02/07/24 第6回独立行政法人評価委員会議事録            第6回 独立行政法人評価委員会議事録                           平成14年7月24日(水)                           13:00−17:00                           厚生労働省 共用第7会議室 出席者:黒川委員長、井伊委員、五十嵐委員、井原委員、大久保委員、岸委員、     坂本委員、篠原委員、田村委員、中窪委員、古郡委員、堀田委員、安井委員、     渡辺委員 1.開会 ○ 黒川委員長  定刻になりましたので、ただ今から第6回目の厚生労働省独立法人評価委員会を始め ます。今日は開原先生がご欠席でございます。  まず、報告事項があります。今日の新聞にも出ていたような気がするのですが、小泉 首相が、独立行政法人の評価について各府省の評価委員会の委員長を官邸にお呼びして 話をされたということを聞いておられると思います。私は他のことがありまして開原先 生に出ていただいきましたが、開原先生はご欠席ですので、事務局からどんなお話だっ たのかということをまず報告していただきます。よろしくお願いします。 ○ 唐澤政策評価官  開原先生からお聞きをいたしました内容について、ご報告をさせていただきます。  総理からは、既存の独立行政法人については、各府省の独立行政法人評価委員会にお いて初めての評価となるので、一連の特殊法人等改革の試金石としても厳格・迅速に評 価が行われ、その結果が法人の業務運営、役員人事、報酬、予算等に適時・的確に反映 されるようにしていただきたい、というお話がございました。以上でございます。これ は実は閣僚会議でも同じお話がございまして、事務次官会議でもございまして、三度ご ざいまして、直接、各委員長にも要請するということで、特殊法人の改革がございます ので、その試金石として特に厳しくやってもらいたという再三にわたる要請の一環とい うことです。 ○ 黒川委員長  そういう意味では、さらに厳格な評価を、さらに温かい気持ちでといってはなんです が、これはパブリックのために何ができるかという視点が大事だろうと思います。厳正 な評価を行っていくということでありますが、今日から個別の項目の評価をお願いする ことになっております。  そこで、そうはいってもまだ1年目の評価ですから、全体に舵取りをして急に右に行 くとかいうわけではありませんから、どのような方向づけでどのぐらいまで達成してい るかというところを見るのが大事なのだと思います。今日の評価の進め方ということで 分厚い資料がありますが、事務局からまず説明をしていただきます。 ○ 唐澤政策評価官  お手元の「資料2.個別項目に関する評価の進め方について(案)」をご覧いただき たいと思います。  これは、前回ご審議いただきましたものをまた改めてまとめたもので、前回と変わっ ているわけではございませんが、念のために簡潔に触れさせていただきます。  まず、今日、明日と個別項目の評価を行っていただきます。これは、S、A、B、C 、Dの5段階でご記入いただくことになりますが、各法人から個別項目のグループごと に業務の実績について説明をし、必要に応じて専門的な知識をお持ちになっておられま す委員の先生からコメントをいただき、質疑を行い、個別項目の評価を記入する、こう いう形で順次進めさせていただきたいと思います。  個別項目について、すべての法人の評価が終了した時点で各委員の先生方が評価の内 容を整理する時間を次回に設けることといたしたいと思っております。  その個別の評定結果を事務局で集計をいたしまして、その次の回に開催する委員会で ご審議をいただき、個別項目に関する評価を取りまとめることといたします。その際、 各法人から必要に応じて自己評価に基づく意見の開陳を行うことにいたしたいと思いま す。  ご欠席の場合でございますが、今日はいろいろ先生方にやりくりをしていただきまし て、非常に高い出席率をいただきましたが、やむを得ずご欠席でございますとか、ある 時間帯はどうしても抜けざるを得ないというお時間もございますので、そういう場合は 、事務局で用意してございます個別項目に関する評価のシートについて、必要に応じて 追加説明のような形をとりましてご記入をいただくということを考えております。  委員会の終了の時点で全部記入が決まらない、あるいはもう少し考えたいという先生 もいらっしゃると思いますので、その場合は、記入シートそのものは事務局でお預かり をさせていただきますが、写しをとってお渡しいたしますので、それにご記入いただき 、私どもで回収させていただきたいと考えております。 ○ 黒川委員長  これについて何かご質問はありますか。そうすると、次回というのは明日ということ を考えると、全体としてそれができあがるのはいつごろのことなのですか。 ○ 唐澤政策評価官  実質的には8月中にはとりまとめていただきたい。形式的には9月の初めになるかも しれませんが、8月中には終わらせたいと思っております。 2.審議 ○ 黒川委員長  そういうことでまず始めるということですが、実はたぶんこれはそれぞれのところで 自己評価みたいなのはあるわけですね。そういうのがあるという話を聞かせていただい て、ちょっと見せていただいているのですが、今日、それを先に配ったほうがいいとい う考えもあると思うのですが、私は配らないほうがいいのではないかと思います。なぜ かというと、自己評価とここでの評価とどのくらい違うかということが後で見えるので 、先に自己評価を見てしまうと、プラスかマイナスかわかりませんがバイアスがかかっ てしまう。  それから、私がやりたいのは、たぶんそれぞれの立場の見方が少しずつ違うし、評価 がSからDもあってそれぞれ違うと思いますので、バイアスなしに皆さんの立場で質問 していろいろ評価の項目に記入していただくということにしておいたらどうかと思いま す。  最終的にはこちらだけの話になりますが、それぞれの委員の人がどういう評価をした かという話も、全部横断的にわかるようにしておくと、一人の委員がどうしてこういう ふうになるのかなとかいろいろな話も、お互いにモニターできていいのではないかと思 います。各評価委員の自分たちのフィードバックのためにも、そのようにさせていただ いたらどうかなと思います。他の委員の名前をわからないようにして、自分の名前だけ はわかるようなのもをそれぞれに配るとたぶんいいのではないかと思います。そういう ふうにしながら、後で議論できるようにしておけばいいのではないかと考えております が、それでよろしいですか。  とりあえず、各法人の自己評価はどうなったかというのは、まだもらわない方がいい のではないかと思うのですが、どうでしょう。それでバイアスがかかるのを避けたいと 思っていますので、よろしいでしょうか。  では、そういうことで早速始めたいと思います。国立健康・栄養研究所、田中理事長 からよろしくお願いいたします。 ○ 田中理事長  では、吉池研究企画・評価主幹の方から報告させます。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  評価シートについては1から22にございますが、そのうち1から18はパワーポイント のファイルをお示ししながらご説明していきたいと思います。  平成13年度の業務実績の説明については評価シートのいちばん右側に書いてございま すが、その概要は前回ご報告いたしましたので、より具体的な資料をお見せしながらご 報告させていただきたいと思います。  本日、これから映しますスライドのカラーコピーをお配りしておりますので、それも 併せてご覧いただけたらと思います。  まず、業務運営体制の確立ということに関しましては、前回、黒川委員長からも独法 になって何が変わったのかというようなご質問もございました。具体的には、現行の組 織体制を抜本的に見直す組織改定を行いました。これは、私どもの理事長は独法発足の 4月1日から着任しましたので、そこからスタートして約1か月半の間に組織の全面改 定を行ったということになります。  また、各研究系を中心としたプロジェクトチームを発足させました。従前は研究部が 七つございましたが、それらをすべて改変するということで、まず三つの重点調査研究 業務を遂行するためにプロジェクトチーム的な形で研究系を三つ設けまして、その中に 研究部を8部配置する形をとりました。  また、研究員の採用はすべて公募で、任期つき採用といたしました。赤で示している ものが三つの研究系でございます。  さらにここで一つ強調しておきたいことは、栄養改善法に係る食品及び国民栄養調査 の業務を担当させるリーダーをそれぞれ設けますとともに、国民の健康保持増進、生活 習慣病の一次予防にとって非常に大事な栄養所要量の策定及び「健康日本21」という 健康づくり運動の推進のための行政的な対応をするポジションをそれぞれ作りました。  これは本年度4月1日からの発足でございますが、国際・産学共同研究センターを設 立するための準備を平成13年度に行ったところでございます。  以上が効率的な業務運営体制の確立、1番の部分でございます。  申し遅れましたが、左の上に番号をふっております。ここでは1となっております が、これが評価シートの各ページに該当する番号でございます。  次に2番目です。内部進行管理の充実でございますが、まず各研究部あるいは研究 系、事務部における会議・指導・助言体制を確立したということでございます。  また、一つ強調いたしたいことは、常勤研究職員29名全員に対して客観的な指標によ る業務評価及び理事長が個別面接を行い、指導をいたしました。このような研究職の評 価というのは、なかなか確立したものもございませんで、難しいものでございますが、 今回、評価において五つの評価の視点を設けました。研究業績だけではなくて、研究の 自立性、自発性、また機関内部における役割・貢献、また行政ニーズへの対応と社会的 貢献度、その他、この五つについて客観的な指標を用いて評価を行いました。  お手元のファイルに、追加資料として、個別的にどのような評点をつけて各研究者に フィードバックをしたのかということの資料も入っておりますので、あとで参考にご覧 いただけたらと思います。  また、これらの評価結果を研究所職員の処遇に直接反映させるというようなことは、 今後の検討課題として考えているところでございます。  また、内部研究業務評価については、委員会を立ち上げて重点調査研究業務及び基盤 的研究業務についての点数制の評価を実施いたしたところでございます。その資料も、 前回お配りした参考資料の中に入っております。  以上が、内部進行管理の充実ということで対応したところでございます。  次に3番目、業務運営の効率化に伴う経費節減で、ここについては二つの視点がある かと思います。一つは経費の節減、また一方は運営費交付金以外の収入の確保、この2 点について対応したところでございます。  経費の節減については大きく三つ、業務の進捗状況に応じた適切な予算の執行に努め るようにいたしました。また、物品の一括発注等による効率的な予算執行、また定型的 な業務等については外部委託をいたしまして、運営交付金における中期目標に掲げられ た経費節減に努めました。財務については、後ほどまたご説明いたします。  交付金以外の収入の確保としまして、特に競争的研究資金を、研究職員の個別的ある いは組織としての努力により、たとえば厚生科学研究費、文部科学省科学研究費、ヒュ ーマンサイエンス振興財団研究費等の獲得を図ったところでございます。  また、産学との連携を推進するために、先ほど少しご説明いたしました国際・産学共 同研究センターを設置するための準備を行いまして、今年度以降、さらに運営費交付金 以外の収入の確保に努める準備を行ったところでございます。  次に4番目でございます。効果的な研究施設及び研究設備の利用ということです。  まず一つは、共同研究において研究設備の共同利用をはかっていく。現在、私どもの 研究所には、独自の土地、建物を所有していない事もありまして、共同利用を推進して いくだけの設備を持つことができません。しかし、二重X線照射装置あるいは磁気共鳴 装置等について、都内の大学との共同研究で施設設備の共同利用を行いました。  また、都外の企業、研究施設でPQCTという設備の共同利用を行いました。  また、旧国立公衆衛生院の職員の異動等に伴う共同研究施設の再整備ということで、 研究所内の限られたスペースの再配備、再構築をしたところでございます。  また、共同研究を推進するために、パンフレット等に共同研究を推進する旨のPRを 行ったところでございます。  これにつきましては、私どもとしてはまだ十分でない部分があると若干反省しており まして、私どもがお願いしている外部評価委員会の先生からも、その辺のやや厳しいコ メントをいただいておりますので、これについて少しご紹介いたします。  我々の研究施設にない装置等については外のものを利用させていただいております が、私どもの中の設備・装置等についてはまだ十分オープンにできていない現状があり ます。これは、先程も申しましたように、自前の建物を保有しておりませんので、研究 所自体が手狭である、あるいは感染症研究所との共用等の少し物理的な制約によって十 分に進めることが非常に困難であるということがございまして、今後、その辺の解決も 含めていろいろな工夫をしていかなければいけないと考えているところでございます。  以上が、評価シートの1から4についての説明です。 ○ 黒川委員長  どうもありがとうございました。何かご質問、そのほかにコメントをお願いいたしま す。全体の運営その他についてです。 ○ 安井委員  産学との連携についてのシートの3番でございますが、国際・産学共同研究センター を設置するための準備を行い、なおかつ14年にはできているわけですね。ご説明がなか ったのでよくわからないのですが、これはかなり大きな組織なのかどうか、かなり基本 的な運営にかかわることではないかと思うので、中期計画との関係はどうなっているの でしょうか。つまり、中期計画のどの項目に対応してこれをお造りになったか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  特に共同研究の推進、他機関との連携につきましては、このあとでご説明させていた だくところがあるかと思います。そこで詳しく国際・産学共同研究センターの設置につ いてご説明させていただきたいと思うのですが、あとでもよろしいでしょうか。 ○ 安井委員  どこの項目に出てくるという意味ですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  それについては評価シートですと18ページになります。そこで、中期計画の中で国内 外の健康または栄養に関連する機関との協力の推進というのがございまして、その中に 共同研究、特に産学共同研究を現在行っているものを継続するとともに、さらに大学、 民間企業との共同研究及び受託研究を積極的に推進するということを中期計画でうたっ ております。それに対する具体的対応として産学連携推進室、あるいはセンターという ものの設置の準備を行った、そういう位置づけでございます。 ○ 堀田委員  初めての試みかどうかという観点から、いくつかお尋ねしたいのです。  まず1、研究系を中心にするプロジェクトチームの発足、これは今まではプロジェク トチームというのはなかったのですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  適宜、研究に応じて部横断的なプロジェクトチームを作るということはございまし た。しかし国研のときは、まず組織があり、各部があって室があって、そこの所掌業務 が決められている。それについては、組織改変にも手続き上のことがありますので、仕 事があって組織を変えるという運営上のことが非常にしにくかった。まず組織があっ て、所掌業務があって、それについて仕事をしていくという体制でございまして、独立 行政法人になってその辺の運用が現実的にかなり柔軟にできるようになりました。 ○ 堀田委員  従来より柔軟にするようにしたという意味ですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  かなり柔軟な形で対応しているということです。 ○ 堀田委員  いくつかほかにも同じ観点から聞いていきます。  同じ1の研究員の採用の公募制、これも初めてですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  これは従前から私どもは原則としてすべて公募を行っているところでございます。た だ、さらに任期付ということで、これも中期計画等を考えながら、あるいは人材の流動 性ということを考えながら、任期を付けた形での採用ということにしております。 ○ 堀田委員  任期つきは初めてですね。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  任期つきは、独立行政法人化になる1年前に任期つきで1人採用してございますが、 本格的にこういう形で採用をしておりますのは独法化以降ということになると思いま す。 ○ 堀田委員  2番目の評価の視点、個人評価もこれが初めてですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  個人評価ということにつきましては、全く初めての試みでございます。 ○ 堀田委員  3番目の一括発注とか定型的業務の外部委託、これは初めてではないと思いますが、 競争的研究資金が研究の中でどれぐらいの比重を占めておって、それが2倍以上になる ということが、研究進展上、どの程度大きな意味をもつのか、具体的に教えてくれます か。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  その点の細かい数字については、前回にお示ししたとおりでございますが、これは個 人の研究者の評価の視点のところで、定型的あるいは交付金の中で計画されている仕事 のみならず、やはり研究者としての自主性、自発的な発想からの研究も大事にしていき たい。そうしたときには、それぞれの研究者の領域あるいは役割に応じて、外の競争的 資金を獲得して、仕事をより深めていくというのは非常に大事だと思っています。そう いう意味の積極性ということについても、以前から比べるとはるかに向上してきたと理 解しております。 ○ 堀田委員  あと一つだけ。4番目の研究設備の共同利用、今までは共同利用はなかったのです か。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  今までも、共同研究等におきましては、それぞれの施設のものを利用することは行わ れていましたが、例えば私どもの施設、日本には他にないヒューマン・カロリーメータ ー等について、よりオープンな形でお使いくださいというような、そこまでには至って いない。要するに共同研究で研究を進めている仲間うちでは、お互いに使ったり使われ たりはしていますが、よりオープンな形ではまだ十分対応できていないという認識で す。 ○ 堀田委員  ありがとうございました。 ○ 渡辺委員  全体の中で抽象的な表現といいますか、例えば1番でいえば、ウの中で「適切な人員 を配置するとともに」とかあるし、2番目でいうと「必要な指導を実施した」とか、3 番目でいうと「適切な予算の執行を図る云々」とか「適切な人員配置」とか、こういう 表現があるのですが、全てを語ることは難しいと思うので、「例えばこんなことで適切 な云々」というのがないと非常に見えにくいのですが、何かそういった具体例はありま すか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  例えば研究における指導・助言体制といったときには、研究所全体のプロジェクトが あって、それに合わせた組織構築をしたということがありますので、当然、そこでの責 任体制、命令系統、あるいは連携体制等も含めて組織を構築したということでございま す。  従前は、例えば既存の組織として、まず部があって、そこから人を借りていろいろ仕 事をするよ、というようなことがあって、そういう意味で十分な連携、指導体制が対応 できなかった部分がある。そういうことについて組織的にもあるいは実質的にも業務を 円滑に進めるためのこういう指導体制がかなり向上した。抽象的な表現で申し訳ありま せんでした。 ○ 渡辺委員  経費の節減で予算の執行、もうちょっと見えないと、特に我々みたいな仕事をやって いると、例えばこんなことをやりましたよというのがないと、適切なことをやっていま すよといっても、なかなか一般の人は納得してくれない。予算の執行一つに絞って、適 切な予算の執行とは、例えばどういったことですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  それにつきましては、例えばプロジェクトごとに中間進捗状況等を把握しながら、あ とで財務のところで少し議論になるかもしれませんが、そこでの財源を場合によっては ほかのプロジェクトに移行させる等の、まず予算があって、それの執行をするというこ とではなくて、予算運営の面でも実際の仕事の状況を見ながら柔軟に運営をしたという 形です。 ○ 片倉部長  予算の執行について、具体的にどういうことをしたかといいますと、平成12年度まで の国立健康・栄養研究所自体は、研究部または研究者に予算が配付され、それで研究者 ごとに物品の購入等を行っておりましたが、それらを全部、所一括として物品の購入、 また一般競争入札による物品購入という制度にいたしました。 ○ 黒川委員長  確かに国研とか国立大学の中の講座制もそうだが、ユニット、組織ができてそこに人 がはまっていく。能力に関係なく、そのポジションにつけば、ある権限と予算がついて いるというのが今までのやり方だから、そういうことをご存じない人には独法になって どうなったのか良くわからない。こんなのは元々あたりまえだと思っているわけだから 、実をいうと国研から独法になって相当変わっているのですが、そういう変化自体がわ からない。  だから堀田委員がおっしゃられるように、何か変わったのですかというと、大きく様 変わりしているのだけど、実効が出るかどうかは別で、元はユニットごとに予算がつい ていて、お互いに隣は何をしているか全然知らない。お互いに同じものを買っていたり しているという話はあったのです。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  あとで研究プロジェクトの中でもご紹介しますが、今までは研究者1人当たりの人頭 割りの研究費というものがあって、ある意味では自動的に配分されていたものがありま すが、それについては全面的に廃止いたしまして、あくまでも競争的に研究計画を出し て、そして審査をしてよいものについて予算をつけるということは、独法になって始め たことでございます。 ○ 黒川委員長  理事長の権限が強まったというか、そういうことでしょうね。今までは、各個別のユ ニットと研究者の権限が強くて、一切口出しできなかったようなところがあるのだろう と思う。 ○ 井原委員  1番目は、ここで組織の改正を行ったということなのですが、こういう改正を行うこ とによっておそらく効率的になるという方向性でやったのだと思うのですが、そのとき の基本的な考え方を説明していただきたいということ。  もう一つは、こういうことができるようになったのは、今回の独法でできるようにな ったのか、そうでなかったのかということをお願いします。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  既に説明いたしましたことと一部重複いたしますが、基本的な考え方は後ほど説明い たします三つの重点調査研究業務ということがございまして、それにまず対応する。ま たそれだけではございませんで、特に行政的なニーズに対応するために、そこにもきち んと組織あるいは人を配置しなければいけない、その2点を中心的な考え方として組織 改正を行ったということでございます。  2点目につきましては、こういう組織を大幅に、しかも短期間で再構築することは、 旧国研時代ではなし得なかったことと考えております。 ○ 黒川委員長  これはたぶん国研や国立大学の中で経験のある人だとわかるのだけれど、そうではな い人は、こんなのはあたりまえのことなのではないか、と思っていることがけっこう多 いのではないかという気はしますよね。  3の国際・産学共同研究センター、先ほどの説明だと、そういう機能をもったセク ションなり人を配置するということで、フィジカルなファシリティとしてのセンターを 今、考えているというわけではないですよね。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  はい、特に何かセンターとして建物があってということではありませんで、とりあえ ず2〜3名から発足させようと考えておるところでございます。 ○ 黒川委員長  そういう機能を積極的に付与していきたいということですね。  それから、外部資金の研究費の取れ方ですが、もちろん当然いろいろと国からもたく さん外部資金というか、競争的資金が3600億円ぐらい毎年出ているわけですが、これは しかし、プロジェクト、研究のテーマによって、取りやすいところと、栄養の調査とか 非常に取りにくい、持続的な精度は要求されるのだけれど業務的なコンポーネントが多 いので取りにくいところがありますね。そうすると、それは全くバランスを欠くわけ で、全体としてどうお考えでしょうか。つまり、それぞれの業務に関してリスポンスビ リティが違うわけだから。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  その辺につきましては、研究者一人ひとりの組織の中での役割にも関わることかと思 います。例えば評価の軸でいろいろな視点を設けて研究者を公平に適正に評価する、あ るいはそれぞれの役割をさらにファシリテートしていくという意味で、かなり業務的な 部分、行政的ニーズ対応、社会的貢献等を中心に担う者と、あるいは、業務的なノルマ は少ないけれども競争的な資金を獲得して独創的、自主的研究を進める者、それぞれあ って組織として成り立つかと思っておりますので、そういう意味では評価と併せて、特 に最先端的な研究については外部の競争資金を獲得して、自由な発想で研究を進めるよ うに奨励しているところです。 ○ 黒川委員長  大学でも同じことがいえるわけで、今は教育、教育といって教育を評価しろというけ れど、研究論文でばかり評価されているから教育の評価がないという話がある。大学の 先生は教育をして人材を育成するのが一番大事なのだけど、何でも研究、研究とそれし か評価がないから、いつまでも研究しているような顔をしている人がたくさんいるわけ なのだけれど、そういう意味では大学の先生でも教育でどう評価するか、つまり、普段 の業務で評価するということ、特に元の国研だとそういうのが大事ですから、その辺を メリハリをつけないといけない。それは執行部なり理事長のミッションにどう合わせる か、全体としてどういうふうにやっていくかということだと思うので、その辺をよろし くお願いしたいと思います。  外部競争資金だとすぐにお金の額で出てくるので、何かこれは取ってきたぞというこ とで評価になるわけだけれど、それは取れるところと取りにくいところがあるんですよ ね。 ○ 大久保委員  細かいことになりますが、2番目の「内部進行管理の充実」の中で、理事長による個 別面接の評価の視点が1番から5番までありますが、この中で4番の「社会的貢献 度」、これは、たとえばプロジェクトのグループとして、あるいは研究所としてという のならわかりますが、個人的にということになると、非常に把握しにくくなってしまう 気もするのです。そこらあたりの評価の成果はどのようにやっていらっしゃるのか、教 えていただきたい。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  その辺の細かいことにつきましてはファイルの中に綴じてありますが、簡単にご説明 いたします。社会的貢献、行政ニーズといったとき、私どもはたとえば栄養調査、栄養 所要量、あるいは食品の規格基準策定にかかわる部分で、かなり行政の委員会、あるい はその下部のワーキンググループ等について従前から仕事をしているところでございま す。  まず一つは、厚生労働行政において必要な仕事を地道にしていく。また、次のところ で出てまいりますが、関連諸団体のニーズに応えていく。例えば私どものところであれ ば、栄養士会という職能団体がございますので、そういう団体に対して、そこの会員の 資質向上を図るための講習会等の講師をお引き受けする、あるいはそういう研修プログ ラムの作成をお手伝いする、そういうことが行政的、社会的ニーズととらえておりまし て、それについても各研究者にいくつか具体的な例、項目を挙げてリストアップをして もらって、非常に整理がしにくい部分でありますが、なるべく客観的な形の評価をでき るように工夫をしているところです。 ○ 黒川委員長  これは、他の二つの研究所にも似たような問題が共通しているので、議論は尽きない とは思うのですが、こういうふうにやっていくと、だんだん問題点が何かというところ がお互いに整理されてきます。このペースでいくとたぶんエンドレスになってしまう懸 念もありますが、最初、ちょっと時間を取っているのは、どこに問題点があるのかなと お互いに手さぐりでやっているところがあるからと思います。  もう一つ、共通の問題で、研究員の採用はすべて公募で任期付き採用、これはけっこ うなのだけど、しかし、かなりシニアなポジションも任期付きというと誰も来ないし、 ポスドクを終わったくらいなら、まあ来るかなと。しかし、今までいる研究員29人はど うするのだという話になると、これはそこだけの話ではないのだけれど、全体の独法化 されてきた国研としてのポリシー、その退職金とか年金の問題、いろいろあるので、こ の辺はここだけで議論してもしかたがないのですが、それはどういうふうになっている のでしょうか。こういうところに問題があると、いい人材がなかなか来るのは難しい し、それについて何かコメントはありますか。 ○ 田中理事長  委員長がおっしゃいましたように、たしかに任期制を導入すると質的に低下するので はないかということが当初は懸念されましたが、意外とそういうことはありませんでし た。以前の場合と比較するのは難しいことではありますが、私の印象からいいますと、 むしろ良くなっている感じがいたします。これは非常に面白いですね。つまり、非常に 自信のある人が応募するということです。ですから、かなり活性化になるのではないか と思います。  もう一つ、現在おられる人をどうするかということですが、これは国家公務員型であ りますから、それも処遇への反映ともかかわりがありますので、非常に難しい問題があ るかと思いますが、私のところは部長会議という大学でいう教授会に該当するものが理 事長の諮問機関的存在としてありまして、そこでの決議をいちばん重んじておりますの で、部長自らが任期制をまず導入すべきではないかと私自身は考えております。国家公 務員法との整合性を考えますと、たとえば最年少部長があと7年で定年になるとしま す。そうしたら7年を導入することは可能かもしれません。そういうことも考えており ます。 ○ 黒川委員長  これは共通した問題ですから、社会構造、雇用関係で難しいことがあるわけですね。 ○ 田中理事長  7年というのは、国立大学の一部分では教授の任期を7年としているからでありま す。 ○ 黒川委員長  それは、国立大学も独法化されますから可能かもしれないけれど、建前としては言っ ているけれど実際はできないのですね。そんなことで、教授から定年を早くするという のは大事かもしれないけれど、任期付きで、例えば3〜4年して頑張った人はパーマネ ントポジションになるとかそういう話もあるのだろうと思うので、ある意味では仮採用 みたいな格好かなということも考えられるなと思います。そのときに一回退職金を払う のかななどといろいろな話があって、そんなことで問題が共通なので、ちょっと考えて おかなくてはいけないことだと思います。  次に行かせていただいてよろしいでしょうか。 ○ 唐澤政策評価官  ここで評価の記入を一回していただいてよろしいでしょうか。 ○ 黒川委員長  どこに書くのですか。 ○ 唐澤政策評価官  A3の右下の欄に評定というところがあります。 ○ 黒川委員長  1ページごとにね。そして、何かコメントがあったら書いてくださいと。特にSとD の場合はその理由を何か必ず書いて、ということであります。1枚ごとに書くわけです ね。 ○ 唐澤政策評価官  はい。 ○ 黒川委員長  それは、やっている間にこれからだんだん慣れてくると、さらさら書いていけると思 います。今は2分ぐらいブレークするかな。このあとは、聞きながらどんどん点をつけ られると思いますので。 ○ 唐澤政策評価官  4ページぐらいございますので、2〜3分ぐらいいかがでしょうか。                  (評価記入) ○ 黒川委員長  よろしいでしょうか。それでは、適宜モディファイしていただきながら、5から10ペ ージまで進ませていただきます。よろしくお願いします。 ○ 唐澤政策評価官  ここは、本来の研究に係る部分でございます。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  では、評価シート5、社会ニーズの把握ということでございます。  これは、年度計画では四半期に1回をめどに関連諸団体との意見交換会を行うという ことでございます。パワーポイントの資料をご覧いただくとわかるかと思いますが、4 団体それぞれ異なる団体との意見交換会を行いまして、それぞれ職能の団体としては日 本栄養士会と教育研究機関としては大学等と協力をしていく。農林水産省の独立行政法 人食品総合研究所につきましては、定期的な学術交流を継続するとともに、共同研究あ るいは人材の交流等を推進する、等につきましていろいろ意見交換を行って、今後、こ のようなことを推進してまいりたいと思っているところでございます。 ○ 唐澤政策評価官  ご説明の途中で恐縮ですが、先ほど、資料の追加のご指摘を一つ忘れましたので、お 話しさせていただきます。数値目標に関係のあるものを3団体、資料6ということで3 枚ほどのもので別途まとめてございますので、これもご参照いただければと思います。 数値目標が掲げてあるものと実績との対比表でございます。 ○ 渡辺委員  先ほどの堀田委員の指摘ではないけれども、今のお話でも、例えばこれは初めてとか 去年やっているとか、もし付け加えることがあれば、比較しやすいので、おっしゃって いただけますか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  食品総合研究所との交流は従前から行っているものですが、日本栄養士会、健康・体 力づくり財団、栄養士養成大学等についてはこのような試みは初めてのことでございま す。  また、6以降は研究業務の内容についてでございますが、詳しい中身はファイルに綴 じてある資料9のピンク色の表紙の報告書がございます。今日は時間が限られておりま すので、パワーポイントの資料を使って簡単にご説明申し上げたいと思います。  なお、この研究の内容については、私どもの外部評価委員の先生方に私どもが2時間 程度かけて研究業務をご報告して、専門的な立場からご意見をいただいて評価をいただ いているものでございます。  まずシートの6番目でございますが、重点調査研究業務が三つある中の1番目で、国 民の健康の保持・増進に関する調査研究ということで、特にエネルギー代謝に関する調 査研究を行っております。  これは私どもの研究所に来られた先生にはご紹介しましたが、わが国初といいます か、アジアで初のヒューマン・カロリーメーターという装置を用いまして、日本人の栄 養所要量の策定等について、ヒトのエネルギー消費量に関する正確な測定データを解 析・収集するという計画でございます。非常に単純なことのように思われるかもしれま せんので、パワーポイントの資料の4ページ目に二つ、説明のための絵を用意させてい ただきました。  下の絵がヒューマン・カロリーメーターのものでありますが、ワンルームマンション 的な閉鎖的な部屋に被験者の方に泊まっていただいて、1日のトータルのエネルギー消 費をこの部屋の中で測定をするということです。  なぜこんなことをしなければいけないかというと、上の図がございますが、従前の方 法ですと、ちょっと絵が小さいのですが、橙色のバックを背負っていただいて口にマス クをつけていただいて、ここでいろいろな労働における口からの呼気、吐く息すべてを 集めることによって、ようやくその動作で何キロカロリー消費しているかということが 求められるということでございます。  これを24時間ずっと装着しておれば、1日のエネルギー消費量を測ることができるわ けですが、被験者の方に多大な負担をかけ、実施困難でありますので、たいていは断片 的にこういうデータを集めて、断片的に解釈をしているという問題点がございます。い ろいろな問題点は、上の表に書いてあるとおりでございます。これがクラシカルに行わ れていた方法でございます。  下のような装置を使うことによって、マスクをつけることなく室内での通常に近い生 活の中でのエネルギー消費量を極めて正確に測定ができるということでございます。  下の図の左にグラフがございます。横軸が時間をとってございます。24時間、実際に は被験者の方にはそれ以上、この部屋に入っていただくわけでございますが、そうしま すと、どういう動作でどのぐらいエネルギー消費、1分当たりのキロカロリーが上がる のか、こういうこともわかってくる。この装置を用いて、たいへん正確な基準となるデ ータ、特に日本人の栄養所要量の策定根拠となるデータを、5年間の中期計画の中でき ちんと作っていこうというのが、一番大きな目標でございます。  ページを一つ前に戻っていただきまして、その下に、今ご説明したことも含めまして 三つ、今年度業務を行ったところでございます。  まず、このカロリーメーターの精度管理上の問題を解決して、機器の調整を完了し、 当初目標であるエネルギー消費量の測定誤差±1%未満を達成。これは、栄養学研究と いうよりは物理科学というか工学的な調整を要した部分で、かなりの時間とエネルギー を割いたところでございます。  昨年度、30例の被験者宿泊実験を実施した。これは、24時間泊まっていただくだけで はなくて、たとえば食事について細かい調整をさせていただいたり、あるいは体脂肪等 について、あるいはいろいろな健康指標について調査、検査をさせていただくという、 いわばフルセット検査ですとかなりの調査となり30名についてやらせていただきまし た。  また二重標識水という、これも新たな手法で日本でもほとんど今まで行われていなか った測定系でございますが、こういうものを使いますと、自由に生活をしていて、1日 の平均としてエネルギーの消費量が求められる、こういう手法も新たに導入して検討を 行っています。  3番目としては、日本人の栄養所要量、これは厚生労働省生活習慣病対策室で5年ご とに改定が行われております。第7次改定に向けて、その学問的根拠のデータを蓄積す るためのワーキンググループ、プロジェクトチームを所内に昨年度設置して、今年度、 本格的に外部の先生方もお願いしてのワーキンググループを私どもの研究所で行ってい るということでございます。  こういう検討結果によって得られるものとしては、図の右側にありますように、日本 人の性別、年齢階級別のエネルギー消費量の基準データの算定とか、食事構成変化に伴 う糖質、脂質、たんぱく質等のエネルギー基質利用の算定というような、非常にシンプ ルでありますが、今まで正確なデータが欠けていた部分についてきちんとしたデータを 提供していきたいと考えておるところでございます。 ○ 五十嵐委員  この30例は初めてですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  30例は、昨年度初めて。設置から昨年度夏すぎぐらいまで機器の調整を行いました。 この調整には3〜5年を要するといわれておりましたが。私どもは大幅な時間短縮に成 功しました。そこからスタートしまして30例ということです。 ○ 黒川委員長  何かありますでしょうか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  研究につきましてはかなり内容が異なりますので、その辺はいかがいたしましょうか 。 ○ 黒川委員長  では、特にその分野の先生方がおられたら質問して、そのほかの方でももちろん質問 していただきたいのですが、むしろ何か意見をお願いしたらいいのかな。 ○ 坂本委員  この研究所の重点課題の一つである栄養所要量の策定という作業があるのですが、日 本人の性別、年齢別、あるいは生活行動、私どもはいろいろな生活行動をやります。今 は座っておりますが、立って歩くときの消費エネルギーはそれぞれ違うわけで、そうい うものをベースにして日本人の栄養の所要量はどれくらいか、所要量が決まることによ って私どもの日常の食事が決まり、それで食糧生産までつながっていくという経緯があ るわけです。  その所要量を決めるベースになっている消費エネルギーの基礎的な資料が必要なので すが、細かい人間の行動についてこういう消費エネルギー量のデータはあまりありませ ん。そういう無い資料をこれから蓄積されて、より正確な栄養所要量を算出するための 基礎的なデータを蓄積していかれなければならないのではないかと思うのです。そうい う意味で、このカロリーメーターを購入されて基礎的なデータを蓄積され始めたのは大 変有意義なことだと私は考えています。  現在、このデータの蓄積で調整が終わってお始めになったわけですが、年間30例が多 いか少ないかというのは、これは初年度のことでございますし、また、これから社会の 体制が変わってくるといろいろ人間の生活行動は変わってくるだろう。そういう変化に 応じて、またさまざまなアプローチをされるだろうと思いますが、そういう意味では、 カロリーメーターの購入でデータ蓄積をされるというのは、日本の栄養所要量の策定に とっては非常にいいことだと思いますし、近く第7次の栄養所要量の策定の準備が始ま っておりますが、そういうことには基本的には現在までのデータでかなり有効にお使い いただけるのではないかと考えております。 ○ 黒川委員長  もし五十嵐先生、何かございましたら。 ○ 五十嵐委員  今の点に関連することでございますが、現在、第7次改定の準備に既に入っていると ご報告がありましたが、実は前回の改定が2001年の3月ごろに最終的に発表されたわけ ですが、それまでは大体準備期間を含めても2年程度でやっておりまして、あまり詳し い調査研究をきちっとやって、そのうえに立ってやってきているわけではないという日 本の体質がございました。しかし、今度はこういう研究所が全てこういうプロジェクト チームをつくって、文献調査、あるいは実際に測定をしていろいろなデータをとること になりますと、それが基礎的なデータとしてこれからも役立つと思いますし、改定に際 して非常に重要なファクターになるだろう。  これに関連して、厚生労働省の管轄ではないのですが、今までは科学技術庁が管轄し ていました食品に何がどれだけ入っているかという食品成分表というのがありました。 それをベースにして、もちろんいろいろな意味での栄養指導にも使っているわけです が、その改定も昨年の2001年にできましたので使えばいいわけですが、省庁が違います と縦割りなものですから、成分項目が同じではないということがございまして、ビタミ ンではビオチン、あるいはミネラルがかなりいくつも抜けていますし、特にトレスが抜 けているものですから、そういう意味で問題点もあるだろう。  そういうのをこれからすぐに一緒にというふうには申し上げませんが、協力をして、 栄養研究所からもアドバイスをして、こういう測定法でこういう項目をちゃんとやって ほしいということも、お互いに協力してやっていただければ一番いいのではないかと思 っています。 ○ 黒川委員長  こういう成果はなかなか普通のところではできないとなると、学会その他での発表と か論文をどういうふうにするかというのは大事だと思うのですが、それについてはどう ですか。30例の検査についても、どのようにこれを同じ興味ある人たちとシェアするか というのも大事だと思います。 ○ 五十嵐委員  今の30例は、先日行いました北海道の学会で既に発表していらっしゃいます。 ○ 井原委員  素人から申し上げたいのですが、今のお話をお聞きしますと、非常に便利な道具が開 発されたと聞こえて、簡単にできるように思えるのですが、これは私どもでもちょっと 訓練すればできるようなものなのですか、それとも専門家をここに配置してこういう研 究をなさる、それの頭の使いようといいますか、専門家が介入するニーズはどういうと ころにあるのでしょうか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  先生がおっしゃられるのは、こういう研究の中での我々の役割、そういう意味でござ いましょうか。 ○ 井原委員  はい。単にこの機械を使って人間を呼んできていろいろな行動をさせて、それを測定 する、これは私どもはできそうなイメージを受けるのですが、専門の研究者がここに配 置されて、そこでいろいろ智恵を絞って研究をまとめていく、そこの過程をわかりやす く説明していただくとありがたいのですが。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  まず、この機械は、お金さえあってそれを払えば設置され、直ちに人のエネルギー消 費量が測定できるというものでは全くありません。いわば特注品であります。これは日 本で初めてでありますし、アメリカ、ヨーロッパ等の世界でも10か20ぐらいしかない設 備でございます。これも、研究者が小屋を建てて手作りでやっているところもあれば、 かなり立派な施設を建てているところもございます。いずれにしても、業者に任せてと いうことではなくて、研究者自らが設計図を引いて、外の情報を得て、いろいろな調整 をしながら少なくとも、従来ですと3年以上経てから最終的に測定できるようになると いうものです。 ○ 唐澤政策評価官  中に入る人はだれでもいいのですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  中に入る方ですが、一番大事なことは日本人のデータを集めるということですから、 ランダムに抽出された人々にお願いをして、いろいろなバックグラウンドの方に参加し ていただくことが日本人の平均的な像を得るためには一番好ましいのですが、現実には そうはいかない。研究の意義に対して理解のある方にしかお願いできないので、とはい いながら、非常に特殊な方だけを測定していたのでは、データとしての活用も限られる ことになります。 ○ 唐澤政策評価官  具体的にはどんな人をお願いするのですか、近所の方ですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  具体的には、ホームページ等でアナウンスをしたりとか、あるいは、まずは知り合い 、近くの方からお願いをしながら今、集めているということです。 ○ 井原委員  機械ができてしまったあとで一番必要なことは、どういう人を母集団としてどういう 形で選ぶか、そういうことですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  先生のおっしゃるとおりです。 ○ 黒川委員長  どういうことに使うかということも、ある程度共通の設備として、いずれ時間が空い ているときは使わせてもらえるのだろうと思いますから、要望書を提出して何か審査す るという話になるのではないかなと思います。田中先生としては当然、それも考えてお られますよね。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  今後の課題としては考えております。 ○ 黒川委員長  進ませていただいてよろしいでしょうか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  では、シートの7番目の重点調査業務の2つ目、国民の栄養・食生活の調査研究で、 これは主に国民栄養調査の高度化システムに関する調査研究ということで、パワーポイ ントの資料では5枚目になります。この計画としては、国民栄養調査を毎年11月に、約 5000世帯、1万4000名を対象にして食事調査を中心とする調査が行われております。そ の膨大なデータを迅速かつ高度な集計解析をするシステムの研究開発でございますが、 まずそもそも食事の調査、データがどのようなイメージかということをご理解いただく ために、ちょっと細かい絵で恐縮なのですが、5ページの下のピンク色のます目が書い てある図をご覧ください。  これは世帯、例えばここですと7人家族のだれが何を食べたか、おひたし、ホウレン ソウ、それこそしょうゆをどのぐらい使ったかとか、肉じゃがは中にどれだけ入ってい たかということもこと細かに計って記録していただく。これは日本だからできる調査で はありますが、大体これが1世帯当たりどのぐらいになるかというと、1日で 100行ぐ らいのデータになるわけです。  ピンク色のこの紙は、左側に主に家庭の主婦に計っていただいたメモをもとにして、 右側の数値、コンピュータ処理するためには数値で全部表さなければいけないので、右 半分のところは、栄養士が判断をして数字をふっていく、コードをふっていく、グラム に置き換えていく作業をやるということでございます。  このピンクの紙は、調査する管理栄養士等に、こういうところに注意して書いてくだ さいね、というようなマニュアルの1/6ほどを切り出したものでございますが、専門 の栄養士ですらかなり専門的な知識、技術が新たに要求される、こういう作業があるわ けでございます。現状は全てこれを紙の上での作業で行って、コンピュータにパンチ入 力をして、またさらにいろいろなチェックをして、ということをやっているものでござ います。  一つ戻っていただきまして、こういう現状があります。国民栄養調査だけではなく て、「健康日本21」等で都道府県がやはり独自で同じ形の調査をする。場合によって は市町村でも行うということがございます。今まではそれをばらばらにやっていた、コ ンピュータ会社等に集計解析を委託していたということがありますので、その辺の都道 府県での調査も視野に入れながら標準化されたシステムを開発していこうということで ございます。  今年度の成果としては、国民栄養調査及び都道府県等の栄養調査において、食事デー タの入力、チェック、及び集計解析業務を支援するシステムを開発したということです が、これはちょうど独法になった昨年度の11月から、国民栄養調査の方式が改められま した。これは科学技術庁から出されている食品成分表が18年ぶりに改定されたというこ とで、かなりの大作業になりました。ですから、食品成分表という最も根幹となるデー タベースの改定に伴って、新たなデータベースを再構築した。この辺に全エネルギーの 8割、9割を割いたということでございます。  また2番目としては、国民栄養調査の過去のデータについてデータベース化して、研 究所ホームページに公開をする。  3番としては、調査の現地、現場で管理栄養士が使用する資料の作成、都道府県等の 担当者に対して公開セミナーを開催、あるいはホームページを介した情報提供という形 で、以前からも国民栄養調査に関する研究は個々の研究業務として行っておりました が、こういう包括的に、特に情報提供も含めて一括して行うというのは、独法になって 初めてのことでございます。  そして、右側に書いてあるようないろいろなデータベースの構築によって、精度及び 効率の向上に寄与する、あるいは都道府県担当者に対してのサービスをする。また、都 道府県等が独自にばらばらに集計していたものについて、こういうシステムを活用して いただくことによって相互比較が容易になる、あるいは集団データの集計にかかる時間 がかなり軽減したということで、平成13年度では新潟県、青森県、東京都等でもこのシ ステムが使用されております。  6ページ目に、少し補足的な説明をしております。上の図が5年の間でやっていきた いということで、初年度はとりあえずデータの入口の部分、あるいは比較的定型的なデ ータ処理のところを行って、まずはうちの国立健康・栄養研究所における集計業務の効 率化を進めていきたい。さらには、保健所、都道府県等における業務の効率化、データ の高度利用に寄与するとともに、さらにデータを集めるだけではいけませんので、集め たデータを有効に活用するような統合的なシステムを、5年間かけて作っていきたいと いうことでございます。  6ページの下のところは、情報提供の場としてホームページでいろいろな栄養調査に かかわる学術的、技術的な情報を公開する、あるいは国民栄養調査の過去の蓄積データ について公開をするということで、このデータベース化は以前から継続的に行っている ものではありますが、これについて新しいデータを付け加えるとともに、中身の充実を 図っていきたいと思っているところです。以上です。 ○ 黒川委員長  いかがでしょうか、最後におっしゃったように、従来からのデータの集積を続けてい るわけで、国民の栄養調査は毎年出ていますが、なかなか貴重なデータだし、特に生活 習慣病みたいな話が健康・疾病構造の基本になってくる、そういう意味では各都道府県 のデータもあって、私などはときどき参考にさせていただいています。それをいかに国 民に返すかというのは、そちらだけではなくて、我々もそれを使わなくてはいけないわ けで、そういう意味では大変貴重なデータだと思うのですけれど、こういうのはよその 国でもあるのですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  例えばアメリカがシステムとしては一番進んでいるといわれていますが、10年に1 度、調査を行っているということです。 ○ 井伊委員  以前お伺いしたときに、国民栄養調査を集計して解析をするのに8か月ぐらいかかる と伺ったような気がするのですが、その期間は縮小されるようになったのですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  それはあとで業務のところでご説明いたしますが、こういうシステムを構築すること によって、その8か月の期間を短くしていこうと。ただ、そこはコンピュータの世界と いうよりは、むしろ人手の部分がかなり重みをますので、8か月のうちたった2か月か と思われるかもしれませんが、そこが精一杯のところかなと。これが完成してかなり使 われるようになって、ようやくそこまでいくのかなと思っております。  詳しい説明は、また後ほどさせていただきます。 ○ 黒川委員長  そのほかに……。では、次に進ませていただきます。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  次は8番目でございます。重点調査業務の三つ目、パワーポイントのファイルでは7 ページ目です。これは、食品成分の健康影響の評価に関する調査研究ということでござ いますが、年度計画としては、いわゆる健康食品及び栄養補助食品等について、その生 理的有効性の評価方法及び適正な摂取基準の研究等について行うということでございま す。いわゆる健康食品というのは多種多様ございますので、今回、特に循環器疾患、肥 満、糖尿病、骨関節疾患の代謝の改善を標榜する健康食品の有効性、安全性について、 流通状況等を勘案して重要と思われるものについて、特に実験的な検討を行ったという ことでございます。  また、いわゆる健康食品といわれるものでも、事故まではいきませんが、アレルギー を引き起こしたということも報告されていますので、その辺の基礎的な情報収集及び実 験的な検討を始めたところです。  2番目としては、栄養機能食品の新たな規格基準設定のために、たんぱく質、脂肪酸 等についての系統的なレビューを行い、基礎資料を作成するということで、これは厚生 労働省のほうで規格基準を策定するために必要な基礎的検討ということで依頼されて行 ったものでございます。  それらの進捗状況でございますが、具体的な食品としては、右側のカッコで囲ってあ るところに書いてありますが、γ−アミノ酪酸、銀杏葉のエキス、ウコン、ガルシニ ア、コラゲンについて、有効性と安全性の実験的な評価を行いました。  また、これら各1品目について、大体1年半ぐらいのユニットで基礎的な実験は進め ていきたいということで、年度の実験はまだ完了していないところでございます。  また、検討が完了した成分については、順次、学術誌に発表するほか、なかなか学術 誌に取り上げられにくいものについては、データベース化を図り情報発信を行っていく 予定でございます。  その下に具体例としていくつかございますが、時間の関係で一つ二つだけ紹介しま す。例えば肥満抑制を標榜するいわゆるダイエット食品、今話題になっているものでは ございませんが、ガルシニアにつきましてこの機能を調べていたところ精巣毒性を示す 結果が得られて、少なくとも大量の摂取は控えるべきであるというデータが得られた。 あるいはウコンなどというものも非常に今、出回っておりますが、いろいろな機能の表 示が現実的にはされている。例えば肝機能をよくするとか、糖尿病をよくするとか、高 脂血症を治すとかということもうたわれている場合があるのですが、人間の摂取の 100 倍量をラットに投与すると、若干血中の脂質の改善効果がみられ、あるいは病理学的な 安全性は確認されたけれども、これを人間に置き換えたときにどう解釈するかというの は、まだまだ検討が必要だと。  このような形で、有効性と安全性について、まずは動物実験を中心として個々の検討 を行っているというところです。 ○ 黒川委員長  何かありますか。今、肥満の話が出ましたけれど、ああいうモニタリングは、例えば アメリカなどでやったのは、ここ10年、20年、いわゆるオルタナティブメディスンとい う漢方とかいろいろな民間療法が非常にはやって、そこはもちろん保険や何かではない のだけれど、どんどんマーケットが広がってしまったので、それが大事だということに なりました。検証しようという話になって、同じ製品の基礎の成分とかいろいろなこと をやってみるとものすごくバラツキがあるという話を、ニューイングランドで出したり しています。だから、むしろ全く規制というわけではないのだけれど、安全性をモニ ターするという話は、ある程度そういうのは大事かなと思います。だから、動物実験だ けではなくて、常にモニターするのはここがやるのですか、ほかのところがやるのです か。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  いわゆる健康食品については、有効性もさることながら、安全性の保証も非常に重要 です。例えば食品添加物ですとか残留農薬ですと、もう既に決められたルールがあっ て、それに従って評価ができるようになっています。ところが健康食品では、食べ方、 とり方、有効性、安全性をどう評価するかというルールもない。標準化された方法もあ りません。ですから、そういう意味で、私どもで系統的に安全性のスクリーニングをす ることは、現時点では不可能です。むしろ、こういうものの安全性をどう考えていった らいいのか、どのようにして安全性を評価していくのか、そこを考えるための予備的な 検討だとご理解いただけたらと思います。 ○ 黒川委員長  ミッションとしては、どちらかというと研究的な要素が強いかなと。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  安全性に強調をおくというよりは、もちろん有効性を検討するなかで安全性について もどういう評価が必要かということを見ていこうと考えております。いずれにいたしま しても、いわゆる健康食品につきましては、有効性のみならず安全性につきましても、 今後、積極的に取り組んでいきたいと考えております。社会的なニーズが非常に大きい からです。 ○ 黒川委員長  健康食品も、今度の例もそうだけど、かなりボーダレスになっていきますから、人気 があるのがどんどん消費されていることからいうと、何がプライオリティとしてあるか などという話もまた考える必要があるのかもしれませんね。そのほかに……。  では、次に進ませていただきましょうか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  次は8ページから10ページ、評価シートでひと枠になっているところで研究が四つ入 っております。それぞれについて、簡単にご説明いたします。  パワーポイントの資料の8枚目、そこで基盤的研究の1、2、3、4とございます。  1番につきましては、健康及び栄養に関する独創的、萌芽的な調査研究ということ で、先ほどご説明しました従来の人頭研究費というものを排しまして、競争的に特に若 い人を中心として新しい発想の研究を奨励しようということで、この研究を行っており ます。ですから、個々の分担研究が集まって一つのプロジェクトとして成り立っている ものでございます。  年度計画としては、アからエにありますような四つの課題について大体のテーマを決 めまして、昨年6月に公募を行いまして、12課題中7課題の採択を行いました。それら について中間発表、あるいは事後評価等を行ったところでございます。  具体的な研究課題としては、右側に書いてあるようなものでございます。今年度もま た見直しをいたしまして、そこに書いてあるものの中で赤で示してあるものが継続が認 められたということで、事後審査もかなり厳しくやっておりまして、継続が必ずしも適 切でないものについては、途中打ち切りということもやっております。  次に、基盤研究の2番目は、生活習慣病予防に関する調査研究ということでございま す。これは、自己学習システムでIT技術、インターネット等を使ったツールを応用す ることによって、生活習慣の改善を支援していこうというシステムです。メインシステ ムとしてはそういうインターネットの仕組みをつくる。またサブシステムとしては、そ のとき、いろいろな知識とか情報等が必要になりますので、学習者と支援者が共有して 活用する辞書をデータベース化して、併せて提供するということです。大体6か月ぐら いインターネット上で続けてもらうと、いろいろな食生活、運動等の生活習慣の改善を していただけるかなということで今、試作版を作成して、これから評価にとりかかると ころでございます。  9ページは、上がイメージでございます。インターネット上でそんな形で個々に選ん でいただいて次に進んでいって、いろいろなメッセージを介していくというものの作成 を行っています。  続きまして、基盤的研究の3番目でございます。これは健康及び栄養にかかわる情報 、規格基準その他の資料等の調査研究となっておりますが、情報のデータベース化、あ るいはインターネット、ホームページを介した情報提供というところがメインとなりま す。  そのなかで昨年度、中心的に行いましたのが、生活習慣病対策及び関連する調査研究 に関する情報についてデータベース化して、対策の有効性を評価するシステムを構築す るということです。これは全国約1300の市町村にご協力をいただきまして、各市町村で どんな対策を行っているのか、あるいは実態把握のためにどういう調査を行っているか というアンケートを行いまして、その結果をデータベース化して、その参加をしていた だいた市町村の担当者が、隣は何をしているのかということが参照できるようなシステ ムを作ったところがメインでございます。  そのほか、健康栄養情報に関してリンクを張る、英語あるいは他言語の情報も含めて 情報の収集、あるいは日本語での紹介等を行っているところでございます。  次は基盤的研究の4番目ですが、食品中の栄養成分の生体利用性の評価に関する調査 研究ということでございます。これは、食品中の栄養成分、非栄養成分には、いろいろ なものがあり、いろいろな働きがあるのですが、これはイメージだけご理解いただくた めに、下の図を見ていただきたいのです。  最終目的としては、評価方法と評価体制の確立、強化というようなことでございます 。そうしたときに、栄養素がどのぐらい入っているかとか、それがどういう機能がある かという古典的な意味でのものだけではなくて、細胞内でどういうふうな、あるいは分 子レベルでどういう機能があって調節が行われているか、そういうものも指標にしなが らいろいろな栄養成分、非栄養成分についての評価系を確立していくということでござ います。特に今は分子レベル、細胞レベルでのいろいろな評価系、特にビタミンE等を 中心としてのかなり基礎的、分子生物学的な検討も行っているところでございます。 以上です。 ○ 黒川委員長  いかがでしょうか、五十嵐先生、何か。 ○ 五十嵐委員  今はこういうわけで、個体レベルも大事なのですが、もちろんヒトの次元がいちばん 重要なのですが、その前に分子レベルあるいは細胞レベルでいろいろなものの解析が進 んでいますので、たぶん生化学的な検討とかすべて関連がございますので、この研究所 と共同研究でいろいろなことをやっていかないと無理だと思います。ですから、実際に はやられていることをよく知っていますので、そういう方向で今後ともやっていただき たいと思っています。 ○ 黒川委員長  ほかに……。これは研究している人としては、たとえば肥満、糖尿病、生活習慣病関 連遺伝子の多型の解析とか、いろいろ面白いテーマがあって、その辺は新しいことを見 つけるというか、クリエイティブな部分でいいと思うのだけれど、今、厚労省関係の国 からきている基盤研究のようなメディカルフロンティアとかああいうことをやっている ところと、それから大学関係から出てくるという、ここは競合的意識がものすごくつい ているところなので、むしろこういうところでは何をするかというミッションを区別し ないと、かなり重複してしまいます。もちろん重複していくつかが競争するのはすごく 大事なのだけど、特に厚労省の競争的資金というのはいったい何のためにどういうふう にしたらいいのか、大規模な臨床試験もそうだけど、その辺を十分に加味して優先順位 付けしたほうがいいのではないかなと私は思っているので、また考えがあったらお聞か せください。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  その辺は、おっしゃいますように、ほかの資金、競争的資金、あるいはほかの機関で やってもいいのではないかという部分が一部あるのかもしれません。ただ、組織全体を 考えると、ルーチンというか計画されたものだけをやっていると、研究機能として何か 新しい事を起こそうとしたときにいろいろな発想が生まれない、あるいは新しい技術が 生まれないということがありますので、そういう意味では自由な発想でこういう基礎的 な研究をしていくというのは、重要ではないかと考えています。 ○ 黒川委員長  その辺のプライオリティと時間のスプリットの問題で、だからこそ五十嵐先生がおっ しゃったように、外との共同研究でお互いにやることが非常にプラスになって出てくる 可能性もすごくあるので、その辺も少し考えていただければよいと思います。おっしゃ るのは確かで、ルーチンの仕事などはやっていられないよというのは確かにあるのだけ ど、しかしそういう人も大事だというのはまた国研の一つの使命だったということもあ りますので、大事なのではないかと思います。  そのほかに……。では次にまいりましょうか、よろしくお願いします。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  所外の研究者にも参加していただいて、「栄養所要量策定プロジェクトチーム」を作 り、合計50名の研究者との共同研究を本年度から本格的に実施することになっておりま すことを再度述べさせていただきます。  さて、評価シートの10ページ、パワーポイントの資料で11枚目10番、二つございます 。栄養改善法に基づく業務といたしまして、国民栄養調査と食品の試験とがございます 。  まずその二つに関しまして、研究員をそれぞれの担当部局に併任で配置をしました。 また、技術支援者として、管理栄養士や実験補助支援者を配置し、体制をまず整えまし た。  国民栄養調査については、その絵にありますように、段ボール箱40個ぐらいの調査票 があります。保健所、都道府県が11月に国民栄養調査を実施し、チェックをした後に、 私どものほうに年明けぐらいに送られてくる。そこからスタートいたしまして、私ども は集計を行う。一度厚生労働省の担当にご報告をして、それからどう解析をしていこう かというようなご相談をしながら、また作業を進めていくということで、6か月あるい は8か月というのは、あくまでも初期の集計までのところという整理になっております 。  このプロセスとしては、調査票の数かぞえからデータ入力、あるいはそのあとのチェ ックをして栄養価計算、そこまでがかなり時間がかかって、粗集計のところまで、今、 8か月かかっています。食品分析の方は独法になる前から行っていました。すなわち、 以前は厚生労働本省が一部について外部委託し、一部は統計情報部の方で行っていた業 務を、新たに独法になって私どもがお引き受けするということになり、今回が初年度と なります。  昨年度の結果ですが、粗集計結果を8月に報告しました。またそのあと、集計解析の 結果については10月に厚労省に提出をいたしまして、結果としては概要のプレスリリー スを11月に行うことができた。その前の年は年を越えて3月になったということですの で、その辺も以前よりは早くできたのではないかと思っております。  次に、食品のほうです。  まず、特別用途表示の許可等に係る試験ということでございます。これは、依頼の あったものについて分析業務等を行うわけですが、全部で107件ございました。そのう ち、中期目標の中にありますように2か月以内に処理する割合を高めていくということ でございますが、2か月以内の処理件数が昨年度85%でした。残る16件については、こ れは必ずしもサボっていたということではありません。新たな食品成分等が出てくる と、そもそもそれをどう測定するのか、評価するのかということが確立していませんの で、そこから始めて作業を進めなければなりません。これからもある一定割合の食品に ついては時間がかかってしまうのではないかと予測しております。とはいえ、なるべく 早く処理をするような努力をしているところでございます。  また収去試験は、厚生労働省が都道府県等を通じて収去してきた食品について、表示 どおりに成分が含まれているかどうかを確認するために、私どもで食品の分析をするこ ととなっております。それが121件ございました。  このような業務をさらに円滑に行うために、こういう収去試験あるいは審査試験で得 た収入は、一部備品の購入に充ててインフラの整備を行ったというところでございま す。以上です。 ○ 黒川委員長  確かにこういう食品には何が入っているかわからないから、今回のダイエット食品事 件における中国のものは4種類、自然のものがあったのだけれど、その一つはアメリカ で禁止された薬物の誘導体みたいなもの、謎解きとしては面白いような気がしたけれ ど、大変なことだなと思いました。そういうことは、食品の中でも結構多いわけです ね。  そのほかに……。もうちょっと進めさせていただいてよろしいでしょうか。それでは 11からという話になりますが、皆さん、いかがでしょうか、やっているあいだに適当に マークをつけられましたか。だんだんやるほうも要点がわかってきたというか。では、 11ページからよろしくお願いします。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  11から18までまとめて説明をいたします。  11が職員の資質の向上に関してですが、大きく三つございます。所内研究セミナーに ついては、年に1回、発表の機会を研究員に与えて、そこで発表をし、ディスカッショ ンをするような場を設けております。  また、学会の参加及び発表ということで、昨年度はたまたま国際栄養学会がございま して、そこでの参加・発表を行いました。また関連学会では、日本栄養・食糧学会、栄 養改善学会等に参加・発表した。また、研究業務の指導や研修等の受講ということで、 この辺は最初にご説明したように研究系ごと、あるいはプロジェクトごとの指導体制の 充実強化と、必要なものについて講習会等を受講させたということでございます。  12番は、外部評価の実施及び評価結果の公表ということでございます。外部の有識者 によって構成する評価委員会については、まず3月には平成14年度の事業計画の事前評 価を受けました。13年度の事後評価につきましては、5月に評価を受けたところでござ います。委員の名簿をそこにお示ししておりますが、研究所OB等は全く入ってなく、 この研究領域での第一線の先生方及びマスコミ関係の先生にお入りいただいている、こ ういうメンバーで外部評価をしていただいております。  13番は学会発表等の推進ということで、どのぐらい学会等でアウトプットを出したか ということでございます。これは年度計画、数値目標として60回以上の発表、また学術 誌への掲載数40報以上という目標、これらは5年間の目標値を5で割ったものでござい ますが、結果としては、国際学会45回、国内学会121回の計166回ございました。また、 学術誌への、これは原著論文に限ってございますが、英文誌46報、和文誌22報の68報と いうことで、両方とも大幅に計画値を上回っております。  また、インターネット等による調査研究の成果に関する情報発信ということでホーム ページを改めまして、なるべく一般の方にも、あるいは専門の方にも見やすい形のもの にしました。結果としてはアクセス件数が1年に7万件だったということで、これにつ いてはうちの外部評価委員の先生方から、少ないのではないかというお叱りを少し受け たところもございます。  テレビ番組では、NHKの二つの番組で研究の成果等を発表してございます。  ホームページのイメージは、その下に書いてあるような感じになっております。  15番、講演会等の開催でございます。  まず、科学技術週間における一般公開ということで、これは以前から行っているもの でございますが、平成13年度も実施しました。専門家を対象とした公開セミナーという ことですが、これは今まで学会等でジョイントで少しやるということはありましたが、 研究所が自ら積極的に進んでということは、今まではあまりなかったことです。今回は 独法になって積極的に行うということで、2回、セミナーを主催いたしました。専門家 を対象とした公開セミナーでは、全国の都道府県等の栄養担当者80名が参加いたしまし たし、一般の人を対象とした公開講座では220余名の方がご参加くださいました。  また、16番の知的財産権の活用については、私どもの研究所では、研究性格上、出し にくいですし、以前は残念ながらこの辺にあまり積極的でなかったということもござい ます。独法になってから、この辺も積極的に行っていこうということで、1件の特許出 願を行ったところでございます。また、来年度も少なくとも1件は特許出願できるよう に努めたいと考えております。最初にもご報告いたしましたが、今後に向けて国際・産 学共同研究センターの開設準備を行ったということです。その下の絵に、どんなことを やるのかということをまとめております。  一つは、この委員会でも昨年5月に、先生方から国際協力は非常に大事であるという ご意見をいただきました。中期目標・計画の中では、いちばん隅の方に書いてあったの ですが、それをより充実強化させるために、国際栄養協力室を作りました。また、産学 連携推進室を作り、共同研究あるいは受託研究等を積極的に行っていく。当面は、それ ぞれ室長1名、併任研究職、臨時職員等を配置する、部屋も1室程度から始めていく。 とにかく、大きなセンターというよりはきちんとしたコンタクトポイントを作るという ことで進めております。  最後になりますが、シートの17、18でございます。  17は若手研究者の育成ということで、特別研究員、流動研究員、協力研究員、研修生 の受け入れ体制を整備し、結果として90名の者を受け入れたということで、これらの者 の指導に当たっておる、共同研究を進めておるところでございます。  協力研究の推進ということで、共同研究では、共同研究規程、受託研究規程を整備し ました。これは、特に今まで国研ではなかなか受ける体制がなかったものについて、独 法化に伴いこれらを受託しやすくなった、そして規定も整備をしたということでござい ます。結果として32件の共同研究、受託研究をお受けしている。また研究員の派遣及び 受け入れということで、外部から14名を受け入れました。また国際協力につきまして は、本格的に行うのは今年度からと思っておりますが、以前から行っているような、特 にアジア諸国との共同研究を継続する。さらに国際協力対応に関する連絡会議、これは 独法になって内部的に新たに設置したものでございますが、そういうものを設置しての 体制の準備を整えているということでございます。 ○ 黒川委員長  皆さん、どうぞ。これは運用と全体の活動ですから。 ○ 五十嵐委員  外部との関係といいますと、ちょうど今年6月にあったわけですが、京都で産官学と いう三つの、業界も含めまして一緒にやろうというわけで、こういう独立行政法人も、 昨年度ですからちょっと違うのですが、これからはそういうことで大いに共同的にいろ いろなところとやっていただくというのが一番効率的な運用であって、仕事が進みやす くなるだろうと思いますので、その点もご留意いただきたいと思います。 ○ 中窪委員  12のところで、外部評価を実施されたとありますが、これは公表はどのようにされて いるのでしょうか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  当研究所も6月開催の京都での産官学連携推進会議に参加し、十数件の問い合わせに 応じました。  昨年3月に行いました平成14年度計画の事前評価については、最終案がまとまって、 これからホームページ等に公表していくということでございます。13年度の事後評価に つきましては、今、最終の調整とりまとめ作業をして、間もなく最終報告書ができる予 定ですので、それをもちろん公開をするとともに、内部的にも評価結果に従った形でこ れからのプロジェクトの見直し等、あるいは運営の変更等を行っていきたいと思ってい ます。公開はこれからになります。 ○ 堀田委員  13から18にそれぞれ数字が挙がっているのですが、例えば13ですと、学会発表60回以 上などとありますが、その数字の相対的な意味が私ども外部の者には全くわかりません ので、類似の研究をしておられる機関の関係者の方から、その数字の評価についてご意 見をいただけるとうれしいと思います。 ○ 黒川委員長  何かコメントはありますか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  目標を立てる段階では、当然、過去の実績を参考にしながら、それを上積みするよう な形で目標を立てております。そういう意味では、独法化以前よりは論文発表、学会発 表等もより積極的に行うようになったのだろうと思っております。  数字そのものの持つ絶対的な意味についてはなかなか解釈は難しいかなと思っており ますが、特に論文等については質的にも高いレベルの研究も少なからずあると自負はし ております。 ○ 黒川委員長  これは、堀田委員のおっしゃるとおりでなかなか難しいのだけれど、研究といっても その内容によって、論文で創造的な非常にインパクトの強いのが出る性格のものを競争 しているのと、むしろ業務的な精度を維持しながら信頼できるデータを解析するとい う、その辺のバランスがあるし、その辺のプロポーションがものによって違います。大 学などでは、どちらかというと新しいものをつくるというのがある程度のミッションに なっているところが多い。しかし大学といっても、たまたま昨日、朝日の人と話をして いたからそうなのだけれど、毎年、論文の評価というのはいろいろなやり方があるわけ で、数字で出ないことが多いわけです。たとえばアインシュタインの最初の相対性原理 などはたぶん10人ぐらいしか読んでいませんよね。だけどダーウィンの方は、19世紀で ありながら10万人以上買っていますから、その辺をどうやって評価するかというのはな かなか難しい。  けれども一つは、最近はやたらと論文が出るから、その論文が世界的にどのくらい引 用されたかを見ると、過去10年間で材料工学は例えば東北大学が一番引用されたし、生 化学だと東大が2位だったとか出ていて、そういうデータは必ず共通のデータベースが あるのですが、しかし、解釈をどうするかというのは難しいわけで、実はベスト5が各 分野で出ているのだけれど、東大とか東北大学はいいのですが、対象にされた論文の数 が、ほかのところに比べると大体倍あるのです。たとえばハーバードとかMITという のは似たような引用回数で出ているのですが、つまり倍のペーパーが出ていて引用数が そのぐらいだから、打率は半分ということになるわけです。  すると、残りのペーパーはなんだということになってしまうのだけど、もう一つ大事 なのは、その論文を出すのに当たって、年間、国のお金が100万ドルについてどのぐらい 出たかという分析も可能なわけで、実際、そういうのがされていて『ネイチャー』や 『サイエンス』に出ていますが、それはある時点でのインパクトの問題で、長期的に見 なくてはいけないこともたくさんあるので、一概ににはいえませんが、一番わかってい るのは本人たちではないかと私は思っているので、その辺はどうやって評価するかとい うのは難しいと思います。  ただ、これから独法化されてくるとかなりフレキシブルにやりますが、おそらく同じ ような役割をしているのではないということも理解しなくてはいけないので、私は最初 のときに言いましたけれども、論文の数とか発表の数をただ言っても、それは増やすの はわけないのだけれど、やはり内容の問題かなと思います。その辺を考えなくてはいけ ないかなと、考えるというのは、こちらの評価の基準も何だという話が出てこなくては いけないわけなので、その辺は常に難しい問題を含んでいるなと思います。 ○ 坂本委員  成果の積極的な普及及び活用なのですが、国立の研究所であったときにはなかなかこ ういうのは厳しかったのではないかと思うのですが、独立行政法人になるとおそらくか なりフリーな立場でこういった活用、あるいは市民、消費者に対する啓発などはおでき になるだろうと思います。この研究所でおやりになっている研究あるいは重点業務の内 容からして、ここでやっておられることをベースにして、いきなり国民へといわれて も、なかなか難しいことが多い。それで、そういったサービスをおやりになる場合に二 つのステップをつけて考えるべきではないかと思うのです。  まず、一般の消費者、国民へ通達をする教育層といいますか、そういう普及者層へわ かりやすくこの研究所でやられたデータを伝えて、そこが直接に国民へ伝えるという2 段階のほうが、非常にいいパスウエーがあるのではないかと考えるので、例えば15にあ りますように、一般の人々を対象とした公開講演会、これが1年に何回かあってもけっ こうですが、それ以前に中堅の、例えば健康教育者であるとか栄養士さんであるとか、 そういう人たちに的確な情報を伝えていただいて、その人たちが国民へ伝えるほうが、 より効率的な活動ではないかと考えますので、ぜひそういった方向も考えていただけれ ばという要望です。 ○ 黒川委員長  これは確かに戦略の問題があります。そうだと思います。 ○ 古郡委員  特許、知的財産権の活用のところですが、平成13年度の計画がなくて、これは短期的 には計画が立てにくいのかもしれませんが、特許の出願が1件あったということです。 活用促進とありますが、そのあとの実施等はどういう形で促進なさったわけですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  今、出願して、審査中ということで、まだ結果は出ておりません。 ○ 田村委員  先ほどの知的財産権の活用に関するところなのですが、これですと、1件、特許出願 したということですね。この研究分野は、分野によっておそらくいろいろ違うと思いま すが、特許出願がしにくい分野なのか、あるいはこれからのやり方によっては大いに特 許出願が期待できるのか、そのあたりのお考えはどのように思っていらっしゃいます か。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  基本的に特許出願は出にくいのだろうと考えております。ただそれは、仕事の方向性 をどこにもっていくかによるかと思います。特許というのはある意味では知的なアウト プットを抱え込む事ですので、従前は、それよりは論文等に発表して幅広く学問に貢献 していこうということで、特許を取るという発想自体があまりなかった。ただやりよう によっては、例えば産業界との連携による新しい食品の開発等をかなり積極的に進めて いくという方向であれば、今後は特許の取得等についても道がひらけていくのかなと思 います。ただ、研究組織全体としてどこに重きをおいていくかということは、いろいろ これから考えていきたいと思っております。 ○ 黒川委員長  これは今、悩ましい問題で、ここだけの問題ではないのだけれど、日本の国がたくさ んそうやって特許とか知的財産権とかを、何とか戦略会議とかいろいろつくっているの だけど、しかし特許をいくら申請してもお金がかかるだけの話で、それを実際に実用化 できるかというところが問題ですよね。  例えば大学などでは、最近、いろいろやっているけれども、日本の場合は、大学が特 許を申請するのか、どんどん公表してパブリックドメインにもっていってそれを活用し てもらうか、両方の価値があるわけで、その辺の戦略をどう考えるか、みんなあまりよ くわかっていない。特許、特許といって数を多くすればいいというけれど、実際に実施 できる可能性をどのぐらいみるかという戦略も大事だし、特に特許は、さらにディバイ スしながら強い特許にしない限り意味はないわけです。ところが、実施できないような ことをいくらやっていてもお金がかかるだけですから、その辺の戦略と決断が大事です ね。  だから、さっさとパブリックドメインにしてしまうというのもすごく大事なことなの で、この辺をどうするかというのは、必ずしも数ではなくて、今おっしゃったように、 特に栄養関係とかこういう性格だと、特許性のあるものはなかなか出にくいだろうと思 いますね。むしろパブリックにどんどん発表してしまったほうが社会的な貢献ははるか に大きいこともあるので、その辺は違った視点で評価しなければいけないかなと。  これは一般論ですが、実際に日本の大学では特許を申請するというのは国立が強かっ たので、個人の研究になってしまって、企業が出願して先生の名前の発明になっている というようなことが多いわけですが、実際にそれが実施されるのは、過去の例では10% 以下です。それはなぜかとういと、企業のほうも、先生とのおつき合いがあるから一緒 に出させていただいたというだけで、実施する気などはないことも多い。  しかし、アメリカの場合は、実施するかどうかというメリットがなければ企業も一緒 にやるわけはないので、大体大学で出している特許を実施するというR&DのDにいく 確率が40%から50%あるわけで、なければやってもしょうがないという戦略が最初から ある。その辺が日本の今までの企業は大学とのおつき合いで、先生がこれはいいといっ たからやったのだけど、実施する気はさらさらない。実施に至った形跡があるのは4〜 5%だと思うのです。  それが今度は変わってくるのだろうと思うので、期待はしたいと思うのですが、特許 性がある・ないだけではなくて、これはパブリックドメインにしてどんどん論文を出し た方がいいかどうかという戦略も一つの判断材料だと、先生がおっしゃるとおりだと思 います。数があればいいというものではなくて、数を多くすればお金がかかる。  しかし、そのときに国研の場合は所有権がどこに属するのですか。それが企業化でき るときに非常にじゃまになると思うので、これをどうするかというのは何かありますか 。 ○ 唐澤政策評価官  正確に覚えていませんが、国研の場合は国の費用なので、あらかじめどちらに属する かを決めておくという形になっていたと思うのです。あるいは割合で決める。独法の場 合は、原則的には独法の所有権になるというのが原則になっていると思います。 ○ 黒川委員長  大学も独法になると同じようなカテゴリーになりますか。 ○ 安井委員  大学も独法になると、そうなるはずです。なるかどうかわかりませんが。 ○ 黒川委員長  今度は、その法人にその権利をみんな渡すというふうになってくるのですね。 ○ 唐澤政策評価官  国と発明権者のあいだで分割して持つと、実際にはこれはなかなか使いにくいですね 。 ○ 黒川委員長  そうですか。しかし、独法がどうそれを使うかというのは、独法のそれぞれに委ねら れているのだろうけれど、たぶんあまりアイデアがなくて、また文科省に何したらいい でしょうかなどといって、横並びになって何も使えなくなるのではないかと、私はちょ っと危惧しているのですが。  そのほかに。 ○ 大久保委員  13のペーパーの中で原著論文、これは英文誌が46報、和文誌に比べましてかなり多い ですね。これはある意味では大変必要なことで、アジアの国ぐにの人たちは英語ならば わりとわかりますし、その成果物は、もちろん日本の国民、我々のためにということは あたりまえですが、同時にアジアのいろいろな諸国に対する貢献も必要で、そこのあた りでは非常に評価をするのです。  それと同時に、お尋ねしたいのは、こういった成果物を企画とかリコメンデーション とか教育、いろいろなところに大いに活用して、アジアの国の人たちに対するポジティ ブな活動をしていただきたいと思うのですが、そのあたりはいったいどうなっておりま すでしょうか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  大変貴重なご指摘をありがとうございます。一つは、国際栄養協力室を立てるという こともありますし、先ほどご紹介した国民栄養調査のデータは世界的に、特にアジアで 注目されている。あるいは日本の歴史的にみた公衆栄養の活動というのは非常に注目を されているのですが、全てが英語の資料としてなっていない。国民栄養調査のデータ等 についても、特にアジアの国ぐにの方の目に触れるような形で論文化あるいは資料化し ていきたい、その辺の準備を今、進めているところでございます。 ○ 黒川委員長  特に坂本委員の言ったことは大事で、それに関係あるそのほかの、研究所ではなく て、ぼくらも含めてだけれども、ライフサイエンスの分野とか医療の政策とか、どうす るかというのはすごく大事ですね。30年前までは栄養不足の話ばかりしていたのだけれ ど、今は栄養が増えすぎて困っているわけだから、その辺をポリシーとしてどうやって いくか。  皆さん、ご存じだと思うのだけれど、日本人のカルシウム摂取量を600ミリグラムにし ましょう、などというキャンペーンが出ていますが、あれはずっとそういう調査が出て いるから、600としているわけだけれど、例えば今、アメリカでは1000ミリグラム、1グ ラムにしているわけです。しかし、なぜそれをしないかというと、日本人のカルシウム 摂取量はようやくたかだか500まで上がってきているのだけれど、もともとは100とか200 なのです。それがだんだんいろいろなキャンペーンで上がってきたから、リアリス ティックなゴールを設定しているだけの話で、今、1000などといってもそんなことは リアリスティックではないことはわかっているので、そういうことをするのにはこうい うデータベースがないと、リアリスティックなポリシーとして出せないことになってい ます。  そういう意味ではこういう非常に地道なデータは大事だし、食塩の摂取などは、私は ちょっと関係あるから毎年見させてもらうと、東北6県と大阪ではものすごく違うので す。その辺はどうやって高血圧などに反映させるかというのはすごく大事です。ここの データをどう使わせていただくかというのは、関連してほかの学会とかそういうところ の智恵の問題だし、非常に貴重な存在かなと思います。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  今のことに関連してですが、先ほど、ホームページのアクセス件数が少ないのではな いのかというご指摘をいただいたというお話をしましたが、私どもはもちろん国民一般 の方々に広くいろいろなことをお伝えすることも大事だけれども、重点は専門職種の人 に対してサイエンティフィックなデータ、情報をいかにきちんと伝えるかということ を、まずは中心的にやりたいと思っています。そうしますと、ホームページをのぞいて くださる方が数的には限られる結果になってしまうのは、ある程度やむを得ないのかな と思います。  特に保健機能食品等、サプリメントについてのアドバイザリースタッフなどというい ろいろな制度ができていくなかで、専門的な情報をまずそういう人たちにお伝えしてい くいろいろなルートをつくりたいと思っているところです。 ○ 坂本委員  一つ要望でございますが、今、国民栄養調査の結果について、委員長から大変貴重な ご指摘をいただいたのでありがたいのですが、国民栄養調査の結果が私ども専門家に入 ってくる情報というのは非常に限られた粗データだけなのです。それをさらに生活習慣 病予防のためにもう少し角度を変えて検討したいということがあるのですが、そのデー タの活用が許されていないのです。ですから、個人の情報をどうこうするということで はありませんが、マスとして大きな数で扱わせていただくことが私たち専門家にできれ ば、もう少し面白いデータにしたり、あるいは直接に国民の役に立つようなこともでき るのかなと思っています。今は1冊の本で単純集計ぐらいしか出てこないというのが現 状ですので、ぜひそこら辺の配慮をお願いしたいと思います。 ○ 黒川委員長  特に人文科学とか社会科学そのほかの研究者にとっては、一次データへアクセスでき ることはすごく大事だと思うのです。今までは、行政、官庁が集めてしまったものは学 者にも公開しないということがあって、お上からくださるものはありがたく受け取れと いう話だったのだけれど、研究者がいろいろな角度で分析することを可能にした方がた ぶんいいので、それは石本政策統括官その他でぜひ検討してもらいたいと思っていま す。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  私どもがどうこういう話ではないのですが、制度上は、私どもは集計のところまでで すので、データを厚生労働省にお戻しして、統計情報部で管理していただいております 。目的外使用という制度がありますので、ある一定のデータについてはアクセスできる のではないかとは思います。 ○ 遠藤厚生科学課長  申請していただいて、個人属性などを除いた形で生データをお出ししております。 ○ 坂本委員  実はお断りを受けたことがあります(笑い) 。 ○ 遠藤厚生科学課長  では、ちょっと確認させていただきます。私が承知しているのは違う調査ですから、 栄養調査については私も試したことがありませんので。 ○ 黒川委員長  医療費とか医療経済とか健康データとかいろいろなものがあるので、ぜひそれが活用 できればと思っています。そういうクレームはなきにしもあらずみたいなので、私も知 らないのですが、よろしくお願いします。これは厚労省だけの話ではないですが。  そのほかに。 ○ 五十嵐委員  評価シートの17ページに、特別研究員、ポスドクが2名だと書いてあります。これ は、研究所自身がどれくらいファウンドを持つかということもありますし、厚生労働省 からくるのか外からくるのかわかりませんが、独自に持つようなシステムをとらない と、本職の研究員が少ないですよね。30名弱と聞いていますから、そうしますと仕事が やりにくい面もたくさんあるだろう。こういうことを充実していくことも考えていかな ければいけないし、研究所自身も努力をしていただきたいと思っています。 ○ 黒川委員長  これはなかなか難しいですよね。もともとの国研と大学の人がどう動くかという話が あって、これは実は私も研究者の数がどのぐらいいたというのは、ずいぶんいるなとい う感じもしないでもないので、研修生もそうですが、これは実績としてすばらしいと思 うのですが、ぜひこの研究所でやった仕事が、たとえば週1回の人もいるし、3か月の 人もいるので、マンマンスとして表してしてもらえないかなと思います。フルタイム換 算としてどうなのかというのはすごく大事だと思うのです。それは共同研究もあるわけ だから。ここをプライマリーにしているのが週1だったらそれはいいわけで、それで6 か月であれば、マンマンスとしてどのぐらいという表し方もされると、共同研究の広が りとかいろいろな意味でいいのではないかと思いました。  そのほかに……。もしよろしければ、評定は終わっているのではないかと思いますの で、次に進ませていただきます。よろしいでしょうか。では19から、よろしくお願いし ます。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  19以降につきましては、今までの重複の部分、あるいは前回ご説明しました財務にか かわるところがございますので、パワーポイントのシートではなく、評価シートの右側 を使ってご説明いたします。  まず19でございます。これは先ほどの重複の部分になりますが、運営費、交付金以外 の収入の確保ということでございまして、すでにお示ししたところの補助金等の外部的 な資金の獲得表を再掲してございます。また、これらの収入の確保をはかるための努力 について書かせていただいております。  また、これらの財務状況につきましては、本年6月24日付けで2名の監事から監査意 見書が提示され、財務内容については適正であるという評価を受けているところでござ います。  20ページは、これも予算でございます。詳しい説明は前回のとおりで、これも重複に なりますが、予算の適切な執行のために執行状況の把握に努めた、あるいは物品等の購 入を一括して行う、あるいは試験業務の一部委託ということをしているという整理にし てございます。  21ページは、施設設備に関する計画の部分でございます。これは計画どおりに執行し たということをご報告させていただきたいと思いますが、備品設備等に伴う実験室の改 修工事、あるいはバイオイメージングアナライザー一式を計画どおり購入、配置したと いうことでございます。  最後の22は、職員の人事に関してでございます。これもまた繰り返しになりますが、 昨年の5月15日に組織改定を行い、また研究員の流動化推進のために任期付きの研究員 を採用した、あるいは業務の一部外部委託を行ったという形でございます。 ○ 黒川委員長  よろしいでしょうか。何か。これは、国立にいるとこういうことはよくあるのだけれ ど、人の定員がありますね。12か月分で定員にされているのだけれども、必ずしも募集 したからといってすぐ来るわけではないし、大学でも、国立大学などというのは、教授 が辞めたあと、6か月かかったり12か月かかっていると、1人分余っているはずなのだ けれど、どこかうやむやになってしまっていますね。本省に返してもどうせどこかへ行 ってしまうわけだから、そんなことは許されない。その辺の半年あけておいて使うとな ると半人分浮くのだけれど、そういう話は独法になるとかなり自由に細目を変えて使え るのでしたっけ。それを単年度で処理しなくてはいけないとなると、人を公募したけれ どいい人がいなくてだんだんずれていくとどうなってしまうのかな、というのは、理事 長としては不便を感じているとか、いろいろあるのですかね。来る人が途中で辞めてし まったとか、いろいろあるだろうから。 ○ 田中理事長  私どもでも、辞められた方をすぐに補充するということが、公募制を採っておる関係 上もありまして、また適切な人がおらないという場合もあって、もう一度公募するとい うことがありますので、非常に困難であります。このような事情で生じた剰余金を他の こと、例えばプロジェクト研究等に使うようにというご助言をこの評価委員会からいた だけたら、なお一層ありがたいとは思っております。 ○ 黒川委員長  今までの理解では、独法になると、来年の予算要求をある程度、人件費がこれで何と かかんとかと積算して出す。そして承認されると、それは中でかなり細目を分けて変え てもいいのだよとなっていると思いますが。 ○ 唐澤政策評価官  交付金は国の会計のように細々とした基準を設けずに自由に使っていいということに なります。 ○ 黒川委員長  渡す根拠が、積算しているのに全くでたらめだとなってしまうことはないか。 ○ 唐澤政策評価官  官庁会計ですから、ミシン目がこう入っていまして、ミシン目を細かく切る人がいる と、それは同じではないかということになって、ミシン目は気にしないで切ってくれと いう制度はあるわけです。また、スタートしたばかりで、現実にはミシン目がどうだこ うだということになりがちです。原則はそのミシン目は予算積算のためにあるだけで、 使うときは違うのだという原則を尊重していくことが必要だと思います。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  今のことにも関連しますが、今回、補足資料としてお配りしましたものについてご報 告いたします。  利益処分に関する書類というのが最初に載っていて、三つのもので構成されておりま す。  まず今のことに関連しまして、前回、当期末の処分利益として1億2000万円程度とい うことでご報告いたしました。そのうち、退職金として手当てされた部分が半分程度占 めるわけでございますが、それについてはこれからも退職金等の支払いが必要になる可 能性が生じますので、1の積立金ということでそこは利益処分をさせていただきたいと 思います。  また実際、私どもの努力によって残った部分については、次の展開に向けての積立金 ということで、これについて主務大臣のご承認をお願いしようと考えております。  具体的には国際・産学共同研究支援積立金ということで、これについては交付金上の 予算措置がございませんので、3000万円ということで積立をしながらここの部分を充実 強化していきたい。  また、新プロジェクト研究支援積立金ということにつきましては、運営費交付金で重 点調査研究を中心とすることで研究費の交付と業務をしているわけですが、そのほか、 5年間というスパンを考えるときに新たに生ずるニーズがあるのだろう、そういう領域 についても、より研究業務を深めて推進していきたいということで、この部分について 2000万円の積立金ということでお願いしたいと考えているところでございます。 ○ 黒川委員長  これはどういうことになりますか。 ○ 唐澤政策評価官  これはどうなっているかといいますと、前回が1億2000万円のいちばん上の当期未処 分利益をそのまま塊として計上されていたのですが、前回のご説明の中にも触れました が、7000万円については13年度に退職をして独法から退職金を支払うことを想定してい た方が、独法になる前に、国研の間に退職してしまった。だから、予算措置をしたのだ けれども先に出ていってしまったので、そのお金を積立金として立ててあるということ でございます。中を区分して性格の違うものを分けたということです。  この点は、評価というよりは財務諸表に対する意見ですとか剰余金の処分に対する意 見の際に、最終的にまたご議論いただくことになると思います。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  あと2点の資料を簡単に説明いたします。  次は職員の人事に関する計画に係る実施状況ということでございます。先ほど、評価 シートの22について重複の部分が多いので、非常に簡単に説明いたしましたが、それに ついて少し具体的に書いたものでございます。昇給、昇格その他の人事管理等について どのようにやったのか、というようなことを少し補足的に書いてあるものでございま す。  また3点目ですが、これは黒川委員長から前回、ご指摘いただいたことで、独法に よって何が変わったかということを数字上、はっきりとしたものだけを資料としてつけ させていただきました。  最初のページが、今日既にご紹介いたしましたような組織がどう変わったのか、旧組 織が右側に書いてありまして、新組織がこうなっています、というようなことでござい ます。  次のページが、旧国研時代と独法になってからの予算額の比較を整理したものでござ います。これは補足的な資料でございます。 ○ 黒川委員長  どうぞご質問、この部分と全体としてのでもよろしいです。もし評定が終わっている のであれば、ヒアリングとしてはよろしいですか。こちらも1年目ということで最初の 議論でずいぶんありましたが、何のために評価しているのかとか、何のためにこの委員 会があるのかというような話もずいぶん議論されましたので、そういうことを踏まえた 上で、だんだん評価もより適正に行われるようになると思いますが、1回目ということ でお互いに十分わからないところもある。 ○ 石本政策統括官  大変お忙しい中でやっていただいているのですが、お時間のようですからあれなので すが、たぶんほかの研究機関も含めていろいろやっているうちに、あ、そうだ、栄研に ついてもこうだったということになるかもわからないですね。そういう意味で、今回、 暫定的に評価を打っていただくにしても、次回はまた改めて、ひょっとしたら栄研に戻 るかもわからないという形で、できれば3研究機関、皆さん待機していただく形で進め ていただいた方がいいかもわからないと思いますので、一通りやったところで、もう一 回栄研について戻っていくということもあり得るということで進めていただければ、中 立的な評価ができると思います。 ○ 黒川委員長  ありがとうございました。たぶんそうだと思います。そういうことでよろしくお願い したいのですが、よろしいでしょうか。では、ファーストラウンドということで、田中 理事長もよろしくお願いします。  ここで10分ほどブレークということで、30分ちょっとすぎまで。                                    −休憩−                                    −再開− ○ 黒川委員長  短いブレークでしたが、産業医学総合研究所ということでお願いいたします。では、 荒記先生のところから。 ○ 荒記理事長  産業医学総合研究所の荒記でございます。前回は海外出張のため欠席してしまいまし て、失礼いたしました。本委員会には、今回初めて出席させていただくことになりま す。よろしくお願いいたします。  まず産業医学総合研究所ですが、国民の皆さま方に産業医学なり労働衛生の理解され るのは説明が難しいと思っております。私どもの説明といたしましては、人間が生まれ てから死亡するまでのあいだのライフサイクルの中で最も社会的にアクティブな働く年 齢層の方がたを中心に、国民の健康と環境を守り育てるための総合的な研究をしている 研究所であり、研究分野だと考えております。このことを通じて、国民の皆さん全体の 疾病の予防と健康増進に寄与することを願っております。  これから、研究所の業務実績の報告を斉藤企画調整部長からいたしますので、よろし くお願い申し上げます。 ○ 斉藤企画調整部長  産業医学総合研究所の平成13年度の業務の実績について、ご報告申し上げます。  実は、前回6月28日の評価委員会の場で、通常の順序でいきますと私どもは3番目と いうことで、時間が非常に押していまして、委員長からオーバービューでということで 10分程度、簡単に紹介させていただきました。ということで、きょうは原点に戻って業 務の実績は報告書を使ってご説明申し上げたいと思います。  これから使わせていただく資料ですが、一番ベースになるのはA3横長の評価シート で4段表に書いてあるものでございます。あと、前回6月28日の評価委員会の折、宿題 ということで私どもに課せられたことに対する回答を、A4縦長でクリップで綴じてご ざいますが、産業医学総合研究所における研究評価の仕組みということで、これは初め には評価の事項がございまして、後ろの3枚で事業収入の内訳、貸借対照表といったも のがつけてございます。これを使わせていただきます。  三つ目は、前回の資料で報告書の後ろに添付資料の1から18で提出いたしました。 個々の事項の中でその添付資料を使って紹介いたしたいと思います。お手元のかなり膨 大なファイルで大変だとは思いますが、それに沿って話をさせていただきます。  評価シートの1ページでは、研究所の組織、研究所として最も基盤的な部分でござい ますが、研究所の体制、効率的かつ柔軟な組織編成を行っているか、さらには研究員の 採用にあたって公募で資質の高い人材を集めているか、という視点でございます。  まず効率的な業務運用の体制ということですが、私どもの研究所は産業医学総合研究 所と「総合」がついております。この総合というのは医学とさらに理工学と複合的な領 域を競合してやろうということで、従来からある意味では部の壁を超えた所内の共同研 究を実施しております。  初めに、堀田委員あるいは渡辺委員から、独法化以前・以後を比べて実績がどうかと いう観点がございました。研究ということを考えますと、むしろ継続的に続けている部 分のほうが多いわけでございますが、制度として全体の枠組みを考えてみますと、独法 化以前は厚生労働省の国の法的な枠組みの中で私ども産業医学総合研究所は業務を行っ てきたということでございます。それが独法化後に、独立ということですから、研究所 自身が業務方法書というのを定めて、どういうやり方で日常的な業務を実施するか、あ るいはそれ以外にも、たとえば受託研究をするにあたって規程を整えた、あるいは共同 研究とか災害調査というのもございますが、そういったものも文書の形で要綱規程等を 定めたということでございます。  研究所の大きな枠組みとしては、独法化以前・以後、そういう制度を整えたというの が一番大きな違いかなと考えております。  論点は戻りまして、柔軟な組織体制云々ということでございます。一番右の業務の実 績の欄に書いてございますが、重点研究領域特別研究という規模の大きなお金と人手を 投入して実施している課題がございます。その8割は部の壁を超えた複数の部からの研 究員で実施しております。80%です。そのほかの課題を加えて、私どもの研究所では全 部の課題は86件行っておりますが、そのうちの32件、37%になりますが、それは複数の 部でまたがって共同で研究を実施したという実績でございます。  こういった80%あるいは37%という数字から考えますと、事実上、部の壁はかなり低 いかなと考えております。そういう意味では、柔軟な組織体制で事実上はやっていると 理解しております。  次の組織体制の見直しでございますが、これはロに書きました外部研究評価委員会等 のご意見をいただきまして、国際関連業務へ組織的に対応する、そういった体制を13年 度には見直して案を策定いたしました。14年度も引き続き検討をするという計画を立て てあります。  あと1点ですが、研究員の採用に当たってでございます。これは、公募を原則として 実施いたしました。具体的には、ホームページや大学等を通じて公募を実施いたしまし た。13年度には応募した方は24名ということで、そのうちで資質の高い人材、これは幸 い、非常に幅広い領域から6名という多数の方を職員として採用することができました 。分野的には、衛生学、公衆衛生学といったものはもとより、臨床眼科化学、分子薬学 、応用化学等々の領域から、博士号をもっているという前提で公募しておりますので、 即戦力として期待しておる人材でございます。  こういった観点から、このページ全体に関して13年度、6名の採用というのも、向こ う5年間の目標期間内ではまずあり得ないことだろうということで、画期的だったと自 負しております。  2ページでは、評価の視点のところをご覧いただくと「研究業務及び研究外業務の進 行状況はモニタリング云々」ということで、まとめますと、研究所の内部進行管理をど のように充実させているかということでございます。これにつきましては、先ほど評価 の仕組みという宿題に対して提出をしたA4縦長の紙をぜひご覧いただきたいと思いま す。研究所における研究評価の仕組みということで、1ページには全体のフローを書い ております。(1) では評価規程類ということで、私どもが現在もっている研究評価要 綱、内部研究評価規程、外部研究評価規程、要するに内部で行う研究評価、外部の専門 家の方がたにお願いして評価いただく仕組み、この二つをもっております。  さらに機関評価ということも3年に一度やっておりますが、私どもでは、機関評価と いうのは厚生労働省の評価委員会が研究所の機関的な部分を評価していただけるのかな と理解しております。  (2) で研究評価のフローというのが書いてございます。これは、堀田委員から前回、 独法後の自己評価について具体的に何をやっているのかというご質問がございました。 それに対する回答でございます。  一番上の箱で、評価結果の研究員への開示と指摘事項に対する措置・対応。この評価 結果というのは平成12年度の成果に対して評価をした。それを当該年度13年の4月に個 々の研究員へ戻して、具体的にどう対応したかというのを作業したことでございます。  そのあと、定例部内・部長会議等による業務進捗状況管理というのを行っておりま す。これには、所内LAN活用等により効率的に実施しているということでございま す。  あと1点、毎月1回、研究発表会というのを所内で開催しております。これは、毎回 4名の方で、1人40分という時間をかけて自分の研究を発表し、批判を受けて、さらに 次のステップへいくということを繰り返しております。  次の箱は、平成13年12月になりますが、研究担当者による研究成果の報告書と次年度 計画書を作成する。もちろん担当者が作成するということで、当該年度の12月に提出す るということです。次年度の計画書というのは、もちろん平成14年度の計画でございま す。  それを受けて、平成14年1月ですが、内部研究評価委員会というのを開催いたしまし た。構成メンバーは、理事長、理事、各部長、庶務課長ということで、個々の課題につ いてどういうことを実施したか、さらに次年度、どういう計画をもっているかというの を議論いたします。つまり、部の中の議論、部長会における議論、さらに内部研究評価 委員会という構造で議論をしております。  それを受けて、最終的なのですが、平成14年2月に外部の有識者の先生方をお招きし て外部研究評価委員会というのを開催いたします。具体的な内容は、このあと、お示し いたします。  そういった評価の仕組みでいただいた評価結果は、ことしの4月ですが研究員に開示 して、指摘事項に対する措置・対応をいたします。  外部への公開ということで、これは平成14年の6月と書いてありますが、ちょうど6 月28日の評価委員会の直前ですが、インターネットで公開いたしました。  ということで、これは1年間のぐるぐる回るスケジュールですが、こういうことで研 究評価を流しているということでございます。  次のページに研究所の中で自己評価、自己評価というのは、研究者自身が自分の研究 を評価する、それに対して関連部長はどう評価しているか、さらに外部の有識者の方々 がどう評価しているかということを、非常に具体的にローデータとしてまとめたもので す。課題がいくつかあるので、4ページを開いていただきたいと思います。  4ページで、情報化職場の快適化にかかわる労働衛生上の要件ということで、IT化 に関連して、目標としては実践的なガイドラインを提案しようという研究でございま す。これに対して、平成13年度の成果の欄をごらんいただくと、研究員の自己評価で は、達成度、満足度、学術云々といういくつかの観点から、高いとか中間とかそういう 自己評価を行っております。同時に関連部長、関連部長というのは、この課題にいちば ん近い専門性をもった部長がどういう評価をするかというのを数字で入れております。  その下の平成14年度計画に対しても、同様に研究員が自己評価を行い、部長も評価を 行うということでございます。  一番下に、外部評価委員による評価点ということで、報告書あるいは計画書を作って ございますが、その資料をごらんいただいたうえで、研究目標の達成度、労働衛生ニー ズ満足度、学術的意義、基盤技術云々ということで評価いただいています。この数字 は、ここの欄につけた人数を示しております。13年度は合計6名の評価委員の方ですか ら数字を足すとすべて6になります。  5ページにいきまして、14年度計画に対しても同様のことを行う。  こういうことを、各特別研究の課題に対して行っております。  次に、10ページとんでいただいて14ページをごらんいただきたいと思います。これま で説明申し上げたのは、プロジェクト研究あるいは特別研究という規模の大きな研究で ございますが、個々の研究員はすべて基盤研究という課題をもっております。その場合 は研究部単位で評価をする仕組みになっております。たとえば14ページでは、作業条件 適応研究部として外部評価委員に13年度の成果、あるいは14年度の計画に対して評価を いただいたということでございます。  今日の資料としておつけしたのは、全部数字化された評価シートのみでございます。 これ以外に自由記入式のコメントをいろいろな観点からいただいておりますが、それは 今日の資料にはつけてありません。こういった評価の結果をまとめたものは、前回、6 月28日に添付資料で表をつけてございますので、今日は省略させていただきたいと思い ます。  2ページはこういうことで評価をしているということで終わらせていただいて、3ペ ージに移らせていただきます。  3ページでは、経費の節減ということで、いちばん右の欄の13年度の業務の実績をご らんいただくと、イでは、所内LAN活用で経費の節減に努めた。さらに、研究所の廊 下の電気は可能な限り消すということで、職員の意識の向上を図っています。  ロの業務処理の効率化で、いくつかを外部委託、業務委託することを実施しておりま す。  ハは外部研究資金の獲得ということで、これは添付資料の4に具体的に、どういうと ころからどういう課題でいくら外部資金を稼いだかということを示しております。平成 13年度の実績としては、運営費交付金以外の収入は約7000万円を外部から導入すること ができました。この金額は、プロジェクト研究全体の約1/4、23%を運営費交付金以 外の外部からの資金で実施したという実績でございます。  1点、特に独法化以前との違いでございますが、国研時代は不可能であった外部の協 会等からの資金も導入することができました。さらに平成14年度には民間の株式会社か らの資金も導入して実施しております。  さらに、自己収入の確保という欄がございます。外部機関へ技術指導等を行ったこと で、平成13年度に私ども研究所としては約400万円を研究所の収入としてあげることがで きました。この自己収入というのも、独法化して全く新しく可能になった仕組みでござ います。  4ページは、効率的な研究施設・設備の利用ということでございます。これは、業務 方法書の中で、研究施設等の貸与に関する事項を定めました。具体的には、研究交流会 等で施設の共用に関する情報交換を互いに行って、これはギブ・アンド・テイクで、一 方的に貸すのではなく、われわれも外部のを借りるといったこともございますが、そう いったことをベースにして、平成14年度に公開予定の施設・設備の利用に関するガイド ラインというのを検討を進めております。  ということで、4ページまでですが、おおむね目標達成していると自負しておりま す。以上でございます。 ○ 黒川委員長  どうもありがとうございました。何かご質問その他がございましたら。 ○ 渡辺委員  1ページのロ、組織体制の見直しで「研究所組織体制の見直しを検討した」となって いますね。その前の計画では「見直しを行う」というのに、「検討した」というのはど ういうことでしょう。見直しはしていないのですか。 ○ 斉藤企画調整部長  見直して案をつくりました。それを実施していないということです。 ○ 渡辺委員  やはり言葉の問題もあるので、我々は、「検討した」というと何もやっていないなと いう印象が強いわけで、ご認識としては「計画として見直しを行う」となっているわけ ですね。それは、今おっしゃったように案は作ったけれどまだ実施していないのが「見 直しを行った」のかどうかという解釈もあると思うので、その「見直し」という意味は どういう認識でなさっておいでですか。 ○ 斉藤企画調整部長  非常に具体的な案を研究所の中で作って議論を進めているところでございます。 ○ 西岸計画課長  いつやろうという想定なのですか。 ○ 斉藤企画調整部長  13年度に具体案を策定しました。 ○ 西岸計画課長  今は13年度は間に合っていないから、14年度ぐらいにしようという想定ですか。 ○ 斉藤企画調整部長  そうですね、14年度に実施を計画しています。 ○ 荒記理事長  実際に私ども研究所から厚生労働省の安全衛生部には相談しましたが、1 年目にやる のは時期尚早だというような私どもの感触でして、ですからそれは2年目、3年目に やっていこうと。国際協力部門を拡充しまして、実際に仕事の効率化なり海外の研究協 力等で必要な部門でございまして、具体的な案を作って、しかも理事さんが本省と具体 的な第1回目の話をしたところまで進んでいるという状況でございます。  たしかに独法化でいろいろな業務体制の見直しをする場合に、あまり急激にやるのは 私どもと本省との話し合いでやはり無理な面がありまして、組織体制の見直しも、この 5年間の後半ぐらいをメドに可能なものを徐々にやっていくのが適切だろうという判断 で、そんなふうにしております。 ○ 渡辺委員  それならそれで、今、非常に素直に考えておかしいなと思わざるを得ないので、それ だったら計画の中で見直しを行おうとなさっているわけですから、しかし今おっしゃっ たように、こういう理由ですぐにはできないからこうこう、ということを書かれるべき ではないかと思うのです。計画の中でやるといっておいて、実際にやってみたら厚生労 働省との話し合いがどうだこうだで、何のための独立行政法人かということになりかね ないですね。非常にあいまいな表現というか……。 ○ 荒記理事長  その辺は、実際の運用をしていくと独法の建前と運用法に非常にギャップがある、こ れは皆さんご存じな根本的な問題だと思うのです。どの程度のスピードでやったらいい か、これは十分慎重かつ大胆に検討しなければいけない問題です。それである程度でき る、ぎりぎりのところまで私ども研究所の研究管理者サイドとしては進めているわけで す。実際に見直しを行動に移しているということでございます。 ○ 西岸計画課長  念のためにもう一度ここのところを、明日の朝までに確認したいと思います。 ○ 中窪委員  今の点に関してですが、計画で書かれている見直しというのは何を意味をするかとい うので、つまり改変を行うというのだったら、まさにしなかったということになるので すが、見直しはしたけれどもそれを具体化はできなかったということであれば、むしろ 「見直しを検討した」という実績の方の書き方がおかしいのではないかという気がする のですが、「見直しは行った」というふうになるのではないですか。 ○ 黒川委員長  修文の問題、文言の問題であるということで、実質は何かということがわかるように しておけばよいのではないのですか。 ○ 荒記理事長  そういう意味ならば、見直しを行ったわけです。ですから、訂正させていただきま す。見直しは研究所レベルでは内部で本当に行ったのです。 ○ 西岸計画課長  もともとの見直しを行うという意味についても、念のために、最初、計画を作ったと きの意味も含めて確認したいと思います。 ○ 黒川委員長  そのほかに……。確かに1年目でやれることと、1年目にやって次の年からのテイク オフのところがありますから、4ページなどは、研究施設の貸与、これもそういう意味 では非常に大事なファシリティだと思いますが、いろいろな人に使えるようにきちんと したガイドラインをつくりましたよ。だから、そういう申込みがあって、どういうふう にこれを使ってもらうかというのは、今年はまだ出ていていなのだろうけど、整備し て、来年あたりに期待されるということなのかなと思いますが。 ○ 中窪委員  同じようなことになりますが、3ページのいちばん最後に自己収入の確保で「雑誌の 有償頒布を検討した」とありますが、これは検討した結果、どうなりそうなのでしょう か。 ○ 斉藤企画調整部長  可能性を具体的に、どういう機関にいくらでというのを見積もりました。『インダス トリアル・ヘルス』というのは私どもが発行している国際学術雑誌で、むしろ無償で交 換するというベースが今まで100%だったのですが、それをなんらかの形で有償でお買い いただけるところはないかということです。所内あるいは所外の方のご協力をいただい て検討したのは、これはクォータリージャーナルなのですが、合計200冊は頒布可能性が あると見積もっています。 ○ 荒記理事長  『インダストリアル・ヘルス』は創刊後40年ぐらい経つのですが、これは、今おっ しゃられましたように単純に研究所の機関誌とご理解いただくと必ずしも正確ではない と思うのです。むしろそれ以上、昔から国際誌として通っている。例えば編集委員会で は国際的に著明な欧米と東アジアの方がたが編集委員会の顧問とか編集委員に入ってい るわけです。これまでの予算としては研究所が取って来て出していますが、国際的には 普通の機関誌ではなくてむしろ一般的な国際誌だという理解でございます。 ○ 黒川委員長  英語の雑誌というのは、学会などをやっているとよくご存じだと思うのだけれど、学 会の会員になるとそれを購読するというか会費の中に入っているので維持できるのだけ れども、実際は学会の年会費からいうと、英語の雑誌を出すコストがかなり食ってしま って、それでアップアップしてしまうのが事実なのですね。それがインディペンデント に、会員がないところからも購読申込みがあるなどというのは、非常に限られた雑誌で それがインディペンデントにできるというのは相当な実績がないと難しいかなと、それ はやむを得ないのではないかなと思います。 ○ 中窪委員  私も、学術誌が売れて収入が入るというのはかなりオプティミスティックだと思うの ですが、ただ、もしそういうので少しでも売れれば、先ほど知的財産権の活用とありま したが、それは何も特許に限らないわけですから、著作権でも稼げれば結構なことだな と思ったものですから、お聞きした次第です。 ○ 黒川委員長  そのほかに……。よろしいでしょうか。確かに荒記理事長かおっしゃったようなこと はあるのだけど、こういう分野の人がよく読むジャーナルというのはどこから出ている のがいちばんあるかなと、それがサイテーションとかそういうふうになってくるわけな ので、どうやったらそれがあがっていくかというのもまたなかなか難しい問題かなと。 日本発では難しいところもあるのだけれど、こういうユニークな雑誌はどうなっている かという話は、そのコンテントにだんだんよっていくのかなと。でも、インターナショ ナル・アドバイザー・リポートみたいなのがあるわけですから、それをどのようにその 人たちから広めてもらうかということも大事だろうと思います。  そのほかに何かありますか。 ○ 篠原委員  3ページのロの業務処理の効率化で同じように書いてあったと思うのですが、いわゆ る外部委託だと外注して効率化といっているのですが、人を減らさないでやると、通常 はコスト増になってしまうのですね。その辺のところはどんなものなのでしょうか。と いうのは、内部で効率化したほうが本当は費用削減になるのではないかというか、より もっと多く仕事ができるという意味で。 ○ 斉藤企画調整部長  たとえばここに書いてありますのは、資料の収集とか単純なデータ入力といったもの を研究員がやるというのは、最終的なアウトプットを考えると、費用対効果で外へ出し たほうが効率化が進む、そういうことです。 ○ 篠原委員  そういう意味では、研究者がやるべきではない単純業務みたいのを外に出しましょう と。 ○ 斉藤企画調整部長  そのとおりです。 ○ 黒川委員長  そのほかに……。3ページの評価の視点は、省資源、省エネルギーなどと書いてある のだけど、これは実際に経費を節減しているかなどというのは比べられるのかな。大事 なことではあるけどね。たしかにこういう研究所は、ものすごく水道の使用料は多く て、ポタポタたれているとものすごい水道料がかかってしまうのですね。電気もそうだ けど。  よろしければ、5ページから進めさせていただきまして10ページまでですね。 ○ 斉藤企画調整部長  5ページでは、ポイントは労働現場のニーズを的確に把握しているかどうか、それを 業務に反映させているかということでございます。  この観点からは、業務の実績欄に書かせていただいていますが、私どもは平成10年か ら12年度の過去3年間、21世紀の労働衛生研究戦略協議会というのを設けました。この 協議会は、日本の産学官から約100名の委員の方々の参加をいただきまして智恵を集約 し、21世紀の10年程度を見越しておりますが、その間に重点的に実施すべき労働衛生上 の研究課題を18に絞り込みました。それはいわば国家プロジェクトでございますが、そ れを国内外へ発信するという役割に対して、私どもの研究所が中心的な機能をしたとい うことが過去の3年間でございます。  現在もそうですが、絞り込んだ研究課題を実行に移すべく、実行計画を13年度から3 年間進めております。そういった成果で、一つはシンポジウムを開催したということ で、広く情報を提供するとともに、私どもも情報を収集したということでございます。 さらにそれをホームページに掲載する、あるいは報告書を英文化して国内外等へ広く提 供したということも実績でございます。  そういった協議会活動を研究所の具体的な業務に反映させるために、研究計画を策定 する際の非常に大きな参考とさせていただいております。こういった労働衛生重点研究 推進協議会というのは日本全体のことを考えるわけですが、私どもの研究所からこの課 題に対して投入している研究員の数、時間、成果の大きさは非常に大きなことだと自負 しております。  6ページは、研究所の一番中心的な業務でございます研究課題で、大きくプロジェク ト研究課題、基盤的研究課題という二つに分けてあります。評価のポイントは、研究評 価が適切に行われているか、あるいは研究管理に反映させているかということが書かれ ております。  この6ページでは、(1)で「プロジェクト研究」という言い方をしております。プロ ジェクト研究課題というのは、直面する課題に対して重点的に研究資金と研究要員を配 して実施しようとするものでございます。具体的には、添付資料3にプロジェクト研究 の全体を書いてありますが、この業務の実績のページでは、これは労災勘定を使わせて いただいて実施している課題6課題でございますが、1)から6)まででございます。例え ば3)、4)というので、ダイオキシン暴露、情報化職場といった今日的な課題に取り組ま せていただいております。  この研究評価の概要は、添付資料の8で、これは全部で40ページという非常に膨大な ものをつけてありますが、評価の仕組み自体については、先ほど申し上げた宿題として 出させていただいた今日の資料で説明した内容でございます。なお、こういった評価に 対してそれを統括して紹介した文書が資料の8で、所内の対応措置等を記載しておりま す。  7ページは、先ほどはプロジェクトという規模の大きな課題でございますが、これは 基盤的研究ということで、添付資料の7と8で全課題を掲げて内容を紹介してありま す。  こういった研究に対して適切な成果が得られているか云々というのは、評価委員の方 々から実際の評価点、さらにコメント等をいただいて、それを受けた措置を行っている のは、先ほど申し上げたとおりでございます。  8ページは、私どもは今までは災害調査は実施しておりまして、実際に発生した労働 災害に対して研究所の観点から現場へ行って調査をするということでございます。独法 化してこういった災害調査に対する要綱を定めて実施したというのが、実績欄のハに書 いてあることでございます。災害調査に対応するための体制の整備ということで、災害 調査実施要項を定めた、というのが当該年度に作ったことでございます。  これによりますと、厚生労働省のどういう部局から研究所のどういうところへ指令が きて、研究所ではどう対応するといったことを書いてございます。これも添付資料でつ けております。  実際に平成13年度に実施した調査でございますが、イの欄に書いてございます調査等 の実施で、行政の要請により、化学物質暴露等による災害状況と原因に関する調査と検 証を実施した。具体的には、化学プラントにおけるホスゲン漏れ、廃棄物焼却施設にお ける二硫化炭素の検証、水銀暴露に関する調査といったことでございます。  さらに、硫化水素中毒災害というのが実はここのところ頻発しております。13年度の 業務として私どもが行ったのは、平成14年の3月、つい最近ですが、愛知県の半田市で 5名の作業者が亡くなられております。それに対して、即現場調査へ研究所から派遣し たところでございます。さらにそのあと、つい先月、6月に久留米市で同じ硫化水素で 4名の方が亡くなっております。それから7月17日、つい先週、横浜市で2名の方がや はり同じく硫化水素で亡くなっております。こういった災害に対して研究員を派遣して おります。  災害調査については以上でございます。  次に9ページの、労働現場のニーズ及び行政ニーズに関して、労働衛生に関する国際 基準、国内基準の制改定等への科学技術的貢献。この中で、13年度の特記事項としては 、実績欄の真ん中辺に書いてございますが、厚生労働省がVDTのガイドラインという のを17年ぶりに改定いたしました。これを検討する委員会が厚生労働省の中に設置され ましたが、研究所からその座長と委員という形で参加して、研究所の成果を反映させる ことができたと考えております。そのほか、OECDとかISO、WHOといった国際 会議にも委員を派遣しているところでございます。  次に10ページで、行政等の要請に基づいて、国内外の科学技術情報、資料等を提供し ているかということでございます。これはイロハに書きましたが、イでは、対応を制度 化して文書を安全衛生部へ報告いたしました。ロとハでは、労働者の死傷病報告の解 析、さらにハでは、国の制度として昭和27年になりますが、衛生管理特別指導事業場と いうことで実際の事業場の労働衛生管理水準の向上をはかる制度がございますが、そう いった場面の実施状況を調査し、解析して、報告書でまとめてございます。  ここで一つの区切りだと思いますが。 ○ 黒川委員長  これで何かコメントはございますでしょうか。特に専門分野からいうと安井先生や岸 先生。 ○ 安井委員  こちらの研究所の評価委員などもやらせていただいておるのですが、こちらのご説明 のとおり、プロジェクト研究と基盤研究に分かれていて、プロジェクト研究は、そこを ご覧いただくとおわかりのように、かつての劣悪な労働環境を対象とした研究というよ りは、むしろときどき特異的にあらわれてくるたとえばダイオキシンであるとか、内分 泌攪乱物質といったもの、それを除きますとかなり快適性にかかわるような、いわば現 代的なITの導入とかそういった労働環境に対する研究テーマが挙がっていて、これを 見て、当然かなという気もするわけであります。  私自身、実をいいますと労働環境の専門でもなんでもなくて、環境の専門に近いので すが、そういう意味から、例えば先ほどちょっと申し上げました特異的にあがってくる ダイオキシンとかあるいは環境ホルモンといったものがこういったところに高暴露集団 が厳然として存在しておりまして、例えばダイオキシンですと、能勢町の焼却炉を解体 した作業員が、たしか血中濃度で5000ピコグラム/グラムぐらいのすごい値になってい たりする。これは一般人として150ぐらいですから相当高いのですが、そのようなことが いったい今後、どういうふうになるのかななどという、申し訳ないですけど、そういっ た興味でみているという状況でございます。  したがいまして、労働環境をしっかり管理していくと、一般の方の普通の環境はまあ 守られていくような方向なのかなという認識でございます。  しかしながら、先ほど斉藤さんから、実際の労働災害というのは8ページにございま したように硫化水素の件をご説明いただきましたが、ホスゲン漏れの事故とか水銀暴露 とか、そういうどちらかというと古典的な事故で起きてしまうという状況があって、こ ういうのをどうやって例えば研究レベルにもちあげるのかなというのが、一つの今後の 課題かなと思っている次第でございます。 ○ 岸委員  産業医学総合研究所の場合は、大学と違いまして非常に大きなミッションがあると思 うのですが、それはやはり労働衛生の研究課題が現代の作業現場のニーズに合っている かということなのです。その点で、先ほど斉藤部長からご説明がありましたが、平成10 年から12年に労働衛生21世紀の戦略会議を多くの、例えば現場の産業医ですとか労働界 の方ですとか、私は学識の立場で入りますが、問題点の洗い出しの作業をされたのが非 常に印象に残っております。  それは、国家的事業とおっしゃいましたが、国民の健康のため、労働者の健康のため にどういう課題があるのかということを、これは初めてではないかと思うのですが、独 法前でありましたが、ひょっとしたら独法を見据えてやられたのかもしれませんが、こ れからの戦略は非常に重要ですので、これは大変よかったと評価したいと考えておりま す。  国内の基準ですとか労働衛生の基準というのは、多くの労働者が不要な、あるいは健 康に害のある化学物質ですとか物理的な環境などに暴露されないような基準を作ること によって、予防的に健康障害をなくすことができますので、ガイドラインは非常に重要 なのですが、先ほどVDTの作業のガイドラインが10数年ぶりに改定されるのに非常に 主要なメンバーで参画されたことで、こういう活動をよりいろいろな分野で研究所の方 がリーダーシップをとることが非常に期待されているのではないかと思います。  このような労働衛生の研究を通じて、できれば日本の労働衛生といいますか産業衛生 活動は、研究所とか大学だけではなくて、50人以上の労働者がいるところでは、産業医 とか産業看護職とか、あるいは10人ぐらいの数の事業所でも衛生管理者等の人たちが実 際には産業保健活動を支えていますので、その方たちに研究のレベルの向上を通じてど のような助言とか教育をしていったのかということを、目にみえる形でされると、非常 に研究所の評価も高まるのではないか。なされていることですし、現実に専門家たちが いろいろな発言をされているのはよくわかっておりますが、そういうのをお書きになら れるとむしろよろしいのではないかと感じて聞きました。  先ほど、『インダストリアル・ヘルス』の有償化の問題がありました。私はこの分野 で仕事をしていまして、最近ですと日本産業衛生学会ですとか日本衛生学会ですとか、 英文誌、国際誌を作り始めておりますが、かつては全くなくて、『インダストリアル・ ヘルス』がこの分野で世界に発信できる唯一でしたので、大学人もここに投稿しており ました。先ほど見ましたらvol.39ですが、40がもう出ているはずですので、こういうの を継続していくことは、現場的な国際的な貢献でなくて学術を通じての貢献ですので、 これはなんとしてでも頑張ってやっていただきたいと思っております。日本の国際誌は 大事にしないといけない。特にアジアの労働者のレベルを上げるために、非常に重要で はないかと思っております。 ○ 黒川委員長  そのほかによろしいですか。 ○ 五十嵐委員  一つお聞きしたいのですが、最近、新聞報道がありまして、PCBのカネミ油症、あ れは実際にはダイオキシンが真犯人ではないかという話が出てきておりますね。そうい うことに関して、PCBの汚染でいろいろな産業的な衛生の問題が起きていると思うの ですが、そういうことに関してこれからダイオキシンの関係のほうに切り替えをされる ような調査をされることを考えられたほうがいい、それが1点です。  それから、10ページの(2) のロに、実績のほうには「気象情報との関連性等の分析 を進める」と書いてあるのですが、これは具体的にはどんなことをおやりになられたの か。 ○ 斉藤企画調整部長  あとのほうから。労働者死傷病報告というのは実際に起きた事故事例で、どういう場 所でどういう状況で、客観的な気温であるとか気候であるとか季節であるとか時間帯で あるとか、さまざまな情報があるわけです。ここではそういったことを研究ベースで主 点を置いて、因子分析とかクロス集計の形で、例えば暑さ・寒さというのが事故事例に 影響したのか、ここで気象情報との関連性と書きましたのは、具体的にはそういうこと でございます。  あと1点、PCBの関連ですが、研究所の施設としては、かなり高精度でダイオキシ ン類を分析できる施設をつい最近造っております。近未来的にはそういった施設を利用 して直接、研究解析対象にもなり得ると思います。 ○ 安井委員  そのダイオキシンの話、実際にはダイオキシンではなくてフランなのですが、あの話 はかなり特殊な話で、昨日あたりの放送でもちゃんと的確に表現されていないような気 がするのです。PCBが混ざってしまった食用の油を、これは変なものを混ぜてしまっ たから蒸留して再度使おうとして蒸留したからできてしまったという、かなり特殊な事 情がたぶんあって、ですから、労働環境とは直接的には関係ないのではないかという気 がしておりますが。 ○ 荒記理事長  ダイオキシンの問題は、今、国の行政上、大問題でございまして、例えば裁判、国が 被告として訴えられたりしている問題でもあるわけです。そういうことがありまして、 実際にゴミの廃棄物の処理場は全国至るところにありまして、そこからダイオキシンが 出ているわけです。続いて労働者の健康問題がある。  こういう背景がありまして、数年前から旧労働省から大型の研究施設を研究所に導入 する話がありまして、ちょうど独法化する3月、4月のぎりぎりの1年目のとき、去年 ですが、大型の研究施設を研究所に造りまして、それで実際にそういう作業者の方々の 健康管理をするために、血液中のダイオキシンを測定する。例えばそれは非常に微量な 血液で、10ccぐらいではかれるようにするという非常に難しい技術でございまして、現 在、それはほぼ完成したところまできているわけです。それが完成したら、実際にどの 程度国内全般の測定を請け負うかという検討をしなければいけないのですが、こういう 段階まできているわけです。  これは、先ほどもおっしゃられましたPCBの問題に絡む問題で、基礎的な研究も研 究所でしておりますし、環境測定の問題と血液中の測定の問題、これは今、研究所の目 玉の研究の一つとしてやっております。ただそれは今回、たしかにこの評価シートには あまり書かなかったと思うのですが、ご質問いただきましてありがとうございました。 ○ 黒川委員長  そのほかにどうぞ。 ○ 岸委員  今おっしゃられたことはとても重要だと思います。現場のニーズとか緊急性とか災害 とかということはありますが、産業医学の場合にはカバーする対象の範囲が非常に広い と思います。いろいろ緊急な問題が起こったとしましても、例えばダイオキシンであれ ばどのような細胞がレセプターレベルで問題なのかとか、臓器の中では今までと違って 内分泌攪乱作用があるとしますと、それは実際に生殖毒性とどう違うのかということを 踏まえてリスク評価をしないといけませんので、そういうことができるためには、やは り基盤研究がきちんとしたレベルで維持できているような研究所であることが大事だと 思うのです。  わりとプロジェクト研究に関して項目を挙げて説明されていますが、基盤研究は私が 外部評価させていただいたときに、もともとこの研究所で継続されていることで、先ほ ど、国立健康・栄養研究所でエネルギーのご評価をするための新しいシステムのことを おっしゃられていましたが、普段から環境の暴露評価、化学物質だけでなくて物理環境 等を含めまして、あるいはストレスなどの問題が非常に今、重要になっていますが、そ のような働いている人にかかるいろいろな負荷をどのように測定するのかということを 普段からやっておかないと、対応しきれないと思います。いくら緊急性とか最近の話題 とかということがありましても、そういう部門をきっちり整備していくことがすごく大 事ではないかと思います。ですから、もっとその辺のこともちゃんと書かれてもいいの ではないかと思うくらいです。 ○ 黒川委員長  そのほかに……。もう少し進ませていただきますが、よろしいでしょうか。では、11 ページから18ページぐらいいけると思いますので、よろしく。 ○ 斉藤企画調整部長  では、評価資料の11ページで、これは外部評価を実施して業務へ反映させているかと いう部分でございます。これは、先ほど申し上げた仕組みで、あるいは評価の視点で研 究所の中で内部評価、外部評価というのを実施しているというのを報告申し上げたとお りでございます。  具体的には、平成14年2月に外部研究評価委員会を開催いたしました。外部評価の結 果の公表ということでございますが、これは先ほど1サイクルずれる話をいたしました が、13年度に実施したのは、12年度の研究評価報告書を出版し、かつホームページで公 開したというのが成果でございます。具体的な公開した内容は、添付資料の12でつけて ございます。  その後、13年度の研究評価については、先ほど申し上げたとおり、今年の6月に出版 と公開を実施済みでございます。  個々の評価結果は、プロジェクトの場合は研究課題代表者、個別研究の場合は各部長 を通して各研究員へフィードバックして、業務運営に反映させております。そこに、研 究計画の変更等も含めた見直しがございます。  12ページは、成果の普及・活用ということで、具体的な学会発表の促進ということで ございます。ここでは、所内的に研究推進策検討ワーキンググループというのを設置し て具体的な方策の検討を進めております。13年度の成果でございますが、中期目標では 5年間で学会発表1000回以上、論文発表等が400編以上と定められております。  年度に落とすとそれを5で割るということで数字は出てくるわけですが、例えば学会 発表は年間200回、13年度の実績は187回です。このうち国際学会が39で国内学会が148 という割合でございます。これは187/200というのを単純に考えますと、93.5%の達成 率ということになります。  実はこの背景でございますが、もともとは平成7年から11年度、過去5年間の研究所 の実績をカウントして、それに対して約15%上乗せしたのを目標として与えられており ます。13年度は13件、学会発表については達成していないわけですが、これは非常に特 殊な事情がございまして、独法化していたのですが、実行予算の策定上、私どもの研究 所にとり一番メジャーな学会というのがかなり遠隔地で開かれたのです。全体の予算枠 の制約から、どうしても行って発表してという研究員の数に制約が出たことが一番大き な理由かなと考えております。  今年度14年度では、それを可能な限り、独法化でいちばん変わった点の一つでござい ますが、弾力的な運用が可能になったということで、13年度実績に比べて学会発表旅費 経費等を30%増やしました。5年間のうちには間違いなく目標を達成しようという努力 をしております。  一方、論文発表等、ここにいろいろ分類、区別して掲げてございます。原著論文33編 のうち英文は27編で、8割以上は英文論文です。原著論文に準ずる学会成果刊行物も、 約90%は英文で出しております。  といったことで、目標に掲げられた数値は論文についてはクリアしているという我々 自身の評価でございます。  また、掲載している雑誌ですが、私どもの専門領域からみると非常に品質の高いジャ ーナル、『インダストリアル・ヘルス』もそうですが、『ジャーナル・オブ・オキュペ ーショナル・ヘルス』とか『スカンディナヴィアン・ジャーナル・オブ・ワーク・エン バイラメント・アンド・ヘルス』あるいは『ミューテーション・リサーチ』等といった 一流の国際誌へ出させていただいております。  次に13ページの、ホームページに成果を公開しているか、あるいは一般誌に寄稿して いるかということでございます。13ページの右の上のほうの(2)で、インターネット等に よる成果をこういうことで公開している。具体的には資料をつけさせていただいており ますが、ホームページ上で平成2年度以降の全研究業績リストを出しております。さら に、平成12年度に実施した研究課題タイトル一覧、研究評価報告書、それから最近の研 究を具体的に紹介するとともに、研究所が発行している国際学術雑誌『インダストリア ル・ヘルス』の掲載論文の表題と抄録等をすべて公開して、多くの国民が利用可能なも のとなるよう努めております。  さらに、ハの下のほうに書いてございますが、事業場における労働衛生の向上で一般 誌に寄稿ということで、この欄の下4行で、中央労働災害防止協会が発行している『働 く人の安全と健康』に連載で、当研究所のシリーズ企画ということで広く実際の職場の 安全衛生に携わる方々にお読みいただいているという実績がございます。  14ページは、最近の労働衛生の研究状況をとりまとめて関係機関へ提供しているかと いうことでございます。これについては、先ほどから申し上げている労働衛生研究戦略 の、まず一つは協議会活動のアウトプットとして、21世紀の労働衛生研究戦略の実施と 展望というシンポジウムを開催いたしました。このシンポジウムのプログラムは、添付 資料でつけさせていただいています。  さらに研究所と産業医科大学との研究交流会、客員研究員との交流会等を通して情報 を把握し、それを報告書あるいはホームページといったことで外部へ発信しておりま す。  さらにロで書いてありますのは『インダストリアル・ヘルス』、これは1200部を年4 回発行して、産医研ニュースは約2000部でございますが年2回発行して、研究所から外 部の方々へお知らせしたいニュース等を掲載して発信しております。  さらに下のほうに書いてございますが、『インダストリアル・ヘルス』に先ほどから 申し上げている協議会活動を英文化して「わが国の労働衛生研究課題」というのを、私 の知る限り、米国とフィンランドが出していますが、それに劣らぬ内容として日本から 労働衛生研究戦略課題としてまとめた成果を英文化してお送りしているという実績があ ります。  次に15ページ、講演会を開催したか、一般公開をしたかといった云々でございます。  イの講演会を開催したということは既に報告申し上げました。約200名の方々が産学 官からご参加いただいたということです。  ロで研究所の一般公開というのを昨年12月に実施して、これはタウン誌、あるいは研 究所のホームページで案内をいたしました。地元の方々とか、普段なかなか接点のない 方々に研究所の一般公開の機会に双方向で議論を進めることができたといったことが成 果でございます。  16ページは、先ほどからいろいろ議論が出ていますが、知的財産の活用・促進という ことで、13年度の実績としては、まず職務発明規程を整備いたしました。これは、職務 発明に伴って研究所職員がなした場合の具体的な事項を定めた規程でございます。13年 度の実績としては、既存特許2件を特許流通データベースへ登録いたしました。  内容は、防塵防毒マスクに関するものとガスの吸着に関する2件でございます。出願 中の1件というのは、現在、特許庁のフロントページで公開中の微粒子を分級する装置 に関わる特許でございます。所内手続中が2件ということです。  17ページは、国内外の若手研究者等の育成への貢献ということで、イでは、研修生9 名、重点研究支援協力員5名、日本学術振興会特別研究員1名というのを研究所で受け 入れております。  さらに、制度的基盤として連携大学院制度に関わる大学院生受け入れ規程案を策定し て、整えつつあります。これはすぐまとまる段階にきています。  他組織への支援ということで、研究所からこういった課題で専門家を派遣していると いうことでございます。  18ページは、国内外の労働衛生関係機関等との協力の推進ということでございます。 研究所として特にご理解いただきたいのは、ロに書きました国際研究協力協定というの を、当該年度13年度に3か国と締結いたしました。米国、韓国、スウェーデン、各国立 研究機関と文書を取り交わすと同時に、研究員、役職員が派遣されて、共同研究を具体 的に議論した。共同研究の中は、ここに書いてございます職業ストレス、ダイオキシン 暴露、人間工学等といったことでございます。  さらにハは共同研究をどれぐらい実施しているかということで、13年度の成果として は、プロジェクト研究課題と基盤研究課題を全部合わせた約6%を、研究所の外の方々 の協力をいただいて実施しているということでございます。プロジェクト研究課題のみ では、約20%を外部の方との共同研究で行っているということで、これは計画はクリア したと考えております。 ○ 黒川委員長  ではご議論いただいて、特にこの分野の委員にご意見をいただければ、どうぞお願い します。 ○ 岸委員  共同研究の割合が5%で、それが6%にクリアされたということなのですが、ことし としてはこれはクリアされているし、目標は終わっているのですが、私はもうちょっと 多くても、もう少し共同研究を広げるお考えはおありなのでしょうか。 ○ 斉藤企画調整部長  施設の有効活用という観点からも、外の方が来られたり、あるいは研究所員が外へい って外の施設を利用するといったことで、共同研究の割合はもっと増やそうと計画して おります。 ○ 岸委員  そうですね。  あと、全国的ないろいろな調査をされたり、例えばヨーロッパの国は、国同士の単位 は人口が非常に小さいですよね。長期的な労働者の集団を長いこと追跡して、そうしな いとリスク評価ができないような研究、例えばがんの微量の暴露の問題とかというの は、EUの中で10か国ぐらいが共同でやるというのは、日本の人口レベルからいいます とけっこう都道府県単位の研究を、そうすることによって暴露集団も多くできて、先ほ どどなたか委員の先生がおっしゃったけど、高濃度暴露でなくて低濃度暴露でもいろい ろなリスク評価ができるとなりますと、そういう仕事も産医研ならではの研究で、これ から大いにやっていただきたいと思います。  施設の利用ということもありますが、大きく日本の国の全体の研究者を動かしていけ るような企画とかなにかをされると、私どもも大学でも一生懸命共同研究をやろうと思 って仲間をみつけようとしていますが、産医研は特に行政とも近くていろいろなことが できるわけですから、余計なことを申しているかもしれませんが、ぜひやっていただき たいという気持ちがあります。 ○ 斉藤企画調整部長  ありがとうございます。なお6%という数字は、研究員一人ひとりが抱えている基盤 研究も含めて全体での割合で、プロジェクト課題だけだと20%を外部の方のご協力をい ただいているということです。 ○ 岸委員  わかりました。ありがとうございました。 ○ 井原委員  13なのですが、ほかのもあるのですが、ホームページを通じていろいろ情報を提供し たり、13ページでいきますと、ロに一般からいろいろ広く意見を募集したというのがあ りますが、これはどのぐらいのアクセスがあったとか、結果についてもしわかっていた ら教えてください。 ○ 斉藤企画調整部長  実際にアクセスは、例えばinfo@というアドレスを公開して広く意見をいただいてい るのですが、割合でいくと、むしろマジョリティは全く関係のないいたずら的な、割合 でいくとそういうことになってしまいます。 ○ 井原委員  成果はなしですか。 ○ 斉藤企画調整部長  割合でいくとそういうことなのですが、例えば広告であるとか。もちろん、なかには 非常に私どもに有益な情報もいくつかございます。例えば、一般公開をして研究所の隣 近所の方がたにかなり参加いただいたのですが、そうすると、普通の住宅街ですから、 その方がたに研究所に対して抱いているイメージがこうだったのかと初めてわかるよう な、つまり全く違うイメージなのですね。なんか怪しげなことをやっているのではない かとか(笑い) 、ちょっとタイミングが悪かったせいもあるかもしれませんが。私ども ももちろんそれで反省して、そうではなくてこういうことだということを情報公開しよ うといたしました。 ○ 黒川委員長  ホームページだと、どのぐらいアクセスがあったかというのはわかるのかな。 ○ 唐澤政策評価官  それはわかります。ご参考のために申し上げますと、私の仕事で政策評価のパブリッ クコメントを募集しまして、政策評価でPDFファイルを100ページ以上張りつけてある のですが、大体50件ぐらいですね。世の中の関心の高い項目はものすごく多くなりま す。何千とか何万とかいうアクセスになるのですが、私のやっているような通常の、特 別に注目されているものでなければ、100件あればけっこう多いのではないでしょうか。 2週間とか1か月とかいう限られた期間の話ですよ。 ○ 斉藤企画調整部長  ホームページでいろいろ外部に公開して情報提供しているわけですが、アクセス数は 具体的には書いてございませんが、かなり高頻度でご覧いただいていると私どもでは理 解しております。 ○ 黒川委員長  こういうのは英語で読めるようになっているのかな。 ○ 荒記理事長  日本語版と英語版の両方を入れてあります。 ○ 黒川委員長  それはどこかに外注するのですか。ホームページのメンテナンス。 ○ 斉藤企画調整部長  もちろん中は所内で作って、実際の掲載は外注です。 ○ 黒川委員長  英語の文は中で作る。 ○ 斉藤企画調整部長  中で原案を作ります。 ○ 黒川委員長  大したものだ。では、次にまいりましょう。 ○ 斉藤部長  19ページで、これは業務運営の効率化に伴う経費節減ということで、実は3ページで 交付金以外の収入の確保ということで、ここでは財務内容の改善としての評価というこ とで掲げております。  繰り返しになりますが、外部研究資金でプロジェクト研究の約23%を稼いでいるとい うことです。自己収入としては約400万円を13年度実績としてはあげた。具体的には、外 部機関へ技術指導等を行ったことへの対価をいただいたということです。  20ページで、予算収支計画及び資金計画というので、これは初めに、きょうの資料の 研究評価の仕組みの後ろの3枚が、宿題としていただいたものに対する回答で出させて いただいております。この資料が20ページの予算収支計画、あるいは以降にかかわる部 分でございます。ここでは決算報告書というのを出させていただいていますので、中期 目標を達成するために予算を策定して実施したという報告でございます。  21ページで、人事に関する計画。これも初めに別項で紹介いたしましたが、公募によ って6名の資質の高い方々を選考採用して、即戦力として活用しているということでご ざいます。人員の指標、人件費総額というのは、ここに書いてございます。人員の指標 というのは、ここでは13年度末では76名で、実は13年度末に1名退職して、そのあとは 採用しないということで減員を実現いたしました。  22ページ、最後のページですが、施設・施設に関する計画ということで、これは計画 に掲げたとおり、構内通信システムの改修を予定どおり実施して、所内の連絡網等を効 率化することができたという報告でございます。  以上でございます。 ○ 黒川委員長  これについては、予算の執行状況その他について共通の問題があるわけですが、これ も含めていかがでしょうか。特に会計の変化だとか財務のことでどうでしょうか。先ほ どのも含めて、内部努力による保留金ができたからどう使おうなどといろいろ書いてあ るのだけど、どういう努力でできたのか、営業しているわけではないから、なかなか難 しいですよね。 ○ 篠原委員  実はあまり質問したくないのですが、ほとんどの独法が費用進行基準でやっていると いうことで、これを使うと、ここに書いてあるような的確な管理はあまりできないとい うか、前提をもっているものですから、あまりシコシコ質問してしまうと厳しくなるか なという気があるのですが、やはり基本的には勘定科目というか、費用ごとに成果進行 基準とか期間対応基準とかそれぞれを対応させながらやらないと、自己努力という部分 が非常に出づらいのではないかなと。それと、運営費、交付金、債務の残高の説明も非 常に難しくなってきてしまう。そういういろいろな面があるものですから、今年ではな くて翌年度にそういう努力をするということを書いていただかないと、我々としては困 ってしまうという気もするのですが。 ○ 斉藤企画調整部長  それは私どもの研究所だけではなくて、共通のことでございますか。 ○ 篠原委員  共通でそういう部分を、初年度はしょうがないかなと思っているのですが、より費用 の管理をきちっとやろうとしたら、今いったような体制をとらないと、この資料をつく るときもかなり苦労したのではないかなという感じもします。  というのは、よく企業では月次決算をやって、月々、予算に対してどれだけ使ってど うのということを分析していくと思うのです。その積み重ねでここへ出てくるのですが 、おそらく今の体制だと期末に立ってやったのではないかなという印象をもっているの です。そうすると時間もかかるし大変ということで。 ○ 斉藤企画調整部長  今後、ほかの独法の方々と相談させていただきます。 ○ 唐澤政策評価官  今の篠原先生の部分は、財務諸表に関する項目になってまいりますので、またご議論 いただく機会があとでございます。 ○ 黒川委員長  そのほかに。なかなかそういうのは難しいですよね。今までと違って。それから、プ ライベートコーポレーションとまた政府の特殊法人、なんだかわからないところもある わけだから。 ○ 篠原委員  それに関連して、今回見ていると職員の研修はやられているのですが、幹部とか理事 が新しいことに対する研修を受けるとか、そういう部分を積極的にやっていただきたい という気もしているのです。意外と遠慮されているのかなというか、新しい分野ですか ら当然会計のこととかどう管理するということが。これを見たぼくの正直な印象だと、 研究についてはきちっとやっているのたけど、それ以外の管理は弱いかなという印象は あるのです。申し訳ないのですけど。 ○ 荒記理事長  この件は、むしろ私ども研究所においては庶務課を中心とした問題でございまして、 庶務課長、何かコメントはありますか。事務の方々は非常に苦労されている。今までの 国の会計処理の仕方と全然違うシステムになったわけで、新しく勉強し直して大変な作 業をされているわけで、今その進行中だと思うのですが。 ○ 島村庶務課長  新しい制度でございますので、それぞれ私どもいろいろな相談とか打ち合せを含めた うえで、今後、委員のご指摘がありましたとおり、全体としてそういう趣旨を踏まえた うえで進めさせていただきたいと思います。 ○ 黒川委員長  たしかに委員がおっしゃるように、あまりつつき出すといろいろ問題があるというの は、今はトランジションだからしょうがないのですね。だからむしろそういうところか らのアドバイスがあればどうやるのかなという話になって、しかしこれは政府のそれぞ れの独法の独自のやり方なのか基本的な方法があるのかというのは、また別の問題なの で、これからまた積極的にアドバイスいただければと思います。  そのほかに……。よろしいでしょうか。一応評定されたのかな。非常に難しいな。予 定としてはちょうど時間なのですが、そのほかに一般的な話として、田中理事長もおら れることですから、両方に共通したことはたくさんあるわけなので、そのほかに、これ はオフレコというわけでもなくて、最後に5分ぐらい、お話があれば、また明日もある ことですので、よろしくお願いします。何がございますか。 ○ 渡辺委員  先ほど言ったことに通じますが、全体として、失礼ながら非常にPR、広報はへただ と思わざるを得ないですね。もうちょっとわかりやすく、あえて我々全て国民がといい ましょうか、ビビッドにみえるような格好で、ずうっと伺っていると実際にいいことを なさっていると思うのですが、その表現があまりお上手ではないなというのが率直な印 象なのです。  せっかくいいことをなさっているのだったら、それがわかるような表現、先ほど言い ましたように具体的にこういったこと、例えばということもあるでしょうし、もう一つ は、こういったことはどう国民のあれに影響するのかとか、こういったことをやった、 にとどまらず、例えば、これは国民にとってこういったプラスなのだと、そういった表 現があったらもっといいのかなという気がしましたので、一言、余計なことを申しまし たが。 ○ 黒川委員長  貴重なご意見です、余計なことではないです。ありがとうございます。たしかにそう いうのは難しい問題がたくさんありますね。 ○ 篠原委員  オフレコということで、私の関係しているところも、こういう評価委員会に出るにあ たってぼくらが打ち合せしたのですが、なるべくアピールすることをいってくれと。そ れでみるとやはりアピールしていないということと、慣れていないのですかね。文化と して事実を書いて、ぼくはこれを評価するときに、この書き方も評価に入ってしまうな と。というのは、やむを得ないのですね。根拠がないから評価しようがないという部分 も、そういう意味では先ほどいったようにアピール力も評価のうちですね。慣れていな いというのは大きいかなという気がしています。 ○ 唐澤政策評価官  それはサイエンスの基礎的な研究をされていらっしゃる研究所の皆さんですから、慣 れてないというのはそのとおりです。ただ、プレゼンテーションも評価の一部であるこ とも間違いなくて、こういう分野でもわかりやすく伝える。渡辺先生からお話がありま したが、初めて取り組んだことなどは、初めてやったということを強調していただけれ ば、とてもわかりやすいということだと思います。 ○ 中窪委員  それとの関係で、先ほど篠原委員が言われたのは、個々の研究員はやっているけれど 、体制としてもう少し研修が必要ではないかというのは、先ほどの回答では、予算、決 算のところに限定していたように思うのですが、それだけではなくて、プレゼンテーシ ョンとかこういうところでのアピールの仕方とか、そういうのも含めた新しい独立行政 法人という、国とは違う、そういう組織になったことについて、幹部も含めて研修が必 要ではないか、そういうふうにおっしゃったのだと私は聞いたのですが、それでよろし いでしょうか。 ○ 井原委員  研究の内容を聞いていても、我々は全くわからないのですね。こういう研究がありま して、今年度はこういう研究をやりました、それだとあまり高い評価はできないと思う のです。こういう整理をしていただくと我々は一番よくわかるのです。それは一つは、 社会的にこういう問題がありました。その問題を解決するためにはこういうことを知る 必要があります。したがって我々はこういう研究をいたしました。結果としてこういう ことがわかりまして、これは社会的な解決にこう役に立ちました。そう整理していただ くと、非常に我々は理解ができるのです。だから、少なくとも来年度からそういうこと を心がけていただければと思います。  もう一つ、私は困ってしまったのですが、計画のレベルがこの二つの研究所で違って いるところがあるのです。例えば4ページで施設の共同利用、これが医学総合研究所の ほうは「検討を行う」となっていて、栄養研究所のほうは「推進をはかる」ということ になっているわけです。そうすると、計画どおりやっていればいいのかと、そこのとこ ろは困ってしまったものですから、後ほどでも。 ○ 黒川委員長  これは、中期目標もそれぞれの目標の設定も、なかなかわからないですね。新しいか ら唐澤評価官もよくわからないし、書かれていろいろ出されても、我々もよくわからん というところがあったので、こうなっているのかなと思いますが、お互いに慣れてくる と、全体としてクオリティがいいアウトプットが出てくるのではないかというプロセス なのかなと思います。そういうわけだから、どんどん言いたいことを言い合うのが大事 ではないかと思います。 ○ 五十嵐委員  このシートではきわめて簡潔に書いてあるので、内容がわからない。ですから評価を するためには別なものがないと、ほんとのところはできないはずなのです。これだけで ご説明を聞いても、きわめて上っ面をなでるような話をお聞きして、実際はわかったつ もりで書かなければいけないわけですから、きわめて大変なことなのですが、今年は初 めてですからこれでいいと思いますが、来年ぐらいは、シートでなくていいと思うので すが、研究所ごとに、現在これくらい進んでいますよという中間の資料をいただければ 我々が勉強できるという気がしますので、そういうこともお考えいただけるとありがた いと思います。 ○ 黒川委員長  先ほど言われたように現在の背景、この分野での背景、世界的な動向、現在の問題 点、ここがチャージされている問題点、それについてどういうことを計画して、何をし て、どのぐらい進捗しておる、という話が出るとわかりやすいのかもしれないですね。 そうすると、それの専門分野の方からも評価はたぶんしやすいインデックスにはなり得 るだろうと思いますが、それはいずれどういうスタイルでやるかというのは、今まで行 政のほうはパブリックリレーションなどというのはあまり考えていなかったわけだか ら、突然いわれても迷ってしまうね。 ○ 石本政策統括官  まさに今のたった5分間のお話し合いが、評価の物差しのご検討なのだろうと思うの です。かなり核心のほうまで入ったなと。渡辺委員が口火を切ってくださってありがた いと思っていますが、ぜひこういうご議論を次回もどこかでとっていただいて、まさに 今ご議論されたような点を、委員の皆さんから出していただくのが大変に意味があると 思っております。よろしくお願いいたします。 ○ 黒川委員長  たしかに、これをやる前にはいろいろ議論はあって、特に堀田委員などは、この評価 委員は何を目標にしてどういうミッションでやるのかという話があったわけです。これ はパブリックについてどういうミッションをもってどれだけの責任を果たしているかと いうことを説明できるように、この評価もしなくてはいけないなという話はあったのだ けど、それは総論であって、具体的に出たときにはよくわからなかったのだけど、だん だんお互いにコミュニケーションが出てくれば、非常に効率のいいキャッチボールがで きるのではないかということだと思います。オフレコの部分があるから本音が出たのか もしれませんが。 ○ 古郡委員  こういう計画は、目標を立ててしまうと、それを達成することに主眼が置かれまし て、まだほかに十分余力があるのにそれをやらないというような弊害も出てきてしま う。ですから、今、説明にもあったように「目標はクリアした」という言い方をなさる のですが、クリアして、さらにそのうえにどの程度何をしたかということが評価にかか わってくるのかなとも思います。 ○ 黒川委員長  いろいろお考えはあると思いますが、今日は初年度の第1回目の評価でしたので、こ こで終わりにさせていただきたいのですが、これからこのあと、いろいろあるので… …。 ○ 鈴木研究企画調整部長  きょう、発言の場がなかったのですが、評価の公平性ということから、私どもは今日 、説明の補足資料はスライドとして持ってきたのですが、明日、お休みの先生もいらっ しゃるようですので、できたら今日、お配りをさせていただきたいと思うのですが、よ ろしいでしょうか。 ○ 黒川委員長  けっこうです。そうすると、今度はプレゼンのときも、皆さん、こういうのがわかり やすいなということであれば、だんだんそういうふうにしていくといいわけですね。 ○ 唐澤政策評価官  むしろプレゼンの仕方についてもご注文をいただいて、ビジュアルなものがあったほ うがたぶんわかりやすいと思います。 ○ 黒川委員長  唐澤さんが言ったように、文部省のヒアリングでもなんでもそうだけど、決められた 時間でいかにアピールするかというのは大事だから。 3.閉会 ○ 唐澤政策評価官  大変ご熱心なご審議をいただき、ありがとうございました。今日、明日と2日間にわ たりまして大変恐縮でございます。最後に明日の予定と、ご欠席になる場合の事柄につ きまして2点、お話しをいたします。  まず明日の予定でございますが、9時から11時まで、場所は9階の省議室で開催させ ていただきます。よろしくお願いいたします。  二つ目は、明日は4人の先生方がご欠席の予定でございます。明日、お聞きになれな い部分について、それから、今日ご出席の先生方でも、ある部分についてはちょっと別 の会議と重なって聞けなかったということもございますので、そうした部分について は、私どもから追加のご説明を、こんなに人数多くはできませんが、簡易な形でお話を させていただくことにしたいと思っております。これはまたご連絡をさせていただきな がら、日程を早めにご相談をいたしたいと思います。  これに関連いたしまして、今日のシートでございますが、これはそのまま明日、朝か ら使いますが、ご欠席になる方もいらっしゃいますので、今日どうしても持って帰りた いとおっしゃる先生は、事務局にお話をしていただきたいと思います。いずれにしても 明日は各機関の自己評価の票も出してもらおうと思いますので、そういうものも含めて お送りいたしますが、今日、どうしてもお持ちかえりになる方は、事務局にお申しつけ いただきたいと思います。以上でございます。 ○ 黒川委員長  きょう、発言できなかったと最後に一言あったので、明日お願いします。田中先生と 荒記先生のところも、明日は来ていただけるのですね。ありがとうございます。またい ろいろ建設的な意見をいただければと思いますが、よろしくお願いいたします。ありが とうございました。                                     −了− 照会先 政策統括官付政策評価官室 政策評価第1係・第2係 代)03-5253-1111(内線7784・7780) ダ)03-3595-2160