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年金資金運用基金の資金運用の結果について(平成13年度)


(数値は100億円単位で表示)

1 13年度の年金資金運用基金による運用結果の損益

(1)単年度の損益

○年金資金運用基金による市場運用分の総合収益と引受財投債の収益等を合わせた運用損益は△6,200億円。基金の13年度単年度の損益合計は、この△6,200億円に旧年金福祉事業団から承継した13年度分借入利息6,900億円を加えた△1兆3,100億円。

(2)累積利差損益

○上記の13年度単年度損益△1兆3,100億円及び13年度始に旧年福から承継した累積利差損1兆7,000億円を合計した累積ベースの損益合計は、△3兆100億円。


2 年金積立金全体で見た運用状況

○名目運用利回りが賃金上昇率を、財政再計算の予定数値を超えて上回っていれば、財政再計算の見通しの範囲内となる。

○年金積立金全体(注)での13年度の収益率はプラス1.94%(2兆7,800億円)。

○ここから賃金上昇率の影響を取り除き、年金財政で予定している財政バランスと比べると、年金積立金全体の13年度の実質運用利回りは、予定を1.24%上回った(金額換算:1.78兆円相当)。

○平成11年財政再計算の推計初年度(平成10年度)からの累計でも、旧年福の9年度までの累積利差損を含めても、予定を年平均0.75%上回っている(金額換算:4.27兆円相当)。
(なお、年金積立金全体の運用状況報告書は、本年9月末頃に公表を予定。)

(注)年金資金運用基金の運用部分と財政融資資金(旧資金運用部)への預託部分の合計。



1.13年度運用結果(単年度)

(1)13年度資金運用事業の結果

<12年度(旧年金福祉事業団)>
ア.損益合計((1)〜(4)) △1兆3,100億円    
  (1)市場運用分の総合収益額 △6,600億円


 >

△6,200億円
(△1兆4,300億円)
 ・修正総合収益率 △2.48% (△5.16%)
(2)運用手数料 △300億円 (△400億円)
(3)引受財投債の収益額 700億円
(4)承継資産運用勘定借入利息 △6,900億円   (△8,500億円)
 
イ.各勘定の損益
  厚生年金勘定 △1,420億円

 >
△1,700億円

 >
△6,200億円
国民年金勘定 △ 250億円
承継資金運用勘定 △4,500億円

 >
△1兆1,400億円
承継資産運用勘定借入利息(再) △6,900億円  

(損益合計△6,200億円を、法律に基づき、資産額に応じて、厚生年金勘定・国民年金勘定及び承継資金運用勘定に按分。さらに、承継資金運用勘定については、按分額△4,500億円に、財政融資資金(旧資金運用部)への借入利息△6,900億円を加算。)

(2)年金資金運用基金の運用資産に係る損益合計額(累積)(旧年福からの承継利差損を含む)

○累積損失合計額     △3兆100億円
(13年度単年度損益△1兆3,100億円+旧年福から承継した累積利差損△1兆7,000億円)


2.単年度の運用結果の評価

○ 13年度の成績(△2.48%)は12年度に続き国内株式の大幅な下落が主因。

〈各資産の市場指標の収益率〉
国内債券 国内株式 外国債券(円ベース) 外国株式(円ベース)
0.95%
(NOMURA-BPI)
-16.18%
(TOPIX(配当込み))
8.44%
(SSB−WGBI)
4.14%
(MSCI―KOKUSAI(配当込み))

(参考)厚生年金基金等の運用結果 △3.99%(時間加重収益率)(格付投資情報センター調べ)

○ 長期資金である年金資金運用を安全かつ効率的に行うためには、リターン・リスク特性の異なる複数の資産に分散投資することは国際的な常識。なお、株式は、短期的には大きく変動するが、長期的には債券よりも高い収益を上げることが実証されている。

(参考) 株式と債券の収益率(過去30年の年率平均)
国内株式(TOPIX(配当込み)):8.56%、国内債券(NOMURA−BPI):6.98%

○ 今後、国内債券を中心とし株式を含む基本ポートフォリオ(13年4月策定)に基づき、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行い、株価の回復等による利差損の圧縮・解消を目指す。


3.年金資金運用についての情報開示

(1)情報開示の基本方針

 年金積立金の運用は、専ら被保険者の利益のために、専門的な知見に基づき適切に行うことが強く要請されており、運用方針や運用の結果などについて十分な情報開示を行うことが重要。そのため、旧年金福祉事業団時代から情報開示に積極的に取り組んできている。

(2)情報開示の内容

○ 運用状況の情報開示については、資産運用全体の数値に加えて、(1)運用機関別運用資産額、(2)運用機関別運用実績、(3)運用機関別運用手数料、についての詳細な情報を旧年金福祉事業団時代から開示してきている。

○ 平成13年度においては、決算ベースの年1回に加えて、第1四半期〜第3四半期の各四半期末の運用状況を速報として公表した。また、平成20年度までの間、毎年度策定する各年度の移行ポートフォリオも事前に公表したところ。

○ さらに今回の年金資金運用基金の業務概況書においては、より一層の情報開示推進の一環として、資金の配分・回収状況についても、運用対象資産別に、月次ベースで情報を開示している。


4.年金積立金全体でみた運用状況

(1)13年度の損益

 基金運用部分の損益額(1) △1兆3,100億円  
 財政融資資金への預託金の運用収益額(2) 4兆 900億円 (見込み値)
 年金積立金全体で見た損益額合計((1)+(2)) 2兆7,800億円  → 1.94%

(2)運用実績と財政再計算上の予定との比較(賃金上昇率の影響を除いて実質で比較)

イ.13年度

  名目利回り 賃金上昇率 実質利回り
運用実績 1.94% ―0.27% 2.22%
財政再計算 3.50% 2.50% 0.98%
比較 金額換算
+1.24% 1兆7,800億円

ロ.11年財政再計算の推計初年度(平成10年度)からの累計

  名目利回り 賃金上昇率 実質利回り
運用実績 2.92% ―0.35% 3.28%
財政再計算 3.75% 1.19% 2.53%
比較 金額換算
+0.75% 4兆2,700億円


平成13年度 年金積立金及び年金資金運用基金の運用資産の運用結果


平成13年度 年金積立金及び年金資金運用基金の運用資産の運用結果


【参考資料】 (数値は100億円単位で表示)

(参考1)各勘定への損益の按分

総合収益額
(運用手数料等控除前)
−6,600億円
運用手数料等
300億円
財投債の収益額
700億円

総合勘定の損益額 −6,200億円
(1)厚生年金勘定へ
−1,420億円

(2)国民年金勘定へ
−250億円

(3)承継資金運用勘定へ
−4,500億円
} 厚生労働大臣
からの寄託金の
運用に係る損失
−1,700億円
 


(参考2)承継資金運用勘定の累積利差損

(4)旧年金福祉事業団から承継した平成13年度期初の累積利差損
−1兆7,000億円

(平成13年度)
(3)按分額 −4,500億円
(5)承継資金運用勘定借入利息等 −6,900億円
(借入利息−7,200億円+未収金300億円)

合計 −1兆1,400億円
(6)平成13年度末の累積利差損
−2兆8,400億円


 
(1)+(2)+(6)(※) = −3兆100億円
※(6) = (3)+(4)+(5)


年金積立金全体で見た場合の収益状況について
−財政再計算上の予定と運用実績の比較−


1 平成13年度から年金積立金の自主運用が始まったことを踏まえ、今後は、従来のように旧年金福祉事業団分単独の収益状況を見るだけではなく、年金資金運用基金分の損益と預託部分の収益を合計した年金積立金全体の運用状況についても見る必要がある

2 年金積立金全体で見た場合の収益状況−名目値−

年度 10 11 12 13
市場運用分(注1) 名目損益額(1)(兆円) −1.16 1.77 −2.31 −1.31
預託分 名目利子収入額(2)(兆円) 5.55 5.05 4.59 4.09
積立金全体 名目収益額((1)+(2))(兆円) 4.39 6.82 2.28 2.78
名目運用利回り(%) 3.27 4.93 1.58 1.94

(注1) 平成10年度から12年度までは旧年金福祉事業団、平成13年度は年金資金運用基金分の実績値である。
(注2) 名目運用利回りは、名目収益額を積立金平均残高で除した値である。
(注3) 預託分の金利は、7年満期の固定金利で毎年度預託した積立金についての加重平均値であり、実勢金利と比べると高い金利。

3 収益状況を評価する際の視点

(1)年金積立金の収益状況は、財政再計算における予定と比較して評価する。

(2)現行の公的年金制度は、賃金スライドを基本としているので、運用利回りは、賃金上昇率をどれだけ上回るかがポイント。 → 実質的な運用利回り(名目運用利回りと賃金上昇率の差)で評価する

(3)なお、平成11年度の財政再計算は、長期的に名目運用利回り4.0%、賃金上昇率2.5%、実質運用利回り約1.5%と見通しているが、当初の運用利回りと賃金上昇率は、直近の預託金利や賃金上昇率の動向の実績との整合性を図るため、その実績値を織り込んだ数値となっている。

4 財政再計算上の実質値と運用実績の実質値の比較

○平成11年度の財政再計算における10年度〜13年度の実質運用利回りの見通しと年金積立金全体のこれに相当する運用実績を比べると、運用実績が財政再計算の予定を上回っており年金財政で見通している財政バランスは確保されている。(下表C欄・年平均プラス0.75%、金額換算4.27兆円)

  A 財政再計算上の前提(%) B 年金積立金全体の実績(%) C(財政再計算上の見通しと実績との差)
実質運用利回り(1)   実質運用利回り(4)   収益率
(%)
((4)−(1))
収益額
(兆円)
名目運用利回り(2) 名目賃金上昇率(3) 名目運用利回り(5) 名目総(標準)報酬上昇率(6)
10年度 4.55 4.24 −0.30 3.77 3.27 −0.48 −0.78 −1.05
11 3.56 3.66 0.10 5.58 4.93 −0.62 2.02 2.79
12 1.07 3.60 2.50 1.59 1.58 −0.01 0.52 0.75
13 0.98 3.50 2.50 2.22 1.94 −0.27 1.24 1.78
14 0.97 3.49 2.50
(平成10年度〜13年度)
年平均 0.75%
合計額 4.27兆円
15 0.97 3.49 2.50
16 1.04 3.57 2.50
17 1.23 3.76 2.50
18 1.46 4.00 2.50
19 1.46 4.00 2.50
20 1.46 4.00 2.50





(注1) 財政再計算上の前提値は、厚生年金、国民年金ごとに設定されているが、平成13年度までは、年金積立金全体の実績値と比較するため、厚生年金、国民年金の前提値を厚生年金積立金と国民年金積立金の額で加重平均した値を記入。平成14年度以降は、厚生年金の財政再計算上の前提値を記入。
(注2) 財政再計算上の長期的な実質運用利回り約1.5%は概数であり、厳密には1.46%である。
(1+名目運用利回り(4.0%)/100)/(1+賃金上昇率(2.5%)/100)×100−100≒1.46


【新たな仕組み (平成13年度から)】

(ポイント)

○厚生労働大臣による自主運用。
  資金運用部への預託義務の廃止。

○厚生労働大臣は、年金資金運用基金(H13.4設置)に資金を寄託することにより運用。

(図の数値は平成13年度末)

※旧年金福祉事業団における運用業務は年金資金運用基金が承継し、承継資金運用業務として平成22年度まで実施

新たな仕組み (平成13年度から)の図



【従来の仕組み (平成12年度まで)】

(ポイント)

○積立金全額を資金運用部(旧大蔵省)へ義務預託。

○年金福祉事業団が、資金運用部から資金を借り入れて、別途に運用。

(図の数値は平成12年度末)

従来の仕組み (平成12年度まで)の図



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