戻る

確定拠出年金
連絡会議
第2回
平成14年8月1日
 
資料3


2002.8.1
サンデン(株)


第二回確定拠出年金連絡会議

サンデン(株)の確定拠出年金移行

確定拠出年金制度の仕組上の問題点


.サンデンの確定拠出年金移行

(1)基本的考え方

◆ 給付負担を先送りせず、且つサンデンリスクから切り離す

自分の退職金は自分で稼ぐ
 ・・・ 退職金として支払うべき資金は毎年キチンと支払う

◆ 新会計基準への対応

退職給付債務計算から逃れたい

◆ 本業がストレートに経営に反映

株価や金利動向に左右されない経営体質作り

◆ 経営の弾力性確保

会社分割・事業別処遇など

◇ 能力主義の退職金

処遇全般について能力主義を貫徹させ公平性を担保

◇ マーケットに敏感な自立した社員作り

グローバル スタンダードに基づく経営
 ・・・ 退職金制度改訂は人事のみならず経営の課題


(2)制度変更の概要

現行制度
 最終賃金と勤務年数で退職金総額が決定
・・・ 年功型退職金
 上記金額を会社は支払確約
・・・ 確定給付型

現行制度の図

新制度
 その年毎の資格に基づき退職金ポイント決定
・・・ ポイント制退職金
 ポイントをベースに年間拠出金額が決定
・・・ 確定拠出型

新制度の図



(3)制度設計上の留意点

● 社員にとって確実に給付削減になる、現行制度に基づく給付利率変更に代えて、運用の宜しきを得れば、現行受取レベルを確保可能な仕組に改訂

  •  組合員上級レベル(係長)まで資格が到達出来れば、3.5%運用を前提に現行比遜色の無い退職金総額確保可能
       ・・・ 従って、それ以上昇格すれば、現行比、有利になる可能性がある

  •  一方、組合員上級レベルまで昇格可能性の少ない社員には、新制度に移行する際に追加補填を実施し、現行比、不利にならぬよう対策を講じている

  •  又、同じく現行比、不利になる可能性のある中途退職者にも経過措置を講じている


● 401K運用の負担を軽減し、方々、現行制度とのギャップを埋めるべく、40%部分につき、相応の緩和策を講じている

  •  委員会による運用とし、毎年、組合との合意に基づき必要あれば、単年度ベースの利回り保証を行う(会社業績、運用実績等を勘案)

  •  定年退職者に限り、40%部分を限度に、年金受取を認める

  •  又、40%部分の前払い選択が可能



(4)サンデン型新退職金制度設計のユニーク性

◆ 会社の基本的ニーズに基づいて純論理的に仕組を作り上げた
     ・・・  結果として現行制度は一度ご破算
          過去分を含めて全て組み直し

◆ 現行制度との乖離については、移行時措置等を駆使
     ・・・  弱者救済策は公平性の観点からある程度必要

◆ 日本の伝統的メーカーとして、社員の流動化=退職金のポータビリティーは前提としていない

◇ 厚生年金基金を解散、且つその資金を使って401Kへ移行する第一号

◇ 社員全員が401Kに移行する (年齢・資格等での例外は無い)

○ 検討を開始したのが、1998年と非常に早く、従って、組合交渉も、法案成立の遅れもあって、充分時間が取れた

○ 組合に対しても理念・論理で説得していったから、関連法律/法令の成立以前ではあったが、承認を取得出来た

● 現行制度には“厚生年金基金”を含むため、監督官庁との折衝が大きなウェイトを占めている

組合をはじめとする社員と監督官庁の協力を得て、“夢物語”が現実のものとなりつつある


(5)サンデン型401Kの特徴

◆ 運営管理機関はサンデン自身が担う

○ 社員に最高の商品群を提供したい
○ サンデンとしても金融機関一社に任せるわけにはいかない

◆ 徹底した社員向け教育

○ 50人単位の就業時間内勉強会の実施(2時間30分)
○ テキスト、ビデオ、Webなど補完教材の充実

◆ 全投資商品について半年毎に専門機関による定性評価の実施

○ 投資信託は“三菱アセットブレインズ”
○ それ以外は“富士総合研究所”

◆ 自社株ファンドは入れていない

○ “サンデンリスクから切り離す”のが目的の一つ
○ 自社の株価で一喜一憂して欲しくない (長期保有なら持株会)

◆ 退職後の運用

○ 退職後もほぼ同様の運用商品を選べるよう、一金融機関に運営管理を委託


.確定拠出年金制度の仕組上の問題点

(1)信託報酬の販売金融機関手数料

信託報酬の販売金融機関手数料の図

◎そもそも401Kに販売金融機関の手数料は馴染まない

⇒販売金融機関の存在意味は無いのではないか?

  • 投資信託とは異なる仕組で充分ワークする
  • 結果として多くの無駄な手数料が不要となる

◎現在マーケットでは縮小が進んでおり、最終は運営管理機関手数料へ収斂か?



(2)T+α 問題

拠出時

○ 拠出時には、事前に全データがRK社に送付されているにも拘らず当日入金にならない

拠出時の図

スイッチング時

○ スイッチング時に、買いの値決めが全くブラインドになる
○ スイッチング当日乃至最悪でも翌営業日には売り方の確定が出来るはず

スイッチング時の図

何故、T+α 問題が発生するのか?

◆ 一つには日本の決裁制度の問題がある
   (先進国比、遅れている)
◆ 401Kの仕組にも大きな問題がある

RK会社と資産管理機関が別組織だから

● そもそも資産管理機関は、その名前に値しない
   ⇒ 形式上だけで、実質はキャッシュフロー管理
のみ

キャッシュフロー管理だけなら、RK会社に併合して差し支えない
   (資産管理機関は旧来の既得権確保以外の何物でもない)
    ⇒ 問題となっている手数料総額もその分引下げ可能



(3)RK社の複数必要性

A.何故、有力RK社が“2社”必要か?
   ⇒ おそらくサービス競争が最終顧客たる加入員にメリット

B.現在既に、RK社は、言わばインフラとなり社会資本化した
   ⇒ 競合他社が居なくとも、手数料は最早最低レベル

むしろ、
  システム開発の遅さによるサービス低下が大きな問題
    (どちらを向いた開発優先か、も大問題)

同じく、
  2社が別々に重い開発をすることによる二重投資が
    むしろ、最終、加入員のコストに跳ね返る可能性


なるべく早期に2社は合併させるべきではないか?


(4)401K投信の商品のあり方

◆ 401Kは、マスのシステム商品
   マスということは、共通の土俵で商品が作られるべき
   ⇒ 私募投信ではなく、ベビーファンドで可能ではないか?

◆ 401K採用企業・その加入者が全て同一商品について、
   同一条件でなければならないという必要はない?

A.共通の土俵で、信託報酬等を変えられるスキームとすべき
   ⇒ 自由競争は同じ仕組の上で貫徹すべき

B.同様の投信でありながら、ある金融機関の商品を選択していた場合、より低い条件の投信の参入を阻止してかまわないか?
   ⇒ 導入企業にとって、大変厳しい問題



(5)自社株(個別株式投信)規制

U.S.Aでのエンロン事件は記憶に新しい
   ⇒ 何らかの規制の動き

自社株を401K商品に加えるについては二面性あり

○ 退職金のリスクを企業リスクと切り離す
   ⇒ 401Kは前払いの仕組であり切り離しは当然

○ 自社株こそ最もそのリスクを判断し易い、又、他の商品と比べ、自分が頑張れば運用良化の可能性
   ⇒ インセンティブとしての効果を期待出来る

◆ 自社株(個別株式投信)には相応のメリットを期待出来るから、基本的には、社員と会社で決める問題

◆ しかし、ある銘柄に、例えそれが自社株であっても、50%を超えて集中させるのは問題ではないか?
   ⇒ 分散投資の観点から、何らかの規制が必要ではないか?



(6)Default Fundの考え方

現在、多くの導入企業は、Default Fundとして、
   “1年物定期預金”を設定していると思われる
   ↓ U.K.では、低リスクのバランス型ファンドを
設定している由
導入企業は、安直に、1年物定期預金でよし、としていないか?
金融機関も、“本来の目的に合う商品”の開発を怠っていないか?
● 選択しなかった、選択できなかった加入員のための受け皿が、“本当に1年物定期預金でよいのか”の議論をもっとするべき。

● 導入企業・金融機関ともに責任回避でなく、積極的に加入員の為の商品開発をするべきではないか?


(7)個人型の手数料の徴求方法

現在検討されていると思われる方法
  ○ 個人型     毎年の拠出金から差引く
  ○ 個人指図型   残高から差引く

◆ そもそも個人型は過去分を含む拠出金が小さく魅力に乏しい

◆ 上記徴求方法は

  •  “とりっぱぐれ”のないように、との金融機関のエゴは見えても
  •  限られた税法上の上限のなかで、如何にして顧客(加入員)に有利な商品にするか

との視点に欠ける


◎ 金融機関はそもそもどの顧客を大事にしているのか?又、将来、どうしようと思っているのか?、全くポリシーが見えない

◎ 金融機関には“口座振替”乃至“自動引落し”という使い慣れた手数料徴求方法があるはず

◎ 残高の少ない“指図型”については、今後当局に早急に要請していく具体案があってしかるべき



(8)企業型における個人情報の取扱い

企業型における個人情報の取扱いについては2つの側面がある

<企業としてどうしても個人情報が欲しい場合>

○ 現在法令で認められている税務上などの当局からの開示要求だけでなく

○ 運用金融機関又は運用商品に異変が生じた時に、当該商品で運用している加入員名
    ・・・ 運営管理機関としても当然ではないか

<企業として加入員の運用動向の傾向を知りたい場合>

○ 色々な情報を取ることが、

などに必要

○ しかるに、現在はどこまでを経営情報として企業に提供するかのコンセンサスが無い為、ばらばらの状態

○ 金融機関とご当局で早く、コンセンサス作りをして欲しい


トップへ
戻る