02/07/16 「医師国家試験改善検討委員会」第1回議事録について            第1回 医師国家試験改善検討委員会                                  日時 平成14年7月16日(火)                          10:30〜                       場所 厚生労働省専用第22会議室 ○医事課長  ただいまから、第1回「医師国家試験改善検討委員会」を開催いたします。本日は、 初めに医政局長よりご挨拶を申し上げる予定でしたけれども、国会用務のために、本委 員会に遅れて出席させていただくことになりました。このため、医政局長からの挨拶は 、到着次第行わせていただきます。  私は、医政局医事課長の中島です。先生方には、大変ご多忙のところをご出席いただ きまして誠にありがとうございます。議事に入らせていただく前に、委員の先生方のご 紹介をさせていただきます。慶應義塾大学医学部教授の相川直樹委員です。北里大学医 学部教授の相澤好治委員です。順天堂大学医学部教授の伊藤澄信委員です。早稲田大学 人間科学部教授の木村利人委員です。東海大学総合医学研究所長の黒川清委員です。兵 庫医科大学教授の小泉直子委員です。国立名古屋病院長の齋藤英彦委員は遅れて参りま す。日本医師会常任理事の櫻井秀也委員です。東京大学医学部教授の名川弘一委員です 。国立成育医療センター部長の宮坂勝之委員です。東京工業大学社会理工学研究科教授 の前川眞一委員も遅れて参ります。名古屋大学医学部教授の伴信太郎委員は欠席です。  続きまして事務局の紹介をさせていただきます。試験免許室長の鬼窪です。医事課課 長補佐の大原です。医事課課長補佐の染谷です。試験免許室長補佐の横田です。試験免 許室試験専門官の木村です。  次に、本委員会の座長を選任していただきます。元医師試験委員長であり、前回の改 善検討委員会の委員でもありました黒川委員にお願いしたいと考えておりますが、いか がでございましょうか。               (異議なしの声あり)                ○医事課長  ありがとうございます。黒川委員には座長にご就任いただきまして、座長席にお移り いただき、以後の議事進行をお願いいたします。 ○黒川座長  よろしくお願いいたします。医師の国家試験とは一体何なのかということと、それが 国全体からどのように位置付けられるべきかという話からしてもいいのですが、実際に 国家試験というのは現前と存在していますし、これが日本のシステムということであり ます。いまのところ非常に関心が多くて、これについてもかなり改善がされていますが 、まだその道の途中かなという気がします。従来の国家試験とはかなり変わってきてお りまして、いろいろな意味でクオリティ・コントロールの内容がだんだん良くなってき ているかなと思います。  国家試験の合格率というのも、大学も社会もすべてが非常に気にしているところです けれども、これについても大体いまのところ落ち着き始めているかなということで、新 しいシステムが入って、問題を返さないというふうにして、ちょうど2年が経ったとこ ろですが、かなりいろいろな問題がスムーズになってきているのではないかという気が します。  しかし、これから常に改善されながら、いわゆる21世紀の医師に必要なテストの要 件、その内容、クオリティをどのように保証するかということが大事なわけです。こう いうことについての検討をさせていただければと思っておりますので、よろしくお願い いたします。この委員会そのものの取扱いについて事務局から説明をお願いいたします 。 ○医事課長  本委員会の公開の関係について説明させていただきます。委員会の公開に関しては、 平成7年9月に「審議会等の透明化・見直し等について」という閣議決定が行われてお り、原則公開という方針の下に決められています。それに基づき、本委員会におきます ご議論の公開の問題については、まず会議そのものは公開とさせていただき、議事録は 厚生労働省のホームページに掲載する、ということではどうかと思っております。  なお、95回以降の試験問題などの、非公開の扱いとしている情報を基にご議論いただ く必要がある場合には、国家試験を適正に実施するという観点から、適宜ワーキンググ ループを別途設けさせていただきます。これは公開というわけにはまいりませんので、 非公開で検討をしていただきたいと考えております。以上のような取扱いということで いかがかと思います。 ○黒川座長  これは、審議そのものも公開しておくということで、どなたでも興味のある方は聞い てくださっていて結構だということですが、国家試験の問題は返さないということにな っていますから、その問題の評価、アセスメント、実際のそれぞれの問題についての正 解率、識別指数その他については公開というわけにはいかなくなってきますので、それ をここでやるというのは都合が悪いので、ワーキンググループをつくり、そこでそうい うことを検討していただきますが、それは非公開にするということです。その結果をこ この公開の場で話していただいて、ここで議論をする、というような格好ではどうかと いうことです。 ○木村委員  本日は、第1回の医師国家試験改善検討委員会ですが、これに伴って本日から既に公 開されているわけですね。 ○黒川座長  そうです。 ○木村委員  それは、現段階ではホームページということで公開されていて、本日おいでになって いるのでしょうか、あるいは特別の文書その他によって関係者に通達をして、その結果 ここに来たのでしょうか。 ○木村専門官  事前に、報道各社に投げ込みという制度がありまして、こういう案内を出しておりま す。それで関心のある方にご出席いただいているということです。 ○木村委員  その場合、報道各紙で新聞報道されたのを見てという意味ですか、それとも報道の方 がおいでになっているのですか。 ○木村専門官  記者クラブに対してお知らせをしているということです。次回以降の開催については 、厚生労働省のホームページに掲載するということも考えさせていただきたいと思いま すが、今回は物理的にかなり制限された中でやりましたので、記者クラブにのみお知ら せをしております。 ○木村委員  黒川座長が言われましたように、公開ということになると、マスコミへの公開だけで はなくて、一般の関心のある方々への公開ということが平成7年9月の閣議決定の原則 公開ということの意味だと思うのです。そういう意味では、今後ホームページで公開の 案内をしていただいて、関心のある方はおいでになれるようなシステムを積極的にお考 えいただければ大変いいのではないかと思います。 ○黒川座長  ホームページがいちばんいいのかなと言うけれども、ホームページを開いたことのな い人はしようがないということで、これはデジタルディバイドということになるわけで す。もちろん官報で出しても、読む人はごく一部だということになるからしようがない のです。記者クラブだけというのも、最初としてはやむを得なかったと思いますが、次 回からはホームページで、こういうことをやっていますので、興味のある人はどうぞと いうことでやっていただければと思います。  そんなことで進行させていただきますが、これは何をするのかということです。前回 も、医師の国家試験改善検討委員会をやらせていただいたのですが、それからいくつか の改善が出てきました。1点目は、「問題を返さないことにした」ということですが、 これはなぜかということです。それには、もちろんいろいろな理由がありますが、それ までは問題を必ず返していましたので、終わってから学生が採点をして、みんなで答え を合わせて、何点ぐらい取れたかということがすぐにわかったわけです。返さないとな ると、問題のクオリティが全然外に出ないことになってどうなるのだろうかという話が あるのですけれども、それは問題をどういうふうにクオリティ・コントロールするか、 ということが1つ大事なポイントでした。  2点目は、私も国家試験の委員を何年かやらせていただいてわかったことは、問題を 返すと、同じ委員が2年、3年、4年とやりますと、どちらかというと自分の分野の問 題を作ります。前に出したから、同じ問題を出すわけにはいかないとなると、1年目よ り2年目、2年目よりも3年目とだんだん質が下がってきます。なぜかというと、1年 目は、すべてのチョイスの中で、自分でいちばん良い問題を5問、10問と作ってきます 。それが駄目だとなると、いろいろモディファイすると、重箱の隅とは言わないけれど も、問題の質は落ちてくるということが結構あります。  2番目には、その問題の正解率がどのぐらいで、識別指数はどのぐらいだったかとい うことは、その後に幹事委員会その他で問題をポリッシュして、最終的に採用するかど うかを決めますけれども、もともとの問題を作った人は、その問題の正解率とか識別指 数は知らない。今度は、作った人にフィードバックがないのです。「あなたの問題は、 こういうふうに悪かったのよ」という話は、試験委員も一部の人しかわからないのです 。返してしまうとそれっきりだから、採点する1つのマーカーとしては、こちら側は自 分たちの問題はどうだったのかなという評価にはなるのだけれども、こういうプロセス だと、それを現場で作ってくれる人たちの質の向上にはあまり資してないのです。  ところが、問題をプールするということをなぜしたかというと、一般的にはそういう ふうに思われていたのだけれども、それでUSMLEの人たちに来てもらっていろいろ やってみると、USMLEは問題を返さない。なぜかというと、その問題の正解率や識 別指数が全部コンピュータに入ってわかっているので、その問題をどうやったら改善で きるか、ということを、常にその試験をプロバイドする側がクオリティ・コントロール ができるようになっているということです。それをすべきではないかという話で、学生 としては非常に不安な人が多かったのだけれども、結局中長期的に見れば、問題のプー ルの精度が上がってくるというのが1つです。  それから、問題が非常に増えてくると、それぞれのカテゴリー、問題の形式、タクソ ノミーいろいろなものについて正解率、識別指数もそうですけれども、データバンクが たくさん出てくるわけです。それで何をするかというと、同じ600題の問題を選ぶにして も、こういう分野の構成で選びましょう、こういうタクソノミーをこういうふうに入れ ましょう、というプログラムさえ入れれば、隣の人と自分とは全く違った問題の組み合 わせが出てきても、同じようなウエイトになるというシステムになっています。  それをやることによって何が起こったかというと、USMLEはパートI、パートIIと 合わせて12万題の問題をプールしているはずです。その12万題が、どんどん進歩したり 変わっていくところでは、1年に1回委員が見直しをしています。スタンダードなもの は3年に1回見直している。つまり、新しいデータが出たりしていろいろ変わってきま すからそれをやっています。それによって、クオリティを非常にしっかりしたものにし ているということをやっています。  新しい問題を作る先生方には、私もアメリカの内科の専門試験を何回か作らされたこ とがあるのですが、そのときには作る人に、どういう目的でこの問題を作るのかという 目標は何かということ。選択肢の理由、その根拠となる文献を全部書かなければいけま せんので、1題作るのにものすごく頭を痛めてしまいます。でも、そういうクオリティ ・コントロールはあまり日本ではされていませんので、その辺が問題かなということが あります。  そういう意味でUSMLEは、誰が来ても、いくらでも説明できるようなシステムを 何年もかかって作り上げてきたということが素晴らしいわけです。パートIIIは、1年間 インターンをやった後から受けますけれども、みんな試験勉強などしません。パートIで やってもせいぜい1週間で、普段の勉強をしているだけです。パートIIも、3年生のク ラークシップのコアが終わってから受けますけれども、ほとんど受験勉強の準備などし ません。パートIIIも、1年終わってインターンが終わったらすぐに受けますから、誰も 受験勉強などしないで毎日仕事をしているだけです。  いま、パートIIIは、1年に150日ぐらい受けられるようになっているのではないでし ょうか。いつでもコンピュータのターミナルで受けられます。それで1回落ちると、6 週間受けられませんが、またいつでも受けられます。隣の人でも受けられるのですが、 問題が違います。1年に3回までしか受けられない。それでも受けられなかったらどう するかというと、そんな人は医者にならないと言っていました。つまり、それ以上受け ることはないと言っていました。  最近は、最初60問のセットがコンピュータで出てきて答えます。60問の最初の問題で 非常にできた人、例えば55問以上できた人は、次の問題の60問のセットはより難しい問 題のセットが自動的に出てくる。最初の問題が、例えば30点しかできないような人は少 し悪いから、次の問題は易しい問題が出てくるというように、人によって違うのです。 その次の難しい問題で、さらに良い点を取ったら、もっと難しい問題が出てくる。その 難しい問題があまりできなかったら、もうちょっと易しい次のセットの60問が出てくる ということで、同じ60問をしながら、3回、4回、5回やっているうちに、受けている 人の本当にできる人と、本当に中間ぐらいの人と、70%ぐらいきちんとできるように組 んでいるということで、これはコンピュータ・ベストというようなふうにできています 。それには、問題一つひとつのウエイトと、難しさと、正解率と、識別指数が全部出て います。そこまでやっているから、そういうことができる。そこまで行くには10年ぐら いかかるのではないかと思いますけれども、そういうわけでデータを取っています。  いま言ったように、新しい問題を毎年作りますが、その問題は必ず8SMDでセレク ションしています。かなりできる人の問題でも半分は落とされていると言っていました 。その上で、新しい問題を必ずポリッシュして試験の中に入れてきます。入れてくるの だけれども、毎年の試験に10〜15%ぐらい新しい問題が入っているのだそうです。それ は、採点の対象にはしてないのです。なぜかというと、それはその問題の評価をするた めに入れているのです。それで正解率、識別指数が出てくると、その問題は良いか悪い かということをまた評価しながら、それをポリッシュしていって、2度目からは採点の 対象になるようにして入れているということをしています。  そういう意味では、誰に聞かれても非常にオープンで、非常にクオリティが高くて、 試験をやるほうは誰に言われても自信があるようにしているというのが向こうのすごい ところだと思います。そこまで行くかどうかはちょっとわかりませんが、それが最終的 に目標とするところだろうということで、前回は問題を返さないで、問題を溜めながら 、それをいかにクオリティをプラッシュアップするかという、それをどうするかという のはこれからの課題だと思います。  プール問題が、パートI、パートIIで12万題などというと、それは日本の受験勉強の得 意の人は全部勉強すれば受かるかと思ってやるけれども、12万題やれば全部勉強したの と同じことになってしまいます。そういう馬鹿なことをする人はいないだろうと思いま すが、案外やるかもしれませんね。  本日も資料がいろいろありますので、資料の確認をお願いします。 ○横田補佐  資料の確認をさせていただきます。1点目は「議事次題」です。資料1は「医師国家 試験改善検討委員会について」です。資料2は「医師国家試験改善検討委員会報告書( 平成11年4月)」です。資料3は「医師国家試験の現状について」です。資料4は「医 師国家試験におけるプール制の導入について」です。資料5は「医師国家試験を取りま く状況について」です。以上です。 ○黒川座長  それでは、資料の説明を事務局からお願いします。 ○木村専門官  資料1は、医師国家試験改善検討委員会の設置の趣旨です。医師国家試験は、医師と して具有すべき知識及び技能を問う試験であるということです。これまで厚生労働省で は、この国家試験の妥当な範囲、あるいは適切なレベルを保つために、おおよそ4年に 1回の周期で国家試験の改善に努めてきております。現行の国家試験は、平成11年4月 にご報告いただきました、「医師国家試験改善検討委員会報告書」を踏まえて実施され ているところです。  本日から開催させていただきます、医師国家試験改善検討委員会では、現行の国家試 験の妥当性を1つは評価していただきます。もう1つは、前回の報告書で、今後改善す べきと指摘された事項、あるいはこの検討委員会で新たに検討課題としてご指摘いただ いた事項等々についてご検討いただく、ということをこの検討会の設置の趣旨とさせて いただいております。  主な検討課題として1つ目は「現行の国家試験の評価について」です。2つ目は前回 の報告書に基づいていまプール制への移行について準備を進めておりますので「プール 制への移行について」です。3つ目は、前回の報告書で、「今後改善すべきと指摘され た事項等について」です。その他、この検討委員会で新たにご提言いただきました事項 といったことについて検討いただきたいと考えております。  2頁が「検討のスケジュール」です。この検討委員会としては、平成14年度中に報告 書を取りまとめていただきたいと考えております。この報告書の基本的な骨組みを踏ま え、平成15年度中に医師国家試験の出題基準、いわゆるガイドラインの改定を行いたい と考えております。この新しい報告書、ガイドラインに基づく国家試験の実施は、平成1 7年春からを予定しています。資料1の概略は以上です。 ○黒川座長  資料の説明の途中ですが、医政局長が参りましたのでご挨拶をお願いいたします。 ○医政局長  本日は第1回の医師国家試験改善検討委員会の冒頭でご挨拶を申し上げる予定でした けれども、急な用事が入りまして、遅れて参りまして誠に申し訳ありませんでした。趣 旨等については、事務局からお話をしているかと思います。いろいろ背景がありまして 、1つは平成16年4月から、医師の臨床研修が必修化になることになっております。本 日の座長の黒川先生にもお入りいただいておりますけれども、これがいちばん大きな話 題です。  今年の夏ごろ、そして秋ごろには厚生労働省の考え方をまとめたものを出して、平成1 5年度1年しか余裕がなく、平成16年4月からスタートします。そういう意味ではプライ マリ・ケアに重点を置いた研修ということになるわけです。いままでは任意でしたから 、プログラムその他は各施設で、それぞれいろいろ工夫をこらしてやられていたわけで す。今回からは必修化ですので、ある程度このようなやり方で、ということを決めるこ とになろうと思います。それが終わった後は登録をします。医籍登録と同じように、こ の人は研修を受けた人ですよ、ということをきちっと登録するということになっており ますので、いままでとは随分様変わりをすることになります。  また、卒前については、聞いているところによると、卒前の中で4年生に統一的なテ ストを試みにするということです。卒前・卒後の医師の研修体制も充実してきていると 思っております。現在、健康保険法が法律改正で法案審議中ですが、健康保険の3割負 担をお願いするに当たり、医療制度そのものを抜本的に改革しなければならない、とい うのが一つ世論です。  医療制度の改革で、平成9年度の小泉厚生大臣のときに改革案が出てまいりました。 それを、今回も踏襲したような形で、追加したものもありますが、改革案を示している わけです。その中で、医療提供体制の改革というのは、非常に大きな柱の1つですので 、厚生労働大臣が本部長になり、私がその担当なのですが、医療提供体制改革チームが できております。来年の末までに、つまり今年度中にその改革案をまとめて発表するこ とになっております。  その中で、本日お願いしているものも含まれるわけです。医療提供体制の中でマンパ ワーの資質の向上というのが基本的に大事なところになります。その中で、国家試験と いうのも非常に大きな役割を持つわけです。そのような背景があり、いままでとは違っ た視点で、医師国家試験を考えていただきたいと思っております。  いまの改革のやり方というのは、必ずお尻を切るといいますか、いついつまでにこれ をやるということを言わないと駄目なようになっております。いままで検討というと、 いつやるかわからないというのが慣習的になっていましたけれども、いまはそういうこ とでは許されないわけです。いついつまでに何をする、ということをかなり具体的に言 って、改革を進めるということです。  そこで私どもとしては、平成17年度にはプール制に移行したいという目標を書きたい と思っております。いままでもプール制というのは言っておりましたけれども、牛歩の ごとくゆっくりしていて、いつになったらできるかわからないということでしたけれど も、お尻を切って平成17年度の国家試験からこれを導入するのだということで、問題も たくさん作っていただくように、いろいろ先生方にもお願いをしなければならないとい うことです。  本日、委員の先生方に、特にアメリカがいちばん先進国かもしれませんが、そういう 所の試験のあり方なども教えていただければと思って、何人か先駆的な先生にもお入り をいただきました。私が思いますのは、医師国家試験というのは選抜試験ではないわけ でして、資格認定試験ですから、そういう意味で国家試験というものが、いままでは毎 回毎回委員の先生方にお願いして問題を作っていた。受験生で結果を終わってみますと 、必ずしも良い問題だけとは限らないで、いろいろ不適切といいますか、難しすぎたり 、選択肢が1つではなかったりというのが後で出てきたりしますので、それを後で改善 しなければならない、ということが行われているわけです。  人間の体や医学は科学ですから、そうそう毎回違ったことが出てくるわけではありま せんので、卒業した医師が、これだけは最低持っていかなければならないという資格を どうやってチェックするか、という技術的な話でありますので、そういうところに力点 を置いたプール制をやっていただきたいと思います。  これは新しい視点かもしれませんが、いままでは国家試験というと、選抜者のほうの 試験といいますか、試験問題を作る先生の視点といいますか、そういうほうがメインだ ったと思います。これからは受験生の視点も大事です。これは医療でも、いままでは医 療提供側の視点でほとんど物を考えていたのでしょうけれども、いまはそうではありま せんで、医療を受ける側の視点で物を考えなければいけないという時代になってまいり ました。  同じように受験についても、受験生の視点も考えていただきたいと思います。毎年ど んな傾向が出るかわからないというようなものではなく、プールしてあれば、その中か ら出てくるのだと。受験生はどっちみち過去問をやっているわけですから、良い問題は いつ何どきでも使えるような形にしておいたらいいのではないかと思います。  この検討委員会そのものも、年度末までいろいろご検討いただいて、結論を出してい ただくようになっていると思いますので、お忙しい中を大変申し訳ございませんけれど も、どうかよろしくご協力のほどをお願いしたいと思います。どうもありがとうござい ました。 ○木村専門官  引き続き資料2以降をご説明させていただきます。資料2は、平成11年4月にまとめ ていただきました、改善検討委員会報告書です。先生方は何度もお読みになっているの ではないかと思いますが、念のためご説明させていただきます。1頁は「はじめに」と いうことですので割愛させていただきます。  2頁からが、平成13年度ですから前々回になりますが、第95回の試験からの改善事項 です。1番として、平成13年の試験から問題の数、問題の内容に改善がありました。数 としては、医療が高度・専門化したということに伴い、医師が具有すべき基本的な知識 量が増加したということで、従来の320題から500題に増やしています。その500題以外に 、後ほど出てまいりますが試行問題、大学等から公募いただきました問題を、採点対象 外という形で出題するということで、500題に上乗せした問題を受験生には解いていただ いているということです。  問題の内容の1つとして、医師として基本的な事項と、必修問題のところを、従来は3 0題出題していたところを100題に増やしました。中身としてはプライマリ・ケア、医の 倫理、患者の人権といったところに力点を置いて問うことになっております。  さらに、医療面接におけるコミュニケーション能力、あるいは行動科学的な領域を含 む基本的な臨床能力を問う問題といったものを充実させていこうということでご提言を いただいております。  それ以外の一般問題、臨床問題ですが、さまざまな未知の疾病に適切に対応できるよ うに、臨床に関連した基礎科目等の出題を増やす、ということが1つ方針として出され ております。公衆衛生については、臨床上特に必要と思われる疫学、予防医学等に関す る必修的な問題を中心に出題することが望ましいということになっております。前々回 の平成9年の試験から導入された、禁忌肢問題についても引き続き出題する、という方 針をいただいております。  320題から500題に増やしたということに伴い、ややもすると重箱の隅を突っつくよう な問題が増えるのではないかということで、各項目・評価領域ごとにおおよその出題数 を規定したブループリントを、平成13年の試験から導入しています。  2点目として、合否基準です。合否基準については、大きく分けて2つの考え方をし ております。1つは、医師として最低限把握しなければいけない基本的な領域、そして 、もう少し応用的な面も含めた領域、この2つの面について各々違った形での評価を導 入しています。  1つ目の「必修の基本的事項」というものについては、最低合格レベルは80%程度で あろうということで、絶対的な基準で評価をしているということです。3頁の(2)の領域 については「具有すべき知識及び技能」や望ましい「教育目標」というものが必ずしも 明確でないということもありますし、試験問題の難易度が変化しやすいということもあ り、結果として受験する年による「通りやすさ」というものも変化してくるのではない かということで、こちらについては平均点、標準偏差を用いた相対基準を設定すること が現実的であろう、というご提言をいただいております。  したがって、現状では必修問題は絶対基準、一般問題・臨床実地問題と言われるもの については相対基準を導入することになっております。以上が、合否基準の改善事項で す。  3点目として、試験問題の公募、あるいはプール制の導入に係る事項です。毎年、従 来は試験委員に320題の試験問題を新規に作成していただいていましたが、問題の数が50 0題に増えたということもあり、質の良い問題を恒常的に出題していくためには、問題を プールしていく必要があるということで、全国の大学医学部・医科大学等に、試験問題 の作成公募を開始する。同時に視覚素材のCT写真、レントゲン写真等々の典型的な写 真を、臨床研修指定病院にも協力を依頼して集めていく。そういった中で問題、あるい は問題の素材をプールしていこうという方針が打ち出されています。  通常の試験委員会とは別に、ブラッシュアップする、公募した試験問題を選定、ある いは修正するための委員会を設置することが望ましいというご提言もいただいておりま して、通常の試験委員会とは別に、公募問題をチェックするための委員会を厚生労働省 に設けたところです。  こうした公募で集めた問題を、採点の対象外という形で、試行問題という形で、相当 数国家試験に出題をしておりまして、正解率、識別指数等を踏まえて、適切な問題を順 次プールしていく。それで、常時数万題の問題を備えるということをご提言いただいて いるところです。しかしながら、一挙に数万題というところはなかなか難しい面もあり まして、後ほど資料4でご説明いたしますが、少なくとも3年以内、3年間に1万題の 問題をプールして、プール制を導入できるような準備をいまさせていただいております 。  プール制を導入するに当たり、どうしても試験問題を持ち帰りますと、その問題を2 回目に出題するときには、相当正解率が上がるという事情もありますので、試験問題を 回収させていただき、良質な問題は2回、3回と使えるようにという試みも始めていま す。以上がプール制に関する事項です。  3のプール制に関する事項と関連しますが、4として試験結果の通知方法も平成13年 の試験から変更になりました。試験問題を、プール制の導入を図るという視点で回収す ることになりましたので、受験生の手元に残らない、自己採点ができないという状況に なっております。従来は合格、あるいは不合格という通知だけだったわけですが、受験 生個人に対して本人の合否、それ以外に総得点、あるいは必修問題・一般問題・臨床実 地問題ごとの点数、あるいは禁忌肢の選択率といったものを通知して、仮に不合格だっ た場合に、どういったところが原因で不合格になってしまったのか、ということがわか るような通知を始めています。  5頁は、問題作成上の技法といいますか、テクニックみたいなところになります。Kt ype、Atype、Xtypeといった種類の問題があります。Ktypeというのは、いずれも5つ 選択肢が並んでいるということは共通なのですが、Atypeというのは、いわゆるワンベ ストと言われる問題で、5つの中にただ1つ正解があるというもので、完全に知識がな いと解けないという問題です。それに比較してKtypeというのは、1と5とか、2と3 とか、適切な組み合わせを選ぶというものになりますので、ある程度知識があると、場 合によっては部分的な知識で解けてしまうということもあります。  そういったこともあり、部分的な知識で正解に至るようなKtypeの問題は減少、ある いは廃止すべきであり、Atype、あるいは正しいもの2つを選ばせるXtypeの問題を増 やすべきだというご提言をいただいております。実際に試験問題も、こういった方針に 則る形で、平成13年度から試験問題の作成をしていただいているというところです。  6点目の応用力試験の導入ですが、丸暗記という形で解けるということではなく、知 識を応用しないと問題が解けないというタクソノミーの高い問題を極力出していただこ う、というご提言をいただいております。試験問題を作成していただく際に、試験委員 の方にお願いしているようなところです。以上5頁までが、平成13年の国家試験から導 入させていただいているところです。  6頁以降が、前回の報告書で、今後検討すべき課題ということで整理させていただい た事項です。1点目は6頁のIIIの1「実技試験」です。実技試験については、カナダ等 々でOSCEと言われる実技試験が導入されているということもあり、導入してはどう かというご意見をいただきました。4年前の平成11年の時点においては、卒前教育にお ける活用、普及状況等を踏まえて検討していこう、ということで検討課題になっており ます。  2つ目の「受験回数の制限」についてですが、何度も何度も受験する方がいますので 、早めにそういった方が他の道へ転換できるように、受験回数を制限してはどうか、と いうご意見もいただいているところですが、場合によってはこれが職業選択の自由を奪 うことにもつながりかねないということで、司法試験等々の他の職種の状況を踏まえな がら、今後検討していこうということで、前回の報告をいただいている事項です。  これ以外にも、何点か引き続き検討すべき事項がありまして、それが8頁に出ており ます。「引き続き検討すべき事項」としていただきました事項は、1として「リスト解 答形式」、2として現在は選択肢を5つでやっておりますけれども、それを4つにして はどうかという「選択肢数の減少」、3として「コンピュータを活用したシミュレーシ ョン試験を導入してはどうか」という事項がありました。それ以外にも4として「試験 結果にかかる評価手法の改善」、5の「試験結果にかかる長期的評価法の検討」等につ いて引き続き検討すべき、ということでご提言をいただいております。以上が前回の報 告書についてのご説明です。  資料2とかなり重複するところがありますので簡単にご説明させていただきますが、 資料3は「現状の国家試験」です。1点目ですが、試験の実施についてです。従来2日 であったところが、平成13年の試験から3日間になりました。試験は、全国12カ所で行 っています。  試験問題の数は、平成13年度からは500題になっています。その500題の内訳として、 必修問題という領域、医学の総論、医学の各論という3つの領域に分かれていまして、 それぞれ100題、200題、200題という形になっております。  その領域とは別に、問題作成上の区分というのがあり、一般問題と言われる形式、臨 床実地問題と言われる形式がありますが、その2つの形式を採用しています。さらにそ の500題のうち、一定数に禁忌肢を含む禁忌肢問題が含まれています。ちなみに必修問題 、禁忌肢問題の注釈を付けておりますのでご参照いただければと考えております。  先ほどもありましたが、平成13年度の試験から、試験問題の数を500題に増加したとい うことを踏まえ、試験設計表、いわゆるブループリントを導入しており、各項目・評価 領域ごとの出題数をおおよそ規定しているところです。  3番で、現状の実際の試験問題の作成ですが、例年6月ごろに医道審議会医師分科会 で、その年の方針を決定していただき、6月から翌2月にかけて、原則500題の問題を新 規に試験委員会において作成していただいております。この500題とは別に、大学の医学 部から公募した問題を、「医師国家試験ブラッシュアップ委員会」において選定・修正 をして、試行問題として出題しています。  2頁の合否基準については先ほどのとおりです。平成11年4月の報告書を踏まえ、(1) 必修問題、(2)一般問題、(3)臨床実地問題の3つの点数、それから(4)禁忌肢の選択率の 4つの条件をクリアした者を合格とするという取扱いをしております。(1)の必修問題は 「絶対評価」、(2)の一般問題、(3)の臨床実地問題については「相対評価」を用いてお ります。  図1は、500題の内訳を示したものです。必修問題が100問、一般問題が200問、臨床実 地問題が200問という形になっています。合否の決定に当たりましては、先ほど黒川座長 がおっしゃいましたように、事前にすべての問題を試行しておくということがなかなか できませんので、現状においては「医道審議会医師分科会医師国家試験KV部会」にお きまして、再度試験問題の妥当性を事後的に検証した上で、採点の対象とする問題を確 定し、さらに「医道審議会医師分科会」におきまして、合格者の決定についてご審議い ただき、その上で厚生労働大臣が決定しているということになっております。  昨年第96回の医師国家試験の合格基準というのは、必修問題は200点満点中の160点以 上、一般問題は200点満点中の130点以上、臨床実地問題については600満点中の409点以 上、禁忌肢の選択数は1問以下、この条件を満たした者を合格にしております。  平成13年から、相対基準を部分的に導入したということもあり、3頁のところに、最 近の医師国家試験におきます受験者数・合格者数・合格率の年次推移を表しております 。95回平成13年の合格率が90.4%、昨年も同様の90.4%ということで、数値としては安 定してきているということが言えるのではないかということです。  資料4は、医師国家試験のプール制の導入です。前回の改善検討委員会の報告書で、 プール制を導入していこうという方針が打ち出されましたので、厚生労働省においてプ ール制への対応を進めておりますので、これについても簡単にご紹介させていただきま す。  1頁の1番は割愛させていただきます。2番は、医師国家試験ブラッシュアップ委員 会で、どのようにブラッシュアップしているかということです。過去に試験委員をご経 験いただいた方を中心に、30人程度からなるブラッシュアップ委員会を設置し、過去問 題、あるいは公募問題等のブラッシュアップをお願いしています。  対象となる問題は、大学から集めた公募問題、それから過去問題を中心に現在行って おります。公募問題については、平成12年度から、おおよそ1大学あたり8題というこ とでスタートいたしましたが、年間に600題あるいは800題程度しか集まらないというこ ともあり、今年度から全体で3,000題程度、各大学には40題程度の公募をお願いしている ところです。こういったものも、公募の状況、内容等を踏まえて拡大していけるところ があれば、どんどん拡大していきたいと考えております。  2頁ですが、大学の公募と並行して、特に臨床実地問題等をブラッシュアップすると きに、過去の問題というのは、視覚素材を1度見せてしまっていますと、同じ視覚素材 を解くのは非常に簡単であるということもありますので、過去問のブラッシュアップに 必要な視覚素材の募集というのを、臨床研修病院にご協力をいただいて募集したいとい うことで、いま現在その作業を進めているところです。  こういった大学からの公募、あるいは臨床研修病院からの視覚素材の募集、過去問の リバイスといったことを通じ、プール制に必要な問題をプールしていくということです 。予定としては、平成14年度から平成16年度までの3年間で、1万題の問題はプールし たいということです。併せて国家試験における試行的な出題を通じ、そういったプール 問題、公募問題等々の質の評価をしていきたいと考えております。  その全体をまとめたものが3頁の図です。大学からの公募、あるいは臨床研修病院か らの視覚素材の募集、過去問のリバイス、その他としてそれ以外にもいろいろな問題が あるかと思いますので、試験問題の素材を確保し、ブラッシュアップ委員会で選定、あ るいは修正をしていただき、3年間で1万題をプールし、併せて問題の質の評価もした いということで、現在作業を進めているところです。  資料5ですが、この検討委員会は基本的に医師国家試験の今後のあり方をご検討いた だくわけですが、当然卒前、卒後といろいろな変革の時期ですので、全体の国家試験に 関連する周辺事項を資料5にまとめました。1番は「卒前教育の状況」です。平成13年 度にモデル・コア・カリキュラムが策定され、平成14年度から各大学ごとにカリキュラ ムの改革が行われ、新しいモデル・コア・カリキュラムにある程度則ったような形で、 大学の教育が行われていると聞いております。  併せて臨床実習開始前の共用試験の準備が、平成13年度から進められ平成14年4月に 共用試験実施機構が発足しました。共用試験の本格的な開始、実施時期は平成17年と聞 いております。その共用試験、いわゆるモデル・コア・カリキュラムに則る形で教育を 受け、共用試験を経験した第1期生の卒業が、平成20年春と聞いております。ここでご 検討いただく、新しい国家試験制度の4回目の受験者に、そういう方が受験してくると いう関係になっております。  医師国家試験改善検討委員会は、先ほどご説明させていただきましたとおり、平成14 年度に報告書をまとめていただくことになっております。平成15年度には、国家試験の ガイドラインの改訂をさせていただきたいと考えております。この2つを踏まえ、平成1 6年度、つまり平成17年の春から新しい、ここでご審議いただきました内容を反映した国 家試験を実施させていただく予定になっております。  卒後臨床研修のほうは、平成16年の春に必修化がスタートいたしますので、卒前、国 家試験、卒後臨床研修の関係をスケジュール的にまとめました。事務局からの説明は以 上です。 ○黒川座長  ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問はございますか。平成17年 から、これに従った形式を入れながら、国家試験をしようということですが、平成16年 から卒後臨床研修の必修化が入っていますし、文部科学省でやっている、臨床に入る前 の共用試験といいますか、基礎から臨床へという、内部で自発的な試験をやろうという 話です。  これは、基本的にアメリカの制度のUSMLEというパートワンが向こうの大学は4 年間大学へ行ってから4年間行くわけですけれども、最初の2年間の基礎コースが終わ ったときに、臨床へ行く前にそういう共用の試験をやる、というのがステップIです。そ れが終わってから、クリニカルクラークシップへ行って、それが1年終わったところで ステップIIを受ける。それが終わって1年間臨床研修に入って、インターンが終わった ところで、ステップIIIを受けて、初めてライセンスをアプライできるという格好になっ ています。  それと同じように、各大学の基礎の人たちの、臨床に入る前にどのぐらいそういうこ とができるのか、ということの試験をしましょうということで、これは自発的にやると いう格好でやらせようということです。  本日は、自由に先生方のご意見をいただき、問題点を指摘していただきながら、どの ように対応するかということが1つです。そのほかに、具体的に何かプロポーザルがあ るかということなのですがいかがでしょうか。  私個人としては、前回これをやらせていただいたときも、USMLEをやっている方 2人に来ていただいて、向こうでいまやっていることのプレゼンテーションなどをやっ ていただきました。それによって、どんなことをやっているのかということがすごくよ くわかりました。どういう問題を抱えているか、どんなことをやっているか、うちとは どのぐらい違うのか、同じなのかという話もよくわかってきますので、またそういうこ とをやってもいいかなという気もします。  それは、予算と向こうの都合があります。2人呼んだときは、1人はドクターで問題 を作ったりしていました。パートスリーのチェアマンを6、7年やっている人で、内科 医としても非常に素晴らしい人で、私もよく知っているので、彼に「来てくれる?」と 言ったら来てくれて、いろいろプレゼンテーションをしてくれました。これからは、コ ンピュータでエマージェンシーなどのケースもそうやってインターアクティブにやれる ようなプログラムをやろうと思っているのだ、という話でデモンストレーションをして くれたりしました。  もう1人はUSMLEそのものに勤めている人で、USMLEにはフルタイムで6人 ぐらいサイコメトリシャンという人がいて、データをどんどん分析してフィードバック させるということをやっている人がいて、その方にも来てもらいましたら、どういうこ とをやっているのか、ということがよくわかりました。いろいろな意味で参考になった かと思います。  局長がおっしゃったように、なにもアメリカの真似をする必要はないのだけれども、 最近アメリカではエンロンとかワールドコムなどの問題があるけれども、少なくとも社 会に対しては非常に開かれて、質を保証しようという努力については、よその国よりは はるかにやっているというのは確かです。取り込める取り込めないは別として、いろい ろ参考になることは多いのではないかと思いますので、そういうのを企画したらどうか ということがあります。 ○櫻井委員  将来の話ではなくて、いまのことでプール制を導入しようという方向で、試験問題を 返さないというところは、プール制が完全に導入されて、出来上がった段階ではそうで はないということなのでしょうか。出来上がっても、問題は返さないのですか。 ○黒川座長  そうでしょうね。 ○櫻井委員  プールされた問題は、ずっと公表されないのですか。私は前回出ていないのでわから ないのですが、プール制というのは、たとえばアメリカの十何万は公表されているので はないですか。 ○黒川座長  されていないと思います。されていないけれども、受験生から問題をいろいろ貰って きて、それをパブリしている会社はありますが、それはお金を払っているのかどうかは わかりません。ただ、試験をやっているほうとしては、そういうことに責任を持ってい るわけではないということです。USMLEパートワンの問題集1500とかいろいろな本 が出ています。 ○櫻井委員  プール制が導入された形だと、そこから試験問題が出る可能性が出てきますよね。プ ール制というのは、十何万出きてしまったら、それを全部公表してしまって、その中か ら出るよ、という話をするのかと思ったのですけれども、そうではないのですね。 ○黒川座長  そこまでやると、いつも試験問題ばかり勉強している、という話でもいいのだけれど も、それだけやればテキストブックの隅から隅までやったのと同じことになるのではな いかと思います。 ○櫻井委員  それだけの量があればいい、という考え方ではないのですか。 ○医政局長  私も櫻井先生と同じような考え方だったのだけれども、ちょっと暴論だと言われまし た。アメリカもそうではないらしいです。昔、私はECFGというのを取ったのですが 、あれは全部出ています。あの中からは出ていたのではないでしょうか。あの中から出 るというふうに聞いたような気がします。 ○櫻井委員  昔のECFGはそうでした。私は、それをイメージしてしまったのです。つまり12万 題あれば、これは資格試験だから、12万題のうちの8割とか9割とかできれば、それで 資格としてはいいのではないか。それが12万がいいのか、15万なのか、20万なのかはわ かりません。 ○宮坂委員  プール制がわかりにくいのだと思うのですけれども、4題択一の問題1つとしてプー ルがあるというよりは、たぶん選択肢が12万あって、それを全くランダムに組み合わさ れるというふうに考えると、おそらく問題を公表してもあまり意味がないということが わかるのだろうと思います。  私は、アメリカの専門医試験のモルモット役をやったことがあります。外国人の医師 としてどの程度できるのか調べられるモルモット代わりで何回もそれをやりました。敵 ながら天晴れというか、なかなかよくできています。過去にできた個々の問題は乱数で 出てきますので、そういう意味では本当に問題を公表してもあまり意味がないと思いま す。  しかも、いまではそれぞれ隣で受ける人同志で違う問題が出題されるわけです。それ でありながら同じ点数が出るという形ですので、今までとは考え方が違うかなと思いま す。ただ、逆に言うと非常に過去の出題も生きますし、意味のない問題は淘汰されます ので、良い問題が残るという意味で非常にいいと思います。こうした形式は何十年もや られてきています。 ○黒川座長  問題をプールしたからといって、どんどん変わっていくところについては、先ほど言 ったようないろいろな委員がいて、それを毎年チェックする。だから、それは公表して も意味がないわけです。それは選択肢を変えるとか、問題の形式を変えるとかどんどん 変わってきています。 ○櫻井委員  公表していて、変わったものをまた公表されるということで、意味があるかどうかは 別として、公表するしないには、その2つの道は違うと思うのです。ブラッシュアップ されたものが、毎年公表される。つまり12万題のうち、1万題は変わりましたよとか、 1万題はこういう問題がというところが、公表されていればわかるけれども、それがい いかどうかはわかりません。それは、変えるから意味がないとかあるではなくて、どう いうふうにするかというやり方の問題の議論だと思います。 ○黒川座長  つまり、その試験を提供する人たちがどれだけセルフコントロールをしているかとい う信頼感があるから、そういうのは出していないのだろうと思います。 ○相川委員  まず、USMLEのアメリカに関しましては、黒川座長がお話になったとおりです。 実は今年厚生科学研究費補助金で、「良質な試験問題作成とプール制導入に係る研究班 長を私がいただきまして、3月8日にフィラデルフィアのUSMLEを実際にやってい る団体であるナショナル・ボード・オブ・メディカル・エグザミナーズという所に行っ てまいりました。そのときにはそこのメルニック所長及びその他副所長を含めて合計4 人の方といろいろなことについて話をしてまいりました。  事実関係だけ報告させていただきますと、確かに櫻井先生のおっしゃるようなプール 制というシステムの中で、それを公開するか公開しないかというのは、どちらがいいか 分かりませんし、ここでまた、これから議論をしていくとして、現在のアメリカの方法 は公開していないのです。しかしながら、コンピュータではサンプルの問題というのが 出ていまして、このような問題がサンプルであるということは公開されているのです。 ただ、全部の問題は公開されていません。今回、USMLEの問題を買いまして、それ をまた評価した報告書が、この次の委員会に出るのでしょうが、そこを見ますと、実際 にUSMLEで何をやっているかというと、プールの中からアトランダムに問題を構成 していくのです。まずもって日本と違うのは、日本は8千〜9千人が全く同じ日に試験を やるわけです。その方法ですと、こういう問題が出たというのが別の人に漏れないわけ ですが、米国ではそういうのではなくて、年に何百日か、自分が会場に行って、手続を するとコンピュータの前に座って、1人で好きな日に試験を受けられます。そうします と、全く前と同じ問題が出れば、その次の人にこういう問題が出たということで分かっ てしまうからミックスしているということです。  今度はいろいろな形でミックスして出題して、それに対する解答をコンピュータで分 析して、我々が買った問題の中にも3回から4回の過去の履歴が全部書いてあります。 そうしますと、この年のこのときに出したという履歴が4回ぐらいあり、まず時系列に 見て正解率が上がっていくかどうかとか、あるいは時系列に見て識別指数が変化するか どうかとか、そういうことが全部データに取ってあるのです。  その中で、今度は何回か使った問題に関して、これはもう古くなったから捨ててしま う問題と、ブラッシュアップしてもう1回使う問題とに分け、またプールに入れるとい うこと、これがまず事実関係です。ですから、私自身も12万題ぐらいもあれば全部見せ てしまって、それを勉強しなさいと言って、その中で出る確率は非常に低いのだから、 という方法も悪くはないとは思うのですが、それといまのプール制とは別のディスカッ ションかと思います。 ○櫻井委員  いまのプール制とおっしゃったけれども、試験の方法、つまり年に1回やるという日 本の制度を変えるということまで含めてプール制であれば分かるけれども、その議論は していないわけです。むしろ受験回数の制限というようなことを報告書は書いてある。 つまりそういうことを一方で言いながら、アメリカではいつでも受けられるからという 話は、プール制をそこに持ち込むのなら分かりますが、そうでないのだとすれば議論に 矛盾がある。年に1回やる制度の上でのプール制ということで議論されたのであれば、 アメリカがどうだとかという議論をする必要はないはずなのです。プール制は何の意味 があるかということで、年1回やる制度を変えるとかということは、どこにも書いてい ないのです。そこのところの議論は分けないといけないと思います。これはそこの議論 をしたわけではないのでしょう。年1回をやめて、いつでも受けられるアメリカのやり 方を導入する。だから、プール制という議論をされたのであれば、いまのところはよく 分かります。 ○黒川座長  そうではないのです。 ○櫻井委員  そうではないのですよね。それだったら、日本のプール制はどうかということの議論 で言ってくれないとおかしいのです。 ○黒川座長  だから試験は1回だけだという話は、何回もできるようになったのはコンピュータ技 術が増えてきたからそういうふうになっているわけで、そのときにマルツクリに受けて も同じ質を保障できるということに私は自信があるからやっているわけで、できなけれ ば言わないです。 ○櫻井委員  ですから、日本でもそれをやろうということを議論するのであれば、その方法も議論 しなければいけない。 ○黒川座長  それは議論していないだけの話だろうと思います。 ○櫻井委員  だから議論していない段階で、アメリカではやっているからこのプール制は公表する のは無理だという議論をするのはおかしいということです。 ○黒川座長  そうではなくて、プール制はそういう意味でやったのではなくて、問題の質をどうい うふうに保障するかというのには、これがいちばんいいということでやっています。 ○櫻井委員  それはだから賛成なのですが、それを公表するしないの話の議論をいまはしているわ けだから、年1回の試験制度でないから公表できない、というのは議論として成り立た ないと言っているのです。 ○相川委員  私も日本において公表するのは反対、という意味で言ったつもりはないのです。向こ うでの事実関係を言って、それがいいかどうかに関しては、日本なりに検討をこれから していく必要があるのではないかと思っています。 ○櫻井委員  もう1つ、先ほど黒川先生が、プール制にした上で試験問題を返さないという理由の 2つ目に言った内容で、委員に伝わらないからどうという話は、それは本人に返すとか 返さないとかの話とは違う話なのです。返したとしてもそれがどの程度の識別率でどう ということは、もともと伝わっていないのですものね。 ○黒川座長  フィードバックがなかったというのは、試験の作り方としてで、同じ委員がまたその 次の年もやるわけだから、フィードバックがないのなら、こちら側としてはちょっと片 手落ちだったという意味です。 ○櫻井委員  それは本人に返すという問題とは別の問題です。 ○黒川座長  それは全然別です。 ○櫻井委員  だから、先ほど返さない理由として2つおっしゃった、2つ目にそれを上げられたの はおかしいなと思います。 ○黒川座長  いや、ただそれが作る側にはもし必要であれば見せるなり、誰が作ったかは別として 、こういう問題は悪い問題のエグザンプルということが、やはり作るほうに伝わらない という意味です。 ○櫻井委員  それは受験者に問題を返す問題とは別問題なのです。 ○黒川座長  そうです、全然別問題です。そのほかにはいかがですか。 ○宮坂委員  いまの返す返さないとはちょっと違うのですが、プールを実際にやるときに、具体的 にどういうふうにやろうとしているのですか。例えば専任の職員がいて、1年間これだ けを専従してやっているシステムと、片手間に大学の教授がやるのとでは随分違うと思 うのですが、その辺はどうなっているのでしょうか。 ○黒川座長  これは非常にいい質問です。同じ大学の先生だと、大学でいわゆる卒業試験問題とか をいろいろ作っておられる人がいて、大学の中に卒業試験問題の担当をしている先生が いることもあるのだけれども、実際にはそういうのにすごく問題が多いのです。実は卒 業試験をやっている人たちだと、大学病院の先生は非常に悩ましいところがあって、そ れぞれの先生が作ってきます。例えば泌尿器科、麻酔科、内科とかいろいろ作ってくる と、その先生たちは大体国家試験と違って卒業試験だから、国家試験のことは無視をし て作っている人もいるし、だけど、学生としては卒業試験を受けるまでは、国試のほう も手につかないということになってくるわけです。そうすると、何のために試験をして いるのだという話になると、やはりお医者さんとして必要なミニマムはどこなのかとい うことで、大学の先生が問題を作っているのか、自分が教えたことをどの程度理解した かということを試験したいのか、という話になります。  そうすると、自分が教えたいことがどうしてそれが標準かということが分かるのかと いうことを大学の先生には聞けないではないですか。これは結構悩ましいところがあっ て、ある担当の先生は、「これはブルーブックにも全然関係ないし、ちょっと変えてく ださい」などと言うと、「教授のやつ、何を言っているのだ。これが私の問題だ」とい う人はいくらでもいるわけで、そういう問題はあります。  卒業試験というのは、特に臨床の部分は「何のためにやっているのか」というのが先 生によって少し違いますから、その辺が少し問題だなと思います。学生さんとしては先 ほど局長がおっしゃったように、学生としては、あるいは医学部としてはどういう学生 を社会に出すかということからすると、そういう問題でいいのかという「問題が問題」 になってくるのではないかと思います。  つまり、ある意味では卒業試験が目指しているクリアするレベルと、国家試験がクリ アしようと思っているレベルが非常に近ければ、学生は余分な心配をしなくて一生懸命 クラークシップなり勉強なりに打ち込めるのだけれども、いまのところは試験で常にや っているから、どこの大学に行ってもそうです。大体6年生になると、もう夏以後は国 家試験の受験勉強になってしまって、臨床も何もないというようなことは非常にまずい と私は思っているのです。だから、普段のクラークシップなり何なりをやっていれば、 自然に国家試験が通るような格好にしてもらいたいと思うし、そうすれば卒業試験は何 のためにやるのかという話が必然的に出てくる性質のものだと思います。 ○木村委員  いまの黒川座長の発言にも関係ありますが、資料2のところで、医師国家試験改善検 討委員会報告書の中の目次の次の1頁ですが、その下から11行目ぐらいから「医師国家 試験に関しては医師国家試験評価委員会、全国医学部長病院長会議、医学教育学会、医 師の需給に関する検討会等から種々の要望が提起された。」と書いてあります。これは ちょうど大学の教育する側の要望、あるいは国家試験側の要望といろいろあるかと思う のですが、医学教育学会からも何か要望が出たように書いてありますが、いまのお話に よりますと、6年生以降は国家試験だけに集中しがちであって、卒業試験といろいろな 乖離が起こっているというようなお話をいま座長がお話になりました。この国家試験と 医学教育との関係は基本的にどういうフィロソフィーでつながっているのかということ について、この報告を書いた方々はどういうふうに思ったのでしょうか。その点につい てお伺いできればと思います。  例えば先ほど木村専門官の話によると、新しい教育のシステムが16年の春から取り入 れられます。それに伴って国家試験が変わってくるのか、国家試験に伴って、医学教育 のほうも変わってくるのか、その辺の関係が例えばこういう席に文部省の医学教育専門 の方々がおいでになって、ここで話していることをある程度聞くような形を、これらか は取っていかなければならないのではないかと思うのですが、そういう基本的なことは どうなっていますか。 ○木村専門官  医学教育課の担当者にも出席していただいていますので、そこは連携を取っていると いうことです。あくまでも国家試験は、医師として医師免許を与えてもいいか否かとい う能力を見ていただくということで、当然どういうところを出題範囲とするかというの を決めていただく際には、多くの大学の先生に入っていただいてご審議いただくわけで すから、普通は実際に教えているところの中で、本当に必要なところ、問わなければい けないところを国家試験に出していただく、出題基準に定めていただきます。ですから 、全く相矛盾するものではなくて、お互いに影響しながら、大学で決めるカリキュラム なり、国家試験を作るときに定めるガイドラインなりというのが定められていると理解 しております。全く乖離する中で作られているということではないということです。 ○木村委員  例えばこの要望というのは、医学教育学会などというのはどういう要望が出てきてい ますか。 ○木村専門官  医学教育学会からの要望がいま手元にございませんので、次の機会にまでご用意させ ていただきたいと考えております。ただ、毎年全国医学部長病院長会議のほうからは、 最近ですと秋ごろ、夏の終わりごろに、その年の国家試験についてこうだった、ああだ ったというご批評をいただくということになっておりますので、それも併せてご提示さ せていただきたいと考えています。 ○木村委員  私は専門外の分野なのですが、結局黒川先生の言われたように、医学部で教育を受け て勉強していれば、これは当然国家試験が通るというように我々一般の医師でない者は そう思うわけです。特別に試験のためにエネルギーを集中させて、医学教育のある一定 期間以降、6年以降が非常にそのために阻害されるようなことになると、これはやはり 困ると思うのです。ただ、法学教育などにおいても、司法試験のための予備校化みたい なものがあって、やはり確かに学部での教育にいろいろな障害が起きているケースもな いわけではないのですが、生命を預かる医師になるための資格試験である国家試験に、 医学部の教育をきちんと受けていれば通るようなシステムがなぜできないのか。その辺 のところはどうしてなのでしょうか。 ○黒川座長  それはいろいろ言いたいことはあるのですが、やはり日本の歴史というのはそうなの ではないですか。つまり、木村先生はそういうことをよくご存じだと思うのですが、要 するに国の試験が受かっているかどうかで資格が決まってしまうという国なのです。そ れは明治維新以来仕方がないのだけれども、それでは日本のいわゆるハイクラスのキャ リアというのは、普通はいい大学に入るという試験に受かればいいわけでしょう。その 後は勉強する必要はないのです。そして、さらに先生がおっしゃったように、弁護士に なるとか、国家公務員の上級試験にという、その試験を受けるだけの話でしょう。だか ら、ある程度頭がよくて、勉強するという集中力があって、試験を受けたときに場慣れ していて上がらないということがすごく大事なのです。だから、試験の偏差値もそうだ けれども、それで3割くらいは場慣れしていて、上がらないというのがすごく大事で、 ちゃんと前に下見をしておくとかという技術もあって、そうすれば上がらないでしょう 。もう1つは試験が出たときに、難しい問題は飛ばして、優しい問題から問いていくと いうテクニックも大事なのです。偏差値のうちの3割ぐらいはそういうテクニックだと 私は思っているのですが、その2回の試験で人生が決まっているのです。違いますか。 だから、大学に入って一生懸命に勉強するというインセンティブなどはどこにもないの です。だからそういう人だったら、先生がおっしゃるように大学に行って、授業を受け ているよりは、最後の6カ月試験の予備校に行ったほうがいいのです。そういう子は受 かります。そういう世の中だったのではないかというわけで、ある所で今度書こうと思 っているのは、1つは、何でもそうだけれども、非常に国がコントロールして、すべて 手取り足取り面倒を見てくれるというやり方と、もう1つはマーケットドリブンの需要 の側が勝手に決めていくという、かなり自由な競争をする社会と両方あるのですが、も う1つ大事なのは、それぞれのプロフェッショナルコミュニティ、大学もそうだし、お 医者さんもそうだし、という人たちが、自分たちが常にクォリティ・コントロールしな がら、社会に対してアカウンタブルですかという話をしているような社会、その3つが なければいけないと思うのですが、そのバランスの問題です。だけど、やはり日本はま だ近代化して140年しか経っていないから、そういうのがないではないですか。そこに問 題があるのだとは思っているのですが、だから先生がおっしゃるように、お医者さんの ほうが教育をして、ちゃんと社会にお医者さんとしてここまでくれば大丈夫と、自然に どんな試験でも受かりますと。だって試験問題を作っているのは大学の先生辺りなのだ から。そういうふうになっていれば、あまりこんなことを議論しなくてもよかったと私 は思っています。だから、いまはそういうプロセスなのではないでしょうか。 ○櫻井委員  だから話をまた元に戻しますが、先生がおっしゃったことの弊害を防ぐために私はプ ール問題で、オープンのプール問題ができるのだと思っていたのです。例えば12万題な ら12万題の試験さえすれば、何もそれを6年生の6月からやることはないので、やりた い人は1年生からでも、高校時代からでも12万題の問題が分かっているわけです。それ で、大学が教えるときも、別に試験問題を教える必要はないけれども、大学の先生はな ぜこの問題がプール12万題のうちかといったら、散りばめられながらの教育で、意味を 教えればいいのです。中には12万題のうち、この問題は意味は分からないけれども、正 解がAで、次はBだと12万題を覚えられる人がいるかもしれないけれども、そういう人 はそれだけ記憶力があれば、特殊能力としてそれで通してあげてもいいと思います。し かし、普通はこの問題にはどういう意味があるかというのを医学部のうちに教育されて 、「ああ、なるほど、そういう意味なのか」といって覚えておいたほうが、絶対に12万 題を覚えるのには楽なわけです。そうすると、変なことをしなくてもいいし、伸び伸び と本当の教育ができる。もちろん大学独自が、卒業試験というのが各大学でどういうよ うに行われているかは分からないのですがそれは各大学の独自性があっていいと思うの です。それだからこそ各大学が違うのですから、ものすごく難しい卒業試験をやって、 これができない者はうちの大学を卒業させないという大学があっても結構だし、それは もう独自性だから、非常に面白いと思います。それでユニークな所を作ればいいのです 。それが先生の言うバランスなので、国家のいまのやり方を根本的に変えて、アメリカ の方法を入れようという話をこの委員会でするわけにはいかないのですから。いまの制 度の上でどうするかを議論して、それにはそこの12万題のプールを公表してしまって、 それこそアカウンタビリアンで全部出して、これを一生懸命に勉強して、分かってくれ れば医師にはなれるのですよというほうが、よほど透明性もあって分かりやすいと私は 思ったので、そういうように理解していたのです。だから、それが違うのであれば、私 はもう一遍議論し直してほしいと思います。 ○黒川座長  それはまた別の議論でするのは結構です。 ○小泉委員  黒川先生が先ほど言われた大学教育と医師国家試験というのは随分違うので、うちの 大学でも2回も勉強しないといけないと、評価するときに非常に迷っているところなの です。大学というのは高等教育ですから、何も国家試験が受かるための教育をする必要 はないという発想の先生方も随分おられますし、最近は教授というのは業績業績なので 、例えば生化学の教授でありながら、生化学を教えられない先生が現実には結構おられ るのです。ですから、高等教育は高等教育でそれでいいと思いますし、国家試験という のは最低限普通に勉強していたら受かるレベルの試験でいいと思います。  それはそれとして、私はこの資料4の1頁、全大学で1年間3,000題といいますと、3 年間で1万2,000題、医師国家試験委員ですら何問か作って良質問題は、半分から3分の 1です。そうすると、1万2,000題集めて、プール制を導入するときに、1万題だったら 、各分野に分かれますと13分野ありますから、1領域で1,000題以下です。800題ぐらい だと、大体問題の中身が収斂されてきて、そのうち500題ぐらいを一生懸命に勉強すれば できそうなので、現実的には5,000題ぐらい勉強すれば通るというような、ちょっとプー ル制を導入するには、1万題は少なすぎるのではないかと私は思います。 ○黒川座長  それはそうだと思いますから、そこまでは、そのぐらいはまずしなくてはという話を 行政サイドは考えているのです。 ○小泉委員  ということはプール制と両方やるという意味なのですか。プール制も一部導入という 意味なのですか。全部がプール制なのですか、その辺を教えていただきたいと思います 。 ○木村専門官  現在行政が取り組んでいるのは、前回の報告書に基づいて、まず問題をしっかり集め るということをさせていただいています。現在の目処としては3年で最低でも1万題は 集めたいと考えています。それが集まったことを前提にどうするかというのを、ここの 委員会でご審議いただきたいということです。  先ほど櫻井先生のほうからも、公表とか非公表のことについていろいろとご意見をい ただいておりますが、過去同じような問題を2回、3回使ったような事例もありますの で、そういったところのデータを精査して、公表するとすべてがそうなるというわけで はありませんが、公表したときに想定される事象をある程度データに基づいてご検討い ただいたほうがよろしいかと思いますので、その辺りはデータをきちっと整理させてい ただいて、公表の場でご提示できるかどうかは分かりませんが、データの下にご議論い ただければと考えております。 ○黒川座長  やったところで受ける人は毎年違うわけだから。 ○櫻井委員  そういう意味で同じことを言って申し訳ないのですが、公表しないということでプー ル制をやろうとするから大変なので、公表するということを前提にやれば、もう過去96 回も国家試験をやっているのですから、過去の問題は全部使えるわけです。もちろん時 代が変わってしまって、まるで医学が変わったものもありますから、それはブラッシュ アップというか、誰かが見直さなければいけないでしょうけれども、むしろ見直しだけ をやればいいので、96回分を全部出して、もちろんその中で半分以上は使えないかもし れないけれども、それだけでももうすでにプールはあるのです。それが本人に返してし まったものはきちっとした形で印刷されているものなので使えないと。先ほど黒川先生 が言われたように、どちらかというと良い問題はそちらに入っている可能性があるので 、そこを同じものは出してはいけないといって捻るものだから、だんだん変な問題にな っている可能性があるくらいで、もう一遍根本的に見直せば、少なくとも最近の20〜30 回分の中には、相当使えるものがあると私は思っています。その良い問題をプールすれ ばいいです。それは公表すればできるのだから。 ○黒川座長  それは使っています。だから、いまは公表するかどうかという話は別に置いておきま しょう。なぜかというと、その公表すること自身の問題が何かという話になってしまい ますから、それはちょっと置いておいて、どういうふうに持っていくか。プール問題を 増やすというのはすごく大事なのですが、その増やし方が各大学で違います。卒業試験 の問題というのは各科の先生が毎年多分50題ぐらいとか作っているのです。それを全部 もらってしまってもいいのだけれども、もちろん先生方としては大体似たようなところ だから、かなりダブってしまうので、その辺の整理をするのは誰かというのと、それを すでにチェックしているワーキンググループを、もう少し若手の教育に熱心な人にやっ てもらうのがいいのではないか。みんな忙しいから、それを常時やっているというのが すごく大事だと思うのです。といって、またここにきて集まっていただくのも大変だけ れども、それぞれのワーキンググループが、例えば泌尿器科であれば、泌尿器科の問題 をサッとほうぼうの大学から集めてもらって、その中を1回整理して、事務的にカテゴ リー別に、ブルーブックに従ってやると、たくさんの選択肢といろいろな似たような問 題が出てくれば、それを3つか4つの問題に整理するということは、若手の人にやって いただけるのは年がら年中やっていれば比較的できると思うのです。そうすると、年が ら年中ここに集まっていただくわけにはいかないから、そういう人たちにはメーリング リストとかコンピュータの上で幾つか直しながら、また集めるということをやっていて もいいのだけれども、そうすると、今度は秘密の問題が出てくるとか、という技術的な 問題が出てくるかということを、どの辺までやればいいか。そのほうが問題が早く集ま って、クォリティは早く良くなってくるだろうと思います。  もう1つは、もちろんそれぞれの先生が好きなことを教えるというのはかまわないの だけれども、お医者さんという職業人を社会に出すということからいうと、あるレベル にはみんな達していなければいけないので、最近クラークシップだとか、共用試験とい うような話がせっせと出ているのは、やはり先生側の理屈だけでは通じないのではない かというのが、社会的な要求になってきたからでしょう。  もう1つは、どこの大学でもやはり最後の夏以後はもうみんな国試の準備と卒業試験 の準備になってしまって、卒業試験と国試のところがあまりにもディスクレバントな大 学は、みんな生徒がイライラしてノイローゼになっています。卒業試験が終わらないと 国試の準備ができないとなりますから、先生がその辺のことを分かっている問題を作っ ているのであれば、全然心配しないで両方やっているということになります。だけど、 それを先生のほうも十分に意識していれば、普段からの勉強だけで試験勉強などしなく ても試験に受かるようになってくれればいちばんいいと思っています。 ○櫻井委員  先ほど先生がこの委員会に誰かを呼んで意見を聞くというようなことをおっしゃった のですが、もしそういうことをするのであれば、先ほど先生がおっしゃったようなこと は教授側の話で、受験者側の立場というのでしたら、最近国試を受けた人たちに意見を 聞くべきだと思うのです。自分たちが医学部を出て国家試験を受けてどう感じたか。た しかいま先生がおっしゃったことは教授側からおっしゃったのだけれども、「黒川先生 が教えてくれることは試験問題には関係なくて、・・・・・・。」というようなことを 、本人たちから聞くのがいちばんいいかなと思うのです。  あるいは彼らがどういう国家試験にしてほしいと思っているかは、やはり聞くべきだ と思います。少なくとも改正されて3年ぐらいだから、そのくらいに受けた人たちから 何人かをピックアップして、ここに呼ばなくてもいいと思います。呼ぶとなかなかこう いう偉い人たちの前では言いにくいと思うので、何かの形で意見を求めたらいいと思い ます。 ○黒川座長  いろいろな意見を求めることは大事です。 ○櫻井委員  何かの形で意見は求めたらいいと思います。 ○黒川座長  それは結構だと思います。 ○櫻井委員  それはアンケート調査みたいなものでもいいと思うのです。正直な答えが出るように 、ここへ呼んで話せというと、こういう大教授の前では、みんな嘘を言って、非常によ かったとかと言うといけないですから。 ○黒川座長  確かに今度の共用試験が入ったということの1つのメリットは、臨床系の人は比較的 社会医学の一部の先生もそうだけれども、国家試験という1つのバーがあるので、ある 程度臨床で教えることの内容というのは、そこに合っているに決まっているのだけれど も、だけど基礎の先生だと、あまりそういう国家試験という客観的にパスしなければな らないものがないので、自分の得意なところだけ話して、そこから問題を出して、合格 としている人が結構多いのです。そうなると、大学によってはその辺の知識のばらつき がものすごくあって、ということが常にあるわけで、自分の研究のところは面白いなど とどんどん話している人もいて、学生としては非常に不評な人もいるし、その中で一部 面白いという人もいるのはいいのだけれども、共用試験ができたということは、やはり 基礎は臨床にいくファンデーションとして、ここまでやってくださいということを、む しろ基礎の先生に枠をはめたというか、そこだけはやってという話をしている意味では 、一歩前進したのではないかと思います。 ○相川委員  いまのご意見に関連してなのですが、何もすべてアメリカの方式がいいわけではない のですが、今度の委員会の検討でも、先ほど良質な試験問題作成とプールに関する委員 会の検討でも、画面で公表されているUSMLEのステップIとステップIIと両方に対し て委員が評価したのです。私もそれを見たのですが、なるほどやはりいいことをやって いるなと思ったのは、確かにステップIの問題は、今度の共用試験にほぼ該当する問題で 、まずステップという言葉が非常にいいですね。はっきり言うと、ここまできたら次の ステップに上がる、そのときの整理だということなのですが、例えば生化学の問題とか 、薬理学の問題とかでも、臨床の側、あるいは将来医療をする側から見た問題が出てい るのです。それであって、例えばこれの構造式はどうだとか、このくらいの分子量はど うなのかとか、そんなことはもう全然聞いてこなくて、臨床に必要な知識としての基礎 の問題を集中して作っているというところ、そのステップを通ればこの次の臨床実地に 学生として参加できるということです。今回、日本での共用試験が入るということに関 しても、国家試験に目指した知識の整理、及びその評価ということでは非常にいいこと だと思います。それが行われてくれば、今度は国家試験の段階で、これはステップIIに ほぼ相当するような段階ですが、それが非常にうまく知識が集約してくるのだろうと思 います。 ○黒川座長  確かに櫻井先生がおっしゃるように、何もアメリカの真似をすることはないのだけれ ども、一応そういうことを知った上で、いいところは取り込むというのがすごく大事な のではないかという意味で言っているわけで、お医者さんが受けるカルチャーというの は国民によっても違うからということは大事ですけれども、やはりそういう意味ではそ れぞれの国がそれぞれの伝統と歴史と文化で作っているのが、いまいわゆるグローバリ ゼーションになってくると、人がどんどん交流したときに、日本の医者はどういう医者 を育てているのかというのが世界中に分かってきたから、それではどうして育てている のかということを参考にするのは大変いいことではないかということです。 ○木村委員  私もジョージタウンにまいりまして、ケネディ研究所にずっといたわけですが、ステ ップI、ステップIIそれぞれいろいろな出版社から大変に頁数の厚い、カラーの写真が入 っていたり、いろいろな試験問題の本が出ています。私の印象では非常に具体的なバイ オエシックスな面での判断を迫られるような、例えば末期の医療に関するやや長文問題 とか、そういう倫理的な問題が結構出ているのです。いままで2年間試験問題作成を担 当しましたが、一般問題の短い問題を出すような形ですと、そういう問題がどうしても 入りにくくなって、想起型といいますか、記憶したものに答えるような極めて単純な、 解答率が極めて高くなるような問題しか出せない様に思われます。また、もう一方では 長文になりますと、臨床の血圧が幾つで、脈拍が幾つで、といった詳細なデータがある ようなことになります。どちらかというと倫理的な問題について、アメリカでは非常に ステップI辺りで医の倫理の判断を求めているような問題が、極めて増加している傾向に 対して、日本ではどうもそういう中身のある問題ができないようなシステムになってい るのではないかということを、つくづく最近感じています。そういう観点から見ますと 、特に国民の求める質の高い、安心できる医療という点で、おそらく医師国家試験の改 善委員会では、平成11年の報告書の問題意識とは随分違ってきているのだと思います。 いま現実に毎日の新聞で非常に医師のモラルを問われるような、国公私立各大学医学部 並びに病院内で、患者の立場、意向、あるいは人権、尊厳を無視した形でのいろいろな 形の問題点が、厳しく問われる事態になってきているということが、おそらく新しい報 告書の前文に入ってくるのではないかと思うのです。この平成11年の時点でも、あらゆ るタイプの疾病に対応できるような、臨床に関連した基礎科目等の出題及び必修問題を 増やすというような、非常に意欲的な記述にはなっています。しかし、更に医療の現段 階で、国民はやはり本当に誠実な正しいデータの改竄などをしないような、そういう医 療を行う医師、研究者が当然である出てくるように願っているわけです。そういう現在 の危機的な状況の中での、国家試験のあり方というのをどう方向付けていくかという問 題が、やはり非常に大きい問題になってくると思うのです。  そういう観点から考えますと、いままでの医師国家試験の問題に比べて、新しい医の 倫理、患者の人権ということが入ってくるような方向を打ち出したということは、平成1 1年の段階で大変に素晴らしいことだったので、基本的にはむしろ問題の中に柔軟に入れ 込むような形で、いままでのようなカテゴリーの問題でない問題を出すような方向で、 おそらく考えていかなければいけない時代がきているのではないか。それはアメリカが どうとかという問題ではなくて、WHOにしても、医学教育その他については大変大き いいろいろな関心を持って、いろいろな調査をやっていますし、世界的に、国際的に見 て北欧諸国においても、ヨーロッパ諸国においても、医学教育の問題はいま大きな転換 期にあるわけです。これは諸外国の動向を踏まえて、新しい方向付け、特に患者の人権 、医の倫理を踏まえた本当にあるべき医療、いまの現実に新聞面を賑わしているような こういう医者が再びできないような、本当に倫理的にもきちんとした対応ができるよう な、何かそういう大きいビジョンを持った、新しい世紀にふさわしい改善報告というの ができるような方向性が必要ではないかと思います。そういう点で黒川座長がリーダー シップを是非取っていただいて、新しい時代にふさわしい改善計画ができるような方向 に導いていただければと思います。 ○黒川座長  先生は問題を見たかもしれませんが、こういうのを書くと、行政としては言われてい るから問題を必ず何題か入れなくてはならないと、割り当てるのです。だから問題を作 っていただくと、つまらない問題が多いのです。そこに問題があるのです。だから、作 る先生たちの問題は非常にあるなというのが1つと、これが医の倫理とか、医療の安全 とおっしゃるけれども、それは普段学生が誰を見て生活していると思いますか。現場の 先生たちがそういうことをやっていますか、というところで出てくるわけで、これが試 験に馴染むかどうかというのとはまた別の問題なのです。しかし、これは医者に限った ことではなくて、やはり外務省を見たって、みずほ銀行を見たって、みんな同じでしょ う。上を向いていれば、あんな人になってしまうのです。だから、そこにいちばん問題 があるわけで、いまクラークシップとかと言っている話もそうだし、卒後研修でもなる べく卒業した所と別の所でやりましょうというのは、いろいろなロールモデルになり得 る人に見せるのが大事なのではないかということに気が付いているから、それをやろう としているだけです。要するにテストでできるような資質と、実際にお医者さんを育て ていくという私たちの責任というのは、両輪のようになっていくというのがすごく大事 だなと思っています。そういう意味でパートIが入ってきたのは、基礎の教育が現実の臨 床にはどういうところが出てくるのだということにある程度ゴールを設定してくれたと いう意味では、一歩前進したと思いますので、これからロースクールに続いて、今度は メディカルスクールの話も多分動き出すと思うので、そうなったとき、先ほど局長がお っしゃった卒後研修はどういうふうにしていくのかというように、やはりいろいろな先 生に出会うというのが、将来の選択肢として、こういう先生になりたいのだという話で すごくいいと思います。だから、いまクラークシップで、いま学生を主治医にさせて、 ベッドサイドで患者さんを診せるというのは、やはりそういうエシックスの問題、イン フォームドコンセントを現場でやるというようなことを口では言うのだけれども、教え る先生たちが身を持ってやっていないと難しいです。そこでつい何かあったときに隠し ましょうというのが上からくるようでは困るのではないですか。それを試験でしたら試 験では丸を取るかもしれないけれども、やるかどうかは別として、そういうような教育 をよくしたいと思っています。それがどう反映されるかというのは紙で書くのも大事だ けれども、内容をどうするかということはすごく大事です。  もう1つ、私が気になっているのは、禁忌肢、いわゆる地雷をどう考えるかというこ とについて、先生方のご意見をお聞きしたいと思います。禁忌肢があるというのは知っ ているのだけれども、地雷はその必修問題の例えばCとかEのセッションにありますよ ということは書いてあるわけではないから、学生のほうは非常に心臓がドキドキし始め るわけです。そして迷ったときにはこれを踏んだら×になるかもしれないと思うと、む しろ選択しないでその問題をスキップするということもあり得るし、あまり考えすぎて わりによくできる子が間違えてしまうということもあり得るのです。禁忌肢の成績はど うだったのかなというのと、禁忌肢らしくて、そのために必修問題では、丸を付けてい ない答えが、どのくらいあるのかという話を、いずれ聞いてみたいと思うのですが何か ありますか。 ○木村専門官  生データになりますので、次回にご提示させていただきたいと思いますが、具体的に 禁忌肢を導入する前とする後で、例えば分からないようなときにどういう行動を取るか 。いずれかをマークするのか、解答を差し控えるのか、そういったところの情報とか、 あるいは禁忌肢が原因で不合格になる者の割合がどういう程度いるのか、あるいは禁忌 肢で引っかかる方というのは、同時にほかも引っかかっているのか、禁忌肢だけ引っか かるのか、そういったところは事務局で情報を整理させていただいて、後日ご提示させ ていただきたいと考えております。 ○黒川座長  この禁忌肢が入った理由というか、それはこの前の前ぐらいだと思うのだけれども、 一部の委員から、こんなことを選ぶような者は医者になる資格はないのだから、1つで もひっかかったら、もうそれで駄目という意見が結構あって、それで入れたという理由 があるのです。だけど、大部分の委員は実はそんなことまでする必要はないのではない かという話で必須問題になってきているのです。だけど、どこにあるということは書い ていないのです。だけど、受けるほうは多分その辺にあるに違いないと勝手に思ってい るのだけれども、これがその影響かどうかは知りませんが、私はそれを医事課か、前の 局長さんのときにお手紙を出した覚えがあるのですが、普段先生方が教えていると、大 学によって違うけれども、どの大学でも大体合格率はこの辺です。そして、大体卒業試 験とかの成績を見ていると、絶対にここならば国試は落ちないという人が、落ちる人と いうのは大体この辺だなと思っているわけです。そしてね、大体上のほうは落ちないの だけれども、いままでそういう実績がずっとあったのだけれども、禁忌肢が入ってから は、いままでは落ちないような成績のいい人がポロッ、ポロッと落ちるというのがある のです。例えば有名な成績のいい自治とか筑波、女子医大などで、上の70幾つなんて絶 対に大丈夫だというのが、コロッコロッと欠けているのですそういうせいもあるのかな と、そういう子だとあまりに真面目に考えすぎて、迷い出すとこうなってしまうのかな と思っていたのですが、禁忌肢のために落ちたというのではないです。そういうのがあ ると思って、どれが禁忌肢か分からないからというのはあるのかもしれないと思ってい ます。これはデータがないから分からないです。無用な反機材はあまりインポートして はいけないのではないかと思っただけで、必修問題が多くなっているわけだから、いい のではないかと思うのです。  それから、コンピュータを入れるというのはどうでしょうか。ステップIはなるべくコ ンピュータをいずれ使うようにするというのは考えたほうがいいような気がします。 ○相川委員  それはテクニカルに非常に問題がありまして、先ほど櫻井先生もおっしゃったように 、現時点では全国で同日に全員にやるという方法ですね。ですから、そうした場合には やはりかなりテクニカルな問題がありますが、そうでなければ、確かに先ほど先生がお っしゃったような、それはもう根本的に変わった場合ですが、USMLEのような方法 を採った場合には、やはり評価をすることに関してコンピュータを入れ、3問ぐらい答 えたら通してしまうという、答えるパターンとか何かで、この人はできると分かってし まうようなものもあるのです。そして、その次にもう1つ難しい問題をやっていて、ま たそれも正解。では別の分野のこれを当てて、これも正解でと、5問ぐらいやると、も うこの人は合格というようなことをもうコンピュータでやっているわけですから、そう いう点でいいかもしれないけれども、いまはこの委員会ではそこまでは視野に入れない のではないですか。 ○黒川座長  もちろん入れないと思うのだけれども、それにするためにはインフラとかいろいろな ことがあって、コンピュータでいずれできるようにするのであれば、年に20日とは言わ ないけれども、2ないし4回ぐらいは受ける機会があってもいいかなという気もしない でもないです。 ○木村専門官  コンピュータ試験については、共用試験で導入されようとしている、いわゆるCBT 、問題がたくさんあってランダムに選んでくるという形式のものと、実際の模擬患者み たいなものが出てくるようなシュミレーションとがあると考えており、まずシミュレー ションのほうは、ただちにというわけにはいきませんので、厚生科学研究費でどういう やり方があり得るかというのを研究しているところです。それからCBTのほうは導入 するしない以前に、問題がないことにはその前提もないわけですから、まずはその問題 のプールをいまやらせていただいているというところです。仮に問題がプールされたと しても、実地体制の問題ももちろんありますが、その評価が一律に難易度の高い問題が 解けたから50題でいいとか、そこをどういう仕組みでやれば公平にきちっと評価できる のかというところを詰めないといけませんので、そこも研究事業で整理させていただい ているところです。そういう技術的な検討が前提になるのではないかと考えております 。 ○黒川座長  それは多分相川先生はご存じだと思うけれども、アメリカはそういう学問というのが 非常に発達しています。1つひとつの問題の根拠がどういう文献にあって、その文献の 確からしさ、その正解はどういう理由でなっているのかという話をいちいちアナライズ して、コンピュータベースならどういう順番でそういう問題が出てくるのかというのを 、極めて理論的にテストしながらやっているから、それは参考にはなるけれども、それ はちょっと大変です。だけど、いずれコンピュータ化をするという話も考えておいてい いのではないかと思います。  以前に国家試験のこの改善委員会ではいろいろな問題があって、1つは面接を入れろ などと言っていた委員の先生がいて、やはり医者の適性はペーパーでは分からないと言 って、それは確かにそうなのだけれども、そのときにはそういう意見が結構盛り上がっ た時期がありました。局長も聞いたことがあるかもしれないけれども、だけど、一時医 者は紙の試験の勉強ばかりしていて実技も何にもできないというような話で、クリニカ ルクラークシップなど、どんどん入ってきているわけなのだけれども、それで態度が悪 いとか、そういうのもやれとか言っていたのだけれども、しかし、面接を入れろという アギュメントをしていた人が何人かいましたが、私の意見は「先生たちは6年も学生を 預かっていて、そういう人をどうして卒業させたのだ。そっちのほうが社会的に大きな 問題になりますよ」ということです。そんな試験で15分面接をやったって分かるわけは ないのだから、卒業させるほうが問題だと。そういう問題がある人を知っていて受けさ せているのだからだと。だけど、確かに6年間勉強させて卒業させないと、親から何と か言ってくるとかいろいろなことがあるわけです。そして卒業させて、「あなたは適性 がないのだから、受けてはいけないよ」などと言えないではないですか。そこのところ に大学の人たちの社会的な責任がどうするのだ、ということが必ずバックファイヤーす るぞと私が言ったのです。だから、面接ではそんなことはできないです。やはり大学側 で卒業させない内容にすればいいのだけれども、いまの大学の場合は6年間行って、卒 業させないと、高等学校卒業の資格しかあげられない、というところに問題があるので す。普通はだから4年間の大学を出てから医学部のアメリカンスクールに4年来てくれ れば、1つ学位があるからいつでも辞めさせられるのだけれども、医学部の場合いちば ん困るのは、早稲田大学はないからいいけれども、私立大学に6年行って、成績が悪い から「あなたはもう駄目だ」と言って、卒業させないでいると、授業料は幾ら払ってく れたんだという話になってくるのです。これは非常に問題で、学習院などがいいという のは、そういう意味で駄目だったらどんどん辞めさせられるというメリットもあると思 っています。だから、面接などは言語道断というか、大学の人の責任です。ここはある 程度資格の問題です。 ○櫻井委員  それは面接を入れるかどうかの議論としてはおかしいので、それだったら試験だって 同じことで、何を教えて卒業させたのだということになってしまうわけですから。 ○黒川座長  そういうことです。私はそこを言いたいのです。 ○櫻井委員  だからそれを理由に面接が要らないというのは、ちょっと私はおかしいと思います。 ○黒川座長  そうではないのだけれども、テクニカルに難しいし、大学の人はなんて卒業させるの かということです。 ○櫻井委員  テクニカルに難しいというのだったら意見として分かるのですが、大学でそういうも のを、卒業試験に倫理試験というか、態度が悪いとかという試験をやってもともとが卒 業させているのではないわけですから、だからそれを大学でやっているのなら、先生が おっしゃるとおり、なんで卒業させたかというけれども、そうではないわけだから、国 家試験に面接を入れるのは駄目だというのは、時間的な問題とかテクニカルに難しいと かで無理だというのなら分かるけれども、大学がそういう者を卒業させたのは大学の責 任だというのなら、いまのペーパーテストの試験だって、できない者を卒業させたほう が悪いという話と同じになってしまうから、それはおかしいと思います。 ○黒川座長  だから、医学部は医者を育てているのでしょう。医者を育てるのも、その中の1つだ と思っているのであれば、そういう者を育てて出すのが大学の先生の役割ですね。 ○櫻井委員  いろいろな知識だってそういうわけでしょう。医者を育てるというのは医学知識を教 えているわけだから、その中の1つだから、国家試験はそれを試験するわけですから、 それだったらその中に、例えば腎臓について知っているかどうかと同じように、医師と しての態度がいいかどうかも試験問題の1つでなければいけないというふうには考えら れるわけでしょう。 ○黒川座長  それは考え方の問題ですね。 ○櫻井委員  だから、それを理由に面接試験が入れられないというのはおかしいと思います。 ○黒川座長  だけど国家試験でそれをパスさせたから問題だという問題が幾つも起こったから、そ ういう議論が出ているわけです。しかし、国家試験というのは、国がこの人はお医者さ んとして保障していますよ、というようにいま思っているからいけないので、それでは 大学はお医者さんとして卒業させているのか、という話が問題になりはしないかという 話をしているだけのことです。だから、国がオーソライズすれば、すべて国の責任でオ ーソライズしたからいいという、薬と同じことですよ。国が認めたのだから、国が保障 しろというのと同じことかなと思っただけです。そうしたら、卒業した大学を、今度は 卒業させた大学のプロダクトライアビリティはどうなのですか、という話がいずれ出て きますよという話になりかねないでしょう。 ○櫻井委員  それはもう同じで、でもそれは別に態度だけではなくて、知識についても同じことだ と思います。 ○黒川座長  もちろん同じことです。 ○櫻井委員  だから、それを理由に面接が入れられないというのはおかしい、というふうに申し上 げているのです。 ○黒川座長  だけど、そこまで極論にいくと、問題はなんで国家試験なのかという話が今度は出て くるのです。つまり、大学を卒業されるとき、大学の人たちがある共用試験を作って、 これを認めてくださいというのがいいのかなという気もしないでもないのですが、これ は国の関係だから仕方がないと思っていまやりますけど。あまり重い問題ばかりであれ ですが、そのほかに相澤先生いかがですか。 ○相澤委員  共用試験をいま手伝わさせていただいているのですが、学生に非常に負担になるかな と思ったのですが、意外と終わった後に学生からはかなり評判がいいということが分か りました。何回も受けられるチャンスがあるというのは大変いいことだと思いますし、 いまは本当に大学が少し予備校化していまして、学生が予備校に行ったりして、あるい はお医者さんでない人が教えているというようなことが分かって、非常に異常な事態で すので、もうちょっと何回も受けられるようなチャンスがあると非常にいいと思います 。プール制もCBTを前提としたプール制ということを考えたほうがよろしいのではな いかと思います。 ○黒川座長  今日はフリーディスカッションということで、いろいろな問題点があることをみんな は認識していただけたかと思います。ほかに伊藤先生どうぞ。 ○伊藤委員  実際に倫理の問題などを作っていますと、必ずしも正解が1つではない、いろいろな 意見があるような問題が多いので、コンピューターのシミュレーションのようなものを 導入しなければ、先ほど木村先生が言われた問題を技術的に解決するのは難しいのでは ないかという気がいたします。 ○黒川座長  確かにコンピュータというのはテクノロジーの進歩だから、どうやって使うかという 工夫は大事です。 ○小泉委員  大学にほとんど公募問題をお願いされていますが、国家試験のプライマリ・ケアとい う意味では、むしろ大学以外の医療の最先端でやっておられる先生のほうが、いい問題 を作れる可能性、あるいはニーズといったものが了解されているのではないかと思いま す。そういう先生方を入れることはできないのですか。 ○黒川座長  できると思います。 ○小泉委員  そうすると、問題数も増えるのではないかと思います。 ○木村専門官  試験問題の公募先ですか。 ○小泉委員  公募は秘密という意味で問題になるかもしれませんが。 ○木村専門官  それはそういうほうがよろしいのではないかということであれば、今後検討させてい ただきたいと思いますが、前回の報告書をまとめていただいた際には、大学がよろしい のではないかということで、いまは大学に公募させていただいているところです。 ○黒川座長  それからもっと言えば、例えば臨床研修をやっている病院とか、プライマリ・ケアで 開業医の先生もそうかもしれないけれども、問題はやはりいろいろな人から募集して、 それを委員が年がら年中集まる必要はないのだけれども、それを一応吟味して、この辺 は直したほうがいいのではないかという話で、プール問題をどんどん作っていくという のは非常にいいわけで、前のときも、多分そういう病院の先生もいいのではないかとい う話は出ていたと思います。そうかといって、誰でもいいかというと、それでもいいか どうかはちょっと問題かなということは議論したと思います。そして、いろいろ面白い 資料があったら、どんどんサブミットしてくださいという話はしました。そういうとき はレントゲン写真とか、CTは患者さんのインフォームドコンセントは要るのですか。 ○木村専門官  ご提供いただく際には、個人が分からないような形で、それから現在であれば非公開 で、受験問題としては回収するという前提で使われているわけですが、取っていただい た方がよろしいと思います。 ○黒川座長  そうかもしれないですね。それは別にちょっと考えたほうがいいですね。いまは何で もそうですからね。そのほかに先生どうでしょうか。 ○名川委員  今日は総論だということですが、解決しなければいけないのは、CBTを導入するか どうかという点です。それからOSCEをどういう格好で導入していくかというのが第 2点目で、第3点目はいまやっている共用試験との整合性をどういうふうに、あるいは 向こうが整合性を取らなければいけないのかもしれませんが、いずれにしても受ける受 験生は、やはりその流れの中で一環してとらえているものなので、それが全く別の形態 で別の問題でということであってはまずいかなと思います。出題する側は先ほど小泉先 生のほうからありましたが、大体大学の教官に限られてしまう。そうすると、大学の1 人の教官が、これはこの学年のレベルでということを細かく分析して問題を出せるかと いうと、なかなか難しいです。その辺の技術的な問題を、これから話し合っていければ なというふうに思っています。 ○宮坂委員  長年国立病院にいましたが、長く思ってきたことが、今日の櫻井先生と黒川先生との 間の話で出てきて思いました。やはり病院にいますと、大学がもっと責任を持って医者 を教育してほしいなと思っていたのです。でも大学ではできないから市中病院からも試 験問題を集めることにすると、いま現実に確かにそうだとは思うのですが、やはり医科 大学の教育を受ける過程で、自然に医師免許が出るような形にもっていくのが本来では ないかと思います。 ○黒川座長  私もそう思います。 ○相川委員  今回数年ぶりにこの委員会で、平成17年度からの国家試験を目標にして意見を出して いくということですが、この数年間でいろいろ事態が急速に変わってくると思うのです 。ですから、いまのCBTも含めてですが、その辺のところで平成17年から実際にでき ることと、さらに準備を重ねて、その次のステップでは実現化するために、いまのうち から準備しておくものという2つのことで、検討していったらいいのかなと思っていま す。 ○木村委員  医師の国家試験というのは大学を卒業してから、基本的には卒業資格がないと受けら れないわけですね。 ○黒川座長  そうです。 ○木村委員  これは卒業していなくても学生時代からある程度、先ほどの話では受験勉強的な勉強 はできると。そしてスターティングとして、それをやって、いま何年かやられた後で、 医師会で卒後研修とかをいろいろやっているのですが、医師会のほうは医師会のメンバ ーでない人に対しては何の拘束力はないわけです。国としてはこれが一生使えるような 免許で本当にいいのかどうかです。一旦、医師免許を取得したらともかくいろいろな分 野についてもほとんど自由に診断や治療行為が一生できるわけです。もちろん医道審議 会で悪いことをやった人は罰しているというか、実際上刑法でもそれは取り上げられて 、医師免許撤回とか、剥脱とかいろいろやっていますね。そのようなこととの関連で、 本当に一回限りの資格審査でいいのかどうか。どこかの時点で違うタイプの国家試験を やって、もう一遍スクリーニングしてもらいたいと思うぐらいに、いろいろな問題が出 てきているのではないか、そういう発想はどうなのでしょうか。 ○黒川座長  よろしいのではないでしょうか。だけど、それは国家がやることかどうかは別の問題 だということを、私は先ほど言っているのです。つまり、そういうあるコミュニティな り、ソサエティは自分たちでセルフコントロールして、誰に言っているのかというのは 、コミュニティにいるかということではないかと思います。 ○木村委員  アメリカなどは国ではないのですね。国ではないのですが、しかしあらゆる医師はそ ういういろいろな形で単位の新しい認定を毎年更新するような形でやっていますね。 ○黒川座長  いま学会ではやっています。 ○木村委員  やっいますね。 ○黒川座長  日本もやっています。だから、医師の免許の更新というのはやるべきだということは 言っているのだけれども、それを国がやるのは気に入らない。それは建て前と違うとい うふうに私は言っています。要するに自分たちがやるべきだという話です。 ○木村委員  そうですか。 ○黒川座長  そう思いませんか。なんでそんなことを国がやらなくてはならないのですか。何か起 きたら国が責任を取ってくれるのか、とみんなが言うのが気に入らないなと私は思って いるのですが、これは医療制度全体の問題があるわけですから、その辺をどうするかと いう話は、もう少し大きなスキームの中で、最初のお医者さんの第一歩というところだ から。それからもう1つは、やはり医師の免許が書き換えみたいになっていれば、広告 の規制があったのだけれども、その医師の免許証のオリジナルのコピー、卒業証書ぐら いは誰にでも見える所に張っておいてくれと私は言っているのですが、普通どこで終わ ったか、みんな思っているでしょう。だから、それをしていないから、飛行機で呼ばれ たときに「私は医者です」というときに名刺しかないではないですか。あれなどは私は 何とか教授です、とか書いてしまえばいいわけだから、誰でも書けるわけです。だから 、そういう偽者がいくらでもあるというのはどうしますか。つまり、医者であるならば 、やろうと思えば常に携帯しなくてはいけないということもできるのです。それをやる のは国がやることなのか、医師会がやるのか、そういう話はあり得るなと思っています 。先生のおっしゃるとおりだと思います。 ○齋藤委員  台風のために新幹線の中に2時間余分におりました。 ○黒川座長  もう終わってしまったのですが、先生もこうして来られたのに、今日は雑談だったの で、プール問題を増やそう。増やすプロセスでどうやってその問題を集めて、それをポ リッシュしていくか。問題の評価をしながら、なるべく早くたくさん貯めたいなと。そ ういうことができたときには、いずれコンピュータを使うということも可能かなと。も う1つは、この間相川先生がUSMLEその他のやり方について班会議をやって班でや っておられると言っていますので、何でもアメリカがいいというわけではないのだけれ ども、アメリカの場合は非常にそういうプロフェッショナルのコミュニティが非常に質 を自分たちでコントロールしながら、どうやってやっているのと聞かれれば、いつでも 出せるようにしているという方策が非常に勉強になるので、相川先生のほうからUSM LEはどういうふうにやって、どんなプロセスかという話で、もしよければUSMLE の人をこの前の委員会と同じように呼んで、いまどんなことが起こってきて、どんなふ うにやっているのか。どういうことが問題だと思っていますかという話を聞くのもいい のではないかという話がありました。 ○相川委員  今度文部科学省の何かで副所長さんが来るのでしょう。 ○黒川座長  そうなのですか。 ○相川委員  USMLEの方が来るのではないですか。この間、何かの案内に書いてありましたね 。医学教育学会でしたか。メルニック所長ではなくて。 ○島補佐(文科省)  それは高久先生のところの医学教育振興財団で、USMLEの担当者、ディロンさん を呼ぶということです。 ○黒川座長  ディロンさんにはこの前、厚生省のときに3年か4年ぐらい前に来てもらっています 。それから地雷というのはまだ入れておいてもいいのかどうか、なくてもいいのではな いかと私は個人的には思っているのですが、余分な不安を受ける人に植え付けているか なという気もあるので、むしろ必修問題を増やしてもかまわないという気もしているの ですが、それについてもちょっと考えてください。そんなことで、何のためのテストな のか、卒業試験と国試のディスクレバンシーがあるのはどうするのかというところがあ るところもあるから、その辺をどうしようか。結局医学部というのは大学ではあるのだ けれども、ある程度医者を作るというプロフェッショナルスクールですから、やはり目 標はそういう目標を共通に持っていなくてはいけないのではないかという議論も出てく るので、そんなことは今日はフリーディスカッションということで、次回からは禁忌肢 があったために、どんなことが起こったのかという話がもしデータがあれば、禁忌肢ら しいからといって、要するに丸を付けない人がいるのかとか、そのためにどういうこと が起こったのかという話も、もし分かればという話です。  それから問題を集める方策について、少し知恵を絞ったほうがいいかなと。それをク ォリティ・コントロールするのは、委員の先生がいちいち集まっても大変なので、ステ ップIのときは若手の人たちが随分合宿されたのですね。 ○相澤委員  土日はほとんど関係なかったです。 ○黒川座長  過激だったらしいですね。だけど、その代わりに随分いい問題ができましたね。 ○相澤委員  そうですね、まあまあというところではないかと思います。 ○黒川座長  それもだんだん増やしていくということですね。 ○木村委員  医学教育学会が国家試験のあり方について、何か要望があったという話ですが、具体 的にどういうことだったかというのをちょっと知りたいですね。 ○黒川座長  それも今度前回の報告では医学教育学会とかいろいろな所から、国試に対する種々な 要望が提起されたというのが資料2の1頁に書いてありますので、どんな要望だったの かということを教えてくれませんかというコメントもあったということですね。それで 委員の皆様からご意見をいただいて、齋藤先生もこの前の見直し委員会の委員だったの ではないですか。 ○齋藤委員  だいぶ前です。いたようないないような、はっきり覚えていないです。 ○黒川座長  何かコメントはありますか。 ○齋藤委員  いままでいろいろな提案が過去にも随分あったと思うのですが、提案だけに終わって しまって、施行にまでいっていないのも多いわけで、最終的には思い切ってやるかやら ないかということではないでしょうか。 ○黒川座長  そうですね、プール問題にしていくという方向は一歩進んだのだけれども、早くその 問題を集めて、クォリティ・コントロールするというプロセスが出てくると、どうやっ てそれをコンピュータで使うかという話になってくるから、もしするのであれば、事務 局としては考えているのだと思うけれども、問題のフォーマットをどういうふうにディ スクに入れるかということは、もう考えているのでしょう。共通にデータがプールされ て、何かをやるとアブストラクトできるような格好にしておかなければいけないですね 。 ○木村専門官  場合によってはワーキンググループで既にコンピュータシステムはできておりますの で、ご覧いただければと思います。 ○黒川座長  共用問題もそういうふうになっているかということで、その辺もまた。 ○木村委員  ただデータとしてお伺いしたかったのは、先ほどグループで、例えば一般問題とか臨 床問題とかいろいろありますね、その平均で、それを終えていない者は落ちるというの は、そこのグループで超えていない者は試験に通らないわけですか。いまはそういうシ ステムなのですか。それとも総合点で通るシステムなのか、例えば私がいま担当してい る患者の人権、医の倫理みたいなそのセクションが入っているところもありますね。そ れの平均点が一定以上なければ、ともかくそこでは通らないということなのですか。そ れとも総合点でいくのですか。 ○黒川座長  必修問題が何点以上と決まっています。だから全部で何点ということです。 ○木村委員  倫理は必修のところに入っていますね。それによる何か全体的な試験の動向の変化み たいなものが何かありましたら、新しいシステムが入ったわけですから、それによって 何かいままでの傾向と違うところが出てきているのかどうかというデータがもしありま したら、それも教えていただきたいと思います。 ○木村専門官  合わせてワーキンググループにご提示させていただきたいと考えています。 ○黒川座長  今日は時間が過ぎてしまい申し訳ありませんでした。次回はデータを出してスペシフ ィックなイシューについてご意見を伺いたいと思っていますので、よろしくお願いいた します。ありがとうございました。                                     −了−                   照会先 厚生労働省医政局医事課試験免許室                       木村 慎吾、吉浪 誠治                       TEL 03-5253-1111(内線2573、2574)