02/06/28 新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ第1回処遇等小委員会      議事録          新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ              第1回処遇等小委員会                        日時:平成14年6月28日(金)                           10:30〜                        場所:砂防会館別館「六甲」 ○医事課長  定刻になりましたので、ただいまから「新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ 処遇等小委員会」を開会させていただきます。委員の皆様方におかれましては大変お忙 しいなかご出席をいただきまして誠にありがとうございます。初めに去る6月18日に開 催されました第1回の全体会議におけます委員の皆様のご意見を踏まえて、本小委員会 の構成につきましては、お手元の資料1のとおりとなってございますのでご報告をさせ ていただきたいと思います。  なお、本日は二村委員、堀江委員からご欠席の連絡をいただいております。また当省 の労働基準局から監督課の引地中央労働基準監督監察官が出席をしております。よろし くお願いいたします。本日の議事につきまして座長をお願いしております大谷先生よろ しくお願い申し上げます。 ○大谷座長  大変未熟者でございますがよろしくお願いいたします。早速議事に入らせていただき たいと思いますが、その前に事務局から「研修医の処遇について」一括してご説明をお 願いいたします。 ○医事課長  初めにお手元の資料の確認をお願いしたいと思います。資料が細かくたくさんに分か れていますが、資料1、小委員会の名簿、資料2、新医師臨床研修の基本的枠組みとい う1枚紙、資料3、臨床研修必修化に向けたスケジュールのイメージという横書きのも の、資料4、研修医の処遇について(案)、資料5、医療関係職種等の賃金水準データ 、資料6、研修医の処遇状況に係る調査結果について、資料7、「労働者」に該当する 場合に適用される主な労働基準法等関係法令という1枚紙、資料8、司法修習について の1枚紙、資料9、臨床研修に必要な経費と財源についてという1枚紙、資料10、医師 実地修練費と臨床研修費予算の経維という横書き1枚紙です。参考資料として医道審議 会の研修検討部会中間とりまとめが1、参考資料の2として、昨日のプログラム小委員 会と基準の小委員会での資料を付けております。以上です。もし不備等がございました ら事務局にご連絡をいただきたいと思います。  私から本日の資料について説明をさせていただきます。「研修医の処遇に関する位置 づけ」です。検討課題としては大きく研修医の処遇に関する基準の問題と研修の実施に ついての経費と財源問題というふうに捉えています。  まず、研修医の処遇に関する位置づけです。初めに本小委員会で検討されます処遇に 関する基準の新しい臨床研修の枠組みの中での位置づけ、ということで説明をしたいと 思います。  資料2の中で臨床研修病院の指定規則(仮称)とありますが、その中で臨床研修病院 の指定基準、次に研修プログラムの基準、この中に研修内容についての基準、研修医の 処遇についての基準などが含まれています。3つ目として、臨床研修病院の指定を受け た病院の義務として、研修プログラムの基準を満たした研修プログラムに基づいて研修 を行うことなどを規定することを想定しているわけです。これにより、臨床研修指定病 院においては、研修医の処遇についての基準を満たした研修プログラムに基づいて臨床 研修が行われるということを考えています。  参考として資料の3で、平成14年度のこれからのスケジュールのイメージということ で、今後の予定を書いたものを配付しています。  資料4に基づき、研修医の処遇についてです。この資料を基に研修医の処遇について ご議論をいただきたいと思います。まず、資料4の1、「研修医の処遇に関しての基本 的な考え方」について話させていただきます。労働基準法の「労働者」については、こ の法律の9条に規定をされていて、労働基準法の労働者に該当するか否かという解釈に 関しては、ここに挙げているように具体的な仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等 に対する諾否の自由が有るか無いか。2番目として業務の内容及び遂行方法についての 指揮命令が有るか無いか。3番目として時間的・場所的な拘束性が有るか無いか。4番 目としては報酬の労務対償性が有るかどうかということなどを総合的に勘案して、個別 具体的に判断をすることになっています。  研修医の業務についてを見ますと、一般的なこととしては、研修医が直接診療に従事 をして、その診療報酬が臨床研修病院に帰属をしていることがあること。研修医が日常 的な診療のシフトと言うか役割分担の中に組み込まれていて、仕事の諾否の自由が一般 的にはあるとは言えないのではないかということ。診察や手術の補助などの診療行為で あるとかカンファレンスの準備などを雑務と言っていいかどうかですが、そういった業 務について上級医の指揮命令を受けているとみなされるのではないかということ。始業 ・終業時刻が通常定められていて、出退社の自由があるとはなかなか言えないのではな いか。また時間的・場所的にも拘束されているのではないかということなどを考えると 、研修医と臨床研修病院との間に使用従属関係が認められるのではないかということか ら、一般的には研修医には労働者性が認められるのではないかというのが私どもの考え です。  いずれにせよ、研修医が臨床研修に専念をして研修内容を的確に身につけることがで きるように、言い替えてみれば研修が本当に実のあるものとなるように、研修医に労働 者性が認められるかどうかに係わらず、労働基準法関係に規定されている労働条件に相 当する処遇については、これを確保することが必要ではないかと考えるわけです。  次頁、具体的な「研修医の処遇に関する基準」の案です。研修医の処遇に関する基準 としては、研修医が臨床研修に専念するために必要な処遇という観点から、(1)として研 修条件を明示する。(2)として研修の手当、(3)として研修の時間、休日、時間外、休日 研修、割増研修手当、休暇及び当直。(4)として健康診断、(5)として社会保険の関係な どについて、それぞれ基準を定める必要があるのではないかと考えているわけです。  2頁の研修条件の明示の関係です。労働基準法の15条にあるわけですが、これを踏ま えて研修の契約締結をする際に、研修医に対してここに挙げているような研修契約の期 間の問題であるとか、研修の場所、業務、以下ここに挙げているような内容を明示する こととしてはどうかということを考えています。  2番目の「研修手当」に関しては3つの考え方を示しています。1つ目は「研修病院 は、最低賃金法で規定される最低賃金額以上の研修手当を支払うこととする」という考 え方です。この場合、最低賃金額については都道府県ごとに毎年度改定されているもの で、平成13年度の最低賃金額については資料5に示しています。最低賃金額よりも高い レベルの研修手当の支払いを臨床研修病院に強制することについては、そのことがその 額が目標の水準であるというように取り扱われたりなどして、給与水準の不当な平準化 に繋がるのではないかということを危惧しています。これは独占禁止法上の問題とも関 連して、これをクリアできるという保証がない以上、これは案のBを採用した場合には 、研修プログラムの基準とは別に「望ましい研修手当水準」として示すことが、この仕 組みでは限界ではないかとも考えているわけです。  案のCですが、「他の職種等との比較に基づく適切な給与水準」以上の研修手当を支 払うという考え方ですが、案のCを採用した場合には、資料4にも示した新規学卒者の 初任給の水準あるいは公務員のうちの病院関係職種の初任給の水準。3番目としては医 療関係職種の給与水準などが参考になるのではないかと考えているわけですが、そのほ かにも有用な考え方があればお教えいただきたいと思っています。  案のCを採用した場合についても案のBと同様に、独占禁止法上の問題があり得ると 考えていて、望ましい手当水準という形で示すことが限界ではないかなと思っています 。  2頁の(3)ですが、研修時間、休日、時間外、休日研修、割増研修手当、休暇及び当 直については労働基準法を踏まえて研修時間は原則として週40時間、1日8時間を超え ないということ、それから毎週1日の休日か4週間を通じて4日の休日を与える。時間 外及び深夜の研修には2割5分以上の割増手当が必要であり、休日研修には3割5分以 上の割増手当が必要である。研修開始から6カ月を経過した時に8割以上出勤している 研修医には10日の有給休暇を与え、その後さらに1年間研修し8割以上出勤した研修医 には11日の有給休暇を与える。当直の業務については救急医療機関等、昼間と同様の業 務である場合には、その当直については通常の研修時間として扱い、割増研修手当を支 払う必要があるのではないかという考え方です。これは労働基準法に基づくとこのよう なことになります。  (4)健康診断については労働安全衛生法を踏まえて、研修医の受入れ時と2年目に1 回ずつ研修医に健康診断を行わせます。  (5)社会保険の関係です。これは原則として労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年 金保険等に加入させることとしてはどうかということです。以上が処遇の資料4の関係 でした。  次は資料9に基づき、研修に必要な経費と財源問題です。資料9は現状における研修 に係る経費の収入と支出を整理をしたもので概略の資料です。ここに示してあるように 具体的な数字で示すことはなかなか難しいところもあるわけですが、概念的には臨床研 修病院の収入としては研修に関係して、臨床研修の補助金、施設整備費補助金、研修医 の行った診療に関する報酬が考えられます。  それが支出される項目としては指導医の給与、教材費、施設・設備の整備に関する費 用、そして研修医の給与(手当)、他の職員の給与、その他、消耗品費等、光熱費等、 その他経費という格好で考えられているのではないかということです。  下に(注)のような格好で書いていますが、研修医についても研修の初期段階を除い ては一般の医師と同様に診療に従事をしているという側面があるわけですが、一般の医 師と比較をすると経験不足のために業務の効率が悪いということであるとか、あるいは 指導医については指導医が研修医の指導に当たる関係で、その時間が診療に当たれない という特徴があると考えられるわけです。これは経費・財源についての考え方の整理で すが、今後の議論の参考にしていただければということです。説明としては以上です。 ○大谷座長  ありがとうございました。早速ご発言をお願いいたしたいと思いますが、便宜上2つ に分けます。1つは最初にお話になりました「研修医の処遇に関する基準」についてと 、もう1つは「経費と財源問題」の2つに分けてご議論をいただきたいと思います。ま ず最初の処遇に関する基準につきましてご自由に発言をお願いいたします。 ○西岡委員  少し教えてほしいのですが、2頁目のいちばん下の「研修時間は原則として1週40時 間、1日8時間を超えないこと」。それからその他のところが書いてありますが、これ を医療の現場を眺めたときに本当に遵守できるのかどうかというところが、かなり問題 点が含まれているように思うのですが、その点に対してどういうふうにお考えになって いるのか教えていただきたいと思うのです。一般の業務のように時間がくれば「はい、 さようなら」と言って研修医が帰れるのかどうかなのです。いま医療の現場で実際には 労働条件上そういうことはやりたいとは思うのですが、一般の患者側から見れば、そう いうことが起るとすごい混乱が起るし、訴訟にまで繋がるといったバックグラウンドが あるという医療の現場があるのです。私はこの基準はのようになれば有難いなといつも 思っているのですが、そういう形も考慮した上でどういうふうに考えたらいいのかを、 少し教えていただきたいと思うのです。 ○医事課長  どういうふうにといいますか、これは現在の労働法規を適用するとこういう考え方に なるということなのです。そういうことを前提としたときに医療現場でどのような対応 が可能かということを、むしろご議論をいただくということではないかなと思うのです 。 ○吉田委員  病院群で研修ローテートをする場合、例えば、救急なら救急の研修をやろうという場 合に、その病院で1カ月なら1カ月だけ研修をする場合にはどういうふうになるのでし ょうか。処遇等もお考えでしょうか。 ○事務局  労働基準法上は一応それも合算して計算することになります。ですから総合的に在籍 出向をするなり派遣するなり、どういう形をとるにしても、派遣される元と派遣される 先との勤務時間というか研修時間を合算したものが適用の基準になると考えています。 ○吉田委員  いまの話ではよく分からないのですが、例えば国立の病院では救急の研修ができない から、国立ではなく私立の病院にお願いする場合にはまた違うわけでしょう。社会保険 にしてもその他全て違うでしょう。これをどういうふうに対応していくか、お考えなの かお聞かせください。 ○大谷座長  いまのご質問は先ほどのものと少しだけ性質が違うように思います。2つあると思い ますね。その2つについて労働の専門家の方もおられるのでその見解をお聞きしたいで すね。1つは同じ病院の中で勤務時間が守れているかいないかという問題。もう1つは 経営主体が違うような病院、2つ、3つに渡った場合と性格が違うと思いますが、その 2つについて労働法の専門家の方からご意見をお伺いしたいのです。 ○中央労働基準監督監察官(引地)  同一の病院において1日8時間、1週40時間の規制ということですが、これは原則と いうことなので労働基準法が適用される場合だけ、私からは申し上げさせていただきま すが1日8時間、1週40時間という規制が基準法にあるので、これを守っていただくの が原則です。この原則を超える場合には、時間外労働ということで36協定と言われる手 続きをしていただき、割増賃金を支払っていただく形になるわけです。  違う病院に派遣されるということですが、いま補佐からご説明がありましたが、別の 病院のほうに労働契約関係籍を移した、いわゆる出向という形でやる場合には、新しい 病院におきます労働関係の全ての適用という形になるわけです。労災保険にしても、労 働時間にしてもそうです。ただ、別に契約を移さないでそのまま元の病院におきながら 一部の部分のみ別の病院に行く形になりますと、その場合は労働時間、管理の部分と枠 組みの部分という形になろうかと思いますが、枠組みは元の病院で作られて、指揮命令 を受ける実際の管理の部分は先の病院に移ることになろうかと思いますので、管理の部 分、例えば40時間を超えるか超えないかというところについては、派遣された先の病院 が使用者としていろいろな義務を果たしていかなければいけないということになろうか と思います。 ○下村委員  おそらく病院に就業規則はあるはずなので、就業規則の問題がここでは本当はもう1 つ問題になるのだと思います。就業規則の中で研修医について何か特別の定めをする必 要があるのかどうかというところが、おそらく問題になるのでしょう。けれども先ほど の勤務時間とかいろいろなものにしても、研修医の実態が指導医に付いて歩いているの か、どのようになるのかよく分かりませんが、たいがいの場合は一人前ではないのだか ら、その病院にいる医師に付いて歩くか何かして、医師と行動を共にするわけだから、 現在の病院の医師の就業規則とほぼ原則的には同じような条件になるのではないか、と いう気がするのです。そうでないと困るのだろう。  研修医だけは特別の就業規則で勤務時間も違うというわけにはいかないのだろう。雇 用関係が成立することになる研修病院の就業規則がそのまま適用されるということで、 それは現在実態として医師についても労働基準法が適用されているのだから改めてここ で研修医には労働基準法が適用されるかどうかなどという議論をするのは極めて奇妙な 話で、その病院と雇用関係が締結されればその病院の就業規則が原則として適用される わけです。原則としてというよりは常識的にはそのままいくので、研修医だけ特別の定 めをする必要があるような問題があれば、ここで議論をしてそれについて何か考え方を 整理しておくことになるのではないかと思うのです。改めて40時間がどうかなんていう 議論をするから変なことになるので、現在病院にいる医師は当然基準法の所定労働時間 であるとか、超勤に関する規定とか全部一応適用されているはずです。それと同じ扱い をしてもらえばいいという考え方で整理していただくことになるのではないかと思いま す。  基準局のほうも率直に言うと「労働者ではない」なんていう意見があるから、一歩引 いた言い方をされるので明確でないのですが、基準法上の労働者なのだと思いますよ、 だから雇用関係があるという前提で、この辺は全部そういう形で整理をすることになる のだと私は思います。それでやっていただければいいので、研修医とかだけ厳しく基準 法を適用をされたりすると困るので、現在行われているような医師についての基準法適 用の考え方をそのままやっていただけばいいのではないでしょうか、そのように思うの です。 ○大谷座長  ありがとうございました。西岡委員それでよろしいですか。 ○西岡委員  はい、吉田委員がお尋ねになったことで、私もそれも質問させてほしいと思っていた のですが、付け加えさせてよろしいでしょうか。 ○大谷座長  はい、どうぞ。 ○西岡委員  例えばいま病院群を作って研修をしようということを言っております。そうなると主 病院にいて、それから吉田委員が言われたように救急の部分、あるいは小児科の部分を 、別の病院に数カ月行くということになりますと、給与そのものはその病院から出れば いいわけですが、実際にいちばん大事な社会保険、特に医療に関する保険ですね、医療 事故などに対する保険というのは、そういう短期間だと全部切れてしまうわけです。ま た加入できないといったような事態が起こってしまうのです。それはどういう形でお考 えになっているのか。実際の現場ではそれが今いちばん苦労しているところなのです。 ○下村委員  処遇の問題というよりは研修の仕組みというか、全体のシステムをどうやっているの かということの話になってくるのです。だけどいまのあれからいくとグループを作って とかいうけれど、おそらくそれぞれ独立の経営主体で就業規則なども全部違うのだから 、先ほどお話に出たように実際にそこで労働をしている、医療を行っている場において 、その条件が適用されるわけですから、短期で雇用先が動くというのは社会保険の適用 にしても何にしても言われるとおりで非常にやりにくいので、そこは一体どう考えてい るのかその仕組みが分からないのです。 ○事務局  不足している面もありますので説明をさせていただきます。 ○大谷座長  どうぞ事務局のほうから。 ○事務局  複数の臨床研修病院で研修を行う場合には、基本的にはどう雇用関係を結ぶかという ことは当事者間にお任せするのが原則だと思うのです。ただ、医政局としては次のよう な雇用関係が望ましいのではないかと考えています。  これは「在籍型出向」という類型だと思うのですが、出向元と出向先で出向契約です ね。これはあくまで出向同意者の同意が必要になりますが、出向契約を締結して、その 出向をする研修医が出向元との契約を維持したまま出向先のほうとも契約を締結して、 出向先において相当期間継続的に勤務するという研修形態です。  「在籍型出向」の場合ですと、労働基準法上は使用者の責任は出向先か出向元かとい う二者択一ではなくて、出向元と出向先との間の出向契約によって定められた権限と責 任に応じて、出向先と出向元の双方が使用者としての責任を負うことになります。例え ぱ出向元は手当の支払い責任を負う、出向先は研修時間、休日、年次有給休暇に関する 責任、安全衛生に関する責任を負うというように、使用者としての責任を双方において 分担することが可能になると思います。  この場合、社会保険の適用なのですが、健康保険、厚生年金保険、雇用保険について は主たる研修手当の支払い先が保険料を支払うということになっているので、この研修 医は出向元の被使用者と言いますか、労働者みたいな格好なのだということで出向元の 被保険者になります。一方、労災保険についてはいままだ整理しきれていないのですが 、いずれにしても四大保険のうちの健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3つについて は、これはいま申し上げました「在籍型出向」という我々として望ましいのではないか と思われる累形の契約をとっていただいた場合には、出向元の病院で支払っていただく ということになるのではないかと思います。以上です。 ○大谷座長  ありがとうございました。そういうモデルは厚生労働省でお示しできるということで すね。 ○事務局  はい。 ○大谷座長  それは次回にでもきちんとそういう1つのモデル例をお配りしていただく。甲病院、 乙病院、あるいは3つぐらいあるかもしれませんが。要するに先ほどから下村委員が言 われているように基本的には労働者性を認めるということであって、それに準じてでき るだけ普通に扱うということ、しかし、一方では医師のプライマリー研修とか、エマー ジャンシーの研修は、普通のオーソドックスな労働の一般的なものとは多少違い、臨時 的な思いがけない点もありますから、そういうことを全部カバーさせないと駄目なので 、そういうことについてどうそれをカバーしていくかという問題だと思います。  ですから、そういう場面について十分先生方からご意見をいただいておいて、厚生労 働省であらゆる場合をまとめて、そういう契約、それはいろいろな場合が出てくるかと 思いますが、そういうふうにやっていくことだと私は思うのです。今までは実は徒弟的 な教育・研修に力を置き過ぎたためにいろいろ矛盾点が現場の研修病院では起こってい るということを今回の改正できっちりしていこうということだから、いろいろ新しい、 難しい工夫がいると思います。どうぞご自由に。 ○櫻井委員  出向という形で処理できるというのなら、具体的に詰めてやれるということをはっき り示してもらわないと病院側は困るのだと思います。確かにそのことを考えるけれども 、それを具体的にやった場合に、本当にそういう関係だけできちんとできるのかどうか 、そこをはっきりさせてもらわないとこの処遇の議論などはできなくなってしまうので す。 ○大谷座長  そうですね。だからそこの点はね。 ○櫻井委員  それを前回も私が申し上げたところです。そこが非常に弱いのではないですか。 ○大谷座長  これは厚生労働省でモデルをいろいろ考えて、できるだけ皆様方の不安解消をするよ うに。不安というよりも実際にこういう場合には、これも適用できるということを明示 できればいいと思うので、是非それはやってください。 ○下村委員  「医政局としては」などというそんな中途半端な話ではなくて、こうやればできます ということをきちんと示してもらわなければいけないので、単にこうやればできるので はないかみたいな話だけされていても、あとは実際のそういう雇用関係に伴ういろいろ な問題の整理を全部病院でやれと言われても、そんなのできませんよ。 ○医事課長  ただ、こういう格好での短期の出向というのは、別に研修だけではなくて一般社会で いろいろあるわけです。そういうものも参考にしつつできる形のものをお示しいたしま す。 ○大谷座長  昔と違って、いまは厚生労働省も一緒になっているわけだから、我々の時はなかなか そのノウハウが難しかったのだけれども、いまは一緒に厚生労働省の中で住んでいるわ けだから、このモデルはいくらでも示せるのではないですか。だからぐずぐず言わずに きちんとやってもらえばいいのです。 ○下村委員  一緒とか何か言う前に、医政局のほうがどういう関係で研修をやるのだということを 決めるのがまず先だと言っているのです。それに対して労働法規とか社会保険法規はど う適用されるかというのがその次の問題として出てくるので、労働基準法を最初から気 にしてやっていたのでは、それはどこかで気にしなければいけないけど、それは二次的 に問題になってくるので最初にまず研修の形として、どういう雇用関係の下でどういう 研修が行われるかという法律的な枠組みがはっきりすれば、それに伴っておのずから答 えは出るのだと思います。それをやってくださいということです。 ○大谷座長  1つ是非モデルをいろいろ考えて示してください。 ○下村委員  一般に確か出向で研修みたいのがあるけれども、それはある意味では就職先が決まっ ていて、そこから出すわけだから親元がはっきりしているので、この研修の場合には管 理病院か何かが、ここで臨床研修をした人数は全部自分の所で将来の就職も引き受けま すということがはっきりしているようなものであれば比較的できるのだと思います。け れどもそうではなくて研修期間中だけの話だから、そこは実態としていうとなかなか難 しい点が出てくるのではないですか。  実際に短期間で行ったときに保健所などにも行くということが書いてあるけれども、 保健所などは短期のあれでちゃんと払ってくれるのですか。保健所は社会保険はない、 共済加入とか何かがある。あんなものを入れると非常に厄介なものが出てくるのです。 そういうところが全然整理できていない。 ○医事課長  全然ではなくて、いま整理をしている最中なのです。全部100点満点の答案は示せな い。 ○下村委員  それがいちばん最初でなければいけないのですよ。 ○医事課長  だから、それはもう少々時間をいただきたいということです。 ○大谷座長  できるだけ委員の皆さんの疑問に答られるように、作業を急いでやっていただくとい うことでよろしいですか。櫻井委員お願いします。 ○櫻井委員  冒頭から私がいちばん懸念している問題で一言。医政局で納得のできるような解決を してくれればいいのですが、実際問題として、現実とかなり乖離しています。  いまでも医師は専門職である、専門職には時間は関係がないという考え方をしている 医師が結構多いと思います。私もそういった生活をしてきたのですが、院長になってみ て初めて感じるのは、医師部門とほかの職種では考え方が全然違います。同じ会議をや ってもほかの職種では5時以後に会議をやりますと「時間外だ」とか、また「代休をく れ」ということになるのですが、医師は同じ会議に出てもそういうことはほとんどあり ません。  40時間とかに限定した場合に、実際、業務が現実的に遂行できるのでしょうか。病院 によって別の労働基準を作って、医師にそれを適要するのが許されるのかどうかという 問題もあると思います。  いまわれわれの病院に、医師も含めてなのですが職員の労働時間を報告するよう依頼 があります。報告をするつもりなのですが、基準局から「これは違反だからやめるよう に」実態を言われると病院の業務は遂行できません。現実とはかなり大きな乖離がある 、ということをご理解いただきたいと思います。 ○大谷座長  これはどうですか、法と実態との関係について、何かご説明をいただけますか。別に 医療の問題ではなくて現状でいいのです。労働基準法はこうだけれども社会の実態とい うのは必ずしも実態なのだから、それはどういうふうに行われているかを。 ○中央労働基準監督監察官  労働基準法はいまご指摘いただきましたように、40時間労働時間の法制の遵守という ことで、現場の労働基準監督署なり労働局では、遵守徹底を各医療に限らずお願いして おり、その中で実際にどのような形で改善するかについても、当該そこの経営に携わっ ている方々のお話を伺いつつ現実の対応をご相談しながら、在り方をお話していくとい う実態になっております。 ○星委員  1つこの議論でお願いしたいことがあります。いまの櫻井委員のご心配は当然だと思 うのですが、こういう整理ができるのかどうかをまず確認したいのです。例えば時間外 に会議を開催します。その会議を主催する人間が管理職として、例えば「ケースカンフ ァレンスをやるから誰々と誰々と集まってくれ」と言って命令を出す。まあ、断れない 。そういう意味では断れない側にはきっと労働者性があるのでしょう。その人たちに対 しては割増賃金を払う。しかし、管理職として集めた人側は雇用主がほかにいて、別な 関係になっているかどうかは別にして、例えば管理職という取扱いになっていた場合に 、割増賃金その他の条項がなければ払われない場合だと。  もう1つ時間に関して言いますと、例えば自分で勉強をするために早出をして来て、 時間をたまたま病院で過ごすけれども、本来であれば家で引っくり返って本を読むべき ところ、本がないから出てきて勉強をする。あるいは図書館で夜、自主的に、つまり「 明日までにレポートを提出しろよ」とは言われたけれども「残ってやっていけよ」と言 われずに、病院に残った。あるいは図書館で勉強をした。これを労働している時間とみ なすのかどうかという具体的なところが少し分かってこないと、40時間とにかく病院に いたらそれで駄目なのだというから大変心配になるのだと思うのです。ですから拘束を される、つまり自分の意思で来るのではない時間、あるいは命令の指揮命令系に従わな ければいけない時間を労働時間と言うのでないかと私は思っているので、その確認が1 つです。  もう1つは公務員であった場合、先ほどから在籍出向の話が出ていますが、公務員の 職務専念義務とどういう関係になるのか。あるいは部分的に経営形態の違う所に行った ときに、出向先から給与を貰う場合にどういう取り扱いにするのか、出向元が給料を払 う場合で研修に行ってこいと出すのは非常に簡単ですが、先でも労働をするのだから先 からお金を貰う場合にどういう取り扱いになるのか知りたいというのが2点目です。  ついでに申し上げると、いま医師会でやっている研修のモデル事業では、在籍出向と いう形をとって、医師会病院の職員という形で雇用をして、保険を全部付ける。そして 外の病院にお願いをするときには在籍出向の形で保険料は医師会側で持ち、受け取る賃 金は丸々向こう側から受け取ってもらうという体制をとっていますが、この場合に極め て短期間、つまり週のうち35時間はここにいるのだけれども、5時間だけどこか別の所 に行くといったときに発生する賃金みたいなものがあった時に、それを例えば出向元の ほうに戻すとこれは派遣法に引っかかってしまうのかどうか、その辺りの考え方を整理 して次回に教えていただきたいと思います。 ○大谷座長  いまのご意見について何かコメントできますか。 ○中央労働基準監督監察官  最初の部分だけお答えさせていただきます。労働時間になるか否かという部分は、ご 指摘のとおり使用者の指揮命令下にある部分を労働ということ、これはそのとおりです 。管理監督者という概念がありますが、これについては労働時間とか休日といった部分 の規制だけが適用除外されるということはあります。これはもちろん極めて限定的な方 々に限るわけですが、そのような法制になっています。 ○大谷座長  ありがとうございました。ほかにどなたかどうぞ。 ○事務局  3つございましたので2つ目以降の話ですが、公務員の職務専念義務とかという話、 おそらく必修化後の研修専念義務のこととの関係、それとは違いますか。 ○星委員  国家公務員ではなくても例えば公立病院で研修をしていて、そこで民間病院に勉強に 行く。 ○事務局  それはその病院の先ほど話のあった就業規則なりの問題になるのだろうと思うので一 概のことは言えないと思うのですが、一般的に職務時間内であるにも係わらずそういっ た形でアルバイトに行くとか、ほかの病院の当直に行くとかということになると、それ はそちらの就業規則に違反することになるのだろうと思うのです。そういう一般的な形 でしか申し上げることは難しいのかなと思うのです。 ○星委員  私が申し上げたいのは、公務員として採用されて、研修医としての2年間を過ごす人 にとっての状況においては、一般の民間病院で雇われて過ごす場合と比べた場合に、お のずと制限が出てくるのではないか。つまりある国立病院で研修をしていて半年間離島 に行きなさいと、離島に行くときに給与は国立病院側から出るとは思えないので、その 時に切り替えをしなければいけないのではないかという意味での雇用契約関係の持ち方 に、公的な病院とそうでない病院の間に違いがあるのかどうか、その辺のところを整理 してほしいということです。 ○下村委員  それは特定の場合に職務専念義務の解除ができるのです。だから雇用主であるどこか の政府なり国家なりに、ここに行ってこいという命令を出して、それがこちらのほうの 職務と考えられないようなものであれば職務専念義務の解除ができる。 ○星委員  ですからそれが、どういうものに基づいてできて、どういう状況でもこういうことが できますというところを整理しておいていただきたいのです。 ○大谷座長  これはケースバイケースでいろいろありますが、櫻井委員も言われたように、医療と いうものが普通の労働基準法では考えられない突発場面がいろいろある。その場合に人 の命に関することだからみんな一生懸命にやらなければいけない。それを研修2年間で 実際に体験させなければいけないわけですから、事務手続上は大変煩瑣にはなるのです 。  しかし、労働者的にきちんと身分を保証をして安定して研修させるという意味では、 事務的手続きが煩瑣であっても一律的に割り切ってしまうのではなしに、個別にできる だけきっちりとやっていくという努力を厚生労働省から各研修病院にお願いして、その 契約が結びやすいようにいろいろなモデルケースも十分示されて、そういう不安が解消 するようにしないとグループ化もなかなかできないと思います。どこが責任を負っても みんなどこの病院でもそれは困るわけですから。けれども、実際にはそういういろいろ なリスクを負いながら、全然予期せざる場面に対応する研修をやらせなければ研修は意 味がないのです。そこのところは非常に難しいのですが、頭からそういうことで駄目で 単一化して考えるのではなしに、なんとか努力をして両方との矛盾点を新しい研修制度 では立てていく努力が必要ではないかと私は思います。 ○花井委員  私も40時間がガチガチに守られるとはとうてい思えないのですが、医者は違うのだと いうことが、過労死までうむことに繋がったのではないかと思っています。是非研修医 の方がゆとりをもって勉強できる、心身ともに成長していけるような環境ができる基準 づくりにしていただきたいという要望です。  もう1つは質問ですが、2年間の義務ですから、例えばそこの間に女性の方が妊娠を した場合、育児休業までどうするかというのはありますが、出産休暇を取った場合、そ の期間の扱いはどのようになるのか明確になっているのですか、その辺教えていただき たいと思います。 ○大谷座長  いまのお話は待遇の問題ですか、それとも研修目的、どちらのお話ですか。 ○花井委員  両方です。 ○医事課長  その部分はまだ具体的にはどこにも示してはいませんが、当然そういう一定のまとま った期間を休まれる必要が生じる場合は、病気をされるとかいろいろあると思いますの で、そういった場合の取扱いについても明確に示したいと思います。 ○花井委員  いまは義務ではないのですが。例えば各大学などで、現状はどうなっているのですか 。 ○医事課長  努力義務です。 ○西岡委員  いま私ども国立大学の場合は、非常勤医師になっていますので、その間は給与はなく なります。ただ、復帰されましたらまたそれを延長して必要な研修期間を埋めていただ く形になっています。国立大学の場合は社会保険はそのまま続いています。 ○大谷座長  それはいま初めてお聞きしたのですが、新しい研修制度ではそれをもう少し前進させ なければいけませんね。それは先ほどのお話のように、できるだけ労働者的にやるとい う意味から普通に扱うと、ですからそれは普通の労働者と同じように考えるように厚生 労働省でいろいろ手当をしなければいけないわけですが、それは当然そう考えるべきだ と私個人はそう思います。  時間の関係で処遇に関する基準についてもご意見をいただいて結構ですが、それと関 係しますので経費と財源問題についてもご発言をお願いいたします。結局その問題が非 常に大きく処遇にも関係しますのでどうぞ。 ○星委員  その前に1点だけお願いをしたいのですが、いま支払われている資料9に出されてい るものの考え方ですが、この補助金というのは厚生労働省が出しているお金ですね。施 設整備補助金もそうだと思うのですが、これが大体どのぐらいあって1人頭どのように 分配されて、どういう根拠で出しているのかが全然分からないので、簡単にそこだけ説 明をお願いしてよろしいでしょうか。 ○医事課長  まず臨床研修費補助金の部分については資料10です。これは現在の臨床研修医補助金 のほかに昭和41年、42年の欄はインターン制の最後のところですが、そこの部分での実 地修練費と言っていましたが、これと併せて載せたものです。インターン制のときと臨 床研修という現在の努力義務の規定になってからとは、若干その中身の言いぶりも異な っているようです。昔のほうについては詳細は分からない部分もありますが、いずれに しても国家試験合格者3,000人ぐらいの時代に、およそその半分がこの経費の対象にな るという状況下ですから、1,500人程度のインターンを対象に、昭和41年で1億円、昭和 42年で2億円という額が支出されていました。  昭和44年以降については、基本的に現在と同じ考え方で臨床研修の補助金が出されて いて、この額が昭和44年の段階で約12億で、対象が研修医という格好では3,000人程度 、それが昭和60年で28億、平成14年で43億という経緯になっています。人数は平成14年 の段階では8,000人の卒業のうち4,000人程度の研修対象に支出されている。この額の使 用目的については、研修の指導側の経費ということで、指導医の経費とかあるいは研修 に要する消耗品とか設備等についての支出を補助するという格好です。 ○星委員  これはどういう算定基準で出しているのかを、簡単に説明してほしいという意味なの です。現在の補助金の出し方は指導医の給与、指導医というのをどうカウントして、1 人いくらで出しているのか、あるいは研修医の頭数で出しているのか、その時の額がど のぐらいなのかということをお尋ねしているのです。 ○大谷座長  これは研修医に単価を掛けているのでしょう。 ○医事課長  そうなのです。 ○大谷座長  その積算を説明してください。 ○事務局  研修費のほうの現在の仕組みなのですが、現在、予算上でいきますと、総合診療方式 とローテート方式ということで、単価を19万円とか、11万5,000円とかという出向上の 単価が決まっています。あと研修医を受け入れた人数分を掛けて一応、所要額という形 で整理をしています。  そして、実質上、先ほど課長からご説明いたしましたように、経費そのものの中身の 仕組みは、指導医さんのほうの手当てなり、教材と言いますか、医療用消耗品の材料費 を積んだ予算セットを意図しておりますので、実質的な研修医の手当てという形では、 予算上は組み込まれてはおりません。これは昭和43年にスタートしたときから、考え方 は変わっておりません。 ○星委員  もうちょっとちゃんと説明してほしいのです。いまは給与という形ではなくて、ロー テーションかそうでないかによって、額が決まっていますね。これは月額ですか、年額 ですか。 ○大谷座長  これは病院に払っているのです。 ○星委員  ですから、この積算交付金がどうなっているのかを、パッと答えてくれればいいだけ の話なのです。 ○大谷座長  要するに研修医×単価でしょう。 ○星委員  では単価は月額なのですね。 ○事務局  月額です。 ○櫻井委員  ここにいらっしゃる方は、みんな管理職ですので、実状を知らないと思います。「単 価」とおっしゃっても19万いくらというのは、計算式がいろいろ難しいのです。大体そ の線で請求を出しても、実際に病院にくるのは、その約半額です。皆さんは19万円×研 修医の数と思っていらっしゃいますが、そうではあり。 ○星委員  どうしてそんなに違うのですか。 ○事務局  実際に各医療機関さんから上がってきている実績部分からいきますと、大体5割弱ぐ らい、約半分弱ぐらいの支給率に上がっております。いま基準とする積算として、19万5 ,000円とか、11万9,000円という基準単価はあるのですが、そういう単価のほかに、実 質上の医療機材なども補助対象にしておりますから、そういうもので上がってくるので 、減産で医療用機械を購入した部分で、実質上の支出が非常に高くなっているという実 態はあります。 ○大谷座長  35年前に決めたとき、私が担当だったのです。3万円という握りで、それに研修医の 数を掛けて、とやっても、大蔵省はお金を出してくれないわけです。結局、積算の理屈 は後で厚生省が付けているのですが、それがそのままずっと引きずられて、いま10何万 まで上がってきているのです。ともかく研修医の数がきっちり担保されているかどうか で、実態が多い病院には少なく行っているのかもしれません。  しかし、皆さんに議論していただきたいのは、資料9です。収入には臨床研修費補助 金、施設整備費補助金、診療報酬の3つがあり、それが先ほどからの処遇の改善にも絡 めて、どういう形で考えられるかという議論が、非常に大事かと思うのです。 ○下村委員  これについてはそのころ、大谷座長とも議論をした覚えがあります。要するにインタ ーン制を廃止したときの議論ですが、当時のインターンの人たちは、「自分たちは実際 に医療をやっている。医療に従事している。医師法から言えば、医師としての資格も与 えられていないのに、医療を行っているのだからおかしいではないか。実際上医療をや っているのに、病院側にはそれに伴う収入もあるのに、それに対する対価のようなもの は全く払われていない」と言ったわけです。それで国家試験後に免許を与えることにし たのは、つまり医師としての研修をやるということは、医療そのものをやることを意味 する場合が多いわけだから、免許証を出しましょう、研修を行うために医師としての資 格が必要だった、こんな理由だったと思います。それと同時に、保険医の登録もやって いるわけです。  いまの予算に絡んで言うと、先ほど「診療報酬」という言葉が出てきたように、研修 であっても医療であるからには、当然それに伴う収入が診療報酬として、保険側から支 払われているわけです。当時の大蔵省側は、報酬があるのだから、研修医に対する給与 のようなものは、そこから払えばいいではないかということだったと思います。多分、 今でもそう言っているのではないかと思います。これに対して病院のほうは、研修医に 対する手当ては補助金でくれとおっしゃるわけですが、そんなものは全く払う気はない し、払う理屈もないというのが、主計局などが言っている理屈ですよね。  したがっていま付いている予算の中身から言うと、教材費のようなものとか、施設費 とか、指導医の手間賃といった、教育に要する費用、研修に要する費用が組まれている ので、病院側が言っている研修医に対する手当てのようなものは、本当は予算としては ゼロなのです。取れていないのです。ただし、それを配るときは、研修医1人当たりに して配るから、確かに教育に要する費用も、研修医1人当たりいくらと言って算出でき なくもないので、そうやって配るわけですが、そこが紛らわしいから、お互いに非常に 大きな認識の相違があるような気がするのです。今日の資料を見ると、そこが明確にな っているのかなと思いますが、当然そこには非常に大きな違いがありますから、そこは 整理しないと、「予算を要求しろ」と言っても、いまの筋書きから言えば、研修医に対 する手当てなど付かないですよ。私はそう思います。そこが必要ではないでしょうか。  また、先ほど研修医の給与水準の話がいろいろ出ましたが、個別の雇用関係が、研修 病院と研修医との間であるのなら、つまり雇用関係が前提であるのなら、その研修医に 対して給与をいくら払うか決めるのは、個々の病院の話です。個々の病院が、それぞれ 自分の所の経営状態なり、雇用関係なりに基づいて賃金を厚生省が一律に決めることは どうか。「望ましい」ぐらいは言えるかもしれないけれど、そんなことは言えないに決 まっています。それは研修先の病院が自分の所の医師の給与との見合いで、例えば半人 前だから0.5にするとか、もうちょっと役に立つから8掛けぐらいでいくかとか、その ような決め方をする性質のものだと思います。雇っているのですから、賃金などは病院 が決めるのです。雇ってもいない者が、「賃金を払ってやれ」などと、余計なことは言 えないはずだと思います。  先ほどのようないろいろな筋立てに基づいて、雇用関係があって、その雇用関係は、 研修病院と臨床研修生との間に成立しているという観念で成立すると、そうなりますか ら、臨床研修だから何か基準を決めてやらなければいけないというような考え方は、ど うもないと思うのです。その病院と雇用契約を結ぶのですから、いくら以上なければ研 修をやりたくないのなら、その病院に行かなければいいのではないかと思います。 ○大谷座長  これは非常に重要な問題ですので、どうぞご議論ください。 ○西岡委員  いま下村委員がおっしゃったことは、非常に大事なことだと思います。研修医の給与 や手当ては、各病院が払えばいいということになれば、折角これから作ろうとしている 研修システムなど、あってもなくてもどうでも良いということになるのです。どういう ことかというと、法律だけ作って規制だけはしているのですが、実際にお金を払う人が 、プログラムを勝手に作ればいいといったことにまで、発展してしまう可能性があるか らです。ですから、やはり研修医の手当てというものも、最低線のところだけは予算化 しておかないと、「規制」と言ったらおかしいですが、そういう決まりを作っても、動 かせなくなってしまうということがあるのです。  賃金を払う各病院が、自分たちと研修医とで契約すればいいではないかという流れに なると、ここがいちばんのポイントだと思うのです。ここで指導医の給与が本当に出て いるかどうかは知りません。ほかの機械にでも変わっているのだろうと思います。私は インターンをやった人間ですから、よく分かるのですが、そういったものだけを補助す るのではなく、やはり研修医の手当ての補助も予算化しておかないと、かつてインター ン制度が崩れたのと同じことを、研修制度が起こしてしまうというように私は思います 。 ○大谷座長  西岡委員、1つだけ事実関係を。国立病院は一応予算化しているわけです。国立大学 もやっているわけでしょう。  それと下村委員に注意するのは申し訳ないのですが。先ほどのお話はそのとおりで、 私の見解も、全くあなたの説明のとおりです。ただ今度の場合は、研修を法律で義務付 けてしまったのです。前回のときは、いままでのインターンの義務制を取り払ってしま ったのですが、今回はまたそれを義務付けるということで、政府は35年経って義務付け たわけです。国がもう法律で義務付けてしまったわけですから、その間の契約の考え方 というのは、前と全く同じということにはならないのではないかという気もするのです 。いまごろ言っても始まらないけれど、全くそんな予算も取らないで義務付けている政 府の姿勢はどうかなとは思いますが、そこのところはどうお考えですか。 ○下村委員  研修を義務付けたことの意義ですね。研修の中身については、本当は何か一定のもの が決まって、それが達成されるということでないと、義務を課しても、単に研修らしき ことをやればいいのだ、というだけの義務付けだってあるかもしれません。そうではな くて、それに対する単純な雇用契約以上の何かが、その義務付けの中に含まれていると 考えると、それに対する反対給付のようなものがあるかもしれませんね。ですから内容 の問題と絡んでくるのです。その研修の内容として、自由にやらせているもの以上に、 国家としてというか、政府として、特別な義務として入ってくるものは何なのかとか、 そんなところがはっきりしないと、ちょっと具体的にはならないですね。しかし雇用関 係だけで押していけば、先ほどのような理屈になるわけです。 ○大谷座長  そうです。私も形式上はそういうことだと思います。問題は、国がいままでとは違っ ているということです。資料9に書かれているのは、現状の収入と支出の表ですね。し かし今度は法律で義務付けたことにおいて、国がこの収入や支出に、どこまでその責任 をお考えになるべきか、妥当なご意見を委員の先生方から是非伺いたいと思うのです。 ○下村委員  いずれにしても、保険で払ってくれという議論もあったり、国家が払うべきだという 議論もあったり、その両方があるわけです。それがいくらかかるか見積るのは難しいか もしれないけれど、保険が払うにせよ国が払うにせよ、ここに書いてあるように、臨床 研修生は研修の結果として、診療報酬を得ているという事実は間違いなしにあるわけで すから、それと研修との関係といったものを明らかにしなければ、この予算は、もうも のにはなりません。あるいは保険に言われても、そんなものは診療報酬で払っているで はありませんか、という話以上にはならないのです。では臨床研修生というのは、病院 にいて診療報酬になるような医療行為以外の何かをやっているのか、そしてそれはどん なものなのかというのが、問題になるのかもしれません。  逆にそれでいくと、確かに国立大学はずっと手当てをしているわけですから、国立大 学の予算で、研修生に対する手当てが払われているのであれば、その手当てが国立大学 の特別会計で、収入見合いになっているのかどうか。おそらく国立大学のほうにも診療 報酬はあるのでしょうから、診療報酬の収入に見合ったものとして、研修生に対する手 当てが予算化されているわけです。そうであれば一般の場合には、全くこちら側が加入 する話ではないという、先ほどの議論になってしまいます。それは賃金で払ってもらえ ばいいという議論になります。ですから現在、国立病院で予算措置されている予算の性 格とか、内容とか、収入との関係などを、本当は明らかにしてもらう必要があると思い ますよ。 ○星委員  どこから払うかという話の前に、研修のためには一体どういうお金がかかるのかとい う話をしておかないと、駄目だろうと思います。例えばこれからプログラムを作って、 社会保険にも入りなさい、賃金の管理もしなさい、時間の管理もしなさいということに なれば、当然のことながら、医師以外の人たちの力を借りなければいけません。あるい はプログラムを組むために、人を集めるための会議もやるだろうし、今度は「評価もし ろ」と言っているわけですから、その評価のためのお金もかかるだろうし、「手帳も作 るのだ」と言えば、手帳のお金もかかるかもしれませんよね。  これまでに出してきた補助金という形が、本当に良いかどうかはわかりませんが、働 いている賃金とは別に、指導医にかかわるいろいろな時間をどう算定するのか、あるい は一方で、週に何時間は教えてやれと言っているようなことを決めるとすれば、それ見 合いは出しましょうなどという議論を積んで、この金はどこから出すのが適切なのです か、この人はこのぐらい出せるのだから、1年目については、ここからこのぐらい出し たらどうですかという議論をしないと。あっちも出ない、こっちも出ない、俺は出した くないという議論をしても仕様がないのです。一体どれだけかかるのかと。  今回目指している研修のシステムを動かすためには、どういうようにお金がかかるの だと。診療報酬で払っているのだから、全部病院で払えというのは、極論は極論として あるにしても、どういうようにお金がかかるのかという整理をしてもらわないと、中身 が決まらないと、誰が出すのかという議論にもならないと思います。ですから、その辺 のところを明確にしてもらいたい、あるいは明確にするための努力を、我々もしなくて はいけないだろうと思います。 ○下村委員  おそらく義務化することによって、何か現状と変わるのかどうかというのが、ひとつ ありますよね。現状のままの姿で義務化されるのか、現状で変わるとすれば、それが変 わることによって、余分に発生する費用は何なのかという点を、はっきりさせていかな いと、いま星委員がおっしゃった点については、答えがきちんと出てこないのだと思い ます。現状とどこがどう変わるのかというのが、具体的にわからないのです。 ○大谷座長  要するに極端な場合、いままで医師は研修を受けなくてもよかったのですが、今度の 法律で、国としては2年間勉強してもらわないと危険ですよということで、国の側から 言えば、制約を加えるわけです。それに対して国が、どれだけプラスアルファーの予算 を用意するかという問題だと思います。しかし、それだけではありません。特に下村委 員に、私個人からお願いがあります。診療報酬から出すのはおかしいと言えばおかしい のですが、やはり診療報酬をトータルとして考えますと、良い病院で良い医師を養成す るということは、結局、診療報酬の長期的視点から言うと返ってくるわけです。確かに 下村委員の在任中のころには、とても効果は出ないかもしれないけれど、10年後、20年 後、私どもが死んでしまってから効果が出てきて、日本の医療が良くなることが大事な のです。そういう意味から言うと、診療報酬で多少の上積みをして、研修病院をテコ入 れするのです。  私が見たところでは、いまの日本の基幹病院というのはアメリカに比べたら、絶対に 悪いですよ。これは日本の医療のために、どうしても良くしなくてはいけません。です から診療報酬から出すのは論理がない、という論理もありますが、それも考えなければ いけません。これも私は、皆さんに議論してもらいたいから申し上げているのです。し かし基本的には国が法律で義務化しておいて、それについてどうお考えになっているか ということは、絶対にプラスアルファーはしてもらわないと、やはり国民の皆さんは納 得しませんよ。その妥当な線は何なのかということで、厚生労働省はここに現状を3つ 書いておりますが、この3つで国がどういうテコ入れができるかという知恵を、皆さん から是非出していただきたいのです。 ○高梨委員  座長がおっしゃっているのに、それに反対するようなことを申し上げるのは申し訳な いのですが、いまの制度は、診療報酬として一定の医療行為に対し、社会保険制度払っ ているわけです。それはあくまでも医療行為という行為に対して、社会保険制度として 払うということで、従業員本人から、あるいは企業から負担してもらうことになってい るわけです。しかし保険料の半分を払っている、我々企業サイドとしては、教育のため に保険料を払うという意識は、いままで全くないのです。教育そのものには、いろいろ な教育があるのでしょうけれど、それに最もふさわしい財源で出すというのが、本来の あり方です。「教育の費用」と言っても、いろいろ幅広く、先ほどの指導医にかかわる ものと、研修医にかかわるものと、いくつかあるのでしょうけれど、少なくとも今まで は、そういう考え方で保険料を払っているわけではありません。  それからもう1点。確かにこういう制度で必修化することによって、効率化されるで あろうと思いますし、私たちもそういうことを期待しているのですが、それを保険制度 に期待するのか、別の財源に期待するのか。いまの我が国の制度であれば、国庫が医療 保険制度に対して、相当な負担をしておりますから、効率化によりその費用そのものが 減るわけです。そういう意味で効率化という問題を、診療報酬で見るのが妥当かどうか というと、私はそうではなく、それに最もふさわしい財源は、はっきり言えば一般会計 になるのではないかと思っております。 ○大谷座長  非常に重要なご意見だと思います。ほかの皆さん方もご意見をどうぞ。ただいま診療 報酬や一般会計など、どういう財源を求めていくかと。いままで以上に義務化した研修 について、きっちりしたものにステップアップしていくためには、どうしても財源が要 るわけですが、それについてどうお考えになるかということを、ひとつ自由にご意見を 伺いたいと思います。 ○星委員  前のときにも申し上げたと思いますが、やはり私も原則として、診療報酬から支払う のはおかしな話だろうと思います。ただ現実に医師の資格を持って、保険医の資格を持 って診療に当たるのですから、その診療に伴って発生する診療報酬の部分については、 今までどおり当然発生するだろうし、それは病院に支払われるわけです。このことは今 までもそうだろうし、この先もそうだろうと思います。ですからその中の一部が結果と して、いまも研修医の給与に当てられているのかもしれませんし、これからも当てられ るのかもしれません。  それについてはなるほどということで理解しますが、研修指定病院だから特別何かの 枠組みで、診療報酬の中からお金を出すとすれば、やはりそれなりの理由付けが必要だ ろうし、その割合も一般会計とのバランス、つまり教育に対して払うべき、負担すべき 人たちがどうなのかという議論をきちんとした上で、例えば診療報酬からこのぐらいの ことを上積みしてもらうのなら、それ以上に一般会計ではこれだけのものが必要だとい うことを主張しないと、いちばん出しやすそうな所に手を突っ込んで取ろうという発想 は、結局あるべき姿を歪めてしまうだろうと思います。ですから、やはり本来あるべき 姿ですね。先ほど申し上げたように、どういうお金がかかるのか、これはどこで払うべ き性格のものなのかという議論をするために、いろいろな資料と言いますか、そういう バックグラウンドを提出していただいて、あるいは我々も協力して、それからどうする のかという議論をしないと、先に進まないのではないかと私は思います。 ○吉田委員  要するに、研修医が労働者かどうかということですね。ここにも書いていますように 、限りなく労働者に近いわけです。「労働者性がある」とも書いてあるわけです。労働 者性があるところは、やはり診療報酬から支払っても構わないのではないでしょうか。 しかし同時に、教育的な要素もありますね。そこの部分はやはり一般会計から出してい ただいても、誰も批判しないのではないかという気がいたします。 ○花井委員  今回は司法修習生と決定的に違うところが、義務化されたというように思っておりま す。その点から言いますと、やはり診療している部分は診療報酬から、そのほかは教育 というように、診療報酬と公費の組合わせで維持していくべき性格ではないでしょうか 。ただ、それがどのぐらいの割合かというのは、それがどこにどういうものがどのぐら いかかるのかという中で、検討されていったほうが良いのではないかなと考えておりま す。 ○大谷座長  つまり後の部分は国費、一般会計から出せということですね。 ○花井委員  はい。その両方の組み合わせということです。 ○高梨委員  先ほど星委員発言の問題ですが、私自身としては、診療報酬との関係でいけば、この ように思っているのです。研修医の方が指導医の先生と一緒になって、検査をする、診 療をする、手術をするということは、当然あると思うのです。また指導の過程では、一 本立ちしていかないといけないわけですから、いつも指導医と一緒というわけにはまい りません。研修期間には、研修医が単独で診療を行うことだってあるのだろうと思いま す。そういうとき、研修医は保険医の資格を持っているわけですので、保険医として診 療報酬の請求をすること自体は、いま現在でもやっているのでしょう。そのこと自体を 先ほど否定したわけではありません。それはあり得るのではないでしょうか。ただ、そ れはあくまでも診療行為に対して払うものです。私が先ほど申し上げたのは、そことは 別の教育費と言いますか、そういうものを診療報酬で支払うのはいかがであろうかと申 し上げたのです。 ○櫻井委員  この問題をこの席でまとめようと思っても、かなり難しい問題があるし、たとえまと まったにしても、これに関してはかなりいろいろな意見が外部にもります。反対意見も あるわけです。現実的には、是非医政局のほうで、予算を御配慮いただきたいと思って います。かといって、十分な予算が認められる可能性は、低いと思います。しかし、だ からといって良い研修制度をつくらないわけにはいきません。どこが出すかについて、 この席で無理にまとめるのは非常に難しいでしょう。私は個人的には研修医が労働者で あること、医療に従事しているということで、一部は診療報酬から出しても当然という 感じがします。 ○大谷座長  私が、少しは診療報酬から出してもらってもいいのではないか、と思っているのは、 国が出せないので、そこから助けてほしいという意味ではありません。診療報酬は対価 に応じて払うものではありますが、国全体として見ますと、良い病院をつくっておかな いと、日本の医療そのものにプラスにならないからという意味で、臨床研修病院に手厚 く診療報酬をやるという考えも、あってもよろしいのではないかということなのです。 そうしないと、このままでいくと日本の医療は保険診療のために、だんだんと標準化と いうか、要するに画一化していく心配があります。私はそういう意味で申し上げている ので、そこの点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。  いずれにしても、いままでよりも研修をプラスアルファーしなければいけないという のは、もう事実ですが、一方では国からも診療報酬からもお金が出しにくいという、非 常に難しいことも十分わかっておりますので、やはり知恵を絞らなければいけないと思 います。国民の皆さんに、納得していただける議論でなければいけないと思います。今 まとまるような話ではありませんので、フリーディスカッションでどうぞ。 ○下村委員  いまの話に絡んで言うと、またちょっと違った側面からになるかもしれませんが、現 実に払っている所もあるわけです。大学によって、あるいは臨床研修病院によって、20 万円だったり30万円だったりするかもしれないけれど、一応そこそこの給料と言えるも のを払っている所も、実際には存在しているわけです。はっきりした数字はアレですが 、率直に言っていま保険から診療報酬として払っている金は、1人の研修生について、 2万円とか3万円という水準ではないと思っております。ですから当然払えるはずでは ないかと思います。それを義務化したら中身がどう変わるかという議論も抜きにして、 とたんに金がなければなれないという大学側の主張は、私はどうも納得できません。金 がないから良い研修ができないと言わんばかりの議論で、本当にそうだろうかと。そこ ら辺ははっきりさせてほしいということです。 ○西岡委員  委員がおっしゃる意味はよく分かりますが、国立大学の場合、いまは一般会計から支 給してもらっています。これも簡単に出来たわけではありません。大学紛争から後に、 延々かかって少しずつ予算をいただく努力を、関係諸氏にやっていただいた結果、やっ と医師としての初任給という形で、予算をいただくことが出来たわけです。今ここでお 金はどうかというと、やはりこの部分に関して、いままで厚生労働省があまり努力され ていなかったということではないかと思うのです。それを医療費で出そうか、どこかで 賄ってしまおうかというような、簡単な論議をここでやってしまいますと。やはり日本 の将来の医療ということを考えていただかないと、ここで失敗しますと、多分また大学 紛争と同じことが起こって、研修がいい加減なものになってしまうということを、十分 にお考えいただきたいと思います。  やはり国として将来のいい医療をつくるものです。研修医というのは10年後、20年後 に私たちの健康を守ってくれる人たちなのです。それがいい加減な形で、非常に雑な医 療を学んでしまった場合には、どう仕様もなくなってしまいます。これはもう日本の医 療そのものが壊れてしまう可能性があるわけです。そこのところを十分加味いただいて 、やはりお知恵を十分絞っていただきたいと思います。たくさん出せとは言いませんが 、最低線のところは、やはり国家のほうから保障していただけるような形でないと、こ の制度は動かないのではないかと、私たちは思っております。 ○大谷座長  川崎委員はどうでしょうか。やはり下村委員も触れられたように、私は大学病院の問 題が、いちばん大きいと思うのです。 ○川崎委員  そうですね。実は、研修医は3つに分かれて、国立大学や国立病院のように、国がお 金を出す所と、県や市などの地方公共団体が出す所と、いわゆる学校法人なり民間が出 す所、という雇用形態が存在するわけです。私がこの前、厚労省の方からお聞きしまし たら、国家公務員の場合は、労働基準法の適用を受けないのです。それは非常勤公務員 もそうです。ですから労働基準法の適用を受けるのは、民間と地方公務員だというお話 があり、これはなかなか難しいなという気がいたしました。  研修については、先ほど櫻井委員やほかの委員も言われましたように、研修医だけで なくても、病院のお医者さんの勤務状態について、最近、厚労省がまた調査を始めてお られます。しかしそれを厳重にやると、救急医療などとても出来ません。医者の数をか なり増やすか、医者も看護婦さんと同じように三勤制にしないと、それだけのお医者さ んを雇うだけの病院は、いまの状態ではとてもないという、日本の医療の原点まで戻っ てくるような、あるいは医療費の制度にも戻ってくるようなことですから、これは大変 難しいでしょう。  ただ、この前のときも申し上げましたが、義務化するということと、もう1つには2 年間の研修が、後々日本の医療の質を担保するために、かなり厳しく、例えば3分の2 ぐらいは是非おやりなさい、やらせなさいということを義務付けたカリキュラムを、お そらく厚生労働省は提示なさると思うのです。それで2年間やることになりますと、そ の裏付けとして大学なり病院は、もちろん最低賃金以上のものを払うことをきちんとや らないと、結局はいまのようにこっそり抜け出して、アルバイトを黙認せざるを得ない 状態になるのではないでしょうか。  私どもも医政局のほうからはまだ聞いておりませんが、定数の問題と非常に絡むので はないかと思います。というのは私立医大の中でも、東京の私立医大が非常に大量の研 修生を、毎年引き受けております。私立医大全体では、約2,000人の方を研修生として 、毎年受け入れております。ですから逆に言うと田舎の私立の医科大学では、たった20 人ぐらいしか残らないので非常に困っていて、国立大学でもそういう所があるわけです 。ですから定数の問題が表に出てくると、私立医大もそれぐらいなら、ある程度のお金 が出せるのではないかという話もある半面、それではとてもやっていけないということ もまた出てきて、我々私立医大としては大変困った問題に発展する可能性もあると思い ます。  最初はいまから10年以上前に、身分やお金のことは保障するから、研修制度に反対し ないでくれと、厚生省のほうから私立医科大学協会のほうに申し入れがあったのです。 私もその席におりましたが、当時は保険財政もよかった時代です。いまの場合、お金の ことは全く関係ないという状態で、この法律が平成16年から施行されて、厚生労働省か ら示されたカリキュラムで2年間の義務化が行われた場合には、おそらくこれは病院の 責任で、研修が終わったという証明を病院長さんが出されて、医籍に登録されるという ことになります。医籍に登録される以上は、いい加減な研修で登録するということにな ると、一種の制度としては日本の医療も、もう非常にまずい話ですから、そうなると、 やはり何かの裏付けが、特に身分、処遇の裏付けがきちんとなくてはいけません。  国からもうすでに金が出ている所、地方から出ている所、民からすでに出ている所、 出ていない所というのがあって、この3つは違うので、私立の大学としては内部をまと めるのに、大変悩んでおります。実は私どもも関西医科大学で昨年、事故がありまして 、裁判でも負けました。ですから、いつでもそういうことは起こり得るということで、 保険に入るとか、最低賃金は出しておこうというような話を、内部ではしておりますが 、「とても出せない」と言われる所やいろいろあって、協会の立場としては悩んでおり ます。 ○大谷座長  ほかにどなたかどうぞ。 ○花井委員  これは質問です。前の検討会のときに、各大学の研修の手当ての一覧表が、新聞報道 記事で出されたときに、2万5,000円から10万円ぐらいの金額が出ていたのです。しか し今の研修医の方は、それではやっていけないからということで、アルバイトに行くわ けです。それで1晩やって何万円になると。そこではそういうお金が出ているのに、ど うして研修先で2万5,000円、3万円ということが起こるのか、素人から見たらとても 不思議な世界なのです。なぜ払えないのか、では研修生がアルバイトで宿直に行ったと きには、なぜ何万円の手当てが出せるのか、その辺がよく分からない、不透明だなとい うように見えるのです。「払えない」と言っているのに、診療をしていて診療報酬は入 っているわけですよね。ですから、もう少し明確に払えない理由、なぜ当直したら払え るのか、その辺がわかるような形で、もし説明いただけるならと思います。そのことに 対して、医政局はどのように考えられているのかということでもいいです。 ○大谷座長  1つには、研修をさせなければならない病院の環境と、大いに働いて診療報酬が上が る職場との違いがあると思うのですが、これに対して適切なお答えをしていただける方 、どなたかおられますか。要するに大学病院は救急的な医療とか、そういうものをたく さん背負っておられます。確かに経営が大変なことは事実です。若い人の加重労働がな いと、なかなか成りたたないという形になっていることは事実です。一方、たくさん給 料を払える所は、庶民の方がいろいろな病気のことで来られて、そういう所で一晩当直 してもらっていても、診療報酬で賄えるというように、現代の医療の歪みというものが 、多少そこには反映していると私は考えているのですが、どなたか適切なお答えをして いただける方があれば、どうぞ。 ○下村委員  そこら辺はどこかでちゃんと整理してくれないと。勝手に整理してもいいというのな ら、整理したものを作ってみてもいいけれど、大学などのことをそんなによく知ってい るわけでもないから分からないですよ。しかし多分、1つには慶應だと200人という数 を取っているからではないか、というのもあるかもしれません。今ちょうど定員の話が 出たのですが、定員はいつごろどうやって決めるのですか。施設のほうか内容のほうか で、何か議論をしているのですか。 ○医事課長  昨日の施設基準とプログラムのほうの委員会でも、その議論が出ました。定員は何ら かの形で決めていくということについては、基本的には特にご異論はなかったと承知し ておりますので、これから具体的にどう考えるのかという議論を詰めていくことになり ます。 ○下村委員  おそらく定員というのは、指導医やいろいろな施設など、客観的なものによって制約 されるところがありますから、当然厚生労働省としては、一応の基準を決めて、定員は 認可制になるのか。学部の定員は、文科省になるのでしょうけれど、臨床研修について は厚生労働省だというのなら、厚生労働省でちゃんと定員を決めてくれるのでしょうね 。大学で勝手に決めるわけではないですよね。 ○医事課長  ですから、どういう考え方で定員を設定するのかということも含めて、これから詰め ていきます。 ○下村委員  しかしものの基本からすれば、勝手に大学側が決めるという筋ではないと思うのです が、どうですか。 ○医事課長  大学病院における研修というのは、医師法の研修に関する規定上、大学病院というこ とだけで自動的に研修施設として指定されますので、そこを私どものほうで規制するの は、どうなのかなというところがあります。ですから大学病院の定員の扱いについて、 いまの時点ではっきりしたことはまだ言えませんが、臨床研修病院について言えば、一 定の基準の中で運用していくことを考えております。 ○下村委員  自動的にと言いますが、そういうことばかり言っているから、この話は進まないので す。客観的な条件によって制約されるものがあるのですから、ある面から言えば、明ら かに一定数以上は受け入れられない、というような言葉が言えるはずなのです。そこは ちゃんとした姿勢を示してほしいですね。それもやらないと言うのなら、もうこの議論 はできないですよ。大学であっても根本的に適格性を欠くような事情が、一時的にでも 発生すれば、指定しなくても仕様がないのではないですか。 ○西岡委員  中島課長は非常にお答えしにくいところだろうと思います。大学のほうに関しては、 国立大学、公立大学、私立大学がみんな集まった、全国医学部長病院長会議というのが あります。その中で定員はどういった形でないといけないのかという1つの案を、もう 作っております。それを同じ場でディスカッションしていただいて、本当にいい医師が 育成できるかどうかといったところで、決定していただきたいという形で、いまお願い しているところです。 ○大谷座長  西岡委員、私からも個人的にお願いですが、ほかの議論をいろいろやりましても、こ の35年間、厚生省と私どもがやってきてうまくいかなかった最大の原因は、大学病院の 定数問題と、2年の研修が終わった時にレールジッツにスタートラインに立たれるとき に、大学病院に残った方が、将来のレールに非常に有利に働くという、この2点なので す。ところが今度の法律が通るときに、私はア然としたのですが、この2つについては 何の解決もされないで、そのまま義務化だけが行われたのです。ですから、そこの点が 非常に問題なのです。厚生労働省は真剣に文部科学省のほうと協力されて、この問題を 解決しないと、真面目に私どもの言うことを聞いて研修病院に来られた方が、将来偉い 大学教授になれなくなります。ですから、その点を是非大学の問題として話し合ってや っていただかないと。一生懸命皆さんがこういう議論をして、私どももやるのですが、 下村委員が言われるとおり、定員問題を大学がみんな抱えてしまわれれば、本当にこの 制度はもう成り立たなくなると思います。 ○西岡委員  弁解させていただいて、よろしいでしょうか。確かに今はいろいろな所で騒がれて、 研修医の75%は大学病院にいると言われております。ただ先生方、いまの大学はかなり 様変わりいたしました。実際に私どもの卒業生を見ても、自分たちでいいプログラムが ある所へ行ってしまうのです。大学に残ろうというわけではないのです。しかも非常に 優秀な学生ほど、そちらのほうに行ってしまうという現象が出てきております。ですか らプログラムがいいかどうか、指導医がいいかどうかで決まるのです。  彼らにとっては後の就職先のことが気になりますので、そこのところで大学のほうで 面倒みてくれるかどうかという話かけもあります。やはり大学としても、研修のところ で良い実績を上げられた方はほしいのですが、そうでない方はほしくないという形で、 いまの一般社会の競争原理と同じものに、大きく変わりつつあります。例えば矢崎委員 や櫻井委員の所などは、非常に希望者が多いのです。かえってそこに研修医として入れ てもらえるかどうかが、彼らにとっては非常に興味の焦点になっています。こういった 状況になっていることを、少しお考えいただき、言い訳とさせていただきたい。  大学が取り込んでいると、よく言われるのですが、決してそうではありません。いま は研修医の方々の意識が、大きく変わっているということを、お考えいただきたいと思 います。我々全国医学部長病院長会議のほうで、良い研修制度をつくりたいと考えたの は、そういうことです。ですから仕方がないから大学にでもいようかという人ではなく 、やはり大学のプログラムがいいから大学で研修しようという方が集まらないと、大学 も先は暗いのではないかと、私は思っております。 ○大谷座長  ほかにどなたかどうぞ。ご自由にご発言ください。 ○星委員  昨日の会議でも話をさせていただいて、明確にさせていただきましたが、先ほど課長 がお話になったように、大学の基準には手を突っ込めないというお話でした。法律を作 ったときに、座長はがっくりきたということですが、私も後で読んでがっくりきたので す。ただ関連病院を持ってグループとしてやろうとすれば、大学病院も頭からきちんと 、厚生労働省の基準に従わなければいけないということは、明確にされたところですの で、現実にいまやっているような研修を大学がしようと思えば、自ずと大学もそのグル ープと言いますか、いま我々が議論している基準にはまらなければいけないということ になるだろうと思います。  ですから大学をあまり特別視したり、私立医科大学が5万円で特別だということは言 わずに、ある姿を示して、結果として、それでは経営ができませんというお話は、医療 制度全体の話なのです。いま新しい診療報酬の話もしているようですが、それはまた別 な次元で話をしていただくことにしたい。あまりいろいろなことに気を配らずに、いま 我々がしなければいけない仕事に集中して、どういうお金がかかって、それは納得のい くお金なのかどうか、国民から見てどうなのかという話を、きちんとここで明確にする と。そして我々が示した基準に従わない大学に進むようなことにならないように、ある いは大学が特別の基準を自分たちでお手盛りでやったとすれば、それが批判に遭うよう な、そういう素晴らしいものをこちらで作れば、自ずと大学もそれに引っ張られるとい うか、当然同じような枠組みで考えなければならないといった状況になるのでしょう。  私は前は医事課長に随分文句を言いましたが、もう腹を決めましたから、そういうも のをどうするのかということを、ここでギッチリ議論したいと思いますので、次回まで に先ほど言ったようなものを、きちんと示していただく。そしてあちこちにいろいろ配 慮しないで、あるべき姿を示すことに集中してはいかがかなと、私は思います。 ○大谷座長  厚生労働省の案に示してある、最低賃金など、A、B、Cと3つありますね。私はこ れを示すことによって、逆に現在、ある程度払っていただいているような、良い臨床病 院の給与を引き下げる、あるいは固定化してしまうということになってもいけないので 、A、B、C案について、皆さんのご意見を伺いたいのです。 ○下村委員  この2頁の所でしょう。 ○大谷座長  これは資料の何番ですか。 ○下村委員  手当ての額の話ですか。 ○医事課長  資料4の2頁です。 ○下村委員  この基本は、やはり雇用関係ということになれば、その病院の給与実態に応じて決め られるわけです。その場合、最低賃金を基準にして賃金を決めている所はないでしょう から、Aはちょっと。当然、この条件を満たしてなければ駄目ですよ。普通は満たすと 思うのですが、そうするとBやCのような要素は考えに入れるにしても、その病院の給 与体系に応じて決めるというのが、普通になっていくのではないですか。研修医だけ、 普通にそこにいる医師以上に優遇するわけにはいかないでしょう。それはその病院の医 師の初任給やそんなところで決まってくるのではないのですか。それ以上の待望してく れとか、義務化した中にそれ以上にお金を出してやる、そんなことは言えないでしょう 。 ○高梨委員  ここには、たまたま3つのA、B、Cとしか書いてないので、これ以外の選択肢があ るかどうかよくわからないのですが、最後の言葉が「研修手当を支払うこと」、こうい う表現にいずれもなっているわけです。そして、真ん中のところに一定の水準が書かれ ていて、それが3つあると、こういうことです。国のほうが基準を定め、これこれの研 修手当を支払う、という形式のときに、具体的な額を入れるというのは、相当の理由が ないとなかなか難しい気がします。というのは、いままでの前提条件は労働者性がある とこういうことを言っているわけです。労働者性ということは、大学病院とか指定病院 とかが使用者であり、働いている人が労働者と言うことです。労働契約関係の重要な1 つである、賃金の額を、国自身が、ある水準の額、現在の給料水準額、あるいは他の職 種との関係というようなことがあるにしても、そういうもの以上に払えということが一 体言えるのかどうなのか。要するに、本来自由である契約の中に、具体的な金額を入れ るということが強制できるのかどうか。もちろん、最低賃金法という制度をもって「こ れ以下はいけませんよ」という、そういう制度はあるわけですが、ここのBとかCの形 での具体的な金額を入れる形で基準作りをするということについては、ちょっとどうか なという感じはします。 ○大谷座長  そうですか。そうでしょうね。実は、35年前にやっぱりこの議論で困りまして、アメ リカの病院を調べました。私、今度のこれで思い出したのですが、そうしましたら、い まの日本の病院と同じなんですよ。本当にいい優秀な病院は、ほとんど無休に近いよう な安い給料であり、それから僻地とかアリゾナとかいう所では非常に高い給料を出した 臨床研修病院があるというふうに、格差はいろいろある。そういうことで、義務化を外 すのであるから、それはその臨床研修医に来て、自分の病院の向上を図ろうとする所は 、高い月給を出して若い人を迎えればいいではないかというような理屈で、先ほど下村 委員がおっしゃったように、厚生労働省としては、研修医の処遇についてはなんの取組 みもしなかったわけですね。今度は、要するに研修を義務化して、すべての卒業生に課 するわけですから、その点を下村委員や高梨委員に是非お考えいただいて、そこをどう いうふうに工夫をするかということだと思います。全くアメリカと同じように、自由競 争に委ねるか、多少、国家としての良心を示すかという、ぼくはやっぱり示したほうが いいのではないかと思います。それは、どういう示し方があるのかということなんです 。 ○下村委員  実態みたいなものを無視できないので、だから、ぼくは病院の給与体系が実態におい て決まるというところが基本になるのではないかと言ったのです。そういう意味では、 払っていないようなところがあるので、基本は、こういう契約があって労働者性がある というのであれば、最低賃金の分だけは本当はちゃんと払ってということになるのかも しれませんね。これはないだろうと言ったけれど、考えてみれば、ただみたいな所があ るというのであれば、ただの所でも最低賃金ぐらいは払うのが当り前だ、というのがあ るのかもしれません。あとは、その病院の体系で行ってもらうしかしょうがないでしょ う。 ○川崎委員  私立医大の中でも、本当に恥ずかしい話ですが、ただでもやらしてくれとか、それか ら2万5,000円でもたくさん来て困っている、いくらでも来るんだということを堂々と 我々の会合でおっしゃる方もあるのですが、それで結局は、アルバイトをしているとい うことなんです。ですから、今回この制度ができて、アルバイトが絶対禁止されるよう に読めるのですが、それに対する監督とか、本当にそれがきちんと、例えばアルバイト をしている場合には、医籍の登録は認めませんよとか、そういうことの縛りが、おそら く法律ができた以上は出てくるのでしょう。それを隠すようなことになるとまずいので 、それは定数との絡みもあるので、たくさん採っておられる所も、採れなくなるような 状態が必ず起こってきて、しかも、最低賃金以上のものを払って、いかに希望者が多く てもそうならないように何か制度ができないと、大学病院は全然手を入れないんだと言 うと非常にまずいのではないか。これは身内の首を絞めるような話ですから、非常に言 いにくいのですが、折角制度ができて、2年間研修を義務付けて、最低限と言うか、必 要な知識と技能を修得させる、そのようにスタートするというように、是非なってほし いと思います。 ○下村委員  アルバイトをやるために保険医登録を認めているわけではないので、アルバイトのた めだけに専ら保険医登録が使われているのなら、保険医登録を抹消するようなことを考 えるべきでないかと思うんですよね。 ○大谷座長  はい、ありがとうございました。だいたい、今日のところはこの程度にしておきまし て、次回もう一度ご議論をいただきたいと思いますので、それまでにもし何かペーパー でも、お電話でも結構ですので、事務局のほうに「こういう点を検討しろ」とか、「自 分の意見はこうである」ということがありましたら、そう再三会議を開くわけにはいき ませんので、どうぞ1つ積極的にご意見をお寄せくださいますようお願いいたします。 次回の日程につきまして事務局からお願いします。 ○医事課長  次回の日程の前に、先ほど星委員、下村委員からも少しご指摘がありました件ですが 、研修の内容、費用の関係等につきましては、昨日のプログラムと基準の部会でも一定 の枠組みを示さしていただいたこともありますので、やや具体的に詰めることが可能に なってきたと思いますので、次回までにできる限り具体的な線をお示ししたいと思いま す。そういう資料を用意したいと思っております。 ○下村委員  それでさっき、予算の積算をあれは見せておいてください。あの話の発端を。それか ら文部省側の予算の組立てというのも教えておいてください。現在の文部省側の予算の 考え方は一体どうなっているのか。そういう点を是非知りたいですね。国立大で払われ ている場合は、それは給与として払っているのですか。それは公務員の給与表に基づく 給与になっているのか、どうなっているの、その辺も知りたいしね。 ○医事課長  その辺も含めて、次回資料を用意させていただきたいと思います。予定ですが、次回 の小委員会につきましては、処遇等小委員会ですが、7月18日の木曜日の午前10時30分 から12時30分ということで、場所は厚生労働省省議室5号館の9階で開催をいたしたい と思います。ご意見につきましては、申しわけありませんが7月8日の月曜までにいた だければと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。 ○大谷座長  よろしゅうございますか。それではこれで閉会といたします。どうもありがとうござ いました。                        照会先                         厚生労働省医政局医事課                         電話 03−5253−1111                           内線 2563