02/06/18 第1回新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ全体委員会議事録     第1回 新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ全体委員会                        日時:平成14年6月18日(火)                           10:00〜                        場所:厚生労働省省議室 ○医事課長  それでは定刻になりましたので、ただいまから「新医師臨床研修制度検討ワーキング グループ」を開会させていただきます。委員の皆様方においては、お忙しい中をご出席 いただき、誠にありがとうございます。私は厚生労働省医政局医事課長の中島です。よ ろしくお願い申し上げます。  はじめに、本ワーキンググループの開催に当たって医政局長からご挨拶を申し上げま す。 ○医政局長  皆様、おはようございます。医政局長の篠崎です。本日は新医師臨床研修制度検討ワ ーキンググループというものをつくって、お願いをしたところ、大変お忙しい中をご参 集いただき、誠にありがとうございます。  医師の卒後の臨床研修については、平成16年4月が実施ですので、もう2年を切るこ とになりました。昨年6月から医道審議会の分科会で、平成16年4月に向けての臨床研 修についての基本的な方向についての議論をいただきました。主にヒアリングが中心で したが、全部で11回にわたって会を開かせていただきました。  その結果が5月22日に「中間とりまとめ(論点整理)」として、その会で合意をい ただいたものです。したがって、いまの時点では、その「中間とりまとめ(論点整理) 」を中心にいろいろとご議論をいただいているということです。  そこで私どもとしては、厚生労働省としてのひとつのスタンスを出したつもりです。 今後はこの基本的な方向に沿って具体的な作業に入らなければなりません。  その論点整理に書いてあることですが、3つのキーワードがあって、新しい臨床研修 制度においては、研修医がアルバイトをしないでプライマリ・ケアの研修に専念をして 、医師としての人格の涵養を図るというのが基本的な考え方です。この考え方について は、国会においても厚生労働大臣から何度となく質問に対して、本会議等で発言をして いただいているところです。裏を返すと、現在の臨床研修制度は昭和43年からスタート していますが、残念ながらアルバイトをしながら専門医を目指して技術の研鑽に励むと いう状況ではないかと思っています。  昨今、医療事故等、医療にかかわる国民の不信は非常に高いものがありますが、その 全部とは言いませんが、やはり初期研修の中でやるべきことをやっていなかったことが 、今日のいろいろな国民の医療不信を招いている一因になっているのではないかと考え ているところです。そのような中で35年ぶりの大改革になるわけですので、私どもとし ては、21世紀の日本の医療の質の向上のためにも、抜本的な改革をした制度にしたいと 思っているわけです。  去る5月27日ですが、医師でもある坂口厚生労働大臣は、この臨床研修の改革につい て強い意欲をお持ちですが、坂口厚生労働大臣との呼び掛けで、両大臣と遠山文部科学 大臣とに両省の幹部が集まって、大学病院の役割に関する連絡協議会を発足させました 。1回目は厚生労働省のほうが当番でやりましたが、2回目は文部科学省の当番でやっ ていただきます。その際に10の大学の病院長あるいは医学部長にもご出席いただいて、 厚生労働省、文部科学省の両省の連携を深めるためにご議論をいただきました。  その中でのいちばん大きな話題が、この新しい臨床研修制度のことでした。当日は堀 江先生にもこの会には出ていただいていましたが、その中でも、今後、大学病院と文部 科学省と厚生労働省がより連携を深めて、よりよい研修が行われるために、大学病院あ るいは臨床研修病院というような立場を問わず、幅広い見地から、今後も協力して検討 していきたいという話になったわけです。  そこで、今日初めてお集まりいただきましたが、前回10何回審議会でやってきました が、多くの方に集まってやっていただくと先に進むスピードが遅くなるので、このワー キンググループにおいてはそれぞれのテーマごとに小グループに分かれていただいて、 同時並行的にご議論をいただければと思っています。もう2年を切っているので、私ど もとしては具体的なものを含めてまとめていただくのを、遅くても秋頃までにと考えて いるわけです。時間も迫まっていて、大変お忙しい先生にお集まりいただくことは誠に 恐縮ですが、そういう趣旨を十分にご理解いただいて、ご協力いただますよう、よろし くお願いいたします。 ○医事課長  次に委員の皆様方のご紹介させていただきます。千葉県健康福祉部長の梅田勝委員で す。国際医療福祉大学総長の大谷藤郎委員です。川崎学園理事長の川崎明徳委員です。 東京大学医学部助教授の北村聖委員です。聖隷浜松病院院長の堺常雄委員です。自治医 科大学附属病院副院長の島田和幸委員です。健康保険組合連合会副会長の下村健委員で す。日本経済団体連合会国民生活本部主監の高梨昇三委員です。東京医科歯科大学医学 部附属医院長の西岡清委員です。名古屋大学医学部附属病院院長の二村雄次委員です。 日本労働組合総連合会生活福祉局次長の花井圭子委員です。日本医師会常任理事の星北 斗委員です。日本大学医学部長の堀江孝至委員です。大阪大学医学部附属病院長の松田 暉委員です。国立国際医療センター総長の矢崎義雄委員です。全国国民健康保険診療施 設協議会常任顧問の山口昇委員です。奈良県立医科大学長の吉田修委員です。なお、本 日は聖路加国際病院長の櫻井健司委員からご欠席の連絡をいただいています。  続いて事務局の紹介をさせていただきます。医政局長の篠崎です。医政・保険担当審 議官の中村です。医政局総務課企画官の武田です。医政局医事課試験免許室長の鬼窪で す。医政局歯科保健課長の滝口です。また、文部科学省から高等教育局医学教育課長の 村田課長が出席しております。どうぞよろしくお願いいたします。  次に審議を進めるに当たって、この新医師臨床研修制度検討ワーキンググループにつ いては議事録を含めて公開ということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○医事課長  それではこのワーキンググループについては、議事録を含めて公開とさせていただき ます。  次にこの会の座長については、医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会の部会長 でもある、矢崎委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○医事課長  それでは皆様のご賛同を得ましたので、矢崎委員に座長をお願いしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○座長(矢崎)  ただいまワーキンググループの座長に指名された矢崎です。先ほど篠崎医政局長から のお話がありましたように、この臨床研修制度はインターン制度以来35年ぶりの大きな 改革で、私自身は今度作り上げる臨床研修制度は世界に類のない臨床研修制度になるの ではないかと思います。  今日まで11回にわたって検討部会でおおよその方針を定めました。これからはワーキ ンググループということで「中間とりまとめ(論点整理)」に沿って、臨床研修制度の 具体的な方策を決めていただくことになると思います。平成16年度ですが、研修施設は 研修医に対してある程度のガイドラインを発表せざるを得ません。したがって大綱はこ の夏中に決めないと間に合わないという事態があるので、ご協力をよろしくお願いした いと存じます。具体的な方策となるといろいろな困難が生じてくると思いますが、その 辺は是非先生方に英知を出していただいて、まとめていただければと存じますので、今 後ともよろしくお願いいたします。  それでは議事に入りたいと思いますが、最初に事務局から臨床研修必修化についての 、これまでの検討状況、それから本ワーキンググループの検討事項と検討の進め方など について、一括してご説明をお願いいたします。 ○医事課長  それでは説明をさせていただきます。初めにお手元の資料について簡単にご説明いた します。資料1は委員名簿です。資料2がこれから使う説明用の資料です。参考資料と して分厚く積んでいますが、これは「中間とりまとめ(論点整理)」の本編と資料編と いうことです。この参考資料に黄色のタグが付いていますが、これは国立大学及び全国 医学部長病院長会議での提言です。この2つについて附箋を付けています。  それでは資料2に基づいて説明いたします。資料2の2頁をお開きください。これは 臨床研修必修化の経緯の概略です。平成12年12月に医師法及び医療法の一部改正が行わ れて、平成16年4月から臨床研修が必修化されることとなったわけです。昨年6月から 医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会において、これについてのご検討をいただ いているところです。本年5月に「中間とりまとめ(論点整理)」がまとめられたとこ ろです。  次に3頁をお開きください。このワーキンググループについてですが、この「中間と りまとめ(論点整理)」に基づいて、新しい医師臨床研修制度の具体的な中身を検討い ただくという趣旨です。4頁をお開きください。この概要ですが、お手元の参考資料の 中にある「中間とりまとめ(論点整理)」の10頁からが、中間とりまとめにおける必修 化後の医師臨床研修制度の基本的方向ということで書いています。こちらも随時参照し ていただきながらお聞きいただければと思います。  大きく6点あって、1つ目は、研修の基本的なあり方ということで、基本的な理念を 書いています。簡単に申し上げると、臨床研修に研修医が専念しつつ、プライマリ・ケ アの基本的な診療能力を身につけ、医師としての人格を涵養するという趣旨です。2つ 目は11頁からですが、研修施設に関することで、新しい仕組みにおいては研修施設は病 院群の仕組みを拡大して適用することとか、あるいは臨床研修病院の指定要件を見直す などして、より多くの病院に臨床研修に参画していただくということです。また、全国 にある二次医療圏の中で、1つぐらいは研修体制を持っていただくというようなことを 内容としています。  3点目は研修内容に関することで、基本的な研修プログラムに関して、これを国が作 成して、その中身としては、基本となる診療科のローテーションなどを決めるというこ とです。また、基本となるプログラムの他に、プログラムごとに一定程度の特色を持た せるということも書いています。  4点目は、研修医と施設の組合せ決定、いわゆるマッチングシステムのことです。そ の前提として、研修のプログラム及び研修施設について、定員を設定するという考え方 、また研修希望者と施設の組合せ決定をマッチングシステムという形で効率的に行う仕 組みを作るということをいっています。  5点目は研修委員会等についてですが、研修委員会は研修医の研修状況の把握と指導 を行うとともに、修了認定に至る研修成果の評価を併せて行っていただくということで す。6点目として研修医の処遇ということで、処遇の基準については国が基本の部分を 示すということです。財源の確保については幅広く検討をするという内容になっていま す。  5頁をお開きください。以上が「中間とりまとめ(論点整理)」ですが、こういった ものに基づく新しい臨床研修の考え方ということです。研修の質を確保しつつ、多様な 施設での研修を実現するということが、今回の主な点であることから、以下の基準など について見直しをしたり、あるいは新たに設定する必要があるということです。  1つ目は、研修施設についての基準に関することです。2つ目は研修内容(研修プロ グラム)についての基準についてです。3つ目は研修医の処遇についての基準に関する ことです。こういったものについての見直し、あるいは設定が必要になってくるという ことです。  6頁をご覧ください。これは新しい仕組みの下での研修がどのような格好になるかと いうことについてのシェーマということで、右側の黒く四角で囲ってある下に、「X病 院(単独)」と書いているのは、単独の施設として臨床研修病院の指定を受けている場 合で、プログラム(1)と書いているように、その施設の中でプログラムが完結している ようなタイプです。左のほうは病院群ということですが、2つの病院が群を形成して指 定を受けた場合に、そういった2カ所で研修を受けるようなタイプのプログラム(2)と いうような考え方です。あるいは、その病院群と単独の施設などの両方の施設を使用す るようなプログラム(3)というような形のプログラムもあり得るのではないかというこ とで、1つのイメージということで書いてみたわけです。  7頁をご覧ください。ここでプログラムという言葉を用いましたが、どのようなこと かという概要です。プログラムについては何らかの名称が付くであろうということと、 プログラムをどのような方が責任を持って監督していただけるのかということと、責任 を持たれる施設がどのような施設なのかということ、またそこで行われる研修の目標は どのようなものになるのか、あるいは特色はどういうものかということです。また、研 修方式については、どのような診療科をどの程度の期間ローテーションするのかという こと。また、協力施設、協力病院、診療所等はどのように組み込まれるのかということ 。研修定員は何名になるのかということ。指導体制は指導医、指導委員会等がどのよう な構成になっているのか。さらに処遇については、給与、勤務時間等がどのようなこと になっているのか。こういったものを含めて、取りあえずプログラムという概念で括っ ています。  8頁をご覧ください。こういったことで、今回ご検討いただく項目としては、研修の 内容、施設、処遇に関することの3つがあるということです。そのそれぞれについてで すが、9頁からをご覧ください。まず研修内容に関することとしては、研修の目標、必 修項目がどのようなものかということ。必修の診療科あるいはローテーションの期間が どのようなものとして設定するかということ。それぞれのプログラムで特色を出させる という観点を含めての、選択の期間、あるいは項目はどのようなものになるのかという こと。各プログラムの定員はどのように考えるのかということ。指導体制、評価方法、 これは研修途中における研修が適切に行われているかどうかというようなことを含めて の評価方法です。その次は研修修了の認定はどのように行われるかということが、内容 についての検討いただく事項ではないかと思っています。  次に10頁ですが、研修施設に関することです。研修病院の指定基準の見直しというこ とで、剖研率の問題、必要な病床数、診療科の問題等があります。また、病院群につい ての運用の考え方についてもこの際に整理をいただきたいと思います。また、研修協力 施設ということで、ここでは保健所・診療所等、いわゆる臨床研修病院という格好で定 義しにくいものを言っておりますが、こういったものをどのように取り扱うかというこ とです。また、指導医の要件について、これを経験年数あるいは人数等も含めて、どの ように定義をするかということがあります。そして研修委員会というのは、先ほど言っ たような、研修医の状況を把握して、必要に応じて指導を2年間を通じて行うというこ とで、この在り方ということです。  次に11頁です。処遇等に関することとしては、これは勤務の形態が常勤・非常勤、あ るいは給与、勤務時間等の状況、時間外勤務や当直がどのようになるのか、保険はどの ような手配になるのか、宿舎、健康管理等について、処遇に関することとしてこれを基 準としてお決めいただきたいということです。  12頁ですが、以上について検討いただくに当たって、それぞれ大きく3つのテーマに 小委員会を構成させていただいて、研修プログラム小委員会ということで研修内容に関 する事柄、研修施設小委員会ということで施設基準等に関する事柄、処遇等小委員会と いうことで処遇に関する基準等についてご検討をいただければと思っています。  13頁にスケジュールがありますが、先ほども局長あるいは矢崎委員長のほうからお話 があったように、現在は左端の平成14年6月ですが、平成15年5月あるいは春以降に研 修医の募集を始めるということを考えると、この2カ月程度の間に基本的な中身をお決 めいただいて、パブリックコメントという手続きを経た上で、必要な基準等の通知をさ せていただきたいということです。色が濃くなっているところで、各施設の準備という ところは、研修施設の側で準備を行っていただくということです。そうして平成15年に なったら、新基準による病院等の指定等を行って、春から夏にかけての募集に施設のほ うとして入っていただくということを考えています。  なお、14頁は先ほども局長の話にあった、大学病院に関して文部科学省と厚生労働省 での協議会が行われたことについての資料です。以上です。 ○座長  いまの説明にあったように、このワーキンググループのタスクフォースは、検討事項 の8頁にある研修内容に関すること、研修施設に関すること、処遇等に関することがあ ります。今日は、それと先ほど申し上げたようにタイムスケジュールがあるということ で、ある程度目途を定めた議論を進めていかなければならないのではないかと存じます 。ただ、本日は初めての会合ですし、委員の皆様方が初めてお会いするということです ので、今日はできるだけ多くの方々からご意見をいただいて会を進めていきたいと思い ます。  どこからのご意見でもいいのですが、いま説明いただいた検討項目などに関して、ご 質問、ご意見があれば、ご自由に発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○下村委員  小委員会に分けて議論をするという話ですが、研修内容がいちばん最初にはっきりし ていないと施設に関することなども決まらないのではないかと思うのですが、研修内容 についてこれまでの結果として、ある程度まとまったものは何かできていないのでしょ うか。もしそれがあればそれをまず見せていただきたいと思います。 ○医事課長  研修内容については、これまで大学病院の関係でも、お手元の参考資料の中に黄色い 附箋をつけているような、国立大学医学部附属病院長会議での指針とか、現在臨床研修 を行っている厚生労働省としての指針、目標等もあって、そういうものを叩き台に、今 回の内容を詰めていただくということになると思っています。 ○下村委員  そのようなものがあるのならば、それを抽出して、ある程度の1つのまとまった資料 として提出してほしいと言っているわけです。それがなければこれは1から始めるよう な話になってしまうのではないですか。まずそれぐらいはあって、いまご説明いただい た資料だとほとんどゼロから議論をしてほしいと見えるのですが、ある程度これまでの 議論の結果を3項目なら3項目についてもう少しまとめた形にして示してもらわないと 、せっかくもらったのだから読みますが、これを読んで議論しようと言われたのでは何 か時間ばかりかかってかなわないという感じがします。そのようなものが要るのではな いでしょうか。各大学から説明があったのなら、そのエッセンスを1つの資料にまとめ ることができるのではないですか。 ○座長  わかりました、9頁に論点メモ的なものが書いてあって、内容については詳しくは書 いてありません。細かい内容についてはまだ実際には結論に至っていないという状況で すので、次回までに下村委員が言われた、いままでの議論の中のある程度ブレイクダウ ンした具体的な項目について整理していただければありがたいと思います。 ○下村委員  私ははじめてですから余計にそう感じるのかもしれませんが、このスケジュールでこ こからスタートを切ると言われると、これはとてもできないのではないかと思います。 本当にその程度の話なのでしょうか。いままでの到達地点を明確に示してもらわないと 困ると思います。 ○医政局長  これまでの議論、それから先ほどお示したような、国立大学のほうで作られた研修に ついての提言など、あるいは現在作成中の部分もあるようにお聞きしていますが、そう いうものも踏まえて事務局としての考えをお示しすることは可能なのですが、それは事 務局としては小委員会の研修内容のほうで具体的なお示しをして、ご議論をいただいて はどうかと考えていたのです。 ○下村委員  しかしある程度全体像がわからなければ、小委員会での議論ができないのではないで すか。共通の前提条件のようなものを設定しておいてもらわないと、いきなり小委員会 でバラバラにやられても議論にならないと思いますが、どうなのでしょうか。 ○医政局長  下村委員は今日はじめてご参加いただいたので、そういうご質問もおありかと思いま すが、いままでも昭和43年からずっとやってきていますので、24カ月のプログラムをど うするかということでヒアリングをいたしました。それでこれを入れてくれ、あれを入 れてくれとたくさんあるのですが、この「中間とりまとめ(論点整理)」の中で書いて あるのは、内科、外科、小児科、救急、この4つです。24カ月しかありませんし、1つ の科目で1週間とか2週間は見学になってしまいますから、最低でも1カ月ではないか という議論もあるので、24カ月をいま言ったような基本的な科目をどう振り分けるかを 、この小委員会のほうでやっていただこうということであって、いままでの11回の議論 でも、過去昭和43年から、各大学、各施設で、いろいろ2年間のプログラムはあります ので、それをストレートではなくて、いまある中ではスーパーローテートという言葉が ありますが、それは全国医学部長病院長会議でも、それでいこうということは大体合意 されておりますので、その中身の何科を1カ月にするか2カ月にするか、そういう単位 の話だと思います。ですから、次回までにいままでの議論を含めて資料を提出させてい ただきたいと思います。 ○下村委員  各大学から出されたとか、昭和43年以来の問題というのはよく知っていますが、しか し、その後どこまで問題点が整理されて、何が問題として残っているかというのが、先 ほどの説明だけではよくわからないので聞いているのです。  大学から出たものがあって、それをヒアリングをやって、それをこれまでの部会で検 討したというのなら、それについての一定の評価なり問題点があるのではないかと思っ たわけです。そのようなものは整理されていないのでしょうか。 ○座長  おっしゃられるポイントについて、先ほど事務局にお願いしたようにまとめさせてい ただきたいと思います。ただ、研修内容の大枠はいままである程度のコンセンサスがで きているので、具体的にどうブレイクダウンして、医療の現場でどのように研修を内容 を含めてやっていくかというと、議論するところですので、その大前提である下村委員 がおっしゃられたことは、ある程度論点メモで出すことができると思うので、次回まで にはそういう意味でも出させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○下村委員  そのコンセンサスの内容がワーキンググループのスタートになるのではないかと思っ たものですから、まずその説明をしてほしかったということです。 ○座長  ただ、コンセンサスとして本当のきっちりしたものはまだないような状態ですので、 そこも具体策だけではなくて、そこも少し議論が入るかと思います。ですから、結構大 変な作業になることが予想されますので、よろしくお願いいたします。 ○下村委員  そうすると昭和43年以来と言われて何も変わってないという感じがするのですが、そ れでは困るので、もしそのような状態だとすれば、このスケジュールはとても達成不可 能ではないかという感じがするのですが、本当にこれはできるのでしょうか。 ○座長  やらざるを得ないというところがあるので、タイムスケジュールは募集をする開始の 時期があるので、期限は決まっているので、何とかそこまで、私はこの座長という立場 ですので、まとめていかざるを得ないということで、そのタスクフォースは極めて困難 ですが、一応進めていきたいと思います。 ○下村委員  矢崎座長がおっしゃるのもわかるのですが、これは昭和43年の経緯からしてもなかな か難しい問題で、しっかりしたものができないのならば、むしろ平成16年を延ばすとい うことになるのではないかと思います。いまの状態で必ず平成16年にできるということ がないのなら、早目に目切りをつけて延ばすとか、そういう措置をとってもらったほう がいいのではないかと思います。いい加減なことでもう一遍やったのでは、前のインタ ーン制度の二の舞になるだけで、そのようなことは私はやりたくないと思うのですが。 ○医事課長  先ほどの説明非常に端折ったので、もしかしたらこういう点かと思いまして、お手元 の「中間とりまとめ(論点整理)」の資料をご覧いただくと、その中でこれまでの議論 の集約というものがある程度あって、分厚い積み重ねた上のいちばん上に乗っていたも のです。本編というタグがついています。それの7頁で、この7頁はこの部会でヒアリ ングをして、その中での主要な意見をとりまとめたものなのですが、そこに研修内容に 関することという項目があって、その中にいまのご質問のような議論の集約が書かれて います。  1つ目は、これまでストレート研修がかなり多く行われていましたが、それをやめて 、ローテートにより幅広くいろいろな診療科を研修することであるとか、先ほど局長か らもお話のあった、8頁にありますが、内科、外科、小児科、救急などの基本的診療科 を必修とするということとか、地域医療、僻地医療等々も、選択肢として組み込むとい うこととか、EBMの実践、一定程度の特色を持たせること、2年間で履修可能とする こと、履修の期間も最低でも1カ月単位とすること。評価に関すること、大学院との関 連の問題、現在変革が進みつつある医学教育との関連についてもこういった意見があっ たということです。  それを受けて11頁になりますが、これは先ほどもご説明いたしましたが、基本的方向 としては、研修内容に関することということで、国が基本的なプログラムを作るわけで すが、その際には幅広い基本的な診療能力が身につくようなローテーションを行う。そ して評価も行うということを内容としていて、こういう形での意見の集約はすでにでき ているわけです。  この範囲については先ほど申し上げたように、基本的に医学部の全国の協議会等でも 同様の趣旨のご意見をいただいています。ですから、そこをスタートラインにして小委 員会でご検討いただいてはどうかということで申し上げたわけです。 ○下村委員  いや、これは問題点を整理したという程度のもので、内容はどこまで具体的に決まっ たと言えるのかよくわからないと思います。いまの前のところにも指導医のことが書い てありますが、来年5月から募集をするといって、研修施設には指導医は不可欠だと思 うのですが、指導医のこともはっきり決まっていないのです。指導医の要件とかを決め て、どのような人を指導医にするのか、指導医を確保するというのは今年ぐらいから始 めないと駄目なのではないですか。 ○医事課長  現在でも臨床研修の施設の指定においては指導要件というのを決めていて、ですから 現在でも指導医としてやっていただいている先生はおられるわけなのですが、今回の見 直しにおいてはその基準をやや変えて、新しい概念も含めて、新たな部分も加えていこ うという趣旨で、まったく更地から指導医を確保していく必要があるわけではないので す。 ○下村委員  もちろんそうだろうと思いますが、研修施設をかなり増やそうという話ですよね、そ こについては指導医はいませんよね。指導医の養成を積極的に進めるなどと書いてあり ますが、始まったという話は聞いてしませんから、やっていないわけですね。 ○梅田委員  自治体病院の中にも、いま研修指定病院ではありませんがそれだけの要件を持ったよ うな人材が、すでにいるけれども、ただ、いまはまだ臨床研修指定病院ではないという だけで、これからの議論の中でその要件をきちんとしていただくことによって、そのよ うな病院においても研修の場を提供できるということで、この臨床研修に貢献できるの ではないかと思います。そういう要件を持った病院はかなりあると思っています。 ○山口委員  いまの下村委員のご意見、また梅田委員のご意見、下村委員がおっしゃるのももっと もだと思います。私も前の検討部会からずっと引き継いできていますので、座長がおっ しゃるのは私はよく理解できるのですが、初めて出席された方は素朴なそういう疑問を 持っていらっしゃるかと思います。  ここでいま梅田委員がおっしゃった、自治体病院にも結構指導医はたくさんいるとい う件ですが、これは全国自治体病院協議会、また私どもの国保診療施設協議会、全自病 と国診協と一緒になって、この問題を1年近く検討を重ねてきました。そして、いま言 った施設の指定基準、指導医の指定基準、特に我々自治体病院などの中小病院、国保の 直診と呼んでいますが、そのようなところは地域医療というものを非常に重点的にやっ ています。これは下村委員も保険局長時代に国保の直診の活動はよくご存じのはずだと 思いますので、その内容を詳しく説明するのはやめますが、地域医療を地域包括医療と 呼びまして、保健も、福祉も、介護も、在宅も、そういうものを全部包括した医療を提 供しているわけです。  今後の新しい医師像というのは、今度の介護保険を見ても、主治医の意見書が十分で ないためにクレームがついたというケースもあります。そういう点から考えると、やは りこの「中間とりまとめ(論点整理)」の7頁にありますが、研修内容に関することで 、地域医療、僻地医療、末期医療、保健福祉、高齢者福祉介護云々と書いてありますが 、こういうことはいままでのストレート入局による大学病院ではなかなか研修ができな かった点も研修してもらって、全人的な医療ができるような医師を養成すべきであろう ということを、強く前の検討部会でも申し上げましたし、それが今回の「中間とりまと め(論点整理)」に入っていると理解しています。  いまの「指導医がいるのか」という問題ですが、たしかに普通の学会は認定医、指導 医がすでに動いているし、十分であろうと思います。我々の地域医療分野は残念ながら まだ指導医、認定医というのをつくっていません。それで、いま全自病と国診協と一体 となって、そういう指定基準を作ろうということで、近いうちに公表できる段階までき ています。我々もただやっているというだけで研修施設といっているわけではありませ んし、それなりのレベルの病院で研修をしてもらう、指導ができる、そういう指導医も いる、また在宅の場合には私は指導医の下でも指導者も必要だと思っていますし、その ような介護は特にそうだと思いますし、それを選択肢として選ぶ場合にもそれが不可欠 であろうと思います。  そういう意味では、全国老人保健施設協会の施設は全国に2,800ほど施設があります が、そこでも選択された場合には介護保険施設として、やはり介護を勉強してもらおう ではないかと考えて、先般も大臣、局長宛てに要望書も提出させていただきました。  これからの医師像にはそういうものが不可欠であると思っていますし、いま梅田委員 がおっしゃった自治体病院にも国保直診にも先般いろいろな調査を行いました。調査の 結果を踏まえると、指導医は結構いる。受け皿もできるという目処がついています。そ れをもう少し詳しく基準作り等々を内部で検討しているということを申し上げておきた いと思います。 ○座長  ちょっと他の方の意見を聞かないといけませんので。 ○下村委員  いまの話ですが、自治体病院とか、一部の県では研修医が医療法の定数内に数えられ ているという自治体もあると聞いています。だから、一体その研修というのは医療を直 接やらせるだけではないと、そういう場合もあるのかもしれないけれども、どういう形 でそれぞれの病院で研修が行われるようになるのか、そこが問題なので、そういう意味 で指導医の問題が非常に重大なのではないかと思います。  それから一方から言うと、現在の臨床研修というのはかなり大学病院に偏った形で行 われているということが言われているわけで、先ほどの問題点にも出てきましたが、大 学病院にいる研修医は実際にどのようなことをしているのかというのが、正直言うと私 にはまだよくわからないので、そこは一体どうなっているのでしょうか。  大学病院から何千人かの研修医を引き上げさせるという話になるわけだと思いますが 、その場合に大学病院は何かの変化が起こるはずなのですが、それは大学病院が一体ど のように変わるのか、その辺の具体的なところが知りたいのです。  私はいろいろときついことを申し上げていますが、研修は是非良い研修をしてほしい と思っているのです。それも平成16年にできるのなら是非やってほしいと思うのです。 それでいいのですが、ここに書いてあることも、別に1つひとつの項目について反対だ と言っているわけではなく、書いてあることはごもっともだと思うのですが、これは一 体どのような形で実行に移すことができるのかということがイメージとして出てこない ものだから、それでスケジュールを決めて、3つの小委員会に分けてと、これはとても できないと思ったので、具体的にどうするのかと思ってお伺いしたのです。 ○座長  はい、わかりました。それを念頭に置いて、また議論を進めていきたいと思います。 西岡委員、どうぞ。 ○西岡委員  医科歯科大学の西岡です。この医道審議会のほうには制度設計のことで説明させてい ただいたのですが、いま大学病院の話題が出て、大学病院で研修医が75%もいるという ことで、いろいろなところで話題になっておりますが、大学病院の研修そのものがここ 数年の間で大きく改革されてきております。  かつてはこの「中間とりまとめ(論点整理)」にありますようにストレート研修が行 われていたわけですが、多くの大学でローテーション研修がすでに取り入れられていま す。そういった現状からいろいろな大学病院で研修医というのを安い労働力であるとか 、地域への医師の分布であるとか、そういう形でとらえるのではなくて、本当に10年後2 0年後の医療を支える人材として育てるためにはどうしたらいいのかということが議論 され、制度設計について全国医学部長病院長会議から提言させていただきました。  その一部の部分はここに取り入れていただけたので非常にありがたいと思っています 。ただ、具体的な方向、下村委員がおっしゃるように、その部分で少し欠けているとこ ろがあると思います。ただ、国立大学病院で、先ほどご指摘いただいた研修必修化に向 けての指針であるとか、制度設計の提言といったものを出させていただいておりますし 、これを基にして、いま全国医学部長病院会議の中で、プログラムの問題、本当にその プログラムがどういったプログラムがいいのかというのは準備させていただいておりま す。また、指導医もどういった形の指導医の資格を作ればいいのかというものも、基本 的なものはもう出来てきていますし、その他の要件についても、病院群の問題なども鋭 意検討中ですので、その新しいワーキンググループで出させていただいて、それを検討 の材料としていただけるとありがたいと思っていますので、よろしくお願いします。 ○座長  ありがとうございました。それでは高梨委員、どうぞ。 ○高梨委員  平成16年4月に実施するというのは法律で決まっていることです。このワーキンググ ループあるいはその上の部会は、それを具体的にどうするかということを審議するとい うことです。それから延期をするというのは大変影響のある話で、学生に対する影響、 各施設に対する影響、さまざまな影響が出る話なので、私はちゃんと法律に定められた とおり、平成16年4月に実施するということに向けてやらなくてはならないと考えてい ます。  具体的に若干教えてもらいたいのですが、3つの小委員会を作るということを言って いるのですが、17、8名の委員はいずれかの小委員会にということになるのか、あるい は1人の人が2つの小委員会に入るというようなことになるのか、その点について教え ていただきたいと思います。  それからスケジュールのところで、6月くらいから8月くらいまで検討するように見 えるのですが、月に何回くらい開催することを考えているのかということ、それから仮 に小委員会で一定のまとめがあったときに、小委員会の報告とこのワーキンググループ の会議との関係はどうなるのか、ワーキンググループとして1つの結論が出たとして、 そもそもの審議会である臨床研修部会というのがあるわけですが、その部会との関係は どうなるのか、パブリックコメントをするということですので、一定の手続を経た上で パブリックコメントのほうに持っていくのか、いくつかの検討をする場があるのでそれ との関係はどう考えているのか、その辺について教えていただきたいと思います。 ○医事課長  それではワーキンググループの小委員会については事務局のほうで暫定的に考えたも のをお配りしてよろしゅうございますか。いまお配りをいたしますが、これは私どもの ほうで取りあえずこういった分担をしていただいたらどうかと考えたものですが、また ご意見をいただきたいと思います。日程についてもかなりタイトなスケジュールとなっ ていますが、取りあえずお聞きしました先生方のスケジュール等から、こういったとこ ろであれば比較的多くの委員の方にご出席をいただけるのではないかということで組ん だものです。  委員の表をご覧いただければわかると思いますが、基本的には小委員会での複数の委 員会にご出席をいただくことも考えています。ワーキンググループと医道審議会の部会 との関係ですが、これは部会のほうでもご説明させていただいたように、こちらでまと めたものについては、これを部会のほうに報告をするという位置づけです。パブリック コメントについては、何らかの規則等を行政が出す場合において、こういった手続を取 ることが現在行政のほうの責務として課せられておりますので、これをした上で然るべ き行政的な基準なり規則として公にするという手続のです。 ○松田委員  私も全国病院長会議等に出席して、状況を理解して、いままで大変関心を持っていた ので、最後の詰めに参加させてもらうのを有意義に感じています。下村委員がおっしゃ ったことは非常に大事で、そこがもともと論点整理でうまくまとまっていなかったとい う印象を私も持っています。「中間とりまとめ(論点整理)」に終わったというニュア ンスもあると思います。  西岡委員もおっしゃいましたが、全国医学部長病院長会議での先立っての議論も、結 局論点整理だけで、本質を突いてここというのが見えてきません。例えば大きな問題が 2つあって、1つは財源の問題です。実は、私はインターン廃止運動の時の国家試験ボ イコット組で、その時も何人かメンバーがいたわけです。35年ぶりにいろいろやるにし ては、結局、財源がおぼつかないと。局長は、国会で「何とか用意する」とおっしゃい ましたが、その財源の中には、例えば診療報酬というのが入ってきている。先ほどのい ろいろな議論を聞いていますと、35年ぶりにいろいろ新しいことをつくるということに おいて、財源がきっちりしていないということは、それを診療報酬で賄うということに なってきます。大学病院からたくさんの人が外にいって研修するということはいいと思 うので、それに反対しているわけではないのですが今、結局、労働力といいますか、研 修医も労働者であるということになってきて、その人たちを、いままでいろんな所でマ ンパワー不足だった所に使われてしまうのではないかという危惧が大いにある。ですか ら、それは昔のインターンとどう違うのだ、どれだけ良くなるのかという議論は、現場 で随分しているわけなのです。財源については、医師を育てるということにあれば、国 がこれだけはするというスタンスが欲しかったのですが、それは局長が何とか頑張ると おっしゃったので、それを信頼しているわけです。それからプライマリ・ケアという言 葉がいろんな意味に解釈され、それぞれの立場でいろいろ解釈が違うと感じています。 その点も、これから数カ月で各部会でまとめるというのは大変難しいと思いますが、こ れはやらないといけないと思います。私が申し上げたいのは、財源についてはこのワー キングできっちり意見をまとめ、国に要求するなり、そういうスタンスを取ってもらい たいということです。それから部会に分かれてやる中で、全体的なことがすぐ出てきま すので、それは全体会議を含め、全体の意見を聴取しながらやってもらう。行きつ戻り つということをやらないと、なかなかワーキングでいっても、議論が出てまた全体に戻 してということになると思います。そういう意味では、これは大変厳しいスケジュール で、まとめなければいけないとは言いながら、非常に大事な話ですので、折角35年ぶり にやるわけで、後々もずっと変えれませんので、いいものを作るという認識を持ってや らないといけないと思っています。以上です。 ○座長  どうもありがとうございました。35年ぶりで、なかなか一度決まると変えられないと いうご指摘で、松田委員から重要なポイントを指摘されたと思いますので、それに沿っ て議論を進めたいと思います。その他はいかがでしょうか。 ○堺委員  先ほど、下村委員から「昭和43年と変わっていない」ということをおっしゃられたの ですが、必ずしもそうではないと思うのです。例えば、1つご指摘なさった指導医の問 題に関しましては、医療研修推進財団がフジワーキングショップという形で積極的にや っておられますし、だからそのOBは随分いると思うのです。各臨床研修病院の現場で やってます。ですから、そういう動きがあるというのは、もう少しPRしてもいいと思 います。それから、昭和43年に比べると、医療の質に対する国民の考え方、あるいは医 療機関の考え方が随分変わってきていると思うのです。医療機能評価機構が随分頑張っ ていますし、そういう状況を踏まえ、平成16年4月からきっちりとやることはやるとい うことで、このワーキンググループなり小委員会、あるいはどこかでやっていくしかな いと思うのです。ですから全然、変わっていないわけではないと思います。 ○下村委員  そうですね。どこが変わったかというふうな所を明確にすることにより、本当は具体 的な議論ができるのではないか。私はそう思っているわけです。いろいろ言いましたが 、100点満点は取れないかもしれない、でも、30点や40点では困るわけで、せめて合格 点を取れるような臨床研修をやってほしいというのが私の言っていることで、「60点は 取れるのでしょうね」とそう言いたいわけです。 ○座長  ありがとうございました。その他、いかがでしょうか。 ○梅田委員  私だけが、このワーキンググループのどこにも入っていないということですが、私も 自治体の代表として来ていると認識しています。自治体の代表としましては「施設」の ほうでと思っておりますので、もし座長のお許しをいただければ、「施設」の所に加え ていただきたいということを要望させていただきます。  意見ですが、先ほど山口委員のほうから私が言うべきことをかなり言っていただきま したが、再度、発言させていただきます。1つは、やはり病床数で病院の価値が測られ る時代はもう終わった。その病院の質は、病床数と必ずしも比例でないということです 。中小病院で、臨床研修に意欲のある病院、スタッフがいる所は、ちゃんと研修制度に 参画させるようなものにしていただきたい。それから、特に自治体病院なのですが、千 葉が7つ、岩手では20幾つあり、そういう複数の病院の連携を、研修のプログラムに統 一性が図られてやれるような所については、現在の3病院までというものではなく、こ れは診療所も入るわけで、もっと多い施設の連携をご検討いただきたい。  それから愛知県や姫路の病院のように、そのように専門特科病院でもコア病院になり うるということは我々も評価しているわけですが、かえって地方の場合、そういう病院 がプライマリ・ケア、地域医療においても中核的なものになる場合があると思いますの で、そういう全体像を見ていただき、地域の中でどのような役割を果たしているかとい うことを考えていただき、病院群というものを評価していただきたい。  それから、指導医のことです。これは学会の認定ですが、この専門医というものも、 教育というようなものが加味されたものがあるのかどうか疑問です。これは、これから の学会に期待するわけですが、それだけではなく、先ほど山口委員が言われましたよう に、地域のプライマリ・ケアというものをきちんと教えることができる人というのを、 これを評価するシステムをつくらなければいけないと思います。  それから、いちばん問題になるのは剖検のことです。我々が学生の頃は、剖検の数が 教育・研究の質だと言われたのですが、いまの医学の発達の中では違います。この現在 の時代では、剖検というよりも、きちんと病理の人が加わってのCPCというものが非 常に重要ですので、系統的にやる剖検に限らないでいただきたい。  そして、病院の連携というものは距離的なものもありますが、質的な病院の連携とい うものもお考えいただきたいということです。以上を全体会で発言させていただきたい と思います。以上です。 ○下村委員  希望を言っておきたいのですが、私も「施設」に入れていただきたい。処遇だけを切 り離しての議論というのはできません。処遇の議論はやるのですけれども、これは関西 医大の判決か何かがあります。あれについての、医政局の公式見解を教えてください。 あれについて、医政局としてはどういうふうになっているのかというところを教えてほ しい。あれについては、関西医大は「労働者だ」という判定をしたわけです。おそらく 、それが正しいのかなと思うのだが、現在の保険でいくと、一応、研修医も保険医登録 をやっています。保険医登録をやり、保険医としてどのくらいの収入を上げているかと いうことも知りたいです。それを調べたものがあったら、是非、ほしいですね。 ○座長  その前に、梅田委員と下村委員の「施設基準」について。梅田委員は、おそらくマル 印が抜けたのではないかと思いますので、大変失礼しました。下村委員のほうは、「施 設基準」と「処遇」ということで加えさせていただきたいと思います。  いまの関西医大の件は、検討部会でいろいろ議論しましたが、正式な見解というのは ございますか。 ○医事課長  これは、厚生労働省としてどう考えるかということだろうと思うのですけれども、こ れは正に労働基準局というものがあり、そこが基本的に摘発をした事例ですので、そう いう観点からすれば、厚生労働省として「労働者性」を認めて、その基準法違反という 格好で指摘をしたということだろうと思います。ただ、それはそのケースについてのこ とでして、その判決をめぐっては、いま控訴審も行われている最中であるという状況で す。 ○下村委員  そこまで言われるのなら言います。厚生労働省、あるいは医政局としては、労働者だ と思っているのかどうかという点を、はっきりさせる必要があるのではないですかと言 っているわけです。 ○医事課長  個々の「労働者性」の判断については、これまでも国会で大臣も答弁しておりますが 、やはり個々のケースを見てみないとどちらという判断はできない。ただ、一般的に言 えば、現状の研修医については「労働者性」があるというふうに考えざるを得ないので はないかと考えております。 ○下村委員  それでは、「雇用を前提にして賃金を払うべき者」だというふうに考えていると、そ ういうことなのですね。 ○医事課長  一般的に言えば、そういうことになると思います。 ○下村委員  実態を全然知らないということはないのだから、わかるでしょう。基準局は実態に応 じて判断すべきものだった。労働基準局のほうは、一歩引いたものの言い方をしている わけです。医政局は、どちらかを決めなければ、この制度の組立てができないのではな いのですか。労働者なのですね。 ○医事課長  ですから、労働者かどうかというのは、個々のケースごとに、どういう指揮命令系統 になっているとか、そういったものを判断しないと労働者かどうかということは言えま せんが、処遇がどうあるべきかということは、労働者性とは必ずしも直結しないで、研 修医として適切な処遇というのはあるのではないかというふうに考えております。 ○下村委員  中村さん、それでは処遇はちょっと決められないと思います。雇用契約があり、賃金 を払うべきものなのかどうかということがあり、それによって処遇が決まってくるので す。雇用契約がないんだと。それは、「個々のケースによってある人もない人もあるん です」と。それだったら、処遇についての一般論などはできないのではありませんか。 ○審議官  私どもの国会答弁なり大臣なりがさせていただいている立場、それから個別の、いま 下村委員からご指摘のありました、大学病院のケースについての訴訟の状況は、いまの 医事課長から申し上げたとおりです。  これまでの処遇についても、前の検討会の基本方針では、12頁以下で基本的な事項を 公表するというふうになっております。下村委員がおっしいますのは、労働者性につい てきちんと決めなければ、処遇は決められないということだと思います。我々は、この 「中間取りまとめ(論点整理)」の12、13頁で書いておりますように、「給与、勤務時 間、休暇ということについて公表するように」ということを言っておりますので、自ず と我々の考えている処遇の内容ということ、それから加入の有無というようなことを言 っておりますけれども。下村委員のほうは、そこについて「労働者性なり何なりを、き ちんとしないと議論できない」ということだと思いますが、どうかその点については、 もう一度、折角ワーキンググループで審議もお願いするわけで、また必要があればその 審議の経過に応じ、全体会議のほうでご議論をいただきたいと考えております。 ○下村委員  ここに書いてあることからすれば、「労働者だ」と言っているように思えるのです。 ○座長  1つは、医療側からは労働者という言葉に対して「研修生は労働者という範囲ではな い」という考えはあっていると思うのです。ただ、処遇に関しては、やはり先ほどの取 決めのように、ともかく「研修に専念できる処遇をする」ということをやってますので 。下村委員の、雇用関係できっちり云々という所が、絶対不可欠かどうかというのはち ょっとわからない。それも、今後議論していただければと思います。 ○下村委員  大学側としては、現状からいって雇用だと認めたら、それでは最低賃金法違反という 問題が直ちに発生するようなところがあるわけだから、それは認められないでしょう。 いまの立場からすれば、認められないというのはよくわかります。だから、そこはいま の時点でそれを割り切るというのは、なかなか難しいのかもしれないが、「平成16年4 月以降はこうするのだ」とか、そういうことを決めていかないと決まらないのではない かと思います。 ○座長  それを、「処遇等」の委員会で決めていただく。 ○下村委員  ただ、その前に確かにいままでの議論で出ているように、現在の実態がどういうもの かとか、そして新しい研修によって、それがどう変わるのかというところは、施設ごと の実態とかなんとかというものをある程度知った上でないと、議論ができないではない かと思うとこう言ったわけです。 ○星委員  下村委員はちょっと勉強不足かなという気が、正直いってあります。大学病院でどの くらいの金銭を払っているのか。それが最低賃金に触れるかどうかというのは、既に我 々の中で、この中にも多分あると思いますけれども報告があり、「この実態はどう考え るのですか」という議論があった上で、この「中間取りまとめ」というのを出したわけ です。その中には、「アルバイトをしないで生活できるようなことを保証しましょう」 ということで、明確に書いてあるわけですから、いまここでまた元の議論に戻るという ことはすべきでないと思うのですが、いかがでしょうか。 ○下村委員  「処遇をしましょう」というのは、何かとにかく金を出すということではあるけれど 、この議論は、その金の本質というのが何であるかというのがはっきりさせていないの です。それは多分したくなかったのか、させるわけにいかなかったのか、何かの理由で 、そこは少し曖昧にしてあるのだと思います。だが、「そこはどっかで割り切らなけれ ば仕方がない」と、そう言ったわけです。 ○山口委員  先ほど、松田委員からお話がありました財源の問題は、この「処遇等」委員会でもや るのですか。 ○座長  これはどうなのですかね。小委員会で、こういうふうにすべきだと言った時の実効性 とか、それはどうなのでしょうかね。ですから、「こういう方向で努力してほしい」と いうことは言えるかもしれませんが、それによっていろいろ厚労省側が努力するという ことになるのではないかと思います。 ○川崎委員  その処遇のことで、いちばん問題となるのは、現在東京の私立の医科大学が希望者が 多いということもあり、奨学金が非常に少ない金額しか出していません。ですから、私 学からは、この委員会に私だけが出て、ほとんど外部の方と国公立の方ですが。私学が いちばんこの問題が大きいので、堀江先生は全部のになりますが、堀江先生も入ってお いていただかないと、私学がこの身分・給与の問題が大きく、アルバイトをしないでち ゃんと守れるということにしないと、もう有名無実になってしまうと思います。全部に 跨るのは悪いかもしれませんが、入ったほうがいいのではないかという気がいたします 。以上です。 ○座長  堀江先生、よろしいでしょうか。よろしければ、可能な限り加わっていただくという ことでいいでしょうか。 ○堀江委員  いまの点、そういうご指示があれば、可能な限り出席させていただくようにしたいと 思います。ただ、1つ財源のことについて、前の部会の時の審議の中で、財源そのもの を我々が「どこから出してください」ということよりも、財源が得られるに耐えられる ようなカリキュラム、あるいは研修施設の基準等についてしっかりしたものを構築して いく。それが、部会における審議で、我々に課せられた課題だったのではないか。そう いうものがまとめられた上で、財源については「厚生労働省としてもきちんとした対応 をしていきたい」という発言であったというふうに思います。私は、当然、処遇につい て要望したいと思いますが、このワーキンググループに参加させていただく中で、そう いうことを基本的に考えながら、対応すべきと認識しております。 ○座長  その他、何かありましたらお願いします。 ○西岡委員  この小委員会のメンバーは、少しぐらい数が増えてもよろしいのでしょうか。マルの 数がという意味です。というのは、これはある程度限度があるのかどうかと思いながら 見ていたのですが。もし可能でしたら、いま全国医学部長、病院長会議で、この「プロ グラム」についてかなり中心的な活動をしてくださっている北村委員を、この「プログ ラム」の所に参加させていただけるとありがたいと思っているのですが、いかがでしょ うか。 ○座長  これは、人数は特に制限はないのです。だから、もし北村先生が加わっていいという ことであれば、加わっていただければと思います。 ○北村委員  いま西岡先生がおっしゃったように、国立大学のまとめと、いま全国のとでプログラ ムを一生懸命に考えている関係で、できれば最後のまとめに加わらせていただければあ りがたいと思います。  いまのディスカッションを聞いていて、非常に大事な所もたくさんあります。研修医 が労働者であるかどうかというのは、非常に大きな問題だし、処遇が決まらないとカリ キュラムやその他が決めにくい面もあります。しかし、基本的に是非、東大で研修担当 もやっているので、その現場の声として、このシステムで最初にやる予定の学生たちの 声として、「研修医にとってよりよくなるシステムにしてほしい」、「研修医にとって 、良い制度に変わるのですか」という質問に対し、「いまよりは遥かに良くなります」 と答えられるシステムにしてほしいと思っています。具体的に言うと、巷間、言われて いるような、研修医を廉価な労働力として捉え、その奪い合いというような構図は是非 、避けていただきたい。生涯にわたって医者を続ける人たちの、最初の一歩、あるいは 最初の2年がいかに有意義になるであろうかというところで、特にプログラムと研修施 設を是非、考えていただきたいと切に思っております。そういう観点から、「プログラ ム」のほうに参加させていただきたいと思っています。  もう1つです。西岡先生は会においては全般的な取りまとめをなさっていますので、 西岡先生には逆にマルが3つになってしまうのですが、3つに出て、全国の医学部の代 表としての意見を言っていただけたらと思っておりますが、いかがでしょうか。 ○座長  そうですね。西岡先生は、大学側の責任者でもありますので、大変恐縮ですが、そう いう意味では加わっていただければと思います。  その他、いかがでしょうか。 ○堺委員  いま北村委員が、研修医のために良いプログラムをとおっしゃったのは当然なのです が、多分これは我々、当事者だけが議論してても、国民があまり付いてこないような話 では困ると思うのです。ですから、最終的にはここにも書いてありましたが「理念」で す。何が目的でこれをやっているのかということを、わかるような形で話をしていかな いと。そして、これは公開されてますから、皆さんインターネットでこの議事録を読む わけです。ですから、我々はその視点を絶対に忘れないでやっていかないと、結局、医 者の掴み取りだとか、そういう印象を受けると困ると思うのです。我々が、本当に一致 団結し「良い医者を育てる」というその目的でやっているということも、常に頭の中心 に置いてやっていく必要があると思います。 ○高梨委員  いまのに関連するのですが、私は医師ではありません。「プログラム」小委員会、あ るいは「施設基準」小委員会のメンバーはちょっと計算していませんが、ほとんど100 %医師だろうと思います。「処遇」小委員会は医師でない私のような者も入っているの です。やっぱり、こういう研修医制度というのは、いまのご発言のとおりなのです。患 者のため、国民のための制度。それをより良くしていくということでありますので、是 非、「プログラム」小委員会、あるいは「施設基準」小委員会に属する方々は、念頭に あるのはやはり患者・国民ということで、問題の議論や整理をしていただきたいという ことを要望しておきたいと思います。 ○座長  ありがとうございます。 ○西岡委員  いまのことは、私も申し上げたかったことなのです。この「プログラム」の所に、か なり大変な仕事になるのかもしれないのですが、例えば花井委員のような方が1人入っ ていただいたほうが、患者側からのご意見というものが入っていいのかなというふうに 思っていたのですが、それは座長のほうでご検討いただけたらと思うのです。全員が医 師になっておりますが、本当にそれでいいのかなということを考えました。 ○座長  ありがとうございました。その他、いかがでしょうか。 ○二村委員  先ほど、松田委員からご提案のあったことに似ている話なのです。こういう会議で、 ある程度制度をつくっていく過程で、いろんな順序があると思うのです。先ほどご提案 のあったような、財源が不明確な状態では、制度というのはなかなか決めにくいのでは ないかという印象を持ちます。ですから、必ずないといけないような物を先に提示して いただき、それから議論を進めないと。例えば、私は「プログラム」の担当にもなって おりますが、プログラムも随分、財源がどうなっているかによって変わってくる可能性 があります。まず、大切な財源がどうかということをご提示いただけますと、他の作業 が非常にスムーズに進むのではないかという感じがします。  この3つのグループに分かれてやることはいいのですが、いちばん大事なバックのも のが何か見えてこない状態で、なかなか議論が進めにくいなと思います。議論を進めて いく過程で、そのようなことはどうでしょうか。 ○座長  これは予算の関係で、このくらいと言うことはできますが、実際に予算がおりる段階 でないと、明確な総額が出ない。ただ、先ほどの議論がありますような、「処遇のある レベルは確保しましょう」ということで、それをスタートに議論していただく。先ほど 、堀井委員が言われたように、この制度設計がきっちりでき、国民のための医師の育成 に、今度の新しい研修制度が大きく寄与するということになりますと、そういう国民の バックアップも得られれば、財源も取りやすくなるのではないかということです。我々 としては、できるだけ「いい臨床研修制度をつくろう」ということです。ですから、ど ちらが先かということを言いますと、まず制度設計をきっちりしておかないといけない ということではないかと思います。 ○二村委員  その時、お金がどちらからどういうふうに出てくるかによって、制度が変わってしま うような気がしてならないのです。どうでしょうか、そういうことはありませんですか 。 ○座長  私はないと思いますが、いかがですか。 ○審議官  行政の実務で申し上げますと、平成16年から実施する作業は、もちろん準備段階のも のもありますので、今年の夏に要求する平成15年の予算ということもあるかと思います が、いずれにしても本格実施の予算については平成16年度の予算要求になりますので、 平成15年の夏に本格的な要求をするということになります。作業としては、1つはこの 検討会でどういう規模で、研修医や日本の医療のため、よい臨床研修をするため、どれ だけのお金が必要かとそういったことを、まずフレームとして固めていただく必要があ ると思います。もちろん、そういうフレームを出していただいた後で、国の財政事情と かそういったことで、もちろん100%確保できるということが理想ですが、その辺の事 情が出てくることがあるかもしれませんが、基本はそういう作業手順になるかと思いま す。  あと、先生がおっしゃっておりますのは検討会の前の報告でもありますように、「診 療報酬も含め」という文言が入っておりますので、一般会計と診療報酬とでどういうこ とになるのかというご質問だと思いますが、そこの点は私どもに預からせていただきた いと存じます。もちろん、財政当局なり、あるいは診療報酬ということになりましたら 、またそれぞれの課の関係者がありますので、そことの調整ということも必要となると 思います。私どもがお願いいたしたいのは、そういう財源のいかんとかそういうことで はなく、まずお示しいただきたいのは、あるべき臨床研修にとって、どういったお金が どれだけの規模の財源があれば、どういうことができるのかというのをまず明らかにし ていただければと、そういうふうに考えております。 ○医事課長  私お聞きしていて思いましたのは、二村委員がおっしゃられる財源というのは、誰が 研修医の給与を払うのかという、そういうご質問ではないでしょう。 ○二村委員  ええ。それはプログラムを作る上で大変大切な問題だと思いますので。 ○医事課長  それについては、もちろん処遇の小委員会でより突っ込んだといいますか、後半でご 議論いただきたいと思うのですが、事務局としては、やはり先ほどの下村委員からもあ りましたが、限りなく労働者性というか、雇用契約に近い形のものを想定しています。 基本的には雇用をしているような形に見える研修病院、それも、責任を持って研修医を 2年間みる研修病院が、給与を払うというのが基本のパターンではないかと思っていま す。 ○座長  いかがでしょうか。 ○下村委員  おそらくいま性質が決まらないと、システムの話が決まらないと、どんな予算を取れ ばいいのかということが決まらないと思っています。何でもいいから金をくれという話 では、とてもいまの状況で財務省などが予算を組むなどということは考えられないと思 います。保険の立場にしても全く同じなのです。  いまアルバイトで稼いでいるというのは、そのアルバイトの財源というのは保険で診 療報酬として払っているという話ですね。大学では、一体実態がどうなのか。研修で金 が要るというのは、何のためになぜ金が要ることになるのか。そこが明確でないと誰も 金は出せないだろう。こういう話になるわけですね。だから現在の実態と、新しい研修 制度ができた後で実態がどう変わってくるのか。研修の中身や医療そのもので、保険に 請求できるいろいろなものがすでに含まれているのかどうか。そういったところがいろ いろ問題になってくるでしょう。したがって、それぞれの施設の研修の実態が問題にな るのじゃないかと思うわけです。  それから今度は施設ごとに分かれていくというのならば、基本的に雇用関係を主体と したものだと考えるにしても、施設から施設に移ったときに雇用主というのは変わって いくのかどうか。それとも元々の元請けみたいな格好で、大学なら大学と主たる雇用契 約みたいのがあって、それから発生して医師の派遣みたいな格好でそれぞれの医療施設 に派遣されている。その上で研修を受けるのか。そういった基本的な法律的な骨組みの 整理が要るのだろうと思っているわけです。  だから、それはシステムの問題と処遇の問題と、個々の施設でどんな研修をやるかと いうところが、ある程度わからなければ、処遇の議論はできないだろうと、私はそう申 し上げたわけです。 ○座長  そのほか、いかがでしょうか。 ○島田委員  私はプログラム検討委員のほうに入っているのですが、1つ知りたいといいますか、 これを読む限りは、内科、外科、小児科、救急部門を基本的診療部門として、全員が必 修するというシステムにしようとしているわけですね。そういたしますと、現実に小児 科とか救急の臨床研修が実際の現場で、大体、臨床指定病院がこういうふうに存在して いて、小児とか救急の患者さん及び指導医といいますか。指導医でなくても、はっきり した指導でなくても、そういうものが実態はこうなっていてという資料とかそういった ものに基づいてやっておられるのかどうかということを知りたいのですが。 ○座長  医療の現場の実態と、ですから実際にそれを必修にした場合に、それだけの受入れ体 制があるかどうかということを勘案してやる。 ○島田委員  そうです。そういうことを踏まえた上で。理想といいますか、考え方は良いのですが 、例えば1カ月を最低単位としようと、「中間とりまとめ」はやっているわけですね。 そうすると1カ月で小児科を回るというようなことがどういう、それなりに意味がある と思いますが、それをどういうところで回すのかとか。折角プライマリ・ケアで小児科 を研修、ないし将来小児科をしない人も研修させようとしているわけですね。ですから より良い、実効のあるシステムができる基盤があるといいますか、そういう資料などあ るのでしょうか。 ○座長  いや。特に資料ということではなくて、こういうめざす方針を決めていますので、実 際にディスカッションしていただいた結果、例えば、そういう条件が、環境整備が十分 できていない状態であれば、また実際には現場で工夫が要るという事態も出てくると思 うのです。ですから私個人的には、プログラムの大枠を決めて、問題はやはりアウトカ ムといいますか、それを終わった臨床医が、どういう能力を持った臨床医にできてくる かということが重要であって。その評価をきっちりできるようなシステムが確立すれば 、あまりプログラムで、国がこことこことここを回って、何カ月回ってということは作 らなくてもいいのではないか。 ○島田委員  といいますと、踏み込んでいうと、すべての研修ではなくて、前半のプログラムとし て一部に小児とか救急を回っている人もいるし、一部にはそこを回らずに救急と何かを 回るとかいったような、そういうバラエティーがあるような形でとりあえずできるよう な、そういうふうなものでもいいということでしょうか。 ○座長  ですから形式ではなくて、実質だと思います。こんなことを私が言う立場ではありま せんが、例えば小児科の病棟に1カ月回らないといけないとか、そういうことではなく て、小児の患者さんをきっちり見れる。その臨床能力をどこでつけるかというのは、や はり各プログラムできっちり対応していくということになるのではないかと思います。 ですから、そういうプログラムを各研修病院に作っていただくということになるかと思 います。ただ、そうすると従来どおりに変わらないのではないかというご意見もあると 思います。しかし、そういう臨床能力を大前提として要求されていますので、それに従 った評価なり、そういう基準を定めていけば、ある程度国民の求める医師の育成という のが可能になってくるのではないかと思います。 ○梅田委員  いまのご意見に対して。我々の立場からいえば、病院でもいろいろな施設でも、いま いちばんその病院の姿勢を誘導するのは保険点数です。保険点数が変われば、それにし たがって動いていく。しかし、施設基準は保険点数以上の誘導効果を持つものではない かと思います。ここで、ある程度の基準を設定していただければ、それを満足するよう に病院も動く、いろいろな全体も動くのではないかと思います。  ですから、いま現在あるものでできるものを作るというのではなくて、1つ1つちょ っと上のものを作っていただく。すると、我々病院側のほうは、予算当局にこういう基 準があるから、これを満足しなきゃいけないから、やらなきゃいけないんだということ を言う道具にさせていただきたい。 ○座長  ですから、是非これからはオープンシステムで、要するに良いプログラムを作り、良 い研修体制を作ったところに研修生が行けるようなシステムを作ろうということですの で、各施設の方がそういう意欲で研修プログラムなどに取り組んでいただければ大変あ りがたいと思います。 ○堀江委員  先ほどの島田先生の発言で、例えば小児科に限って言いますと、これについても研修 施設はいろいろありますが、私立医科大学協会での議論で、実際に指導医の立場にいる 小児科の先生は何人ぐらいいるのか。それに基づいて、小児科を全員必修とした場合ど うなのか検討しました。ここでのヒアリングで小児科の先生方がいらして、現状から対 応は可能であろうという発言もありました。そしてまた国民の求めている医療として、 小児科が是非必要だという要望がかなり強いというようなことから、研修医が研修する に当たって、小児科は含んだほうがいいのではないかということで、集約されていった と思います。  ですから全く情報なくということではない。ただ、小児科の研修をやるに当たっては 、各研修病院単独で行うことは無理だろうけれども、ほかの施設との連携を保ったりす ればできるのではないか。コアとしてこういうものを入れておいて、そして病院群の中 で研修していただく。そういう考え方でやっていけば、是非小児科を含めるべきだとい うことにだんだんなっていったと思います。 ○島田委員  その際、これはできると言うのは、全体を見渡して言われている。要するに、ここへ 出てきて声の大きい人が、「いや、できますよ」というふうな形ではなしに、実際にい ろいろな全国の実情というか、そういうものも全体を通して判断なさったのでしょうか 。 ○堀江委員  判断とまではいっていませんが、ヒアリングでそういうような発言と、それから国民 が要望する研修の内容には、やはり小児科というのは非常に重要ではないかということ があったと思うのです。これから研修期間とか、どういうような病院群の組み立て方を するかということについては、プログラムを設定する中でもって組み込んでいく必要が あるだろうと思いますけれども。 ○山口委員  いまのご意見ですが、いま堀江先生がおっしゃったように、検討部会でそういうこと も含めていろいろなことをヒアリングも踏まえながら議論いたしました。そしてやはり 小児科は非常に大事な分野だという結論で、ああいう「中間とりまとめ」の内容になっ たわけです。  私は、こういうように理解しています。必修と選択はあるだろう。限られた2年間の 中ですから、今度の小委員会で骨組みをやはり決めていく。これは、第1に必要だろう 。第2に、それを踏まえながら各研修施設が具体的なプログラムを組んでいく。それを 研修医が、今度は選んでいく。そういうことになっていくのかなというように考えてい ます。今日のものを見ていましても、本当に限られた回数の中で骨組みを作るというの は大変なことだと思うのですが、これも物理的にもしようがないので、骨組み作りを各 小委員会でやはりやらざるを得ないのかなと考えています。具体的な細かいのは、例え ば小児科を2カ月やる研修指定病院があってもいいでしょうし、最低でも1カ月と「中 間とりまとめ」には書いてありますから、1カ月、あるいは3カ月というような、いろ いろバラエティーに富んだ研修施設群が出てくる可能性もあるのかなと思います。それ は小委員会でどういうふうに今後もっていくかは、やはり是非議論していただきたい。  私たちが考えている地域医療の分野もそうでありまして、地域医療の分野を必修にす るか、選択にするのか。議論もいろいろ分かれてくると思うのです。  大病院における従来の内科系・外科系の研修を、私も国診協も「A型」、そして地域 医療とか老人医療とか在宅医療とかいろいろなことをやるグループを「B型」と呼び、 自治医大などはその建学の理念があると思うのです。さらにヘルスとか、もちろん介護 とかそういうことをやるグループを「C型」と呼んでいます。A、B、Cの組み合わせ 、これで研修をやる。そのときに、やはり「C型」はどうしても選択になっていくのか な。「B型」の中でも、地域医療という根幹だけはできたら必修にして、そしてあとの 分野は選択にしていく。いろいろなやり方があると思います。これも小委員会で是非議 論をしていくべきであろうと、考えています。  それから最後になりますが、ちょっとお尋ねしてよろしゅうございますか。私も初め てこの日程を見せていただいたのですが、どうしても都合が悪いときに代理出席といい ますか、代理の参考人を認めている審議会、検討会がありますが、この検討会、特にこ の小委員会については、その点はどうなのでしょう。できたらお認めいただければあり がたいなと思うのですが、いかがなものでしょうか。単なるオブザーバーでないと駄目 だということなのか、その点事務当局のお考えをお聞かせいただければありがたいと思 います。 ○座長  私はやはりそれぞれの委員は、それなりに考えた末に選択されていると思いますので 、その場合は、オブザーバーの出席というのはよろしいわけですよね。ただ、委員とし てというのは、通常はあまりないのではないかと思います。 ○山口委員  では、オブザーバーとしてならいいと。事務局、どうでしょう。 ○医事課長  ご意見は紙の形で出していただくということも可能かとは思います。 ○山口委員  さっき言いましたように、プログラムの内容、基準など我々の団体でいろいろ検討し ているものですから、それを含めて。 ○座長  検討部会のときは、ご欠席のときは予めご意見を紙で出していただいていますので、 原則はそういうふうにしていただければと思います。 ○山口委員  わかりました。 ○梅田委員  紙で出すということになると、その前に、その日の議論の内容を全部いただいておか ないと、紙で出せないですね。分科会には、入れていただいたとしたら6月27日など は、県議会の最中で絶対足止めで出られないのですね。できればオブザーバーでもいい から、その意を受けた者といいますか、が座ることは許していただけると、非常にあり がたいのですが。 ○座長  ですから、何かのご発言の代わりにペーパーを出していただくと。ただその情報をき っちり伝える意味で、オブザーバーの方がディスカッションの内容を聞いていただいて 、また梅田委員に伝えるという、そういう形式にしたいと思います。委員の皆さん、タ イトなスケジュールで大変ご迷惑をおかけすると思いますが、こういう形式で進めさせ ていただきたいと思います。  今日は第1回目ということで、自由討論をさせていただきましたが、大変貴重なご議 論をいただいたかと思います。やはり制度設計をするに当たっては、その基本となる取 り決め、あるいは基準というものが必要ではないかということを下村委員を中心に、ご 指摘をいただきました。このような議論が各小グループごとに、また同じ繰り返しにな るといけませんので、先ほどご発言いただきましたように、事務局大変でしょうが、ク リアーすべき基本的な取り決めみたいなものを整理して、それを踏まえて小委員会で議 論がスタートできるような形にとりあえずしていただければと思います。あまりそうい うことをしていただくと、事務局ペースでこの話がいってしまうのではないかと思って 、最初は漠としてご議論を提案しました。事務局だけではなくて、それぞれの委員の皆 さまも是非こういうことを検討すべきだ、あるいはこういう方向で議論したらどうかと いうことを出していただければ、大変ありがたいと思います。  時間もまいりましたので、先ほどの小委員会の構成メンバー案について、委員の方々 からご意見をいただきましたので、事務局と相談の上対処していきたいと思いますので 、座長にご一任いただければ大変ありがたいと思います。  もうすでに次回以降の各委員会の日程について資料として配られていますが、事務局 から何か追加ございますか。 ○医事課長  日程案ですが、次回以降の会議について、とりあえず全体の会議については7月31日 となっています。先ほどのご意見でもありましたように、この途中においても必要が生 じれば、全体会議ということもあり得るかとは思っています。小委員会については、「 プログラム」と「基準」の第1回目は、同日付け同時刻になっています。両者がかなり 関連する分野、事項があるものですから、合同開催という形をとってはどうかというこ とです。それ以後については、このような形で日程をとりあえず決めていますが、ご意 見等をいただければと思います。 ○下村委員  改めて、だけど今日のようなことで7月31日に、小委員会報告の全体調整をやる。各 委員会の日程はこの次から分かれてやって、「プログラム」と「基準施設」だけは、第 1回はいっしょにやるという案ですね。3回やって、それで本当に答えが出る、もう何 か出来上がっているものがあるんですか。3回やって、本当に答は出るというのは、ち ょっとよくわからないのだけれども、出るんですか。それならば、もう最初から何かあ るんじゃないかというふうに思うのだけれども、それともここはあまり立ち入った議論 しないで、意見だけ適当にやっておいて、あとは厚生省が適当にまとめますと、こうい うつもりですか。 ○医事課長  私どもが適当にまとめるという気持はございませんで、これはまさに個々の研修内容 の仕組みの具体的なところを議論していただく会合ですので、それなりのご議論をいた だくつもりでいます。 ○下村委員  今日聞いていると、割合まだ入口のような議論が残っている一方で、3回でやるとか 言われると、一体そこはどうなっているんだというのが、どうしてもよくわからないの ですが。 ○医事課長  私どもの予定では、小委員会の1回目に、これまでのご議論等を踏まえて整理したも のを出し、それについてご議論いただいて、それを各委員の先生方にお持ち帰り、ご検 討いただいて、2回目の議論をしていただき、そして3回目に、できればまとめたいと いうことを考えています。 ○下村委員  一応原案がありますと言うわけですね。 ○医事課長  原案と言えるかどうかはちょっと見ていただかないと、とても原案と言えないという 話になるのかもしれませんが、我々の理解した範囲でのとりまとめというものは考えて います。 ○下村委員  さっき、処遇の問題は施設とか何かといっしょでなければ、中身がある程度わからな ければ、あるいは法律関係がわからなければ、処遇問題というのは議論できないのでは ないかと言ったのだけれども、処遇だけは別個に最初から分かれてやるというのは、な ぜですか。できないんじゃないかな。 ○医事課長  私のほうで話していいのかどうかよくわかりませんが、少なくても私どもの理解では 処遇の問題と、この「プログラム」、「施設基準」の問題は、直接は必ずしもリンクし なくても議論はできるのではないか。それぞれ先に議論していただくべきことがあるの ではないかと考えて、このように組んでいます。 ○下村委員  しかし、処遇の中身だ、勤務時間とか休日とか、何かいろいろな話が出てきましたね 。あれは研修内容と関係なしに、時間だけ決めていいんですか。そんなことはできない んじゃないの。中身と関係なしに、時間とか何とか決めていいんですね。 ○医事課長  ですから、その時間の決め方などについてもそれはそれでご議論いただくわけですが 、そのことと必ずしも「施設基準」と「プログラム」とが直結するとは思っていないの です。ここら辺は、まさに先生方のご意見をいただければと思います。 ○下村委員  できないと思うんですけれども。そんなことで処遇だけ議論しろと言われても、それ はとても責任持てないと思いますが。 ○座長  それでは、いまのご発言にもあるように、処遇の問題も単に金額だけではなくて、い ろいろ細かい取り決めもきっちりしていないと難しいのではないかというご意見で、そ れも一理あると思います。実際に支給する場合とか、情報をどういうふうに管理するか 。 ○下村委員  誰がどんな形で出す金かという性質の問題がありますね。 ○座長  それと、前から議論がありますように、処遇を病院にするのか。やはりいままでそれ ではいろいろな問題があったので、大学病院側は個人に注目した、そういう処遇を希望 されていますね。そういう場合に、法律的に取り決め上どういうふうにしたらいいかと いうことも、やはりこれから考えていかなければならない。法律上我々はちょっと細か いことはわかりませんので、またそれは別の視点から検討していただかなければいけな いことになるかと思います。ちょっといま事務局も回答できないと思いますので、また 次回に議論していただければと思いますので、よろしくお願いします。  それでは時間も過ぎましたので、本日の討論はこれで終わりたいと思います。事務局 から連絡事項などございますか。 ○医事課長  先ほどのご議論で小委員会等の関係も済みましたので、特段ありません。 ○ 座長  それでは、大変ご熱心なご議論をいただきまして、ありがとうございました。本日の 第1回目で、全体的にとりとめのない議論になったかと思いますが、大変貴重なご意見 をいただいたと理解しています。本日はどうもありがとうございました。                         照会先                          厚生労働省医政局医事課                           03−5253−1111                            内線 2563