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管理運用方針

(平成13年4月1日制定)
(平成14年3月28日最終改正)

 年金資金運用基金(以下「基金」という。)は、年金資金運用基金法(平成12年法律第19号)第27条第1項(年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律(平成12年法律第20号。以下「年金福祉事業団業務承継法」という。)第27条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づき、次のとおり管理運用方針を定める。基金は、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)及び国民年金法(昭和34年法律第141号)の規定に基づいて厚生労働大臣が定める基本方針(以下「基本方針」という。)及び本管理運用方針に沿って管理運用業務を実施するものとする。

第1.年金資金の管理及び運用の目標等に関する事項

 基金は、基本方針で規定された運用目標を達成するため、厚生年金保険法及び国民年金法の規定に基づき厚生労働大臣から寄託された資金並びに年金福祉事業団業務承継法第6条に規定する承継資金運用勘定に係る資産(以下「年金資金」という。)の管理及び運用の目標について、次のとおり定める。

 1.管理及び運用の目標
 基金は、厚生労働大臣が定めた基金に係る政策的資産構成割合(4(1)の市場運用資金に係るものに限る。以下「基金ポートフォリオ」という。)で定める資産毎の5年間平均の年率時間加重収益率(運用手数料控除前のものとし、4(1)の市場運用資金に係るものに限る。)で、ベンチマーク(基金ポートフォリオのベンチマークは、別表に記載。)の収益率を確保することを目標とする。

 2.責任体制の明確化
 年金資金の運用に当たっては、責任体制の明確化を図り、受託者責任(年金資金運用基金法に規定する注意義務及び忠実義務の遵守)を徹底する。

 3.情報公開
 基金の行う年金資金の運用に関して、国民のより一層の理解と協力を得るよう、基金の行う管理及び運用の内容、各年度の管理及び運用実績の状況(運用資産全体の状況、運用資産毎の状況及び各運用機関の状況を含む。)等について、積極的な情報公開を行うものとする。

 4.その他

  (1)分別管理
 基金は、管理運用業務の実施に当たり、年金資金のうち、国民年金法等の一部を改正する法律(平成12年法律第18号)附則第37条第1項の規定に基づき引き受ける公債(以下「財投債」という。)のうち厚生労働大臣の指示により満期保有すべきものとされたものとそれ以外の資金(以下「市場運用資金」という。)を分別して管理するものとする。

  (2)合同運用
 年金福祉事業団業務承継法第6条に規定する承継資金運用勘定に係る資産は、厚生年金保険法及び国民年金法の規定に基づき厚生労働大臣から寄託された資金と合同して管理及び運用を行うものとする。

第2.年金資金の管理及び運用における資産の構成並びに管理及び運用の手法に関する事項

 1.資産の構成

  (1)基金ポートフォリオに基づく管理及び運用基金は、基金ポートフォリオに従い、年金資金の管理及び運用を行うものとする。

  (2)運用対象資産
 2(1)(1)アからウまでの方法により運用する場合の運用対象資産は、いわゆる伝統的な資産である国内債券、国内株式、外国債券、外国株式及び短期資産とし、2(1)(1)エの方法により運用する場合の運用対象資産は、国内債券及び短期資産に限るものとする。ただし、それぞれの資産を原資産とする派生商品(デリバティブ)及び債券の貸付け(有価証券信託の方法により運用するものを含む。)を含む。
 なお、既に運用受託機関(第3の1に規定する運用受託機関をいう。)において保有する新株予約権付社債(新株予約権の分離譲渡ができず、社債の発行価額と新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を同額とした上で、新株予約権を行使するときは、必ず社債が償還されて、社債の償還額が新株予約権の行使に際して払い込むべき金額の払込みに当てられるものに限る。以下同じ。)については、国内債券又は国内株式の代替資産として、その償還までの間、保有することができるものとする。

 2.管理及び運用の手法

  (1)市場運用資金
   (1)市場運用資金の運用は、次に掲げる方法により行うものとする。
ア.信託会社(信託業務を営む銀行を含む。以下同じ。)への単独運用指定信託
イ.信託会社への特定運用信託。ただし、投資顧問業者との投資一任契約により運用するものに限る。
ウ.生命保険の保険料の払込み
エ.自家運用
   (2)市場運用資金の基本的な運用方法
 市場運用資金はパッシブ運用を中心とし、パッシブ運用の割合を段階的に高めることとし、各運用対象資産の特性を踏まえ、パッシブ運用及びアクティブ運用の割合を定める。
 また、特化型運用により、運用機関を構成する。
   (3)市場運用資金の資産全体及び資産毎のリスク管理並びに資産構成割合の変更等
 市場運用資金の資産全体及び資産毎のリスク管理並びに資産構成割合の変更等は、以下のとおり行う。
ア.時価による資産構成割合の状況並びに資産全体及び資産毎のトラッキングエラー、デュレーション等のリスク管理指標の状況を毎月把握する。
イ.時価による資産構成割合が基本方針で規定された乖離許容幅((3)において「乖離許容幅」という。)を超えて乖離している場合には、その範囲内に収まるよう資産構成割合の変更等を行う。アの規定により把握したリスク管理指標の状況に問題がある場合も同様とする。
ウ.基金は、基本方針に規定する移行期において、基金ポートフォリオが変更され、変更後の基金ポートフォリオに移行する際には、変更後の基金ポートフォリオに向けて円滑な移行を図るため、移行する年度中における資産構成割合の管理目標値を設けるものとする。
エ.基金は、基金ポートフォリオの乖離許容幅の範囲内に、ウに規定する資産構成割合の管理目標値からの乖離の管理水準を別に設け、当該水準も踏まえ資産構成割合の変更等を行うものとする。
オ.基金は、イ及びエの規定により資産構成割合の変更等を行う場合には、(2)に規定する市場運用資金の基本的な運用方法との整合性に留意するものとする。
カ.基金は、イ及びエの規定により資産構成割合の変更等を行う場合には、市場の状況等を勘案することができるものとする。

  (2)財投債
 基金は、厚生労働大臣が指示する財投債の償還時期の構成((3)において「年限構成」という。)並びに満期保有とする財投債及び満期保有としない財投債の額及び種類に従い、財投債を引き受け、管理及び運用を行うものとする。満期保有とする財投債の評価に当たっては、原価法(引受価格と券面額との間に差がある場合にあっては、償却原価法)に基づき簿価による評価を行い、満期保有としない財投債については、時価による評価を行うものとする。ただし、満期保有とする財投債についても、年金資金の適正な管理に資するため、時価による評価も併せて行うこととする。

  (3)年金特別会計のキャッシュ・フローとの整合性
 短期資産の額及び債券の年限構成を設定するに当たっては、厚生保険特別会計年金勘定及び国民年金特別会計国民年金勘定の管理者(社会保険庁)との間で緊密な情報交換を行い、効率的な現金管理を行うものとする。

第3.運用受託機関の管理に関する事項

 1.基本的な事項
 基金は、運用受託機関(第2の2(1)(1)アからウまでの方法により運用する場合において市場運用資金の管理又は運用を行う信託会社、投資顧問業者又は生命保険会社のうち、第4の1に規定する資産管理機関以外のものをいう。以下同じ。)に対し毎月末の資金の管理及び運用状況(特定運用信託に係る投資顧問業者にあっては、運用状況。1及び2(4)(1)において同じ。)に関する報告を求め、又は随時必要な資料の提出を求めるとともに、管理及び運用状況について定期的に各運用受託機関とミーティングを行い、これらの報告等を基に各運用受託機関に対し必要な指示を行うものとする。

 2.運用ガイドライン
 基金は、第2の2(1)(1)アからウまでの方法により運用する場合には、各運用受託機関に対し、運用手法、運用目標数値、リスク管理指標、ベンチマークその他以下の事項に関する運用ガイドラインを提示し、その遵守状況を管理するとともに各運用受託機関に対し必要な指示を行うものとする。る。

  (1)各資産に関する事項
   (1)国内債券
ア.投資対象は円建ての債券とする。なお、アクティブ運用の場合は、債券の格付、クーポン、償還日等の発行条件、流動性等につき十分な調査、分析を行った上で、銘柄を選択すること。
イ.発行体、残存期間等については、運用手法に応じて適切な分散化を図ること。国債、地方債、特別の法律により法人の発行する債券(金融債を除く。)以外の債券(同一企業の発行する代替資産としての新株予約権付社債を含む。)であって同一の発行体が発行したものへの投資は、基金から受託して運用する国内債券ポートフォリオにおける時価総額の5%以下とし、これを上回る場合には基金に報告を行うこと。
ウ. 国債、地方債、特別の法律により法人の発行する債券(金融債を除く。)以外の債券を取得する場合には、信用のある格付機関のいずれかによりBBB格以上の格付を得ている銘柄とすること。
エ.ウの債券で、取得後にいずれの格付機関による格付もBBB格未満となった債券については、発行体の債務不履行リスク等に十分留意した上で、売却等の手段を講じること。
   (2)国内株式
ア.投資対象は国内の各証券取引所、店頭市場において公開された株式の銘柄とする。なお、アクティブ運用の場合は、投資対象企業の経営内容、当該銘柄の流動性等について十分な調査、分析を行った上で、銘柄を選択すること。
イ.業種、銘柄等については、運用手法に応じて適切な分散化を図ること。同一の銘柄(同一企業の発行する代替資産としての新株予約権付社債を含む。イにおいて同じ。)への投資は、基金から受託して運用する国内株式ポートフォリオにおける時価総額の5%以下とすること。ただし、ベンチマーク・インデックスにおける個別銘柄の時価による構成割合((4)において「時価ウェイト」という。)がこの制限を超える場合等、上記制限によりがたい合理的な理由があるときは、この限りではない。同一の銘柄への投資が5%を上回る場合には、基金に報告を行うこと。
 同一企業が発行する株式への投資は、運用受託機関毎に当該企業の発行済み株式総数の5%以下とすること。
   (3)外国債券
ア.投資対象は外貨建ての債券とする。なお、アクティブ運用の場合は、政治及び経済の安定性、決済システム並びに税制等の市場特性を十分調査した上で、投資対象国及び通貨を選定するとともに、債券の格付、クーポン及び償還日等の発行条件、流動性等につき十分な調査、分析を行った上で、銘柄を選択すること。
イ.発行体、残存期間等について、運用手法に応じて適切な分散化を図ること。国債以外の債券であって、同一の発行体が発行したものへの投資は、基金から受託して運用する外国債券ポートフォリオにおける時価総額の5%以下とし、これを上回る場合には、基金に報告を行うこと。
ウ.信用のある格付機関のいずれかによりAA格以上の格付を得ている銘柄とすること。
エ.ウの債券で、取得後にいずれの格付機関による格付もAA格未満となった債券については、発行体の債務不履行リスク等に十分留意した上で、売却等の手段を講じること。
   (4)外国株式
ア.投資対象は外国の各証券取引所、店頭市場において公開された外貨建ての株式の銘柄とする。なお、アクティブ運用の場合は、政治及び経済の安定性、決済システム並びに税制等の市場特性を十分調査した上で、投資対象国及び通貨を選定するとともに、投資対象企業の経営内容、当該銘柄の流動性等について十分な調査、分析を行った上で、銘柄を選択すること。ただし、直接原株式を購入することに何らかの制約がある場合等、合理的な理由がある場合には、これらを対象とした預託証券又は投資信託等への投資も許容される。
イ.投資対象国、通貨、業種、銘柄等については、運用手法に応じて適切な分散化を図ること。同一の銘柄への投資は、基金から受託して運用する外国株式ポートフォリオにおける時価総額の5%以下とすること。ただし、ベンチマーク・インデックスにおける個別銘柄の時価ウェイトがこの制限を超える場合等、上記制限によりがたい合理的な理由があるときは、この限りではない。同一の銘柄への投資が5%を上回る場合には、基金に報告を行うこと。
 同一企業が発行する株式への投資は、運用受託機関毎に当該企業の発行済み株式総数の5%以下とすること。
   (5)短期資産
 投資対象は、短期国債、政府短期証券、預金、コマーシャル・ペーパー、譲渡性預金、コール・ローン、現先取引、指定金銭信託受益権(合同運用一般口)及び生保一般勘定貸しとすること。

  (2)各資産に共通する事項等
   (1)禁止取引等
ア.買占め等の仕手戦には参加しないこと。また、企業の経営支配を目的とした投資は行わないこと。
イ.信用買い、空売り等の信用取引は行わないこと。
ウ.有価証券の頻繁な売買に伴う取引費用の増大により、かえって全体としての収益率を下げるようなことは避けること。
   (2)デリバティブの利用基準
ア.利用目的の制限
 保有している原資産の価格変動の危険防止又は軽減、外貨建資産運用における為替変動の危険防止又は軽減や原資産の処分の一時的な代替を目的とするもの(イにおいて「売りヘッジ」という。)又は原資産の取得の一時的な代替を目的とするもの(イにおいて「買いヘッジ」という。)に限り、投機目的の利用は行わないこと。ただし、基金が提示する運用ガイドラインの定めるところにより、運用受託機関はヘッジ目的以外でデリバティブを利用することができる。
イ.利用額の制限
 売りヘッジの場合は、デリバティブの想定元本が、現在保有する又は保有することが確定している原資産の範囲内とすることとし、買いヘッジの場合は、デリバティブの想定元本が、現在保有する又は保有することが確定している余裕資金の範囲内とすること。
   (3)株主議決権行使の基準
ア.株主議決権行使に当たっての基本的考え方
 株主議決権は、企業が長期的に株主の利益を最大にするような企業経営を行うよう、運用受託機関において行使するものとする。
イ.運用受託機関の株主議決権の行使に関する方針及び行使状況の把握
 運用受託機関は、株主議決権の行使に関する方針を基金に提出するものとする。なお、運用受託機関は、当該方針の中で、企業に反社会的行為があった場合の対応についても明記しなければならない。
 運用受託機関は、毎年度、株主議決権の行使状況を基金に報告するものとする。
   (4)売買執行に関する事項
ア.有価証券の売買執行を行う際は、何が最良執行なのかを常に念頭に置きながら総取引費用が最小になるように執行すること。
イ.有価証券の売買取引を行う際は、予め次に掲げる事項について基金に登録すること。
売買発注に当たっての方針・体制
取引証券会社の選定・評価基準
売買発注に関する基準
親会社、親会社の系列又は自社の系列の証券会社との取引の方針
ウ.有価証券の売買取引を行う場合には、証券会社等の選定、取引手法の選択等に当たって、最も有利と考えられる条件を選択すること。
エ.ソフトダラーに関する事項
 運用受託機関は、有価証券の売買取引に当たっては、売買取引に付随する各種調査、情報提供等の便益に係る費用を売買委託手数料に含める、いわゆるソフトダラーを伴う取引を原則として行わないものとすること。ただし、最良執行が確保されると認められる場合等、合理的な理由があるときは、この限りではない。この場合にあっては、運用受託機関は、基金に報告を行わなければならないこと。
   (5)リスク管理体制等に関する事項
 運用受託機関は、リスクのチェック体制、法令等の遵守体制の整備等に努めること。

  (3)資産管理上の留意点
   (1)資産管理を委託されている運用受託機関においては、受託資産を自己資産から明確に区分して管理するとともに、保有証券類の保管、資金の決済業務に当たっては、細心の注意を払うこと。また、再保管先の選択に当たっては、信用リスク、事務管理能力、費用等に十分留意すること。
   (2)基金の行う資産配分、運用ガイドラインの変更及び契約の解除等に伴い、資産の売却が必要となった場合には、運用受託機関は市場に対する影響、取引費用等に細心の注意を払い、基金にとって不利益にならないように最善を尽くすこと。

  (4)報告等
   (1)運用受託機関は、毎月末の資金の管理及び運用状況に関する報告を基金に行うものとすること。
   (2)各種の法令、契約書又は運用ガイドライン等に反する行為があった場合には、運用受託機関は直ちに基金に対し報告を行い、指示に従うこと。

 3.運用手数料

  (1)運用受託機関に支払う運用手数料については、運用コストに照らして合理的に判断するものとする。

  (2)アクティブ運用機関については、実績型報酬により、運用成績の向上を図る方法も考慮する。

第4 資産管理機関の管理に関する事項

 1.基本的な事項
 基金は、資産管理機関(他の運用機関から運用の指示を受け、市場運用資金について専ら資産管理のみを行う機関をいう。以下同じ。)に対し毎月末の資金の管理状況に関する報告を求め、又は随時必要な資料の提出を求めるとともに、管理状況について定期的に各資産管理機関とミーティングを行い、これらの報告等を基に各資産管理機関に対し必要な指示を行うものとする。

 2.資産管理ガイドライン
 基金は、資産管理機関に資金の管理を委託する場合には、各資産管理機関に対し、資産管理の目標その他以下の事項に関する資産管理ガイドラインを提示し、その遵守状況を管理するとともに各資産管理機関に対し必要な指示を行うものとする。

  (1)運用受託機関との連携
 資産管理機関は、受託資産に関し運用の指示を受けることとされている運用受託機関と密接な情報交換を行うよう努め、当該運用受託機関から請求された資産管理に関する情報を正確かつ迅速に提供することができるよう資産管理を行わなければならないこと。

  (2)資産管理上の留意点
 資産管理機関は、受託資産を自己資産から明確に区分して管理するとともに、保有証券類の保管、資金の決済業務に当たっては、細心の注意を払うこと。また、再保管先の選択に当たっては、信用リスク、事務管理能力、費用等に十分留意すること。

  (3)報告等
   (1)資産管理機関は、毎月末の資金の管理状況に関する報告を基金に行うものとすること。
   (2)各種の法令、契約書又は資産管理ガイドライン等に反する行為があった場合には、資産管理機関は直ちに基金に対し報告を行い、指示に従うこと。

 3.資産管理手数料
 資産管理機関に支払う資産管理手数料については、資産管理コストに照らして合理的に判断するものとする。

第5.年金資金の管理及び運用の評価並びに運用受託機関の選定等に関する事項

 1.運用受託機関

  (1)選定基準
 基金は、運用受託機関を選定する場合には、次に定める基準及び方法によるものとする。
   (1)最低限満たすべき要件
ア.年金資金の管理及び運用を受託するのに必要な認可等を受けていること。
イ.国内外の年金運用資産残高がグループ(連結財務諸表を提出する会社並びにその子会社及び関連会社をいう。)全体で相当程度の規模であること。
ウ.過去5年以内に資金運用業務に関し、著しく不適当な行為をしていないこと。
エ.運用と併せて資産管理を行う運用受託機関にあっては、信用のある格付機関のいずれかによりBBB格以上の格付を得ており、かつ、信用のある格付機関のいずれからもBB格以下の格付を得ていないこと。
   (2)運用受託機関の採用
 予定している運用スタイルの資金総額等を踏まえ、運用手数料の評価を含む総合評価を勘案して、運用能力が高いと判断した運用機関を採用する。

  (2)一部回収及び解約基準
   (1)選定基準に合致しなくなった場合
 運用受託機関が(1)(1)の要件を満たさなくなった場合は、解約する。ただし、信用のある格付機関のいずれかによりBB格以下の格付を得た信託会社が基金の資産を確実に保全するための措置を講じた場合には、ただちに当該信託会社を解約することを要しないものとする。
   (2)総合評価に基づく運用受託機関の見直し
ア.定期見直し
 3年毎に運用受託機関の見直しを行い、次に規定する運用受託機関以外の運用受託機関のみ運用委託を継続するものとする。
総合評価で「継続困難」と判定された運用受託機関は解約する。
アクティブ運用機関については、総合評価で「継続困難」と判定されない場合であっても、総合評価が同じ運用スタイルをとる運用受託機関の下位4分の1に該当し、かつ、評価期間の超過収益率が運用スタイル毎に設定する一定の水準を下回る運用受託機関から、当該運用受託機関が基金から受託している資金の2分の1に相当する額を回収する。その後1年間の運用状況を加えた総合評価が、引き続き同じ運用スタイルをとる運用受託機関の下位4分の1に該当し、かつ、評価期間の超過収益率が当該水準を下回る場合には、解約する。
イ.定期見直し以外の年度における一部回収
 アクティブ運用機関のうち、総合評価が下位4分の1に該当するもの(運用期間が3年に満たない運用受託機関を除く。)について、当該運用受託機関が基金から受託している資金の1割に相当する額を毎年度(アに規定する定期見直しに係る年度を除く。)回収する。
   (3)運用成績が急激に悪化した場合
 4四半期連続で超過収益率が運用スタイル毎に設定する一定の水準を下回る運用受託機関に対し、警告を行うものとする。警告した後も2四半期連続で当該水準を下回る場合には、当該運用受託機関が基金から受託している資金の2分の1に相当する額を回収し、当該回収後もさらに2四半期連続して当該水準を下回る場合には、解約する。
   (4)CIOの変更等により、運用能力に問題が生じた場合
 運用受託機関のCIOの変更等により、当該運用受託機関の運用能力に問題が生じたときは、当該運用受託機関に対し警告を行い、当該運用受託機関が基金から受託している資金の一部を回収し、又は当該運用受託機関を解約するものとする。
   (5)運用ガイドライン違反の場合等
 運用受託機関が基金が当該運用受託機関に示した運用ガイドラインに違反した場合等には、当該運用受託機関に対し警告を行い、当該運用受託機関が基金から受託している資金の一部を回収し、又は当該運用受託機関を解約するものとする。
   (6)管理及び運用上必要がある場合
 管理及び運用上必要がある場合は、運用受託機関が基金から受託している資金の一部を回収し、又は運用受託機関を解約することができるものとする。

  (3)配分基準

   (1)パッシブ運用機関
 第2の2(1)(3)に基づき配分すべき運用スタイルをとる運用受託機関のうち、一定のトラッキングエラーの水準の範囲内に収まっており、かつ、定性評価が一定水準以上である運用受託機関に資金を配分するものとする。ただし、パッシブ運用の割合を増加させていく期間においては、これによらずに資金を配分することができるものとする。
   (2)アクティブ運用機関
ア.第2の2(1)(3)に基づき配分すべき運用スタイルをとる運用受託機関のうち、総合評価が上位2分の1に該当する運用受託機関に総合評価に応じて資金を配分するものとする。
イ.アの規定に基づいて資金を配分した場合1ファンド当たりの配分額が100億円未満となるときは、アの規定にかかわらず、総合評価が上位4分の1に該当する運用受託機関のみに資金を配分するものとする。

  (4)合併等の場合
 運用受託機関の合併等の場合には、当該運用受託機関の運用能力の評価、組織体制の変更状況等を踏まえ、当該運用受託機関が基金から受託している資金の一部を回収し、当該運用受託機関を解約し、又は当該運用受託機関に対し資金を配分することができるものとする。

 2.資産管理機関

  (1)選定基準
 基金は、資産管理機関を選定する場合には、次に定める基準及び方法によるものとする。
   (1)最低限満たすべき要件
ア.資産管理を受託するのに必要な認可等を受けていること。
イ.国内外の資産管理残高がグループ(連結財務諸表を提出する会社並びにその子会社及び関連会社をいう。)全体で相当程度の規模であること。
ウ.過去5年以内に資産管理業務に関し、著しく不適当な行為をしていないこと。
エ.信用のある格付機関のいずれかによりBBB格以上の格付を得ており、かつ、信用のある格付機関のいずれからもBB格以下の格付を得ていないこと。
   (2)資産管理機関の採用
 資産管理手数料の評価を含む総合評価を勘案して、資産管理を適切に行うことができると判断した資産管理機関を採用する。

  (2) 一部回収及び解約基準
   (1)選定基準に合致しなくなった場合
 資産管理機関が(1)(1)の要件を満たさなくなった場合は、解約する。
   (2)総合評価に基づく資産管理機関の見直し
 1(2)(2)アに規定する定期見直しの際に合わせて資産管理機関の見直しを行い、総合評価で「継続困難」と判定された資産管理機関は解約し、これ以外の資産管理機関のみ継続するものとする。「継続困難」と判定された資産管理機関については、1(2)(2)アに規定する定期見直しの対象外の運用受託機関に係る資産管理部分についても解約するものとする。
   (3)資産管理責任者の変更等により、資産管理能力に問題が生じた場合
 資産管理機関の資産管理責任者の変更等により、当該資産管理機関の資産管理能力に問題が生じたときは、当該資産管理機関に対し警告を行い、当該資産管理機関が基金から受託している資金の一部を回収し、又は当該資産管理機関を解約するものとする。
   (4)資産管理ガイドライン違反の場合等
 資産管理機関が基金が当該資産管理機関に示した資産管理ガイドラインに違反した場合等には、当該資産管理機関に対し警告を行い、当該資産管理機関が基金から受託している資金の一部を回収し、又は当該資産管理機関を解約するものとする。

  (3)合併等の場合
 資産管理機関の合併等の場合には、当該資産管理機関の資産管理能力の評価、組織体制の変更状況等を踏まえ、当該資産管理機関が基金から受託している資金の一部を回収し、当該資産管理機関を解約し、又は当該資産管理機関に対し資金を配分することができるものとする。

  (4)採用後の実績がない場合
 (1)(2)の規定に基づき採用された資産管理機関が、3年間継続して基金から資金を受託した実績がない場合には、当該資産管理機関の採用を取り消すことができるものとする。

3.総合評価の方法

  (1)運用受託機関
 運用受託機関の選定基準、一部回収及び解約基準並びに配分基準における総合評価については、以下のとおり行うものとする。
   (1)選定基準における総合評価
 運用の実績も踏まえ、以下の評価項目及び運用手数料の評価で総合評価を行う。
投資方針
 投資方針が基金の方針と合致した形で、かつ、明確にされているか。
運用プロセス
 付加価値の追求方法(パッシブ運用機関にあってはできる限りベンチマークに追随する手法。アクティブ運用機関にあっては超過収益の追求方法。)が合理的であり、有効性の証明ができているか。
組織・人材
 投資方針が組織の中で徹底されているか。意思決定の流れや責任の所在は明確か。また、経験を有するマネージャー等が十分に配置されているか。
リスク管理
 リスクの管理体制が確立されているか。とっているリスクを客観的に認識しているか。市場からの乖離度を把握しているか。
事務処理体制
 運用実績を報告する体制等が十分に整備されているか。
   (2)一部回収及び解約基準並びに配分基準における総合評価
 一部回収及び解約基準並びに配分基準における総合評価の評価項目は以下のとおり。
ア.パッシブ運用機関
定量評価
 5年間通期(運用受託機関の運用期間が5年に満たない場合にあっては、評価開始以来)の年率時間加重収益率(運用手数料控除前のものとする。)を用いて、トラッキングエラーを算出し、定量評価を行うものとする。
定性評価
 運用受託機関に対し直前に実施したヒアリングに基づいて、定性評価を行うものとする。定性評価の項目は、(1)に掲げる項目とする。
イ.アクティブ運用機関
定量評価と定性評価の比重
 総合評価における定量評価と定性評価の比重は、1対1とする。
定量評価
 5年間通期(運用受託機関の運用期間が5年に満たない場合にあっては、評価開始以来)の年率時間加重収益率(運用手数料控除前のものとする。)を用いて、超過収益率及びインフォメーション・レシオを算出し、定量評価を行うものとする。
定性評価
 運用受託機関に対し直前に実施したヒアリングに基づいて、定性評価を行うものとする。定性評価の項目は、(1)に掲げる項目とする。

  (2)資産管理機関
 資産管理機関の選定基準及び解約基準における総合評価の評価項目は以下のとおり。なお、選定基準における総合評価は、資産管理手数料の評価を含む。
組織体制
 質の良い資産管理担当者を採用し、相当な規模の資産管理を行うことができる組織体制を有しているか。
事務体制
 基金の要望に応えられるサービスを提供し、基金特有の報告書を正確に作成する能力を有しているか。
監査
 内部検査及び外部監査体制は、整備されているか。
資産管理システム
 運用機関等との接続を含むオンラインシステム及びシステムのバックアップシステム体制が充実しているか。
コーポレートアクション等への対応
 コーポレートアクション等への対応は適切か。
グローバルカストディ
 グローバルカストディの運営、管理体制及び受渡・決済機能が充実しているか。
資産移管
 資産移管のプロセスは適切か、サービス内容は充実しているか。

第6 自家運用に関する事項

 1.自家運用の役割
 基金は、年金資金の運用の効率化に資するため、年金資金の一部について自ら運用及び管理を行う。この運用及び管理の実施に当たっては、自家運用に係る資産自身の効率的な運用に努めるほか、必要な流動性の確保のため、自家運用は次に掲げる役割を担うものとする。
  (1)財投債の管理及び運用
  (2)国内債券の中核的なパッシブファンドの管理及び運用
  (3)納付金等の納付等に必要な流動性の確保

 2.運用基本方針
 基金は、1に定める役割を果たすために以下のファンドを設けて、自家運用するものとする。

  (1)財投債ファンド
 満期保有すべきものとされた財投債の管理及び運用を行うことを目的とし、第2の2(2)に定める方法により、管理及び運用を行う。

  (2)国内債券パッシブファンド
 国内債券の中核的なパッシブファンドとして、年金資金の運用の効率化に資することを目的とし、ベンチマークからのトラッキングエラーをできる限り低く抑えつつ、パッシブ運用を行う。

  (3)資金管理ファンド
 納付金等の納付等に必要な流動性を確保することを目的とし、安全、かつ、効率的に短期資産の運用を行うことを目的とする。

 3.取引先選定等の基準
 基金は、自家運用に係る有価証券の売買の取引先としての証券会社、短期資産の運用先としての銀行及び証券会社並びに運用有価証券信託先としての信託会社(以下「取引先」という。)を選定する場合等には、次に定める基準及び方法によるものとする。

  (1)取引先の選定
   (1)最低限満たすべき要件
ア.自家運用に係る取引を行うために必要な業務の認可等を受けていること。
イ.市場取引において十分な実績があること。
ウ.過去5年以内に著しく不適当な行為をしていないこと。
エ.短期資産の運用及び運用有価証券信託を行う取引先にあっては、信用のある格付機関のいずれかによりBBB格以上の格付を得ており、かつ、信用のある格付機関のいずれからもBB格以下の格付を得ていないこと。
   (2)取引先の採用
 総合評価を勘案した上で、取引先を採用する。

  (2)取引先の評価
 最良執行の観点から、定期的に取引先の取引執行能力、事務処理能力等について総合的な評価を行い、これに基づき効果的な取引を行うものとする。

 4.遵守事項等    第3の2の規定を準用する。

 5.自家運用の評価
 自家運用の評価については、運用受託機関と同様のベンチマークとの比較評価及び運用受託機関との相対評価に加え、その役割を考慮した総合的な評価を基金自ら行う。

第7.その他管理運用業務の運営に関する重要事項

 1.管理・運用体制
 次に掲げる事項は、理事会において審議し、決定する。

   (1)管理運用方針の策定、再検討及び変更
   (2)次に掲げる事項その他の年金資金運用基金法に基づき厚生労働大臣の認可又は承認を受けなければならない事項
ア.業務方法書の作成及び変更
イ.制裁規程の作成及び変更
ウ.毎事業年度の予算、事業計画及び資金計画の作成及び変更
エ.毎事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書の作成
   (3)次に掲げる管理運用業務の運営に関する重要事項
ア.運用受託機関、資産管理機関及び自家運用に係る取引先の選定及び解約
イ.年金資金の配分及び回収
ウ.毎事業年度の業務概況書の作成
   (4)その他理事会が必要と認める事項

 2.管理運用の自己評価及び記録保持

  (1)年金資金の管理運用業務を実施するに当たっては、綿密な調査及び分析に基づく合理的かつ十分な根拠をもつこととし、毎事業年度終了後、自己評価を行うものとする。

  (2)(1)を裏付ける適切な記録を相当期間保持するよう努める。

 3.その他
 本管理運用方針は、基本方針が変更された場合のほか、毎年少なくとも1回再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。


(別表)基金ポートフォリオにおける各運用対象資産に係るベンチマーク

  ・国内債券NOMURA−BPI総合(ボンド・パフォーマンス・インデックス)
  ・国内株式TOPIX(配当込み))
  ・外国債券ソロモン・スミス・バーニー世界国債インデックス(除く日本、円貨換算、ヘッジなし))
  ・外国株式モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)・KOKUSAI(円貨換算、配当込み、GROSS))
  ・短期資産CD3ヶ月


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