02/07/26 薬事・食品衛生審議会平成14年7月26日(金)医薬品第二部会議事録           薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年7月26日(金) 10:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(14名)五十音順  ◎池田 康夫、 板倉 ゆか子、上原 至雅、 垣添 忠生、   神谷  齊、 小池 克郎、 後藤  元、 小室 勝利、   菅谷  忍、 早川 堯夫、 藤上 雅子、○堀内 龍也、   三瀬 勝利、 溝口 昌子   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順   川嵜 敏祐、 木村  哲、 吉村  功 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、 池谷 壮一(審査管理課長) 、   黒川 達夫(安全対策課長)、  豊島  聰(審査センター長)、   姫野 孝雄(企画調整部長)、  平山 佳伸(審査第一部長)  他 4.備考   本部会は、非公開で開催された。 ○審査管理課長  それでは定刻になりましたので、医薬品第二部会を始めさせていただきます。本日は お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。当部会委員数17名中 現在13名御出席でございますので、定足数に達しておりますことを御報告させていただ きます。それでは池田部会長、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長  先生方にはお暑いところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。それで は早速本日の議題に入りたいと思います。まず事務局の方から資料の確認と資料作成に 関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局  それでは確認させていただきます。まず資料1〜4までがあらかじめお送りした資料 でございます。本日の席上配付資料といたしまして、議事次第、座席表、当部会の委員 名簿、それから資料4-1といたしまして、「生物学的製剤基準(案)新旧対照表」と、そ の修正を盛り込んだものを後ろに基準として付けてございます。それから資料5とし て、「医薬品第二部会審議品目の薬事分科会における取扱い及び毒薬・劇薬の指定の要 否について(案)」でございます。それから資料6として専門協議の委員名簿を付けてご ざいます。お配りした資料は以上でございます。  また、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関与された委員の確 認でございますが、本日の議題1に関しまして□□先生と□□先生、議題2について□ □先生が関与されております。以上でございます。 ○池田部会長  ありがとうございました。それでは審議に入りたいと思います。ただいま説明がござ いましたように、本日は審議事項が議題4までございますけれども、都合により議題1 を最後にさせていただきたいと思います。まず議題2の医薬品膀胱注入用イムシストで ございますが、議題4がイムシストの生物学的製剤基準を収載するための基準の改正で ありますので、2と4を併せて審議いたしたいと思います。それでは膀胱注入用イムシ ストの件に関して、審査センターより審査の概要の御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  それでは議題2、資料2の医薬品膀注用イムシストの輸入承認の可否等について、審 査センターより御説明申し上げます。  本剤はカナダのコンノート社(現在のアベンティスパスツール社)で開発された、BC Gコンノート株を有効成分とする膀胱癌の免疫療法剤であり、日本化薬株式会社が輸入 承認申請しているものでございます。膀胱癌に対するBCG免疫療法は歴史が古く、 1976年にモラレスらが表在性膀胱癌患者9例に膀胱内投与を行い、全例に有効性を認め たことを報告したのが始まりで、その後多くの治験によりその有効性が確認され、現在 では国際的に標準療法として定着しております。日本におきましても、平成8年7月に 日本ビーシージー製造株式会社のBCG東京172株を有効成分とするイムノブラダー膀 注用が承認され、医療現場で使用されておりますが、本申請品目はこのイムノブラダー 膀注用と効能及び用法が同じで、有効成分の菌株違いの製剤でございます。なお、本剤 につきましては1988年にドイツで承認されて以来、現在では51か国において承認され市 販されております。  本剤の専門協議では本日の配付資料6の2ページに示しますように、山本委員、井上 委員、林委員、鶴尾委員、谷川原委員、武田委員、西澤委員、竹内委員を専門委員とし て指名いたしました。  まず本剤の有効性に関してですが、表在性膀胱癌及び膀胱上皮内癌患者を対象とした 後期第II相試験において、申請用法・用量である81mg週1回8週間膀胱内投与により、 完全例39例においてCR率は71.8%、PR例を含めた奏効率は87.2%であり、このうち 表在性膀胱癌患者26例におけるCR率は61.5%、PR例を含む奏効率は84.6%、膀胱上 皮内癌患者13例における奏効例はすべてCR例であり、CR率は92.3%でありました。 以上の結果より、本剤の表在性膀胱癌及び膀胱上皮内癌における有効性は認められると 判断いたしました。  次に本剤の安全性に関してですが、国内での第I、II相試験及び後期第II相試験を合 わせた安全性解析対象症例93例中91例に副作用が認められ、発現率10%以上の副作用 は、自他覚症状として、頻尿、排尿痛、排尿困難、血尿、発熱、倦怠感、食欲不振であ り、臨床検査値異常としては、白血球増多、GPT上昇、尿中白血球増加、尿中赤血球 増加、尿潜血反応陽性、尿蛋白陽性でありましたが、海外においてはカテーテル挿入等 により膀胱内に外傷を生じた状態での投与により、播種性BCG感染に起因したと考え られる敗血症による死亡例が報告されております。以上の結果より、本剤は緊急時に十 分対応できる医療機関において慎重な診療の下で使用することにより、安全性は担保で きると判断いたしました。  以上のとおり、審査センターでの審査の結果、本剤の表在性膀胱癌及び膀胱上皮内癌 に対する有用性は認められ、本剤の国内における有効性及び安全性の更なる明確化を目 的として、国内で適切な市販後臨床試験を行うことを条件に承認して差し支えないと判 断し、医薬品第二部会で審議することが妥当と判断いたしました。なお、本剤は希少疾 病用医薬品に指定されておりますことから、再審査期間は10年、製剤は劇薬に該当する と判断しており、薬事分科会では報告を予定しております。  また、本剤の承認に伴い生物学的製剤基準に各条の追加が必要となりますことから、 本日の議題4として挙げさせていただきました。なお、この生物学的製剤基準(案)につ きましては、事前にお配りしたものに更に記載整備がなされておりますので、本日の配 布資料4-1として新旧対照表及び最新基準案を配付させていただきました。それでは御 審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。             ── 説明途中、審議官着席 ── ○池田部会長  ありがとうございました。御承知のように、表在性の膀胱癌及び膀胱上皮内癌に対す るBCGの注入療法というのは、これまでも広く行われているわけでございます。今説 明がありましたように、実際に平成8年に東京株というものが「イムノブラダー」とい う名前で承認されているわけですけれども、コンノート株ということで新たに申請があ ったということでございます。この議題2について御質問を承りたいと思いますが、い かがでしょうか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員  添付文書の方を読ませていただきますと、ツベルクリン反応強陽者の患者さんには慎 重投与というふうに書かれていますが、これを使うときにまずツベルクリン反応をしな くていいかどうかという点、もう一つはツベルクリン反応が陰性の人にいきなりやって いいかどうかということを伺いたいのですが。もし陽性であれば、先ほどの結核菌によ る播種性の副作用のようなものも生じにくいと思います。使用前にツベルクリン反応を 調べなくていいかどうかをお教えいただきたいと思います。 ○池田部会長  審査センター、お願いいたします。 ○事務局  審査センターよりお答えいたします。実はこの件につきましては、米国の添付文書に は事前にツベルクリン反応を確かめるという記載がございまして、これについて日本で は必要ないかどうかということを申請者に確認いたしましたところ、日本人においては ほとんどが陽性であるので余り意味がないと。ただ、現在出されている安全性報告を見 ますと、重症度はそれほど高くはないのですが、ツベルクリン反応で陽性が強く出た患 者さんに副作用が遷延する傾向が認められるということが示されておりますので、それ が「慎重投与」のところに記載されているということでございます。 ○池田部会長  よろしゅうございますか。必ずしも…。 ○溝口委員  強陽性は、自分で知っている人もいますけれども、やってみないと分からない人もい るのではないかと思います。それから最近はBCGをやってもつきにくく、ツベルクリ ン反応が陰性のままの人が増えているという報告があります。日本の国民のリンパ球が Th2にシフトしているためにBCGが必ずしも陽性にならないということも言われて いますので、欧米と同じような対応をしなくて大丈夫かどうかという心配がちょっとあ るかと思いますが、いかがでしょうか。 ○池田部会長  ただいまの溝口委員の御指摘は非常に重要だと思いますけれども、委員の先生方から は何か御意見ございますでしょうか。審査センターの方では特にその点についてはどう ですか。 ○事務局  実際に出てくる有害事象といいますのが膀胱の刺激作用で、通常の患者さんですと数 日間で治まるのですけれども、強陽性の患者さんではそれが数週間に及ぶことがある と。ただ、これはNSAIDS等の薬剤によって対処が可能であるということでございまし た。もし添付文書の改訂が必要という判断でしたら、再度申請者と検討させていただき ます。 ○池田部会長  実際には陰性者、陽性者でその程度の報告しかないのですか。重篤な副作用を招くお それがあるとここにも書いてあるわけですが。 ○事務局  どちらかといえば、結核既往のある症例で特にそういうものが…。 ○溝口委員  ちょっとよろしいですか。今池田先生がおっしゃったように、もし外国でツベルクリ ン反応をやってからこれをやっているのであれば、陰性者と陽性者で副作用にどのくら い差があるかというデータがあると思うのですが、それをお教えいただいて余り差がな いのであればこれは問題ないかもしれません。 ○事務局  それにつきましては申請者にデータを求めまして、それを基に判断させていただきた いと思います。 ○池田部会長  そうですね。溝口委員、それでよろしいですか。その点だけ確認をしていただいて、 やはりかなり差があるということであればそれなりにもう少し対応して…。どうぞ、小 室委員。 ○小室委員  先行している東京株の添付文書との整合性というか、同一性というのはいかがでしょ うか。そちらにも入っていないというのであれば、合わせた方がいいかなという気もす るのですが。 ○池田部会長  平成8年に承認されたものに関してはいかがですか。 ○事務局  今のはツベルクリンの話でしょうか。全体的に…。 ○池田部会長  イムノブラダーの方の…。 ○小室委員  日本ビーシージー製造株式会社から出ている製品の添付文書にBCGやツベルクリン をやってからということが記載してあるかどうかということで、もしないのであれば同 一にした方がいいかなという気もしたものですから。 ○事務局  これに関しては強陽性の患者という記載もない…、多分この記載は先ほどの米国の添 付文書を参考に設定されたものと考えております。記載の方法はイムノブラダーと同じ だそうです。 ○池田部会長  ということは、事前に検査するということは特に書いていないということですね。で はその点も含めて一度調査をしていただいて、対応していただけますか。そのほかにい かがでしょうか。板倉委員、どうぞ。 ○板倉委員  この薬を使いましてその後の処理といったこと、例えば環境にそのまま出ていくのか 何か…、生きた菌ですのでどういうふうに対応されているのかということがちょっと気 になるので、教えていただければと思います。 ○池田部会長  要するに注入をして膀胱内に2時間ほど貯留をした後、排尿したものをどう処理して いるかということですか。 ○板倉委員  菌が蔓延してしまうというのはちょっと怖いような気もするのですが。 ○池田部会長  いかがでしょうか。医療現場の問題だと思います。 ○事務局  これに関しましては、「添付文書(案)」の「用法・用量に関連する使用上の注意」の (8)に当たるかと思うのですが、「本剤注入後の最初の排尿は、適当な容器(蓄尿容器 等)に採り、BCG感染のおそれがないよう消毒した後、廃棄すること。消毒の方法と しては、排尿に半量の10%次亜塩素酸ナトリウム液(ハイポライト等)を加えて15分間置 いておく方法などがある」という情報提供がなされております。よろしいでしょうか。 ○池田部会長  よろしいでしょうか。一応バイオハザードとして処理されているということですね。 ○板倉委員  そういったことについては一応チェック等はされているのですか。実際にやられてい るということについては確認されているのでしょうか。 ○池田部会長  医療現場で実際にこのとおりにやられているかどうかということですが。 ○事務局  実際にそこまではチェックはできないと思うのですが、一応添付文書上に書いてある ことですので、医療現場で責任を持ってやっていただきたいと思います。 ○池田部会長  そのほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○後藤委員  今回も承認条件が付いていまして、「本剤の国内における有効性及び安全性の更なる 明確化を目的として、国内で適切な市販後臨床試験を行うこと」という文面になってい ますけれども、事務当局としては、具体的にはどのような内容の市販後臨床試験を想定 されてこういう条件を付けられたか教えていただきたいのですが。 ○池田部会長  二つだと思います。こういう書き方にしておくか、あるいはもう少し…、具体的に案 があるのだろうと思うのですけれども、その辺も含めてどうぞ。 ○事務局  記載の内容なのですが、最近の傾向としてすべてこのようなあいまいな形で書かせて いただいております。と申しますのは、要するに審査の段階で余り具体的な案まではな かなか固まらないということと、承認条件でガチガチに固めた記載にしてしまいます と、その記載の変更の都度に部会の審議が必要になるという手間がありますので、そこ は文言としては余りきつく縛らないような方法ではやっておりますけれども、実際の治 験の内容につきましては審査センターの方でしっかり見させていただいております。今 回の品目につきましては、実は「添付文書(案)」の「効能・効果に関連する使用上の注 意」の「(4)本剤の用法用量による表在性膀胱癌のTUR-Bt後の補助療法についての有効 性・安全性は確立していない」、それから「(5)本剤の用法用量における治療投与によ って治癒した者に対する維持療法についての有効性・安全性は確立していない」。実は この製剤で一番必要とされる治療法が、この「効能・効果に関連する使用上の注意」の (4)と(5)に書かれている項目でございまして、海外ではこの目的で主に使われており ます。したがいまして、日本でも早くこういう使い方が標準になるように市販後臨床で 日本人でのデータをしっかり出していただくということにしております。 ○池田部会長  実際に中に書いてありますように、6週間投与というのが国外では使われていて、こ こでは8週間ということですね。それを意味しているのですか、そういうことも含めて …。 ○事務局  実際に海外と国内で用法の設定が同じであった場合は結果をそのまま取り込んでくる のですが、残念ながら今回は既に承認になっているイムノブラダーの標準用法が8週間 投与ということで、今回の製剤もそれに合わせて8週間になっております。一方、海外 の方は6週間で導入療法を行った後維持療法をやることにより、術後の再発予防効果が 認められております。ですから、まずこの6回と8回について国内で簡単な比較試験を していただいて、大きな差がないことを確認した後で少し規模の大きな試験で術後の補 助療法又は維持療法に関して海外での結果を確認する試験をしていただくということに しております。 ○池田部会長  そうすると、今後藤委員が御質問された内容は具体的にその辺を指導するという理解 でよろしいですか。後藤委員、よろしいですか。そのほかに…、どうぞ堀内委員。 ○堀内部会長代理  既に東京172株が出ているわけですが、これとコンノート株の差とはどういうところに あるのですか。 ○池田部会長  どうぞ、説明してください。 ○事務局  まずもともとのオリジンというのは一緒なのですが、コンノート株は1937年にパスツ ール研究所から譲渡されて継代され、一方東京株は1925年にパスツール株からまた別の ルートで継代が行われてきたもので、継代している間に性質が多少異なってきておりま す。まず性状の違いとして、本剤の菌は2〜3μmなのですが、東京株はそれよりも小 さくて1〜1.5μmでサイズの違いがございます。また、昨今遺伝子の検査等をやってお りますが、インサーションシークエンスの挿入の数が違っておりましたり、主要蛋白抗 原の一つが片一方では欠落していたりという遺伝子的な違いもございます。また、薬理 学的にマウスに対する防御免疫誘導能などが低いという報告もございまして、多少のキ ャラクターの違いがございます。 ○堀内部会長代理  例えば生菌を製剤化する場合に、亜株は若干の違いはあっても基本的には同じです ね。膀胱癌との関係でいえば、一番大きな違いとすると主要蛋白抗原が異なる可能性が 考えられるかもしれませんが、どういう場合に製剤として開発することが可能になるの ですか。 ○事務局  まず生物製剤では、株が違えば違うものという考えで開発を進めることになっている と思います。また、今回の場合は力価も異なっておりますので、その辺の違いを明らか にした上で開発という形になっているかと思います。 ○池田部会長  よろしいでしょうか。どうぞ、小池委員。 ○小池委員  この製剤というのは非常に長い間使われてきていると思うのですけれども、そういう ことから考えるとメカニズムがもう少し分かっていてもいいような気がするのです。例 えばこれは直接の抗腫瘍作用がないとか、それからこの提出している書類にはBCGが 癌細胞と直接接触する必要があるということなどは書いてあるのですけれども、長い間 使われてきていることから、申請者が思っていること以上に一般的にこれはこういうこ とで効いているのだというメカニズムが今あるのでしょうか。 ○事務局  審査センターよりお答えいたします。この製剤の場合は非常に特殊なケースでござい まして、既に1976年に行われた臨床研究が非常によく効いたということで、それがその まま使われてきたという経緯がございまして、作用機序の解明は後回しにされているも のでございます。どちらかといえば、免疫に関する科学の進歩に伴ってだんだん明らか になってきたというところでありますが、現在におきましてもまだ不明という状況で す。ただ推定される作用機序については、例えば資料概要のホ-6ページにまとめがあ るのですけれども、一つは膀胱に局在するマクロファージ、最近ではデンドライトセル という話もあるのですが、それによる直接的な炎症性サイトカインによる障害。もう一 つは、腫瘍免疫に基づいた遅延型反応により、細胞性免疫より腫瘍特異的にそれを攻撃 するというような機序がここに記載されております。多分これが現在一般的に言われて いる推定作用機序だと思います。また最近の研究を見ていきますと、例えば1999〜2000 年に報告されている論文では、IL-15やIL-18等がBCGによる抗腫瘍効果に関係が あるのではないかという報告がなされております。したがって、まだ研究途上の段階 で、今後科学の進歩に伴って更に明らかになるのではないかと思われます。 ○池田部会長  小池先生、よろしいですか。 ○小池委員  効けばいいです。 ○池田部会長  先生からすると非常に…。これだけ長い間使われて臨床効果があるのに、もう少し分 かってもいいかなという気が私もするのですが。どうぞ。 ○神谷委員  先ほどちょっと問題になって、最後の結論がよく分からなかったのでもう一遍確認し たいのですが、普通のBCGでの事後処理の問題です。例えば普通子供たちがやってい るBCGの場合だったら、きちんと煮沸消毒をして処理をするという話になっているわ けですが、これは結局膀胱の中に入れて後で出てきたものに関してはそのまま放ってし まって、BCG菌そのものはもう生きない、外に出たら死んでしまうということでいい のですか。 ○事務局  再度確認させていただきますが、「添付文書(案)」の「用法・用量に関連する使用上 の注意」の(8)がそれに当たるかと思うのですが、排尿したものに関しましては次亜塩 素酸ナトリウム液等で消毒して廃棄するということになっております。 ○神谷委員  消毒の義務は一応きちんと付けてあるわけですね。 ○事務局  これ特有の義務というものは特にございません。 ○池田部会長  よろしいでしょうか。「重大な副作用」のところに敗血症の死亡例がありますね。そ れから発熱の頻度も結構高いのですが、これはイムノブラダーと比べて特別に差がある ということはないのですね。 ○事務局  審査センターよりお答えいたします。まず発熱の頻度ですが、イムノブラダーの治験 時の発熱の発現率は大体30%ぐらいだと思いますけれども、今回の場合は60%を超えて います。これは何か差があるのかということで今申請者に確認しているのですが、多分 評価方法が違うのだろうと。BCGの場合、発熱は全身性の過敏性反応や播種性BCG 感染等を診断する材料になりますので、非常にしっかりと見たと。今回の場合、37℃以 上の患者さんも発熱として数えているために多分差が出たのではないかという説明であ りまして、実際に重症の発熱について調べますと、ヒストリカルの比較ではあります が、イムノブラダーと今回の製剤では差がないという結論でありました。 ○池田部会長  敗血症の死亡例は…。 ○事務局  敗血症の死亡例は海外の市販後の安全性情報で上がってきたものでございまして、海 外では会社の方で把握しているだけで既に15万人ぐらいに使われているということで す。実はそれで敗血症が8例、それからアナフィラキシーショックが2例という報告が 上がってきておりまして、敗血症の方はいずれもTUR-Bt後1週間以内に本剤を投与した 場合、それからカテーテル挿入時に傷を付けた場合にこれが発生しているということで した。一方、アナフィラキシーショックの方は2件発生しているのですが、こちらに関 しては実際にIgEを介したアナフィラキシーかどうかという機序までは明確になって おりませんが、1例は明らかなアナフィラキシーであったということです。 ○池田部会長  ありがとうございます。そのほかに先生方から御意見ございますでしょうか。どう ぞ、板倉委員。 ○板倉委員  先ほどお尋ねしましたが、この菌の取扱いについては確かに添付文書のところには載 っているのですが、そもそも基本的にこういうものが菌としてまき散らされたらいけな いなというような…。何というのでしょうか、製剤としての管理が重要だという部分が まとまって出てきた後に、こういう処理が必要だという並びになっていなくて、「用法 ・用量」のいろいろなことがたくさん書いてあるところで出てくるとか、それから後ろ の「適用上の注意」のところでもいろいろ書いてあるのです。そういった部分のところ で、この添付文書を読んだときにどういう処理をしなければいけないのかということ が、パッと分からないようになっているということが問題になるのではないかと思うの です。多分最初にこういったものを使うときにはそういうことで注意されていても、日 常的になってしまうとどうしてもそういう事後処理のような部分が実際の医療機関のと ころで十分に実施されるとは限らないと思いますので、そこら辺がそもそもどういう製 剤であって、どういう注意が必要なのかということがもう少し分かるような工夫をして いただけると有り難いと思います。 ○池田部会長  重要な御指摘だと思うのですが、いかがでしょうか。この添付文書は平成8年のイム ノブラダーと合わせた形で出ていて、いわゆるバイオハザードというものに対する考え 方も大分はっきりしてきましたが、その辺を踏まえてどうでしょうか。 ○事務局  先生の御意見は大変ごもっともだと思いますので、再度申請者と検討させていただき ます。 ○池田部会長  そうですね。先生方、そのほかによろしいですか。基本的には膀胱内注入のBCGの 有用性というのは広く認められているということですので、もし先生方に特別な御意見 がなければ…。今二つほど重要な御指摘があったと思うのですが、陰性陽性の場合の副 作用頻度の問題を含めた溝口委員の御指摘と、それから今の板倉委員の御指摘を審査セ ンターの方で少し考えていただいて、もし先生方から御異存がなければ承認を可という ことでよろしいでしょうか。 ○小池委員  一つだけ伺いますが、今の尿の処理ということで急に思い付いたのですが、これは実 際にこの菌体を製造しているところはきちんとしているのですか。今の割合厳密な規定 でやられているのかどうかちょっと心配になったので。 ○池田部会長  いかがですか。 ○事務局  多分国際的にアメリカなど先進国で発売されておりますので、先進国の査察はきちん と受けているかと思っておりますが。 ○池田部会長  どうぞ。 ○審査管理課長  こういうものを造っているところというのは、当然GMP等を遵守して造っておりま すのできちんとやられているとは思いますが、今度の薬事法改正で造っている国の工場 も査察するということが盛り込まれておりますので、今後は十分そういうところを見て やっていくことになると思います。 ○池田部会長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。そのほか特に先生方から御意見がな ければ一応承認を可として、薬事分科会報告とさせていただきたいと思いますが、よろ しいですか。ありがとうございました。  それでは議題3について事務局から説明をお願いします。 ○事務局  それでは議題3のメシル酸イマチニブについて、資料の審査報告書に従いまして御説 明いたします。本薬はノバルティスファーマ株式会社により開発され、本邦においては 昨年既に慢性骨髄性白血病の効能で承認されております。今回申請された予定効能・効 果は「消化管間質腫瘍」でございます。「消化管間質腫瘍」は消化管粘膜下腫瘍のうち 平滑筋及び神経系細胞に分化傾向を示さないもので、CD117陽性という特徴がござい ます。CD117はKITチロシンキナーゼで、多くの消化管間質腫瘍の患者ではその変 異が認められ、常に活性化された状態になっているとの報告がございます。本薬はチロ シンキナーゼの阻害剤であることから、チロシンキナーゼが活性化された細胞に対して 効果を示すということが期待されます。  それではまず、希少疾病用医薬品の指定要件の一つであります対象患者についてでご ざいます。全国的な疫学調査はございませんが、中皮及び軟部組織の悪性新生物の総患 者数が約2,000人ということから、消化管に限定すると2,000人以下ということになりま すので、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えられます。  次に医療上の必要性であります。現在の治療法は外科的切除ということですが、大部 分の症例で再発が認められているということ、また他の放射線療法及び化学療法では有 用性が認められていないということから、本薬適応の医療上の必要性は認められると考 えられます。  次に開発の可能性でございます。欧米においては「切除不能又は転移性病変を有する 消化管間質腫瘍患者」を対象とする臨床試験が実施され、抗腫瘍効果が認められており ます。また本年米国で承認され、EUでも承認勧告が得られております。以上のことか ら、開発の可能性はあると考えられます。  以上のように、本薬は希少疾病用医薬品の指定要件をすべて満たすと考えられますこ とから、本剤を希少疾病用医薬品として指定することが妥当と判断いたしまして、本部 会で御審議いただくことが妥当と考えました。御審議のほどよろしくお願いいたしま す。               ── 垣添委員着席 ── ○池田部会長  ありがとうございました。議題3について御質問を頂きたいと思いますが、いかがで しょうか。どうぞ。 ○堀内部会長代理  前回このイマチニブを承認するときにも、BCR-ABLという蛋白のリン酸化にスペシフ ィックであるという議論がありましたね。一応c-kitやそれからPDGFのレセプター も抑制するというお話はあったのですが、BCR-ABLにスペシフィックであるということ がメーカー側の主張でもあったと思います。このカイネース活性というのは、いろいろ な細胞内のレギュレーションメカニズムで重要な役割をしているわけですが、その特異 性は大変重要なところだと思います。そのときも確かにc-kitについては抑制するとい うデータが出ていたと思うのですが、このもの自体はATPが結合するのを競合的に阻 害するという作用メカニズムだと言われていたのですが、そうすると特異性がどれだけ あるかということが一番問題になると思います。このように次から次と適応症が出てく るのではなくて、特異性について十分に検討をしていただきたいと思います。 ○池田部会長  何かありますか。 ○事務局  今後臨床試験を組みまして、資料をまとめて申請が上がってくると思いますので、そ ういうところで十分検討させていただきたいと思います。 ○池田部会長  GISTについては一応これまでも報告があって、期待されるものであることは確か だと思います。患者数も少なく効果も期待できるということで、もし先生方に特別な同 一の御意見がなければ、指定を可として分科会報告とさせていただきたいと思います が、いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは希少疾病 用医薬品の指定を可とさせていただきたいと思います。  それでは議題1に戻りたいと思います。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□以後の議事進行は堀内委員にお任せしたいと思います。申し訳ございま せんが、よろしくお願いいたします。               ── 池田部会長退席 ── ○堀内部会長代理  それでは議題1について、池田部会長に代わりまして議事の進行をさせていただきた いと思います。よろしくお願いいたします。それでは議題1につきまして、審査センタ ーから審査概要の説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  それでは議題1、資料1の医薬品プルリフロキサシン等の承認の可否等について審査 センターより御説明いたします。  プルリフロキサシンは、日本新薬株式会社で合成されたプロドラッグ型のニューキノ ロン系抗菌薬でございます。本申請の専門委員としては、本日配付しております資料6 にございますとおり、後藤委員のほか、岩田委員、奥村委員、折笠委員を指名いたしま した。なお本品目につきましては、審査センターにおける審査のほか、多くの部分につ いては新医薬品第四調査会で審議されております。  審査センターは、規格・安定性、毒性、薬理及びADMEについては、特段の問題点 はないものと判断いたしました。  有効性については、細菌性肺炎、慢性下気道感染症、複雑性尿路感染症を対象とした 3本の二重盲検比較臨床試験において、対照薬であるオフロキサシンとの非劣性が検証 され、内科、泌尿器科、外科、産婦人科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科等を対象とした一 般臨床試験においても臨床効果と細菌学的効果において有効性が認められました。しか しながら、呼吸器科領域の第III相比較試験で有効性が確認された用量は、他の領域よ りも高用量である396.3mg1日2回投与でしたが、申請時に提出された資料からは、こ の用量の安全性を判断するには症例数が不足していると審査センターは判断いたしまし た。この指摘を踏まえ申請者は、396.3mg1日2回を超える用量、すなわち792.6mg単回 投与と、528.4mg1日2回7日間投与についての健康成人を対象とした第I相試験と、 396.3mg1日2回投与時の安全性を確認することを目的として、患者さんを対象とした 一般臨床試験を実施いたしました。その結果、396.3mg1日2回を超える用量において も薬物動態の観点から特に問題は見られなかったこと、また、396.3mg1日2回投与時 には264.2mg1日2回投与時に比べて副作用及び有害事象発現率が高くなる可能性はあ るものの、副作用あるいは有害事象の内容については特に問題となる新たな事象は見ら れなかったことから、高用量における安全性について大きな問題はないと審査センター は判断いたしました。  以上のような審査の結果、本薬の有効性及び安全性は認められることから承認して差 し支えないと判断いたしました。なお、本申請は新有効成分含有医薬品であることか ら、再審査期間は6年とすることが適当であると考えます。また、薬事分科会には報告 を予定しております。御審議のほどよろしくお願いします。 ○堀内部会長代理  どうもありがとうございました。ニューキノロンのプロドラッグで吸収性を良くした ものでありますが、申請年月日も平成9年で旧GCPのころのデータに基づいて申請さ れているということでございます。何か御意見、御質問ございますか。後藤先生、専門 協議の議論の内容から何か御追加することはございますでしょうか。 ○後藤委員  今事務局から説明がございましたように、治験の間で用量の設定の仕方に問題があっ たことが一つ。それからもう一つ安全性に問題があったということで、追加の試験をや っていただいたわけです。データとしては、新しく追加した試験の方が有害事象と副作 用の発現率が増えているわけですけれども、ちょうどこの間にICHのガイドラインが 導入されたりして、治験現場の環境がかなり大きく変わっておりますので、その環境の 変化がこの数値にどのくらい影響を与えたかということが、この薬剤の場合、審査が非 常に難しかった部分だと思います。  ただ、副作用の内容自体を一つ一つ見ていきますと、これまでの薬剤の副作用と大き く変わるものではないだろうということでございました。安全性に関しましては、今事 務局から説明がございましたように、これだけのデータから特段これが不安であるとい う結論を出すような状況にはないだろうということで、今後更にデータをきちんと見て いただいて、安全性を確認するということでいいのではないかということにさせていた だきました。 ○堀内部会長代理  NSAIDSのフェンブフェンが禁忌ということになっていますけれども、ニューキノロン の中には禁忌まで行かないものも既に幾つか出ておりますが、その点は特に問題はござ いませんでしょうか。 ○後藤委員  審査の方で見ましたデータからしますと、確かにこれはGABAAのレセプター阻害作用 の問題がほかのキノロンと比べて低くはないということ。それからフェンブフェンを併 用した場合にマウスに痙攣が起こるというデータがありますが、実際の治験の中では NSAIDSは併用しないという形になっておりますので、これまでのデータとして実際に併 用して出るか出ないかというのはまだないわけです。ただ、データとして通常用量で打 った場合の髄液中の濃度がほとんど検出できない、あるいは1例だけ検出できても非常 に低い値なので、それが問題になるような値ではない髄液中の濃度だというデータがご ざいます。ですから、そのデータを一つのキーポイントとしておいて、なおかつ禁忌と いう形にしておいた方が、今お話しした二つの実験データからすれば安全であろうとい うことだったと思います。 ○堀内部会長代理  ありがとうございました。今の点はよろしいでしょうか。また、ほかに何か御意見ご ざいますか。どうぞ、板倉先生。 ○板倉委員  安全性のテストを追加されたときに1週間ということなのですが、この薬は大体どの くらい使用する形なのでしょうか。使い方というのは、何日くらい使ってやめるという ことなどについて特に書いてありませんので、1週間を超えてまだずっと続けるとか、 そういったこととの関係で問題が出てくる可能性がないのかどうかについて御説明いた だければと思います。 ○堀内部会長代理  それでは事務局、お願いします。 ○事務局  審査センターよりお答えいたします。先ほど御説明の中で1週間投与の試験が行われ たと申しましたのは、今回396.3mgよりも高い用量である528.2mgの健康成人を対象とし た第I相試験の追加試験が1週間投与で行われております。ただ、患者さんを対象とし た一般臨床試験の方は2週間までの投与で行われております。このような抗菌薬は、通 常の疾患ですと恐らく1週間なり2週間ぐらいまでの投与、疾患によっては1か月程度 の投与も行われる可能性はあるとは思いますけれども、基本的にはそれくらいまでの期 間であると思っております。 ○堀内部会長代理  よろしいですか。 ○板倉委員  ということは、例えば1か月などというのはお医者さんの裁量になると思うのですけ れども、一般論として消費者の側からすればどのくらいまで…。長期的に続けられても 困るということもありますから、例えば2週間までは分かっている、それ以上使うこと については分かっていないということがどこかに載っているとか何かしていないと、何 かずっと…、やはりどういうふうに投与されるかが情報として全然ないということにな ります。この商品に限らず抗生物質というのはどういうふうに使うものだということは 一般論だと思うのですけれども、例えば「用法・用量」の部分のところでめどとしてど のくらいということが書かれていると、もう少し安心かなと言ったら変ですが、そこま では確認されているのだという意味で、こういう情報についてこれから消費者も見るよ うな機会が出てくると思いますから、有り難いなと思うのですけれども、いかがでしょ うか。 ○堀内部会長代理  抗菌剤の使い方の一般論の話だと思いますが、これもなかなか難しいですね。例えば 2週間とすると、添付文書を基本にして保険の査定等も行われますから、それ以上使う と保険上切られてしまって、難しい点があるかと思います。疾病の治療上、一応必要最 小限の期間の投与にとどめることというのが一般的な書き方かと思います。ある面では 大変抽象的ではあるように思いますが、疾患によってやはり違うと思います。これを一 般化するのはなかなか難しいと思います。 ○審議官  それを臨床の先生方に聞くのもちょっとあれだと思うのですが、やはり疾患、それか ら疾患の程度によって投与量、投薬期間が決まると思うのです。そこにお医者さんが絡 むということなので、やはりお医者さんと患者さんとの関係になると思うのです。その 中でどういうふうに治療方針なり、治療の仕方をインフォームしていくかというような ことは、個人のお医者さんと共に医学界やそういうところがどういうふうに展開してい くことになるのかなというか、そういったことによって今の先生の御回答が出てくるの ではないかと思うのですが。臨床の先生方でこういう一般論に対して何か御意見があれ ば頂きたいと思います。 ○堀内部会長代理  何か御意見ございますか。 ○審査管理課長  やはり臨床現場でいろいろな使い方もあり得るので、市販後調査というのは正にそう いうために調査をして、不適正なこと、何かおかしいことが起こっていないかというの を見るようになっておりますので、今そういう方向で対応させていただいているという ことだと思います。これは当然処方せんに基づいて、現時点ですと要指示になると思い ますから、当然医師の処方の管理下で使われるということになると思います。 ○堀内部会長代理  抗菌剤の場合は、特に耐性菌をできるだけ抑えるような使い方をするという側面もあ りますので、必要最小限の使い方をすることは常に必要だと思いますけれども、表現に ついてはまた御議論いただいてということでよろしいでしょうか。 ○板倉委員  特に消費者の方がもらって自分がどこまで飲み続けて…、医薬品というのが非常に怖 いという意識もあるものですから、結局2日分頂きましても自分の症状が治ったときに やめられるような形の場合もあるのです。その後お医者さんに治療に行かないと、お医 者さんの方は5日分出しているけれども、その患者さんは2日しか飲まなかったという ようなこともあったりして、そういう意味で中途半端な治し方をしてしまってまた問題 が出てきてしまう、結局逆に耐性菌を造り出すというようなこともあるような感じがし ます。  それで指示をされるときに、例えば症状がなくなってもこのくらいは飲み続けてくだ さいとか、そういったものもきちんと情報提供しなければいけないのではないかと常々 思っているのです。しかし、こういうものを見ると、何日以上飲まなければいけないと いうことも分からなければ、何日間以上になったらやめた方がいいということも全然分 からないところが、やはり中途半端な使い方を招いてしまうのではないかと思いますか ら、これに限らずそういう情報を出していただければ有り難いと思います。 ○堀内部会長代理  後藤先生、どうぞ。 ○後藤委員  今堀内先生がお話しになりましたように、抗菌薬の使用期間というのは患者さんの状 態、それから菌の状態によって千差万別の状況がありまして、ある人にとっては1週間 で通用するだろうけれども、また別の人に関しては2週間ではまだ更に治療が必要だと いう状況も当然出てくるわけです。そういう状況に対しまして、最近学会の方でも、例 えば日本呼吸器学会であれば肺炎に対する抗菌薬のガイドラインを出してきましたし、 慢性気道感染症に対しても今作業が進行中で、恐らく1、2年のうちには出ると思いま す。そういう形で実際の臨床現場からの規制といいますか、使い方も出ていますので、 使用上の注意と実際の診療側のガイドラインの両輪でもって、薬の使い方がこれからき ちんとした方向に動いていくだろうという状況だと思います。 ○堀内部会長代理  板倉先生の御心配はそれがきちんと患者に情報として伝わっていないので、患者はど こまで使ったらいいか分からないということだと思います。しかし、インフォームド・ コンセントがだんだん進んできておりますので、今後改善されなければならない点だろ うと思います。それでよろしいですか。ほかにございますか。藤上先生、どうぞ。 ○藤上委員  最初の「審査報告(1)」の方に書いてあることなのですが、396.3mg×2回投与にお いて有害事象、副作用発現率が上昇する可能性については、医師がリスクとベネフィッ トを判断できるような十分な情報提供を添付文書上に行う必要性があるというふうなこ とがあるのですけれども、実際の添付文書にはそれがないということは、それを必要と するようなことはなかったということなのでしょうか。 ○堀内部会長代理  それは先ほど後藤先生の御説明、それから審査センターからも出たと思いますけれど も、追加の安全性についての試験をやって、それほど大きな問題はないということです が。 ○藤上委員  396.3mg×2回に関してということでしょうか。 ○堀内部会長代理  フェーズIでもう少し高濃度でやったという話でしたね。 ○事務局  はい。第I相試験ではその上の用量まで見ております。 ○藤上委員  分かりました。それともう一つは、胃内pHの上昇は本剤の溶解性を低下させるとあ りまして、「2.相互作用」のところに「シメチジン」という形で載っているのですけ れども、これはほかのH2ブロッカーやPPI製剤などが考えられるのではないかとい うことで、一般的な書き方が必要なのかなと思ったのですけれども、いかがでしょう か。 ○堀内部会長代理  これについてはいかがですか。 ○事務局  審査センターよりお答えいたします。このプルリフロキサシンの物性から考えます と、pHの上昇によって溶解性が落ちるのははっきりしております。今の添付文書の記 載は併用注意としてシメチジンについて挙げているだけですけれども、物性的にほかの H2ブロッカーなりプロトンポンプインヒビターでも同じようなことが考えられますの で、その記載についても検討するよう申請者の方を指導したいと思います。 ○藤上委員  もう一つよろしいですか。「8.その他の注意」のところに「(2)動物実験(サル)で 長期(52週間)投与により、眼(脈絡膜・色素上皮)にUFXの蓄積性が認められている」 ということがあるのですが、この薬剤を適正といいますか、認められたものに対して使 われるならば多分問題ないのではないかと思うのですけれども、例えば最近結核に対し て今現在ある製剤で耐性菌が出てきてなかなか治療がうまくいかないというときに、こ のニューキノロン系がかなり考えられているというようなお話を聞いております。最近 出たニューキノロン製剤についても肺結核に対して使うことができるようにということ で、何か働き掛けがあると聞いているのですけれども、結核に対して使うことになれば 多分長期に使うようになるのではないのかなということで、眼の蓄積性についてどうい うような問題を考えておけばいいのかなと思ったのですが。 ○堀内部会長代理  審査センター、どうですか。今は副作用までは出ていないのですね。 ○事務局  まずこのプルリフロキサシンについて御説明いたしますと、動物試験の方でこのよう なことが見られてはいたということですが、動物試験の方でも実際に何か病理的な所見 が出ていたというわけではございません。ただニューキノロン系ということで、光毒性 の可能性があることを考えますと、眼に蓄積され光が集まったときに、何かそのような 病理所見が出ることは可能性としては起こり得るものと思います。長期の使用について は、通常この効能・効果の範囲内ではこのような長期間投与というのは恐らくないもの と思われますので、必要最小限の期間にとどめていただきたいとは思っております。  それから今後他の効能についてそのようなお話があるということなのですが、この薬 に限らずニューキノロン系の抗菌薬はメラニン親和性がありまして、このような眼への 蓄積というのが可能性としてあるものも多くあると思います。ですから、そのような検 討をなさる際にはそれぞれの薬の特性に従って、この薬はいけるけれどもこの薬はいけ ないというような検討がなされた上で、そのような臨床使用が行われることを望みたい と思います。 ○堀内部会長代理  よろしいでしょうか。ほかにございますか。どうぞ。 ○小池委員  ほかの薬との併用のことなのですが、非ステロイド性の抗炎症薬との併用はよろしく ないということで、ほかの薬との併用というのはいろいろなことで検討できるだろうと 思うのです。しかし、こういう薬剤はきっとかなり長期投与される場合が多いというよ うなことを考えると、日常生活でよく摂取しているものとの関係とかそういうものとい うのは余り聞いたことがないのですが、例えばその一つとして毎日酒をたしなむ人もい るだろうと思うのです。そういう人がこの薬を飲んだときに、やはりそれは好ましくな いと、肝機能が悪くなるというようなことも少し書いてあるので、好ましくないという ことであるのだったら、その旨をどこかに書いた方がいいのかなという気もするのです が、いかがでしょうか。 ○堀内部会長代理  審査センター、何か意見はございますか。 ○事務局  アルコール摂取につきましては、この薬あるいは抗菌薬に限らず、恐らく肝臓で代謝 するような薬はすべて何らかの影響は受けるものと思いますので、ある意味ほかの薬と の横並びも考えて、そのような注意喚起が必要であれば一律にそのような記載を検討す ることが必要なのではないかと思います。 ○小池委員  これは余り飲まない方がいいというふうに、一応お医者さんは指導はするわけです か。 ○堀内部会長代理  一般的にはそうだと思います。ただ、それをここへすべて入れるかどうかという問題 ですが、服用の際にアルコールの影響が考えられる可能性が強いわけなので、通常患者 さんにもそのように話をしているのだろうと思いますけれども。 ○小池委員  長期投与の場合、きっと酒を飲んではいけない期間が長くなるものですから。 ○堀内部会長代理  お酒が大好きな人の場合には大きく影響があるかもしれませんが、これは長期投与と いっても例えば1週間とかそういうことですね。 ○小池委員  きっともうちょっと薬が投与されるケースもあると思うのですが。 ○堀内部会長代理  この薬自体は肝臓あるいは腸で代謝され加水分解されて活性型に変わるということで すから、ある程度影響があるかなと思います。それから一般的には薬物代謝酵素、更に 活性体がP450等で代謝されるケースも多いとは思うのですが、それについてはこれは 余り関係ないということでよろしいですね。どうぞ。 ○安全対策課長  医薬品の適正使用推進の立場から申し上げますと、一番大きいのはやはり疾病治療の 全体の中での生活態度といいますか、早く治るためにどういうことが必要なのかという ことがレベルとしてあるのではないかと思います。それは主治医の先生が患者さんの状 況に応じて最適なアドバイスをされるという中に含まれているのではないかと思いま す。それからお酒に限って言いますと、薬理作用の中で中枢抑制作用があるものについ ては、例えばベンゾジアゼピンやフェノバールビタールでございますけれども、既に記 載があるところだと考えております。それから代謝拮抗で例えば2イン1をパスすると かそういったものであれば、臨床的に明らかな報告があればこれもまた記載していくと ころであります。  今言ったような大きい枠組みで私どもは考えておりますが、いずれにいたしましても 患者さんの安全な使用について注意があれば行うということでございます。したがって 今回の場合、仮にこれが一般的なお話であるとすれば、適正使用推進の観点から、一般 的な医師の個別の治療、患者さんに対する生活指導などの中でお願いすることもできる かなという感じであります。 ○堀内部会長代理  よろしいでしょうか。ほかにございますか。それではちょっと私から。添付文書の 「薬物動態」のところですが、「1.血中濃度」で「プルリフロキサシンは内服後小腸 上部より吸収され、UFXとして全身に分布するプロドラッグ型」となっているのです が、ここは文章としてはかなり短絡しているのではないかという気がします。小腸及び 肝臓で加水分解されて活性型のUFXとして全身に分布するというように、もう少し医 師が読んで分かりやすい文章にしていただきたいと思います。それから「3.代謝・排 泄」のところはプルリフロキサシンの活性型のUFXに代謝される、後は尿中排泄とし か書いてありませんけれども、UFXの代謝についての記載をできれば入れていただき たいと思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局  御指摘のとおり修正するようにいたします。 ○堀内部会長代理  ほかにございませんか。この薬自体はニューキノロンで、他のニューキノロンと比べ てどれだけの違いがあるかという問題もあるかと思いますけれども、安全性という観点 については従来のニューキノロンと同等であるということです。また、いろいろ問題が あって審査でプラスの試験等もやって時間が掛かったわけですが、一応安全性について も問題がないだろうということですので、その点から承認して差し支えないのではない かと思いますけれども、よろしいでしょうか。それではこれについては承認ということ で、薬事分科会に報告させていただきたいと思います。  それでは本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か連絡はございますか。 ○事務局  事務局から御報告をさせていただきます。前回5月24日に開催されました当部会にお いて審議された品目でございますが、イレッサ錠250、ダラシンTゲル1%、アロマシ ン錠25mg、リュープリンSR注射用キット11.25、以上につきましては7月5日付けで 承認させていただきましたので、この場をかりて御報告させていただきます。以上でご ざいます。 ○堀内部会長代理  どうもありがとうございました。ほかにございますか。 ○審査管理課長  次回は8月23日の10〜12時でございます。よろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理  次は8月23日の10時からということでございますので、予定に入れていただければと 思います。それでよろしいでしょうか。審査センターの方、よろしいですか。それでは 本日はこれで終了させていただきたいと思います。お暑いところをどうも御苦労様でご ざいました。                                   ( 了 )       連絡先:医薬食品局審査管理課 課長補佐 林(内線2734)