02/06/11 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録             薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会                    日時 平成14年6月11日(火)                       10:00〜                    場所 経済産業省別館9階944号会議室 出席者:寺田分科会長、井上委員、小川委員、小沢委員、垣添委員、熊谷委員、黒川委員、     小林委員、品川委員、首藤委員、高仲委員、田中委員、村上委員、山崎委員、     吉倉委員、和田委員     食品保健部長、企画課長、基準課長、監視安全課長、検疫所業務管理室長、     新開発食品保健対策室長、食品国際企画調整官 ○今村補佐  ただいまから、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催します。本日は、ご多忙 のところご参集いただき、厚く御礼申し上げます。本日は児玉委員、清水委員、羽生田 委員、柳川委員が欠席との連絡を事前に受けておりますが、分科会総数20名のうち16名 出席で過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立することをご報告申し上げま す。開催に当たりまして、食品保健部長からご挨拶をいたします。 ○尾嵜部長  分科会の開催をお願いしたところ、お忙しいところをお集まりいただきましてありが とうございます。本日は3件のご審議をお願いしております。1点目は器具及び容器包 装の規格基準の改正の関係。2点目がおもちゃの規格基準の改正の件。3点目が組換え DNA技術応用食品等の安全性審査の件です。詳細につきましては、後ほど議事の最後 に、事務局のほうから説明いたします。  前回の分科会の開催が3月下旬でしたが、その後、食品にかかる大きな動きがありま した。その点についても今日、資料を用意して説明することにいたしますが、私のほう から何点かご報告をさせていただきます。  1点目は、前回分科会の直後の4月2日に、厚生労働大臣と農林水産大臣、両大臣の 私的諮問機関として昨年来動いていたBSEに関する調査検討委員会から最終報告を出 していただき、種々の意見書並びに提言をいただきました。それに沿って政府として閣 僚会議を設け、食品の安全に関する新しい組織なり包括法の関係について検討を進めて きました。  その間、与党の中でも大きな動きがあり、私どもに直接関係する厚生労働部会という ものが自民党の中にありますが、そちらで、食品の衛生規制に関する検討をしていただ き、食品の衛生規制に係る考え方をかなり網羅的に整理していただきました。その中身 も含めて、与党のプロジェクトチームとして、食品の安全に関する新しい組織、あるい は食品衛生法も含めた各法関係の対応について、まとめもいただきました。両方とも資 料は今日添付いたしました。  閣僚会議は今日の午前中、つい先ほど第4回目の会議が開催され、最終的な閣僚会議 としての方針が決定しました。すでにこの月曜日、あるいは先週末ぐらいから新聞には 若干出ておりますが、新しい組織として、「食品安全委員会(仮称)」、いわゆる「8 条委員会」という形の組織を新たに設けることになりました。  この委員会は、先ほど申し上げたBSE調査検討委員会の報告書に沿った形でリスク 評価を行うという考え方です。そういう形で委員会を設け、その下に事務局をつくる。 さらに、専門家の方々に各分野ごとにリスク評価をしていただくということで、専門家 の方々の参加というのは、かなり大きな人数になるのではないかと思います。  もう1点は、食品の安全に対する包括法をつくるということです。これについても今 日の関係閣僚会議で、そういう決定がなされたわけです。組織並びに法律の制定につい ては来年度ということで、これから準備を進めるわけですが、明日付けで内閣官房に、 この組織の話、並びに新しい法律をつくるための準備室を設けることになっておりま す。内閣府、厚生労働省、農林水産省から、兼務の形ですがそれぞれ職員が出ます。し かし、実態は専従という形になろうかと思いますが、そういった組織要求、予算要求、 そして、法律に関して今後準備を進めていく。そのための組織を新たに明日から設ける 予定です。ここのように、かなり大きな動きの区切りが今日つけられたわけです。  私どもとしては、そういった中で、各省庁が所管している食品に関する法規について は抜本的な見直しをいたします。先ほどふれた党の検討などを踏まえ、食品衛生法につ いては、改正を行いたいということで、すでにその見直し作業に入っているわけです。 来年の通常国会に提出したいと考えているわけですが、これまでの改正に比べるとかな り大幅な改正を行うことになろうかと思っているところです。この法律改正の中身につ いて審議会に諮問・答申を改めて行うという体裁にはなっておりませんが、委員の方々 にはいろいろな機会に意見を伺いたい。また、進捗状況については適時報告をさせてい ただきたいと考えております。  昨年来、食品に関するいろいろな問題がありました。BSEに関しては4頭目の感染 牛が発見されたことはご承知のとおりです。今回4頭目の発見の際には、社会的には割 に冷静に受けとめていただいたと思っているのですが、いずれにしても、屠畜場では引 き続き全頭検査をしておりまして、こういった中から新たな感染牛が発見される可能性 はあるわけです。  また、かねてから指摘されておりました、屠畜場に来る前に死ぬ死亡牛があります。 その所管は農林水産省ですが、今国会で、BSE法案ということで与野党から出された 法案があります。最終的には衆議院農林水産委員会の委員長提案という形で、すでに国 会の中では通っています。その中で、与野党全会一致ということで本会議等を通過して おりますが、この死亡牛について、来年4月から、若干条件は付いていますが、原則的 には全頭を検査することになっております。そういった新しい法律が出来たということ が1つあります。死亡牛の検査が農林水産省の所管として進められることになります と、そういった中から新たな感染のケースが発見される可能性が大いにあり得ると思い ます。  いずれにしても、BSEの原因究明がまだ確定されてないという状況ですし、我が国 全体のBSEの蔓延実態も定かでない状況です。それらが少しでも明確になっていくよ うな状況になっていくのではないかと期待しているところです。  最近では、添加物の問題がここ数週間新聞に大きく取り上げられておりますので、こ れについても簡単に経緯を申し上げます。添加物については厚生労働大臣が指定するこ とになっておりまして、指定されてないものについては日本国内では使えないというこ とが食品衛生法上の取り決めになっています。  茨城県の香料を製造している施設で、指定外の添加物を長年製造しているという投書 が東京都にきました。そして、東京都から茨城県にそういった内容が知らされ、調査を 始めたという経緯です。  調査をした結果、茨城の工場では、投書の内容のとおり、当初3種の指定外添加物の 入った香料を製造していたという事実が判明しました。また、若干日にちがずれた後 に、それ以外にも2種の指定外添加物を使っていたこともわかりました。  香料というものはかなり広い範囲で食品に使われています。アイスクリーム関係、乳 製品関係、あるいはそれ以外のものについても幅広く使われております。私どもが茨城 県から報告を受けた内容では、3種の時点で170社にこの香料が出されていたのです。 あとの2種は少数でしたが。  香料については私どもも回収命令をかけておりますが、そういった香料を使用してい る食品製造会社のほうが製品の回収を始めておりまして、謝告が非常にたくさん新聞に 発表されている状況です。こういったことについて、食品衛生監視で乱れているという 報がこれまでにも入っていたわけですが、こういった事実がつかめなかったということ は、監視のあり方について、私どもも内容等について見直す必要があるという認識を強 めているわけです。  これ以外にも、中国からの肉まんに指定外の添加物が使われていた。台湾産のものに も、それ以外のものにも指定外の添加物が使われていたケースがここ数週間の間におよ そ10数件出ております。  私どもは、全国に2,300近くある添加物の製造施設に、各自治体のほうから立入調査 に入るようにと6月3日付けで指示したところです。今月中には各自治体のほうから報 告をいただくことにしておりますが、そういった中から新たな指定外添加物の製造とい うものが出てくる可能性がゼロではないわけです。そういった所はすべて公表し、内容 については、もしそういうことがあれば、厳正に対処したいと考えているところです。  輸入食品関係について、中国からの野菜、あるいは野菜の加工品の残留農薬問題がし ばしば国会でも取り上げられ、また、事実残留基準を超えるケースが検疫所、あるいは 一般のレストラン等で、会社が自主的に検査した際に発見されております。今日も1件 出ておりましたし、かなり多く出ております。  生鮮野菜につきましては、輸入時に検疫所でモニタリング検査を行っています。その 結果を踏まえて、違反については積み降ろしや廃棄をしているという状況ですが、重な った違反が出てきた場合には、命令検査をかけることも行っております。  加工野菜については検疫所で検査をしておりませんでした。これは検査方法などの問 題もありましたし、基準をどうするか。加工野菜については基準が基本的にないわけで す。現在行っているのは、加工食品では「下ゆで」といいまして、ごく簡単に湯通しを したような野菜、特にホウレン草が多いわけですが、そういった物が入ってきておりま す。  それにつきましては現在検査をしておりまして、生鮮野菜と同じ基準を適用していま すが、特に加工品の中から違反件数がかなり多く発見されています。検疫所では3月20 日から加工品についての検査を開始しましたが、それ以降20数件も違反が見つかってい ます。また、それ以前に加工食品が出回っているわけで、そういったものを取り扱う企 業のほうに自主的な検査を現在お願いしているところです。そういった中からも違反が 発見され、廃棄されているというのが現状です。  残留農薬についても、制度上は添加物と違いまして、ポジティブリストにはなってな いわけです。食品衛生法の改正の中で食品衛生対策全般を見直す中で、残留農薬につい ても、今後基本的にはポジティブリスト化していこうということで私どもも頭の中の整 理をしております。そういったことも含めて今後対応を考えていきたいと思っておりま す。  食品の問題の中で表示のことが大変問題になったのはご承知のとおりです。農林水産 省所管のJAS法の原産地の表示違反のケース。それと併せて、食品衛生法上の、加工 した場所や製造した場所がそれに絡んで違反ケースがあったわけです。  その後私どもが全国の都道府県等にお願いして、そういった製造業者に立入調査をし ていただき、表示についての監視を行っていただきました。その結果は過日公表しまし たが、食品衛生法上の違反、内容的には意図的に行われているということではなしに、 表示すべきものを、理解が足りなくてしてなかった。あるいは、虚偽という意味ではあ りませんが、若干間違った表示をしていたケースがかなりありましたので、そういう所 は指導いたしました。  虚偽表示の関係については7件ほど行政処分をしたケースがあります。特に原産地表 示の関連で、いくつかのケースで都道府県で処分していただいたケースがあります。い ずれにしても、この表示問題についても1度調査をしておりますが、今後、そういった 指導を行った結果として適切に行われているかどうかということは引き続き都道府県に 監視をお願いしようと思っています。  こういった最近のいろいろな動きがありますが、私どもは食品の安全というものにつ いて、国民の健康を保持する、健康を守るという観点から、非常に大切な施策だと思っ ております。こういういろいろな事案が出てくるということで、後ほど説明する際に先 生方から忌憚のないご意見をいただければありがたいと考えております。冒頭の挨拶代 わりに長い報告をいたしましたが、まずは3点のご審議をよろしくお願い申し上けたい ということです。 ○今村補佐  以後の進行については寺田分科会長にお願いいたします。 ○寺田分科会長  分科会の議事を進めさせていただきますが、その前に資料の確認をお願いします。 ○今村補佐  配付資料の確認をさせていただきます。今日お配りした資料は、議事次第という1枚 紙、分科会資料と書かれた2枚紙、分科会座席表、そして分科会名簿、ここまでが1枚 紙です。あとのものには資料番号が付いています。  資料1−1は「毒性・器具容器包装合同部会報告について」、資料1−2は「器具及 び容器包装並びにおもちゃの規格基準の改正に関するWTO通報に対する意見について 」、資料1−3は「食品、添加物等の規格基準の一部改正に対して寄せられたご意見等 について」。  資料2は「組換え遺伝子技術応用食品及び添加物の安全性審査に関する部会報告所 」。  参考資料1「ポリ塩化ビニル製器具及び容器包装並びにおもちゃにおけるフタル酸エ ステル類試験法について(案)」。参考資料2−1「大豆に関する安全性審査の概要 」、2−2「とうもろこしに関する安全性審査の概要」、2−3「ワタに関する安全性 審査の概要」、2−4「グルコアミラーゼに関する安全性審査の概要」、2−5「安全 性審査の手続きを経た遺伝子組換え食品及び添加物一覧」。  参考資料3が「食品の安全に関する信頼確保のための改革提言」、参考資料4「食品 安全行政に関する関係閣僚会議関係資料」、参考資料5が「食の安全確保に関する提言 」、参考資料6が「食品の表示制度に関する懇談会関係資料」、以上です。 ○寺田分科会長  それでは審議に入ります。本日の議題案件は、審議事項といたしまして、「器具及び 容器包装の規格基準の改正について」「おもちゃの規格基の改正について」「組換えD NA技術応用食品等の安全性審査について」の3件でございます。また、「その他」報 告事項として、最近の食品安全行政について提言・検討があり、自民党における「食品 衛生規制に関する検討小委員会」による「食品の安全に関する信頼確保のための改革提 言」について、政府における「食品安全行政に関する関係閣僚会議」について、与党に おける「食の安全確保に関するプロジェクトチーム」による「食の安全確保に関する提 言」について、「食品の表示制度に関する懇談会」についての4件について報告するこ ととなっております。  本日の議事を進めさせていただきます。議題にございます「(1)器具及び容器包装 の規格基準の改正について」、「(2)おもちゃの規格基準の改正について」につきま しては、いずれもフタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹 脂に関する案件でございますので、一括して審議することといたします。では、事務局 より説明願います。 ○石井基準課長  それでは資料の1−1をご覧ください。これは毒性・器具容器包装合同部会の報告 で、昨年7月27日付で諮問をさせていただいたものの検討部会における検討結果をまと めたものです。合同部会では、7月27日、今年の3月15日の2回にわたって議論をして いただきました。別添1頁で「はじめに」というところにいくつか書いていますが、昨 年の7月に諮問したわけですが、背景として2あります。まず、器具及び容器包装につ いては、平成11年度の厚生科学研究から、市販のお弁当からフタル酸ジエチルヘキシル というDEHPというものがかなりの量が検出されました。  その検出原因を調べていくと、ポリ塩化ビニル製の手袋を使って弁当の調整をしてい るということです。そういう中で、特にDEHPを含有している手袋を使った場合に は、油性の食品に接触すると非常に簡単に弁当のほうに移行することがわかって、この 部分については当時緊給措置ということで、手袋を使うのをやめていただくという規制 を行いました。  今回の検討の結果として規格基準案をまとめたのは、その後、手袋だけではなくて、 他の器具あるいは容器包装についてもどうかということを検討した結果です。  2つ目はおもちゃです。おもちゃについては、環境ホルモン、内分泌かく乱科学物質 というものの研究の一環として、おもちゃについてもいろいろな研究を行ってきまし た。  その中で、厚生科学研究等における、乳幼児が口に入れる、あるいはなめるといった 行動の実態調査、あるいはおしゃぶりを長時間使用するといった結果として、長いこと 口に入れることがあるということ、あるいは成人にお願いした実験で、いわゆる口の中 で噛んだりしているうちに、塩ビの試験片からどのくらいのフタル酸が出るのかという ことも検討され、それが非常にばらつきが大きいということも判明しました。そういっ たこれまでの研究成果及びその後のいろいろな検討結果をまとめたということです。  特におもちゃに関して海外の状況ですが、1頁のいちばん最後をご覧ください。欧州 連合(EU)においては、平成11年12月に、3歳未満の子どもが口に入れることを目的 とする、今回我々が検討したDEHP、DINP、それ以外の4種類のフタル酸エステ ルについて、3カ月ごとの暫定的な規制措置ということで流通を行わないようにという ことの規制措置が、いまでも3カ月ごとに更新されています。  米国では安全上科学的には問題が少ないという原則はありながら、消費生活安全性委 員会が、平成10年12月から、3歳未満の子どもが使用するフタル酸エステルを含有する おもちゃは流通させないように業界団体に要請しているという指導があります。そうい った海外の背景があります。  別添の2頁ですが、いちばん問題が提起されたDEHPとおもちゃについて、その使 用頻度が高かった。高かったというのは、現在は塩ビの口に入れるおもちゃに対して は、業界が自主的に販売を自粛しているという状態がありますが、昔のものはDINP が異常に使用頻度が高かったということで、今回この2つのフタル酸エステルについて データをまとめ、評価をしているというものです。  まずDEHPですが、2頁の真ん中にあるように、平成12年度6月の手袋の問題のと きに、いろいろな評価をしました。今回はそれ以後に、そのときに触れていなかった資 料も含めて、新ためて毒性評価をして、概要として取りまとめたものです。  体内動態を中心にまとめてあって、6頁の前半までが体内の動向です。  6頁の(2)で、ラットの精巣毒性というものが1つの毒性の評価の対象になったわ けですが、それについてはさらなる構造依存性への検討、7頁が発現機構についての検 討ということで、新ためて検討を行いました。  8頁はDEHPの精巣特性評価あるいは生殖・発生毒性について評価をするととも に、9頁(4)のTDIの評価については、結果として40から140μg/kg/dayをTDI として再度評価をし直しました。この数字は手袋の評価を差し引くと数字は変わってお りません。同じTDIでよいという結論をいただいています。  次にDINPですが、これについては初めて毒性評価をまとめてしていただきまし た。9頁の最後から体内動態、吸収等について、整理をしています。10頁(2)で、一 般毒性及び発がん性ということでまとめをしています。12頁(3)で、ホルモン受容体 関連反応性について、13頁は精巣毒性、生殖毒性、発性毒性について、広くデータを評 価して、14頁(7)で、TDIの評価については、2年のラット混餌投与試験の治験に おける毒性量を踏まえて、不確実係数100を取って150μg/kg/dayという評価をいただ きました。以上が安全性の観点からの評価です。  続いて、フタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニル製器具及び容器包装について おもちゃ入る前に、器具及び容器包装について、これまで得られた厚生科学研究の概要 を整理しています。  (1)が、ポリ手袋からの食品へのDEHPの移行についてで、新ためて整理してい ます。15頁にもあるように、例えば切り干し大根を手で掴んだ場合にかなりの量が移っ ています。例えばコロッケを2回掴む実験からは、最初はいいけれども1度掴むと後は 非常にDEHPが移行することがわかっています。  (2)で、市販食品中のフタル酸エステル類の分析結果等ということで、平成12年度 について調べたところ、平成11年度の結果の平均値だけを見て約22分の1に減少したと いうことですので、手袋の使用をしないでくれという規制の効果が表われているという ことです。  次のパラグラフのベビーフードの点ですが、この点についてはその後も追っかけたと ころ、結果的には、ベビーフードの調整の最後に手袋が使われていたことが原因ではな いかということがあります。  (3)ですが、ポリ塩化ビニル製器具・容器包装からの食品へのDEHPの移行につ いてということで、その後、手袋だけではなくて、ホース、あるいはフィルム、そうい った他の器具、容器包装について行った結果、油分を想定した有機溶媒であるn-ヘプタ ンをを使った場合に、相当程度の溶出が認められるということです。  その一連の結果の結論に、今回試験した3製品はいずれも油性食品に接触する形で使 用することは不適当と考えられるという結論が得られています。  そういう結論に沿って規格基準(案)ですが、油分を含む食品と接触させないように することが肝要であると。その結果として、溶出量で規制をする考え方もあるけれど も、なかなかそういう点ではうまくいかないだろうということで、17頁の上のほうの真 ん中ですが、結果としてはDEHPを含有するポリ塩化ビニル樹脂については、油分を 含む食品と接触することが適当でないということから、規格基準(案)を提案していま す。  油脂、脂肪性食品を含有する食品の器具及び容器包装には、フタル酸ジ(2−エチル ヘキシル)を含有する塩ビを主成分とする合成樹脂を使用してはならないということ で、そういうものが入ったものは使用してはならないという形での使用規制を予定して はどうかということです。  細かい話ですが、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)ということでありますが、法令 のほうと実際に告示をする際には、ジがいいのかビスという言葉がいいのかいろいろ検 討している最中ですので、若干変わる場合もあり得るということを申し上げたいと思い ます。  それから、フタル酸エステル類を含有するおもちゃですが、こちらについては、まず 厚生科学研究の概要を整理しています。食品由来の化学物質の暴露量は、食品中濃度測 定により評価は可能であるけれども、おもちゃ由来の化学物質の暴露量は乳幼児を対象 にした暴露試験の実施が困難であるということから、直接的に測定することができない ということで、このため我が国の乳幼児のものを口に入れる行動の実態把握、in vitro でのフタル酸エステルの溶出、成人ボランティアによる口腔内でのフタル酸エステル類 の溶出、市販おもちゃ中の化学物質等について研究を行ったということです。  乳幼児のMouthing行動ですが、ビデオをセットし、一定の時間赤ちゃんを自由に活動 させ、何をなめるか、なめる時間はどのくらいなめているかということで観察の研究を していただきました。  最後にありますが、オランダにおける3〜36カ月児の42名を対象とした報告より、顕 著に長い時間Mouthingするという結果になったということで、赤ちゃんによって Mouthingをする時間は非常にバラつくということで、思いもよらず長くなめる赤ちゃん もいるということがわかりました。  18頁ですが、2のおもちゃ中のフタル酸エステル類ですが、ここは先ほど申しました ように、自主規制の前のおもちゃについていろいろ調べた結果、平成10年10月に試験の ため収集したポリ塩化ビニル製おもちゃ中のDEHP及びDINPの検出率は、DEH Pで26%、DINPで83%ということで、明らかにDINPの使用の頻度が大きいとい うことで、また、評価できるデータがかなりあるということから、この2つのものにつ いて、今回の安全性の評価の対象にしたということです。  19頁ですが、おもちゃからのフタル酸エステル類の溶出です。本来ならば、おもちゃ ですから赤ちゃんを被検対象にして実験を行うことが最も現実的ではありますが、そう いう実験は組めません。したがって成人ボランティアによる実験をさせていただいたと いうことです。  4つ目の段落ですが、成人ボランティアによるDINPを含むポリ塩ビの試験片の Chewingによる結果としての口腔内の溶出試験の結果は、口腔内での溶出には個人間で かなりのばらつきがあり、また多量に溶出する場合があることが判明したということで す。  また、(3)の下から2つ目のパラグラフにあるように、実際の使用状態を想定し て、歯がため全形をChewingしたところ、試験片の約2倍高い溶出を示したということ です。噛みやすいものであると出るということもわかったということです。ただし、こ ちらもそうですが、非常にばらつきが多くて、こういう場合の安全性の評価をどうする かということが非常に議論になったということです。  (4)フタル酸エステ類の暴露量の検討ということです。平成12年度の厚生科学研究 において、口腔内溶出試験結果と乳幼児のMouthing時間のデータから、暴露の算出がな されています。この研究では95%タイル値を計算していますが、それが35.7μg/kg/ dayであったということです。  20頁ですが、DEHPのTDIの下限値である40μgとなる可能性は3.1%と推定され たということで、以上が厚生科学研究等における実際の研究の結果をまとめたもので す。  以降、2からはDEHPあるいはDINPの暴露に関する推定ということで議論をし ています。データとしてはいろいろなデータをいろいろな角度から見ていますが、再検 討においては、データ数がMouthingデータ40例、Chewingデータ25例と少なく、一方で 長時間Mouthingする例や、Chewingにより多量に溶出する例があることに注目して、い ろいろな面からの探索的な検討を実施したということが書いています。  探索的な検討ですから、当然ながら暴露の推定に当たっての前提を決めて、その前提 の下に検討をしたということです。乳幼児のMouthing行動ということで、どういったデ ータを取るか、あるいはChewingによるポリ塩化ビニル製品からのDINPの溶出とい う点での取るデータ、その他として暴露評価の対象となった赤ちゃんの平均体重をどれ を用いたか、あるいはポリ塩化ビニルおもちゃの比率が不明であるので、便宜的にすべ て塩ビとみなしてやるかどうか、そういったようなことで、前提を置いての検討をして います。  21頁からはその検討結果になります。まずおしゃぶりのような口に入れるものについ てであります。おもちゃ協会では、おしゃぶりについては塩化ビニルを用いられていな いということで自主規制をしているということで、ポリ塩ビのおしゃぶり等の市場に多 量に存在するという状況ではないと考えられるが、おしゃぶり等は元来口の入れるため に作られたものであり、長時間Mouthingされることが想定されるものであるという前提 でいろいろな数字を見ると、DEHPについて言えば、例えば成人のChewing試験に結 果を見ると、TDIの下限値以上の暴露が想定されます。それから、溶出試験での最大 値からMouthingの時間との関係を見ていくと、場合によって、DINPにおいてもTD I以上の暴露が想定されるということです。  (3)ですが、特定の仮定をおいた場合についてということで、総Mouthing時間の最 大値は351.8分、おしゃぶりのMouthing時間を除外した総Mouthing時間の最大値が136.5 分で、かなり長時間のMouthingをする場合があること、そういったChewingでのばらつ き等、場合によっては多量に溶出することが判明したということで、いろいろな場合を 想定して検討をその1からその3までやっています。  その1は、Mouthingしている時間の上位をいろいろな群に分けていて、長い上位25 %、溶出量の多い上位群25%といった、多いものの群の組合せという形で検討している ということで、22のウにその結果が出ています。  いちばん最後の黒ポツで、DEHPのTDIの下限値と比較すると、それぞれ79.1、 101、154ということで、総Mouthing時間で見ると、DEHPの下減値を154.6%まで上 回るということがあり得るということです。DINPについてはそれほど多くはないと いうことです。  検討その2ですが、これはMouthingをした40例の全ケース、溶出分の25例の全ケース を1対1対応しまして、1,000通りの組合せで見た結果です。アの最後の黒ポツにあり ますが、総Mouthing時間では計算上の暴露が40μgを超えて、DEHPのTDIを超え る量は1,000通りに対して95ということです。150を超える、いわゆるDINPに対して は1,000通りの内の1つが超えるということがわかったということです。  検討その3ですが、これはその場合のケースを、40と25の組合せでのシミュレーショ ンです。その積を1万回求めて試算をするという統計手法があるということで、それで やると、おしゃぶりの総Mouthing時間ではというのがありますが、計算上の暴露が40 μgを超えるものが1万回に対して988回、150μgを超えるのが1万回に対して12とい う推計の結果です。  その他留意点ということで、例えばDEHPは油分により極めて容易に溶出するとい う点も、規格基準の際には考えなければいけない。あるいは個人間で非常にばらつきが あるが、唾液の量やpHとの関係は認められないという点で、わからないところが多い ということです。それから、食事等の他の要因からのフタル酸エステル類の暴露につい ては多少あるということですが、それを今回の場合では計算していないのに規格基準設 定の際には考える必要があるのではないかといったことです。  結論を言うと、そういった通常の科学評価の基になるようなばらつきとはかなり違う ということがわかって、この結果から見ると、口に入れることを目的とするおもちゃに ついては、DEHP及びDINPも含有するものは使わないほうがいいと。それからD EHPについては、油と接触することによって溶け出る量が多くなります。したがっ て、そういうものはなめる可能性の高いおもちゃについても、使用を避けたほうがいい ということで4の規格基準(案)ですが、合成樹脂性のもので、乳幼児が口に接触する ことを本質とするおもちゃについては、2つのフタル酸については合成樹脂は使用して はならない。それ以外のおもちゃについても、DEHPを含有するものは使用してはな らないということで、そういう基準(案)としたらどうかということです。  また、告示までの間、必要な猶与期間を設けることが討当であるということ、もう1 つは、有機溶媒を用いて試験をしますが、その有機溶媒にもDEHPが相当程度入って いるということで、入っていないということを立証する際の試験方法を検討する際に は、そういったコンタミについても考えるべきだということです。参考資料の1を後で ご覧いただければと思いますが、分析法を示していて、0.1%を超えた場合は入ってい るとみなしましょうということが出ています。  おわりにもありますが、今回は2つのフタル酸エステルについて議論をしています が、他の可塑剤等について、いまのところ問題があるというデータは承知していません ので、今回のこの2つについてで行いましたが、他の可塑剤等に対する化学物質に対す る調査・検討についても、今後の課題として取り組む必要があるということを部会とし ても報告書としてまとめていただきました。以上が規格基準(案)です。後ほど井上部 会長のほうから安全性のところを中心にコメントしていただきますが、この検討結果を WTO通報及びパブリックコメントを求めました。資料1−2がWTO通報に対する意 見で、10通ありましたが、その内容についてはほぼ次のパプリックコメントの内容と一 致しているので、ここではあった意見を羅列しているだけです。  続いて資料1−3ですが、これがパブリックコメントに対してのご意見で、多数あり ます。137通ありましたが、中身の項目については非常に多く、517項目の意見が出てき ました。これを全部読むと相当の時間がかかるのでポイントだけに限らせていただきま す。  次の頁にいきまして、毒性評価関係です。これはいろいろ出ていますが、最も多くの 意見があったものとしては、2)の中の(3)でラット、マウスでの実験でTDIを求 めていますが、霊長類の試験があるではないかと。霊長類の試験があるとすればなぜそ れを使わないのだと。それを使えばTDIはもっと高くなるはずであり、今回の規制の ようにはならないというご意見が多く見られました。  3頁にありますが、マーモセットとかカニクイザルの試験がありますが、それを取る べきだと、妥当性がわかっていればそっちを取ってもいいけれども、その辺については メカニズムが十分に解明されていない以上、動物試験の結果としては、ラットも含めて 最も低い量のものをTDIとするという考え方が科学的にも妥当だと考えるということ を答えています。  さらに6頁の34ですが、これも同じことで、サルの実験を用いられないというのであ れば、そのメカニズムがわからないというのであれば、メカニズムがわかるまで規制を すべきではないということを言われていますが、6頁の最後にもあるように、TDIの 設定については、小動物でできる以上、その数字をもって規制をするということで問題 はないということで、そういった内容についてリスクが判明した以上は規制をすること が妥当と考えると申し上げています。  13頁から14頁の海外の状況ですが、海外の状況を見て、いままでの海外の安全性の評 価に対する考え方が14頁の回答の中の3つ目のパラグラフですが、EUではDEHPに ついてはTDIが37、アメリカでは3.7から14、DINPはTDIがEUでは150、アメ リカでは120となっているということを示していて、我が国での評価は決しておかしく ないということを回答しています。  15頁になりますが、DEHPについては人での発がん性は認められる物質にIARC というところでも分類はでていないので規制する必要はないということですが、今回の 我々の回答は、発がん性ということから規制するものではなく、一般の毒性に基づいて 設定されているのだということを申し上げています。  19頁ですが、特に業界側からの大きな問題意識の指摘は113というところになります が、今回の規制は環境ホルモン作用を念頭に置いた規制ではないと理解しているが、そ れで間違いがないでしょうかということです。回答ですが、発がん性や内分泌かく乱作 用に基づくものではなく、一般毒性に基づいてTDIを設定した結果からの暴露評価も 併せた結果であると申し上げています。  22頁以下は暴露評価の関係です。24頁で、特におもちゃ以外の暴露についてというこ とで、ここでいろいろ書いてあるのは規制が厳しすぎるという業界からの意見が出てい ます。27頁で回答を出していますが、乳幼児のMouthing時間、あるいは口腔内溶出試験 の結果から、非常にばらつきの多いものではあるけれども、いろいろな前提をおいた探 索的な検討結果から、TDIを超えるということがあり得るということがわかった以上 は、規制は当然のことであるということで納得していただくしかないという回答をして います。  28頁の第2パラですが、例えば、食品衛生法に基づく残留農薬基準に当たっては、水 とか空気等からの暴露を正確に試算することが困難であることから、便宜上、水・空気 等からの農薬の暴露量としてADIの8割を超えるか超えないかという議論をしていま す。そういった点も、おもちゃについては考える必要があるのではないかということも 付け足しております。  31頁の(5)は統計処理についてといううことで、これについては33頁の回答で答え ていますが、今回のケースのようなばらつきの大きなものは、これまでの科学的なリス ク評価の中ではなかなかなかったケースなので、統計的な手法も例外的に取り入れて検 討したのだということと説明しています。  35頁で、規格基準関係ということで、この中では特に消費者団体等からの意見が多か ったのですが、例えば193で、DEHP、DINPに限定しないで、使用頻度の高いフ タル酸エステル、例えばEUが予防的に4種類をさらに規制対象にしていますが、その ようにもっと広げるべきではないかという意見が寄せられました。  35頁ですが、いろいろな頻度が高い、あるいは問題があるという点が指摘されている ものについてまずやりましたと回答しています。規制の対象は科学的根拠に基づきその 範囲できちんと説明できる範囲で規制対象にしており、それ以外のものについては今後 とも検討の対象にしていくということを答えています。  44頁ですが、10)の対象品目ですが、特に外国からの指摘ですが、日本の場合はおも ちゃを食品衛生法で規制しているということ、それが特殊であるということとともに、 おもちゃの範囲を私どもの解説の中では学校に行っていない子どもという形で対象にし ていますが、諸外国でこういうものを規制する場合に、3歳未満という形で、口に入れ るという形での対象にしているということですので、そういった点で対象範囲について いろいろ議論がなされました。かつ、どのおもちゃが対象になるのかといういろいろな 問題指摘がありました。  回答ですが、規制の対象範囲については誤解が生じないように、通知やQ&Aを作成 することで対応していきたいと答えています。46頁は対象年齢ということで、ヨーロッ パと日本の違いがあります。  52頁の猶与期間ということで、告示後の猶与期間を要望するということで、この点に ついて部会では必要な猶与期間は設ける必要があるという意見をいただいていますし、 53頁の回答ですが、1年程度の猶与期間を設けることが必要だと回答しています。  76頁にはその他の意見がいろいろ書いてありますが、回答として、今後とも食品用器 具、容器包装・おもちゃについては、適切な情報収集に努めるとともに必要に応じた措 置を講じていく所存です。今回の規制はPVC樹脂全体の規制ではなくて、一定の可塑 剤の入った樹脂を対象にしているということ、対象範囲も誤解を生じないように、施行 に当たって必要な措置を取っていくということを書いています。 ○寺田分科会長  続いて井上部会長から補足のご説明をお願いいたします。 ○井上部会長  詳細なご説明がなされたので、付け加える点は特にないのですが、フタル酸エステ ル、特にDEHPについては精巣毒性が強いということを強調すべき点だと思います。 報告書の6頁にもまとめられておりますが、ポールフォスターたちがやった実験で、精 巣の精細管の萎縮、精原細胞、精子細胞の欠落、そういったものが非常に顕著で、使っ た資料はここにあるように少し古いもので、写真がやや不鮮明でしたが、明らかにそう いった所見があります。  しかもその容量がかなり低くて、このDEHPを含むフタル酸エステル類は、内分泌 かく乱作用の危惧がなされているわけですが、そのことを当然念頭に置いて検討しまし たが、そこで出てきている要領より低いということですので、現在、内分泌かく乱物質 の評価についてまだ検討中であるということも踏まえて、それに言及しないでもこちら の精巣毒性で十分ノエルの設定が対象になるということで、今回は事務局の説明にもあ りましたように、内分泌かく乱の影響を対象にしないで、この検討結果が出ているとい うことを付け加えさせていただきます。  あと、これは私の専門外でありますが、討議された内容は、厚生科学研究所の報告に もありましたように、脂分に極めて溶出しやすいということで、その結果に沿って油 脂、脂肪性食品に範囲が定められました。おもちゃに関しても、その特性に見合った形 での規制案が出されました。基準値については、こんな値が妥当なのではないかと。つ まり、リスク評価というのは、規制を安全の側に取るという方法と、どこまでハザード アイデンティフィケーションが取れているのかについて、それを厳しく見る方法からの 攻めぎ合いのようなところがありますので、こういった見解になっているのは、まとめ させていただいた座長としては妥当なのではないかと思っております。  毒性の話に戻りますが、DIPについては、ペルオキシゾーム増殖のデータがあるこ とと、それが霊長目では必ずしも起こらないという事実が報告されております。それに 対する取扱いについて、事務局の報告の中でもその結果をどう取るかということが議論 にあります。これはDIPについての毒性評価では特徴的なことだと思いますが、これ についても発がん性の問題が対象にならなかったことを私からも付け加えさせていただ きます。以上です。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの説明について、何か質問、ご討議があり ましたらお願いいたします。 ○吉倉委員  質問ですが、この手のものには、可塑剤としてかなり大量に使わないと可塑性が出な いという、製品自体に根本的な問題があります。これを禁止しますと、多分ほかのフタ ル酸エステルをよく使うと。そういうものを使った場合に、溶出度が必ずしもDEHP と違うかもしれない。DEHPを禁止したことによって別の製品が出て、かえってリス クが上がることはないのでしょうか。その辺はいかがでしょうか。 ○石井基準課長  部会でもいまの点についていろいろ議論をしたり、要望もいただきました。こういっ たものは日本だけで使っているわけではなくて、ヨーロッパなどでも広く使われている ものであると理解しております。それから、ほかのものは具体的に個別に評価をしてお りませんから、そういう点では「問題ありません」となかなか言いにくいところがあり ますが、他のものについてもこれから情報収集をしていくべきだと思います。我々がわ かっているこれまでの外国での規制状況などを見ましても、これをやめたからより危険 なものにいくという可能性のほうがむしろ少ないと考えております。その点について は、これからもよりチェックをして、問題があるようであれば、ただちに議場の設定な りを検討していきたいというふうに考えております。 ○熊谷委員  おもちゃ以外にも、楽器とかパイプとか、いろいろしゃぶるものがあると思います が、それはどこか別のところで考えるのですか。それとも、考える必要はないのです か。 ○石井基準課長  今回は食品衛生法に基づく未就学児を対象としたおもちゃを対象としておりますの で、いずれにしても今回の範囲はそういうものです。いわゆる楽器とか、分別のつく人 が使うおもちゃ以外のものについては、対象としておりません。ただ、こういう結果が 出たことは公表されますので、そういった点について必要な所に情報提供するなり、そ れは必要かと思います。ただ、例えばラッパとか、ああいうものは音が出ますが、今回 はおもちゃの対象になります。本当の意味での楽器となりますと、今回は対象外になり ますので、そこは必要な所に情報提供をするしかないかなと思います。 ○吉倉委員  もう1つ質問ですが、食品業界で手袋をよく使っているということですが、これをや めた場合、要するにDEHPを使わない手袋が現在あるのかないのか、それはどういう 具合いですか。 ○石井基準課長  手袋といっても塩ビだけではありませんので、塩ビ以外のものであれば、フタル酸エ ステルはほとんど使われないと思います。したがって、ポリエチレンとか、そういった ほかの合成樹脂が現在では使われていると理解しております。 ○寺田分科会長  ほかにございますか。 ○田中委員  乳幼児のMouthing行動と、成人のボランティアのChewingの研究が人を対象としてな されていますが、これはどういう方法でサンプリングされたのか?こういった人は個人 差が大きいということですが、こういった人たちはいわゆる一般集団を代表しているの かどうかという検討はなされたのかどうか。要するにフリーリビングポピュレーション を代表しているのか?非常に個人差が大きいということですので。 ○石井基準課長  どういうサンプリングをしたか、私も正確にはお答えできませんが、乳幼児の Mouthing行動は小児病院の先生にお願いをしてやっておりまして、そこに来られている お母さん、そのお子さんを対象としてやっているのではないかと思います。Chewingに ついては、これは別のところでの試験でありますが、正確にどういうサンプリングをし たのかはわかりません。ただ、そういう研究者を含めて、部会に入る前に専門家の皆さ んといろいろな議論をしていただいて、この部会にこぎつけてきております。たしかに サンプリング数が少ないので、こういうものをどうするのかという点での議論がありま したが、いま先生がおっしゃられるように、あまりにも特殊な例を出しているのではな いかという点での問題提起はなく、このデータの中でどのように組合わせをして、どう いうふうな統計処理をすべきなのかということで、いろいろご苦労していただきまし た。先生の質問の回答になっていないかもしれませんが、サンプリングにあたって問題 があるという議論はなかったことだけ申し上げておきます。 ○田中委員  動物実験はきちんとなされているようですが、やはり人間への外挿、すなわちヒトの 曝露量を推定というときには、少なくとも対象者の記述はきちんとしておくべきではな いかと、私はそのように思います。 ○寺田分科会長  ほかにございますか。では、いろいろご議論をいただきましたが、分科会といたしま してはこれを了承するということでよろしいですか。                  (異議なし) ○寺田分科会長  それでは、この部会の報告書を整理し、分科会の報告といたします。  それでは、薬事・食品衛生審議会規定第3条に基づき、分科会の議決をもって審議会 の議決とし、厚生労働大臣あて答申をしたいと思います。答申書案はございますか。 ○坂本補佐  ございます。ただいまから配付いたします。お手元に届きましたら答申書案を読み上 げさせていただきますので、ご確認をお願いいたします。 ○井上委員  座長、おそれいりますが、答申書案がお手元に届くまでの間、先ほどの点についてで すが、部会長として座長を務めさせていただきましたが、田中先生のご指摘にもありま した対象等については、部会の席ではきちんとした説明がなされておりますので、資料 の中に盛り込むことは十分できると思います。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。 ○坂本補佐  それでは、答申書案を読ませていただきます。                    答申書  平成13年7月27日付け、厚生労働省発食第181号をもって諮問された器具及び容器包 装の規格基準の改正及びおもちゃの規格基準の改正について、下記のとおり答申する。                     記 1.器具及び容器包装の規格基準の改正について  フタル酸エステロ類を含有するポリ塩化ビニルに関し、以下の趣旨を器具及び容器包 装の規格基準に規定することが適当である。  「油脂、脂肪性食品を含有する食品の器具及び容器包装には、フタル酸ジ(2−エチ ルヘキシル)を含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用してはならな い。ただし、フタル酸ジ(2エチルヘキシル)が溶出または浸出して食品に混合するお それのない場合はこの限りではない。」 2.おもちゃの規格基準の改正について  フタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニルに関し、以下の趣旨をおもちゃの規格 基準に規定することが適当である。  「合成樹脂製のもので、乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃには、 フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、あるいはフタル酸ジイソノニルを含有するポリ塩 化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用してはならない。上記以外の合成樹脂製のおも ちゃには、フタル酸ジ(2エチルヘキシル)を含有するポリ塩化ビニルを主成分とする 合成樹脂を使用してはならない。」以上でございます。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。この答申書案について、何かご意見はございます か。それでは、ご了解いただいたものといたしまして、答申書の「案」を取りまして、 厚生労働大臣あて、答申させていただきます。なお、この件については、今後のスケ ジュールがどういうふうになっているか、事務局から説明をお願いいたします。 ○石井基準課長  答申をおまとめいただきましたので、事務局としては、今後できるだけ早く告示改正 を行いたいと考えております。また、先ほどパブリックコメントの回答でも申し上げま したが、告示の改正を急ぎ、一定の有力案ということで、先ほど1年程度ということで ありましたので、1年程度を念頭に置きまして、告示改正にあたってそれを反映させた 告示にしたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○寺田分科会長  よろしくお願いいたします。 ○吉倉委員  これを読んでちょっと気になりましたが、食品用の手袋ですが、DEHPを含んだ手 袋は相変わらず市販されるということですか。そこがよくわかりません。 ○石井基準課長  手袋は器具に当たりますので、当然ながら油脂、脂肪製食品を含有する食品に接触す る可能性があれば、当然ながらこの規定がかかりますので、そういうものは使われない という形になります。 したがって、油脂製のものには使うなということがはっきりしていればやりますが、普 通手袋そのものは何でも使いますので、そういった可能性があるものはすべてこの対象 になります。したがって、DEHP含有の塩ビの手袋は基本的には流通はできないとい うことです。 ○吉倉委員  例えば野菜などはいいわけですね。ということは、これは手袋に表示をするというこ とですか。その点、具体的にどう考えているのですか。 ○石井基準課長  その辺について、表示をすることは考えておりませんが、基本的には製造者が供給す る際に、何もなければこの基準はかかりますので、使用の範囲を限定してそれ以外は使 わないことが徹底されている場合に限ってはいいわけですが、それ以外はすべて駄目だ ということになります。先生がおっしゃるのは、原材料の表示の問題かと思いますが、 そこは検討課題として考えさせていただきたいと思います。 ○坂本補佐  追加をよろしいでしょうか。いまのご質問ですが、資料1−3の41頁にも、既にパブ リックコメントで同一趣旨のコメントをいただいておりまして、その中でも「DEHP を含有する器具・容器包装については、ユーザーへの適切な情報提供に努めるように指 導することを検討する」としておりまして、業界団体にもそういう話は既にしておりま す。今後、正式にどうするかというところを詰めたいと思っております。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。引き続きまして、3の「組換えDNA技術応用食品 等の安全性審査について」審議をお願いいたします。この案件については、個別に1つ ずつ審議することにいたします。まず1の大豆A2704-12及びA5547-127系統の審査に 入ります。事務局より説明をお願いいたします。 ○高谷監視安全課長  それでは、事務局から説明をいたします。大豆の説明に入る前に一言だけ申し上げま す。組換えDNA技術応用食品の安全性審査については、先ほど事務局から説明があり ましたが、本年の3月26日に提出された部会報告を、資料2として添付しております。 その中で別紙1から4まで、大豆、とうもろこし、ワタ、グルコアミラーゼについての 報告がなされております。参考資料2−1から4については、それぞれ大豆、とうもろ こし、ワタ、グルコアミラーゼの安全性審査の概要を書いたものを添付しております。 参考資料2−5として、審査を終了したもののリストを添付しております。今回はこれ らの4品目についてご審議をいただきますが、部会報告書の公表を4月8日から5月10 日までいたしておりますが、今回は特段ご意見はございませんでした。  それでは、大豆について説明いたします。参考資料2−1をご覧いただきたいと思い ます。グルホシネート耐性の大豆の、Aの2704-12及びAの5547-127系統について説明 いたします。参考資料2−1にありますように、この組換え大豆は、アベンティスクロ ップサイエンスシオノギ株式会社より申請のあったもので、大豆のAの2704及びAの 5547系統に、ホスフィノトリシン・アセチルトランスフェラーゼ遺伝子、略称pat遺 伝子と言いますが、これを組み込んだもので、これによりましてPAT蛋白が発現し、 当該組換え大豆は除草剤のグルホシネートの影響を受けずに生育できるというもので す。発現ベクター、選択マーカーは、この概要に示してあるとおりで、発現ベクターの 選択には、もともとのベクターpUC19に含まれているbla遺伝子(アンピシリン耐 性)が用られていますが、実際に導入される際には制限酵素で切断されていますので、 大豆の中には発現しておりません。  この組換えの方法は、パーティクルガン法によって大豆の中にpat遺伝子を導入し ております。  PAT蛋白の発現量は、ここに書いてありますように、種子中で1gあたりのA2704 −12では、平均1.24μg、A5547−127では、平均12.5μgとなっておりまして、安全性 については問題ないと判断されております。  これは諸外国での認可状況ですが、アメリカ、カナダでも、それぞれ食品としての審 査が終了して安全性の確認がされております。大豆について私のほうからは以上です。 ○寺田分科会長  この件に関しまして、何かご質問、ご意見はございますでしょうか。何か補足説明は ありますか。 ○首藤委員  特にございませんが、pat遺伝子という挿入した遺伝子ですが、これは既に安全性 審査済みのT25というものにも入っております。この場合にも、人工胃液中での加熱処 理、免疫反応性などにおいても、特段の問題はないと判断されております。また、挿入 された遺伝子は、それぞれの系統とも後代まで安定に存在しているということもわかっ ております。以上です。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。ご質問、ご意見がありましたらお願いします。それ では、分科会としてはこれを了承したいと思いますが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○寺田分科会長  それでは、大豆A2704−12及びA5547−127系統については、了承いたします。  次に、2のとうもろこし(B.t.Cry1F害虫抵抗性、グルホシネート耐性トウ モロコシ1507系統)の審査に入ります。事務局より説明をお願いいたします。 ○高谷監視安全課長  それでは、トウモロコシの1507系統についての説明をいたします。B.t.Cry1 F害虫抵抗性、グルホシネート耐性トウモロコシ1507系統についてですが、参考資料2 −2をご覧いただきたいと思います。トウモロコシの1507系統は、ダウ・ケミカル日本 株式会社より申請があったもので、このとうもろこしにBt遺伝子及びホスフィノトリ シン・アセチルトランスフェラーゼ遺伝子を組み込んだものです。今回のBt遺伝子の Cry1Fについては、今回初めて出てくるものです。これにより、Cry1F蛋白質 及びPAT蛋白質が発現しておりまして、当該組換えとうもろこしは、害虫であります タマナガヤ及びヨトウ類等の特定の鱗翅目の昆虫に侵食されることなく、生育できる。 また、除草剤であるグルホシネートの影響も受けずに育つことができるというもので す。  発現ベクター、選択マーカーは、参考資料2−2に示してあるとおりで、発現ベクタ ーの選抜のために、nptII遺伝子が用られていますが、実際にとうもろこしに導入さ れる際には除かれるので、遺伝子組換えとうもろこしでは発現しておりません。この組 換え方法も、パーティクルガン法によって、Cry1F遺伝子及びpat遺伝子を導入 しております。  発現量等については、可食部分に発現する遺伝子産物と発現量は、参考資料2−2の いちばん下に書いてあります。組換え体の安全性については、参考資料2−2の2頁に 書いてあります。新たに発現したCry1F蛋白質については、胃液、腸液で、それぞ れ免疫反応性が消失することになっておりますし、加熱でもほぼ免疫反応性は消失する ことになっております。ということで、安全性には特段問題がないという結論をいただ いております。  諸外国の認可状況は、そこに書いてありますように、アメリカで既に安全性評価が終 了している状況です。以上です。 ○寺田分科会長  食品衛生部バイオテクノロジー部会長であります首藤委員から、何か補足説明はあり ますか。 ○首藤委員  特にございません。これは確かきれいに入っていた組換えです。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。本件について何かご質問、ご意見がございましたら お願いします。それでは、分科会としてこの件に関しましては了承したいと思います が、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○寺田分科会長  それでは、2のとうもろこしB.t.Cry1F害虫抵抗性、グルホシネート耐性ト ウモロコシ1507系統については、これで了承いたします。  次に、3のワタ(鱗翅目害虫抵抗性ワタ15985系統)の審査に入ります。事務局より 説明をお願いいたします。 ○高谷監視安全課長  それでは、ワタの説明に入ります。ワタの15985系統、鱗翅目害虫抵抗性ですが、こ れは日本モンサント株式会社より申請があったもので、これは商業ワタ品種のDP50B に、Bt(Cry2Ab)遺伝子と、uidA遺伝子を組み込んだものです。宿主のと ころを見ていただきますと、DP50Bというのは既に安全性審査の手続を経た、イン ガード・ワタの531系統と、在来品種の後代交配種で、これにuidA遺伝子なり、 BtのCry2Ab遺伝子を組み込んだものです。 もともとインガード・ワタの531 系統には、Cry1Ac蛋白と、NPTII蛋白質が発現しておりますが、さらに15985 では、Cry2Ab蛋白質とGAS蛋白質が発現しております。オオタバコガに加え て、ヨトウ虫等の特定の鱗翅目昆虫に侵食されることなく生育できるというものです。  この発現ベクター、選択マーカーは、この概要に示してあるとおりですが、パーティ クルガン法によって遺伝子組換えを行っております。ワタ毛の中にCry2Ab遺伝子 とuidAの遺伝子を導入しております。Cry2Ab蛋白質の発現量は、種子中の生 組織重量で、1gあたり平均43.2μgで、GAS蛋白質は平均58μgとなっております。  従来のインガード・ワタの531系統は、オオタバコガに効くものですが、これにヨト ウ虫等のほかの鱗翅目の抵抗性を付け加えたということです。この組換えのワタについ ては、従来のインガード・ワタの531系統は、オオタバコガに抵抗性がありましたが、 その抵抗性がもう少し強くなるという特質を持ったものです。  安全性についてのことですが、2頁に書いてありますが、特段人工胃液、腸液で、そ れぞれ免疫反応性が失われていることが確認されておりまして、問題はないという結論 をいただいたところです。諸外国での認可状況ですが、アメリカでは2000年の6月に、 食品及び飼料についての申請がなされておりまして、現在は最終の手続中だと聞いてお ります。以上です。 ○寺田分科会長  首藤部会長、何か補足説明はありますか。 ○首藤委員  この品種の特徴は、既に組換えで承認されております、インガード・ワタの531系統 と、その基である組換えでない親との掛け合わせでできた、商業品種であるDP50Bと いう品種を親にしているというのが特徴です。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。何かご意見、ご質問はございますか。諸外国での認 可状況のところですが、米国及びオーストラリアではまだ申請中ですか。 ○高谷監視安全課長  現在は既に最終的なレビューは終わっておりまして、提起中と聞いております。個別 にモンサントからの聞き取りによれば、今月中にもFDAから認可が降りると聞いてお りますが、まだその確認はしておりません。 ○小林委員  いまの課長さんのお話だと、これは日本が最初に認可をするということですか。 ○高谷監視安全課長  いまのところ、アメリカが早いか日本が早いかだと思いますが、アメリカでも既に安 全性の審査の手続は終了していると聞いております。 ○小林委員  参考資料にはそこまでは書いてありませんね。 ○高谷監視安全課長  書いてありません。 ○小林委員  これは日本で開発された商品ではなくて、日本に出てきて日本が最初に認可するとい うのは、という気がしないでもありません。非化学的なもので申し訳ありませんが、そ んな感じがします。反論があったら言ってください。 ○高谷監視安全課長  私どもは安全性審査については、外国が認可していても、それが日本にとって問題で あるとなれば、それは認可すべきではないと思っています。その反対に、外国で認可を しない、物が入ってくるかどうかということもありますが、そのこと自体化学的に見 て、専門家のご意見を聞いて問題がないということであれば、申請があった社に対して いいか悪いかという判断をしなければいけないと思っております。そういう意味では、 アメリカではまだ正式な認可はおりていなくても、日本としては、基本的に専門家のご 議論の中で問題がないという判断をした場合には認可をするということでもいいのでは ないかと思っております。 ○吉倉委員  資料の裏を見ると、「食品及び飼料として」となっていますが、これは日本ではどち らですか。食品だけですか。飼料にも使うのですか。 ○高谷監視安全課長  私どもがいまここで審査をしているのは、食品としてどうかという議論で、餌として どうかという権限は有していません。また、餌としてワタが使われるかどうかというこ とについては、議論されるのではないかと思います。多分、ワタそのものを餌というよ り、ワタの実を餌とするときに、人に対する毒性もさることながら、家畜にどのような 毒性が生じるかということは私もわかりませんが、多分人間がワタの実をそのまま食べ るとゴシポールがあって、多分食品にできないだろうと思います。家畜にゴシポールが どうかと言われると、ちょっと私もわかりかねます。 ○吉倉委員  確認ですが、これは油だけと考えてよろしいですか。そういうふうに理解してもいい と思いましたが。 ○高谷監視安全課長  これともう1つは、油しか用途がないといえばナタネがあります。私どもは、ナタネ もワタもそのものを食べるということではなくて、絞った油を食べるという前提で、審 査をお願いしているところです。 ○寺田分科会長  ほかにございますか。1つお伺いしますが、いろいろな組換えの食品の植物をクロス して新しくつくるという場合に、審査の仕方としては、やはり出来上がったもの全体で もう1回審査をし直すということですね。例えば最初のAというのは、組換え遺伝子を 入れて発現をして、その安全性はアプルーブされた。片方はBが入っているとします。 それを組み合わせたときのABが発現しているというのは、もう1回ABが入ったもの に関しての審査をし直すということになるのですか。 ○高谷監視安全課長  いまの説は2つあると思います。Aという遺伝子を組み込んで、Aという蛋白質を発 現させて特徴を持たせる。もう1つは、Bという遺伝子を組み込んで、Bという蛋白質 を発現させると。それがそれぞれ、AはAの組み込んだものを、厚生労働省に申請が上 がってきてどうか、安全性の審査をする。Bも上がってきて審査をする。両方認可され たときに、AとBを野外で掛け合わせるという話と、AにBを組み込んだ場合と2つあ ると思います。後段のAを組み込んだものにBという遺伝子を再度組み込んだ場合に は、申請をしていただき、安全性審査をしていただくということになると思います。  野外でAという獲得した遺伝子を組み込んだ性質のものと、Bというものがあった と。これは品種改良でそれを掛け合わせて物を組み込むという行為ではなくて、掛け合 わせて品種改良を行うということであれば、それについてはそれぞれに認可されたもの が農場で品種改良されるということですので、それまでは対象にしていないということ です。 ○首藤委員  いまの点ですが、基を主にしたものと新しく入れた遺伝子が相互作用することはあり 得るわけです。そういう意味において、AとBの関係のチェックはするわけですが、こ の場合にはインガード・ワタ531系統に挿入されている、もともとのBtCryA1と NPTIIと、新しく導入した遺伝子がありますが、これを戻し交配(BtCryA1) するともとに分かれますので、その2つの間にインクラクションがないという結論が出 ています。 ○寺田分科会長  人工的に入れたものが2つあって、これを古典的な方法で交配していくことに関して は、対象にならないということになるわけですね。 ○高仲委員  組み換え体の安全性について、2頁の上から2行目の記述ですが、Cry2Ab蛋白 を人工腸液でした場合に、16時間から24時間後に免疫反応性が失われるという記述があ りますが、これはどういうものでしょうか。科学的には中性あるいは弱アルカリ性で安 定だということはわかるのですが、16時間から24時間人工腸液でやるというのは、実際 の体内の存在形態だと、少し長すぎるように思います。 ○高谷監視安全課長  胃液で15秒後に免疫反応性が完全に消失する。腸液では16から24時間。たしかに先生 がおっしゃるように、こんなに長い時間いるのかというお話があると思います。私ども はそれぞれのものについて、人工胃液、人工腸液を使ってのデータを出せと言っていま すから、ここへ出てきたということです。これがあるから人工腸液、腸にいったら大丈 夫ということではなくて、このようなデータが出ているということです。また、少なく ともそれぞれ加熱等によっても免疫反応性が失われることもあります。人工腸液の16か ら24時間の結果で、免疫反応性が失われるから絶対安全ということではなくて、総合的 に見て安全だという確認をしていただいたという理解でございます。 ○高仲委員  いまのお話で、加熱の問題が数行下にあります。121度25分、これは蛋白としては非 常に過酷な条件に耐えるというふうに取れるのですが、いかがでしょうか。 ○吉倉委員  この問題は前にも出ておりますが、これは何度で何パーセント消失したからいいとか 悪いという、きちんとした基準はできていないと考えています。ただ、情報としてきち んと我々は知っておく必要があるだろうと思います。 ○寺田分科会長  ここのところは多分基準のようなものがあるのでしょうけれど、次のときに何かの機 会にでも、例えば普通に僕らが食べている蛋白、アルブミンでもいいですが、アルブミ ンがコントロールした条件下でどうなるのかとか、そういうことがあれば割合理解はで きるので。多分そういうことをやっていると思います。参考としてまた教えていただけ ればいいのではないかと思います。 ○三木専門官  1点補足させていただきます。先ほどのワタのところで、121度25分加熱するという のは、基本的にワタ、ナタネ、大豆もそうですが、最終的には食品になるという過程 で、ワタの場合は綿実油になるという食品加工の条件をある程度参考にして決めており ます。ワタの場合は、油になるときは通常120度前後で加熱することが加工の過程の中 で入りますので、この条件で蛋白質がどうなるかというのを見ています。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。ほかにご意見はございませんか。 ○和田委員  いまのお話を伺いながら、確かに見落としていましたが、人工胃液のほうでも、大豆 ととうもろこしとワタと比べてみますと、15秒、5秒、120分という差がありますが、 素人考えで、こういう時間の差というのはどう考えたらいいのか。先生がおっしゃいま したように、次回にでももう少し詳しくわかるようにしていただきたいと思います。人 工胃液、人工腸液でやったところが問題なかったということが、いつも安全性の1つの ファクタに出てくるものですから、ちょっと拝見していまして、その辺のところをもっ と詳しく教えていただきたいと思います。 ○寺田分科会長  では、次回それをよろしくお願いいたします。ほかにはございますか。それでは、ワ タに関する安全性の審査について、これで了承してよろしいでしょうか。 ○小林委員  私は了承しないほうだから。多数決なのかもわからないですが。 ○寺田分科会長  了承しないというのは、諸外国のことでですか。 ○小林委員  諸外国で、現にアメリカもまだこの5種もはっきりしていないという状況では、慌て て承認する必要はないのではないかということです。 ○寺田分科会長  いまのご意見に関しまして、最初30分ほどと言いましたが、大変大事な問題をやって おりますから、時間のことは関係なしに、何かご意見はございますか。 ○井上委員  この遺伝子組換えの食品の審査基準で、これまで審査してきた内容から見まして、今 回の対象の材に関して、特に新しい概念が導入されたことはないだろうというふうに考 えるわけですが、そういう意味からいたしますと、諸外国云々といったことに関係な く、従来の基準に沿った形で審査することにどのような問題があるのかという点を明ら かにすべき点ではないかと考えております。 ○首藤委員  小林先生の考え方の形で、外国で承認されたのは、こちらは嫌でも承認しなければい けないというふうな、逆の状況も起こり得るわけで、我々がいいと思ったことは、いい と判断していいのではないかと思います。  それから、井上委員の意見ですが、これは油ですので、そういう意味からも基本的な 問題が少ないと考えております。そういう状況においても、アメリカが承認するまで承 認してはまずいというのは、先生自らおっしゃったように科学的ではないし、もうちょ っと科学的な判断というのがあってもいいのではないかと思います。 ○小林委員  これがアメリカで申請されたのが2000年の6月で、もう2年経っていますね。2年 経ってまだ承認されていないということは、我々の知っている情報以外のことが何かあ るのではないかと思わせるのではないかと。だから、なぜそんなに急ぐのですかと申し 上げているわけです。だから、多数決であるならばかまわないですが、私は個人意見を 申し上げただけです。 ○寺田分科会長  ここにある以外の情報があるのではないかということに関しては、わかりませんから ちょっと言えませんが、ほかの方はどういうご意見ですか。 ○吉倉委員  それでさっき質問したのです。「食品及び飼料」と書いてあるので、日本の状況と違 うのではないかと。 ○寺田分科会長  そこの情報はわかりますか。米国で長いことかかっているということは確かにありま すが、私もその点最初に質問しています。時間がかかっているなと思って質問したので す。それは、ここで言ったところで情報を持っていなかったらわからない。それはしょ うがないわけですが、いま吉倉委員が言われましたが、向こうでは飼料と食品で、日本 側は食品だけだということですか。いやそれは食品だけではなくて、日本のほうはこの 会のキャパシティーとして食品しかできないと、そういう意味でしょうか。 ○高谷監視安全課長  私どもに申請があったのは餌の申請ではありません。FBAは餌もやっています。F BAには食品と飼料としての審査があると。餌としての申請であれば、私どもではなく て農林水産省のほうになるという状況で、多分そこからも出ているのではないかなと思 いますが、ただ私どもはそこまで確認はできていません。食品としての問題として、専 門家の先生方にご意見を聞いてご審議をいただいて、結論をどうするかという話であり ます。 ○寺田分科会長  よろしいですか。 ○和田委員  いまアメリカのお話が出ていますが、オーストラリアとニュージーランドでは、安全 性評価の申請が提出されていて、まだ決定が出されていませんね。というのは、日本が いちばん最初ということですね。科学的でないという見方もできると思います。いまお 話を伺っていまして、アメリカの事情がわかるまで待ってもいいのではないかなと。そ こまで急ぐ必要はないのではないかなという気がいたしております。 ○寺田分科会長  いかがでしょうか。多数決で手を挙げるというのはやめにしたいと思います。日本の 中で開発されたものではなくて、アメリカが開発したもので、そのアメリカの本社が申 請したものがアメリカでまだ承認されていないのに、日本が先に承認するのは、何とな く抵抗を感じるのはよくわかります。 ○首藤委員  私はどちらに転んでもいいのですが、医薬品などでも日本で承認される前に外国で承 認されたり、外国で承認される前に自国でというのは、ごくごく普通のことで、当然リ スクは常にあります。 ○小林委員  いまのことに関連して言うと、逆に言うとこのワタは日本に実は有効であると。例え ばこの害虫は日本に非常に多くて、アメリカには少ない。しかし、これが日本に非常に 多いから日本で早く承認するというような背景があるとか。例えば病気の薬だって、例 えばアメリカにこういう難病の患者がたくさんおって、日本よりもはるかに多いんだか ら、アメリカは早く承認したいという背景があるなら、私はわかります。だから、そう いう背景があるなら、そういう背景をご説明いただければ、それはまた別の行為だと私 は思います。いまの段階で、この害虫は日本のほうが少ないのではないかなと。その辺 もよくわかりませんが、どうなのですか。 ○高谷監視安全課長  もともとこのワタを栽培するのはアメリカで栽培するわけ、日本で栽培するわけでは ないので。日本にとってどうかという話になりますと、日本でこのワタを栽培すると、 それなりの認可を得なければいけないのでしょうけれども、それはないから、特段小林 先生のおっしゃるような話ではないと。 ○小林委員  わかりました。 ○井上委員  このバイオテクノロジー部会の委員として、最後に私の意見を申し上げます。危惧す る論拠として、外国で承認されていないというような論拠でリスクの問題を考えていた ら、リスク評価はできないと思います。私はこの分科会がどのように結論をお出しにな っても結構だと思いますが、少なくともその理由でここで保留にすることについては、 バイオテクノロジー部会の一委員として反対です。 ○寺田分科会長  よくわかります。例えば「16時間から24時間の人工腸液では」ということに関して、 どういうふうな解釈をこの委員会ではされたわけですか。  実は、こういうことが書いてあるということでポイントアウトしましたが、その議論 の途中である委員から、人工腸液で16時間から24時間は長いのではないかと。そういう 質問が出たときに、それに対する的確な答えはなかったので、これはもう少し議論した ほうがいいのではないかという感じを持ったわけです。要するに、こういうところに出 ているデータで、部会でちゃんと答えを出していただかないと、信用しろと言われても 困ります。 ○吉倉委員  この消化の時間をどう考えるかというのは非常にコントルバーシャルで、結局はこれ を安全基準にそのものとして入れるのがいいかどうかということに関して、どこも一致 していないと思います。簡単にダイジェストされるものでもアレルゲンいくらでもあり ますし、そういうことでいえばこれは単なるデータだと考えたほうがいい。それから人 工胃液や人工腸液の場合に厚生省はこういう書き方をしておられるけれども、必ずしも こういうのが、国際的に消化を真似していること自体が意味があるかどうかという、そ れそのものが問われていると思います。だから、場合によってはペプシン消化だけであ るマーカーにする。これについて、これ自体で安全かどうかという議論をやると非常に サイエンスから外れていくと思います。 ○寺田分科会長  よくわかりますが、ここを文章として出して、ただデータとして出したということだ ろうと私も全く同じ意見です。人工腸液で16時間か24時間するということは、どういう 意味があるのかがよくわからないし、人間の体の中には日本人は無酸症が多いけれど も、大体胃酸に曝露されて、そのあと腸へ行くわけです。しかし一方、いま言われたよ うに小さなペプタイになってもアレルギーの原因になることもあり得ますし、そうしま すとこういうデータを出すこと自体、意味がないということになるのです。ここへ出し ているデータが意味がなくて、ただ出してあるだけだったら出す必要はないと思いま す。 ○首藤委員  同じ質問は、ほかの例えば遺伝子産物の発現量が何μg/gとか、これも何μg/gが出 たからいいとか悪いとかという話ではないのです。けれども、現在部会でも問題になる のですが、これは意味があるのかないのか。けれども、基準の上でそういうふうにかけ てくる、データとしてリクアイヤメントで、それの評価の基準ができていないというの はいつも感じているところです。だから先生がおっしゃるように、意味がないといえば 意味がないかもしれません。1つの何らかの目安にはなるような気がするのですが、そ ういう基準上の問題がはらんでくる。 ○井上委員  補足なのですが、この人工腸液での消化試験は分解胃酸物の中で、毒性を持っている ものが発生することがあることがわかっていますので、その点が1つのガイドラインに なっていたように記憶しています。私がこの材についての発言をちょっと差し控えてい たのは、この日の会議に私は出席していませんでした。 ○寺田分科会長  このことも含めて、特別外から入れた遺伝子組換えの遺伝子による発現の蛋白質がい くらぐらいあるかとここで計算すると、蛋白質が120mgのうちの100μg。そうすると 1,000分の1くらいです。そういうことは大体と知っておく必要があるし、外から入れ た遺伝子だから最初のうちはどのくらい発現量があるかということは、知っておく必要 はあるというのはわかります。あとの免疫に関していつも思っていたのですが、これは いい機会だから次のときに、これはどういう根拠でこういうことをやっているのかを知 らせていただければと思います。要するに人工胃液、腸液でどうだったからどうなのだ というのを、ただ単に記載してあるだけなのか、こうなった場合にはまずいのですよと いうことがあるのかどうかをわかれば教えていただきたい、そういうシンプルな話で す。私は、外国だからどうのこうのはあまり言いません。 ○吉倉委員  いまの件はFAO/WHOのレポートがありますから、それを出されるといちばん簡 単でしょうね。それを読めば非常によくわかる。それと、これは油ということをちょっ と考えていただいたほうがいい。使うのは。 ○寺田分科会長  よくわかります。あとの人工胃液とか腸液というのは油と関係ないのですか。 ○吉倉委員  蛋白が入らないから。 ○寺田分科会長  だから、ここで書くのはあまり意味がないという意味で言っているわけです。 ○吉倉委員  それは基準だからという意味で、基準だから仕様がなく書くということでしょう。 ○寺田分科会長  そこのところを、組換えDNAの国際的な取り決めがあるのですか。知らなかった。 ○井上委員  パリで行われた会議に基づいて、それぞれの国が経験に基づいたいろいろなあれを 作っている。その中に総合的な、これとこれは調べておいたほうがいいと。それは例え ばアレルゲン性がある場合のシークエンスからの可能性だとか、そういったものを見る のにアレルゲンが関係すればそこのデータが役立つし、今回のように蛋白が混入してく る可能性がなければ、そのデータはもちろんリクアイヤメントとして書いておくわけで すが、この材については必要ないということはご指摘のとおりだと思います。 ○寺田分科会長  そのとおりで、アレルゲンのシークエンスの話とかそういうものを勉強して知ってい ますが、油になるものに関して人工どうのこうのと書いて、それを根拠にして安全だと か何とかはちょっとおかしいなと。 ○首藤委員  根拠にしていないです。 ○寺田分科会長  では、書く必要はないではないですか。 ○首藤委員  そう言われてみると書く必要がない。ただ、私は何回も。 ○寺田分科会長  こういうところに、何かレポートとして大きな文章の中に入れるのはかまわないと思 うのですが、概要として非常に重要なエッセンスがここに書いてあるわけでしょ。そこ へ入れる必要はないのではないかという意見です。些細なことで横へいきましたが、次 のときに些細というよりも、いまの基準のWHOか何かはわかりませんが、そこの基準 がどうなっているかをちょっと教えていただければありがたいと思います。 ○高谷監視安全課長  まことに申し訳ありません。参考資料の2−1から2−5までは、事務局がわかりや すいようにとまとめたものがありまして、その報告書の本文中に書いてありますが、取 り出したのは事務局ですので、その点は今後書かせていただきます。 ○寺田分科会長  それで、1つのご意見は米国でもまだ申請中だから延ばしたらいいのではないかとい うのと、ちゃんと日本としてきちっとこの部会で科学的に審査したのであるから、それ の論拠に基づいてこの分科会で判断をしていただきたい。もちろん部会としては、これ を了承していいという判断で出されているわけですが、ご意見はありますか。 ○小川委員  専門の部会で検討されて出た結論を外国でまだ結論が出ないから駄目だということで は何かちょっと納得できないのではないですか。科学的に駄目だという根拠が示せない でそれを否定するということになれば、これからの分科会の運営上非常に問題が出るの ではないかということを危惧いたします。 ○寺田分科会長  いかがでしょうか。 ○小沢委員  関連してですが、非常に一般論としてなのですが、消費者がGMOに対して不安を感 じている部分で、こういったものを食べたときにどうなるのかということで普通の感覚 でいえば不安を持ちます。そのときに、いままでそういうものはないのだという論拠の ときに、胃液の中で分解されるから大丈夫なのよということが、かなり大きく言われて きたと理解しているので、いまこの場で人工胃液や人工腸液の意味をそうおっしゃられ ると、非常に頭の中が混乱しているのです。その辺の交通整理を是非もう一度、消費者 にわかりやすくお願いしたいなと思います。 ○寺田分科会長  それは、またお願いするということで結構だと思います。 ○和田委員  あとで議論するこれからの食品安全の確保のところにも関わってくると思うのです。 それで新しい組織になって、おそらく薬事・食品衛生審議会の組織のあり方なりメンバ ー構成なりも変わってくると思うのです。ただ、考えてみると私なんかは全くの素人で すから、この場というのは本当のリスク評価をする場では決してないと思って参加して いるのです。もしそうであれば私は、もう参加する資格はないと思うのです。科学的で あるということは、ある意味で必要だろうとは思いますが、いままで私がこの場でずい ぶん場違いな発言をしたと思いながら、「ほかで発言する場がありませんから」と申し 上げて発言したのは、例えば必要性であるとか有用性であるとか、そういうことを全部 まとめて議論する場がないので、あえてそういう場ではないのかなと思いながら出して きたのです。しかし、あくまでももしリスク評価をする場であるならば、それは私など が参加して意見を言う意味は全くないと感じています。組織換えや何かはこれからです から、あえてそこまで踏み込みませんが、やはりいま小沢委員が言われたように人工胃 液なり腸液で分解するから安全性についての問題がないのだと、それだけではありませ んが、非常に大きな意味のある言葉として私どもは言われてきて、人工の胃液なり人工 腸液なりで本当にいいのかなということも言っていましたので、そこのところが1つの 参考であってあまり意味がないのだよと言われますと、本当に混乱するというか、いま まで考えていたことはどうなってしまったのかなという気がします。そういう意味で私 はそこのところの説明がきちんと出るまで、ある意味でまさにコミュニケーションの悪 さというものだろうと思いますが、そこがある程度一般の消費者に十分に説明がいくよ うになるまで急ぐということは、ちょっと疑問が残っています。以上です。 ○寺田分科会長  いま和田委員が言われたのは、リスクアセスメントをする場ではないと。私はそうで はないと思うのです。いろいろな立場の方がいらっしゃると思いますが、大きなところ はリスクコミュニケーションですね。コミュニケーションのところで消費者団体の方が 出てくださって、一般の国民の意見をいろいろとおっしゃってくださると、それを通じ て国民とコミュニケーションができる。それから、どうしても専門馬鹿になるようなと ころを正していただく。部会ではやはりアセスメントしたものを上へ上げていくし、そ のときにはコミュニケーションのことも比重からいくと、どちらかというとアセスメン トが重いと思いますが、ここは両方やるようなところで和田委員、私がいる資格がない などと言わないで。本当にそうだと思います。  もう1つは、いまの人工腸液や人工胃液というのは私の理解では、人工胃液でなくな るからというのは正しいと思うのです。蛋白質がペープタイドに分解されて、例えばア ミノ酸になるとかペープタイドで止まっているとか、免疫性がなくなるという論理は、 これが安全だという1つの根拠になると思う。これがただデスクレッションしているだ けだというのは、ちょっと問題があるかなと。ちゃんと読んでいないのであれなのです が、吉倉委員が言われたWHOでの基準にこれが入っているのかどうか。基準をやる場 合には、どういう理由付けでこの基準にしてあるのかということが不勉強でわかりませ んので、それは次回にでもこの会でまとめておっしゃってくださればありがたいと思い ます。 ○吉倉委員  ひょっとすると私の言ったことを誤解されたかもしれないのですが、ケース・バイ・ ケースで役に立つ場合もあります。ゼネラルにこれをゴールデンスターダンドにするの は問題であるという具合に考えられたらいいと思います。 ○寺田分科会長  どういうふうに誤解しているといわれるのですか。 ○吉倉委員  この消化をするかしないかということが、すべての場合についてクライテリヤとして 役に立つとは限らない。そういうことであるから、一応いろいろなリストがあって全部 データを出すことになっていると思います。 ○寺田分科会長  おっしゃるとおり、それはすべてのクライテリヤになるとは誤解はしていませんが、 いろいろな基準がどういう根拠で出てきて、本当にそういうのがWHOの基準でどうい う項目があるのかがありましたら私は不勉強で知りませんので、次のときに教えても らったらありがたいということです。 ○小川委員  先ほど科学的に毒性を検討する部会があって、そこで検討されてここへ出てきた案で すから、ここで駄目だという科学的な根拠がない限り認めざるを得ないのではないかと 申しましたが、ここにおられる委員の方々が、理解ができない状況のまま認めるという ことにも問題はあると思います。そういう意味では、ここがこうだから駄目だというこ とがなくても、いま示されているこのデータでは理解ができないということであれば、 延長して審議しなおすということはあってもいいのではないかと思います。 ○熊谷委員  この分科会に私も出席していませんで、どういうふうに判断されたかの具体的な部分 はわからないのですが、おそらく人工腸液では長く生き残る。しかし加熱では速やかに なくなる。新たに危ない生産物はできていない。それだけではありませんが、そういっ た事々から結論が導き出されていると思うのです。結論のところがこの記載の仕方です と、いきなり結論になってしまっていますので、そこの中途がちょっとつかめにくい表 現にはなっているかなという気がします。ただ、おそらく判断はそういう流れできてい るのだろう。それから既知のアレルゲンと相同性がないとか、発現している蛋白につい ては毒性試験が過去に行われているとかいろいろとあって、それぞれについて基準値み たいなものを設定することができれば非常に話は簡単なのですが、そうではないので ケース・バイ・ケースで、個々の判断をせざるを得ないという事情であろうと思うわけ です。ですからリスクのみを考慮すれば、これはこの判断でよろしいのだろう。ただ、 それにプラスアルファーをここでするかどうかについては、ちょっとよくわからないで す。 ○寺田分科会長  長いことこれを議論していただきまして、時間の関係もあるのですが、こういうディ スカッションをしている間はリスクコミュニケーションの1つだと思いますので、 ちょっと時間を取らせていただいたのです。諸外国での認可状況はこういう状況である から、どうのこうのというのは言われるとおり、この委員会や特に部会で時間を費やし て検討された方に対して意味がないという話になりますが、それは受け入れられないと 思います。ただ、これをポイントアウトしたのは、万が一何かそれの理由や何かがわか っていたら教えてほしいなと思って、いちばん最初に質問したので、特別それに関して の情報も別段ないと、そうしますと、いま持っているデータだけで、しかもこれを油に して使うことから考慮いたしますと、私自身はこれで了承していいとは思うのです。こ れは手を挙げて多数決とかということではなくて、その条件の基になっていますのは先 ほど言いました委員長の不勉強ですが、WHOでの基準という人工腸液、人工胃液に関 しての基になっているのを次回のときにでも教えていただくということにしたいと思い ます。それは別個にしまして、この審査の結果を良とするかどうか。できたら多数決と いうのはあれなのですが、ずっと見ていまして反対と言われる方は最初は小林委員、和 田委員も少しクエスチョンマーク、小沢委員もクエスチョンマーク。小沢委員の場合 は、いままでの基準が特に人工胃液でほとんどそれが分解されるから、大丈夫だという 根拠が危なくなったのではちょっと、これ自身も考えなければいけない。要するにここ の分解の解釈、安全性に書いてあることが、どういう根拠の基でこれが書いてあるかは 知りたい。人工胃液の中で小さく分解されてしまうから、普通のアミノ酸と普通の食べ 物の中と同じであると考えて大丈夫だという、消費者の皆さんにそういう論拠で1つの 安全の根拠にしていました。それで正しいと思います。しかし、WHOでどうのこうの と言われますと、そのクライテリヤがちゃんと文章で書いてあるのでしょうから、私の 考えとは違うところがあるのかもわからないので、念のために次のときに教えていただ きたいと。 ○吉倉委員  クライテリヤはありません。 ○寺田分科会長  私もないと思うのです。和田委員は、部会でのこのワタの安全性審査の結果を了承 し、了承ということで如何ですか。 ○和田委員  もう少し時間をかけるべきだと思います。 ○寺田分科会長  小沢委員はどうですか。 ○小沢委員  認可までの時間の猶予について私は言う必要は全然ありませんので、いくつか疑問に された点について次回にでも明らかにしていただけたほうが、今後のためにはなるかと 思います。 ○寺田分科会長  これは時間を待ってやる。小林委員、これ以上のデータでどういうことを要求されま すか。 ○小林委員  少なくとも、アメリカと豪州、ニュージーランドの進捗状況。どういう理由で揉めて いるのか、どうして遅れているのか、それは通常のペースなのかをはっきりさせていた だきたいと思います。 ○寺田分科会長  そうしますとこの件に関しては、事務局はこの会では部会の報告は了承しない。それ は条件付きで、もう1つはやはりいま言われた条件ではない一般的な話なのですが、腸 液の話や胃液の話がたまたまこのディスカッションに出てきましたので、それも併せて 次回にお話をしていただくということではいかがですか。 ○高谷監視安全課長  私どもは安全性審査に必要なデータで、こういうのを出せというなら持っていますの でそれはお見せして、それを作ったには根拠があるでしょうからそれはお話はさせてい ただきます。ここはこの分科会でお決めいただければ結構だと思いますので、外国の進 捗状況がいかなる理由で遅れているのかいないのか、通常ベースなのか、何か問題があ るかないのかというのは、そこも判断基準の1つになるということであれば、それの情 報収集は事務的には行わさせていただきます。 ○寺田分科会長  これは皆さんのご意見で、1つのポイントは外国で承認されていない場合に、外国の 遅れている理由をはっきりさせるまでは認可できないという態度を取るのか、ある程度 調べてもらって特別な理由はないということであれば、それ以上はどうしようもないで すね。延びている理由は、特別なことは聞いておられないわけですね。 ○高谷監視安全課長  特別理由があって延びているというか、まだ認可されていないと聞いていませんの で、情報としては申請会社のほうからは間もなく認可される予定と聞いていますが、そ れの確認はまだ取れていません。 ○小林委員  私がお伺いしてほしいのは、申請者の意見ではなくてアメリカ政府、ニュージーラン ド政府の見解をお聞きしてほしいということです。 ○高谷監視安全課長  それは分科会長から言われましたとおり、私ども事務局として情報収集は行います。 ○寺田分科会長  委員の先生方はいろいろとご意見はあるでしょうが、この委員会としては部会で判断 することが本当は正しいと思うのです、出てきたデータやいろいろと検討なさったこと は。しかし、FDAやそういう所での認可まだされていないことに関して、この委員会 の委員の1人から、もう少し情報収集をすべきであるという意見が出た場合に、この委 員会としてどういう判断をするかという問題提起がありました。 ○黒川委員  先ほど寺田先生から、諸外国で承認されていない場合はこちらのシナリオに持ってい くのはやめたほうがいい。日本独自の委員会を持っていますし、サイエンスで判断す る。この場合は何かあるらしいというので、私も農薬などの経験から、これだけご意見 があるので一応もう一度確認して、何もなければ首藤委員会でお決めになったとおりで 私はいいと思います。 ○小林委員  私も、日本が最初になっていけないということを言っているわけではないですから、 そこだけは間違えないでください。 ○寺田分科会長  それでは、この分科会としましては、もう一度情報を収集していただいて出していた だくということにしたいと思います。それでよろしいですか。もう1つは、その際には これとは直接関係ありませんが、先ほど話題になりました胃液や人工の腸液の問題に関 しての話も教えていただければと思います。  次はグルコアミラーゼ(AMG-E)に関する安全性審査です。 ○高谷監視安全課長  4つ目の組換えのものですが、添加物でグルコアミラーゼ(AMG-E)です。AMG-Eは、 澱粉等を加水分解をして低分子化する加水分解構造です。グルコアミラーゼ及びアル ファアミラーゼの生産性向上を目的としまして、黒麹菌により単離したグルコアミラー ゼ遺伝子及びアルファアミラーゼ遺伝子をAspergillus nigerに導入して、生産菌が増 えたものです。発現ベクターや選択マーカーについては、ここの概要に示してあるとお りで、この問題についても特段、生産物の安全性については問題がないと部会のほうで 判断をされています。諸外国の状況としてはここに書いてありますように、デンマー ク、フランス、オーストラリアでそれぞれ認可をされているものです。簡単ですが、こ の添加物については以上です。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。どなたかご意見はありますか。 ○首藤委員  導入されている遺伝子が、グルコアミラーゼ遺伝子とアルファアミラーゼ遺伝子で す。それから選択に使うウリジン要求性のpyrGとura3遺伝子が入っています。 このあとの2つの遺伝子は体内に入っていますので、外に出てこないという遺伝子で、 実は出てきていません。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。この件に関して何かご意見はありますか。よろしい ですか。それでは、これは分科会としてこれで了承したいと思いますが、いかがでしょ うか。                  (異議なし) ○寺田分科会長  それでは、グルコアミラーゼ(AMG-E)についてはこれで了承いたします。それでは、 この部会報告における決定事項を当部会として議決し、審議会長あてに報告することに したいと思いますがよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○寺田分科会長  それでは、この分科会報告書の様式として整理して、分科会の報告書といたします。  それでは、薬事・食品衛生審議会規定第3条の規定に基き、分科会の議決をもって審 議会の議決とし、厚生労働大臣あてに答申いたしたいと思います。答申書案はあります か。 ○三木専門官  あります。ただいまから配付をさせていただきますので、お手元に届きましたらご確 認をいただきたいと思います。こちらのほうで修正をした上で、読み上げをさせていた だきます。この答申書の中で、先ほどのワタの記述もしていますので、この部分は修正 をしまして読み上げをさせていただきます。  薬食審、平成14年6月11日としまして、内山会長から坂口厚生労働大臣あての答申書 です。平成12年7月4日付け厚生省発生第199号、平成13年4月26日付け厚生労働省発 食第103号及び、平成13年9月10日付け厚生労働省発食第222号による諮問に係る食品並 びに添加物の安全性審査について、下記のとおり答申する。                    記  1、平成12年7月4日付け厚生省発生衛第199号をもって諮問された大豆(A2704-12、 A5547-127)については審査基準に基づき、人の健康を損うおそれがあると認められな いと判断された。  2、平成13年4月26日付け厚生労働省発食第103号をもって諮問されたとうもろこし (トウモロコシ1507系統)については審査基準に基づき、人の健康を損うおそれがある と認められないと判断された。  3、平成13年9月10日付け厚生労働省発食第222号をもって諮問された、ここから削 除いたしましてグルコアミラーゼ(AMG-E)については審査基準に基づき、人の健康を 損うおそれがあると認められないと判断された。  別紙ということで、一覧表を付けさせていただいています。(1)食品のうち、4番 目のワタについては削除をさせていただきたいと思います。以上です。 ○寺田分科会長  この答申書案について、何かご意見はありますか。                  (異議なし) ○寺田分科会長  それでは了解していただいたものとしまして、この答申書(案)の「案」を取りまし て、厚生労働大臣あてに答申させていただきます。  なお、この件について今後のスケジュールは、どうなっていますか。 ○高谷監視安全課長  直ちに告示改正の手続を行いたいと考えています。以上です。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。先ほどのワタについては誤解のないように、もう1 回この委員会としての立場で小林委員が言われましたように、外国で承認されていない からここでは承認しないとか、そんな話ではありませんということははっきりしておき たいと思いますし、部会で審査をきちっとされてその結果でもう少し情報があればとい うことで、情報を得てからもう1回審査をするということで、その点は誤解のないよう にご了解をお願いいたします。  最後の報告事項として部長の言われました4件があるそうで、まずは自民党における 「食品衛生規制に関する検討小委員会」による、「食品の安全に関する信頼確保のため の改革提言」について、事務局よりご報告をお願いいたします。 ○吉岡企画課長  残りの報告事項、参考資料3、4、5、6と、いま追加でお配りしました本日4回目 の閣僚会議のこれからの食品安全行政のあり方、いわゆる食品安全委員会についての関 係閣僚会議の資料を配っています。時間も押していますので、かいつまんでそれぞれご 説明いたします。  冒頭に部長からもご説明いたしましたが、参考資料3は食品衛生法の次の通常国会に 向けた改正を中心に、今後の食品の衛生規制のあり方について、非常に網羅的に答申あ るいは提言をいただいたものです。自民党の食品衛生規制に関する検討小委員会という のはこの3月に立ちまして、長勢甚遠委員長の下で役所とも作業として一塊的に行いま した結果、以下何頁かにわたりまして書いてありますように、通常国会を目指して食衛 法の抜本改正を行う。1の提言の視点にいくつか書いてありますように、例えば産業の 振興とは区分して衛生管理はすべきであるということや、昨今の添加物問題もあります ように違反者に対する措置は厳格に行うべきこと。2頁に総論的な部分がありまして、 この法律の位置付けのようなところにも言及をしていただいています。特に2頁の真ん 中あたりに目的規定の整備ということで、食品衛生法の目的を飲食に起因する衛生の危 害の防止だけではなくて、食品の安全性を確保することをもって、国民の健康の保護を 図ることを目的に入れるべきだというご意見があります。各論に当たる部分について は、農水省と跨る農薬の残留基準の問題や、昨年問題になっています既存添加物の安全 衛生評価の推進、こういうことについても従来どおり基準の追加だけではなくて、ある 時期にそれ以降原則禁止をするという強い措置も含めて、今回の食衛法の改正で入れて いく方針です。  少し飛びまして、これは新聞等で既に話題になっていますが、5頁のいちばん上で例 えば中国野菜のように同じ散布について繰り返し我が国の基準に違反する、そういう違 反の蓋然性の高い特定の国からの特定の食については、現在食衛法ではそういう枠組は ありませんがEUで置かれているような、包括的な輸入禁止の規定を置くということ で、ご提言をいただいています。その他都道府県におきます監視や広域の食中毒に対す る対応、最後にリスクコミュニケーションの体制の強化等について網羅的な提言をいた だいていまして、この実現に向けて通常国会への提案に向けて、これから作業を開始し ていきたい。本分科会においても作業の進捗に応じて、節目節目で検討状況については ご報告をさせていただきたいと考えています。  参考資料4は、さっき追加で配りました関係閣僚会議資料と併せてお読みいただきた いと思います。来年度から、新しい食品の行政組織が内閣府にできます。これはいわゆ るリスク分析の考え方に立ってリスク評価、科学的な観点から食品のハザードについて 評価をしていただく。ともすれば、これまで各省で実施しています食品衛生行政はリス ク評価の部分と、リスク管理の部分が非常に曖昧であった。したがいまして誰がどこま で、どういう観点で判断をした結果こうなった、特にBSEの肉骨粉の問題についてそ れが象徴的に現れたという反省から、来年度は新しい組織を作ります。リスク評価につ いての仮称ですが「食品安全委員会」という組織が内閣に立ちますが、例えば基準作り や具体的にはその基準の実施であるという部分については、厚生労働省あるいは農水省 が実施をする。ただ新しくできます食品安全委員会には、単にリスク評価をするだけで はなくて既存の各省に対する勧告権限を与える。すなわちこの安全委員会が行ったリス ク評価に基づいて、各省が適切にまた縦割りの弊害に陥ることなく、国民のためのリス ク管理を行うことについて勧告を行うという強い権限が付与される予定です。これにつ いても、この設立に伴います法律等については、次の通常国会を目指してこれから準備 作業が進められる予定です。以上が資料4の関係です。  資料5は目次にもありますように、先般6月4日に自由民主党、公明党、保守党、与 党の食の安全プロジェクトチームからいただいた提言です。食品安全に関する行政機構 の改革、先ほど触れました食品衛生法等関係法令の改正、表示制度の抜本的改善、消費 者の信用回復対策、危機管理体制の確立。Iの行政機構の改革については、ほぼ閣僚会 議での方向付けと揆を一にする改革ということで、政府と与党をあげて先ほど申し上げ ました方向で取り組む。IIの食衛法の改正のところは、先ほど申し上げました長勢小委 員長のレポートを全面的に折り込んだ形で、与党としてもこれを是とするということで 動き出しています。  参考資料の6は、先般のBSE委員会でも強くご指摘をいただきましたが、食品の表 示制度の問題について。いまはJAS法、食衛法、公正取引に関する表示ということ で、少なくとも3つの制度が並び立っていまして、消費者から見て例えば賞味期限と品 質保持期限は、いったい何が違うかとか、食品の表示制度全般について一元的に情報を 得る機関もないということで、その中で情報を一方的に独占をしている企業から、消費 者を欺罔するような犯罪が起こったわけです。この際に関係する制度を一元的に見直し た上で、消費者にとってわかりやすい、かつ食品に対する安全・安心に繋がるようなも のにしていこうということで、農水省と厚生省がBSE検討委員会と同じ方式ですが、 共同事務局となりまして先般第1回を6月7日に開きました。7月下旬を目途に数回開 きまして、今後の表示制度のあり方、一元的な見直しの検討を行うということです。本 分科会からも何人かの先生にお加わりいただいていますので、この方面でもよろしくご 提言をいただきたいと考えています。  ちょっと駆け足になりましたが、報告事項は以上です。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの報告で、何かご質問などは ありますか。  それでは時間がまいりましたので、本日の分科会はこれで終わりたいと思いますが、 何か事務局よりありますか。 ○今村補佐  特にありません。 ○寺田分科会長  長時間、しかも時間を大幅にオーバーしまして大変申し訳ないと思っていますが、お 許しください。  それでは、今回の本分科会はこれで終わらせていただきます。 照会先 医薬局食品保健部企画課     03−5253−1111(内線2452)