別紙1 | 「第2章 民間参入・移管拡大による官製市場の見直し」関係 |
別紙2 | 「第3章 活性化に資するビジネス・生活インフラ整備」関係 略 |
別紙3 | 「第5章『規制改革特区』の実現に向けて」関係 |
「第2章 民間参入・移管拡大による官製市場の見直し」における所管省の主な意見
1.消費者主権に立脚した株式会社の市場参入・拡大
事項(所管省) | 意見 | ||||||||||||||
(1)医療分野における株式会社の参入 (厚生労働省) |
医療の質の向上や効率化・重点化は、下記のような問題点が予想される営利法人参入による経営面での競争ではなく、医療法人制度の見直し等医業経営の近代化や適切な情報開示に基づく患者選択を通じた医療の質の面での競争を促進することによって図られるべきである。 過去に、営利を目的に多数の患者に健康被害を生じさせ社会的非難を受けた病院の事例や、株式会社が衛生規制に違反する事件が最近再三にわたり報道されているこ と等を踏まえれば、生命・健康に関わる医療分野においては営利重視の結果生ずる患 者の事故の未然防止の考え方に特段の配慮を置くべき。
なお、総合規制改革会議の考えでは、
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(2)福祉分野における株式会社参入の推進 1)特別養護老人ホーム経営への株式会社の新規参入 (厚生労働省) |
老人福祉分野においては、既に、在宅介護サービスをはじめ、老後の住まいである有料老人ホームやケアハウスについても株式会社の参入が可能となっている。 しかしながら特別養護老人ホームは、これらとは異なり、寝たきりや痴呆などの要介護高齢者のみを対象に介護サービスを提供するための専用の入所施設であり、こうした入所者を保護するため、その経営主体には、良質な介護サービスを長期間安定した形で提供し続ける保証が求められる。このような性格は、障害者のための福祉施設など、他の入所型社会福祉施設と変わるところはない。
サービスの向上や効率的な経営については、現在の仕組みの中で取組が進められており、多くの弊害が予想される株式会社の参入によって実現を図るという考え方は適当でない。 |
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(2)福祉分野における株式会社参入の推進 2)株式会社のケアハウス参入要件の緩和 (厚生労働省) |
<前期利益に係る基準の撤廃について> 株式会社がケアハウスを設置する場合の、社会福祉法第62条第2項の規定に基づく都道府県知事等の許可は「自治事務」であり、都道府県知事等は、同条第4項の基準に沿いつつ、自らの判断に基づいて許可を行うことが可能。これは、各都道府県に送付した本年1月の厚生労働省老健局計画課長通知にも、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく「技術的助言」であると明記しているとおり。 したがって、「参入を排除することになる」との主張はそもそも事実誤認に基づくものである。 また、同課長通知においては、例えば、株式会社の子会社がケアハウスを設置・運営する場合には親会社の資産等も含めて勘案することのできる余地を明記するなど、柔軟な取扱いも示しているところである。 <資産基準の見直しについて> 社会福祉法人には、
また、上述のとおり、同課長通知は技術的助言であることを明記していること、さらに地域の証券取引所に上場している一定の場合には額の多寡は問わない旨を明記していることなど、柔軟な取扱いも示しているところである。 |
2.官民役割分担の再構築
事項(所管省) | 意見 | ||||||||||||
(3)同一市場における競争条件の均一化 1)教育・福祉分野における株式会社等への助成の取扱い (厚生労働省) |
憲法第89条後段の趣旨について、教育等の事業からの宗教性の排除が目的であるとしているが、政府は、憲法第89条の「公の支配」の目的を「宗教性の排除」に限定する考え方は採っておらず、原案の解釈は不適当。 憲法第89条の「慈善・博愛事業」についても、時代の推移に伴い対象者が拡大するなど福祉の在り方は変容しているが(福祉の普遍化)、様々な理由から社会的支援を必要とする者に対し、その自立を支援するという社会福祉事業の理念は変わっておらず、その意味で、現在においても、社会福祉事業は「慈善・博愛事業」である。この憲法解釈は、これまで政府として一貫している。なお、憲法解釈の変更については、十分に慎重でなければならないと考える。 また、福祉分野においては、民間の者については、社会福祉法人のみに施設整備費補助が行われるなど公的助成の在り方が異なっている。 社会福祉法人に関しては、以下のような支援及び規制・監督を一体的に行い、質の高いサービスの継続的・安定的な提供を確保するための仕組みが制度に組み込まれている。 (支援)
このため、憲法第89条及びサービス提供主体への一体的な支援、規制・監督の必要性の観点から、社会福祉法人のみを補助の対象としているところであり、株式会社について、財政援助のみ社会福祉法人と同様のものとすることはできない。 また、最終的に利益として株主等に配分される民間企業に公金(国民の税金)を支出することについては、一般の国民の理解を得ることは困難と考える。 |
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(3)同一市場における競争条件の均一化 2)補助金・税制におけるイコールフッティングの実現 (厚生労働省) |
(3)の1)に対する意見のとおりであり、一律に公的助成等について、同様の取扱をすることはできない。 |
3.利用者選択の拡大
事項(所管省) | 意見 | ||||||||||||||||||
(厚生労働省) |
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「第5章 『規制改革特区』の実現に向けて」における関係省庁の主な意見及びこれに対する当会議の見解
事項(関係省庁) | 関係省庁の意見 | 当会議の見解 | ||||
2.制度設計の方向 (2)特区制度に関わる法的論点 1)法の下の平等との関係 (厚生労働省) |
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例えば、高度な医療研究体制を持つなど、地域の特性を活かした上で、必要な代替措置等を講ずることにより、規制の特例措置を講ずることは可能である。また、当該規制が「全国一律」であるべきか否かは、規制の目的に照らして検証されるべきであって、先験的に決定されるべきものではない。 いずれにせよ、実際に特区制度が施行された後、個別具体的な案件について国が最終判断すればよく、あらかじめ制度化の段階で除外すべきではない。 |
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2. (2) 2)試行的な制度の妥当性 (厚生労働省) |
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そのような規制であればこそ、「試行的」な制度も活用することにより、常に最善の規制の内容が求められるべきである。地方公共団体が当該地域に応じた最善の方法を採用することは、躊躇されるべきことではない。 | ||||
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代替措置等により、一定の「配慮」が講ぜられる範囲内で、規制の特例措置を全国に一般化することは可能である。 | |||||
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医療の質の低下を防ぐための十分な評価を前提に、「試行的」な制度も認められる。なお、コスト面からだけで医療の質は確保できない。 | |||||
2. (2)特区制度に関わる主な法的論点 3)不可逆的な規制改革 (厚生労働省) |
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経済活性化の観点からの評価基準については、公共の安全と秩序の維持の視点も含まれる。 各種規制ごとに、個別・具体的に検討されるべきである。 「重大な問題」であればこそ、それに関する規制についても最善の内容が求められる。現行の規制が特例措置よりも「重大な問題」を引き起こさないとは言えないのであって、地方公共団体が当該地域に応じた最善の方法を採用することは、躊躇されるべきことではない。 |
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(5)検討すべきその他の法的論点 6)特例措置を講じた後の評価方法(体制) (厚生労働省) |
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あらゆる事前規制については、現行制度が必ずしも最適であるとは言えず、その目的の達成にとって最適な手段となっているか否か、常に検証される必要がある。また、代替措置の有無については、各種規制ごとに、個別・具体的に検討され、判断される必要がある。 |
事項(関係省庁) | 関係省庁の意見 | 当会議の見解 | ||||||||||||||||||
2. (4)特区制度の対象となる規制の選定基準 2)規制の選定基準 (厚生労働省) |
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医療、福祉、労働、教育といった分野でも、地域の特性を活かした上で、必要な代替措置等を講ずることにより、規制の特例措置を講ずることが可能なものは存在し、これらを一律に排除するべきではない。 また、生命などに関わる「重大な問題」であればこそ、「試行的」な制度も活用することにより、それに関する規制についても最善の内容が求められるべきである。現行の規制が特例措置よりも「重大な問題」を引き起こさないとは言えないのであって、地方公共団体が当該地域に応じた最善の方法を採用することは、躊躇されるべきことではない。 いずれにせよ、実際に特区制度が施行された後、個別具体的な案件について国が最終判断すればよく、あらかじめ制度化の段階で除外すべきではない。 そのような規制についても、特例措置を講ずることによって、全国の患者や保険者にも間接的な利益が及ぶとともに、代替措置等により影響を特区内に完結させることは可能と考える。 「刑法」には警察法規も当然に含まれ、「犯罪特区」が是認されないことは自明である。また、実際に特区制度の対象とすべきか否かについては、個別の要請があった際に具体的な検討が行われるべきである。 |