、こういう点が必要ではないかということでまとめてみたもので ございますので、ご意見をいただきまして、足りない部分があればご意見をいただきた いと思っております。 ○ 黒川委員長  今回は初めてだし、忙しくて、資料も多くてという話で、事務方も大変だったと思い ます。特に評価委員の先生方、それから法人の方も準備等でいろいろあったと思います 。それを踏まえた上で、今までの議論に出てきたこちらのこういうやり方をまとめさせ ていただいた。これを来年度やりながらまた変わっていくだろうと思いますが、進化の プロセスだととらえて今後の課題としてまとめさせていただきましたが、何かコメント はございますでしょうか。  先ほどの男女共同参画社会についてはどうですが。 ○ 唐澤政策評価官  古郡先生はじめ先生方のご意見がありましたら、お願いします。 ○ 黒川委員長  その他に何かございますでしょうか……。今すぐと言われてもということでありまし たら、先ほどと同じように今週一杯に、お願いします。 ○ 開原委員  一つだけ、私が悩んだことを申し上げておきたいと思うのです。それは、中期目標と 本来の研究所のあるべき姿、そのどちらを基準にして評価をするか、そこの問題が多少 ありまして、杓子定規に言えば中期目標と照らし合わせて評価さえすればいいのだと思 うのですが、そうすると非常に機械的に、これは達成されたか、これは達成されていな いか、それだけの話になってしまうわけです。しかし、そうでもないのではないかとい う気がするので、確か前回のときもどなたかが、その長期的な観点と、何かおっしゃっ たのですが、そういう視点もどこかに持ちながら中期目標との対比をする必要があるの だと思います。その原則は何かメモとして残しておきたいような感じはするのです。 ○ 黒川委員長  このあいだ出たのは、もともとは国研が独法化されてくる、これはそれぞれの使命が 本当はあるわけなのだけれど、5年の中期目標というのは非常に短絡的ではないかとい うこともあるし、今までの歴史的な延長もありますし、社会のニーズ、国際社会が変わ ってくるのが一つ、そういう議論がありました。もう一つは、それはそれなりの意味が あるのだけれど、民間でできることはなるべく民間で行うという視点からするとどこま で必要なのか、という話が常にあるわけで、その辺も論点としては終局的には必要なも う一つの視点かなという議論も出ていました。  突然、中期目標などといわれてもちょっと困るところがあるのは確かであります。こ れは前回議論いただいたところなので、その辺はちょっと考えてみてもいいと思います 。 ○ 唐澤政策評価官  開原先生からいただいたご意見は、メモに整理をしておきたいと思います。 ○ 黒川委員長  その他に……。これも、もし何かコメントがありましたらいただきまして修文をして 、今後の課題等にとして書いておく。特に各府省の評価の方法を参考にして、これが全 体としてクオリティが上がってくるだろうと思われますので、このような課題を自分た ちで認識したということも資料として出させていただければよろしいのではないかと思 います。よろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。  このあいだ、委員の方々の全部の評点を出させていただきまして、これは各研究所に も行きますが、全体の標準偏差はどうかなというので出してあります。これはつらつら ながめるといろいろな解釈があるのかもしれませんので、見ていただければと思います 。  次に財務諸表ということです。財務諸表については、この委員会の意見を聞いた上で 厚生労働大臣が承認するというプロセスになっておりますが、これは専門の篠原委員を 中心に資料2として素案を作成していただいておりますので、まず事務局から説明をお 願いいたします。 ○ 唐澤政策評価官  では、財務諸表に対する意見について(案)、2−1、2、3、についてご説明申し 上げます。  その前に、今、委員長からお話のございました個別項目に関する評価結果の案、これ は委員の先生方に標準偏差も含めてお配りをしておりますが、最終的には個々にまとめ た評価結果という部分を公表させていただきたいと思っています。もちろん、お名前の 部分も出ない形で、最終的な一つの委員会としての評価を公表させていただきます。  財務諸表に対する意見でございます。財務諸表に対する意見につきましては、基本的 には財務諸表が法律と基準に則って適正に記載されているかということでございますの で、評価とは多少違う観点からでございますが、案文を用意してございます。これはい ずれの研究所も同じ文書でございます。一つ読ませていただきます。  意見について(案)  財務諸表は、「独立行政法人国立健康・栄養研究所の業務運営並びに財務及び会計に 関する省令」に基づき、独立行政法人会計基準に準拠して作成されており、適正である と認める。  なお、運営費交付金債務の収益化について、費用進行基準が採用されているが、今後 、経営努力をより一層明らかにし、業務の効率化を推進するために、業務内容の性質を 踏まえながら、期間進行基準や成果進行基準の一部導入についても検討する必要がある 。  また、損益計算書等において受託研究に係る収益と費用を区分して記載するなど、業 務に係る利益損失の根拠が明確になるように工夫することについての検討も必要である 。  平成13年度は、独立行政法人の会計制度が導入された初年度に当たるため、会計処理 については独立行政法人会計基準に準拠しつつも、その具体的な方法において判断基準 が明らかにされていない部分があった。今後、法人の業務の効率化を図るために、この 点について早急に改善する必要があることを申し添える。  以上でございます。 ○ 黒川委員長  さてここですが、篠原委員から何かありましたらお願いします。 ○ 篠原委員  まずここで申し上げたいのは、この前の委員会でも、税金を使っている立場とか、あ るいは民間並みとか、あるいは独立行政法人の場においてやるだけではなくて、それに ついて一層の工夫がないと評価しないという部分がありましたが、他の府省の関係者に 聞いてもかなり厳しい方に行っているようです。  ただ、ここにも書いてあるように、会計関係は予算、財務でやってきた人たちが独立 行政法人という会計基準という非常に特異なものを作って、それ以外は企業会計で行う といっているのですが、現実にまさに私どもがこの1年、見てくると、従来の会計とは 全然異質なものだなという感じがします。  これを具体的にいうと、コンピュータの会計システムがよく動かない。システムを開 発した人も非常に苦労し、その担当者も苦労しているようですね。もうこりごりだとい う感じぐらいに大変だった。というのは、官庁予算と企業会計と両方を一緒にやるよう な仕組みになっているものですから、従来から考えるとすごく大変なものとなっていま す。伝票の半分が修正伝票というぐらいに、仕訳をする人たちも大変だった。  そういうことも考えなくてはいけないなということで、判断基準がないので、私ども の意見、あるいは自己努力の部分は、ある程度ゆるやかといいますか、初年度というこ とを考慮せざるを得ないのではないでしょうか。各法人の現場にいる方は4月1日に異 動する者がいますから、1年かけていろいろな形でレベルが上がった人も、半分ぐらい は他の方へ異動してしまったという話も聞いているのです。ですから、決算も非常に苦 労して行ってます。  そして、私どもが考えると会計担当の人数も想像以上に少ないのです。ですから非常 に苦労しているなということで、研究開発の方は従来から外部評価の委員会があって、 それなりの仕組みもあるし、慣れて人数も多いなと思いますが、一方、会計面について は、判断基準はないわ、人は少ないわ、で非常に大変なので、この前にも言いましたよ うに、努力したというか、きっかけをつくれば評価してあげた方がいいという感じを持 っています。ですから、技術関係と同じように厳しくやるとこれは非常に評価が低くな ってしまうのかなと考えています。  実際の財務諸表に対する意見ですが、3法人とも法定による監査を受けていないので す。監事による監査だけということで、監査意見書は監事も熱心に細かくやられていま す。そして適切に処理されているということであり、私も見ている限りではきちんと処 理されているな、ここまでもってくるのは大変だったと思うのです。  この中で財務諸表として注意しなければならないところは、運営費交付金債務の部分 です。前にも説明していただいたと思うのですが、これは本来の独立行政法人会計基準 では、今年予定してできなかったもので、翌期やるものを残すという原則になっていま す。ただ、他の法人に聞いてみるといろいろな処理があるものですから、残高の内容に ついて説明していただきたい。流動負債、各法人の財務諸表の貸借対照表の流動負債の 、特に最初の運営費交付金債務を残した内訳を説明してください。 ○ 鈴木研究企画調整部長  資料6−1は産業安全研究所の資料でございますので、私どもからご説明いたします 。  運営費交付金債務、そこには私どもは1億6500万、債務が載っていますが、この中身 は実は7月24日にそういう宿題が出ていまして、私どもは資料を提出いたしております 。3点ございまして、1点目が退職手当の分、1億1600万。2番目がそれ以外の人件費 、4500万、3番目が業務経費、280万でございます。  退職手当が残った形になっているのは、予算編成時に想定された退職がなかったとい うことで残っているものでございます。これは、14年度以降、支出を行うことになるも のでございます。  2番目に退職手当以外の人件費でございますが、これは私どもは新規の職員が入って きたということがあって、平均年齢がガクッと下がったことと、もう一つ、ベースアッ プがなかったことで想定された俸給が少なくて済んだ。そういうことで余った分です。  3番目の業務経費の280万でございますが、これは研究業務が遅れて執行残が残った ということでは決してございません。実質的には私どもは経費節減みたいなことをやっ た結果、トータルとして280万残ったのですが、収益化の方法を費用進行基準でやって きたというようなことがございまして、私どもはちょっとわからなかったところがある のですが、債務に乗せて整理をした形になっております。 ○ 黒川委員長  この辺は、いずれこの内訳というか何かを見るとわかるようになるのですかね。また 篠原委員から、「財務諸表に対する意見について」ということについて少しコメントを 加えることがあれば加えていただいて、他の2研究所も同じようなことがあるのであれ ば言っていただきたいのです。当初から篠原委員がおっしゃっていたように、急に変わ って、それがもともと不備というかよくわからないというところがありますので、これ も各省庁の報告が上がってきたところでしばらく照合しながら進化していくのがベスト ではないかと言われていましたので、ここは何といっても篠原委員の意見で大体書かせ ていただくということでやるのがいいかなと思います。 ○ 唐澤政策評価官  最後のところで表現が「法人の業務の効率化を図るため、この点について早急に改善 する」とあるのですが、これは改善するのは政府側の話ですので、表現を直させていた だきます。法人がやるわけではありませんので。 ○ 篠原委員  財務諸表に対しては、この意見でほぼよろしいですか。 ○ 黒川委員長  他の委員の方で、こういうものの見方がよくわかっておられる方がいたら、言ってい ただくとありがたいです。 ○ 篠原委員  あとで出てくると思うのですが、一番問題は、費用進行基準というのを採用している ことによって、自己努力の部分が明確にならないということがあるものですから、今後 、ここに書いてある期間進行基準とか成果進行基準、これは導入するには難しいことは わかっているのですが、他に対して説明しようとすると、月次でこういうことをきちっ と管理してやらないと、どうしても説明が不十分になるということで、来年度、再来年 度になると、自己努力の部分の評定はこの委員会においても、おそらく外部からも厳し くなるなということで、あえてこの部分を入れてあります。 ○ 黒川委員長  これは、例えば毎月のそういう話とか期ごとの何とかとか、出てくるということです かね。 ○ 篠原委員  ええ、月次できちっとやらないと、なかなか難しいと思います。ただ、他の法人のほ とんどが費用進行基準なのです。ですからここの部分がどうのこうのではなくて、単な る会計処理上の問題として理解してしまったものですから、費用進行基準で楽だなとい うことで採用したのではとの感じがしますが、業務運営の効率化とかを説明責任とかき ちっとやろうとすると期間進行基準、成果進行基準をやらないとうまくできないという ことで、今後の課題でお願いしたい。 ○ 黒川委員長  それは各法人の問題ではなくで、これを決めたときの全体のフレームの問題だという ことですね。 ○ 篠原委員  そういうことなのです。 ○ 黒川委員長  というわけで、今回はやむを得ないかなと思います。もし訂正する部分があれば、篠 原委員のご意見を伺ったうえで修文をして、ここの意見として厚生労働大臣に提出して 承認していただく格好になるのかなと思います。  そういうことでご了解いただければ、そのようにして出させていただければと思いま すが、あとは、よそがどうなるかなというのを見させていただければと思いますが、よ ろしいでしょうか。何かコメントがありますでしょうか。確かにこれは、法人の方も非 常に苦労していると思うのです。 ○ 中窪委員  そういう実績のところは全然専門家でもありませんのでわからないのですが、意見に ついての3番目のパラグラフの文章が「この根拠が明確になるように工夫することにつ いての検討も必要である」というのは、あまりにもまだるっこいというかお役所っぽい 感がするのですが、もうちょっとストレートに言っていただければという気がいたしま した。 ○ 黒川委員長  「根拠を明確にすること」とか「する必要がある」。 ○ 中窪委員  「工夫する必要がある」ぐらいでもいいのですが。 ○ 唐澤政策評価官  確かにこれは悪文ですね。役所にいるとこういうのに慣れてしまうものですから、申 し訳ありません。 ○ 黒川委員長  では、そのように修文をさせていただきたいということでよろしいでしょうか。その 他に委員の方から……。よろしいですか。では、そのようにさせていただきます。どう もありがとうございます。  そうなるともう一つは、各事業年度の中期計画の剰余金の使途ということです。これ もこの委員会でのご意見を伺ったうえで厚生労働大臣が承認することになっています。 これについて篠原委員を中心にして起草委員に資料を作っていただきましたが、事務局 から説明していただければと思います。 ○ 唐澤政策評価官  資料3−1、2、3という1枚紙のものが、それぞれの研究所ごとに書かれたもので ございます。それから利益処分に関する書類ということで、これは研究所名が入ってい ないものがありますが、それぞれの研究所についての剰余金の内訳、2枚組のものが3 セットございます。参考資料として、「各事業年度の利益の残余を中期計画に定めた剰 余金の使途に充てることについて」というものがございます。  まず、参考資料からご説明をいたします。これは昨年の3月ぐらいのときに出たこと でございますが、だいぶ時間が経っておりますので、改めて整理をしたものでございま す。  当期の総利益が出ますと、原則として前期の繰越損失を埋めることになっておりまし て、その残額について経営努力により生じた利益かどうかということを判断し、積立金 と目的積立金に区分をする、こういうことになっているわけでございます。その際にこ の評価委員会のご意見をお伺いすることになっております。  下に枠で囲みになっておりまして、「経営努力認定の考え方について」という独立行 政法人会計基準第66(参考)という文章がございますので、読ませていただきます。  まず1として利益の処分に関する書類における「独立行政法人通則法第44条第3項に より主務大臣の承認を受けた額」、というのは利益処分の額の一部でございますが、そ れは独立行政法人の当該事業年度における経営努力により生じたとされる額である。  上記1の額の処分先としては、独立行政法人自体の動機付け確保の観点から決定する こととなるが、独立行政法人の公共性等の性質により、その処分内容についてはいかな るものであっても主務大臣の承認さえ得られれば認められるというものではなく、合理 的な使途でなければならない。  3として、この44条3項により、主務大臣の承認を受けた額が独立行政法人の経営努 力により生じたものであることについては、業務運営の財源を運営費交付金に依存する 独立行政法人にあっては、独立行政法人自らその根拠を示すものとする。  4として、具体的には以下の考え方によるものとする。  (1)は、運営費交付金に基づく収益以外の収益から生じた利益については、経営努力 により生じたものとする。  (2)は、中期計画、年度計画の記載内容に照らして、本来行うべき業務を効率的に行 ったために費用が減少した場合には、その結果発生したものについては、原則として経 営努力によるものとする。  本来行うべき業務を行わなかったために費用が減少したことと認められる場合には、 経営努力によらないものとする、という反対の表現が書いてあるわけでございます。  最後に(3)といたしまして、その他、独立行政法人において経営努力によることを立 証した場合は、経営努力により生じたものとする。  ということが原則的な考え方になっておりまして、そういう観点に立ちまして、それ ぞれの金額を見ていただきたいと思います。2枚1セットでございます。  国立健康・栄養研究所。タイトルがついておりませんが、これは前回お配りをしたも のでございます。1として、当期末の処分利益が当期総利益として1億2259万余という 金額になっております。利益の処分額といたしましては積立金、先ほど申しました経営 努力とは必ずしもいえないということで、名無しの積立金で7259万円余。  2として、独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けようとする 額、これが経営努力により生じた額ということになりますが、(1)として国際・産学研 究支援積立金として3000万円、発展途上国の研究者の受入及び研究支援等に関する事業 並びに産学推進の研究事業等に要する積立金ということでございます。  (2)として、プロジェクト研究支援積立金として2000万円、社会ニーズ及び行政ニー ズに対応したプロジェクト研究等に関する事業積立金ということで、(1)(2)の合計5000 万円というのが、第44条第3項により主務大臣の承認を受けようとする額でございます 。  その内訳が次のページ、これは前回にも少し見ていただいたものでございますが、こ のうち、4のところに未処分利益額の発生内訳ということで書いてあります。剰余金と 申請する額5000万円、下段の枠の中で名無しの積立金として整理する額7259万円という 金額になっておりますが、運営費交付金と受託研究の利益相当額で剰余金として申請す る額が、運営費交付金の分が4326万円、受託研究の利益が673万円となっております。  名無しの積立金の方は以下のような形になっております。  次に、産業安全研究所の平成13年度剰余金内訳をご覧いただきたいと思います。産業 安全研究所の承認申請額は857万円余りでございます。内訳としては、枠に囲ってござ いますが、当期の総利益が942万円余でございます。  前期はございませんので、繰越設定金0、利益処分予定額としては、名無しの積立金 が85万円余、それから44条3項により承認を受けようとする額、つまり経営努力によっ て生じたとする額が857万余ということで、それを研究環境整備積立金として処分した いということでございます。  次のページにございますのが当期総利益の内訳でございます。これは、以前、一度ご 説明がございました。  次に、産業医学総合研究所でございます。承認申請額が396万円余でございます。こ れは内訳として、当期の総利益が772万円余、うち、名無しの積立金とする額が375万円 余で、承認を受けようとする額が396万円余でございます。それを研究支援対策積立金 という名称で処分をしたいということでございます。  次のページは、これは前にも一度説明がありましたが、当期の総利益の内訳というこ とで参考資料として添付をされております。  こうした剰余金の処理、44条3項により承認を受けたいということで申請をされてい る額についての意見でございますが、3−1、3−2、3−3となっております。  まず健康・栄養研究所の平成13年度の利益の残余を中期計画の剰余金の使途に充てる ことに関する意見について(案)でございますが、「独立行政法人通則法第44条第3項 に基づき、独立行政法人国立健康・栄養研究所が中期計画に定めた剰余金の使途に充て るため、厚生労働大臣の承認を受けようとする利益の残余については……」になってお りますが、これは少しご議論をいただきたいということで、篠原委員から後ほどお話を いただければと思います。  なお、利益の残余を中期計画に定めた剰余金の使途に充てることに関する判断基準に ついては、独立行政法人に対する統一的な基準が明確にされていないことに留意する必 要がある、ということでございます。これは何度も出てくる考えでございます。  次に、3−2の産業安全研究所の剰余金使途に関する意見でございます。これは、独 立行政法人通則法第44条第3項に基づき、独立行政法人産業安全研究所が中期計画の剰 余金の使途に充てるため、厚生労働大臣の承認を受けようとする利益の残余については 、運営費交付金に基づく収益以外の収益から生じた利益であり、経営努力により生じた ものであると考えられるため、妥当であると認めます。  なお、利益の残余云々については、先ほどと同じでございます。  資料3−3は独立行政法人産業医学総合研究所でございます。これにつきましても、 44条3項に基づき、産業医学総合研究所が中期計画の剰余金の使途に充てるため、厚生 労働大臣の承認を受けようとする利益の残余については、運営費交付金に基づく収益以 外の収益から生じた利益であり、経営努力により生じたものであると考えられるため、 妥当であると認められる。  なお、利益の残余を中期計画に定めた云々、は同じでございます。  健康・栄養研究所については少しご議論をいただきまして、産業安全研究所と産業医 学総合研究所については妥当であるということでご承認いただければと考えております 。  以上でございます。 ○ 黒川委員長  ありがとうございました。ご意見をどうぞ。 ○ 井伊委員  前回、民間企業並みに評価をするというお話があったのですが、ムチの方だけでなく てアメの方というか、実際に利益を上げたときとか、例えば民間からの受託研究費を増 やした場合に、インセンティブを上げるために給与であるとかボーナスとか研究費とか 、そういう形で報いることができるのかというのは非常に興味があります。例えば健康 ・栄養研究所で自己努力の部分というのですか、利益処分の2番目ですが、ここに実際 にプロジェクトが二つ挙がっていて、それの内訳が示されているのですが、ここで挙が っている人件費などというのは、全額認めるのは普通のことなのかどうなのか、そのあ たりを教えていただきたいのですが。 ○ 黒川委員長  これは事務方で説明した方がいいですか。 ○ 片倉事務部長  私どもの方は、1億2200万を剰余金として挙げておりますが、その剰余金の前のご説 明をさせていただきます。  先ほど、篠原委員からお話がありました交付金債務のところは、他の2法人と違う処 理をしております。私どもでは中期目標、中期計画、年度計画という形で、13年度の年 度計画は100%終了した。したがって、交付金債務は期末残高は0です。業務は100%や りましたが、交付金の残高は、2法人と同じような形だと思いますが、退職金と給与で 約九千数百万の残が出ております。それらを積立金として処理をしています。  その利益処分の内訳でございますが、退職金は少なくとも私どもの経営努力ではない だろうということで、5300万はまるまる目的のない積立金の方に入れてございます。そ のほか人件費につきましては、13年4月1日発足時に6名の欠員がございました。その 欠員を埋めるためには、5月15日に組織を改正し、そこからスタートして任期付き研究 員を一般公募による形で採用をしていきました。したがってタイムラグが出る。その間 の給与の残です。それから1人の方につきましては、国立の研究機関からの応募者がご ざいまして、その国立の研究機関の方と話をして、併任扱いという形で週2回、そのか わり給与は全額向こう持ちという形で処理をしたり、私どもは、その間の足りない部分 につきましては、特別研究員、または単純な作業については技術補助員等々で補って、 我々といたしましては経営努力をしてきたと感じているところでございます。  以上でございます。 ○ 黒川委員長  ありがとうございました。篠原委員、何か。 ○ 篠原委員  先ほどのどこかに出てきたと思うのですが、弾力的に運営費交付金を運用するという 前提だと、これは全額0にしてしまったために、健康・栄養研究所の場合に大変な部分 が出ているのですね。他の法人に聞いてみると、5年後に国に返せばいいとかいろいろ なことがあるから、残してしまっている部分があります。そういうことを考えると、利 益じゃないよという形でやると積立金になってしまうのですが、赤字にならないと積立 金から補填できないということで、今度は運用が大変になってしまう部分が健康・栄養 研究所の場合は出てきたなと思います。  この部分で自己努力の中で最終的にきちっとした案になっていないのは、人件費の部 分を自己努力としては全額認めるのかというか、欠員の場合は当然、みんなが努力した 部分があるという気がするのですが、全額というのが難しいかなということで、ここは 皆さんに検討してもらいたいということでクエスチョンマークをしています。目的積立 金のところの2000万、プロジェクト研究支援積立金というのは、社会ニーズとか行政ニ ーズに対応したプロジェクトはかなり緊急性が高いということで、おそらく今回の中国 のやせ薬とかああいうたぐいのものにやるとなると、資金を弾力的にというのは、本来 なら運営費交付金債務ということの方がいいのかなという気がしないでもないのですが 、やはり業務を全部やってしまったという意味では、ここにもってこざるを得ない。  本来、積立金の中で大臣が認めた緊急のものは使えるようにしておくと、非常に運用 が楽なのだなという部分と、ある部分、人件費について自己努力というのもやっている ので認められる部分もあるということで、金額的にどうしたらいいのか、私自身わから ないものですから悩んでいるというか、おそらく栄養研の方もちょっと困っているのか なという気がします。この辺はどうでしょうか。 ○ 黒川委員長  一つは、栄養研の気持ちはよくわかるのだけれど、この剰余金の3000万と2000万のプ ロジェクトを立ち上げるのに人件費が2800万だから、これの性質からいうと少し削って もいいのではないのかという考えもあります。そして、むしろ積み立てておいた方がい いのではないかというような判断の方が通るのではないかというのが、この委員会の意 見として篠原先生が言ったことですね。 ○ 篠原委員  そうです。しかし、もう決算処理してしまっているし、柔軟な対応ということを考え るとどこへもっていくといったら、そして努力の部分もあるから、目的積立金のところ にいくぶん入れてこれを削ると、逆に積立金の方にもっていってしまうと決算が赤字の 場合しか補填できないという意味で非常に大変な部分があるなということで、やはりき ちっと検討してもらわなければいかんということで。 ○ 黒川委員長  研究所としては13年で終わってしまっているわけだから、14年にこういう企画をさせ てもらえば、もうちょっと活動が上がるのではないかということを見越していっている ということですね。 ○ 唐澤政策評価官  結局、一つは、成果進行基準の採用が非常に難しいということがあって、費用の案文 をどうするかということがはっきりしないのです。それは法人によるべき点もあります し、システムとしての問題もある、両方の面がありますので、特に名無しの積立金と経 営努力として申請する額に按分されている人件費が2800万と1300万になっているのです 。この辺の按分の仕方は2800と1300でいいかどうかというような点が、一番議論になる のではないかと思っております。これは、2800万を剰余金に申請する経営努力の方に入 っているのですが、残りは1300万でいいかどうかという議論があると思います。 ○ 篠原委員  ここのところで費用進行基準を採用しているために、きちっと説明できない。そうす ると、自己努力した分は、我々も、うん、そうですねというと、妥当な額がわからない という判断が難しい状況です。おそらくある部分は当然、自己努力で、ある部分は単な る積立金の方かなという気もします。  実はこういうのはおそらく世間では認められないけれど、半々かなという気もしない でもないので、あまり大雑把すぎると理解が得られないことで、研究してもらいたいと いう部分で、今回はそれも含みで認めている。そして、期間進行基準と成果進行基準を きちっとやって、もう少し成果がはっきりわかるようにしてください、ということかな と。ここを削ると、逆に研究の部分が支障をきたすので、ここが悩みの種ということに なります。 ○ 黒川委員長  14年度について、研究の部分が重要ですね。 ○ 篠原委員  留保付きのオーケーという感じかなと思います。 ○ 黒川委員長  難しいですね。しかし、研究所の主体性も慎重にしなくてはいけないから。 ○ 開原委員  すみません、ぼくもこの辺の仕組みがよくわからないのですが、積立金にした場合と 剰余金として申請した場合というのは、どういうふうに違ってくるのか、もう一回解説 していただけますか。 ○ 篠原委員  積立金は最終的に赤字の場合はそこで補填できます。5年後に中期計画が終わった場 合は国に返すことになります。目的積立金というのは、そこに積み立てられるのは経営 努力によって積み立てて、中期目標の中で書かれている、どういうことをやると宣言し たことに使える。 ○ 開原委員  退職手当などというのは積立の方で処理するわけですよね。 ○ 篠原委員  ええ。というのは、退職手当は、先ほどの説明にもありましたように予算で入ってき たのです。辞めるべき人が辞めなかったから……。 ○ 開原委員  それは赤字とみなすわけですか。 ○ 篠原委員  そうではなくて、自己努力ではないだろう。2人使っていないから。 ○ 開原委員  だけど、これは退職金としては使えるわけですね。 ○ 遠藤厚生科学課長  退職金に関しては、先ほど、産業安全研究所の方は「使わなかったので」というおっ しゃり方でしたが、健康・栄養研究所の場合には「前年度に退職してしまったので余っ てしまいました」と、完全に余っているのです。 ○ 開原委員  意味が違うわけですか。 ○ 遠藤厚生科学課長  一言で申しますと、剰余金として承認を受けようとする額というのは汗をかいた部分 。汗をかいた部分は、目的を設けて自分たちの研究のために使っていいだろうというこ とでございます。それ以外の分については、自然にというといいすぎですが、お金が余 ったので名無しの積立金として積み立てて、5年後の中期計画終了時には返還すること が原則になるということでございます。 ○ 黒川委員長  しかし、5年中に赤字になれば、それでやるよりしょうがないのでしょう。崩すとい うことなのでしょう。5年まではね。 ○ 遠藤厚生科学課長  赤字になれば、それは取り崩して埋めてもいいのですが、しかしあまり赤字になるよ うなことはしない。 ○ 黒川委員長  5年後に返すのだったら、返さないで使ってしまうのが普通なのではないのですか。 5年で余ったら返せなどと言うのだったら、5年のときには全部使うようにしますよね 。 ○ 遠藤厚生科学課長  しかし、何期も連続して赤字になるというのは、マネジメントとして問題があります 。 ○ 篠原委員  評価が落ちるのです、赤字を出すというのは。 ○ 黒川委員長  お金は使ってしまったけど研究所がなくなってしまう、ということもあるわけですね 。 ○ 篠原委員  そういう可能性があります。 ○ 中窪委員  よくわからないのは、切れがいいのが気になるのですが、これは汗を流した分はもっ とあるのだけれど、そのうちこれだけ切りのいいところを請求する、そういう理解です か。 ○ 遠藤厚生科学課長  そうでございます。 ○ 黒川委員長  そうでしょうね。大体このぐらい、来年の事業費としてお金があるからやりたいとい うことですね。しかし、今の遠藤さんの話だと、独法化になる前にいるつもりだった人 が辞めてしまったから、その退職金は国費から出てしまっている。国研だったわけだか ら。そうすると、この予算に計上しているのが大体間違っていた。しかし、もう予算を とってしまったから今さら返せないやというお国のあり方だったのだな。よくあるパタ ーンだけれど。 ○ 遠藤厚生科学課長  したがって、この5300万は手をつけないで5年後にお返しします、というつもりで積 立金にします。それ以外の部分をどう努力と認めていただけるかということです。 ○ 黒川委員長  そうすると、今年返してもいいのだね。貯金だからまあいいや、といっているのいう のですか。 ○ 唐澤政策評価官  そんなに毎年返してはいけないのです。交付金は基本的に5年間は一定で、原則的に はほぼ同じ金額がくる。算式は決まっておりますので。それを毎年増減されると、独立 行政法人の自立性の基盤が壊れますので、5年間は基本的にはほとんど変わらない。 ○ 黒川委員長  しかし、この退職金は最初からあげすぎだったのではないのですか。 ○ 唐澤政策評価官  これは、私もそこまでは何とも言えません。 ○ 黒川委員長  しかし、得しちゃったという感じですね。 ○ 篠原委員  残高が多ければ、昔なら運用して、その利益が自己努力になるのですが、今は運用し ても大したことないから。 ○ 黒川委員長  それはそうですけれどね。では、ご意見としてはどうでしょうか。人件費で使わなか った分はこのように配分して公平なプロジェクトに使いたいということを、この委員会 はどう評価するか。難しいね、こう言われても。 ○ 篠原委員  先ほどのまさに判断基準の具体的なものはないのです。非常に厳しいところもあるし 、ある程度、自己努力を認定しているところもあるものですから、正直言ってきちっと 判断するのは難しい。 ○ 黒川委員長  その他にご意見は。五十嵐委員、どうですか。 ○ 五十嵐委員  会計はプロではないのでわからないのですが、その辺はいいと思うのですが、例えば 退職金などでも今度、規程が変わりまして、当然下がりますね。ずっと下がっていくか 、どこかで上がるのかわかりませんが、そういうことを考えていくと、だんだん国の予 算は減ってくる。そういうものは残しておいてもしょうがないですね。そういうものは どうするのですかね。国家公務員だったら、国の予算だから規程どおり執行してそれし か出ないのだけど、こういう研究所だったらどういうことになるのでしょうか。 ○ 黒川委員長  自分が理事長の立場だったら、自分が辞めるときの退職金というのが、もともと積み 上がってくる、持ち越してくるようなポジションだった人、これからは違うのだけど、 一回どこかで退職金をもらってくるわけで、だから今までのような額にはならないと思 うのだけど、しかし、これから10年とか20年、ずうっと中できた人が所長になれば退職 金は高くなるから、積立金がなければ外から引っぱってくるかな、などと工夫するわけ ね。 ○ 唐澤政策評価官  そこまでは私もわからないですが、いずれにしても、先ほど篠原先生のお話にもあり ましたように、栄養研の特徴は委託研究が2億9000万あるということなのです。そこは かなり大きい。11億のうちで2億9000万が外部資金を獲得したので、その分の経営努力 はあるはずなのですが、それがなかなか成果進行基準を採用しにくいという問題もあっ て、その費用の按分をどういう基準で分けるか。つまり、委託研究で受けた分とその他 の運営費交付金の分との関係で費用をどういうふうに按分するかということが明確にで きない。  そのなかで特に問題になるのは人件費の按分で2800万と1300万ということで、これは 剰余金と申請する額に人件費2800万計上してありまして、名無しの積立金の方に1300万 計上してあるのですが、こういう按分の比率でいいかどうかというのが一番の議論だろ うと思っております。  篠原先生は、例えば一つの考え方としては、半分くらいずつそれぞれに按分するとい う考え方もいいかもしれないと。 ○ 黒川委員長  半分ずつというのは、人件費から出てきた剰余金というのは2800万と1300万だから、 両方で4200万程度出てきたわけだから、自助努力として2100万ぐらい計上したらどうで すか、という話ですね。少しやさしい気持ちになるとそうだと。 ○ 篠原委員  これは、先ほどの今後の課題の中にも出てきていると思うのですが、コスト情報とい うか、個々のプロジェクトの費用をきちっと把握すれば、これは簡単に説明できると思 います。ですから、人件費と出てしまうと否定されてしまうものですから、今言ったよ うなことで編成しないとまずいなということで、議論してもらっているのです。 ○ 唐澤政策評価官  その際には、先ほどからいろいろご指摘が出てくるように、例えば成果進行基準をで きるだけ導入するようにとか、経営努力の内訳をきちんと示すように努力するとかいう 条件を、併せてつける必要があるだろうと思っています。 ○ 黒川委員長  そうすると、剰余金として申請する額は、プロジェクトにかかるのは5000万となって いるのだけれど、今のような分け方をすると、5000万より少し減った額で二つのプロジ ェクトにバジェットをして、その内訳はどうするかというのは大体の計画に出てくるの ではないのか、ということですね。 ○ 開原委員  逆に、今これを2800万と1300万とに按分している根拠は何かあるわけなのですか。 ○ 篠原委員  例えばおそらく運営費交付金が8億ぐらいですね。3億ですから、大雑把にいえば2 対1に分けたかなという気がしています。 ○ 黒川委員長  そうですか。 ○ 遠藤厚生科学課長  最終的な結果としては5000万という数字が上がって決定されているわけですから。 ○ 黒川委員長  それぞれいろいろな立場で苦労しているわけです。しかし、人件費の余剰分として出 てくるとちょっと難しいのではないの、というのが篠原先生の意見ですね。だけど研究 所としては、トータルでできれば5000万ぐらいなんとかアロケートしたいということだ から、どうジャスティファイするか。特に研究などは外部資金がたくさん入ってきてい るので、その努力をどう認めてもらいたいかということ、余ったお金の性格上、どう分 けるかという話をジャスティファイするかということですね。しかし、人件費からでは なくてできるかな。2100万とすると、これで700万ぐらい減ってしまうのだけれど。 ○ 篠原委員  減ってしまうから、このままで先にいったら留保条件付きで来年きちっと見てどうか という部分もあるから、このまま認めてはどうでしょうか。 ○ 黒川委員長  それはテイク・ノートしておいて、実際はたぶん栄養研が、今年、そんなに外からお 金をとったから、来年はもっと増えるかもしれないから、減らしても大丈夫かなという 気もしないでもないけれど、それは余分な努力としてさらに評価したいというふうにな ってくれば、これでいくかという話で十分議論したのだけれど、という話にりますかね 。 ○ 井原委員  努力した部分の基準がはっきりしないのでしょう。 ○ 黒川委員長  そうです。 ○ 井原委員  ですから、むしろ重点をプロジェクトを評価するかどうかというところに最初に置い て、したがいましてその費用としてはこれだけかかりますから、その費用を認めましょ う、そういう説明で認めればいいのではないですか。 ○ 篠原委員  今の時点では、努力という部分を詰めていっても、はっきりしない部分がどうしても 出てきてしまうのですね。ですから逆にこれでやる,そちらに向け、来年度、きちっと つかんでくださいよ、という方が納得できる。必ずしも自己努力まで全部否定するもの ではない。やはり自助努力はあるということで、その方が金額からいっても。 ○ 黒川委員長  となると、全体の今年の評価結果についてということと、この二つのプロジェクトが 合っているかというという視点を見ていただければいいのではないかと思いますが、そ れについてはどうでしょうか。 ○ 唐澤政策評価官  これをもうちょっと説明してもらいますか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  なぜこのような二つのプロジェクトについてこのような額の積立を予定させていただ いたのか、についてご説明いたします。  まず国際ということにつきましては、当初の中期計画では具体的な予算立ては全くご ざいませんでした。ただし、中期計画の中に数行書かれている部分がございましたが、 これにつきましては、昨年度の本評価委員会の議論のなかで、社会的、行政的なニーズ の中で国際的な対応が非常に重要であるというご意見をいただき、それに対応すべく努 力をし、平成14年度4月から国際・産学共同センターというものを立ち上げたところで ございます。  また、産学連携につきましては、特許等の取得も含めてより一層の努力をするように と、今回の評価でもいただいておるところでございますので、それについて特に重点的 に進めていきたいと考えております。特にアジア等の発展途上国から研究者を受け入れ るといったときに、なかなか文部科学省等のスカラシップはとりにくいものでございま すので、ある程度定常的な形での予算枠が得られますと、そういう研究者の受入も非常 にスムーズかなということで計上させていただいております。  あと、プロジェクト研究につきましては、すでにいくつかのプロジェクト課題の所内 公募あるいは調整をしているところでございます。一つは食品の、特に健康食品の安全 に関わるようなところでのプロジェクトを一つ考えております。もう一つは生活習慣病 等に関わる部分ということで、2課題ほど考えて2000万円ということで出させていただ いております。 ○ 黒川委員長  何かコメントはございますでしょうか。実際に特許出願するとすごくお金がかかって 、国内だけで出願して認められて意味がある特許はだんだんなくなってきますので、国 際などというと一発出すだけで1500万ぐらいかかってしまいますね。そんなことをやっ ていても、事業化できなければまるまる損するだけの話なので。今、日本は大学関係の パテントが、さらに開発というかそこに動いている率は、全部のうちの4.5%。だから 、ほとんどがなにも結果にならないということなのだけど、アメリカはどのくらいかと いうと33%なのです。だから、なりそうもないものをいくら特許をやっても意味がない ので、それをやめるというのもすごく大事な判断なので、無駄なカネは使わないという 目利きも大事なのですね。それが事業化しているのが1%いっているかどうかで、アメ リカでもせいぜい4〜5%ですから、これは結構大変な事業なので、そのあいだに特許 を維持したり申請したりするお金を使うだけで、大学は必ず赤字になります。アメリカ でもそうなのだけれどね。 ○ 開原委員  私の意見でございますが、せっかく独立行政法人になったわけですから、こういう形 で自由に研究所がお使いになるお金を確保しておくことは、基本的には結構なことでは ないかと思うのです。ですから、これをこの際認めてもいいのではないかと思います。 ただし、この5000万というお金が確かに有効に使われたのだということを来年度に必ず 示していただきたい、そういう条件をつけてこれを認めるということではいかがかなと 私は思います。 ○ 黒川委員長  出るからにはそれは条件なわけで、せっかく独立しているのだから、かなり財政的な 余裕があるときには、あるミッションをもってやられればいいし、さらにそれをやるた めには、ないしは国からくるのは非常にガチガチですから、外からとってくるようにで きたので、そこを使うということ。だから、それは私もそうだと思うのですが、これが 例えば来年はいいとして、再来年はどうなるのかなと思っていたのですが、篠原先生、 そういう場合はどうなのですか。 ○ 篠原委員  判断基準が出てきて厳しくなってくるとういうのと、一つは、今、自己努力は全額、 目的積立金にできるのですが、半分とかいろいろな形になってくるのです。というのは 、国の施設を使ってやりますから、全部こっちのものよ、そういう判断もできるのです が、国にも少しくれという話が出てくるので、折半ではなくて個々にみて、これは全額 法人にあげます、ある部分は半分とか、そういう判断基準がだんだん出てくるなという 気がします。ですが今回はないものですから、その部分はやはりつけてもらって。 ○ 黒川委員長  そうですね。そうすると、来年以降の話はまた研究所にも考えていただくとして、も ちろん成果がどうなるかという話は、ある程度自由度がないと、あまりこちらがぎちぎ ちやってもかえってやりにくくなってしまうだけだと思うので。 ○ 開原委員  そのときに建前論を聞いておきたいのですが、そういう剰余金が出た場合に、その剰 余金でやった事業というのは、この評価委員会の対象になるのですか、ならないのです か。 ○ 遠藤厚生科学課長  なります。 ○ 黒川委員長  それは当然なるでしょうね。 ○ 開原委員  そうであれば、私はこれも評価の対象として、そのときにそれが有効に使われたかど うかを判断するということでいいのではないかと思います。 ○ 篠原委員  おそらく今後、努力した場合、ある部分が賞与であるとかということもあり得るので すね。 ○ 遠藤厚生科学課長  ちょっと財源にするとかですね。 ○ 篠原委員  今年はおそらくそういう形で積んでいるところはないと思うのですが、努力した結果 、一部分はもらってもいいのではないか。 ○ 黒川委員長  それはこの委員会がやることかもしれないですね。 ○ 唐澤政策評価官  今ございましたご意見を整理させていただきますと、どういう認め方をするにしても 、一つは、できるだけ成果進行基準の採用とか、経営努力の立証に努力すること。二つ 目に、井原先生からも指摘がございましたが、目的積立金の趣旨、必要性というものを 明確にする。それから、有効に使われたかどうかについては、きちんと事後に評価をす る。そういう3点ぐらいのご意見をいただきました。 ○ 黒川委員長  その他にいかがでしょうか……。もしよろしければ、こことしては、せっかくなった のですから、フレキシブルに自分たちの責任でやってくれと。責任というのは、それを どのくらい遂行するか、いろいろな考え方がおありでしょうから、それはこちらがいう ことではないので、大枠としてはこういうことを認めていただくというふうにさせてい ただきまして、その財源の配分についてはちょっとおかしいなというところがあるのだ けれど、スタートしたばかりですからこのようにさせていただいたらどうかと。その書 きぶりについては事務局と相談させていただいて、厚生労働大臣の承認をいただくのに あまり不自然ではないような格好でやる。つまり、来年度はこのようなプロジェクトを するのは大変大事ではないかと評価委員は評価しているので、そのところを認めていた だきたいような書きぶりにして、大臣の承認をいただきたい、ということにさせていた だこうかと思います。よろしいでしょうか。  その他に。 ○ 唐澤政策評価官  産業安全研究所と産業医学研究所はこれでよろしいでしょうか。 ○ 黒川委員長  篠原委員、これでよろしいですか。 ○ 篠原委員  受託収入が主体なので、あえて問題にすることはないと思います。 3.閉会 ○ 黒川委員長  よろしいでしょうか。ではそのようにさせていただきまして、その他に一般的なこと 、剰余金のこと。私たちもこれは勉強しているプロセスだという感じでお互いにパート ナーシップを組めればさらにいいのではないかと思いますが、堀田委員も言っているよ うに、これはなんのためかというと、国民に対してこういう税金の使い方は役に立って いるのかという視点が一番大事ですから、このような視点でさらに続けていければと思 っております。  では、13年度の分についてはこれで終了させていただいてよろしいでしょうか。その ようにさせていただきます。  それから、3研究所の理事長先生、スタッフ、皆さん、本当にありがとうございまし た。ぜひ所員一同に我々の熱いメッセージを伝えていただければと思いますので、また 頑張っていただければと思います。どうもご苦労様でした。                                     −了− 照会先 政策統括官付政策評価官室 政策評価第1係・第2係 代)03-5253-1111(内線7784・7780) ダ)03-3595-2160