研修医の処遇について(案)
1 研修医の処遇に関する基本的考え方
(1)労働者性について
○ 労働基準法第9条「この法律で『労働者』とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下『事業』という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」
○ 労働基準法第9条の労働者であるかどうかは、
(1) 具体的な仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無
(2) 業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無
(3) 時間的・場所的な拘束性の有無
(4) 報酬の労務対償性
等を総合的に勘案し、個別具体的に判断されることになる。
(2)研修医の処遇に関する基本的考え方
○ 研修医については、教育的側面も有するが、一般的には、労働者性が認められると考えられる。
○ 研修医が臨床研修に専念し、研修内容を的確に身につけることができるよう、研修医に労働者性が認められるか否かにかかわらず、労働基準法等労働関係法令に規定される労働条件に相当する処遇が確保されることが必要である。
2 研修医の処遇に関する基準
研修医に労働者性が認められるか否かにかかわらず、研修医が臨床研修に専念できるよう、労働基準法等労働関係法令に規定される労働条件に相当する以下の処遇を確保すること。
(1) 研修条件の明示(労働基準法第15条関連)
臨床研修病院は、研修契約の締結に際して、研修医に対して、
その他の研修条件を明示すること。
(2) 研修手当
(3) 研修時間、休日、時間外・休日研修、割増研修手当、休暇及び当直(労働基準法第32条、第35条、第36条、第37条、第39条、第41条関連)
研修時間は、原則として、1週40時間、1日8時間を超えないこと。なお、指導医の行う手術の見学や文献の勉強等の教育を時間外に実施することについては、出席の強制がなく、自由参加のものであれば、時間外の研修にはならない。
臨床研修病院は、毎週少なくとも1日の休日又は4週間を通じ4日以上の休日を与えること。
臨床研修病院は、時間外及び深夜(午後10時〜午前5時)の研修には2割5分以上の割増研修手当を、また、休日研修には3割5分以上の割増研修手当を支払うこと。
臨床研修病院は、研修開始の日から6か月間研修し8割以上出勤した研修医に対して10日以上、その日からさらに1年間研修し8割以上出勤した研修医に対して11日以上の有給休暇を与えること。
当直の業務について、救急医療等昼間と同態様のものである場合には、臨床研修病院は、当該当直を通常の研修時間として扱い、割増研修手当を支払うこと。
(4) 産前産後の休業(労働基準法第65条関連)
臨床研修病院は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を研修させてはならない。
臨床研修病院は、産後8週間を経過しない女性を研修させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた研修を行うことは、差し支えない。
臨床研修病院は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な研修に転換させなければならない。
(5) 健康診断(労働安全衛生法関連)
(6) 社会保険(健康保険法、厚生年金保険法、労働者災害補償保険法、雇用保険法等関連)